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特許7253873選択的非触媒NOx還元のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】選択的非触媒NOx還元のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/56 20060101AFI20230331BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01D53/56 300
B01D53/76 ZAB
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017550202
(86)(22)【出願日】2016-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-05-24
(86)【国際出願番号】 US2016023502
(87)【国際公開番号】W WO2016154161
(87)【国際公開日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】62/138,782
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】チュン,マオリン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】マスリン,マシュー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ファンチー
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】金 公彦
【審判官】正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-1858(JP,A)
【文献】特開平1-80428(JP,A)
【文献】特表平11-512021(JP,A)
【文献】特開昭54-119370(JP,A)
【文献】特開昭52-35763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0134086(US,A1)
【文献】特開平3-267116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/85
F23J 13/00-99/00
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04- 3/38
F01N 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気流を処理する選択的非触媒反応方法であって、
NOxを含む排気流を受け取る工程;
前記排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程であって、前記窒素含有試薬が尿素の水溶液を含む、工程;
前記混合流を加熱槽で870℃から1100℃に及ぶ反応温度に加熱する工程;
その加熱された前記混合流中の前記少なくとも1種類の窒素含有試薬の少なくとも一部を、反応槽で、0.1秒から3秒の範囲の滞留時間に亘り前記反応温度で反応させて、反応流を形成する工程;
その反応流を第1の冷却工程において700℃から900℃の範囲の第1の温度に冷却する工程であって、該第1の冷却工程が、前記排気流の少なくとも一部と前記反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含んでいて、冷却された反応流を形成するものであり、
前記冷却された反応流を第2の冷却工程において350℃から600℃の範囲の温度に冷却する工程であって、該第2の冷却工程が、第1の外部流と前記冷却された反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含んでいて、更なる冷却された反応流を形成するものであり;および、
前記更なる冷却された反応流を汚染対策システムに向ける工程;
を有してなる方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬が、さらに、シアヌル酸またはヒドラジンの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬と前記排気流中のNOxとの間の標準化学量論比N/NOxのモル比が1から3に及ぶ、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記加熱槽または前記反応槽の少なくとも1つに水素を加えることをさらに含む、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記排気流中のNOxの少なくとも30質量%が前記反応中に反応せしめられる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2の冷却工程後、前記更なる冷却された反応流を第2の外部流で希釈ことすることをさらに含み、前記第2の外部流と前記更なる冷却された反応流との体積比が21から1:10の範囲にある、前記請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合する工程の前に、前記排気流を、200℃から800℃に及ぶ温度に予熱する工程をさらに含む、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記排気流が、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N24)、五酸化窒素(N25)、またはそれらの組合せを含む、請求項1から7いずれか1項記載に記載の方法。
【請求項9】
第1の熱交換機に亘る差圧が水柱2.5cm(1インチ)を超える際に、前記排気流、前記反応流、または前記冷却された反応流の少なくとも1つを予備熱交換機に導く、請求項1から8ずれか1項記載に記載の方法。
【請求項10】
NOxを含む排気流を選択的非触媒反応方法によって処理するためのシステムであって、
前記排気流を受け取り、該排気流を尿素の水溶液を含む少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して混合流を形成し、この混合流を870℃から1100℃に及ぶ反応温度に加熱するように構成された加熱槽;
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させるのに十分な0.1秒から3秒の範囲の滞留時間に亘り、前記混合流を前記反応温度で保持するように構成された反応槽;
前記排気流の少なくとも一部と反応流の少なくとも一部との間で熱エネルギーを伝達して冷却された反応流を形成するように構成された第1の熱交換器;
前記冷却された反応流の少なくとも一部と外部流との間で熱エネルギーを伝達して更なる冷却された反応流を形成するように構成された第2の熱交換器;および
前記第2の熱交換機の下流に配され、前記更なる冷却された反応流を受け取るように構成された汚染対策システム
を備えてなる、
システム。
【請求項11】
前記加熱槽を出る前記混合流の温度を測定するように構成された温度センサをさらに備える、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の熱交換器に亘る前記排気流の差圧を測定して、1つ以上の予備熱交換器に前記排気流の一部の流れを切り替えられるように構成された1つ以上の差圧センサをさらに備え、前記1つ以上の予備熱交換器は、前記排気流の少なくとも一部と前記反応流の少なくとも一部との間で熱エネルギーを伝達するように構成されている、請求項10記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2015年3月26日に出願された米国仮特許出願第62/138782号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、排気流を処理するための方法およびシステムに関し、より詳しくは、NOxを含む排気流の選択的非触媒NOx還元のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつか例を挙げると、燃料、冶金、およびガラス加工用途を含む多岐に渡る用途において、環境復旧過程が有用である。数多くのプロセス排出において、汚染物質として、窒素酸化物(NOx)が存在し得る。例えば、暖房機、乾燥機、炉、および同様の設備により行われる反応などの燃焼反応は、NOx排気を生成し得る。
【0004】
未処理のNOx排気は、人間、野生生物、植物、および環境に対して数多くの脅威を示し得る。NOxへの暴露により、人間および動物において、炎症、拒絶反応、および病気が生じ得る。長期に亘る暴露は致命的になり得る。大気中に放出されるNOx排気(例えば、NO、NO2)は、水と接触した際に分解して、亜硝酸(HNO2)および硝酸(HNO3)、例えば、酸性雨を生じ、これは、植物および人工建造物に極めて有害であり得る。NOx排気(例えば、NO)は、下層大気中で酸素とも反応して、例えば、反応:NO+HC+O2+日光→NO2+O3により、オゾンを形成し得る。オゾンは、人間および野生動物に対する健康被害をもたらし、植物に損傷をもたらし得る。NOx排気(例えば、NO2)はスモッグにも寄与し得る。スモッグは、日光が、大気中のNO2および未燃焼炭化水素の混合物と接したときに形成し得る。
【0005】
それゆえ、有害な汚染物質から社会を保護するために、NOx排気を減少させるように、京都議定書などの様々な環境規制が導入されてきた。これらの規制が施行される以前は、燃焼過程からの排煙は大気中に直接放出されていた。しかしながら、大気質規制が厳しくなり、大衆の意識が増すにつれて、産業界の指導者達は、NOx排気を減少させるための様々な戦略を採用し始めた。これらの戦略の例としては、大気中に排出されるNOxを減少させるための前処理、燃焼改良、工程変更、および後処理戦略が挙げられる。
【0006】
前処理戦略は、供給材料(例えば、燃料、酸化剤、および/または加熱される材料)を改質または処理して、NOx形成の可能性を低下させることを含む。燃焼改良は、過剰な空気レベルの減少または空気の予熱などの、反応過程の変更を含む。工程変更は、設備、焼成速度、および/または熱効率の変更などの、既存の工程に対する変更を含む。最後に、後処理戦略は、排気流がすでに形成された後に、それからNOxを除去することを含み得る。CO、CH4、および他の炭化水素、アンモニアなどの還元剤を使用して、NOxをN2ガスに転化することができる。ある場合には、触媒も使用して、そのような反応を促進することができる。
【0007】
触媒を利用する後処理方法は、選択的触媒還元(SCR)と称されることもある。SCRは、触媒床内でNOxをNH3と反応させて、N2およびH2Oを形成することによって、NOx排気を制御することができる。従来の触媒は、例えば、チタンおよび/またはバナジウムの酸化物、および/またはモリブデン、タングステン、または他の元素を含有し得る、卑金属触媒を含み得る。SCRは、例えば、高い材料コストおよび/または工程の複雑さ、並びに排煙中の汚染物質による触媒の目詰まりまたは触媒被毒の可能性を含む多数の欠点を有し得る。選択的非触媒還元(SNCR)は、工程費用および/または複雑さ、並びに既存の設備を改造する能力に関して、様々な利点を与えるであろう代替方法である。SNCRは、窒素ガス(N2)、二酸化炭素(CO2)、および水(H2O)を生成する、アンモニアまたは尿素などの窒素含有試薬のNOxとの反応を含む。例えば、以下の反応により示されるように、尿素は、水と組み合わせ、NOx排気を処理するために使用することができ、またはアンモニアは、液体または気体として単独で加えることができる:
NH2CONH2+H2O→2NH3+CO2
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2
この反応機構は、NH2ラジカルのNO分子への結合およびそれらのその後のN2およびH2Oへの分解を含む。
【0008】
SNCRはNOx排気の処理にとって都合よいことがあるが、これらの反応にも数多くの制約がある。例えば、SNCR反応は、約870℃から約1100℃の有効温度範囲により制約され得る。約870℃より低い温度では、前記試薬とNOxは効果的に反応しないであろう。未反応の試薬は、他の燃焼種と反応して、望ましくない副生成物を形成し得るので、一般に望ましくない。例えば、未反応のアンモニア(しばしば「アンモニアスリップ」と呼ばれる)は、三酸化硫黄(SO3)などの燃焼種と反応して、アンモニウム塩を形成し得る。約1100℃を超える温度では、その試薬が分解して、NOxを還元せずに、むしろそれを形成するであろう。例えば、アンモニアの場合、以下の反応が生じ得る:4NH3+5O2→4NO+6H2O。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、SNCRの効率を最大にし、いずれの潜在的な悪い面も最小にするために、適切な温度帯において十分な滞留時間を維持することが重要であり得る。それゆえ、NOxを含む排気流を処理するための、効率的であり、費用効果的であり、容易に作動できるプロセスを提供することが都合よいであろう。排ガスを有効温度範囲内の温度に効率的に加熱するための、および/または排出前に排ガスを冷却するための、エネルギー再利用および/または回収特徴をSNCR方法に与えることがさらに都合よいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、様々な実施の形態において、排気流を処理する方法であって、NOxを含む排気流を受け取る工程;その排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;その混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;反応流を第1の冷却工程において第1の温度に冷却する工程;および必要に応じて、反応流を第2の冷却工程において第2の温度にさらに冷却する工程を有してなり、第1の冷却工程が、排気流の少なくとも一部と反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法に関する。
【0011】
また、排気流を処理する方法であって、NOxを含む排気流を受け取る工程;その排気流を第1の温度に予熱する工程;その排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;その混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;および反応流を第2の温度に冷却する工程を有してなり、反応流を冷却する工程および排気流を予熱する工程の少なくとも一方が、反応流の少なくとも一部と排気流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法も、ここに開示されている。
【0012】
さらに、NOxを含む排気流を処理するためのシステムであって、その排気流および少なくとも1種類の窒素含有試薬を含む混合流を反応温度に加熱するための加熱槽;および反応流を第1の温度に冷却するための第1の熱交換器を備え、その第1の熱交換器が、排気流の少なくとも一部と反応流の少なくとも一部との間で熱交換を行うものであるシステムが、ここに開示されている。ここに開示されたシステムは、排気流を受け取り、それを少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合するための槽;NOxの少なくとも一部を反応させるのに十分な滞留時間に亘り混合流を反応温度に保持するための反応槽;および/または反応流を第2の温度にさらに冷却するための第2の熱交換器をさらに備え得る。
【0013】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む発明をここに記載されたように実施することによって認識されるであろう。
【0014】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を示しており、請求項に記載されたような本発明の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているのが理解されよう。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、様々な実施の形態を示しており、説明と共に、本発明の原理および作動を説明する働きをする。
【0015】
以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号により示される、以下の図面と共に読まれたときに、最もよく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】反応温度の関数としてのNOx還元効率を示すグラフ
図2】本開示の様々な実施の形態による排気処理システムを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
排気流を処理する方法であって、NOxを含む排気流を受け取る工程;その排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;その混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;反応流を第1の冷却工程において第1の温度に冷却する工程;および必要に応じて、反応流を第2の冷却工程において第2の温度にさらに冷却する工程を有してなり、第1の冷却工程が、排気流の少なくとも一部と反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法が、ここに開示されている。また、排気流を処理する方法であって、NOxを含む排気流を受け取る工程;その排気流を第1の温度に予熱する工程;その排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;その混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;および反応流を第2の温度に冷却する工程を有してなり、反応流を冷却する工程および排気流を予熱する工程の少なくとも一方が、反応流の少なくとも一部と排気流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法も、ここに開示されている。
【0018】
ここに用いたように、「NOx」、「窒素酸化物」という用語、およびその変種は、亜酸化窒素(N2O)以外の窒素の酸化物を称することを目的とする。NOxとしては、いくつか例を挙げると、例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N24)、および五酸化窒素(N25)が挙げられる。特定の実施の形態において、一酸化窒素(NO)は、50質量%超のNO、60質量%超、70質量%超、80質量%超、90質量%超、または95質量%超のNOなどのプロセス排気流の大半を占め得る。理論により束縛する意図はないが、NOxの形成は、サーマルNOx、プロンプトNOx、および原料NOxの3つの一般に認められている機構により行われ得ると考えられる。
【0019】
サーマルNOxは、ゼルドビッチ機構:N2+O2→NO+NO2による窒素の酸素との高温反応を表す。1100℃より高い場合、サーマルNOxは、燃焼過程においてNOx形成の主要機構であると考えられる。プロンプトNOxは、窒素、酸素、および炭化水素ラジカルの間の比較的速い反応、例えば、CH4+O2+N2→NO+NO2+CO2+H2O+微量種:を表す。プロンプトNOxの形成は、より低い温度で作動する燃焼過程で生じ得、燃料リッチ条件における主要機構であると考えられる。原料NOxは、原料中に含まれる窒素化合物の直接酸化、例えば、RxN+O2→NO、NO2+CO2+H2O+微量種:を表す。理論により束縛する意図はないが、原料NOxは、天然ガスまたはプロパンなどの高品質ガス燃料(例えば、元々結合した窒素を持たない燃料)を含む燃料過程、および元々結合した窒素を多量に含有する原料(例えば、硝酸ストロンチウム)を含む過程におけるNOx形成の主要機構であろうと考えられる。
【0020】
先に述べたように、NOxの選択的非触媒還元は、約870℃から約1100℃の反応温度範囲において効率的に進行し得る。図1は、EPA Air Pollution Control Cost Manual、Report No.EPA/452/B-02-001による、2つの例示の窒素含有反応体に関する反応温度の関数としてのNOx還元効率を示すグラフである。図1に示されるように、アンモニアおよび尿素の両方が、870~1100℃の温度範囲において最大のNOx還元効率を示し、この範囲は、例えば、より低温での反応体とNOxとの間の非効率的な反応およびより高温での反応体の分解により、境界されるであろう。既存の過程において、最適なNOx還元温度範囲内の温度で排気流を提供することが難しいことがあり得る。大抵、これらの排気流は、排気流の温度を、所望の温度範囲内に上昇させ、維持するために、加熱される必要がある。しかしながら、排気流を予熱するのに必要な追加のエネルギーの投入は費用がかかり、SNCRプロセスのエネルギー効率および/または費用効率が悪化し得る。
【0021】
図2は、本開示の様々な実施の形態による例示の排気処理システムを示す。排気処理のないプロセスでは、NOxを含む排ガスaを、プロセス排出口Vから出口制御ダンパD1に通して、汚染対策システムPAを通じて大気中にそのまま排出するであろう。しかしながら、本開示による例示のプロセスにおいて、プロセス排出口Vを出る排気流aは、制御ダンパD2を通って燃焼器Bに向けることができる。必要に応じて温度センサTを利用して、排気流aの温度を測定することができる。排気流aは、燃焼器Bに入る前に、反応流dの向流によって、熱交換器X1内で予熱することができる。このように、排気流aの温度は、熱交換器X1内で上昇させることができ、予熱された排気流bとして出ることができ、これは、次に、燃焼器B内でさらに加熱することができる。窒素含有反応体Rおよび酸素含有流Oを含む追加流を、燃焼器Bに導入し、予熱された排気流bと混合することができる。燃焼器Bを出る加熱流cは、所望の反応温度範囲(例えば、約870~1100℃)内の温度(必要に応じて、温度センサTにより測定される)を有し得る。このように、混合流cは、脱NOx反応槽DRに進むことができ、その中で、混合流cは、排気流中のNOxを少なくともある程度還元するまたは反応させるのに十分な滞留時間に亘り反応温度に保持することができる。次に、反応槽DRを出た反応流dは、排気流aを予熱するために、第1の熱交換器X1を通過するエネルギー再利用流として使用することができる。流aおよびdの間の熱伝達は、排気流を所望の反応温度範囲に予熱するのに必要な追加の外部エネルギーの量を減少させるために、内部エネルギーを再利用することによって、エネルギー節約を提供することができる。
【0022】
いくつかの実施の形態において、第2の熱交換器X2を使用して、さらなるエネルギー回収を達成することができる。例えば、第1の熱交換器X1を出た冷却された反応流eは、外部流A1の向流により熱交換器X2内でさらに冷却することができる。外部流A1は、冷却された反応流eから熱エネルギーを吸収することができ、結果として生じた変更流A2を使用して、他のプロセス成分または流を加熱または冷却することができる。このように、SNCRプロセスからの追加の熱エネルギーを回収し、使用に役立てることができる。その上、冷却された反応流eを冷却して、出口流fを形成することができ、これは、大気に排出するのに適したより低い温度を有することが都合よいであろう。
【0023】
排出前に排気流を冷却する従来の方法のいくつかは、排気流を周囲または冷却ガス流、例えば、周囲空気で希釈して、排気流の温度を低下させることができる。しかしながら、これらの方法は、汚染対策システムPAに過剰な体積のガスを流しすぎ得る。熱交換器(X1、X2)により反応流(d、e)を冷却することにより、追加のガス量を排気流に、それが排出される前に、加える必要がなくなり、それによって、汚染対策システムPAにかかる負荷が減少する。もちろん、特定の実施の形態において、所望であれば、排出前に、排気流を外部流で希釈しても差し支えない。例えば、出口流fを外部流A3で希釈して、汚染対策システムPAに排出する前に、冷却された出口流gを形成しても差し支えない。所望であれば、随意的な温度センサTを利用して、出口流fまたはgおよび/または外部流A3の温度を測定しても差し支えない。
【0024】
特定の実施の形態において、排気系全体に亘り、1つ以上の差圧センサPを利用して、SNCRプロセス中の様々な地点での許容値(例えば、水柱約1インチ(約250kPa)を超える)を超えないことを確実にすることができる。差圧が許容できない値まで上昇した場合には、予備熱交換器X1’およびX2’を待機ユニットとして利用しても差し支えない。そのような状況において、流a、d、および/またはeを、流a’、d’、および/またはe’として、予備熱交換器X1’および/またはX2’に切り換え、それによって、流b’、および/またはf’を生じることができる。例えば、1つ以上の三方弁3Vを利用して、例えば、1つ以上の流路を開閉することによって、流a、b、d、e、f、a’、b’、d’、e’、およびf’を所望のように向けることができる。図2において、閉じた弁部分は黒い三角形で示され、閉じた流路は点線で示されている;しかしながら、どのような弁および流路の構成も、関連する工程パラメータに応じて可能であり、本開示の範囲に入ると想定されることを理解すべきである。その上、予備熱交換器X2’の作動は、予備外部流A1’および予備変更流A2’を含み得る。
【0025】
様々な実施の形態によれば、プロセス排出口Vを出る排気流aは、NOxを含み得る。その排気流aは、例えば、約600ppm(百万分率)から約1250ppm、または約750ppmから約1000ppmのNOxなどの約500ppmから約1500ppmのNOx(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)を含み得る。いくつかの実施の形態において、その排気流aは、約300ppmから約1250ppm、約400ppmから約1000ppm、または約500ppmから約750ppmのNOなどの約200ppmから約1500ppmのNO(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)を含み得る。排気流aの温度は、ある場合には、約200℃から約500℃、または約300℃から約400℃などの約100℃から約600℃(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及び得る。排気流aの流量は、例えば、約1500kg/hrから約7500kg/hr、約2000kg/hrから約6500kg/hr、または約4500kg/hrから約5500kg/hrなどの約1000kg/hrから約10000kg/hr(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及び得る。
【0026】
様々な実施の形態によれば、排気流aの少なくとも一部を、第1の熱交換器X1に通して、反応流dとの熱交換によって予熱することができる。例えば、排気流aの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%を熱交換器X1に通すことができるような、排気流aの少なくとも約50体積%(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)を熱交換器X1に通すことができる。熱交換後、予熱された排気流bは、例えば、約250℃から約750℃、約300℃から約700℃、約400℃から約650℃、または約450℃から約500℃などの約200℃から約800℃に及ぶ(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)温度を有し得る。予熱された排気流bは、妥当な場合、排気流aのいずれの残りの部分と混合しても、および/または少なくとも1種類の窒素含有試薬を含む流Nおよび/または酸素を含む流O(例えば、O2、空気など)と混合しても差し支えない。
【0027】
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬は、例えば、尿素、アンモニア、シアヌル酸、ヒドラジン、同様の窒素含有化合物、およびそれらの組合せから選択することができる。特定の実施の形態において、その窒素含有試薬は尿素であり得、これを水と混合して、水溶液を形成することができる。その水溶液は、SNCRプロセス中に反応して、アンモニアを形成することができ、次に、これがNOxと反応して、N2およびH2Oを形成することができる。他の実施の形態において、窒素含有試薬として、液体または気体のアンモニアを加えても差し支えない。その窒素含有試薬は、予熱された排気流bと直接混合しても、別流として燃焼器Bに加えても差し支えない。
【0028】
前記窒素含有試薬は、所望のNOx還元レベルを達成するのに適したどの程度の量で加えても差し支えない。標準化学量論比(NSR)を使用して、排気流中の試薬とNOxの間のモル比N/NOxを記載することができる。例えば、1モルのNOx毎に1モルのアンモニアが注入される場合、NSRは1である(1モルのアンモニアが1モルのNOxと反応する)。1モルのNOx毎に1モルの尿素が注入される場合、NSRは2である(1モルの尿素が2モルのNOxと反応する)。より大きいNSRが、より多いNOx還元となり得る;しかしながら、特定の地点で、追加の試薬量は、NOx還元に減少した影響しかないであろう。これにより、試薬が浪費され得る、および/または排気流中の試薬が望ましくなく未反応となり得る。様々な実施の形態によれば、NSRは、約1.5から約2、または約1から約2.5などの約1から約3(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及び得る。
【0029】
随意的な添加剤を、燃焼器Bに入るいずれの流れへの添加剤として、燃焼器Bに入る別々の流れとして、予熱流bまたは加熱流cへの添加剤として、もしくは脱NOx反応槽DRに入る別々の流れとしてのいずれで含ませても差し支えない。例えば、NOx還元効率を改善するため、設備保全を減少させるため、および/またはSNCRがその範囲内で効果的である温度帯を広げるため、化学添加剤を加えても差し支えない。水素ガスは、そのような添加剤の非限定的例である。これらの添加剤は、特定の実施の形態において、約2質量%から約3質量%などの約1質量%から約5質量%(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及ぶ量で加えられる。
【0030】
前記混合流は、燃焼器B内で所望の反応温度に加熱することができる。例えば、燃焼器Bは、約900℃から約1050℃、または約950℃から約1000℃などの約870℃から約1100℃(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及ぶ温度を有する加熱流cを生成し得る。次に、加熱流cを脱NOx反応槽DRに導入し、その中で、例えば、N2を生成するように、NOxの少なくとも一部を反応させるのに十分な滞留時間に亘り、選択された反応温度または反応温度範囲に保持することができる。その滞留時間は、例えば、約0.3秒から約2.5秒、約0.5秒から約2秒、または約1秒から約1.5秒などの約0.1秒から約3秒(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及び得る。特定の実施の形態において、その滞留時間は、所望のNOx還元効率に到達するために、必要に応じて選択することができる。例えば、N2を形成するために、NOxの少なくとも約35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%、95質量%、または100質量%を反応させることができるなど、排気流中のNOxの少なくとも約30質量%(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)を反応させることができる。少なくとも1種類の窒素含有試薬の少なくとも約5質量%、または少なくとも約10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、約35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%、95質量%、または100質量%を反応させることができるなど、少なくとも1種類の窒素含有試薬の少なくとも一部をNOxと反応させることができる。
【0031】
様々な実施の形態によれば、脱NOx反応槽を出る反応流dの少なくとも一部を第1の熱交換器X1に導入して、排気流aに熱エネルギーを再利用することができる。例えば、いくつかの実施の形態において、反応流dが、排気流aの流動方向と反対の方向に流動することができ、向流にあるこれら2つの流れの間に熱交換が行われ得る。流れの向流により、様々な実施の形態において、それらの流れの間の熱伝達率を増加させることができる。もちろん、複数の流れの間の熱交換のための他の構成(同じ流動方向など)も可能であり、本開示の範囲内に入ると想定される。非限定例として、熱エネルギーを排気流aに伝達するために、反応流dの少なくとも60体積%、少なくとも70体積%、少なくとも80体積%、少なくとも90体積%、または100体積%などの、反応流dの少なくとも約50体積%(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)を使用することができる。反応流dは、約900℃から約1000℃に及ぶ、例えば、約950℃、1000℃、1050℃、または1100℃までなどの、約1100℃まで(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)の温度を有し得る。特定の実施の形態において、反応流dを熱交換器X1内で冷却して、冷却された反応流eを生成することができ、これは、約750℃から約900℃、または約800℃から約850℃などの約700℃から約900℃、またはある場合には、約700℃から約950℃(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及ぶ温度を有し得る。
【0032】
冷却された反応流eの少なくとも一部を第2の熱交換器X2内でさらに冷却することができる。特定の実施の形態において、熱交換器X2内のエネルギー伝達は、例えば、流れの向流により、外部流A1と冷却された反応流eとの間で行われ得る。例えば、外部流は、周囲流または冷却流であり得、これは気体または液体であり得る。様々な実施の形態によれば、外部流A1は、周囲または冷却空気または水、もしくは流れを所望の温度に冷却するのに適した任意の他の気体または液体を含み得る。例えば、熱交換器X2を出る出口流fは、約350℃から約600℃、約400℃から約550℃、または約450℃から約500℃などの約300℃から約500℃、またはある場合には、約300℃から約650℃(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及ぶ温度を有し得る。変更された外部流A2は、例えば、加熱空気または蒸気として熱交換器X2を出ることができ、次いで、それは、吸収式冷凍機、熱ポンプ、廃熱ボイラーなどの関連するまたは未関連の後続のプロセスにおけるプロセス流として使用することができる。
【0033】
出口流fは、汚染対策システムPAに排出することができる、または例えば、外部流A3で希釈して、排出前にその出口流の温度をさらに低下させることによって、さらに処理して、冷却された出口流gを生成することができる。いくつかの非限定的実施の形態において、出口流fは、周囲空気で希釈することができる。例えば、外部流を出口流fに、約1:1から約1:8、約1:2から約1:7、約1:3から約1:6、または約1:4から約1:5などの約2:1から約1:10(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及ぶ体積比で加えることができる。冷却された出口流gの温度は、非限定的実施の形態において、約50℃から約350℃、約75℃から約300℃、約100℃から約250℃、または約150℃から約200などの約25℃から約400℃(それらの間の全ての範囲と部分的範囲を含む)に及び得る。
【0034】
NOxを含む排気流を処理するためのシステムも、ここに開示されている。図2に戻ると、そのシステムは、排気流および少なくとも1種類の窒素含有試薬を含む混合流を加熱するための加熱槽(例えば、燃焼器B)を備えることができる。そのシステムは、そのNOxの少なくとも一部を反応させるのに十分な滞留時間に亘り、その混合流を反応温度に保持するための反応槽(例えば、脱NOx反応槽DR)をさらに備えることができる。反応流を第1の温度に冷却するための第1の熱交換器(例えば、X1)、および必要に応じて、反応流を第2の温度にさらに冷却するための第2の熱交換器(例えば、X2)が、そのシステムにさらに含まれる。第1の熱交換器X1は、排気流aの少なくとも一部と反応流dの少なくとも一部との間で熱を交換することができる。第2の熱交換器X2は、冷却された反応流eの少なくとも一部と、外部流A1との間で熱を交換することができる。
【0035】
ここに開示された方法およびシステムは、NOxを含む排気流を処理するための従来技術の方法を上回る利点を数多く提供することができる。例えば、反応流の少なくとも一部と、処理すべき排気流の少なくとも一部との間で熱交換を行うことによって、反応流の冷却、および排気流の予熱を含む、二重の目的を達成することができる。SNCRプロセス内からの既存の熱エネルギーを使用して排気流を予熱することにより、そうでなければ排気流の温度を所望の反応温度範囲内に上昇させるのに必要であろう加熱負荷を減少させることができる。同様に、流入する排気流を使用して反応流を冷却することにより、反応流を希釈せずに、および/または追加のエネルギーを必要とせずに、汚染対策システムに排出する反応流の温度を減少させることができる。さらに、反応流と外部流との間の追加の熱交換により、反応流のさらなる冷却および他のプロセスに移送できる、反応流からのエネルギーの回収を含む二重の目的を達成することができる。
【0036】
開示された様々な実施の形態は、特定の実施の形態に関連して記載された特定の特徴、要素または工程を含むであろうと認識されよう。さらに、特定の特徴、要素または工程は、1つの特定の実施の形態に関して記載されているけれでも、説明されていない様々な組合せまたは順序で、代わりの実施の形態と交換してもまたは組み合わせてもよいことが、さらに認識されよう。
【0037】
ここに用いたように、名詞は、「少なくとも1つ」の対象を指し、その反対であると明白に示されていない限り、「ただ1つ」の対象に限定されないべきであると理解されよう。それゆえ、例えば、「添加剤」への言及は、文脈がそうではないと明白に示していない限り、そのような「添加剤」を2つ以上有する例を含む。
【0038】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとここに表すことができる。そのような範囲が表された場合、例は、その1つの特定の値から、および/または他方の特定の値まで、を含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用して、近似として表されている場合、その特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0039】
様々な範囲が、「約」1つ以上の特定の値「より大きい」、または「約」1つ以上の特定の値「より小さい」、および「それらの間の全ての範囲と部分的範囲」としてここに表されている。そのような範囲が表された場合、例は、任意のある特定の値から任意の他方の特定の値まで、および各開示された値の間の全ての他の可能な範囲を含む。
【0040】
ここに表された全ての数値は、特に明記のない限り、そのように述べられているか否かにかかわらず、「約」を含むとして解釈されるべきである。しかしながら、列挙された各数値は、「約」その値として表されているか否かにかかわらず、同様に、正確に意図されることがさらに理解されよう。それゆえ、「1000℃超の温度」および「約1000℃超の温度」の両方とも、「約1000℃超の温度」並びに「1000℃超の温度」の実施の形態を含む。
【0041】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを要求すると考えらることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない、またはその工程が特定の順序に限定されるべきことが請求項または説明に具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も推測されることは決して意図されていない。
【0042】
特定の実施の形態の様々な特徴、要素または工程が、移行句「含む」を使用して開示されているかもしれないが、移行句「からなる」または「から実質的になる」を使用して記載されるかもしれないものを含む、代わりの実施の形態が暗示されることが理解されよう。それゆえ、例えば、A+B+Cを含む方法に対して暗示される代わりの実施の形態は、その方法がA+B+Cからなる実施の形態、およびその方法がA+B+Cから実質的になる実施の形態を含む。
【0043】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な改変および変更が行えることが当業者に明白であろう。本発明の精神および本質を含む開示された実施の形態の改変、組合せ、下位の組合せおよび変更が当業者に想起されるであろうから、本発明は、付随の特許請求の範囲およびその同等物の範囲に全てを含むと考えるべきである。
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0045】
実施形態1
排気流を処理する方法であって、
NOxを含む排気流を受け取る工程;
前記排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;
前記混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、前記窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;および
その反応流を第1の冷却工程において第1の温度に冷却する工程;
を有してなり、
前記第1の冷却工程が、前記排気流の少なくとも一部と前記反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法。
【0046】
実施形態2
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬が、アンモニア、尿素、シアヌル酸、ヒドラジン、およびそれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の方法。
【0047】
実施形態3
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬と前記排気流中のNOxとの間の標準化学量論比N/NOxのモル比が約1から約3に及ぶ、実施形態1または2に記載の方法。
【0048】
実施形態4
前記混合流が、空気、酸素、水素、およびそれらの組合せから選択される少なくとも1種類の気体をさらに含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態5
約0.1秒から約3秒に及ぶ滞留時間に亘り前記反応温度を保持する工程をさらに含む、実施形態1から4いずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態6
前記排気流中のNOxの少なくとも約30質量%が反応せしめられる、実施形態1に記載の方法。
【0051】
実施形態7
前記第1の温度が約700℃から約900℃に及ぶ、実施形態1から6いずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態8
前記反応流を第2の冷却工程において第2の温度に冷却する工程をさらに含み、該第2の冷却工程が、外部流と前記反応流の少なくとも一部との間の熱交換を含む、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態9
前記第2の温度が約300℃から約500℃に及ぶ、実施形態8に記載の方法。
【0054】
実施形態10
前記外部流が周囲空気を含む、実施形態8に記載の方法。
【0055】
実施形態11
前記第1の冷却工程後、前記反応流を第2の外部流と混合する工程をさらに含む、実施形態1から10いずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態12
前記混合工程の前に、前記排気流を、約200℃から約800℃に及ぶ温度に予熱する工程をさらに含む、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態13
前記排気流が、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N24)、五酸化窒素(N25)、またはそれらの組合せを含む、実施形態1から12いずれか1つに記載に記載の方法。
【0058】
実施形態14
排気流を処理する方法であって、
NOxを含む排気流を受け取る工程;
前記排気流を第1の温度に予熱する工程;
前記排気流を少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合して、混合流を形成する工程;
前記混合流を、約870℃から約1100℃に及ぶ反応温度に加熱して、前記窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させる工程;および
その反応流を第1の冷却工程において第2の温度に冷却する工程
を有してなり、
前記反応流を冷却する工程および前記排気流を予熱する工程の少なくとも一方が、該反応流の少なくとも一部と該排気流の少なくとも一部との間の熱交換を含むものである方法。
【0059】
実施形態15
前記第1の温度が約200℃から約800℃に及ぶ、実施形態14に記載の方法。
【0060】
実施形態16
前記少なくとも1種類の窒素含有試薬が、アンモニア、尿素、シアヌル酸、ヒドラジン、およびそれらの組合せから選択される、実施形態14または15に記載の方法。
【0061】
実施形態17
約0.1秒から約3秒に及ぶ滞留時間に亘り前記反応温度を保持する工程をさらに含む、実施形態14から16いずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態18
前記第2の温度が約700℃から約900℃に及ぶ、実施形態14から17いずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態19
前記反応流を第2の冷却工程において、約300℃から約500℃に及ぶ第3の温度に冷却する工程をさらに含む、実施形態14から18いずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態20
NOxを含む排気流を処理するためのシステムであって、
前記排気流および少なくとも1種類の窒素含有試薬を含む混合流を反応温度に加熱するための加熱槽;および
反応流を第1の温度に冷却するための第1の熱交換器
を備え、
前記第1の熱交換器が、前記排気流の少なくとも一部と前記反応流の少なくとも一部との間で熱エネルギーを伝達するものであるシステム。
【0065】
実施形態21
前記排気流を受け取り、該排気流を前記少なくとも1種類の窒素含有試薬と混合するための槽をさらに備える、実施形態20に記載のシステム。
【0066】
実施形態22
前記窒素含有試薬の少なくとも一部を反応させるのに十分な滞留時間に亘り前記混合流を前記反応温度に保持するための反応槽をさらに備える、実施形態20または21に記載のシステム。
【0067】
実施形態23
前記反応流を第2の温度にさらに冷却するための第2の熱交換器をさらに備える、実施形態20から22いずれか1つに記載のシステム。
【符号の説明】
【0068】
V プロセス排出口
D1 出口制御タンパ
D2 制御ダンパ
PA 汚染対策システム
B 燃焼器
X1 第1の熱交換器
X2 第2の熱交換器
DR NOx反応槽
A1 外部流
図1
図2