(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ及び電動工具
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
H02K5/04
(21)【出願番号】P 2020037217
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 暁斗
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004602(JP,A)
【文献】特開2015-163038(JP,A)
【文献】特開2018-201303(JP,A)
【文献】特開2019-161774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸を保持するロータコアと、前記ロータコアに保持された複数の永久磁石と、を有するロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータコアと、前記ステータコアに巻かれた複数のコイルと、を有するステータと、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持する軸受保持部と、を備え、
前記ステータコアは、第1接触面を有し、前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っており、
前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有し、前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っており、
前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされ
、
前記ステータコアは、円筒状の内筒部と、前記内筒部から前記内筒部の前記径方向外向きに突出した複数のティースと、を有し、
前記第1接触面は、前記内筒部の内周面である、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
回転軸と、前記回転軸を保持するロータコアと、前記ロータコアに保持された複数の永久磁石と、を有するロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータコアと、前記ステータコアに巻かれた複数のコイルと、を有するステータと、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持する軸受保持部と、を備え、
前記ステータコアは、第1接触面を有し、前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っており、
前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有し、前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っており、
前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされ、
前記ステータは、
電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備え、
前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれており、
前記軸受保持部は、前記コイル巻枠の一部である、
ブラシレスモータ。
【請求項3】
回転軸と、前記回転軸を保持するロータコアと、前記ロータコアに保持された複数の永久磁石と、を有するロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータコアと、前記ステータコアに巻かれた複数のコイルと、を有するステータと、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持する軸受保持部と、を備え、
前記ステータコアは、第1接触面を有し、前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っており、
前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有し、前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っており、
前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされ、
前記ステータは、
電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備え、
前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれており、
前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられており、
前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部を有し、
前記軸受保持部は、前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方が、前記回転軸の軸方向に移動することで、前記引掛部が前記他方に引っ掛けられる、
ブラシレスモータ。
【請求項4】
回転軸と、前記回転軸を保持するロータコアと、前記ロータコアに保持された複数の永久磁石と、を有するロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータコアと、前記ステータコアに巻かれた複数のコイルと、を有するステータと、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持する軸受保持部と、を備え、
前記ステータコアは、第1接触面を有し、前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っており、
前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有し、前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っており、
前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされ、
前記ステータは、
電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備え、
前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれており、
前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられており、
前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部を有し、
前記引掛部は、前記第2接触面が前記第1接触面から離れない範囲に、前記回転軸の軸方向における前記コイル巻枠に対する前記軸受保持部の移動を規制する、
ブラシレスモータ。
【請求項5】
回転軸と、前記回転軸を保持するロータコアと、前記ロータコアに保持された複数の永久磁石と、を有するロータと、
前記ロータの周囲に配置されたステータコアと、前記ステータコアに巻かれた複数のコイルと、を有するステータと、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を保持する軸受保持部と、を備え、
前記ステータコアは、第1接触面を有し、前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っており、
前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有し、前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っており、
前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされ、
前記ステータは、
電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備え、
前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれており、
前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられており、
前記軸受保持部は、前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方が他方に対して、前記回転軸の回転方向又はその反対方向に回転することで、前記コイル巻枠に取り付けられる、
ブラシレスモータ。
【請求項6】
前記ステータは、
電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備え、
前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれており、
前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられている、
請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項7】
前記コイル巻枠は、前記回転軸が通される開口部を有し、
前記軸受保持部は、前記回転軸が通される軸孔を有し、前記開口部を覆っている、
請求項3~6のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項8】
前記軸受である第1軸受とは別に、前記回転軸を回転可能に支持する第2軸受を備え、
前記ステータは、
前記軸受保持部である第1軸受保持部と、
前記第1軸受保持部とは別に、前記第2軸受を保持する第2軸受保持部と、を有し、
前記ロータコアは、前記第1軸受及び前記第2軸受の間に配置されており、
前記第1軸受保持部及び前記第2軸受保持部は、前記ステータコアに保持されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項9】
前記回転軸に保持されたファンを備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項10】
前記ファンは、前記軸受と前記ロータコアとの間に配置されている、
請求項9に記載のブラシレスモータ。
【請求項11】
前記軸受保持部は、
ベースと、
前記ベースから前記回転軸の軸方向に突出しており前記第2接触面を有するリブと、を有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを収容する電動工具本体と、を備える、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にブラシレスモータ及び電動工具に関し、より詳細には、ロータの回転軸を回転可能に支持する軸受を備えるブラシレスモータ及びこのブラシレスモータを備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動工具は、ハウジング(電動工具本体)と、モータユニットと、を備える。モータユニットは、ステータと、ロータと、を有し、ロータは、モータシャフトと一体化している。ハウジングは、モータユニットをハウジングに組み付けるための構成として、2つのモータ保持部及び2つの軸受保持部を備える。2つのモータ保持部は、ハウジングの内周面に突設され、モータユニットの外周を保持するリブ部材である。2つの軸受保持部は、ハウジングの内周面に突設され、モータシャフトを支持する第1軸受及び第2軸受の外周を保持するリブ部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の電動工具では、ハウジングとモータユニット、第1軸受及び第2軸受との組付けのがたつき等によって、ロータとステータとの間のギャップの精度が低下することがあり、これを改善することが求められていた。
【0005】
本開示は、ロータとステータとの間のギャップの精度を向上させることができるブラシレスモータ及び電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るブラシレスモータは、ロータと、ステータと、軸受と、軸受保持部と、を備える。前記ロータは、回転軸と、ロータコアと、複数の永久磁石と、を有する。前記ロータコアは、前記回転軸を保持する。前記複数の永久磁石は、前記ロータコアに保持されている。前記ステータは、ステータコアと、複数のコイルと、を有する。前記ステータコアは、前記ロータの周囲に配置されている。前記複数のコイルは、前記ステータコアに巻かれている。前記軸受は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記軸受保持部は、前記軸受を保持する。前記ステータコアは、第1接触面を有する。前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っている。前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有する。前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っている。前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされる。前記ステータコアは、円筒状の内筒部と、前記内筒部から前記内筒部の前記径方向外向きに突出した複数のティースと、を有する。前記第1接触面は、前記内筒部の内周面である。
本開示の別の一態様に係るブラシレスモータは、ロータと、ステータと、軸受と、軸受保持部と、を備える。前記ロータは、回転軸と、ロータコアと、複数の永久磁石と、を有する。前記ロータコアは、前記回転軸を保持する。前記複数の永久磁石は、前記ロータコアに保持されている。前記ステータは、ステータコアと、複数のコイルと、を有する。前記ステータコアは、前記ロータの周囲に配置されている。前記複数のコイルは、前記ステータコアに巻かれている。前記軸受は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記軸受保持部は、前記軸受を保持する。前記ステータコアは、第1接触面を有する。前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っている。前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有する。前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っている。前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされる。前記ステータは、電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備える。前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれている。前記軸受保持部は、前記コイル巻枠の一部である。
本開示の更に別の一態様に係るブラシレスモータは、ロータと、ステータと、軸受と、軸受保持部と、を備える。前記ロータは、回転軸と、ロータコアと、複数の永久磁石と、を有する。前記ロータコアは、前記回転軸を保持する。前記複数の永久磁石は、前記ロータコアに保持されている。前記ステータは、ステータコアと、複数のコイルと、を有する。前記ステータコアは、前記ロータの周囲に配置されている。前記複数のコイルは、前記ステータコアに巻かれている。前記軸受は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記軸受保持部は、前記軸受を保持する。前記ステータコアは、第1接触面を有する。前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っている。前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有する。前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っている。前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされる。前記ステータは、電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備える。前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれている。前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられている。前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部を有する。前記軸受保持部は、前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方が、前記回転軸の軸方向に移動することで、前記引掛部が前記他方に引っ掛けられる。
本開示の更に別の一態様に係るブラシレスモータは、ロータと、ステータと、軸受と、軸受保持部と、を備える。前記ロータは、回転軸と、ロータコアと、複数の永久磁石と、を有する。前記ロータコアは、前記回転軸を保持する。前記複数の永久磁石は、前記ロータコアに保持されている。前記ステータは、ステータコアと、複数のコイルと、を有する。前記ステータコアは、前記ロータの周囲に配置されている。前記複数のコイルは、前記ステータコアに巻かれている。前記軸受は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記軸受保持部は、前記軸受を保持する。前記ステータコアは、第1接触面を有する。前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っている。前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有する。前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っている。前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされる。前記ステータは、電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備える。前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれている。前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられている。前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部を有する。前記引掛部は、前記第2接触面が前記第1接触面から離れない範囲に、前記回転軸の軸方向における前記コイル巻枠に対する前記軸受保持部の移動を規制する。
本開示の更に別の一態様に係るブラシレスモータは、ロータと、ステータと、軸受と、軸受保持部と、を備える。前記ロータは、回転軸と、ロータコアと、複数の永久磁石と、を有する。前記ロータコアは、前記回転軸を保持する。前記複数の永久磁石は、前記ロータコアに保持されている。前記ステータは、ステータコアと、複数のコイルと、を有する。前記ステータコアは、前記ロータの周囲に配置されている。前記複数のコイルは、前記ステータコアに巻かれている。前記軸受は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記軸受保持部は、前記軸受を保持する。前記ステータコアは、第1接触面を有する。前記第1接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の径方向内向きに沿っている。前記軸受保持部は、前記第1接触面に接する第2接触面を有する。前記第2接触面の法線ベクトルの向きは、前記回転軸の前記径方向外向きに沿っている。前記第1接触面が前記第2接触面に接することで前記軸受保持部は位置決めされる。前記ステータは、電気絶縁性を有し、前記ステータコアに取り付けられているコイル巻枠を備える。前記複数のコイルは、前記コイル巻枠を介して前記ステータコアに巻かれている。前記軸受保持部は、前記コイル巻枠に取り付けられている。前記軸受保持部は、前記軸受保持部と前記コイル巻枠とのうち少なくとも一方が他方に対して、前記回転軸の回転方向又はその反対方向に回転することで、前記コイル巻枠に取り付けられる。
【0007】
本開示の一態様に係る電動工具は、前記ブラシレスモータと、電動工具本体と、を備える。前記電動工具本体は、前記ブラシレスモータを収容する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、ロータとステータとの間のギャップの精度を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るブラシレスモータの後側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のブラシレスモータの前側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のブラシレスモータの断面図である。
【
図5】
図5は、同上のブラシレスモータのロータコア及びステータコアの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、同上のブラシレスモータの要部の後側から見た分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のブラシレスモータの要部の前側から見た分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のブラシレスモータを備える電動工具の概略図である。
【
図9】
図9は、変形例3に係るブラシレスモータの断面図である。
【
図10】
図10は、同上のブラシレスモータの要部の斜視図である。
【
図11】
図11は、同上のブラシレスモータの要部の取付け手順を説明する説明図である。
【
図12】
図12は、同上のブラシレスモータの要部の取付け手順を説明する説明図である。
【
図13】
図13は、変形例4に係るブラシレスモータの前側から見た斜視図である。
【
図15】
図15は、同上のブラシレスモータの要部の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、実施形態に係るブラシレスモータ1及び電動工具10について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(1)ブラシレスモータの概要
ブラシレスモータ1は、例えば、電動工具10、電動自転車、電動アシスト自転車、又は、電気自動車に備えられる。本実施形態では、一例として、ブラシレスモータ1が電動工具10に備えられるとして説明する。
【0012】
図1~
図5に示すように、本実施形態のブラシレスモータ1は、ロータ5と、ステータ2と、軸受(第1軸受53)と、軸受保持部(第1軸受保持部7)と、を備える。ロータ5は、回転軸51と、ロータコア6と、複数の永久磁石52と、を有する。ロータコア6は、回転軸51を保持する。複数の永久磁石52は、ロータコア6に保持されている。ステータ2は、ステータコア20と、複数のコイル23と、を有する。ステータコア20は、ロータ5の周囲に配置されている。複数のコイル23は、ステータコア20に巻かれている。軸受は、回転軸51を回転可能に支持する。軸受保持部は、軸受を保持する。ステータコア20は、第1接触面31を有する。第1接触面31の法線ベクトルの向きは、回転軸51の径方向内向きに沿っている。軸受保持部は、第1接触面31に接する第2接触面720を有する。第2接触面720の法線ベクトルの向きは、回転軸51の径方向外向きに沿っている。第1接触面31が第2接触面720に接することで軸受保持部は位置決めされる。
【0013】
上記の構成によれば、第1接触面31が第2接触面720に接することで軸受保持部(第1軸受保持部7)は位置決めされる、すなわち、軸受保持部及び軸受保持部に保持された軸受(第1軸受53)が、ステータコア20によって位置決めされる。そして、軸受はロータ5の回転軸51を支持する。よって、軸受がステータコア20によって位置決めさ
れない場合(例えば、軸受が電動工具本体108のみに保持されている場合)と比較して、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を向上させることができる。また、軸受が電動工具本体108のみに保持されている場合と比較して、電動工具本体108とブラシレスモータ1との組付け精度(例えば、がたつきの有無)がロータ5とステータ2との間のギャップの精度に影響する可能性を、低減できる。
【0014】
また、上記の構成によれば、第1接触面31及び第2接触面720が、回転軸51の径方向において接するので、ロータ5とステータ2との位置ずれが起きる可能性を低減できる。よって、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を更に向上させることができる。
【0015】
また、本実施形態のブラシレスモータ1は、電動工具10の電動工具本体108(
図8参照)に収容される。ブラシレスモータ1は、ロータ5と、ステータ2と、第1軸受53及び第2軸受54と、を備える。ロータ5は、回転軸51と、ロータコア6と、複数の永久磁石52と、を有する。ロータコア6は、回転軸51を保持する。複数の永久磁石52は、ロータコア6に保持されている。ステータ2は、ステータコア20と、複数のコイル23と、を有する。ステータコア20は、ロータ5の周囲に配置されている。複数のコイル23は、ステータコア20に巻かれている。第1軸受53及び第2軸受54は、回転軸51を回転可能に支持する。ロータコア6は、第1軸受53及び第2軸受54の間に配置されている。第1軸受53及び第2軸受54は、ステータ2に保持されている。
【0016】
上記の構成によれば、ロータ5の回転軸51を支持する第1軸受53及び第2軸受54の両方がステータ2に保持されている。そのため、第1軸受53及び第2軸受54のうち少なくとも一方が電動工具本体108に保持されている場合と比較して、電動工具本体108とブラシレスモータ1との組付け精度(例えば、がたつきの有無)等が、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度に影響する可能性を低減できる。すなわち、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0017】
(2)電動工具
図8に示すように、電動工具10は、ブラシレスモータ1と、電動工具本体108と、を備えている。さらに、電動工具10は、電源部101と、駆動伝達部102と、出力軸103と、チャック104と、先端工具105と、トリガボリューム106と、制御部107と、を備えている。
【0018】
電動工具本体108(ハウジング)は、ブラシレスモータ1を収容している。さらに、電動工具本体108は、駆動伝達部102と、出力軸103と、制御部107と、を収容している。
【0019】
チャック104には、先端工具105が取り付けられる。ブラシレスモータ1は、先端工具105を駆動する駆動源である。
【0020】
電源部101は、ブラシレスモータ1を駆動する電流を供給する電源(直流電源)である。電源部101は、例えば、電池パックである。電池パックは、例えば、1又は複数の2次電池を含む。ロータ5は、回転軸51を有しており、ブラシレスモータ1の駆動力(ロータ5の回転)は、回転軸51を介して駆動伝達部102に伝達される。駆動伝達部102は、ブラシレスモータ1の駆動力を調整して出力軸103に出力する。出力軸103は、駆動伝達部102から出力された駆動力で駆動(例えば回転)される。チャック104は、出力軸103に固定されている。チャック104には、先端工具105が着脱自在に取り付けられる。先端工具105(ビットとも言う)は、例えば、ドライバ、ソケット又はドリル等である。各種の先端工具105のうち用途に応じた先端工具105が、チャ
ック104に取り付けられて用いられる。
【0021】
制御部107は、電源部101からブラシレスモータ1の複数のコイル23(
図1参照)に供給される電流を制御する回路である。これにより、制御部107は、ブラシレスモータ1のロータ5の回転速度を制御する。
【0022】
トリガボリューム106は、ブラシレスモータ1のロータ5の回転を制御するための操作を受け付ける操作部である。トリガボリューム106を引き込む操作により、ロータ5の回転と停止とが切替可能である。また、トリガボリューム106を引き込む操作の操作量を調整することで、ロータ5の回転速度が調整可能である。つまり、トリガボリューム106を引き込む操作の操作量を調整することで、ロータ5の回転に連動して回転する出力軸103の回転速度が調整可能である。上記引込み量が大きいほど、ロータ5及び出力軸103の回転速度が速くなる。制御部107は、トリガボリューム106に入力された操作に応じて、ロータ5及び出力軸103を回転又は停止させ、また、ロータ5及び出力軸103の回転速度を制御する。この電動工具10では、先端工具105がチャック104を介して出力軸103に連結される。そして、トリガボリューム106への操作によってロータ5及び出力軸103の回転速度が制御されることで、先端工具105の回転速度が制御される。
【0023】
なお、本実施形態の電動工具10はチャック104を備えることで、先端工具105が、用途に応じて交換可能であるが、先端工具105が交換可能である必要は無い。例えば、電動工具10は、特定の先端工具105のみ用いることができる電動工具であってもよい。
【0024】
(3)ブラシレスモータの全体構成
次に、ブラシレスモータ1の構成を説明する。以下の説明では、ロータ5と後述のファン9(
図3参照)とが並んでいる方向を前後方向と規定し、ロータ5から見てファン9側を前と規定し、ファン9から見てロータ5側を後と規定する。ただし、これらの規定はブラシレスモータ1及び電動工具10の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0025】
図3、
図5に示すように、ブラシレスモータ1は、ロータ5と、ステータ2と、第1軸受53と、第2軸受54と、ファン9と、を有している。ロータ5は、回転軸51と、ロータコア6と、複数(
図5では6個)の永久磁石52と、を有している。複数の永久磁石52は、ロータコア6に保持されている。ステータ2は、ステータコア20と、複数(
図1では9個)のコイル23と、複数(
図6では2個)のコイル巻枠81、82と、第1軸受保持部7と、を有している。ステータコア20は、ロータコア6の周囲に配置されている。すなわち、ステータコア20は、ロータコア6を囲んでいる。複数のコイル23は、ステータコア20に巻かれている。
【0026】
ロータ5は、ステータ2に対して回転する。すなわち、複数のコイル23から発生する磁束が複数の永久磁石52に作用することにより、ロータ5が回転する。ロータ5の回転力(駆動力)は、回転軸51から駆動伝達部102(
図8参照)へ伝達される。
【0027】
図3に示すように、ロータコア6は、複数の鋼板600を含んでいる。複数の鋼板600は、厚さ方向に積層している。複数の鋼板600は、互いに同じ形状である。
【0028】
ステータコア20は、複数の鋼板210と、複数の鋼板220と、を含んでいる。
【0029】
複数の鋼板210は、厚さ方向に積層している。複数の鋼板210は、互いに同じ形状である。複数の鋼板210は、ステータコア20の後述の中央コア21を構成している。
【0030】
複数の鋼板220は、厚さ方向に積層している。複数の鋼板220は、互いに同じ形状である。複数の鋼板220は、ステータコア20の後述の外筒部22を構成している。
【0031】
このように、ステータコア20及びロータコア6の各々は、複数の鋼板を含む。ステータコア20及びロータコア6の各々は、複数の鋼板を厚さ方向に積層して形成されている。つまり、ステータコア20及びロータコア6の各々は、いわゆる積層コアである。複数の鋼板の各々の表面には、絶縁被膜が形成されている。複数の鋼板は、厚さ方向に互いに隣り合う鋼板同士で溶接により結合されている。複数の鋼板の積層方向は、ロータ5の回転軸51の軸方向(回転軸51の長さ方向、すなわち前後方向)に沿っている。各鋼板は、より詳細には、電磁鋼板である。各鋼板は、磁性材料により形成されている。各鋼板は、例えば、ケイ素鋼板である。
【0032】
ステータコア20の厚さは、ロータコア6の厚さよりも大きい。ステータコア20の内周面が、ロータコア6の外周面との間に所定の大きさのギャップをあけて、ロータコア6の外周面に対向している。ギャップの大きさは、例えば、0.2mm~0.6mmである。
【0033】
(4)ロータ
図3、
図5に示すように、ロータ5は、円筒状のロータコア6と、複数(
図5では6つ)の永久磁石52と、回転軸51と、を有している。
【0034】
回転軸51の軸方向から見て、ロータコア6は、回転軸51と同心円状である。ロータコア6の内側には、回転軸51が保持されている。より詳細には、ロータコア6は、その中心に、回転軸51が通される軸孔611を有している。ロータコア6と回転軸51とは、一体的に回転する。
【0035】
ロータコア6には、複数の永久磁石52が収容されている。すなわち、ブラシレスモータ1は、ロータコア6の内部に複数の永久磁石52が埋め込まれた、いわゆる埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)の構造を有している。
【0036】
複数の永久磁石52の各々は、例えば、接着剤を付着させた状態でロータコア6に埋め込まれることで、ロータコア6に保持されている。なお、複数の永久磁石52の各々は、接着剤を用いることなく、ロータコア6との間の磁気吸着力により保持されていてもよい。
【0037】
各永久磁石52の形状は直方体状である。回転軸51の軸方向から見て、各永久磁石52の形状は長方形状である。複数の永久磁石52は、回転軸51の周囲に、回転軸51の周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の永久磁石52は、回転軸51の周囲に多角形(正6角形)状に配置されている。回転軸51の軸方向から見て、各永久磁石52の短手方向は、回転軸51の径方向に沿っている。各永久磁石52は、その短手方向に着磁されている。互いに隣り合う永久磁石52は、互いに異なる極をロータコア6の外側に向けて配置されている。
【0038】
各永久磁石52として、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石又はプラスチック磁石を採用できる。
【0039】
(5)ステータ
図5に示すように、ステータ2のステータコア20は、中央コア21と、外筒部22とを有している。中央コア21と外筒部22とが互いに連結されることで、ステータコア2
0が形成されている。
【0040】
中央コア21は、円筒状の内筒部3と、複数(
図5では9個)のティース4と、を有している。内筒部3と複数のティース4とは、一体的に形成されている。
【0041】
回転軸51の軸方向から見て、内筒部3は、回転軸51と同心円状である。内筒部3の内側には、ロータコア6が配置されている。内筒部3は、第1接触面31を有している。第1接触面31は、内筒部3の内周面である。よって、第1接触面31の法線ベクトルの向きは、回転軸51の径方向内向きに沿っている。第1接触面31は、内筒部3の全周に亘って存在する。第1接触面31は、第1軸受保持部7の第2接触面720(
図4参照)に接する。
【0042】
複数のティース4の各々は、胴部41と、2つの先端片42と、を含む。胴部41は、内筒部3から内筒部3の径方向外向きに突出している。複数のティース4の胴部41は、内筒部3の周方向において等間隔に設けられている。2つの先端片42は、胴部41の先端側の部位から、胴部41の突出方向と交差する方向に延びている。
【0043】
本開示において、「等間隔」とは、各間隔が厳密に同じである場合に限定されず、許容される誤差の範囲内で異なっている場合も含む。
【0044】
2つの先端片42は、コイル23が胴部41から脱落することを抑制する抜止めとして設けられている。すなわち、胴部41の先端側にコイル23が移動しようとする場合に、コイル23が2つの先端片42に引っ掛かることで、コイル23の脱落を抑制できる。
【0045】
外筒部22の形状は、筒状である。より詳細には、外筒部22の形状は、円筒状である。回転軸51の軸方向から見て、外筒部22は、回転軸51と同心円状である。外筒部22は、中央コア21を囲んでいる。外筒部22は、中央コア21の複数のティース4の先端に取り付けられている。つまり、複数のティース4は、外筒部22からロータコア6に向かって突出するように設けられている。
【0046】
外筒部22は、複数(
図5では9個)の嵌合部221を有している。つまり、外筒部22は、ティース4と同数の嵌合部221を有している。複数の嵌合部221の各々は、外筒部22の内周面に設けられた窪みである。複数の嵌合部221は、外筒部22の周方向において等間隔に設けられている。複数の嵌合部221は、複数のティース4と一対一で対応している。複数の嵌合部221の各々は、対応するティース4と嵌まり合う。これにより、外筒部22が中央コア21に連結される。より詳細には、各嵌合部221には、ティース4のうち2つの先端片42を含む部位が嵌め込まれる。
【0047】
図3、
図6、
図7に示すように、ステータ2は、複数(
図6では2つ)のコイル巻枠81、82と、第1軸受保持部7と、を有している。第1軸受保持部7は、コイル巻枠81に取り付けられる。
【0048】
コイル巻枠81、82は、例えば、合成樹脂を材料として形成されている。コイル巻枠81、82は、電気絶縁性を有している。コイル巻枠81、82は、ステータコア20に取り付けられている。コイル巻枠81、82は、例えば、インサート成形により、ステータコア20と一体化している。コイル巻枠81、82は、複数のティース4のうち胴部41を含む領域を覆っている。より詳細には、コイル巻枠81は、複数のティース4のうち胴部41を含む領域を、前から覆っており、コイル巻枠82は、複数のティース4のうち胴部41を含む領域を、後から覆っている。各胴部41には、コイル巻枠81、82の上からコイル23が巻かれる。すなわち、複数(9個)のコイル23は、複数(9個)のテ
ィース4と一対一で対応し、各コイル23は、コイル巻枠81、82の上から対応するティース4に巻きついている。つまり、各コイル23は、コイル巻枠81、82を介してステータコア20のティース4に巻かれている。複数のコイル23の巻き方としては、例えば、集中巻が採用される。
【0049】
コイル巻枠81、82は、前後方向において互いに離れている。そのため、中央コア21のうち厚さ方向(前後方向)における中心付近の部位では、各ティース4はコイル巻枠81、82に覆われることなく露出している。ブラシレスモータ1の設計変更等により中央コア21(複数のティース4及び内筒部3)を構成する鋼板210の個数が変更された場合等には、中央コア21の厚さが変わるが、中央コア21の厚さの変更に伴ってコイル巻枠81、82間の距離が変わる。
【0050】
コイル巻枠81は、内筒部3と重なる筒体811と、複数のティース4のうち胴部41を含む領域を覆う複数(
図6では9つ)のティース被覆部812と、複数(3個。
図6では1つのみ図示)の引掛部813と、を有している。筒体811は、内筒部3と同心の円筒状に形成されている。各ティース被覆部812は、筒体811から筒体811の径方向において外向きに突出している。各ティース被覆部812は、ティース4を前から覆い、かつ、ティース4を回転軸51の周方向における両側から覆っている。各ティース4のうち、内筒部3側とは反対側の先端(2つの先端片42を含む部位)は、コイル巻枠81に覆われておらず、外筒部22に接している。
【0051】
複数の引掛部813は、筒体811の内周面から突出している。複数の引掛部813は、筒体811の周方向において等間隔に設けられている。複数の引掛部813の各々の形状は、鉤状である。
【0052】
コイル巻枠81は、筒体811の内側に、開口部8110を有している。開口部8110には、回転軸51が通される。コイル巻枠81には、第1軸受保持部7が取り付けられる。第1軸受保持部7は、開口部8110を覆っている。これにより、ロータコア6が配置された空間に異物が侵入する可能性を低減できる。異物は、例えば、先端工具105(
図8参照)による作業で生じた鉄粉等である。第1軸受保持部7は、開口部8110の内側の空間を密閉している。
【0053】
第1軸受保持部7は、例えば、合成樹脂を材料として形成されている。第1軸受保持部7は、電気絶縁性を有している。第1軸受保持部7は、ベース71と、複数(
図6では3個)のリブ72と、複数(3個。
図6では2つのみを図示)の引掛部73と、を有している。
【0054】
ベース71の形状は、円柱状である。ベース71は、中心に軸孔701を有している。より詳細には、ベース71は、その一の面(後面)に凹部702を有しており、ベース71は、凹部702の底面に軸孔701を有している。軸孔701には、回転軸51が通される。
【0055】
第1軸受保持部7は、第1軸受53を保持している。より詳細には、凹部702に第1軸受53が挿入されている。円筒状の第1軸受53の外縁付近の部位は、凹部702の内面に接している。第1軸受53の内縁付近の部位は、軸孔701により開放された位置にあるので、凹部702の内面に接していない。
【0056】
複数のリブ72は、ベース71の一の面(後面)に設けられている。前後方向から見て、複数のリブ72の各々の形状は、円弧状である。複数のリブ72は、ベース71の外縁から回転軸51の軸方向(前後方向)に突出している。複数のリブ72は、ベース71の
外縁に沿って等間隔に並んでいる。ベース71の中心を通りベース71の軸方向に沿った断面において、複数のリブ72の各々の断面形状(
図3参照)は、略直角三角形である。
【0057】
複数のリブ72の各々は、第2接触面720を有している。第2接触面720は、リブ72の外周面である。よって、第2接触面720の法線ベクトルの向きは、回転軸51の径方向外向きに沿っている。ステータコア20(内筒部3)の第1接触面31は、第2接触面720に接する。第1接触面31が第2接触面720に接することで、第1軸受保持部7が位置決めされる。つまり、第1軸受保持部7がステータコア20に対して位置決めされる。より詳細には、回転軸51の軸方向と直交する方向における第1軸受保持部7の移動が規制される。
【0058】
ここで、複数(3個)のリブ72の各々が第2接触面720を有しているため、第1軸受保持部7は、複数(3個)の第2接触面720を有している。第1軸受保持部7は、複数個所(複数の第2接触面720)においてステータコア20(第1接触面31)に接する。
【0059】
回転軸51の軸方向におけるステータコア20及びロータコア6の各々の一端(前端)を比較すると、ステータコア20の一端(前端)は、ロータコア6の一端(前端)よりも前に位置している(
図3参照)。これにより、ステータコア20の第1接触面31のうち、第1軸受保持部7の第2接触面720との接触面積が確保されている。
【0060】
また、コイル巻枠81は、第3接触面8111(
図4参照)を有している。第3接触面8111は、開口部8110の内面である。第3接触面8111は、第1接触面31と面一である。ベース71は、第4接触面711(
図4参照)を有している。第4接触面711は、ベース71の外周面である。第3接触面8111は、第4接触面711に接している。
【0061】
なお、各リブ72の第2接触面720は、第1接触面31だけではなく、第3接触面8111にも接していてもよい。
【0062】
各リブ72の厚さは、ステータコア20とロータコア6との間のギャップよりも小さい。本実施形態では、各リブ72は、ロータコア6の前方に配置されているが、各リブ72は、ステータコア20とロータコア6との間のギャップに挿入されていてもよい。
【0063】
複数の引掛部73は、ベース71の外周面から突出している。前後方向から見て、複数のリブ72の間にそれぞれ、引掛部73が設けられている。複数の引掛部73は、ベース71の周方向において等間隔に設けられている。複数の引掛部73の各々の形状は、鉤状である。
【0064】
第1軸受保持部7の複数の引掛部73は、コイル巻枠81の複数の引掛部813と一対一で対応している。第1軸受保持部7は、第1軸受保持部7とコイル巻枠81とのうち少なくとも一方が、回転軸51の軸方向に移動することで、コイル巻枠81に取り付けられる。より詳細には、第1軸受保持部7とコイル巻枠81とのうち少なくとも一方が、回転軸51の軸方向に移動することで、各引掛部73は、対応する引掛部813に引っ掛けられる(
図3参照)。例えば、コイル巻枠81の前方から、第1軸受保持部7が開口部8110に挿入されて、各引掛部73は対応する引掛部813を乗り越え、対応する引掛部813に引っ掛けられる。あるいは、コイル巻枠81の後方から、第1軸受保持部7が開口部8110に挿入されて、各引掛部73は対応する引掛部813に引っ掛けられる。このように、第1軸受保持部7とコイル巻枠81とのうち少なくとも一方(ここでは、両方)は、他方に引っ掛けられる引掛部73(又は813)を有している。
【0065】
引掛部73(又は813)は、第2接触面720が第1接触面31から離れない範囲に、回転軸51の軸方向(前後方向)におけるコイル巻枠81に対する第1軸受保持部7の移動を規制する。つまり、各引掛部73が対応する引掛部813に引っ掛かることで、コイル巻枠81に対する第1軸受保持部7の前後移動の範囲が規制されている。
【0066】
コイル巻枠82は、内筒部3と重なる筒体821と、複数のティース4のうち胴部41を含む領域を覆う複数(
図6では9つ)のティース被覆部822と、第2軸受保持部823と、を有している。筒体821は、内筒部3と同心の円筒状に形成されている。各ティース被覆部822は、筒体821から筒体821の径方向において外向きに突出している。各ティース被覆部822は、ティース4を後ろから覆い、かつ、ティース4を回転軸51の周方向における両側から覆っている。各ティース4のうち、内筒部3側とは反対側の先端(2つの先端片42を含む部位)は、コイル巻枠82に覆われておらず、外筒部22に接している。
【0067】
9つのティース被覆部822のうち、少なくとも一部(
図6では3つ)のティース被覆部822には、ボス部8220が設けられている。ボス部8220の形状は、円筒状である。ボス部8220の内側には、ねじ109(
図1参照)が挿入される。コイル巻枠82は、ねじ109を介して電動工具本体108(
図8参照)に取り付けられる。
【0068】
第2軸受保持部823の形状は、円柱状である。第2軸受保持部823は、中心に貫通孔8231を有している。より詳細には、第2軸受保持部823は、その一の面(前面)に凹部8232を有しており、第2軸受保持部823は、凹部8232の底面に貫通孔8231を有している。
【0069】
第2軸受保持部823は、第2軸受54を保持している。より詳細には、凹部8232に第2軸受54が挿入されている。円筒状の第2軸受54の外縁付近の部位は、凹部8232の内面に接している。第2軸受54の内縁付近の部位は、貫通孔8231により開放された位置にあるので、凹部8232の内面に接していない。
【0070】
(6)第1軸受及び第2軸受
第1軸受53及び第2軸受54の各々は、例えば、ボールベアリングである。第1軸受53及び第2軸受54はそれぞれ、回転軸51を回転可能に支持している。
図3に示すように、ロータコア6は、第1軸受53及び第2軸受54の間に配置されている。より詳細には、第1軸受53はロータコア6の前に配置され、第2軸受54はロータコア6の後に配置されている。
【0071】
ここで、第1軸受53を保持する第1軸受保持部7と、第2軸受54を保持する第2軸受保持部823とは、ステータコア20に保持されている。より詳細には、第1軸受保持部7はコイル巻枠81に取り付けられており、第2軸受保持部823はコイル巻枠82の一部であって、コイル巻枠81、82は、例えば、インサート成形により、ステータコア20と一体化している。
【0072】
また、第1軸受53及び第2軸受54は、ステータ2に保持されている。より詳細には、第1軸受53は、ステータ2のコイル巻枠81に保持されている。すなわち、第1軸受53は、第1軸受保持部7を介してコイル巻枠81に保持されている。また、第2軸受54は、ステータ2のコイル巻枠82に直接保持されている。すなわち、第2軸受54は、コイル巻枠82の第2軸受保持部823に保持されている。
【0073】
(7)ファン
図3、
図8に示すように、ファン9は、ロータコア6と駆動伝達部102との間に配置されている。また、ファン9とロータコア6との間に、第1軸受53が配置されている。ファン9は、回転軸51に保持されている。より詳細には、ブラシレスモータ1は、回転軸51に取り付けられたキャップ55を備えており、ファン9は、キャップ55を介して回転軸51に保持されている。回転軸51の回転に伴い、ファン9が回転する。すると、ファン9は、出力軸103側(前)へ流れる風(気流)を生成する。これにより、ファン9は、電動工具本体108の内部空間を空冷する。
【0074】
図1、
図2に示すように、前後方向から見て、ファン9の形状は、円状である。ファン9は、円盤部91と、複数の羽部92と、を有している。円盤部91は、その中心に、軸孔910を有している。軸孔910には、回転軸51が通されている。複数の羽部92は、円盤部91の一の面(後面)のうち、円盤部91の外縁付近に設けられている。複数の羽部92は、円盤部91の径方向に沿った方向に長さを有している。
【0075】
(8)基板
図3に示すように、ブラシレスモータ1は、基板56と、基板56に実装された複数の実装部品と、を有している。基板56は、第2軸受保持部823に保持されている。基板56は、第2軸受保持部823とロータコア6との間に配置されている。基板56は、ロータ5の回転角を検出するセンサ基板である。本実施形態のブラシレスモータ1は、複数の実装部品として、複数(3個)の回転センサと、複数(
図1では3個)の第1端子部材57と、第2端子部材58と、を有している。回転センサは、例えば、ホール素子又はGMR(Giant Magneto Resistive effect)素子等である。複数の第1端子部材57は、複数のコイル23に電気的に接続されている。第2端子部材58は、電源部101(
図8参照)に電気的に接続されている。各第1端子部材57及び第2端子部材58の少なくとも一部は、インサート成形により、第2軸受保持部823に埋め込まれている。
【0076】
(9)利点
以上説明したように、本実施形態のブラシレスモータ1では、第1接触面31が第2接触面720に接することで第1軸受保持部7は位置決めされる、すなわち、第1軸受保持部7及び第1軸受保持部7に保持された第1軸受53が、ステータコア20によって位置決めされる。そして、第1軸受53はロータ5の回転軸51を支持する。よって、第1軸受53がステータコア20によって位置決めされない場合(例えば、第1軸受53が電動工具本体108のみに保持されている場合)と比較して、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0077】
さらに、第1軸受保持部7の第2接触面720は、中央コア21の内筒部3に接するので、例えば中央コア21に取り付けられた外筒部22に接する場合と比較して、内筒部3とロータコア6との間のギャップの精度を向上させることができる。また、内筒部3の形状が円筒状なので、第1接触面31と第2接触面720との接圧で内筒部3が変形しにくく、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を更に向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態のブラシレスモータ1では、ロータ5の回転軸51を支持する第1軸受53及び第2軸受54の両方がステータ2に保持されている。そのため、第1軸受53及び第2軸受54のうち少なくとも一方が電動工具本体108に保持されている場合と比較して、電動工具本体108とブラシレスモータ1との組付け精度(例えば、がたつきの有無)等が、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度に影響する可能性を低減できる。すなわち、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0079】
(変形例1)
以下、変形例1に係るブラシレスモータ1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
実施形態では、コイル巻枠82は、第2軸受保持部823を有している。ここで、コイル巻枠81、82は、第1軸受53を保持する第1軸受保持部7と、第2軸受54を保持する第2軸受保持部823と、のうち少なくとも一方を有していてもよい。
【0081】
つまり、第1軸受保持部7は、電気絶縁性を有するコイル巻枠81の一部であってもよい。言い換えると、第1軸受保持部7とコイル巻枠81とが一体に形成されていてもよい。より詳細には、電気絶縁性を有する1つの部材により、第1軸受保持部7とコイル巻枠81とが形成されていてもよい。
【0082】
(変形例2)
以下、変形例2に係るブラシレスモータ1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態では、第1軸受保持部7は、コイル巻枠81に取り付けられている。ここで、第1軸受保持部7及び第2軸受保持部823のうち少なくとも一方は、コイル巻枠81、82に取り付けられていてもよい。つまり、コイル巻枠82は、第2軸受保持部823を有していなくてもよい。言い換えると、第2軸受保持部823は、コイル巻枠82と別体であってもよい。そして、第2軸受保持部823は、コイル巻枠82に取り付けられていてもよい。
【0084】
(変形例3)
以下、変形例3に係るブラシレスモータ1Aについて、
図9~
図12を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
本変形例3では、第1軸受保持部7Aの形状が、実施形態の第1軸受保持部7の形状と異なる。また、コイル巻枠81Aの形状が、実施形態のコイル巻枠81の形状と異なる。
【0086】
第1軸受保持部7Aは、複数のリブ72(
図6参照)を有していない。第1軸受保持部7Aのうち、ステータコア20(内筒部3)の第1接触面31に接する第2接触面712は、ベース71の外周面である。すなわち、ベース71の外周面のうち後端付近の部位が、第1接触面31に接している。また、第2接触面712は、第1接触面31だけではなく、コイル巻枠81Aの第3接触面8111にも接している。
【0087】
第1軸受保持部7Aは、複数の引掛部73(
図6参照)に代えて、
図10に示すように、複数(9個)の引掛部74を有している。複数の引掛部74は、ベース71の外周面から突出している。複数の引掛部74は、ベース71の周方向において等間隔に設けられている。複数の引掛部74の各々の形状は、直方体状である。
【0088】
コイル巻枠81Aは、複数の引掛部813(
図6参照)に代えて、引掛溝814を有している。引掛溝814は、コイル巻枠81Aの後面に設けられた溝である。前後方向から見て、引掛溝814の形状は円環状である。引掛溝814は、開口部8110の内縁に沿って形成されている。引掛溝814の底面には、コイル巻枠81Aを前後方向に貫通するように、複数(9個。
図10では3つのみを図示)の切欠き815が形成されている。また、
図11に示すように、筒体811のうち各切欠き815の前方の領域は、空洞816となっている。
【0089】
第1軸受保持部7Aは、第1軸受保持部7Aとコイル巻枠81Aとのうち少なくとも一
方が他方に対して、回転軸51の回転方向又はその反対方向に回転することで、コイル巻枠81Aに取り付けられる。以下、第1軸受保持部7Aをコイル巻枠81Aに取り付ける手順の一例を説明する。
【0090】
まず、
図11に示すように、コイル巻枠81Aの前方に第1軸受保持部7Aを配置する。第1軸受保持部7Aの複数の引掛部74は、コイル巻枠81Aの複数の切欠き815と一対一で対応している。各引掛部74が対応する切欠き815の前方の空洞816を経由して、対応する切欠き815に挿入されるように、第1軸受保持部7Aを後方へ移動させる。
【0091】
次に、第1軸受保持部7Aを回転軸51の回転方向(又はその反対方向)に回転させる。これにより、
図12、
図10に示すように、各切欠き815に対する各引掛部74の位置が変化する。すなわち、各引掛部74は引掛溝814の底面に接する位置へ移動する。
図9に示すように、各引掛部74が引掛溝814の底面と内筒部3の前端とに挟まれた状態で、第1軸受保持部7Aがコイル巻枠81Aに取り付けられる。
【0092】
このように、本変形例3では、第1軸受保持部7Aが回転を伴う動作によりコイル巻枠81Aに取り付けられるので、第1軸受保持部7Aがコイル巻枠81Aから脱落する可能性を低減できる。
【0093】
なお、第1軸受保持部7Aは、コイル巻枠81Aの後方からコイル巻枠81Aに取り付けられてもよい。
【0094】
(参考例:変形例4)
以下、参考例として、変形例4に係るブラシレスモータ1Bについて、
図13~
図15を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本変形例4では、ファン9Bの形状が、実施形態のファン9の形状と異なる。また、ブラシレスモータ1Bは、第1軸受保持部7Bの形状が、実施形態の第1軸受保持部7の形状と異なる。
【0096】
また、本変形例4では、実施形態と比較して、回転軸51の形状に相違があるが、回転軸51の形状の相違は必須ではない。さらに、本変形例4のブラシレスモータ1Bは、キャップ55(
図2参照)を備えていないが、ブラシレスモータ1Bがキャップ55を備えていてもよい。
【0097】
前後方向から見て、ファン9Bの形状は、円状である。ファン9Bは、円盤部91Bと、複数の羽部92Bと、を有している。
【0098】
円盤部91Bは、その一の面(前面)に、窪み911を有している。窪み911の内部空間の形状は、底面側ほど開口面積が小さい円錐台状である。円盤部91Bは、窪み911の底面に、軸孔910を有している。軸孔910には、回転軸51が通されている。
【0099】
複数の羽部92Bは、円盤部91Bの一の面(後面)のうち、円盤部91Bの外縁付近に設けられている。複数の羽部92Bは、円盤部91Bの径方向に沿った方向に長さを有している。
【0100】
ステータ2は、第1軸受保持部7Bを有している。第1軸受保持部7Bは、芯部75と、複数(
図13では9個)の羽部76と、座部77と、を有している。
【0101】
芯部75の形状は、円盤状である。芯部75は、その一の面(後面)に、凹部702を有している。凹部702には、第1軸受53が挿入されている。つまり、第1軸受53は、第1軸受保持部7Bに保持されている。芯部75は、凹部702の底面に、軸孔701を有している。軸孔701には、回転軸51が通される。
【0102】
座部77の形状は、円環状である。座部77は、芯部75の後方に配置されている。座部77は、ステータコア20の外筒部22に取り付けられている。座部77は、例えば、インサート成形により、ステータコア20と一体化している。第1軸受53は、第1軸受保持部7Bを介して、ステータコア20に保持されている。なお、座部77は、コイル巻枠81に保持されていてもよい。
【0103】
複数の羽部76は、芯部75から放射状に延びている。複数の羽部76の各々の形状は、L字状である。複数の羽部76は、芯部75と座部77とを連結している。複数の羽部76は、ファン9Bを覆っている。ファン9Bで発生した風は、複数の羽部76の間の隙間を通る。また、複数の羽部76は、コイル巻枠81の開口部8110を(部分的に)覆っているので、ロータコア6が配置された空間に異物が侵入する可能性を低減できる。
【0104】
ファン9Bは、第1軸受53とロータコア6との間に配置されている。第1軸受53は、第1軸受保持部7Bとファン9Bとに囲まれた空間に配置されている。
【0105】
本変形例4でも、実施形態と同様に、第1軸受53及び第2軸受54のうち少なくとも一方が電動工具本体108に保持されている場合と比較して、ロータ5とステータ2との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0106】
実施形態又は変形例1~3でも、本変形例4のように、ファン9は、第1軸受53とロータコア6との間に配置されていてもよい。
【0107】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0108】
第1軸受保持部7及び第2軸受保持部823は、少なくともステータコア20に保持されていることが好ましい。第1軸受保持部7及び第2軸受保持部823は、電動工具本体108に保持されていてもよいし、保持されていなくてもよい。
【0109】
また、第1軸受53は、第1軸受保持部7を介して電動工具本体108に保持されていてもよいし、保持されていなくてもよい。第2軸受54は、第2軸受保持部823を介して電動工具本体108に保持されていてもよいし、保持されていなくてもよい。
【0110】
第2軸受54がステータ2に保持されていることは必須ではなく、第2軸受54は、電動工具本体108とステータ2とのうち電動工具本体108にのみ保持されていてもよい。
【0111】
ステータコア20の第1接触面31は、内筒部3の内周面に限定されない。例えば、ステータコア20は、中央コア21から回転軸51の軸方向(前後方向)に突出した突起を有していて、この突起が第1接触面31を有していてもよい。あるいは、複数のティース4の2つの先端片42、又は、外筒部22が第1接触面31を有していてもよい。
【0112】
第1接触面31と接する第2接触面720を第1軸受保持部7が有しているのと同様に、第2軸受保持部823も、第1接触面31と接する第2接触面を有していてもよい。また、第1軸受保持部7の第2接触面720が接する第1接触面31と、第2軸受保持部823の第2接触面が接する第1接触面とが、異なる面であってもよい。
【0113】
コイル巻枠81とコイル巻枠82とは、一体に形成されていてもよい。より詳細には、電気絶縁性を有する1つの部材により、コイル巻枠81とコイル巻枠82とが形成されていてもよい。
【0114】
第1軸受保持部7がステータ2の一部であることは必須ではない。つまり、第1軸受保持部7は、ステータ2を構成するステータコア20及びコイル巻枠81、82等とは別々に提供されてもよい。
【0115】
第1軸受保持部7及び第2軸受保持部823のうち少なくとも一方は、電気絶縁性を有していなくてもよい。第1軸受保持部7及び第2軸受保持部823のうち少なくとも一方は、例えば、アルミニウム等の金属を材料として形成されていてもよい。
【0116】
実施形態では、第1軸受保持部7がロータコア6の前に配置され、第2軸受保持部823がロータコア6の後に配置されるが、これとは逆に、第1軸受保持部7がロータコア6の後に配置され、第2軸受保持部823がロータコア6の前に配置されてもよい。
【0117】
第1軸受53及び第2軸受54の各々は、ボールベアリングに限定されず、例えば、ブッシュであってもよい。
【0118】
第1軸受53は、第1軸受保持部7と一体に形成されていてもよい。第2軸受54は、第2軸受保持部823と一体に形成されていてもよい。
【0119】
第1接触面31と第2接触面720とが複数個所で接することに代えて、第1接触面31と第2接触面720とがある程度の長さをもって接することで、第1軸受保持部7が位置決めされてもよい。ある程度の長さは、例えば、内筒部3の内周面(第1接触面31)を周方向に1周する長さの1/4以上の長さである。
【0120】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0121】
第1の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)は、ロータ(5)と、ステータ(2)と、軸受(第1軸受53)と、軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)と、を備える。ロータ(5)は、回転軸(51)と、ロータコア(6)と、複数の永久磁石(52)と、を有する。ロータコア(6)は、回転軸(51)を保持する。複数の永久磁石(52)は、ロータコア(6)に保持されている。ステータ(2)は、ステータコア(20)と、複数のコイル(23)と、を有する。ステータコア(20)は、ロータ(5)の周囲に配置されている。複数のコイル(23)は、ステータコア(20)に巻かれている。軸受は、回転軸(51)を回転可能に支持する。軸受保持部は、軸受を保持する。ステータコア(20)は、第1接触面(31)を有する。第1接触面(31)の法線ベクトルの向きは、回転軸(51)の径方向内向きに沿っている。軸受保持部は、第1接触面(31)に接する第2接触面(720、712)を有する。第2接触面(720、712)の法線ベクトルの向きは、回転軸(51)の径方向外向きに沿っている。第1接触面(31)が第2接触面(720、712)に接することで軸受保持部は位置決めされる。
【0122】
上記の構成によれば、第1接触面(31)が第2接触面(720、712)に接するこ
とで軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)は位置決めされる、すなわち、軸受保持部及び軸受保持部に保持された軸受(第1軸受53)が、ステータコア(20)によって位置決めされる。そして、軸受はロータ(5)の回転軸(51)を支持する。よって、軸受がステータコア(20)によって位置決めされない場合(例えば、軸受が電動工具本体108のみに保持されている場合)と比較して、ロータ(5)とステータ(2)との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0123】
また、第2の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第1の態様において、ステータコア(20)は、円筒状の内筒部(3)と、複数のティース(4)と、を有する。複数のティース(4)は、内筒部(3)から内筒部(3)の径方向外向きに突出している。第1接触面(31)は、内筒部(3)の内周面である。
【0124】
上記の構成によれば、第2接触面(720、712)が内筒部(3)に接するので、内筒部(3)以外の構成(ロータコア6から更に離れた構成)に接する場合と比較して、内筒部(3)とロータコア(6)との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0125】
また、第3の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)は、第1又は2の態様において、軸受である第1軸受(53)とは別に、第2軸受(54)を備える。第2軸受(54)は、回転軸(51)を回転可能に支持する。ステータ(2)は、軸受保持部である第1軸受保持部(7、7A)と、第1軸受保持部(7、7A)とは別に、第2軸受保持部(823)と、を有する。第2軸受保持部(823)は、第2軸受(54)を保持する。ロータコア(6)は、第1軸受(53)及び第2軸受(54)の間に配置されている。第1軸受保持部(7、7A)及び第2軸受保持部(823)は、ステータコア(20)に保持されている。
【0126】
上記の構成によれば、ロータ(5)の回転軸(51)を支持する第1軸受(53)及び第2軸受(54)の両方がステータ(2)に保持されている。そのため、第1軸受(53)及び第2軸受(54)のうち少なくとも一方が電動工具本体(108)に保持されている場合と比較して、電動工具本体(108)とブラシレスモータ(1、1A)との組付け精度(例えば、がたつきの有無)等が、ロータ(5)とステータ(2)との間のギャップの精度に影響する可能性を低減できる。すなわち、ロータ(5)とステータ(2)との間のギャップの精度を向上させることができる。
【0127】
また、第4の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ステータ(2)は、コイル巻枠(81、81A)を備える。コイル巻枠(81、81A)は、電気絶縁性を有し、ステータコア(20)に取り付けられている。複数のコイル(23)は、コイル巻枠(81、81A)を介してステータコア(20)に巻かれている。軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)は、コイル巻枠(81、81A)の一部である。
【0128】
上記の構成によれば、軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)をコイル巻枠(81、81A)とは別に設ける場合と比較して、ブラシレスモータ(1、1A)の部材点数を減らすことができる。
【0129】
また、第5の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ステータ(2)は、コイル巻枠(81、81A)を備える。コイル巻枠(81、81A)は、電気絶縁性を有し、ステータコア(20)に取り付けられている。複数のコイル(23)は、コイル巻枠(81、81A)を介してステータコア(20)に巻かれている。軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)は、コイル巻枠(81、81A)に取り付けられている。
【0130】
上記の構成によれば、形状を比較的自由に設計できるコイル巻枠(81、81A)に軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)が取り付けられるので、取付けのための構造を容易に設けることができる。
【0131】
また、第6の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第5の態様において、コイル巻枠(81、81A)は、回転軸(51)が通される開口部(8110)を有する。軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)は、回転軸(51)が通される軸孔(701)を有する。軸受保持部は、開口部(8110)を覆っている。
【0132】
上記の構成によれば、ロータコア(6)が配置された空間に異物が侵入する可能性を低減できる。
【0133】
また、第7の態様に係るブラシレスモータ(1)では、第5又は6の態様において、軸受保持部(第1軸受保持部7)とコイル巻枠(81)とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部(73、813)を有する。軸受保持部は、軸受保持部とコイル巻枠(81)とのうち少なくとも一方が、回転軸(51)の軸方向に移動することで、引掛部(73、813)が他方に引っ掛けられる。
【0134】
上記の構成によれば、ねじ等の部材を用いなくても、軸受保持部(第1軸受保持部7)をコイル巻枠(81)に取り付けることができる。
【0135】
また、第8の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第5~7の態様のいずれか1つにおいて、軸受保持部(第1軸受保持部7、7A)とコイル巻枠(81、81A)とのうち少なくとも一方は、他方に引っ掛けられる引掛部(73、74、813)を有する。引掛部(73、74、813)は、第2接触面(720、712)が第1接触面(31)から離れない範囲に、回転軸(51)の軸方向におけるコイル巻枠(81)に対する軸受保持部の移動を規制する。
【0136】
上記の構成によれば、第1接触面(31)と第2接触面(720、712)とが接した状態を維持できる。
【0137】
また、第9の態様に係るブラシレスモータ(1A)では、第5~8の態様のいずれか1つにおいて、軸受保持部(第1軸受保持部7A)は、軸受保持部とコイル巻枠(81A)とのうち少なくとも一方が他方に対して、回転軸(51)の回転方向又はその反対方向に回転することで、コイル巻枠(81A)に取り付けられる。
【0138】
上記の構成によれば、軸受保持部(第1軸受保持部7A)が回転を伴う動作によりコイル巻枠(81A)に取り付けられるので、軸受保持部がコイル巻枠(81A)から脱落する可能性を低減できる。
【0139】
また、第10の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)は、第1~9の態様のいずれか1つにおいて、ファン(9、9A)を備える。ファン(9、9A)は、回転軸(51)に保持されている。
【0140】
上記の構成によれば、ロータ(5)及びステータ(2)の温度上昇を抑制できる。
【0141】
また、第11の態様に係るブラシレスモータ(1、1A)では、第10の態様において、ファン(9、9A)は、軸受(第1軸受53)とロータコア(6)との間に配置されている。
【0142】
上記の構成によれば、ファン(9、9A)をロータコア(6)の近傍に配置できる。
【0143】
また、第12の態様に係るブラシレスモータ(1)では、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、軸受保持部(第1軸受保持部7)は、ベース(71)と、リブ(72)と、を有する。リブ(72)は、ベース(71)から回転軸(51)の軸方向に突出している。リブ(72)は、第2接触面(720)を有する。
【0144】
上記の構成によれば、リブ(72)が無くベース(71)が第2接触面(720)を有する場合と比較して、ロータコア(6)と軸受保持部(第1軸受保持部7)とが干渉する可能性を低減できる。
【0145】
第1の態様以外の構成については、ブラシレスモータ(1、1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0146】
また、第13の態様に係る電動工具(10)は、第1~12の態様のいずれか1つに係るブラシレスモータ(1、1A)と、電動工具本体(108)と、を備える。電動工具本体(108)は、ブラシレスモータ(1、1A)を収容する。
【0147】
上記の構成によれば、ロータ(5)とステータ(2)との間のギャップの精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0148】
1、1A ブラシレスモータ
2 ステータ
20 ステータコア
23 コイル
3 内筒部
4 ティース
31 第1接触面
5 ロータ
51 回転軸
52 永久磁石
53 第1軸受(軸受)
54 第2軸受
6 ロータコア
7、7A 第1軸受保持部(軸受保持部)
701 軸孔
71 ベース
72 リブ
720、712 第2接触面
73、74、813 引掛部
81、81A コイル巻枠
8110 開口部
823 第2軸受保持部
9、9A ファン
10 電動工具
108 電動工具本体