(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】架橋ポリオルガノシロキサン及びそれを含むパーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20230406BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230406BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20230406BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C08L83/07
A61Q19/00
A61K8/89
C08L83/05
(21)【出願番号】P 2018563842
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(86)【国際出願番号】 US2017036044
(87)【国際公開番号】W WO2017214075
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-28
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジーミン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,シグフレド
(72)【発明者】
【氏名】フォーク,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】デュソー,アン
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-194218(JP,A)
【文献】特表昭56-501488(JP,A)
【文献】特開平05-287217(JP,A)
【文献】特表2015-510527(JP,A)
【文献】国際公開第2016/014127(WO,A1)
【文献】特開平10-168318(JP,A)
【文献】ZHANG, D. et al.,Microemulsion Polymerization of Siloxane with Nonionic Surfactants as Emulsifiers,Journal of Applied Polymer Science,2003年,Vol. 89,p. 3587-3593
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
A61K 8/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)≧2のフリーラジカル重合可能な基及び0若しくは≧1のヒドロシリル基を含むポリオルガノシロキサンI、および、0若しくは≧1のフリーラジカル重合可能な基及び≧1のヒドロシリル基を含むポリオルガノシロキサンIIの、乳化重合反応の下でのフリーラジカル開始付加重合から得られる架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション、(b)貴金属を実質的に欠いた架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(a)、(c)架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(a)の濃縮物、及び(d)架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(b)の濃縮物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項2】
デュロメーターで測定した、JIS K6253規格によるタイプA硬度として表される10~90の架橋密度;レオメトリーにより測定された500~50,000Paの貯蔵弾性率;及びミリスチン酸イソプロピル中で測定された600重量/重量%を超えない最大膨潤度のうち、少なくとも1つの特性を示す、請求項1に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項3】
デュロメーターで測定した、JIS K6253規格によるタイプA硬度として表される架橋密度が、貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下で同じ数の官能基を有する同じ重量の量のポリオルガノシロキサン反応物のヒドロシリル化によって調製された、既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルの架橋密度よりも少なくとも5%大きいこと;レオメトリーによって測定される貯蔵弾性率G'が前記既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの貯蔵弾性率よりも少なくとも10%大きいこと;及びミリスチン酸イソプロピル中における最大膨潤度が、前記既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの最大膨潤度よりも少なくとも5%小さいことのうち、少なくとも1つの特性を示す、請求項1に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項4】
架橋ポリオルガノシロキサンIが一般式(I)で表される、請求項1に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
M
aM
H
bM
V
cM”
dM
*
eD
fD
H
gD
V
hD”
iD
*
jT
kT
H
lT
V
mT”
nT
*
oQ
p (I)
M=R
1R
2R
3SiO
1/2;
M
H=R
4R
5HSiO
1/2;
M
V=R
6R
7R
8SiO
1/2;
M”=R
9R
10R
22SiO
1/2;
M
*=R
11R
12R
23SiO
1/2;
D=R
13R
14SiO
2/2;
D
H=R
15HSiO
2/2;
D
V=R
16R
17SiO
2/2;
D”=R
18R
22SiO
2/2;
D
*=R
19R
23SiO
2/2;
T=R
20SiO
3/2;
T
H=HSiO
3/2;
T
V=R
21SiO
3/2;
T”=R
22SiO
3/2;
T
*=R
23SiO
3/2;
Q=SiO
4/2
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、R
8、R
13、R
14、R
15、R
17及びR
20はそれぞれ独立して、炭素数60までの1価の炭化水素基;R
6、R
16及びR
21はそれぞれ独立してフリーラジカル重合性基;R
9、R
10及びR
18はそれぞれ独立して、炭素数60までの1価の炭化水素基又はR
22であり;各々のR
22は独立して、炭素数60までの1価のアルコキシ基であり、また任意選択的に少なくとも1個のイオン性基を含み;R
11、R
12及びR
19はそれぞれ独立して炭素数60までの1価の炭化水素基又はR
23であり;各々のR
23は独立して1以上のエーテル部位を有し、合計で2~200個の炭素原子を有する1以上のアルキレンオキシ基が結合している、炭素数3~6の2価のアルキレン
基であり;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o及びpはそれぞれ独立して0又は正の数であり、但しc+h+m≧2であり;そして
ポリオルガノシロキサンIIは、ポリオルガノシロキサンIと同様に定義されるが、c+h+mは0又は1であり、且つb+g+l≧1であり、ポリオルガノシロキサンIIのR
1~R
23と添え字a~pは、ポリオルガノシロキサンIのR
1~R
23と添え字a~pとは独立して選択される。
【請求項5】
ポリオルガノシロキサンIのフリーラジカル重合可能な基R
6、R
16及びR
21の少なくとも1つは以下の群から選択される、請求項4に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【化3】
式中、各R
25は独立して、任意選択的に1またはより多くのヘテロ原子を含有する炭素数20までの2価の炭化水素基;R
26及びR
27はそれぞれ独立して、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合可能な基;R
28は任意選択的に1またはより多くのヘテロ原子を含有する炭素数20までの3価の炭化水素基;そして下付き文字q、r及びsはそれぞれ独立して0又は正の数であり、但しq+r+s≧1である。
【請求項6】
ポリオルガノシロキサンI及び/又はポリオルガノシロキサンIIのR
26とR
27のうち少なくとも1つは下記から選択される、請求項5に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【化4】
式中、Yは存在しないかまたは前に定義したR
25基であり、R
29、R
30及びR
31はそれぞれ独立して水素又は炭素数20までの1価の炭化水素基である。
【請求項7】
ポリオルガノシロキサンIが、以下からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
M
V
cD
fD
V
hM
2-c I(e)
式中、M
V、D、D
V及びMは前に定義した通りであり、添字c、f及びhは0又は正の数であり、但しfは0~2000、hは0~500、cは0~2、c+hは2~500である;
M
V
cQ
p I(g)
式中、M
V及びQは前に定義した通りであり、添字c及びpは0又は正の数であり、但しc≧1、p≧1、c+pが2~100であり;
M
H
bM
V
cD
fD
H
gD
V
hM
2-b I(h)
式中、M
H、M
V、D、D
H、D
V及びMは前に定義した通りであり、b、c、f、g及びhは0又は正の数であり、但しfは1~1000、bは0又は1、cは0~2、b+gは1、c+hは2~500であり;
D
fD
V
h I(i)
式中、D及びD
Vは先に定義した通りであり、添字f及びhは0又は正の数であり、但しf+hが3~8である。
【請求項8】
ポリオルガノシロキサンI(e)において、fは10~1000、hは0~100、c+hは2~100、M
VとD
V部分はそれぞれ独立してビニル基、アリル基、メタリル基、アクリレート基及び/又はアルカクリレート基を含み;
ポリオルガノシロキサンI(g)において、c≧2、p≧2、c+pは4~40、M
V部分はそれぞれ独立してビニル基、メタリル基、アクリレート基及び/又はアルカクリレート基を含み;
ポリオルガノシロキサンI(h)において、fは10~300、c+hは2~100、M
VとD
V部分はそれぞれ独立して、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリレート基及び/又はアルカクリレート基を含み;そして
ポリオルガノシロキサンI(i)において、f+hは3~6、D
V部分はそれぞれ独立して、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリレート基及び/又はアルカクリレート基を含む、請求項7に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項9】
ポリオルガノシロキサンI(e)において、fは10~500、hは0~50、c+hは2~50、M
VとD
V部分はそれぞれ独立してビニル基を含み;
ポリオルガノシロキサンI(g)において、c≧3、p≧3、c+pは6~20、M
V部分はそれぞれ独立してビニル基を含み;
ポリオルガノシロキサンI(h)において、fは10~100、c+hは2~50、M
VとD
V部分はそれぞれ独立してビニル基を含み;
ポリオルガノシロキサンI(i)において、f+hは3~5、D
V部分はそれぞれ独立
してビニル基を含む、請求項7に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項10】
ポリオルガノシロキサンIIが、以下の群から選択される1種以上である、請求項4に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
M
H
bD
fD
H
gM
2-b II(a)
式中、M
H、D、D
H及びMは前に定義した通りであり、添字b、f及びgは0又は正の数であり、但しfは10~300、gは0~50、bは0~2、b+gは1~52であり;
M
H
bD
fD
H
gD
*
jM
2-b II(b)
式中、M
H、D、D
*、D
H及びMは前に定義した通りであり、添字b、f、g及びjは0又は正の数であり、但しbは0~2、gは0~50、jは0.1~50、fは0~500、b+gは1~52であり;
M
H
bQ
pM
2-b II(c)
式中、M
H、Q及びMは前に定義した通りであり、b及びpは0又は正の数であり、但しb≧1、p≧1、b+pは2~40であり;
M
H
bD
fD”
iD
H
gM
2-b II(d)
式中、M
H、D、D”、D
H及びMは前に定義した通りであり、b、f、i及びgは0又は正の数であり、但しfは10~50、iは0~20、b+gは1~100であり;
M
H
bM
V
cD
fD
H
gD
V
hM
2-b II(e)
式中、M
H、M
V、D、D
H、D
V及びMは前に定義した通りであり、b、c、f、g及びhは0又は正の数であり、但しfは1~300、b+g≧1、c+hは1~100であり;
D
fD
H
gD
V
h II(f)
式中、D、D
H及びD
Vは前に定義した通りであり、f、g及びhは0又は正の数であり、但しf+g+hは3~7である。
【請求項11】
ポリオルガノシロキサンII(a)において、fは10~30、gは1~30、b+gは1~32;
ポリオルガノシロキサンII(b)において、gは1~30、jは0.1~8、fは10~150、b+gは1~32;
ポリオルガノシロキサンII(c)において、b≧3、p≧3、b+pは6~20;
ポリオルガノシロキサンII(d)において、fは10~40、iは1~8、b+gは1~14;
ポリオルガノシロキサンII(e)において、fは10~30、b+g≧2、c+hは1~100;そして
ポリオルガノシロキサンII(f)において、f+g+hは3~6である、請求項10に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項12】
ポリオルガノシロキサンII(a)において、fは10~25、gは2~10、b+gは2~12;
ポリオルガノシロキサンII(b)において、gは2~10、jは0.1~6、fは10~125、b+gは2~12;
ポリオルガノシロキサンII(c)において、b≧3、p≧3、b+pは6~18;
ポリオルガノシロキサンII(d)において、fは10~35、b+gは1~10;
ポリオルガノシロキサンII(e)において、fは10~24、b+g≧3;
ポリオルガノシロキサンII(f)において、f+g+hは3~5、D
Vはビニル基である、請求項10に記載の架橋ポリオルガノシロキサン。
【請求項13】
請求項1に記載の架橋ポリオルガノシロキサンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項14】
請求項2に記載の架橋ポリオルガノシロキサンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項15】
請求項3に記載の架橋ポリオルガノシロキサンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項16】
請求項4に記載の架橋ポリオルガノシロキサンを含むパーソナルケア組成物。
【請求項17】
消臭剤、制汗剤、制汗剤/消臭剤、スティック及びロールオン調製物、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング調製物、スタイリングジェル、染毛剤、ヘアカラー調製物、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、日焼け止め剤、アンチエイジング剤、リップスティック、リップバーム、リップグロス、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ、美容クリーム、マスカラ、保湿調製剤、ファンデーション、コンシーラー、ボディーアンドハンドプレパレーション、スキンケアプレパレーション、フェイスアンドネックプレパレーション、フレグランスプレパレーション、ソフトフォーカスプレパレーション、日中スキンケアプレパレーション、日焼けプレパレーション、ハンドリキッド、パーソナルケア用不織布、ティッシュペーパー、ベビーローション、フェイシャルクレンジング製剤、ヘアキューティクルコート、ジェル、フォームバス、ボディーウォッシュ、スクラブクレンザー、徐放性パーソナルケア製剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、スキンケア保湿ミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクリーナー、傷み防止剤、皮膚剥離剤、皮膚落屑増強剤、抗ニキビ製剤、皮膚タオル、スキンクロス、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング及び局所的に適用される治療薬と医薬品用の薬物送達システムからなる群から選択される請求項13に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項18】
消臭剤、制汗剤、制汗剤/消臭剤、スティック及びロールオン調製物、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング調製物、スタイリングジェル、染毛剤、ヘアカラー調製物、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、日焼け止め剤、アンチエイジング剤、リップスティック、リップバーム、リップグロス、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ、美容クリーム、マスカラ、保湿調製剤、ファンデーション、コンシーラー、ボディーアンドハンドプレパレーション、スキンケアプレパレーション、フェイスアンドネックプレパレーション、フレグランスプレパレーション、ソフトフォーカスプレパレーション、日中スキンケアプレパレーション、日焼けプレパレーション、ハンドリキッド、パーソナルケア用不織布、ティッシュペーパー、ベビーローション、フェイシャルクレンジング製剤、ヘアキューティクルコート、ジェル、フォームバス、ボディーウォッシュ、スクラブクレンザー、徐放性パーソナルケア製剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、スキンケア保湿ミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクリーナー、傷み防止剤、皮膚剥離剤、皮膚落屑増強剤、抗ニキビ製剤、皮膚タオル、スキンクロス、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング及び局所的に適用される治療薬と医薬品用の薬物送達システムからなる群から選択される請求項14に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項19】
消臭剤、制汗剤、制汗剤/消臭剤、スティック及びロールオン調製物、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング調製物、スタイリングジェル、染毛剤、ヘアカラー調製物、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、日焼け止め剤、アンチエイジング剤、リップスティック、リップバーム、リップグロス、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ、美容クリーム、マスカラ、保湿調製剤、ファンデーション、コンシーラー、ボディーアンドハンドプレパレーション、スキンケアプレパレーション、フェイスアンドネックプレパレーション、フレグランスプレパレーション、ソフトフォーカスプレパレーション、日中スキンケアプレパレーション、日焼けプレパレーション、ハンドリキッド、パーソナルケア用不織布、ティッシュペーパー、ベビーローション、フェイシャルクレンジング製剤、ヘアキューティクルコート、ジェル、フォームバス、ボディーウォッシュ、スクラブクレンザ
ー、徐放性パーソナルケア製剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、スキンケア保湿ミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクリーナー、傷み防止剤、皮膚剥離剤、皮膚落屑増強剤、抗ニキビ製剤、皮膚タオル、スキンクロス、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング及び局所的に適用される治療薬と医薬品用の薬物送達システムからなる群から選択される請求項15に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項20】
消臭剤、制汗剤、制汗剤/消臭剤、スティック及びロールオン調製物、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング調製物、スタイリングジェル、染毛剤、ヘアカラー調製物、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、日焼け止め剤、アンチエイジング剤、リップスティック、リップバーム、リップグロス、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ、美容クリーム、マスカラ、保湿調製剤、ファンデーション、コンシーラー、ボディーアンドハンドプレパレーション、スキンケアプレパレーション、フェイスアンドネックプレパレーション、フレグランスプレパレーション、ソフトフォーカスプレパレーション、日中スキンケアプレパレーション、日焼けプレパレーション、ハンドリキッド、パーソナルケア用不織布、ティッシュペーパー、ベビーローション、フェイシャルクレンジング製剤、ヘアキューティクルコート、ジェル、フォームバス、ボディーウォッシュ、スクラブクレンザー、徐放性パーソナルケア製剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、スキンケア保湿ミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクリーナー、傷み防止剤、皮膚剥離剤、皮膚落屑増強剤、抗ニキビ製剤、皮膚タオル、スキンクロス、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング及び局所的に適用される治療薬と医薬品用の薬物送達システムからなる群から選択される請求項16に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の架橋ポリオルガノシロキサンと少なくとも1種の他のソフトフォーカス効果添加剤とを含むソフトフォーカス効果組成物。
【請求項22】
請求項4に記載の架橋ポリオルガノシロキサンと少なくとも1種の他のソフトフォーカス効果添加剤とを含むソフトフォーカス効果組成物。
【請求項23】
ソフトフォーカス効果を与える量の請求項21に記載のソフトフォーカス効果組成物を含む、ソフトフォーカス効果を示すパーソナルケア組成物。
【請求項24】
ソフトフォーカス効果を与える量の請求項22に記載のソフトフォーカス効果組成物を含む、ソフトフォーカス効果を示すパーソナルケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2016年6月7日に出願された米国特許出願第15/175211号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によって全体が本願に取り込まれる。
本発明は、架橋ポリオルガノシロキサン、その調製、およびそれを含むパーソナルケア製品に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア産業は、最終処方に重要であるか又は所望の性能特性をそれぞれに有するいくつかの成分の混合物に基づいて、複数の性能を持つ製品を市場に送るよう努めている。1つの望ましい特徴は、当初にシルクのような感触を提供する能力である。この性質は、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンのような環状シロキサンによって与えられる。環状シロキサンは望ましい感触特性を提供するが、低粘度で流動性の高い液体である。したがって、環状シロキサンは処方物中で容易に保持されず、むしろパッケージユニット内で分離したり、適用時には皮膚上で制御不能な様式で流動する。
【0003】
既知のタイプのポリオルガノシロキサンゲルは、環状シロキサンの所望の初期のシルクのような感触をもたらすことが見出されているが、後者とは異なり、分離又は制御不能な流れを防止するのに十分な、高い粘度を有する。当初のシルクのような感触を提供することに加えて、既知のポリオルガノシロキサンゲルは、パーソナルケア組成物に、ドライダウン時に滑らかなシルクのような感触を生じるという、さらなる望ましい品質を付与する。このようなポリオルガノシロキサンゲルは、エチレン性不飽和(例えば、ビニル基を含有する)ポリオルガノシロキサンのハイドロジェンポリオルガノシロキサンによるヒドロシリル化を、水中油(O/W)エマルション反応媒体中で、貴金属ヒドロシリル化触媒、例えば、塩化白金酸又はKarstedt触媒(オルガノ白金配位錯体)のような白金含有触媒を用いて行うことによって得られる。このプロセスにより、中程度の架橋度のヒドロシリル化反応生成物を含むポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションが生成され、結果として、適度なレベルの貯蔵弾性率(G')及び有機溶媒中での比較的高い膨潤性が示され。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、架橋ポリオルガノシロキサンが提供され、これは、(a)≧2のフリーラジカル重合性基及び0若しくは≧1のヒドロシリル基を含む重合性ポリオルガノシロキサンI、または0若しくは≧1のフリーラジカル重合性基及び≧1のヒドロシリル基を含むポリオルガノシロキサンIIの存在下におけるポリオルガノシロキサンIの、乳化重合反応条件下でのフリーラジカル開始付加重合から得られる架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション、(b)貴金属を実質的に欠いた架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(a)、(c)架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(a)の濃縮物、及び(d)架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション(b)の濃縮物から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0005】
上記の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを得るための、ポリオルガノシロキサンIの重合、またはポリオルガノシロキサンIIの存在下でのポリオルガノシロキサンIの重合は、ポリオルガノシロキサン、水、乳化剤及びフリーラジカル開始剤を含むO/Wエマルション重合反応溶媒中で進行されてよい。
【0006】
本明細書のO/Wゲルエマルションの架橋ポリオルガノシロキサン成分及びその濃縮物は、上記の貴金属触媒ヒドロシリル化プロセスによって得られた架橋ポリオルガノシロキサン/濃縮物よりも有意に高い架橋密度を有する。その結果、本発明の架橋ポリオルガノシロキサン/濃縮物は、貴金属触媒ヒドロシリル化プロセスによって得られた架橋されたポリオルガノシロキサンO/Wエマルション/濃縮物の貯蔵弾性率及び油膨潤特性と比較すると、貯蔵弾性率は著しく大きく、またパーソナルケア配合物に通常組み込まれる親油性物質及び有機溶媒による膨潤度ははるかに小さくなる。
【0007】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサン及びその濃縮物に特徴的である、より高い架橋密度、貯蔵弾性率及び減少した油膨潤特性は、それらを、例えば水ベースのヘアケア及びスキンケア組成物のような、多くの種類のパーソナルケア製品のために特に望ましい構成要素とし、消費者が高級感の1つと意識し、製品の品質に寄与する感覚的な効果である緩衝効果、すなわち、そのような組成物が塗布されるときの指による押し広げに対する抵抗を高める。
【0008】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンを含有するパーソナルケア組成物はまた、毛髪又は皮膚に適用された後に、皮膜形成効果よりもむしろ、粉末様の使用後感を示す傾向があるが、これは消費者が魅力的と感じるさらに別の製品特性である。
【0009】
本明細書中の架橋ポリオルガノシロキサン及びそれを含むパーソナルケア組成物のさらに優れた特徴は、上記のヒドロシリル化プロセスによって生成された架橋ポリオルガノシロキサン水性ゲルエマルション/濃縮物中には不可避的に存在する重金属化合物、例えばKarstedt触媒又は塩化白金酸などの重金属触媒が存在しないことである。残留金属触媒を含まずに得られたゲルは、貴金属で触媒された対照物と比較すると、一般的に透明度が高く、またあまり退色しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明によるフリーラジカル重合性基含有ポリオルガノシロキサンのフリーラジカル開始付加重合によって生成されたO/Wゲルエマルションと、Karstedt触媒の存在下での水素化シリコーン流体とビニルシランのヒドロシリル化反応によって得られた既知のタイプのO/Wゲルエマルションの貯蔵弾性率(G')を比較した結果をグラフ形態で図示する。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲において、以下の用語及び表現は、下記に示されるように理解されるべきである。
【0012】
単数形である「ある」、「1つの」および「その」には複数形が含まれ、特定の数値への言及は、文脈上他に明確に指示されない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0013】
本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるすべての例、又は例示的な用語(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明をよりよく示すことを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本明細書中のいかなる語句も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0015】
用語「含む」、「含有する」、「包含する」、「によって特徴づけられる」及びそれらと文法的に同義の用語は、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを排除しない、包括的な又は制限のない用語であるが、より限定的な用語「からなる」及び「本質的にからなる」を含むことが理解されよう。
【0016】
本明細書に列挙された任意の数値範囲は、当該範囲内のすべての部分範囲及び当該範囲又は部分範囲の様々な端点の任意の組み合わせを含むことが理解されよう。
【0017】
構造的に、組成的に及び/又は機能的に関連する化合物、材料又は物質の群に属するものとして、明細書に明示的又は黙示的に開示され、及び/又は請求項に記載されている任意の化合物、材料又は物質は、その群の個々の代表物及びそれらの全ての組み合わせを含むことが理解されよう。
【0018】
「炭化水素基」という表現は、1またはより多くの水素原子が除去された任意の炭化水素を意味し、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、アリール、アラルキル及びアレーニル基を含み、また少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭化水素基を含む。
【0019】
「アルキル」という用語は、1価の飽和の直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素基を意味する。「アルケニル」という用語は、1つ以上の炭素-炭素2重結合を含む任意の1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基を意味し、ここで基の結合部位は、炭素-炭素2重結合又は基中の他のいずれかにあり得る。「アルキニル」という用語は、1つ以上の炭素-炭素3重結合及び任意に1つ以上の炭素-炭素2重結合を含有する1価の直鎖、分岐又は環状の炭化水素基を意味し、ここで基の結合部位は、炭素-炭素3重結合、炭素-炭素2重結合又は基中の他のいずれかに存在する。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル及びイソブチルが含まれる。アルケニルの例としては、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネン及びエチリデンノルボルネニルが挙げられる。アルキニルの例としては、アセチレニル、プロパルギル及びメチルアセチレニルが挙げられる。
【0020】
「環状アルキル」、「環状アルケニル」及び「環状アルキニル」という表現は、2環式、3環式及びより高次の環状構造ならびにアルキル、アルケニル及び/又はアルキニル基でさらに置換された前記環状構造を含む。代表的な例には、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボニル、エチルノルボルネニル、シクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル及びシクロドデカトリエニルが含まれる。
【0021】
用語「アリール」は、任意の1価の芳香族炭化水素基を意味する。用語「アラルキル」は、1個以上の水素原子が同数の同種及び/又は異なるアリール基(本明細書で定義される)で置換されている任意のアルキル基(本明細書で定義される)を意味する。用語「アレーニル」は、1個以上の水素原子が同数の同種及び/又は異なるアルキル基(本明細書で定義される)で置換されている任意のアリール基(本明細書で定義される)を意味する。アリールの例には、フェニル及びナフタレニルが含まれる。アラルキルの例としては、ベンジル及びフェネチルが挙げられる。アレーニルの例には、トリル及びキシリルが含まれる。
【0022】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素以外の13~17族元素のいずれかを意味し、例えば、酸素、窒素、ケイ素、硫黄、リン、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
【0023】
1つの実施形態では、存在する場合、炭化水素基は60個までの炭素原子を含み、別の実施形態では30個までの炭素原子を含み、さらに別の実施形態では20個までの炭素原子を含む。
【0024】
有用な炭化水素基にはアルキル基が含まれ、その例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びtert-ペンチル、n-ヘキシルのようなヘキシル、n-ヘプチルのようなヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2,2,4-トリメチルペンチルのようなオクチル、n-ノニルのようなノニル、n-デシルのようなデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルのようなシクロアルキルである。アルケニル基の例には、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、シクロヘキセニル、ノルボルネニル、エチルノルボルネニル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデンノルボルネン及びエチリデンノルボルネニルが含まれる。アルキニル基の例には、アセチレニル、プロパルギル及びメチルアセチレニルが含まれる。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、o-、m-並びにp-トリル、キシリル、エチルフェニル及びベンジルが含まれる。
【0025】
「ヒドロシリル」、「シラニック水素」、「ヒドリド」、「水素化シリコーン」、「SiH」という用語及び表現は、オルガノシロキサン技術において互換的に使用され、直接ケイ素と結合している1つ以上の水素原子を含むポリオルガノシロキサンを示すものとして理解される。
【0026】
本明細書で使用される用語「エマルション」は、「マイクロエマルション」を含む。
【0027】
上記のように、本発明のO/Wゲルエマルションの架橋ポリオルガノシロキサンが得られるポリオルガノシロキサンIは、フリーラジカル付加重合反応条件下で重合可能な、すなわち架橋可能な少なくとも2つの基、例えば≧2且つ≦5000のフリーラジカル重合性基、より具体的には≧2且つ≦1000のフリーラジカル重合性基、さらに具体的には≧2且つ≦500のフリーラジカル重合性基を含んでいる。この要件はエチレン性不飽和を含む官能基によって満たされ、この基はケイ素原子に直接結合している。フリーラジカル重合性基に加えて、ポリオルガノシロキサンIは、1またはより多くのヒドロシリル基、例えば≧1且つ≦500のヒドロシリル基、より具体的には≧1且つ≦100のヒドロシリル基、さらに具体的には≧1且つ≦50のヒドロシリル基を含むことができる。
【0028】
1つの実施形態では、ポリオルガノシロキサンIは次の一般式で表される。
MaMH
bMV
cM”dM*
eDfDH
gDV
hD”iD*
jTkTH
lTV
mT"nT*
oQp I
M=R1R2R3SiO1/2;
MH=R4R5HSiO1/2;
MV=R6R7R8SiO1/2;
M”=R9R10R22SiO1/2;
M*=R11R12R23SiO1/2;
D=R13R14SiO2/2;
DH=R15HSiO2/2;
DV=R16R17SiO2/2;
D”=R18R22SiO2/2;
D*=R19R23SiO2/2;
T=R20SiO3/2;
TH=HSiO3/2;
TV=R21SiO3/2;
T”=R22SiO3/2;
T*=R23SiO3/2;
Q=SiO4/2
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R13、R14、R15、R17及びR20はそれぞれ独立して、炭素数60まで、より具体的には炭素数30まで、さらに具体的には炭素数20までの1価の炭化水素基であり;R6、R16及びR21はそれぞれ独立してフリーラジカル重合性基、より具体的にはエチレン性不飽和基であり;R9、R10及びR18はそれぞれ独立して、炭素数60まで、より具体的には炭素数30まで、さらに具体的には炭素数20までの1価の炭化水素基、またはR22であり;各々のR22は独立して、炭素数60まで、より具体的には炭素数30まで、さらに具体的には炭素数20までの1価のアルコキシ基であり、また任意選択的に少なくとも1個のイオン性基、例えばカルボキシレート、サルフェート、スルホネート、第4級化アミド、スルホベタイン等のような、カチオン性、アニオン性及び/又は双性イオン性基を含み;R11、R12及びR19はそれぞれ独立して、炭素数60まで、より具体的には炭素数30まで、さらに具体的には炭素数20までの1価の炭化水素基、またはR23であり;各々のR23は、合計で2~200個の炭素原子、より具体的には100個まで、更により具体的には50個までの炭素原子を有する1以上のアルキレンオキシ基が結合している、炭素数3~6の2価のアルキレン基R24であり、任意選択的に水素、炭素原子20個までの炭素原子、より具体的には炭素原子8から10個までの炭素原子、さらにより具体的には4個までの炭素原子、又は例えばカルボキシレート、サルフェート、スルホネート、第4級化アミド、スルホベタインなどのカチオン性、アニオン性又は双性イオン性基である少なくとも1つのイオン性基で終端されており;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o及びpは、それぞれ独立して、0又は正の数であり、但しc+h+m≧2、例えば≧2且つ≦5000、より具体的には≧2且つ≦1000、さらに具体的には≧2且つ≦500であり、さらに、a+b+d+e+f+g+i+j+k+l+n+o+pは0又は≧1、例えば≧1且つ≦3000、より具体的には≧2且つ≦2000、更に具体的には≧2且つ≦1000である。
【0029】
1つの実施形態では、フリーラジカル重合性基R
6、R
16、R
21の少なくとも一つは、下記から選択される:
【化1】
式中、各R
25は独立して、炭素数20までの、より具体的には炭素数10までの2価の炭化水素基であり、任意に1またはより多くのヘテロ原子を含有し;各R
26及びR
27はそれぞれ独立に、アルケニル、ビニル、メタリル、アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリリル基などの、エチレン性不飽和フリーラジカル重合可能な、すなわち架橋可能な基であり;R
28は、炭素数20までの、より具体的には炭素数10までの3価の炭化水素基であり、任意に1またはより多くのヘテロ原子を含み;そして下付き文字q、r及びsはそれぞれ独立して、0又は正の数であり、但しq+r+sは≧1且つ≦60、より具体的には≧1且つ≦30、さらに具体的には≧1且つ≦20である:
【0030】
ポリオルガノシロキサンIが式I(b)、I(c)及び/又はI(d)の少なくとも1つの基を含む場合、R
26及びR
27の少なくとも1つは、下記の一般式で表される基である:
【化2】
式中、Yは存在しないか、又は前に定義したR
25基であり、R
29、R
30及びR
31はそれぞれ独立して、水素又は炭素数20までの1価の炭化水素基である。
【0031】
ポリオルガノシロキサンIがMV、DV及び/又はTVの不飽和部分を2個又はそれ以上含むが、ヒドロシリル含有部分MH、DH及び/又はTHを含まない場合、すなわちc+h+m≧2且つb+g+l=0の場合、重合体は、不飽和部分の付加重合のみから生じる架橋を有する。しかし、ポリオルガノシロキサンIが該不飽和部分に加えて、1またはより多くのヒドロシリル含有部分MH、DH及び/又はTHを含む場合、すなわちc+h+m≧2且つb+g+l≧1の場合、ポリオルガノシロキサンI重合物は、不飽和部分の付加重合から生じる架橋だけでなく、ヒドロシリル部分による不飽和部分のヒドロシリル化から生じる架橋も有する。
【0032】
重合性ポリオルガノシロキサンIが、ヒドロシリル基含有部分MH、DH又はTHを欠く場合、すなわちb+g+l=0である場合、O/Wエマルション反応媒体中にポリオルガノシロキサンIIを含むことも本発明の範囲内に含まれ、ここでポリオルガノシロキサンIIはポリオルガノシロキサンIと同じに定義されるが、0又は1個の不飽和基含有部分MV、DV又はTVを含有し、すなわちc+h+mは0又は1であり、また少なくとも1つのヒドロシリル含有部分MH、DH及び/又はTHを含有し、すなわちb+g+l≧1、例えば≧1且つ≦500、より具体的には≧1且つ≦100、さらに具体的には≧1且つ≦50であり、この制限に従うことで、ポリオルガノシロキサンIIのR1~R24基及び添え字l~pのそれぞれは独立して、ポリオルガノシロキサンIと同様に指定された基及び添え字から選択されることが理解される。この実施形態では、ポリオルガノシロキサンIの不飽和基含有部分MV、DV及び/又はTVのフリーラジカル開始付加から生じる架橋に加えて、ポリオルガノシロキサンIの重合体はまた、ポリオルガノシロキサンIIのヒドロシリル含有基によるポリオルガノシロキサンIの不飽和基のヒドロシリル化から生じる架橋を有する。
【0033】
本明細書のO/Wゲルエマルションのすべての実施形態において、エマルション反応媒体は、例えば白金含有タイプのような、貴金属ヒドロシリル化反応触媒を欠いていることが望ましく、ここで本発明で得られた架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション又は単離された架橋ポリオルガノシロキサンは、変色又は透明性の低下を引き起こす前述の傾向の観点から、パーソナルケア製品に組み込むことが意図されている。
【0034】
c+h+m≧2であり、b+g+lが0又は≧1のポリオルガノシロキサンIの例は、式I(e):
MV
cDfDV
hM2-c I(e)
式中、MV、D、DV及びMは前に定義した通りであり、添字c、f及びhは0又は正の数であり、但しfは0~2000であり、より具体的には10~1000、さらに具体的には10~500、hは0~500であり、より具体的には0~100、さらに具体的には0~50、cは0~2であり、c+hは2~500であり、より具体的には2~100、さらに具体的には2~50、という条件に従い;式(f):
MV
cDfDV
hM2-c I(f)
式中、MV、D、DV及びMは前に定義した通りであり、添字c、f及びhは0又は正の数であり、但しfは0~2000であり、より具体的には10~1000、さらに具体的には10~100、hは0~500であり、より具体的には0~100、cは0~50であり、c+hは2~500であり、より具体的には2~100、さらに具体的には2~50、という制約に従い;式II:
MV
cQp I(g)
式中、MV及びQは前に定義した通りであり、添字c及びpは0又は正の数であり、但しc≧1、より具体的には≧2、さらに具体的には≧3であり、p≧1、より具体的には≧2、さらに具体的には≧3、c+pが2~20、より具体的には2~10、さらに具体的には2~6であるという制約に従い;式I(h):
MH
bMV
cDfDH
gDV
hM2-b I(h)
式中、MH、MV、D、DH、DV及びMは前に定義した通りであり、b、c、f、g及びhは0又は正の数であり、但しfは1~1000、より具体的には10~300、さらに具体的には10~100であり、bは0又は1であり、cは0~2であり、b+gは1であり、c+hは2~500、より具体的には2~100、さらに具体的には2~50であるという制約に従い;式II:
DfDV
h I(i)
式中、D及びDVは先に定義した通りであり、添字f及びhは0又は正の数であり、但しf+hが3~8、より具体的には3~6であり、さらに具体的には3~5であるという制約に従うものを含んでいる。
【0035】
重合性ポリオルガノシロキサンI(e)~I(i)において、MV及びDV部分は、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリレート基及び/又はアルカクリレート基を有利に含有し、ビニル含有基が好ましい。本明細書において架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを提供するために有利に使用され得るこれらのタイプの特定のポリオルガノシロキサンIとしては、1,1,3,3,3,7-ヘキサメチル-5,7-ジビニルシクロテトラシロキサン、RTV644、RTV646、RTV609、SL5000、SL6700、Silopren VS-S、SE31、分枝状ビニルシロキサン(例えばSL7000)、フェニル変性ビニルフルオライド(例えばRTV652A)、例えばフェニルトリメチルシロキシシラン、及び88302のようなビニル樹脂が含まれる(全てモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)。
【0036】
ポリオルガノシロキサンIIの例、すなわちc+h+mが0又は1であり、b+g+l≧1の例は、式II(a):
MH
bDfDH
gM2-b II(a)
式中、MH、D、DH及びM'は前記定義の通りであり、b、f及びgは0又は正の数であり、但しfは10~50、より具体的には10~30、さらに具体的には10~25であり、gは0~50、より具体的には1~30、さらに具体的には2~10であり、bは0~2であり、b+gは1~100、より具体的には1~32、さらに具体的には2~12という制約に従い;式II(b):
MH
bDfDH
gD*
jM'2-b II(b)
式中、MH、D、D*、DH及びMは、先に定義した通りであり、添え字b、f、g及びjは0又は正の数であり、但しbは0~2であり、gは0~50であり、より具体的には1~30、さらに具体的には2~10であり、jは0.1~10、より具体的には0.1~8、さらに具体的には0.1~6であり、b+gは1~100、より具体的には1~32、さらに具体的には2~12という制約に従い;式II(c):
MH
bQpM'2-b II(c)
式中、MH、Q及びMは先に定義した通りであり、b及びpは0又は正の数であり、但しb≧1、より好ましくは≧2、更に好ましくは≧3であり、かつ、p≧1、より好ましくは≧2、更に好ましくは≧3であり、b+pは2~20、より具体的には2~10、更に具体的には2~6であるという制約に従い;式II(d):
MH
bDfD”iDH
gM2-b II(d)
式中、MH、D、D”、DH及びMは先に定義した通りであり、b、f、i及びgは0又は正の数であり、但しfが10~50、より具体的には10~40、さらに具体的には10~35、iが0~20、より具体的には1~12、さらにより具体的には1~8であり、bが0~2であり、b+gは1~100、より具体的には1~14、さらにより具体的には1~10であるという制約に従い;式II(e):
MH
bMV
cDfDH
gDV
hM2-b II(e)
式中、MH、MV、D、DH、DV及びMは、先に定義した通りであり、b、c、f、g及びhは0又は正の数であり、但しfは1~300、より具体的には10~30、さらに具体的には10~25であり、b+g≧1であり、より具体的には≧2であり、さらに具体的には≧3であり、且つ、c+hは0又は1であるという制約に従い;式II(f):
DfDH
gDV
h II(f)
D、DH及びDVは、先に定義した通りであり、f、g及びhは0又は正の数であり、但しf+g+hは3~7であり、より具体的には3~5であり、hは0又は1であるいう制約に従う正の数であるものを含む。
【0037】
特定のポリオルガノシロキサンIIはMH
bDfDH
gを含み、ここでMH、D、DH及び下付き文字b、f及びgは先に定義された通りであり、例えばTSF484、SilForce SL4380、SilForce SL4320及びSilForce SL4330(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、1,3,5,7-メチルシクロテトラシロキサンである。
【0038】
重合性のポリオルガノシロキサンI、そして存在する場合にはポリオルガノシロキサンIIのフリーラジカル重合性基の合計と、ポリオルガノシロキサンII、そして存在する場合にはポリオルガノシロキサンIのヒドロシリル基の合計との割合は、少なくとも1、有利には少なくとも2であるべきである。重量基準で、ポリオルガノシロキサンIの全部と任意選択のポリオルガノシロキサンIIの全部の重量比は幅広くとることができ、例えば、第1の実施形態では100:0~1:99、第2の実施形態では100:0~50:50、第3の実施形態は100:0~80:20である。
【0039】
NMRによって測定されたポリオルガノシロキサンI及びIIの数平均分子量(Mn)は幅広くとることができ、例えば1実施形態では100~500,000、別の実施形態では100~100,000、さらに別の実施形態では100~50,000である。
【0040】
ポリオルガノシロキサンI及びIIの粘度はまた、広い範囲で変化し得る。例えば、第1の実施形態では、ブルックフィールド回転粘度測定によって測定されるポリオルガノシロキサンIの粘度は、0.0002~1000Pa・s、第2の実施形態では0.0002~10Pa・sであり、ポリオルガノシロキサンIIの粘度は、第1の実施形態では0.002~50Pa・s、第2の実施形態では0.002~10Pa・sである。
【0041】
ほとんどの場合、ポリオルガノシロキサンI及びIIは重合の開始時にO/W乳化重合反応混合物中に存在するであろう。しかし、ポリオルガノシロキサンIのみの重合を開始し、その後でのみ、但しポリオルガノシロキサンIの重合の完了前に、任意のポリオルガノシロキサンIIをエマルション反応媒体に導入し、それによってポリオルガノシロキサンIに存在するまだ未反応のMV、DV及び/又はTV部分が、ポリオルガノシロキサンII中に存在するMH、DH及び/又はTH部分によるヒドロシリル化を受けるようにすることも、本発明の範囲内にある。従って、ポリオルガノシロキサンIが部分的に重合されている間に、ポリオルガノシロキサンIIをポリオルガノシロキサンIに遅延添加する場合、「ポリオルガノシロキサンI」という表現は、1またはより多くの未反応のMV、DV及び/又はTV部分を含有する部分重合ポリオルガノシロキサンIを含む。ポリオルガノシロキサンIIのポリオルガノシロキサンIへの遅延添加は、相互貫入ポリマー網(IPN)又はコア-シェル構造を調製する場合に有利である。
【0042】
重合可能なポリオルガノシロキサンIのフリーラジカル開始重合、及び使用される場合にはポリオルガノシロキサンIIによるポリオルガノシロキサンIのヒドロシリル化は、通常の又は他の既知の乳化重合手順を用いて、O/W乳化重合反応媒体中で行うことができる。
【0043】
これらの重合手順では、重合性ポリオルガノシロキサンI、任意選択のポリオルガノシロキサンII、及び任意選択の有機溶媒及び/又は膨潤剤(相溶化剤)を含むエマルション反応混合物の油性分散相、そして、水及び乳化剤、フリーラジカル開始剤などの水溶性又は水混和性成分、ならびに安定剤、補助安定剤、連鎖移動剤などの任意選択成分を含むエマルション反応媒体の水性連続相は、従来の又は他の方法で既知の量で存在することができる。一般に、油相は乳化重合反応媒体の1~80重量%、有利には30~70重量%をを構成することができ、水相が残部を構成する。
【0044】
ポリオルガノシロキサンI(場合によっては、ポリオルガノシロキサンI及びIIの混合物)の量は、油相の総重量のパーセンテージとして、例えば1実施形態では10~100重量パーセント、第2の実施形態では20~80重量パーセントで広く変動し得る。
【0045】
一般には80℃未満、好ましくは50℃未満の融点を有する溶媒及び/又は膨潤剤(相溶化剤)は、乳化重合反応媒体の油相に組み込むことができる。適切な溶媒/膨潤剤には、イソデカン、ヘキサデカン及びスクアランなどの炭化水素;カプリル酸トリグリセリドのようなトリグリセリド;セチルパルミテート及びイソプロピルミリステートのようなエステル;ジプロピレングリコールブチルエーテル等のエーテル、ヘキサデカノール等の多価アルコール、ヘキサデセン酸等の有機酸類、オクチルメチコン、ジメチコン、アルキルジメチコン、フェニルジメチコン、アミノジメチコンのようなジメチコン、トリメチルシロキシシリケート及びポリメチルシルセスキオキサンなどの非反応性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。このような溶媒/膨潤剤は、O/Wエマルション反応媒体の油相の95重量%までを占めることができる。
【0046】
適切な連鎖移動剤には、メルカプタン、コバロキシム、エチルベンゼンなどのアルキルベンゼン、トリエタノールアミンなどのアミン、4塩化炭素などのハロカーボンなどが含まれる。
【0047】
適切な乳化剤には、ノニオン性やアニオン性のもの及びこれらの混合物が含まれる。適切なノニオン性乳化剤は、従来から乳化重合プロセスで用いられてきた、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレートなどが含まれる。同様に、有用なアニオン性乳化剤には、アルカリ金属スルホネート、スルフェート、ホスフェート及びスルホコハク酸塩界面活性剤のような、乳化重合法において有用であることが知られているものが含まれる。これらの界面活性剤の具体例としては、アルカリ金属スルホレシネート;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;スルホン化1価アルコールエステルの塩;α-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウムのようなスルホン化芳香族炭化水素のアルカリ塩;ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸塩;リン酸セチルのカリウム塩などのリン酸塩;ラウリルスルホコハク酸2ナトリウムなどのスルホコハク酸塩、塩化セトリモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルメチルグレセス-10ヒドロキシプロピルジモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどのアニオン性界面活性剤、及びコカミドプロピルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルベタイン及びレシチンなどの両性界面活性剤が含まれる。
【0048】
使用される場合、適切な安定剤には、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル)のような高分子立体安定剤、グアーガム、セルロース及びその誘導体、ポリアクリレート及びポリアクリル酸コポリマーのような増粘剤が含まれる。
【0049】
使用される場合、適切な共安定剤には、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーのようなポリエーテル、グリコール、グリセリン、及び塩化カリウムや塩化カルシウムのような電解質が挙げられる。
【0050】
使用される場合、水混和性有機溶媒は、例えば、アルコール及びエステルを含み、水相の10重量%までを占めることができる。
【0051】
フリーラジカル開始剤は、例えば、アゾ開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物及び酸化還元開始剤から選択することができる。アゾ開始剤は(2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン))2塩酸塩を含む;無機過酸化物は過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムを含む;有機過酸化物は過酸化ベンゾイル及び過酸化ジラウロイルを含む;酸化還元開始剤は過硫酸アンモニウム及び2-ヒドロキシ-2-スルフィナート酢酸2ナトリウム塩、過酸化水素及び吸収酸、及び過硫酸カリウム及びテトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。フリーラジカル反応はまた、従来の及び他の方法で知られている超音波及び放射線などの高エネルギー源によって開始させることができる。
【0052】
本明細書のエマルションの重合物含有分の粒子サイズは、エマルションを調製する際の温度、混合速度及び/又は使用する乳化剤の調整の前に、ポリジオルガノシロキサンの粘度の選択及び/又は調整を行うことによって、効果的に制御され得る。1実施形態では、シリコーンゲルエマルションの粒子サイズは、10nm~100ミクロン、別の実施形態では100nm~30ミクロンをとり得る。
【0053】
選択されたフリーラジカル開始剤の性質に依存して、40~100℃の共重合温度、1~10時間の反応時間が、一般に、本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを提供するのに適している。
【0054】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの典型的な特性としては、デュロメーターで測定しJIS K6253規格のA型硬度として表現された架橋密度が10~90、好ましくは20~80、レオメーターで測定した貯蔵弾性率(G')が500~50000Pa、好ましくは500~3000Paであり、そしてミリスチン酸イソプロピルで膨潤して測定した最大膨潤度が600重量/重量%を超えず、好ましくは300重量/重量%を超えない。
【0055】
最大膨潤度は、以下の手順によって測定する。ゲルエマルションを乾燥させて密封容器に入れ、乾燥ゲルの重量をw1として記録する。過剰のミリスチン酸イソプロピルを添加し、重量をw2として記録する;ミリスチン酸イソプロピルの質量は、乾燥ゲルの質量の少なくとも20倍である。容器を密閉し、50℃に加熱したオーブンに72時間入れる。得られた溶媒膨潤懸濁液を0.2mmスクリーンを通して濾過し、濾過した液体重量をw3として記録する。 最大膨潤度は、以下の式を用いて計算される。
(w2-w3)/w1×100=最大膨潤度
【0056】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションは、典型的には、Karstedt触媒(「既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション」)のような貴金属ヒドロシリル化触媒の存在下で、同数の官能基を有する同じ重量のポリオルガノシロキサン反応物のヒドロシリル化によって調製された、公知のタイプの架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの特性の1つまたはより多くと比較して、より大きな架橋密度、より大きい貯蔵弾性率(G')及び/又は、より小さい最大膨潤度を示す。例えば、本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションは、デュロメーターで測定しJIS K6253規格のA型硬度として表現された架橋密度で、同等の既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションよりも5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上大きい;レオメトリーによって測定した貯蔵弾性率(G')は、既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの貯蔵弾性率(G')より10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上大きい;および/又は、ミリスチン酸イソプロピル中の最大膨潤度は、既知の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションよりも、5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上小さい。
【0057】
中程度に高い架橋密度、貯蔵弾性率(G')及び/又は減少した膨潤度であっても、本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及びその濃縮物は、パーソナルケア組成物に含有させると、既知の架橋ポリオルガノシロキサンの同量を含有する同じパーソナルケア組成物の感覚特性と比較して、例えば優れた緩衝作用及び/又は低い粘着性のような、顕著に改良された感覚特性を付与する。
【0058】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサン水性ゲルエマルションは、これらの及び他のパーソナルケア製品の配合物中に、例えば1実施形態では0.1~50重量%、別の実施形態では0.5~30重量%で組み込むことができる。しかしながら、所望であれば、例えば乾燥させることにより、又は最初にエマルションを破壊し次いで乾燥させることにより、水及び他の揮発性物質の少なくとも幾らかを、例えば少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%除去して、架橋ポリオルガノシロキサン成分を濃縮し、その後濃縮物を前述したような溶剤又は膨潤剤を用いて再膨潤させて、ゲルエマルションをさらに処理することができる。再膨潤した架橋ポリオルガノシロキサンは、その後、上記のいずれかのようなパーソナルケア組成物の配合に利用することができる。
【0059】
上述の通り、架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及びそれから得られる濃縮物は、パーソナルケア製品への組み込みが考慮される場合、貴金属を実質的に欠いていると有利に働く。
【0060】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及び/又はその濃縮物は、多くの種類のパーソナルケア組成物のいずれかに有利に組み込むことができ、優れたレベルのクッション(緩衝)性及び粉末様の使用後感を与えるる。このようなパーソナルケア組成物には、消臭剤、制汗剤、制汗剤/消臭剤、スティック及びロールオン調製物、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング調製物、スタイリングジェル、染毛剤、ヘアカラー調製物、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、日焼け止め剤、アンチエイジング剤、リップスティック、リップバーム、リップグロス、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メイクアップ、美容クリーム、マスカラ、保湿調製剤、ファンデーション、コンシーラー、ボディーアンドハンドプレパレーション、スキンケアプレパレーション、フェイスアンドネックプレパレーション、フレグランスプレパレーション、ソフトフォーカスプレパレーション、日中スキンケアプレパレーション、日焼けプレパレーション、ハンドリキッド、パーソナルケア用不織布、ティッシュペーパー、ベビーローション、フェイシャルクレンジング製剤、ヘアキューティクルコート、ジェル、フォームバス、ボディーウォッシュ、スクラブクレンザー、徐放性パーソナルケア製剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、スキンケア保湿ミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクリーナー、傷み防止剤、皮膚剥離剤、皮膚落屑増強剤、抗ニキビ製剤、皮膚タオル、スキンクロス、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング及び局所的に適用される治療薬と医薬品用の薬物送達システムが含まれる。
【0061】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及び/又はその濃縮物に加えて、上記に列挙したもののようなパーソナルケア組成物は、当該技術分野における周知の手順に従って調製され、典型的には、特定のタイプの組成物に所定の量が通常使用される1またはより多くの成分を含有する。
【0062】
老化の徴候を隠すための最近のアプローチは、自然な肌の色調を投影しながら皮膚の不完全性を隠す光拡散粒子の使用と関係する。このアプローチは、「ソフトフォーカス」効果として知られるようになった。最適拡散又はソフトフォーカス効果を提供する光拡散粒子の基準は、Emmertの「Quantification of the Soft-FocusEffect」Cosmetics and Toiletries、11、57-61(1966)に記載されている。基準は以下の通りである:(1)拡散粒子は光吸収を最小にする必要があり、(2)自然な外観を提供するため、拡散粒子は高い全光透過率を有する必要があり、(3)皮膚から反射した光が均一に分散されるように、光透過の大部分は拡散する必要があり、(4)しわの出現を増加させる光沢を最小限に抑えるために鏡面反射を最小限にしなければならず、(5)下にあるシワとは無関係の領域にわたって均一な光分布を得るために、全反射の中で乱反射成分が高いことが必要である。本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及びその濃縮物は、これらの基準を満たすことが見出されており、ソフトフォーカス効果が望まれるパーソナルケア組成物に有利に組み込まれる。このようなソフトフォーカス組成物は追加的に、1つまたはより多くの従来の又は他の既知のソフトフォーカス添加剤、例えば窒化ホウ素粉末(例えばSoftouch CC6097、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、ナイロン粉末(例えば、ヴァンテージ・スペシャルティ・イングレディエンツ社)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーで被覆されたシリカ及びヒュームドアルミナ粉末(例えば、ダウ・コーニング(登録商標)9701コスメティック・パウダー及びダウ・コーニング(登録商標)EP-9293 ALコスメティック・パウダー)、ヒュームドアルミナ粉末(例えば、SpectrAl(登録商標)、キャボット社)、二酸化チタンで被覆された板状アルミナ(例えばサンケミカルズ社の、Spectrafiex(登録商標)フォーカスピグメント)、シリカシリレートエアロゲル粉末(例えば、ダウ・コーニング社から入手可能なもの)、球状アルミナ粉末などを含有してよい。
【0063】
本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及び/又は濃縮物は、単独で、又は上記のような公知の慣用のソフトフォーカス添加剤と組み合わせて、ソフトフォーカス効果が望まれるパーソナルケア組成物に、例えば0.2~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1~5重量%の広範囲に変化する量で組み込むことができる。ソフトフォーカス効果添加剤として、本発明による架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション及び/又は濃縮物と、前述のもののような既知又は従来のソフトフォーカス効果材料を含む組成物を使用することが特に有利である。このようなソフトフォーカス効果組成物は、等量の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション/濃縮物成分と同等又は顕著に高い平均拡散透過レベルを示す。本願の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション/濃縮物が、窒化ホウ素のような従来公知のソフトフォーカス効果添加剤よりも高価である傾向を考慮すると、これらのソフトフォーカス効果材料の組み合わせを使用する方が、エマルション/濃縮物を単独で使用するよりもむしろ経済的である。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本発明の架橋ポリオルガノシロキサン、その調製物、及びそれらで処方された様々な種類のパーソナルケア組成物を例示するものである。
【0065】
以下に示される、本発明に従う架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの調製を示す実施例のうち、実施例1~3は、フリーラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を含有し、ヒドロシリル基を含有しないポリオルガノシロキサンIと、ヒドロシリル基を含有する任意選択のポリオルガノシロキサンIIとの混合物の共重合を示し;
参考例
1は、フリーラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を含み、ヒドロシリル基を含まないポリオルガノシロキサンIの重合を示し;
参考例
2は、フリーラジカル重合性基及びヒドロシリル基の両方を含有するポリオルガノシロキサンIの調製及びその後の重合を示す。下記表1には、上記ポリオルガノシランI及びIIの構造が記載されている。
【表1】
【0066】
実施例1
25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニルポリジメチルシロキサン40重量部、25℃で約0.02Pa・sの粘度を有するビス-ハイドロジェンジメチコン10重量部、及びイソドデカン20重量部の混合物を十分に混合し、ポリオキシエチレンラウリルエーテル5重量部、セテアリル硫酸ナトリウム0.5重量部、および脱イオン水5重量部の混合物と撹拌器中で組み合わせて、安定なエマルションを得た。エマルションへの脱イオン水の添加により、架橋ポリオルガノシロキサンの含有量を40重量%に減少させた。次いで、エマルションを60℃に加熱し、pHを4に調整し、続いて0.05重量部の過硫酸アンモニウムを添加して、ビニルポリジメチルシロキサンのフリーラジカル重合及びビス-ハイドロジェンジメチコンによるヒドロシリル化を開始させた。4時間後、得られた安定なO/Wエマルションゲル中の未反応のSiHは、Luoらによる、「Silicone Resin and its Application」、ChemicalIndustry Press、Beijing、pp.227-228(2002)に記載の発酵管法により測定したところ、0.1cc/g未満であった。このエマルションをトリエタノールアミンでpHを7に調整し、防腐剤としてフェノキシエタノール0.8重量部を添加した。
【0067】
実施例2
25℃で約2Pa・sの粘度を有するビニルポリジメチルシロキサン50重量部、25℃で0.01Pa・sの粘度を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン10重量部、25℃で約0.003Pa・sの粘度を有するセテアリルメチコン5重量部、及び25℃で約0.01Pa・sの粘度を有するジメチコン80重量部をの混合物を50℃で混合し、その後セトステアリル硫酸ナトリウム1.5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル6重量部、ポリオキシエチレンモノステアレート8重量部、及び脱イオン水30重量部の混合物と撹拌器中で組み合わせて、安定なエマルションを得た。エマルションへ脱イオン水をさらに添加することで、架橋ポリオルガノシロキサンの含有量を50重量%に減少させた。エマルションを40℃に加熱し、pHを4に調整した後、過酸化水素及びアスコルビン酸をそれぞれ0.1重量部添加してビニルポリジメチルシロキサンのフリーラジカル重合とヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンによるヒドロシリル化を開始させた。4時間後、エマルション中の未反応SiHは発酵管法で測定したところ、0.1cc/g未満であった。0.5重量部の安息香酸ナトリウムを防腐剤としてエマルションに添加した。
【0068】
上記の実施例1及び2のO/Wゲルエマルションの貯蔵弾性率(G')と、Karstedt触媒を用いたヒドロシリル化によって調製された、既知のタイプのO/Wゲルエマルションの貯蔵弾性率(G')は、従来のG'測定手順を用いて測定した。G'はO/Wゲルエマルションの緩衝感覚の指標をもたらし、G'の測定値が大きくなるほど、O/Wゲルエマルションの緩衝作用が大きくなることが分かる。
【0069】
G'測定データを、
図1にグラフで示す。
図1のデータが示すように、本発明を例示する実施例1及び2のO/Wゲルエマルションは両方とも、既知のタイプのO/Wゲルエマルションよりも有意に高く、架橋ポリオルガノシロキサンエマルションの緩衝作用がより高くなることが分かる。
【0070】
実施例3
25℃で約0.5Pa・sの粘度を有するビニルポリジメチルシロキサン樹脂100重量部、25℃で約0.2Pa・sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリオルガノシロキサン20重量部、イソプロピルミリステート20重量部、及び過酸化ベンゾイル1重量部の混合物を60℃で、6重量部のステアレス-2と4重量部のステアレス-21の混合物、モノステアリン酸ポリオキシエチレン8重量部と脱イオン水30重量部の混合物と撹拌器中で混合して、ポリオルガノシロキサンの安定なエマルションを得た。エマルションへ脱イオン水をさらに添加して、架橋ポリオルガノシロキサンの含有量を50重量%に低減させた。次いで、エマルションを80℃に加熱して、フリーラジカル重合/ヒドロシリル化を開始し、4時間で完了させた。発酵管法で測定したところ、SiHは0.1cc/g未満であった。pHを7に調整した後、防腐剤としてフェノキシエタノール0.8重量部を架橋ポリオルガノシロキサンO/W安定性エマルションに添加した。
【0071】
参考例1
25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニルポリジメチルシロキサン30重量部、イソドデカン10重量部、及び25℃で約1Pa・sの粘度を有するジメチコン10重量部の混合物を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル5重量部、セテアリル硫酸ナトリウム0.5重量部、及び脱イオン水5重量部の混合物と撹拌器で混合して安定なエマルションを得た。エマルションへ脱イオン水をさらに添加して、架橋ポリオルガノシロキサンの含有量を30重量%に低減させた。その後、エマルションを60℃に加熱し、pH4に調整した後、0.05重量部の過硫酸アンモニウムを添加して、ビニルポリジメチルシロキサンのフリーラジカル重合を開始させた。4時間後、得られた架橋ポリオルガノシロキサン安定O/WエマルションのpHをトリエタノールアミンで7に調整し、フェノキシエタノール0.8重量部を防腐剤として添加した。
【0072】
上記実施例1~3及び参考例1の架橋ポリオルガノシロキサンの、D4及びD5における含有量(それぞれ、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンの含有量)は、従来のガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。測定の結果を以下の表2に示す。一般に、架橋ポリオルガノシラン成分のD4及びD5の合計含有量が1,000ppm未満のO/Wゲルエマルションを提供することが有利である。
【0073】
【0074】
参考例2
ビニル基及びヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンIを、以下のように調製した。1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン700重量部と25℃で約0.001Pa・sの粘度を有するビスハイドロジェンジメチコン30質量部の混合物を、80℃で12時間にわたって酸性ケイソウ土1部と混合した。濾過して酸性ケイソウ土を除去した後の、架橋性ポリオルガノシロキサン反応生成物は、25℃で約0.2Pa・sの粘度であった。
【0075】
上記架橋性ポリオルガノシロキサン30重量部、イソドデカン10重量部、及び粘度が25℃で約3Pa・sのジメチコン20重量部の混合物を、撹拌器中でポリオキシエチレンラウリルエーテル5重量部、セテアリル硫酸ナトリウム0.5重量部、及びイオン交換水5重量部の混合物と組み合わせて、ポリオルガノシロキサンの安定なエマルションを得た。エマルションへ脱イオン水をさらに添加して、架橋ポリオルガノシロキサンの含有量を30重量%に低減させた。次いで、エマルションを60℃に加熱し、pH4に調整した後、過酸化水素及びアスコルビン酸をそれぞれ0.1重量部ずつ添加してフリーラジカル重合/ヒドロシリル化を開始させた。重合は4時間で完了した。発酵管法で測定したSiHは0.1cc/g未満であった。安息香酸ナトリウム0.5重量部を防腐剤として架橋ポリオルガノシロキサンO/Wエマルションに添加した。
【0076】
実施例6
この実施例は、実施例2のO/Wゲルエマルションの架橋ポリオルガノシロキサン成分を濃縮し、得られた濃縮物を膨潤剤中で再膨潤させる手順を示す。
【0077】
実施例2の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルション50重量部を80℃に8時間加熱し、それによって水を80重量%より多く蒸発させた。このようにして乾燥させたゲルを、25℃で約0.0005Pa・sの粘度を有する等量のジメチコンと、雰囲気温度で約300~500rpmにおいて撹拌器中で1~3時間にわたって組み合わせ、架橋ポリマー濃縮物を再膨潤させた。
【0078】
実施例7~13
実施例7~13は、本発明の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションと共に処方された種々のパーソナルケア組成物を例示する。
【0079】
手順:
1.A部の成分を混合する。
2.成分7及び8を予め混合し、B部の残りの成分と混合する。A部混合物とB部混合物を混合する。
【0080】
物理的性質及び安定性データ:
1.粘度:4000cps
2.pH:6.6
3.48℃で4週間のオーブンテスト-安定
4.2サイクルの凍結融解安定性試験-安定
【0081】
手順:
1.成分7及び8を部分的に混合してプレミックスを得る。
2.成分7の残りに成分9を均一になるまで分散させ、水を加える。10分間均質化する。
3.均質なA+B混合物が得られるまで、A部及び残りの成分8を攪拌しながらB部に加える。
【0082】
物理的性質及び安定性データ:
1.pH:6.6
2.48℃で4週間のオーブンテスト-安定
3.2サイクルの凍結融解安定性試験-安定
【0083】
手順:
1.A部を混合し、80℃に加熱する。
2.A部を混合し、80℃に加熱する;A部にB部をゆっくりと添加する。
3.C部を混合し、A+B混合物に加える。A+B+C混合物を短時間均質化し、攪拌する。
【0084】
安定性試験:
1.45℃で1ヶ月間のオーブンテスト-安定
2.-18℃で1ヶ月間の貯蔵試験-安定
3.3サイクルの凍結融解安定性試験-安定
【0085】
手順:
1.成分1と成分2を予め混合し、A部の他の成分と混合する。75℃に加熱する。
2.B部の成分を混合し、75℃に加熱する。A部とB部を混合する。
3.A+B混合物を45℃に冷却し、攪拌しながらそこにC部を加える。
【0086】
手順:
1.A部の成分を混合する。
2.A部にB部の成分を順に追加する。
【0087】
物理的性質及び安定性データ:
1.粘度:10000cps
2.pH:6.6
3.48℃で4週間のオーブンテスト-安定
4.2サイクルの凍結融解安定性試験-安定
【0088】
手順:
1.A部の成分を混合する。
2.B部の成分を混合する。
3.撹拌しながら、B部をA部に加える。
4.攪拌しながら、C部をA+B混合物に添加する。
【0089】
手順:
1.成分1と成分2を予め混合し、A部の他の成分と混合し、80℃に加熱する。
2.B部の成分を混合し、80℃に加熱する。A部とB部を混合する。
3.45℃に冷却し、攪拌しながらC部をA+B部に加える。
【0090】
手順:
1.A部を70~75℃に加熱し、均一になるまで混合する。
2.B部をA部に加え、A+B混合物を均質化する。
3.C部をA+B混合物に添加し、A+B+C混合物を均質化する。
4.D部をA+B+C混合物に加え、均一になるまでA+B+C+D混合物を均質化する。
5.A+B+C+D混合物を40~45℃に冷却し、E部を加え、よく混合する。
【0091】
実施例15~21、比較例1及び2
以下の表3は、アクリロイルジメチルタウリン/ビニルピロリドンコポリマー水性増粘剤(クラリアント社のAristoflex)を用いて調製された、幾つかのスキンクリーム組成物の処方例を示す。実施例15~21は、実施例1の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションのソフトフォーカス(光拡散)効果を示し、実施例16、20及び21は該エマルションと窒化ホウ素粉末(Softouch CC9097、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)の組み合わせのソフトフォーカス効果を実証する。比較例1は対照スキンクリーム配合物として提供され、したがってソフトフォーカス効果添加剤を含まない。比較例2は、カプリリルメチコンとC30~45アルキルセテアリルジメチコン(Velvesil 034、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)と乳化剤PEG-8ジメチコン(Silsoft 840、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)との混合物のソフトフォーカス効果を実証する。
【0092】
比較例2及び実施例15~21のスキンクリームは、それぞれのソフトフォーカス添加剤を各配合物の残部内に分散させることによって調製した。
【0093】
各スキンクリーム配合物は8ミルのバードアプリケーターを用いて透明なフィルムに塗布した。フィルムは45℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0094】
エックスライト社のColor-Eye 7000A分光光度計を用いて各試料の光学特性を測定した。各スキン配合物について2種類の測定:全透過率及び鏡面透過率を行った。第3の測定である拡散透過率は、全透過率と鏡面透過率の差を計算することで得られ、また全透過率に対するパーセントとして報告され、拡散透過率の増加が大きいほど、ソフトフォーカス効果が大きい。
【表3】
【0095】
表3のデータが示すように、そして予想通りに、比較例1のスキンクリームは、無視できる程度しか平均拡散透過率の増加を示さず(2%)、従って比較例2及び実施例15~21のスキンクリームの適切な対照としての役割を果たす。
【0096】
10重量%で存在し、また本発明の範囲外のソフトフォーカス添加剤を表す比較例2のスキンクリームは、比較例1のスキンクリームよりも平均拡散透過率が有意な増加を示した(52%)。実施例1の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを唯一のソフトフォーカス添加剤として含有する実施例15のスキンクリームは、平均拡散透過率の増加が比較例2の75%という結果であったが、これは添加剤のより少ない量で達成できた(10重量%と比較して1.25重量%)。実施例1の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを10重量%含有する実施例19のスキンクリームは、同じ量のソフトフォーカス添加剤を含有する比較例2よりもはるかに高い平均拡散透過率を示した。本発明のソフトフォーカス添加剤の含有量が比較例2のスキンクリームよりもはるかに少ない実施例17及び18のスキンクリームは、比較例2のスキンクリームよりもかなり高い平均拡散透過率の増加を示した。
【0097】
実施例1の架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションを窒化ホウ素粉末の組み合わせで含有するソフトフォーカス効果組成物の使用を示す実施例16、20及び21のスキンクリームは、実施例15、17及び18のスキンクリーム中に存在する架橋ポリオルガノシロキサンO/Wゲルエマルションの一部を窒化ホウ素粉末で置換することで、同等の又は増加した平均拡散透過率が得られることを示した。
【0098】
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなしに、様々な変更を行ってよく、またその要素を均等物で代替してよいことが、当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために、多くの改変を行うことができる。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むものとする。