(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230324BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20230324BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20230324BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20230324BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230324BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230324BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230324BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230324BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230324BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V3/02 400
F21V31/00 100
F21V31/00 300
F21V17/00 154
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21Y103:10
F21Y115:10 300
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019005488
(22)【出願日】2019-01-16
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 和広
(72)【発明者】
【氏名】増田 弘朝
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-282793(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02687773(EP,A1)
【文献】特開2012-142169(JP,A)
【文献】特開2013-089326(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0870867(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/02
F21V 31/00
F21V 17/00
F21V 19/00
F21Y 103/10
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基板及び前記基板の表面に実装された複数個の固体発光素子を有する光源モジュールと、
長尺の筒状に形成され、かつ、長手方向の端部のうちの少なくとも一方の端部が開放されているカバーと、
前記カバーの開放された前記端部を密封するシール部材と、
前記光源モジュールに給電するための口出し線と、
を備え、
前記光源モジュールは、前記カバーの長手方向に沿って移動可能に前記カバー内に収容され、
前記シール部材は、開放されている前記端部を密封した状態で前記基板の長手方向の端部と接触して
おり、
前記シール部材は、
前記口出し線が通される通路と、
前記口出し線の外径よりも小さい内径を有し、前記通路に通された前記口出し線を気密状態で支持する小径部と、
前記口出し線の外径よりも内径の大きい大径部と、
前記小径部と前記大径部の間に位置し、その内周面が前記大径部から前記小径部にかけて傾斜する傾斜部と、
を有する、
照明装置。
【請求項2】
開放されている前記端部に装着されるエンドキャップを備え、
前記エンドキャップは、前記カバーの長手方向に沿って前記シール部材に接触した状態で前記端部に装着される、
請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記シール部材は、前記シール部材の外周面から突出して前記カバーの内壁面に押し当たる一つ以上の突起を有する、
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
互いにはまり合う凹部と凸部の一方が前記カバーに設けられ、前記凹部と前記凸部の他方が前記エンドキャップに設けられる、
請求項2記載の照明装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記口出し線が引き出される開口部を有する、
請求項
1~4のいずれか1項に記載の照明装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関し、より詳細には、筒状の筐体内に固体光源を実装した基板を収容した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の照明装置を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例と呼ぶ。)は、直管形LEDランプと、直管形LEDランプを保持するソケットとを備えている。直管形LEDランプは、ケース、プリント基板、取付板、パッキン、蓋体を備えている。ケースは、透光性樹脂によって、両端が開放した筒状に形成されている。プリント基板は長尺の帯状に形成されている。プリント基板の一面に、複数のLEDが直線上に並べて実装されている。ケースの内側面には、一対の凹部及び段部が形成されている。取付板は、金属平板によって長尺の帯状に形成されている。取付板の長手方向の両端部が折り曲げられることによって当接部が一つずつ設けられている。取付板は、表面にプリント基板を固定した状態で、ケースの一方の端部からケース内に収納される。
【0003】
パッキンは、ケースの断面形状に一致する形状の平板状を呈し、ケースの両端部に配置される。パッキンは、その中央部に、ケース内に向かって突出した凸部を備えている。蓋体は、ケースの断面形状に一致する形状にプレス加工された金属板であり、パッキンを挟んでケースの両端部に固定される。
【0004】
表面にプリント基板が固定された取付板をケース内に収納した後にケースの両端部に蓋体を固定すると、取付板の両端部に形成された当接部にパッキンの凸部が圧接する。これによって、取付板は、ケース内でパッキンの凸部の弾性力により、長手方向について両側から押圧された状態で浮動支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例は、パッキンの凸部に当接する当接部を取付板に設ける必要があるため、取付板をなくして照明装置の軽量化及び構造の簡素化などを行うことが難しかった。
【0007】
本開示の目的は、軽量化及び構造の簡素化を容易に図ることができる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る照明装置は、長尺の基板及び前記基板の表面に実装された複数個の固体発光素子を有する光源モジュールと、長尺の筒状に形成され、かつ、長手方向の端部のうちの少なくとも一方の端部が開放されているカバーとを備える。前記照明装置は、前記カバーの開放された前記端部を密封するシール部材と、前記光源モジュールに給電するための口出し線とを備える。前記光源モジュールは、前記カバーの長手方向に沿って移動可能に前記カバー内に収容される。前記シール部材は、開放されている前記端部を密封した状態で前記基板の長手方向の端部と接触している。前記シール部材は、前記口出し線が通される通路と、前記口出し線の外径よりも小さい内径を有し、前記通路に通された前記口出し線を気密状態で支持する小径部と、前記口出し線の外径よりも内径の大きい大径部と、前記小径部と前記大径部の間に位置し、その内周面が前記大径部から前記小径部にかけて傾斜する傾斜部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の照明装置は、軽量化及び構造の簡素化を容易に図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明装置の下面図である。
【
図3】
図3は、同上の照明装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明装置のスペーサ及びエンドキャップを外した状態の右側面図である。
【
図5】
図5Aは、同上の照明装置の第1スペーサの正面図である。
図5Bは、同第1スペーサの平面図である。
図5Cは、同第1スペーサの下面図である。
図5Dは、同第1スペーサの左側面図である。
図5Eは、同第1スペーサの背面図である。
【
図6】
図6は、同上の照明装置の右端部を含む断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の照明装置の第2スペーサの正面図である。
図7Bは、同第2スペーサの平面図である。
図7Cは、同第2スペーサの下面図である。
図7Dは、同第2スペーサの左側面図である。
図7Eは、同第2スペーサの背面図である。
【
図8】
図8は、同上の照明装置の左端部を含む断面図である。
【
図9】
図9は、同上の照明装置の左端部を含む断面図である。
【
図10】
図10Aは、同上の照明装置のエンドキャップの正面図である。
図10Bは、同エンドキャップの平面図である。
図10Cは、同エンドキャップの下面図である。
図10Dは、同エンドキャップの左側面図である。
図10Eは、同エンドキャップの背面図である。
【
図11】
図11Aは、同上の照明装置の右端部の下面図である。
図11Bは、同上の照明装置の右端部の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る照明装置1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
実施形態に係る照明装置1(以下、照明装置1と略す。)は、
図1ないし
図3に示すように、LEDモジュール2と、カバー3と、スペーサ4とを備える。照明装置1は、エンドキャップ5と、口出し線6とを更に備える。なお、以下の発明において、特に断りのない限り、
図1及び
図3に矢印で示す方向を照明装置1の上下、左右及び前後の各方向と定義する。
【0013】
照明装置1は、2個のLEDモジュール2を備える。ただし、照明装置1が備えるLEDモジュール2の個数は2個に限定されず、1個又は3個以上であっても構わない。なお、2個のLEDモジュール2を第1のLEDモジュール2A及び第2のLEDモジュール2Bと呼ぶ場合がある。
【0014】
各LEDモジュール2は、左右方向を長手方向とする長尺の基板21と、複数個のLED(Light Emitting Diode)20とを有する。複数個のLED20は、例えば、白色の光を放射する、いわゆるパッケージ型の照明用白色LEDである。ただし、LED20は、COB(Chip on Boad)型の照明用白色LEDであってもよい。なお、基板21に実装される固体発光素子はLEDに限定されず、有機エレクトロルミネッセンス素子及び半導体レーザ素子のようなLED以外の固体発光素子であってもよい。
【0015】
これら複数個のLED20は、基板21の表面(下面)における短手方向(前後方向)の中央において、基板21の長手方向(左右方向)に沿って一列に並ぶように実装されている(
図3参照)。これら複数個のLED20は、基板21の表面(下面)に形成されているプリント配線により、互いに電気的に接続されている。さらに、第2のLEDモジュール2Bの長手方向の一端(左端)の表面(下面)にレセプタクルコネクタ22が実装されている(
図3及び
図4参照)。レセプタクルコネクタ22は、前記プリント配線を介して複数個のLED20と電気的に接続されている。なお、第1のLEDモジュール2Aと第2のLEDモジュール2Bは、それぞれの基板21の裏面(上面)に実装されている中継コネクタ23によって電気的に接続されている(
図4参照)。第1のLEDモジュール2Aと第2のLEDモジュール2Bは、それぞれの長手方向を一致させて直線状に連結されている(
図3参照)。
【0016】
口出し線6は、2本の電線と、2本の電線を被覆するシース60と、2本の電線の第1端に電気的に接続されるプラグコネクタ61と、2本の電線の第2端に電気的に接続される電源コネクタ62とを有する(
図3及び
図4参照)。電源コネクタ62が電源装置に電気的に接続され、電源装置から口出し線6を通してLEDモジュール2に直流電流が供給される。
【0017】
カバー3は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂により、長手方向(左右方向)の両端が開放された長尺の筒状に形成されている(
図3参照)。カバー3は、第1壁31、第2壁32、第3壁33及び第4壁34を有する(
図4参照)。第1壁31は、長尺の平板状に形成され、カバー3の下側の壁を構成している(
図3及び
図4参照)。第2壁32は、長尺の平板に形成され、カバー3の上側の壁を構成している。なお、第2壁32の幅寸法(前後方向の長さ寸法)は、
図4に示すように、第1壁31の幅寸法よりも狭い(小さい)。
【0018】
第3壁33は、第1縦片331、第2縦片332及び連結片333を有する。第1縦片331の第1端(下端)が第1壁31の前端と繋がっている。第2縦片332の第1端(上端)が第2壁32の前端と繋がっている。連結片333は、第1縦片331の第2端(上端)と第2縦片332の第2端(下端)を連結している(
図4参照)。第3壁33は、カバー3の前側の壁を構成している。また、第1縦片331の内側面(後面)から突片334が突出している(
図4参照)。突片334は、第1縦片331の長手方向(左右方向)に沿って連結片333と平行している。ここで、第1縦片331と連結片333と突片334に囲まれた空間を第1溝335と呼ぶ。
【0019】
第4壁34は、第1縦片341、第2縦片342及び連結片343を有する。第1縦片341の第1端(下端)が第1壁31の後端と繋がっている。第2縦片342の第1端(上端)が第2壁32の後端と繋がっている。連結片343は、第1縦片341の第2端(上端)と第2縦片342の第2端(下端)を連結している(
図4参照)。第4壁34は、カバー3の後側の壁を構成している。また、第1縦片341の内側面(前面)から突片344が突出している(
図4参照)。突片344は、第1縦片341の長手方向(左右方向)に沿って連結片343と平行している。ここで、第1縦片341と連結片343と突片344に囲まれた空間を第2溝345と呼ぶ。
【0020】
各LEDモジュール2は、基板21の前端を第1溝335に挿入し、基板21の後端を第2溝345に挿入するようにしてカバー3の内部に収容される(
図4参照)。各LEDモジュール2の表面(基板21の下面)がカバー3の第1壁31と向き合っている。つまり、各LEDモジュール2(の複数個のLED20)から放射される光(白色の照明光)は、第1壁31及び一対の第1縦片331、341を通してカバー3の外に出射される。ただし、第3壁33及び第4壁34は照明光を透過させなくてもよい。
【0021】
スペーサ4は、カバー3の開放された左端部及び右端部のそれぞれを密封するシール部材である。スペーサ4は、シリコーン樹脂(シリコーンゴム)のように透光性及び柔軟性を有する材料で形成されることが好ましい。以下の説明においては、カバー3の右端部を密封するスペーサ4を第1スペーサ4Aと呼び、カバー3の左端部を密封するスペーサ4を第2スペーサ4Bと呼ぶ場合がある(
図3参照)。
【0022】
第1スペーサ4Aは、カバー3の右端部からカバー3内に挿入される。したがって、以下の説明において、カバー3内に挿入された状態における第1スペーサ4Aの上下、左右及び前後の各方向と照明装置1の上下、左右及び前後の各方向が一致している(
図5A及び
図5D参照)。
【0023】
第1スペーサ4Aは、
図5Aないし
図5Eに示すように、本体40Aと、複数の突起41Aと、突台部42Aとを備える。本体40Aは、底面が逆T字形である柱状に形成されている(
図5E参照)。本体40Aの前面及び後面のそれぞれに、一筋の溝43Aが左右方向に沿って形成されている(
図5A及び
図5D参照)。複数(図示例では二つ)の突起41Aは、本体40Aの外周面における左端に設けられている。ただし、左側の突起41Aは、本体40Aのほぼ全周にわたって設けられているが、右側の突起41Aは、本体40Aの上面及び下面において部分的に途切れている(
図5B及び
図5C参照)。突台部42Aは、本体40Aの下面から下向きに突き出ている(
図5A及び
図5D参照)。
【0024】
第1スペーサ4Aは、カバー3の右端部からカバー3内に挿入される。第1スペーサ4Aの二つの突起41Aは、カバー3内に挿入された状態において、カバー3の内壁面に押されて変形する。その結果、カバー3の内壁面に突起41Aが密着することにより、カバー3の右端部が第1スペーサ4Aによって密封(シール)される(
図6参照)。さらに、第1スペーサ4Aは、カバー3内において、第1のLEDモジュール2A(の基板21)の右端に接触する。具体的には、第1スペーサ4Aの本体40Aの左側面(接触面400A)に基板21の右端が接触する(
図6参照)。つまり、第1スペーサ4Aは、カバー3の右端部を密封するだけではなく、第1のLEDモジュール2Aの右方向への移動を規制している。
【0025】
第2スペーサ4Bは、カバー3の左端部からカバー3内に挿入される。したがって、以下の説明において、カバー3内に挿入された状態における第2スペーサ4Bの上下、左右及び前後の各方向と照明装置1の上下、左右及び前後の各方向が一致している(
図7A及び
図7D参照)。
【0026】
第2スペーサ4Bは、
図7Aないし
図7Eに示すように、本体40Bと、複数の突起41Bと、円筒部42Bとを備える。本体40Bは、底面が逆T字形である柱状に形成されている(
図7E参照)。複数(図示例では二つ)の突起41Bは、本体40Bの外周面における右端に設けられている(
図7D参照)。
【0027】
円筒部42Bは、本体40Bを左右方向に貫通している(
図7Aないし
図7E及び
図9参照)。円筒部42Bは、大径部421B、小径部422B及び傾斜部423Bを有する(
図9参照)。大径部421Bは、円筒部42Bの右端に位置する。大径部421Bの内径は、口出し線6のシース60の外径よりも大きい(
図9参照)。小径部422Bは、円筒部42Bの左端に位置する。小径部422Bの内径は、口出し線6のシース60の外径よりも小さい(
図9参照)。傾斜部423Bは、円筒部42Bの左右方向の中央、すなわち、大径部421Bと小径部422Bの間に位置する。傾斜部423Bは、円すい台の側面に相当する形状に形成されている(
図9参照)。つまり、傾斜部423Bの内周面は、大径部421Bから小径部422Bにかけて傾斜している(
図9参照)。
【0028】
第2スペーサ4Bは、カバー3の左端部からカバー3内に挿入される。第2スペーサ4Bの二つの突起41Bは、カバー3内に挿入された状態において、カバー3の内壁面に押されて変形する(
図8及び
図9参照)。その結果、カバー3の内壁面に突起41Bが密着することにより、カバー3の左端部が第2スペーサ4Bによって密封(シール)される(
図8参照)。さらに、第2スペーサ4Bは、カバー3内において、第2のLEDモジュール2B(の基板21)の左端に接触する。具体的には、第2スペーサ4Bの本体40Bの右側面(接触面400B)に基板21の左端が接触する(
図8参照)。つまり、第2スペーサ4Bは、カバー3の左端部を密封するだけではなく、第2のLEDモジュール2Bの左方向への移動を規制している。
【0029】
ここで、円筒部42Bに口出し線6が通される。つまり、円筒部42Bが口出し線6の通路となる。円筒部42Bの小径部422Bの内径が口出し線6のシース60の外径よりも小さいので、円筒部42Bに通されたシース60が小径部422Bに圧迫される。その結果、シース60の表面と小径部422Bの内周面が密着し、カバー3の左端部を密封した状態で口出し線6をカバー3の外に引き出すことができる(
図9参照)。つまり、照明装置1においては、円筒部42Bの小径部422B(支持部)によって口出し線6(のシース60)を気密状態で支持している。
【0030】
しかして、二つのスペーサ4がカバー3の右端部及び左端部を密封し、かつ、カバー3内に収容されているLEDモジュール2の移動を規制する。そのため、照明装置1は、特許文献1記載の従来例に比べて、パッキンの凸部に当接する当接部を備えた取付板が不要となるので、軽量化及び構造の簡素化を容易に図ることができる。
【0031】
さらに、カバー3の右端部及び左端部にエンドキャップ5が一つずつ装着される(
図1ないし
図3参照)。したがって、以下の説明において、カバー3の左端部及び右端部にそれぞれ一つずつ装着されたエンドキャップ5の上下、左右及び前後の各方向と照明装置1の上下、左右及び前後の各方向が一致している(
図10A及び
図10D参照)。
【0032】
エンドキャップ5は、
図10Aないし
図10Eに示すように、エンド板50、底板51、一対の側板52、舌片53、三つの凸部54、二対の補強片55及び一対の突片56を有する。エンドキャップ5は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0033】
エンド板50は、逆T字形の平板状に形成されている(
図10E参照)。底板51は、先端(右端)が開口したU字形状の溝510を有し、エンド板50の裏面(右側面)の上部からエンド板50の厚み方向と平行に突き出ている(
図10B参照)。
【0034】
一対の側板52は、エンド板50の裏面(右側面)の前部及び後部からエンド板50の厚み方向と平行に突き出ている(
図10C参照)。なお、一対の側板52は、互いに鏡像の関係にある。一対の側板52のうち、底板51の前方に位置する側板52の上端が底板51の上端と繋がっている。また、一対の側板52のうち、底板51の後方に位置する側板52の上端が底板51の上端と繋がっている。各側板52には、先端(右端)が開口したJ字形状の溝520が形成されている(
図10D参照)。また、前方の側板52の後面及び後方の側板52の前面のそれぞれの上部にリブ57が一つずつ設けられている。これら二つのリブ57は角柱状に形成され、かつ、底板51と平行するように各側板52から突き出ている(
図10A参照)。さらに、前方の側板52の後面及び後方の側板52の前面のそれぞれの下部に突片56が一つずつ繋がっている。各突片56は、先端(右端)に向かって徐々に幅細になる板状に形成されている(
図10C参照)。
【0035】
舌片53は、長方形の平板状に形成されている(
図10A及び
図10C参照)。舌片53は、エンド板50の裏面(右側面)の下部からエンド板50の厚み方向と平行に突き出ている(
図10Aないし
図10D参照)。すなわち、舌片53は、エンド板50に対して上下方向(舌片53の厚み方向)にたわみ可能である。
【0036】
二対の補強片55は、台形の平板状に形成されている(
図10C参照)。各補強片55は、側板52及びエンド板50と繋がっている。すなわち、側板52は、一対の補強片55によって補強されている(
図10A、
図10C及び
図10D)。
【0037】
三つの凸部54は、一対の側板52及び舌片53にそれぞれ一つずつ設けられている(
図10A、
図10C及び
図10D参照)。これら三つの凸部54は、斜切円柱状に形成されている。それぞれの凸部54の底面は、カバー3の端部に対するエンドキャップ5の挿入方向(左方向又は右方向)に傾いている(
図10C及び
図10D参照)。
【0038】
ここで、カバー3の長手方向の両端部(右端部及び左端部)において、第1壁31、第3壁33及び第4壁34のそれぞれに、貫通孔からなる凹部310、336が一つずつ設けられている(
図11A及び
図11B参照)。エンドキャップ5がカバー3の端部に装着されると、カバー3の第1壁31の凹部310にエンドキャップ5の舌片53に設けられた凸部54がはまる(
図9及び
図11A参照)。また、カバー3の第3壁33の凹部336及び第4壁34の凹部のそれぞれに、一対の側板52に設けられた凸部54が一つずつはまる(
図11B参照)。その結果、三つの凸部54と三つの凹部310、336が一つずつはまり合うことにより、エンドキャップ5がカバー3の端部から抜け落ちにくくなる。ただし、凹部310、336は、貫通孔に限定されず、凸部54とはまり合う凹みであればよい。また、カバー3に凸部が設けられ、エンドキャップ5に凹部が設けられても構わない。
【0039】
次に、照明装置1の組立手順について説明する。まず、組立作業を行う作業者は、第2スペーサ4Bの円筒部42Bに口出し線6を通した後、口出し線6のプラグコネクタ61を第2のLEDモジュール2Bのレセプタクルコネクタ22に接続する(
図4参照)。続いて、作業者は、LEDモジュール2(第1のLEDモジュール2A及び第2のLEDモジュール2B)の基板21の前端及び後端をカバー3の左端部から第3壁33の第1溝335及び第4壁34の第2溝345に挿入する(
図4参照)。そして、作業者は、カバー3の左端部から第2スペーサ4Bをカバー3内に押し込む(
図9参照)。さらに、作業者は、カバー3の右端部から第1スペーサ4Aをカバー3内に押し込む(
図6参照)。このような手順でLEDモジュール2(第1のLEDモジュール2A及び第2のLEDモジュール2B)がカバー3に収容される。
【0040】
続いて、作業者は、カバー3の第2壁32の左端部に設けられたU字形状の開口部320に口出し線6を挿入した後、カバー3の左端部にエンドキャップ5を装着する(
図8及び
図9参照)。ここで、凸部54の底面がカバー3の端部に対するエンドキャップ5の挿入方向に傾いている。そのため、作業者がカバー3の左端部からエンドキャップ5を挿入する際、カバー3の左端部の縁に凸部54の底面が当たることで舌片53が上向きに撓む。その結果、作業者は、エンドキャップ5をカバー3の端部にスムーズに装着することができる。カバー3の左端部に装着されたエンドキャップ5は、一対の側板52の先端部分521を第2スペーサ4Bの本体40Bに接触させる(
図8参照)。すなわち、カバー3の左端部にエンドキャップ5が装着されることにより、カバー3の左端部が塞がれ、かつ、カバー3の長手方向に沿った第2スペーサ4Bの移動が規制される。
【0041】
最後に、作業者は、カバー3の右端部にエンドキャップ5を装着する(
図6参照)。カバー3の右端部に装着されたエンドキャップ5は、一対の側板52の先端部分521を第1スペーサ4Aの本体40Aに接触させる(
図6参照)。すなわち、カバー3の右端部にエンドキャップ5が装着されることにより、カバー3の右端部が塞がれ、かつ、カバー3の長手方向に沿った第1スペーサ4Aの移動が規制される。
【0042】
以上のような手順で照明装置1の組立作業が完了する。ただし、上述した手順は一例であり、幾つかの作業の手順を入れ替えることも可能である。
【0043】
上述のように第1の態様に係る照明装置(1)は、長尺の基板(21)及び基板(21)の表面に実装された複数個の固体発光素子(LED20)を有する光源モジュール(LEDモジュール2)を備える。第1の態様に係る照明装置(1)は、長尺の筒状に形成され、かつ、長手方向の端部のうちの少なくとも一方の端部が開放されているカバー(3)と、カバー(3)の開放された端部を密封するシール部材(スペーサ4)とを備える。光源モジュールは、カバー(3)の長手方向に沿って移動可能にカバー(3)内に収容される。シール部材は、開放されている端部を密封した状態で基板(21)の長手方向の端部と接触している。
【0044】
第1の態様に係る照明装置(1)は、シール部材によってカバー(3)の開放された端部を密封し、かつ、カバー(3)内に収容された光源モジュールの移動を規制するので、従来例に比べて、軽量化及び構造の簡素化を容易に図ることができる。
【0045】
第2の態様に係る照明装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明装置(1)は、開放されている端部に装着されるエンドキャップ(5)を備えることが好ましい。エンドキャップ(5)は、カバー(3)の長手方向に沿ってシール部材に接触した状態で端部に装着されることが好ましい。
【0046】
第2の態様に係る照明装置(1)は、エンドキャップ(5)によってカバー(3)の端部を塞ぎ、かつ、カバー(3)の長手方向に沿ったシール部材の移動を規制することができる。
【0047】
第3の態様に係る照明装置(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明装置(1)において、シール部材は、シール部材の外周面から突出してカバー(3)の内壁面に押し当たる一つ以上の突起(41A、41B)を有することが好ましい。
【0048】
第3の態様に係る照明装置(1)は、シール部材の突起(41A、41B)をカバー(3)の内壁面に押し当てることによって内壁面とシール部材の間の隙間を塞いでカバー(3)の端部を密封することができる。
【0049】
第4の態様に係る照明装置(1)は、第1~第3の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明装置(1)は、光源モジュールに給電するための口出し線(6)を備えることが好ましい。シール部材は、口出し線(6)が通される通路(円筒部42B)と、通路に通された口出し線(6)を気密状態で支持する支持部(小径部422B)とを有することが好ましい。
【0050】
第4の態様に係る照明装置(1)は、カバー(3)の内部を気密状態に保ったまま口出し線(6)をカバー(3)の外に引き出すことができる。
【0051】
第5の態様に係る照明装置(1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明装置(1)において、互いにはまり合う凹部(310、336)と凸部(54)の一方がカバー(3)に設けられることが好ましい。凹部(310、336)と凸部(54)の他方がエンドキャップ(5)に設けられることが好ましい。
【0052】
第5の態様に係る照明装置(1)は、凹部(310、336)と凸部(54)をはめ合わせることによって、カバー(3)に対するエンドキャップ(5)の抜け止めを図ることができる。
【0053】
第6の態様に係る照明装置(1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明装置(1)において、カバー(3)は、口出し線(6)が引き出される開口部(320)を有することが好ましい。
【0054】
第6の態様に係る照明装置(1)は、開口部(320)を通して口出し線(6)をカバー(3)の外にスムーズに引き出すことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 照明装置
2 LEDモジュール(光源モジュール)
3 カバー
4 スペーサ(シール部材)
4A 第1スペーサ(シール部材)
4B 第2スペーサ(シール部材)
5 エンドキャップ
6 口出し線
20 LED(固体発光素子)
21 基板
41A 突起
41B 突起
42B 円筒部
54 凸部
310 凹部
320 開口部
336 凹部
422B 小径部(支持部)