(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド超電導磁気デバイス
(51)【国際特許分類】
H01F 6/00 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
H01F6/00 160
(21)【出願番号】P 2018528108
(86)(22)【出願日】2016-08-18
(86)【国際出願番号】 IL2016050911
(87)【国際公開番号】W WO2017029676
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-08-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522042393
【氏名又は名称】ミオ スメス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルフス、シュキ
(72)【発明者】
【氏名】イェシュロン、ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ニクルシン、ヤコヴ
(72)【発明者】
【氏名】ペレル、エリエゼル
【合議体】
【審判長】清水 稔
【審判官】山田 正文
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504254(JP,A)
【文献】実表平3-92141(JP,U)
【文献】実表平3-34643(JP,U)
【文献】特表2011-510603(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001170(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F6/00-6/06
H01F36/00
H02H9/02
H02J3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気グリッドを安定化させるためのハイブリッド超電導デバイスであって、
a.AC巻線を少なくとも部分的に担持する磁気コア配置であって、前記AC巻線は、故障の際に電流が制限されるためにAC回路に接続可能である、磁気コア配置と、
b.電磁エネルギーを貯蔵するように構成された少なくとも1つの超電導コイルであって、前記少なくとも1つの超電導コイルは、前記磁気コア配置と磁気的に結合され、使用中に前記磁気コア配置を飽和させ、前記少なくとも1つの超電導コイルは、少なくとも1つのシェル形コイル磁気コアによって担持される、少なくとも1つの超電導コイルと、を備え、
前記ハイブリッド超電導デバイスは、以下のモード:前記超電導コイルを少なくとも部分的に充電するモード、前記超電導コイルがループバックされるときの待機モード、および前記超電導コイルを前記AC回路内に少なくとも部分的に放電するモード、に対応して電流パターンを切り替えるように事前プログラムされたスイッチユニットをさらに備え、
前記磁気コア配置は、前記AC巻線の少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つの巻線磁気コア肢を備え、前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢は、前記少なくとも1つの超電導コイルが、励磁されると、前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢を磁気的に飽和させるように取り付けられ、
前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢は、エアギャップを介して、前記少なくとも1つのシェル形コイル磁気コアに磁気的に接続される、ハイブリッド超電導デバイス。
【請求項2】
前記スイッチユニットは、前記超電導コイルを充電および放電するためのパルス幅変調モジュールを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記超電導コイルを充電するように構成された充電ユニットを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
磁束内に位置付けられた少なくとも1つの通路を備え、前記通路は、前記磁束によって磁気的に分離可能な構成要素を含む材料流を導くように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記超電導コイルにわたる電圧および温度分布を監視し、前記超電導コイルの熱暴走がそれを損傷するのを防止するように構成された過電圧保護ユニットを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
電気グリッドを安定化させる方法であって、
a.ハイブリッド超電導デバイスを提供するステップであって、当該ハイブリッド超電導デバイスは、
i.AC巻線を少なくとも部分的に担持する磁気コア配置であって、前記AC巻線は、故障の際に電流が制限されるためのAC回路に接続可能である、磁気コア配置と、
ii.電磁エネルギーを貯蔵するように構成された少なくとも1つの超電導コイルであって、前記少なくとも1つの超電導コイルは、前記磁気コア配置と磁気的に結合され、使用中に前記磁気コア配置を飽和させる、少なくとも1つの超電導コイルと、を備え、
前記ハイブリッド超電導デバイスは、以下のモード:前記超電導コイルを少なくとも部分的に充電するモード、前記超電導コイルがループバックされるときの待機モード、および前記超電導コイルを前記AC回路内に少なくとも部分的に放電するモード、に対応して電流パターンを切り替えるように事前プログラムされたスイッチユニットをさらに備え、 前記磁気コア配置は、前記AC巻線の少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つの巻線磁気コア肢を備え、前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢は、前記少なくとも1つの超電導コイルが、励磁されると、前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢を磁気的に飽和させるように取り付けられ、
前記少なくとも1つの超電導コイルは、少なくとも1つのシェル形コイル磁気コアによって担持され、
前記少なくとも1つの巻線磁気コア肢は、エアギャップを介して、前記少なくとも1つのシェル形コイル磁気コアに磁気的に接続される、ハイブリッド超電導デバイスを提供するステップと、
b.前記超電導コイルを充電するステップと、
c.前記待機モードで待機するステップと、
d.故障状態を開始する場合、前記AC巻線内のインピーダンスを増加させるステップと、
e.前記超電導コイルを前記AC回路内に放電するステップと、
f.必要に応じて、ステップb~eを繰り返すステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導磁気デバイスに関し、より具体的には、故障電流限流器、磁気エネルギー貯蔵デバイス、磁気分離デバイスの機能を同時に提供する超電導ハイブリッドデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電力需要と発電の世界的連続成長は、より良好な、より信頼性の高い、かつより安定した電気グリッドの必要性と並行して進んでいる。グリッド接続は、可能な限り供給を確保し、遠距離にわたってエネルギーを伝送し、発電場所から離れた場所で再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)の使用を可能にするために使われる。過去20年間、高温超電導体に基づく高電流/高電圧デバイスの世界的な研究開発努力が見られた。線材の品質向上と第2世代の超電導線材の出現は、超電導変圧器や発電機、超電導磁気エネルギー貯蔵(SMES)、高勾配磁気分離機(HGMS)、および故障電流限流器(FCL)などのデバイスの技術的実現可能性の成功裏の実証を可能にした。後者は、最初に商業化されたものであり、いくつかのFCLは既に設置されており、欧州および米国のユーティリティーでうまく動作している。
【0003】
この技術開発と並行して、グリーンエネルギーとスマートグリッドの分野では目覚ましい進歩が見られた。エネルギーの節約と保存の必要性が世界的な関心となっているので、より効率的で信頼性の高いネットワークを開発する努力がなされている。新しい高電流/高電圧超電導体ベースのデバイスは、電力ネットワークの効率および信頼性を向上させるために超電導体の低エネルギー損失特性を利用するので、高度に洗練されたグリーンデバイスのこの傾向に自然に併合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近の科学的研究は、SMESとFCLの両方をグリッド内で動作させるという問題に対処してきた。Koplilov他[Kopylov、S.I.他「Joint operation of the superconducting fault current limiter and magnetic energy storage system in an electric power network」、Journal of Physics:Conference Series 234(2010)032029、Kopylov、S.I.他「Use of Superconducting Devices Operating Together to Ensure the Dynamic Stability of Electric Power System」、IEEE TRANS.ON APPL.SUPERCON.21,(2011)2135]は、グリッドの動的安定性を改善するそのような配置の利点を指摘している。Zhao[Caihong Zhao他「Development and Test of a Superconducting Fault Current Limiter-Magnetic Energy Storage (SFCL-MES) System」、IEEE TRANS.ON APPL.SUPERCOND.17,(2007)2014.]は、ブリッジ型の故障電流限流器として使用される超電導コイルを共有するSMESデバイスを実証した。この設計では、7つの変圧器を使用し、6つはSMESおよびFCLポートに使用され、1つは電流安定化に使用されている。整流回路が、故障中に超電導コイルにグリッド電流を流すのを可能にするのに使用される。著者らはブリッジ型SFCL-MESソリューションの実現可能性を実証したが、このソリューションは高価であり、デバイスを高-Vネットワークにアップスケーリングする際に難題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ故に、本発明の1つの目的は、電気グリッドを安定化させるためのハイブリッド超電導デバイスを開示することである。該デバイスは、(b)AC巻線を少なくとも部分的に担持する磁気コア配置であって、該AC巻線は、故障の際に電流が制限されるためのAC回路に接続可能である、磁気コア配置と、(c)電磁エネルギーを貯蔵するように構成された少なくとも1つの超電導コイルであって、該超電導コイルは、コア配置と磁気的に結合され、使用中に磁気コア配置を飽和させる、少なくとも1つの超電導コイルと、を備える。
【0006】
本発明の中核となる目的は、以下のモード:超電導コイルを少なくとも部分的に充電するモードと、超電導コイルがループバックされるときの待機モードと、超電導コイルを回路内に少なくとも部分的に放電するモード、に対応する電流パターンを切り替えるように事前プログラムされたスイッチユニットをさらに備えるハイブリッド超電導デバイスを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、超電導コイルを充電および放電するためのパルス幅変調モジュールを備えるスイッチユニットを開示することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、磁束内に位置付けされた少なくとも1つの通路を備えるデバイスを開示することである。通路は、磁束によって磁気的に分離可能な構成要素を含む材料流を導くように構成される。
【0009】
本発明のさらなる目的は、超電導コイルを充電するように構成された充電ユニットを備えるデバイスを開示することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つの巻線磁気コア肢を備える磁気コア配置を開示することである。少なくとも1つの巻線磁気コア肢は、励磁されると、少なくとも1つの超電導コイルが少なくとも1つのコア肢の磁気肢を磁気的に飽和させるように取り付けられる。
【0011】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの巻線磁気コア肢が開放構成で成形されることを開示することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つのコイル磁気コアによって担持された超電導コイルを開示することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、シェル形である少なくとも1つのコイル磁気コアによって担持された超電導コイルを開示することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、超電導コイルを担持する内部磁気コア肢が設けられた少なくとも1つのシェル形コイル磁気コアを開示することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、内部磁気肢がその中央位置にエアギャップを有することを開示することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの巻線磁気コア肢が、エアギャップを介して、シェル形コイル磁気コアに磁気的に接続されることを開示することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つのコイル磁気コアが、超電導コイルの端部に取り付けられた2つの磁気コア部材を備えることを開示することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、超電導コイルにわたる電圧および温度分布を監視し、コイルの熱暴走がそれを損傷するのを防止するように構成された過電圧保護ユニットを備えるデバイスを開示することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、(a)(i)AC巻線を少なくとも部分的に担持する磁気コア配置であって、該AC巻線は、故障の際に電流を制限するためのAC回路に接続可能である、磁気コア配置と、(ii)電磁エネルギーを貯蔵するように構成された少なくとも1つの超電導コイルであって、該超電導コイルは、コア配置と磁気的に結合され、使用中に磁気コア配置を飽和させる、少なくとも1つの超電導コイルと、(iv)以下のモード、:超電導コイルを少なくとも部分的に充電するモード、超電導コイルがループバックされるときの待機モード、および超電導コイルを回路内に少なくとも部分的に放電するモード、に対応して電流パターンを切り替えるように事前プログラムされたスイッチユニットをさらに備えるハイブリッド超電導デバイスと、を備える、ハイブリッド超電導デバイスを提供するステップと、(b)超電導コイルを充電するステップと、(c)待機モードで待機するステップと、(d)故障状態を開始する場合、AC巻線内のインピーダンスを増加させるステップと、(e)超電導コイルをAC回路内に放電するステップと、(f)必要に応じて、ステップb~eを繰り返すステップと、を含む、電気グリッドを安定化させる方法を開示することである。
【0020】
本明細書で開示される主題をより良好に理解し、実際にどのように実施され得るかを例示するために、ただ非限定的な例として、添付の図面を参照して実施形態をここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは、異なる動作モードに対応するハイブリッド超電導磁気デバイスの電気的図式である。
【
図1B】
図1Bは、異なる動作モードに対応するハイブリッド超電導磁気デバイスの電気的図式である。
【
図1C】
図1Cは、異なる動作モードに対応するハイブリッド超電導磁気デバイスの電気的図式である。
【
図1D】
図1Dは、異なる動作モードに対応するハイブリッド超電導磁気デバイスの電気的図式である。
【
図2A】
図2Aは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、平板形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、平板形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図およびその断面図である。
【
図4B】
図4Bは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図およびその断面図である。
【
図5A】
図5Aは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図5C】
図5Cは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図5D】
図5Dは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図5E】
図5Eは、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図6】
図6は、シェル形の磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図7】
図7は、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の断面図である。
【
図8A】
図8Aは、開放四角形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、開放四角形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、開放四角形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図9】
図9は、開放円形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、星形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図およびその断面図である。
【
図10B】
図10Bは、星形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図およびその断面図である。
【
図11A】
図11A、組み合わされた磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、組み合わされた磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスの代替的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、当業者が該発明を利用することを可能にし、本発明を実行する発明者によって熟考された最良の形態を説明するために提供される。しかしながら、本発明の一般的な原理は、電気グリッドを安定化させるためのハイブリッド超電導デバイスおよびそれを行なう方法を提供するために具体的に定義されているので、様々な変更が、当業者にとって明らかになるようになっている。
【0023】
本発明によれば、単一の超電導コイルが、SMESデバイスにエネルギーを貯蔵する手段として、MS用の磁場源として、および飽和コアFCL用のバイアス磁場源として使用される。特別な磁気設計は、共有された超電導コイルの周りにSMES、FCL、およびMSを統合する。スイッチングユニットは、可能な故障を監視し、すべてのアプリケーションで必要な磁場レベルを維持しながら、電力品質の変動に対してグリッドをサンプリングし、エネルギーをグリッドからへ超電導コイルに、また超電導コイルからグリッドへ導く。
【0024】
ここで、本発明の異なる動作モードに対応する電気的図式を提示する
図1A~1Cを参照する。これらの電気的図式によって実現される電流パターンは、スイッチングユニット(図示せず)によって制御されるスイッチの位置によって規定される。スイッチSW1~SW4は、パルス幅変調技術に基づくスイッチングユニット(図示せず)によって制御され、充電/放電モードでAC/DCおよびDC/AC変換の両方を提供する。
【0025】
具体的には、
図1Aは、充電モードに対応するスイッチ位置を示す。スイッチSW1およびSW4は閉鎖しており、スイッチSW2およびSW3は開放している。超電導コイル内に生み出される電流は、
図1Bに示すように電流をループバックさせた後も持続する。この電流パターンでは、スイッチSW2およびSW4が閉鎖され、スイッチSW1およびSW3が開放される。AC回路にエネルギーが欠落している場合、超電導コイルはAC回路に放電される。
図1Cに見られるように、スイッチSW2およびSW3が閉鎖され、スイッチSW1およびSW4が開放される。本発明のデバイスは、故障状態の電流を制限するだけでなく、公称状態中の電力変動も平滑化することに留意すべきである。コンデンサC1およびC2もまた、出力電圧を平滑化するのに機能する。
【0026】
図1Dは、超電導コイルが充電器によって充電される本発明の実施形態を例示する電気的図式を提示する。スイッチSW1~SW4によって規定される電流パターンは、
図1A~1Cに描写されるものと同様である。
【0027】
この図式では、FCLはSMESが存在する同じ電気回路に直列に挿入されるが、一般的には、SMESおよびFCLは異なる回路に存在してもよい。SMESに磁気的に結合されているFCLが別のバスバーに存在し、その中に故障保護を提供する間、SMESは、1つのバスバーで給電され電力品質を改善してもよい。同様に、SMESおよびFCLは磁気的に結合されてもよいが、異なるネットワーク上に存在してもよい。
【0028】
次に、単相ハイブリッドデバイス用に設計されたハイブリッド超電導磁気デバイスの例示的な実施形態200aおよび200bを提示する
図2Aおよび2Bを参照する。具体的には、実施形態200aはFCL機能とSMES機能を組み合わせるが、一方、実施形態200bはHGMSデバイスの追加の機能を有する。実施形態200aおよび200bは、シェル形の磁気コア配置210を有する。内側に突出する磁気コア肢220は、超電導コイル230を担持する。AC巻線240は、磁気コア配置210と磁気的に結合される。各単相巻線は、制限されるAC電流の2つの半サイクルに対応する2つの巻線セクションを備えることに留意すべきである。超電導コイル230は、磁気コアに実装されて分割構成で作製される。スプリットコイル構成は、磁気分離に使用されるパイプ/チューブの挿入を可能にする。パイプ250は、材料を磁気的に分離されるように導き、実施形態200aおよび200bを互いに区別する。
【0029】
スプリットコイル構成は、ギャップに電磁エネルギーを貯蔵することによって、デバイス内に貯蔵されるエネルギーを増加させる。コイルギャップに貯蔵された電磁エネルギーを備えたこのスプリットコア設計は、非超電導コイルを有する比較的小型のハイブリッドデバイスを使用する可能性を開く。
【0030】
次に、円形実施形態200cおよび200dを提示する
図3Aおよび3Bを参照する。両方の実施形態において、超電導コイル230はソレノイド形態で巻かれているが、その中心軸方向の容積は、ここでパイプ270(
図3B)によって導かれる材料の磁気分離のために働き得る。超電導コイル230は、コイル230の端部に取り付けられた2つの円形磁性コア部材250の間にある。コア部材230は、部材250の円周に沿って分布するコア肢260によって相互接続されている。コア部材230はAC巻線240を担持する。対応するACコイル240に流れる電流の方向は、その中のAC磁束の方向およびその磁束がDCバイアス磁束に対抗するAC電流の半サイクルを決定し、インピーダンスを決定する。コア260は、超電導コイル230のDC磁束によって飽和される。プレート部材250がDC磁束をコア肢260内に駆動するために追加され、一方、プレート部材250とコイル230との間のギャップは、コア肢260に向けられた磁束値を同調するために残される。記載された配置は、単相または3相または多相FCL、SMESおよびMS機能を同時に有するハイブリッドデバイスとして使用可能である。加えて、プレート部材250は、DC戻り磁束をトラップし、デバイスの外側の残留磁場を低減する。円形、規則的または不規則的な多角形のようなプレート部材250の任意の形状は、本発明の範囲内である。超電導コイル230に沿って取り付けられた12個のコア肢を備える例示的実施形態200c/200dは、2つの3相FCLをサポートする。
【0031】
図3Bは、上記の構成要素に加えて、磁気的に分離されるように材料を導くために構成されたパイプ270を備える実施形態200dを示す。
【0032】
次に、シェル形磁気コア配置を有するハイブリッド超電導磁気デバイスのSMES-FCL代替的実施形態200eの斜視図およびその断面図をそれぞれ提示する
図4Aおよび4Bを参照する。
図4Aは、別のSMES-FCL実施形態の3次元の例を説明する。1つの相を取り扱うための四肢構造が説明されている。外側超電導コイル230は、磁気コア配列210を飽和させるSMESコイルとして機能する。数字240は、磁気コアデバイス210によって担持されたAC巻線を意味する。コイル230は、内肢の同じ方向にDC磁場を生成するために、同じ方向(図の上方または下方)に充電される。巻線240は、AC電流の各半サイクルにおいて、1つのコイルが肢内のDC磁束の方向をサポートし、他のコイルはそれに対向するように内肢上に反対方向に巻かれる。外側DC肢は、AC肢における磁束密度強化をサポートするために、内側AC肢よりも大きな断面であってもよい。
図4Aおよび4Bには示されていないが、内側AC肢の飽和レベルを制御し、故障の際に内側AC肢の不飽和化を可能にするために、外側DC肢と内側AC肢との間にギャップを追加してもよい。
図4Aおよび4Bに示される単相構造の逓倍は、多相デバイスを提供する。SMESコイル230は、いくつかの相のDC肢を含むように巻かれるように、各相にわたって統一されてもよい。
【0033】
次に、
図5A~5Eを参照して、本発明の異なる実施形態を提示する。
図5Aは、総コイルインダクタンスおよび動作電流および電圧を制御するために直列接続および並列接続の任意の組み合わせで接続されたコイルセグメント330によって具体化されるSMESコイルを実装するためにも使用されるSMESギャップの自由体積を特徴とする実施形態300aを描写する。非限定的な態様では、SMESコイルは3つのセグメント330を含む。少なくとも1つのセグメントを備え、様々な導体または超電導体で作製されるコイルもまた、本発明の範囲内である。この例示的実施形態は、ACコア肢320上に載っている1つのAC巻線340を備える。ACおよびDCコア310および320は、それぞれ、制御可能なギャップ幅(図示せず)によって分離される。
【0034】
図5Bは、実施形態300aとは反対に、AC巻線をいくつかの巻線セグメント340に分割した実施形態300bを提示する。分割は、AC肢320が飽和しているときにAC回路のインピーダンスを低下させ、コアが不飽和してACコイルセグメントが結合するときにそのインピーダンスを増加させる。
【0035】
図5Cは、300aおよび300bと同様の実施形態300fを提示する。この場合、3相FCLデバイスが実現される。各AC肢320は、少なくとも単一のAC巻線セグメント340を担持する。AC肢320上のすべてのAC巻線セグメント340は、直列に接続される。
【0036】
図5Dは、単一セグメントの超電導コイル330を有し、一方、ACコア肢320に載っている各AC巻線は5つの巻線セグメント340に分割された実施形態300cを提示する。
【0037】
図5Eは、コアを含まないSMES部品を特徴とするハイブリッド超電導デバイスの実施形態300eを表示する。このような実施形態は、SMESコイルセグメント330によって生成されたDC磁束がコア飽和磁場よりもはるかに高いことが要求されるシナリオに適合する。これ故に、DCコアは冗長になる。コアのコストなどの経済的考慮も、DCコア部品を回避する結果となり得る。そのようなシナリオでは、SMESコイルセグメント330によって生成されるDC磁場は、ACコアセグメント320を飽和させるのに十分である。ACコア320の飽和レベルは、磁場源、すなわちSMESコイル330への近接性によって決定される。SMESコイルは、少なくとも1つのコイルセグメント330を備え、FCLは、相ごとに2つのコア肢320を有する少なくとも1つの相を含む。AC巻線は、少なくとも1つのコイルセグメント340を備える。
【0038】
次に、2つの追加のAC相がデバイスに追加されるさらなる実施形態を表示する
図6を参照する。このような相は、そのような相コアに面する追加のDCコアセグメントの有無にかかわらず、デバイスに追加されてもよい。それは、飽和レベルを異なる相に対し別個に制御することを可能にする。
【0039】
次に、ハイブリッド磁気デバイスの例示的な断面図を提示する
図7を参照する。シェル形磁気コア310は、任意選択的にエアギャップ360を介して側部磁気コア肢320と結合される。磁気コア310には、その間に内部ギャップを残した内側に突出した部材350が設けられている。超電導コイルは、セグメント330によって形成される。AC巻線は、コア肢320上に載っているいくつかのセグメント340に分割される。
【0040】
主コア310は、DCコイルセグメント310の周りで閉鎖されていることに留意すべきである。超電導コイル310の周囲のシェル形コア設計は、FCLコア320を通る磁場を減少させ、それらの飽和レベルを制御することに向けられている。FCLコア320が過飽和状態になるのを防止し、セグメント340にわたる故障電流による不飽和化を容易にするために、エアギャップ360が追加される。また、主コア310とFCLコア320との間のエアギャップは、ACおよびDC回路を絶縁し、デバイスの高電圧部分と低電圧部分とを物理的に分離する。半相ごとの各AC巻線は、デバイスの公称挿入インピーダンスを低減するために5つのセグメント340に分割される。AC巻線を分割し、セグメント340を互いに離間させることは、公称AC回路動作中の全体のコイルのインピーダンスに低下をもたらす。
【0041】
次に、代替的実施形態400a~400cをそれぞれ提示する
図8A~8Cを参照する。数字430は、DC超電導コイルを意味する。AC巻線420は、コア肢410によって担持される。AC巻線420は、DC超電導コイル430内に(
図8Aおよび8B)、ならびに外側から(
図8C)実装することができる。
図8Aは、単相FCLを有するSMESとして機能する実施形態400aを描写する。SMESコイル430はコアを有さず、コイル430によって生成されたAC磁束が互いに対向するような方法で実装されたAC巻線420で各々が巻かれた2つのコア肢410を取り囲んでいる。
【0042】
図8Bは、追加のAC相を提供する実施形態400bを描写する。コア410によって担持された2つのAC巻線420は、SMESコイル430の内部空間に追加される。
【0043】
図8Cは、多重AC相デバイスとして機能する実施形態400cを描写する。例示的実施形態400cにおいて、AC巻線は、SMESコイル430内に部分的に実装され、その他は外部に実装される。DC磁束の方向は、SMESコイル430の内部空間および外部空間において反対である。したがって、AC巻線420は、各相に対して、一方のコアがDC磁束の方向をサポートし、他方のコアがそれに対向するような方法で設計される。このようにして、AC故障電流の全サイクルが制限される。
【0044】
図9は、SMESコイル430およびACコア410かつ巻線420の断面が円形である実施形態400dを示す。明らかに、そのような断面は、正方形、長方形、レーストラック形、またはコイル巻線の実践において従来使用されている任意の他の断面であってもよい。
【0045】
次に、3相FCLおよびSMESハイブリッドデバイスの別の例示的実施形態400eを提示する
図10Aおよび10Bを参照する。中心に位置付けされたSMESコイル430は、SMES動作のための、および周囲の星形ACコア肢440を飽和させるための磁場を生成する。DCコイル430およびAC巻線420は分割されてもよい。ACコア440は、ギャップ(図示せず)を含んでもよい。ACコアの数は、変化する。1相を処理するのに少なくとも2つが必要である。多相は任意選択である。本例示的実施形態によれば、AC巻線430はブロックで作製され、一方SCコイル430は少数のセグメントに分割される。エアギャップが、AC肢440内の飽和レベルを制御するために追加されてもよい(図示せず)。
【0046】
次に、SMESコイル430が、ACコア460によって形成された水平面450を相互接続する垂直肢445上に実装される別の実施形態を示す
図11Aおよび11Bを参照する。各ACコア460は、少なくとも1つのACコイルセグメント420を担持し、AC故障サイクルの半サイクルを処理する。例示的実施形態400g(
図11A)によれば、3相ハイブリッドデバイスにおいて、各相は、2つの平行なコア面450の間で分割される。
【0047】
図11Bは、前の実施例と同様で、同じコア460上に実装された3相のコイルを有する実施形態400hを示す。そのような実施形態では、対称な3相故障事象の際にコアを不飽和にさせることができるのに十分なコイル非対称性を確保するように注意しなければならない。同時に、非対称性は、許容限界内でグリッド内の負のシーケンスを維持するために最小限に抑えなければならない。
図11Bの設計は、SMESおよび2つの3相FCLハイブリッドデバイスの例を示す。