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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】腸管洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/77 20060101AFI20230403BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230403BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20230403BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61K31/77
A61K31/375
A61P1/10
A61P43/00 121
A61K49/00
A61K9/08
A61K47/02
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020542006
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 KR2019001456
(87)【国際公開番号】W WO2019151829
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013113
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0066282
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0119830
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0002739
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519165216
【氏名又は名称】テジュン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TAEJOON PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8, Daesagwan-ro 31-gil, Yongsan-gu, Seoul 04401, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンヨブ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,イソル
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507462(JP,A)
【文献】特表2015-527385(JP,A)
【文献】特開2008-001724(JP,A)
【文献】特開2012-207002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/77
A61K 31/375
A61K 49/00
A61K 9/08
A61K 47/02
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレングリコール(PEG)およびアスコルベート成分を含み、前記ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の重量比は2.5:1~4:1であり、前記ポリエチレングリコール成分の含量は140g以上であり、前記アスコルベート成分の含量は55g未満であり、前記アスコルベート成分は重量比3.5:1~5:1のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄用組成物。
【請求項2】
ポリエチレングリコール(PEG)およびアスコルベート成分を含み、前記ポリエチレングリコール成分の含量は140g~180gであり、前記アスコルベート成分の含量は45g以上55g未満であり、前記アスコルベート成分は重量比3.5:1~5:1のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄用組成物。
【請求項3】
ポリエチレングリコールの含量は140g~180gである請求項1に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項4】
アスコルベート成分の含量は45g以上55g未満である請求項1に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項5】
アスコルビン酸の含量は35~45gであり、アスコルビン酸ナトリウムの含量は8~11gである請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項6】
硫酸ナトリウムを含み、ポリエチレングリコールおよび硫酸ナトリウムの重量比は7:1~12:1である請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項7】
硫酸ナトリウムを含み、硫酸ナトリウムの含量は無水物として16~20gである請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項8】
2~3.5gの塩化ナトリウムを含む請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項9】
0.5~2gの塩化カリウムを含む請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が2000~8000である請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が3000~4000である請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項12】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が3350である請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコール(PEG)およびアスコルベート成分を含み、前記ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の濃度比は2.5:1~4:1であり、前記ポリエチレングリコールの含量は140g/L以上であり、前記アスコルベート成分の含量は55g/L未満であり、前記アスコルベート成分はモル比4:1~6:1のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄液。
【請求項14】
ポリエチレングリコール(PEG)およびアスコルベート成分を含み、前記ポリエチレングリコールの含量は140g/L~180g/Lであり、前記アスコルベート成分の含量は250mM以上300mM未満であり、前記アスコルベート成分はモル比4:1~6:1のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄液
【請求項15】
ポリエチレングリコールの含量は140g/L~180g/Lである請求項13に記載の腸管洗浄液。
【請求項16】
アスコルベート成分の含量は45g/L以上55g/L未満である請求項13に記載の腸管洗浄液。
【請求項17】
アスコルビン酸の含量は200~255mMであり、アスコルビン酸ナトリウムの含量は40~55mMである請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項18】
硫酸塩を含み、ポリエチレングリコールおよび硫酸塩の濃度比は7:1~12:1である請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項19】
110~140mMの硫酸塩を含む請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項20】
35~60mMの塩化ナトリウムを含む請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項21】
7~27mMの塩化カリウムを含む請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項22】
ナトリウムイオン濃度が200~500mEq/Lである請求項20に記載の腸管洗浄液。
【請求項23】
カリウムイオン濃度が5~30mEq/Lである請求項21に記載の腸管洗浄液。
【請求項24】
塩化イオン濃度が30~90mEq/Lである請求項20または21に記載の腸管洗浄液。
【請求項25】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が2000~8000である請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項26】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が3000~4000である請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項27】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量が3350である請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項28】
前記腸管洗浄液は高張性である請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項29】
前記腸管洗浄液は1200mL以下の用量で服用される請求項13または14に記載の腸管洗浄液。
【請求項30】
請求項1または2に記載の腸管洗浄用組成物であって、
(i)160gの、平均分子量が3000~4000であるポリエチレングリコール、
(ii)40.6gのアスコルビン酸、
(iii)9.4gのアスコルビン酸ナトリウム、
(iv)16~20gの硫酸ナトリウム、
(v)2~3.5gの塩化ナトリウム、および
(vi)0.5~2gの塩化カリウム
を含む、腸管洗浄用組成物。
【請求項31】
請求項13または14に記載の腸管洗浄液であって、
(i)160g/Lの、平均分子量が3000~4000であるポリエチレングリコール、
(ii)40.6g/Lのアスコルビン酸、
(iii)9.4g/Lのアスコルビン酸ナトリウム、
(iv)16~20g/Lの硫酸ナトリウム、
(v)2~3.5g/Lの塩化ナトリウム、および
(vi)0.5~2g/Lの塩化カリウム
を含む、腸管洗浄液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分を含む腸管洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸癌は、1980年代以後から現在に至るまで発病率が増加し続ける癌であり、韓国統計庁が発表した2016年の主な死亡原因によれば胃癌死亡者数より大腸癌死亡者数が多く、肺癌および肝臓癌と共に死に至らしめる3大癌に選ばれている。
【0003】
大腸癌は、特別な症状が現れないために早期に発見するのが難しい実情である。したがって、定期的に大腸内視鏡検査を受けることが必要であり、韓国保健福祉部の勧告事項として50才以上の人は少なくとも5年に1回ずつ検査を受けるように勧められている。
【0004】
大腸内視鏡検査の正確性を高めるためには検査を実施する前に必ず腸管を洗浄する過程が必要であるが、腸管洗浄過程は患者が家で腸管洗浄剤を服用することによってなされることが多い。したがって、患者が自ら腸管洗浄剤を服用するにおいて混同や難しさがあってはいけず、腸管洗浄剤を全て服用するのに無理があってはいけず、服用に応じた深刻な副作用が発生してはいけない。
【0005】
一方、腸管洗浄剤の代表的な成分であるポリエチレングリコールを含む代表的な腸管洗浄剤としては、Braintree社製のGoLytelyおよびNuLytelyという製品が挙げられる。しかし、前記製品を用いて腸管洗浄効果を達成するためにはいずれも4Lの薬液を服用しなければならないが、前記製品は塩辛い味、不快な味などの飲み込み難い味を持っている。特に、飲み込まなければならない薬液の量が多すぎて服用するのに困難があるため、多くの患者が大腸内視鏡検査を受ける前に腸管洗浄剤の服用に失敗して検査がろくに行われないことが多かった。さらに、4Lの薬液を服用する場合、吐き気、嘔吐などのような副作用を訴えるなどの問題があった。
【0006】
上記のような問題を解決するために、アスコルベート成分を含ませて薬液の服用量を減らしたGLYCOPREPおよびMoviprepという製品が開発された。しかし、前記製品を用いるとしても服用しなければならない液体の総体積が3Lであって、依然として服用が容易ではなく、患者の服薬コンプライアンスが低いという問題があった。
【0007】
特に、短時間に多くの薬液を服用することにより発生しうる消化器関連の副作用として吐き気、腹痛、胃流出路閉塞患者における溶液の吸引、中毒性大腸炎などが報告されている。また、腸閉塞が疑われる患者の場合は副作用がさらに悪化しうるため、腸管洗浄ガイドラインでは薬液1Lを服用後に問題がない時に進行し続けるように指示している。したがって、服用量を減らし、且つ、服用の便宜性および腸管洗浄効果を達成できる腸管洗浄剤の開発が依然として必要な実情である。
【0008】
そこで、本発明者らは、前記問題を解決しようと努力した結果、薬液の服用量を減らし且つ優れた腸管洗浄効果を示し、腸管洗浄剤として必要な相当量の薬液を容易に摂取可能であり、安全な腸管洗浄用組成物を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分を含む腸管洗浄用組成物
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための一様態として、本発明は、ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol、PEG)およびアスコルベート成分を含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0011】
また、前記目的を達成するための他の一様態として、本発明は、ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol、PEG)およびアスコルベート成分を含む腸管洗浄液を提供する。
【0012】
本発明の腸管洗浄用組成物および腸管洗浄液に含まれる成分の含量は、g(グラム)、mole、g/L、M(モル濃度)などの単位で表示できる。
【0013】
本発明の前記ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol、PEG)の平均分子量は、腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に用いられる通常のポリエチレングリコールの平均分子量であってもよく、100~10,000であってもよいが、これに制限されるものではない。一例として、前記ポリエチレングリコールの平均分子量は2,000~8,000であってもよく、具体的には2,000~5,000であってもよく、より具体的には3,000~4,000であってもよい。本発明の前記ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール3350(PEG3350)またはポリエチレングリコール4000(PEG4000)であってもよい。
【0014】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は55mmol以下であってもよく、具体的には50mmol以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコールの含量は40mmol以上であってもよく、具体的には45mmol以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は40~55mmolであってもよく、具体的には45~50mmolであってもよく、より具体的には47.76mmolであってもよい。
【0015】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は180g以下であってもよく、具体的には170g以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコールの含量は140g以上であってもよく、具体的には150g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は140~180gであってもよく、具体的には150~170gであってもよく、より具体的には160gであってもよい。
【0016】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれるポリエチレングリコールの平均分子量が3,350である場合、すなわち、ポリエチレングリコール3350である場合、前記ポリエチレングリコール3350の含量は180g以下であってもよく、具体的には170g以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコール3350の含量は140g以上であってもよく、具体的には150g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記ポリエチレングリコール3350の含量は140~180gであってもよく、具体的には150~170gであってもよく、より具体的には160gであってもよい。
【0017】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれるポリエチレングリコールの含量(g)は、ポリエチレングリコールの平均分子量に応じて異なりうる。
【0018】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は55mM以下であってもよく、具体的には50
mM以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコールの含量は40mM以上であってもよく、具体的には45mM以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は40~55mMであってもよく、具体的には45~50mMであってもよく、より具体的には47.76mMであってもよい。
【0019】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は180g/L以下であってもよく、具体的には170g/L以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコールの含量は140g/L以上であってもよく、具体的には150g/L以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記ポリエチレングリコールの含量は140~180g/Lであってもよく、具体的には150~170g/Lであってもよく、より具体的には160g/Lであってもよい。
【0020】
本発明の腸管洗浄用組成物がポリエチレングリコール3350を含む腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコール3350の含量は180g/L以下であってもよく、具体的には170g/L以下であってもよい。また、前記ポリエチレングリコール3350の含量は140g/L以上であってもよく、具体的には150g/L以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記ポリエチレングリコール3350の含量は140~180g/Lであってもよく、具体的には150~170g/Lであってもよく、より具体的には160g/Lであってもよい。
【0021】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれるポリエチレングリコールの含量(g/L)は、ポリエチレングリコールの平均分子量に応じて異なりうる。
【0022】
本発明の腸管洗浄用組成物および腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコールは十分な腸管洗浄効果を発揮するための量をもって含まれるべきであり、前記量より多く含まれる場合には、腸管洗浄剤の味が落ちて服薬コンプライアンスおよび便宜性が下がるという問題が発生し、腸管洗浄剤の浸透圧を過度に高めて安全性にも問題が発生しうる。
【0023】
本発明の前記アスコルベート成分は、アスコルビン酸(ascorbic acid)および/またはアスコルビン酸塩(salt of ascorbic acid)を含むものであり、具体的には、アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を全て含むものであってもよい。前記アスコルビン酸の分子量は176g/molであってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるアスコルビン酸塩は、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の形態で含まれてもよい。前記アスコルビン酸塩の具体的な塩の種類としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩を含む群より選択されたいずれか一つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。具体的には、前記アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸ナトリウム(sodium ascorbate、分子量198g/mol)であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるアスコルベート成分はエステルアスコルビン酸脂肪酸エステルの形態で含まれてもよく、それを可溶化するための界面活性剤成分がさらに用いられてもよい。
【0024】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルベート成分の含量は300mmol未満であってもよく、具体的には290mmol以下であってもよい。また、前記アスコルベート成分の含量は250mmol以上であってもよく、具体的には270mmol以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルベート成分の含量は250mmol以上300mmol未満であってもよく、具体的には270~290mmolであってもよく、より具体的には278.16mmolであってもよい。
【0025】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルベート成分の含量は55g未満であってもよく、具体的には54g以下であってもよく、より具体的には53g以下であってもよい。また、前記アスコルベート成分の含量は45g以上であってもよく、具体的には48g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルベート成分の含量は45g以上55g未満であってもよく、具体的には45~54gであってもよく、より具体的には48~53gであってもよく、さらに具体的には50gであってもよい。
【0026】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれるアスコルベート成分の含量は300mM未満であってもよく、具体的には290mM以下であってもよい。また、前記アスコルベート成分の含量は250mM以上であってもよく、具体的には270mM以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記アスコルベート成分の含量は250mM以上300mM未満であってもよく、具体的には270~290mMであってもよく、より具体的には278.16mMであってもよい。
【0027】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれるアスコルベート成分の含量は55g/L未満であってもよく、具体的には54g/L以下であってもよく、より具体的には53g/L以下であってもよい。また、前記アスコルベート成分の含量は45g/L以上であってもよく、具体的には48g/L以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記アスコルベート成分の含量は45g/L以上55g/L未満であってもよく、具体的には45~54g/Lであってもよく、より具体的には48~53g/Lであってもよく、さらに具体的には50g/Lであってもよい。
【0028】
前記アスコルベート成分は、過量摂取時には、腎臓障害などの毒性の問題があり、胃に刺激を与えて吐き気、嘔吐、胃痛みなどを誘発しうる。したがって、本発明のアスコルベート成分は前記範囲内で含まれるものであり、前記アスコルベート成分の含量は53g/L以下が、より具体的には50g/L以下が好ましい。
【0029】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液の腸管洗浄効果および安全性を高めるためには、ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量比を調節することが重要である。本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分のモル比は1:4.5~1:7.5であってもよく、具体的には1:5.5~1:6であってもよく、より具体的には1:5.82であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の重量比は2.5:1~4:1であってもよく、具体的には3:1~3.5:1であってもよく、より具体的には3.2:1であってもよい。
【0030】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液のポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量比により、本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液は、優れた腸管洗浄効果を奏するだけでなく、粘膜損傷、血液検査上の数値変動などが改善された、優れた安全性を示す。一実施様態において、本発明の腸管洗浄液は、ポリエチレングリコールに対するアスコルベート成分の重量比がより高い腸管洗浄液と比較して、動物実験における、死亡率、胃の粘膜損傷、および血液検査上のAST(Asparate aminotransferase)、ALT(Alkaine aminotransferase)、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Creatinine)、赤血球(Red blood cell、RBC)、ヘモグロビン(Hemoglobin、HGB)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(Mean corpuscular hemoglobin concentration、MCHC)、ヘマトクリット(Hematocrit、HCT)などの濃度変動値が顕著に低く、安全性に優れた腸管洗浄液であることを確
認した(実験例2などを参照)。
【0031】
本発明のアスコルベート成分は、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩またはこれらの混合物を含むことができる。本発明のアスコルベート成分は、アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を全て含むことが好ましい。前記アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸ナトリウムであってもよい。
【0032】
本発明の腸管洗浄用組成物がアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含む場合、前記アスコルビン酸の含量は255mmol以下であってもよく、具体的には240mmol以下であってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は55mmol以下であってもよく、具体的には50mmol以下であってもよい。また、前記アスコルビン酸の含量は200mmol以上であってもよく、具体的には220mmol以上であってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は40mmol以上であってもよく、具体的には45mmol以上であってもよい。アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含む本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルビン酸の含量は200~255mmolであってもよく、具体的には220~240mmolであってもよく、より具体的には230.68mmolであってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は40~55mmolであってもよく、具体的には45~50mmolであってもよく、より具体的には47.47mmolであってもよい。
【0033】
本発明の腸管洗浄用組成物がアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む場合、前記アスコルビン酸の含量は45g以下であってもよく、具体的には43g以下であってもよく、前記アスコルビン酸ナトリウムの含量は11g以下であってもよく、具体的には10g以下であってもよい。また、前記アスコルビン酸の含量は35g以上であってもよく、具体的には39g以上であってもよく、前記アスコルビン酸ナトリウムの含量は8g以上であってもよく、具体的には9g以上であってもよい。アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記アスコルビン酸の含量は35~45gであってもよく、具体的には39~43gであってもよく、より具体的には40.6gであってもよく、前記アスコルビン酸ナトリウムの含量は8~11gであってもよく、具体的には9~10gであってもよく、より具体的には9.4gであってもよい。
【0034】
アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含む場合、本発明の腸管洗浄用組成物に含まれるアスコルビン酸塩は、アスコルビン酸塩の形態に応じて適切な含量(g、g/L)の範囲で含まれてもよい。
【0035】
本発明の腸管洗浄用組成物がアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含む腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれるアスコルビン酸の含量は255mM以下であってもよく、具体的には240mM以下であってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は55mM以下であってもよく、具体的には50mM以下であってもよい。また、前記アスコルビン酸の含量は200mM以上であってもよく、具体的には220mM以上であってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は40mM以上であってもよく、具体的には45mM以上であってもよい。アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含む本発明の腸管洗浄液に含まれる前記アスコルビン酸の含量は200~255mMであってもよく、具体的には220~240mMであってもよく、より具体的には230.68mMであってもよく、前記アスコルビン酸塩の含量は40~55mMであってもよく、具体的には45~50mMであってもよく、より具体的には47.47mMであってもよい。
【0036】
本発明の腸管洗浄用組成物がアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれるアスコルビン酸の含量は45
g/L以下であってもよく、具体的には43g/L以下であってもよく、アスコルビン酸ナトリウムの含量は11g/L以下であってもよく、具体的には10g/L以下であってもよい。また、前記アスコルビン酸の含量は35g/L以上であってもよく、具体的には39g/L以上であってもよく、前記アスコルビン酸ナトリウムの含量は8g/L以上であってもよく、具体的には9g/L以上であってもよい。本発明のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを含む腸管洗浄液に含まれる前記アスコルビン酸の含量は35~45g/Lであってもよく、具体的には39~43g/Lであってもよく、より具体的には40.6g/Lであってもよく、前記アスコルビン酸ナトリウムの含量は8~11g/Lであってもよく、具体的には9~10g/Lであってもよく、より具体的には9.4g/Lであってもよい。
【0037】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液のアスコルベート成分として含まれるアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩のモル比は4:1~6:1であってもよく、具体的には4:1~5:1であってもよく、より具体的には4.5:1~5:1であってもよく、さらに具体的には4.8:1~4.9:1であってもよい。
【0038】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液のアスコルベート成分として含まれるアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの重量比は3.5:1~5:1であってもよく、具体的には4:1~5:1であってもよく、より具体的には4:1~4.5:1であってもよく、さらに具体的には4.2:1~4.4:1であってもよい。
【0039】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの特定の含量比により、本発明の腸管洗浄液は、血中Na、AST(Asparate aminotransferase)、ALT(Alkaine aminotransferase)などに対する血液検査において数値変化が顕著に少ないため、優れた安全性を有する腸管洗浄剤として使用できる。一実施様態において、本発明の腸管洗浄液は、同一のポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量を含むが、アスコルビン酸ナトリウムの含量比が本発明の腸管洗浄液よりさらに高い腸管洗浄液と比較して、動物実験における血中AST数値およびNa数値などの変化量が顕著に少ないため、安全性に優れた溶液であることを確認した(実施例2などを参照)。
【0040】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液は、前記のような範囲のアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩を含んで、優れた腸管洗浄効果を奏するだけでなく、腸管洗浄液の味を向上させて、溶液服用時の異質感および拒否感を減らし、十分な腸管洗浄効果を得るために必要な多量の溶液をよく摂取できる服用の便宜性を達成することができる。
【0041】
本発明は、ポリエチレングリコール、アスコルベート成分および硫酸塩(sulfate)を含む腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液を提供する。
【0042】
前記組成物または溶液に含まれるポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分、その含量および濃度などに関する説明は上記に記載された通りである。
【0043】
本発明の硫酸塩は、そのアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の形態で含まれてもよい。前記硫酸塩は硫酸ナトリウム(sodium sulfate)、硫酸カリウム(potassium sulfate)および硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)を含む群より選択されたいずれか一つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。前記硫酸塩は硫酸ナトリウム(sodium sulfate)であってもよく、前記硫酸ナトリウムなどの硫酸塩は無水物または水和物であってもよい。具体的には、本発明の硫酸塩は硫酸塩無水物であってもよい。
【0044】
前記硫酸塩の一例として、本発明において硫酸ナトリウムの含量は硫酸ナトリウム無水物(分子量142g/mol)の含量を基準に記したものであり、硫酸ナトリウム水和物の場合は、分子量に応じて硫酸ナトリウム水和物の含量が異なりうる。例えば、硫酸ナトリウムの含量が無水物として10gというものと無水物として10gの硫酸ナトリウムとは、無水硫酸ナトリウムとして10g、硫酸ナトリウム7水和物(分子量268g/mol)としては18.87gを意味する。すなわち、無水物の形態として10gになるように水和物の分子量を考慮して硫酸ナトリウム水和物の含量が計算される。
【0045】
前記硫酸塩は本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれて腸管洗浄効果を奏するだけでなく、前記硫酸塩から発生した硫酸イオンはナトリウムイオンの腸内吸収を抑制し、水分および電解質の吸収と排泄を最小化することができる。
【0046】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる硫酸塩の含量は140mmol以下であってもよく、具体的には130mmol以下であってもよい。また、前記硫酸塩の含量は110mmol以上であってもよく、具体的には120mmol以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記硫酸塩の含量は110~140mmolであってもよく、具体的には120~130mmolであってもよく、より具体的には126.76mmolであってもよい。
【0047】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記硫酸塩が硫酸ナトリウムである場合、前記硫酸ナトリウムの含量は無水物として20g以下であってもよく、具体的には18.5g以下であってもよい。また、前記硫酸ナトリウムの含量は無水物として16g以上であってもよく、具体的には17.5g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記硫酸ナトリウムの含量は無水物として16~20gであってもよく、具体的には17.5~18.5gであってもよく、より具体的には18gであってもよい。
【0048】
ただ、前記硫酸塩の含量(g)は、前記範囲に制限されるものではなく、含まれる硫酸塩の形態に応じて適切な範囲で含まれてもよい。
【0049】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる硫酸塩の含量は140mM以下であってもよく、具体的には130mM以下であってもよい。また、前記硫酸塩の含量は110mM以上であってもよく、具体的には120mM以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記硫酸塩の含量は110~140mMであってもよく、具体的には120~130mMであってもよく、より具体的には126.76mMであってもよい。
【0050】
本発明の腸管洗浄用組成物が硫酸ナトリウムを含む腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる硫酸ナトリウムの含量は無水物として20g/L以下であってもよく、具体的には18.5g/L以下であってもよい。また、前記硫酸ナトリウムの含量は無水物として16g/L以上であってもよく、具体的には17.5g/L以上であってもよい。本発明の硫酸ナトリウムを含む腸管洗浄液に含まれる前記硫酸ナトリウムの含量は無水物として16~20g/Lであってもよく、具体的には17.5~18.5g/Lであってもよく、より具体的には18g/Lであってもよい。
【0051】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれる硫酸塩は、腸管洗浄効果および安全性を考慮して、ポリエチレングリコールに対比して2~3.5倍のモル比で含まれてもよく、具体的には2.5~3倍のモル比で含まれてもよく、より具体的には2.65倍のモル比で含まれてもよい。また、本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコールおよび硫酸ナトリウムの重量比は7:1~12:1であってもよく、具体的には8:1~10:1であってもよく、より具体的には8.5:1~9.5
:1であってもよく、さらに具体的には8.89:1であってもよい。
【0052】
本発明の腸管洗浄液に含まれるポリエチレングリコールおよび硫酸塩の含量比を用いる場合、他の含量比を有する腸管洗浄液に比べて、腸管洗浄効果により優れており、血液検査上の数値変化が少ないため、安全性を確保できるという長所を有する。
【0053】
本発明は、ポリエチレングリコール、アスコルベート成分、硫酸塩および電解質を含む腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液を提供する。
【0054】
腸管洗浄用組成物により提供される溶液または腸管洗浄液は、患者が摂取する体積(服用量)が大きいため、電解質の吸収または損失を減らし、高体積の溶液の摂取に応じた脱水などの問題を最小化する安全性を確保するために、適切な含量および/または濃度範囲の電解質を含むことができる。
【0055】
前記組成物または溶液に含まれるポリエチレングリコール、アスコルベート成分および硫酸塩、その含量および濃度などに関する説明は上記に記載された通りである。
【0056】
本発明の電解質は、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩などを含むことができる。本発明の電解質はナトリウム塩(salts of sodium)、カリウム塩(salts of potassium)、カルシウム塩(salts of calcium)、マグネシウム塩(salts of magnesium)、塩化塩(salts of chloride)、ヨウ化塩(salts of iodide)、重炭酸塩(salts of bicarbonate)および炭酸塩(salts of carbonate)を含む群より選択された一つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。具体的には、本発明の電解質は塩化ナトリウム(NaCl、分子量58.5g/mol)および/または塩化カリウム(KCl、分子量74.55g/mol)であってもよく、より具体的には、本発明の電解質は塩化ナトリウムおよび塩化カリウムであってもよい。
【0057】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記電解質の含量は0.1~10gであってもよい。
【0058】
本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる具体的な電解質として、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含むことができる。
【0059】
前記腸管洗浄用組成物に含まれる塩化ナトリウムの含量は3.5g以下であってもよく、具体的には3g以下であってもよい。また、前記塩化ナトリウムの含量は2g以上であってもよく、具体的には2.5g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる塩化ナトリウムの含量は2~3.5gであってもよく、具体的には2.5~3gであってもよく、より具体的には2.7gであってもよい。
【0060】
また、前記腸管洗浄用組成物に含まれる塩化ナトリウムの含量は60mmol以下であってもよく、具体的には50mmol以下であってもよい。また、前記塩化ナトリウムの含量は35mmol以上であってもよく、具体的には40mmol以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる前記塩化ナトリウムの含量は35~60mmolであってもよく、具体的には40~50mmolであってもよく、より具体的には46.15mmolであってもよい。
【0061】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる塩化ナトリウムの含量は3.5g/L以下であってもよく、具体的には3g/L以下
であってもよい。また、前記塩化ナトリウムの含量は2g/L以上であってもよく、具体的には2.5g/L以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記塩化ナトリウムの含量は2~3.5g/Lであってもよく、具体的には2.5~3g/Lであってもよく、より具体的には2.7g/Lであってもよい。
【0062】
また、本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる塩化ナトリウムの含量は60mM以下であってもよく、具体的には50mM以下であってもよい。また、前記塩化ナトリウムの含量は35mM以上であってもよく、具体的には40mM以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記塩化ナトリウムの含量は35~60mMであってもよく、具体的には40~50mMであってもよく、より具体的には46.15mMであってもよい。
【0063】
前記腸管洗浄用組成物に含まれる塩化カリウムの含量は2g以下が好ましく、具体的には1.5g以下、より具体的には1.2g以下が好ましい。また、前記塩化カリウムの含量は0.5g以上であってもよく、具体的には0.8g以上であってもよい。本発明の腸管洗浄用組成物に含まれる塩化カリウムの含量は0.5~2gであってもよく、具体的には0.5~1.5gであってもよく、より具体的には0.8~1.2gであってもよく、さらに具体的には1gであってもよい。
【0064】
また、前記腸管洗浄用組成物に含まれる塩化カリウムの含量は27mmol以下が好ましく、具体的には20mmol以下であってもよく、より具体的には16mmol以下が好ましい。また、前記塩化カリウムの含量は7mmol以上であってもよく、具体的には10mmol以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記塩化カリウムの含量は7~27mmolであってもよく、具体的には7~20mmolであってもよく、より具体的には10~16mmolであってもよく、さらに具体的には13.41mmolであってもよい。
【0065】
本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる塩化カリウムの含量は2g/L以下であってもよく、具体的には1.5g/L以下であってもよく、より具体的には1.2g/L以下であってもよい。また、前記塩化カリウムの含量は0.5g/L以上であってもよく、具体的には0.8g/L以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる塩化カリウムの含量は0.5g/L~2g/Lであってもよく、具体的には0.5~1.5g/Lであってもよく、より具体的には0.8~1.2g/Lであってもよく、さらに具体的には1g/Lであってもよい。
【0066】
また、本発明の腸管洗浄用組成物が腸管洗浄液として提供される場合、前記腸管洗浄液に含まれる塩化カリウムの含量は27mM以下であってもよく、具体的には20mM以下であってもよく、より具体的には16mM以下であってもよい。また、前記塩化カリウムの含量は7mM以上であってもよく、具体的には10mM以上であってもよい。本発明の腸管洗浄液に含まれる前記塩化カリウムの含量は7~27mMであってもよく、具体的には7~20mMであってもよく、より具体的には10~16mMであってもよく、さらに具体的には13.41mMであってもよい。
【0067】
本発明の腸管洗浄液は、塩化カリウムの含量を2g/L以下、具体的には1g/L以下に調節することにより優れた腸管洗浄効果を奏し、血中電解質(ナトリウムなど)濃度の変化を抑制することにより安全性を確保した腸管洗浄液の提供に寄与する。
【0068】
本発明は、40~55mmolのポリエチレングリコール、250mmol以上300mmol未満のアスコルベート成分、110~140mmolの硫酸塩、35~60mmolの塩化ナトリウムおよび7~27mmolの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を
提供する。
【0069】
本発明は、140~180gのポリエチレングリコール、45g以上55g未満のアスコルベート成分、無水物として16~20gの硫酸ナトリウム、2~3.5gの塩化ナトリウムおよび0.5~2gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0070】
本発明は、140~180gのポリエチレングリコール、45~54gのアスコルベート成分、無水物として16~20gの硫酸ナトリウム、2~3.5gの塩化ナトリウムおよび0.5~2gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0071】
本発明は、40~55mMのポリエチレングリコール、250mM以上300mM未満のアスコルベート成分、110~140mMの硫酸塩、35~60mMの塩化ナトリウムおよび7~27mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0072】
本発明は、140~180g/Lのポリエチレングリコール、45g/L以上55g/L未満のアスコルベート成分、無水物として16~20g/Lの硫酸ナトリウム、2~3.5g/Lの塩化ナトリウムおよび0.5~2g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0073】
本発明は、140~180g/Lのポリエチレングリコール、45~54g/Lのアスコルベート成分、無水物として16~20g/Lの硫酸ナトリウム、2~3.5g/Lの塩化ナトリウムおよび0.5~2g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0074】
本発明は、40~55mmolのポリエチレングリコール、200~255mmolのアスコルビン酸、40~55mmolのアスコルビン酸ナトリウム、110~140mmolの硫酸塩、35~60mmolの塩化ナトリウムおよび7~27mmolの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0075】
本発明は、140~180gのポリエチレングリコール、35~45gのアスコルビン酸、8~11gのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として16~20gの硫酸ナトリウム、2~3.5gの塩化ナトリウムおよび0.5~2gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0076】
本発明は、40~55mMのポリエチレングリコール、200~255mMのアスコルビン酸、40~55mMのアスコルビン酸ナトリウム、110~140mMの硫酸塩、35~60mMの塩化ナトリウムおよび7~27mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0077】
本発明は、140~180g/Lのポリエチレングリコール、35~45g/Lのアスコルビン酸、8~11g/Lのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として16~20g/Lの硫酸ナトリウム、2~3.5g/Lの塩化ナトリウムおよび0.5~2g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0078】
本発明は、45~50mmolのポリエチレングリコール、270~290mmolのアスコルベート成分、120~130mmolの硫酸塩、40~50mmolの塩化ナトリウムおよび10~16mmolの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0079】
本発明は、150~170gのポリエチレングリコール、48~53gのアスコルベート成分、無水物として17.5~18.5gの硫酸ナトリウム、2.5~3gの塩化ナトリウムおよび0.8~1.2gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0080】
本発明は、45~50mMのポリエチレングリコール、270~290mMのアスコルベート成分、120~130mMの硫酸塩、40~50mMの塩化ナトリウムおよび10~16mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0081】
本発明は、150~170g/Lのポリエチレングリコール、48~53g/Lのアスコルベート成分、無水物として17.5~18.5g/Lの硫酸ナトリウム、2.5~3g/Lの塩化ナトリウムおよび0.8~1.2g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0082】
本発明は、45~50mmolのポリエチレングリコール、220~240mmolのアスコルビン酸、45~50mmolのアスコルビン酸ナトリウム、120~130mmolの硫酸塩、40~50mmolの塩化ナトリウムおよび10~16mmolの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0083】
本発明は、150~170gのポリエチレングリコール、39~43gのアスコルビン酸、9~10gのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として17.5~18.5gの硫酸ナトリウム、2.5~3gの塩化ナトリウムおよび0.8~1.2gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0084】
本発明は、45~50mMのポリエチレングリコール、220~240mMのアスコルビン酸、45~50mMのアスコルビン酸ナトリウム、120~130mMの硫酸塩、40~50mMの塩化ナトリウムおよび10~16mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0085】
本発明は、150~170g/Lのポリエチレングリコール、39~43g/Lのアスコルビン酸、9~10g/Lのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として17.5~18.5g/Lの硫酸ナトリウム、2.5~3g/Lの塩化ナトリウムおよび0.8~1.2g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0086】
本発明は、47.76mmolのポリエチレングリコール3350、278.16mmolのアスコルベート成分、126.76mmolの硫酸ナトリウム、46.15mmolの塩化ナトリウムおよび13.41mmolの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0087】
本発明は、160gのポリエチレングリコール3350、50gのアスコルベート成分、無水物として18gの硫酸ナトリウム、2.7gの塩化ナトリウムおよび1gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0088】
本発明は、47.76mMのポリエチレングリコール3350、278.16mMのアスコルベート成分、126.76mMの硫酸ナトリウム、46.15mMの塩化ナトリウムおよび13.41mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0089】
本発明は、160g/Lのポリエチレングリコール3350、50g/Lのアスコルベート成分、無水物として18g/Lの硫酸ナトリウム、2.7g/Lの塩化ナトリウムおよび1g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0090】
本発明は、47.76mmolのポリエチレングリコール3350、230.68mmolのアスコルビン酸、47.47mmolのアスコルビン酸ナトリウム、126.76mmolの硫酸ナトリウム、46.15mmolの塩化ナトリウムおよび13.41mm
olの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0091】
本発明は、160gのポリエチレングリコール3350、40.6gのアスコルビン酸、9.4gのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として18gの硫酸ナトリウム、2.7gの塩化ナトリウムおよび1gの塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供する。
【0092】
本発明は、47.76mMのポリエチレングリコール3350、230.68mMのアスコルビン酸、47.47mMのアスコルビン酸ナトリウム、126.76mMの硫酸ナトリウム、46.15mMの塩化ナトリウムおよび13.41mMの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0093】
本発明は、160g/Lのポリエチレングリコール3350、40.6g/Lのアスコルビン酸、9.4g/Lのアスコルビン酸ナトリウム、無水物として18g/Lの硫酸ナトリウム、2.7g/Lの塩化ナトリウムおよび1g/Lの塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供する。
【0094】
本発明はポリエチレングリコール、アスコルベート成分、硫酸塩、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含む腸管洗浄用組成物を提供し、前記ポリエチレングリコールの含量は144~176gまたは152~168gであってもよく、前記アスコルベート成分の含量は45~55gまたは47.5~52.5gであってもよく、前記硫酸塩の含量は無水物として16.2~19.8gまたは17.1~18.9gであってもよく、前記塩化ナトリウムの含量は2.43~2.97gまたは2.57~2.84gであってもよく、前記塩化カリウムの含量は0.9~1.1gまたは0.95~1.05であってもよい。前記アスコルベート成分がアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムである場合、前記アスコルビン酸の含量は36.54~44.66gまたは38.75~42.63gであってもよく、アスコルビン酸ナトリウムの含量は8.46~10.34gまたは8.93~9.87gであってもよい。前記硫酸塩は硫酸ナトリウムであってもよい。
【0095】
本発明はポリエチレングリコール、アスコルベート成分、硫酸塩、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含む腸管洗浄液を提供し、前記ポリエチレングリコールの含量は144~176g/Lまたは152~168g/Lであってもよく、前記アスコルベート成分の含量は45~55g/Lまたは47.5~52.5g/Lであってもよく、前記硫酸塩の含量は無水物として16.2~19.8g/Lまたは17.1~18.9g/Lであってもよく、前記塩化ナトリウムの含量は2.43~2.97g/Lまたは2.57~2.84g/Lであってもよく、前記塩化カリウムの含量は0.9~1.1g/Lまたは0.95~1.05/Lであってもよい。前記アスコルベート成分がアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムである場合、前記アスコルビン酸の含量は36.54~44.66g/Lまたは38.75~42.63g/Lであってもよく、アスコルビン酸ナトリウムの含量は8.46~10.34g/Lまたは8.93~9.87g/Lであってもよい。前記硫酸塩は硫酸ナトリウムであってもよい。
【0096】
本発明の腸管洗浄用組成物または腸管洗浄液は、添加剤として甘味剤および/または着香剤などをさらに含むことができる。
【0097】
前記甘味剤は、通常の糖類であるグルコース(glucose)、スクロース(sucrose)、デキストロース(dextrose)、フルクトース(fructose)、マルトース(maltose)の他に、少ない量によっても甘味効果と速い溶解度を示すサッカリン(saccharin)、サッカリンナトリウム(saccharin sodium)、キシリトール(xylitol)、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、マルチトール(maltitol)、ラクチトール
(lactitol)、イソマルト(isomalt)、ステビオシド(stevioside)、エリトリトール(erythritol)、アスパルテーム(aspartame)、アセスルファムカリウム(acesulfame potassium)、スクラロース(sucralose)を含む群より選択される1種以上を混合して使用できる。
【0098】
前記甘味剤は、ポリエチレングリコール100重量部を基準に0.03~3重量部が含まれてもよい。
【0099】
また、患者の服薬コンプライアンスを改善するために、前記甘味剤の他に着香剤をさらに含むことができる。前記着香剤は、ポリエチレングリコール100重量部を基準に0.01~3重量部が含まれてもよく、液状、粉末(powder)または包接体の形態で含まれてもよい。
【0100】
本発明の腸管洗浄液は、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)および/または塩化イオン(Cl)を含む溶液であってもよい。
【0101】
この場合、前記ナトリウムイオン濃度は200~500mEq/Lであってもよく、具体的には300~400mEq/Lであってもよく、前記カリウムイオン濃度は5~30mEq/Lであってもよく、具体的には10~20mEq/Lであってもよく、前記塩化イオン濃度は30~90mEq/Lであってもよく、具体的には40~80mEq/Lであってもよい。
【0102】
本発明の腸管洗浄液のナトリウムイオン濃度は400mEq/L以下であってもよく、具体的には370mEq/L以下であってもよく、より具体的には350mEq/L以下であってもよく、カリウムイオン濃度は20mEq/L以下であってもよく、具体的には16mEq/L以下であってもよく、より具体的には14mEq/L以下であってもよく、塩化イオン濃度は80mEq/L以下であってもよく、具体的には70mEq/L以下であってもよく、より具体的には60mEq/L以下であってもよい。
【0103】
高濃度のナトリウムを含有する腸管洗浄液は安全性、飲用性およびコンプライアンスと関連して深刻な問題を示すが、本発明の腸管洗浄液は適切な範囲の電解質を含んでおり前記のような問題を解決することができる。また、ナトリウムイオンによるアスコルベート成分の過吸収および塩素イオンによるナトリウムの過吸収が起こりうるため、適切な電解質イオン濃度を有する腸管洗浄液を提供することが重要である。
【0104】
本発明の腸管洗浄液は高張性(hypertonic)である。前記腸管洗浄液の浸透圧(osmolality)は、実測値または理論値として提供されることができる。
【0105】
本発明の腸管洗浄液の浸透圧理論値は700~1100mOsmol/kgであってもよく、具体的には800~1000mOsmol/kgであってもよく、より具体的には850~900mOsmol/kgであってもよい。前記浸透圧理論値は、本発明の腸管洗浄液を構成する成分に基づいて計算される値であり、下記のように計算される:
【0106】
浸透圧理論値(mOsmol/kg)=Σ{溶液に含まれた溶質の量(mg)/溶質の分子量*解離定数(溶質1mol当たりに生成される種(species)の個数)}
【0107】
一例として、本発明の腸管洗浄用組成物の浸透圧理論値は下記表1のように計算される。
【0108】
【表1】
【0109】
但し、浸透圧理論値は、実際に測定される浸透圧実測値と必ずしも同一なものではなく、測定対象である腸管洗浄液に応じて異なりうる。本発明の腸管洗浄液の浸透圧実測値は1000~2000mOsmol/kgであってもよく、具体的には1200~1800mOsmol/kgであってもよく、より具体的には1400~1700mOsmol/kgであってもよい。本発明の腸管洗浄液の浸透圧実測値は氷点降下(freezing
point depression)法を利用して測定することができるが、これに制限されるものではない。
【0110】
また、本発明の腸管洗浄液の浸透圧は推定値として提供されてもよく、前記推定値の範囲は実験を通じて導き出されてもよい。本発明の腸管洗浄液の浸透圧推定値は1000~2000mOsmol/kgであってもよく、具体的には1300~1800mOsmol/kgであってもよく、より具体的には1400~1700mOsmol/kgであってもよい。浸透圧推定値は、理論値と実測値との間の差を補正できる値であって、ポリエチレングリコールの腸管洗浄液内での浸透力に対する加重値を考慮した値である。浸透圧推定値は以下のように計算される。
【0111】
浸透圧推定値(mOsmol/kg)={溶液に含まれたポリエチレングリコールの量(mg)/ポリエチレングリコールの分子量*解離定数(ポリエチレングリコール1mol当たりに生成される種(species)の個数)*加重値(ポリエチレングリコール量(g)の10%)}+{溶液に含まれた硫酸塩の量(mg)/硫酸塩の分子量*解離定数(硫酸塩1mol当たりに生成される種(species)の個数)}+{溶液に含まれた塩化ナトリウムの量(mg)/塩化ナトリウムの分子量*解離定数(塩化ナトリウム1mol当たりに生成される種(species)の個数)}+{溶液に含まれた塩化カリウムの量(mg)/塩化カリウムの分子量*解離定数(塩化カリウム1mol当たりに生成される種(species)の個数)}+{溶液に含まれたアスコルビン酸の量(mg)/アスコルビン酸の分子量*解離定数(アスコルビン酸1mol当たりに生成される種(species)の個数)}+{溶液に含まれたアスコルビン酸塩の量(mg)/アスコルビン酸塩の分子量*解離定数(アスコルビン酸塩1mol当たりに生成される種(species)の個数)}
【0112】
一例として、本発明の腸管洗浄液の浸透圧推定値は下記表2のように計算される。
【0113】
【表2】
【0114】
ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の重量比を2.5:1~4:1に特定し、アスコルベート成分を重量比3.5:1~5:1のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムに特定した本発明の腸管洗浄用組成物または溶液は、腸管洗浄効果に優れると共に安全性を高めたことを特徴とする。一実施様態において、本発明の腸管洗浄用組成物または溶液は、ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量比またはアスコルベート成分内のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの含量比が互いに異なる組成物または溶液と比較して、動物実験における腸管洗浄効果に優れるだけでなく(実験例1および2)、血液検査上の数値の急激な変化が少ないため、安全性に優れ(実験例2)ており、市販中の腸管洗浄用組成物であるCoolprepに比べて、臨床試験における優れた腸管洗浄効果および安全性を確認し(実験例3)、臨床試験における服用便宜性(実験例4)および選好度(実験例5)の評価にいずれも優れた効果を有することを確認した。本発明の腸管洗浄用組成物は、散剤(粉末など)、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤などのような様々な形態で提供されてもよく、組成物に含まれた各成分は同一の形態またはそれぞれ異なる形態で提供されてもよい。
【0115】
前記腸管洗浄用組成物が散剤または顆粒剤などの固形製剤である場合には、前記組成物を水に溶かして服用してもよく、前記腸管洗浄用組成物が錠剤またはカプセル剤である場合には、十分な量の水と共に服用してもよい。
【0116】
本発明の腸管洗浄用組成物の各成分は別々におよび/または共に包装されて提供されてもよい。ただ、アスコルベート成分は、化学的性質に応じて他の成分とは別に包装することが好ましい。
【0117】
以下の例示を考慮して、本発明の腸管洗浄用組成物は、総服用量を服用回数に応じて分割して適切に包装することが好ましい。
【0118】
具体的には、本発明の腸管洗浄用組成物は、総服用量を一度に包装して提供してもよく、総服用量を2以上に分割包装して提供してもよい。
【0119】
本発明の腸管洗浄用組成物は、総服用量を一時点に全て服用(非分割投与または当日分割投与という)するか、または複数の時点に分けて服用(分割投与または2日分割投与という)してもよい。
【0120】
非分割投与(当日分割投与)の一例として、本発明の腸管洗浄用組成物は、検査前日の夕方または検査当日の午前に数時間にかけて服用することができる。具体的には、総服用量の一部を服用して一定時間の経過後、例えば、0.5~3時間後に残りを服用することができる。
【0121】
分割投与(または2日分割投与)の一例として、本発明の腸管洗浄用組成物は、検査前日の夕方に一部を服用し、検査当日の午前に残りのものを服用することができる。
【0122】
腸管洗浄用組成物を服用するにおいて、各服用量は、特定の時間以内に服用することができる。具体的には、各服用量を2時間以内、1時間以内または30分以内に服用することができる。
【0123】
本発明は少ない用量の腸管洗浄剤の服用によっても検査するのに十分な腸管洗浄がなされる腸管洗浄用組成物および/または腸管洗浄液を提供するものであり、本発明の腸管洗浄液は約1200mL以下の用量、具体的には1100mL以下の用量、より具体的には1000mL以下の用量で服用することができる。
【0124】
また、腸管洗浄液の服用後に水をさらに服用することができる。具体的には、腸管洗浄液の服用後に一定量、例えば、0.5~2Lの用量、具体的には1~1.5Lの用量、より具体的には1L以下の用量の水をさらに服用することができる。さらに服用する水は、腸管洗浄液を全て服用した後に服用してもよく、腸管洗浄液を服用する間に服用してもよい。
【0125】
本発明の腸管洗浄用組成物は便秘の治療用途として使用できる。
また、本発明は、治療的に有効な量の前記腸管洗浄用組成物を個体に投与するステップを含む、腸管洗浄方法を提供する。
【0126】
また、本発明は、治療的に有効な量の前記腸管洗浄用組成物を個体に投与するステップを含む、便秘の治療方法を提供する。
また、本発明は、腸管洗浄または便秘の治療のための医薬を製造するための前記組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0127】
本発明の腸管洗浄用組成物および溶液は、服用量が少なく、味に優れており、服用便宜性および服薬コンプライアンスが向上すると共に安全で且つ優れた腸管洗浄効果を奏するため、効果的な腸管洗浄剤として活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】腸管洗浄用組成物を投与した群の腸管洗浄度を肉眼で確認した結果、大腸に存在する大便がないことを確認した図である。
図2】腸管洗浄用組成物を投与していない群の腸管洗浄度を肉眼で確認した結果、大腸に大便がそのまま存在することを確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0129】
以下では、本発明について実施例を参照してより詳しく説明する。ただ、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0130】
製造例1:腸管洗浄用組成物および溶液の製造
本発明の腸管洗浄用組成物を下記表3の成分および含量に応じて実施例1~実施例4の
組成物に製造した。
【0131】
【表3】
【0132】
表3の腸管洗浄用組成物を薬液の体積が1リットルになるように水に溶かして実施例1~実施例4の溶液に製造した。実施例1~実施例4の溶液に含まれた成分のモル濃度(mM)および主要成分のモル比は下記表4の通りである。
【0133】
【表4】
【0134】
実施例1~実施例4の腸管洗浄用組成物は、2個のポーチ(アスコルベート成分を含まないポーチAとアスコルベート成分を含むポーチB)を含む形態で提供され、ポーチAおよびBを共に1Lになるように水に溶かして服用することができる。例えば、実施例1の腸管洗浄用組成物は下記表5のようにポーチAとポーチBとを含む形態で提供され、実施例2~4の腸管洗浄用組成物の場合も同様の方式で提供されることができる。
【0135】
【表5】
【0136】
また、実施例1~実施例4の腸管洗浄用組成物は、4個のポーチ(アスコルベート成分を含まないポーチA(1)、A(2)とアスコルベート成分を含むポーチB(1)、B(2))を含む形態で提供され、ポーチA(1)およびB(1)を共に500mLになるように水に溶かして服用し、A(2)およびB(2)を共に500mLになるように水に溶かして服用することができる。例えば、実施例1の腸管洗浄用組成物は下記表6および表7のようにポーチA(1)、A(2)、B(1)、B(2)を含む形態で提供され、実施例2~4の腸管洗浄用組成物の場合も同様の方式で提供されることができる。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】
また、実施例1~実施例4の腸管洗浄用組成物は、下記8個のポーチ(アスコルベート成分を含まないポーチA(1)、A(2)、A(3)、A(4)とアスコルベート成分を含むポーチB(1)、B(2)、B(3)、B(4))を含む形態で提供され、ポーチA(1)およびB(1)を共に250mLになるように水に溶かして服用し、同様な方法でA(2)およびB(2)を共に、A(3)およびB(3)を共に、A(4)およびB(4)を共に、各250mLになるように水に溶かして服用することができる。または、ポーチA(1)、A(2)、B(1)およびB(2)を共に500mlになるように水に溶かして服用し、ポーチA(3)、A(4)、B(3)およびB(4)を共に500mlになるように水に溶かして服用することができる。例えば、実施例1の腸管洗浄用組成物は下記表8~表11のようにポーチA(1)、A(2)、A(3)、A(4)、B(1)、B(2)、B(3)、B(4)を含む形態で提供され、実施例2~4の腸管洗浄用組成物の場合も同様の方式で提供されることができる。
【0140】
【表8】
【0141】
【表9】
【0142】
【表10】
【0143】
【表11】
【実施例
【0144】
実験例1:動物モデルでの腸管洗浄効果の確認
動物モデルを用いて本発明の腸管洗浄液の腸管洗浄効果を確認した。具体的には、実施例1の腸管洗浄液20mLをラット(Sprague-Dawley rat)に投与した。投与して6時間後に放血致死させた。その後、大腸の部分を摘出して腸管洗浄度を確認した。
【0145】
前記腸管洗浄液を投与した群とそうではない群の腸管洗浄度を確認した結果、腸管洗浄液を投与した群の場合、大腸に存在する大便がよく除去されたことを確認した(図1)。腸管洗浄液を投与した6匹の全てのラットの腸管洗浄が円滑になされており、そのうちの5匹は腸管洗浄度に非常に優れていた。その反面、腸管洗浄液を投与していない群の場合、大腸に大便がそのまま存在することを確認した(図2)。
【0146】
これにより、本発明の腸管洗浄液の腸管洗浄効果に非常に優れることが分かった。
【0147】
実験例2:動物モデルでの腸管洗浄効果および安全性の比較
本発明の腸管洗浄液の組成に応じた効果を確認するために比較用の腸管洗浄液を製造し、動物モデルでの腸管洗浄効果および安全性を比較した。
【0148】
実施例1および比較例1~4の組成物の成分および含量は下記表12の通りであり、全薬液の体積が1Lになるように水に溶かして製造した。
【0149】
【表12】
【0150】
表12に応じた腸管洗浄用の溶液の成分のモル濃度は下記表13の通りである。
【0151】
【表13】
【0152】
ラット動物モデルを用いた実施例および比較例の溶液の腸管洗浄効果の測定は実験例1と同様の方式で行われた。腸管洗浄効果の客観的な評価のために、腸管洗浄効果の等級を下記表14のような基準により測定した。これは臨床試験において腸管洗浄度の測定基準として広く用いられるヘアフィールド(Harefield)クレンジングスケールを参考にした基準であって、ラットの腸管洗浄度を1等級から5等級まで区分して評価した。
【0153】
【表14】
【0154】
ポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量比率に応じた腸管洗浄効果および安全性の比較
表12および表13の比較例1の溶液は、ポリエチレングリコール含量(80g)は実施例1の溶液(160g)の半分であるのに対し、アスコルベート成分の濃度(570.83mM)は実施例1の溶液(278.16mM)の2倍の水準である。12匹のラットに対して実施例1の溶液(6匹)および比較例1の溶液(6匹)を経口投与した後に表14の基準に従って腸管洗浄度を評価し、その結果は下記表15に示す。
【0155】
【表15】
【0156】
前記表から確認できるように、実施例1の溶液のポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量に応じた腸管洗浄効果が遥かに優れることが分かった。また、腸管洗浄液の服用時における安全性を測定するために、実施例1の溶液と比較例1の溶液を服用したラットの血液検査を行った。比較例1の溶液を服用した動物群においては、死亡する個体が発生し、胃粘膜の損傷が観察された。それに対し、実施例1の溶液を服用した動物群においては、死亡する個体が存在しなかった。血液検査としてAST(Asparate aminotransferase)、ALT(Alkaine aminotransferase)、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Creatinine)、赤血球(Red blood cell、RBC)、ヘモグロビン(Hemoglobin、HGB)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(Mean corpuscular hemoglobin concentration、MCHC)、ヘマトクリット(Hematocrit、HCT)などの濃度を測定した結果、比較例1の溶液を服用した個体より実施例1の溶液を服用した個体での数値変動値が顕著に低いため、安全性にさらに優れることが確認された。
【0157】
前記結果から、本発明のポリエチレングリコールおよびアスコルベート成分の含量比に応じた腸管洗浄液は、腸管洗浄効果と安全性に全て優れるため、腸管洗浄用の溶液として有用に使用できることが分かる。
【0158】
アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムのモル比率に応じた腸管洗浄効果および安全性の比較
表12および表13の比較例2の溶液と実施例1の溶液はポリエチレングリコール含量およびアスコルベート成分の含量が同一であるが、実施例1の溶液はアスコルベート成分に含まれたアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムのモル比率が約4.86:1であるのに対し、比較例2の溶液は1:1であって、モル比率が互いに異なる。
【0159】
総12匹のラットに対して実施例1(6匹)および比較例2(6匹)の服用群の腸管洗浄度を表14の基準に従って測定し、その結果は下記表16に示す。
【0160】
【表16】
【0161】
表12および表13の比較例3および4の溶液と実施例1の溶液はポリエチレングリコール含量およびアスコルベート成分の含量が同一であるが、実施例1の溶液はアスコルベート成分に含まれたアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムのモル比率が約4.86:1であるのに対し、比較例3および比較例4の溶液は各々1:1.5および1:5.67であって、モル比率が互いに異なる。総18匹のラットに対して実施例1(6匹)、比較例3(6匹)および比較例4(6匹)の服用群の腸管洗浄度を表14の基準に従って測定し、その結果は下記表17に示す。
【0162】
【表17】
【0163】
前記表から確認できるように、実施例1および比較例2、3、4の溶液は同量のポリエチレングリコールとアスコルベート成分を含有するが、実施例1の溶液はアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの比率が互いに異なる比較例2、3、4の溶液に比べて腸管洗浄能力に優れることが分かる。また、腸管洗浄液の服用時における安全性を測定するために、実施例1の溶液と比較例2、3、4の溶液を服用したラットの血液検査を行った。その結果、比較例2、3および4の溶液を服用したラットの血中AST数値およびNa数値の変化が実施例1の溶液を服用したラットに比べて遥かに高いことを確認した。実施例1の溶液は、比較例2、3および4の溶液に比べて安全性の高い腸管洗浄液であることを確認した。
【0164】
前記結果から、本発明のアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの含量比に応じた腸管洗浄液は、腸管洗浄効果と安全性に全て優れるため、腸管洗浄用の溶液として有
用に使用できることが分かる。
【0165】
実験例3:臨床試験における腸管洗浄効果および安全性の比較
任意に選別された患者群に前記実施例1の腸管洗浄液および市販品であるCoolprepを投与した後、腸管洗浄効果を確認した。前記実施例1の腸管洗浄液は1Lを服用するようにし、Coolprepは薬液2Lを服用する製品である。実施例1およびCoolprepの組成は下記表18に示す通りである。
【0166】
【表18】
【0167】
患者群は三つに分け、実施例1の腸管洗浄液を大腸内視鏡検査の当日に服用するか(当日分割投与、試験群1)、実施例1の腸管洗浄液を大腸内視鏡検査の前日と当日に分割して服用するか(2日分割投与、試験群2)、またはCoolprepを検査の前日と当日に分割して服用するようにした(2日分割投与、試験群3)。具体的には、試験群1は、実施例1の腸管洗浄液500mLを約30分間服用し、約1~2時間後に実施例1の腸管洗浄液500mLを約30分間服用し、さらに水1Lを飲むようにした。水は、腸管洗浄液の服用後に500mLずつ分けて飲むようにした。
【0168】
試験群2および3は、検査前日の夕方に各々実施例1の腸管洗浄液500mL(約30分間)およびCoolprep1L(約1時間)を服用し、水500mLを飲むようにし、検査当日の朝に各々実施例1の腸管洗浄液500mL(約30分間)およびCoolprep1L(約1時間)を服用し、水500mLを飲むようにした。
【0169】
腸管洗浄結果はヘアフィールド(Harefield)クレンジングスケールで評価し、AおよびB等級は腸管洗浄が成功したものに、CおよびD等級は腸管洗浄が失敗したものに評価される。A等級は大腸の全ての部位(直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸)において「空いていて清い」または「透明な液体」の状態である場合であって、洗浄度に非常に優れることを意味する。
【0170】
腸管洗浄の結果、前記実施例1の腸管洗浄液を服用した試験群の腸管洗浄成功率がCoolprepを服用した試験群の成功率より高く、A等級に評価された患者数は試験群3に比べて試験群1および2の方が遥かに多かった。特に、同一の服用方法を適用した試験群2と3を比較すると、試験群2でのA等級の評価比率が80.00%として試験群3の55.21%に比べて遥かに高いことが分かる。
【0171】
【表19】
【0172】
【表20】
【0173】
大腸の各部分(直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸)における腸管洗浄度
がA等級に評価された比率を比較した結果、試験群1または2の患者群での比率が試験群3の患者群での比率より高かった。特に上行結腸は鋸歯状ポリープの発生危険が高い所であり、試験群1および2の場合は試験群3に比べて上行結腸の腸管洗浄度に相当に優れるものであった。
【0174】
また、Coolprepは薬液2Lを服用しなければならない製品であるのに対し、前記実施例1の腸管洗浄用組成物は薬液1Lだけを服用したものであることを考慮すれば、本発明の腸管洗浄用組成物が市販品より優れた腸管洗浄効果を奏することが分かる。
【0175】
腸管洗浄度は、内視鏡検査の正確度を左右する非常に重要なものであり、本発明の腸管洗浄用組成物は、市販品であるCoolprepに比べて遥かに優れた腸管洗浄力を示し、内視鏡検査および疾病診断の正確度を高めることのできる優れた効果を有する組成物であることが分かる。
【0176】
また、実施例1の腸管洗浄液を服用するのに伴う電解質(Naなど)不均衡などの安全性にも問題がないことを確認した。
【0177】
前記結果から、本発明の腸管洗浄液は、臨床的に腸管洗浄効果と安全性に全て優れるため、腸管洗浄用の溶液として有用に使用できることが分かる。
【0178】
実験例4:臨床試験における服用便宜性の評価
過量の溶液を摂取しなければならない腸管洗浄用組成物の特性上、腸管洗浄効果に優れるとしても腸管洗浄効果を達成するのに求められる十分な量の溶液の摂取が難しい場合、目的とする効果を達成し難いという問題がある。
【0179】
そこで、実施例1の腸管洗浄液を大腸内視鏡検査の当日に服用するか(試験群1、N=94)、または実施例1の腸管洗浄液を大腸内視鏡検査の前日と当日に分割して服用し(試験群2、N=95)、服用完了率、服薬コンプライアンス、服用完了容易性、再使用の意志および味に対して評価をした。
【0180】
試験群1および試験群2の全ての患者が実施例1の腸管洗浄液を全て服用して服用完了率が100%であり、服薬コンプライアンス(=服用した用量/予定された用量*100)を評価した結果、試験群1および試験群2の全ての患者が75%以上を服用して服薬コンプライアンスに優れることを確認した。
【0181】
実施例1の腸管洗浄液を服用した患者の服用完了容易性を「はい」、「いいえ」に分類して評価した結果、試験群1では1人を除いた全ての患者が、試験群2では全ての患者が「はい」と答えた。
【0182】
実施例1の腸管洗浄液を服用した患者の再使用の意志を「はい」、「いいえ」に分類して評価した結果、試験群1では70%以上、試験群2では80%以上の人が再使用の意志があると答えた。
【0183】
実施例1の腸管洗浄液の味を評価した結果、良い味または大丈夫であると答えた試験群1および試験群2の患者は各々80%および87%であり、味が非常に悪いと答えた患者は試験群1では4%、試験群2では1%であった。
【0184】
評価の結果、実施例1の腸管洗浄液の服用完了率および服薬コンプライアンスが非常に優れており、服用し易く、再使用の意志および味にも優れていると評価された。
【0185】
実験例5:選好度の評価
腸管洗浄は十分な腸管洗浄のために求められる相当量の溶液を服用しなければならないため、服用選好度の高い腸管洗浄液を提供することが重要である。アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの含量比率を異にした腸管洗浄液に対する選好度の評価を行った。
【0186】
薬液の全体積が1Lになるように実施例1、比較例2および比較例5の組成物を水に溶かして腸管洗浄液を製造し、具体的な組成は下記表21に示す通りである。
【0187】
【表21】
【0188】
前記実施例1、比較例2および比較例5の溶液に含まれたアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムのモル比は各々4.86:1、1:1および1:4.86であり、各溶液に含まれたアスコルベート成分のモル濃度は約278mMである。選好度の評価に用いられた腸管洗浄液には、同一量の添加剤(着香料、甘味剤)が含まれた。総96人が実施例1、比較例2および比較例5の溶液を20mLずつ試飲し、選好度を1順位(1点)、2順位(2点)、3順位(3点)に評価し(順位法)、選好度の点数を合算してt-test検証を行った。選好度の合算点数が低いほど選好度が高いものである。
【0189】
評価の結果、実施例1、比較例2および比較例5の溶液に対する選好度の点数は各々174点、204点および198点であって、実施例1の溶液に対する選好度が最も優れており、t-test検証の結果(信頼度95%)、実施例1の溶液に対する選好度は比較例2および比較例5の溶液に対する選好度に対して有意な差があることを確認した(p=0.00554およびp=0.04521)。したがって、本発明によりアスコルビン酸の含量比率が高い組成物の方が服用選好度により優れた組成物であることが分かる。
【0190】
本明細書は、本発明の技術分野における通常の知識を有した者であれば、十分に認識し類推できる内容についてはその詳細な記載を省略し、本明細書に記載された具体的な例示の他に本発明の技術的思想や必須の構成を変更しない範囲内でより様々な変形が可能である。したがって、本発明は、本明細書において具体的に説明し例示したものとは異なる方式で実施されてもよく、これは本発明の技術分野における通常の知識を有した者であれば理解できるものである。
図1
図2