(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】患者の搬送および訓練補助器具
(51)【国際特許分類】
A61G 7/14 20060101AFI20230411BHJP
A61G 5/14 20060101ALI20230411BHJP
A61G 7/12 20060101ALI20230411BHJP
A61H 1/02 20060101ALN20230411BHJP
【FI】
A61G7/14
A61G5/14
A61G7/12
A61H1/02 N
A61H1/02 R
(21)【出願番号】P 2020182492
(22)【出願日】2020-10-30
(62)【分割の表示】P 2017564950の分割
【原出願日】2016-03-06
【審査請求日】2020-10-30
(32)【優先日】2015-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518193685
【氏名又は名称】アルジョ アイピー ホールディング アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Arjo IP Holding Aktiebolag
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】リンゲガルト,ハンス
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-500130(JP,A)
【文献】米国特許第06389619(US,B1)
【文献】国際公開第2012/130930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/14
A61G 5/14
A61G 7/12
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の搬送および訓練を行う装置であって、
ユーザを搬送するための移動シャーシと、
前記シャーシから上方に延びる支持構造体と、
前記支持構造体から延びる、当該装置を移動させるための少なくとも1のハンドルであって、前記ハンドルは、前記シャーシの反対側の支持構造の上端に動作可能に接続されており、ユーザが前記装置を使用して座った姿勢と起立姿勢の間を移動するときに前記ハンドルがユーザによって把持されるように構成される、ハンドルと、
足支持アセンブリとを備え、
前記足支持アセンブリが、作動時に振動する動力付きフットプレート部材を含み、
動力付きリフト機構をさらに備え、当該動力付きリフト機構が、少なくとも1のリフトアームアセンブリと、前記少なくとも1のリフトアームアセンブリを昇降させるように動作するアクチュエータとを備え、前記少なくとも1のリフトアームアセンブリが、前記支持構造体から延びて、人を座った姿勢から起立姿勢に引き起こすのを補助し、
前記動力付きリフト機構および/または前記足支持アセンブリを制御するための制御ユニットをさらに備えており、
前記制御ユニットは、前記少なくとも1のハンドルに設けられた複数の入力要素を備え
ており、
前記足支持アセンブリの前記動力付きフットプレート部材の振動周波数及び/又は振幅を、ユーザが前記入力要素に設定入力し得るよう構成されていることを特徴とする装置
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1のリフトアームアセンブリが、少なくとも1のリフトアームおよびそれに接続されたユーザアーム支持体を備えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記動力付きリフト機構のリフトアームアセンブリが、第1および第2のリフトアームを含み、これらリフトアームがともに、ユーザアーム支持体に回動可能に連結されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記第1および第2のリフトアームが、引き起こされる人から離れる使用時の方向に上向きに傾斜した位置から、前記ユーザアーム支持体が前記リフト機構により持ち上げられるときの実質的に水平な位置へと、前記ユーザアーム支持体を移動させるように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置において、
前記少なくとも1のリフトアームアセンブリが、第1および第2の軸の周りに回動可能であり、前記第1の軸は、実質的に固定され、かつ前記第2の軸よりも前記少なくとも1のリフトアームアセンブリの突出端からさらに離れており、使用時においては、作動装置が前記少なくとも1のリフトアームアセンブリを昇降することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の装置において、
前記リフトアームアセンブリが、ユーザが係合できるユーザアーム支持体に連結されたハンドグリップをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きリフト機構が、引き起こされる人から離れる使用時の方向にほぼ上方に傾斜して延びるガイド経路を規定することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記ガイド経路が、直線状、曲線状、S字状または実質的にS字状であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の装置において、
座った人を起立姿勢またはほぼ起立姿勢に持ち上げるのを少なくとも補助するために、前記リフト機構に接続可能なスリングが設けられていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の装置において、
前記少なくとも1のハンドルが、前記支持構造体の上端部またはその隣接位置に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の装置において、
前記支持構造体から横方向に延びて前記動力付きフットプレート部材の上方に延在する脚支持体をさらに備え、前記脚支持部材がユーザの脚の一部に当接するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材が、当該装置に取り外し可能に連結されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材が片持ち構造を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材が、当該装置に移動可能に連結され、前記動力付きフットプレート部材が、ユーザを支持するために伸張される第1位置と、格納のために前記移動シャーシおよび/または支持構造体の空間内に後退する第2位置との間で移動可能となっていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材を駆動するためのモータが、前記支持構造体および/または移動シャーシによって部分的に規定される空間内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の装置において、
前記足支持アセンブリが、フットプレートベースをさらに備え、前記動力付きフットプレート部材が、前記フットプレートベース上に配置されて前記フットプレートベースに連結されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材を駆動するためのモータが、前記フットプレートベース、支持構造体および/または移動シャーシのうちの一つの中に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16または17に記載の装置において、
前記フットプレートベースが、前記フットプレート部材に取り外し可能に連結されていることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項16至18の何れか一項に記載の装置において、
前記フットプレートベースが、1またはそれ以上の車輪を備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項11に記載の装置において、
前記脚支持体が非作動位置に格納可能であることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1至20の何れか一項に記載の装置において、
前記足支持アセンブリが、単一または2の動力付きフットプレート部材を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、
前記装置が、共通または別個の駆動されるフットプレート部材を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れか一項に記載の装置において、
ユーザの身長に適合するように前記支持構造体が調節されるように、前記支持構造体の長さが調節可能であることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか一項に記載の装置において、
前記シャーシが、2つの平行または実質的に平行な脚部を含み、それぞれが各端部に隣接する車輪を支持し、前記脚部が、それらの前端よりも後端でより小さな距離だけ離間され、それにより、前記脚部の後端が椅子の脚または車椅子の内側を通ることが可能となっていることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、
ユーザの足が前記動力付きフットプレート部材上に配置されたときに、前記動力付きフットプレートを作動させて振動させることを特徴とする装置。
【請求項26】
患者の搬送および訓練を行う装置であって、前記装置が、ユーザを搬送するための移動シャーシと、前記シャーシから上方に延びる支持構造体と、前記支持構造体から延びる、当該装置を移動させるための少なくとも1のハンドルと、作動時に振動する動力付きフットプレート部材を含む足支持アセンブリとを備え、
前記ハンドルは、前記シャーシの反対側の支持構造の上端に動作可能に接続されており、ユーザが前記装置を使用して座った姿勢と起立姿勢の間を移動するときに前記ハンドルがユーザによって把持されるように構成され、
前記装置が、ユーザの足が前記動力付きフットプレート部材上に配置されたときに、前記動力付きフットプレートを作動させて振動させ、
動力付きリフト機構をさらに備え、当該動力付きリフト機構が、少なくとも1のリフトアームアセンブリと、前記少なくとも1のリフトアームアセンブリを昇降させるように動作するアクチュエータとを備え、前記少なくとも1のリフトアームアセンブリが、前記支持構造体から延びて、人を座った姿勢から起立姿勢に引き起こすのを補助し、
前記動力付きリフト機構および/または前記足支持アセンブリを制御するための制御ユニットをさらに備えており、
前記制御ユニットは、前記少なくとも1のハンドルに設けられた複数の入力要素を備え
ており、
前記足支持アセンブリの前記動力付きフットプレート部材の振動周波数及び/又は振幅を、ユーザが前記入力要素に設定入力し得るよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、
約5ヘルツと約40ヘルツとの間の周波数で前記動力付きフットプレート部材を振動させることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項26または27に記載の装置において、
約1mmと約5mmとの間の振幅で前記動力付きフットプレート部材を振動させることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項26または27に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材を、定常状態で振動させるか、または振動周波数および/または振幅を変化させることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項26乃至29の何れか一項に記載の装置において、
ユーザが前記装置に隣接する椅子に座り、ユーザの足が前記動力付きフットプレート部材上に位置し、前記動力付きフットプレート部材が振動しているときにユーザが前記装置のハンドグリップを掴んでいることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項26乃至30の何れか一項に記載の装置において、
前記装置の動力付きリフト機構を使用して、ユーザを座った姿勢から起立姿勢に引き起こすことを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置において、
脚支持体をさらに備え、前記脚支持体は、ユーザの脚に当接するとともに、ユーザが起立姿勢に引き起こされた後にユーザを座った姿勢から起立姿勢に引き起こすのを補助するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項26乃至32の何れか一項に記載の装置において、
前記動力付きフットプレート部材が振動している間に、ユーザが前記動力付きフットプレート部材の上に立つことを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置において、
ユーザの胴体の周りにスリングを固定することによって、前記動力付きフットプレート部材上に立つユーザを支持することを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項33または34に記載の装置において、
ユーザが、振動する動力付きフットプレート部材上に立っている間に、前記装置のハンドグリップを把持することを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項33に記載の装置において、
ユーザが、振動する動力付きフットプレート部材上に立っているときに、前記装置のいずれの部分にも支持されず、かつ前記装置のいずれの部分も把持しないことを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項26乃至36の何れか一項に記載の装置において、
ユーザが、振動する動力付きフットプレート部材上に立っている間に、移動装置を使用してユーザを搬送することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コミュニティケア、老人ホームまたは養護施設、病院および医療施設および施設介護内の日常生活における人々の移動補助および搬送のための、並びに移動訓練、理学療法およびリハビリのための、患者の搬送および訓練補助器具に関する。
【0002】
本開示は、2015年3月6日に出願された欧州特許出願第15158076.8号に対する優先権を主張する。この出願は、その全体が引用により本明細書に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
高齢者や衰弱した人々が歩くのを助けるために歩行器を提供することはよく知られている。それら歩行器は、一般に、車輪上に取り付けられたフレーム状の構造体を備えている。フレーム状の構造体は、ユーザが掴むことができるハンドルまたはハンドルバーを含む。そのような歩行器は、自分で起立姿勢に立ち上がることができる人や、補助により歩行することができる人によって使用される。しかしながら、それらの歩行器は、筋肉またはバランストレーニングに適合した動的な足支持体を有していない。
【0004】
また、自力で起立および/または歩行することができない人を支援するために、移動式の病人用ホイストを提供することもよく知られている。このようなホイストは、患者を起立姿勢またはほぼ起立姿勢に引き起こすのを容易にし、患者がある場所から別の場所に搬送される間、そのような姿勢で患者を支持することができる。従来の病人用ホイストは、概して、移動シャーシと、シャーシから起立した支持構造体と、支持構造体から突出するリフトアーム装置であって、座った患者の背中の周囲および患者の腕の下に配置された身体支持スリングを取り付けるための横方向に間隔を空けた取付点を提供するリフトアーム装置と、リフトアームおよび患者を起立姿勢に持ち上げるリフト機構とを備える。そのようなホイストの一つが英国特許出願第2,140,773号に開示されている。そのようなホイストは、英国特許出願第2,140,773号に示されるように、固定されたフットレストを有することがあるが、このような固定されたフットレストは、筋肉およびバランストレーニングのための動的な治療を提供しない。
【0005】
先に、本出願人は、患者リフトおよび搬送装置を開発しており、その一部が欧州特許出願第1,029,524号および英国特許出願第2,318,329号に記載されている。それら装置は、自力で起立姿勢に立ち上がることができるが歩行器の補助を受けても歩行することができない人によって使用されるのに特に適している。英国特許出願第2,318,329号に開示された装置は、移動シャーシと、シャーシから起立する支持構造体と、シャーシに支持されたフットプレートと、フットプレートの上方の膝当てと、支持構造体によって支持された手支持体と、2つのシート部品とを含み、当該部品は、座った人が手支持体を握ってフットプレート上で起立姿勢または実質的に起立姿勢に自分を持ち上げることができる非動作位置と、人の足がフットプレート上にあり、膝が膝当てに押し当てられている状態でシート部品によって人が支持されるように、起立しているときに人のシートの背部にある動作位置との間で移動可能となっている。これらの装置は、患者のリフトおよび搬送装置として非常に成功している。
【0006】
本開示は、患者の搬送および患者の効果的な筋肉訓練の両方を可能にし、患者の回復の改善に繋がる、これらの装置および類似の装置に対する改良に関する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の例示的な実施形態によれば、患者の搬送および訓練を行う装置が提供され、この装置は、ユーザを搬送するための移動シャーシと、前記シャーシから上方に延びる支持構造体と、前記支持構造体から延びる、当該装置を移動させるための少なくとも1のハンドルと、足支持アセンブリとを備える。前記足支持アセンブリは、作動時に振動する動力付きフットプレート部材を含む。この振動は、フットプレート部材上に位置するユーザに動的振動治療を送達するために使用することができる。
【0008】
この装置は、引き起こし、支持、搬送を同時に行って、患者のバランスおよび/または筋肉トレーニングを可能にすることができ、それにより、患者の回復および移動性を高めることができる。
【0009】
この装置は、駆動されるフットプレート部材および/またはリフト機構の動作を制御するための制御ユニットを含むことができる。一実施形態では、制御ユニットはユーザ入力要素を含み、入力されたコマンドに基づいて可変制御を提供することができる。
【0010】
この装置の脚支持体は、着脱可能で、かつ/または非作動位置に格納可能であってもよい。
【0011】
例示的な実施形態において、この装置は、動力付きリフト機構をさらに備え、当該動力付きリフト機構が、少なくとも1のリフトアームアセンブリと、前記少なくとも1のリフトアームアセンブリを昇降させるように動作する作動装置とを備える。リフトアームアセンブリは、第1および第2の軸周りに回動可能であり、前記第1の軸が、実質的に固定され、かつ前記第2の軸よりもリフトアームの突出端からさらに離れており、使用時においては、作動装置がリフトアームを昇降する。
【0012】
この装置は、引き起こされる人から離れる使用時の方向にほぼ上方に傾斜するガイド経路を含むことができる。前記ガイド経路は、直線状、曲線状、S字状または実質的にS字状とすることができる。
【0013】
有利には、座った人を起立姿勢またはほぼ起立姿勢に持ち上げるのを少なくとも補助するために、前記リフト機構に接続可能なスリングが設けられる。
【0014】
この装置は、持ち上げられる人の腕を支持するためのハンドグリップまたはグリップを含むことができる。
【0015】
一実施形態では、リフト機構が、2つのリフトアームを含み、それらリフトアームの両方が、アーム支持体に回動可能に連結されている。2つのリフトアームは、有利には、引き起こされる人から離れる使用時の方向に上向きに傾斜した位置から、アーム支持体が前記リフト機構により持ち上げられるときの実質的に水平な位置へと、アーム支持体を移動させるように配置される。
【0016】
別の実施形態では、リフト機構が1またはそれ以上のリフトアームを含み、各リフトアームが、それらに連結されたユーザアーム支持体を含む。
【0017】
有利には、手支持体の1つまたはそれぞれが、起立する支持構造体の上端部またはその隣接位置に設けられる。
【0018】
足支持アセンブリは、単一のフットレストまたは一対のフットレストを含むことができ、そのフットレストが、共通のまたは別個の駆動されるフットプレート部材を含む。一実施形態では、動力付きフットプレート部材が、装置に取り外し可能に連結されるものであってもよい。フットプレート部材は、片持ち構造を有するものであってもよい。別の実施形態では、フットプレート部材は、地面と直接接触するものであってもよく、かつ/または、フットプレートベースに取り外し可能に連結されるか、かつ/または支持されるものであってもよい。任意選択的には、フットプレートベースは、移動を容易にするために1またはそれ以上の車輪を含むことができる。一実施形態では、フットプレート部材は、装置に移動可能に連結されるものであってもよく、このフットプレート部材が、ユーザを受け入れるか、かつ/または支持するために伸張される第1位置と、格納のために移動シャーシおよび/または支持構造体の空間内に後退する第2位置との間で移動可能となっている。フットプレート部材を駆動するためのモータは、フットプレートベース、支持構造体および/または移動シャーシによって部分的に規定される空間内に配置されるものであってもよい。
【0019】
支持構造体は、ユーザの身長に適合するように調整できるよう、長さを調節可能であってもよい。
【0020】
好都合なことに、シャーシが、2つの平行または実質的に平行な脚部を含み、それぞれが各端部またはその隣接位置で車輪またはキャスタを支持し、脚部が、それらの前端よりも後端でより小さな距離だけ離間され、それにより、脚部の後端が椅子の脚または車椅子の内側を通ることが可能となっている。
【0021】
本開示の例示的な実施形態によれば、搬送および訓練を行う装置を使用する方法が提示される。装置は、ユーザを搬送するための移動シャーシと、作動時に振動する動力付きフットプレート部材を含む足支持アセンブリとを含む。この方法は、ユーザの足が動力付きフットプレート部材上に配置されたときに、動力付きフットプレートを作動させて振動させるステップを含む。フットプレート部材は、約5ヘルツと約40ヘルツとの間の周波数および/または約1mmと約5mmとの間の振幅で振動するように駆動されるものであってもよい。また、フットプレート部材は、定常状態で、または振動周波数および/または振幅を変化させながら、振動するものであってもよい。
【0022】
使用中は、ユーザが前記装置に隣接する椅子に座り、ユーザの足が動力付きフットプレート部材上に配置され、フットプレート部材が振動している間にユーザが前記装置のハンドグリップを直接掴むようにしてもよい。この方法は、装置の動力付きリフト機構を使用して、ユーザを座った姿勢から起立姿勢に引き起こすステップをさらに含むことができる。ユーザの脚に当接するように構成された前記装置の脚支持体は、ユーザが起立姿勢になった後に格納されるようにしてもよい。前記方法は、治療目的での使用のために、ユーザが振動するフットプレート部材の上に立つステップをさらに含むことができる。任意選択的には、ユーザが振動するフットプレート部材の上に立っている間に、スリングがユーザの胴体の周りに固定されるようにしてもよい。また、ユーザは、振動するフットプレート部材上に立っている間に、前記装置のハンドグリップを把持することもできる。また、ユーザは、スリングまたは前記装置の他の構成要素によって支持されることなく、ハンドグリップを把持することもなく、振動するフットプレート部材上に立つこともできる。前記方法は、ユーザが、振動するフットプレート部材上に立っている間に、2つの位置の間でユーザを同時に搬送するステップをさらに含むことができる。例示的な実施形態では、この方法は、前記装置を使用することによって、ユーザの筋肉を強化すること、ユーザのバランスを改善すること、および/または筋肉またはバランスの障害または異常の改善、発生防止または治療を行うステップをさらに含むことができる。この方法は、本明細書中に記載の搬送および訓練補助器具のいずれかを用いて達成することができる。
【0023】
その他の特徴および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下に、添付の図面を参照して、本開示の実施形態を単なる例示として以下に説明する。
【
図1】
図1は、患者の搬送および訓練補助器具の例示的な実施形態の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の装置の側面図であり、人が起立姿勢に自分を引き起こす過程において搬送および訓練補助器具を握っている状態を示している。
【
図3】
図3は、患者の搬送および訓練補助器具の別の実施形態の概略斜視側面図であり、患者が座った姿勢で装置と係合している状態を示しており、患者の胴体がスリングによって支持され、下肢が脚支持体/膝当ておよび動作中の足支持アセンブリの一部に係合している。
【
図4】
図4は、
図3の装置の別の斜視側面図であり、患者が車椅子に座ったときに装置に係合している状態を示している。
【
図5】
図5は、
図3の装置の斜視側面図であり、患者がフットプレート部材上で起立姿勢にあり、バランスおよび筋肉のトレーニングを受けている間に、装置のハンドグリップを掴み、スリングによって支持されている状態を示している。
【
図6】
図6は、
図3の装置の斜視側面図であり、患者がフットプレート部材上で起立姿勢にあり、バランスおよび筋肉のトレーニングを受けている間に、装置のハンドグリップを掴んでいる状態を示している。
【
図7】
図7は、
図3の装置の斜視側面図であり、バランスおよび筋肉のトレーニングを受けている間に、患者がスリングによって固定され、フットプレート部材上でハンズフリーの起立姿勢にある状態を示している。
【
図8】
図8は、
図3の装置の斜視側面図であり、バランスおよび筋肉のトレーニングを受けている間に、患者が、その他のサポート無しに、フットプレート部材上で独立して立っている姿勢にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
先ず、
図1を参照すると、同図に示されている多機能型の患者の搬送および訓練装置1は、移動シャーシ10と、アクティブ足支持アセンブリ11と、シャーシ10から起立する支持構造体12と、逆U字形ブラケット14上に取り付けられた2つのアーム支持体13と、アーム支持体13を昇降させるリフト機構15とを備えている。
【0026】
シャーシ10は、クロスメンバまたはベース17から延出してこれに接続された2本の脚部16(
図1の側面図では第2脚部は見えない)を備えている。脚部16は、両端部にキャスタ18を有し、それらが平行に間隔を空けた関係にある図示の位置から、それらの自由端部に向けて広がる位置まで、ベース17に対して回動可能となっている。リフトユニットとして構成された本体または支持構造体12は、ベース17と一体化されても、ベースの一部を形成しても、かつ/またはベースに連結されるものであってもよい。
【0027】
2本の脚支持体または膝当て19は、アーム20によって支持され、アームは、シャーシ10に取り付けられたブラケット21に取り外し可能に連結されている。膝当て19は、水平軸22を中心に回動可能にアーム20に連結され、圧縮ばね23によって(
図1に示すように)垂直またはほぼ垂直の位置に付勢されている。以下の
図3-
図8の実施形態でより詳細に図示されかつ説明されているアクティブ足支持アセンブリ11は、アーム20と一体化されるか、またはアームに取り外し可能に連結されるものであってもよい。一実施形態では、アクティブ足支持体11は、患者の搬送および訓練装置からそれ自体独立して取り付けまたは取り外すことができる。装置に連結されて(例えば、ベース17および/または支持構造体12に取り付けられて)作動されると、足支持体11が動的に動いて振動するように機能し、それが、アクティブ足支持体11上に立っている人を動かし、かつ振動させる。このように操作される足支持体11は、足、脚および/または全身の振動を人に与えて足および脚を強化するための治療装置として使用することができる。この治療は、患者のリフトおよび搬送装置が静止している間に、または搬送中に行われるものであってもよい。非作動モードでは、足支持体11は、患者を支持して搬送するための静的表面を提供する。別の実施形態では、アクティブ足支持体11が、膝当て19に接続され、単一のユニットとして患者のリフトおよび搬送装置に取り付けられ、そこから取り外されるものとすることができる。一実施形態では、足支持体11および膝当て19を同時に振動させることができる。足支持体11が、単独でまたは膝当て19と一緒に、患者のリフトおよび搬送装置から取り外されるとき、リフト装置は、別のタイプのリハビリ補助器具、すなわち患者のリフトおよび/または歩行支援補助器具として使用することができる。さらに別の実施形態では、患者の搬送および訓練装置の足支持体11および/または膝当て19は、使用されていないときに、ベース17および/または支持構造体12内に格納することができる。支持構造体12のベースは、使用されていないときに、第1状態において、アクティブ足支持体11が単独でまたは膝当て19とともに後退および格納されるキャビティを含むことができる。第2状態では、足支持体11および/または膝当て19は、ベース17および/または支持構造体12から伸張され、その上に人を安全に支持するために伸長位置でロックされる。
【0028】
リフト機構15は、2のリフトアーム25、26と、動力駆動のリニアアクチュエータ27、典型的には、スミスインダストリーズ社によりSingle Acting Electrohydraulic Actuator 102740として製造販売されているタイプのモータ駆動油圧アクチュエータと、2つの離間したガイドプレート28(
図1の側面図では第2のガイドプレートは見えない)とを含む。
【0029】
ガイドプレート28は、シャーシ10と支持構造体12の上端との間に固定されている。各ガイドプレート28は、細長いガイドスロット29を有する。図示した実施形態では、これらは直線状スロットであるが、曲線状またはS字状スロットであってもよい。スロット29は、持ち上げられる人から離れる方向に上方に傾斜している。一実施形態では、スロット29は、持ち上げられる人が最初に概ね前方向に移動し、次に概ね上方向に移動するように配置することができる。
【0030】
アクチュエータ27は、その下端において、2つのガイドプレート28間の水平軸30を中心に回動可能に連結されている。
【0031】
下側リフトアーム26は、その突出端で二股になっており、そこで、ブラケット14に回動可能に連結され、また、他端が、直立支持構造体12によって支持されたピボットピン31を中心に回動可能に連結されている。また、下側リフトアーム26は、アクチュエータ27の延伸部分に回動可能に連結されており、2つのガイドスロット29(
図1の側面図では第2のガイドスロットは見えない)にそれぞれ配置された2つのローラ32を有する。上側リフトアーム25は、その突出端がブラケット14に、他端がアクチュエータ27の延伸部分に回動可能に連結されている。
【0032】
下側リフトアーム26は、ピン31とアクチュエータ27の延伸部分との両方に回動可能に連結されているため、これらの2つのピボットの一方に対してこのリフトアーム26の動きが制限されることがあることが理解されよう。この制限された動きは、ピボットピン31を受け入れるための下側リフトアーム26内の細長いスロットによって、ピボットピン31に対して与えられる。
【0033】
アクチュエータ27の延伸部分およびピボットピン31を中心に下側リフトアーム26を回動させて、ローラ32をガイドスロット29に沿って案内することは、ピボットピン31のみを中心に回動したとした場合にリフトアーム26の外側端部が回動して通る円弧を平らにする効果を有する。このため、ブラケット14は、直進経路に近い経路に沿って持ち上げられ、その結果、椅子のアームレスト上にある手の下向きの圧力を使用して、座った姿勢から自ら身体を持ち上げるときに人が起立する仕方と非常に似たよう形になる。これは、弓状経路に沿って人を持ち上げる従来の方法とは対照的であり、より快適なリフトを提供すると考えられる。
【0034】
2つのリフトアーム25及び26は、アクチュエータ27とブラケット14との間に平行四辺形リンクを形成することができるが、それらリフトアームは、ブラケット14を移動させ、それによってアーム支持体13を、ブラケット14およびアーム支持体13がリフト機構15によって持ち上げられる際に、リフトアームが持ち上げられる人から離れる使用時の方向に上向きに傾斜した位置から、リフトアームが実質的に水平になる位置に、またはその位置に向けて、移動させるように配置させることができる。これは、2つのアーム25,26とブラケット14との間の回動可能な接続部を、2つのアーム25,26とアクチュエータ27との間の回動可能な接続部よりも互いに接近させることによって達成されるものであり、また、リフト装置が、同じ長さのリフトアームを有する他の場合と比べて、より背の高い人を起立姿勢またはほぼ起立姿勢に昇降させることができるという利点を有する。
【0035】
アーム支持体13は、持ち上げられる人の前腕および上腕の少なくとも一部を支持するために、概ねL字形である。各アーム支持体にはハンドグリップ33が設けられており、持ち上げられる人の肘がほぼL字形のアーム支持体13の2つのアーム間の接合部に接触して載るように、各ハンドグリップ33の位置を調整可能である。アーム支持体13は、人の腕を支えるような形状とされており、さらに快適になるように詰め物が与えられている。
【0036】
人の腕を適所にしっかりと保持するために、典型的には面ファスナ手段を有する解放可能なストラップ(図示せず)をアーム支持体13に設けることができる。
【0037】
また、スリング34も設けられている。スリング34は、織布材料で作られており、スリング34の中央部分には、快適になるように詰め物が与えられてる。スリング34は、各端部にコード35を有し、ブラケット14には、2本のコード35をそれぞれ受け入れるための2つのジャムクリート36(
図2に示される)が設けられている。これにより、スリング34の有効長さを調節することができる。
【0038】
ブラケット14のアームの自由端の間に調整可能なストラップ(図示省略)を設けて、持ち上げられる人がブラケット14内に入るのを防止することができる。
【0039】
支持構造体12の上端部に1またはそれ以上のハンドル38を設けて、付添人が床上でリフト装置を押すことを可能にするようにしてもよい。
図1に示す実施形態では、支持構造体12の上端に2つのハンドル38(第2ハンドルが第1ハンドルにより隠れている)を配置することができ、それを付添人が両手で握って、搬送および訓練装置1の操縦および移動の指示を行うことができる。
【0040】
ここで、
図2の図面を参照すると、同図に示す装置は、アーム支持体13およびブラケット14が、上下のアーム25,26の両方に回動可能に連結されたスリング支持体40によって置き換えられている点で、
図1に示す装置と異なる。スリング支持体40は、持ち上げられる人の背中の周囲および脇の下を通るスリング34を支持するために、2つの横方向に離間したスリング取付点41を有する。この場合、人はスリングのみによって支持される。
【0041】
使用時には、持ち上げられる人が座る椅子の両側をシャーシ10の脚部16が跨ぐ状態で、多機能患者搬送訓練装置を座っている人に隣接して配置することができる。患者を起立姿勢に引き起こすために、人は、膝当て19に膝を当てて足支持体11上に足を載せるようにしてもよい。その後、人は、アーム支持体13に腕を置き、ハンドグリップ33を把持する。その後、解放可能なストラップ(設けられている場合)を、看護師または他の付添人によってアーム周囲の定位置に固定することができる。その後、座っている人の腰部の周囲にスリング34が配置されて、ジャムクリート36に連結される。その後、上体制御を提供するとともに人が左右に揺れないようにするアーム支持体13を持ち上げる。人が起立姿勢に立ち上がると、膝当て19がバネ23の付勢力に抗して回動し、患者の膝が僅かに前方に移動する。人が起立姿勢またはほぼ起立姿勢に達すると、バネ23は膝当て19および人の膝を後方に持ち上げるように促す。足支持体11上のこの最初の起立姿勢において、装置は患者を搬送するために使用することができる。把持ハンドル38を掴んで、付添人または介護者は、患者を所望の場所に運ぶために、装置を押し、引っ張り、または装置の移動を指示することができる。
【0042】
歩行練習を支援するためのリハビリ補助器具として搬送および訓練装置を使用する場合、あるモードでは、患者を持ち上げる前に、足支持体11を除去するか、かつ/または、支持構造体12のベース内に引き込むことができる。人が起立姿勢に引き起こされると、膝当て19は、取り除かれるか、かつ/または、支持構造体12のベース内に引き込まれて、患者が歩くための空間を作り出すことができる。このように、この装置は、患者がアーム支持体13および/またはスリング34を保持してそれらにより支持される間、歩行補助器具として使用することができる。
【0043】
別の治療モードでは、搬送および訓練装置を使用して、バランスおよび/または筋肉トレーニングを提供することができる。例えば、車椅子に座っている患者、または当該装置に隣接して着席姿勢で配置された患者は、片足または両足を足支持体11上に置くことができる。患者の脚および足を収容するための追加の空間を提供するために、このような治療目的での使用中に、膝当て19は、取り除かれるか、かつ/または支持構造体12内に格納されるものであってもよく、また、脚部16は、ベース17および足支持体11から離れる方向にテーパが付けられるように回動されるものであってもよい。このような状態において、足支持体11の振動は、患者が座っている間に患者の下腿の筋肉を強化する機能を果たす。また、患者は、起立姿勢へと立ち上がり、筋肉強化およびバランストレーニングの補助器具として足支持体11を使用することができる。足支持体11が振動すると、患者は、支持のためにアーム支持体13およびハンドグリップ33と係合することができる。必要に応じて、支持を追加するために、スリング34を、患者の背中の周囲に固定することもできる。膝当て19は、治療目的での使用中に追加の空間を提供するために、取り除かれるか、かつ/または支持構造体12内に格納されるようにしてもよく、あるいは、患者の位置決めまたは支持を補助するために拡張されるようにしてもよい。高度なバランスおよび筋肉トレーニングのために、患者は、すべての支持体(例えば、膝当て19、スリング34、アーム支持体13、ハンドグリップ33)を取り外すか、かつ/または取り除くこともできる。また、この装置は、必要に応じて、バランスおよび筋肉トレーニングを行いながら、同時に患者を搬送することもできる。
【0044】
ここで
図3-
図8を参照すると、搬送および訓練補助器具の別の実施形態が示されている。後述する搬送および訓練補助器具のアクティブ足支持アセンブリ111は、患者に運動および筋肉調整を提供することができ、また、
図1および2の搬送および訓練装置内に組み込むこともできる。これは、弱い患者がより速く回復し、強度とバランスを構築することを可能にするとともに、持ち上げおよび装置の支持体の保持を提供する。本明細書中の教示は、
図1および
図2に示される装置の正確な構造に限定されるものではなく、例えば、本明細書中にその全体が引用により援用される本出願人の先願である英国特許出願第2,318,329号に開示されている種類の同様の患者リフトおよび搬送装置に同様に組み入れることができることを理解されたい。一実施形態では、膝支持体は格納式または可動式であり、それは、アクティブ足支持機能がもはや必要ではない場合に、患者が膝支持体を押すことなく、患者が起立することを可能にする。
【0045】
図3-
図8は、
図1および
図2に示す実施形態とは僅かに異なる部分を有する例示的な患者の搬送および訓練補助器具を示している。具体的に、
図3-
図8の実施形態において、搬送および訓練補助器具100は、
図1-
図2のリフト機構15と同様および/または同一のリフト機構を有する。
図3-
図8に示す実施形態のリフト機構は、リフトアームアセンブリ115と、リフトアームアセンブリ115を作動させて、患者を座った姿勢と起立姿勢との間で移動させるのを補助するアクチュエータとを含む。リフトアームアセンブリ115は、
図1および
図2の二重台形リフトアーム構成ではなく、一対のリフトアーム125を含む。リフトアーム125は、U字形の構成を形成する共通の横部材によって互いに連結され、この横部材は、本体または支持構造体12内のリフトモータ(図示省略)に連結されたロッド要素126に連結されている。ロッド要素126は、患者を持ち上げるのを補助するために、支持構造体12の下端から上端に延びる垂直スロットに沿って移動する。リフトアーム125の自由端は、患者係合用に構成された一対のアーム支持部材124に連結されるようにしてもよい。アーム支持部材124は、リフトアーム125に回動可能および/または固定的に接合することができる。一実施形態では、左右のアーム支持部材124は、ユーザがアーム支持部材124を互いに独立に自由に位置決めすることができるように、リフトアーム125に回動可能に連結することができ、それにより、装置100上での把持および全体的な安定性を促進することができる。患者は、アーム支持部材124上に前腕を置いて、そこから垂直上方に延びる一対のハンドル152を把持することができる。いくつかの実施形態では、ハンドル152は、スイッチ、ダイヤルなどのような制御ユニット150用の入力要素を含むことができる。アーム支持部材124の遠位端は、U字型フレームを形成する横部材を介して互いに接続されてもよく、一実施形態では、アーム支持部材124のU字形フレームが、リフトアーム125のU字形フレームと酷似したものとすることができる。例示的な実施形態では、ハンドル152および/または制御ユニット152を、アーム支持部材124の横部材に取り付けて、当該横部材から上方に延在させることができる。別の実施形態では、アーム支持部材124および連結する横部材を、患者を係合するためのU字形のトレイまたはプレート状の構成を有するプラットフォームと置き換えることができる。これに対して、ハンドル152および/または制御ユニット152を取り付けることができる。他の実施形態では、搬送および訓練装置100は、
図1及び
図2に示す実施例と同様又は同一の台形アーム構成を有することができる。
図3-
図8の実施形態のリフトアームアセンブリ115および
図1-
図2のリフトアームアセンブリは、患者の座った姿勢から起立姿勢への移行を容易にするために電動式とされている。
【0046】
以下で明らかになるように、リフトアーム125は、
図1および
図2の実施例に非常に類似した方法で、患者を支持および支援するために、下降および上昇させることができる。しかしながら、他の実施形態では、装置100に、英国特許出願第2,318,329号に開示されたタイプのハンドグリップを備えた固定アーム構成を設けることができることが排除されるものではない。
【0047】
図3に最もよく示されるように、装置100は、患者の膝、脛および/または下腿を支持するための1または2の膝及び/又は脚支持パッドを含む脚支持体または膝支持体119も有することができる。一実施形態では、膝支持体119は、
図1および
図2の実施例の膝支持体19と同一または同様の構造を有することができる。
図3に示す実施形態では、膝支持体119は、膝支持体19と構造および/または機能が同様の構成を有することができ、膝支持体119は、患者の脛に係合するための2つの別個の同じ輪郭のパッドを有する。膝支持体119の2つの輪郭のパッドは、膝支持体119を高さ調節可能にする支持要素121に取り付けることができ、さらに、後方および前方に、特に係合位置と後退位置の間で移動させることができ、後退位置では、後述するように、患者の膝を支持することはなく、特に、アクティブ足支持アセンブリを使用するときに患者の足および脚を収容する追加の空間を提供するのに有用である。一実施形態では、膝支持体119のパッドは、不使用時の保管のために、支持要素121の周りに一緒に折り畳まれて、
図4に示す長手方向のスロットまたはキャビティなど、支持構造体12内に格納されるものであってもよい。別の実施形態では、支持要素121をスロット内に格納することができ、一方、患者の脛を受け入れるために開形態で配置された膝支持体119は、支持構造体12の患者対向面の外側に隣接して配置されて、患者が膝支持体119を必要とするときに使える状態とすることができる。
【0048】
装置100は、フレームまたはシャーシ10と、付添人把持ハンドル38を有するリフトユニットとして構成された本体または支持構造体12とを含み、すべてが、
図1および
図2の実施形態と同一または同様の構造および特性を有している。
図3に良く示されているように、付添人把持ハンドル38は、搬送および訓練補助器具100の把持および移動を容易にするために、支持構造体12の上端の上方および周囲にアーチ状に架かるU字形の形態を有することができる。当業者であれば分かるように、他の実施形態において、フレーム、支持構造体および付添人把持ハンドルは、英国特許出願第2,318,329号に開示されている装置と同様の構造および特性を有することができ、あるいは、患者を座った姿勢から起立姿勢または半起立姿勢にするのを補助し、その後、装置100上である位置から別の位置に搬送することを可能にする他の適当なフレームワークまたは構造を有することができる。
【0049】
装置100は、ユーザの筋肉を強化すること、および/またはバランスを改善することなどによって、ユーザに理学療法を提供するように機能するアクティブ足支持体111を含む。以下に述べる足支持体111の同一または類似の構成要素、構造、特徴および機能は、
図1および
図2のアクティブ足支持体11に組み込むことができる。
図3-
図8に示すように、アクティブ足支持アセンブリ111は、以下、フットプレート部材109と称する、1またはそれ以上の患者係合上部プレートを含み(
図4、
図6および
図8に最もよく示される)、このフットプレート部材は、足支持アセンブリ111内のモータ(図示省略)によって駆動されるとともに、移動または振動するように作動させることができる。一実施形態では、アクティブ足支持アセンブリ111は、1または2の動力付きフットプレート部材109を含むことができ、このフットプレート部材は、各フットプレート部材109を個別に独立して制御するための共通のアクチュエータおよび/または別個のアクチュエータを有することができる。別の実施形態では、アクティブ足支持アセンブリ111は、1またはそれ以上のフットプレート部材であって、その上にユーザが起立することができるフットプレート部材109と、フットプレート部材109を振動させるための対応するモータとを含むことができ、かつ/またはそれらから実質的に構成することができる。フットプレート部材109は、ベース17および/または支持構造体12から延びる片持ちプレートとして構成することができ、あるいは、搬送および訓練装置100を支持する地面、床面またはその他の表面と係合する支持部材または下面を含むことができる。そのような支持部材は、地面に対して静的支持を提供するか、または装置100とともにアクティブ足支持アセンブリ111の移動を容易にする車輪またはキャスタを有することができる。アクティブ足支持アセンブリ111およびその構成要素は、装置100と一体化されるか、装置100に取り外し可能に接続されるか、かつ/またはベース17および/または支持構造体12のキャビティ、空間または中空部内に格納可能に受け入れられるようにすることができる。別の実施形態では、アクティブ足支持アセンブリ111は、フットプレート部材109の下に配置されて当該フットプレート部材を支持するフットプレートベース107を含むことができる。フットプレートベース107は、フットプレート部材109と一体的であっても、あるいは取り外し可能に取り付けられるものであってもよい。フットプレートベース107の下面は、地面と直接接触して、フットプレート部材109の上に立つ患者の安定性および支持を提供することができる。フットプレートベース107は、地面に対して静的な支持を提供するようにしても、あるいは任意選択的には、移動を容易にするために、その下面にキャスタまたは車輪を含むようにしてもよい。アクティブ足支持アセンブリ111およびその構成要素は、装置100、すなわちベース17および/または支持構造体12と一体的であっても、取り外し可能に連結されるものであってもよい。一実施形態では、フットプレート部材109および/またはフットプレートベース107は、不使用時の保管のために、ベース17および/または支持構造体12のキャビティ、空間または中空部内に格納されるようにしてもよい。
【0050】
例示的な実施形態では、フットプレート部材109と動作可能に関連付けられたアクティブ足支持アセンブリ111のモータは、フットプレートベース107内に、あるいは支持構造体12および/またはベース17内に収容することができる。フットプレート部材109は、例えば、約5-約40ヘルツの比較的低い周波数、および約1-約5mmの振幅で振動するように構成することができる。一実施形態では、足支持アセンブリ111は、振動周波数および/または振幅の安定した状態、または可変振動効果を提供する可変シーケンスの何れかにおいて、約5-約40ヘルツの範囲内の任意の選択された周波数、および約1-約5mmの範囲の選択された振幅のいずれか1つで、フットプレート109を振動させるよう選択的に制御可能である。例示的な実施形態では、足支持アセンブリ111のモータおよびフットプレート109は、筋力トレーニングを提供し、筋肉のリハビリを行い、かつバランスおよび/または姿勢を改善するのに効果的な、ユーザの脚部および/または胴部における大きな筋肉群の治療的活性化を提供するのに適合する周波数で、振動するように構成することができる。別の実施形態では、足支持アセンブリ111のモータおよびフットプレート109は、骨粗鬆症の予防、筋萎縮の軽減または回復、骨盤筋のような筋肉の構築および/または強化、筋収縮の改善、筋性起始の疾患の治療、腰痛の緩和、改善および/または治療、血液循環の改善、並びに、失禁の改善および/または治療に、治療上および効果的に適合する周波数で、振動するように構成することができる。
【0051】
アクティブ足支持アセンブリ111は、装置100の患者のリフトおよび搬送構成要素と協働して、起立および移動する能力を回復する患者の治療だけでなく、筋肉調整および強化に寄与する大きな筋肉群の活性化も補助する。また、アクティブ足支持アセンブリ111は、反射ベースの筋肉刺激および身体姿勢トレーニングを提供することもできる。全体として、装置100は、患者の回復およびリハビリを容易にし最適化するために、患者の筋力、バランスおよび改善された身体姿勢を構築するのを支援することができる。特に、これら図面に示すタイプのアクティブ足支持アセンブリ111の提供は、固定化および傷害後の筋力トレーニング、骨粗鬆症の予防、バランストレーニングおよび転倒防止、調整トレーニング、筋萎縮、背部痛、血行不良、骨盤筋トレーニング、緊張性尿失禁治療、筋性起始の疾患、筋肉収縮のうちの何れか1またはそれ以上に有用なものである。
【0052】
したがって、患者の搬送および訓練補助器具100は、患者の病院滞在期間を短縮し、患者がより強くなるのを助けてリハビリ期間を短縮し、かつ、複数の付添人および/または専門の理学療法士が治療的筋力およびバランストレーニングを与える必要性を低減するのを助ける。装置100は、非理学療法士が患者を訓練することを可能にするとともに、座った姿勢と起立姿勢の両方において、振動筋肉構築およびバランストレーニング運動は、
図3-
図8に示すように、かつ以下にさらに詳細に説明するように、ユーザの日課の一部とすることができる。後で明らかになるように、患者は、回復期間および回復期の間に必要とされるサポートの様々な程度およびリハビリ訓練の難易度のレベルをカスタマイズすることができる。
【0053】
装置100は、制御ユニット150も含み、この制御ユニットは、患者によって制御可能であるとともに、アクティブ足支持アセンブリ111および/またはリフトアームアセンブリ115、特にそのモータユニットに動作可能に関連付けられ、連結されている。制御ユニット150は、足支持アセンブリ111およびリフトアームアセンブリ115をいつ作動させるべきか、並びに、起動を調整できる場合に、所望通りにこれをいつ調整すべきかを、ユーザが制御するのを可能にする適当なユーザ入力部を含む。制御ユニット150は、患者が選択することができる複数の格納されたまたは格納可能な運動ルーチンおよびシーケンスを含むことができ、さらに、例えば、足支持アセンブリ116が作動されるかどうかのみならず、各フットプレート部材109の振動周波数および/または振幅をどうするか等、装置の正確な設定を患者が制御することを可能にする1またはそれ以上の制御ボタン、ダイヤルまたはその他の入力部を含むことができる。一実施形態では、2つの別個のフットプレート部材109について、かつ/または単一のフットプレート部材109の異なる領域(例えば、左領域および右領域)について、振動設定を独立して制御およびカスタマイズすることが可能である。制御部は、同時に、かつ/または相応して、ユーザアーム支持体124を上下または左右に回動運動させることができる。
【0054】
装置100は、バランスを取る患者の強さおよび能力に応じて、リハビリ訓練中に患者に複数の程度の支持を提供することができる。
図3-
図8に例が示されている。先ず、
図3および
図4を参照すると、これらは、通常は椅子に拘束されている患者によって装置100がどのように利用され得るかを示している。
図3および
図4から明らかなように、患者は、ハンドル152を把持して制御ユニット150を制御できるような形で、足をアクティブ足支持アセンブリ116上に置くことができ、それにより、アクティブ足支持アセンブリ116を動作させてフットプレート部材120を振動させ、筋肉調整および運動を提供することができる。特に
図4から明らかなように、同図に示される実施形態のアセンブリ100は、車椅子の患者に対するアクセスを可能にするために互いに対して外側に広がるシャーシ部材10を有する。足支持アセンブリ116は、適切なストラットまたは他の固定機構によってフレームまたはシャーシ10に固定されることが理解されよう。
【0055】
図5および
図6を参照すると、これら図に示された患者は、より動くことができ、特に、リフトアームアセンブリ125に固定されたハンドル152を把持しながら、座った姿勢から立ち上がることができる。
図5において、患者は、スリング34によっても支持されており、このスリングは、当業者が見てすぐに分かる種類の適当なフックまたは他の固定要素によってリフトアームアセンブリ125に固定することができる。患者は、
図6に示すように、スリングを取り外して、バランスおよび/または筋力リハビリ訓練中の難易度をさらに高めることもできる。この状態では、患者が、トレーニングにおいて再び立ち上がって起立した状態を保つのを補助されるだけではなく、アクティブ足支持アセンブリ111を介して追加の調整および運動を提供することもできる。装置100は、この構成において、リハビリ訓練を提供するために使用されるだけではなく、患者を装置100上で支持した状態で、ある位置から別の位置に患者を搬送するために使用することもでき、この場合、患者の搬送中に、患者の望み通りに、また患者が望むときにアクティブ足支持アセンブリ116を停止させることができる。作動停止は、制御パネル150を介して患者または介護者によって、または別個の制御入力部を介して介護者によって、行うことができる。別個の制御入力部は、図面には示されていないが、当業者にすぐに分かる構成および構造を有することができる。介護者制御ユニットは、例えば、装置100の直立部分12上に配置されるものであっても、あるいは遠隔制御装置であってもよい。
【0056】
図7において、患者は、ハンドル152を把持することなく、アクティブフットプレートアセンブリ111によって提供される筋肉強化およびバランストレーニングに参加することができる。図示のように、リハビリ訓練中に支持を提供するために、スリング34を患者の胴体の周りに固定することができる。
【0057】
図8において、装置100は、アクティブ足支持アセンブリ116によって提供される調整および運動のみから恩恵を得るために、より能力のある患者、特に、スリング34によって支持される必要がなく、ハンドル152から手を離すことができる独立して起立可能な患者を補助するものとして示されている。
【0058】
訓練および/または患者の搬送が、
図3-
図8に示されているものの中間にある他の構成で行うこともできることは容易に理解されるであろう。
【0059】
本明細書中の教示は、図面に示され、上述された装置の具体的な構造に限定されるものではなく、様々な患者ハンドリングおよび搬送装置に組み込むことができ、それには、例えば、ArjoHuntleigh Sara Combilizer(商標)、Sara Plus(商標)、Sara 3000(商標)、Sara Lite(商標)およびSara Stedy(商標)リハビリ、起立、立ち上がりおよび/または搬送装置が含まれる。
【0060】
上述した実施形態では、足支持アセンブリ111を、装置の一体部分となるように、装置100に固定するようにしてもよい。また、足支持アセンブリ116は、例えば、当該アセンブリに固定要素が形成された取り付け可能な形態とすることもでき、それによりアセンブリ111を既存の患者搬送装置に組み込むことができるようにすることも考えられる。例えば、
図1および
図2の実施例を考慮すると、足支持体11を取り除いて、本明細書中に教示されたアクティブ足支持アセンブリ111と交換することも可能である。このようにして、開示されたシステムの追加の機能性を提供するために、既存の患者搬送装置を変更することが可能である。
【0061】
上述した実施形態は単なる例示として与えられているものであり、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更がなされ得る。例えば、搬送補助器具は、収納および搬送を容易にするために折り畳み可能に設計することができる。
【0062】
記載した実施形態および従属請求項のすべての任意の特徴および変更は、本明細書中で教示される開示のすべての態様において使用可能である。さらに、従属請求項の個々の特徴、ならびに記載した実施形態のすべての任意の特徴および変更は、互いに組み合わせ可能であり、かつ互いに置換可能である。
【0063】
本出願に添付の要約書における開示は、引用により本明細書中に組み込まれる。