(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】マイクロ波加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/64 20060101AFI20230407BHJP
H05B 6/70 20060101ALI20230407BHJP
H05B 6/74 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
H05B6/64 D
H05B6/70 E
H05B6/64 H
H05B6/74 E
(21)【出願番号】P 2021181691
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】520141667
【氏名又は名称】宏碩系統股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼ 亘皓
(72)【発明者】
【氏名】陳 漢穎
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-003098(JP,A)
【文献】特開2020-080233(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101954266(CN,A)
【文献】特開2007-000774(JP,A)
【文献】特開2013-117150(JP,A)
【文献】特開2016-096875(JP,A)
【文献】特開2015-161331(JP,A)
【文献】特開2018-043079(JP,A)
【文献】実開平03-103019(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/46
H05B 6/52 - 6/64
H05B 6/70 - 6/80
H01P 7/00
A45D 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネトロン発振器と、サーキュレータと、加熱チャンバと、端部アッセンブリとを含むマイクロ波加熱装置であって、
前記サーキュレータの一端が、前記マグネトロン発振器に接続され、
前記加熱チャンバは、チャンバ本体及び反応管を含み、該チャンバ本体は、仮想中心線を有する中空体であって、相対する両端にマイクロ波導入口及び連結端部を有し、該マイクロ波導入口を介して前記サーキュレータの他端と連結されており、該反応管は、仮想軸線を有すると共に、該仮想軸線が該チャンバ本体の仮想中心線と90度未満の交角で交差する状態で、該チャンバ本体を貫通して該チャンバ本体上に固定されており、
前記端部アッセンブリは、反射部材及び調整部材を含み、該反射部材は、前記反応管と連結端部との間に配置されるように前記チャンバ本体内に移動可能に設置され、また、該反応管に向かう反射面を備え、該調整部材は、該チャンバ本体の連結端部に設置されると共に該反射部材と連結され、該反射部材の該反応管に対する距離を調整するために用いられ、
前記チャンバ本体は、断面が中空四角形状の筒状体を呈すると共に、上方貫通孔及び下方貫通孔を備え、該上方貫通孔と下方貫通孔がそれぞれ、同軸かつ斜めに配置されるように該チャンバ本体の上下に対向する両壁面に穿設され、
前記反応管が、前記チャンバ本体の上方貫通孔及び下方貫通孔を挿通するように設置され、
前記チャンバ本体の外壁面に、二つの固定具が設置され、該各固定具はそれぞれ、スルーホール及び複数のネジ孔を有し、一方の該固定具のスルーホールは、前記上方貫通孔に位置合わせされており、他方の固定具のスルーホールは、前記下方貫通孔に位置合わせされており、
前記反応管は、管本体と、該管本体の外周に取着される二つの取付部を備え、該各取付部上に複数の取付孔が貫設され、該各取付孔の設置位置は前記各ネジ孔の設置位置に対応しており、該管本体は、該各取付孔を挿通して該各ネジ孔に螺合される複数の締結具を介して、前記チャンバ本体の各固定具のスルーホールを挿通するように該チャンバ本体に保持され、
前記反射部材における、前記反射面が設置された一端の反対側の端面に、メスネジ山を有する締結孔が形成され、
前記調整部材は、案内ネジロッドと、連結棒と、ハンドルと、結合片とを含み、
該案内ネジロッドは、その一端が前記チャンバ本体に固定連結されており、該案内ネジロッドを軸方向に貫通すると共に前記連結端部に連通する軸穴を有し、
該連結棒の一端にオスネジ山が形成され、他端にフランジ部が環状に突出形成され、該連結棒は、オスネジ山を有する端部を介して、該案内ネジロッドの軸穴及び前記連結端部を挿通して、前記反射部材の締結孔に螺合固定され、
該ハンドルの内に、一端の内面にメスネジ山を有すると共に他端の端面に結合穴部を有する結合室が形成され、該ハンドルは、該結合室のメスネジ山を介して、該案内ネジロッドに対して軸方向に移動可能に螺合され、
該結合片の相対する両側面に当接部及び規制部を有し、該当接部の外径は該規制部の外形よりも小さく、該結合片は、該当接部を介して、該ハンドルの結合穴部に嵌合されると共に該連結棒に連結され、該規制部と該連結棒のフランジ部とを介して、該ハンドルの底端部を挟持することを特徴とするマイクロ波加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関し、特に、マイクロ波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腐食性を有する液体の加熱に関して、間接加熱法が一般的に採用されているが、間接加熱するには、大変な時間とエネルギーがかかり、加熱手段としては効率が悪い。
図4及び
図5に示すように、従来の流体加熱方法の中にはマイクロ波加熱法もあり、マイクロ波加熱の原理は、誘電体を交番電界の中に置き、誘電体の誘電特性により、誘電損失を誘発して発熱させる。マイクロ波加熱法は、工業薬品や化成品の急速の加熱、蒸留、熱活性化、加熱による化学反応などに広く利用されており、既存のマイクロ波加熱装置は、順に連結されているマグネトロン発振器90、サーキュレータ91、スタブ整合器92、加熱チャンバ93及び調整用プランジャー94から構成されており、該マグネトロン発振器90は、マイクロ波を発生するものであり、該サーキュレータ91は、マグネトロン発振器90を終端反射部材により反射されて戻ってきたマイクロ波から保護するために用いられ、該加熱チャンバ93は、被加熱物にマイクロ波の照射、加熱処理を行うものであって、マイクロ波の進行方向に対して直交する方向に延設されて被加熱対象の液体が通過する反応管95を備え、該スタブ整合器92と調整用プランジャー94とが、被加熱対象の液体が該加熱チャンバ93を通過する際に最適な加熱効果が得られるように、協働して該加熱チャンバ93へ発射するマイクロ波を調整するものである。
【0003】
化学液体をマイクロ波によって加熱する場合、化学液体の誘電率と誘電損失は、周波数の関数であると共に、液体の温度にも高度に関連していることから、液体の温度の上昇につれて、誘電率と誘電損失が急激に変化する現象がある。誘電率や誘電損失の変化により、インピーダンスの整合が絶えず変化していることから、加熱過程中でのマイクロ波放射の出力電力は急激な高低変化を起こすため、加熱効率が不安定となる。マイクロ波加熱過程中にインピーダンスが変化する問題を解決するために、従来の解決策は、高価なスタブ整合器92を設置することであるが、スタブ整合器92は、設置コストが高いだけでなく、急激に変化するインピーダンスに対し迅速に対応できない状況もあったので、従来技術のマイクロ波加熱装置を改良する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、チャンバ本体に対して斜めに設置される反応管と、反応管との間の距離を調整可能な反射部材を設置することにより、異なる被加熱対象の液体に対するマイクロ波のインピーダンス整合を取ることができると共に、流体抵抗の変化に応じて最適なマッチング周波数帯域に調整することができるマイクロ波加熱装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、マグネトロン発振器と、サーキュレータと、加熱チャンバと、端部アッセンブリとを含むマイクロ波加熱装置であって、
前記サーキュレータの一端が、前記マグネトロン発振器に接続され、
前記加熱チャンバは、チャンバ本体及び反応管を含み、該チャンバ本体は、仮想中心線を有する中空体であって、相対する両端にマイクロ波導入口及び連結端部を有し、該マイクロ波導入口を介して前記サーキュレータの他端と連結されており、該反応管は、仮想軸線を有すると共に、該仮想軸線が該チャンバ本体の仮想中心線と90度未満の交角で交差する状態で、該チャンバ本体を貫通して該チャンバ本体上に固定されており、
前記端部アッセンブリは、反射部材及び調整部材を含み、該反射部材は、前記反応管と連結端部との間に配置されるように前記チャンバ本体内に移動可能に設置され、また、該反応管に向かう反射面を備え、該調整部材は、該チャンバ本体の連結端部に設置されると共に該反射部材と連結され、該反射部材の該反応管に対する距離を調整するために用いられることを特徴とする。
【0007】
前記チャンバ本体は、断面が中空四角形状の筒状体を呈すると共に、上方貫通孔及び下方貫通孔を備え、該上方貫通孔と下方貫通孔がそれぞれ、同軸かつ斜めに配置されるように該チャンバ本体の上下に対向する両壁面に穿設され、前記反応管が、前記チャンバ本体の上方貫通孔及び下方貫通孔を挿通するように設置されることを特徴とする。
【0008】
前記チャンバ本体の外壁面に、二つの固定具が設置され、該各固定具はそれぞれ、スルーホール及び複数のネジ孔を有し、一方の該固定具のスルーホールは、前記上方貫通孔に位置合わせされており、他方の固定具のスルーホールは、前記下方貫通孔に位置合わせされており、前記反応管は、管本体と、該管本体の外周に取着される二つの取付部を備え、該各取付部上に複数の取付孔が貫設され、該各取付孔の設置位置は前記各ネジ孔の設置位置に対応しており、該管本体は、該各取付孔を挿通して該各ネジ孔に螺合される複数の締結具を介して、前記チャンバ本体の各固定具のスルーホールを挿通するように該チャンバ本体に保持されることを特徴とする。
【0009】
前記反射部材における、前記反射面が設置された一端の反対側の端面に、メスネジ山を有する締結孔が形成され、前記調整部材は、案内ネジロッドと、連結棒と、ハンドルと、結合片とを含み、該案内ネジロッドは、その一端が前記チャンバ本体に固定連結されており、該案内ネジロッドを軸方向に貫通すると共に前記連結端部に連通する軸穴を有し、該連結棒の一端にオスネジ山が形成され、他端にフランジ部が環状に突出形成され、該連結棒は、オスネジ山を有する端部を介して、該案内ネジロッドの軸穴及び前記連結端部を挿通して、前記反射部材の締結孔に螺合固定され、該ハンドルの内に、一端の内面にメスネジ山を有すると共に他端の端面に結合穴部を有する結合室が形成され、該ハンドルは、該結合室のメスネジ山を介して、該案内ネジロッドに対して軸方向に移動可能に螺合され、該結合片の相対する両側面に当接部及び規制部を有し、該当接部の外径は該規制部の外形よりも小さく、該結合片は、該当接部を介して、該ハンドルの結合穴部に嵌合されると共に該連結棒に連結され、該規制部と該連結棒のフランジ部とを介して、該ハンドルの底端部を挟持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明によれば、管本体の仮想軸線とチャンバ本体の仮想中心線との交角、及び反射部材の反射面の傾斜角度を変更することが可能であることと、反射面と管本体の仮想軸線との間の距離を調整することが可能であることにより、異なる被加熱対象の液体に対するマイクロ波のインピーダンス整合を取ることができると共に、液体の温度の上昇に伴って変化する流体抵抗に応じて、最適なマッチング周波数帯域に調整することができるので、各種の液体に幅広く適用することが可能となり、また、最適に調整されたマッチング周波数帯域は、マイクロ波加熱されている液体の誘電特性の変化に対応できるので、加熱過程中でのマイクロ波放射の出力電力は、急激な高低変化を起こさず、加熱効率を高める効果があり、それに加え、従来技術のように精密かつ高価なスタブ整合器を設ける必要がないため、装置の複雑さ及び設置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1の部分的な構成要素の軸方向に沿った断面図である。
【
図3】
図2の反射部材を後退させた状態を示す断面図である。
【
図4】従来技術のマイクロ波加熱装置を示す図である。
【
図5】従来技術の加熱チャンバ内の液体の流れ方向及びマイクロ波の進行方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0013】
図1に示すように、本発明のマイクロ波加熱装置は、マグネトロン発振器10、サーキュレータ20、加熱チャンバ30及び端部アッセンブリ40とを含む。
【0014】
前記マグネトロン発振器10は、マイクロ波を発生させるための装置である。ここでのマグネトロン発振器10は従来技術であるので、その特徴や詳しい構造についての説明は省略する。
【0015】
前記サーキュレータ20は、一端が前記マグネトロン発振器10に連結されるように設置されており、該マグネトロン発振器10を反射されて戻ってきたマイクロ波から保護するために用いられる装置である。ここでのサーキュレータ20は、従来技術であるので、その特徴や詳しい構造についての説明は省略する。
【0016】
図1から
図3に示すように、前記加熱チャンバ30は、チャンバ本体31及び反応管32を含み、該チャンバ本体31は、断面が中空四角形状の筒状体を呈すると共に、マイクロ波導入口311、連結端部312、上方貫通孔313及び下方貫通孔314を備え、該マイクロ波導入口311及び連結端部312がそれぞれ、該チャンバ本体31の相対する両端に配置され、該上方貫通孔313及び下方貫通孔314がそれぞれ、同軸かつ斜めに配置されるように該チャンバ本体31の上下に対向する両壁面に穿設される。前記チャンバ本体31の外壁面に、二つの固定具315が設置され、該各固定具315はそれぞれ、該固定具315を貫通するスルーホール316と、メスネジ山を有する複数のネジ孔317を含む。詳しく説明すると、一方の固定具315のスルーホール316は、前記上方貫通孔313に位置合わせされており、他方の固定具315のスルーホール316は、前記下方貫通孔314に位置合わせされている。前記チャンバ本体31は、前記マイクロ波導入口311を介して、前記サーキュレータ20の前記マグネトロン発振器10に連結される一端の反対側の端部に連結されると共に、該チャンバ本体31の延在方向に沿った仮想中心線318を有する。
【0017】
前記反応管32は、管本体321と、該管本体321の外周に取着される二つの取付部322を備え、該各取付部322には、複数の取付孔323が貫設され、該各取付孔323の設置位置が、前記各ネジ孔317の設置位置に対応している。尚、前記管本体321は、石英からなる中空管体であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、マイクロ波が通過しやすい材質から構成されればよい。前記反応管32は、前記チャンバ本体31の各固定具315のスルーホール316及び上方貫通孔313、下方貫通孔314を挿通して前記取付部322の取付孔323を挿通するように該チャンバ本体31のネジ孔317に螺合される複数の締結具を介して、該チャンバ本体31に保持されているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、該反応管32が該チャンバ本体31に固定される方式を適宜変更することができ、例えば、該反応管32が該チャンバ本体31の上方貫通孔313及び下方貫通孔314に直接に固定されてもよい。前記反応管32は、軸方向に沿った仮想軸線324を有し、該仮想軸線324と前記仮想中心線318とが、交角θで斜交し、その交角θは90度未満である。
【0018】
前記端部アッセンブリ40は、反射部材41及び調整部材42を含み、該反射部材41は、前記チャンバ本体31に対応する形状を有する長方体であり、相対する両端に配置される反射面411と締結孔412を備え、該反射面411は傾斜面であり、その傾斜角度は必要に応じて任意に設定することができ、該締結孔412内にメスネジ山を有する。詳しく説明すると、前記反射部材41は、前記反応管32と連結端部312との間に配置されるように、前記チャンバ本体31内に移動可能に設置され、該反射部材41の反射面411は、該反応管32に向かうように配置されている。
【0019】
前記調整部材42は、案内ネジロッド43、連結棒44、ハンドル45及び結合片46を含み、該案内ネジロッド43は、その外壁面上にオスネジ山を有し、その中心に軸方向に沿った軸穴431が貫通するように形成される。該案内ネジロッド43の一端が、前記チャンバ本体31に固定連結されており、該軸穴431が前記連結端部312に連通している。該案内ネジロッド43の固定方式は周知技術であるので、その特徴や詳しい構造についての説明は省略する。前記連結棒44の一端にオスネジ山を有し、他端にフランジ部441が環状に突出形成される。該連結棒44は、オスネジ山を有する端部を介して、前記案内ネジロッド43の軸穴431及び前記連結端部312を挿通して、前記反射部材41の締結孔412に螺合固定される。前記ハンドル45は、その内部に結合室451が形成され、該結合室451の一端の内面にメスネジ山を有し、該結合室451の他端に結合穴部452を有し、該結合穴部452の開口周縁に結合底板部453を有する。前記結合片46は、相対する両側面に配置される当接部461と規制部462を有し、該当接部461の外径は、該規制部462の外形よりも小さい。該結合片46は、該当接部461は前記ハンドル45の結合穴部452に嵌合されて前記連結棒44に当接している状態で、締結具を介して該連結棒44と締結固定されている。詳しく説明すると、該結合片46の規制部462と該連結棒44のフランジ部441とが、該ハンドル45の結合底板部453を緩く挟持している。前記ハンドル45は、その結合室451のメスネジ山を介して前記案内ネジロッド43のオスネジ山と螺合されており、前記連結棒44に対する回動操作により、該案内ネジロッド43上を軸方向に移動可能である。該ハンドル45の移動に伴って、該連結棒44及び前記反射部材41も一緒に移動する。尚、前記調整部材42の構成は、上記に限定されるものではなく、前記反射部材41の前記反応管32に対する距離が調整可能であれば、必要に応じて適宜設計変更することができる。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本発明に係るマイクロ波加熱装置は、使用時に、管本体321の一端に液体流入路(図示せず)と接続すると共に、他端に液体流出路(図示せず)と接続し、被加熱対象の液体が管本体321を通過することができるようになるが、ここでの液体の輸送は従来技術であるので、詳細な説明は省略する。一方、管本体321は、チャンバ本体31の壁面と交角θで斜交するように組み合わされており、該交角θは小さく設定すればするほど、利用可能なマッチング周波数帯域が広くなると共に、チャンバ本体31内に収容される管本体321の長さも長くなる。管本体321とチャンバ本体31との交角θは、異なる被加熱対象の液体の特性に応じて、適切な角度を持つ固定具315を選択して取り付けることで、適宜に設定することができる。具体的に述べると、スルーホール316の傾斜角度が異なる固定具315を取り替えることで、中に挿設されている管本体321の傾斜角度を変更して、上述した交角θの設定を実行する。また、反射部材41の反射面411の傾斜角度は、管本体321の傾斜角度に合わせて変更することができ、異なる角度を持つ反射部材41に交換すればよい。要するに、被加熱対象の液体に応じて、管本体321とチャンバ本体31との交角θ及び反射部材41の反射面411の傾斜角度を適宜に設定することが可能であると共に、マイクロ波により加熱されている液体の温度の上昇に伴って変化する流体抵抗に応じて、
図2及び
図3を参照し、ハンドル45を回して、反射面411の管本体321に対する距離を即時に調整することが可能であることで、異なる液体に対するマイクロ波のインピーダンス整合を達成することができ、かつ最適なマッチング周波数帯域に調整することができるので、各種の液体に幅広く適用することができる。また、最適に調整されたマッチング周波数帯域は、マイクロ波加熱されている液体の誘電特性の変化に対応できるので、加熱過程中でのマイクロ波放射の出力電力は、急激な高低変化を起こさず、加熱効率を高める効果があり、それに加え、従来技術のように精密かつ高価なスタブ整合器(図示せず)を設ける必要がないため、装置の複雑さ及び設置コストを低減することができる。
【0021】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0022】
10 マグネトロン発振器
20 サーキュレータ
30 加熱チャンバ
31 チャンバ本体
311 マイクロ波導入口
312 連結端部
313 上方貫通孔
314 下方貫通孔
315 固定具
316 スルーホール
317 ネジ孔
318 仮想中心線
32 反応管
321 管本体
322 取付部
323 取付孔
324 仮想軸線
40 端部アッセンブリ
41 反射部材
411 反射面
412 締結孔
42 調整部材
43 案内ネジロッド
431 軸穴
44 連結棒
441 フランジ部
45 ハンドル
451 結合室
452 結合穴部
453 結合底板部
46 結合片
461 当接部
462 規制部
90 マグネトロン発振器
91 サーキュレータ
92 スタブ整合器
93 加熱チャンバ
94 調整用プランジャー
95 反応管
θ 交角
【要約】 (修正有)
【課題】傾斜調整可能な反応管を有すると共に反応管と反射部材との間の距離を調整可能であることにより、異なる被加熱対象の液体に対するマイクロ波のインピーダンス整合を取ることができ、かつ流体抵抗の変化に応じて最適なマッチング周波数帯域に調整することができるマイクロ波加熱装置を提供する。
【解決手段】マイクロ波加熱装置であって、マグネトロン発振器と、マグネトロン発振器10に連結されるサーキュレータ20と、チャンバ本体及びチャンバ本体と90度未満の交角で交差する状態でチャンバ本体を貫通してチャンバ本体上に固定される反応管を含むと共にサーキュレータの他端に連結される加熱チャンバ30とチャンバ本体内に移動可能に設置されると共に反応管に向かう反射面を備える反射部材及び反射部材と連結されて反射部材の反応管に対する距離を調整するために用いられる調整部材を含む端部アッセンブリとを備える。
【選択図】
図1