(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】荷重変換器
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230411BHJP
G01L 5/1627 20200101ALI20230411BHJP
【FI】
G01L5/00 K
G01L5/1627
(21)【出願番号】P 2019114483
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 璋好
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-102536(JP,A)
【文献】米国特許第04958525(US,A)
【文献】特開2013-032916(JP,A)
【文献】特開2004-045138(JP,A)
【文献】特開昭53-093498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0128287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 5/16-5/173
G01L 3/02-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪と外輪と複数の転動体とを含む軸受にラジアル荷重を印加しつつ回転させた際の前記軸受に加わる前記ラジアル荷重とトルクとを検出して電気信号に変換する荷重変換器であって、
固定部と、
前記軸受の前記内輪を保持する保持部と、
一端が前記固定部と一体で接続され、他端が前記保持部に接続部を介して接続され、前記ラジアル荷重の方向に厚肉で、回転方向に薄肉で構成される複数の梁を含む起歪部と、
前記ラジアル荷重の方向に平行で前記軸受の軸中心線を通る第1仮想平面と、前記起歪部の外周面との交線上に、前記軸受の前記軸中心線の方向に最大感度を有するように添着された複数の第1の感歪抵抗体と、
前記各梁の平面部に前記トルクを検出するように添着された複数の第2の感歪抵抗体と、を有することを特徴とする荷重変換器。
【請求項2】
前記起歪部の前記各梁は、それぞれ離間して独立した形状で、かつ前記軸中心線を中心として放射状にかつ回転対称な形状で、前記軸中心線の方向の両端の近傍で肉厚が変化する傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の荷重変換器。
【請求項3】
前記起歪部の同一の前記交線上に配置された前記各第1の感歪抵抗体が、同一基材上に所定の距離を有して配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷重変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機械装置等に使用されている転がり軸受の性能や耐久性を知るために、転がり軸受が回転している際に、転がり軸受に加わるラジアル荷重とトルクを測定することが要望されている。そして転がり軸受に加わるラジアル荷重とトルクの大きさに大きな差がある場合には、ラジアル荷重とトルクは別々に測定するのが通例であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-136370号公報
【文献】特開2013-200171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に開示されている測定装置では、ラジアル荷重のみ測定できるが、ラジアル荷重とトルクを同時に測定できないため、同時に測定をしたいという要望がある。また測定する軸受の大きさが異なって、セットされる軸受の軸方向の位置が異なると精確な測定値が得られず、軸受のサイズによりそれぞれに適合する測定装置を複数台用意する必要があった。
【0005】
一方、同時に複数の方向の荷重を測定できるものとしては例えば特許文献2に開示されているような多分力計が公知であるが、方向荷重とトルクに大きな差がある場合には同時に所望する精度で検出することが困難であった。
【0006】
このような問題に鑑みて、本発明は、軸受に加わるラジアル荷重とトルクを精確に検出する荷重変換器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、内輪と外輪と複数の転動体とを含む軸受にラジアル荷重を印加しつつ回転させた際の軸受に加わるラジアル荷重とトルクとを検出して電気信号に変換する荷重変換器であって、
固定部と、
軸受の内輪を保持する保持部と、
一端が固定部と一体で接続され、他端が保持部に接続部を介して接続され、ラジアル荷重の方向に厚肉で、回転方向に薄肉で構成される複数の梁を含む起歪部と、
ラジアル荷重の方向に平行で軸受の軸中心線を通る第1仮想平面と、起歪部の外周面との交線上に、軸受の軸中心線の方向に最大感度を有するように添着された複数の第1の感歪抵抗体と、
各梁の平面部にトルクを検出するように添着された複数の第2の感歪抵抗体と、を有して構成されている。
【0008】
請求項2に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、起歪部の各梁は、それぞれ離間して独立した形状で、かつ軸中心線を中心として放射状にかつ回転対称な形状で、軸中心線の方向の両端の近傍で肉厚が変化する傾斜面を有して構成されている。
【0009】
請求項3に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、起歪部の同一の交線上に配置された各第1の感歪抵抗体が、同一基材上に所定の距離を有して配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の荷重変換器によれば、起歪部の形状と感歪抵抗体の好ましい配置によって軸受に加わる比較的大きいラジアル荷重と比較的小さなトルクを精確に同時検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷重変換器を用いた軸受の試験装置の斜視構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る荷重変換器を用いた軸受の試験装置の一部の部品を省略した斜視構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る荷重変換器を用いた軸受の試験装置の一部の部品を省略した正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る荷重変換器を用いた軸受の試験装置を第1仮想平面P1で切断した断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る荷重変換器のAA断面図(a)、BB断面図(b)である。
【
図6】本発明の実施形態に係る荷重変換器を各方向(D1、D2)から見た図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る荷重変換器を各方向(D3、D4)から見た図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る荷重変換器を各方向(D5、D6)から見た図である。
【
図9】本発明の実施形態の荷重変換器のホイートストンブリッジを含んでトルクを検出する回路図である。
【
図10】本発明の実施形態の荷重変換器のホイートストンブリッジを含んでラジアル荷重を検出する回路図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る荷重変換器を用いて異なるサイズの軸受を装着した際の試験装置の一部の部品を省略した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る荷重変換器について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2は本発明の実施形態に係る荷重変換器1を用いた試験装置14の斜視構成図である。なお
図2は一部の部品を省略して、荷重変換器1の内部を示すものである。また
図3は本発明の実施形態に係る荷重変換器1を用いた試験装置の一部の部品を省略した正面図である。
【0014】
図1~
図3は、軸受7にベルト9から加えられるラジアル荷重Fとトルクを検出して電気信号に変換する荷重変換器1とこれを用いた試験装置14を示している。ベルト9は、試験対象物の軸受7と不図示の駆動プーリとに架け渡されている。したがって試験装置14は、荷重変換器1、ベルト9の他、不図示の駆動プーリ、駆動モータ、測定結果を表示する表示器等を含んでいる。
【0015】
荷重変換器1は、固定部3a、起歪部11a~11d、接続部3b、保持部6a、保持軸部6b、円筒カバー4、キャップ5、軸受押え8を含んでいる。
【0016】
ベース2は、荷重変換器1を固定し、駆動プーリとの距離を所定の距離に保つように構造物等に固定される。
【0017】
固定部3aは、金属でできた略円柱のフランジ形状で、ベース2へボルトによって固定されている。固定部3aの円柱面にはコネクタ10が配置され、ケーブルによって外部の表示器やコンピュータ等と繋げることができる。
【0018】
起歪部11a~11dは、固定部3aから軸中心線AXの方向に伸びている複数の平板形状の梁である(
図2、
図3)。起歪部11a~11dには所定の位置に感歪抵抗体が添着されている。感歪抵抗体の種類及び添着される所定の位置についての詳細は後述する。
【0019】
接続部3bは、起歪部11a~11dの各梁の端部に接続して設けられ、固定部3aと同様に略円柱のフランジ形状である。
【0020】
起歪部11a~11dのそれぞれの一端は金属の固定部3aと一体で接続され、他端が接続部3bに接続され、それぞれの接続箇所の近傍で肉厚が変化する傾斜面11eを有している。この傾斜面11eの形状と梁の肉厚を適宜設定することで、検出するラジアル荷重とトルクの範囲を最適なものにできる。
【0021】
円筒カバー4、キャップ5は起歪部11a~11dに添着されている感歪抵抗体及び配線などを外部から保護するように設けられている。円筒カバー4は、その内径面が固定部3aの円柱面と、接続部3bの円柱面に当接する。キャップ5は、その内周面の雌ねじと、接続部3bの円柱面の一部に設けられた雄ねじとを螺合させることで円筒カバー4を固定部3a側へ付勢して固定する。
【0022】
保持部6aは、接続部3bに複数のボルトで取り付けられていて、略円柱のフランジ形状である。保持軸部6bは、保持部6aから軸中心線AX方向に円柱形状にて伸びている。保持部6aと保持軸部6bとは一体の金属でできており、保持する軸受7の種類、サイズに応じて設定され、接続部3bによって取替が可能である。
【0023】
図4は、
図2に示す第1仮想平面P1で荷重変換器1を切断した断面図である。固定部3aと、起歪部11a~dと、接続部3bとは、一体の金属である。固定部3aにはコネクタ10を取り付けるための穴、配線のための穴が設けられている。固定部3aの内部には空間が設けられて、後述の電気回路を実装した基板20が収容され、蓋21で封止されている。
【0024】
保持軸部6bの円柱面には鍔が設けられている。保持軸部6bの直径は軸受7の内輪7aの内径と例えばしまりばめで嵌合する寸法であって軸受7を保持する。そして軸受7の内輪7aは軸受押え8によりZ方向の位置が規制されている。軸受7の内輪7aの外周面には溝で構成された内輪軌道があって、外輪7bの内周面には溝で構成された外輪軌道がある。この内輪軌道と外輪軌道との間には複数の転動体7cが、互いに接触しないように保持器によって一定の間隔を有して配置されている。外輪7bの外周面の約半周にはベルト9が巻回されている。
【0025】
図5(a)、
図5(b)は、
図3においてそれぞれAA、BBで切断した断面図である。すなわち
図5(a)においては、固定部3a側寄りあるいは接続部3b側寄りの起歪部11a~11dの断面が表示されている。また
図5(b)においては、起歪部11a~11dの軸中心線AX方向での中央部分の断面が表示されている。
【0026】
起歪部11a~11dそれぞれは、平行な2つの平面を有する平板梁である。起歪部11a~11dは軸中心線AXを中心としてそれぞれ互いに90度の角度で放射状かつ回転対称の形状である。起歪部11a~11dは半径方向に厚肉hで構成されている。そして起歪部11aと起歪部11cの厚肉hの方向はラジアル荷重F方向に一致するように配置されている。
【0027】
また起歪部11a~11dは平板の梁形状であって、それぞれが独立したものとなって、軸中心線AX付近は繋がっていない。このために、起歪部11a~11dの加工は、加工工具13を隣り合う梁の中間である45度の角度から軸中心線AXへ向かって侵入させることで行われる。
【0028】
図5(a)に示すように、起歪部11a~11dの軸中心線AXの方向で中央から固定部3a側に寄った位置では、起歪部11a~11dの厚みすなわち、軸中心線AXを中心とした円周方向の肉厚t1は比較的大きく設けられている。そして起歪部11a~11dの外周面は平面となっているが、これに限るものではない。なお起歪部11a~11dの軸中心線AXの方向で中央から接続部3b側に寄った位置も同様の形状である。
【0029】
起歪部11aの外周面には第1の感歪抵抗体GCと第1の感歪抵抗体GDが添着されている。そして軸中心線AXを挟んで起歪部11aに対向する起歪部11cの外周面には第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBが添着されている。
【0030】
一方、
図5(b)に示すように、起歪部11a~11dの軸中心線AXの方向の中央の位置では、起歪部11a~11dの厚みすなわち、軸中心線AXを中心として円周方向の肉厚t2は比較的小さく設けられている。起歪部11bの薄肉平面部の裏表には第2の感歪抵抗体G2と第2の感歪抵抗体G4とが添着されている。そして軸中心線AXを挟んで起歪部11bに対向する起歪部11dの薄肉平面部の裏表に第2の感歪抵抗体G1と第2の感歪抵抗体G3とが添着されている。
【0031】
図6(D1)、
図6(D2)は本発明の実施形態に係る荷重変換器1を各方向から見た図である。
【0032】
図6(D1)は、
図5(a)において方向D1にて荷重変換器1を見た図である。起歪部11aの外周平面の固定部3a側には第1の感歪抵抗体GDが、接続部3b側には第1の感歪抵抗体GCが、それぞれ添着されている。一方、軸中心線AXを間に挟んで起歪部11aに対向する起歪部11cの外周平面の、固定部3a側には第1の感歪抵抗体GBが、接続部3b側には第1の感歪抵抗体GAが、それぞれ添着されている。
【0033】
起歪部11dにおける軸中心線AX方向の中央部の薄肉の平面部には、第2の感歪抵抗体G3と第2の感歪抵抗体G1が添着されている。
【0034】
図6(D2)は
図5(a)において方向D1から軸中心線AXを中心として反時計回りに45度の角度である方向D2にて荷重変換器1を見た図である。この時、起歪部11dと起歪部11cの中間には貫通穴12が平面視で現れる。
【0035】
図7(D3)は、
図5(a)において方向D1から軸中心線AXを中心として反時計回りに90度の角度である方向D3にて荷重変換器1を見た図である。
図7(D3)において、起歪部11cに添着された第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとが平面で現れる。第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとは、例えば軸中心線AX方向(Z方向)に最大感度を有する単軸の歪みゲージである。第1の感歪抵抗体GBの軸中心線AX方向の中心は固定部3aから距離Lにあって、第1の感歪抵抗体GAの軸中心線AX方向の中心は、第1の感歪抵抗体GBの軸中心線AX方向の中心から距離Lpの位置にある。また第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとのx軸方向の中心は、軸中心線AXと平行な第1仮想平面P1と起歪部11c外周との交線XLに一致している。なお本実施形態では、第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとは、同一基材上に設けられている歪みゲージである。第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとは、別の基材上であっても良いが、同一基材上に設けられることで、距離Lpの誤差が小さくなり調整が容易になり、添着の工程も一度で済むという利点がある。
【0036】
また
図7(D3)において、起歪部11dに添着された第2の感歪抵抗体G1と、起歪部11bに添着された第2の感歪抵抗体G2とが平面で現れる。第2の感歪抵抗体G1と第2の感歪抵抗体G2とは、例えば軸中心線AX方向(Z方向)に対してそれぞれプラスマイナス45度の方向に最大感度を有する剪断型歪みゲージを組み合わせたものである。より詳細には第2の感歪抵抗体G1は、第2の感歪抵抗体G1aと第2の感歪抵抗体G1bとを同一基材上に形成したものである。そして第2の感歪抵抗体G1aと第2の感歪抵抗体G1bとは、最大感度の方向が90度で交差するように配置されている。 第2の感歪抵抗体G2も第2の感歪抵抗体G1と同様であって、第1仮想平面P1を挟んで対称な位置に設けられている。
【0037】
図7(D4)は、
図5(a)において方向D1から軸中心線AXを中心として反時計回りに135度の角度である方向D4にて荷重変換器1を見た図である。
図7(D4)では、
図6(D2)と同様に起歪部11cと起歪部11bの中間には貫通穴12が平面視で現れる。
【0038】
図8(D5)は、
図5(a)において方向D1から軸中心線AXを中心として反時計回りに180度の角度である方向D5にて荷重変換器1を見た図である。起歪部11cの外周平面の固定部3a側には第1の感歪抵抗体GBが、接続部3b側には第1の感歪抵抗体GAが、それぞれ添着されている。一方、軸中心線AXを間に挟んで起歪部11cに対向する起歪部11aの外周平面の、固定部3a側には第1の感歪抵抗体GDが、接続部3b側には第1の感歪抵抗体GCが、それぞれ添着されている。
【0039】
起歪部11bの軸中心線AX方向中央部の薄肉の平面部には、第2の感歪抵抗体G2と第2の感歪抵抗体G4が添着されている。
【0040】
図8(D6)は、
図5(a)において方向D1から軸中心線AXを中心として反時計回りに270度の角度である方向D6から荷重変換器1を見た図である。
図8(D6)において、起歪部11aに添着された第1の感歪抵抗体GDと第1の感歪抵抗体GCとが平面で現れる。第1の感歪抵抗体GDと第1の感歪抵抗体GCとは、例えば軸中心線AX方向(Z方向)に最大感度を有する単軸の歪みゲージである。第1の感歪抵抗体GDの軸中心線AX方向の中心は固定部3aから距離Lにあって、第1の感歪抵抗体GCの軸中心線AX方向の中心は、第1の感歪抵抗体GDの軸中心線AX方向の中心から距離Lpの位置に配置されている。この位置関係は
図7(D3)に示した第1の感歪抵抗体GB及び第1の感歪抵抗体GAと同一である。
【0041】
また第1の感歪抵抗体GDと第1の感歪抵抗体GCとのx軸方向の中心は、軸中心線AXと平行な第1仮想平面P1と起歪部11aの外周面との交線XLに一致している。なお本実施形態では、第1の感歪抵抗体GCと第1の感歪抵抗体GDとは、同一基材上に設けられている歪みゲージである。第1の感歪抵抗体GCと第1の感歪抵抗体GDとは、別の基材上であっても良いが、同一基材上に設けられることで、距離Lpの誤差が小さくなり調整が容易になり、添着の位置合わせも一度で済むという利点がある。
【0042】
また
図8(D6)において、起歪部11dに添着された第2の感歪抵抗体G3と、起歪部11bに添着された第2の感歪抵抗体G4とが平面で現れる。第2の感歪抵抗体G3と第2の感歪抵抗体G4とは、例えば軸中心線AX方向(Z方向)に対してプラスマイナス45度の方向に最大感度を有する剪断型歪みゲージである。より詳細には第2の感歪抵抗体G3は、第2の感歪抵抗体G3aと第2の感歪抵抗体G3bとを同一基材上に形成したものである。そして第2の感歪抵抗体G3aと第2の感歪抵抗体G3bとは、最大感度の方向が90度で交差するように配置されている。 第2の感歪抵抗体G4も第2の感歪抵抗体G3と同様であって、第1仮想平面P1を挟んで対称な位置に設けられている。
【0043】
図9は本発明の実施形態の荷重変換器1のトルクの検出におけるホイートストンブリッジを含む回路図である。第1仮想平面P1を挟んで対向する
図7(D3)に現れる起歪部11dと起歪部11bにおいて、起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G1aと、起歪部11bに添着されている第2の感歪抵抗体G2aとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G1bと、起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G2bとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。
【0044】
さらに第1仮想平面P1を挟んで対向する
図8(D6)に現れる起歪部11dと起歪部11bにおいて、起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G3aと、起歪部11bに添着されている第2の感歪抵抗体G4aとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G3bと、起歪部11dに添着されている第2の感歪抵抗体G4bとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。
【0045】
そして端T1と端T3に電源Eにより電圧を印加すると、端T2と端T4より電圧としてアナログの信号+SIG、信号-SIGが出力される。信号+SIG、信号-SIGは増幅器15aにて増幅され、次いでA/D変換器16aでデジタル信号に変換され、CPU17にて演算されてトルクが算出される。
【0046】
図10は本発明の実施形態の荷重変換器1のラジアル荷重の検出におけるホイートストンブリッジを含む回路図である。第2仮想平面P2を挟んで対向する
図6(D1)に現れる起歪部11aと起歪部11cにおいて、起歪部11aに添着されている第1の感歪抵抗体GDと、起歪部11cに添着されている第1の感歪抵抗体GAとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。また起歪部11aに添着されている第1の感歪抵抗体GCと、起歪部11cに添着されている第1の感歪抵抗体GBとが、ホイートストンブリッジでは向かい合う辺に配置されている。
【0047】
そして端T1と端T3に電源Eにより電圧を印加すると、端T2と端T4より電圧としてアナログの信号+SIG、信号-SIGが出力される。信号+SIG、信号-SIGは増幅器15bにて増幅され、次いでA/D変換器16bでデジタル信号に変換され、CPU17にて演算されてラジアル荷重が算出される。
【0048】
CPU17にて演算されたトルクとラジアル荷重は、メモリ22にて所定の時間分記憶される。なお増幅器15a、増幅器15b、A/D変換器16a、A/D変換器16b、CPU17、メモリ22は、固定部3a内部の基板20に全部若しくは一部が実装されている。なおメモリ22は、所定の時間分記憶されるトルクとラジアル荷重の他に、この荷重変換器1の感歪抵抗体に係る固有のデータ、校正に係るデータを含んで記憶していても良い。
【0049】
図11は、本発明の実施形態に係る荷重変換器1を用いて
図3に示した軸受7とは異なるサイズの軸受18を装着した際の試験装置の一部の部品を省略した正面図である。
軸受18は、保持軸部6cに嵌合して保持され、保持軸部6cの鍔と軸受押え19にて軸方向が規制されている。
図3では、第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBの軸中心線AXの方向の中心と軸受7の軸中心線AXの方向の中心の距離がLa1であって、第1の感歪抵抗体GBと第1の感歪抵抗体GDの中心と軸受7の軸中心線AXの方向の中心の距離がLa2である。これに対して
図11では、第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBの軸中心線AXの方向の中心と軸受7の中心の距離がLb1であって、第1の感歪抵抗体GBと第1の感歪抵抗体GDの軸中心線AXの方向の中心と軸受7の軸中心線AXの方向の中心の距離がLb2である。
【0050】
第1の感歪抵抗体GAと第1の感歪抵抗体GBとの距離Lp、第1の感歪抵抗体GCと第1の感歪抵抗体GDとの距離Lpが同一である。起歪部11a、11cがラジアル荷重Fを受けると、第1の感歪抵抗体GAは圧縮方向に小さく、第1の感歪抵抗体GBは圧縮方向に大きく弾性変形する。一方、起歪部11a、11cがラジアル荷重Fを受けると、第1の感歪抵抗体GCは引張方向に小さく、第1の感歪抵抗体GDは引張方向に大きく弾性変形する。
図10に示すホイートストンブリッジにおいて、圧縮方向に大きい第1の感歪抵抗体GBと引張方向に大きい第1の感歪抵抗体GDとが隣り合う辺に配置されている。また圧縮方向に小さい第1の感歪抵抗体GAと引張方向に小さい第1の感歪抵抗体GCとが隣り合う辺に配置されている。このように圧縮側、引張側それぞれ複数の感歪抵抗体を所定の距離で配置していることから、軸中心線AXの方向の位置による荷重の分布を直線で近似でき、その直線の傾きは常に一定となる。したがって予め既知の荷重を印加しておいて荷重変換器1を校正することで、軸受の軸中心線AX方向の位置が異なっていても精確な荷重を検出することができる。
【0051】
以上本発明の実施形態によれば、軸受に加わるラジアル荷重Fの方向に厚肉で離間して独立した起歪部の外周面に所定の間隔で感歪抵抗体を複数配置してラジアル荷重Fを検出し、軸受の中心軸を中心として回転方向に薄肉となっている離間して独立した起歪部の平面部に感歪抵抗体を複数配置してトルクを検出していることから、比較的大きなラジアル荷重と比較的小さなトルクを同時に検出することができる。
【0052】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の活用例として、転がり軸受の試験装置等への適用が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 :荷重変換器
2 :ベース
3a :固定部
3b :接続部
4 :円筒カバー
5 :キャップ
6a :保持部
6b :保持軸部
6c :保持軸部
7 :軸受(玉軸受)
7a :内輪
7b :外輪
7c :転動体
8 :軸受押え
9 :ベルト
10 :コネクタ
11a~11d :起歪部
11e :傾斜面
12 :貫通穴
13 :加工工具
14 :試験装置
15a、15b :増幅器
16a、16b :A/D変換器
17 :CPU
18 :軸受
19 :軸受押え
20 :基板
21 :蓋
AX :軸中心線
F :ラジアル荷重
GA、GB、GC、GD :第1の感歪抵抗体
G1a~G4a、G1b~G4b :第2の感歪抵抗体
P1 :第1仮想平面
P2 :第2仮想平面
XL :交線