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特許7256496健康状態評価システムおよび健康情報取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】健康状態評価システムおよび健康情報取得方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20230405BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230405BHJP
   A63H 3/02 20060101ALI20230405BHJP
   A63H 9/00 20060101ALI20230405BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
A61B5/16 100
A61B5/11
A63H3/02
A63H9/00 F
G01B11/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019099313
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020192076
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福井 類
(72)【発明者】
【氏名】割澤 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伴 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 歩
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】石黒 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】立岡 茂伸
(72)【発明者】
【氏名】御神村 友樹
(72)【発明者】
【氏名】関根 崇泰
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-181218(JP,A)
【文献】特開2000-202169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0174901(US,A1)
【文献】登録実用新案第3170141(JP,U)
【文献】登録実用新案第3131674(JP,U)
【文献】特開2004-157941(JP,A)
【文献】特開2001-092562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/06- 5/22
A61B 10/00
A63H 1/00-37/00
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼児の健康状態を評価するためのシステムであって、
幼児の行動に関する情報である行動情報を計測するセンサ部を有するセンサ本体および該センサ本体を自身内部に包みこんで該センサ本体の外側を覆う外装体を含む健康情報取得装置と、
前記センサ本体で計測された行動情報に基づいて幼児の健康状態を評価する健康状態評価部と、を備え
前記センサ本体は、
幼児による若しくは幼児を想定した動的な行動である「曲げる」「引っ張る」「いじる」の行動を計測するセンサとして、各行動にこの順に対応する曲げ認識センサ、引っ張りセンサ、圧力センサのうちの少なくとも一つを前記センサ部として有し、
前記健康状態評価部は、
前記行動情報に対応して予め設定された幼児の平常時行動および癇癪時行動それぞれについての前記センサ部での計測量に基づいて幼児の健康状態に係る評価パラメータを設定する設定部と、
前記行動情報を、前記評価パラメータを用いて解析して幼児の健康状態を評価する評価部と、
を有することを特徴とする健康状態評価システム。
【請求項2】
前記評価部は、前記行動情報と前記評価パラメータとの類似度に基づいて、幼児の健康状態を評価する請求項1に記載の健康状態評価システム。
【請求項3】
前記センサ本体は、前記センサ部で取得した前記行動情報を、当該健康状態評価システムを構成する外部機器に送信する通信部を有する請求項1または2に記載の健康状態評価システム
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の健康状態評価システムを用い、幼児の健康状態に係る情報を取得することを特徴とする健康情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児の健康状態に係る情報を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児は、成人と比べて日常的に風邪やストレス等の外因によって体調を崩しやすい。そのため、保護者は、幼児の育児負担が大きい。そこで、保護者の育児負担を低減するために、幼児の不健康状態の予兆発見が必要である。
【0003】
これに対し、2、3歳になってイヤイヤ期を迎えた幼児は、よく不機嫌、反抗的になることが知られている。そのため、保護者が、幼児の体温等の生理量計測を頻繁に行うのは現実的ではない。また、幼児の健康状態を判断するためには、変動しやすい体温だけでは不十分であり、日々の行動の様子から総合的に考える必要がある[非特許文献1]。
【0004】
そこで、幼児の行動から健康状態を推定する手法が求められる。ここで、幼児の行動と健康に着目した関連研究として、食育[非特許文献2]や、発達障害[非特許文献3]に繋げる行動計測が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】兵庫県医師会、 "保育所・幼稚園における健康管理マニュアル"、https://www.hyogo.med.or.jp/inc/uploads/H25-rp03.pdf, 参照日:2019.03.
【文献】Natasha Randall, Swapna Joshi and Xiaohang Liu, "Health-e-Eater: Dinnertime Companion Robot and Magic Plate forImproving Eating Habits in Children from Low-Income Fam-ilies", In Proc. of ACM/IEEE International Conference onHuman-Robot Interaction, pp.361-362, 2018
【文献】Laura Boccanfuso et al., "Emotional Robot to Examine Dif-ferent Play Patterns and Affective Responses of Children withand without ASD", In Proc. of The Eleventh ACM/IEEE In-ternational Conference on Human Robot Interaction,pp.19-26,2016
【文献】坂部美希、石井健太郎、開一夫、 "センサ付きおしゃぶりを用いた乳児の随伴性検出に関する研究"、日本認知科学会、 pp.433-436,2014
【文献】Heather Knight et al., "Real-time Social Touch Gesture Recog-nition for Sensate Robots", In Proc. of IEEE/RSJ Interna-tional Conference on Intelligent Robots and Systems, pp.3715-3720, 2009
【文献】DUARIG, "はじめてのボール選び", https://www.duarig.net/column/733/, 参照日:2019.03.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、日々の健康状態に関したものは少なく、幼児の健康状態を推定可能な行動の指標が未だ分かっていない。また、健康状態の推定を目的とした行動計測用のデバイスも開発されていないのが現状である。よって、指標を明らかにするためには、幼児の健康状態を推定できる可能性が高い行動を計測して検証する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、幼児の健康状態に係る情報を取得し得る、健康状態評価システムおよびこれに用いられる健康情報取得装置、健康情報取得方法並びに曲げ認識センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る健康状態評価システムは、幼児の行動に関する情報である行動情報を計測するセンサ部を有するセンサ本体と、前記センサ本体で計測された行動情報に基づいて幼児の健康状態を評価する健康状態評価部と、を備えることを特徴とする。ここで、本明細書において、「幼児」とは、「生後1年から満6歳までの者」をいう。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る健康情報取得装置は、本発明の一態様に係る健康状態評価システムに用いられ、幼児の健康状態に係る情報を取得するための装置であって、前記センサ本体と、該センサ本体を自身内部に包みこんで該センサ本体の外側を覆う外装体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る健康情報取得方法は、本発明の一態様に係る健康情報取得装置を用い、幼児の健康状態に係る情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る曲げ認識センサは、本発明の一態様に係る健康情報取得装置のセンサ部に用いられる曲げ認識センサであって、可撓性チューブと、前記可撓性チューブの一端に設けられた投光部と、前記可撓性チューブの他端に設けられて前記投光部からの光を受光する受光部と、前記可撓性チューブの途中部分が曲がることにより前記受光部での受光量が減少する程度に基づいて曲げの程度を測定する測定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、幼児の健康状態に係る情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一態様に係る健康情報取得装置の一実施形態の説明図であり、同図(a)は縦中心線左が外装体、右が外装体内のセンサ本体を示し、同図(b)は外装体内のセンサ本体を示している。
図2】本発明の一態様に係る健康情報取得装置の一実施形態の説明図であり、同図右側が外装体内のセンサ本体を示し、左側が分割構造の外装体を示している。
図3】本発明の一態様に係る健康情報取得装置として選定する外装態様の説明図である。
図4図1に示す健康情報取得装置により、幼児の健康状態に係る情報を取得しているときのイメージを示す図である。
図5】本発明の一態様に係る健康情報取得装置を備える健康状態評価システムの一実施形態を説明する機能ブロック図である。
図6図1に示す健康情報取得装置のセンサ本体が有する筐体の説明図であり、同図(a)は基板側から見た斜視図、(b)は基板の反対側から見た斜視図である。
図7図1に示すセンサ本体がセンサ部として有する引っ張りセンサの説明図であり、同図(a)は非牽引状態を示し、(b)は牽引状態を示している。
図8図1に示すセンサ本体がセンサ部として有する曲げ認識センサの説明図であり、同図(a)は軸線に沿った断面図であり、(b)は外観を示す図、また、(c)は曲げ角度と出力電圧の値との関係を示すグラフである。
図9図1に示す健康情報取得装置のセンサ本体に、分割構造の外装体の各部を装着する手順を説明する図((a)~(d))である。
図10図2に示す分割構造の外装体の各部の装着方法を説明する図((a)~(c))である。
図11図5に示す健康状態評価システムにより、幼児の健康状態に係る情報を評価するパラメータが設定される例を説明するためのグラフ((a)~(d))である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0015】
[健康情報取得装置]
本実施形態の健康情報取得装置は、幼児の健康状態に係る情報を取得するためのデバイスであり、幼児の様々な行動を計測する複数のセンサを内蔵したぬいぐるみ様の情報取得装置である。
図1および図2に示すように、この健康情報取得装置10は、センサ本体1と、センサ本体1を自身内部に包みこんでセンサ本体1の外側を覆う柔軟性を有する外装体30と、を備える。
本実施形態のセンサ本体1は、図5に示すように、外装体30に動的に加えられた幼児の行動に関する情報(以下、「行動情報」ともよぶ)を計測するセンサ部80と、センサ部80で取得した行動情報を外部機器である演算装置90に送信する通信部13と、を有する。
【0016】
[健康情報取得装置の全体構成]
本実施形態の健康情報取得装置10は、図2に示すように、分割構造の外装体30を有する。これにより、衛生面の確保のために、健康情報取得装置10の外装体30と、センサ・電装を含むセンサ本体1と、が着脱可能であり、外装体30のみを洗濯可能になっている。
【0017】
本実施形態では、同図に示すように、健康情報取得装置10は、分割構造の外装体30を構成する、布製の耳部32、頭部31、胴部33の3つの部分と、センサ・電装を含むセンサ本体1と、に分解可能になっている。組立て時には、後述するように、分割構造の外装体30とセンサ本体1とをそれぞれ3つの部位で相互に連結する。
【0018】
[健康情報取得装置の外装体]
本実施形態では、測定頻度に着目して、幼児の動的な行動を計測する手段が選定される。
本実施形態では、図3に示すように、センサ設置場所の別に、動的な行動を計測する計測手段を挙げて、測定頻度によってこれを分類し、この分類に基づき、幼児の不健康時の行動変化を計測する行動計測手段の外装態様として、幼児が特別に愛着を示して手放さない過渡対象となる外装態様(以下、「安心毛布」ともよぶ)を採用している。
【0019】
ここで、「安心毛布」とされるのは、毛布、ぬいぐるみ、枕、若しくはひもなどである。この中で、本実施形態では、「ぬいぐるみ」を、健康情報取得装置10の外装体30として採用した。ぬいぐるみは、頭部、耳部、腕部および胴部などの異なる部位を備えており、幼児の様々な動的な行動を引き出して計測できるため、行動計測手段の外装態様として好適である。特に、本実施形態では、ぬいぐるみの中でも、幼児に親しまれる小動物型の外観と柔軟性を有するハンドパペット態様のぬいぐるみを選定した。
【0020】
「安心毛布」を外装態様として採用している理由は、数分、数時間ごとに幼児の様々な動的な行動を測定可能であり、また、屋内外問わず導入可能だからである。外装態様として安心毛布を採用することに伴う制約条件として、幼児が扱いやすい重さと大きさであること、小型で持ち運び可能であることが挙げられる。これらの制約条件を満たすように、計測対象とする動的な行動項目として、安心毛布の中に収容可能なものを選定する必要がある。
【0021】
本実施形態では、センサ部80を構成する各センサ40A、40B、50、60、70および、必要な構成部品の小型化・軽量化を念頭に置いた構成により、健康情報取得装置10全体の重量を308gとすることができた。
参考として、幼児・園児用のサッカーボールは、重量が約300gとされている[非特許文献6参照]。よって、本実施形態の健康情報取得装置10は、およそ幼児が扱うことのできる重量であるといえる。
【0022】
健康情報取得装置10の内部構造は、図1および図2に示したように、頭部31内に位置する電装を内蔵したセンサ本体1の筐体2を中心とし、この筐体2から、センサ部80を構成する各センサ40A、40B、50、60、70に、例えばロボットケーブル等の配線を介して、外装体30に動的に加えられた幼児の行動に基づく行動情報を計測可能に接続されている。
【0023】
図5に、健康状態評価システム100の機能ブロック図を示す。同図に示すように、健康情報取得装置10は、電源部20と、マイクロコントローラ11と、を備える。電源部20は、リチウムイオン電池21と、リニアレギュレータ22とを有し、マイクロコントローラ11に必要な電力が供給される。
センサ部80を構成する各センサ40A、40B、50、60、70で計測した計測データ(行動情報)は、マイクロコントローラ11の制御下で、例えば、Bluetooth(登録商標)規格のワイヤレスモジュール(この例では、エイディーシーテクノロジー、ZEAL C02)13を用いて、健康情報取得装置10とは別個に用意された外部機器であるパーソナルコンピュータ等の演算装置90に送信される。
【0024】
演算装置90は、「課題を解決する手段」に記載する、「健康状態評価部」として構成されている。つまり、演算装置90は、健康状態評価処理のプログラムを実行して、センサ本体1で計測された行動情報に基づいて幼児の健康状態を評価可能に構成される。
本実施形態の演算装置90は、図5に示すように、設定部93と、評価部92と、を有する。設定部93は、幼児による若しくは幼児を想定した動的な行動に関する情報についてのモデルに基づいて、幼児の健康状態に係る評価パラメータを設定する。
【0025】
本実施形態の設定部93は、後述する図11の例で示すように、幼児による若しくは幼児を想定した健康時における動的な行動に応じて計測された健康時行動情報と、幼児による若しくは幼児を想定した不健康時における動的な行動に応じて計測された不健康時行動情報と、をモデルとして、評価パラメータを設定する。
そして、評価部92は、健康情報取得装置10で取得された行動情報を、評価パラメータを用いて解析して幼児の健康状態を評価する。本実施形態の評価部92は、センサ部80で計測された行動情報と評価パラメータとの類似度に基づいて、幼児の健康状態を評価する。
【0026】
[健康情報取得装置のセンサ本体:機能と構造]
健康情報取得装置10は、図6に示すように、外装体30の頭部31内に位置する筐体2を有する。筐体2の円柱部は、上下に設けられた水平な円盤部2b、2cと、上下の円盤部2b、2c相互を縦方向で繋ぐ平板部2aと、を有し、円盤部2b、2cの直径がΦ45mm、平板部2aの高さが80mmとされ、その周囲をアルミ製の円筒で覆う構造となっている。本実施形態では、筐体2の円盤部2b、2cおよび平板部2aは、アクリル樹脂を用いて3Dプリンタで造形され、バッテリ(この例では、リチウムイオン電池)21と、引っ張りセンサ60と、基板3とを筐体2に内蔵している。
【0027】
この円柱状の筐体2に、センサ40A、40B、50以外の全ての電装部品が収容されている。内蔵・小型化の工夫として、筐体2の構造を平板部2aの面の表裏の側で非対称に配置することで、コネクタなどの背の高い電子部品が筐体2に収容されている。加えて、バッテリ21に薄型品を使用して省スペース化が図られている。また、バッテリ21は、筐体2の円柱上面(円盤部2bの側)から保護者によって交換可能になっている。
【0028】
[幼児の動的な行動を計測するためのセンサ部]
(a)センサ部としての、「引っ張る」行動を計測する引っ張りセンサ
「引っ張る」行動の計測では、センサ本体1の下部に取り付けた、紐62とリング63を引っ張るものとする。引っ張りセンサ60の条件として、小型・軽量である必要がある。
よって、硬く重いロードセルや張力センサは、引っ張りセンサ60として不適当である。本実施形態では、図7に示す機構により、張力を樹脂が摺動する変位量へと変換させ、その変位量をフォトリフレクタ64で測定可能になっている。
【0029】
図7に示すように、引っ張りセンサ60は、筐体2の下部に設けられたブロック状のベース61を有する。ベース61の下端面には、軸方向に沿って設けられた左右一対の座繰り穴が形成されている。各座繰り穴には、段付きのストリッパボルト65の段部がスライド移動可能に挿入され、各ストリッパボルト65先端のねじ部が筐体2側に固定されている。
【0030】
各ストリッパボルト65には、座繰り部分にコイルスプリング66が装着されている。そして、ベース61下端面には、紐62を介してリング63が設けられ、紐62とリング63を下方に引っ張ることでベース61が軸方向に沿って摺動し、そのときのベース61の動きを、フォトリフレクタ64でベース61上面との対向距離の変化として測定可能になっている。なお、図7(b)に示す符号Pは、紐62とリング63が下方に引っ張られてベース61がスライド移動したイメージを示している。
【0031】
引っ張りセンサ60は、上述の機構によって小型・軽量化が可能である。また、ベース61内部のコイルスプリング66の種類を変えることで測定可能な力を調整可能である。測定されたベース61上面との対向距離の変化量は、マイクロコントローラ11から通信部13を介して演算装置90に送信される。演算装置90においては、センサ部80で計測された幼児の行動に関する情報である行動情報として取得され、演算装置90の設定部93の情報蓄積部に格納され、上記健康状態評価処理のプログラムの実行により必要に応じて参照され、また、必要に応じて表示装置94に表示される。
【0032】
(b)センサ部としての、「頭・顔をこすりつける」行動を計測する圧力センサ
ぬいぐるみ様の外装体30への接触状態の計測手段として、静電容量式のセンサを利用した研究がある[非特許文献5参照]。しかし、静電容量式のセンサでは、距離変化に対する感度が高い。そのため、センサを埋め込んで位置を固定する必要があり、健康情報取得装置10のセンサ本体1から外装体30を着脱可能な機構とするのは困難である。一方、幼児が安心毛布に「頭・顔をこすりつける」行動は、主に柔らかく面積の広い頭や胴体部に対して行うと考えられる。
【0033】
これに対し、本実施形態では、外装体30の頭部31には、センサ本体1の電装部が搭載された筐体2が収容されるため、幼児が頭・顔をこすりつけるには硬い。そのため、本実施形態では、より柔らかい胴部33の部分に圧力センサ50を導入する。
【0034】
本実施形態では、幼児の動的な行動によって胴部33の面に圧力がかかることとセンサの着脱性の便宜とを考えて、図1に示すように、面の圧力を抵抗変化に変換する、シート状の圧力センサ50を採用して胴部33の部分に内蔵した。
測定された圧力センサ50の抵抗の変化量は、図5に示すように、マイクロコントローラ11から通信部13を介して演算装置90に送信される。演算装置90においては、センサ部80で計測された幼児の行動に関する情報である行動情報として取得され、演算装置90の設定部93の情報蓄積部に格納され、上記健康状態評価処理のプログラムの実行により必要に応じて参照され、また、必要に応じて表示装置94に表示される。
【0035】
(c)センサ部としての、「握る・曲げる」行動を計測する曲げ認識センサ40A、40B
本実施形態の曲げ認識センサ40A、40Bは、ぬいぐるみ様の外装体30への耳や手を「握る・曲げる」行動を計測する。曲げ認識センサ40A、40Bの条件として、手や耳の中にセンサが入る場合は、小型軽量かつ幼児でも曲げられるほどの柔軟性が必要である。
【0036】
しかし、市販されている曲げセンサは、軽量ではあるものの、一定方向の曲げ測定しか出来ず、別の方向に曲げると破損するおそれがある。一方、幼児は、動的な行動として、任意の方向に外装体30の耳や手を曲げることから、この種の市販のセンサでは、外装体30に動的に加えられた幼児の行動に基づく行動情報を計測する上で不適切である。よって、曲げる方向によらずに測定可能な曲げ認識センサが求められる。
【0037】
そこで、本実施形態では、上記の制限を満たす曲げ認識センサ40A、40Bとして、図8に示すような、フォトトランジスタ42の受光量変化によって曲げを測定するセンサを開発した。
曲げ認識センサ40A、40Bは、同図に示すように、可撓性チューブであるゴム管43と、ゴム管43の一端に設けられた投光部であるLED41と、ゴム管43の他端に設けられてLED41からの光を受光するフォトトランジスタ42と、ゴム管43の途中部分が曲がることによりフォトトランジスタ42で受光量が減少する程度に基づいて曲げの程度を測定する測定部と、を有する。
【0038】
フォトトランジスタ42で測定された受光量は、図5に示すように、マルチプレクサ12を介してマイクロコントローラ11に出力され、マイクロコントローラ11から通信部13を介して演算装置90に送信される。演算装置90においては、センサ部で計測された行動情報に基づいた幼児の健康状態に係る情報として取得され、演算装置90の情報蓄積部に格納される。つまり、本実施形態では、演算装置90が、フォトトランジスタ42で受光量が減少する程度に基づいて曲げの程度を測定する「測定部」に対応する。
【0039】
この曲げ認識センサ40A、40Bは、健康情報取得装置10のセンサ部80として用いられ、図1および図2に示すように、ぬいぐるみ様の健康情報取得装置10の腕部34および耳部32の部分に内蔵される。計測時には、図8(a)に示したように、可撓性チューブであるゴム管43の端点にあるLED41の光をフォトトランジスタ42で受光する。なお、図8(a)に示す符号Fは、ゴム管43の途中部分でゴム管43が曲げられているイメージを示している。
【0040】
本実施形態では、図8(b)に示すように、管状の曲げ認識センサ40A、40Bで、LED41までの導線44をスパイラル状にゴム管43の周囲に巻くことによって、どの方向に曲げても同様に形状変化し測定が可能になっている。また、ゴム管43が約10mmほどの径で小型軽量であり、かつ十分に柔軟である。加えて、ゴム管43の種類を変えることで柔軟性の調整が可能である。
【0041】
以上より「握る・曲げる」の計測手法として曲げ認識センサ40A、40Bを開発し、健康情報取得装置10に採用した。この曲げ認識センサ40A、40Bによれば、ゴム管43の中央等の途中部分でゴム管43が曲がることで受光量が減少する。そのため、曲げ認識センサ40A、40Bによれば、8図(c)に示すように、受光量が0になるまでの曲げ角度を測定可能である。
【0042】
これにより、本実施形態の曲げ認識センサ40A、40Bは、多方向への曲げ認識が可能である。曲げ認識センサ40A、40Bで取得された曲げ角度の変化の情報は、マイクロコントローラ11から通信部13を介して演算装置90の通信部91に送信される。演算装置90は、曲げの程度を測定する「測定部」として機能して、曲げ認識センサ40A、40Bで計測された幼児の行動に関する情報である行動情報として取得される。そして、演算装置90では、取得された行動情報が設定部93の情報蓄積部に格納され、上記健康状態評価処理のプログラムの実行により必要に応じて参照され、また、必要に応じて表示装置94に表示される。
【0043】
(d)センサ部としての、「投げる」行動を計測する加速度センサ
「投げる」は、センサ本体1に設けた3軸の加速度センサ70により、3軸の加速度を測定し、健康情報取得装置10が落下した時の衝撃による加速度変化を測定することで、幼児の動的な行動の差異を得ようとするものである。よって、本実施形態では、「投げる」行動を計測するセンサに、3軸の加速度センサ70を用い、健康情報取得装置10の頭部31内の電装部に組み込んでいる。
【0044】
加速度センサ70で取得された加速度変化の情報は、図5に示すように、マイクロコントローラ11から通信部13を介して演算装置90の通信部91に送信される。演算装置90では、センサ部80で計測された行動情報に基づいた幼児の健康状態に係る情報として取得され、演算装置90の設定部93の情報蓄積部に格納され、上記健康状態評価処理のプログラムの実行により必要に応じて参照され、また、必要に応じて表示装置94に表示される。
【0045】
本実施形態においては、上述した、(a)「引っ張る」行動を計測する引っ張りセンサ60と、(d)「投げる」行動を計測する加速度センサ70は、頭部31内のセンサ本体1の円柱部に内蔵されている。引っ張りセンサ60は、胴部33の下部から紐62を介して垂下されたリング63を引っ張る行動を計測する。
【0046】
また、本実施形態において、胴部33に位置する(b)「頭・顔をこすりつける」行動を計測するためのシート状の圧力センサ50は、圧力センサ50の周囲をゴム板で覆うことで、ねじれによる破損を防いでいる。そして、(c)「握る・曲げる」行動を計測する曲げ認識センサ40A、40Bは、外装体30の左右の耳部32および左右の腕部34に計4つが内蔵されている。
【0047】
[健康情報取得装置の作用効果]
幼児の健康状態を推定するデバイスに対する要求機能と、これに応じた本実施形態の健康情報取得装置10の作用効果は以下の通りである。
(要求機能1)幼児の様々な行動を高頻度に計測可能
従来、幼児の健康状態を判断できる指標が定まっていないところ、本実施形態の健康情報取得装置10によれば、センサ本体1と、センサ本体1を自身内部に包みこんでセンサ本体1の外側を覆う柔軟性を有する外装体30と、を備えるので、幼児が愛着を示す過渡対象となる外装態様を有する外装体30でセンサ本体1の外側を覆うことによって、より多くの行動情報を高頻度に取得できる。
【0048】
[幼児の様々な動的な行動を高頻度に計測するための健康情報取得装置]
特に、(要求機能1)を満たすために、健康情報取得装置10の設計方針を以下のように定めた。
[計測対象とする幼児の動的な行動の選定]
本実施形態では、健康情報取得装置10で計測する幼児の動的な行動として、特に不健康時の防衛機制「行動化」にある幼児の癇癪に注目した。そして、幼児が癇癪を起こしたときによくとる行動を中心にリストアップし、健康情報取得装置10で計測すべき幼児の動的な行動を選定した。
【0049】
すなわち、本実施形態では、(a)「引っ張る」、(b)「頭や顔をこすりつける(胴体をいじる)」、(c)「握る・曲げる」、(d)「投げる」の4つの行動を、健康情報取得装置10での幼児の動的な行動の計測対象とした。これらの動的な行動は、毛布やぬいぐるみなどの「安心毛布」に対して、幼児が特に高頻度に行う行動だと考えられるからである。
【0050】
一方、癇癪時に行う他の動的な行動として、「指しゃぶり」や「泣く・笑う」などがあるものの、本実施形態では、これらの行動については計測対象から除外した。「しゃぶる」行動の計測では、幼児の口内部にセンサを入れる場合、安全性の確保が困難だからである。また、既におしゃぶりセンサ(例えば非特許文献4参照)が研究されているところ、幼児の多くは、おしゃぶりを卒業しているため、「しゃぶる」行動の計測は難しいと考えられるからである。
【0051】
また、「泣く・笑う」行動を計測するためには、カメラやマイク等が考えられるが、プライバシーやオクルージョンの問題、複数人の幼児の声を聞き分けなければならない等の技術的なハードルの高さから、本実施形態では、安心毛布態様の健康情報取得装置10には適していないと判断して不採用とした。
【0052】
(要求機能2)安全・衛生の確保
次に、幼児は、おもちゃ等に対して想定外な動的な行動をとることが多いことから怪我をし易いため、安全面には十分に考慮する必要がある。また、幼児は、よく物を口にくわえることから、衛生面の確保についても十分に考慮する必要がある。
これに対し、本実施形態の健康情報取得装置10によれば、外装体30は、センサ本体1とは分離可能に構成されるとともに、洗浄可能な柔軟な素材から構成されているので、これらの要求機能を満たす構成を備えているといえる。
【0053】
[幼児の安全性の確保]
ここで、要求機能(2)を満たすために、本実施形態では、以下を健康情報取得装置10の設計方針と定めた。
まず、各電子部品への接触・誤飲を防止するために、センサ・バッテリその他の機構が、すべてセンサ本体1の内部で完結していること。加えて、センサ本体1と外装体30の布部の着脱により、健康情報取得装置10の構成のうち、幼児が触れる外装体30の洗濯が可能であることである。また、長時間の計測を可能にするために、上記の方針を満たしつつ、センサ本体1から、保護者によるバッテリ21の交換が容易に可能な機構としている。
【0054】
次に、健康情報取得装置10の分解・組立方法について説明する。
健康情報取得装置10を組み立てる際は、図10に示すように、まず、頭部31内にセンサ本体1の円柱部を入れて相互を面ファスナ(例えばマジックテープ(登録商標))で留める((工程1)同図(a)参照)。
次に、頭部31の上部左右の穴から出した耳用の曲げ認識センサ40Aを、左右の各耳部32内に留める((工程2)同図(b)参照)。この装着作業は、同図に示すように、センサ本体1側の各曲げ認識センサ40Aの先端に設けられたボタンに、各耳部32内のゴムひもを掛け止めることで固定される。
【0055】
胴部33においては、手用の曲げ認識センサ40Bと圧力センサ50をぬいぐるみの胴部33に入れる((工程3)同図(c)参照)。この装着作業では、同図に示すように、頭部31の首元をスナップボタンで固定する。
これにより、図9(a)~(d)に示す手順で、健康情報取得装置10の組立てが完了する。本実施形態では、これら各部の固定構造は、掴み部分が少なく、また、外す方向に力をかけにくい構造になっている。そのため、幼児の力では、健康情報取得装置10の各部の固定構造を外すのが困難だが、保護者であれば容易に着脱可能である。
【0056】
[健康時および不健康時(癇癪時)における動的な行動の計測実験およびこれに基づく健康状態の評価]
[実験目的・設定]
ここでは、幼児の健康時および不健康時を想定した行動を、実験協力者の成人5人に模倣してもらい、本実施形態のぬいぐるみ様の健康情報取得装置10の基本性能を評価した。本実施形態では、不健康時の想定として、幼児の癇癪行動に焦点を当てた。
実験協力者には、動的な行動に関する情報についてのモデルとして、表1に示すように、「リング63を引っ張る」、「胴部33をいじる(頭・顔をこすりつける)」、「腕部34・耳部32を曲げる」、健康情報取得装置10自体を「投げる」の4つの動的な行動について、それぞれ健康時および癇癪時の2パターンを模倣してもらい、本実施形態の健康情報取得装置10を用いて各行動を計測した。
【0057】
【表1】
【0058】
上記の実験において、「頭・顔をこすりつける」行動は、衛生面を考慮して、「胴部33をいじる」行動で代用した。また、実験協力者には、実験前に幼児の癇癪行動の動画を参考として見てもらった。各行動は、30秒ずつ、「投げる」行動は5回計測した。
なお、実験協力者を成人としたのは、本実施形態の健康情報取得装置10の安全性を確認するとともに、本発明者側の指示通りの動的な行動のモデルに基づくデータを計測するためである。実験の様子のイメージを図4に示す。
【0059】
[実験結果および考察]
(a)「リング63を引っ張る」、(b)「胴部33をいじる」の結果を図11(a)、(b)にそれぞれ示す。図11(a)(b)共に、計測データを周波数解析したものである。縦軸が強度、横軸が周波数であり、実線が健康時、一点鎖線が癇癪時(不健康時)を示す。どちらも、癇癪時では、2Hz以上にてピークを持つことが分かった。
この傾向は、実験協力者5人全員に現れていた。考察として、癇癪時での激しく動く特徴が平常時よりも高い周波数として現れたと考えられる。以上より、「リング63を引っ張る」、「胴部33をいじる」行動では、本実験協力者の成人のような、幼児を想定した人であれば、健康時の状態と癇癪時の状態とを判別する評価パラメータを設定可能である。
【0060】
次に、(c)「腕部34・耳部32を曲げる」、(d)健康情報取得装置10自体を「投げる」の動的な行動の結果を、図11(c)(d)にそれぞれ示す。図11(c)は4つの曲げ認識センサ40A,40Bでの計測データを二乗平均平方根した値を比較したもの、図11(d)は、加速度センサ70で計測された3軸の加速度データを二乗平均平方根した値を比較したものである。どちらも、縦軸が出力電圧、横軸が時間を示す。
【0061】
結果として、まず、「腕部34・耳部32を曲げる」では、一点鎖線で示す癇癪時の時間当たりの変動量が健康時の変動量よりも激しいことが分かった。この傾向は、実験協力者5人の全員に現れていた。考察として、「腕部34・耳部32を曲げる」の癇癪時での激しく振り回すという動作の特徴により、変動量に違いが現れたと考えられる。
【0062】
一方、図11(d)に示す「投げる」の結果は、健康情報取得装置10の着地時などのピーク値や変動量では明確な差異が見受けられなかった。周波数解析等でも同様に差異が見られなかった。
これは、健康情報取得装置10の着地点に綿を用いたこととも相まって、健康時・癇癪時のいずれにおいても、着地時に健康情報取得装置10自体が跳ねて回転していたことが影響していると考えられる。ランダムな回転での健康情報取得装置10の姿勢変化による加速度変化が、着地の衝撃による変化よりも大きくデータに現れているためだと言える。
【0063】
上述したように、本実施形態の健康情報取得装置10およびこれを用いた健康状態評価システム100によれば、幼児の健康状態に係る情報を取得できる。
特に、本実施形態の健康情報取得装置10によれば、幼児を想定した健康時・癇癪時の行動計測実験によって示したように、外装体30に動的に加えられた幼児の行動に関する情報である行動情報として、「引っ張る」「胴体をいじる」「曲げる」行動では、各行動における状態の違いを識別できる評価パラメータを設定できる。よって、これを用いた健康状態評価システム100によれば、健康情報取得装置10で取得された行動情報を、評価パラメータを用いて解析して、幼児の健康状態を評価できる。
【0064】
また、上述したように、本実施形態のぬいぐるみ様の健康情報取得装置10の開発の成果として、幼児の健康状態に係る情報を取得するセンサとして、多方向の曲げ認識が可能な曲げ認識センサ40A、40Bと、小型・軽量な引っ張りセンサ60と、を提供することができる。
【0065】
また、本実施形態の健康情報取得装置10によれば、ぬいぐるみ様の外装体30内に、計測すべき幼児の動的な行動を選定して、4種類の行動計測センサを有するセンサ本体1を内蔵したので、幼児の健康状態を推定するために、高頻度な複数の動的な行動を同時に計測できる。
【0066】
また、本実施形態の健康情報取得装置10によれば、全ての電装部・機構を外装体30内部のセンサ本体1に収容し、かつ、センサ本体1の外側を覆う柔軟性を有する布を含む構成の外装体30とセンサ本体1とを相互に着脱可能に構成したので、健康情報取得装置10の安全と衛生が確保できる。
【0067】
なお、本発明に係る健康情報取得装置、健康状態評価システムおよび健康情報取得方法並びに曲げ認識センサは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、健康情報取得装置10は、行動情報を計測するセンサ部80を構成するセンサとして、複数のセンサ40A、40B、50、60、70で計測する例を示したが、これに限定されず、例えば、センサ本体1は、センサ部80として、曲げ認識センサ、加速度センサ、角速度センサ、引っ張りセンサ、圧力センサからなる群から選ばれる1以上のセンサを有する構成とすることができる。
【0068】
また、例えば上記実施形態では、健康情報取得装置10が通信部13を備える例を示したが、これに限らず、健康情報取得装置10は、通信部13が、本発明に係る健康情報取得装置としての必須の構成要素ではない。
例えば、健康情報取得装置10に通信部を設けずに、センサ本体1に、センサ部80で計測された行動情報と幼児の健康時における行動および幼児の不健康時における行動との類似度に基づいて、幼児の健康状態に係る評価をする健康状態評価部を装備して、健康状態評価システムを構成してもよい。さらに、健康情報取得装置10に健康状態評価部と表示器とを搭載し、その表示器に、健康状態評価部で評価された、幼児の健康状態に係る情報を表示するように構成してもよい。
また、通信部13に加え、センサ本体1に、上記健康状態評価部と、健康状態評価部で評価された幼児の健康状態に係る情報を記憶する情報蓄積部と、を有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 センサ本体
2 筐体
3 基板
10 健康情報取得装置
11 マイクロコントローラ
12 マルチプレクサ
13 通信部
20 電源部
21 バッテリ(リチウムイオン電池)
22 リニアレギュレータ
30 外装体
31 頭部
32 耳部
33 胴部
34 腕部
40A、40B 曲げ認識センサ
41 LED
42 フォトトランジスタ
43 ゴム管(可撓性チューブ)
44 導線
45 熱収縮チューブ
50 圧力センサ
60 引っ張りセンサ
61 ベース
62 紐
63 リング
64 フォトリフレクタ
65 ストリッパボルト
66 コイルスプリング
70 加速度センサ
80 センサ部
90 演算装置
91 通信部
92 評価部
93 設定部
94 表示装置
100 健康状態評価システム
P 実験協力者、幼児
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11