IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図1
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図2
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図3
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図4
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図5
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図6
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図7
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図8
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図9
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図10
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図11
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図12
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図13
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図14
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図15
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図16
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図17
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図18
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図19
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図20
  • 特許-画像表示装置および駆動装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】画像表示装置および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20230324BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20230324BHJP
   H04N 13/346 20180101ALI20230324BHJP
   H04N 13/398 20180101ALI20230324BHJP
   H04N 13/128 20180101ALI20230324BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20230324BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230324BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
H04N13/363
H04N13/346
H04N13/398
H04N13/128
G02B27/01
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020527213
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2019012347
(87)【国際公開番号】W WO2020003658
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2018121930
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】浦上 進
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄大
(72)【発明者】
【氏名】古屋 博之
(72)【発明者】
【氏名】柏原 芳郎
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079794(WO,A1)
【文献】特開平07-295652(JP,A)
【文献】特開2003-330545(JP,A)
【文献】特開平01-194884(JP,A)
【文献】特開昭60-005306(JP,A)
【文献】特開平01-272912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
H04N 13/00
B60K 35/00
G02B 27/01
G02B 26/10
G02B 26/08
G09G 3/20
G05D 3/12
G01D 5/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光が照射されることにより画像が形成されるスクリーンと、
前記スクリーンからの光により虚像を生成する光学系と、
前記スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部と、
前記スクリーンの移動位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記スクリーンの移動を目標波形に追従させるサーボ回路と、
前記サーボ回路による前記スクリーンの移動タイミングと前記スクリーンに対する前記画像の形成タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、
前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記スクリーンの駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記サーボ回路に供給し、
前記補正回路は、前記補正後の目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の画像表示装置において、
前記位相補正部は、前記サーボ回路による制御の開始から所定時間が経過した後、前記サーボ回路に対する前記補正後の目標波形の供給を開始する、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
光源と、
前記光源からの光が照射されることにより画像が形成されるスクリーンと、
前記スクリーンからの光により虚像を生成する光学系と、
前記スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部と、
前記スクリーンの移動位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記スクリーンの移動を目標波形に追従させるサーボ回路と、
前記サーボ回路による前記スクリーンの移動タイミングと前記スクリーンに対する前記画像の形成タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、
前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記スクリーンの駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないしの何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記補正回路は、補正前の前記目標波形と前記駆動部による前記スクリーンの駆動波形との振幅ずれを検出し、検出した振幅ずれを抑制するように、前記駆動部の駆動信号を増幅させる振幅補正部をさらに備える、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記補正回路は、補正前の前記目標波形と前記駆動波形との時間ずれを検出し、検出した前記時間ずれに基づいて、前記目標波形の位相を前記駆動波形の位相に近付ける、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1ないしの何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記補正回路は、補正前の前記目標波形と前記駆動波形との時間ずれを予め記憶し、記憶した前記時間ずれに基づいて、前記目標波形の位相を前記駆動波形の位相に近付ける、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないしの何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記位置検出部は、前記スクリーンの移動に応じてパルス信号を出力するとともに、前記スクリーンが原点位置に位置付けられたことに応じて原点信号を出力し、
前記位置検出部から出力される前記パルス信号を計数するカウンタを備え、
前記カウンタは、前記原点信号によりリセットされる、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
光源と、
前記光源からの光が入射する光学部材と、
前記光学部材を駆動させる駆動部と、
前記光学部材の駆動位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記光学部材の駆動を目標波形に追従させるサーボ回路と、
前記サーボ回路による前記光学部材の駆動タイミングと前記光源の駆動タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、
前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記光学部材の駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記サーボ回路に供給し、
前記補正回路は、前記補正後の目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源からの光が入射する光学部材と、
前記光学部材を駆動させる駆動部と、
前記光学部材の駆動位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記光学部材の駆動を目標波形に追従させるサーボ回路と、
前記サーボ回路による前記光学部材の駆動タイミングと前記光源の駆動タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、
前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記光学部材の駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる、
ことを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および駆動装置に関し、たとえば、乗用車等の移動体に搭載して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドアップディスプレイと称される画像表示装置の開発が進められ、乗用車等の移動体に搭載されている。乗用車に搭載されるヘッドアップディスプレイでは、画像情報により変調された光がウインドシールド(フロントガラス)に向けて投射され、その反射光が運転者の目に照射される。これにより、運転者は、ウインドシールドの前方に、画像の虚像を見ることができる。たとえば、車速や外気温等が、虚像として表示される。最近では、ナビゲーション画像や、通行人を注意喚起する画像を虚像として表示することも検討されている。
【0003】
上記ヘッドアップディスプレイでは、虚像を生成するための光源として、半導体レーザ等のレーザ光源が用いられ得る。この構成では、映像信号に応じてレーザ光が変調されつつ、レーザ光がスクリーンを走査する。スクリーンでは、レーザ光が拡散され、運転者の目に照射される光の領域が広げられる。これにより、運転者が多少頭を動かしても、目が照射領域から外れなくなり、運転者は、良好かつ安定的に画像(虚像)を見ることができる。
【0004】
以下の特許文献1には、スクリーンを光軸方向に移動させて、虚像の結像位置を前後方向に変化させる構成が記載されている。この構成では、モータ、送りネジおよびラックを用いて、スクリーンが駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-150947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリーンを用いたヘッドアップディスプレイでは、スクリーンを光軸方向に高速で移動させることにより、奥行き方向に視距離が変化する画像を表示させることができる。これに対し、上記特許文献1の構成のように、スクリーンをモータ、送りねじおよびラックにより駆動させる構成では、スクリーンを高速で移動させることができないため、視距離が変化する画像を円滑に表示できない。
【0007】
スクリーンを高速で移動させる構成として、たとえば、VCM(Voice Coil Motor)方式による駆動機構を用いることができる。この構成では、スクリーンの移動に同期して、スクリーンに画像を描画することにより、奥行き方向に視距離が変化する画像を表示させることができる。この場合、スクリーンの位置が時間の経過とともに変化する目標位置に追従するように、サーボが掛けられる。しかし、このサーボでは、実際のスクリーンの位置が所定の時間ずれをもって目標位置に追従する。このため、適正な視距離で画像を表示できなくなるといった問題が生じる。
【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、適正な視距離で画像を表示できる画像表示装置および光学部材と光源とを用いた動作を適正に行うことができる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、画像表示装置に関する。本態様に係る画像表示装置は、光源と、前記光源からの光が照射されることにより画像が形成されるスクリーンと、前記スクリーンからの光により虚像を生成する光学系と、前記スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部と、前記スクリーンの移動位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記スクリーンの移動を目標波形に追従させるサーボ回路と、前記サーボ回路による前記スクリーンの移動タイミングと前記スクリーンに対する前記画像の形成タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備える。前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記スクリーンの駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記サーボ回路に供給する。前記補正回路は、前記補正後の目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる。
本発明の第2の態様は、画像表示装置に関する。本態様に係る画像表示装置は、光源と、前記光源からの光が照射されることにより画像が形成されるスクリーンと、前記スクリーンからの光により虚像を生成する光学系と、前記スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部と、前記スクリーンの移動位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記スクリーンの移動を目標波形に追従させるサーボ回路と、前記サーボ回路による前記スクリーンの移動タイミングと前記スクリーンに対する前記画像の形成タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備える。前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記スクリーンの駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる。
【0010】
一般的にスクリーンのサーボ制御においては、駆動部の応答性が低いことに起因して、スクリーンが目標波形に対して遅れて追従することになる。これに対し、本態様に係る画像表示装置によれば、補正回路によって、スクリーンの移動タイミングとスクリーンに対する画像の形成タイミングとの間の時間ずれが補正されるため、スクリーンの移動に画像の形成が同期するようになる。よって、適正な視距離の位置に画像を表示することができる。
【0011】
本発明の第の態様は、駆動装置に関する。本態様に係る駆動装置は、光源と、前記光源からの光が入射する光学部材と、前記光学部材を駆動させる駆動部と、前記光学部材の駆動位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記光学部材の駆動を目標波形に追従させるサーボ回路と、前記サーボ回路による前記光学部材の駆動タイミングと前記光源の駆動タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備える。前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記光学部材の駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記サーボ回路に供給する。前記補正回路は、前記補正後の目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる。
本発明の第4の態様は、駆動装置に関する。本態様に係る駆動装置は、光源と、前記光源からの光が入射する光学部材と、前記光学部材を駆動させる駆動部と、前記光学部材の駆動位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部からの信号に基づいて前記駆動部による前記光学部材の駆動を目標波形に追従させるサーボ回路と、前記サーボ回路による前記光学部材の駆動タイミングと前記光源の駆動タイミングとの間のずれを抑制する補正回路と、前記光源を駆動させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備える。前記補正回路は、前記目標波形の位相を前記駆動部による前記光学部材の駆動波形の位相に近付ける位相補正部を備え、前記位相補正部により補正された前記目標波形を前記駆動信号生成部に供給して、前記駆動信号を前記位相補正部により補正された前記目標波形の位相に同期させる。
【0012】
本態様に係る駆動装置によれば、サーボ制御において、駆動部の応答性が低いことに起因して、光学部材が目標波形に対して遅れて追従しても、補正回路によって、光学部材の駆動タイミングと光源の駆動タイミングとの間の時間ずれが補正される。これにより、光学部材の駆動に光源の駆動が同期するようになるため、光学部材と光源とを用いた動作を適正に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、本発明によれば、適正な視距離で画像を表示できる画像表示装置および光学部材と光源とを用いた動作を適正に行うことができる駆動装置を提供することができる。
【0014】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)、(b)は、実施形態1に係る画像表示装置の使用形態を模式的に示す図である。図1(c)は、実施形態1に係る画像表示装置の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る画像表示装置の照射光生成部および照射光生成部に用いる回路の構成を示す図である。
図3図3(a)は、実施形態1に係るスクリーンの構成を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、実施形態1に係るスクリーンに対するレーザ光の走査方法を模式的に示す図である。
図4図4(a)は、実施形態1に係るスクリーンの駆動例を示すグラフである。図4(b)は、実施形態1に係る画像の表示例を模式的に示す図である。
図5図5(a)は、実施形態1に係る駆動部の構成を示す斜視図である。図5(b)は、実施形態1に係る、カバーを取り外した状態の駆動部の構成を示す斜視図である。
図6図6(a)は、実施形態1に係る磁気回路の構成を示す斜視図である。図6(b)は、実施形態1に係る、支持部材とサスペンションとを組み立てた状態の構成にさらにスクリーンとスクリーンホルダを装着した構成を示す斜視図である。
図7図7(a)は、実施形態1に係るエンコーダおよびスケールをY軸負方向に見た場合の模式図である。図7(b)は、実施形態1に係るセンサおよびスケールをX軸負方向に見た場合の模式図である。図7(c)は、実施形態1に係るエンコーダの検出信号およびエンコーダの検出信号に基づいて生成される逓倍化信号を模式的に示す図である。
図8図8は、比較例1に係る回路構成を示す模式図である。
図9図9(a)は、比較例1に係るスクリーンの目標波形およびスクリーンの実際の駆動波形を示すグラフである。図9(b)は、比較例1に係るサーボ残差を示すグラフである。
図10図10は、比較例2に係る回路構成を示す模式図である。
図11図11(a)は、比較例2に係るスクリーンの目標波形およびスクリーンの実際の駆動波形を示すグラフである。図11(b)は、比較例2に係るサーボ残差を示すグラフである。
図12図12は、実施形態1に係る回路構成を示す模式図である。
図13図13(a)は、実施形態1に係るスクリーンの目標波形およびスクリーンの実際の駆動波形を示すグラフである。図13(b)は、実施形態1に係るサーボ残差を示すグラフである。
図14図14(a)は、比較例2に係る目標波形、駆動波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。図14(b)は、実施形態1に係る目標波形、駆動波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。
図15図15は、実施形態1に係るサーボ制御を示すフローチャートである。
図16図16(a)は、実施形態1に係るセンサの逓倍化信号がオンになるタイミングの前後を模式的に示すグラフである。図16(b)は、実施形態1に係る駆動波形とセンサの逓倍化信号との関係を模式的に示すグラフである。
図17図17は、実施形態2に係る回路構成を示す模式図である。
図18図18は、実施形態2に係るスクリーンの目標波形、スクリーンの実際の駆動波形、位相補正部による位相補正後の目標波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。
図19図19(a)は、実施形態3に係るレーザレーダの光学系および回路部の構成を示す図である。図19(b)は、実施形態3に係る投射光学系の構成を示す斜視図である。
図20図20(a)は、実施形態3に係る光偏向器の構成を示す斜視図である。図20(b)は、ミラーの駆動波形と目標波形との間に振幅ずれおよび時間ずれが生じた場合の各波形を模式的に示すグラフである。
図21図21(a)は、実施形態1の変更例に係る回路構成を示す模式図である。図21(b)は、実施形態2の変更例に係る回路構成を示す模式図である。
【0016】
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。実施形態1、2は、車載用のヘッドアップディスプレイに本発明を適用したものであり、実施形態3は、車載用のレーザレーダに本発明を適用したものである。
【0018】
<実施形態1>
以下の実施形態1では、振幅補正回路216と位相補正回路217が、特許請求の範囲に記載の「補正回路」を構成する。ただし、この記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、この対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0019】
図1(a)、(b)は、画像表示装置20の使用形態を模式的に示す図である。図1(a)は、乗用車1の側方から乗用車1の内部を透視した模式図、図1(b)は、乗用車1の内部から走行方向前方を見た図である。
【0020】
図1(a)に示すように、画像表示装置20は、乗用車1のダッシュボード11の内部に設置される。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、画像表示装置20は、映像信号により変調されたレーザ光を、ウインドシールド12下側の運転席寄りの投射領域13に投射する。レーザ光は、投射領域13で反射され、運転者2の目の位置周辺の横長の領域(アイボックス領域)に照射される。これにより、運転者2の前方の視界に、虚像として所定の画像30が表示される。運転者2は、ウインドシールド12の前方の景色上に、虚像である画像30を重ね合わせて見ることができる。すなわち、画像表示装置20は、虚像である画像30をウインドシールド12の投射領域13の前方の空間に結像させる。
【0022】
図1(c)は、画像表示装置20の構成を模式的に示す図である。
【0023】
画像表示装置20は、照射光生成部21と、ミラー22とを備える。照射光生成部21は、映像信号により変調されたレーザ光を出射する。ミラー22は曲面状の反射面を有し、照射光生成部21から出射されたレーザ光をウインドシールド12に向けて反射する。ウインドシールド12で反射されたレーザ光は、運転者2の目2aに照射される。照射光生成部21の光学系とミラー22は、ウインドシールド12の前方に虚像による画像30が所定の大きさで表示されるように設計されている。
【0024】
図2は、画像表示装置20の照射光生成部21の構成および照射光生成部21に用いる回路の構成を示す図である。
【0025】
照射光生成部21は、光源101と、コリメータレンズ102a~102cと、ミラー103と、ダイクロイックミラー104、105と、走査部106と、補正レンズ107と、スクリーン301と、駆動部300とを備える。
【0026】
光源101は、3つのレーザ光源101a~101cを備える。レーザ光源101a~101cは、それぞれ、赤色波長帯、緑色波長帯および青色波長帯のレーザ光を出射する。本実施形態では、画像30としてカラー画像を表示するために、光源101が3つのレーザ光源101a~101cを備えている。画像30として単色の画像を表示する場合、光源101は、画像の色に対応する1つのレーザ光源のみを備えていてもよい。レーザ光源101a~101cは、たとえば、半導体レーザからなっている。
【0027】
レーザ光源101a~101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ102a~102cによって略平行光に変換される。このとき、レーザ光源101a~101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、図示しないアパーチャによって、円形のビーム形状に整形される。なお、コリメータレンズ102a~102cに代えて、レーザ光を円形のビーム形状でスクリーン301に整形し且つ平行光化する整形レンズを用いてもよい。この場合、アパーチャは省略され得る。
【0028】
その後、レーザ光源101a~101cから出射された各色のレーザ光は、ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105によって光軸が整合される。ミラー103は、コリメータレンズ102aを透過した赤色レーザ光を略全反射する。ダイクロイックミラー104は、コリメータレンズ102bを透過した緑色レーザ光を反射し、ミラー103で反射された赤色レーザ光を透過する。ダイクロイックミラー105は、コリメータレンズ102cを透過した青色レーザ光を反射し、ダイクロイックミラー104を経由した赤色レーザ光および緑色レーザ光を透過する。ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105は、レーザ光源101a~101cから出射された各色のレーザ光の光軸を整合させるように配置されている。
【0029】
走査部106は、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光を反射する。走査部106は、たとえば、MEMS(micro electro mechanical system)ミラーからなっており、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光が入射されるミラー106aを、駆動信号に応じて、Y軸に平行な軸とY軸に垂直な軸の周りに回転させる構成を備える。このようにミラー106aを回転させることにより、レーザ光の反射方向が、X-Z平面の面内方向およびY-Z平面の面内方向において変化する。これにより、後述のように、各色のレーザ光によってスクリーン301が走査される。
【0030】
なお、ここでは、走査部106が、2軸駆動方式のMEMSミラーにより構成されたが、走査部106は、他の構成であってもよい。たとえば、Y軸に平行な軸の周りに回転駆動されるミラーと、Y軸に垂直な軸の周りに回転駆動されるミラーとを組み合わせて走査部106が構成されてもよい。
【0031】
補正レンズ107は、走査部106によるレーザ光の振り角に拘わらず、各色のレーザ光をZ軸正方向に向かわせるように設計されている。スクリーン301は、レーザ光が走査されることにより画像が形成され、入射したレーザ光を運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス領域)に拡散させる作用を有する。スクリーン301は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂からなっている。
【0032】
駆動部300は、スクリーン301をレーザ光の進行方向に平行な方向(Z軸方向)、すなわち照射光生成部21の光軸方向に往復移動させる。駆動部300の構成は、追って、図5(a)~図6(b)を参照して説明する。
【0033】
画像処理回路201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理ユニットやメモリを備え、入力された映像信号および位置検出回路205からの信号を処理してレーザ駆動回路202、ミラー駆動回路203およびスクリーン駆動回路204を制御する。画像処理回路201は、後述のミラー駆動信号生成回路215やレーザ駆動信号生成回路214等の各種回路(図12参照)も備えている。これらの回路によって、光源101、走査部106および駆動部300が制御される。
【0034】
レーザ駆動回路202は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、レーザ光源101a~101cの出射強度を変化させる。ミラー駆動回路203は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、走査部106のミラー106aを駆動する。スクリーン駆動回路204は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、スクリーン301を駆動する。位置検出回路205は、スクリーン301の駆動位置を検出する。画像表示動作時における画像処理回路201における制御については、追って、図3(b)および図4(a)を参照して説明する。
【0035】
図3(a)は、スクリーン301の構成を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、スクリーン301に対するレーザ光の走査方法を模式的に示す図である。
【0036】
図3(a)に示すように、スクリーン301のレーザ光入射側の面(Z軸負側の面)には、レーザ光をX軸方向に発散させるための複数の第1のレンズ部301aが、X軸方向に並ぶように形成されている。Y軸方向に見たときの第1のレンズ部301aの形状は略円弧形状である。第1のレンズ部301aのX軸方向の幅は、たとえば、50μmである。
【0037】
また、スクリーン301のレーザ光出射側の面(Z軸正側の面)には、レーザ光をY軸方向に発散させるための複数の第2のレンズ部301bが、Y軸方向に並ぶように形成されている。X軸方向に見たときの第2のレンズ部301bの形状は略円弧形状である。第2のレンズ部301bのY軸方向の幅は、たとえば、70μmである。
【0038】
上記構成を有するスクリーン301の入射面(Z軸負側の面)が、図3(b)に示すように、各色のレーザ光が重ねられたビームB1によって、X軸正方向に走査される。スクリーン301の入射面に対して、予め、ビームB1が通る走査ラインL1~Lnが、Y軸方向に一定間隔で設定されている。走査ラインL1~Lnの開始位置と終了位置は、X軸方向において一致している。ビームB1の径は、たとえば、50μm程度に設定される。
【0039】
映像信号により各色のレーザ光が変調されたビームB1により走査ラインL1~Lnが高周波で走査されることにより、画像が構成される。こうして構成される画像が、スクリーン301と、ミラー22およびウインドシールド12(図1(c)参照)を介して、運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス)に投射される。これにより、運転者2は、ウインドシールド12の前方の空間に、虚像として画像30を視認する。
【0040】
図4(a)は、実施形態に係るスクリーン301の移動工程の一例を示す図であり、図4(b)は、実施形態に係る画像表示装置20においてスクリーン301を移動させることにより表示される画像の一例を示す図である。
【0041】
図4(a)に示すように、スクリーン301は、時刻t0~t4を1サイクルとして移動が繰り返される。時刻t0~t3の間に、スクリーン301は、初期位置Ps0から最遠位置Ps1へと移動され、時刻t3~t4の間に、スクリーン301は、最遠位置Ps1から初期位置Ps0へと戻される。スクリーン301の移動周期、すなわち、時刻t0~t4の時間は、たとえば、1/60秒である。
【0042】
時刻t0~t3は、図4(b)において、鉛直方向に広がる鉛直画像M1を表示するための期間であり、時刻t3~t4は、図4(b)において、奥行き方向に広がる奥行き画像M2を表示するための期間である。図4(b)の例において、鉛直画像M1は、歩行者H1が居ることを運転者2に注意喚起するためのマーキングであり、奥行き画像M2は、ナビゲーション機能により乗用車1が道路R1を曲がるべき方向を運転者2に示唆するための矢印である。たとえば、鉛直画像M1と奥行き画像M2は、互いに異なる色で表示される。
【0043】
鉛直画像M1は、奥行き方向には変化せず、鉛直方向のみに広がっているため、スクリーン301を鉛直画像M1に対応する位置に固定して、虚像の生成が行われる。図4(a)の停止位置Ps2は、鉛直画像M1の奥行き位置に対応するスクリーン301の位置である。スクリーン301は、初期位置Ps0から最遠位置Ps1に移動する間に、停止位置Ps2において、時刻t1~t2の間、停止される。この間に、鉛直画像M1に対応する走査ライン上の、鉛直画像M1に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a~101cを発光させることにより、ウインドシールド12の投射領域13の前方に、図4(b)に示すような鉛直画像M1を虚像として表示させることができる。
【0044】
一方、時刻t3~t4において、スクリーン301は、最遠位置Ps1から初期位置Ps0まで線形に移動される。スクリーン301が移動すると、これに伴い、ウインドシールド12前方の虚像が結像する位置が奥行き方向に移動する。したがって、奥行き画像M2の奥行き方向の各位置にスクリーン301が在るときに、奥行き画像M2に対応する走査ライン上の、奥行き画像M2に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a~101cを発光させることにより、ウインドシールド12の投射領域13の前方に、図4(b)に示すような奥行き画像M2を虚像として表示させることができる。
【0045】
以上の制御は、図2に示す画像処理回路201によって行われる。この制御により、時刻t0~t4の間に、鉛直画像M1と奥行き画像M2が虚像として表示される。上記の制御では、鉛直画像M1の表示タイミングと奥行き画像M2の表示タイミングにずれが生じるが、このずれは極めて短時間であるため、運転者2は、鉛直画像M1と奥行き画像M2を重ねた画像を認識する。こうして、運転者2は、投射領域13の前方に、映像信号に基づく画像(鉛直画像M1、奥行き画像M2)を、歩行者H1および道路R1を含む風景に重ねて見ることができる。
【0046】
なお、図4(b)では、鉛直画像M1が1つであったため、図4(a)の工程において、スクリーン301の停止位置Ps2が1つに設定されたが、鉛直画像M1が複数あれば、それに応じて、図4(a)の工程において、停止位置が複数設定される。ただし、図4(a)の工程において、時刻t0~t4の時間は一定であり、時刻t4は不変であるため、停止位置の数の増減に応じて、停止位置前後のスクリーン301の移動速度(図4(a)の波形の傾き)が変更されることになる。
【0047】
以上のようにスクリーン301をZ軸方向に移動させながら、スクリーン301をレーザ光で走査する場合、走査位置が走査ラインL1から走査ラインLnに向かうに従って、徐々に、スクリーン301がZ軸正方向(ミラー22に接近する方向)に移動する。したがって、各走査ラインで描画される画像部分(虚像)の運転者2の視点からの視距離は、走査位置が走査ラインL1から走査ラインLnに向かうに従って、運転者2の視点に対し前方向(奥行き方向)に変化する。すなわち、上記の制御のもとでは、図3(a)、(b)に示すスクリーン301の短辺方向、すなわち、Y軸方向が、スクリーン301の移動に伴い表示画像の視距離を変化させる方向となる。
【0048】
図5(a)は、駆動部300の構成を示す斜視図であり、図5(b)は、カバー308を取り外した状態の駆動部300の構成を示す斜視図である。図5(a)、(b)には、駆動部300が支持ベース306および固定ベース310に支持された状態が示されている。
【0049】
なお、以下では、XYZ軸により方向を規定する他、便宜上、平面視において、駆動部300の中心に近い方を内側とし、駆動部300の中心から離れた方を外側として構成の説明を行う。
【0050】
図5(a)、(b)に示すように、スクリーン301は、スクリーンホルダ302により傾斜して保持された状態で支持部材303に設置されている。支持部材303は、4つのサスペンション304によって、Z軸方向に移動可能に、2つの支持ユニット305に支持されている。支持ユニット305は、支持ベース306に設置されている。こうして、スクリーン301は、スクリーンホルダ302、支持部材303、サスペンション304および支持ユニット305を介して、Z軸方向に移動可能に支持ベース306に支持されている。支持部材303およびサスペンション304の構成は、追って、図6(b)を参照して説明する。
【0051】
支持ベース306には、さらに、磁気回路307が設置されている。磁気回路307は、支持部材303に装着されたコイル(図5(a)、(b)には図示せず)に磁界を付与するためのものである。コイルに駆動信号(電流)を印加することにより、コイルにZ軸方向の電磁力が励起され、コイルと共に支持部材303がZ軸方向に駆動される。これにより、スクリーン301が、Z軸方向に移動する。磁気回路307の構成は、追って、図6(a)を参照して説明する。
【0052】
磁気回路307の上面に、カバー308が載せられる。カバー308は、磁性材料からなっており、磁気回路307のヨークとして機能する。磁気回路307の上面にカバー308が載せられると、カバー308が磁気回路307に吸着される。これにより、カバー308が駆動部300に設置される。
【0053】
支持ベース306は、ダンパーユニット309を介して、固定ベース310に設置されている。支持ベース306の中央には、レーザ光を通すための図示しない開口が形成されている。ダンパーユニット309は、固定ベース310に対して支持ベース306をZ軸正方向に浮かせた状態で、支持ベース306を支持する。ダンパーユニット309は、支持部材303の駆動により生じた振動が支持ベース306から固定ベース310に伝搬する前に、振動を吸収する。
【0054】
固定ベース310には、さらに、位置検出ユニット400が設置されている。位置検出ユニット400は、支持部材303のX軸正側の側面に対向するエンコーダ410を備え、このエンコーダ410によって、支持部材303のZ軸方向の位置を検出する。エンコーダ410による支持部材303の位置検出方法については、追って、図6(b)~図7(c)を参照して説明する。
【0055】
図6(a)は、磁気回路307の構成を示す斜視図である。
【0056】
磁気回路307は、Y軸方向に並ぶように配置された2つのヨーク321を備える。X軸方向に見たときの2つのヨーク321の形状はU字状である。2つのヨーク321は、それぞれ、内側の壁部321bが2つに分かれている。各ヨーク321の外側の壁部321aの内側に磁石322が設置される。また、各ヨーク321の内側の2つの壁部321bの外側に、それぞれ、磁石322に対向するように磁石323が設置される。互いに対向する磁石322と磁石323との間には、後述するコイルが挿入される隙間が生じている。
【0057】
さらに、磁気回路307は、X軸方向に並ぶように配置された2つのヨーク324を備える。Y軸方向に見たときの2つのヨーク324の形状はU字状である。2つのヨーク324は、それぞれ、外側の壁部324aが2つに分かれており、内側の壁部324bも2つに分かれている。各ヨーク324の外側の2つの壁部324aの内側にそれぞれ磁石325が設置される。また、各ヨーク324の内側の2つの壁部324bの外側に、それぞれ、磁石325に対向するように磁石326が設置される。互いに対向する磁石325と磁石326との間には、後述するコイルが挿入される隙間が生じている。磁石326のY軸方向の端部は、隣り合うヨーク321の内側の壁部321bの側面に重なっている。
【0058】
ヨーク321、324の下面に形成された孔に、支持ベース306の上面に形成された複数のボスが嵌まり込むようにして、ヨーク321、324が支持ベース306の上面に設置される。これにより、磁気回路307が、支持ベース306の上面に設置される。
【0059】
図6(b)は、支持部材303とサスペンション304とを組み立てた状態の構成を示す斜視図である。ここでは、スクリーンホルダ302の上面(Z軸正側の面)から遮光部材が取り外された状態が示されている。
【0060】
支持部材303は、枠状の形状を有する。支持部材303は、樹脂等の非磁性材料により形成されている。支持部材303は、それぞれ平面視において略長方形の内枠部303aと外枠部303bとを備える。平面視において内枠部303aの中心と外枠部303bの中心が互いに一致するように、4つの梁部303cによって、内枠部303aと外枠部303bが連結されている。内枠部303aは、外枠部303bに対して上方(Z軸正方向)にシフトした位置に持ち上げられている。
【0061】
内枠部303aの上面に、スクリーン301を支持したスクリーンホルダ302が設置される。また、外枠部303bの下面に、コイル331が装着される。コイル331は、外枠部303bの下面に沿うように、長方形の角が丸められた形状に周回している。
【0062】
外枠部303bの四隅に、放射状に延びる連結部303dが形成されている。これら連結部303dは、上端および下端にそれぞれ鍔部を有する。連結部303dの上側の鍔部の上面に上側のサスペンション304の端部が固定具303eにより固着される。また、連結部303dの下側の鍔部の下面に下側のサスペンション304の端部が固定具303eにより固着される。こうして、サスペンション304が、支持部材303に装着される。
【0063】
サスペンション304は、薄板状の部材であり、可撓性のある金属材料で一体形成されている。サスペンション304の形状は、X軸方向に対称である。サスペンション304は、X軸方向の中央位置に、サスペンション304を支持ユニット305に装着するための3つの孔304aを有する。また、サスペンション304は、3つの孔304aの両側に、クランク形状の伸縮構造304bを有する。
【0064】
さらに、支持部材303は、Y軸方向に隣り合う連結部303dを繋ぐ橋部303fを備える。橋部303fは、Y軸方向の両端を除く部分がY軸方向に平行に延びており、この部分の中央に、Y-Z平面に平行な設置面を有する。この設置面に、スケール332が設置される。この状態で、Y軸正側の2つのサスペンション304と、Y軸負側の2つのサスペンション304が、それぞれ、図5(b)に示すように、支持ユニット305に装着される。このとき、外枠部303bの下面に装着されたコイル331が、図6(a)に示した磁気回路307の互いに対向する磁石間の隙間に挿入される。また、支持部材303のX軸正側の橋部303fに設置されたスケール332が、位置検出ユニット400のエンコーダ410に対向する。エンコーダ410の構成については、追って図7(a)、(b)を参照して説明する。
【0065】
なお、磁気回路307の磁石322、323、325、326は、コイル331に駆動信号(電流)が印加されることによりコイルにZ軸方向に平行な一方向の駆動力が生じるように、磁極が調整されている。
【0066】
位置検出ユニット400のエンコーダ410は、スケール332に光を照射するとともに、スケール332からの反射光を受光する光学センサを備え、この光学センサによってZ軸方向におけるスケール332の移動を光学的に検出する。エンコーダ410からの検出信号に基づいて、支持部材303およびスクリーン301のZ軸方向の位置が検出される。これにより、スクリーン301の駆動が制御される。
【0067】
図7(a)は、エンコーダ410およびスケール332をY軸負方向に見た場合の模式図である。図7(b)は、センサ412a~412cおよびスケール332をX軸負方向に見た場合の模式図である。
【0068】
図7(a)に示すように、エンコーダ410は、発光部411とセンサ412a、412b、412cを備える。発光部411は、スケール332に向けて光を出射する。発光部411から出射された光は、スケール332によって反射される。スケール332は、スクリーン301が駆動されることにより、Z軸方向に移動するため、発光部411から出射された光は、スケール332のX軸正側の面を走査する。
【0069】
図7(b)に示すように、スケール332は、板状部材332aと反射部332b、332cを備える。板状部材332aは、光を透過する部材、たとえばガラスにより構成される。反射部332b、332cは、たとえば、光を反射する膜により構成される。反射部332bは、板状部材332aのX軸正側の面において、Z軸方向において等間隔に並ぶよう複数設けられている。反射部332cは、板状部材332aのX軸正側の面において、反射部332bの配置領域のZ軸方向の中央位置に1つだけ設けられている。反射部332b、332cは、Y軸方向において隣り合うように配置されている。
【0070】
発光部411から出射された光は、板状部材332aのX軸正側の面において、照射領域413に照射される。照射領域413に照射された光のうち、照射領域413a、413b、413cにおいて反射された光は、それぞれ、センサ412a、412b、412cにより受光される。すなわち、照射領域413aが反射部332bに重なると、センサ412aが光を検出し、照射領域413bが反射部332bに重なると、センサ412bが光を検出し、照射領域413cが反射部332cに重なると、センサ412cが光を検出する。センサ412a~412cは、受光量に応じた信号を出力する。
【0071】
ここで、照射領域413aの位置と照射領域413b位置は、Z軸方向に僅かにずれている。このため、スケール332がZ軸方向に移動する際に、センサ412a、412bにより受光される光の位相は、互いに異なる。したがって、センサ412a、412bの検出信号によれば、スケール332がZ軸正方向とZ軸負方向のいずれの方向い動いているのかを判断できる。また、センサ412cの検出信号によれば、照射領域413cが反射部332cに重なったかを判断できる。照射領域413cが反射部332cに重なると、スクリーン301がZ軸方向の駆動範囲の中心(原点位置)に位置付けられるよう、スケール332が橋部303fの設置面に設置されている。
【0072】
図7(c)は、エンコーダ410の検出信号と、エンコーダ410の検出信号に基づいて生成される逓倍化信号とを模式的に示す図である。
【0073】
図7(c)に示すように、センサ412a、412bの検出信号の位相は、互いにずれている。センサ412a、412bの検出信号が、後述する逓倍回路221により逓倍化されることにより、パルス状の逓倍化信号が生成される。そして、後述するカウンタ222は、センサ412aの逓倍化信号が立ち上がるタイミングにおいて、センサ412bの逓倍化信号がハイであれば、スケール332(スクリーン301)がZ軸正方向に移動していると判定し、センサ412aの逓倍化信号が立ち上がるタイミングにおいて、センサ412bの逓倍化信号がローであれば、スケール332(スクリーン301)がZ軸負方向に移動していると判定する。
【0074】
一方、センサ412cの検出信号は、スクリーン301が原点位置に位置付けられたときに立ち上がる。センサ412cの検出信号も、後述する逓倍回路221により逓倍化されることにより、パルス状の逓倍化信号が生成される。したがって、センサ412cの逓倍化信号によって、スケール332(スクリーン301)の原点位置が検出され得る。センサ412cの逓倍化信号を用いた処理については、追って図16(a)、(b)を参照して説明する。
【0075】
次に、発明者らが行ったスクリーン301のサーボ制御に関する実験について説明する。
【0076】
図8は、比較例1の回路構成を示す模式図である。図8には、図2の画像処理回路201に含まれる回路の他、レーザ駆動回路202、ミラー駆動回路203、スクリーン駆動回路204および位置検出回路205が示されている。
【0077】
図8に示すように、比較例1では、画像処理回路201(図2参照)が、目標波形生成回路211と、差動回路212と、フィルタ213と、レーザ駆動信号生成回路214と、ミラー駆動信号生成回路215と、を備えている。
【0078】
目標波形生成回路211は、スクリーン301を目標位置に沿って駆動させるための目標波形を生成する。差動回路212は、目標波形生成回路211から出力される目標波形の信号と位置検出回路205から出力される駆動波形の信号との差分に応じた信号を出力する。フィルタ213は、差動回路212から出力された信号からノイズ成分を除去する。スクリーン駆動回路204は、フィルタ213から出力された信号に基づいて、駆動部300を駆動する。
【0079】
レーザ駆動信号生成回路214は、レーザ駆動回路202を駆動するための信号を映像信号に基づいて生成する。レーザ駆動信号生成回路214は、生成した駆動信号を、目標波形生成回路211から出力される目標波形に同期させて、レーザ駆動回路202に出力する。ミラー駆動信号生成回路215は、目標波形生成回路211から出力される目標波形に同期させて、ミラー駆動回路203を駆動するための信号をミラー駆動回路203に出力する。
【0080】
位置検出回路205は、図7(a)に示したエンコーダ410の他、逓倍回路221と、カウンタ222と、を備える。
【0081】
エンコーダ410は、上記のように、スクリーン301の動きに応じて移動するスケール332に光を照射し、センサ412a~412cの検出信号を出力する。逓倍回路221は、センサ412a~412cの検出信号を逓倍化し、各検出信号の逓倍化信号を出力する。カウンタ222は、逓倍化信号を計数し、計数結果をスクリーン301の実際の駆動位置を示す信号として、差動回路212に出力する。カウンタ222から経時的に出力される信号により、スクリーン301の駆動波形が構成される。この駆動波形が差動回路212に入力されることにより、スクリーン301のサーボ制御が行われる。比較例1では、差動回路212、フィルタ213、スクリーン駆動回路204および位置検出回路205によって、サーボ回路230が構成される。
【0082】
図9(a)は、図8に示した比較例1の回路によりスクリーン301を駆動した場合における、スクリーン301の目標波形とスクリーン301の実際の駆動波形との関係を示すグラフである。図9(a)において、縦軸はスクリーン301の位置を示しており、横軸は時間を示している。
【0083】
スクリーン301の目標波形は、図8に示す目標波形生成回路211から出力されたものである。スクリーン301の駆動波形は、図8に示すサーボ回路230によってサーボ制御が行われている状態において、カウンタ222から出力されたものである。図9(a)に示すように、比較例1では、目標波形に対して、スクリーン301の駆動波形がずれている。具体的には、駆動波形の振幅は目標波形の振幅に比べて小さく、駆動波形は目標波形よりも遅れている。
【0084】
図9(b)は、比較例1におけるサーボ残差を示すグラフである。図9(b)に示すサーボ残差は、図9(a)において目標波形から駆動波形を減じた値である。サーボ残差が大きいほど、スクリーン301の位置が目標位置に対して大きくずれていることになる。
【0085】
図9(a)に示すように、比較例1では、スクリーン301の実際の駆動波形が目標波形に対して時間軸方向にずれるため、スクリーン301の移動が画像の出力(レーザ光の出力、レーザ光の走査)に対して遅れた状態となる。このため、画像の視距離が正しい視距離からずれることが起こり得る。
【0086】
また、図9(b)に示すように、比較例1では、大きなサーボ残差が生じるため、スクリーン301の駆動位置が目標位置に対して大きくずれてしまう。このため、画像を適正な視距離の位置に表示することができない。
【0087】
図10は、比較例2の回路構成を示す模式図である。
【0088】
比較例2では、図8の比較例1の回路構成に、振幅補正回路216が追加されている。
【0089】
振幅補正回路216は、サーボ回路230によるスクリーン301の初動制御において、目標波形生成回路211から出力された目標波形と、位置検出回路205から出力される駆動波形とを比較し、目標波形の振幅と駆動波形の振幅との差分を検出する。そして、目標波形生成回路211は、初動制御から通常のサーボ制御に移行する際に、この差分が解消されるように、スクリーン駆動回路204に対して、駆動信号の増幅率を設定する。
【0090】
図11(a)は、図10に示した比較例2の回路によりスクリーン301を駆動した場合における、スクリーン301の目標波形とスクリーン301の実際の駆動波形との関係を示すグラフである。
【0091】
図11(a)には、通常のサーボ制御への移行に伴い、振幅補正回路216によってスクリーン駆動回路204における駆動信号の増幅率が調整された後の駆動波形が目標波形とともに示されている。
【0092】
図11(a)に示すように、比較例2では、振幅補正回路216の作用により、駆動波形の振幅が目標波形の振幅にほぼ一致している。しかしながら、駆動波形は、比較例1と同様、目標波形に対して時間軸方向にずれている。具体的には、駆動波形が目標波形よりも遅れた状態となっている。このため、比較例2においても、画像の視距離が正しい視距離からずれることが起こり得る。
【0093】
図11(b)は、比較例2におけるサーボ残差を示すグラフである。図11(b)に示すように、比較例2においても、比較例1と同様、大きなサーボ残差が生じている。このため、比較例2においても、比較例1と同様、画像を適正な視距離の位置に表示することができない。
【0094】
図12は、実施形態1の回路構成を示す模式図である。
【0095】
実施形態1では、図10の比較例2の回路構成に、位相補正回路217が追加されている。
【0096】
位相補正回路217は、サーボ回路230によるスクリーン301の初動制御において、目標波形生成回路211から出力された目標波形と、位置検出回路205から出力される駆動波形とを比較し、目標波形と駆動波形との間の時間ずれ(時間差)を検出する。ここで、時間ずれ(時間差)は、たとえば、原点位置における目標波形と駆動波形との時間差によって検出される。
【0097】
そして、位相補正回路217は、初動制御から通常のサーボ制御に移行する際に、この時間ずれが解消されるように、目標波形生成回路211から入力される目標波形を遅延させる。すなわち、位相補正回路217は、目標波形生成回路211によって生成された目標波形の位相を所定時間だけ遅らせるディレイ回路である。
【0098】
実施形態1では、初動制御から通常のサーボ制御に移行する際に、位相補正回路217で位相が遅らされた目標波形が、差動回路212に入力され、スクリーン301のサーボ制御が行われる。また、位相補正回路217でずらされる位相は、初動制御の際に検出された、目標波形生成回路211から出力された目標波形の位相と、カウンタ222から出力された駆動波形の位相との時間ずれに基づいて設定される。これにより、通常のサーボ制御への移行に伴い、スクリーン301の駆動が、目標波形に時間ずれなく追従する。
【0099】
また、実施形態1では、位相補正回路217を経た後の目標波形がレーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215に入力される。したがって、レーザ駆動信号およびミラー駆動信号は、位相補正回路217を経た後の目標波形に同期するように生成される。
【0100】
図13(a)は、図12に示した実施形態1の回路によりスクリーン301を駆動した場合における、スクリーン301の目標波形とスクリーン301の実際の駆動波形との関係を示すグラフである。また、図13(b)は、図13(a)の目標波形および駆動波形におけるサーボ残差を示すグラフである。
【0101】
図13(a)には、通常のサーボ制御への移行に伴い、振幅補正回路216によってスクリーン駆動回路204における駆動信号の増幅率が調整され、さらに、位相補正回路217によって目標波形の移動が調整された後の駆動波形および目標波形が示されている。
【0102】
図13(a)に示すように、実施形態1では、駆動波形と目標波形とが時間軸方向に略ずれることなく互いに一致している。また、図13(b)に示すように、実施形態1では、比較例1、2と比較してサーボ残差が顕著に抑制されている。このように時間軸方向のずれが解消され、且つ、サーボ残差が抑制されると、スクリーン301の駆動位置が目標位置に対してほぼ一致するとともに、スクリーン301の駆動と画像の出力の同期が維持される。このため、実施形態1では、適正な視距離で画像を表示できる。
【0103】
ここで、実施形態1の回路における、スクリーン301と画像の同期制御について、比較例2と比較して説明する。
【0104】
図14(a)は、比較例2における目標波形、駆動波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。図14(b)は、実施形態1における目標波形、駆動波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。
【0105】
図14(a)に示すように、比較例2の場合、駆動波形の位相は目標波形の位相に比べてΔTだけ遅れている。これに対し、1フレーム分の画像の出力は、目標波形に同期して行われる。したがって、1フレーム分の画像の出力を開始させるタイミングを規定する画像表示開始信号は、目標波形に同期する。このため、比較例2では、画像の表示タイミングとスクリーン301の駆動タイミングとがΔTだけずれてしまい、画像30を適正な視距離の位置に表示できない。
【0106】
これに対し、図14(b)に示すように、実施形態1の場合、位相補正回路217により目標波形がΔTだけ遅らされることにより、駆動波形の位相が目標波形の位相に一致する。このとき、位相補正回路217によりΔTだけ遅らされた目標波形がレーザ駆動信号生成回路214とミラー駆動信号生成回路215に供給されるため、画像表示開始信号も比較例2に比べてΔTだけ遅れる。したがって、画像の表示タイミングとスクリーン301の駆動タイミングとが一致し、これにより、画像30を適正な視距離の位置に表示できる。
【0107】
図15は、実施形態1のサーボ制御を示すフローチャートである。
【0108】
画像30の表示が開始されると、振幅補正回路216および位相補正回路217において、それぞれ、目標波形と駆動波形との間の振幅差および時間差を取得するために、サーボ回路230の初動制御が実行される(S11)。ここでは、振幅補正回路216は、スクリーン駆動回路204の増幅率を変化させず、また、位相補正回路217は、目標波形生成回路211から出力される目標波形の位相をずらさない。
【0109】
こうして初動制御が開始されてから所定時間が経過すると(S12:YES)、振幅補正回路216は、目標波形生成回路211から出力された目標波形と、カウンタ222から出力された駆動波形との間の振幅ずれΔAを取得する(S13)。また、これと並行して、位相補正回路217は、目標波形生成回路211から出力された目標波形と、カウンタ222から出力された駆動波形との間の時間ずれΔTを取得する(S14)。
【0110】
その後、サーボ回路230が通常のサーボ制御に移行する(S15)。これに伴い、振幅補正回路216は、振幅ずれΔAが解消されるように、スクリーン駆動回路204の増幅率を設定する(S16)。そして、位相補正回路217は、目標波形の位相を時間ずれΔTだけ遅らせる(S17)。こうして、位相が遅らされた目標波形がサーボ回路230に供給され、スクリーン301の駆動が時間補正後の目標波形に時間ずれなく追従する。また、時間補正後の目標波形がレーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215に入力される。
【0111】
こうして、補正後の目標波形と駆動波形とがほぼ一致した状態でサーボ回路230によるサーボが行われる。また、図14(b)を参照して説明したように、画像表示開始信号とスクリーン301の駆動とが同期する。これにより、画像30を適正な視距離の位置に表示できる。
【0112】
次に、カウンタ222のリセット処理について説明する。
【0113】
図16(a)は、センサ412cの逓倍化信号がオンになるタイミングの前後を模式的に示すグラフである。
【0114】
時刻T1~T3において、センサ412aの逓倍化信号が立ち上がるタイミングで、センサ412bの逓倍化信号が立ち上がっているため、カウンタ222は、センサ412aの逓倍化信号が立ち上がるごとにカウント値を増加させている。そして、時刻T3において、センサ412cの逓倍化信号が立ち上がると、すなわちスクリーン301が原点位置に到達すると、カウンタ222は、リセットされて、カンウト値を0に設定する。このように、カウンタ222がリセットされると、スクリーン301が原点位置に位置付けられたときにカウント値が0となるため、スクリーン301の位置を適正に把握できるようになる。
【0115】
図16(b)は、駆動波形とセンサ412cの逓倍化信号との関係を模式的に示すグラフである。
【0116】
カウンタ222のリセットが行われない場合、スクリーン301の駆動に伴い、カウント値に誤差が累積し、たとえば、図16(b)の長鎖線の駆動波形に示すように、駆動波形にオフセットが生じる。この場合、駆動波形がオフセットした状態でサーボ回路230によるサーボ動作が実行されるため、スクリーン301は、オフセットした状態で往復移動を繰り返す。このため、画像30を適正な視距離の位置に表示できなくなる。
【0117】
これに対し、センサ412cの逓倍化信号が立ち上がるタイミングでカウンタ222がリセットされると、図16(b)の実線の駆動波形に示すように、駆動波形のオフセットが解消され、カウンタ222が生成する駆動波形が適正な状態に維持される。したがって、カウンタ222が生成する駆動波形に基づいて、画像30を適正な視距離の位置に表示できる。
【0118】
<実施形態の効果>
上記実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0119】
図9(a)の比較例1および図11(a)の比較例2に示したように、一般的にスクリーン301のサーボ制御においては、スクリーン301を駆動するための駆動部の応答性が低いことに起因して、スクリーン301の実際の駆動波形が目標波形に対して遅れて追従することになる。これに対し、本実施形態によれば、図12に示した回路構成によって、スクリーン301の移動タイミングとスクリーン301に対する画像の形成タイミングとの間の時間ずれが補正されるため、スクリーン301の移動に画像の形成が同期するようになる。よって、適正な視距離の位置に画像を表示することができる。
【0120】
具体的には、サーボ回路230が初動制御から通常制御に移行する際に、位相補正回路217(補正回路)によって、目標波形の位相が駆動部300によるスクリーン301の駆動波形の位相に近付けられる。このため、サーボ動作後に補正後の目標波形がサーボ回路230に供給されると、補正後の目標波形に駆動波形が同期するようサーボが働くようになる。これにより、スクリーン301を目標波形に遅れなく追従させることができ、目標波形と駆動波形との間のずれ、すなわちサーボ残差を抑制できる。よって、適正な視距離で画像を表示させることができる。
【0121】
また、位相補正後の目標波形がレーザ駆動信号生成回路214(駆動信号生成部)に供給されて、レーザ駆動信号生成回路214により生成されるレーザ駆動信号が補正後の目標波形の位相に同期する。これにより、光源101の駆動がスクリーン301の駆動に同期するようになるため、適正な視距離で画像を表示させることができる。
【0122】
図15に示したように、位相補正回路217は、サーボ回路230の初動制御の開始から所定時間が経過した後に、目標波形を遅延させる補正を行って、サーボ回路230に対する補正後の目標波形の供給を開始する。こうすると、目標波形の位相と駆動波形の位相とがほぼ一致するようにサーボが働くことになる。したがって、スクリーン301のサーボ制御を安定して行うことができる。
【0123】
図9(a)の比較例1に示したように、一般的にスクリーン301のサーボ制御においては、駆動波形の振幅が目標波形の振幅に比べて小さくなる。これに対し、本実施形態では、サーボ回路230が初動制御から通常制御に移行する際に、振幅補正回路216によって駆動波形が目標波形の振幅に近づくように増幅される。これにより、目標波形と駆動波形との振幅の差分、すなわちサーボ残差を抑制できる。よって、適正な視距離で画像を表示させることができる。また、振幅補正回路216とともに位相補正回路217が設けられているため、目標波形の増幅レベルを低く抑えることができる。これにより、スクリーン301が発振状態になることを抑制して、安定的にサーボ制御を行うことができる。
【0124】
位相補正回路217は、補正前の目標波形と駆動波形との時間ずれΔTを検出し、検出した時間ずれΔTに基づいて、目標波形の位相を駆動波形の位相に近付ける。これにより、画像表示装置20の設置環境や動作環境等にかかわらず、目標波形の位相を駆動波形の位相にほぼ一致させることができ、適正な視距離で画像を表示させることができる。
【0125】
図16(b)の長鎖線に示したように、一般的に、スクリーン301の駆動が継続して行われると、カウンタ222により生成される駆動波形と、スクリーン301の実際の駆動波形との間にオフセットが生じる。これに対し、本実施形態では、図16(a)に示したように、スクリーン301が原点位置に位置付けられたときにカウンタ222がリセットされるため、カウンタ222により生成される駆動波形のオフセットを抑制できる。よって、適正な視距離で画像を表示させることができる。
【0126】
<実施形態2>
実施形態2では、サーボ回路230に供給される目標波形は遅延されず、レーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215に供給される目標波形が、駆動波形との時間ずれを抑制するように遅延される。
【0127】
図17は、実施形態2の回路構成を示す模式図である。
【0128】
実施形態2の回路構成は、図12に示した実施形態1の回路構成と比較して、位相補正回路217の回路配置が異なっている。実施形態2では、目標波形生成回路211と差動回路212とが直接接続され、位相補正回路217は、目標波形生成回路211とレーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215との間に配置されている。実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0129】
実施形態2では、上記のように、目標波形生成回路211から直接、目標波形がサーボ回路230に入力されるため、上記比較例2と同様、駆動波形の振幅は目標波形に略一致するものの、駆動波形の位相は、目標波形の位相に対して遅れた状態となる。
【0130】
位相補正回路217は、サーボ回路230の初動制御の際に、目標波形生成回路211から出力される目標波形と、カウンタ222から出力される駆動波形との時間ずれΔTを取得し、初動制御から通常制御に移行する際に、時間ずれΔTだけ目標波形の位相をずらす。したがって、位相補正回路217からレーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215に入力される目標波形は、目標波形生成回路211が出力する目標波形の位相に対してΔTだけずれることになる。
【0131】
実施形態2では、レーザ駆動信号生成回路214は、位相補正回路217から出力された補正後の目標波形に同期してレーザ駆動回路202を駆動し、ミラー駆動信号生成回路215は、位相補正回路217から出力された補正後の目標波形に同期してミラー駆動回路203を駆動する。これにより、スクリーン301の駆動と、光源101およびミラー106aの駆動とが同期することになる。
【0132】
図18は、スクリーン301の目標波形、スクリーン301の実際の駆動波形、位相補正回路217による位相補正後の目標波形、および画像表示開始信号を模式的に示すグラフである。
【0133】
図18に示すように、駆動波形の位相は目標波形の位相に比べてΔTだけ遅れている。しかしながら、位相補正回路217によって目標波形の位相がΔTだけ遅延するように補正され、補正された目標波形のタイミングに同期して、レーザ駆動信号生成回路214およびミラー駆動信号生成回路215により画像表示開始信号が生成され、各フレームの画像出力が行われる。したがって、実施形態2においても、光源101の駆動がスクリーン301の駆動に同期するため、適正な視距離で画像30を表示させることができる。
【0134】
<実施形態3>
実施形態3では、レーザレーダ500が乗用車1の前側に搭載され、乗用車1の前方にラインビームB10が投射される。
【0135】
図19(a)は、レーザレーダ500の光学系および回路部の構成を示す図である。図19(b)は、投射光学系510の構成を示す斜視図である。図19(a)、(b)には、説明の便宜上、互いに直交するX、Y、Z軸が新たに付されている。これらX、Y、Z軸の方向は、上記実施形態1、2で用いたX、Y、Z軸の方向とは一致しない。
【0136】
レーザレーダ500は、光学系の構成として、投射光学系510と受光光学系520を備える。投射光学系510は、一方向(X軸方向)に長いラインビームB10を生成する。また、投射光学系510は、生成したラインビームB10をその短辺方向(Y軸方向)に走査させる。受光光学系520は、投射光学系510から投射されたレーザ光の物体からの反射光を受光する。
【0137】
投射光学系510は、発光ユニット511と、ファスト軸シリンドリカルレンズ512と、スロー軸シリンドリカルレンズ513と、光偏向器514と、を備える。また、受光光学系520は、受光レンズ521と受光素子522を備える。
【0138】
発光ユニット511は、複数のレーザ光源511aが集積されて構成される。レーザ光源511aは、所定波長のレーザ光を出射する。実施形態3では、レーザレーダ500が車両に搭載されることが想定されている。このため、各レーザ光源511aの出射波長は、赤外の波長帯域(たとえば905nm)に設定される。
【0139】
レーザ光源511aは、活性層がN型クラッド層とP型クラッド層に挟まれた構造となっている。N型クラッド層とP型クラッド層に電圧が印加されることにより、活性層の発光領域からレーザ光が出射される。発光領域は、活性層に平行な方向の幅が、活性層に垂直な方向の幅よりも広くなっている。活性層に垂直な方向の軸はファスト軸と称され、活性層に平行な方向の軸はスロー軸と称される。発光領域から出射されたレーザ光は、スロー軸方向よりもファスト軸方向の広がり角が大きい。このため、発光領域から出射されたビームの形状は、ファスト軸方向に長い楕円形状となる。
【0140】
複数のレーザ光源511aは、それぞれ、スロー軸がX軸方向に平行となるように配置されている。また、複数のレーザ光源511aは、スロー軸に平行な方向(X軸方向)に並ぶように配置されている。発光ユニット511は、複数の発光領域がスロー軸方向に並ぶように形成された1つの半導体発光素子がベース511bに設置された構造となっている。ここで、当該半導体発光素子のうち、各発光領域からレーザ光を出射させる構造部分が、それぞれ、レーザ光源511aに対応する。
【0141】
ファスト軸シリンドリカルレンズ512は、発光ユニット511の各レーザ光源511aから出射されたレーザ光をファスト軸方向に収束させて、ファスト軸方向のレーザ光の広がりを略平行な状態に調整する。スロー軸シリンドリカルレンズ513は、発光ユニット511の各レーザ光源511aから出射されたレーザ光をスロー軸方向に収束させて、スロー軸方向のレーザ光の広がりを調整する。
【0142】
各レーザ光源511aから出射されたレーザ光は、スロー軸シリンドリカルレンズ513によってスロー軸方向に集光されて、光偏向器514のミラー514aに入射する。光偏向器514は、たとえば、圧電アクチュエータや静電アクチュエータ等を用いたMEMSミラーである。ミラー514aは、誘電体多層膜や金属膜等によって反射率が高められている。ミラー514aは、X軸に平行な回転軸R10について回動するように駆動される。また、光偏向器514には、ミラー514aの回動位置を検出するための位置検出部514b(図19(a)参照)が設けられている。
【0143】
各レーザ光源511aからのレーザ光の集まりによってビームが構成される。ビームは、スロー軸シリンドリカルレンズ513によってX軸方向のみに集光されるため、ミラー514aで反射された後のビームは、X軸方向のみに広がる。こうして、X軸方向に広がるラインビームB10が生成される。
【0144】
光偏向器514は、ミラー駆動回路533からの駆動信号によりミラー514aを駆動して、ミラー514aから反射したビームをY軸方向に走査させる。これにより、ラインビームB10が短手方向(Y軸方向)に走査される。
【0145】
目標領域から反射したラインビームB10の反射光は、受光レンズ521によって、受光素子522の受光面に集光される。受光素子522は、たとえば、縦横に画素がマトリクスイメージ状に配置されたイメージセンサである。ここで、受光面のX軸方向の画素位置は、目標領域におけるX軸方向の位置に対応する。また、受光面のY軸方向の画素位置は、目標領域におけるY軸方向の位置に対応する。したがって、受光信号が生じた画素の位置により、目標領域のX軸方向およびY軸方向のどの位置に物体が存在するかを検出できる。
【0146】
レーザレーダ500は、回路部の構成として、コントローラ531と、レーザ駆動回路532と、ミラー駆動回路533と、信号処理回路534と、を備える。
【0147】
コントローラ531は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を備え、予め設定されたプログラムに従って各部を制御する。レーザ駆動回路532は、コントローラ531からの制御に応じて発光ユニット511の各レーザ光源511aをパルス発光させる。
【0148】
ミラー駆動回路533は、コントローラ531からの制御に応じて光偏向器514を駆動する。光偏向器514は、ミラー514aを回転軸R10について回動させて、ラインビームB10の短辺方向にラインビームB10を走査させる。
【0149】
信号処理回路534は、受光素子522の各画素の受光信号をコントローラ531に出力する。上記のように、コントローラ531は、受光信号が生じた画素の位置により、目標領域のX軸方向のどの位置に物体が存在するかを検出する。また、コントローラ531は、発光ユニット511をパルス発光させたタイミングと、受光素子522が目標領域からの反射光を受光したタイミング、すなわち、受光素子522から受光信号を受信したタイミングとの時間差に基づいて、目標領域に存在する物体までの距離を取得する。
【0150】
こうして、コントローラ531は、発光ユニット511をパルス発光させつつ、光偏向器514によりラインビームB10を走査させることにより、目標領域における物体の有無を検出し、さらに、物体の位置および物体までの距離を計測する。これらの測定結果は、随時、乗用車1側の制御部に送信される。
【0151】
図20(a)は、光偏向器514の構成を示す斜視図である。光偏向器514は、電磁力を利用してミラー514aを駆動する構成となっている。ハウジング601には、電磁駆動のための構成部材が設置されている。図20(a)には、互いに直交するx、y、z軸が付されている。x軸方向は、ハウジング601の短辺方向であり、y軸方向は、ハウジング601の長辺方向であり、z軸方向は、ハウジング601の上面に垂直な方向である。x軸方向は、図19(a)、(b)のX軸方向に一致する。
【0152】
ハウジング601は、y軸方向に長い直方体形状を有し、剛性が高い金属材料からなっている。ハウジング601の上面には、平面視において長方形の凹部601aが形成されている。ハウジング601の上面に、枠状の板バネ602が設置される。板バネ602は、枠部602aと、支持部602bと、2つの梁部602cと、を有する。
【0153】
y軸方向の中間位置において、枠部602aからx軸方向に平行に延びるように、2つの梁部602cが形成され、これら梁部602cによって、枠部602aと支持部602bとが連結されている。支持部602bのy軸方向の中間位置において、2つの梁部602cが支持部602bに繋がっている。板バネ602は、可撓性の金属材料により一体形成されている。支持部602bの上面にミラー514aが接着剤等によって固定される。ミラー514aは、平面視において略円形である。2つの梁部602cを繋いだ軸が、ミラー514aの回転軸R10となる。
【0154】
コイル603は、長辺の中間位置が回転軸R10に一致するように、支持部602bの下面に設置される。コイル603は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル603のy軸正側およびy軸負側の部分をそれぞれy軸方向に挟むように、磁石604および磁石605の組が2つ配置される。磁石604と磁石605は、ヨーク606に設置され、ヨーク606が、ハウジング601の凹部601aの底面に設置されている。磁石604、605は、磁極面における磁束密度が略均一の永久磁石である。
【0155】
y軸正側の磁石604、605によって生じる磁界の向きと、y軸負側の磁石604、605によって生じる磁界の向きは、同じである。たとえば、y軸正側の磁石604は、N極がコイル603に対向し、y軸負側の磁石604は、S極がコイル603に対向する。また、y軸正側の磁石605は、S極がコイル603に対向し、y軸負側の磁石605は、N極がコイル603に対向する。このように磁極(磁界の向き)を調整することにより、コイル603に駆動信号(電流)が印加されると、回転軸R10周りの駆動力がコイル603に励起される。これにより、ミラー514aが、回転軸R10を軸として回動する。
【0156】
実施形態3では、ミラー514aの駆動位置(回動位置)を検出するための位置検出部514b(図19(a)参照)が配置されている。位置検出部514bは、たとえば、支持部602bに設けられた磁石と、この磁石に対向するように設けられたホール素子とにより構成され得る。なお、位置検出部514bは、実施形態1のエンコーダ410と同様に、支持部602bに設けられたスケールに光を照射するとともに、スケールからの反射光を受光する光学センサにより構成されてもよい。ミラー514aの回動位置を検出可能な限りにおいて、位置検出部514bの構成は、適宜変更可能である。
【0157】
実施形態3では、回転軸R10についてミラー514aが一定周期で往復運動を行うように、光偏向器514が駆動される。また、ミラー514aが往路の範囲を回動する間に、複数回パルス発光されるように、各レーザ光源511aが駆動される。図19(a)に示すコントローラ531は、このように、ミラー514aの往路の範囲と、レーザ光源511aの駆動期間とが整合するように、レーザ駆動回路532とミラー駆動回路533とを制御する。
【0158】
このとき、コントローラ531は、ミラー514aの往復運動を規定する目標波形に基づいて、レーザ駆動回路532とミラー駆動回路533とを制御する。具体的には、コントローラ531は、上記実施形態1、2と同様、位置検出部514bから出力される検出信号の波形(ミラー514aの駆動波形)と目標波形とが整合するように、ミラー駆動回路533によるミラー514aの駆動にサーボを掛ける。また、コントローラ531は、目標波形におけるミラー514aの往路の範囲において、各レーザ光源511aから所定回数パルス発光がなされるように、レーザ駆動回路532を駆動する。
【0159】
この場合、上記実施形態1、2と同様、位置検出部514bにより検出されるミラー514aの駆動波形と、目標波形との間に、振幅ずれや時間ずれが起こり得る。
【0160】
図20(b)は、ミラー514aの駆動波形と目標波形との間に振幅ずれおよび時間ずれが生じた場合の各波形を模式的に示すグラフである。図20(b)において、上段、中段および下段のグラフは、それぞれ、目標波形、駆動波形およびレーザ光源511aのパルス発光信号を示している。
【0161】
図20(b)に示すように、目標波形の往路t10の範囲において、レーザ光源511aが所定回数パルス駆動されてパルス発光がなされる。ここで、図20(b)に示すように、ミラー514aの駆動波形と、目標波形との間に、時間ずれΔTが生じると、ミラー514aの実際の往路の駆動範囲と、レーザ光源511aのパルス発光の期間との間に、時間ずれΔTが生じる。このため、物体検出を行うべき範囲に適正にラインビームB10が投射されなくなる。また、ミラー514aの駆動波形と、目標波形との間に、振幅ずれが生じると、ミラー514aの実際の回動範囲と、予め決められた回動範囲との間にずれが生じる。このため、物体検出を行うべき範囲に適正にラインビームB10が投射されなくなる。
【0162】
このような問題は、コントローラ531に、上記実施形態1、2と同様の構成を適用することにより解消され得る。この場合、たとえば、図12に示した実施形態1と同様の回路構成が適用され得る。実施形態3では、図12の回路と比較して、ミラー駆動信号生成回路215とミラー駆動回路203が省略される。また、レーザ駆動回路202がレーザ駆動回路532に置き換えられ、スクリーン駆動回路204がミラー駆動回路533に置き換えられる。さらに、位置検出回路205は、位置検出部514bを含む構成に変更される。目標波形生成回路211により、ミラー514aの目標波形が生成され、生成された目標波形と、ミラー514aの駆動波形とが比較されて、サーボ回路230により、ミラー514aのサーボ制御が行われる。
【0163】
この構成により、上記実施形態1と同様、図15の制御が行われる。これにより、駆動波形の振幅が目標波形の振幅に整合するように補正される。よって、ミラー514aの回動範囲が適正化される。また、ミラー514aの目標波形がΔTだけ遅らされることにより、ミラー514aの駆動波形の位相が目標波形の位相に一致する。このとき、ΔTだけ遅らされた目標波形が、レーザ駆動回路532を駆動するための信号を生成するレーザ駆動信号生成回路214に供給される。これにより、レーザ光源511aの複数回の駆動期間が、ミラー514aの往路t10の駆動範囲に整合する。こうして、ミラー514aの回動範囲が適正化され、且つ、レーザ光源511aの複数回の駆動期間とミラー514aの往路t10の駆動範囲とが整合することによって、ラインビームB10を目標領域に適正に照射することができる。
【0164】
なお、実施形態3においても、実施形態2と同様、レーザ光源511aの複数回の駆動期間をΔTだけ遅らせることにより、レーザ光源511aの複数回の駆動期間とミラー514aの往路t10の駆動範囲とを整合させてもよい。この制御によっても、ラインビームB10を目標領域に適正に照射することができる。
【0165】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態の他に、種々の変更が可能である。
【0166】
たとえば、上記実施形態では、位相補正回路217は、サーボ回路230の初動制御において、目標波形生成回路211から出力された目標波形と、位置検出回路205から出力された駆動波形との時間ずれΔTを検出して、目標波形の時間軸を補正したが、目標波形と駆動波形の時間ずれΔTは、必ずしも、サーボ制御を実行して検出しなくてもよく、たとえば、予め固定値として保持されていてもよい。たとえば、上記実施形態1、2において、それぞれ図21(a)、(b)に示すように、位相補正回路217は、記憶部218に記憶された固定の時間ずれΔTに基づいて、目標波形の位相をずらしてもよい。実施形態3においても、同様の変更が適用され得る。こうすると、簡素な構成で目標波形の位相を駆動波形に近付けることができる。
【0167】
なお、この場合のずれ量は、画像表示装置20およびレーザレーダ500の出荷前に、あらかじめ記憶部218に記憶される。たとえば、オペレータは、画像表示装置20およびレーザレーダ500の出荷前に、サーボ回路230を作動させて、目標波形生成回路211から出力される目標波形と位置検出回路205から出力される駆動波形とを参照して、両者の時間ずれΔTを測定し、測定した時間ずれΔTを記憶部218に記憶させる。
【0168】
また、上記実施形態では、本発明を乗用車1に搭載されるヘッドアップディスプレイおよびレーザレーダに適用した例を示したが、本発明は、車載用に限らず、他の種類の画像表示装置にも適用可能である。
【0169】
また、上記実施形態1、2の画像表示装置20および照射光生成部21の構成は、図1(c)および図2に記載された構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。また、スクリーン301を移動させる駆動部300の構成も、実施形態に示した構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。たとえば、圧電式や静電式の駆動部でスクリーン301を駆動する構成であってもよい。また、実施形態3のレーザレーダ500の構成は、図19(a)~図20(a)に記載された構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。本発明は、ヘッドアップディスプレイやレーザレーダ以外の光学部材の駆動装置にも、適宜、適用され得る。
【0170】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0171】
20 … 画像表示装置
22 … ミラー(光学系)
30 … 画像
101 … 光源
215 … レーザ駆動信号生成回路(駆動信号生成部)
216 … 振幅補正回路(振幅補正部、補正回路)
217 … 位相補正回路(位相補正部、補正回路)
218 … 記憶部(補正回路)
222 … カウンタ
230 … サーボ回路
300 … 駆動部
301 … スクリーン
410 … エンコーダ(位置検出部)
500 … レーザレーダ(駆動装置)
511 … 発光ユニット(光源)
514 … 光偏向器(駆動部)
514a … ミラー(光学部材)
514b … 位置検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21