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  • 特許-改良型真空回路遮断器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】改良型真空回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20230328BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
H01H33/662 Z
H01H33/666 P
H01H33/662 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020505352
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2018070765
(87)【国際公開番号】W WO2019025455
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】1712305.0
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520034093
【氏名又は名称】カムリン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミューア,マーク
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-058363(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00517049(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28-33/59
H01F 7/00-7/17
H01L 27/20、41/00-41/47
H02N 2/00-2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空回路遮断器であって、
真空チャンバを提供するハウジングと、
可動第1接点および第2接点を有する真空断続器と、
前記真空断続器に結合され、前記第1接点を移動させて前記第2接点と係合させかつ/または前記第2接点との係合から離脱させるアクチュエータと
を備える、真空回路遮断器であり
前記真空断続器および前記アクチュエータは前記真空チャンバ内に配置され、
前記真空チャンバは仕切りによって第1のサブチャンバおよび第2のサブチャンバに仕切られ、前記第1のサブチャンバおよび前記第2のサブチャンバのそれぞれは使用中に真空下に置かれ、
前記第1の接点および前記第2接点は前記第1のサブチャンバ内に配置され、前記アクチュエータは前記第2のサブチャンバ内に配置され
前記仕切りは、前記第1のサブチャンバと前記第2のサブチャンバとの間に非気密シールを提供し、かつ、前記第1のサブチャンバと前記第2のサブチャンバとの間のクヌーセン流を支持するべく0.5を超えるクヌーセン数を提供するように構成される、真空回路遮断器。
【請求項2】
前記仕切りがダイアフラムを備える、請求項1に記載の真空回路遮断器。
【請求項3】
前記仕切りが可撓性である、請求項1または2に記載の真空回路遮断器。
【請求項4】
前記仕切りが前記第1接点の移動方向および/または前記アクチュエータの移動方向において可撓性である、請求項3に記載の真空回路遮断器。
【請求項5】
前記仕切りが非弾性である、請求項1~4のいずれか一項に記載の真空回路遮断器。
【請求項6】
前記仕切りが複数の部品から構成される、請求項1に記載の真空回路遮断器。
【請求項7】
前記仕切りが、前記第1のサブチャンバと前記第2のサブチャンバと間のクヌーセン流を支持するような寸法にされている少なくとも1つの開口部を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の真空回路遮断器。
【請求項8】
前記アクチュエータが、圧電操作型アクチュエータである、請求項1~のいずれか一項に記載の真空回路遮断器。
【請求項9】
前記アクチュエータが、第1の非圧電動作装置および第2の圧電動作装置を備えるハイブリッドアクチュエータである、請求項1~のいずれか一項に記載の真空回路遮断器。
【請求項10】
前記アクチュエータが、第1の本体部分および第2の本体部分を備え、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの一方が、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの方に対して移動可能であり、前記第1の非圧電動作装置が、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方に結合され、かつ、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの一方を、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの方に向かって閉状態にするべく移動させるように動作可能であり、前記第2の圧電動作装置が、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの一方または両方に結合され、かつ、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの一方を、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの方から遠ざけて、前記閉状態から離脱させるべく移動させるように動作可能である、請求項に記載の真空回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
真空回路遮断器(VCB)は、通常、真空回路断続器と、断続器を開状態および閉状態の間で操作するためのアクチュエータとを含む。
【0003】
従来、このアクチュエータは、蛇腹により断続器の接点に結合した電磁気装置を備え、電磁アクチュエータおよび蛇腹は、断続器を含む真空エンクロージャー外に位置する。かかるVCBは大きく、動作するのが比較的遅く、正確に制御することが比較的困難である。低速および低精度制御は少なくとも部分的に電磁アクチュエータの使用によって引き起こされる。比較的大きなサイズは部分的に外部蛇腹に起因する。
【0004】
上に概説した問題に対処することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、第1および第2の本体部分であって該本体部分の少なくとも一方は他方の部分に対して移動可能である第1および第2の本体部分と;該少なくとも一方の本体部分に結合され、該少なくとも一方の本体部分を該他方の本体部分に向かって移動させて閉状態にするように動作可能な第1の動作装置と;該本体部分の一方または両方に結合され、該少なくとも一方の本体部分を該他方の本体部分から遠ざけて、該閉状態から離脱させるように動作可能な少なくとも1つの圧電アクチュエータとを含む開閉装置を提供する。
【0006】
好ましい実施形態では、該第1および第2の本体部分はそれぞれ接触面を有し、それぞれの接触面は該閉状態で互いに係合し、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、該少なくとも1つの本体部分を動かして該接触面を切り離すように動作可能である。
【0007】
該第1および第2の本体部分は、該本体部分を該閉状態に保持する磁気ラッチ効果を生み出すために磁化することができる、または磁化可能であり得、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、該磁気ラッチ効果を破壊するために該少なくとも一方の本体部分を他方の本体部分から遠ざけるように動作可能である。該第1および第2の本体部分は、該接触面を係合状態に保持する磁気ラッチ効果を生み出すために磁化することができる、または磁化可能であり得、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、該磁気ラッチ効果が破壊されるように該少なくとも一方の本体部分を動かして該接触面を切り離すように動作可能である。
【0008】
好ましい実施形態では、該第1の動作装置は、使用中に、該第1および第2の本体部分の少なくとも一方、好ましくは両方を磁化する電磁動作装置である。
【0009】
任意選択的に、該第1および第2の本体部分の少なくとも一方、好ましくは両方が、1つまたは複数の永久磁石を含むか、別の方法で永久的に磁化される。
【0010】
好ましい実施形態では、該本体部分のいずれか一方の圧電アクチュエータは、該本体部分の他方と係合して、該本体部分を互いに遠ざけ、典型的にはそれぞれの接触面を切り離すように動作可能である。
【0011】
典型的には、該本体部分のいずれか一方の圧電アクチュエータは、該本体部分の他方の接触面と係合して本体部分を互いに遠ざけ、典型的にはそれぞれの接触面を切り離すように動作可能である。
【0012】
典型的には、該本体部分のいずれか一方の圧電アクチュエータは、該閉状態にあるとき、特にそれぞれの接触面が係合しているときに、該本体部分の他方と係合するように動作可能である。
【0013】
好都合なことに、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、それぞれの本体部分に組み込まれている、例えば埋め込まれている。
【0014】
典型的には、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、該少なくとも一方の本体部分を該他方の本体部分から遠ざけて該閉状態から離脱させるために拡張可能である。好ましくは、該少なくとも1つの圧電アクチュエータは拡張軸を有し、該拡張軸に沿って拡張すると、該少なくとも1つの圧電アクチュエータが各本体部分から外側に拡張するように、各本体部分に対して位置決めされる。該少なくとも1つの圧電アクチュエータは、該少なくとも1つの圧電アクチュエータの端部がそれぞれの本体部分の接触面と実質的に同じ高さまたは同じ高さであり、該少なくとも1つの圧電アクチュエータの拡張時に該接触面から外向きに移動可能であるように配置される。該少なくとも1つの圧電アクチュエータが平衡状態または収縮状態にあるとき、該端部は、該接触面と実質的に同じ高さまたは同じ高さであり得る。
【0015】
好ましい実施形態では、第1の圧電アクチュエータが該第1の本体部分に結合され、第2の圧電アクチュエータが該第2の本体部分に結合される。好ましくは、それぞれの圧電アクチュエータは、互いに係合するように整列される。好ましくは、それぞれの圧電アクチュエータは、1つのまたは各圧電アクチュエータの拡張時に互いに係合可能である。
【0016】
好ましい実施形態では、該第1の動作装置は、少なくとも1つの電磁コイルを含む電磁動作装置を含み、電磁動作装置は、該少なくとも1つの電磁コイルの通電を制御することにより1つのまたは各本体部分を動かすように動作可能である。好ましくは、該電磁動作装置は、該少なくとも1つの電磁コイルを通電すると、1つのまたは各本体部分を他方の本体部分に向かって移動させ、典型的には係合させるように構成される。
【0017】
該電磁動作装置は、該少なくとも1つの電磁コイルの通電が解除されると、1つのまたは各本体部分を他方の本体部分から遠ざけるように構成されてもよい。該少なくとも1つの電磁コイルは、該本体部分の1つまたはそれぞれの周囲に配置されてもよい。
【0018】
該本体部分の1つまたはそれぞれは、少なくとも部分的に強磁性または磁化可能な材料から形成されてもよい。
【0019】
好ましい実施形態では、典型的には該接触面が互いに係合するかまたは係合から離脱するように、該本体部分の両方が他方の部分に対して移動可能である。
【0020】
好ましい実施形態において、該本体部分は、作動される物体に1つのまたは各本体部分の運動を与えるための機械的結合機構に結合される。該機械的結合機構は、本体部分のそれぞれに接続され、接触面の接合面にまたがる少なくとも1つの可撓性構造体を備えてもよい。1つのまたは各可撓性構造体は、好ましくはそれぞれの可撓性ベアリングによって、本体部分と一体的に形成されてもよい。1つのまたは各可撓性構造体と本体部分の外面との間にギャップが設けられてもよく、このギャップを通して該電磁動作装置の少なくとも1つの電磁コイルが巻かれる。通常、1つのまたは各可撓性構造体は、本体部分に対して外側に湾曲している。それぞれの可撓性構造体は、本体部分の反対側の外面に提供されてもよい。
【0021】
典型的には、該第1および第2の本体部分は、本体部分を支持し、互いに接触するおよび接触から離脱する該動きを制御する支持構造体に組み込まれる。
【0022】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の開閉装置を備えるアクチュエータを提供し、該本体部分は、作動される物体に1つのまたは各本体部分の動きを与える機械的結合機構に結合される。
【0023】
本発明の第3の態様は、真空断続器に結合された本発明の第3の態様のアクチュエータを備える真空回路遮断器を提供する。
【0024】
本発明の第4の態様は、第1の態様の開閉装置または第3の態様のアクチュエータを操作する方法を提供し、この方法は、
該第1の動作装置に、該少なくとも1つの本体部分を該他方の本体部分に向かって移動させて該閉状態にし、典型的に該接触面を互いに係合させること、および
該少なくとも1つの圧電アクチュエータに、該少なくとも1つの本体部分を該他方の本体部分から遠ざけるように移動させ、典型的には該接触面を切り離すこと
を含む。
【0025】
本発明の第5の態様は、真空回路遮断器であって、真空チャンバを提供するハウジングと;可動第1接点および第2接点を有する真空断続器と、真空断続器に結合され、第1接点を移動させて第2接点と係合させるおよび/または第2接点との係合から離脱させるアクチュエータとを備え、該真空断続器および該アクチュエータは該真空チャンバ内に配置され、該真空チャンバは仕切りによって第1および第2のサブチャンバに仕切られ、該第1および第2のサブチャンバのそれぞれは使用中に真空下に置かれ、該第1および第2接点は該第1のサブチャンバ内に配置され、該アクチュエータは、該第2のサブチャンバ内に配置される真空回路遮断器を提供する。該アクチュエータは、圧電操作型アクチュエータである。該アクチュエータは、好ましくは、第1の非圧電動作装置と第2の圧電動作装置とを備えるハイブリッドアクチュエータである。好ましい実施形態では、該アクチュエータは、本発明の第2の態様のアクチュエータである。
【0026】
該仕切りはダイアフラムを備えてもよい。該仕切りは、好ましくは該第1接点の移動方向および/または該アクチュエータの移動方向において、好ましくは可撓性である。該仕切りは好ましくは非弾性である。該仕切りは複数の部分で構成されてもよい。
【0027】
好ましくは、該仕切りは、第1および第2のサブチャンバ間に非密閉シールを提供する。
【0028】
典型的には、該仕切りは少なくとも1つの開口部、好ましくは少なくとも1つの差分開口部を含む。
【0029】
有利には、該仕切りは、該第1および第2のサブチャンバ間の分子流を支持するように構成される。該少なくとも1つの開口部は、該第1および第2のサブチャンバ間の該分子流を支持するように寸法決めされてもよい。
【0030】
該仕切りは、該第1および第2のサブチャンバ間のクヌーセン流を支持するように構成されてもよい。好ましくは、該仕切りは、0.5より大きいクヌーセン数を提供する。好ましくは、該少なくとも1つの開口部は、該第1および第2のサブチャンバ間のクヌーセン流を支持するような寸法にされる。
【0031】
好ましい実施形態では、該仕切りは、分子、特に使用中に該アクチュエータから発せられる分子の該第2のチャンバから該第1のチャンバへの通過に対する障壁を提供する。
【0032】
本発明を具現化するアクチュエータは、真空回路遮断器または真空断続器での使用に限定されず、例えば、他の開閉装置で使用できることが理解されるであろう。
【0033】
本発明のさらなる有利な態様は、特定の実施形態の以下の記載を添付の図面を参照して検討することにより、当業者には明らかになるであろう。
【0034】
次に本発明の実施形態を例としておよび添付図面を参照して記載する。図面中、同様の番号は同様の部品を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】真空回路遮断器の第1のタイプの概略図である。
図2】真空回路遮断器の第2のタイプの概略図である。
図3A】本発明の一態様を具現化するハイブリッドアクチュータの斜視図である。
図3B図3Aのハイブリッドアクチュエータの側断面図である。
図4】真空回路遮断器に組み込まれた図3Aおよび3Bのハイブリッドアクチュエータの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで図1および2を参照すると、全体的に100および200として示される電気回路遮断器装置が示されている。回路遮断器装置100、200は、(特に低電圧(LV)での)AC電力供給を遮断する際に使用することを目的としているため、AC回路遮断器と呼ばれる場合がある。回路遮断器100、200は、真空断続器110、210を備えており、したがって、真空回路遮断器(VCB)と呼ばれる場合がある。真空開閉装置と呼ばれる場合もある真空断続器110、210は、真空チャンバ116、216、すなわち気密封止され真空状態のチャンバ内に位置する可動電気接点112、212および固定電気接点114、214を備える。可動接点112、212は、固定接点114、214から電気的および物理的に分離されている開状態と、第2接点114、214と電気的に(および典型的に物理的に)接触している閉状態との間で移動可能である。可動接点112、212の開状態は、真空断続器110、210の、対応して回路遮断器100、200の開状態、すなわち遮断状態に対応し、それが属する回路(図示せず)内の電流の流れを遮断する。接点112、212の閉状態は、真空断続器110、210の、対応して回路遮断器100、200の閉状態または構成状態に対応し、電流は接点112、114および212、214の間を流れることができる。
【0037】
接点112、212のその開状態と閉状態との間の移動は、アクチュエータ118、218によってもたらされる。図1のVCB100は、アクチュエータ118が真空チャンバ116の外部に配置され、機械的結合機構119、例えば回路遮断器蛇腹装置によって可動接点112に結合されるタイプのものである。図2のVCB200は、アクチュエータ218が真空断続器210と同じハウジング215内に位置するタイプのものである。いくつかの実施形態では、アクチュエータ218は真空チャンバ216内に位置する。アクチュエータ218は、仕切り217によって真空断続器210から分離されてもよい。いずれの場合でも、通常、アクチュエータ218と可動接点212との間に結合機構が設けられ、アクチュエータ218が接点212を移動することを可能にする。アクチュエータ218と真空断続器210との間の機械的結合は、例えば、アクチュエータ218と真空断続器210との間にハウジング215の内側を横切って延びる可撓性結合部材を含む、任意の好都合な形態をとることができる。例えば、可撓性部材は、シート、プレートまたは膜を含む平坦な形状であり得るが、代わりに、例えばバー、ストリップまたはロッドを含む他の形態であってもよい。任意選択的に、可撓性部材は導電性であり、使用中に可動接点212を外部回路に電気的に接続する。アクチュエータ218が真空チャンバ216とは別のチャンバ内に位置する実施形態では、可撓性部材は、ハウジング215の内部を第1および第2のチャンバ216、216’に分離してもよく、ここで真空断続器210は第1のチャンバ216、216’内にあり、アクチュエータ218は他方のチャンバ内にあり、すなわち、可撓性部材は、仕切り217として機能し得るか、または別の方法で仕切り217と組み合わせられ得る。両方のチャンバ216、216’が真空下に置かれてもよいが、通常、それらの間に圧力差がある。可撓性部材217の端部は、任意の都合の良い方法でハウジング215の両側に固定することができる。
【0038】
真空断続器110、210、したがってVCB100、200は、通常閉状態で、すなわち接点112、212がその閉状態にある状態で動作し得、その結果、使用中に電流が接点112、114および212、214との間に流れ、それにより回路遮断器100、200が設置される所与の回路(図示せず)に電流が流れるようにする。そのような場合、VCB100、200は、使用中、障害状態の検出に応じて、例えば電流過負荷または短絡の検出に応じて自動的に開き、組み込まれる回路を保護するように構成される。それは、故障の検出に応答して、アクチュエータ118、218に第1の接点112、212をその開状態に移動させることによりこれを達成する。この目的のために、VCB100、200は、障害の検出時に開状態をもたらすための制御装置(図示せず)を含むか、またはそれと協働可能である。制御装置は、通常、1つまたは複数の電流センサ(図示せず)を含むか、またはそれに接続される電気および/または電子回路を備える。電流センサは、使用時、VCB100、200またはVCBが接続されている回路の都合の良い電流導体に結合される。センサによって閾値レベルを超える電流、特に予想される電流が検出されると、制御装置はVCBを開く。好ましい実施形態では、これは、圧電アクチュエータ18に印加される電圧を調整することにより達成される。制御装置は、通常、過電流の検出直後に接点を開かず、有利には、電圧および/または位相角を監視して、適切な開の瞬間を、例えば(通常50~60Hzの周波数を有する)正弦波電圧信号のゼロ交差点において、決定する。
【0039】
いくつかの実施形態では、VCB100、200は、障害がなくなったことをVCB100、200が検出したことに応答して、および/または起動から閾値時間が経過した後、手動でまたは半手動で(例えば、ユーザ制御(図示せず)の手動起動によって)および/または自動的にリセット、すなわち閉じることができる。自動的にリセットする回路遮断器は、一般にリクローザーとして知られている。
【0040】
ここで図3および図4を参照すると、本発明の一態様を具体化し、回路遮断器、特に上記のいずれかのタイプの真空回路遮断器での使用に適した全体的に318として示されるハイブリッドアクチュエータ318が示されている。好ましいアクチュエータ318は、電磁動作装置と圧電動作装置との組み合わせを含むという点でハイブリッドとして、すなわち磁気圧電ハイブリッドアクチュエータとして記載することができる。ハイブリッド磁気圧電アクチュエータは、以下でより詳細に記載するように、ハイブリッド磁気圧電開閉装置を含むと言われてもよい。
【0041】
アクチュエータ318は、それぞれ接触面324A、324Bを有する第1および第2の部分322A、322Bを有する本体322を備える。第1および第2の部分322A、322Bは、接触面324A、324Bが互いに対向するように配置される。第1および第2の部分322A、322Bは、接触面324A、324Bが互いに接触している閉状態または接触状態(図示せず)と、本体部分322A、322Bが離間されて接触面324A、324Bの間にギャップ326を画定する非接触状態(図3Aおよび3Bに示す)との間で互いに対して移動可能である(接触状態では、ギャップ326は閉じられている)。図示の実施形態を含む好ましい実施形態では、部分322A、322Bの両方が可動である、すなわち、接触状態を採用する場合は両方が互いに向かって移動し、非接触状態を採用する場合は互いに離れる。代替実施形態(図示せず)では、本体部分のいずれか一方を固定し、本体部分の他方を固定された本体部分に近付けたり遠ざけたりして、接触状態および非接触状態を採用することができる。典型的には、そのまたは(該当する場合)各本体部分322A、322Bは、実質的に直線的に動く。代替実施形態では、接触状態の接触面間に比較的小さなエアギャップが存在し得る。そのような場合、ギャップは十分に小さいため、本体部分322A、322Bを磁気的に一緒にラッチすることができる。
【0042】
本体部分322A、322Bは、例えば鉄、ニッケルまたはコバルト、あるいは鉄、ニッケルまたはコバルトの適切な合金を含む強磁性材料から形成される。
【0043】
好ましいアクチュエータ318は、1つまたは複数の電磁コイル332(1つまたは複数の巻線を含み得る)を含む電磁動作装置330、および任意選択的にコイルホルダ(図示せず)を含む。コイル332は通常環状であり、図3Bに断面で示されている。コイル332は、通常、ソレノイドを形成するように構成される。図示の実施形態では、コイル332は本体322の周りに巻き付けられる。このように、本体322はコイル332を通過し、好ましくは実質的にコイル332の縦軸に沿って配置される。好ましくは、コイル332は本体322の周囲に実質的に中心に配置され、通常、接触面324A、324Bと重なり合う。
【0044】
代替実施形態(図示せず)では、コイル332は、本体部分322A、322Bの一方または両方に埋め込まれてもよい。例えば、コイル332を受け入れるために、接触面324A、324Bの一方または両方に環状凹部(図示せず)を形成することができる。そのような場合、コイル332は、凹部内で本体部分の一方によって支持、通常は固定されることができる。任意選択的に、凹部とコイルの相対寸法は、コイルがその凹部から突出し、他方の本体部分には、本体部分が接触状態にあるときにコイルの突出部分を受け入れるための凹部が設けられるようなものである。
【0045】
使用中、コイル332に電圧を印加し電流をコイルに流すことによりコイル332は通電され、電流がコイルの周りに電磁場を作り出す。この目的のために、コイル332は、任意の便利な電源(図示せず)に接続される。コイル332は、コイル332を流れる電流を減らすことにより、および/またはコイル332に印加される電圧の極性を反転することにより通電解除され得る。通電されると、コイル332は、本体部分322A、322Bを接触状態に移動させる、すなわち、本体部分を動かす磁場と磁力を作り出す電磁石として作用する。好ましい実施形態では、通電されるとコイル332は本体部分322A、322Bを磁化してそれらの間にラッチ残留磁気を生成する、すなわち、本体部分322A、322Bは残留磁気によって接触状態に保持され、磁気ラッチ効果を生成する。この目的のために、本体部分322A、322Bは、非永久的に磁化されるが、コイル332によって使用中に生成される電磁場によって磁化されやすい磁化可能または強磁性材料から少なくとも部分的に形成される。代替実施形態では、本体部分の一方または両方は、少なくとも部分的に永久磁化材料から形成されてもよい。
【0046】
好ましい実施形態では、本体部分322A、322Bは、コイル332の電磁コアとして機能する。本体部分の一方が移動し、他方が静止している代替実施形態では、可動部分322Aは、コイル332の電磁コアと見なすことができる一方、非可動部分322Bはヨークと見なすことができる。
【0047】
本体部分322A、322Bは、実施形態に応じて様々な方法のうちの1つまたは複数によって接触状態に保持されてもよい。例えば、第1または第2の本体部分322A、322Bの一方または両方が永久磁石を含むか、そうでなければ少なくとも部分的に磁化可能な材料から形成される場合、それらは第1および/または第2の本体部分322A、322Bの残留磁気によって一緒に保持され得る。代替的または追加的に、コイル332は、コイルの周りの電磁場によって生成される電磁力によって接触状態を維持するために通電されたままであり得る。図示の実施形態では、コイル332は、コイル322が後で通電解除されると残留磁気のラッチ効果によって第1および第2の部分322A、322Bが一緒に保持され接触状態を維持するように、第1および第2の部分322A、322Bに残留磁気を生成する。
【0048】
コイル332は、コイル322に印加される電圧を制御することにより、特にコイルに流れる電流を制御することにより、本体部分322A、322Bを接触状態から解放するように操作され得る。例えば、電磁気によって接触状態を維持するためにコイル322が通電される実施形態では、コイル332を通電解除する(例えば、コイルに流れる電流を減らす)ことにより、本体部分322A、322Bを解放することができる。好ましい実施形態では、適切な電圧をコイル332に印加して、ラッチ接触状態を維持している残留磁気(または該当する場合は永久磁気)を克服または打ち消す効果を有する電磁場をもたらすことができる。都合のよいことに、これは、アクチュエータ318を閉じるために使用される電圧と反対の極性でコイルに電圧を印加することにより達成される。
【0049】
好ましくは、使用中の渦電流を抑制するために、1つまたは複数のスロット336が各本体部分322A、322Bに形成される。スロットは、適切な非導電性材料、例えば、エポキシ樹脂で充填されてもよい、または未充填のままでもよい。
【0050】
アクチュエータ318は、圧電動作装置340を含む。好ましい実施形態では、圧電動作装置340は、本体部分322A、322Bを接触状態から非接触状態に移動させるように動作可能である。典型的には、これは押し動作を伴う、すなわち、圧電動作装置340は、本体部分322A、322Bを互いに離れるように押すように作用する。
【0051】
圧電動作装置340は、1つのまたは各本体部分322A、322Bに結合され、1つのまたは各本体部分322A、322Bを他方の本体部分に対して移動させるように構成された少なくとも1つの圧電アクチュエータ342(圧電ドライバとしても知られる)を備える。好ましい実施形態では、各本体部分322A、322Bには、それぞれの圧電アクチュエータ342が設けられる。代替実施形態(図示せず)では、本体部分322A、322Bの一方のみに圧電アクチュエータが設けられる。
【0052】
典型的に、1つのまたは各圧電アクチュエータ342は、圧電材料の層(d33軸に沿って走る層)のスタックを含む。任意の適切な従来の圧電材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛、例えばPZT-5HネイビータイプVIまたはPIC 252(PI)を使用することができる。好ましい実施形態では、スタックは、1つまたは複数の同時焼成多層セラミックを含む。圧電アクチュエータ342は、例えば、双極または半双極方式で動作可能なタイプのものであってもよい。圧電アクチュエータ342は、1つの極性の電圧(例えば、この例では正の電圧)の印加に応答して、拡張軸EAに沿って拡張する。任意選択的に、圧電アクチュエータ342は、反対極性の電圧(この例では負電圧)の印加に応答して、拡張軸EAに沿って収縮するタイプのものであってもよい。典型的には、圧電アクチュエータ342は、印加電圧の非存在下で採用する平衡長(軸EAの方向)を有し、関連する極性の電圧の印加に応答してこの長さを増加させ、そのような電圧の非存在下に平衡長に戻る。好ましい圧電アクチュエータ342は、反対の極性の電圧を印加すると平衡長から収縮し、そのような電圧の非存在下に平衡長に戻る。
【0053】
有利には、圧電アクチュエータ342が平衡長に戻る速度は、それを拡張またはあてはまる場合収縮させる極性と反対の極性の電圧を印加することにより増加させることができる。例えば、本例では、正電圧の印加により、圧電アクチュエータ342は軸EAに沿って拡張し、拡張状態のとき、負極性電圧の印加により、圧電アクチュエータ342は、電圧の非存在の場合よりも速く収縮する。いずれにしても、圧電アクチュエータ342に印加される電圧を調整することにより、それは拡張軸EAに沿って拡張または収縮させられ、電圧調整は印加電圧の大きさおよび/または極性の調整を伴い得ることが理解される。
【0054】
電極(図示せず)が、電気入力信号を1つのまたは各圧電アクチュエータ342に印加するために提供される。通常、少なくとも2つの電極が提供される(少なくとも1つの正および1つの負)。電極は電源(図示せず)に接続される。電源はコイル332の電源と同じであっても同じでなくてもよい。いずれにしても、圧電アクチュエータ342およびコイル332への電圧の印加は、例えば本明細書に記載されるようにアクチュエータ318の動作を制御するようにプログラムまたは構成された制御装置(図示せず)によって、別々に制御される。例えば、制御装置は、コイル332および圧電アクチュエータ342に電圧を印加するための電気回路に組み込まれたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたは他の論理デバイスを備えてもよい。
【0055】
例として、典型的な実施形態では、1つのまたは各圧電アクチュエータ342は、約30mmの長さ(方向EAの)、約10mmの高さ、および約10mmの幅を有し得る。印加電圧に応じて、圧電アクチュエータ342は、その長さの最大約0.1%EA軸に沿って拡張または収縮し得る。印加電圧範囲は例えば-125V~+500Vであり得る。典型的には、圧電層の厚さは約250μmであり得る。圧電アクチュエータは、通常、形状が実質的に直方体であるが、実施形態に適した他の形状をとることができる。
【0056】
好ましい実施形態では、1つまたは各圧電アクチュエータ342は、圧電アクチュエータ342の拡張が本体部分322A、332Bを互いに離れるように押すように、それぞれの本体部分332A、332Bに結合される。通常、その配置は、拡張時に(例えば、収縮状態から平衡状態へ、または収縮状態から拡張状態へ、または実施形態に応じて平衡状態から)、圧電アクチュエータ342が他方の本体部分322A、322Bの接触面324A、324Bと係合し、本体部分322A、332Bを互いに遠ざけるように反発するようなものである。この目的のために、拡張軸EAは、それぞれの本体部分322A、322Bの移動方向と実質的に平行であることが好ましい。好ましくは、圧電アクチュエータ342は、圧電アクチュエータ342が収縮または平衡状態にあるとき(好ましくは、アクチュエータ342のストロークを増加させるために収縮状態にあるとき)、(拡張軸の方向の)その端部の一方が、そのそれぞれの本体部分322A、322Bのそれぞれの接触面324A、324Bと実質的に同一平面または同じ高さになるように、好ましくは正確に同一平面または同じ高さになるように配置される。好ましくは、圧電アクチュエータ342は、好ましくは一端がそれぞれの接触面324A、324Bに位置するように、それぞれの本体部分322A、322Bに埋め込まれる、例えばそれぞれの本体部分322A、322Bに形成された凹部内に配置される。任意選択的に、各圧電アクチュエータ342の該一端には、圧電材料と比較して比較的硬い材料、例えば高硬度鋼から形成された先端343が設けられ、使用中の衝撃の影響から圧電材料を保護する。あるいは、圧電アクチュエータ42は、任意の都合の良い方法で、それぞれの本体部分に組み込む、例えば埋め込む、または別の方法で取り付ける、または支持することができる。
【0057】
好ましい実施形態では、それぞれの圧電アクチュエータ342は各本体部分322A、322Bに設けられ、アクチュエータ342は、拡張時に、それらが互いに係合して本体部分322A、322Bを互いに反発させるように互いに整列される。したがって、圧電アクチュエータ342の組み合わされたストロークは、圧電アクチュエータ342の反発効果を増幅する。
【0058】
使用中、本体部分322A、322Bが非接触状態にあり、圧電アクチュエータ342が比較的収縮状態にある状態で(例えば、実施形態の構成に応じて平衡状態にあるか、または平衡状態にそれぞれ収縮している)、本体部分322A、322Bはコイル332を通電することによって接触状態に置かれ得る。好ましくは、圧電アクチュエータ342の配置は、それらの端部が接触面324A、324Bが互いに係合して接触状態になることを妨げないようなものである。本体部分322A、322Bは、コイル332の通電を維持することにより、またはコイル332を通電解除した後の残留磁気により、接触状態に維持され得る。本体部分322A、322Bを離すことが望まれる場合、コイル332は、コイル332に印加される電圧の極性を反転することにより、好ましくは通電解除される。しかしながら、コイル332の通電解除は必須ではない。それというのも、有利なことに、本体部分322A、322Bの分離は圧電アクチュエータ342によって行われるからである。特に、適切な電圧信号の印加に応じて圧電アクチュエータ342が拡張すると、圧電アクチュエータ342は、本体部分322A、322Bを押し離し、非接触状態に向かう、いくつかの実施形態では非接触状態に至る。本体部分322A、322Bのこの分離は、部分322A、322Bを一緒に保持していた残留磁気を消滅させ、そのため、本体部分322A、322Bは、次にコイル332が通電されるまで接触状態に戻らない。好ましい使用モードでは、接触状態を確立すると、コイル322に印加される電圧を低下させることによりコイル322は通電解除される。本体部分322A、322Bを分離するとき、圧電アクチュエータ342の拡張に加えて、逆極性電圧がコイル332に印加されて本体部分322A、322Bの分離を促進することも好ましい。
【0059】
いくつかの実施形態では、本体部分322A、322Bを離すように、好ましくは非接触状態にするために、1つまたは複数の弾性付勢機構(例えば、1つまたは複数のバネ(図示せず))を設けることができる。コイル332が通電されて本体部分322A、322Bを一緒にするとき、および(該当する場合)本体部分322A、322Bを一緒にラッチする後続の残留磁気によって、弾性バイアスは克服される。したがって、本体部分322A、322Bを分離するように圧電アクチュエータ342が操作されると、本体部分は弾性バイアスによって可動である。
【0060】
圧電アクチュエータ342を使用する利点は、電磁動作装置330と比較して、(特に好ましい実施形態において本体部分322A、322Bを接触状態から離脱させるときに)それらの拡張および収縮を制御できる速度および精度である。しかしながら、各圧電アクチュエータ342が拡張および収縮する量は、そのサイズに対して比較的小さい。対照的に、電磁動作装置330は、圧電アクチュエータ単独によってもたらされ得るものと比較して、(特に好ましい実施形態において非接触状態から接触状態に移動するとき)本体部分322A、322Bの比較的大きな移動を支持する。加えて、電磁動作装置330は、圧電アクチュエータ342よりも高い動作力を生み出すことができる。したがって、ハイブリッドアクチュエータ318は、比較的高速かつ正確な方法で動作可能でありながら、比較的大きな力で比較的大きなストロークを備える。
【0061】
本体部分322A、322Bは、本体部分322A、322Bを支持し、接触状態と非接触状態との間の相対運動を可能にする支持構造体に組み込まれる。非接触状態(本体部分322A、322Bの静止状態に対応し得る)でそれらが最も離れているときの本体部分322A、322Bの相対位置は、典型的には、本体部分322A、322Bが組み込まれる支持構造体の構成によって決定され、実施形態ごとに異なり得る。支持構造体は、任意の適切な形態をとることができるが、図示の例では、本体部分322A、322Bは、本体部分322A、322Bのそれぞれに接続され、接触面324A、324Bの界面にまたがる第1の可撓性構造体350を含む支持構造体に組み込まれる。好都合なことに、可撓性構造体350は、本体部分322A、322Bと、例えばそれぞれの可撓性ベアリング352で一体的に形成される。好ましくは、可撓性構造体350は、本体部分322A、322Bの移動方向にアクチュエータ318の実質的に全長にわたって延びる。可撓性構造体350は、シート状の形態であってもよく、1つまたは複数のストリップを含んでもよい。可撓性構造体350は、本体部分322A、322Bの外面354にわたって延びる。好ましくは、可撓性構造体350と外面354との間にギャップが設けられ、それを通してコイル332が巻かれる。可撓性構造体350は、本体部分322A、322Bと同じ材料から都合よく形成される。可撓性構造体350は、有利には弾性的に可撓性である。可撓性構造体350は、好ましくは、本体部分322A、322Bに対して外側に湾曲する。好ましくは、同様の可撓性構造体350’が本体部分322A、322Bの反対側の外面356に設けられ、コイル322が可撓性構造体350と外面356との間に巻かれる。
【0062】
好ましい実施形態では、可撓性構造体350、350’は、非接触状態における本体部分322A、322Bの位置、すなわち各本体部分322A、322Bの静止位置を決定する。可撓性構造体350、350’は、接触状態と非接触状態との間の本体部分322A、322Bの移動の程度を決定する。構造体350、350’の弾力性により、それらは本体部分322A、322Bを離して非接触状態に押しやる、すなわち、構造体350、350’は、上述の弾性付勢装置として機能し得る。
【0063】
可撓性構造体350、350’は、本体部分322A、322Bと、アクチュエータ318が使用中に操作するいずれかのアイテムまたは構造体(図3には図示せず)との間の機械的結合装置として機能する。この例では、可撓性構造体350、350’は、拡張軸EAの方向の本体部分322A、322Bの動きを、垂直動作軸AAに沿った動きに変換する。可撓性構造体350は、操作される構造体/アイテムと結合するための結合要素358(例えば、アバットメントまたはコネクタ)を含む。図示された実施形態では、結合要素358は、本体部分322A、322Bの互いに向かう動きに応答して軸AAに沿って上方に(図3で見た場合)移動し、本体部分322A、322Bの互いに離れる動きに応答して軸AAに沿って下方に(図3で見た場合)移動する。代替実施形態(図示せず)では、1つのまたは各可撓性構造体350、350’は、結合要素358が本体部分322A、322Bの互いに向かう動きに応答して軸AAに沿って下向きに(図3で見た場合)動き、本体部分322A、322Bの互いに離れる動きに応答して軸AAに沿って上方に(図3で見た場合)動くように構成され得る。例えば、これは、図示のように外向きではなく本体322A、322Bに向かって内向きに曲がるように1つのまたは各可撓性構造体350、350’を構成することにより達成することができる。
【0064】
有利には、可撓性構造体350、350’は、ハイブリッドアクチュエータ318の動作ストローク(この例では結合要素358の移動範囲)を本体部分322A、322Bの移動よりも大きくすることにより増幅器として機能する。
【0065】
好ましい実施形態では、コイル332は、ビオ・サバールの法則によって説明されるように、接触面324A、324Bを一緒にラッチする磁場を生成する。接触面324A、324Bが互いに接近すると、それ自体がアクチュエータの磁気回路の一部である可撓性構造体350、350’は、閉鎖本体部分322A、322Bの比較的短い水平(図3で見た場合)運動を、比較的大きな垂直(図3に見た場合)運動に変換する。可撓性構造体350、350’の好ましい弧形状は、それらをばねとして作用させて、閉鎖する間の2つの接触面の衝突を減衰させ、回路を開くための命令を受信したとき、または電力損失状態の間、本体部分を分離するための開放力を提供する。
【0066】
圧電アクチュエータ342は、磁気ラッチ力に打ち勝ち、本体部分322A、322Bを離すように正確な時間にトリガーされる相当の衝撃を提供する。このラッチ解除動作は、好ましくは、磁場を崩壊させるためにコイル322に逆バイアスが印加されているときに同時に発生する。圧電アクチュエータの時間の偏差は、コイルのみの逆バイアスパルスの偏差よりもはるかに大きい。圧電アクチュエータを使用することで得られる精度の改善により、ポイントオンウェーブ(point-on-wave)精度が向上し、待ち時間が短縮される一方、磁気コイル332により可動範囲が拡大し、その結果、接触ギャップが拡大する(絶縁耐力が向上する)。
【0067】
本発明を具現化するハイブリッドアクチュエータは、可撓性構造体350、350’と一緒の使用に限定されないことが理解されるであろう。例えば、本発明を具現化するハイブリッドアクチュエータは、他のタイプの機械的または電気機械的結合装置、例えば、ロッド、レバーおよび/または蛇腹装置、またはアクチュエータを、操作されるアイテムに結合するための他の構造と一緒に使用されてもよい、またはそれを含んでもよい。さらに、そのような結合は、本体部分322A、322Bの移動方向に垂直な方向に動作を与えるように構成される必要はない。例えば、結合構成は、本体部分の移動方向と平行な方向に動作を与えるように構成されてもよい。さらに、本発明を具現化するハイブリッドアクチュエータは、この例では可撓性構造体350、350’によって提供されているもの以外の支持構造体に組み込むことができ、この支持構造体は、本体部分の相対位置および/または1つのまたは該当する場合各本体部分の許容できる運動を決定し得る。例えば、本体部分は、各本体部分を通過するステムによって互いに結合されてもよく、本体部分の少なくとも一方は、ステムに沿って他方の本体部分に向かっておよび他方の本体部分から離れるように移動可能である。支持構造体は、例えば、本体部分の一方を固定位置に保持し、他方の本体部分が動くことを可能にしてもよい。典型的な実施形態において、支持構造体は、本体部分の一方または両方が、圧電アクチュエータによってもたらされ得る変位を超える量だけ動くことを可能にし得る。弾力性のあるバイアス手段が、1つのまたは(該当する場合)各本体部分を静止位置に戻すために提供されてもよい。
【0068】
代替実施形態では、1つのまたは各圧電アクチュエータは、他方の本体部分に対してそれぞれの本体部分の後ろに配置され、それぞれの本体部分を他方の本体部分から引き離すように収縮可能であってもよい。そのような場合、圧電アクチュエータは、それぞれの本体部分と支持構造体との間に結合されてもよい。さらなる代替実施形態(図示せず)では、1つまたは複数の圧電アクチュエータを提供して、拡張時に、本体部分の1つまたは複数を他方に向かって押すことができる。この目的のために、圧電アクチュエータは、(他方の本体部分に対して)それぞれの本体部分の後ろに配置され、それぞれの本体部分を他方の本体部分に向かって移動させるために支持構造体を押すように構成されてもよい。
好ましい実施形態では、1つのまたは各圧電アクチュエータは、一方の本体部分を別の本体部分に対して押すように作用する。この動作は、圧電アクチュエータと他方の本体部分(または圧電アクチュエータが押しのけようとするいずれかの物体)との間の直接的な結合によるものであり得る。例えば、図示の例では、一方の本体部分322Aの圧電アクチュエータ342は、他方の本体部分322Bの圧電アクチュエータ342に直接作用する。あるいは、圧電アクチュエータと他方の本体部分(または圧電アクチュエータが押しのけようとするいずれかの物体)との間に間接的な結合が存在し得る。例えば、1つのまたは各圧電アクチュエータは、それと他方の本体部分(または圧電アクチュエータが押しのけようとするいずれかの物体)との間に設けられた結合部材(例えばロッド)に作用し得る。
【0069】
好ましい実施形態では、圧電アクチュエータ342の動作は、本体部分322A、322Bの機械的なクランプ解除もロック解除も実行しない。むしろ、圧電アクチュエータは、本体部分を一緒に保持する磁気ラッチ効果を破壊する働きをする。これは、本体部分間の磁気ラッチ効果を破壊するのに十分離れるまで本体部分を遠ざけることによって達成される。磁気ラッチ効果が破壊されると、本体部分322A、322Bはさらに離れて非接触状態になり得、この移動は、本実施形態では、可撓性構造体350、350’によってもたらされるが、代わりに、代替実施形態において本体部分が組み込まれ得るいずれかの他の構造体によって引き起こされてもよい。
【0070】
代替実施形態では、圧電アクチュエータ342は、本体部分322A、322Bを離して保持するように操作されることができ(すなわち、圧電アクチュエータは、本体部分間のエアギャップを維持するために比較的拡張した状態を採用する)、次に、必要に応じて、実施形態に依存して存在し得る(例えば、永久磁場、電磁場、および/またはあてはまる場合残留磁場からの)いずれかの磁力の下で本体部分が一緒に移動できるように収縮するように操作されることができる。
【0071】
好ましい実施形態では、磁気ラッチ効果は、上述のように電磁動作装置330によって生成される。代替実施形態では、特に、本体部分332A、332Bのいずれかまたは両方が、本体部分が十分に近付けられると本体部分322A、322Bを一緒に磁気的にラッチするように配置されたそれぞれの磁極を備えた(永久)磁石を含む実施形態では、電磁動作装置330は省略されてもよい。したがって、磁性本体部分322A、322Bは、本体部分322A、322Bを接触状態において磁気的に保持する。本体部分322A、322Bを非接触状態に移動することが望まれる場合、磁気ラッチ効果は、上述と同じ方法で圧電アクチュエータ342によって破壊することができる。そのような実施形態では、磁気ラッチ効果を生成するために、本体部分322A、322Bを互いに向かって移動させるための別の動作装置(図示せず)が提供されてもよい。他の動作装置は、典型的には1つまたは複数の作動装置、例えば、電気アクチュエータ、機械アクチュエータ、または電気機械アクチュエータ、あるいはそれらの組み合わせを含む、任意の適切な従来の形態(通常、非圧電形態)をとることができる。このような実施形態は、1つより多くのタイプの操作用アクチュエータ、特に本体部分を離すための圧電アクチュエータ、および本体部分を一緒に動かす別のタイプを使用するため、依然としてハイブリッドアクチュエータと呼ばれる場合がある。
【0072】
本明細書では本発明の実施形態をアクチュエータの文脈で記載しているが、本発明はアクチュエータに限定されないことを理解されたい。これに関連して、ハイブリッドアクチュエータ318は、図示の実施形態では、可動本体部分322A、322B、圧電動作装置340、および電磁動作装置330(または電磁動作装置が省略されている場合、代替動作装置)を備えるハイブリッド磁気圧電開閉装置を備えると言うことができる。ハイブリッド磁気圧電開閉装置は、必ずしもアクチュエータの一部として使用する必要はない。例えば、代替的に、磁気回路(図示せず)で、例えば、調整可能なリラクタンス装置として、または回路内に選択的にエアギャップを形成するため、または磁気ラッチ装置として使用されてもよい。なおも代替的に、ハイブリッド磁気圧電開閉装置は、電気スイッチ内で使用されてもよい。本明細書に記載される接触状態は、ハイブリッド磁気圧電開閉装置の閉状態に対応すると言うことができる。典型的な実施形態では、本体部分322A、322Bのそれぞれの接触面は、閉状態(または接触状態)で互いに係合し、圧電アクチュエータの拡張により押し離される。しかしながら、いくつかの実施形態では、閉状態において接触面間にギャップが存在し得る。
【0073】
本発明を具現化するハイブリッドアクチュエータは、真空回路遮断器での使用に適している。特に、ハイブリッドアクチュエータは、真空断続器に結合され、断続器の接点を開閉するように動作可能であってもよい。
【0074】
図4は、本発明の別の態様を具現化する真空回路遮断器(VCB)400の実施形態を示す。VCB400は、真空断続器410およびアクチュエータ418を備える。この例では、アクチュエータ418は、図3Aおよび3Bを参照して上述したアクチュエータ318と同じである。しかしながら、代替の実施形態(図示せず)では、アクチュエータ418は、他の形態、例えば従来の電磁アクチュエータまたは従来の圧電増幅器、特に増幅圧電増幅器の形態をとることができる。
【0075】
真空断続器410または真空開閉装置は、少なくとも使用中、真空チャンバ416、すなわち、気密封止され真空下にあるチャンバ内に配置された可動電気接点412および固定電気接点414を備える。可動接点412は、固定接点414から電気的および物理的に分離されている開状態(図示のように)と、固定接点414と電気的および物理的に接触する閉状態との間で移動可能である。各接点412、414は、開状態において(図示のように)互いに対向して配置され、閉状態において互いに係合する接触面412’、414’を有する。開状態は、真空断続器410の、対応して回路遮断器400の開状態すなわち遮断状態に対応し、ここではそれが属する回路(図示せず)の電流を遮断する。閉状態は、真空断続器410の、対応して回路遮断器400の閉状態すなわち構成状態に対応し、ここでは電流は接点412、414の間に流れることができる。
【0076】
接点412の開状態と閉状態との間の移動は、アクチュエータ418によって行われる。典型的な実施形態では、アクチュエータ418は、必要に応じて接点412を接点414と係合させ、係合から離脱させる。代替の実施形態では、アクチュエータは、接点を他の接点と係合させるだけ、または係合から離脱させるだけでもよい。例えば、アクチュエータは、接点を分離するように動作可能であり得、接点は手動で一緒に閉じられ得る、またはその逆であり得る。
【0077】
VCB400は、アクチュエータ418が真空断続器410と同じハウジング415に配置されるタイプのものである。ハウジング415は、任意の適切な材料から形成されてもよい。アクチュエータ418は、真空チャンバ416内に配置され、可動接点412に結合される。アクチュエータ418と真空断続器410との間の機械的結合は、任意の都合の良い形態をとることができる。図示の実施形態では、結合は、可撓性の導電性構造体460と、電気的におよび好ましくはまた熱的にアクチュエータ418を可撓性構造体460から分離する電気的および好ましくはまた熱的絶縁体462とを含む。絶縁体462は、アクチュエータ418を可撓性構造体460に結合し、例えば、電気的および/または熱的絶縁材料の1つまたは複数のブロックまたは層を含むことができる。この例では、アクチュエータ418の結合要素358は、例えばアバットメントまたは接着剤によって絶縁体462に結合されている。
【0078】
可撓性構造体460(図4の端面図に示されている)は、アクチュエータ418と真空断続器410との間でハウジング415の内側を横切って延びている。図示の可撓性構造体460は、導電性材料のストリップの形態をとっているが、代替的に、例えばバー、ロッド、シート、プレート、または膜を含む他の形式をとってもよい。可撓性構造体460の端部は、任意の都合の良い方法でハウジング415の両側に固定することができる。
【0079】
アクチュエータ418は、アクチュエータ418の動作が可撓性構造体460を図4で見た場合に上下に撓ませるように、可撓性構造体460に結合される。好ましくは、可撓性構造体460は非弾性であり、例えば、実質的に弾力性を持たないすなわち低弾力であり、撓みに対する抵抗をほとんどまたはまったく提供しない。これは、可撓性構造体460が作製される材料および/またはその厚さおよび/またはその形状の適切な選択により達成され得る。接点412は、可撓性構造体460の撓みが接点412の対応する動きに伝達されて固定接点414に近づいたり離れたりするように、可撓性構造体460に結合される。
【0080】
可撓性構造体460は、可動接点412およびVCB400の端子(図示せず)に電気的に接続され、使用中に接点412と各VCB端子との間で(したがって、VCBが保護のために組み込まれている外部回路に)電流を運ぶための導電体として機能する。この目的のために、可撓性構造体460は、全体的または部分的に導電性材料から形成されるか、または導電体を含んでもよい。例えば、可撓性構造体460は、金属、例えば銅のストリップであってもよい。
【0081】
本発明のこの態様に到達する際に、真空断続器410と同じチャンバ416にアクチュエータ418を含めることに利点、例えば小型化がある一方、以下の問題が特定されている、すなわち、アクチュエータ418の構成要素(例えば、コイルまたは圧電コーティング)からのガス放出または機械的結合からのガス放出が真空断続器410の性能に悪影響を及ぼし得るという問題が特定されている。例えば、ガス放出は、真空チャンバ内の圧力の変化、特に増加を引き起こす可能性があり、および/または真空チャンバ内の分子の存在をもたらす可能性があり、両方とも、例えば絶縁耐力を低下させることによって、断続器410の性能の低下につながる可能性がある。
【0082】
この問題に対処するために、真空チャンバ416を第1および第2のサブチャンバ416A、416Bに仕切るために、ハウジング415に仕切り464が設けられ、電圧断続器410は第1のサブチャンバ416A内にあり、アクチュエータ418は第2のサブチャンバ416B内にある。仕切り464は、分子が第2のサブチャンバ416Bから第1のサブチャンバ416Aに移動するのを防ぐための障壁として機能する。好ましい実施形態では、仕切り464は、ダイアフラムまたは他のシート状構造を含む。しかしながら、仕切り464は、他の任意の適切な構造を備えてもよく、1つまたは複数の部品を備えてもよい。仕切り464は、サブチャンバ416A、416Bを互いに分離しているが、サブチャンバ416A、416B間に気密シールを提供する必要はない、すなわち、サブチャンバを互いに気密シールする必要はない。さらに、仕切り464は、サブチャンバを互いに気密シールしないことが好ましい。したがって、1つまたは複数の開口部(図示せず)または他の形成物または不完全部(図示せず)が、仕切り464に存在し得る、および/または仕切り464と、それが固定される任意の構成要素、例えばチャンバ416の表面、および/またはアクチュエータ418と接点412との間の機械的結合および/または該当する場合接点412との間の界面に存在し得る。仕切り464内またはその周囲のチャネルまたはギャップなどの形成物によって提供されるものを含む開口部は、好ましくは「差分開口部(differential aperture)」として知られるタイプのものであり、これはそれらが分子が第2のサブチャンバ416Bから第1のサブチャンバ416Aに移動するのを少なくとも制限し理想的には防止するのに十分に小さいことを意味する。この目的のために、仕切り464およびその界面の構成は、いずれの開口部も高いクヌーセン数(Kn)、好ましくはKn>0.5を提供するようなものである。
【0083】
図示された実施形態において、仕切り464(ダイヤフラムの好ましい形態)は、チャンバ416の内側を横切って広がり、(上述の開口部/形成物によって決まる)チャンバ416の断面積全体を覆い、任意の都合の良い方法で、例えばろう付け、例えば真空ろう付けによって、チャンバ416の壁(および仕切り464を通過し得るVCBの他のいずれかの構成要素)に固定される、例えば非気密にシールされる、または別の方法で非気密に固定される。この例では、仕切り464は可動接点412にも非気密に固定されている。特に、仕切り464は接点412を囲み、接点412にその周囲で固定されている。ダイアフラムは接点412の運動に適応するように可撓性である。
【0084】
図示された実施形態では、アクチュエータ418およびアクチュエータ410と可動接点412との間の機械的結合部(すなわち、この例では可撓性構造体460および絶縁体462)は第2のサブチャンバ416Bに配置される一方、真空断続器410は第1のサブチャンバ416A内に配置される。この例では、接点412の本体の後部は第2のサブチャンバ416B内にあるが、真空断続器のアクティブ部分、特に接点の相互係合可能な接触面は第1のサブチャンバ416A内にある。
【0085】
代替実施形態では、仕切り464の位置は、サブチャンバ間の構成要素の分離が図4に示されるものと異なるようにすることができ、例えば、仕切りは、機械的結合部の一部が第1のサブチャンバ416A内に配置されるように、アクチュエータ410と可動接点412との間の機械的結合部と交差することができる。しかしながら、実質的にすべての機械的結合部が第2のサブチャンバ416B内にある、すなわち真空断続器410の接点から隔離されていることが好ましい。いずれにしても、少なくとも接点412、414、より具体的には接点412、414の相互係合可能な接触面は、他の構成要素によって引き起こされるガス放出の影響から隔離されるように、第1のサブチャンバ416A内に配置される。実用においては、真空断続器410は第1のサブチャンバ416A内に配置されていると言うことができる(たとえその非アクティブな部分が第2のサブチャンバにさらされ得るとしても)。仕切り464は、それが交差するいずれかの構成要素に非気密にシールされるか、別の方法で非気密に固定される。
【0086】
仕切り464は、ダイアフラムを備える代わりに、任意の他の適切な構造、例えば、リンケージまたはプレートのアセンブリ(図示せず)を備えてもよい。構造内または構造の周囲のチャネルまたはギャップなどの形成物を含む開口部は、「差分開口部」タイプであることが好ましい。さらに、仕切り464は、アクチュエータ418によって引き起こされる動きに対応するように構成されている、すなわち、可撓性および/または可動である。好ましい実施形態では、仕切り464は、回路遮断器蛇腹を備えると言うことができる。
【0087】
好ましい実施形態では、仕切りまたはダイアフラム464は、金属箔、好ましくは低機械抵抗の金属箔を含む。これに関連して、低い機械抵抗は、例えば、50n/mm以下のK値を示すことを意味し得る。仕切り464は、非弾性であることが好ましい。例として、仕切り464は、アルミニウム-シリコン銅、銅-銀、銀、またはニッケル合金から作られてもよい。ダイアフラム、または仕切りを提供するために使用される他の構造は、可撓性導電性構造体460とは別個であっても、組み合わされてもよい。仕切り464は高いクヌーセン数、例えば、0.5以上のクヌーセン数を提供する開口部、例えば穴、チャネル、ギャップおよび/または不完全部を含み得る、すなわち、気密シールは不要であり、好ましい実施形態では望ましくない。気密シールがない場合、ダイアフラムまたはその他の仕切り構造は、低質量、低機械抵抗を有し、製造が簡単である。このような要因により、生産量が劇的に向上する。
【0088】
使用中、サブチャンバ416A、416Bのそれぞれは真空状態にあり、すなわち、真空圧、好ましくは少なくとも中真空圧、より好ましくは少なくとも高真空圧(典型的には10-3ミリバール以下のオーダーの圧力)に保持される。少なくとも最初は、各サブチャンバ416A、416Bは同じまたは実質的に同じ真空レベルであり得る。使用中、第2のサブチャンバ416B内の構成要素からのガス放出の結果として、サブチャンバ416A、416B間に圧力差が生じ得る(第2のサブチャンバ内の圧力が増加し得る)。しかしながら、圧力差は比較的小さい。例えば、サブチャンバ416A、416Bは、最初は同じ圧力(例えば、約10-6ミリバール)であり得るが、コイルまたは圧電コーティングなどの第2のサブチャンバ416B内の構成要素からの連続的なガス放出は、経時的に2つのサブチャンバ間の圧力の上昇率の差を引き起こす。ガス放出によって生じる圧力の増加は、真空断続器がガスにさらされた場合、絶縁耐力を低下させることにより、断続器の性能の低下につながるだろう。仕切り464によって提供される分離は、これを防止する、または実質的に防止する。
【0089】
標準的な真空断続器(VI)には通常、超高真空(UHV)圧力を維持するための蛇腹があり、このような蛇腹は大気からUHVまでのかなりの圧力勾配に対処する必要がある。対照的に、本発明の好ましい実施形態で提供される仕切り464は、(層流または粘性流領域とは対照的に)分子流領域を支持する。分子流は、クヌーセン流と呼ばれる場合がある。クヌーセン流は、流れ空間(この場合は仕切り464の開口部によって提供され得る)の特徴的な長さ(または他の関連する寸法、例えば開口部またはチャネルの幅)が分子(この場合、アクチュエータ418の1つまたは複数の構成要素からのガス放出の結果としてサブチャンバ416Bに存在する分子)の平均自由行程と同じまたはそれよりも小さいオーダーである場合に生じる。この場合、仕切り464は高いクヌーセン数を提供すると言うことができる。クヌーセン数(Kn)は、分子の平均自由行程(λ)対特性次元(d)の比である:Kn=λ/d。好ましい実施形態では、仕切り464は、0.5より大きいクヌーセン数を提供する。あるいは、クヌーセン数は1以上であり得る。いずれにしても、結果として、2つのサブチャンバ間に圧力差はほとんどない(例えば、第1のチャンバ416A内で約10-6ミリバール、第2のサブチャンバ内で約10-3ミリバール)。仕切り464のいずれの開口部も非常に小さい(典型的に1mm未満)。
【0090】
平均自由行程(λ)は、ガス分子が別のガス分子と衝突する前に移動できる平均距離であり、容器内の真空圧の関数である。回路遮断器が動作する高真空領域では、平均自由行程は通常1kmのオーダーである。
【0091】
サブチャンバ416A、416B間の圧力勾配が低いということは、ダイアフラムや他の仕切り構造にほとんど力がかからないことを意味し、ダイアフラムや他の仕切り構造を薄く、軽量で、製造が簡単なものにすることができる。これらの機械的事実は、ダイアフラム、または他の仕切り構造が、アクチュエータ418および接点412の動きを妨げないことを意味する。蛇腹の構造で避けられない材料および幾何学的変化は、機構の予測可能性のかなりの逸脱につながり得る。これはポイントオンウェーブの性能に影響を与え、それにより断続能力、成功率、および/または寿命が低下するだろう。
【0092】
本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正または改良することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4