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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】コントロールケーブル装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/10 20060101AFI20230329BHJP
   G05G 9/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
F16C1/10 C
G05G9/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019193101
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021067319
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】本多 俊介
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-020726(JP,U)
【文献】実公昭45-005324(JP,Y1)
【文献】実開昭55-140818(JP,U)
【文献】特開平08-277830(JP,A)
【文献】特表2001-509863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/00-1/28
G05G 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が操作部に接続される第1インナーケーブル、および、前記第1インナーケーブルが挿通され、一端が操作部側取付部に取り付けられる第1アウターケーシングを有する第1コントロールケーブルと、
一端が被操作部に接続される第2インナーケーブル、および、前記第2インナーケーブルが挿通され、一端が被操作部側取付部に取り付けられる第2アウターケーシングを有する第2コントロールケーブルと、
前記第1コントロールケーブルと、前記第2コントロールケーブルとを接続するケーブル接続機構とを備え、
前記ケーブル接続機構は、
前記第1アウターケーシングの他端が接続された第1接続部と、
前記第2アウターケーシングの他端が接続された第2接続部と、
前記第1インナーケーブルの他端および前記第2インナーケーブルの他端を接続するジョイント部材と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられた付勢部材と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離が所定の距離以内となるように、前記第1接続部と前記第2接続部との相対移動を規制する規制部とを備え、
前記付勢部材は、前記第1接続部を前記第2接続部から離れる方向に付勢し、
前記ジョイント部材は、前記第1インナーケーブルの移動により、前記第1接続部と前記第2接続部との間を移動可能に設けられ、
前記付勢部材は、
前記第1インナーケーブルの移動によって前記被操作部が移動可能な移動量の移動をする前には、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離の収縮が抑制された状態で、前記ジョイント部材の移動を生じさせ、
前記第1インナーケーブルの移動によって前記被操作部が移動可能な移動量の移動をした後、さらに前記第1インナーケーブルに荷重が負荷されたとき、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離を収縮させる付勢力を有し、
前記第2接続部は、前記第1インナーケーブルの軸方向に移動せず、前記第1接続部のみが移動するように構成され、
前記付勢部材がコイルバネであり、前記コイルバネの内側に前記ジョイント部材の移動空間が設けられ、
前記コイルバネの内側に、前記第2接続部に設けられた前記第2筒部が収容され、
前記コイルバネの内側に収容された、前記第2筒部は、前記第2筒部の内周面に沿って、前記ジョイント部材が摺動して案内されるように構成され、
前記コイルバネは、前記第2筒部の外周面にガイドされる
コントロールケーブル装置。
【請求項2】
前記第1接続部に設けられた第1ケースおよび前記第2接続部に設けられた第2ケースのうちの一方が、前記第1ケースおよび前記第2ケースのうちの他方に入れ子式に挿入される筒部を有している、請求項1に記載のコントロールケーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールケーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の操作部の操作力を被操作部に伝達するコントロールケーブル装置は、車両などの取付対象に所定の配索経路で取り付けられる。このようなコントロールケーブル装置は、例えば特許文献1に示されるように、操作部側のコントロールケーブルと、被操作部側のコントロールケーブルとを、中継機構によって互いに連結することによって、所定の配索経路に配策される場合がある。特許文献1に示される装置は、中継ケーシングと、中継ケーシング内で摺動可能な中継ピストンとを有しており、操作部側のインナーケーブルと被操作部側のインナーケーブルが中継ピストンによって連結されている。この装置において、操作部が操作されると、操作部の操作量に応じて操作部側のインナーケーブルが所定量引き操作され、中継ピストンを介して被操作部側のインナーケーブルが引き操作されて、被操作部が所定量操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-277830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のコントロールケーブル装置のような構造の場合、操作部によって、被操作部の所定の操作に必要な所定量で操作部側のインナーケーブルが引き操作されると、操作部はそれ以上の移動が規制される。このような構造の場合、ユーザは操作が確実に完了したか否かを、操作部の操作感によって判断することが難しい。また、操作部によって、被操作部の所定の操作に必要な所定量で操作部側のインナーケーブルが引き操作された後、さらに操作部に力が加わると、操作部や中継ピストンなどに負荷がかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、インナーケーブルの所定の必要な操作量で操作部を操作した後に、操作部においてさらに所定の操作が可能となる、操作感が良好で、操作部やジョイント部材などの構成部品の破損を抑制することができる、コントロールケーブル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコントロールケーブル装置は、一端が操作部に接続される第1インナーケーブル、および、前記第1インナーケーブルが挿通され、一端が操作部側取付部に取り付けられる第1アウターケーシングを有する第1コントロールケーブルと、一端が被操作部に接続される第2インナーケーブル、および、前記第2インナーケーブルが挿通され、一端が被操作部側取付部に取り付けられる第2アウターケーシングを有する第2コントロールケーブルと、前記第1コントロールケーブルと、前記第2コントロールケーブルとを接続するケーブル接続機構とを備え、前記ケーブル接続機構は、前記第1アウターケーシングの他端が接続された第1接続部と、前記第2アウターケーシングの他端が接続された第2接続部と、前記第1インナーケーブルの他端および前記第2インナーケーブルの他端を接続するジョイント部材と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられた付勢部材と、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離が所定の距離以内となるように、前記第1接続部と前記第2接続部との相対移動を規制する規制部とを備え、前記付勢部材は、前記第1接続部を前記第2接続部から離れる方向に付勢し、前記ジョイント部材は、前記第1インナーケーブルの移動により、前記第1接続部と前記第2接続部との間を移動可能に設けられ、前記付勢部材は、前記第1インナーケーブルの移動によって前記被操作部が移動可能な移動量の移動をする前には、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離の収縮が抑制された状態で、前記ジョイント部材の移動を生じさせ、前記第1インナーケーブルの移動によって前記被操作部が移動可能な移動量の移動をした後、さらに前記第1インナーケーブルに荷重が負荷されたとき、前記第1接続部と前記第2接続部との間の距離を収縮させる付勢力を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコントロールケーブル装置によれば、インナーケーブルの所定の必要な操作量で操作部を操作した後に、操作部においてさらに所定の操作が可能となり、操作感を良好とし、操作部やジョイント部材などの構成部品の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のコントロールケーブル装置の全体図である。
図2図1に示されるコントロールケーブル装置において、操作部が操作される前の初期状態を示す概略図である。
図3図2に示される状態から、操作部が所定量操作されて、被操作部が所定量操作された操作完了状態を示す概略図である。
図4図3に示される状態から、操作部がさらに操作されて、第1接続部が第2接続部に対して移動した操作完了確認状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のコントロールケーブル装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のコントロールケーブル装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態のコントロールケーブル装置1は、第1コントロールケーブル21と、第2コントロールケーブル22と、第1コントロールケーブル21と、第2コントロールケーブル22とを接続するケーブル接続機構3とを備えている。
【0011】
コントロールケーブル装置1は、操作部P1に加わった操作力を第1コントロールケーブル21、ケーブル接続機構3、および第2コントロールケーブル22を介して被操作部P2に伝達する。これにより、コントロールケーブル装置1によって、被操作部P2が遠隔操作される。コントロールケーブル装置1は、たとえば、車両等の取付対象に所定の配索経路で取り付けられる。
【0012】
コントロールケーブル装置1が適用される用途は特に限定されない。コントロールケーブル装置1は、たとえば、操作レバーなどの操作部P1を操作することによって、車両のシートの傾倒状態を変更するためのシートロック部などの被操作部P2が操作されるシートケーブルの操作機構などの、操作力伝達機構に適用することができる。
【0013】
本実施形態では、第1コントロールケーブル21は、図1に示されるように、一端211aが操作部P1に接続される第1インナーケーブル211、および、第1インナーケーブル211が挿通され、一端212aが操作部側取付部B1に取り付けられる第1アウターケーシング212を有している。第2コントロールケーブル22は、一端221aが被操作部P2に接続される第2インナーケーブル221、および、第2インナーケーブル221が挿通され、一端222aが被操作部側取付部B2に取り付けられる第2アウターケーシング222を有している。
【0014】
第1コントロールケーブル21は、ケーブル接続機構3に対して操作部P1側に設けられたコントロールケーブルであり、操作部P1の操作力をケーブル接続機構3に伝達する。第1コントロールケーブル21は、操作部P1とケーブル接続機構3との間に、所定の配索経路で配索される。
【0015】
第1インナーケーブル211は、操作部P1とケーブル接続機構3とを接続するインナーケーブルである。第1インナーケーブル211は、一端211aと他端211bとを有している。本実施形態では、図1に示されるように、第1インナーケーブル211の一端211aは操作部P1に接続され、他端211bはケーブル接続機構3の後述するジョイント部材6に接続されている。第1インナーケーブル211は、一端211aおよび他端211bにケーブルエンドを有する公知のインナーケーブルを用いることができる。
【0016】
第1アウターケーシング212は、第1インナーケーブル211を摺動可能に収容する。第1アウターケーシング212は、コントロールケーブル装置1の取付対象(例えば車両など)において、例えば二次元または三次元的に湾曲した所定の配索経路で配索され、第1インナーケーブル211を所定の配索経路に沿って案内する。
【0017】
第1アウターケーシング212は、一端212aと他端212bとを有している。本実施形態では、第1アウターケーシング212の一端212aは操作部P1側に設けられた操作部側取付部B1に取り付けられ、他端212bは後述する第1接続部4に接続されている。操作部側取付部B1の形状および構造は、第1アウターケーシング212の一端212aを取り付けることができれば、特に限定されない。操作部側取付部B1は、例えば車両等の取付対象に設けられた、または、取付対象に取り付けられたブラケット等、第1アウターケーシング212の一端212aを固定可能な部分である。操作部側取付部B1によって、第1アウターケーシング212の一端212aは取付対象に対して所定の位置に固定される。第1アウターケーシング212の他端212bが接続される第1接続部4については後述する。なお、第1アウターケーシング212は、公知のアウターケーシングを用いることができる。
【0018】
第2コントロールケーブル22は、ケーブル接続機構3に対して被操作部P2側に設けられたコントロールケーブルであり、ケーブル接続機構3に伝達された操作力を被操作部P2側に伝達する。第2コントロールケーブル22は、ケーブル接続機構3と被操作部P2との間に、所定の配索経路で配索される。
【0019】
第2インナーケーブル221は、ケーブル接続機構3と被操作部P2とを接続するインナーケーブルである。第2インナーケーブル221は、一端221aと他端221bとを有している。本実施形態では、図1に示されるように、第2インナーケーブル221の一端221aは被操作部P2に接続され、他端221bはケーブル接続機構3の後述するジョイント部材6に接続されている。第2インナーケーブル221は、一端221aおよび他端221bにケーブルエンドを有する公知のインナーケーブルを用いることができる。
【0020】
第2アウターケーシング222は、第2インナーケーブル221を摺動可能に収容する。第2アウターケーシング222は、コントロールケーブル装置1の取付対象(例えば車両など)において、例えば二次元または三次元的に湾曲した所定の配索経路で配索され、第2インナーケーブル221を所定の配索経路に沿って案内する。
【0021】
第2アウターケーシング222は、一端222aと他端222bとを有している。本実施形態では、第2アウターケーシング222の一端222aは、被操作部P2側に設けられた被操作部側取付部B2に取り付けられ、他端222bは後述する第2接続部5に接続されている。被操作部側取付部B2の形状および構造は、操作部側取付部B1と同様とすることができるため、説明は省略する。第2アウターケーシング222の他端222bが接続される第2接続部5については後述する。なお、第2アウターケーシング222は、公知のアウターケーシングを用いることができる。
【0022】
本実施形態では、コントロールケーブル装置1は、図1に示されるように、1つの第1コントロールケーブル21(1つの第1インナーケーブル211および1つの第1アウターケーシング212)と、2つの第2コントロールケーブル22(2つの第2インナーケーブル221および2つの第2アウターケーシング222)とを有している。本実施形態では、1つの第1インナーケーブル211が操作されることによって、2つの第2インナーケーブル221が同時に操作される。なお、コントロールケーブル装置1に設けられる第1コントロールケーブル21(第1インナーケーブル211および第1アウターケーシング212)の本数および第2コントロールケーブル22(第2インナーケーブル221および第2アウターケーシング222)の本数は、図示するものに限定されない。
【0023】
ケーブル接続機構3は、第1コントロールケーブル21および第2コントロールケーブル22を接続する。具体的には、ケーブル接続機構3は、第1コントロールケーブル21の第1インナーケーブル211と、第2コントロールケーブル22の第2インナーケーブル221とを接続する。また、ケーブル接続機構3は、第1アウターケーシング212と第2アウターケーシング222とを接続する。
【0024】
ケーブル接続機構3は、図1に示されるように、第1アウターケーシング212の他端212bが接続された第1接続部4と、第2アウターケーシング222の他端222bが接続された第2接続部5と、第1インナーケーブル211の他端211bおよび第2インナーケーブル221の他端221bを接続するジョイント部材6とを備えている。また、ケーブル接続機構3は、図1に示されるように、第1接続部4と第2接続部5との間に設けられた付勢部材7と、第1接続部4と第2接続部5との間の距離が所定の距離以内となるように、第1接続部4と第2接続部5との相対移動を規制する規制部8とを備えている。なお、本実施形態では、ケーブル接続機構3はさらに、第1接続部4および第2接続部5を少なくとも部分的に覆うカバー部材9を備えている。
【0025】
ケーブル接続機構3は、公知の取付手段によって、車体等、所定の取付対象に、取り付けられる。ケーブル接続機構3は、本実施形態では、カバー部材9を介して取付対象に取り付けられるように構成されているが、例えば、第2接続部5など、カバー部材9以外の部位を介して取付対象に取り付けられていてもよい。取付手段は、車体等、取付対象に設けられたブラケットなどに係合可能な、ケーブル接続機構3に設けられた係合部(図示せず)であってもよいし、結束バンドなど、ケーブル接続機構3とは別部材として設けられた取付部材であってもよい。
【0026】
第1接続部4は、第1アウターケーシング212の他端212bが接続される部位である。本実施形態では、第1接続部4は、ケーブル接続機構3において直線状に延びる第1インナーケーブル211の軸X方向で、第2接続部5に対して相対移動できるように構成されている。第1接続部4は、後述するように、付勢部材7によって軸X方向で第2接続部5から離れる方向に付勢されている。
【0027】
第1接続部4の形状および構造は、第1アウターケーシング212の他端212bが接続可能であり、第2接続部5に対して相対移動可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、第1接続部4は、第1ケースC1を有している。本実施形態では、第1接続部4が第1ケースC1によって構成されているが、第1接続部4は第1ケースC1以外の部材等を含んでいてもよい。本実施形態では、第1接続部4(第1ケースC1)は、第1アウターケーシング212の他端212bが接続される第1アウターケーシング接続部41と、軸X方向に延びる第1筒部42と、付勢部材7の一端7aが接続されるバネ座43とを有している。具体的には、第1接続部4は、第1接続部4の軸X方向の一端(操作部P1側の端部)4a側に、第1アウターケーシング212の他端212bが固定される第1アウターケーシング接続部41を有している。第1アウターケーシング接続部41において、第1アウターケーシング212の他端212bは、カシメ等、公知の固定手段によって固定される。第1筒部42は、第1アウターケーシング接続部41に軸X方向で隣接して設けられている。本実施形態では、第1筒部42は内部に空洞を有する略円筒状に構成され、後述する第2接続部5の第2筒部52を、第1筒部42の空洞内で移動できるように収容する。バネ座43は、本実施形態では、軸X方向で、第1アウターケーシング接続部41とは反対側となる第1接続部4の他端(被操作部P2側の端部)4b側に設けられている。本実施形態では、バネ座43は、第1筒部42の外周に対して径方向外側に突出するフランジ部F1に設けられている。具体的には、フランジ部F1のうち、第1接続部4の他端4b側の端面がバネ座43を構成している。なお、フランジ部F1の第1接続部4の一端4a側の部分は、後述する規制部8と軸X方向で当接する当接部44を構成している。規制部8と当接部44とが軸X方向で当接することによって、付勢部材7により第2接続部5から離れる方向に付勢された第1接続部4は、第2接続部5に対して、軸X方向に所定の距離以上離れるように移動することが抑制され、第2接続部5に対して所定の位置で保持される。
【0028】
第2接続部5は、第2アウターケーシング222の他端222bが接続される部位である。第2接続部5は、軸X方向で、第1接続部4に対して相対移動できるように構成されている。本実施形態では、第2接続部5は軸X方向に移動せずに、第1接続部4のみが移動することにより、第1接続部4と第2接続部5とが互いに対して相対移動するように構成されている。しかし、ケーブル接続機構3は、第1接続部4と第2接続部5とが軸X方向で相対移動するように構成されていればよく、例えば、第1接続部4および第2接続部5の両方が軸X方向に移動するように構成されていてもよい。第2接続部5は、後述するように、付勢部材7によって軸X方向で第1接続部4から離れる方向に付勢されている。
【0029】
第2接続部5の形状および構造は、第2アウターケーシング222の他端222bが接続可能であり、第1接続部4に対して相対移動可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、第2接続部5は、第2ケースC2を有している。本実施形態では、第2接続部5が第2ケースC2によって構成されているが、第2接続部5は第2ケースC2以外の部材等を含んでいてもよい。本実施形態では、第2接続部5(第2ケースC2)は、第2アウターケーシング222の他端222bが接続される第2アウターケーシング接続部51と、軸X方向に延びる第2筒部52と、付勢部材7の一端7aが接続されるバネ座53とを有している。具体的には、第2接続部5は、第2接続部5の軸X方向の一端(被操作部P2側の端部)5a側に、第2アウターケーシング222の他端222bが固定される第2アウターケーシング接続部51を有している。第2アウターケーシング接続部51において、第2アウターケーシング222の他端222bは、カシメ等、公知の固定手段によって固定される。本実施形態では、第2アウターケーシング接続部51には、2つの第2アウターケーシング222の他端222bが固定されている。なお、本実施形態では、第2ケースC2は、第2筒部52およびバネ座53を含む筒状体C21と、当該筒状体C21の端部に取り付けられる、第2アウターケーシング接続部51を含むキャップ部材C22とを備えている。筒状体C21とキャップ部材C22とは、軸X方向で互いに接続されて、第2ケースC2を構成する。
【0030】
第2筒部52は、第2アウターケーシング接続部51に軸X方向で隣接して設けられている。本実施形態では、第2筒部52は内部に空洞を有する略円筒状に構成されている。本実施形態では、第2筒部52の空洞内を、ジョイント部材6が軸X方向に移動する。なお、本実施形態では、第2ケースC2の第2筒部52が第1ケースC1の第1筒部42に対して入れ子式に挿入されているが、第1ケースC1および第2ケースC2のうちの一方が、第1ケースC1および第2ケースC2のうちの他方に入れ子式に挿入される筒部を有していればよい。このように、第1ケースC1および第2ケースC2のうちの一方が、第1ケースC1および第2ケースC2のうちの他方に入れ子式に挿入される場合、一方のケースの筒部が他方のケースに案内されて、第1ケースC1および第2ケースC2の間の相対移動が安定する。なお、変形例として、第1ケースC1の第1筒部42が第2ケースC2の第2筒部52の内部の空洞を移動するように構成されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、第2筒部52は、内部の空洞をジョイント部材6が移動可能となる大きさで形成されている。具体的には、第2筒部52は、第2筒部52の内周面に沿って、ジョイント部材6が摺動して案内されるように構成されている。第2筒部52の軸X方向の長さは、第1インナーケーブル211の操作によってジョイント部材6が移動する所定の移動量に応じた長さ、または当該所定の移動量よりも長い長さとされている。なお、変形例として、第1筒部42が第2筒部52の内部の空洞を移動する場合、第1筒部42は、第1筒部42の内周面に沿ってジョイント部材6が摺動して案内されるように構成される。この場合、第1筒部42の軸X方向の長さは、ジョイント部材6が移動する所定の移動量に応じた長さ、または当該所定の移動量よりも長い長さとされる。
【0032】
バネ座53は、第1接続部4のバネ座43に対して、軸X方向で所定の距離離間した位置に設けられる。本実施形態では、バネ座53は、第2筒部52のうち、第2アウターケーシング接続部51側の端部近傍に設けられている。バネ座53は、本実施形態では、第2筒部52の外周に対して径方向外側に突出するフランジ部F2に設けられている。具体的には、フランジ部F2のうち、第1接続部4のバネ座43に軸X方向で対向する端面がバネ座53となっている。なお、例えば、付勢部材7が第2筒部52の内側に設けられる場合には、バネ座53は、ジョイント部材6の軸X方向での移動に支障がなければ、第2筒部52の内面に設けられていてもよい。
【0033】
ジョイント部材6は、第1インナーケーブル211の他端211bおよび第2インナーケーブル221の他端221bが接続され、第1インナーケーブル211の操作力を、第2インナーケーブル221に伝達できるように構成されている。ジョイント部材6は、第1インナーケーブル211の移動により、第1接続部4と第2接続部5との間を移動可能に設けられている。具体的には、第1インナーケーブル211が操作されて、第1インナーケーブル211が軸X方向に移動すると、ジョイント部材6は、第1インナーケーブル211によって操作されて、第1接続部4と第2接続部5とによって形成された移動空間を軸X方向に移動するように構成されている。なお、本実施形態では、ジョイント部材6が移動する移動空間は、第1筒部42および/または第2筒部52によって形成される。ジョイント部材6は、操作部P1が操作されると、操作部P1の操作量に応じて第1インナーケーブル211を介して引き操作され、移動空間を軸X方向に移動する。ジョイント部材6の軸X方向での移動によって、第2インナーケーブル221が引き操作されて、第2インナーケーブル221によって被操作部P2が操作される。本実施形態では、ジョイント部材6が所定の移動量で移動し、被操作部P2が所定の必要な操作量で操作されると、ジョイント部材6は軸X方向の所定の位置で停止する。
【0034】
ジョイント部材6は、上述したように、第1筒部42および第2筒部52のうち、内側に設けられた筒部の内部の空洞を移動するように構成されている。本実施形態では、ジョイント部材6は、第2筒部52の内部の空洞を、第2筒部52の内周面に摺動するように構成されている。ジョイント部材6の形状および構造は特に限定されない。本実施形態では、ジョイント部材6は、第1筒部42および第2筒部52のうち、ジョイント部材6が摺動する筒部の内周に沿った湾曲した外周面を有している。例えば、ジョイント部材6は、第1インナーケーブル211および第2インナーケーブル221が接続されるケーブル接続部を有した略円柱状に形成することができる。
【0035】
規制部8は、第1接続部4と第2接続部5との間の距離が所定の距離以内となるように、第1接続部4と第2接続部5との間の相対移動を規制する。「第1接続部4と第2接続部5との間の距離」は、本実施形態では、第1接続部4の所定の部位(例えば、バネ座43)と、第2接続部5の所定の部位(例えば、バネ座53)との間の軸X方向の距離である。規制部8は、付勢部材7によって第2接続部5から離れる方向に付勢された第1接続部4と、第2接続部5との間の軸X方向の距離が所定の距離以内となるように(所定の距離よりも大きくならないように)、第1接続部4と第2接続部5との間の相対移動を規制している。
【0036】
本実施形態では、規制部8は、第1接続部4と軸X方向で係合することによって、第1接続部4が第2接続部5に対して離れる方向に移動することを規制している。より具体的には、規制部8は、第1接続部4のフランジ部F1(当接部44)と軸X方向で係合して付勢部材7によって付勢された第1接続部4のバネ座43と、第2接続部5のバネ座53との間で、付勢部材7を所定の付勢力を維持した状態に保持している。規制部8の形状や構造は、第1接続部4と軸X方向で係合して、第1接続部4が第2接続部5に対して離れる方向に移動することを規制することができれば特に限定されない。本実施形態では、第2接続部5に対して取り付けられた規制部8はカバー部材9に軸X方向で係合している。これにより、第2接続部5のカバー部材9に対する軸X方向での移動が抑制された状態で、第1接続部4の当接部44が規制部8に軸X方向で当接して、第1接続部4が第2接続部5に対して離れる方向に移動することが規制されている。
【0037】
カバー部材9は、第1接続部4の少なくとも一部と第2接続部5の少なくとも一部を、外周側から覆っている。カバー部材9は、第1接続部4と第2接続部5とが相対移動できるように、第1接続部4および第2接続部5を内部に収容している。カバー部材9の形状および構造は特に限定されない。カバー部材9は、例えば、ヒンジ接続された一対の半割の部材によって構成された略筒状の部材とすることができる。カバー部材9は、本実施形態では、付勢部材7の外周を覆い、付勢部材7の伸縮動作が阻害されないようにしている。
【0038】
付勢部材7は、図1に示されるように、第1接続部4と第2接続部5との間に設けられ、第1接続部4を第2接続部5から離れる方向に付勢する。付勢部材7は、本実施形態では、軸X方向に伸縮可能に設けられており、軸X方向の一端7aが第1接続部4に接続され、他端7bが第2接続部5に接続されている。より具体的には、付勢部材7の一端7aは、第1接続部4のバネ座43に接続され、付勢部材7の他端7bは、第2接続部5のバネ座53に接続されている。
【0039】
本実施形態では、付勢部材7は、第1インナーケーブル211の移動によって被操作部P2が移動可能な移動量の移動をする前には、第1接続部4と第2接続部5との間の距離の収縮が抑制された状態で、ジョイント部材6の移動を生じさせる付勢力を有している。これにより、被操作部P2を所定量操作させるために、操作部P1および第1インナーケーブル211を介してジョイント部材6が移動する間には、第1接続部4と第2接続部5との間の距離が短くなるように付勢部材7が収縮することが抑制されている。なお、上述したように、「第1接続部4と第2接続部5との間の距離」とは、第1接続部4の所定の部位(例えばバネ座43)と第2接続部5の所定の部位(例えばバネ座53)との間の軸X方向の距離である。また、被操作部P2の「移動可能な移動量」とは、被操作部P2(または被操作部P2に接続された操作対象)に必要な操作が行われる際に、被操作部P2が移動する移動量をいう。被操作部P2の移動可能な移動量は、ジョイント部材6の移動量に対応しており、ジョイント部材6が所定量移動したときに、被操作部P2が移動可能な移動量で操作され、被操作部P2が移動可能な移動量で操作された後は、ジョイント部材6はそれ以上の移動が抑制される(所定の位置で停止する)。
【0040】
付勢部材7が上述した付勢力を有している場合、図2および図3に示されるように、ジョイント部材6が軸X方向に移動する間、付勢部材7は収縮せず、第1接続部4と第2接続部5との間の距離は所定の距離で維持される。この場合、第1接続部4に接続された第1アウターケーシング212の他端212bの位置がほぼ変動しない。そのため、第1アウターケーシング212の、操作部側取付部B1に固定された一端212aおよび他端212bの位置はほぼ変動しない。したがって、ジョイント部材6が被操作部P2を操作するために移動する際には、第1アウターケーシング212の両端の位置および第1アウターケーシング212の配索経路がほぼ変動せずに、第1インナーケーブル211の操作力が、ジョイント部材6に効率良く伝達される。
【0041】
また、付勢部材7は、第1インナーケーブル211の移動によって被操作部P2が移動可能な移動量の移動をした後、さらに第1インナーケーブル211に荷重が負荷されたとき、第1接続部4と第2接続部5との間の距離を収縮させる付勢力を有している。被操作部P2が移動可能な移動量で移動した後(例えば、被操作部P2がさらに操作できない状態まで移動した後)、操作部P1がさらに操作されるなどによって、第1インナーケーブル211に荷重が負荷されると、第1インナーケーブル211には、操作部P1と、移動が抑制され、位置がほぼ変動しないジョイント部材6との間でさらなる張力が加わる。第1インナーケーブル211に張力が加わると、第1インナーケーブル211は配索経路において直線状になろうとする。第1インナーケーブル211が直線状になろうとすると、図4に示されるように、湾曲して配索された第1アウターケーシング212も直線状になろうとする。第1アウターケーシング212の一端212aは操作部側取付部B1に固定され位置は変動しないので、第1アウターケーシング212が直線状になろうとすると、第1アウターケーシング212の他端212bは初期位置に対して第2接続部5側(図4における右側)へと移動しようとする。これにより、第1アウターケーシング212の他端212bが接続された、移動可能な第1接続部4は、付勢部材7を軸X方向に収縮させながら、第2接続部5に対して軸X方向に移動する。
【0042】
これにより、被操作部P2の操作が完了して、ジョイント部材6がほぼ移動しない状態となる操作完了状態からさらに、付勢部材7を収縮させて第1接続部4を移動させながら、操作部P1を操作することが可能となる。したがって、ユーザは、被操作部P2の操作完了状態からさらに操作部P1を操作することができ、付勢部材7を収縮させて第1接続部4を移動させるときの操作部P1の操作感によって、ユーザは操作が完了したことを容易に把握することができる。なお、本実施形態では、ジョイント部材6の移動が抑制された状態で、付勢部材7が軸X方向に収縮しているが、後述するように、ジョイント部材6が軸X方向に移動しながら、付勢部材7が軸X方向に収縮するように構成されていてもよい。また、被操作部P2の操作完了状態において、さらに操作部P1に力が加わったとしても、その力は、付勢部材7を収縮するのに消費されるため、操作部P1やジョイント部材6などの構成部品への負荷が低減される。したがって、操作部P1やジョイント部材6などの構成部品の破損を抑制することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態では、被操作部P2を操作する操作時においては、第1アウターケーシング212および第1接続部4の位置をそのままにして、第1インナーケーブル211の操作力の伝達効率を向上させるとともに、被操作部P2の操作完了後は、付勢部材7を収縮させて第1接続部4の位置を変動させて、操作の完了を操作感によって容易に把握することができる。
【0044】
図2図4では、第1接続部4が第2接続部5に対して軸X方向に移動する例を示しているが、被操作部P2が移動可能な移動量の移動をした後、さらに第1インナーケーブル211に荷重が負荷されたときに、第2接続部5が第1接続部4に対して軸X方向に移動するように構成されていてもよいし、第1接続部4および第2接続部5の両方が軸X方向に移動するように構成されていてもよい。例えば、被操作部P2が移動可能な移動量で移動した後、操作部P1がさらに操作されるなどによって、第1インナーケーブル211およびジョイント部材6を介して第2インナーケーブル221に荷重が負荷される。この場合、第2インナーケーブル221にさらなる張力が加わる。第2インナーケーブル221にさらなる張力が加わると、第2インナーケーブル221は配索経路において直線状になろうとし、湾曲して配索された第2アウターケーシング222も直線状になろうとする。第2アウターケーシング222の一端222aは被操作部側取付部B2に固定され位置は変動しないので、第2アウターケーシング222が直線状になろうとすると、第2アウターケーシング222の他端222bは初期位置に対して第1接続部4側へと移動しようとする。これにより、第2接続部5が移動可能に構成されている場合、第2アウターケーシング222の他端222bが接続された第2接続部5は、付勢部材7を軸X方向に収縮させながら、第1接続部4に対して近付くように軸X方向に移動する。これにより、被操作部P2の操作が完了した操作完了状態からさらに、付勢部材7を収縮させて第2接続部5を移動させながら、操作部P1を操作することが可能となる。なお、この場合、操作完了状態から操作部P1を操作すると、第2インナーケーブル221が直線状になる際に、第1インナーケーブル211が引き操作され、ジョイント部材6は操作部P1側に向かって軸X方向に移動する。
【0045】
本実施形態では、付勢部材7は、図1図4に示されるように、コイルバネであるが、付勢部材7は、上述した付勢力を有していれば、特に限定されず、コイルバネ以外の付勢部材であってもよい。また、本実施形態では、付勢部材7は、1つのコイルバネ(以下、コイルバネ7とも呼ぶ)であり、コイルバネ7の内側にジョイント部材6の移動空間が設けられている。この場合、コイルバネ7の径方向内側に設けられた空間がジョイント部材6の移動空間となるので、ケーブル接続機構3を径方向でコンパクトにすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、コイルバネ7の内側に、第1ケースC1と第2ケースC2との少なくとも一方が収容されている。この場合、ケーブル接続機構3を径方向でコンパクトにすることができるとともに、コイルバネ7が第1ケースC1または第2ケースC2によってガイドされ、コイルバネ7を安定して伸縮させることができる。本実施形態では、コイルバネ7の径方向で、コイルバネ7の内面と、ジョイント部材6との間には、筒部(本実施形態では第2筒部52)が設けられている。この場合、ジョイント部材6とコイルバネ7とが干渉せず、ジョイント部材6を円滑に軸X方向に移動させることができる。本実施形態では、第2筒部52は、コイルバネ7のバネガイドとして機能し、コイルバネ7の組み付けが容易となる。
【0047】
なお、付勢部材7の数や配置は図示するものに限定されない。例えば、付勢部材7は軸X方向または軸X周り方向に複数設けられていてもよい。
【0048】
つぎに、車両のシートの操作機構を例にあげて、本実施形態のコントロールケーブル装置をより詳細に説明する。なお、以下の説明によって、本発明が限定されるものではない。
【0049】
コントロールケーブル装置1は、取付対象となる車体に対して所定の配索経路で取り付けられる。第1アウターケーシング212は、シートを操作する操作部P1から第1接続部4まで、図2に概略的に示されるように湾曲して配索されている。図2に示される状態は、操作部P1が操作される前の状態である。第1接続部4はコイルバネ7によって操作部P1側(図2において左側)に付勢され、第1接続部4の当接部44が規制部8に当接して、第1接続部4は軸X方向の所定の位置に保持されている。
【0050】
図2に示される状態から操作部P1が操作されると、図3に示されるように、第1インナーケーブル211が引き操作され、第1インナーケーブル211によってジョイント部材6が第2筒部52の内側の移動空間において、操作部P1側に向かって軸X方向に移動する。このとき、コイルバネ7の所定の付勢力によって、コイルバネ7は収縮せず、第1接続部4は初期位置から実質的に移動せず、第1接続部4と第2接続部5との間の軸X方向の位置は変わることなく、ジョイント部材6が軸X方向に移動する。
【0051】
ジョイント部材6が図2の位置から図3の位置まで移動すると、ジョイント部材6によって、第2インナーケーブル221が軸X方向に引き操作される。第2インナーケーブル221が引き操作されると、第2インナーケーブル221の一端221aによって、被操作部P2が操作される。これにより、車両のシートの図示しないロック機構のロックが解除され、シートの傾倒状態を変えることができる。
【0052】
本実施形態では、ジョイント部材6が図2に示される位置から図3に示される操作完了状態となるまでに、被操作部P2は、第2インナーケーブル221によって移動可能な移動量L1(図3参照)で操作され、移動量L1で操作されるとそれ以上の引き操作が規制され、ジョイント部材6は所定の位置で停止する。なお、このとき、第1インナーケーブル221は、移動量L1に対応した操作量L2(図3参照)で操作される。本実施形態では、この操作完了状態において、操作部P1はさらに操作可能に構成されており、操作部P1のさらなる操作によって、第1インナーケーブル211はさらなる引き操作が可能となっている。
【0053】
具体的には、操作完了状態で、操作部P1の操作によってさらに第1インナーケーブル211が引き操作されると、図4に示されるように、ジョイント部材6の位置はほぼ変動することなく、操作部側取付部B1から第1接続部4まで、湾曲して配索された第1アウターケーシング212は、直線状になろうとする第1インナーケーブル211によって、配索経路が最短距離に近付くように直線状になろうとする。第1アウターケーシング212が直線状になろうとすると、第1アウターケーシング212の他端212bは初期位置に対して第2接続部5側(図4における右側)へと移動しようとする。これにより、第1接続部4は、第1アウターケーシング212から力を受けて、図4に示されるように、コイルバネ7を軸X方向に収縮させながら、第2接続部5に対して軸X方向に移動する。
【0054】
これにより、ジョイント部材6の位置がそのままで、コイルバネ7を縮ませて第1接続部4が移動するとともに、操作部P1がさらなる予備操作量L3(図4参照)で操作される。この操作部P1の予備操作量L3のときの操作感によって、ユーザは操作の完了を容易に把握することができる。操作部P1の操作の過程において、最初は、第1インナーケーブル211によって、ジョイント部材6および第2インナーケーブル221を操作するときの抵抗を操作感として感じた後、操作完了状態において、一旦ジョイント部材6が停止したときの別の抵抗感を感じ、次に、操作完了後に、コイルバネ7を収縮させる際の別の抵抗感を感じる。したがって、ユーザは操作感によって操作の完了を容易に把握できる。また、コイルバネ7を収縮させる際には、操作部P1の予備操作量L3に応じて徐々に抵抗感が高まるため、より操作の完了の把握が容易となる。
【符号の説明】
【0055】
1 コントロールケーブル装置
21 第1コントロールケーブル
211 第1インナーケーブル
211a 第1インナーケーブルの一端
211b 第1インナーケーブルの他端
212 第1アウターケーシング
212a 第1アウターケーシングの一端
212b 第1アウターケーシングの他端
22 第2コントロールケーブル
221 第2インナーケーブル
221a 第2インナーケーブルの一端
221b 第2インナーケーブルの他端
222 第2アウターケーシング
222a 第2アウターケーシングの一端
222b 第2アウターケーシングの他端
3 ケーブル接続機構
4 第1接続部
4a 第1接続部の一端
4b 第1接続部の他端
41 第1アウターケーシング接続部
42 第1筒部
43 バネ座
44 当接部
5 第2接続部
5a 第2接続部の一端
51 第2アウターケーシング接続部
52 第2筒部
53 バネ座
6 ジョイント部材
7 付勢部材(コイルバネ)
7a 付勢部材の一端
7b 付勢部材の他端
8 規制部
9 カバー部材
B1 操作部側取付部
B2 被操作部側取付部
C1 第1ケース
C2 第2ケース
C21 筒状体
C22 キャップ部材
F1 フランジ部
F2 フランジ部
L1 被操作部の移動可能な移動量
L2 第1インナーケーブルの操作量
L3 第1インナーケーブルの予備操作量
P1 操作部
P2 被操作部
X 第1インナーケーブルの軸
図1
図2
図3
図4