(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】人検知システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20230331BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20230331BHJP
G01J 1/44 20060101ALI20230331BHJP
G01V 8/20 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G01J1/42 B
G01J1/02 Y
G01J1/44 A
G01V8/20 Q
(21)【出願番号】P 2018177999
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕介
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-146149(JP,A)
【文献】特開2017-150910(JP,A)
【文献】特開2018-031725(JP,A)
【文献】特開2014-202614(JP,A)
【文献】特開平06-003366(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074511(WO,A1)
【文献】特開2008-224528(JP,A)
【文献】特開2007-178204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0217292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 11/00
G01V 1/00 - G01V 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1検知領域における人体の検知に用いられる第1センサ、及び第2検知領域における前記人体の検知に用いられる第2センサからの信号を受け取る判定部を備え、
前記第2検知領域は、前記第1検知領域の周囲における少なくとも一部の領域を含み、かつ前記第1検知領域と重複しておらず、
前記判定部は、
少なくとも前記第1センサの出力値を用いて、前記第1検知領域における前記人体の存在を判定し、
少なくとも前記第2センサの出力値を用いて、前記第1検知領域からの前記人体の退出を判定
し、
前記第2センサが複数存在し、
前記複数の第2センサは、第1センサを中心として、前記第1センサの周囲に配置されており、
前記複数の第2センサは、複数の前記第2検知領域にそれぞれ対応し、
前記第1検知領域は、前記複数の第2センサにおける前記複数の第2検知領域が合わさった領域によって囲まれ、
前記複数の第2検知領域のそれぞれには、隣接する他の第2検知領域における一部の領域と重複した重複領域が含まれている、
人検知システム。
【請求項2】
前記第1センサと前記第2センサとは、互いに同じ構成であり、
前記判定部は、
少なくとも前記第1センサの出力値と第1閾値とを用いて、前記第1検知領域における前記人体の滞在を判定し、
少なくとも前記第2センサの出力値と前記第1閾値よりも大きい第2閾値とを用いて、前記第1検知領域からの前記人体の退出を判定する、
請求項1に記載の人検知システム。
【請求項3】
前記判定部は、
少なくとも前記第1センサの出力値と前記第1検知領域での前記人体の微動を検知する際に用いられる第1閾値とを用いて、前記第1検知領域における前記人体の滞在を判定し、
少なくとも前記第2センサの出力値と前記第1検知領域から前記第2検知領域への移動を検知する際に用いられる第2閾値とを用いて、前記第1検知領域からの前記人体の退出を判定する、
請求項1に記載の人検知システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1センサの出力値が前記第1閾値を超えている場合、前記第1検知領域に前記人体が存在すると判定する、
請求項2又は3に記載の人検知システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1センサの出力値が前記第1閾値を超え、かつ前記第2センサの出力値が前記第2閾値を下回っている場合、前記第1検知領域に前記人体が存在すると判定する、
請求項2又は3に記載の人検知システム。
【請求項6】
前記判定部が前記第1検知領域への前記人体の進入検知を行っているときの前記第1センサの出力値に応じて、前記第1閾値を変更する変更部を、更に備える、
請求項2~5のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項7】
前記変更部は、前記判定部が前記進入検知を行っている場合に、
前記第1センサの出力値が前記第1閾値を超え、かつ前記第1閾値よりも大きい第3閾値を下回っていると、前記第1センサの出力値が前記第1閾値を超えてから第1時間の間における前記第1センサの出力値のうち最大の出力値よりも大きい値を前記第1閾値とし、
第2時間の間、前記第1センサの出力値が前記第1閾値を下回っていると、前記第1閾値を小さくする、
請求項6に記載の人検知システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記第1閾値及び前記第3閾値を含む複数の閾値を用いた複数の感度で、前記第1検知領域における前記人体の検知を行っており、
前記複数の閾値に対して互いに異なる判定時間長が対応付けられており、
前記判定部は、前記第1検知領域への前記人体の進入が検知された後、前記複数の閾値のうち1つの閾値に対応する判定時間が経過するまでの期間に、前記第1センサの出力値が当該1つの閾値を超えない場合には前記第1検知領域では前記人体は不在であると判定する、
請求項7に記載の人検知システム。
【請求項9】
前記判定部は、前記第1センサの出力値に基づいて、前記第1検知領域に前記人体が進入したか否かを更に判定する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項10】
前記判定部は、前記第1検知領域への前記人体の進入検知を行っているときに、前記第2センサの出力値に基づいて、前記第2検知領域に前記人体が存在すると判定してから、進入判定時間が経過するまでの期間における、前記第1センサの出力値に基づいて、前記第1検知領域に前記人体が進入したか否かを判定する、
請求項9に記載の人検知システム。
【請求項11】
前記判定部は、前記第1検知領域に前記人体が存在すると判定している場合に、前記第2センサの出力値に基づいて前記第2検知領域に前記人体が存在すると判定すると、前記第1検知領域から前記人体が退出したと判定する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項12】
前記判定部は、前記第1センサの出力値に基づいて前記第1検知領域に前記人体が存在すると判定してから退出判定時間が経過するまでの期間に、前記第2センサの出力値に基づいて前記第2検知領域に前記人体が存在すると判定した場合に、前記第1検知領域から前記人体が退出したと判定する、
請求項11に記載の人検知システム。
【請求項13】
前記判定部の判定結果に応じて負荷を制御する負荷制御部を、更に備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項14】
前記負荷は照明器具であり、
前記負荷制御部は、前記第1検知領域での前記人体の存在を検知すると前記照明器具が点灯するように前記照明器具を制御し、前記第1検知領域での前記人体の不在を検知すると前記照明器具が消灯するように前記照明器具を制御する、
請求項13に記載の人検知システム。
【請求項15】
前記第1センサとして、前記第1検知領域での赤外線変化を検知する第1焦電センサと、
前記第2センサとして、前記第2検知領域での赤外線変化を検知する第2焦電センサと、を更に備える、
請求項1~14のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1~15のいずれか1項に記載の人検知システムにおける前記判定部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に人検知システム及びプログラムに関し、より詳細には人の存否を検知する人検知システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体が所定領域に存在するか否かを検出するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1で記載された赤外線検出システムは、2つの受光部、乗算部、積分部及び判定部を有している。各受光部は、検知空間からの赤外線の受光強度の変化に応じた出力信号を出力する。乗算部は、各受光部から出力された出力信号を乗算する。積分部は、乗算部の乗算結果を積分処理する。判定部は、積分部の積分結果と第1判定閾値とを比較して、積分結果が第1判定閾値以上である場合、人が検知空間内に存在する(滞在している)と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の赤外線検出システム(人検知システム)では、1つの検知領域のみを監視しており、出力信号に対して乗算処理及び積分処理を行い、その演算結果が閾値未満である状態が所定時間以上継続したときに、検知領域では人体が不在である判定している。つまり、従来の人検知システムでは、検知領域からの人体の退出移動を検知することができなかった。
【0006】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、その目的は、2つの検知領域間における人体の移動を検知することができる人検知システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る人検知システムは、判定部を備える。前記判定部は、第1検知領域における人体の検知に用いられる第1センサ、及び第2検知領域における前記人体の検知に用いられる第2センサからの信号を受け取る。前記第2検知領域は、前記第1検知領域の周囲における少なくとも一部の領域を含み、かつ前記第1検知領域と重複していない。前記判定部は、少なくとも前記第1センサの出力値を用いて、前記第1検知領域における前記人体の存在を判定する。前記判定部は、少なくとも前記第2センサの出力値を用いて、前記第1検知領域からの前記人体の退出を判定する。前記第2センサが複数存在する。前記複数の第2センサは、第1センサを中心として、前記第1センサの周囲に配置されている。前記複数の第2センサは、複数の前記第2検知領域にそれぞれ対応する。前記第1検知領域は、前記複数の第2センサにおける前記複数の第2検知領域が合わさった領域によって囲まれる。前記複数の第2検知領域のそれぞれには、隣接する他の第2検知領域における一部の領域と重複した重複領域が含まれている。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータを前記人検知システムにおける前記判定部として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示では、2つの検知領域間における人体の移動を検知することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る人検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の人検知システムの使用例を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の人検知システムにおける第1検知領域及び4つの第2検知領域の概略図である。
【
図4】
図4は、同上の人検知システムにおいて、第1検知領域での人の存否の判定を説明する図である。
【
図5】
図5は、同上の人検知システムにおいて、滞在検知用閾値を変化させることを説明する図である。
【
図6】
図6は、同上の人検知システムにおいて、滞在検知用閾値をより大きな値に変更することを説明する図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態の変形例に係る人検知システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る人検知システム1について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0013】
(1)概要
人検知システム1は、例えばビルの廊下、オフィス及び住宅の居室などに設定された第1検知領域81(
図2、
図3参照)における、人91(人体)の存在の有無を検知する。人検知システム1は、第1検知領域81、及び第1検知領域81の周囲に設定された複数(ここでは、4つ)の第2検知領域82(
図2、
図3参照)からの赤外線の受光強度の変化に基づいて、第1検知領域81における人91の存在の有無を検知する。すなわち、人検知システム1は、複数の第2検知領域82のうち少なくとも1つの第2検知領域82を通った第1検知領域81への人91の進入、又は複数の第2検知領域82のうち少なくとも1つの第2検知領域82に向かう第1検知領域81からの人91の退出によって生じる、赤外線の受光強度の変化から、第1検知領域81における人91の存在の有無を検知する。また、人検知システム1は、第1検知領域81内での人91の微動又は大きな動きによって生じる、赤外線の受光強度の変化から、第1検知領域81における人91の存在の有無を検知する。ここでいう「微動」とは、例えば人91の呼吸動作による身体の揺らぎ、及び身じろぎ等、人91の比較的小さな動きを意味する。なお、本実施形態では、第1検知領域81内での人91の微動によって生じる赤外線の受光強度の変化から人91の存在の有無を検知することを、滞在検知という。第2検知領域82を通った第1検知領域81への人91の進入によって生じる赤外線の受光強度の変化から人91の存在の有無を検知することを、進入検知という。また、第2検知領域82に向かう第1検知領域81からの人91の退出によって生じる赤外線の受光強度の変化から人91の存在の有無を検知することを、退出検知という。
【0014】
人検知システム1は、第1検知領域81の状態が、存在状態と不在状態とのいずれであるかを検知する。ここでいう「存在状態」とは、第1検知領域81に人91が存在する状態である。「不在状態」とは、第1検知領域81に人91が存在しない状態である。したがって、第1検知領域81に人91が存在しない状態では、人検知システム1の検知結果は「不在状態」となる。第1検知領域81へ人91が進入すると、人検知システム1の検知結果は「不在状態」から「存在状態」に変化する。その後、第1検知領域81に人91が滞在している間は、人検知システム1の検知結果は「存在状態」を維持する。第1検知領域81から人91が退出する、つまり人91が第1検知領域81では不在となると、人検知システム1の検知結果は「存在状態」から「不在状態」に変化する。
【0015】
人検知システム1は、複数(ここでは、5つ)の焦電センサ10を有している(
図1参照)。
【0016】
本実施形態では一例として、人検知システム1は、照明制御システム40(
図1参照)と通信可能である。照明制御システム40は、第1検知領域81に設けられた照明器具41(
図1、
図2参照)と、照明器具41を制御する制御装置42(
図1参照)とを備えている。人検知システム1は、人検知の検知結果に応じて照明器具41の点灯の要否を判断する。人検知システム1の判断結果は、制御装置42に入力される。制御装置42は、人検知システム1の判断結果に応じて、照明器具41を点灯又は消灯させる。制御装置42は、照明器具41への給電路に挿入され照明器具41の通電をオン/オフするスイッチであってもよい。このように、本実施形態の人検知システム1は、第1検知領域81での人91の存在の有無に応じて照明器具41を制御する、照明制御システム40に用いられる。つまり、本実施形態では、第1検知領域81が負荷(照明器具41)を制御するための制御対象領域である。人検知システム1は、人91が第2検知領域82を通って第1検知領域81に進入し、第1検知領域81に人91が滞在している存在状態と判定すれば、照明器具41を点灯させる。人検知システム1は、人91が第1検知領域81から退出して第2検知領域82を通り、第1検知領域81に人91が不在である不在状態と判定すれば、照明器具41を消灯させる。これにより、照明器具41の消し忘れによる無駄な電力消費を抑えることができる。
【0017】
(2)構成
人検知システム1は、
図1に示すように、複数(ここでは、5つ)の焦電センサ10と、検知装置30とを備えている。複数の焦電センサ10は、検知装置30と共に1つの筐体に収納される。焦電センサ10を含む人検知システム1は、
図2に示すように、例えば施設内の天井に設置される。
【0018】
5つの焦電センサ10は、第1焦電センサ11と、4つの第2焦電センサ12(12a~12d)と、を含む。第1焦電センサ11と、各第2焦電センサ12とは、互いに同じ構成である。第1焦電センサ11は、第1検知領域81(
図2、
図3参照)における人91の検知に用いられる。第2焦電センサ12は、第2検知領域82における人91の検知に用いられる。具体的には、第2焦電センサ12a~12dは、それぞれ第2検知領域82a~82d(
図3参照)における人91の検知に用いられる。
【0019】
本実施形態では、第1焦電センサ11を中心として、その周囲に4つの第2焦電センサ12a~12dが等間隔で配置されている。つまり、4つの第2焦電センサ12の内側の位置に、第1焦電センサ11が配置されている。
【0020】
第1焦電センサ11は、鉛直方向に向けて配置されている。第1焦電センサ11は、第1検知領域81からの赤外線を受光する。第1検知領域81は、天井側から見た外形が円形である(
図3参照)。
【0021】
各第2焦電センサ12は、鉛直方向に対して傾斜し、かつ第1焦電センサ11と反対側の外方向に向けて配置されている。第2焦電センサ12a~12dは、それぞれ第2検知領域82a~82dからの赤外線を受光する。第2検知領域82a~82dは、互いに同じ形状であり、互いに異なる領域を含んでいる。各第2検知領域82は、第1検知領域81の周囲における一部の領域である。各第2検知領域82は、第1検知領域81を避けるように形成されている。つまり、各第2検知領域82は、第1検知領域81と隣接しており、第1検知領域81と重複していない。また、各第2検知領域82には、隣の他の第2検知領域82における一部の領域と重複した重複領域820が含まれている。各第2検知領域82には、2つの重複領域820が含まれている。つまり、第1検知領域81の周囲には、隣の2つの第2検知領域82の一部同士が重複した重複領域820が4箇所ある。
図3に示すように、第1検知領域81は、4つの第2検知領域82a~82dが合わさって形成された領域によって囲まれている。4つの第2検知領域82a~82dが合わさって形成された領域は、外形が四角形であり、内側に第1検知領域81がある。
【0022】
したがって、人91が第1検知領域81に進入する場合、及び人91が第1検知領域81から退出する場合、人91は、第2検知領域82a~82dのうち少なくとも1つの第2検知領域82を通ることとなる。
【0023】
各焦電センサ10(第1焦電センサ11、複数の第2焦電センサ12)は、受光素子101と、変換回路102と、増幅回路103と、A/D変換器104とを有している。受光素子101は、焦電素子であって、対応する検知領域からの赤外線の受光強度の変化に応じた信号(電気信号)を出力する。変換回路102は、受光素子101から出力される電気信号を、電流信号から電圧信号に変換する。増幅回路103は、変換回路102から出力される電圧信号を増幅する。A/D変換器104は、増幅回路103から出力されるアナログ信号(電圧信号)を、デジタル信号に変換する。
【0024】
各焦電センサ10は、光学系15(
図2参照)と組み合わせて用いられる。光学系15は、レンズ若しくはミラー、又はこれらの組み合わせからなり、第1検知領域81及び第2検知領域82a~82dからの赤外線を、各検知領域に対応する受光素子101に集光する。
【0025】
検知装置30は、複数(ここでは、5つ)の焦電用バッファ301と、複数(ここでは、5つ)の焦電用フィルタ部302と、記憶部303と、制御部304と、出力部305とを有している。
【0026】
各A/D変換器104からの信号は、焦電用バッファ301を介して焦電用フィルタ部302に入力される。焦電用フィルタ部302は、特定の周波数成分を減衰又は増幅させる。
【0027】
本実施形態では、検知装置30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部304として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0028】
各受光素子101から出力された信号は、変換回路102、増幅回路103、A/D変換器104、焦電用バッファ301及び焦電用フィルタ部302を介して、制御部304へ入力される。具体的には、複数の焦電センサ10は、受光素子101を有し、対応する検知領域からの赤外線の受光強度の変化に応じた出力信号Vを、後述する検知部310に出力する(
図1参照)。具体的には、第1焦電センサ11は、第1検知領域81からの赤外線の受光強度の変化に応じた出力信号V1を検知部310に出力する。4つの第2焦電センサ12(12a~12d)は、それぞれ第2検知領域82(82a~82d)からの赤外線の受光強度の変化に応じた出力信号V2(V2a~V2d)を、検知部310に出力する。
【0029】
焦電用フィルタ部302は、焦電センサ10の出力から交流成分を抽出する。焦電用フィルタ部302が通過させる周波数帯域は、例えば0.3Hz~1Hzに設定されている。各焦電用フィルタ部302の出力、つまり出力信号V1,V2は、それぞれ低周波成分(直流成分を含む)が除去された交流信号になる。
【0030】
ここで、第1焦電センサ11からの出力を受け付ける焦電用フィルタ部302は、滞在検知を行う場合と、進入検知を行う場合とで、通過させる周波数帯域(通過帯域)が異なってもよい。言い換えると、焦電用フィルタ部302は、滞在検知を行う場合と、進入検知を行う場合とで、通過帯域を切り替えてもよい。滞在検知を行う場合には、第1焦電センサ11から出力される出力信号V1については、焦電用フィルタ部302の通過帯域は、上述したように例えば0.3Hz~1Hzとする。一方、進入検知を行う場合には、第1焦電センサ11から出力される出力信号V1については、焦電用フィルタ部302の通過帯域は、例えば1Hz付近を中心周波数とする周波数帯域とする。また、第2焦電センサ12a~12dから出力される出力信号V2については、焦電用フィルタ部302の通過帯域は、例えば1Hz付近を中心周波数とする周波数帯域とする。
【0031】
記憶部303は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスを有している。
【0032】
記憶部303は、焦電センサ10ごとに、人91の検知に用いる閾値を記憶する。具体的には、記憶部303は、第1焦電センサ11での人91の検知に用いる第1移動検知用閾値(第3閾値)、及び滞在検知用閾値(第1閾値)を記憶する。また、記憶部303は、複数の第2焦電センサ12ごとに、人91の検知に用いる第2移動検知用閾値(第2閾値)を記憶する。さらに、記憶部303は、第1焦電センサ11の滞在検知用閾値として設定される最小の値(最小閾値)を記憶する。本実施形態では、第1移動検知用閾値と第2移動検知用閾値とは、互いに同じ値であるが、互いに異なる値であってもよい。また、本実施形態では、複数の第2焦電センサ12に対応する複数の第2移動検知用閾値は、互いに同じ値であるが、互いに異なる値であってもよい。
【0033】
また、記憶部303は、第1焦電センサ11において、照明制御システム40に対して強制的に制御する(ここでは、消灯するように制御する)ために用いる閾値(制御用閾値)を記憶する。本実施形態では、制御用閾値は、第1移動検知用閾値より小さい値であり、かつ滞在検知用閾値よりも大きい値である。
【0034】
さらに、記憶部303は、滞在検知用閾値に対応付けられた第1判定時間長と、制御用閾値に対応付けられた第2判定時間長と、第1移動検知用閾値に対応付けられた第3判定時間長とを記憶する。ここで、第1判定時間長が最も短く、第3判定時間長が最も長い。例えば、第1判定時間長は1分であり、第2判定時間長は10分であり、第3判定時間長は15分である。なお、これらの数値は、一例であり、これらの数値に限定する趣旨ではない。
【0035】
制御部304は、
図1に示すように、検知部310と、指示部311とを有している。
【0036】
検知部310は、各焦電センサ10の出力信号Vの出力値に基づいて、第1検知領域81内での人91の存否を検知する。言い換えると、検知部310は、第1検知領域81の状態が、第1検知領域81に人91が存在する「存在状態」と、第1検知領域81に人91が存在しない「不在状態」とのいずれであるかを判定する。
【0037】
検知部310の動作モード(つまり、人検知の動作モード)は、進入検知モードと、滞在検知モードとを含んでいる。進入検知モードは、第1検知領域81への人91の進入の有無を検知するための動作モードである。滞在検知モードは、第1検知領域81からの人91の退出の有無を検知するための動作モード、言い換えると第1検知領域81内での人91の在不在を検知するための動作モードである。つまり、検知部310は、進入検知モードでは進入検知を行い、滞在検知モードでは滞在検知、及び退出検知を行う。
【0038】
検知部310は、
図1に示すように、判定部320と変更部321とを有している。
【0039】
判定部320は、進入検知モードにおいては、第1焦電センサ11に対して、第1検知領域81の状態が「存在状態」であるか否かの判定に用いる判定用閾値として、記憶部303に記憶している第1移動検知用閾値を設定する。
【0040】
判定部320は、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えたか否かを判定する。判定部320は、出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えたと判定する場合、人91が第1検知領域81に進入したと判定、つまり存在状態であると判定する。判定部320は、進入検知モードにおいて、出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を下回っていると判定する場合、人91が第1検知領域81に進入していない、つまり不在状態であると判定する。
【0041】
判定部320は、進入検知モードにおいて、存在状態であると判定した場合に、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに変更する。このとき、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11に対して、第1検知領域81の状態が「存在状態」であるか否かの判定に用いる判定用閾値として、記憶部303に記憶している滞在検知用閾値を設定する。
【0042】
判定部320は、第1検知領域81に人91が存在すると判定している場合に、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値に基づいて第2検知領域82に人91が存在すると判定すると、第1検知領域81から人91が退出したと判定する。つまり、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えているか否かを判定する。判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えていると判定する場合、人91が第1検知領域81に滞在している、つまり存在状態であると判定する。
【0043】
判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えていると判定する場合、記憶部303に記憶する退出判定時間の計時を開始する。判定部320は、退出判定時間が経過するまでの期間に、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超えたか否かを判定する。判定部320は、退出判定時間が経過するまでの期間に、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超えたと判定する場合、人91が第1検知領域81から退出した、つまり不在状態であると判定する。判定部320は、人91は第1検知領域81では不在であると判定した場合に、第1焦電センサ11に対して、第1移動検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。ここで、退出判定時間は、例えば10秒である。
【0044】
より詳細には、判定部320は、滞在検知モード時に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えていると判定すると、退出判定時間の計時を開始する。判定部320は、計時を開始してから退出判定時間が経過するまでの期間に、出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超える場合には、人91は第1検知領域81から退出し不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、人91は第1検知領域81では不在であると判定した場合に、第1焦電センサ11に対して、第1移動検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。また、判定部320は、計時を開始してから退出判定時間が経過するまでの期間に、出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超えなかった場合には、人91は第1検知領域81から退出せず滞在している、つまり存在状態と判定する。このとき、判定部320は、退出判定時間の計時をリセットし、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えているか否かを再度判定する。判定部320は、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えていると判定する場合、退出判定時間の計時を開始する。なお、退出判定時間の計時は、値“0”から退出判定時間の時間長までカウントアップしてもよいし、退出判定時間の時間長から値“0”までカウントダウンしてもよい。
【0045】
また、判定部320は、滞在検知モードでは、上記の退出判定に加えて、記憶部303が記憶する不在判定時間を用いて、人91の第1検知領域81での在不在を判定する。
【0046】
判定部320は、不在判定時間が経過するまでの期間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っているか否かを判定する。判定部320は、不在判定時間の間、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っている場合に、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、人91は第1検知領域81では不在であると判定した場合に、第1焦電センサ11に対して、第1移動検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。ここで、不在判定時間は、例えば1分である。
【0047】
より詳細には、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を下回ると、不在判定時間として記憶部303が記憶する第1判定時間長までの時間の計時を開始する。判定部320は、時間の計時の開始から不在判定時間が経過するまでの期間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っている場合には、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、時間の計時の開始から不在判定時間が経過するまでの期間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えた場合には、人91は第1検知領域81に存在する、つまり存在状態と判定する。このとき、判定部320は、時間の計時をリセットする。これにより、滞在検知モードが継続される。なお、不在判定時間の計時は、値“0”から第1判定時間長(不在判定時間の時間長)までカウントアップしてもよいし、第1判定時間長から値“0”までカウントダウンしてもよい。
【0048】
また、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11について、記憶部303が記憶する第2判定時間長の期間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が制御用閾値を常に下回っているか否かを判定する。判定部320は、第2判定時間長の期間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が制御用閾値を常に下回っている場合には、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、人91は第1検知領域81では不在であると判定した場合に、第1焦電センサ11に対して、第1移動検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。ここで、第2判定時間長は、例えば10分である。
【0049】
より詳細には、判定部320は、滞在検知モード時に、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が制御用閾値を下回ると、第2判定時間長までの時間の計時を開始する。判定部320は、時間の計時の開始から第2判定時間長までの期間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が制御用閾値を常に下回っている場合には、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、時間の計時の開始から第2判定時間長までの間に第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が制御用閾値を超えた場合には、時間の計時をリセットする。なお、第2判定時間長までの時間の計時は、値“0”から第2判定時間長までカウントアップしてもよいし、第2判定時間長から値“0”までカウントダウンしてもよい。判定部320は、第2判定時間長までの期間において、出力信号V1の出力値と制御用閾値とを比較することで、滞在検知用閾値を用いて検知される人91の動きよりも大きな動きを検知することができる。
【0050】
判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11について、記憶部303が記憶する第3判定時間長の期間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を常に下回っているか否かを判定する。判定部320は、第3判定時間長の期間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を常に下回っている場合に、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、人91は第1検知領域81では不在であると判定した場合に、第1焦電センサ11に対して、第1移動検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。ここで、第3判定時間長は、例えば15分である。
【0051】
より詳細には、判定部320は、滞在検知モード時に、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を下回ると、第3判定時間長までの時間の計時を開始する。判定部320は、時間の計時の開始から第3判定時間長までの間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1進入検出用閾値を常に下回っている場合には、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。判定部320は、時間の計時の開始から第3判定時間長までの間に第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えた場合には、時間の計時をリセットする。なお、第3判定時間長までの時間の計時は、値“0”から第3判定時間長までカウントアップしてもよいし、第3判定時間長から値“0”までカウントダウンしてもよい。判定部320は、第3判定時間長までの期間において、出力信号V1の出力値と第1移動検知用閾値とを比較することで、制御用閾値を用いて検知される人91の動きよりも大きな動きを検知することができる。
【0052】
要するに、判定部320は、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値と、滞在検知用閾値、制御用閾値及び第1移動検知用閾値とを用いて、複数(本実施形態では、3つ)の感度で人検知を行う。
【0053】
判定部320は、第1焦電センサ11について、滞在検知用閾値、制御用閾値及び第1移動検知用閾値のうちいずれかの閾値を第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が超えると、当該閾値に対応する判定時間長の計時をリセットする。このとき、判定部320は、当該閾値よりも小さい閾値に対応する判定時間長についてもリセットする。例えば、判定部320は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第3判定時間長の期間内に第1進入検知閾値を超えた場合、第3判定時間長の時間の計時をリセットする。このとき、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値は、滞在検知用閾値及び制御用閾値の双方とも超えているので、判定部320は、滞在検知用閾値及び制御用閾値のそれぞれに対応する第1判定時間長及び第2判定時間長の時間の計時もリセットする。
【0054】
判定部320は、滞在検知用閾値、制御用閾値及び第1移動検知用閾値のそれぞれに対応する第1判定時間長、第2判定時間長及び第3判定時間長のいずれかの判定時間長を計時する時間が経過すると、人91は第1検知領域81では不在である、つまり不在状態と判定する。言い換えると、判定部320は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が、滞在検知用閾値、制御用閾値及び第1移動検知用閾値のうち1つの閾値に対応付けられた判定時間長内に当該閾値を超えない場合には人91は第1検知領域81では不在であると判定する。
【0055】
例えば、判定部320は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が、第1判定時間長の期間(不在判定時間)内に滞在検知用閾値を超えると、人91は第1検知領域81から退出していない、つまり存在状態と判定し、滞在検知モードを継続する。このとき、第1検知領域81内の温度、照度及び風等の環境の影響により第1焦電センサ11の出力信号V1にはノイズが含まれる可能性がある。そこで、判定部320は、人91が第1検知領域81では不在であるにも関わらず、出力信号V1の出力値が第1判定時間長の期間内に滞在検知用閾値を超える可能性がある。つまり、第1検知領域81内の環境の影響により第1焦電センサ11の出力信号V1にノイズが含まれ、その結果、判定部320は、人91が第1検知領域81に存在するといった誤った検知を行う可能性がある。
【0056】
ところで、人91は、第2判定時間長(ここでは、10分)の期間内及び第3判定時間長(ここでは、15分)の期間内において、滞在検知用閾値を用いて検出される人91の動きよりも大きな動きをする可能性が高い。そこで、本実施形態では、判定部320は、滞在検知モードにおいて、滞在検知用閾値を用いて第1検知領域81内の人91の滞在を検知するとともに、所定時間内(第2判定時間長の期間内、第3判定時間長の期間内)において他の閾値(制御用閾値、第1移動検知用閾値)を用いて第1検知領域81内の人91の滞在を検知している。判定部320は、第2判定時間長の期間内又は第3判定時間長の期間内において、滞在検知用閾値を用いて検出される人91の動きよりも大きな動きを検知しない場合には、第1検知領域81では不在状態であると判定する。
【0057】
これにより、判定部320は、滞在検知用閾値を用いて人91の滞在を検知している場合であっても、所定時間内(第2判定時間長の期間内又は第3判定時間長の期間内)においてより大きな動きの有無を検知することで、上記誤検知を解消することができる。
【0058】
変更部321は、進入検知モードにおいては、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値に応じて、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を変更する。
【0059】
具体的には、変更部321は、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超え、かつ第1移動検知用閾値を下回っているか否かを判定する。変更部321は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超え、かつ対応する第1移動検知用閾値を下回っていると判定する場合には、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を変更する。より詳細には、変更部321は、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を、現在設定されている値よりも大きな値に変更する。なお、滞在検知用閾値は、第1移動検知用閾値よりも小さい値であるので、変更後の滞在検知用閾値も第1移動検知用閾値よりも小さい値である。より詳細には、変更部321は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えてから第1時間(例えば、5秒間)で第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値のうち最大値である出力値を抽出する。変更部321は、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を、抽出した最大値よりも大きな値に変更する。
【0060】
変更部321は、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が判定用閾値(第1移動検知用閾値)を超えた場合、滞在検知用閾値の変更を行わない。より詳細には、変更部321は、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えてから第1時間内に出力値が判定用閾値(第1移動検知用閾値)を超えた場合、滞在検知用閾値の変更を行わない。
【0061】
さらに、変更部321は、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11について、第2時間の間、第1焦電センサ11からの出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っているか否かを判定する。変更部321は、第2時間の間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っていると判定する場合、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を変更する。より詳細には、変更部321は、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値を、現在設定されている値よりも小さい値に変更する。本実施形態では、変更部321は、現在設定されている値よりも小さい値であって第2時間における最大の出力値よりも大きい値に変更する。ここで、第2時間は、例えば1分間である。
【0062】
判定部320は、存在状態と判定、つまり人91が第1検知領域81に進入したと判定した場合、第1焦電センサ11において、記憶部303に記憶されている滞在検知用閾値を判定用閾値に設定する。このとき、判定部320は、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに変更する。
【0063】
また、判定部320は、第1検知領域81では不在状態であると判定して、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更してから予め定められた第3時間において、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えた場合、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに変更する。このとき、判定部320は、第1焦電センサ11に、最小閾値を滞在検知用閾値として判定用閾値に設定する。ここで、第3時間は、例えば10秒間である。
【0064】
指示部311は、検知部310の検知結果に基づいて、照明器具41の点灯の要否を表す制御信号を、出力部305を介して制御装置42に出力する。具体的には、指示部311は、検知部310の検知結果が不在状態である場合には、点灯は不要であること、つまり消灯を表す制御信号(消灯信号)を、制御装置42に出力する。指示部311は、検知部310の検知結果が存在状態である場合には、点灯が必要であること、つまり点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。
【0065】
指示部311は、制御信号を送信することで照明器具41を制御することが可能に構成されている。つまり、指示部311は、本開示の負荷制御部に相当する。
【0066】
出力部305は、制御装置42と通信するための通信インタフェースである。出力部305は、指示部311から出力された制御信号を、制御装置42に出力する。
【0067】
(3)動作
次に、本実施形態に係る人検知システム1の動作、特に進入検知、及び退出検知について、
図4を参照して説明する。ここでは、第2検知領域82aを通って、人91が第1検知領域81に進入、及び第1検知領域81から退出する場合を想定している。
【0068】
図4では、時間軸に沿った、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値の変化、第2焦電センサ12aの出力信号V2aの出力値の変化、及び判定部320による在不在の判定結果の変化を表している。また、
図4において、第1移動検知用閾値をTh11、滞在検知用閾値をTh12、第2移動検知用閾値をTh21で表している。
【0069】
判定部320は、進入検知モードにおいては、第1焦電センサ11の出力信号V1が第1移動検知用閾値Th11を超えたか否かを判定する。
【0070】
時刻t1では、人91が第1検知領域81に進入するために第2検知領域82aを通るので、第2焦電センサ12aの出力信号V2aの出力値が第2移動検知用閾値Th21を超える。このとき、人91は第1検知領域81に到達していないため、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値Th11を下回っている。したがって、時刻t1では、判定部320は、第1検知領域81に人91が不在である、つまり不在状態と判定する。
【0071】
時刻t2では、人91が第2検知領域82aを通過して第1検知領域81に進入するので、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値Th11を超える。したがって、判定部320は、第1検知領域81に人91が進入した、つまり存在状態と判定する。人検知システム1は、点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。これにより、照明器具41は点灯する。
【0072】
また、判定部320は、時刻t2において、第1焦電センサ11の判定用閾値を、第1移動検知用閾値Th11から滞在検知用閾値Th12に変更する。さらに、検知部310は、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに変更する。
【0073】
判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を下回っているか否かを判定する。判定部320は、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を下回っていると判定すると、不在判定時間の計時を開始する。判定部320は、不在判定時間が経過するまでの期間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っているか否かを判定する。
【0074】
図4では、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が判定用閾値として設定された滞在検知用閾値Th12を下回った時刻t3から、第1判定時間長を経過するまでの時刻t4において、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12を超えている。したがって、判定部320は、存在状態と判定し、滞在検知モードを継続する。また、判定部320は、第1判定時間長の時間の計時をリセットする。このとき、人検知システム1は、点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。
【0075】
判定部320は、滞在検知モードにおいて、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えていると判定すると、退出判定時間の計時を開始する。判定部320は、退出判定時間が経過するまでの期間に、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号の出力値が、対応する第2移動検知用閾値Th21を超えたか否かを判定する。
【0076】
図4では、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12を超えた時刻t4から、退出判定時間が経過するまでの期間、出力信号V2a~V2dすべての出力値が第2移動検知用閾値Th21を常に下回っている。したがって、判定部320は、人91が第1検知領域81から退出していない、つまり存在状態と判定する。このとき、人検知システム1は、点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。
【0077】
図4では、時刻t5において、人91が第1検知領域81から退出しようとする人91の動きにより、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12を超える。時刻t5から退出判定時間が経過するまでの期間における時刻t6に、人91が第1検知領域81から退出して第2検知領域82aを通るので、第2焦電センサ12aの出力信号V2aの出力値が第2移動検知用閾値Th21を超える。したがって、判定部320は、人91が第1検知領域81から退出した、つまり不在状態と判定する。人検知システム1は、消灯を表す制御信号(消灯信号)を、制御装置42に出力する。これにより、照明器具41は消灯する。
【0078】
また、判定部320は、時刻t6において、第1焦電センサ11の判定用閾値を、滞在検知用閾値Th12から第1移動検知用閾値Th11に変更する。さらに、検知部310は、動作モードを滞在検知モードから進入検知モードに変更する。
【0079】
また、判定部320は、時刻t6を開始時点とする第3時間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値Th11を超えた場合、動作モードを進入検知モードから滞在検知モードに変更する。このとき、判定部320は、第1焦電センサ11において、最小閾値を滞在検知用閾値として判定用閾値に設定する。これにより、人検知システム1が誤って照明器具41を消灯させた場合であっても、第3時間内に人91を検知すると、再度照明を点灯させることができる。
【0080】
次に、進入検知モード時における、第1焦電センサ11の滞在検知用閾値Th12の設定変更について、
図5を参照して説明する。
【0081】
図5では、時間軸に沿った第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値の変化を表している。ここでは、第1移動検知用閾値Th11として値“a”が、滞在検知用閾値Th12の初期値として値“b”が、それぞれ設定されているとする。なお、値“b”は値“a”よりも小さい値である。
【0082】
変更部321は、進入検知モード時には、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12を超え、かつ第1移動検知用閾値Th11を下回っているか否かを判定する。
【0083】
時刻t11では、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値は値“b”を超え、かつ値“a”を下回っている。変更部321は、第1時間(5秒間)として時刻t11~t12の期間における出力信号V1の出力値のうち最大値である出力値よりも大きな値“c”に、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値Th12を変更する(時刻t12)。これにより、記憶部303で記憶されている滞在検知用閾値Th12としての値“b”が値“c”に変更される。なお、滞在検知用閾値Th12は、第1移動検知用閾値Th11よりも小さい値であるので、変更後の滞在検知用閾値Th12としての値“c”も第1移動検知用閾値Th11としての値“a”よりも小さい値である。
【0084】
時刻t13では、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値は値“c”を超え、かつ値“a”を下回っている。変更部321は、第1時間(5秒間)として時刻t13~t14の期間における出力信号V1の出力値のうち最大値である出力値よりも大きな値“d”に、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値Th12を変更する(時刻t14)。これにより、記憶部303で記憶されている滞在検知用閾値Th12としての値“c”が値“d”に変更される。なお、滞在検知用閾値Th12は、第1移動検知用閾値Th11よりも小さい値であるので、変更後の滞在検知用閾値Th12としての値“d”も第1移動検知用閾値Th11としての値“a”よりも小さい値である。
【0085】
変更部321は、進入検知モードにおいて、第2時間の間、第1焦電センサ11について、第1焦電センサ11からの出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12を常に下回っているかを判定する。
【0086】
図5では、第2時間を表す期間P1(時刻t14~t15の期間)において、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値Th12としての値“d”を常に下回っている。変更部321は、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値Th12を、現在設定されている値“d”よりも小さい値であって第2時間における出力信号V1の最大の出力値よりも大きい値である値“e”に変更する。これにより、記憶部303で記憶されている滞在検知用閾値Th12としての値“d”が値“e”に変更される。
【0087】
次に、進入検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が値“b”を超え、かつ値“a”を下回った場合における滞在検知用閾値Th12の変更に関する動作について、
図6を用いて説明する。ここでは、滞在検知用閾値Th12としての値“b”を値“c”に変更する場合について説明する。
【0088】
変更部321は、時刻t11において、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が値“b”を超え、かつ値“a”を下回っていることを検知する。変更部321は、第1時間として時刻t11~t12の期間P2で第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値のうち最大となる値“b1”を取得する。
【0089】
変更部321は、時刻t12において、記憶部303が記憶する滞在検知用閾値Th12としての値“b”を、取得した値“b1”よりも大きな値“c”に変更する。
【0090】
(4)利点
1つの検知領域のみを監視する従来の人検知システムでは、焦電センサの出力信号の出力値が閾値を所定時間の間、常に下回っている場合に検知領域に不在状態であると判定する場合、実際に検知領域から人が退出してから、不在状態であると判定するまでに時間がかかる可能性がある。
【0091】
そこで、本実施形態の人検知システム1では、照明器具41(負荷)を制御するための制御対象領域である第1検知領域81と、第1検知領域81の周囲を含む第2検知領域82とを監視している。本実施形態では、複数の第2検知領域82が合わさった領域で第1検知領域81が囲まれている。そのため、人91が第1検知領域81に進入するためには、第2検知領域82を通ることとなる。また、人91が第1検知領域81から退出すると、第2検知領域82に進入することとなる。人検知システム1は、滞在検知モードでは、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値を用いて、第1検知領域81から人91が退出したか否かを判定している。つまり、本実施形態の人検知システム1では、第1検知領域81への人91の進入、及び第1検知領域81からの人91の退出を検知、言い換えれば、互いに異なる第1検知領域81と第2検知領域82との間における人91の移動を検知することができる。そのため、本実施形態の人検知システム1では、第1検知領域81から人91が退出したか否かの判定に要する時間の短縮を図ることができる。したがって、第1検知領域81から人91が退出してから、照明器具41を消灯するまでの時間を短縮することができ、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0092】
また、本実施形態では、複数の第2検知領域82が合わさった領域で、第1検知領域81が囲まれている。そのため、人検知システム1は、人91が第1検知領域81におけるいずれの方向から退出した場合であっても、第1検知領域81からの人91の退出を検知することができる。
【0093】
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0094】
(5-1)変形例1
上記実施形態では、判定部320は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値に基づいて、第1検知領域81に人91が進入したか否かを判定していたが、この構成に限定されない。判定部320は、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値と、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値とに基づいて、第1検知領域81に人91が進入したか否かを判定してもよい。
【0095】
この場合、判定部320は、第1検知領域81への人91の進入検知を行っているときに、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値に基づいて、第2検知領域82に人91が存在するか否かを判定する。判定部320は、第2検知領域82に人91が存在すると判定してから、進入判定時間が経過するまでの期間における、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値に基づいて、第1検知領域81に人91が進入したか否かを判定する。
【0096】
より詳細には、判定部320は、進入検知モードにおいて、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2sのうち、少なくとも1つの出力信号の出力値が第2移動検知用閾値を超えたか否かを判定する。判定部320は、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち、少なくとも1つの出力信号の出力値が第2移動検知用閾値を超えたと判定すると、記憶部303に記憶する進入判定時間の計時を開始する。判定部320は、進入判定時間が経過するまでの期間に、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が、第1移動検知用閾値を超えたか否かを判定する。判定部320は、進入判定時間が経過するまでの期間に、出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えた場合、第1検知領域81に人91が進入した、つまり存在状態であると判定する。判定部320は、進入判定時間が経過するまでの期間に、出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値を超えない場合、第1検知領域81に人91が進入していない、つまり不在状態であると判定する。ここでは、進入判定時間は、例えば10秒である。
【0097】
図4の例では、時刻t1において、人91が第1検知領域81に進入するために第2検知領域82aを通るので、第2焦電センサ12aの出力信号V2aの出力値が第2移動検知用閾値Th21を超える。判定部320は、第2焦電センサ12aの出力信号V2aの出力値が第2移動検知用閾値Th21を超えると、進入判定時間の計時を開始する。時刻t1から進入判定時間が経過するまでの時刻t2において、人91が第1検知領域81に進入するので、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が第1移動検知用閾値Th11を超える。したがって、判定部320は、判定部320は、第1検知領域81に人91が進入した、つまり存在状態と判定する。人検知システム1は、点灯を表す制御信号(点灯信号)を、制御装置42に出力する。これにより、照明器具41は点灯する。
【0098】
このように、本変形例では、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値と、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値とに基づいて、第1検知領域81に人91が進入したか否かを判定している。したがって、第1検知領域81に人91が進入したか否かの判定精度を高めることができる。
【0099】
(5-2)変形例2
上記実施形態では、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えている場合、第1検知領域81に人91が滞在すると判定していたが、この構成に限定されない。
【0100】
ここでは、第1検知領域81と第2検知領域82が重複していないとする。判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値と、第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値とに基づいて、第1検知領域81に人91が滞在するか否かを判定してもよい。
【0101】
この場合、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超え、かつ複数の第2焦電センサ12のすべての出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を下回っている場合、第1検知領域81に人91が滞在すると判定する。
【0102】
これにより、第1検知領域81における人91が滞在(存在)するか否かの判定精度を高めることができる。
【0103】
(5-3)変形例3
上記実施形態では、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えたか否かを判定している。そして、判定部320は、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えたと判定してから、退出判定時間が経過するまでの期間に、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超えたか否かを判定している。判定部320は、退出判定時間が経過するまでの期間に、いずれかの出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を超えた場合に、第1検知領域81から人91が退出したと判定していが、これに限らない。
【0104】
判定部320は、いずれかの出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を超えた後に、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を下回っている場合に、第1検知領域81から人91が退出したと判定してもよい。
【0105】
この場合、判定部320は、滞在検知モードにおいて、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えたか否かを判定する。そして、判定部320は、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えたと判定してから、第1退出判定時間が経過するまでの期間に、4つの第2焦電センサ12a~12dの出力信号V2a~V2dのうち少なくとも1つの出力信号V2の出力値が、対応する第2移動検知用閾値を超えたか否かを判定する。判定部320は、第1退出判定時間が経過するまでの期間に、いずれかの出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を超えると、第2退出判定時間の計時を開始する。判定部320は、第2退出判定時間が経過するまでの期間、第1焦電センサ11の出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っているか否かを判定する。判定部320は、いずれかの出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を超えてから第2退出判定時間が経過するまでの期間、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を常に下回っている場合、第1検知領域81から人91が退出したと判定する。また、判定部320は、いずれかの出力信号V2の出力値が第2移動検知用閾値を超えてから第2退出判定時間が経過するまでの期間、出力信号V1の出力値が滞在検知用閾値を超えた場合、第1検知領域81に人91が滞在している、つまり存在状態であると判定する。ここでは、第2退出判定時間は、例えば15秒である。
【0106】
本変形例では、人91が第1検知領域81に滞在している場合に、第1検知領域81から人91が退出したという誤判定の可能性を低くすることができる。
【0107】
(5-4)変形例4
上記実施形態では、
図3に示すように、第1検知領域81は、4つの第2検知領域82a~82dが合わさった領域によって囲まれているが、これに限らない。
【0108】
複数の第2検知領域82が合わさった領域が、第1検知領域81の周囲の一部を含む構成であってもよい。つまり、第1検知領域81の周囲において、第2検知領域82が存在しない領域があってもよい。例えば、廊下等の突き当たりに第1検知領域81があり、第1検知領域81への進入方向が制限されている場合、第1検知領域81の周囲において、第1検知領域81へ進入することができる領域に、第2検知領域82が含まれていればよい。つまり、第1検知領域81の周囲において、壁等によって第1検知領域81に進入することができない領域には、第2検知領域82が含まれていなくてもよい。
【0109】
また、
図3の例では、各第2検知領域82には、他の第2検知領域82の一部の領域と重複した重複領域820が含まれているが、第2検知領域82に重複領域820が含まれていなくてもよい。例えば、複数の第2検知領域82が隣接していてもよいし、複数の第2検知領域82間に隙間があってもよい。
【0110】
また、
図3の例では、各第2検知領域82は、第1検知領域81と隣接しており、第1検知領域81と重複していないが、第1検知領域81と重複していてもよいし、第1検知領域81との間に隙間があってもよい。
【0111】
また、
図3に示す第1検知領域81及び第2検知領域82の外形は一例であって、これに限定されない。例えば、第1検知領域81の外形は、円形に限らず、例えば四角形等であってもよい。また、第2検知領域82の外形は、例えば四角形等であってもよい。また、複数の第2検知領域82の外形は、互いに異なる形、大きさであってもよい。
【0112】
また、第2検知領域82の数は、4つに限らず、1つであってもよいし、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。つまり、第2焦電センサ12の数は、4つに限らず、1つであってもよいし、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0113】
(5-5)変形例5
上記実施形態では、第1検知領域81における人の存否の検知結果に応じて制御される負荷を照明器具41としたが、制御される負荷は空調機器であってもよい。
【0114】
この場合、人検知システム1は、「存在状態」を検知した場合には空調機器をON状態とするように、「不在状態」を検知した場合には空調機器をOFF状態とするように、空調機器を制御する。
【0115】
(5-6)変形例6
上記実施形態では、人検知システム1は、複数の焦電センサ10を備える構成としたが、この構成に限定されない。人検知システム1は、複数の焦電センサ10を備えない構成、つまり検知装置30のみを備える構成であってもよい。
【0116】
(5-7)変形例7
上記実施形態では、人検知システム1は、人の検知に用いるセンサとして焦電センサ10を備える構成としたが、この構成に限定されない。人検知システム1は、人の検知に用いるセンサとして熱画像センサを備えてもよい。
【0117】
また、判定部320は、滞在モード時において、複数の感度として3つの感度で人検知を行う場合、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値を用いる構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。判定部320は、滞在モード時において、3つの感度で人検知を行う場合、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値のうち1又は2つの閾値と、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値とは異なる2又は1つの閾値を用いてもよい。または、判定部320は、滞在モード時において、3つの感度で人検知を行う場合、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値とは異なる3つの閾値を用いてもよい。
【0118】
また、判定部320は、滞在モード時において、複数の感度として2つの感度で人検知を行う場合には、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値のうち2つの閾値を用いてもよい。または、判定部320は、滞在モード時において、2つの感度で人検知を行う場合には、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値のうち1つの閾値と、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値とは異なる1つの閾値を用いてもよい。または、判定部320は、滞在モード時において、2つの感度で人検知を行う場合、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値とは異なる2つの閾値を用いてもよい。
【0119】
また、複数の感度として4つ以上の感度で人検知を判定部320が行う場合には、滞在検知に用いる4つ以上の閾値に、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値のうち少なくとも1つの閾値を含めてもよい。または、滞在検知に用いる4つ以上の閾値は、進入検知用閾値、制御用閾値及び滞在検知用閾値とは異なってもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、変更部321は、進入検知モード時において、焦電センサ10の信号に基づいて滞在検知用閾値を変更する構成したが、この構成に限定されない。変更部321は、滞在検知用閾値を固定値として、滞在検知モード時に焦電センサ10の出力値を補正してもよい。
【0121】
(その他の変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、人検知システム1における判定部320と同様の機能は、人検知方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る人検知システムの人検知方法は、判定ステップを含む。判定ステップでは、第1検知領域81における人体(人91)の検知に用いられる第1センサ(第1焦電センサ11)、及び第1検知領域81の周囲における少なくとも一部の領域を含む第2検知領域82における、人体(人91)の検知に用いられる第2センサ(第2焦電センサ12)からの信号を受け取る。判定ステップでは、少なくとも第1センサ(第1焦電センサ11)の出力値を用いて、第1検知領域81における人体(人91)の存在を判定する。判定ステップでは、少なくとも第2センサ(第2焦電センサ12)の出力値を用いて、第1検知領域81からの人体(人91)の退出を判定する。
【0122】
一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した人検知システム1として機能させるためのプログラムである。
【0123】
本開示における人検知システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における人検知システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0124】
また、人検知システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは人検知システム1に必須の構成ではなく、人検知システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、人検知システム1の少なくとも一部の機能、例えば、検知装置30の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0125】
例えば、人検知システム1は、
図7に示すように、人検知装置500とサーバ501とで構成されてもよい。この場合、人検知装置500と、サーバ501とはインターネット等のネットワーク502で通信可能に接続されている。人検知装置500は、上記実施形態と同様に、複数の焦電センサ10とを備える。人検知装置500は、複数の焦電センサ10の出力信号Vに応じた情報を取得する取得部を、更に備える。サーバ501は、上記実施形態の制御部304と同様の機能を有している。
【0126】
サーバ501は、存在状態を検知した場合には、点灯を表す制御情報(点灯情報)を、ネットワーク502を介して人検知装置500へ送信する。サーバ501は、人検知結果により不在状態を検知した場合には、消灯を表す制御情報(消灯情報)を、ネットワーク502を介して人検知装置500へ送信する。
【0127】
人検知装置500は、制御情報として点灯情報をサーバ501から受け取った場合には、制御信号として点灯信号を制御装置42へ出力する。人検知装置500は、制御情報として消灯情報をサーバ501から受け取った場合には、制御信号として消灯信号を制御装置42へ出力する。
【0128】
また、サーバ501は、滞在検知モード時には、人検知装置500からの受け取った第2焦電センサ12の出力信号V2の出力値に基づいて、第1検知領域81からの人91の退出を判定する。
【0129】
このように、人検知装置500は、サーバ501と連携することで、照明器具41の点灯、消灯の制御を行うことができる。さらに、サーバ501は、人検知装置500と連携することで、第1検知領域81からの人91の退出を検出することができる。
図7に示す人検知システム1は、例えば、施設内の情報(焦電センサ10からの情報)を用いて、施設内の照明器具を制御するサービスを提供する場合に有効である。
【0130】
(まとめ)
第1態様に係る人検知システム(1)は、判定部(320)を備える。判定部(320)は、第1検知領域(81)における人体(人91)の検知に用いられる第1センサ(第1焦電センサ11)、及び第2検知領域(82)における人体の検知に用いられる第2センサ(第2焦電センサ12)からの信号を受け取る。第2検知領域(82)は、第1検知領域(81)の周囲における少なくとも一部の領域を含んでいる。判定部(320)は、少なくとも第1センサの出力値を用いて、第1検知領域(81)における人体の存在を判定する。判定部(320)は、少なくとも第2センサの出力値を用いて、第1検知領域(81)からの人体の退出を判定する。
【0131】
この態様によれば、第1検知領域(81)と、第1検知領域(81)の周囲を含む第2検知領域(82)とを監視している。そのため、人体が第1検知領域(81)に進入するためには、第2検知領域(82)を通ることとなる。また、人体が第1検知領域(81)から退出すると、第2検知領域(82)に進入することとなる。人検知システム(1)は、少なくとも第1センサの出力値を用いて、第1検知領域(81)における人体の存在を判定し、少なくとも第2センサの出力値を用いて、第1検知領域(81)からの人体の退出を判定している。したがって、第1検知領域(81)への人体の進入、及び第1検知領域(81)からの人体の退出を検知、言い換えれば、互いに異なる2つの検知領域間における人体の移動を検知することができる。
【0132】
第2態様に係る人検知システム(1)では、第1態様において、判定部(320)は、少なくとも第1センサの出力値と第1閾値(滞在検知用閾値)とを用いて、第1検知領域(81)における人体の滞在を判定する。判定部(320)は、少なくとも第2センサの出力値と第1閾値よりも大きい第2閾値(第2移動検知用閾値)とを用いて、第1検知領域(81)からの人体の退出を判定する。
【0133】
この態様によれば、第1検知領域(81)における人体の滞在の判定に用いる第1閾値よりも大きい第2閾値を用いて、第1検知領域(81)からの人体の退出を判定するので、人体が第1検知領域(81)に滞在している場合に、第1検知領域(81)から人体が退出したという誤判定の可能性を低くすることができる。
【0134】
第3態様に係る人検知システム(1)では、第2態様において、判定部(320)は、第1センサの出力値が第1閾値を超えている場合、第1検知領域(81)に人体が存在すると判定する。
【0135】
この態様によれば、第1センサの出力値と第1閾値との比較により、第1検知領域(81)に人体が存在するか否かを判定することができる。
【0136】
第4態様に係る人検知システム(1)では、第2態様において、第2検知領域(82)は、第1検知領域(81)と重複していない。判定部(320)は、第1センサの出力値が第1閾値を超え、かつ第2センサの出力値が第2閾値を下回っている場合、第1検知領域(81)に人体が存在すると判定する。
【0137】
この態様によれば、第1検知領域(81)に人体が存在するか否かの判定精度を高めることができる。
【0138】
第5態様に係る人検知システム(1)は、第2~第4態様のいずれかにおいて、変更部(321)を更に備える。変更部(321)は、判定部(320)が第1検知領域(81)への人体の進入検知を行っているときの第1センサの出力値に応じて、第1閾値を変更する。
【0139】
この態様によれば、進入検知を行っている場合に、第1センサの出力値に応じて滞在検知に用いる第1閾値を変更するので、滞在検知の精度を高めることができる。これにより、人検知システム(1)は、滞在検知において誤検知が生じる可能性を低くすることができる。
【0140】
第1検知領域(81)の環境に応じてセンサからの信号にはノイズが含まれる。このとき、ノイズが含まれる第1センサの出力値が滞在検知用閾値を超える可能性がある。そのため、固定された滞在検知用閾値を用いて滞在検知を行うと、人体が第1検知領域(81)に存在しない場合であっても、人体が第1検知領域(81)に存在すると誤検知する可能性がある。そこで、第1検知領域(81)に対して進入検知を行っている場合に、第1センサの出力信号の出力値に応じて滞在検知用閾値を変更することで、上記誤検出が発生する可能性を低くすることができる。
【0141】
第6態様に係る人検知システム(1)では、第5態様において、変更部(321)は、判定部(320)が進入検知を行っている場合に、第1センサの出力値が第1閾値を超え、かつ第1閾値よりも大きい第3閾値(第1移動検知用閾値)を下回っていると、第1センサの出力値が第1閾値を超えてから第1時間の間における第1センサの出力値のうち最大の出力値よりも大きい値を第1閾値とする。変更部(321)は、判定部(320)が進入検知を行っている場合に、第2時間の間、第1センサの出力値が第1閾値を下回っていると、第1閾値を小さくする。
【0142】
この態様によれば、第1センサの出力値に応じて滞在検知用閾値を適切に設定することができる。
【0143】
第7態様に係る人検知システム(1)では、第6態様において、判定部(320)は、第1閾値及び第3閾値を含む複数の閾値を用いた複数の感度で、第1検知領域(81)における人体の検知を行っている。複数の閾値に対して互いに異なる判定時間長が対応付けられている。判定部(320)は、第1検知領域(81)への人体の進入が検知された後、複数の閾値のうち1つの閾値に対応する判定時間が経過するまでの期間に、第1センサの出力値が1つの閾値を超えない場合には第1検知領域(81)では人体は不在であると判定する。
【0144】
この態様によれば、複数の感度で人検知を行うことで、第1検知領域(81)での人体の存在の検知精度を高めることができる。
【0145】
第8態様に係る人検知システム(1)では、第1~第7態様のいずれかにおいて、判定部(320)は、第1センサの出力値に基づいて、第1検知領域(81)に人体が進入したか否かを更に判定する。
【0146】
この態様によれば、第1検知領域(81)への人体の進入を検知することができる。
【0147】
第9態様に係る人検知システム(1)では、第8態様において、判定部(320)は、第1検知領域(81)への人体の進入検知を行っているときに、第2センサの出力値に基づいて、第2検知領域(82)に人体が存在すると判定してから、進入判定時間が経過するまでの期間における、第1センサの出力値に基づいて、第1検知領域(81)に人体が進入したか否かを判定する。
【0148】
この態様によれば、第1センサの出力値と第2センサの出力値とを用いて、第1検知領域(81)に人体が進入したか否かを判定するので、第1検知領域(81)への人体の進入の検知精度を高めることができる。
【0149】
第10態様に係る人検知システム(1)では、第1~第9態様のいずれかにおいて、判定部(320)は、第1検知領域(81)に人体が存在すると判定している場合に、第2センサの出力値に基づいて第2検知領域(82)に人体が存在すると判定すると、第1検知領域(81)から人体が退出したと判定する。
【0150】
この態様によれば、第1検知領域(81)に人体が存在しないにもかかわらず、第1検知領域(81)から人体が退出したという誤判定の可能性を低くすることができる。
【0151】
第11態様に係る人検知システム(1)では、第10態様において、判定部(320)は、第1センサの出力値に基づいて第1検知領域(81)に人体が存在すると判定してから退出判定時間が経過するまでの期間に、第2センサの出力値に基づいて第2検知領域(82)に人体が存在すると判定した場合に、第1検知領域(81)から人体が退出したと判定する。
【0152】
この態様によれば、第1センサの出力値と第2センサの出力値とを用いて、第1検知領域(81)から人体が退出したか否かを判定するので、第1検知領域(81)からの人体の退出の検知精度を高めることができる。
【0153】
第12態様に係る人検知システム(1)では、第1~第11態様のいずれかにおいて、第2センサが複数存在する。第1検知領域(81)は、複数の第2センサにおける複数の第2検知領域(82)が合わさった領域によって囲まれる。
【0154】
この態様によれば、第1検知領域(81)におけるいずれの方向から人体が退出した場合であっても、第1検知領域(81)からの人体の退出を検知することができる。
【0155】
第13態様に係る人検知システム(1)では、第1~第12態様のいずれかにおいて、負荷制御部を更に備える。負荷制御部は、判定部(320)の判定結果に応じて負荷を制御する。
【0156】
この態様によれば、人検知の結果に応じて負荷を制御することができる。
【0157】
第14態様に係る人検知システム(1)では、第13態様において、負荷は照明器具(41)である。負荷制御部(指示部311)は、第1検知領域(81)での人体の存在を検知すると照明器具(41)が点灯するように照明器具(41)を制御する。負荷制御部は、第1検知領域(81)での人体の不在を検知すると照明器具(41)が消灯するように照明器具(41)を制御する。
【0158】
この態様によれば、人検知の結果に応じて照明器具(41)の点灯及び消灯の制御を行うことができる。
【0159】
第15態様に係る人検知システム(1)では、第1~第14態様のいずれかにおいて、第1焦電センサ(11)と、第2焦電センサ(12)と、を更に備える。第1焦電センサ(11)は、第1センサとして、第1検知領域(81)での赤外線変化を検知する。第2焦電センサ(12)は、第2センサとして、第2検知領域(82)での赤外線変化を検知する。
【0160】
この態様によれば、第1焦電センサ(11)及び第2焦電センサ(12)を用いた人検知において第1検知領域(81)からの人体の退出を検知することができる。
【0161】
第16態様に係るプログラムは、第1~第15態様のいずれかの人検知システム(1)における判定部(320)として機能する。
【0162】
この態様によれば、第1検知領域(81)への人体の進入、及び第1検知領域(81)からの人体の退出を検知、言い換えれば、互いに異なる2つの検知領域間における人体の移動を検知することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 人検知システム
11 第1焦電センサ(第1センサ)
12(12a~12d) 第2焦電センサ(第2センサ)
311 指示部(負荷制御部)
320 判定部
321 変更部
41 照明器具
81 第1検知領域
82(82a~82d) 第2検知領域
91 人(人体)