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  • 特許-エッジ検出センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】エッジ検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
G01B11/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019068907
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165912
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石川 万貴人
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-058456(JP,A)
【文献】特開2011-053200(JP,A)
【文献】特開平06-219639(JP,A)
【文献】特開平4-353452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象を挟んで対向配置される投光部及び受光部と、
前記受光部の受光状態に基づいて前記検出対象のエッジ位置を検出する検出部と、
前記検出部で検出された所定期間における複数回のサンプリングで得られた複数の検出エッジ位置情報に基づき算出エッジ位置情報を算出する算出部と、
前記算出部で算出した前記算出エッジ位置情報を出力する出力部と、
前記検出部で検出された前記検出エッジ位置情報の内の最も新しい最新エッジ位置情報と前記算出部で算出した前記算出エッジ位置情報との差に基づいて前記検出対象の異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部において判定対象となった前記算出エッジ位置情報の直前の算出エッジ位置情報を保持用エッジ位置情報として記憶する記憶部と、
前記異常判定部で異常が判定された場合に、前記出力部による前記算出エッジ位置情報の出力を禁止するとともに、前記記憶部に記憶された前記保持用エッジ位置情報を前記出力部に出力させる出力制御部と、を備えるエッジ検出センサ。
【請求項2】
前記異常判定部は、前記最新エッジ位置情報及び前記算出エッジ位置情報の差分値と、予め設定される異常検出閾値とを比較して前記差分値が前記異常検出閾値を超えた場合に前記検出対象の異常と判定する、請求項1に記載のエッジ検出センサ。
【請求項3】
前記複数の検出エッジ位置情報の変化幅を設定可能な異常値設定部と、
前記異常値設定部で設定された変化幅に基づいて前記異常検出閾値を設定する閾値設定部とをさらに備える、請求項2に記載のエッジ検出センサ。
【請求項4】
前記異常判定部は、前記最新エッジ位置情報及び前記保持用エッジ位置情報の差分値が、予め前記異常検出閾値以下に設定された第1正常検出閾値以下である場合に異常の状態でなくなったと判定し、
前記出力制御部は、異常の状態でなくなったと判定された場合、前記出力部による前記算出エッジ位置情報の出力の禁止を解除して前記算出エッジ位置情報を前記出力部に出力させる、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出センサ。
【請求項5】
前記異常判定部は、前記最新エッジ位置情報及び前記保持用エッジ位置情報の差分値が、予め前記異常検出閾値以下に設定された第1正常検出閾値以下である場合に異常の状態でなくなったと判定し、
前記出力制御部は、異常の状態でなくなったと判定された場合に、予め設定されたホールド時間の間前記保持用エッジ位置情報を出力させた後、前記出力部による前記算出エッジ位置情報の出力の禁止を解除して前記算出エッジ位置情報を前記出力部に出力させる、請求項2又は請求項3に記載のエッジ検出センサ。
【請求項6】
前記ホールド時間を設定するホールド時間設定部を備える、請求項5に記載のエッジ検出センサ。
【請求項7】
前記第1正常検出閾値は前記異常検出閾値より小さい、請求項4~6の何れか1項に記載のエッジ検出センサ。
【請求項8】
前記算出部は、前記複数の検出エッジ位置情報からその中央値を算出し、その算出した中央値を前記算出エッジ位置情報とする、請求項1~の何れか1項に記載のエッジ検出センサ。
【請求項9】
前記算出部で中央値を算出する際の検出エッジ位置情報の情報数を設定するサンプリング数設定部を備える、請求項に記載のエッジ検出センサ。
【請求項10】
前記検出対象は、一方向に長い帯状ワークであり、
前記検出部は、前記帯状ワークのエッジ位置を連続的に検出する、請求項1~の何れか1項に記載のエッジ検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジ検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一方向に長い帯状ワークを長手方向に沿って移動させる際に、その帯状ワークのエッジ位置を検出するエッジ検出センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のエッジ検出センサは、長手方向に沿って移動される帯状ワークのエッジを検出し、その検出結果を外部機器に出力する。これにより、外部機器においてエッジ検出センサの検出結果に基づく帯状ワークのずれ量に応じた蛇行修正制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-334953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなエッジ検出センサで検出する帯状ワークとしてコンデンサや電池等に用いられる電極体のように、そのエッジ部分(辺部)に電極タブを突出形成したものもある。このような場合、エッジ検出センサでは電極タブを含んでエッジ位置検出を行うため、本来のエッジとは異なる部位である電極タブの先端を帯状ワークのエッジ位置として誤検出することになる。このため、例えばエッジ検出センサによって検出されたエッジ位置に基づいて帯状ワークの蛇行を修正制御する際に悪影響を与えることとなる。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、検出対象のエッジ位置の誤検出を低減できるエッジ検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するエッジ検出センサは、検出対象を挟んで対向配置される投光部及び受光部と、前記受光部の受光状態に基づいて前記検出対象のエッジ位置を検出する検出部と、前記検出部で検出された所定期間における複数の検出エッジ位置情報に基づき算出エッジ位置情報を算出する算出部と、前記算出部で算出した前記算出エッジ位置情報を出力する出力部と、前記検出部で検出された前記検出エッジ位置情報の内の最も新しい最新エッジ位置情報と前記算出部で算出した前記算出エッジ位置情報との差に基づいて前記検出対象の異常を判定する異常判定部と、前記異常判定部において判定対象となった前記算出エッジ位置情報の直前の算出エッジ位置情報を保持用エッジ位置情報として記憶する記憶部と、前記異常判定部で異常が判定された場合に、前記出力部による前記算出エッジ位置情報の出力を禁止するとともに、前記記憶部に記憶された前記保持用エッジ位置情報を前記出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
【0007】
上記態様によれば、所定期間の検出エッジ位置情報に基づいて算出した算出エッジ位置情報と現在の最新エッジ位置情報との差に基づいて異常を判定するため、タブ等によるエッジ位置の変化を直ちに判定することが可能となる。また、異常判定時には記憶される保持用エッジ位置情報を出力するため、出力されるエッジ位置の情報がタブ等による影響を抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、検出対象のエッジ位置の誤検出を低減できるエッジ検出センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態におけるエッジ検出センサのブロック図。
図2】同実施形態におけるエッジ検出センサの読み飛ばし制御を説明するフローチャート。
図3】同実施形態におけるエッジ検出センサの読み飛ばし制御を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、エッジ検出センサの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のエッジ検出センサ10は、例えば帯状ワークWのエッジの蛇行状態(ずれ)を検出するものである。なお、本実施形態の検出対象である帯状ワークWは、図示しない搬送部により帯状ワークWの長手方向に移動するものである。
【0011】
エッジ検出センサ10は、帯状ワークWを挟んで対向配置される投光部11及び受光部12と、投光部11及び受光部12を制御するコントローラ13と、を有する。また、エッジ検出センサ10は、コントローラ13における各種設定情報を入力可能な入力部14を有する。
【0012】
投光部11は、対向する受光部12に対して光を出力する。投光部11の光源としては特に限定されないが、一例としてLEDやレーザ光源などを採用することができる。
受光部12は、投光部11から出射された光に応じて帯状ワークWのエッジを検出するエッジ検出部12aを有する。エッジ検出部12aは、長手方向に移動される帯状ワークWのエッジを連続的に検出する。エッジ検出部12aで検出された検出エッジ位置情報SKをコントローラ13に出力する。
【0013】
エッジ検出部12aによるエッジの検出方法の一例として、光路中に物体が存在しない全光入力時における投光部11の出力(全受光量)と、前記光路中に物体が存在する場合の投光部11の出力との比から物体のエッジ位置を検出する光量方式や、物体のエッジにおける光のフレネル回折による光量分布パターンを解析して物体のエッジ位置を検出するフレネル回折方式を採用することができる。また、光量方式とフレネル回折方式とを併用してもよい。
【0014】
コントローラ13は、投光部11並びに受光部12と接続される。
本実施形態のコントローラ13は、その処理機能の1つとして、エッジ検出部12aにて検出された検出エッジ位置情報SKが予め設定された読み飛ばし条件を満たすとき、検出したエッジ位置を読み飛ばして、すなわちその出力を禁止するとともにその直前の出力値を保持して出力する読み飛ばし制御機能を有する。読み飛ばし条件は、例えば入力部14によりユーザが適宜設定可能である。入力部14では、読み飛ばし条件として「閾値」、「サンプル数」が設定可能で或る。閾値では、タブTであると判定するべく帯状ワークWのタブTの高さ(延出方向長さ)に対する割合(パーセンテージ)を設定する。サンプル数では、後述するメディアンフィルタ22における精度(サンプリング数)を設定する。すなわち、本実施形態の入力部14は、サンプリング数設定部に相当する。
【0015】
エッジ検出部12aから出力される検出エッジ位置情報SKは、帯状ワークWのエッジ位置情報を検出エッジ位置情報SKとしてメディアンフィルタ22並びに差分判定部23に入力される。
【0016】
メディアンフィルタ22は、複数の検出エッジ位置情報SKから中央値を算出し、その算出した値を算出エッジ位置情報SCとして、記憶部24、出力部25及び差分判定部23に出力する。具体的には、メディアンフィルタ22はエッジ検出部12aから逐次入力される検出エッジ位置情報SKの内、所定のサンプリング数(所定期間)で中央値を算出する。また、新しい検出エッジ位置情報SKが入力された場合に中央値を算出する対象の検出エッジ位置情報SKをずらして新たな中央値(算出エッジ位置情報SC)を算出する。より詳しくは、新しい検出エッジ位置情報SKがメディアンフィルタ22に入力された場合、メディアンフィルタ22は最も古い検出エッジ位置情報SKを除外した上で新しい検出エッジ位置情報SKを含む複数の検出エッジ位置情報SKから新たな中央値である算出エッジ位置情報SCを算出する。なお、メディアンフィルタ22は算出部に相当する。算出部としてのメディアンフィルタ22により中央値(算出エッジ位置情報SC)を算出することで、帯状ワークWのエッジの蛇行で想定される値とは異なる値(ノイズ)が除去されることとなる。その結果、帯状ワークのばたつき等のノイズによる影響を抑えて算出エッジ位置情報SCを算出することができる。
【0017】
記憶部24は、メディアンフィルタ22から出力された算出エッジ位置情報SCを記憶する。記憶部24は複数の算出エッジ位置情報SCを記憶するようにしてもよい。このとき、記憶部24は、現在(最新)の算出エッジ位置情報SCの1つ前の算出エッジ位置情報SCを記憶する。この1つ前の算出エッジ位置情報SCを以下では保持用エッジ位置情報SHという。
【0018】
差分判定部23は、検出エッジ位置情報SKの内の最も新しい(現在の)最新エッジ位置情報SNと算出エッジ位置情報SCとの差分値Saを算出し、その差分値Saを比較判定部26に出力する。
【0019】
比較判定部26は、差分値Saと閾値T1とを比較する。ここで、閾値T1は、閾値設定部27において、入力部14により設定した「閾値」に基づいて設定される。ここで、閾値T1は、入力部14により設定した「閾値」そのものであってもよいし、入力部14により設定した「閾値」を予め決められた調整方法により調整した値であってもよい。
【0020】
比較判定部26は、差分値Saが閾値T1以下である場合、正常であると判定する。同様に、比較判定部26は、閾値T1よりも差分値Saの方が大きい場合、異常であると判定する。比較判定部26は、その判定結果を出力部25に出力する。
【0021】
出力部25は、出力制御部としての解除判定部28と接続される。解除判定部28は、比較判定部26における判定結果が正常である場合には、出力部25による算出エッジ位置情報SCを外部への出力を許可した状態となっている。解除判定部28は、比較判定部26の判定結果が異常である場合には、出力部25による算出エッジ位置情報SCの出力が禁止する。そして、解除判定部28は、記憶部24に記憶された保持用エッジ位置情報SHを出力部25から出力させる。保持用エッジ位置情報SHの出力部25から出力される期間は、異常状態であると判定されてから所定のホールド解除条件を満たして異常の状態でなくなった上で、ホールド時間経過する間の期間である。ホールド解除条件の一例として、最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値が、閾値T1以下、且つ、算出エッジ位置情報SCと保持用エッジ位置情報SHとの差分値が、閾値T1以下である場合とする。
【0022】
次に、差分値比較から正常状態及び異常状態における出力を判定する処理フローについて図2を用いて説明する。
図2に示すように、比較判定部26は、差分値Saと閾値T1とを比較する(ステップS10)。
【0023】
比較判定部26は、閾値T1が差分値Sa以下である場合(ステップS10:NO)、正常であると判定してその旨の信号を出力部25に出力する(ステップS11)。正常である旨の信号が出力部25に入力されると、解除判定部28の出力部25による算出エッジ位置情報SCを外部への出力が許可されているため、出力部25は算出エッジ位置情報SCを外部に出力する(ステップS12)。次いで、記憶部24は、出力部25から出力された算出エッジ位置情報SCを保持用エッジ位置情報SHとして記憶する(ステップS13)。
【0024】
比較判定部26は、閾値T1よりも差分値Saの方が大きい場合(ステップS10:YES)、異常である(タブTを検出した)と判定してその旨の信号を出力部25に出力する(ステップS14)。異常である旨の信号が出力部25に入力されると、解除判定部28は、出力部25による算出エッジ位置情報SCを外部への出力が禁止し、解除判定部28は出力部25から記憶部24に記憶された保持用エッジ位置情報SHを外部に出力する(ステップS15)。
【0025】
次いで、解除判定部28は、最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値Sa1が閾値T1以下であるか否かを判定する(ステップS16)。解除判定部28は、最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値Sa1が閾値T1を超えている場合(ステップS16:NO)、ステップS15から処理を繰り返す。解除判定部28は、最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値Sa1が閾値T1未満である場合(ステップS16:YES)、保持用エッジ位置情報SHを出力部25から出力する(ステップS17)。
【0026】
次いで、解除判定部28は、ホールド時間経過したか否かを判定する(ステップS18)。解除判定部28は、ホールド時間を経過するまで(ステップS18:NO)、ステップS17から繰り返す。解除判定部28は、ホールド時間を経過した場合に、出力部25による算出エッジ位置情報SCの出力の禁止を解除して算出エッジ位置情報SCを出力部25から出力させる(ステップS19)。次いで、記憶部24は、出力部25から出力された算出エッジ位置情報SCを保持用エッジ位置情報SHとして記憶する(ステップS20)。
【0027】
次に、帯状ワークWのエッジ検出における一連の制御フローについて図3を用いて説明する。図3では、受光部12から40回分の出力信号がコントローラ13に対して出力された場合におけるシミュレーション結果を示している。より詳しくは図3の上段に40回分の各値の表を示し、下段に前記表に対応するグラフを示している。なお、本例では、サンプリング数(フィルタ強度)並びにホールド時間が「8」に設定されており、タブ閾値及びタブ高さに基づき閾値T1が30に設定される。また、図3中、検出値が検出エッジ位置情報SKの値を示し、中央値が算出エッジ位置情報SCの値を示し、出力値が出力部25から出力される値を示している。なお、本例では全40回分の出力信号の内、回数「11」~「14」の範囲においてタブTが存在する。
【0028】
図3からわかるように始動時においては、検出エッジ位置情報SK(HV)のみが得られる。検出エッジ位置情報SKがサンプリング数と同じ分だけ得られると、メディアンフィルタ21により算出エッジ位置情報SCが得られる。換言すると、メディアンフィルタ21は、検出エッジ位置情報SKがサンプリング数だけ揃うと算出エッジ位置情報SCを算出することができる。また、メディアンフィルタ21は、前述したように、新しい検出エッジ位置情報SKがメディアンフィルタ22に入力された場合、最も古い検出エッジ位置情報SKを除外した上で新しい検出エッジ位置情報SKを含む複数の検出エッジ位置情報SKから新たな中央値である算出エッジ位置情報SCを算出するようになっている。この算出タイミングについて図3を用いて具体的に説明する。先ず、回数「1」~「8」における期間で得られた8つの検出エッジ位置情報SK(出力値)から算出エッジ位置情報SCを算出する。次いで、回数「9」においてメディアンフィルタ21に対して検出エッジ位置情報SK(検出値)が入力されると、最も古い回数「1」の検出エッジ位置情報SKを算出対象から除外し、回数「2」~「9」における期間で得られた8つの検出エッジ位置情報SK(出力値)から新たな算出エッジ位置情報SCを算出する。すなわち、或るタイミングTGで得られた算出エッジ位置情報SCの算出対象である複数の検出エッジ位置情報SKと、タイミングTGの1つ後で得られた算出エッジ位置情報SCの算出対象である複数の検出エッジ位置情報SKとはその一部が重複する。
【0029】
図3に示すように、タブTの存在する回数「11」において、最新エッジ位置情報SN及び算出エッジ位置情報SCの差分値Sa(=59)が閾値T1(=30)を超える。このとき、出力部25による算出エッジ位置情報SC(中央値)の出力が禁止され、出力部25から保持用エッジ位置情報SH(出力値=1)が出力される。また、タブTの存在する回数「12」~「14」においても同様に最新エッジ位置情報SN及び算出エッジ位置情報SCの差分値Saが閾値T1を超えるため、出力部25による算出エッジ位置情報SC(中央値)の出力が禁止され、出力部25から保持用エッジ位置情報SH(出力値=1)が出力される。
【0030】
図3において回数「19」において、最新エッジ位置情報SN及び算出エッジ位置情報SCの差分値Sa(=59)が閾値T1(=30)以下となる。このとき、最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値Sa1が、閾値T1以下であるため、ホールド解除条件を満たす。その後、ホールド時間の間、保持用エッジ位置情報SHが出力される。そして、ホールド時間経過後の回数「28」において正常の状態であるとして算出エッジ位置情報SC(現在の中央値)が出力される。
【0031】
本実施形態の効果を説明する。
(1)所定期間の検出エッジ位置情報SKに基づいて算出した算出エッジ位置情報SCと現在の最新エッジ位置情報SNとの差に基づいて異常を判定するため、タブTによるエッジ位置の変化を直ちに判定することが可能となる。また、異常判定時には記憶される保持用エッジ位置情報SHを出力するため、出力されるエッジ位置の情報がタブTによる影響を抑えることができる。
【0032】
(2)最新エッジ位置情報SN及び算出エッジ位置情報SCの差分値Saと予め設定される異常検出閾値としての閾値T1とを比較して、差分値Saが閾値T1を超えた場合に検出対象である帯状ワークWの異常と判定する。このように差分値Saと閾値T1との比較により異常を判定することができる。
【0033】
(3)エッジ位置情報の変化幅を設定可能な異常値設定部としての入力部14により、予めタブTの大きさが既知である場合にはその大きさを設定することで最適な閾値T1が設定されるので、確実なタブTの異常判定が行われ、タブTによるエッジ位置検出の誤検出を低減できる。
【0034】
(4)最新エッジ位置情報SN及び保持用エッジ位置情報SHの差分値Saが、閾値T1以下である場合、異常の状態から正常の状態に復帰させることができる。
(5)ホールド時間を入力部14により設定可能とすることで、ユーザの帯状ワークWやその他巻取機等の設備に合わせた設定が可能となる。
【0035】
(6)複数の検出エッジ位置情報SKの中央値を算出するため、タブTによるエッジ位置の変化開始点による影響を抑えることができ、算出エッジ位置情報SCとして出力される情報においてタブTによる影響を低減できる。
【0036】
(7)タブTの大きさや帯状ワークWの移動速度に応じたサンプリング数を設定可能とすることで、タブTによるエッジ位置の変化の影響がより少ない中央値(算出エッジ位置情報SC)の算出が可能となり、算出エッジ位置情報SCとして出力される情報においてタブTによる影響をより低減可能となる。
【0037】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0038】
・上記実施形態では、算出エッジ位置情報SCとして所定期間における複数の検出エッジ位置情報SKからメディアンフィルタ22を用いて算出した中央値を用いた方法を採用したが、これに限らない。例えば、所定期間における複数の検出エッジ位置情報SKの平均値を算出エッジ位置情報SCとして用いてもよい。また、所定期間における複数の検出エッジ位置情報SKの最頻値を算出エッジ位置情報SCとして用いてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、算出エッジ位置情報SCに用いる所定期間における検出エッジ位置情報SKのサンプリング数(フィルタ強度)を「8」としたがこれに限らない。サンプリング数を9以上又は7以下としてもよい。これらのサンプリング数はユーザが任意に選択できるものである。また、ホールド時間を「8」としたが同様に、ユーザによって任意に選択し、適宜変更されるものである。
【0040】
・上記実施形態では特に言及していないが、投光部11と受光部12とコントローラ13とをそれぞれ別の筐体に収容した別体構成や、投光部11と受光部12とコントローラ13の内の少なくとも2つ以上を同一の筐体に収容した一体構成を採用してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、異常判定閾値と第1正常判定閾値とを同一の閾値T1としたが、異常判定閾値と第1正常判定閾値とを別の値としてもよい。この場合、異常状態から正常状態に復帰する条件である第1正常判定閾値はいずれも異常判定閾値以下であることが好ましい。このとき、異常判定閾値に対して第1正常判定閾値を異常判定閾値よりも小さくした場合に、異常状態から正常状態への判定を厳しくすることができる。
【0042】
・上記実施形態では、受光部12にエッジ検出部12aを備えた構成を採用したが、エッジ検出部12aをコントローラ13に備えた構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、帯状ワークWのエッジに設けられるタブTを読み飛ばすこととしたが、例えば帯状ワークWのエッジから幅方向に窪んだ凹部を読み飛ばす場合であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…エッジ検出センサ、11…投光部、12…受光部、12a…エッジ検出部(検出部)、14…入力部(サンプリング数設定部、異常値設定部及びホールド時間設定部)、22…メディアンフィルタ(算出部)、24…記憶部、25…出力部、26…比較判定部(異常判定部)、27…閾値設定部、28…解除判定部(出力制御部)、Sa,Sa1…差分値、SC…算出エッジ位置情報、SH…保持用エッジ位置情報、SK…検出エッジ位置情報、SN…最新エッジ位置情報、T1…閾値(異常検出閾値、第1正常検出閾値、第2正常検出閾値)、W…帯状ワーク(検出対象)。
図1
図2
図3