(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】改質燃料制御方法および改質燃料制御装置
(51)【国際特許分類】
F02M 27/02 20060101AFI20230406BHJP
F02D 19/08 20060101ALI20230406BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20230406BHJP
F02M 26/36 20160101ALI20230406BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20230406BHJP
【FI】
F02M27/02 J
F02D19/08 B
F02D19/02 C
F02M26/36
F02M26/35 C
(21)【出願番号】P 2019159405
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】新城 崇
(72)【発明者】
【氏名】有永 毅
(72)【発明者】
【氏名】平谷 康治
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-068121(JP,A)
【文献】特開2001-106512(JP,A)
【文献】特開2015-224146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0163648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 51/00- 51/06,
F02M 27/00- 27/08,
F02D 13/00- 28/00,
F02B 47/08- 47/10,
F02M 26/00- 26/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスの一部を吸気通路に再循環させ、燃料改質触媒により前記再循環する排気ガスと改質用燃料とから水素ガスを含む改質ガスを生成する改質燃料制御方法において、
前記再循環する排気ガスの流量を検出し、
前記再循環する排気ガスの流量に対応して、前記再循環する排気ガスと改質用燃料が通過する前記燃料改質触媒の領域を変化させる、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の改質燃料制御方法において、
前記再循環する排気ガスと改質用燃料が通過する前記燃料改質触媒の領域の変化は、段階的または連続的に変化させる、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の改質燃料制御方法において、
前記再循環する排気ガスと改質用燃料が通過する前記燃料改質触媒の領域は、前記再循環する排気ガスの流量が所定値よりも少ない場合には小さくして、前記再循環する排気ガスの流量が所定値よりも多い場合には全領域とする、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の改質燃料制御方法において、
前記燃料改質触媒の温度を検出し、
前記再循環する排気ガスの流量および温度を検出し、
前記燃料改質触媒の温度が所定値以下の場合には、前記再循環する排気ガスの流量および温度に対応して、前記再循環する排気ガスが通過する前記燃料改質触媒の領域を変化させ、
前記変化させた燃料改質触媒の領域に、前記再循環する排気ガスを通過させ、前記燃料改質触媒の温度を上昇させる、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の改質燃料制御方法において、
前記再循環する排気ガスが通過する前記燃料改質触媒の領域は、段階的または連続的に変化させる、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の改質燃料制御方法において、
前記再循環する排気ガスあるいは前記再循環する排気ガスと改質用燃料が、通過する前記燃料改質触媒の領域の変化は、前記燃料改質触媒の入口と出口で行う、
ことを特徴とする改質燃料制御方法。
【請求項7】
内燃機関の排気ガスの一部を吸気経路に再循環させる排気再循環通路に配置され、前記再循環する排気ガスと改質用燃料とから水素ガスを含む改質ガスを生成する燃料改質触媒と、
前記再循環する排気ガスの流量を検出する流量検出手段と、
を有する燃料改質装置において、
前記燃料改質触媒の前記再循環する排気ガスと改質用燃料が通過する前記燃料改質触媒の領域を変化させる開閉手段と、
前記流量検出手段の検出による再循環する排気ガスの流量に対応して、前記開閉手段の開度を制御する制御手段と、を有する、
ことを特徴とする改質燃料制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質燃料制御方法および改質燃料制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気ガスに噴射する添加剤の霧化を促進させるための添加剤滞留体を備える内燃機関が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術を、燃料改質に適用し、燃料改質触媒を通過する再循環する排気ガスに噴射する改質用燃料の分布を均一化したいが、改質燃料の噴射量や再循環する排気ガス量が異なるため、常時、燃料改質触媒を通過する再循環する排気ガスに噴射する改質用燃料の分布を均一化することはかなり困難であるという問題があった。
本発明の目的は、燃料改質触媒を通過する再循環する排気ガスに噴射する改質用燃料の分布を均一化する改質燃料制御方法および改質燃料制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の改質燃料制御方法および改質燃料制御装置は、再循環する排気ガスの流量を検出し、再循環する排気ガスの流量に対応して、再循環する排気ガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒の領域を変化させる。
【発明の効果】
【0006】
よって、燃料改質触媒を通過する再循環する排気ガスに噴射する改質用燃料の分布を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1を適用する内燃機関システムの構成図である。
【
図2】(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
【
図3】(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
【
図4】(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
【
図5】実施形態1の改質燃料制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】(a)は、実施形態2の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、(b)は、実施形態2の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
【
図7】(a)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、(b)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、(c)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す図である。
【
図8】(a)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、(b)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、(c)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1を適用する内燃機関システムの構成図である。
【0009】
本実施形態の内燃機関1は、自動車等の駆動源として用いられる、内燃機関であり、制御手段であるエンジンコントロールユニット(ECU)18によって制御される排気弁の開閉時期を変更する可変動弁装置50を有している。
この可変動弁装置50は、排気ガス(EGRガス)の昇温が必要な場合には、排気弁の開時期を早く(進角)するようにしている。
すなわち、可変動弁装置50の例としては、VTC(Variable Timing Control)、VVEL(Variable Valve Event & Lift)などがある。
内燃機関1には、吸気通路2と排気通路3とが接続されている。吸気通路2には、スロットルチャンバ4が設けられている。
スロットルチャンバ4の下流側には、過給装置26と、燃料タンク6から供給される燃料を吸気通路2内に向けて噴射する燃料噴射弁7とが設けられている。
また、スロットルチャンバ4の上流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ8が設けられている。
なお、過給装置26は、例えばターボ過給機のコンプレッサとする。
排気通路3には、例えば三元触媒のように、排気浄化作用を有する排気触媒9が設けられている。
排気触媒9の上流側には、内燃機関1から排出された排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ10が設けられている。空燃比センサ10は、空燃比に応じたリニアな出力特性を有する。
また、排気触媒9の下流側には、空燃比が理論空燃比よりリッチなのかリーンなのかのみを検出する酸素センサ11が設けられている。
【0010】
また、内燃機関1は、排気ガスの一部を吸気系に再循環させる排気再循環(EGR)装置を備える。EGR装置は、排気触媒9の上流側で排気通路3から分岐し、スロットルチャンバ4の下流側かつ過給装置26の上流側で吸気通路2に合流するEGR通路(排気再循環経路)12を含む。
そして、EGR通路12には、排気通路3側から順に、改質燃料用噴射弁14、燃料蒸発器15、燃料改質触媒16、EGRクーラ17、EGR制御弁13が設けられている。
EGR制御弁13の弁開度は、運転条件に応じた所定のEGR率が得られるように、ECU18によって制御される。
【0011】
改質燃料用噴射弁14は、燃料タンク6から図示しない燃料ポンプを介して供給される燃料を改質用燃料としてEGR通路12内に噴射する。噴射された改質用燃料は、燃料蒸発器15で気化され、EGR通路12内を流れる排気ガス(EGRガス)と共に、燃料改質触媒本体16aを有する燃料改質触媒16に流入する。
なお、ECU18によって制御され、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を変化させるように、開度が変更可能なバタフライ弁(開閉手段)30が、燃料改質触媒16の燃料蒸発器15側(EGRガス入口側)に設けられている。
このように、開閉手段をバタフライ弁30で構成するようにしたので、単純な構造により、コストの増加を抑制することができる。
燃料改質触媒16は、EGRガスと改質用燃料とを用いて水素を生成可能なものである。
つまり、燃料改質触媒16は、EGR実施中に、改質燃料用噴射弁14から改質用燃料が噴射されると、EGRガスと改質用燃料とから水素を含んだ改質ガスを生成する。
なお、燃料改質触媒16の温度は、温度センサ19により検出される。
すなわち、燃料改質装置は、改質燃料用噴射弁14、燃料改質触媒16を含む。
EGRガス及び改質ガスは、燃料改質触媒16よりも吸気通路2側に設けられたEGRクーラ17にて冷却される。改質ガスに含まれる水素の濃度は、吸気通路2に配置された水素センサ20により検出される。
なお、水素センサ20は、吸気通路2のEGR通路12との合流部よりも下流側、つまり内燃機関1側に配置されている。
【0012】
なお、EGR通路12の改質燃料用噴射弁14よりも排気通路3側には、EGRガスの温度を検出するEGRガス温度センサ21とEGRガスの流量を検出するEGRガス流量センサ(流量検出手段)21aが設けられている。
また、EGR制御弁13とEGRクーラ17との間には、理論空燃比に対してリッチなのかリーンなのかのみを検出する酸素センサ22が設けられている。
【0013】
ECU18には、エアフローメータ8、空燃比センサ10、酸素センサ11、22、EGRガス温度センサ21、EGRガス流量センサ21a、及び水素センサ20の検出信号の他、クランク角センサ23、アクセルペダル開度センサ24、車速センサ25、筒内圧センサ5等、各種センサ類の検出信号が入力される。
ECU18は、これらの検出信号に基づいて種々の制御を行うものであり、運転状態に応じて排気再循環量(EGR量)を制御するEGR制御や、アクセルペダル開度に応じたスロットルチャンバ4の開度、燃料噴射弁7からの燃料噴射量、および改質燃料用噴射弁14からの改質用燃料の噴射量、バタフライ弁30の開度等の制御を行う。
なお、ECU18は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。ECU18を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0014】
ところで、EGR通路12内のガス流れは、排気通路3と吸気通路2との差圧により生じる。
また、排気通路3内には排気脈動が生じる。このため、排気脈動によって排気通路3の圧力が吸気通路2よりも低圧になると、EGR通路12内には吸気通路2側から排気通路3側へ向かうガス流れが生じる。
なお、以下の説明において、排気通路3側から吸気通路2側への向かうガス流れを「順流」といい、その反対方向のガス流れを「逆流」という。
【0015】
EGR通路12内に逆流が生じている状態で改質燃料用噴射弁14から改質用燃料を噴射すると、噴射された改質用燃料はEGR通路12から排気通路3へ流入する。
つまり、未燃焼の燃料が排気通路3へ流入する。これにより、排気触媒9に流入する排気ガスの空燃比は理論空燃比よりもリッチになり、排気エミッションの悪化を招くこととなる。
また、改質用燃料が排気通路3へ流入してしまうと、改質ガスが内燃機関1へ供給されなくなり、燃費性能の低下を招くこととなる。
そこで、ECU18は、逆流によって改質用燃料が排気通路3へ流入することを防止し得る期間内で、運転状態に応じた量の改質用燃料を噴射する。
【0016】
図2(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、
図2(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
すなわち、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より少ない場合の、バタフライ弁30の状態を示している。
【0017】
燃料改質触媒16は、燃料改質触媒ケース16c内の中央に、燃料改質触媒本体16aと燃料改質触媒本体16aの外周を包囲するマット16bを配置している。
また、燃料改質触媒本体16aのEGR通路12の燃料蒸発器15側には、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を変化させるように、電動モータ31により弁体33の中央に設けられた回転軸32が回転し、弁体33の開度が変更可能なバタフライ弁30が設けられている。
このように、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より少ない場合には、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が狭くなるように、バタフライ弁30の弁体33は、図示上下方向に平行な位置の開度となっている。
【0018】
図3(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、
図3(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
すなわち、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より多く、第1所定値Q1より大きい第2所定値(所定値)Q2より少ない場合の、バタフライ弁30の状態を示している。
【0019】
EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合には(Q1<Q2)、バタフライ弁30の弁体33は、図示上下方向から図示右方向に約60°回転した位置の開度となっている。
これにより、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より少ない場合に比べ大きくなる。
【0020】
図4(a)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す側面の断面模式図であり、
図4(b)は、実施形態1の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す正面の断面模式図である。
すなわち、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より大きい第2所定値Q2より多い場合の、バタフライ弁30の状態を示している。
【0021】
EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より大きい第2所定値Q2より多い場合には(Q1<Q2)、バタフライ弁30の弁体33は図示上下方向から図示右方向に約90°回転した位置の開度、すなわち、図示左右方向に平行な位置に回転した開度となっている。
これにより、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合に比べさらに大きくなり、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、全領域となる。
なお、EGRガス流量が大きくなるほど、バタフライ弁30の開度を段階的に制御しているが、よりEGRガス流量に対応して、バタフライ弁30の開度を連続的に制御してもよい。
【0022】
このように、EGRガス流量が大きくなるほど、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を大きくするようにしたので、改質用燃料を均一に分布させることができる。
また、EGRガス流量に対応して、バタフライ弁30の開度を連続的に制御することにより、より改質用燃料を均一に分布させることができる。
【0023】
図5は、実施形態1の改質燃料制御ルーチンを示すフローチャートである。
このフローチャートは、所定の演算周期で繰り返し実行される。
【0024】
ステップS1では、ECU18が、内燃機関1の運転条件に応じた所定のEGR率を設定する。
ステップS2では、ECU18が改質を実施するように判断したか否かを判定する。
ECU18が改質を実施するように判断したときには、ステップS3へ進み、ECU18が改質を実施するように判断していないときには、制御を終了する。
ステップS3では、燃料改質触媒温度Tが所定温度T0より大きいか否かを判定する。
燃料改質触媒温度Tが所定温度T0より大きいときには、ステップS4へ進み、燃料改質触媒温度Tが所定温度T0より大きくないときには、ステップS7へ進む。
【0025】
ステップS4では、EGRガス流量Qから、目標バタフライ弁開度θ0を算出する。
なお、EGRガス流量Qに目標改質用燃料量を加えて、目標バタフライ弁開度θ0を算出してもよい。
前述したが、目標バタフライ弁開度θ0は、EGRガス流量Qに対応して段階的あるいは連続的に設定し、制御する。
ステップS5では、バタフライ弁30の弁体33の開度を、目標バタフライ弁開度θ0へ作動させる。
ステップS6では、改質燃料用制御弁14からの目標改質用燃料量の噴射を開始する。
これにより、改質用燃料を均一に分布させることができる。
【0026】
ステップS7では、EGRガス温度Te、EGRガス流量Qから、目標バタフライ弁開度θ1を算出する。
なお、目標バタフライ弁開度θ1は、EGRガス温度Te、EGRガス流量Qに対応して、EGRガス流量Qに対応して段階的あるいは連続的に設定し、制御する。
ステップS8では、バタフライ弁30の弁体33の開度を、目標バタフライ弁開度θ1へ作動させる。
ステップS9では、EGRガスのみによる燃料改質触媒16の暖機を開始する。
なお、可変動弁装置50により排気弁の開時期を早く(進角)し、EGRガスを昇温することにより、暖機の早期化を図っている。
これにより、EGRガス温度Te、EGRガス流量Qにより、EGRガスが流れる料改質触媒本体16aの領域を制御することにより、燃料改質触媒16の暖機を早期に完了することができる。
【0027】
次に、作用効果を説明する。
実施形態1の改質燃料制御方法および改質燃料制御装置にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0028】
(1)EGRガス流量QあるいはEGRガス流量Qと目標改質用燃料量に対応して、バタフライ弁30の開度を段階的に制御し、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を制御するようにした。
よって、改質用燃料を均一に分布させることができる。
【0029】
(2)EGRガス流量QあるいはEGRガス流量Qと目標改質用燃料量に対応して、バタフライ弁30の開度を連続的に制御し、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を制御するようにした。
よって、より改質用燃料を均一に分布させることができる。
【0030】
(3)燃料改質触媒温度Tが所定温度T0より大きくないときには、すなわち暖機が完了していないときには、EGRガス温度Te、EGRガス流量Qから、段階的あるいは連続的に設定された目標バタフライ弁開度θ1を算出し、燃料改質触媒16に可変動弁装置50により昇温されたEGRガスのみを通過させるようにした。
よって、燃料改質触媒16の暖機を早期に完了することができる。
【0031】
(4)EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域を変化させる開閉手段をバタフライ弁30で構成するようにした
よって、単純な構造により、コストの増加を抑制することができる。
【0032】
図6は、実施形態2の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す図である。
【0033】
開閉手段としてのバタフライ弁30、30aを、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けている。
バタフライ弁30aもバタフライ弁30と同様に、電動モータ31aにより回転軸32aが回転し、弁体33aの開度が変更可能な構成になっている。
これにより、より精度高く改質用燃料を均一に分布させることができる。
この点を除き、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
【0034】
以上説明したように、実施形態2にあっては実施形態1の作用効果に加え、以下に列挙する作用効果を奏する。
(1)開閉手段としてのバタフライ弁30、30aを、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けるようにした。
よって、より精度高く改質用燃料を均一に分布させることができる。
【0035】
図7(a)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、
図7(b)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、
図7(c)は、実施形態3の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す図である。
【0036】
バタフライ弁300は、電動モータ310により弁体331の図示右側の端部に設けられた回転軸320が回転し、弁体331の開度が変更可能な第1バタフライ弁300aと、電動モータ310aにより弁体332の図示左側の端部に設けられた回転軸320aが回転し、弁体332の開度が変更可能な第2バタフライ弁300bとから構成されている。
すなわち、再循環する排気ガス流量Qが小の場合(第1所定値Q1より少ない場合)には、第1バタフライ弁300aの弁体331と第2バタフライ弁300bの弁体332は、EGRガスあるいはEGRガスと改質用燃料の流れに対して、直交する位置の開度になっている。
このように、再循環する排気ガス流量Qが小の場合(第1所定値Q1より少ない場合)には、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が狭くなるように、第1バタフライ弁300aの弁体331と第2バタフライ弁300bの弁体332は、図示左右方向に平行な位置の開度となっている。
また、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合には(Q1<Q2)、第1バタフライ弁300aの弁体331は、図示下方向に約60°回転した位置の開度となる。
このように、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より少ない場合に比べ大きくなる。
さらに、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より大きい第2所定値Q2より多い場合には(Q1<Q2)、第1バタフライ弁300aの弁体331と第2バタフライ弁300bの弁体332は、EGRガスあるいはEGRガスと改質用燃料の流れに対して、平行な位置の開度になっている。
これにより、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合に比べさらに大きくなり、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、全領域となる。
この点を除き、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
なお、実施形態2のように、バタフライ弁300弁を、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けるようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように、実施形態3にあっては実施形態1と同様の作用効果を奏する。
また、バタフライ弁300を、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けるようにした場合には、実施形態2の作用効果も奏する。
【0038】
図8(a)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が小の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、
図8(b)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が中の場合のバタフライ弁の状態を示す図であり、
図8(c)は、実施形態4の燃料改質触媒の再循環する排気ガス流量が大の場合のバタフライ弁の状態を示す図である。
【0039】
バタフライ弁400は、電動モータ440により弁体431aの中央部に設けられた回転軸421が回転し、弁体431aの開度が変更可能な第1バタフライ弁400aと、電動モータ440aにより弁体432aの中央部に設けられた回転軸421aが回転し、弁体432aの開度が変更可能な第2バタフライ弁400bとから構成されている。
すなわち、再循環する排気ガス流量Qが小の場合(第1所定値Q1より少ない場合)には、第1バタフライ弁400aの弁体431aと第2バタフライ弁400bの弁体432aは、EGRガスと改質用燃料の流れに対して、直交する位置の開度になっている。
このように、再循環する排気ガス流量Qが小の場合(第1所定値Q1より少ない場合)には、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が狭くなるように、第1バタフライ弁400aの弁体431aと第2バタフライ弁400bの弁体432aは、図示左右方向に平行な位置の開度となっている。
また、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合には(Q1<Q2)、第2バタフライ弁400bの弁体432aは、EGRガスと改質用燃料の流れに対して、平行な位置の開度になっている。
このように、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より少ない場合に比べ大きくなる。
さらに、EGRガス流量Qが、第1所定値Q1より大きい第2所定値Q2より多い場合には(Q1<Q2)、第1バタフライ弁400aの弁体431aと第2バタフライ弁400bの弁体432aは、EGRガスあるいはEGRガスと改質用燃料の流れに対して、平行な位置の開度になっている。
これにより、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、EGRガス流量Qが第1所定値Q1より多く、第2所定値Q2より少ない場合に比べさらに大きくなり、EGRガスと改質用燃料が通過する燃料改質触媒本体16aの領域が、全領域となる。
この点を除き、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
なお、実施形態2のように、バタフライ弁400を、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けるようにしてもよい。
【0040】
以上説明したように、実施形態3にあっては実施形態1と同様の作用効果を奏する。
また、バタフライ弁400を、燃料改質触媒16のEGRガス入口側と出口側に設けるようにした場合には、実施形態2の作用効果も奏する。
【0041】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 内燃機関
12 EGR通路(排気再循環通路)
16 燃料改質触媒
18 エンジンコントロールユニット(制御手段)
21a EGRガス流量センサ(流量検出手段)
30 バタフライ弁(開閉手段)
30a バタフライ弁(開閉手段)
300 バタフライ弁(開閉手段)
400 バタフライ弁(開閉手段)
Q EGRガス流量
Q1 第1所定値
Q2 第2所定値(所定値)