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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】心電図解析装置および心電システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/318 20210101AFI20230329BHJP
【FI】
A61B5/318
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019028720
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020130659
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高柳 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】水田 陽
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-204701(JP,A)
【文献】特開2017-018379(JP,A)
【文献】特開2006-180979(JP,A)
【文献】特表2016-502420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0275805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される心電信号入力部と、
入力された前記心電信号を用いて前記測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する入違判定部と、
前記測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、前記測定電極の入れ違いを報知する出力部と、
前記報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨を記憶し、前記報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が未確認である旨を記憶する心電データ記憶部と、を有し、
前記心電データ記憶部は、複数のそれぞれの前記被検者に対して、前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨を累積的に記憶する、心電図解析装置。
【請求項2】
被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される心電信号入力部と、
入力された前記心電信号を用いて前記測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する入違判定部と、
前記測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、前記測定電極の入れ違いを報知する出力部と、
前記報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨を記憶し、前記報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が未確認である旨を記憶する心電データ記憶部と、を有し、
前記出力部は、
前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別を出力する、心電図解析装置。
【請求項3】
前記出力部は、さらに、
前記複数の前記被検者の検査結果の一覧に前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別を表示する、請求項に記載の心電図解析装置。
【請求項4】
前記検査結果の前記一覧における前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別の表示は、前記一覧に文字で表示するか、前記一覧を色別に表示するか、または前記一覧にマークを付けることにより行なう請求項に記載の心電図解析装置。
【請求項5】
被検者の心電データを取得する心電計と前記心電計により取得した前記心電データを記憶する外部コンピュータとを有し、前記心電計と前記外部コンピュータとは通信できるように構成された心電システムであって、
前記心電計は、
前記被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される心電信号入力部と、
入力された前記心電信号を用いて前記測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する入違判定部と、
前記測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、前記測定電極の入れ違いを報知する報知部と、を有し、
前記外部コンピュータは、
前記報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨を記憶し、前記報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が未確認である旨を記憶する心電データ記憶部と、
前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別を出力する出力部と、
を有する心電システム。
【請求項6】
被検者の心電データを取得する心電計と前記心電計により取得した前記心電データを記憶する外部コンピュータとを有し、前記心電計と前記外部コンピュータとは通信できるように構成された心電システムであって、
前記心電計は、
前記被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される心電信号入力部と、
入力された前記心電信号を用いて前記測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する入違判定部と、
前記測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、前記測定電極の入れ違いを報知する報知部と、を有し、
前記外部コンピュータは、
前記報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨を記憶し、前記報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された前記心電信号とともに前記測定電極が未確認である旨を記憶する心電データ記憶部と、
前記心電データ記憶部は、複数のそれぞれの前記被検者に対して、前記心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨のデータを累積的に記憶する、心電システム。
【請求項7】
前記出力部は、
前記複数の前記被検者の検査結果の一覧に前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別を表示する、請求項に記載の心電システム。
【請求項8】
前記検査結果の前記一覧における前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別の表示は、前記一覧に文字で表示するか、前記一覧を色別に表示するか、または前記一覧にマークを付けることにより行なう請求項に記載の心電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定電極の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができる、心電図解析装置および心電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
心電図を測定するときには、決められた測定電極を被検者の決められた場所に取り付ける必要がある。しかし、決められた測定電極を被検者の決められた場所に取り付けず、誤って他の測定電極と入れ違って取り付けてしまうようなことが起こりうる。
【0003】
このため、特許文献1に示すように、測定電極が入れ違って取り付けられている可能性があることを自動的に検出して、画面上に表示したり記録したりすることが従来から行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-510013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
測定電極が入れ違って取り付けられたときには、心電技師が、測定電極が入れ違っていることを示す表示や記録を見て、測定電極の入れ違いを正し、再度心電図の測定をすることができる。しかし、心電図を判読するたとえば医師などの判読者は、心電技師が、実際に正しく測定電極を取り付けて心電図を測定したのか、または測定電極の入れ違いを正してから心電図を測定したのかを知ることができない。
【0006】
また、判読者が判読時に入手可能な心電図だけでは、測定電極を正しく取り付けて測定したものでも、測定電極の入れ違いが正されていない状態で心電図の測定が行われたのではないかと疑われるような場合がある。この場合、判読者はその心電波形が測定電極の入れ違いが正されていないことによるものであるのか、測定電極の入れ違いはないがもともとそのような心電波形であるのかを知ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、測定電極の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができる、心電図解析装置および心電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の心電図解析装置は、心電信号入力部、入違判定部、出力部、および心電データ記憶部を有する。
【0009】
心電信号入力部には、被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される。入違判定部は、入力された心電信号を用いて測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する。出力部は、測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、測定電極の入れ違いを報知する。心電データ記憶部は、報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された心電信号とともに測定電極が確認済みである旨を記憶し、報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された心電信号とともに測定電極が未確認である旨を記憶する。1つの態様では、心電データ記憶部は、複数のそれぞれの被検者に対して、心電信号とともに測定電極が確認済みである旨または測定電極が未確認である旨を累積的に記憶する。
また、別の態様では、出力部は、心電信号とともに前記測定電極が確認済みである旨または前記測定電極が未確認である旨の別を出力する。
【0010】
また、本発明の心電システムは、被検者の心電データを取得する心電計と心電計により取得した心電データを記憶する外部コンピュータとを有し、心電計と外部コンピュータとは通信できるように構成された心電システムである。
【0011】
心電計は、心電信号入力部、入違判定部、および報知部を有する。
【0012】
心電信号入力部には、被検者に取り付けた複数の測定電極の心電信号が入力される。入違判定部は、入力された心電信号を用いて測定電極が入れ違えて取り付けられているか否かを判定する。報知部は、測定電極が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、測定電極の入れ違いを報知する。
【0013】
外部コンピュータは、心電データ記憶部および出力部を有する。
【0014】
心電データ記憶部は、報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された心電信号とともに測定電極が確認済みである旨を記憶し、報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された心電信号とともに測定電極が未確認である旨を記憶する。1つの態様では、出力部は、心電信号とともに測定電極が確認済みである旨または測定電極が未確認である旨の別を出力する。
また、別の態様では、心電データ記憶部は、複数のそれぞれの被検者に対して、心電信号とともに測定電極が確認済みである旨または測定電極が未確認である旨のデータを累積的に記憶する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の心電図解析装置および心電システムによれば、判読者は、測定電極の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができる。判読者は、測定された心電図を見る際に、測定電極が正しい位置に取り付けられて測定されたことがわかる。これにより、判読者は、心電図を信頼して被検者の病状の検査ができ、検査の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1の心電図解析装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1の心電図解析装置の測定時の動作フローチャートである。
図3】実施形態1の心電図解析装置の判読時の動作フローチャートである。
図4】実施形態1の心電図解析装置の判読時の他の動作フローチャートである。
図5】測定時に表示部が表示する心電図および確認ボタンの表示態様を示す図である。
図6】測定時に表示部が表示する心電図および確認ボタンの他の表示態様を示す図である。
図7】判読時に表示部が表示する心電図の表示態様を示す図である。
図8】判読時に表示部が表示する被検者の一覧の表示態様を示す図である。
図9】実施形態2の心電システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の心電図解析装置および心電システムの実施形態について、心電図解析装置を実施形態1として、また心電システムを実施形態2として、それぞれ説明する。
【0018】
[実施形態1]
<心電図解析装置の構成>
図1は、実施形態1の心電図解析装置の概略構成を示すブロック図である。心電図解析装置100は、心電信号入力部110、入違判定部120、表示部130、および心電データ記憶部160を有する。表示部130は確認ボタン140を表示する。表示部130と確認ボタン140とで出力部150を形成する。
【0019】
心電信号入力部110には、被検者に取り付けた複数の測定電極50の心電信号が入力される。たとえば、12誘導心電図を採る場合、心電信号入力部110には、被検者の両足首および両手首に取り付けた4個の測定電極50と胸部に取り付けた6個の測定電極50の合計10個の測定電極50の心電信号が入力される。測定電極50のそれぞれは、被検者の決められた場所に取り付ける。
【0020】
入違判定部120は、心電信号入力部110から入力された心電信号を用いて測定電極50が入れ違えて取り付けられているか否か(入れ違えて取り付けられた可能性が一定割合よりも高いか否か)を判定する。測定電極50が被検者の決められた場所に取り付けられていないときに、測定電極50の入れ違いが起こる。測定電極50の入れ違いは、各測定電極50の心電信号を、正常に取り付けられているときの心電信号と比較したり、各測定電極50間の心電信号の差分を取ったりすることによって判定する。入れ違いの判定手法は、たとえば特許文献1と同様であってもよく、その他の既知の手法であってもよい。
【0021】
出力部150は、表示部130と確認ボタン140とによって構成され、入違判定部120によって測定電極50が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、測定電極50の入れ違いを報知する。具体的には、被検者の心電図の測定時、測定電極50が入れ違えて取り付けられていると判定されたときには、表示部130が確認ボタン140を表示する。したがって、測定電極50が入れ違えて取り付けられていないと判定されたときには、表示部130は確認ボタン140を表示しない。なお、確認ボタン140は、測定電極50の入れ違えが正された後に、心電技師によって押される。なお、上記の例では、確認ボタン140を表示部130内に表示させているが、確認ボタン140は装置筐体上に設けても良い。
【0022】
また、出力部150は、心電信号入力部110から入力された心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別を出力する。具体的には、出力部150は、表示部130に心電信号入力部110から入力された心電信号を心電図として表示させる。同時に出力部150は、心電技師が、表示部130に表示される確認ボタン140を押したときには、測定電極50が確認済みである旨を、確認ボタン140を押さなかったとき(確認ボタン140が表示されなかったときも含む)には、測定電極50が未確認である旨を、それぞれ出力する。したがって、心電技師は、表示部130に表示される確認ボタン140を押すだけで、測定電極50の入れ違いが確認済みであることを報知できる。
【0023】
さらに、出力部150は、被検者の心電図の判読時、複数の被検者の検査結果の一覧に測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別を表示する。したがって、医師などの判読者は、どの被検者の測定電極50が確認済みであるのか確認済みでないのかが一覧により認識できる。検査結果の一覧における測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別の表示は、一覧に文字で表示するか、一覧を色別に表示するか、または一覧にマークを付けることにより行なう。したがって、判読者は、どの被検者の測定電極50が確認済みであるのか確認済みでないのかを一覧の中から一目で認識できる。
【0024】
心電データ記憶部160は、出力部150による報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨を記憶し、報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された心電信号とともに測定電極50が未確認である旨を記憶する。心電データ記憶部160は、複数のそれぞれの被検者に対して、心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨を累積的に記憶する。このように、複数の被検者の心電信号と測定電極50の確認済み未確認の別を累積的に記憶すると、被検者ごとに測定電極50の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができるだけでなく、全ての被検者のその確認結果を一目で判読できるようになる。
【0025】
心電図解析装置100の構成および各構成要素の機能は以上の通りである。次に、心電図解析装置100の動作について、図2から図8を参照しながら説明する。
<心電図解析装置の測定時の動作>
図2は、実施形態1の心電図解析装置の測定時の動作フローチャートである。心電信号入力部110には、被検者に取り付けた測定電極50からの心電信号が入力される(S100)。次に、入違判定部120は、測定電極50の入れ違いを自動判定する(S110)。
【0026】
入違判定部120が測定電極50の入れ違いがあると判定すると(S120:YES)、表示部130は確認ボタン140を表示する(S130)。ここで、図5は、測定時に表示部130が表示する心電図145および確認ボタン140の表示態様を示す図である。また、図6は、測定時に表示部130が表示する心電図147および確認ボタン140の他の表示態様を示す図である。測定電極50の入れ違いがあると判定されたとき、表示部130は、たとえば、図5に示すように、心電信号入力部110から入力された心電図145と確認ボタン140とを画面上に表示する。なお、チャンネル1(C1)とチャンネル2(C2)の測定電極50の入れ違いが疑われるのであれば、確認ボタン140に、「C1.C2測定電極を確認してください。」との注意書きが表示される。また、表示部130は、図6に示すように、心電信号入力部110から入力された全ての測定電極50の心電図147と確認ボタン140とを画面上に表示するようにしても良い。この場合、心電図147の上側に、「C1.C2測定電極確認」、「自動記録待機中」、「測定電極位置を確認してください。」などの注意書きが表示される。なお、測定電極50の入れ違いがないと判定されたときには、図5および図6の確認ボタン140および注意書きは表示されない。
【0027】
次に、表示部130は、確認ボタン140が押されたか否かを判断する(S140)。確認ボタン140が押されたら(S140:YES)、心電データ記憶部160は、心電信号とともに「測定電極確認済み」を記憶する(S150)。確認ボタン140が押されていなければ(S140:NO)、検査を実施したか否かを判断し(S160)、検査を実施していなければ(S160:NO)、確認ボタン140が押されるまで待つ。一方、入違判定部120が測定電極50の入れ違いがないと判定したとき(S120:NO)、または検査を実施していれば(S160:YES)、心電データ記憶部160は、心電信号とともに「測定電極未確認」を記憶する(S170)。したがって、測定電極50の入れ違いがあって確認ボタンが押されたときには「測定電極確認済み」となり、測定電極50の入れ違いがなかったとき、または測定電極50の入れ違いがあったが確認ボタンが押されずに検査を実施したときには「測定電極未確認」となる。
<心電図解析装置の判読時の動作>
図3は、実施形態1の心電図解析装置の判読時の動作フローチャートである。また、図4は、実施形態1の心電図解析装置の判読時の他の動作フローチャートである。
【0028】
出力部150には、心電データ記憶部160から心電図とともに測定電極確認済み、未確認が入力される(S200)。次に、表示部130は、心電信号とともに測定電極確認済み、未確認の別を表示する(S210)。図7は、判読時に表示部130が表示する心電図の表示態様を示す図である。表示部130は、測定電極50の入れ違いを確認済みの心電図147については、図7に示すように心電図147を表示するとともに、その心電図147の右下側に「測定電極確認済み」を表示する。医師などの判読者は、「測定電極確認済み」の表示を見て、心電図147が測定電極50の入れ違いがない状態で測定された、信頼できる心電図であることがわかる。医師は、この心電図147を信頼して被検者の病状の検査ができる。なお、表示部130は、測定電極50の入れ違いのなかった心電図147については、その心電図147の右下側に「測定電極確認済み」の代わりに「測定電極未確認」を表示する。医師は、この表示を見て心電図147が測定電極50の入れ違いがない状態で測定された、信頼できる心電図であることがわかる。
【0029】
表示部130は、複数の被検者の検査結果を一覧表示させることもできる。この場合、出力部150には、心電データ記憶部160から心電図とともに測定電極確認済み、未確認が検査結果として入力される(S300)。次に、表示部130は、検査結果の一覧に測定電極確認済み、未確認の別を表示する(S310)。図8は、判読時に表示部130が表示する被検者の一覧の表示態様を示す図である。表示部130は、心電データ記憶部160に累積的に記憶されている複数の被検者の検査結果を、図8に示すように一覧表示する。この一覧表示の「確認」の欄に、「測定電極未確認」の場合には、「未」を表示し、「測定電極確認済み」の場合には、「確」を表示する。したがって、判読者は、どの被検者の心電図が確認済みであるのか確認済みでないのかを一覧により認識できる。検査結果の一覧における測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別の表示は、図8のように一覧に文字(「未」または「確」)で表示するか、図8のように一覧を色別(未確認の被検者にたとえばグレーのマーカーを引く)に表示するか、または一覧にマーク(未確認の被検者にたとえばチェックマークやハートマークなどの図形を付ける)を付けることにより行なうこともできる。したがって、判読者は、この一覧を見て、どの被検者の測定電極50が確認済みであるのか確認済みでないのかを一覧の中から一目で認識できる。
【0030】
[実施形態2]
<心電システムの構成>
図9は、実施形態2の心電システムの概略構成を示すブロック図である。心電システム400は、心電計200と外部コンピュータ300とを有する。心電計200は、被検者に取り付けた測定電極50から心電データを取得する。外部コンピュータ300は心電計200により取得した心電データを記憶する。心電計200と外部コンピュータ300とは相互に通信できる。通信はインターネット回線を介して行っても良いし電話回線を介して行っても良い。通信は有線であっても良いし無線であっても良い。なお、心電計200は、被検者の心電図を採るものであり心電技師が取り扱う。外部コンピュータ300は、心電計200から送られてきた心電図および検査結果の一覧を表示するものであり医師などの判読者が取り扱う。
【0031】
心電計200は、心電信号入力部210、入違判定部220、表示部230、および確認ボタン240を有する。表示部230は確認ボタン240を表示する。表示部230と確認ボタン240とで報知部250を形成する。
【0032】
心電信号入力部210、入違判定部220、表示部230および確認ボタン240のそれぞれの機能は、実施形態1の心電図解析装置100の心電信号入力部110、入違判定部120、表示部130、および確認ボタン140と同一である。報知部250は、測定電極50が入れ違えて取り付けられていると判定されたときに、測定電極50の入れ違いを報知する。
【0033】
外部コンピュータ300は、心電データ記憶部360と出力部330とを有する。心電データ記憶部360は、報知部250による報知に対する確認を示す入力があった場合には、入力された心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨を記憶し、報知に対する確認を示す入力がなかった場合には、入力された心電信号とともに測定電極50が未確認である旨を記憶する。また、心電データ記憶部360は、複数のそれぞれの被検者に対して、心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨のデータを累積的に記憶する。このように、複数の被検者の心電信号と測定電極50の確認済み未確認の別を累積的に記憶すると、被検者ごとに測定電極50の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができるだけでなく、全ての被検者のその確認結果を一目で判読できるようになる。
【0034】
出力部330は、被検者の心電図の判読時、心電信号とともに測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別を表示する。また、出力部330は、複数の被検者の検査結果の一覧に測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別を表示する。したがって、医師などの判読者は、どの被検者の測定電極50が確認済みであるのか確認済みでないのかが一覧により認識できる。検査結果の一覧における測定電極50が確認済みである旨または測定電極50が未確認である旨の別の表示は、実施形態1のように、一覧に文字で表示するか、一覧を色別に表示するか、または一覧にマークを付けることにより行なう。したがって、判読者は、どの被検者の測定電極50が確認済みであるのか確認済みでないのかを一覧の中から一目で認識できる。なお、出力部330は、液晶または有機ELを用いたディスプレイであっても良いし、紙などの記録媒体に印刷するプリンターであっても良い。
<心電システムの測定時の動作>
心電システム400の測定時の動作は、図2に示した実施形態1の心電図解析装置100の測定時の動作フローチャートの動作と同一である。ただ、1つ異なる動作は、実施形態1の心電図解析装置100では、心電データ記憶部160に、心電信号入力部110から入力された心電信号とともに「測定電極確認済み」、または「測定電極未確認」の旨を記憶させているが、心電システム400の心電計200は、心電信号入力部210から入力された心電信号とともに「測定電極確認済み」、または「測定電極未確認」の旨を外部コンピュータ300に向けて送信し、外部コンピュータ300の心電データ記憶部360に記憶させていることが異なる。この動作以外、心電計200の動作は心電図解析装置100測定時の動作と同一である。
<心電システムの判読時の動作>
心電システム400の判読時の動作は、図3および図4に示した実施形態1の心電図解析装置100の判読時の動作と同一である。したがって、出力部330は、測定電極50の入れ違いを確認済みのときには、図7のような画像を表示または印刷する。医師などの判読者は、「測定電極確認済み」、「測定電極未確認」の表示を見て、心電図147が測定電極50の入れ違いがない状態で測定された、信頼できる心電図であることがわかる。医師は、この心電図147を信頼して被検者の病状の検査ができる。出力部330は、図8のように、複数の被検者の検査結果を一覧にして表示または印刷することもできる。したがって、判読者は、どの被検者の心電図が確認済みであるのか確認済みでないのかを一覧により一目で認識できる。
【0035】
実施形態1および2で例示した心電図解析装置100および心電システム400は、測定時には、測定電極50の入れ違いを自動判定し、入れ違いがあるときには、確認ボタン140、240を表示して、心電技師に測定電極50の取り付け位置を確認するように促す。心電技師が測定電極50の取り付け位置が正しいことを確認したら、確認ボタン140、240を押してもらい、確認済みである旨を心電信号とともに記憶する。判読時には、心電図とともに心電技師が測定電極50の取り付け位置を確認したことの履歴を表示、または印刷する。したがって、測定電極50の入れ違いがなかったか否かの確認結果を見ることができ、判読者は心電図を信頼して被検者の病状の検査ができる。
【0036】
以上、本実施形態の心電図解析装置100および心電システム400について説明した。しかし、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載に限定されるものではない。たとえば、測定電極50の取り付け位置が入れ違っているか否かの確認結果を記憶させておいて、後でその確認結果を見られるようにした装置は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
50 測定電極、
100 心電図解析装置、
110、210 心電信号入力部、
120、220 入違判定部、
130、230 表示部、
140、240 確認ボタン、
145、147 心電図、
150、330 出力部、
160、360 心電データ記憶部、
200 心電計、
250 報知部、
300 外部コンピュータ、
400 心電システム。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9