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特許7252260電極グラファイトスクラップから酸化グラフェンを製造するための方法
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  • 特許-電極グラファイトスクラップから酸化グラフェンを製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】電極グラファイトスクラップから酸化グラフェンを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/198 20170101AFI20230328BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20230328BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20230328BHJP
   H01B 1/04 20060101ALI20230328BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
C01B32/198
B09B3/35
B09B3/70
H01B1/04
H01B13/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020565401
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2019052936
(87)【国際公開番号】W WO2019224619
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/053642
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブー,ティ・タン
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス-アルバレス,アベル
(72)【発明者】
【氏名】スアレス・サンチェス,ロベルト
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107673338(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072573(US,A1)
【文献】韓国登録特許第1109961(KR,B1)
【文献】Z-S WU ET AL,Synthesis of high-quality graphene with a pre-determined number of layers,Carbon,2009年,Vol. 47,p. 493-499
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/198
B09B 3/35
B09B 3/70
H01B 1/04
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト電極スクラップから酸化グラフェンを製造するための方法であって、
A.電気アーク炉で使用されたグラファイト電極スクラップを提供することと、
B.粉砕されたグラファイト電極を得るために電極グラファイトスクラップを粉砕することと、
C.酸化グラフェンを得るための、粉砕されたグラファイト電極の酸化ステップであって、以下の連続するサブステップである
i.粉砕されたグラファイト電極、酸及び硝酸塩を含む混合物の調製であって、前記混合物が5℃未満の温度に保たれる調製、
ii.酸化グラファイトを得るための、ステップC.i)で得られた混合物への酸化剤の添加、
iii.少なくとも45重量%の酸素官能基の目標の酸化レベルに達した後、酸化反応を停止させるための化学的要素の添加、
iv.ステップC.iii)で得られた混合物からの酸化グラファイトの分離、
v.酸化グラファイトの酸化グラフェンへの剥離
を含むステップと
含み、
ステップB.において、200μm未満のサイズを有する粉砕されたグラファイト電極を得るために粉砕が行われる、
法。
【請求項2】
ステップB)において、150μm未満のサイズを有する粉砕されたグラファイト電極を得るために粉砕が行われる、請求項に記載の方法。
【請求項3】
ステップB)において、100~150μmのサイズを有する粉砕されたグラファイト電極を得るために粉砕が行われる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
ステップC.i)において、硝酸塩が、NaNO、NHNO、KNO、Ni(NO、Cu(NO、Zn(NO、Al(NO又はそれらの混合物から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップC.i)において、酸が、HSO、HCl、HNO、HPO、CCl(ジクロロ酢酸)、HSOOH(アルキルスルホン酸)又はそれらの混合物から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップC.ii)において、酸化剤が、過マンガン酸カリウム、H、O、H、HSO、KNO、NaClO又はそれらの混合物から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップC.iii)において、酸化反応を停止させるために使用される化学的要素が、酸、非脱イオン水、脱イオン水、H又はそれらの混合物から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
反応を停止させるために少なくとも2つの要素が選択される場合、それらが連続的に又は同時に使用される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ステップC.iii)において、ステップC.ii)で得られた混合物が、酸化反応を停止させるために使用される要素に徐々に注入される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップC.iv)において、酸化グラファイトが、遠心分離、デカンテーション、蒸留又は濾過によって分離される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップC.v)において、剥離が、超音波、機械撹拌器、ふるい振とう器又は熱剥離を使用することにより行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極グラファイトスクラップから酸化グラフェンを製造するための方法に関する。特に、酸化グラフェンは、鋼鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、銅合金、チタン、コバルト、金属複合材料、ニッケル産業を含む金属産業において、例えば、コーティング又は冷却試薬としての用途がある。
【背景技術】
【0002】
グラファイト電極スクラップは、製鋼工程の残留物である。実際、グラファイト電極スクラップは、電気アーク炉(EAF)で使用されている。EAFは、装入した材料、つまりスクラップを電気アークによって加熱するグラファイト電極を備えた炉である。EAFにスクラップを装入した後、電極をスクラップ上に降ろし、アークを発生させ、次に電極を炉の上部にあるシュレッドの層に穴を開けるようにセットする。電極が炉の底部で重い溶融物に到達し、アークがスクラップによって遮蔽されると、電圧を増加させることができ、電極をわずかに上昇させ、アークを長くし、溶融物への電力を増加させる。
【0003】
電極は数回使用することができるが、その耐用期間は短い。通常、廃グラファイト電極スクラップは屋外に保管される。
【0004】
グラフェンの合成に使用される廃グラファイト電極を使用することが知られている。グラフェンは、六角形のハニカム格子で互いに結合された炭素からなるグラファイトの単一層である。言い換えれば、それはsp結合原子の平面構造における炭素の同素体である。
【0005】
特許CN107673338は、機械的剥離工程を開示している。この特許では、廃グラファイト電極を使用してグラフェンを調製する方法は、以下のステップを含む。
【0006】
-ステップ1:廃グラファイト電極の前処理、精製及び液相剥離強化
-ステップ2:遠心分級
-ステップ3:後処理
しかしながら、このグラフェンの製造方法は、多数のステップを含む。特に、廃グラファイト電極の前処理、精製及び液相剥離強化(ステップ1)は、方法の時間を著しく延長する多数のサブステップを含む。実際、該方法は、表面層を20μm~60μmの粒径のグラファイト粉末に粉砕し、アルミニウム元素とグラファイト粉末との質量比が1:10~1:50となるように配合及び添加されたアルミニウムイオン塩を含む液相精製剥離溶液にグラファイト粉末を投入して精製及び剥離強化処理を行い、処理工程中に液相精製剥離溶液のpHを0.5~2に制御し、処理終了後、溶液を静置して成層させることにより、グラフェン含有混濁液である上層と、粗大なグラフェン及び不溶性不純物粒子である下層とが生じ、この上層と下層とを分離して使用可能なグラフェン含有混濁液を得て、グラフェンを調製する。次に、遠心分離が行われる。最後に、グラファイトをインターカレーションするため、インターカレーション試薬としてナトリウム、アルミニウム及びフッ素を使用してインターカレーションステップが行われる。したがって、グラファイトを剥離してグラフェンを得ることができる。この方法、特に前処理、精製及び液相剥離強化ステップは、工業規模で処理するのが非常に困難である。さらに、この方法を適用することにより、グラフェンのみを得ることができ、酸化グラフェンなどの他の材料は得られないのは、これらの化合物が完全に異なるためである。グラフェンの製造方法を酸化グラフェンの製造方法に置き換えることはできない。
【0007】
酸化グラフェンは、含酸素官能基を含む1層又は数層のグラフェンシートで構成される。酸化グラフェンには、高い熱伝導率及び高い電気伝導率などの興味深い特性があるため、上記のように多くの用途がある。さらに、含酸素官能基の存在は酸化グラフェンを親水性にするため、酸化グラフェンは水に容易に分散することができる。
【0008】
キッシュグラファイトから酸化グラフェンを製造することが知られている。キッシュグラファイトは、通常50重量%を超える大量の炭素を含み、グラフェンベースの材料を製造するのに適している。
【0009】
特許KR101109961は、酸化グラフェンを製造する方法であって、
-キッシュグラファイトを前処理するステップと、
-前処理したキッシュグラファイトを酸性溶液で酸化することにより、酸化グラファイトを製造するステップと、
-酸化グラファイトを剥離することにより、酸化グラフェンを製造するステップと、
-酸化グラフェンを還元剤で還元することにより、還元型酸化グラフェンを製造するステップと
を含む方法について開示している。
【0010】
この韓国特許において、キッシュグラファイトの前処理は、フラッシング工程、化学的前処理組成物を使用した精製工程及び機械的分離工程(サイズによる分離)を含む。精製工程の後、精製されたキッシュグラファイトはサイズによって分離され、40メッシュ以下、すなわち420μm以下の粒径を有するキッシュグラファイトは、酸化グラフェンの製造のために保持される。
【0011】
しかしながら、キッシュグラファイトの前処理は、化学組成物を使用した2つのステップ、すなわちフラッシングステップ及び精製工程ステップを含む。KR101109961の実施例では、フラッシングステップは、水、塩酸及び硝酸を含む水溶液を用いて行われる。次に、精製工程は、キレート剤、酸化鉄除去剤、界面活性剤、アニオン性及び非イオン性ポリマー分散剤、並びに蒸留水を含む前処理組成物を用いて行われる。工業規模では、かなりの化学廃棄物を処理する必要があり、そのような組成物の安定性を制御することが難しいため、2つの化学処理は管理が困難である。
【0012】
さらに、前処理組成物は長時間の調製を必要とする。したがって、生産性が低下する。さらに、前処理組成物を使用する精製工程を含むキッシュグラファイトの前処理は、環境に優しいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】中国特許第107673338号明細書
【文献】韓国登録特許第10-1109961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、従来の方法と比較して生産性を高めるために、環境に優しい方法で酸化グラフェンを短時間で製造する必要がある。
【0015】
したがって、本発明の目的は、従来の方法と比較して、酸化グラフェンを製造するためのより汚染の少ない方法を提供することである。さらに、可能な限り短い時間で良質の酸化グラフェンを得るための工業的方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これは、請求項1に記載の方法を提供することによって達成される。該方法はまた、単独で又は組み合わせて考慮される、請求項2~12の任意の特徴を含み得る。
【0017】
以下の用語が定義される。
【0018】
-酸化グラフェンとは、少なくとも25重量%の含酸素官能基を含む1層又は数層のグラフェンを意味し、
-含酸素官能基とは、ケトン基、カルボキシル基、エポキシ基及びヒドロキシル基を意味する。本発明の他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明により明らかとなるであろう。
【0019】
本発明を説明するために、特に以下の図を参照して、非限定的な実施例の様々な実施形態及び試験について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による1層の酸化グラフェンの例を示す。
図2】本発明による数層の酸化グラフェンの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、グラファイト電極スクラップから酸化グラフェンを製造するための方法であって、
A.グラファイト電極スクラップを提供することと、
B.粉砕されたグラファイト電極を得るために電極グラファイトスクラップを粉砕することと、
C.酸化グラフェンを得るための、粉砕されたグラファイト電極の酸化ステップであって、以下の連続するサブステップである
i.粉砕されたグラファイト電極、酸及び硝酸塩を含む混合物の調製であって、この混合物が5℃未満の温度に保たれる調製、
ii.酸化グラファイトを得るための、ステップC.i)で得られた混合物への酸化剤の添加、
iii.目標の酸化レベルに達した後、酸化反応を停止させるための化学的要素の添加、
iv.ステップC.iii)で得られた混合物からの酸化グラファイトの分離、及び
v.酸化グラファイトの酸化グラフェンへの剥離
を含むステップと
を含む方法に関する。
【0022】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本発明による方法により、グラファイト電極の長時間の準備ステップなしに、グラファイト電極スクラップから酸化グラフェンを製造することが可能であると思われる。実際、電極の粉砕(ステップB)に続く化学的酸化は、先行技術の方法と比較してより環境に優しい方法を短時間で可能にし、酸化グラフェンの生産性を向上させる。
【0023】
好ましくは、ステップB)において、粉砕は、200μm未満、より好ましくは150μm未満、有利には100~150μmのサイズを有する粉砕されたグラファイト電極を得るために行われる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、粉砕されたグラファイト電極が上記のサイズを有する場合、粉砕されたグラファイト電極がより短時間で完全に酸化されるため、該方法の生産性がさらに向上すると考えられる。実際、酸化剤は上記のサイズを有するグラファイト間を容易に移動することができるため、粉砕されたグラファイト電極のサイズもまた、該方法の生産性、特に酸化時間に影響を与える可能性があると思われる。したがって、酸素の割合が高い酸化グラフェンを得るには、電極グラファイトのサイズが上記の範囲外である場合、酸化時間が長くなるリスクがある。
【0024】
好ましくは、ステップC.i)において、硝酸塩は、NaNO、NHNO、KNO、Ni(NO、Cu(NO、Zn(NO、Al(NO又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、硝酸塩は、NaNO及びNHNOから選択される。
【0025】
有利には、ステップC.i)において、酸は、HSO、HCl、HNO、HPO、CCl(ジクロロ酢酸)、HSOOH(アルキルスルホン酸)又はそれらの混合物から選択される。
【0026】
好ましくは、ステップC.ii)において、酸化剤は、過マンガン酸カリウム(KMnO)、H、O、H、HSO、KNO、NaClO又はそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態では、酸化剤は、過マンガン酸カリウムである。
【0027】
好ましくは、反応は、50℃未満の温度又は室温で行われる。
【0028】
次に、ステップC.iii)において、目標の酸化レベルに達したときに、化学的要素を添加して酸化を停止させる。目標の酸化レベルは、酸化グラフェンの酸化度に依存し、すなわち、本発明に従って少なくとも45重量%の酸素基を有する。酸化グラフェンの酸化レベルは、酸化中の経時的な走査型電子顕微鏡法(SEM)、X線回折分光法(XRD)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、LECO分析及び/又はラマン分光法によって分析することができる。
【0029】
次に、有利には、ステップC.iii)において、酸化反応を停止させるために使用される化学的要素は、酸、非脱イオン水、脱イオン水、H又はそれらの混合物から選択される。
【0030】
好ましい実施形態では、反応を停止させるために少なくとも2つの要素が選択される場合、それらは連続的に又は同時に使用される。好ましくは、脱イオン水を使用して反応を停止させ、次にHを使用して酸化剤の残りを除去する。別の好ましい実施形態では、Hを使用して反応を停止させ、酸化剤の残りを除去する。別の好ましい実施形態では、Hを使用して、この以下の反応によって反応を停止させる。
【0031】
2KMnO+3H=2MnO+3O+2KOH+2H
次に、MnOを除去するために、酸を使用することができる。例えば、HClを混合物に添加すると、次の反応が起こる。
【0032】
MnO+2HCl=MnCl(水溶性)+H
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、反応を停止させる要素が混合物に添加されると、この添加が過度に発熱を生じさせて、爆発又は飛散を引き起こすリスクがあると思われる。したがって、好ましくは、ステップC.iii)において、反応を停止させるために使用される要素は、ステップC.ii)で得られた混合物にゆっくりと添加される。より好ましくは、ステップC.ii)で得られた混合物は、酸化反応を停止させるために使用される要素に徐々に注入される。例えば、ステップC.ii)で得られた混合物は、反応を停止させるために脱イオン水に徐々に注入される。
【0033】
任意選択的に、ステップC.iv)において、ステップC.iii)で得られた混合物から酸化グラファイトが分離される。好ましくは、酸化グラファイトは、遠心分離、デカンテーション又は濾過によって分離される。
【0034】
好ましくは、ステップC.v)において、剥離は、超音波を使用することによって、機械撹拌器によって、ふるい振とう器又は熱剥離によって行われる。好ましくは、ステップC.iii)で得られた混合物は、超音波を使用することにより、1層又は数層の酸化グラフェンに剥離される。好ましくは、酸化グラフェンの横方向のサイズは、20μm未満、好ましくは15μm未満である。
【0035】
得られた酸化グラフェンは、粉砕されたグラファイト電極スクラップから製造されるため、良質である。酸素機能の割合が高い。したがって、酸化グラフェンは、水及び他の有機溶媒に容易に分散することができる。
【0036】
本発明による方法を適用することにより、少なくとも25重量%の含酸素官能基を含み、少なくとも1層のシートを含む最大30μmの平均横方向サイズを有する酸化グラフェンが得られる。
【0037】
図1は、本発明による1層の酸化グラフェンの例を示す。横方向のサイズは、X軸を通る層の最大の長さを意味し、厚さは、Z軸を通る層の高さを意味し、ナノプレートレットの幅は、Y軸を通して示されている。
【0038】
図2は、本発明による数層の酸化グラフェンの例を示す。横方向のサイズは、X軸を通る層の最大の長さを意味し、厚さは、Z軸を通る層の高さを意味し、ナノプレートレットの幅は、Y軸を通して示されている。
【0039】
好ましくは、酸化グラフェンは、金属基材の耐食性などのいくつかの特性を改善するために、金属基材鋼上に堆積される。
【0040】
別の好ましい実施形態では、酸化グラフェンは、冷却試薬として使用される。実際、酸化グラフェンは、冷却流体に添加することができる。好ましくは、冷却流体は、水、エチレングリコール、エタノール、油、メタノール、シリコーン、プロピレングリコール、アルキル化芳香族化合物、液体Ga、液体In、液体Sn、ギ酸カリウム及びそれらの混合物から選択することができる。この実施形態では、冷却流体は、金属基材を冷却するために使用される。
【0041】
例えば、金属基材は、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、銅合金、チタン、コバルト、金属複合材料、ニッケルから選択される。
【0042】
ここで、情報提供のみを目的として実施された試験において本発明を説明する。これらの試験は限定的なものではない。
【実施例
【0043】
試験品1及び2を、製鋼所からグラファイト電極スクラップを提供することによって準備した。試験品1及び2を、それぞれ150μm未満及び450μm未満のサイズになるように粉砕した。
【0044】
その後、試験品1及び2を、硝酸ナトリウム及び硫酸と混合した。過マンガン酸カリウムを試験品1及び2にゆっくりと添加した。混合物を、冷却システムを使用して約1℃に保った。次に、冷却工程を停止し、混合物を35℃に達するまで加熱して、グラファイト電極スクラップを酸化した。酸化後、試験品1及び2を徐々に脱イオン水に注入した。
【0045】
次に、熱を除去し、水溶液中のHをガスが発生しなくなるまで添加した。MnOが生成された。混合物にHClを添加して、MnOを除去した。
【0046】
次に、酸化グラファイトを洗浄し、デカンテーションによって混合物から分離した。次に、1層又は2層の酸化グラフェンを得るために、超音波を使用して酸化グラファイトを剥離した。
【0047】
最後に、酸化グラフェンを遠心分離によって混合物から分離し、水で洗浄し、空気で乾燥させた。
【0048】
試験3は、韓国特許KR101109961の方法に従って製造された開示された実施例である。
【0049】
結果を次の表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
試験1及び2の方法は、試験3に使用された方法よりも環境に優しい。さらに、原料の処理は、試験3と比較して非常に迅速に行われる。最後に、試験1及び2で得られた酸化グラフェンは、高純度及び高品質である。
図1
図2