(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】粒子をコーティングする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/442 20060101AFI20230411BHJP
A61K 9/14 20060101ALN20230411BHJP
A61K 47/02 20060101ALN20230411BHJP
A61K 47/30 20060101ALN20230411BHJP
【FI】
C23C16/442
A61K9/14
A61K47/02
A61K47/30
(21)【出願番号】P 2021501314
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2019042333
(87)【国際公開番号】W WO2020018744
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-03-05
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ギャンガックヘッドカー, カーシャル
(72)【発明者】
【氏名】フランケル, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ネイキルク, コリン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ナーワンカー, プラビン ケー.
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/050954(WO,A1)
【文献】特表2015-520297(JP,A)
【文献】米国特許第04606941(US,A)
【文献】特表2016-508544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子をコーティングするためのリアクタであって、
真空チャンバ;
コーティングされる複数の粒子を含む処理空間を取り囲むように構成された、真空チャンバ内にある多孔性処理容器であって、該多孔性処理容器は、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含み、第1のフィルタと第2のフィルタとの間にある多孔性処理容器内に複数の粒子を保ちながら、多孔性処理容器によって取り囲まれた処理空間を通じて処理ガスを流すように構成された多孔性処理容器:
真空チャンバの出口を介して真空チャンバからガスを排気するための真空ポート;
処理ガスを、多孔性処理容器の処理空間内にある複数の粒子へと第
2のフィルタを通じて受け入れるように構成された、真空チャンバ上のガス入口;
テーブルの第1の取付面上の真空チャンバを支持するためのテーブル;
第1の取付面に対向する第2の取付面上のテーブルを支持する基部;
テーブルと基部との間に位置する一又は複数の振動アクチュエータ;並びに
一又は複数の振動アクチュエータが真空チャンバ内の多孔性処理容器によって取り囲まれた処理空間内に保たれた複数の粒子に振動運動を誘導するのに十分な振動運動をテーブル中に生成させるよう構成されたコントローラ、
を含む、粒子をコーティングするためのリアクタ。
【請求項2】
真空チャンバが、リッド、底部および一又は複数の側壁をさらに含み、第1のフィルタが、リッドと底部との間に配置され、第2のフィルタが、第1のフィルタと底部との間に配置された、請求項1に記載のリアクタ。
【請求項3】
第2のフィルタが、第2のフィルタと、底部と、一又は複数の側壁との間の第2の空間を画定するように底部から離間されている、請求項2に記載のリアクタ。
【請求項4】
第1のフィルタが、第1のフィルタと、リッドと、一又は複数の側壁との間の第3の空間を画定するようにリッドから離間されている、請求項3に記載のリアクタ。
【請求項5】
処理ガスが第3の空間を通って処理空間から排気されるように、真空チャンバ上の真空ポートが真空チャンバ上に位置している、請求項4に記載のリアクタ。
【請求項6】
処理ガスが第2の空間を介して処理空間に流れるように、真空チャンバ上のガス入口が真空チャンバ上に位置している、請求項5に記載のリアクタ。
【請求項7】
コントローラが、一又は複数の振動アクチュエータが30Hzと300Hzの間の振動周波数を誘導させるように、構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のリアクタ。
【請求項8】
一又は複数の弾性部材が、テーブルと基部との間に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載のリアクタ。
【請求項9】
粒子をコーティングするためのリアクタであって、
真空チャンバ;
真空チャンバ内にある第1のフィルタ及び第2のフィルタであって、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、第1のフィルタと第2のフィルタとの間に処理空間を画定してコーティングされる複数の粒子を取り囲み、第1のフィルタと第2のフィルタとの間にある多孔性処理容器内に複数の粒子を保ちながら、処理空間を通じて処理ガスを流すように構成された第1のフィルタ及び第2のフィルタ、
真空チャンバの出口を介して真空チャンバからガスを排気するための真空ポート;
処理ガスを受け入れ、処理ガスの流れを処理空間内の複数の粒子へと、第
2のフィルタを通じて方向づけるように構成された、真空チャンバ上のガス入口;
テーブルの第1の取付面上の真空チャンバを支持するためのテーブル;
第1の取付面に対向する第2の取付面上のテーブルを支持する基部;
テーブルと
基部との間に位置する一又は複数の振動アクチュエータ;並びに
一又は複数の振動アクチュエータが真空チャンバ内の処理空間内に保たれた複数の粒子に振動運動を誘導するのに十分な振動運動を真空チャンバ中に生成させるよう構成されたコントローラ、
を含む、粒子をコーティングするためのリアクタ。
【請求項10】
粒子をコーティングするためのリアクタであって、
コーティングされる複数の粒子を保持するよう構成された真空チャンバ;
真空チャンバの出口を介して真空チャンバからガスを排気するための真空ポート;
真空チャンバ上のガス入口を介して処理ガスを複数の粒子中に流すよう構成された化学物質供給システム;
テーブルの第1の取付面上の真空チャンバを支持するためのテーブル;
基部、及びテーブルと基部との間に位置し、第1の取付面に対向する第2の取付面上のテーブルを支持する一又は複数の弾性部材;
テーブルと基部との間に位置する一又は複数の振動アクチュエータ;並びに
一又は複数の振動アクチュエータが真空チャンバ内に保持された複数の粒子に振動運動を誘導するのに十分な振動運動をテーブル中に生成させるよう構成されたコントローラ、
を含み、
真空チャンバが、リッド、底部、一又は複数の側壁、リッドと底部との間に配置された第1のフィルタ、及び第1のフィルタと底部との間に配置された第2のフィルタをさらに含む、粒子をコーティングするためのリアクタ。
【請求項11】
第1のフィルタ、第2のフィルタ、及び一又は複数の側壁が、第1の空間を画定する、請求項10に記載のリアクタ。
【請求項12】
複数の粒子を保持する多孔性処理容器をさらに含み、多孔性処理容器が第1の空間内に位置している、請求項11に記載のリアクタ。
【請求項13】
多孔性処理容器が第1のフィルタ及び第2のフィルタを含む、請求項12に記載のリアクタ。
【請求項14】
第2のフィルタが、第2のフィルタと、底部と、一又は複数の側壁との間の第2の空間を画定するように底部から離間されており、第1のフィルタが、第1のフィルタと、リッドと、一又は複数の側壁との間の第3の空間を画定するようにリッドから離間されている、請求項13に記載のリアクタ。
【請求項15】
処理ガスが第3の空間を通って第1の空間から排気されるように、真空チャンバ上の真空ポートが真空チャンバ上に位置している、請求項14に記載のリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月19日に出願された米国仮特許出願番号62/700,753に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、粒子、例えば活性医薬成分を含む粒子を、有機及び無機の薄膜でコーティングすることに関する。
【背景技術】
【0003】
活性医薬成分(API)の改良製剤を開発することは、製薬業界にとって非常に興味深いことである。製剤は、APIの安定性とバイオアベイラビリティ、及びその他の特性に影響を与える可能性がある。製剤は、薬物製品(DP)製造のさまざまな側面、例えば製造プロセスの容易さ及び安全性にも影響を与える可能性がある。
【0004】
APIを封入又はコーティングするための数多くの技術が開発されてきた。APIをコーティングするためのいくつかの既存の技術には、噴霧コーティング、プラズマ重合、及びホットワイヤ化学気相堆積(CVD)が含まれる。噴霧コーティングは、製薬業界で広く採用されている産業的にスケーラブルな技術である。ただし、コーティングの不均一性(粒子内及び粒子間の両方)は、活性医薬成分(API)の供給プロファイル又は安定性を改善するためのこれらの技術の使用を妨げる。噴霧コーティング中の粒子の凝集も重大な問題点を引き起こす。一方、プラズマ重合などの技術は、スケーリングが難しく、特定の前駆体化学にのみ適用可能であり、感度の高いAPIの劣化につながる可能性がある。気体及びラジカルの凝縮媒体として冷温基材を利用するホットワイヤシステムが開発された。回転式リアクタには、原子層堆積(ALD)及び潜在性CVD(iCVD)リアクタが含まれる。ただし、ALDリアクタは無機コーティングに適しており、有機ポリマーコーティングには適しておらず、既存のiCVD設計では、APIの劣化を適切に防止できず、大量生産に対応できない。他の技術には、ポリマーメッシュコーティング、パンコーティング、エアロゾル化コーティング、及び流動床リアクタコーティングが含まれる。
【発明の概要】
【0005】
概して、本明細書に記載される主題の一つの革新的な態様は、真空チャンバの処理空間中に粒子を分注することであって、処理空間が真空チャンバの一又は複数の側壁、第1のフィルタ及び第2のフィルタにより画定されている、粒子を真空チャンバの処理空間に分注すること、真空チャンバ上の真空ポートを通じて処理空間を排気すること、真空チャンバを30Hzと300Hzの間の周波数で振動させることにより、真空チャンバの処理空間に堆積された粒子を撹拌すること、真空チャンバ上のガス入口を通して及び第2のフィルタを通して第1の前駆体を処理空間中に流し、粒子が撹拌されるときに粒子の粒子表面と第1の前駆体を反応させて、第1の層を形成すること、及びガス入口を介して第2の前駆体を処理空間中に流し、粒子が撹拌されるときに第1の層と第2の前駆体を反応させて、薄膜を形成することを含む、粒子をコーティングするための方法で具体化され得る。
【0006】
実施態様は、以下の特徴のうちの一つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施態様では、真空チャンバの処理空間中に粒子を分注することには、粒子を封入した多孔性処理容器を処理空間中に置くことがさらに含まれ、多孔性処理容器には、第1のフィルタ及び第2のフィルタが含まれる。
【0007】
いくつかの実施態様では、粒子は約300ミクロン未満の寸法を有する。
【0008】
いくつかの実施態様では、第2の前駆体は、ヒ素、ホウ素、炭素、フッ素、水素、窒素、酸素、リン、セレン、硫黄、テルル、アルキル基、アリール基、又はそれらの組み合わせの部分を含む。薄膜コーティングは、Al、B、Ba、Ca、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、La、Mg、Nb、Ni、Pt、Ru、Sb、Si、Sr、Ta、Ti、V,W、Y、Zn及びZrの炭化物、フッ化物、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物、又は一又は複数の合金組成物が含まれ得る。
【0009】
いくつかの実施態様では、第1の前駆体は、Al、Ag、B、Ba、Be、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Eu、Er、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Hg、Ho、In、Ir、La、Li、Lu、Mo、Mg、Mn、Nb、Nd、Ni、Os、Pd、Pr、Pt、Ru、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、Zr、又はそれらの組み合わせの部分を含む。第1の前駆体は、アルキル基、アルコキシド基、アルキルアミド基、アミジネート基、カルボニル基、シクロペンタジエニル基、β-ジケトネート基、グアニジネート(guandinate)基、ハロゲン、又はそれらの組み合わせの部分をさらに含む。
【0010】
本方法は、第1の前駆体を流すことと第2の前駆体を流すことの間にパージガスを処理空間に流すことをさらに含み得る。いくつかの実施態様では、本方法は、第1の前駆体を処理空間中に流すこと、パージガスを処理空間中に流すこと、及び第2の前駆体を処理空間中に流すことの複数の繰り返しサイクルを含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、真空チャンバは、振動テーブル上に位置し、振動テーブルによって支持されている。本方法は、原子層堆積又は分子層堆積により粒子をコーティングすることをさらに含み得る。
【0012】
概して、本明細書に記載される主題の別の革新的な態様は、
コーティングされる粒子を保持するよう構成された真空チャンバ、
真空チャンバの出口を介して真空チャンバからガスを排気するための真空ポート、
真空チャンバ上のガス入口を介して処理ガスを粒子中に流すよう構成された化学物質供給システム、
テーブルの第1の取付面上の真空チャンバを支持するためのテーブル、
基部、及びテーブルと基部との間に位置し、第1の取付面に対向する第2の取付面上のテーブルを支持する一又は複数の弾性部材、
テーブルと基部との間に位置する一又は複数の振動アクチュエータ、並びに
一又は複数の振動アクチュエータが真空チャンバ内に保持された粒子に振動運動を誘導するのに十分な振動運動をテーブル中に生成させるよう構成されたコントローラ、
を含む粒子をコーティングするためのリアクタで具体化され得る。
【0013】
これらの及び他の実施態様は、下記の特徴のうちの一つ又は複数を含み得る。いくつかの実施態様では、真空チャンバは、リッド、底部、一又は複数の側壁、リッドと底部との間に配置された第1のフィルタ、及び第1のフィルタと底部との間に配置された第2のフィルタをさらに含む。第1のフィルタ、第2のフィルタ、及び一又は複数の側壁は、第1の空間を画定し得る。
【0014】
いくつかの実施態様では、リアクタは、粒子を保持する多孔性処理容器をさらに含み、ここで多孔性処理容器は第1の空間内に位置する。多孔性処理容器は、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含み得る。
【0015】
いくつかの実施態様では、第2のフィルタは、第2のフィルタと、底部と、一又は複数の側壁との間の第2の空間を画定するように底部から離間されており、且つ/又は、第1のフィルタは、第1のフィルタと、リッドと、一又は複数の側壁との間の第3の空間を画定するようにリッドから離間されている。
【0016】
いくつかの実施態様では、真空チャンバ上の真空ポートは、処理ガスが第3の空間を通って第1の空間から排気されるように真空チャンバ上に位置する。真空チャンバ上のガス入口は、第2の空間を介して第1の空間中に流れるように真空チャンバ上に位置し得る。
【0017】
いくつかの実施態様では、化学物質供給システムは、第1の前駆体ガス及び第2の前駆体ガスを含む。コントローラは、一又は複数の振動アクチュエータが30Hzと300Hzの間の振動周波数を誘導させるように、構成され得る。
【0018】
概して、本明細書に記載される主題の別の革新的な態様は、
コーティングされる粒子を保持するよう構成された真空チャンバ、
真空チャンバの出口を介して真空チャンバからガスを排気するための真空ポート、
真空チャンバ上のガス入口を介して処理ガスを粒子中に流すよう構成された化学物質供給システム、
真空チャンバの第1の取付面上に位置する一又は複数の振動アクチュエータ、並びに
一又は複数の振動アクチュエータが真空チャンバ内に保持された粒子に振動運動を誘導するのに十分な振動運動を真空チャンバ中に生成させるよう構成されたコントローラ、
を含む粒子をコーティングするためのリアクタで具体化され得る。
【0019】
実施態様は、以下の一又は複数の可能な利点を含み得るが、それらに限定されない。粒子、例えばAPI粒子は、大量生産プロセス内でコーティングされ得ることにより、製造コストの低下及び薬物製品価格の減額がもたらされる。粒子は、薄層でコーティングすることができ、よって、有利なAPIの体積分率を有する薬物製品が提供される。さらに、該プロセスは、粒子内で及び粒子間で均一であるAPIを封入する層をもたらすことができ、薬物製剤に対してより一貫した特性を提供する。該プロセスは、高せん断撹拌を用いて凝集体をより効果的に分解することができ、ガスと粒子の混合の均一性を改善し、均一なコーティングをもたらすことができる。該プロセスは、内部撹拌、例えばパドル混合を伴わずに実施することができ、関連するウェットなハードウェアを簡素化し、該システムのクリーニングを容易にし、潜在的にスケーリングを容易にすることができる。
【0020】
別途規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。方法及び材料は、本発明における使用のために本明細書に記載されるが、当該技術分野で知られる他の適切な方法及び材料も使用することができる。材料、方法、及び例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0021】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】粒子、例えば薬物のALD及び/又はCVDコーティングのための例示のリアクタシステムの概略等角断面図である。
【
図2】粒子をコーティングするためのリアクタシステムを用いるための例示のプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な図面における類似の参照番号及び名称は、類似した要素を示している。
【0024】
API粒子を封入するためのさまざまな方法が存在する。多くの場合、これらの方法は、比較的厚いコーティングをもたらす。このようなコーティングは望ましい特性を与えることができるが、APIに対するコーティングの比率が高いと、APIの体積分率が所望されるものと同程度に高い薬物製品を作成することが困難になる可能性がある。さらに、APIを封入するコーティングは不均一である可能性があり、それにより、一貫した特性を有する製剤を提供することが困難になる。さらに、満足のいく一貫性を提供できるコーティング技術は、工業生産に拡張可能ではなかった。
【0025】
これらの問題に対処し得る手段は、振動リアクタチャンバを使用することである。処理ガスは、粒子ベッドの下に位置しそれを支持する第1のフィルタに強制的に通すことができ、処理ガスが粒子ベッドを通って浸透するように粒子ベッドの上に位置し第1のフィルタに対向する第2のフィルタを通って排気することができる。粒子ベッドに誘発された振動は、粒子の分離を確実にし、処理ガスが粒子間を流れることができるようにし、それにより、粒子全体のコーティングの均一性を改善することができる。
【0026】
薬物
用語「薬物」とは、その最も広い意味において、すべての小分子(例えば非生物学的)APIを含む。薬物は、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗生物質、抗がん剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、降圧剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗腫瘍剤、抗酸化剤、解熱剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安剤、催眠剤、神経弛緩剤、収斂剤、静菌剤、ベータアドレナリン受容体遮断剤、血液製品、代用血液、気管支拡張剤、緩衝剤、心臓変力剤、化学療法剤、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、去痰剤、粘液溶解剤、利尿薬、ドーパミン作動薬、抗パーキンソン病剤、フリーラジカル除去薬、成長因子、止血剤、免疫剤、脂質調節剤、筋弛緩剤、副交感神経刺激剤、副甲状腺カルシトニン、ビホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬品、ホルモン、性ホルモン、抗アレルギー剤、食欲刺激剤、食欲抑制剤、ステロイド、交感神経刺激剤、甲状腺剤、ワクチン、血管拡張剤及びキサンチンからなる群より選択され得る。
【0027】
例示的なタイプの小分子薬物には、アセトアミノフェン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、イブプロフェン、フルチカゾンプロピオネート、サルメテロール、パゾパニブ Hcl、パルボシクリブ、及びアモキシシリンクラブラン酸カリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
薬学的に許容される添加物、希釈剤、及び担体
薬学的に許容される添加物には、限定されないが、以下が含まれる:
(1)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアクリレートコポリマー、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、尿素、糖、ポリオール、カルボマー及びそれらのポリマー、乳化剤、糖ガム、デンプン、有機酸及びそれらの塩、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルを含む界面活性剤及びポリマー;
(2)セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロースなどの結合剤;
(3)ラクトース一水和物、無水ラクトース、微結晶性セルロース、さまざまなデンプンなどの充填剤;
(4)コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカゲルを含む、圧縮される粉末の流動性に作用する薬剤などの潤滑剤;
(5)スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ、アスパルテーム、及びアセスルファムKを含む天然又は人工甘味料などの甘味料;
(6)香味剤;
(7)ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチル又はベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール系化学物質、又は塩化ベンザルコニウムなどの第4級化合物などの保存料;
(8)バッファー;
(9)微結晶性セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、及び/又は先述のいずれかの混合物などの薬学的に許容される不活性充填剤などの希釈剤;
(10)コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシでんぷん、及び加工デンプン、並びにそれらの混合物などの湿潤剤;
(11)崩壊剤;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムなど;並びに
(12)有機酸(例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン、コハク酸、及びアルギン酸並びに無水物及び酸性塩)、又は炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、L-リジン炭酸塩、及び炭酸アルギニン)又は重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム)などの発泡性結合物質(effervescent couple)などの発泡剤。
【0029】
金属酸化物材料
用語「金属酸化物材料」は、その最も広い意味において、金属と見なされる元素と酸素ベースの酸化剤との反応から形成されるすべての材料を含む。例示的な金属酸化物材料には、限定されないが、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ランタン、及び二酸化ジルコニウムが含まれる。例示的な酸化剤には、限定されないが、水、オゾン、及び無機過酸化物が含まれる。
【0030】
原子層堆積(ALD)
原子層堆積は、元素又は化合物の自己制御的単層の逐次的な添加が原子又は分子単層のレベルに制御された厚さ及び均一性を有する膜の堆積を可能にする薄膜堆積技術である。自己制御とは、一度に一つの原子層のみが形成され、表面を再生してさらなる堆積を可能にするために、後続の処理工程が必要であることを意味する。
【0031】
分子層堆積(MLD)
分子層堆積は、原子層堆積と類似しているが、有機前駆体を使用し、有機薄膜を形成する。典型的なMLDプロセス中に、二つのホモ二官能性前駆体が使用される。第1の前駆体はチャンバに導入される。第1の前駆体の分子は、対応する結合化学を介して基材表面上の反応基と反応して、第1の前駆体の分子層を新たな反応性部位を有する基材表面に添加する。パージ後、第2の前駆体が導入され、第2の前駆体の分子は、第1の前駆体によって提供される新しい反応部位と反応して、第2の前駆体に結合した第1の前駆体の分子層を生成する。この後に別のパージサイクルが続く。
【0032】
リアクタシステム
図1は、薄膜コーティングで粒子をコーティングするためのリアクタシステム100を図示している。リアクタシステム100は、ALD及び/又はMLDコーティング条件を使用してコーティングを実施することができる。リアクタシステム100は、堆積プロセス(ALD又はMLD)が高温処理温度(50℃超、例えば50-100℃)又は低温処理温度(例えば50℃未満、例えば35℃以下)で実施されることを可能にする。例えば、リアクタシステム100は、22-35℃、例えば25-35℃、25-30℃、又は30-35℃の温度で主にALDにより粒子上に薄膜金属酸化物を形成することができる。通常、粒子は、そのような温度のままであり得るか又はそのような温度で維持され得る。これは、反応ガス及び/又はリアクタチャンバの内面をそのような温度のままにするか又は維持させることによって達成することができる。例えば、加熱は、チャンバ本体に組み込まれたヒータカートリッジにより、熱交換器の使用を伴うチャンバ本体中の水路により、又はチャンバ本体上のヒータジャケットにより達成することができる。
【0033】
いくつかの実施態様では、粒子は、粒子の少なくとも一つの寸法が100ミクロン未満であるか又は0.1ミクロンから100ミクロンの間の範囲であるマイクロスケールの粒子である。いくつかの実施態様では、粒子は、粒子の少なくとも一つの寸法が100nm未満、例えば1ナノメートル(nm)と100nmの間であるナノスケールの粒子である。いくつかの実施態様では、粒子は、粒子のそのような少なくとも一つの寸法が約300ミクロン未満であるようなサイズである。
【0034】
リアクタシステム100には、リッド102を含む真空チャンバ101が含まれる。真空チャンバには、一又は複数の側壁103及び底部104が含まれる。リッド102と底部104との間に位置する第1のフィルタ105、及び第1のフィルタと底部104との間に位置する第2のフィルタ106は、真空チャンバ101内に封入される。側壁103、第1のフィルタ105、及び第2のフィルタ106は併せて、第1の空間、例えば処理空間107の境界を画定する。真空チャンバ101の側壁104、底部104及びリッド102は、堆積プロセスに対して不活性である材料、例えばステンレス鋼であり得、且つ/又は109の内面は堆積プロセスに対して不活性である材料でコーティングされ得る。
【0035】
一又は複数の処理ガスは、真空チャンバ101の側壁103、リッド102又は底部104のうちの一又は複数を介してガス入口108を通って処理空間107に導入される。
図1に図示されているように、ガス入口108は、真空チャンバ101の側壁103に位置し、ガス供給マニホールド112を介して真空チャンバ101の外部に位置する化学物質供給システム110に連結される。真空チャンバ101は、真空チャンバ101からガス、例えば処理ガスを排気するための一又は複数の真空ポート114を含み得る。真空ポート114は、真空チャンバ101の側壁103、リッド102、又は底部104に位置し得る。
図1に図示されているように、真空ポート114は、真空チャンバ101のリッド102内に位置する。いくつかの実施態様では、真空ポート114は、入口108から処理空間107に対向して位置する。
【0036】
処理空間107は、真空ポート114及び排気マニホールド118を通って、一又は複数の専用真空ポンプなどの真空源116と流体連結している。真空源116は、処理空間107を準大気圧条件で維持し、真空チャンバ101から未反応の処理ガス及びガス反応副生成物を排出するのに使用される。処理空間107と真空ポート114との間に位置する第1のフィルタ105は、未反応処理ガス及びガス反応副生成物の処理空間107からの排出を容易にする一方、固体粒子120が空間107から意図せずにパージされることを防ぐ。ここでは、真空チャンバ101は、固体粒子120がロードされ、リッド102及び第1のフィルタ105を除去することにより処理空間107から除去されるバッチ処理容器である。粒子120のロード及びアンロードは、人間のオペレーターが手動で実行することも、ロボット支援のロード/アンロードメカニズムを使用して自動/半自動で実行することもできる。
【0037】
いくつかの実施態様では、リアクタシステム100は、処理空間107の内部に粒子120を保持するように構成されている多孔性処理容器111を含む。多孔性処理容器111は、リッド102の一部を除去又は上昇させることにより真空チャンバ101にロード/アンロードされ得る。例えば、多孔性処理容器111は、例えばプラスチック、アルミニウムなどの不活性化学組成物のバッグ又は他の容器である可能性があり、ここで、ガスの流れは、容器111内に粒子120を保持しながら、多孔性処理容器111の孔を介して可能である。多孔性処理容器111は、例えば、可撓性の膜で形成されたバッグ、例えばプラスチックバッグであり得る。多孔性処理容器111の孔又はポアは、処理されている粒子の粒子サイズよりも小さいように構成されているが、処理ガスが多孔性処理容器111を通って流れることも可能である。
【0038】
多孔性処理容器111は、粒子120をリアクタ100へ容易にロード/アンロードすること、及び粒子と真空チャンバ101の内部との接触を最小限にしながら粒子120を処理し、それによりバッチ処理間のリアクタ100の必要とされるクリーニングを減少させることを可能にする。
【0039】
いくつかの実施態様では、多孔性処理容器111は、真空チャンバ101のリッド102と整列した開口を含み、例えば、リッド102が真空チャンバ101上に置かれると、容器111の開口は真空チャンバ101の側壁103とリッド102との間に密封され得る。いくつかの実施態様では、第1のフィルタ105及び第2のフィルタ106は、多孔性処理容器111の一部であり、処理空間107は多孔性処理容器111内に封入される。多孔性処理容器111は、第2のフィルタ106を置き換えることができ、多孔性処理容器111は粒子120を維持する一方で化学物質分配システム110からガス入口108を介して処理空間107へガスを流すことを可能にするよう構成されている。
【0040】
ガス源122は、ガス排気マニホールド118、例えば、システム100から排気される処理ガスを希釈するためのパージガスに結合されている。ガス排気マニホールド118は、真空チャンバ101内に真空を確立するよう構成される。真空源116は、1Torr未満、例えば1から100mTorr、例えば50mTorrの圧力を確立するのに十分な工業用真空ポンプであり得る。真空源116は、真空チャンバ101が所望の圧力で維持されることを可能にし、反応副生成物及び未反応の処理ガスの除去を可能にする。
【0041】
化学物質供給システム110は、それぞれの供給チューブ126、制御可能バルブ128、及び流体供給ライン130によって連結された多数の流体源124を含む。化学物質供給システム110は、蒸気の形態の流体をガス入口ポート108を介して真空チャンバ101に注入するガス供給マニホールド112に流体を供給する。化学物質供給システム110は、レストリクタ、ガス流コントローラ、圧力トランスデューサ、及び熱質量流量コントローラ/メータの組み合わせを含み、制御可能な流量のさまざまなガスを真空チャンバ101に提供することができる。化学物質供給システム110はまた、一又は複数の温度制御構成要素、例えば、熱交換器、抵抗加熱器等を含み、さまざまなガスをそれらがチャンバ101へ流れる前に加熱又は冷却することができる。
【0042】
化学物質供給システム110は、5つの流体源124a、124b、124c、124d、及び124eを含み得る。流体源のうちの二つ、例えば流体源124a、124bは、粒子上に金属酸化物層を形成するための堆積プロセス用に二つの化学的に異なる前駆体又は反応物質を提供することができる。例えば、第1の流体源124aは、トリメチルアルミニウム(TMA)又は四塩化チタン(TiCl4)を提供することができるのに対して、流体ガス源124bは水を提供することができる。流体源のうちの別の二つ、例えば流体源124c、124dは、金属酸化物層上にポリマー材料を形成するための堆積プロセス用に二つの化学的に異なる前駆体又は反応物質を提供することができる。例えば、第3の流体源124cはアジピン酸クロリドを提供することができ、第4のガス源124dはエチレンジアミンを提供することができる。流体源のうちの一つ、例えば、第5の流体源124eは、堆積プロセス中のサイクル間又は半サイクル間のパージ用に不活性ガス、例えばアルゴン又はN2を提供することができる。
【0043】
図1は5つの流体源を図示しているが、より少ないガス源の使用は、依然として金属酸化物又はポリマー層の堆積に適合する可能性があり、より多くのガス源の使用は、さらに多種多様なラミネート構造の形成を可能にする可能性がある。
【0044】
流体源のうちの一又は複数について、化学物質供給システム110は、液体形態の前駆体又は反応物質をガス供給マニホールド112に供給する。化学物質供給システム110は、前駆体又は反応物質がガス入口108に入る直前に液体を蒸気に変換する気化器132を含み得る。これは、上流の圧力損失を減少させて、チャンバ101内の粒子120全体でより大きな圧力損失が生じることを可能にする。粒子120全体で生じる圧力損失が大きいほど、注入開孔を低くすることができ、前駆体が所定の流量で粒子ベッドを通過するときに、すべての前駆体が反応する可能性が高くなる。気化器132は、真空チャンバ101の外壁に直接隣接し得る。例えば、ガス入口ポート108に固定されているか又はそれに隣接して収納されている。
図1に示しているように、ガス供給マニホールド112は、多数の前駆体又は反応物質流体源124を供給するのに用いることができる。マニホールド112は、ガス入口ポート108に流体的に連結している。
【0045】
不活性ガス、例えばN2は、流体源のうちの一つ、例えば流体源124eから、チャンバ101へ流れ得る。操作中、キャリアガスは、真空チャンバ101に継続して、すなわち、前駆体又はリアクタガスが真空チャンバ101に流れ込んでいるかに関わらず、流れる可能性がある。前駆体又はリアクタガスがチャンバ101に注入されていないとき、キャリアガスの流れは、別の前駆体又はリアクタガスのガス入口108への逆流を防ぐことができる。キャリアガスの流れは、粒子120によるガス入口108の汚染、例えば開孔の閉塞も防ぐことができる。さらに、前駆体又はリアクタガスがチャンバ101に注入されていないとき、キャリアガスはパージ操作用のパージガスを提供することができる。
【0046】
前駆体ガスも流れているときのキャリアガスの気化器132への流れは、前駆体又は反応液体の気化を改善することができる。特定の理論に限定されることなく、キャリアガスの流れは、エアロゾル化中に液体をせん断するのに役立つ。これにより、液滴サイズが小さくなり、より迅速に気化され得る。前駆体ガスも流れているときのキャリアガスの真空チャンバ101への流れは、気化器132から前駆体ガスを排出するのに役立つ。
【0047】
いくつかの実施態様では、一又は複数の温度制御構成要素は、チャンバ内壁109に組み入れられ、真空チャンバ101の温度の制御を可能にする。例えば、抵抗加熱器、熱電冷却器、熱交換器、又はチャンバ壁の冷却チャネルを流れる冷却剤、又は側壁103中又は側壁103上の他の構成要素が挙げられる。
【0048】
システム100は、少なくとも化学物質分配システム110の操作を制御するよう操作可能なコントローラ134をさらに含む。コントローラ134は、さまざまなセンサ、例えば圧力センサ、流量計等に連結して、チャンバ101中のガスの圧力の閉ループ制御を提供することもできる。
【0049】
通常、コントローラ134は、「方策」に従ってリアクタシステム100を操作するよう構成されている。方策は、時間に応じて各制御可能な要素の操作値を規定する。例えば、方策は、真空源116が操作する時間、各ガス源124a-124eの時間及び流量等を規定し得る。コントローラ134は、コンピュータ読み取り可能データとして方策を受信することができる(例えば、非一過性のコンピュータ読み取り可能媒体に保管される)。リアクタシステム100の操作のための方法が、以下にさらに詳述される。
【0050】
いくつかの実施態様では、システム100は、第1のフィルタ105及び第2のフィルタ106から粒子を取り除くためのフィルタクリーナーを含み得る。一例として、フィルタクリーナーは、フィルタを打ち込むための機械的ノッカーである可能性があり、これはフィルタから粒子を振り落とす。別の例として、ガス源122は、不活性ガス、例えば窒素の真空ポート114と真空源116との間の排気マニホールド118へのパルスを周期的に提供することができる。ガスパルスは、第1のフィルタ105を通って空間107に伝わり、粒子を第1のフィルタ105から吹き飛ばすことができる。分離バルブ136a、136bは、一回にガス源122又は真空源116のうちの一方のみが排気マニホールド118に流体的に連結されることを確実にするのに使用することができる。
【0051】
リアクタシステム100は、振動アセンブリ140によって支持されており、それにしっかりと固定されている。振動アセンブリ140には、テーブル142、基部144、及びテーブル142を基部144に機械的に連結する一又は複数の弾性部材146が含まれる。振動アセンブリには、テーブル142と基部144との間に位置し、それらを機械的に連結する一又は複数の振動アクチュエータ148と、所望の振動周波数で振動軸Aに沿ってテーブル142の振動運動に変わる所望の振動周波数で振動アクチュエータ148に振動運動を引き起こすよう構成されている発振ドライバ150とが含まれる。
【0052】
いくつかの実施態様では、振動周波数は、真空チャンバ101に機械的に連結しているテーブル142の共振周波数に基づいて、処理空間107内の粒子120の大部分にマイクロスケールの混合区域を生成するよう選択される。いくつかの実施態様では、重力と平行な振動運動が誘導され得る。いくつかの実施態様では、フィルタ105、106の表面と垂直な振動運動が誘導され得る。振動運動は、重力と平行であるのと、フィルタ105、106の表面と垂直であるのとの間、例えばコーティングプロセス中に変化し得る。振動周波数は、以下に詳述されるコーティングプロセス中に30Hzと300Hzの間、例えば30-150Hzの間で維持され得る。
【0053】
通常、システム100の操作及び制御は、システム100に連結されたシステムコントローラを使用することで容易になる。システムコントローラ155は、メモリ159(例えば不揮発性メモリ)を用いて操作可能なプログラム可能な中央処理装置(CPU)157及び支援回路161を含む。支援回路161は、通常、CPU157に連結されており、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等、及び処理システム100のさまざまな構成要素に連結したそれらの組み合わせを含み、薄膜堆積プロセスの制御を容易にする。CPU157は、処理システム100のさまざまな構成要素及びサブプロセッサを制御するために産業用設定で使用される、プログラム可能な論理制御装置(PLC)といった、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの一つである。メモリ159は、CPU157に連結されており、非一過性であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又は任意の他の形態のローカル若しくは遠隔のデジタルストレージなど、容易に利用可能なメモリのうちの一つ又は複数である。
【0054】
ここでは、メモリ159は、指令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態であり、CPU157によって実行されると、処理システム100の操作を促進する。メモリ159内の指令は、本開示の方法を実装するプログラムなどのプログラム製品の形態である。プログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のうちの任意の一つに適合し得る。一実施例では、本開示は、コンピュータシステムにおいて使用するためのコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム製品として実装され得る。プログラム製品の一又は複数のプログラムは、実施形態の機能(本書に記載された方法を含む)を規定する。
【0055】
例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、非限定的に、(i)情報が永続的に記憶される書き込み不能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD-ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ若しくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク又は任意の種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)を含むが、これらに限定されない。かかるコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を命令するコンピュータ可読指令を保有している場合、本開示の実施態様となる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法又はその一部は、一又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他の種類のハードウェア実装によって実行される。いくつかの他の実施態様では、本明細書に記載の処理は、ソフトウェアルーチン、ASIC、FPGA、及び、又は、他の種類のハードウェア実装の組み合わせによって実行される。
【0056】
リアクタシステムの操作
図2は、粒子をコーティングするためのリアクタシステムを用いる例示のプロセスのフロー図である。第1の工程において、粒子は、真空チャンバの処理空間に分注される(202)。
図1を参照して記載すると、リアクタシステム100には、コーティングされる粒子のリアクタシステムへのロード/アンロードに使用することができるリッド102を有する真空チャンバ101が含まれる。第1のフィルタ105、第2のフィルタ106、真空チャンバの一又は複数の側壁103により画定される処理空間107は、リッド102を通じて、例えばロード/アンロードプロセス中に第1のフィルタ105を除去又は調整することによりロードされた粒子120を受け取ることができる。
【0057】
いくつかの実施態様では、粒子は、多孔性処理容器111を使用して処理空間107にロードされ、ここで、多孔性処理容器111、例えばフィルタバッグ又は容器は、粒子120が処理空間107内に位置するように、真空チャンバ101内に置かれる。
【0058】
粒子(例えば粒子120)は、薬物、例えば上に記載した薬物のうちの一つを含むソリッドコアを有し得る。ソリッドコアは、場合によっては添加物も含むことができる。リッド102が密閉されると、コントローラ(例えばコントローラ134)は、粒子上に薄膜金属酸化物層及び/又はポリマー薄層を形成するために、方策に従ってリアクタシステム(例えばリアクタシステム100)を操作する。
【0059】
処理空間は、真空チャンバ上の真空ポートを通じて排気される(204)。処理空間107は、リッド102上に位置する真空ポート114を通じて排気され得、ここで、処理空間107内の処理ガスがフィルタ105を通じて排気される。一又は複数の真空源116は、排気マニホールド118により真空ポート114を通じて連結され得、真空チャンバ101内の処理空間107が排気され得る。真空チャンバ101の空間107内に、1Torr未満の圧力、例えば1から500mTorr、例えば50mTorrの低圧環境が確立され得る。
【0060】
真空チャンバを30Hzと300Hzの間の周波数で振動させることにより、粒子は処理空間で撹拌される(206)。粒子120は、真空チャンバ101の処理空間107内で撹拌される。いくつかの実施態様では、粒子を撹拌することには、真空チャンバ101に連結したテーブル(例えばテーブル142)を30Hzと300Hzの間の周波数、例えば30Hz-150Hzで振動させることが含まれる。音波を使用して粒子120を撹拌することによって、前駆体ガスが粒子120の間を自由に流れることができ、粒子120の表面と反応することができるように、粒子凝集を減少させ、処理空間107中に粒子120を分散させることができる。
【0061】
いくつかの実施態様では、コントローラは、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を誘導するよう構成されている発振ドライバ150を操作させるよう構成されている。一又は複数の振動アクチュエータは、真空チャンバ101を支持するテーブル(例えばテーブル142)に特定の振動周波数で振動運動を生成するよう構成されることができ、それにより、真空チャンバ101内の粒子120に振動周波数(例えば、超音波周波数)が認められる。
【0062】
第1の前駆体ガスは、真空チャンバ上のガス入口を通って処理空間へ流れ、粒子の粒子表面は、粒子が撹拌されるときに第1の前駆体と反応して、第1の層が形成される(208)。いくつかの実施態様では、第1の前駆体ガスは、物理吸着によって粒子表面に付着し得る。反応のメカニズムは、例えば、粒子の表面上の官能基の利用可能性に依拠し得る。物理吸着は、例えば低温ALD/MLDプロセスでより可能性の高いメカニズムであり得る。化学物質分配システム110からの第1の前駆体ガス124aは、真空チャンバ101上に位置するガス入口108を介して処理空間107へ流れ得る。いくつかの実施態様では、ガス入口108は真空チャンバ101上に位置しており、それにより、処理ガス(例えば第1の前駆体ガス及び第2の前駆体ガス)は、第2のフィルタ106を通って処理空間107へ流れ、第1のフィルタ105を介して処理空間107から排気され、真空ポート114を通って真空チャンバ101から排気される。
【0063】
いくつかの実施態様では、第1の前駆体は、金属、半金属、又はそれらの組み合わせ、及びリガンドとして知られる化学官能基である。例えば、いくつかの実施態様では、第1の前駆体は、Al、Ag、B、Ba、Be、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Eu、Er、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Hg、Ho、In、Ir、La、Li、Lu、Mo、Mg、Mn、Nb、Nd、Ni、Os、Pd、Pr、Pt、Ru、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、Zr、又はそれらの組み合わせの部分を含む。いくつかの実施態様では、化学官能基は、アルキル、アルコキシド、アルキルアミド、アミジネート、カルボニル、シクロペンタジエニル、β-ジケトネート、グアニジネート(guandinate)、又はハロゲン化物のうちの一つである。
【0064】
いくつかの実施態様では、粒子表面は、第1の前駆体と反応して、第1の層が形成される。第1の層は、第1の前駆体と粒子表面の反応生成物を含む中間材料の単層であり得る。いくつかの実施態様では、反応生成物には、第1の前駆体のリガンドが含まれる。
【0065】
第2の前駆体は、ガス入口を介して処理空間へ流れ、第1の層は、粒子が撹拌されるときに第2の前駆体と反応して、薄膜が形成される(210)。いくつかの実施態様では、第1の層は、第2の前駆体と反応して、第2の層が形成される。第2の層は、第1の層と第2の前駆体の反応生成物を含む単層であり得る。いくつかの実施態様では、第1の層と第2の前駆体の反応生成物は、リガンド交換反応、例えば、第1の層のリガンドが第2の前駆体の部分で置換される置換反応である。第1の層のリガンドは、真空チャンバ101と流体連結している排気口(例えば真空ポート114)を通って処理空間から排気される交換反応の揮発性の副生成物として放出され得る。
【0066】
いくつかの実施態様では、以前に形成された層の表面を第1及び第2の前駆体に逐次的に曝露させる繰り返しのサイクルは、材料組成物、例えば、所望の厚さの薄膜コーティングを形成する。いくつかの実施態様では、薄膜コーティングの材料組成物は、Al、B、Ba、Ca、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、La、Mg、Nb、Ni、Pt、Ru、Sb、Si、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zrの炭化物、フッ化物、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物又は合金組成物、及びそれらの組み合わせを含む。他の実施態様では、例えば、第1の層又は第2の層の一方が犠牲層である実施態様では、薄膜コーティングの材料組成物は単一元素を含む。
【0067】
いくつかの実施態様では、本方法は、第1の前駆体と第2の前駆体の流れの間及び第1の前駆体と第2の前駆体のサイクルの間の期間に、処理空間をパージすることを含む。典型的には、処理空間をパージすることには、N2又は希ガスなどの堆積材料と反応しないガスを処理空間に流し、真空チャンバ101から非反応性ガスを排気する一又は複数のサイクルが含まれる。
【0068】
いくつかの実施態様では、リアクタシステムは、コーティングの気体前駆体を真空チャンバ101に導入することによりALD及び/又はMLD薄膜コーティングプロセスを実行する。気体前駆体は、真空チャンバ101へ交互にスパイクされる。これにより、堆積プロセスを無溶媒プロセスにすることができる。堆積プロセスの半反応は自己制御的であり、オングストローム又はナノメートルレベルの堆積制御を提供することができる。さらに、ALD及び/又はMLD反応は、50℃未満、例えば35℃未満などの低温条件で実行され得る。処理ガスの流量は、注入される処理ガスの種類に基づいて選択され得る。例えば、H2O処理ガスの流量は、10kgの粉末に対して1~2標準リットル/分(slm)の気化した前駆体であり得る。別の例では、H2O処理ガスの流量は、表面積が少ない粉末に対して.5-1の範囲のslmであり得る。別の例では、TMA又はTiCl4は、例えば1slm未満の体積流量を有し得る。別の例では、キャリアガスの流量は、例えば、10-15kgの粉末に対して1-3slmの範囲であり得る。
【0069】
ALD法の適切な反応物質には、以下のいずれか又はその組み合わせが含まれる:モノマー蒸気、金属有機物、金属ハロゲン化物、オゾンや水蒸気などの酸化剤、及びポリマー又はナノ粒子エアロゾル(乾式又は湿式)。例えば、第1の流体源124aは、気体トリメチルアルミニウム(TMA)又は四塩化チタン(TiCl4)を提供することができるのに対して、第2のガス源124bは水を提供することができる。MLD法については、一例として、流体源124cはアジピン酸クロリドを提供することができ、第4の流体源124dは蒸気又は気体のエチレンジアミンを提供することができる。
【0070】
ALDプロセスとMLDプロセスの両方については、二つの反応ガスが真空チャンバ101に交互に供給され、反応ガスを供給する各ステップに続いて、不活性ガスがチャンバ101に供給されて、以前の工程で使用された反応ガス及び副生成物を押し出すパージサイクルが続く。
【0071】
いくつかの実施態様では、リアクタシステムは、例えば、ALDプロセスのために、連続フロー操作モードで操作される。ALDプロセス中、コントローラ134は、以下の通りにリアクタシステム100を操作することができる。第1の反応半サイクルにおいて、発振ドライバは、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
i)化学物質分配システム110は、粒子120が第1の反応ガスで飽和するまで、第1の反応ガス、例えば、TMAを、供給源124aからガス入口108を介して真空チャンバ101に流すように操作される。例えば、第1の反応ガスは、規定の流量で及び規定の期間、又はセンサがチャンバ101中の第1の反応ガスの規定の第1の圧力又は分圧を測定するまで流れることができる。いくつかの実施態様では、第1の反応ガスは、チャンバへ流れるときに不活性ガスと混合される。規定圧力又は分圧は、0.1Torrから反応ガスの飽和圧力の半分であり得る。
ii)第1の反応ガスの流れは停止され、真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から100mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0072】
これらの工程(i)-(ii)は、方策によって設定された回数、例えば2回から10回繰り返され得る。
【0073】
次に、第1のパージサイクルにおいて、発振ドライバ150、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
iii)化学物質分配システム110は、不活性ガス、例えばN2のみを供給源124aからガス入口108を介してチャンバ101へ流すよう操作される。不活性ガスは、規定の流量で及び規定の期間、又はセンサがチャンバ101中の不活性ガスの規定の第2の圧力を測定するまで流れることができる。第2の規定圧力は1から100Torrであり得る。
iv)真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から500mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0074】
これらの工程(iii)-(iv)は、方策によって設定された回数、例えば6回から20回繰り返され得る。
【0075】
第2の反応半サイクルにおいて、発振ドライバ、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
v)化学物質分配システム110は、粒子120が第2の反応ガスで飽和するまで、第2の反応ガス、例えばH2Oを、供給源124bからガス入口108を介してチャンバ101に流すように操作される。やはり、第2の反応ガスは、規定の流量で及び規定の期間、又はセンサがチャンバ101中の第2の反応ガスの規定の第3の圧力又は分圧を測定するまで流れることができる。いくつかの実施態様では、第2の反応ガスは、チャンバへ流れるときに不活性ガスと混合される。第3の圧力は、0.1Torrから第2の反応ガスの飽和圧力の半分であり得る。
vi)真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から500mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0076】
これらの工程(v)-(vi)は、方策によって設定された回数、例えば2回から10回繰り返され得る。
【0077】
次に、第2のパージサイクルが実行される。工程(vii)及び(vii)を伴うこの第2のパージサイクルは、第1のパージサイクルと同一であってもよく、又は、工程(iii)~(iv)の異なる回数の繰り返し及び/又は異なる規定圧力を有することができる。
【0078】
第1の反応半サイクル、第1のパージサイクル、第2の反応半サイクル及び第2のパージサイクルのサイクルは、方策によって設定された回数、例えば1回から10回繰り返され得る。
【0079】
操作はALDプロセスで上で説明されているが、MLDでも同様である。特に、工程(i)及び(v)では、反応ガスは、ポリマー層の堆積のために適切な処理ガス及び圧力で置換される。例えば、工程(i)は、蒸気又は気体のアジピン酸クロリドを使用することができ、工程(v)は、蒸気のエチレンジアミンを使用することができる。
【0080】
さらに、操作はALD又はMLDプロセスで上で説明されているが、システムは、化学気相堆積(CVD)プロセスに使用することができる。この場合、例えば工程(i)中にチャンバ内で反応するように、両方の反応物質は同時にチャンバ101に流される。第2の反応半サイクルは省略することができる。
【0081】
いくつかの実施態様では、リアクタシステム100は、ガス(例えば反応ガス及び/又は不活性ガス)の一又は複数が、チャンバ101が規定圧力までガスで充填され、遅延時間の経過が可能になり、かつチャンバが次のパルスが開始する前に真空源116により排気されるパルスで供給され得るパルスフロー操作モードで操作される。
【0082】
特に、ALDプロセスについて、コントローラ134は、以下の通りにリアクタシステム100を操作することができる。
【0083】
第1の反応半サイクルにおいて、発振ドライバは、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
i)化学物質分配システム110は、第1の規定圧力がチャンバ101で達成されるまで、第1の反応ガス、例えばTMAを、供給源124aからガス入口108を介してチャンバ101に流すように操作される。規定圧力は、0.1Torrから反応ガスの飽和圧力の半分であり得る。
ii)第1の反応ガスの流れは停止され、例えばコントローラ中のタイマーで測定されるように規定遅延時間の経過が可能になる。これにより、第1の反応ガスが真空チャンバ101中の粒子120を通って流れ、粒子120の表面と反応することが可能になる。
iii)真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から100mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0084】
これらの工程(i)-(iii)は、方策によって設定された回数、例えば2回から10回繰り返され得る。
【0085】
次に、第1のパージサイクルにおいて、発振ドライバは、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
iv)化学物質分配システム110は、第2の規定圧力が達成されるまで、不活性ガス、例えばN2を、供給源124eからガス入口108を介してチャンバ101に流すように操作される。第2の規定圧力は1から100Torrであり得る。
v)不活性ガスの流れは停止され、例えばコントローラ中のタイマーで測定されるように規定遅延時間の経過が可能になる。これにより、不活性ガスが粒子120を通じて拡散し、反応ガス及び任意の蒸気の副生成物を置換する。
vi)真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から500mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0086】
これらの工程(iv)-(vi)は、方策によって設定された回数、例えば6回から20回繰り返され得る。
【0087】
第2の反応半サイクルにおいて、発振ドライバは、一又は複数の振動アクチュエータ148に振動運動を生成して、粒子120を撹拌するよう動作するが:
vii)化学物質分配システム110は、第3の規定圧力が達成されるまで、第2の反応ガス、例えばH2Oを、供給源124bからガス入口108を介してチャンバ101に流すように操作される。第3の圧力は、0.1Torrから反応ガスの飽和圧力の半分であり得る。
viii)第2の反応ガスの流れは停止され、例えばコントローラ中のタイマーで測定されるように規定遅延時間の経過が可能になる。これにより、第2の反応ガスが粒子120を通って流れ、真空チャンバ101内で粒子の表面と反応することが可能になる。
ix)真空源116はチャンバ101を例えば1Torr未満の圧力まで、例えば1から500mTorr、例えば50mTorrまで排気する。
【0088】
これらの工程(vii)-(ix)は、方策によって設定された回数、例えば2回から10回繰り返され得る。
【0089】
次に、第2のパージサイクルが実行される。この第2のパージサイクルは、第1のパージサイクルと同一であってもよく、又は、工程(iv)~(vi)の異なる回数の繰り返し及び/又は異なる遅延時間及び/又は異なる圧力を有することができる。
【0090】
第1の反応半サイクル、第1のパージサイクル、第2の反応半サイクル及び第2のパージサイクルのサイクルは、方策によって設定された回数、例えば1回から10回繰り返され得る。
【0091】
さらに、ガス(例えば反応ガス及び/又は不活性ガス)の一又は複数が、チャンバ101が規定圧力までガスで充填され、遅延時間の経過が可能になり、かつチャンバが次のパルスが開始する前に真空源116により排気されるパルスで供給され得る。
【0092】
操作はALDプロセスで上で説明されているが、MLDでも同様である。特に、工程(i)及び(vii)では、反応ガスは、ポリマー層の堆積のために適切な処理ガス及び圧力で置換される。例えば、工程(i)は、蒸気又は気体のアジピン酸クロリドを使用することができ、工程(vii)は、蒸気のエチレンジアミンを使用することができる。
【0093】
さらに、操作はALD又はMLDプロセスで上で説明されているが、システムは、化学気相堆積(CVD)プロセスに使用することができる。この場合、例えば工程(i)中にチャンバ内で反応するように、両方の反応物質は同時にチャンバ101に流される。第2の反応半サイクルは省略することができる。
【0094】
上に記載したように、コーティングプロセスは、例えば50℃未満、例えば35℃以下の低温で実行され得る。特に、粒子120は、上に記載した工程(i)-(ix)のすべての間に、かかる温度のままであり得るか又は維持され得る。通常、リアクタチャンバの内部の温度は、工程(i)-(ix)の間に35℃を超えない。これは、それぞれのサイクルの間に第1の反応ガス、第2の反応ガス及び不活性ガスをかかる温度でチャンバに注入させることにより達成され得る。さらに、チャンバの物理的構成要素は、例えば、必要に応じて冷却システム、例えば熱電冷却器を使用して、かかる温度でのままであり得るか又は維持され得る。
【0095】
処理の終了時、例えばコーティングプロセスの最後に、粒子120は、真空チャンバ101からリッド102を除去又は上昇させることにより、リッド102を介して処理空間107から除去され得る。いくつかの実施態様では、粒子120は、真空チャンバ101からリッド102を完全に又は部分的に除去することによりリアクタシステム100からアンロードされた多孔性処理容器111内に位置する。
【0096】
いくつかの実施態様では、コントローラ134は、例えば上記のプロセスを使用して、リアクタシステム100に、最初に薬物含有粒子上に金属酸化物層を堆積させ、次に粒子上の金属酸化物層の上方にポリマー層を堆積させることができる。いくつかの実施態様では、コントローラは、リアクタシステム100に、金属酸化物層の堆積と薬物含有粒子上へのポリマー層の堆積とを交互にさせて、交互の組成の層を有する多層構造を形成させることができる。
【0097】
本明細書に記載のシステムのコントローラ134及び他のコンピュータ装置部分は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア内に実装され得る。例えば、コントローラは、非一過性のマシン可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品内に記憶されたコンピュータプログラムを実行する、プロセッサを含み得る。このようなコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られている)は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、また、スタンドアロンプログラムとして、或いはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又は計算環境で使用するのに適した他のユニットとして配置することを含め、任意の形態で展開することができる。いくつかの実施態様では、コントローラ105は、汎用のプログラム可能なコンピュータである。いくつかの実施態様では、コントローラは、特殊用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を使用して実装され得る。
【0098】
一又は複数のコンピュータのシステムが特定の動作又は作用を実行するように構成されているとは、動作中にシステムに動作又は作用を実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせがシステムにインストールされていることを意味する。一又は複数のコンピュータプログラムが特定の動作又は作用を実行するように構成されているとは、一又は複数のプログラムが、データ処理装置によって実行された時に、装置に動作又は作用を実行させる命令を含むことを意味する。本開示は、金属酸化物の一又は複数の層及び/又はポリマーの一又は複数の層により封入された粒子を含有するAPIを含む薬学的組成物を調製するための装置及び該薬学的組成物を調製する方法を提供する。コーティング層は共形であり、合計で数ナノメートルから数マイクロメートルまで厚さが制御されている。コーティングされる物品は、APIのみで、又はAPIと一又は複数の添加物で構成され得る。本明細書に記載されるコーティングプロセスは、コーティングされていないAPIと比較してAPIのガラス転移温度が上昇しており、コーティングされていないAPIと比較して非晶質形態のAPIの結晶化速度が低下しており、コーティングされていないAPIと比較して粒子中のAPI分子の表面移動度が低下しているAPIを提供し得る。重要なことに、粒子の溶解は変化し得る。コーティングは比較的薄いため、薬物負荷の高い薬物製品が達成され得る。そして、同じリアクタに複数のコーティングを施すことができるため、コスト及び製造の容易さに関して利点がある。
【0099】
相対配置の用語は、システム内の構成要素の相対配置又は操作中の構成要素の配向を指すために使用される。リアクタシステムは、輸送、組み立てなどの間、垂直配向又は他の何らかの配向に保持され得ることを理解されたい。
【0100】
本発明の多くの実施態様について説明してきた。それでもなお、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく様々な改変が行われ得ることが、理解されよう。