(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
E01C19/48 A
(21)【出願番号】P 2019527760
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2018025459
(87)【国際公開番号】W WO2019009349
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-02-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2017132032
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 信行
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-79571(JP,A)
【文献】特開2011-196176(JP,A)
【文献】特開2010-112100(JP,A)
【文献】特開2017-36988(JP,A)
【文献】特開2016-218813(JP,A)
【文献】特開平8-26024(JP,A)
【文献】実開平6-68981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C19/48
E02F3/42-3/85
B60Q1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、
前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、
前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、
前記スクリードにより敷き均された前記舗装材で構成される、前記スクリードの後方
にある新設舗装体を照明する照明装置の照明範囲を調整する制御装置と、を備える、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
周囲の物体を検出する物体検出装置を備え、
前記制御装置は、前記物体検出装置の検出結果に基づいて前記照明装置の照明範囲を調整する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
前記照明装置を搭載する飛行体に信号を送信する送信装置を備え、
前記制御装置は、前記送信装置を通じて前記照明装置の照明範囲に関する情報を前記飛行体に送信する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
前記照明装置を搭載する飛行体に電力を供給する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項5】
前記照明装置は前記トラクタに取り付けられている、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記アスファルトフィニッシャの動作状態に応じて前記照明装置の照明範囲を調整する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アスファルトフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間作業時に用いる照明装置と、照明装置に供給する電力を発電する発電機と、発電機を駆動する油圧モータと、を備えたアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
照明装置は、通常、取り付け角度が固定された状態でアスファルトフィニッシャの所定位置に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照明装置は、アスファルトフィニッシャに固定されているため、アスファルトフィニッシャが移動すると、アスファルトフィニッシャの後方で作業する作業者から遠ざかってしまう。そのため、その作業者の周囲を適切に照らすことができない場合がある。
【0006】
上述に鑑み、作業者の周囲をより適切に照らすアスファルトフィニッシャの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例に係るアスファルトフィニッシャは、トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、前記スクリードにより敷き均された前記舗装材で構成される、前記スクリードの後方にある新設舗装体を照明する照明装置の照明範囲を調整する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上述の手段により、作業者の周囲をより適切に照らすアスファルトフィニッシャが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係るアスファルトフィニッシャの側面図である。
【
図2】
図1のアスファルトフィニッシャの上面図である。
【
図3】照明システムの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図5の照明システムを搭載するアスファルトフィニッシャの側面図である。
【
図7】
図6のアスファルトフィニッシャの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の側面図である。道路機械は、ベースペーバ、タックペーバ又はマルチアスファルトペーバ等であってもよい。
図2はアスファルトフィニッシャ100の上面図である。アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2及びスクリード3で構成されている。以下では、トラクタ1から見たホッパ2の方向(+X方向)を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向(-X方向)を後方とする。
【0011】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施例では、トラクタ1は、後輪走行用油圧モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用油圧モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用油圧モータ及び前輪走行用油圧モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。後輪5及び前輪6はクローラで置き換えられてもよい。
【0012】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施例では、コントローラ50は、CPU、メモリ、不揮発性記憶装置等を含むマイクロコンピュータで構成され、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0013】
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。本実施例では、トラクタ1の前側に設置され、ホッパシリンダによってY軸方向(車幅方向)に開閉可能に構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材(例えばアスファルト混合物である。)を受け入れる。
図1及び
図2はホッパ2が全開状態であることを示す。ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパ2が閉じられ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材がホッパ2の中央部に集められる。ホッパ2の中央部にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を給送できるようにするためである。トラクタ1の後側に給送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。本実施例では、スクリュSCは、エクステンションスクリュが左右に連結された状態にある。
図1及び
図2は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材PVをドットパターンで示している。
【0014】
スクリード3は、舗装材PVを敷き均すための機構である。本実施例では、スクリード3は、前側スクリード30及び後側スクリード31を含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。
【0015】
スクリード3の前部にはモールドボード43が取り付けられている。モールドボード43は、スクリード3の前方に滞留する舗装材PVの量を調整する。舗装材PVは、モールドボード43の下端と路盤RBとの間の隙間を通ってスクリード3の下に至る。
【0016】
トラクタ1の上部には、アスファルトフィニッシャ100の操作者が手摺りとして利用可能なガイドレール1Gが設置されている。そして、ガイドレール1Gには物体検出装置51及び照明装置52が取り付けられている。物体検出装置51及び照明装置52は、運転席1Sの下部に取り付けられていてもよく、トラクタ1の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0017】
物体検出装置51は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する物体を検出するように構成されている。本実施例では、物体検出装置51は、アスファルトフィニッシャ100の後方を撮像可能なカメラであり、無線又は有線でコントローラ50に接続されている。コントローラ50は、例えば、物体検出装置51が撮像した画像に各種画像処理を施すことで、アスファルトフィニッシャ100の後方に存在する作業者の位置を検出できる。作業者は、望ましくは、所定のマーカが描かれた腕章、ヘルメット等を装着している。画像認識処理で認識され易いようにするためである。この場合、コントローラ50は、所定のマーカの画像を見つけ出すことで作業者の位置を検出できる。コントローラ50は、所定のジェスチャを行う作業者を検出することで、作業者の位置、又は、光を照射すべき位置を検出してもよい。
【0018】
物体検出装置51は、ステレオカメラ、ミリ波レーダ、超音波センサ、レーザレーダ、赤外線センサ、ライダ等であってもよい。また、物体検出装置51は、アスファルトフィニッシャ100の前方又は側方に存在する物体を追加的に検出できるように構成されていてもよい。本実施例では、1台の物体検出装置51がアスファルトフィニッシャ100に取り付けられているが、複数台の物体検出装置51がアスファルトフィニッシャ100に取り付けられていてもよい。
【0019】
照明装置52は、アスファルトフィニッシャ100の周囲を照らすように構成されている。本実施例では、照明装置52は、アスファルトフィニッシャ100の後方を照らすように位置付けられ、且つ、無線又は有線でコントローラ50に接続されている。アスファルトフィニッシャ100の前方又は側方を追加的に照らすように取り付けられていてもよい。本実施例では、1台の照明装置52がアスファルトフィニッシャ100に取り付けられているが、複数台の照明装置52がアスファルトフィニッシャ100に取り付けられていてもよい。
【0020】
次に、
図3を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される照明システムLSについて説明する。
図3は、照明システムLSの構成例を示すブロック図である。照明システムLSは、主に、コントローラ50、物体検出装置51、照明装置52、情報取得装置53等で構成されている。本実施例では、コントローラ50、物体検出装置51、照明装置52及び情報取得装置53は、電源装置60から電力の供給を受ける。電源装置60は、エンジン61によって駆動される発電機62が発電した交流電力を直流電力に変換する。
図3の太点線は電力線を表し、二重線はエンジン61と発電機62とが機械的に連結されていることを表す。
【0021】
コントローラ50は、機能要素として照明制御部50aを含む。照明制御部50aは、ソフトウェア、ハードウェア又はファームウェアで構成され、照明装置52を制御する。本実施例では、照明制御部50aは、物体検出装置51及び情報取得装置53等の出力に基づいて照明の要否を判定する。そして、照明が必要と判定した場合には目標照明領域を決定し、その目標照明領域に関する指令を照明装置52に対して出力する。目標照明領域は、照明装置52による光が照射されるべき領域を意味する。
【0022】
照明装置52は、光軸調整機構52a及びズーム機構52bを含む。照明装置52は、コントローラ50からの指令に応じて光軸調整機構52a及びズーム機構52bの少なくとも一方を動作させて照明範囲を変更する。目標照明領域を照らすためである。照明装置52は、光量(明るさ)及び波長(色)等の少なくとも1つを変更できるように構成されていてもよい。
【0023】
光軸調整機構52aは、照明装置52の光軸の向きを変化させる。本実施例では、電動モータとギア機構を用いて照明装置52の光軸の向きを機械的に上下左右に変化させる。すなわち、照明装置52の光源の姿勢を変化させて照明装置52の光軸の向きを変化させる。但し、光軸調整機構52aは、照明装置52の光軸を光学的に変化させてもよい。すなわち、ミラー等の光学素子の姿勢を変化させて照明装置52の光軸の向きを変化させてもよい。
【0024】
ズーム機構52bは、照明装置52による照明範囲を変化させる。本実施例では、電動モータとギア機構を用いて照明装置52内の光学素子の姿勢を変化させて照明装置52による照明範囲を拡大し或いは縮小する。
【0025】
情報取得装置53は、情報を取得し、取得した情報をコントローラ50に対して出力する。情報取得装置53は、例えば、走行速度センサ、操舵角センサ、舗装幅センサ、明るさセンサ(カメラを含む。)及び照明スイッチ等の少なくとも1つを含む。走行速度センサは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を検出する。操舵角センサは、アスファルトフィニッシャ100の操舵角を検出する。舗装幅センサは、後側スクリード31の伸張量を検出して舗装幅を算出する。明るさセンサは、アスファルトフィニッシャ100の周囲の明るさを検出する。明るさセンサは、物体検出装置51としてのカメラが有する明るさセンサであってもよい。物体検出装置51としてのカメラが有する明るさセンサは、少なくとも、カメラの撮像範囲の明るさを検出するように構成されているためである。照明スイッチは、照明装置52をオン・オフするために操作者が利用可能なスイッチである。
【0026】
次に、
図4を参照し、照明制御部50aが照明装置52を制御する処理(以下、「照明制御処理」とする。)の一例について説明する。
図4は、照明制御処理の一例のフローチャートである。
図4の例では、照明制御部50aは、照明装置52の作動中にこの照明制御処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。照明制御部50aは、例えば、照明スイッチの操作によって照明装置52が作動させられたときに照明制御処理の実行を開始する。或いは、明るさセンサの出力に応じて照明装置52による照明が自動的に開始されたときに照明制御処理の実行を開始してもよい。照明制御処理の実行開始時には、照明装置52は、例えば、
図2の一点鎖線で示す基準照明領域R0を照らす。
【0027】
最初に、照明制御部50aは、アスファルトフィニッシャ100の周囲の状況を把握する(ステップST1)。照明制御部50aは、例えば、物体検出装置51の出力に基づいてアスファルトフィニッシャ100の後方の所定範囲内に作業者が存在するか否かを判定する。そして、所定範囲内に作業者が存在すると判定した場合には作業者の位置を把握する。
【0028】
その後、照明制御部50aは、目標照明領域を決定する(ステップST2)。照明制御部50aは、例えば、
図2に示すようにアスファルトフィニッシャ100の後方に作業者WK1が存在すると判定した場合、作業者WK1の存在位置を含む所定の大きさの領域を目標照明領域とする。すなわち、破線で示す領域R1を目標照明領域とする。
図2の例では、作業者WK1は、既設舗装体APに隣接する新設舗装体NPのジョイント部をレーキで敷き均す作業を行っている。
【0029】
その後、照明制御部50aは、目標照明領域が照らされるように照明装置52による照明範囲を調整する(ステップST3)。すなわち、物体検出装置51の検出結果に基づいて照明装置52の照明範囲を調整できる。本実施例では、照明制御部50aは、目標照明領域に関する指令を照明装置52に対して出力する。目標照明領域に関する指令は、例えば、照明装置52の光軸の向きに関する情報、及び、照明範囲の大きさに関する情報を含む。目標照明領域に関する指令を受けた照明装置52は、光軸調整機構52a及びズーム機構52bの少なくとも一方を作動させ、照明範囲が目標照明領域と一致するように、或いは、照明範囲が目標照明領域を含むように、照明範囲を調整する。
【0030】
このように、コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100に対する作業者WK1の相対位置の変化に応じて照明装置52の照明範囲を変化させることができる。すなわち、照明装置52は作業者WK1を追尾して作業者WK1を照らし続けることができる。
【0031】
照明制御部50aは、アスファルトフィニッシャ100の動作状態を把握することで目標照明領域を決定してもよい。すなわち、動作状態に応じて照明装置52の照明範囲を調整してもよい。例えば、舗装幅センサの出力に基づいて目標照明領域を決定してもよい。この場合、照明装置52による照明範囲は、例えば、舗装幅が大きいほど車幅方向に拡大される。或いは、走行速度センサの出力に基づいて目標照明領域を決定してもよい。この場合、照明装置52による照明範囲は、例えば、走行速度が大きいほど車長方向に拡大される。
【0032】
次に、
図5~
図7を参照し、照明システムLSの別の構成例について説明する。
図5は、照明システムLSの別の構成例を示すブロック図である。
図6は、
図5の照明システムLSを搭載するアスファルトフィニッシャ100の側面図である。
図7は、
図5の照明システムLSを搭載するアスファルトフィニッシャ100の上面図である。
【0033】
図5の照明システムLSは、発信器150及び飛行体200の少なくとも一方との通信を制御する通信装置57を含む点で
図3の照明システムLSと異なるがその他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0034】
発信器150は、作業者が携帯する装置であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルPC、汎用リモートコントローラ等を含む。本実施例では、腕時計型の発信器である。
【0035】
具体的には、発信器150は、制御装置151、発信装置152及びバッテリ153等で構成されている。制御装置151及び発信装置152は、バッテリ153から電力の供給を受ける。
【0036】
制御装置151は、発信器150を制御するための装置である。本実施例では、制御装置151は、マイクロコンピュータで構成されている。制御装置151は、各種機能に対応するプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現する。
【0037】
発信装置152は、発信器150の外部に向けて情報を発信する。発信装置152は、例えば、アスファルトフィニッシャ100が受信可能な情報を所定の発信周期で繰り返し発信する。発信装置152は、発信ボタンの押下等、作業者による所定の手動操作に応じて情報を発信してもよい。或いは、発信装置152は、所定時刻になったこと等、所定の発信条件が満たされた場合に情報を発信してもよい。
【0038】
飛行体200は、遠隔操作又は自動操縦による飛行が可能な自律式飛行体であり、例えば、マルチコプタ、飛行船等を含む。本実施例では、照明装置204を搭載したクワッドコプタである。
【0039】
具体的には、飛行体200は、制御装置201、通信装置202、自律航行装置203、照明装置204及びバッテリ205等で構成されている。制御装置201、通信装置202、自律航行装置203及び照明装置204は、バッテリ205から電力の供給を受ける。但し、制御装置201、通信装置202、自律航行装置203及び照明装置204は、アスファルトフィニッシャ100に搭載されている電源装置60から電力の供給を受けてもよい。この場合、飛行体200は、電源ケーブルを介して電源装置60に接続される。
【0040】
制御装置201は、飛行体200を制御するための装置である。本実施例では、制御装置201は、マイクロコンピュータで構成されている。制御装置201は、各種機能に対応するプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現する。
【0041】
通信装置202は、飛行体200の外部からの情報を受信する。通信装置202は、例えば、アスファルトフィニッシャ100が送信する情報を受信する。また、通信装置202は、飛行体200の外部に向けて情報を発信してもよい。この場合、通信装置202は、例えば、アスファルトフィニッシャ100が受信可能な情報を発信してもよい。
【0042】
自律航行装置203は、飛行体200の自律航行を実現するための装置である。本実施例では、自律航行装置203は、飛行制御装置及び電動モータを含む。飛行制御装置は、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ(方位センサ)、気圧センサ、測位センサ及び超音波センサ等の各種センサの少なくとも1つを含み、姿勢維持機能及び高度維持機能等を実現する。電動モータは、バッテリ205から電力の供給を受けてプロペラを回転させる。自律航行装置203は、例えば、制御装置201から飛行経路に関する情報を受けると4つのプロペラの回転速度を別々に制御し、飛行体200の姿勢及び高度を維持しながら飛行体200をその飛行経路に沿って移動させる。飛行経路に関する情報は、例えば、飛行位置の緯度、経度及び高度で構成される。制御装置201は、例えば、通信装置202を通じて飛行経路に関する情報をアスファルトフィニッシャ100から取得する。制御装置201は、飛行体200の飛行の妨げとなる障害物の存在を考慮して飛行経路を決定してもよい。飛行の妨げとなる障害物は、例えば、カメラが撮像した画像に基づいて検出される。カメラは、アスファルトフィニッシャ100に取り付けられたカメラであってもよく、飛行体200に取り付けられたカメラであってもよい。飛行体200は、飛行体200が搭載しているカメラ及びセンサ等の少なくとも1つの出力に基づき、飛行の妨げとなる障害物を自律的に回避してもよい。
【0043】
照明装置204は、飛行体200の下方を照らす。本実施例では、飛行体200の下方を照らすように取り付けられ且つ制御装置201に接続されている。本実施例では、1台の照明装置204が飛行体200に取り付けられているが、複数台の照明装置204が取り付けられていてもよい。
【0044】
また、照明装置204は、照明装置52と同様に、光軸調整機構及びズーム機構を含んでいてもよい。この場合、照明装置204は、制御装置201からの指令に応じて光軸調整機構及びズーム機構の少なくとも一方を動作させて照明範囲を調整する。照明装置204は、光量(明るさ)及び波長(色)等の少なくとも1つを変更できるように構成されていてもよい。
【0045】
飛行体200は、カメラを備えていてもよい。この場合、飛行体200は、カメラが撮像した画像に基づいてアスファルトフィニッシャ100及び作業者を認識できる。或いは、飛行体200は、アスファルトフィニッシャ100及び作業者の位置情報を受信してもよい。これらの構成により、飛行体200は、アスファルトフィニッシャ100及び作業者との相対位置関係を把握しながら飛行できる。
【0046】
通信装置57は、アスファルトフィニッシャ100に搭載される装置であり、コントローラ50に接続されている。そして、コントローラ50と外部機器との間の通信を制御する。本実施例では、通信装置57は、受信装置として機能し、発信器150が発信する信号を受信する。この場合、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格が利用されてもよい。コントローラ50は、発信器150の出力(例えば電波強度)に基づいて発信器150の位置すなわち作業者の位置を把握できる。また、送信装置として機能し、目標照明領域等、照明装置204の照明範囲に関する情報を飛行体200に送信する。
【0047】
この構成により、照明制御部50aは、例えば、物体検出装置51として機能する発信器150の出力に基づいてアスファルトフィニッシャ100の後方の所定範囲内に作業者が存在するか否かを判定する。そして、所定範囲内に作業者が存在すると判定した場合には作業者の位置を把握し、その位置に基づいて目標照明領域を決定する。
【0048】
例えば、照明制御部50aは、
図6及び
図7に示すようにアスファルトフィニッシャ100の後方に作業者WK2~WK4が存在すると判定した場合、作業者WK2~WK4のそれぞれの存在位置を含む所定の大きさの領域を目標照明領域とする。この例では、照明制御部50aは、照明装置52と照明装置204を利用できるため、2つの目標照明領域を決定する。すなわち、破線で示す領域R2を、照明装置52に関する第1目標照明領域とし、破線で示す領域R3を、照明装置204に関する第2目標照明領域とする。この例では、作業者WK2は、既設舗装体APに隣接する新設舗装体NPのジョイント部をレーキで敷き均す作業を行っている。作業者WK3は、シックネスゲージを用いて新設舗装体NPの厚さを計測する作業を行っている。作業者WK4は、既設舗装体APに隣接する新設舗装体NPのジョイント部をコンパクタで締め固める作業を行っている。第1目標照明領域は、作業者WK2及び作業者WK3の存在位置を含む。第2目標照明領域は、作業者WK4の存在位置を含む。但し、照明制御部50aは、第1目標照明領域が作業者WK2の存在位置を含み、第2目標照明領域が作業者WK3及び作業者WK4の存在位置を含むように2つの目標照明領域を決定してもよい。また、発信器150は、レーキ、シックネスゲージ及びコンパクタ等の作業具の少なくとも1つに取り付けられていてもよい。
【0049】
その後、照明制御部50aは、第1目標照明領域が照らされるように照明装置52による照明範囲を調整し、且つ、第2目標照明領域が照らされるように照明装置204による照明範囲を調整する。本実施例では、照明制御部50aは、第1目標照明領域に関する指令を照明装置52に対して出力する。第1目標照明領域に関する指令を受けた照明装置52は、光軸調整機構52a及びズーム機構52bの少なくとも一方を作動させ、照明範囲が第1目標照明領域と一致するように、或いは、照明範囲が第1目標照明領域を含むように、照明範囲を調整する。
【0050】
同様に、照明制御部50aは、第2目標照明領域に関する指令を飛行体200の照明装置204に対して出力する。第2目標照明領域に関する指令を受けた照明装置204は、光軸調整機構及びズーム機構の少なくとも一方を作動させ、照明範囲が第2目標照明領域と一致するように、或いは、照明範囲が第2目標照明領域を含むように、照明範囲を調整する。或いは、第2目標照明領域に関する指令を受けた制御装置201は、照明装置204の照明範囲が第2目標照明領域と一致するように、或いは、照明範囲が第2目標照明領域を含むように、飛行体200を飛行させてもよい。この構成により、飛行体200は、例えば、作業者WK4の上空を飛行しながら照明装置204で作業者WK4の周囲を照らすことができる。また、比較的高い位置から照らすため、バルーン投光器に比べ、作業者WK4に眩しさを感じさせ難い。
【0051】
以上の構成により、アスファルトフィニッシャ100は、照明装置52及び照明装置204の少なくとも一方の照明範囲を調整するコントローラ50を備えることで、作業者の周囲をより適切に照らすことができる。
【0052】
また、アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1に搭載された電源装置60の電力を利用して作業者の周囲を照らすように構成されている。そのため、バルーン投光器等の発電機を備えた照明装置の準備を作業者に強いることなく、作業時間が延びて日が暮れた場合等、緊急に照明が必要になった場合にも、作業者の周囲を適切に照らすことができる。また、ロードローラ等、アスファルトフィニッシャ100の周囲を移動する他の道路機械に取り付けられた照明装置に頼ることなく、作業者の周囲を適切に照らすことができる。その結果、舗装に関する作業性を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施例が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施例に限定されることはない。上述した実施例は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施例を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0054】
本願は、2017年7月5日に出願した日本国特許出願2017-132032号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0055】
1・・・トラクタ 1G・・・ガイドレール 2・・・ホッパ 3・・・スクリード 3A・・・レベリングアーム 5・・・後輪 6・・・前輪 30・・・前側スクリード 31・・・後側スクリード 43・・・モールドボード 50・・・コントローラ 50a・・・照明制御部 51・・・物体検出装置 52・・・照明装置 52a・・・光軸調整機構 52b・・・ズーム機構 53・・・情報取得装置 54・・・発電機 55・・・エンジン 57・・・通信装置 60・・・電源装置 61・・・エンジン 62・・・発電機 100・・・アスファルトフィニッシャ 150・・・発信器 151・・・制御装置 152・・・発信装置 153・・・バッテリ 200・・・飛行体 201・・・制御装置 202・・・通信装置 203・・・自律航行装置 204・・・照明装置 205・・・バッテリ AP・・・既設舗装体 CV・・・コンベア NP・・・新設舗装体 PV・・・舗装材 RB・・・路盤 SC・・・スクリュ