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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】標的システム
(51)【国際特許分類】
   F41J 5/06 20060101AFI20230404BHJP
   A63H 33/18 20060101ALI20230404BHJP
   A63F 13/837 20140101ALI20230404BHJP
   A63F 13/215 20140101ALI20230404BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20230404BHJP
【FI】
F41J5/06
A63H33/18 Z
A63F13/837
A63F13/215
A63F13/53
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021212963
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2018554241の分割
【原出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2022036163
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2016233046
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017167504
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512198660
【氏名又は名称】株式会社エイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】永井 克己
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090170(JP,A)
【文献】特開2001-162033(JP,A)
【文献】特開2011-015956(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/093511(JP,A1)
【文献】米国特許第09255773(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161396(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 5/06
A63H 33/18
A63F 13/837
A63F 13/215
A63F 13/53
A63F 9/02
F41J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、前記飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、
前記標的板から背面側に向かう一定間隔の空間内に配置され、前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と、
前記標的板の第1の辺に対して固定される第1の固定部材と、
前記標的板の前記第1の辺に対向する第2の辺に対して固定される第2の固定部材と
を備え、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を規定の間隔とすることで前記標的板が平面的な形状を維持するように、前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を複数の柱状部材によって支持する構成となっている
標的システム。
【請求項2】
前記標的となる標的画像が前記標的板に投影される
請求項1に記載の標的システム。
【請求項3】
前記第1の辺と前記第2の辺とに対して略直交する前記標的板の2つの辺それぞれに対して固定される第3の固定部材および第4の固定部材
をさらに備える請求項1に記載の標的システム。
【請求項4】
標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、前記飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、
前記標的板から背面側に向かう一定間隔の空間内に配置され、前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と、
前記標的板の第1の辺に対して固定される第1の固定部材と、
前記標的板の前記第1の辺に対向する第2の辺に対して固定される第2の固定部材と
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材によって対向する両辺が固定されて前記標的板の背面側に配置され、軟質の部材により構成される背面板
備え、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材によって、少なくとも前記標的板に対して一定のテンションが掛けられる構成となっており、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材によって前記標的板および前記背面板に対して一定のテンションが掛けられた状態で、前記標的板および前記背面板の間が一定間隔とされる
的システム。
【請求項5】
前記標的板および前記背面板は、前記第1の固定部材および前記第2の固定部材によって一定のテンションが掛けられることで、平面的に張った形状を維持する
請求項4に記載の標的システム。
【請求項6】
前記標的板および前記背面板は、上下方向または左右方向に一定のテンションが掛けられている
請求項4に記載の標的システム。
【請求項7】
前記検出部は、前記標的板および前記背面板に挟まれた一定間隔の空間に配置される
請求項4に記載の標的システム。
【請求項8】
前記標的となる標的画像が前記標的板または前記背面板に投影される
請求項4に記載の標的システム。
【請求項9】
前記第1の辺と前記第2の辺とに対して略直交する前記標的板の2つの辺および前記背面板の2つの辺それぞれに対して固定される第3の固定部材および第4の固定部材
をさらに備える請求項4に記載の標的システム。
【請求項10】
前記標的となる標的画像を表示する表示装置をさらに備え、
前記検出部は、前記標的板および前記表示装置の間の一定間隔の空間に配置される
請求項1に記載の標的システム。
【請求項11】
標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、前記飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、
前記標的板から背面側に向かう一定間隔の空間内に配置され、前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と、
前記標的板の第1の辺に対して固定される第1の固定部材と、
前記標的板の前記第1の辺に対向する第2の辺に対して固定される第2の固定部材と
を備え、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材によって、少なくとも前記標的板に対して一定のテンションが掛けられる構成となっており、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材は壁面に対して固定され、
前記検出部は、前記標的板および前記壁面の間に設けられる一定間隔の空間に配置される
的システム。
【請求項12】
標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、前記飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、
前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と
を備え、
前記標的板は、壁面に対して一定間隔を設けた状態で平面的な形状を維持するように、前記壁面に対して固定され、
前記検出部は、前記標的板および前記壁面の間に設けられる一定間隔の空間に配置される
標的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標的システムに関し、特に、より良好な取り扱いを可能とし、測定精度の向上を図ることができるようにした標的システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製の弾丸(以下、BB(Ball Bullet)弾と称する)を低圧の圧縮空気などで発射する機構を備えたトイガンであるソフトエアガンを使用して標的を射撃し、標的にBB弾が着弾したときの着弾位置に応じて得られるスコアを競う射撃競技が行われている。このような射撃競技では、BB弾の着弾位置を正確に検出することが重要である。
【0003】
そこで、本願出願人は、標的板にBB弾が着弾したときに発生する衝撃波を検出することで、標的板に着弾したBB弾の着弾位置や着弾速度、エネルギーなどを正確に算出することができる標的システムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-25677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1で開示されている標的システムは、標的板の固定に用いられる筐体や、標的板の背面側に配置される背面板などに、硬質な板状の部材を使用して構成されている。このため、例えば、標的装置を大型化するのに伴って、可搬性が低下したり収納スペースの確保が困難になったりすると想定されるため、取り扱い易い構成とすることが求められている。また、より精度良く着弾位置を測定可能とすることも求められている。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より良好な取り扱いを可能とし、測定精度の向上を図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の標的システムは、標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、前記飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、前記標的板から背面側に向かう一定間隔の空間内に配置され、前記飛翔物体が前記標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と、前記標的板の第1の辺に対して固定される第1の固定部材と、前記標的板の前記第1の辺に対向する第2の辺に対して固定される第2の固定部材とを備え、前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を規定の間隔とすることで前記標的板が平面的な形状を維持するように、前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を複数の柱状部材によって支持する構成となっている。
【0008】
本開示の一側面においては、標的システムは、標的に向かって飛翔する飛翔物体の衝突を撓むことによって受け止め、飛翔物体の反発を抑制する軟質の部材により構成される標的板と、標的板から背面側に向かう一定間隔の空間内に配置され、飛翔物体が標的板に衝突する際に発生する衝撃音を検出する検出部と、標的板の第1の辺に対して固定される第1の固定部材と、標的板の第1の辺に対向する第2の辺に対して固定される第2の固定部材とを備え、第1の固定部材および第2の固定部材を規定の間隔とすることで標的板が平面的な形状を維持するように、第1の固定部材および第2の固定部材を複数の柱状部材によって支持するように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、より良好な取り扱いを可能とすることができ、また、測定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の標的システムの構成例を示す斜視図である。
図2】標的装置の第1の構成例を示す正面図である。
図3】標的装置の第1の構成例を示す平面図である。
図4】標的装置の第1の構成例を示す側面図である。
図5】標的装置を壁面に取り付けた状態を示す側面図である。
図6】標的装置を自立させた状態を示す側面図である。
図7】標的装置の第2の構成例を示す正面図である。
図8】標的装置の第2の構成例を示す平面図である。
図9】標的装置の第2の構成例を示す側面図である。
図10】標的装置の第3の構成例を示す側面図である。
図11】標的装置の第4の構成例を示す側面図である。
図12】標的装置の第5の構成例を示す平面図である。
図13】標的装置の第5の構成例を示す正面図である。
図14】スペーサの断面図である。
図15】標的装置の第6の構成例を示す正面図である。
図16】標的装置の第6の構成例を示す平面図である。
図17】標的装置の第7の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<標的システムの構成例>
【0013】
図1に示すように、標的システム10は、標的装置11、ディスプレイ12、およびPC(Personal Computer)13により構成されており、標的装置11の背面側にディスプレイ12が配置される。なお、図1では、ノート型のPC13が図示されているが、タブレット型のPCなども使用可能である。
【0014】
ユーザは、例えば、PC13を手元に設置し、標的装置11とPC13とを信号ケーブル14により接続し、ディスプレイ12とPC13とを映像ケーブル15により接続する。なお、信号ケーブル14および映像ケーブル15に替えてワイヤレス通信を利用し、例えば、標的装置11およびPC13が、ワイヤレス通信により接続されるように構成してもよい。そして、ユーザは、PC13を操作して、射的を行う際の標的を表す標的画像16をディスプレイ12に表示させる。
【0015】
その後、ユーザは、ソフトエアガン17の銃身を標的装置11に向け、その銃身に沿って固定されている照準器を覗き込んで、ディスプレイ12に表示される標的画像16に対して照準を合わせて射的を行うことができる。ソフトエアガン17から発射されたBB弾18は、標的装置11の標的板23(図2乃至図4参照)が撓むことによって衝突の勢いが吸収される。そして、標的装置11の標的板23に着弾したBB弾18は、標的装置11の手前側の下方に配置される捕集マット19に落下して、散らばることなく回収される。
【0016】
ここで、捕集マット19には、例えば、ボア生地やパイル生地などのように、BB弾18の落下の衝撃を吸収し、かつ、BB弾18が跳ね返らないような低反発性(ゆっくりと元の形状に戻る性質)を備えたものを使用することが好適である。例えば、表面に毛などの柔らかい突起や凹凸などがある捕集マット19を使用することにより、捕集マット19上に落下したBB弾18が転がることが防止され、より確実にBB弾18の飛散を防止することができる。また、捕集マット19上に散らばったBB弾18を回収する際には、例えば、捕集マット19の両端を持ち上げて前後に窄めることにより、捕集マット19の中央にBB弾18が集まり、容易に回収することができる。より好適には、いわゆるマイクロファイバータオルの厚手のものを二つ折りにして使用することによって、BB弾18が散らばることなく完全に回収可能であることが確認された。
【0017】
また、後述するようにロール状に丸められた標的装置11を収納可能な大きさの袋状の捕集マット19を採用した場合には、例えば、標的装置11の搬送時に、捕集マット19により標的装置11を保護することができる。もちろん、捕集マット19は、袋状のものに限定されることはない。なお、標的システム10は、BB弾18が散らばることなく回収することができればよく、例えば、箱形状の捕集トレー20(後述の図6参照)などを使用してもよい。
【0018】
そして、標的システム10では、標的装置11にBB弾18が着弾した着弾位置を検出することができ、その着弾位置を示す着弾マークPが、ディスプレイ12に表示される標的画像16に重畳して表示される。そして、標的システム10では、PC13の表示部にも、ディスプレイ12と同様の標的画像16が表示されており、ユーザは、PC13の表示部に表示される着弾マークPにより、BB弾18の着弾位置を詳細に確認することができる。
【0019】
このように標的システム10は構成されており、ディスプレイ12に表示される標的画像16を標的として着弾位置の正確さを競う競技に使用することができる。また、より大きな画面サイズのディスプレイ12を使用して、臨場感を向上させたいというニーズがあり、標的装置11を大型化しても可搬性や収納性などの取り扱いが良好な構成とすることが重要となっている。
【0020】
<標的装置の第1の構成例>
【0021】
図2乃至図4を参照して、第1の構成例の標的装置11について説明する。図2には、標的装置11の正面図が示されており、図3には、標的装置11の平面図が示されており、図4には、標的装置11の側面図が示されている。
【0022】
図示するように、標的装置11は、上辺固定部材21、下辺固定部材22、標的板23、背面板24、側部支持部材25および26、音響センサ27-1乃至27-4、並びに、コントロールユニット28を備えて構成される。
【0023】
上辺固定部材21は、例えば、図4に示すように断面形状がコ字状の部材であって、標的板23および背面板24の横幅とほぼ同じ長さの部材である。また、上辺固定部材21は、標的板23および背面板24の上辺に沿った細長い形状とされ、標的板23および背面板24の上辺に対して、所定のピッチ間隔で複数本のネジを用いて固定される。もちろん、ネジ以外の固定方法で標的板23および背面板24を上辺固定部材21に固定してもよく、例えば、標的板23および背面板24それぞれの上端部を、細長い板上の部材で上辺固定部材21に挟み込むような固定方法を採用してもよい。
【0024】
下辺固定部材22は、上辺固定部材21と同様の形状であって、標的板23および背面板24の下辺に対して固定される。
【0025】
標的板23は、ディスプレイ12に表示された標的画像16を透過させる透明な部材であって、標的画像16に向かってソフトエアガンにより発射されたBB弾18の衝突を撓むことによって受け止めることができる軟質なシート状の部材が用いられる。例えば、標的板23には、衝撃による変形に対する復元速度が緩やかな材質として、厚み1.5mmの軟質の塩化ビニル樹脂などを使用することが好ましい。また、標的板23は、ディスプレイ12の前方において略垂直となるように張った状態で全体的に平坦となるように、即ち、撓みが生じないように平面的に、上辺が上辺固定部材21の前面側の側面に固定されるとともに、下辺が下辺固定部材22の前面側の側面に固定される。
【0026】
背面板24は、標的板23と同様の透明で軟質なシート状の部材、例えば、厚み1.5mmの軟質の塩化ビニル樹脂などが使用され、標的板23の背面側(ユーザから見てディスプレイ12側)に配置される。即ち、背面板24は、標的板23と同様に平面的に、上辺が上辺固定部材21の背面側の側面に固定されるとともに、下辺が下辺固定部材22の背面側の側面に固定される。
【0027】
このように、上辺固定部材21および下辺固定部材22の前面側の側面に標的板23が固定されるとともに、上辺固定部材21および下辺固定部材22の背面側の側面に背面板24が固定される。これにより、標的板23と背面板24との間には、上辺固定部材21の上面の幅および下辺固定部材22の下面の幅に応じて、図3および図4に示すような間隔Dの空間29が設けられる。
【0028】
側部支持部材25および26は、全長に亘って側面にネジが形成された棒状の部材(いわゆる寸切りボルト)であり、標的板23および背面板24の縦幅よりも若干長くなるように形成される。図2に示すように標的装置11を正面から見て、側部支持部材25は、上辺固定部材21および下辺固定部材22の左側端部を支持し、側部支持部材26は、上辺固定部材21および下辺固定部材22の右側端部を支持する。
【0029】
また、側部支持部材25は、ナット31乃至34を使用して、上辺固定部材21および下辺固定部材22に対して容易に着脱可能に取り付けられる。同様に、側部支持部材26は、ナット35乃至38を使用して、上辺固定部材21および下辺固定部材22に対して容易に着脱可能に取り付けられる。
【0030】
具体的には、側部支持部材25の上部のネジに、上辺固定部材21の左側の端部近傍を挟み込むようにナット31およびナット32が螺合されるとともに、側部支持部材25の下部のネジに、下辺固定部材22の左側の端部近傍を挟み込むようにナット33およびナット34が螺合される。同様に、側部支持部材26の上部のネジに、上辺固定部材21の右側の端部近傍を挟み込むようにナット35およびナット36が螺合されるとともに、側部支持部材26の下部のネジに、下辺固定部材22の右側の端部近傍を挟み込むようにナット37およびナット38が螺合される。これにより、上辺固定部材21および下辺固定部材22の両端部が支持される。例えば、ナット32、ナット33、ナット36、およびナット37として、ある程度の長さのあるナット(いわゆる高ナット)を使用することにより、指で摘まみ易い長さとなるので、それらを工具の使用なしに容易に回転させることができる。
【0031】
音響センサ27-1乃至27-4は、例えば、BB弾18が標的板23に着弾したときに生じる衝撃音を取得し、取得した衝撃音の振幅の変化に従った音響信号をコントロールユニット28に供給する。
【0032】
音響センサ27-1乃至27-4の配置については、標的板23の背面側であって、それぞれ標的板23の四隅に近い位置となるように、標的板23および背面板24に挟まれた空間29内に固定される。例えば、音響センサ27-1は、上辺固定部材21の下側を向く面の左端近傍に配置され、音響センサ27-2は、上辺固定部材21の下側を向く面の右端近傍に配置される。また、音響センサ27-3は、下辺固定部材22の上側を向く面の左端近傍に配置され、音響センサ27-4は、下辺固定部材22の上側を向く面の右端近傍に配置される。なお、以下適宜、音響センサ27-1乃至27-4それぞれを区別する必要がない場合、単に、音響センサ27と称する。
【0033】
このように、音響センサ27は、間隔Dで平行に固定される標的板23および背面板24に挟まれた空間29に配置されており、標的板23および背面板24の間で衝撃音が共鳴することによって、安定的な音響信号を取得することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では4個の音響センサ27-1乃至27-4を用いた構成について説明するが、音響センサ27の個数は4個に限定されるものではない。例えば、3個や6個、8個など、標的装置11のサイズまたは形状に応じて、着弾位置などを適切に測定可能な個数の音響センサ27を用いることができる。例えば、6個の音響センサ27を用いる場合には、四隅に加え、上辺中央および下辺中央にも音響センサ27が配置される。
【0035】
コントロールユニット28は、上辺固定部材21の上側面の中央に固定されている主固定板41に対して取り付けられ、音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号を入力するための信号線(図示せず)が接続される。
【0036】
例えば、コントロールユニット28には、BB弾18が標的板23に着弾したときに音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号に対して所定の信号処理を施す信号処理基板が収納される。この信号処理基板は、音響センサ27-1乃至27-4から出力される音響信号に基づいて、BB弾18が標的板23に着弾したときの着弾位置や着弾速度などを検出するための検出信号を出力する。例えば、信号処理基板による所定の信号処理では、音響信号を増幅して全波整流し、その振幅のピーク値を保持したピークホールド信号、および、ピークホールド信号を積分して得られる信号が基準値以上となったタイミングを示す衝撃音検出時刻信号を、検出信号として出力する。
【0037】
また、図4に示すように、コントロールユニット28の側面には、図1の信号ケーブル14を接続するためのコネクタ52、および、コントロールユニット28に電源が供給されていることを示す電源表示LED(Light Emitting Diode)53が設けられている。そして、コントロールユニット28に収納された信号処理基板から出力される検出信号は、信号ケーブル14を介して、図1のPC13に供給される。
【0038】
ここで、図4に示すように、主固定板41は、上辺固定部材21から背面側に突出するように固定されており、その突出している部分の下側を向く面に緩衝用ゴム板51が貼着されている。そして、緩衝用ゴム板51をディスプレイ12の上面に密着させた状態とすることで、標的装置11をディスプレイ12に装着することができる。このとき、標的装置11の背面板24とディスプレイ12の表面との間に若干の隙間を設けるために、ディスプレイ12の外枠の四隅(図2参照)にスペーサ71乃至74が貼着されている。なお、標的装置11では、緩衝用ゴム板51の厚み(枚数)を、例えば、使用するディスプレイ12の上辺の枠幅に応じて適切に選択して、ディスプレイ12の表示領域を覆うように標的板23および背面板24が配置されるように調整することができる。なお、緩衝用ゴム板51に替えて、軽量な発泡樹脂などを緩衝用に用いてもよい。また、ディスプレイ12に表示される標的画像16の表示位置を微調整することができる。
【0039】
また、図3に示すように、上辺固定部材21の上側面の左端近傍に補助固定板42が取り付けられるとともに、上辺固定部材21の上側面の右端近傍に補助固定板43が取り付けられている。補助固定板42および43は、上辺固定部材21に対してネジ止めされており、そのネジを緩めた状態で回転可能となり、そのネジを締めた状態で固定されるように取り付けられる。
【0040】
このように標的装置11は構成されており、ディスプレイ12に装着した状態で、上辺固定部材21は、ディスプレイ12の上辺に沿った規定位置に配置され、下辺固定部材22は、ディスプレイ12の下辺に沿った規定位置に配置される。そして、標的装置11は、側部支持部材25および26により上辺固定部材21と下辺固定部材22とを支持する構成により、標的板23および背面板24が、ディスプレイ12の前方において略垂直となるように平面的に張った形状を維持することができる。
【0041】
また、標的装置11は、ディスプレイ12の画面サイズに対応した大きさで構成することができ、例えば、32インチ以上の大きさのディスプレイ12に対応する場合には、標的装置11の大きさは、縦×横が約45cm×約80cm以上となる。従って、標的装置11が、仮に、背面板24として、硬質な板状の部材(アクリル樹脂板など)を使用する構成である場合、大きな板状の背面板24を持ち運んだり収納したりすることは容易ではなく、標的装置11の取り扱いが困難になると想定される。
【0042】
そのため、標的装置11は、上述したように、背面板24として、標的板23と同様に軟質の塩化ビニル樹脂などを使用して構成される。従って、標的装置11は、側部支持部材25および26を取り外すことにより、下辺固定部材22を軸として標的板23および背面板24を巻き取り可能な構成となっており、標的板23および背面板24を巻き取ってロール状にすることができる。なお、標的装置11は、上辺固定部材21を軸とし、または、上辺固定部材21および下辺固定部材22の両方を軸として巻き取り可能であるが、上辺固定部材21にコントロールユニット28が固定される構成であることより、下辺固定部材22のみを軸とする方が好ましい。
【0043】
このように、標的装置11は、軟質の部材を使用した標的板23および背面板24を巻き取り可能な構成とすることで、上辺固定部材21および下辺固定部材22の長さの筒状の形態とすることができる。これにより、標的装置11は、例えば、ソフトエアガン17とともに持ち運ぶことが容易になり、可搬性を向上させることができる。同様に、標的装置11を使用せずに収納するときには、背面板24として硬質な板状の部材を使用した構成と比較して、狭いスペースに収納することができ、例えば、ディスプレイ12の背後に容易に片づけることができる。即ち、標的装置11は、可搬性や収納性などの点で、より良好な取り扱いが可能となる。
【0044】
また、標的装置11は、側部支持部材25および26により上辺固定部材21と下辺固定部材22とを支持し、ナット31乃至38の位置を調整して、標的板23および背面板24にある程度のテンションが掛かった状態にすることができる。つまり、標的装置11は、上辺固定部材21および下辺固定部材22を規定の間隔(相対的な規定位置)とすることで、軟質の部材を使用した標的板23および背面板24が、撓みが生じないように平面的に張った形状を維持することができる。
【0045】
ところで、標的板23および背面板24は、ロール状で流通している軟質塩化ビニルシートを用いていることより、丸まった状態を維持するような癖がついている場合がある。この場合、同一の厚み(例えば、1.5mm)の標的板23および背面板24を使用して、標的板23および背面板24の癖が同じ向きとなるように使用することで、標的板23および背面板24の間の間隔Dを、全面に亘って一定のものとすることができる。これにより、標的装置11は、より安定的な音響信号を音響センサ27により取得可能な構成とすることができる。
【0046】
なお、標的装置11は、音響センサ27-1乃至27-4の位置を左右に移動可能とし、上辺固定部材21および下辺固定部材22の長さを伸縮可能または付けたし可能な構成として、使用するディスプレイ12の大きさに合わせた標的板23および背面板24を用いることで、様々なサイズまたは縦横比のディスプレイ12に対応することができる。同様に、側部支持部材25および26の長さを変更することや、高ナットを利用して連結することなどにより、縦方向および横方向に様々なサイズまたは縦横比のディスプレイ12に対応することができる。
【0047】
さらに、標的装置11は、図示するような横向きに設置する他、例えば、縦向きに設置して使用することができる。即ち、標的装置11は、上辺固定部材21および下辺固定部材22を縦方向に向かうようにして、ディスプレイ12の左右に配置するとともに、側部支持部材25および26を横方向に向かうようにして、ディスプレイ12の上下に配置するように設置してもよい。このように標的装置11を縦向きに設置する場合、より長い側部支持部材25および26を用いることで、大画面のディスプレイ12に対応することが可能となる。なお、この場合、標的板23および背面板24に対して上下方向にテンションを掛けるようにして使用することが好ましい。
【0048】
また、標的装置11は、ディスプレイ12に装着して使用する他、例えば、壁面に固定して使用したり、テーブルなどの上に自立させて使用したりすることができる。
【0049】
図5には、標的装置11を壁面81に固定した使用例が示されている。
【0050】
上述の図3に示すように、主固定板41の後端近傍には、穴44-1が形成されている。同様に、補助固定板42の後端近傍には、穴44-2が形成されており、補助固定板43の後端近傍には、穴44-3が形成されている。
【0051】
そして、これらの穴44を、図5に示すように、壁面81に固定された壁掛けフック82に対して係止することで、標的装置11を壁面81に固定することができる。このとき、上辺固定部材21に対して取り付けられる補助固定板43と同様に、下辺固定部材22にも補助固定板83を取り付けて、補助固定板83が壁面81に適切に当接するように調整することで、標的装置11を略垂直に保つことができる。なお、図5においては、標的装置11の右側に取り付けられる補助固定板83が図示されているが、標的装置11の左側にも、上辺固定部材21に対して取り付けられる補助固定板42と同様に、図示しない補助固定板が下辺固定部材22に取り付けられている。
【0052】
なお、標的装置11を壁面81に固定して使用する際には、例えば、図1に示すような標的画像16が描かれた標的紙(図示せず)が、背面板24の裏面に貼り付けられ、その標的紙に向かって射的が行われる。あるいは、背面板24の背後の壁面81に対して、標的画像16が描かれた標的紙を設置してもよい。また、背面板24または標的板23を白色などにして、プロジェクタにより標的板23または背面板24に標的画像16を投影してもよい。または、背面板24の裏面側にプロジェクタスクリーンを設置したり、背面板24の背後の壁面81にプロジェクタスクリーンを固定したりして、そのプロジェクタスクリーンに標的画像16を投影してもよい。なお、標的画像16が描かれた標的紙(図示せず)を背面板24の表面に貼り付けて、その標的紙が標的板23および背面板24の間に配置されるようにすることで、例えば、標的板23および背面板24どうしが接触する際の滑り難さを解消して、より良好に標的装置11を丸めることができる。
【0053】
図6には、標的装置11を自立させた使用例が示されている。
【0054】
標的装置11は、図6に示すように、上辺固定部材21に対して取り付けられる補助固定板43と同様に、下辺固定部材22にも補助固定板83を取り付けて、補助固定板43および補助固定板83に対して自立支持部材84を取り付けることができる。なお、図6においては、標的装置11の右側の補助固定板83および自立支持部材84が図示されているが、標的装置11の左側にも、図示しない補助固定板および自立支持部材が同様に取り付けられている。
【0055】
自立支持部材84は、側部支持部材26と同様に全長に亘って側面にネジが形成された棒状の部材(いわゆる寸切りボルト)である。そして、自立支持部材84の上部のネジに、補助固定板43の後端近傍を挟み込むようにナット85およびナット86が螺合されるとともに、自立支持部材84の下部のネジに、補助固定板83の後端近傍を挟み込むようにナット87およびナット88が螺合される。
【0056】
そして、標的装置11は、右側の側部支持部材26および自立支持部材84と、左側の側部支持部材25および自立支持部材(図示せず)とによる4点で、例えば、テーブル上に自立することができる。例えば、ディスプレイ12の前方に標的装置11を自立させた状態で、ディスプレイ12に表示される標的画像16に向かって射的を行うことができる。なお、標的装置11を自立させて使用する場合、例えば、長めの側部支持部材26および自立支持部材84(左側においても同様に)を用いてもよい。そして、下辺固定部材22よりも下方に突出する側部支持部材26の長さを調整するとともに、補助固定板83よりも下方に突出する自立支持部材84の長さを調整して、標的装置11の高さをディスプレイ12に合わせることができる。または、側部支持部材26および自立支持部材84に、ある程度の長さのあるナット(いわゆる高ナット)などの接続部材を用いて、標的装置11が配置される高さを調整するための脚部(例えば、寸切りボルトやアジャスタなど)を接続してもよい。さらには、下辺固定部材22より下方に設けられるナット34や、ナット38、ナット88などに高ナットを用いて、高ナット自体を脚部として使用してもよい。
【0057】
また、ディスプレイ12を用いずに標的装置11を自立させて使用する際には、例えば、図1に示すような標的画像16が描かれた標的紙(図示せず)が、背面板24の裏面に貼り付けられ、その標的紙に向かって射的が行われる。また、背面板24または標的板23を白色などにして、プロジェクタにより背面板24または標的板23に標的画像16を投影してもよい。また、背面板24の裏面側にプロジェクタスクリーンを設置して、そのプロジェクタスクリーンに標的画像16を投影してもよい。
【0058】
さらに、例えば、標的装置11をディスプレイ12や壁面などに近づけて設置することができる場合、背面板24を備えない構成としてもよい。この場合、標的板23とディスプレイ12や壁面などとの間で衝撃音が共鳴することによって、音響センサ27により安定的な音響信号を取得することができる。
【0059】
このように、標的装置11を壁面81に固定したり、標的装置11を自立させたりする他、例えば、標的装置11をプロジェクタスクリーン用のスタンドに掛けた状態で使用してもよく、その他、様々な使用例を適用することができる。
【0060】
<標的装置の第2の構成例>
【0061】
図7乃至図9を参照して、第2の構成例の標的装置11Aについて説明する。図7には、標的装置11Aの正面図が示されており、図8には、標的装置11Aの平面図が示されており、図9には、標的装置11Aの側面図が示されている。なお、標的装置11Aを構成する各部について、図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
上述したように図2乃至図4の標的装置11は、側部支持部材25および26を使用して、上辺固定部材21と下辺固定部材22とを支持することによって、標的板23および背面板24が平面的に張った状態となるように構成されている。
【0063】
これに対し、標的装置11Aは、側部支持部材25および26を使用するのではなく、紐101並びにストッパ102および103と平ゴム紐104とを使用して、標的板23および背面板24が平面的に張った状態となるように構成されている。例えば、紐101並びにストッパ102および103は、上辺固定部材21がディスプレイ12の上辺に沿って水平となるような状態で保持し、平ゴム紐104は、下辺固定部材22がディスプレイ12の下辺に沿って水平となるような状態で保持する。
【0064】
具体的には、紐101の一端を補助固定板42の穴44-2を下から上に通した後、補助固定板42の上面側で、紐101の一端にストッパ102を固定する。同様に、紐101の他端を補助固定板43の穴44-3を下から上に通した後、補助固定板43の上面側で、紐101の他端にストッパ102を固定する。そして、紐101の中央部分をディスプレイ12の背面側の土台で押さえたときに、上辺固定部材21がディスプレイ12の上辺に沿って水平となるように、ストッパ102およびストッパ103による紐101の固定位置を調整する。
【0065】
さらに、平ゴム紐104の両端を、下辺固定部材22の両端近傍にそれぞれ固定した後、下辺固定部材22がディスプレイ12の下辺に沿って水平となるように、平ゴム紐104の中央部分をディスプレイ12の前面側の土台で押さえる。このとき、平ゴム紐104の長さは、標的板23および背面板24に適切なテンションが掛かるように調整されている。
【0066】
このように、標的装置11Aは、紐101並びにストッパ102および103を、上辺固定部材21がディスプレイ12の上辺に沿った状態で保持する保持部として使用するとともに、平ゴム紐104を、下辺固定部材22がディスプレイ12の下辺に沿った状態で保持する保持部として使用することができる。これにより、標的装置11Aでは、軟質の部材を使用した標的板23および背面板24が、撓みが生じないように平面的に張った形状を維持することができる。
【0067】
また、標的装置11Aは、平ゴム紐104をディスプレイ12の前面側の土台から外すだけで、下辺固定部材22を軸として標的板23および背面板24を巻き取り可能とすることができ、例えば、より容易にディスプレイ12の背後に収納することができる。従って、標的装置11Aも、可搬性や収納性などの点で、より良好な取り扱いが可能となる。
【0068】
<標的装置の第3の構成例>
【0069】
図10には、第3の構成例の標的装置11Bの側面図が示されている。なお、標的装置11Bを構成する各部について、上述の図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図10に示すように、標的装置11Bは、背面板24(図4参照)を用いない構成となっており、上辺固定部材21Bとして、断面形状がL字状の部材が使用され、下辺固定部材22Bとしては平板が使用される。
【0071】
また、標的装置11Bは、上述の図7乃至図9の標的装置11Aと同様に、紐101並びにストッパ102および103と平ゴム紐104とを使用して、標的板23が平面的に張った状態となるように構成される。即ち、標的装置11Bでは、紐101並びにストッパ102および103により、上辺固定部材21Bがディスプレイ12の上辺に沿って水平となるような状態で保持され、平ゴム紐104により、下辺固定部材22Bがディスプレイ12の下辺に沿って水平となるような状態で保持される。なお、破線で図示するように、下辺固定部材22Bに対して、ディスプレイ12との間の間隔Dに応じた長さのスペーサ105(例えば、発泡スチロール製のブロック)を貼着してもよく、これにより、標的板23の配置を安定的に維持することができる。
【0072】
そして、標的装置11Bは、背面板24を用いない構成であることより、音響センサ27-1乃至27-4は、標的板23とディスプレイ12との間の間隔Dの空間29内に配置されることになる。即ち、背面板24を用いなくても、標的板23およびディスプレイ12の間で衝撃音が共鳴することによって、音響センサ27-1乃至27-4は、安定的な音響信号を取得することができる。
【0073】
なお、標的装置11Bにおいて、下辺固定部材22Bとして、ある程度の重さのある鉄板などを利用した場合、例えば、平ゴム紐104を使用しなくても、標的板23にテンションが掛かった状態にすることができる。即ち、この場合、下辺固定部材22Bの重さにより、標的板23に撓みが生じないように平面的に張った形状を維持することができる。
【0074】
そして、標的装置11Bは、平ゴム紐104をディスプレイ12の前面側の土台から外すだけで、下辺固定部材22Bを軸として標的板23を巻き取り可能とすることができる。従って、標的装置11Bも、可搬性や収納性などの点で、より良好な取り扱いが可能となる。
【0075】
<標的装置の第4の構成例>
【0076】
図11には、第4の構成例の標的装置11Cの側面図が示されている。なお、標的装置11Cを構成する各部について、上述の図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0077】
図10に示すように、標的装置11Cは、背面板24(図4参照)を用いない構成となっており、上辺固定部材21Cおよび下辺固定部材22Cとして、図示するように断面形状が折り曲げられた板状の部材が使用される。
【0078】
例えば、標的装置11Cは、上辺固定部材21Cおよび下辺固定部材22Cが互いに平行に水平となるように壁面81に固定される。このとき、上辺固定部材21Cおよび下辺固定部材22Cの間隔は、標的板23が略垂直となるように平面的に張った形状を維持するように、標的板23の縦方向の長さ(即ち、上辺および下辺の間の長さ)に応じて規定される。
【0079】
また、標的装置11Cは、例えば、図10に示したような平ゴム紐104を下辺固定部材22Cに取り付けて、壁面81に固定された壁掛けフック82に対して平ゴム紐104を係止するような構成としてもよい。これにより、標的板23に対して適切なテンションが掛けられ、標的板23は、撓みが生じないように平面的に張った形状を維持することができる。または、下辺固定部材22Cとして、ある程度の重さのある鉄板などを利用して、下辺固定部材22Cの重量により標的板23に対して真下方向のテンションが掛かるようにしてもよい。さらに、図示するような形状の下辺固定部材22Cに替えて、例えば、図10を参照して説明したようなスペーサ105が貼着された下辺固定部材22Bを採用してもよい。
【0080】
なお、標的装置11Cにおいても、標的板23および壁面81の間で衝撃音が共鳴することによって、音響センサ27-1乃至27-4は、安定的な音響信号を取得することができる。
【0081】
そして、標的装置11Cは、上辺固定部材21Cおよび下辺固定部材22Cを壁面81から取り外すことで、下辺固定部材22Cを軸として標的板23を巻き取り可能とすることができる。従って、標的装置11Cも、可搬性や収納性などの点で、より良好な取り扱いが可能となる。
【0082】
<標的装置の第5の構成例>
【0083】
図12乃至図14を参照して、第5の構成例の標的装置11Dについて説明する。図12には、標的装置11Dの平面図が示されており、図13には、標的装置11Dの正面図が示されている。なお、標的装置11Dを構成する各部について、図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0084】
上述したように図2乃至図4の標的装置11は、標的板23および背面板24が平面的に張った形状を維持するように構成されているのに対し、標的装置11Dは、標的板23および背面板24が湾曲した形状を維持するように構成されている。図示するように、標的装置11Dは、側部固定部材121および122、並びに、スペーサ123-1乃至123-14を利用して、標的板23および背面板24が左右方向に亘って円弧状となるような湾曲形状に維持される。
【0085】
側部固定部材121および122は、上辺固定部材21(図4参照)と同様に、断面形状がコ字状の直線的に形成された部材であって、標的板23および背面板24の側部に対して固定される。図13に示すように、標的装置11Dを正面から見て、側部固定部材121は、標的板23および背面板24の右側の側部に固定され、側部固定部材122は、標的板23および背面板24の左側の側部に固定される。また、側部固定部材121に対してコントロールユニット28が取り付けられる。
【0086】
スペーサ123-1乃至123-7は、それぞれ所定の間隔を設けて標的板23および背面板24の上辺に固定され、スペーサ123-8乃至123-14は、それぞれ所定の間隔を設けて標的板23および背面板24の下辺に固定される。そして、スペーサ123-1乃至123-14により、標的板23および背面板24は、互いに一定の間隔Dが設けられた状態で、湾曲形状が維持される。以下、適宜、スペーサ123-1乃至123-14それぞれを区別する必要がない場合、単に、スペーサ123と称する。
【0087】
例えば、図14に示すように、スペーサ123は、間隔Dに応じた長さの平板部141の一方の端部にリブ部142および143が設けられるとともに、その他方の端部にリブ部144および145が設けられた部材である。平板部141には、ネジ穴151が形成されている。
【0088】
リブ部142および143は、例えば、それらの間に標的板23を挟み込める間隔で、平板部141に対して直角に設けられ、リブ部142には穴152が形成されるとともに、リブ部143にはネジ穴153が形成される。そして、リブ部142および143の間に標的板23を差し込んで、リブ部142側からネジを差し込んで標的板23を固定することができる。同様に、リブ部144および145は、例えば、それらの間に背面板24を挟み込める間隔で、平板部141に対して直角に設けられ、リブ部144にはネジ穴154が形成されるとともに、リブ部145には穴155が形成される。そして、リブ部144および145の間に背面板24を差し込んで、リブ部145側からネジを差し込んで背面板24を固定することができる。
【0089】
このように、標的装置11Dは、側部固定部材121および122により標的板23と背面板24との両側部が垂直に固定され、スペーサ123-1乃至123-14により上辺および下辺が一定の間隔Dで固定される。そして、標的装置11Dは、標的板23および背面板24が湾曲形状を維持した状態で、この湾曲形状によって自立することができる。
【0090】
さらに、標的装置11Dは、図12に示すように、標的板23および背面板24を覆うような大きさの有孔ボード124を天井として利用し、スペーサ123の平板部141に形成されているネジ穴151により、スペーサ123を有孔ボード124にネジ止めすることができる。これにより、標的装置11Dを設置する際の安定性を向上させることができるとともに、標的板23および背面板24の湾曲形状が、任意の径となるように自在に調整することができる。もちろん、スペーサ123を直線的に配置して、標的板23および背面板24が平面形状となるようにしてもよい。
【0091】
また、標的装置11Dは、6個の音響センサ27-1乃至27-6により、BB弾18が標的板23に着弾したときに生じる衝撃音を測定するように構成されている。即ち、標的装置11Dでは、上述の標的装置11と同様に、四隅に音響センサ27-1乃至27-4が配置されるとともに、上辺の中央に音響センサ27-5が追加され、下辺の中央に音響センサ27-6が追加されて配置される。このように、標的装置11Dは、音響センサ27の個数を増やすことにより、より面積の広い標的板23であっても、BB弾18の着弾位置の測定精度が低下することを回避することができる。また、図12に示すように、音響センサ27-1乃至27-6は、背面板24に対して固定することができる。
【0092】
このように構成される標的装置11Dでは、背面板24に対して背面投影式のスクリーンを貼付したり、背面板24自身に背面投影を可能とするような加工を行ったりすることで、標的装置11Dの背面側からプロジェクタ131-1乃至131-3を用いて、標的画像16を投影することができる。
【0093】
例えば、プロジェクタ131-1乃至131-3は、図12に示すように、標的装置11Dの湾曲した形状に合わせた角度で配置され、図13において二点鎖線で示すような横方向に長い形状の投影領域に画像を投影することができる。これにより、標的装置11Dは、その前方にいるユーザAの視界を覆うような投影領域に標的画像16を表示することができ、より臨場感の高い射的を体験させることができる。即ち、標的装置11Dにより、ユーザAは、自身の周囲を囲うように表示される標的画像16に対して射的を行うことができる。
【0094】
なお、例えば、図12において破線で示すように、標的装置11Dの手前側にプロジェクタ131-1乃至131-3を配置してもよい。この場合、標的板23および背面板24を白色などにしたり、背面板24に対してプロジェクタスクリーンを貼付したりして、標的装置11Dの斜め上方または斜め下方から標的画像16が投影される。なお、プロジェクタ131の個数や配置位置などは、図12に示す例に限定されることなく、標的装置11Dの大きさや湾曲形状に応じて適切なものを採用することができる。さらには、標的装置11Dの背後に、曲面形状のディスプレイを設置してもよい。
【0095】
また、標的装置11Dでは、標的板23および背面板24が湾曲した形状であっても、スペーサ123により一定の間隔Dを維持することで、標的板23および背面板24の間の空間29を衝撃音が安定的に共鳴して伝播する。これにより、標的装置11Dは、標的板23および背面板24が平面的となっている構成と同様に、音響センサ27-1乃至27-6が安定的な音響信号を取得することができ、BB弾18の着弾位置を正確に検出することができる。なお、標的装置11Dの湾曲形状を変更する必要がない場合、複数のスペーサ123を使用するのに替えて、例えば、標的板23および背面板24の上辺および下辺に沿った長さの円弧状のスペーサを使用することができる。また、標的装置11Dを平面形状とする場合には、直線状のスペーサを使用すればよい。
【0096】
また、標的装置11Dは、スペーサ123を取り外すことにより、例えば、側部固定部材122を軸として標的板23および背面板24を巻き取ってロール状にすることができる。従って、上述したように、標的装置11Dは、可搬性や収納性などの点で、より良好な取り扱いが可能となる。
【0097】
なお、スペーサ123を利用する構成では、リブ部142および143の間に標的板23を挟み込み、リブ部144および145の間に背面板24を挟み込むだけで、ネジ止めすることなく標的板23および背面板24を湾曲形状に維持することができる。また、標的板23および背面板24を挟み込むような構成とするのではなく、例えば、平板部141の両端にリブ部143および144が設けられた断面形状がコ字状のスペーサを利用して、必ずネジ止めを行うことにより標的板23および背面板24を湾曲形状とする構成を採用してもよい。
【0098】
また、例えば、標的装置11Dにおいても、図1に示したような捕集マット19が、標的装置11Dの手前側に配置され、標的板23に着弾したBB弾18を回収することができる。例えば、上述したようなボア生地やパイル生地などのような柔軟な捕集マット19を、標的装置11Dの湾曲形状に沿って容易に配置することができる。
【0099】
このような捕集マット19を使用する際には、例えば、捕集マット19の両端を持ち上げて前後に窄めることにより、捕集マット19上に散らばったBB弾18が中央に集めることができる。そして、捕集マット19の中央の窪みにBB弾18が溜まった状態とし、小さな容器にBB弾18を容易に回収することができる。例えば、いわゆるマイクロファイバータオルは、非常に柔軟であるので、湾曲形状に合わせたり弛ませて窪みを作ったりするような形態を容易に行うことができ、その形態を維持することができる。なお、例えば、粘着ゲルを利用してBB弾18を回収するような構成では、BB弾18を確実に回収することができたとしても、粘着ゲルからBB弾18を剥がす手間が発生し、捕集マット19のように容易にBB弾18を回収することは困難である。
【0100】
ところで、標的装置11(上述の各構成例を含む)では、より薄い標的板23および背面板24を使用することで、より小さく丸めることが可能となる。また、標的装置11では、より薄い標的板23および背面板24を使用することで、射的を行うユーザから見たときに、BB弾18が標的板23に着弾した位置と、ディスプレイ12に表示される着弾マークPとの誤差(以下、視認誤差と称する)を小さくすることができる。なお、標的板23および背面板24のいずれか一方を薄くしても良い。
【0101】
例えば、背面板24を薄くする場合には、ある程度の硬質な部材を使用しても、軟質な部材と同様に丸めることができるとともに、標的板23および背面板24に挟まれた空間29において衝撃音の音圧が大きく減衰しないことも確認された。背面板24として、例えば、厚み0.2mmのポリカーボネート板を用いた構成では、衝撃音の音圧の減衰は、BB弾18の着弾位置などの検出に影響がない程度のものであった。また、標的装置11では、背面板24を設けることによって、音響センサ27が衝撃音を取得する際に、標的装置11よりも背後側の構造や雑音などによる悪影響を低減することができる。
【0102】
なお、標的装置11は、標的板23の背面側に配置される音響センサ27が一定の間隔Dの空間29内に配置される構成となっていればよく、上述したような平面形状や湾曲形状の他、例えば、ユーザの周囲全周(360°)を囲うような筒型の形状や、ドーム型の形状を採用してもよい。
【0103】
ところで、上述したように、標的装置11は、標的板23に、BB弾18の衝突を撓むことによって受け止めることができる軟質なシート状の部材が採用されるとともに、背面板24にも、同様の軟質なシート状の部材が採用される構成となっている。このように、背面板24が軟質の部材により構成されることにより、標的装置11は、測定精度の向上を図ることができる。
【0104】
即ち、標的板23にBB弾18が衝突したときの衝撃音や、標的板23が局所的に凹むことによる空間29内の気圧変化などは、標的板23の背後にある背面板24にも伝わって振動を生じさせることになる。このとき、背面板24が硬質の部材により構成されていると、背面板24の内部を伝播する振動が板全体に伝わるので、その振動が音響センサ27にも伝わる可能性がある。例えば、背面板24がアクリル樹脂で構成されている場合、空気中より遥かに速い2800m/秒程度の音速で背面板24の内部を振動が伝播し、その振動が音響センサ27によって検出されると、BB弾18の着弾位置や着弾速度などを誤検出する原因となってしまう。
【0105】
これに対し、背面板24を軟質の部材により構成すると、背面板24の内部では振動が殆ど伝播しないため、背面板24を伝わって音響センサ27が振動を検出することは防止される。従って、BB弾18の着弾位置や着弾速度などを誤検出する原因を排除することができる結果として、標的装置11は、測定精度の向上を図ることができる。
【0106】
即ち、標的装置11は、着弾位置から周囲へ向かって部材を介して振動が伝わらない構成となっていることで、音響センサ27により着弾位置を正確に検出することができる。このように、標的板23および背面板24について、板全体に振動が伝わるような硬質の部材とするのではなく、軟質の部材を採用することによって、着弾位置を正確に検出するのに非常に好適である。
【0107】
また、一般的に、硬質の薄板は大きくなるほど入手が困難であり、取扱いも運搬も大変であるのに対し、軟質の板であればロール状で流通および運搬されるので、大きなものでも入手および保管が容易である。従って、背面板24が軟質の部材により構成される標的装置11は、より扱いを簡易なものとすることができる。また、BB弾18の衝突によって標的板23が大きく撓んで背面板24に当接したとしても、背面板24が軟質な部材であることより、硬質の薄板のように割れることなどがないため、標的装置11を壊れにくい構造とすることができる。なお、BB弾18が衝突する標的板23は、使用に伴って次第に表面に傷が付いたり、透明度が低下したりするような消耗品であり、交換可能な構成とすることが好ましい。そこで、背面板24として、標的板23と同様な軟質の部材を採用することで、標的板23の交換時に、標的板23および背面板24のテンションを緩めることで、標的板23を容易に交換することが可能となる。
【0108】
特に、硬質の薄板は、大型になるのに従って温度による伸縮を考慮して設計しなければならないのに対し、標的板23および背面板24の両方を軟質の部材にすることで、標的装置11の前方および後方に同程度のテンションが掛かることになり、よりバランスの良い構成とすることができる。また、標的装置11は、簡易な構造で、標的板23および背面板24に均等となるように一定のテンションを掛けることができるので、それらに歪が生じることを回避して、バランスよく張ることができる。
【0109】
特に、標的板23および背面板24の間の間隔Dを狭めるのに伴って、測定精度を向上させることができるが、間隔Dを狭めた場合には、標的板23にBB弾18が衝突したときの振動が背面板24に伝わり易くなる。従って、間隔Dを狭める構成の標的装置11において、背面板24を軟質の部材により構成することは、誤検出を回避することができるという点で、特に有効である。
【0110】
また、このように標的板23および背面板24の間の間隔Dを狭めた構成の標的装置11は、標的板23にBB弾18が着弾して大きな凹みが発生して、標的板23が背面板24に当接することが想定される。しかしながら、このような場合であっても、背面板24が軟質であることより、標的装置11は、例えば、背面板24が割れてしまうような事態を回避することができ、間隔Dを、より狭めた構成とすることができる。さらに、標的装置11は、標的板23とともに背面板24が撓むことができる構成であることより、標的板23および背面板24により衝突を受け止めることができるので、例えば、より強大な衝突力にも壊れることなく対応することができ、汎用性を向上させることができる。
【0111】
<標的装置の第6の構成例>
【0112】
図15および図16を参照して、第6の構成例の標的装置11Eについて説明する。図15には、標的装置11Eの正面図が示されており、図16には、標的装置11Eの平面図が示されている。なお、標的装置11Eを構成する各部について、図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0113】
図15および図16に示すように、標的装置11Eは、正面から見て左側の側部に側部固定部材201が取り付けられるとともに、正面から見て右側の側部に側部固定部材202が取り付けられて構成されている。
【0114】
側部固定部材201は、上辺固定部材21および下辺固定部材22と同様に、図16に示すように断面形状がコ字状の部材であって、図15に示すように、標的板23および背面板24の縦幅とほぼ同じ長さの部材である。また、側部固定部材201は、標的板23および背面板24の左辺に沿った細長い形状とされ、標的板23および背面板24の左辺に対して、所定のピッチ間隔で複数本のネジを用いて固定される。また、側部固定部材202は、側部固定部材201と同様の形状の部材であり、標的板23および背面板24の右辺に対して、所定のピッチ間隔で複数本のネジを用いて固定される。もちろん、標的板23および背面板24の固定に、ネジ以外の固定方法を採用してもよい。
【0115】
また、側部固定部材201は、その上端部が、スタッドボルト221が固定されたL型金具211を利用して上辺固定部材21に固定され、その下端部が、スタッドボルト223が固定されたL型金具213を利用して下辺固定部材22に固定される。例えば、L型金具211は、ナット31を利用して上辺固定部材21に固定されるとともに、回転止めのための小ネジにより固定される。同様に、L型金具213は、ナット34を利用して下辺固定部材22に固定されるとともに、回転止めのための小ネジにより固定される。
【0116】
そして、側部固定部材201の上側の端部近傍を挟み込むように、ナット231および232がスタッドボルト221に螺合されるとともに、側部固定部材201の下側の端部近傍を挟み込むように、ナット235および236がスタッドボルト223に螺合される。これにより、側部固定部材201が上辺固定部材21および下辺固定部材22に対して、スタッドボルト221および223の長さの分だけ左右方向の位置が調整可能に取り付けられる。
【0117】
同様に、側部固定部材202の上側の端部近傍を挟み込むように、ナット233および234がスタッドボルト222に螺合されるとともに、側部固定部材202の下側の端部近傍を挟み込むように、ナット237および238がスタッドボルト224に螺合される。これにより、側部固定部材202が上辺固定部材21および下辺固定部材22に対して、スタッドボルト222および224の長さの分だけ左右方向の位置が調整可能に取り付けられる。
【0118】
このように構成される標的装置11Eは、上辺固定部材21と下辺固定部材22とにより標的板23および背面板24に対して上下方向にテンションを掛けられるだけでなく、左右方向にもテンションを掛けられるので、標的板23および背面板24を、より平坦に、かつ、平行に張ることができる。これにより、測定精度の向上を図ることができる。また、標的板23および背面板24に対して上下方向にテンションを掛けるだけの構造では、例えば、大型化したときに、標的板23および背面板24の左右端が広がって間隔Dが開いてしまうことが想定される。これに対し、標的装置11Eは、標的板23および背面板24の左右端が広がることを防止することができる。
【0119】
もちろん、標的装置11Eは、標的板23および背面板24から側部固定部材201と側部固定部材202とを取り外すことで、上述した標的装置11と同様に、下辺固定部材22を軸として標的板23および背面板24を巻き取り可能な構成となっている。即ち、標的装置11Eも、標的装置11と同様に、より良好な取り扱いが可能となる。
【0120】
<標的装置の第7の構成例>
【0121】
図17には、第7の構成例の標的装置11Fの側面図が示されている。なお、標的装置11Fを構成する各部について、上述の図2乃至図4を参照して説明した標的装置11と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0122】
図17に示すように、標的装置11Fは、背面板24(図4参照)を用いない構成となっており、図4の標的装置11において背面板24が装着されていた箇所に、標的板23が装着されて構成される。つまり、上述したように、標的板23および背面板24ともに軟質塩化ビニルシートが用いられており、標的装置11Fは、実質的には、図4の標的装置11から標的板23を取り外して、背面板24を標的板23として使用するような構成となっている。
【0123】
また、標的装置11Fでは、BB弾18が衝突するのに応じて標的板23が凹んだときに、標的板23がディスプレイ12に当接することを回避する程度の厚みのスペーサ71F乃至74F(図17には、左側面側のスペーサ73Fおよび74Fのみ図示されている)が使用される。例えば、標的装置11Fが、32インチのディスプレイ12に対応する大きさで設計される場合、スペーサ71F乃至74Fの厚みは8mm以上とすることが好ましい。
【0124】
このように、標的装置11Fは、ユーザ側から見て、上辺固定部材21および下辺固定部材22に対して背面側(ディスプレイ12側)に標的板23が配置される。なお、標的装置11Fでは、図17には図示されないが、音響センサ27が、標的板23よりも、ユーザ側から見て手前側に配置される構成となっている。このような構成では、上述したように空間29で衝撃音が共鳴するような効果は得られないが、BB弾18が標的板23に着弾する際の衝撃音を直接的に検出することで、標的板23の中央領域であればBB弾18の着弾位置を正確に検出することができる。さらに、このような構成では、BB弾18が跳ね返って音響センサ27に当たってしまうことが懸念される。このため、標的装置11Fは、例えば、厚さ2mm以上の低密度スポンジなどを音響センサ27に被せることで、衝撃波の検出に悪影響を与えることなく音響センサ27を保護することが好ましい。
【0125】
また、標的装置11Fは、図4の標的装置11よりも、標的板23がディスプレイ12の近傍となるように、標的板23およびディスプレイ12の間隔を狭く配置することができる。これにより、標的板23にBB弾18が着弾した着弾位置と、ディスプレイ12に表示される着弾マークPとの視認誤差を小さくすることができ、ユーザが標的装置11Fを快適に使用することができる。また、標的装置11Fは、ユーザが持ち運ぶ際に、標的板23の1枚だけを丸めればよい構成となっており、より小径に丸めることができる。従って、ユーザは、標的装置11Fを快適に持ち運ぶことができる。
【0126】
ところで、上述した各実施の形態の標的装置11では、上辺固定部材21および下辺固定部材22に音響センサ27の基板を取り付ける際のスペーサとしても、軟質の塩化ビニル樹脂を利用することができる。例えば、厚さ2mmで硬度#490の軟質の塩化ビニル樹脂は、防振材としても優れており、音を殆ど伝えず、ネジで締め込んでもつぶれないだけの硬さがあるので、標的板23にBB弾18が衝突したときの振動が、上辺固定部材21または下辺固定部材22から伝播して音響センサ27に伝わることを防止することができる。これによっても、音響センサ27が、BB弾18の着弾位置や着弾速度などを誤検出する原因を排除することができる。
【0127】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0128】
例えば、標的に対して飛翔物体を当てる任意の競技や遊戯、具体的には、ダーツ、吹き矢などの標的システムに適用してもよい。この場合、弾痕マークの代わりにダーツや吹き矢の矢を標的画像上に表示すればよい。また、当然ながら、BB弾に代わるダーツや吹き矢の矢が標的板23に刺さらないようにその先端を丸める必要がある。さらに、標的板23の強度を増せば、本発明は、トイガン(ソフトエアガン)よりも着弾時のエネルギーが強い実銃(空気銃等)の標的システムにも適用することも可能である。また、上述した各構成例の標的装置11において、コントロールユニット28を取り外し可能としたり、コントロールユニット28を標的装置11に固定せずに、音響センサ27から出力される音響信号を入力するための信号線が接続されるような構成としたりしてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 標的システム, 11 標的装置, 12 ディスプレイ, 13 PC, 14 信号ケーブル, 15 映像ケーブル, 16 標的画像, 17 ソフトエアガン, 18 BB弾, 19 捕集マット, 20 回収トレー, 21 上辺固定部材, 22 下辺固定部材, 23 標的板, 24 背面板, 25および26 側部支持部材, 27-1乃至27-4 音響センサ, 28 コントロールユニット
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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図17