(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】マニュアル操作リング駆動装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20230331BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230331BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230331BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230331BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230331BHJP
【FI】
G02B7/08 B
G02B7/02 E
G03B17/56 A
H04N5/222
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2022524226
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2021046663
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2021185778
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】科野 文男
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】木元 雄一朗
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144439(JP,A)
【文献】特開2017-146344(JP,A)
【文献】特表2019-506773(JP,A)
【文献】国際公開第2011/153163(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G02B 7/02
G03B 17/56
H04N 5/222
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に装着されたレンズ鏡筒に含まれるマニュアル操作リングを回転駆動するリング駆動装置であって、
前記レンズ鏡筒に含まれるレンズの光軸方向に沿ってスライド移動可能な第1ガイド部と、
前記第1ガイド部に設けられており、前記光軸方向に直交する方向に沿ってスライド移動可能な第2ガイド部と、
前記第2ガイド部における前記マニュアル操作リングに直接的あるいは間接的に接触する位置に設けられており、前記マニュアル操作リングに接触した状態で回転することで前記マニュアル操作リングを回転させる駆動ギアと、
前記第2ガイド部に設けられており、前記駆動ギアを回転駆動する駆動部と、
を備え
、
前記第2ガイド部において回転可能な状態で配置されており、前記レンズ鏡筒の外周面を支持する第1ローラを、さらに備えている、
マニュアル操作リング駆動装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部が前記光軸方向に移動可能な状態で接続されており、前記カメラ本体が載置されるベース部を、さらに備えている、
請求項1に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項3】
前記第2ガイド部は、前記第1ガイド部の上面側においてスライド移動する、
請求項1または2に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項4】
前記レンズ鏡筒の前記マニュアル操作リングの外周に前記マニュアル操作リングに対して相対回転不能な状態で着脱可能に装着され、前記駆動ギアと噛み合うギア部を有するリングギアを、さらに備え、
前記駆動ギアは、前記ギア部と噛み合って回転することで前記リングギアを介して前記マニュアル操作リングを回転させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項5】
前記
第1ローラは、前記駆動ギアと同軸で
ある、
請求項1から4のいずれか1項に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項6】
前記第1ローラに対して前記レンズ鏡筒に含まれる前記レンズの光軸を含む水平面を挟んで反対側の位置に回転可能な状態で配置され、前記レンズ鏡筒の外周面を支持する第2ローラを、さらに備えている、
請求項
1に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項7】
前記レンズ鏡筒を挟んで前記第1ローラの反対側において回転可能な状態で配置され、前記レンズ鏡筒の外周面を支持する第3ローラを、さらに備えている、
請求項6に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項8】
前記第3ローラが設けられており、前記光軸方向に直交する方向に沿ってスライド移動可能な状態で前記レンズ鏡筒を前記第2ガイド部と挟み込むように、前記第1ガイド部に設けられた第3ガイド部を、さらに備えている、
請求項7に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項9】
前記第2ガイド部に接続された第1端と、前記第3ガイド部に接続された第2端とを有し、前記第2ガイド部と前記第3ガイド部とを、前記レンズ鏡筒を挟み込む方向に移動させる引っ張り力を付与する付勢部材を、さらに備えている、
請求項8に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項10】
前記第1ガイド部を前記光軸方向に沿って移動するように案内する第1軸および第2軸を、さらに備え、
前記第1軸は、前記第2ガイド部側に設けられ、前記第2軸は、前記第3ガイド部側に設けられている、
請求項8または9に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項11】
前記第1ガイド部は、前記第1軸または前記第2軸を略鉛直方向における所定の範囲内で移動可能に支持する長孔を有している、
請求項10に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項12】
前記第1軸および前記第2軸の少なくとも一方に対して前記第1ガイド部を固定して、前記光軸方向において前記第1ガイド部を位置決めする第1固定部を、さらに備えている、
請求項10または11に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項13】
前記第2ガイド部と前記第3ガイド部にそれぞれ設けられており前記光軸方向に直交する方向に沿って配置されたたラック部と、前記ラック部に係合した状態で回転し前記ラック部を介して前記第2ガイド部と前記第3ガイド部とを左右対称に移動させるピニオンと、を有するセンタリング機構を、さらに備えている、
請求項8から12のいずれか1項に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項14】
前記レンズ鏡筒の前記マニュアル操作リングの外周に前記マニュアル操作リングに対して相対回転不能な状態で着脱可能に装着されるリングギアを、さらに備え、
前記リングギアは、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第3ローラがそれぞれ当接する当接面と、前記駆動ギアと噛み合うギア部と、を有している、
請求項7から13のいずれか1項に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【請求項15】
前記第1ガイド部に対して前記第2ガイド部を固定して、前記光軸方向に直交する方向において前記第2ガイド部を位置決めする第2固定部を、さらに備えている、
請求項1から14のいずれか1項に記載のマニュアル操作リング駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ本体に装着されるレンズ鏡筒のズームレンズ、フォーカスリング等のマニュアル操作リングを駆動するズームリング駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ズームリング等のマニュアル操作リングの外周にギアが設けられたレンズ鏡筒と、そのギアと回転用ハンドルとを連結させる連結部材を有するアクセサリと、を備えたカメラシステムが用いられている。
例えば、特許文献1には、円環部と、一端が円環部の内径側に揺動可能に支持され、他端にはレンズ鏡筒に固定するレンズ固定部が揺動可能に取り付けられている少なくとも3つの支持腕部とを備え、レンズ鏡筒の外径にかかわらず使用可能なアクセサリ連結装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記従来のアクセサリ連結装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたアクセサリ連結装置では、3つの支持腕部が内径側において揺動可能な状態でレンズ鏡筒の外周面を支持しているため、レンズ鏡筒の外径に関わらず装着することができる。
【0005】
しかし、レンズ鏡筒に含まれるレンズの光軸方向における長さ(全長)が大きい場合には、カメラ本体の位置とレンズ鏡筒における3つの支持腕部によって支持される部分との位置のバランスが取れず、装着することができないおそれがある。
また、上記従来のアクセサリ連結装置は、ピントリングに設けられた専用のネジ穴に、アクセサリ連結装置のレンズ固定部のネジ用穴を位置合わせした状態で固定ネジをねじ込む構成になっているため、専用のピントリングにしか対応することができない。
【0006】
本開示の課題は、レンズ鏡筒の外径、光軸方向における長さに関わらず、レンズ鏡筒に対して装着することが可能なズームリング駆動装置を提供することにある。
本開示に係るマニュアル操作リング駆動装置は、カメラ本体に装着されたレンズ鏡筒に含まれるマニュアル操作リングを回転駆動するリング駆動装置であって、第1ガイド部と、第2ガイド部と、駆動ギアと、駆動部と、を備えている。第1ガイド部は、レンズ鏡筒に含まれるレンズの光軸方向に沿ってスライド移動可能である。第2ガイド部は、第1ガイド部に設けられており、光軸方向に直交する方向に沿ってスライド移動可能である。駆動ギアは、第2ガイド部におけるマニュアル操作リングに直接的あるいは間接的に接触する位置に設けられており、マニュアル操作リングに接触した状態で回転することでマニュアル操作リングを回転させる。駆動部は、第2ガイド部に設けられており、駆動ギアを回転駆動する。
(発明の効果)
本開示に係るマニュアル操作リング駆動装置によれば、レンズ鏡筒の外径、光軸方向における長さに関わらず、レンズ鏡筒に対して装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係るズームリング駆動装置にカメラがセットされた状態を示す全体斜視図。
【
図2A】
図1のズームリング駆動装置にカメラがセットされたレンズ鏡筒側の状態を示す正面図。
【
図2B】
図1のズームリング駆動装置にカメラがセットされたカメラ本体側の状態を示す背面図。
【
図3】
図1のズームリング駆動装置の制御ブロック図。
【
図4】
図3のズームリング駆動装置の構成を示す斜視図。
【
図7A】
図4のズームリング駆動装置にレンズ鏡筒をセットした状態を示す斜視図。
【
図8A】
図1等のカメラのカメラ本体に装着されたレンズ鏡筒のズームリングの外周面にリングギアが取り付けられた状態を示す斜視図。
【
図9A】
図8Aのレンズ鏡筒のズームリングの外周面に取り付けられるリングギアの構成を示す斜視図。
【
図10】
図4のズームリング駆動装置にカメラがセットされて保持される前の状態を示す斜視図。
【
図12】
図4のズームリング駆動装置にカメラがセットされて保持された状態を示す斜視図。
【
図14】
図1よりも長いレンズ鏡筒がカメラ本体に装着されたカメラを示す全体斜視図。
【
図15A】
図4等のズームリング駆動装置のガイド部に形成された長孔付近の構成を示す断面図。
【
図16】本開示の他の実施形態に係るズームリング駆動装置の構成を示す全体斜視図。
【
図17A】
図16のズームリング駆動装置のセンタリング機構の周辺の構成を示す斜視図。
【
図18】
図16のズームリング駆動装置のセンタリング機構に含まれるラック周辺の構成を示す斜視図。
【
図19】本開示の他の実施形態に係るズームリング駆動装置にセットされたカメラを示す全体斜視図。
【
図20】
図19のズームリング駆動装置のレンズ鏡筒側から見た正面図。
【
図21】
図19のズームリング駆動装置の移動前の状態を示す斜視図。
【
図22】
図19のズームリング駆動装置のガイド部が光軸方向において移動した際の状態を示す斜視図。
【
図23】
図19のズームリング駆動装置のガイド部が光軸方向に直交する方向において移動した際の状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
また、以下の説明において、光軸方向とは、レンズ鏡筒32に含まれるレンズL1の光軸に沿った方向を意味しており、光軸方向に直交する方向とは、光軸を含む面において光軸方向に直交する方向を意味するものとする。
(実施形態1)
本開示の一実施形態に係るズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)10について、
図1~
図15Bを用いて説明すれば以下の通りである。
【0010】
本実施形態に係るズームリング駆動装置10は、例えば、カメラ30によって連続的に動画の撮影を行う際にズームリング(マニュアル操作リング)33の回転操作を制御するために使用される。そして、ズームリング駆動装置10は、カメラ本体31に装着されたレンズ鏡筒32の外周面において回転操作されるズームリング33を回転駆動し、
図1に示すように、カメラ30が載置された状態で使用される。
【0011】
(1)カメラ30の構成
カメラ30は、静止画あるいは動画撮影が可能であって、カメラ本体31と、レンズ鏡筒32とを備えている。
カメラ本体31は、レンズ鏡筒32を介して入射してきた光を、内蔵された撮像素子(図示せず)を用いて信号に変換し、画像を形成する。
【0012】
レンズ鏡筒32は、カメラ本体31に対して着脱可能な状態で装着されており、光軸方向に沿って複数のレンズL1等を含んでおり、レンズL1側から入射してきた光を、カメラ本体31側へと出射する。そして、レンズ鏡筒32は、本実施形態のズームリング駆動装置10によって駆動制御されるズームリング33を含む。
また、レンズ鏡筒32は、
図2Aに示すように、ズームリング駆動装置10に含まれる3つのローラ20a,20b,20cによって、その外周面が、リングギア25を介して間接的に3点支持された状態で保持される。
【0013】
なお、
図2Aでは、説明の便宜上、レンズ鏡筒32のみが示されているが、実際にはレンズ鏡筒32はカメラ本体31に装着されているものとする。以下の
図7Aおよび
図7B,
図11、
図13、
図20についても同様である。
このとき、カメラ本体31は、
図2Bに示すように、ズームリング駆動装置10のベース部16に設けられた固定ネジ18が、カメラ本体31の底面に設けられたネジ穴に螺合することで固定されている。
【0014】
ズームリング33は、レンズ鏡筒32に内蔵された複数のレンズのうち、ズームレンズ(図示せず)を光軸方向において前後に移動させてズーム操作を行うために設けられた円環状の部材であって、レンズ鏡筒32の最外周面において回転操作される。そして、ズームリング33の外周側には、
図1および
図2A等に示すように、ズームリング駆動装置10の駆動ギア21と噛み合って回転するリングギア25が相対回転不能な状態で取り付けられている。
【0015】
(2)ズームリング駆動装置10の構成
ズームリング駆動装置10は、レンズ鏡筒32のズームリング33を駆動制御するために、
図3に示すように、駆動ギア21と、減速機22と、DCモータ(駆動部)23と、電源26と、外部操作部27とを備えている。
駆動ギア21は、ズームリング駆動装置10にセットされたカメラ30のレンズ鏡筒32のズームリング33を回転駆動させるギア部材であって、ズームリング33の外周面に装着されたリングギア25を介してズームリング33を回転駆動させる。
【0016】
減速機22は、DCモータ23の回転トルクを、回転速度を減速させながら駆動ギア21に対して伝達する機構であって、複数の減速ギアによって構成されている。
DCモータ23は、減速機22を介して駆動ギア21に対して回転トルクを付与する駆動源であって、電源26から供給される電力によって回転し、制御部24によって制御される。
【0017】
電源26は、ズームリング駆動装置10の各機構に対して電力を供給する。なお、電源26は、ズームリング駆動装置10の内部に設けられていてもよいし、外部電源であってもよい。
外部操作部27は、例えば、ズームリング駆動装置10の外面に露出する位置に設けられており、使用者によって、ズームリング駆動装置10の設定等が入力される。
【0018】
ここで、本実施形態のズームリング駆動装置10の詳細な構成について、図面を用いて説明する。
本実施形態のズームリング駆動装置10は、
図4および
図5に示すように、ガイド部(第1ガイド部)11と、ガイド軸12a,12bと、フロント部13と、ガイド部(第2ガイド部)14と、ガイド部(第3ガイド部)15と、ベース部16と、バネ(付勢部材)17と、固定ネジ18と、3つのローラ20a,20b,20cと、駆動ギア21と、減速機22と、DCモータ23と、リングギア25と、を備えている。
【0019】
ガイド部(第1ガイド部)11は、その両端がフロント部13とベース部16とにそれぞれ固定された2本のガイド軸12a,12bが挿入されており、フロント部13とベース部16との間において前後にスライド移動可能な状態で設けられている。そして、ガイド部11は、
図5に示すように、本体部11a、長孔11b、貫通孔11c、レール部11d、固定ネジ(第1固定部)11e、固定部材(第1固定部)11fを有している。
【0020】
本体部11aは、
図5に示すように、略直方体形状の部材であって、長側面側を貫通する2つの貫通孔(長孔11bと、貫通孔11c)が形成されている。
長孔11bは、
図5に示すように、ガイド軸12aが挿入されており、上下方向(鉛直方向)において長い孔として、形成されている。なお、長孔11bにおけるガイド軸12aの支持構造については、後段にて詳述する。
【0021】
貫通孔11cは、
図5に示すように、ガイド軸12bが挿入されており、略円形の孔として、形成されている。
レール部11dは、
図5に示すように、上面側の両端部に設けられた凸状の部分であって、ガイド部14,15側のレール部14b,15bが係合した状態で、ガイド部14,15を光軸方向に直交する方向においてスライド移動させる。
【0022】
固定ネジ11eは、
図6Aおよび
図6Bに示すように、本体部11aにおける両側の短側面にそれぞれ設けられており、時計回りに回転操作されると、ガイド部14,15のガイド軸12a,12bに沿った移動を規制する。
固定部材11fは、
図7Bに示すように、本体部11aの内部においてガイド軸12a,12bにそれぞれ当接可能な位置に設けられている。そして、固定部材11fは、固定ネジ11eを時計回りに回転させると、固定ネジ11eの先端によってガイド軸12a,12bに対して押し付けられる方向に押圧される。
【0023】
これにより、固定ネジ11eの回転操作によって、ガイド部14,15がガイド軸12a,12bに沿って光軸方向において前後に移動することを規制して、ガイド部14,15の位置の仮決め等を行うことができる。
ガイド軸12a,12bは、
図5に示すように、光軸方向において互いに略平行に設けられている。ガイド軸12a,12bは、第1端部がフロント部13側に固定され、第1端部とは反対側の第2端部がベース部16側に固定されている。そして、ガイド軸12a,12bは、上述したガイド部11を貫通するように長孔11bおよび貫通孔11cにそれぞれ挿入されている。
【0024】
フロント部13は、
図1等に示すように、カメラ30がセットされた状態でズームリング駆動装置10における最も被写体側に配置されている。フロント部13は、ベース部16との間において、ガイド部11がガイド軸12a,12bに沿って移動可能となるように、ガイド軸12a,12bの第1端側を支持している。
ガイド部(第2ガイド部)14は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、ガイド部11の上面に沿って、光軸方向に直交する方向においてスライド移動可能な状態で設けられており、カメラ30がセットされるとレンズ鏡筒32の側方に配置される。そして、ガイド部14は、
図5に示すように、本体部14a、レール部14b、被係止部14c、固定ネジ(第2固定部)14dを有している。
【0025】
本体部14aは、
図5に示すように、略直方体形状の部材であって、レンズ鏡筒32を保持する側の面における下部と上部とにそれぞれ、ローラ20a,20bを回転可能な状態で支持している。また、本体部14aの底面側には、上述したガイド部11のレール部11dに係合するレール部14bが設けられている。さらに、本体部14aは、
図7Aおよび
図7Bに示すように、内部空間に、減速機22およびDCモータ23等を含むギアボックスが設けられている。
【0026】
レール部14bは、
図5に示すように、本体部14aの底面側に形成された凹部であって、上述したガイド部11の凸状のレール部11dが係合する。これにより、ガイド部14は、ガイド部11の長手方向に沿って、光軸方向に直交する方向において移動可能となる。
被係止部14cは、
図5および
図6Bに示すように、本体部14aにおけるベース部16に対向する側面に設けられた突起部分であって、後述するバネ17の一方の端部(係止部17a)が係止される。
【0027】
固定ネジ14dは、
図5に示すように、本体部14aにおける被係止部14cとは反対側の側面に設けられている。固定ネジ14dは、時計回りに回転操作されると、ガイド部14のガイド部11の長手方向に沿った移動を規制する。
これにより、ガイド部15とともにレンズ鏡筒32を両側からバランスよく挟み込んだ位置において、ガイド部14の位置を仮固定することができる。
【0028】
ガイド部(第3ガイド部)15は、ガイド部14に対向配置されており、ガイド部14との間においてレンズ鏡筒32の外周面を支持する。ガイド部15は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、ガイド部11の上面に沿って、光軸方向に直交する方向においてスライド移動可能な状態で設けられており、カメラ30がセットされるとレンズ鏡筒32の側方に配置される。そして、ガイド部15は、
図5に示すように、本体部15a、レール部15b、被係止部15c、固定ネジ15dを有している。
【0029】
本体部15aは、
図5に示すように、略直方体形状の部材であって、レンズ鏡筒32を保持する側の面における上部にローラ20cを回転可能な状態で支持している。また、本体部15aの底面側には、上述したガイド部11のレール部11dに係合するレール部15bが設けられている。
レール部15bは、
図5に示すように、本体部15aの底面側に形成された凹部であって、上述したガイド部11の凸状のレール部11dが係合する。これにより、ガイド部15は、ガイド部11の長手方向に沿って、光軸方向に直交する方向において移動可能となる。
【0030】
被係止部15cは、
図6Bに示すように、本体部15aにおけるベース部16に対向する側面に設けられた突起部分であって、後述するバネ17の他方の端部(係止部17a)が係止される。
これにより、バネ17の両端が本体部14a,15aにそれぞれ係止されているため、ガイド部14,15を互いに離間する方向に移動させると、それに反発する力、つまり、互いに近づく方向に付勢力が付与される。
【0031】
固定ネジ15dは、
図5に示すように、本体部15aにおける被係止部15cとは反対側の側面に設けられている。固定ネジ15dは、時計回りに回転操作されると、ガイド部15のガイド部11の長手方向に沿った移動を規制する。
これにより、ガイド部14とともにレンズ鏡筒32を両側からバランスよく挟み込んだ位置において、ガイド部14の位置を仮固定することができる。
【0032】
ベース部16は、ガイド部11が光軸方向において相対移動可能な状態で接続されており、
図2B等に示すように、その上面にカメラ本体31が載置される。
本体部16aは、
図5に示すように、略直方体の形状を有しており、その前面側に2本のガイド軸12a,12bの一端が挿入されて固定される挿入穴16bが設けられている。
【0033】
挿入穴16bは、
図5に示すように、本体部16aの前面における左右両端付近に設けられており、ガイド軸12a,12bがそれぞれ挿入されて固定される。
バネ(バネ部材)17は、ガイド部14に接続された第1端(係止部17a)と、ガイド部15に接続された第2端(係止部17a)とを有している。バネ17は、ガイド部14とガイド部15とを、レンズ鏡筒32を挟み込む方向に移動させる引っ張り力を付与する。
【0034】
係止部17aは、バネ17の両端にそれぞれ設けられており、ガイド部14,15の側面に設けられた被係止部14c,15cに対してそれぞれ係止される。
ここで、レンズ鏡筒32がガイド部14,15の間に挟み込まれる前の定常状態において、バネ17の長さは、レンズ鏡筒32がガイド部14,15の間に挟み込まれた状態の被係止部14c,15cの間隔よりも短い。
【0035】
これにより、バネ17は、ズームリング駆動装置10に対してカメラ30がセットされ、ローラ20a,20b,20cによって、レンズ鏡筒32の外周面がリングギア25を介して間接的に3点支持された状態において、伸びた状態となり、ガイド部14,15を互いに近づける方向に付勢力を付与する。よって、ズームリング駆動装置10に対してカメラ30がセットされると、レンズ鏡筒32は、その外周面に巻回されたリングギア25が、バネ17の付勢力によって3つのローラ20a,20b,20cによって押し付けられるように、安定的に3点支持される。
【0036】
固定ネジ18は、
図5に示すように、ベース部16の本体部16aの底面側から挿入され、その先端のネジ部18aが、ベース部16の上面から突出するように配置されている。
ネジ部18aは、ベース部16の上面にカメラ本体31が載置された状態において、カメラ本体31の底面に設けられたネジ穴(図示せず)に螺合することで、カメラ本体31をベース部16に対して固定する。
【0037】
3つのローラ20a,20b,20cは、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14およびガイド部15にそれぞれ回転軸を中心に回転可能な状態で設けられており、レンズ鏡筒32の外周面に相対回転不能な状態で巻回されたリングギア25の外周面に当接した状態で3点支持する。すなわち、3つのローラ20a,20b,20cは、リングギア25を介して間接的に、レンズ鏡筒32の外周面を支持している。
【0038】
ローラ(第1ローラ)20aは、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14における下部であって、ガイド部14において駆動ギア21と同軸で、回転可能な状態で配置されている。ローラ20aは、リングギア25を介して、レンズ鏡筒32の外周面を支持する。
ローラ(第2ローラ)20bは、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14における上部であって、ローラ20aに対してレンズ鏡筒32に含まれるレンズL1の光軸を含む水平面を挟んで反対の位置に回転可能な状態で配置されている。ローラ20bは、リングギア25を介して、レンズ鏡筒32の外周面を支持する。
【0039】
ローラ(第3ローラ)20cは、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部15における上部であって、レンズ鏡筒32を挟んで第1ローラの反対側に回転可能な状態で配置されている。ローラ20cは、リングギア25を介して、レンズ鏡筒32の外周面を支持する。
駆動ギア21は、
図5に示すように、ガイド部14において、回転可能な状態で設けられたローラ20aと同軸になるように、ローラ20aに隣接する位置に配置されている。駆動ギア21は、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14において、ズームリング33の外周面に巻回されたリングギア25のギア部25bに係合する位置に設けられている。駆動ギア21は、DCモータ23から付与される回転駆動力が減速機22を介して伝達され、ズームリング33に巻回されたリングギア25のギア部25bにギアの部分が噛み合った状態で回転することで、ズームリング33を回転させる。
【0040】
すなわち、駆動ギア21は、リングギア25を介して間接的にズームリング33に対して接続されており、回転駆動力がリングギア25を介してズームリング33に伝達される。
減速機22は、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14の内部空間のギアボックス内に設けられており、DCモータ23から付与される回転駆動力を駆動ギア21に対して伝達する複数の減速ギアを含む。
【0041】
DCモータ23は、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ガイド部14の内部空間のギアボックス内に設けられており、制御部24(
図3参照)によって、駆動ギア21を回転駆動するように制御される。
リングギア25は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、レンズ鏡筒32のズームリング33の外周にズームリング33に対して相対回転不能な状態で着脱可能に装着されている。そして、リングギア25は、
図9Aおよび
図9Bに示すように、本体部25a、ギア部25b、締結部25c、ボルト25d、ナット25eを有している。
【0042】
本体部25aは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、略円環状の部材であって、例えば、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)等の樹脂によって成形されている。本体部25aは、その外周面側に、駆動ギア21が噛み合うギア部25bを有している。また、本体部25aは、その外周面側におけるギア部25bに隣接する位置に、3つのローラ20a,20b,20cがそれぞれ当接する当接面を有している。
【0043】
なお、本体部25aは、略円環状の内周面にシボ加工が施されていてもよい。この場合には、シボ加工によってリングギア25の内周面とズームリング33の外周面(ギア部25b)との間に生じる摩擦力が増大するため、ズームリング33に対して相対回転しにくい状態で、リングギア25を取り付けることができる。
ギア部25bは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、略円環状の本体部25aの外周面の一部に形成されており、駆動ギア21と噛み合った状態で駆動ギア21が回転することで、ズームリング33とともに回転する。
【0044】
締結部25cは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、略円環状の本体部25aが分断された端部同士を連結して締め付けるために設けられている。締結部25cは、ボルト25dをナット25eに螺合させて締め付けることで、ズームリング33の外周面に対して、リングギア25を固定する。
ボルト25dは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、締結部25cに設けられた貫通穴に挿入されており、そのネジ部分がナット25eに螺合する。
【0045】
ナット25eは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、締結部25cにおけるボルト25dのボルト頭とは反対側に設けられており、ボルト25dのネジ部分が螺合することで、締結部25cを締め付ける。
ここで、本実施形態のズームリング駆動装置10にカメラ30がセットされる際の工程について説明する。
【0046】
本実施形態のズームリング駆動装置10は、
図10に示すように、カメラ30がセットされると、まず、ベース部16の上面にカメラ本体31が載置されて固定ネジ18(
図6B参照)によってカメラ本体31がベース部16の上面に固定される。そして、ガイド部14,15が、互いに離間する方向へ移動してレンズ鏡筒32の外周面を挟み込んだ後、光軸方向における位置合わせが行われる。
【0047】
このとき、ガイド部14,15は、
図11に示すように、バネ17から付与される付勢力によって互いに近づく方向(図中2点鎖線矢印参照)に力を受けている。
ガイド部14,15によってレンズ鏡筒32の外周面を挟み込む際には、ガイド軸12a,12bに沿ってガイド部11を光軸方向に移動させて、駆動ギア21をリングギア25のギア部25bに係合させる。さらに、3つのローラ20a,20b,20cがそれぞれリングギア25の本体部25aの外周面を支持する位置において、
図12および
図13に示すように、固定ネジ11e,11eを時計回りに回転操作する(図中一点鎖線矢印参照)ことで、光軸方向における位置決めが行われる。
【0048】
そして、3つのローラ20a,20b,20cによってレンズ鏡筒32を安定的に3点支持することができる位置において、
図12および
図13に示すように、固定ネジ14d,15dを時計回りに回転操作する(図中一点鎖線矢印参照)ことで、光軸方向に直交する方向における仮の位置決めが行われる。
本実施形態のズームリング駆動装置10では、以上のように、3つのガイド部11,14,15がレンズ鏡筒32のサイズに合わせて、レンズL1の光軸方向および光軸方向に直交する方向における任意の位置にセットされる。そして、光軸方向に直交する方向においてスライド移動可能なガイド部14,15に含まれる3つのローラ20a,20b,20cによって、レンズ鏡筒32(リングギア25)の外周面が3点支持される。
【0049】
これにより、
図14に示すように、
図1のカメラ本体31に装着されたレンズ鏡筒32よりも光軸方向における長さ、外径が大きいレンズ鏡筒132がカメラ本体31に装着されたカメラ130に取り付けられる場合でも、レンズ鏡筒132のサイズに合わせてガイド部11,14,15が光軸方向および光軸方向に直交する方向において最適な位置に移動することで、レンズ鏡筒32を安定的に3点支持することができる。
【0050】
よって、レンズ鏡筒のサイズに関わらず、ガイド部11,14,15を移動させて、3つのローラ20a,20b,20cによってレンズ鏡筒が安定的に3点支持された状態で駆動ギア21を回転駆動することで、リングギア25を介して、様々なサイズのレンズ鏡筒のズームリング33を所望のタイミング、速さで回転駆動させることができる。
(3)長孔11bにおけるガイド軸12aの支持構造
本実施形態のズームリング駆動装置10では、
図15Aおよび
図15Bに示すように、光軸方向においてガイド部11を案内する2本のガイド軸12a,12bのうち、一方のガイド軸12aが挿入されたガイド部11の貫通孔が、略鉛直方向において長い長孔11bとなっている。
【0051】
一方、ガイド軸12bが挿入されたガイド部11の貫通孔11cは、円形の貫通孔である。
よって、2本のガイド軸12a,12bによって支持されているガイド部11は、円形の貫通孔11cに挿入されたガイド軸12bを中心にして、長孔11bの長手方向の範囲において上下に揺動可能な状態で支持される。
【0052】
すなわち、ガイド部11は、ガイド軸12b側を中心として、ガイド軸12aの側において長孔11bの範囲内で上下に揺動する。
これにより、バネ17の引っ張り力を利用してガイド部14,15によって両側から挟み込むようにレンズ鏡筒32を3点支持する際に、ガイド部14,15が取り付けられたガイド部11が長孔11bの範囲で揺動することで、レンズ鏡筒32を安定的な位置において支持することができる。
【0053】
<主な特徴1>
本実施形態のズームリング駆動装置10は、
図7Aおよび
図7B等に示すように、ガイド部11と、ガイド部14と、駆動ギア21と、DCモータ23と、を備えている。ガイド部11は、レンズ鏡筒32に含まれるレンズL1の光軸方向に沿ってスライド移動する。ガイド部14は、ガイド部11に設けられており、光軸方向に直交する方向に沿ってスライド移動する。駆動ギア21は、ガイド部14におけるズームリング33に巻回されたリングギア25に接触する位置に設けられており、リングギア25に接触した状態で回転することでズームリング33を回転させる。DCモータ23は、ガイド部14に設けられており、駆動ギア21を回転駆動する。
【0054】
これにより、光軸方向において移動可能なガイド部11と、光軸方向に直交する方向において移動可能なガイド部14とを、レンズ鏡筒32のサイズに合わせて適切な位置に配置して、駆動ギア21を回転駆動することで、ズームリング33の回転制御を行うことができる。
この結果、レンズ鏡筒32の外径、光軸方向における長さに関わらず、レンズ鏡筒32に対して装着することができる。
【0055】
(実施形態2)
本開示の他の実施形態に係るズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)110について、
図16~
図18を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態において、上記実施形態1と共通の機能・形状等を有する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態のズームリング駆動装置110は、
図16に示すように、センタリング機構140を備えている点において、上述した実施形態1のズームリング駆動装置10の構成とは異なっている。
なお、本実施形態のズームリング駆動装置110は、ガイド部(第1ガイド部)111と、2本のガイド軸12a,12bと、フロント部13と、ガイド部(第2ガイド部)114と、ガイド部(第3ガイド部)115と、ベース部16と、バネ(バネ部材)17とを備え、ガイド部11がガイド軸12a,12bに沿って光軸方向において前後に移動可能であって、ガイド部114,115がガイド部11の上面において光軸に直交する方向においてスライド移動可能である点は、上記実施形態1のズームリング駆動装置10と同様である。そして、固定ネジ11eによって、ガイド部11の光軸方向における移動が規制され、固定ネジ11eによってガイド部114の光軸方向に直交する方向における移動が規制され、固定ネジ15dによってガイド部115の光軸方向に直交する方向における移動が規制される点についても、上記実施形態1と同様である。
【0057】
センタリング機構140は、
図16に示すように、ガイド部11の上面において光軸に直交する方向においてスライド移動可能な状態で互いに対向する位置に配置されたガイド部114とガイド部115との間に設けられている。センタリング機構140は、ガイド部114,115に含まれる3つのローラ20a,20b,20cによってレンズ鏡筒32の外周面を両側から挟み込むようにして保持する際に、レンズ鏡筒32を、ガイド部114,115の中心の位置において保持するために設けられている。
【0058】
センタリング機構140は、
図17Aおよび
図17Bに示すように、ピニオン141と、ラック142と、ラック143とを有している。
ピニオン141は、ズームリング駆動装置110にカメラ30がセットされた状態において、レンズ鏡筒32の光軸の直下に設けられた回転ギアであって、
図17Aおよび
図17Bに示すように、ガイド部114とガイド部115との間に設けられている。そして、ピニオン141は、ガイド部11の上面に設けられた回転軸を中心として、ガイド部114側のラック142およびガイド部115側のラック143にそれぞれ係合して回転することで、ガイド部114,115を光軸方向に直交する方向において左右対称に移動させる。
【0059】
ラック142は、
図18に示すように、ガイド部114の本体部114aから、対向する位置に配置されたガイド部115に向かって延伸するように形成されている。ラック142は、延伸した部分におけるピニオン141に対向する面に設けられ、ピニオン141に噛み合うギア142aを有している。
ラック143は、
図18に示すように、ガイド部115の本体部115aから、対向する位置に配置されたガイド部114に向かって延伸するように形成されている。ラック143は、延伸した部分におけるピニオン141に対向する面に設けられ、ピニオン141に噛み合うギア143aを有している。
【0060】
ここで、レンズ鏡筒32を挟み込むように支持するガイド部114,115は、レンズ鏡筒32がセットされる際に、バネ17によって互いに近づく方向に付勢力を受けた状態となる。
このとき、ガイド部114,115は、センタリング機構140によって、レンズ鏡筒32の光軸の直下付近に設けられたピニオン141を中心にして左右対称に移動する。このため、レンズ鏡筒32は、ガイド部114,115にそれぞれ設けられた3つのローラ20a,20b,20cによってバランスよく支持される。
【0061】
(実施形態3)
本開示のさらに他の実施形態に係るズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)210について、
図19~
図23を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態において、上記実施形態1と共通の機能・形状等を有する構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
本実施形態のズームリング駆動装置210は、
図19に示すように、上記実施形態1と同様に、ベース部16の上面にカメラ本体31が載置されるようにカメラ30がセットされた状態で、駆動ギア21によってリングギア25を介してズームリング33を回転駆動する点において共通している。一方、本実施形態のズームリング駆動装置210では、
図19および
図20に示すように、駆動ギア21においてレンズ鏡筒32を1点で支持している点において、3つのローラ20a,20b,20cを用いてレンズ鏡筒32を3点支持する実施形態1の構成とは異なっている。
【0063】
すなわち、本実施形態のズームリング駆動装置210は、
図21に示すように、ガイド部(第1ガイド部)211と、2本のガイド軸12a,12bと、フロント部13と、ガイド部(第2ガイド部)214と、ベース部16と、駆動ギア21とを備えている。
ガイド部211は、
図22に示すように、上記実施形態1と同様に、2本のガイド軸12a,12bに沿って光軸方向において前後に移動可能な状態で設けられている(図中2点鎖線矢印参照)。
【0064】
ガイド部214は、
図23に示すように、上記実施形態1と同様に、ガイド部211の長手方向に沿って光軸方向に直交する方向おいて移動可能な状態で設けられている(図中2点鎖線矢印参照)。
これにより、
図19に示すように、ズームリング駆動装置210上にカメラ30がセットされると、レンズ鏡筒32は、リングギア25を介して、駆動ギア21によって1点支持される。そして、駆動ギア21を回転駆動ように制御することで、駆動ギア21に噛み合うようにセットされたリングギア25とともに、ズームリング33を所望の方向および速度で回転駆動させることができる。
【0065】
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、本開示のズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)10が駆動するマニュアル操作リングとして、ズームリング33が用いられている例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0066】
例えば、本開示のマニュアル操作リング駆動装置の駆動対象としては、ズームリングの代わりに、フォーカスリング等の他のリング部材であってもよい。
(B)
上記実施形態では、レンズ鏡筒32のズームリング33の外周面に相対回転不能な状態で装着されたリングギア25を介して、間接的に、ズームリング33の回転操作を行う例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0067】
例えば、マニュアル操作リング駆動装置側のギアと、レンズ鏡筒のマニュアル操作リング側のギアとが互いに噛み合う形状、大きさを有している場合には、リングギアを介すことなく、直接的に、ズームリング等を回転駆動する構成であってもよい。
(C)
上記実施形態1では、レンズ鏡筒32の外周面を3点で支持し、上記実施形態3では、レンズ鏡筒32の外周面を1点で支持する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0068】
例えば、駆動対象となるマニュアル操作リングを含むレンズ鏡筒を、2点支持する構成であってもよいし、4点以上で支持する構成であってもよい。
(D)
上記実施形態では、レンズ鏡筒32の外周面を間接的に支持する1または複数のローラ20a,20b,20cが回転軸を中心に回転可能な状態で取り付けられている例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0069】
例えば、各ローラの表面がテフロン(登録商標)等の摩擦抵抗の小さい材質によって形成されており、マニュアル操作リングの外周面との間の摩擦抵抗を小さくできる場合には、各ローラが全て回転可能である必要はなく、少なくとも一部のローラが回転不能であってもよい。
(E)
上記実施形態1,2では、レンズ鏡筒32を挟み込むように配置されたガイド部14,15が互いに近づく方向に付勢力を付与するバネ17が、ガイド部14,15の側面側に1つ設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、2つのガイド部に対して付勢力を付与するバネ部材は、ガイド部の両側の側面にそれぞれ設けられていてもよい。あるいは、2つのガイド部の底面側等、他の位置に設けられていてもよい。
(F)
上記実施形態では、2本のガイド軸12a,12bに沿って光軸方向においてガイド部11,211が移動する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
例えば、第1ガイド部を案内するガイド軸として、1本のガイド軸が用いられてもよいし、3本以上のガイド軸が用いられてもよい。
(G)
上記実施形態では、ガイド部14とガイド部15とをレンズ鏡筒32を挟み込む方向に移動させる引っ張り力を付与する付勢部材として、バネ17を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
例えば、バネの代わりに、磁力、空気圧、機構的な圧縮力(リードスクリューの回転による押し圧)等によって、付勢力を付与する部材が付勢部材として用いられていてもよい。
(H)
上記実施形態では、ガイド部11が、ガイド軸12b側を中心として、ガイド軸12aの側において長孔11bの範囲内で上下に揺動する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、ガイド部(第1ガイド部)11は、ガイド軸12a側を中心として、ガイド軸12bの側において長孔11bの範囲内で上下に揺動する構成であってもよい。
(I)
上記実施形態では、本ズームリング駆動装置10が、例えば、動画撮影等を実施する際に利用される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
例えば、本マニュアル操作リング駆動装置は、動画撮影時に限らず、静止画の撮影、カメラの性能試験等において利用されてもよい。
(J)
上記実施形態では、カメラ本体31に対してレンズ鏡筒32が着脱可能なカメラ30を駆動対象とした例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、カメラ本体に対して着脱不能な状態で取り付けられたレンズ鏡筒を含むカメラを、駆動対象としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示のマニュアル操作リング駆動装置は、レンズ鏡筒の外径、光軸方向における長さに関わらず、レンズ鏡筒に対して装着することができるという効果を奏することから、ズームリング、フォーカスリング等の各種マニュアル操作リングを駆動する駆動装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 ズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)
11 ガイド部(第1ガイド部)
11a 本体部
11b 長孔
11c 貫通孔
11d レール部
11e 固定ネジ(第1固定部)
11f 固定部材(第1固定部)
12a,12b ガイド軸
13 フロント部
14 ガイド部(第2ガイド部)
14a 本体部
14b レール部
14c 被係止部
14d 固定ネジ(第2固定部)
15 ガイド部(第3ガイド部)
15a 本体部
15b レール部
15c 被係止部
15d 固定ネジ
16 ベース部
16a 本体部
16b 挿入穴
17 バネ(付勢部材)
17a 係止部
18 固定ネジ
18a ネジ部
20a ローラ(第1ローラ)
20b ローラ(第2ローラ)
20c ローラ(第3ローラ)
21 駆動ギア
22 減速機
23 DCモータ(駆動部)
24 制御部
25 リングギア
25a 本体部
25b ギア部
25c 締結部
25d ボルト
25e ナット
26 電源
27 外部操作部
30 カメラ
31 カメラ本体
32 レンズ鏡筒
33 ズームリング(マニュアル操作リング)
110 ズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)
114 ガイド部(第2ガイド部)
114a 本体部
115 ガイド部(第3ガイド部)
115a 本体部
130 カメラ
132 レンズ鏡筒
140 センタリング機構
141 ピニオン
142 ラック
142a ギア
143 ラック
143a ギア
210 ズームリング駆動装置(マニュアル操作リング駆動装置)
211 ガイド部(第1ガイド部)
214 ガイド部(第2ガイド部)
L1 レンズ
【要約】
ズームリング駆動装置(10)は、ガイド部(11)と、ガイド部(14)と、駆動ギア(21)と、DCモータ(23)とを備えている。ガイド部(11)は、レンズ鏡筒(32)に含まれるレンズ(L1)の光軸方向に沿ってスライド移動する。ガイド部(14)は、ガイド部(11)に設けられており、光軸方向に垂直な方向に沿ってスライド移動する。駆動ギア(21)は、ガイド部(14)におけるズームリング(33)に巻回されたリングギア(25)に接触する位置に設けられており、リングギア(25)に接触した状態で回転することでズームリング(33)を回転させる。DCモータ(23)は、ガイド部(14)に設けられており、駆動ギア(21)を回転駆動する。