(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】加圧製品の製造方法および加圧剤充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 31/00 20060101AFI20230412BHJP
B65D 83/38 20060101ALI20230412BHJP
B65D 83/62 20060101ALI20230412BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65B31/00 Z
B65D83/38
B65D83/62
B65B51/22 100
(21)【出願番号】P 2018144369
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信也
(72)【発明者】
【氏名】細谷 竜彦
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特許第5138777(JP,B2)
【文献】特開2004-131187(JP,A)
【文献】国際公開第99/016684(WO,A1)
【文献】特開平09-002551(JP,A)
【文献】特開昭63-067220(JP,A)
【文献】特公昭34-007794(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B31/00-31/10
B65B51/00-51/32
B65D83/00
B65D83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に蓋体を隙間をあけて配置し、
下方で開口するカップ状の充填具を容器本体と蓋体に被せ、
いずれか一方または両方が昇降自在である台と充填具とで容器本体の底部と肩部を挟み、
カップ状の充填具の下端の環状のシール材を容器本体の肩部に
、容器が潰れない程度のシール圧で当接させ、
容器本体の口部と蓋体の隙間を通して加圧剤を容器内に充填し、
その充填の際に容器の内圧の上昇に伴って
、充填具と台のいずれか一方または両方を互いに接近する方向に移動させることによりシール材と肩部の当接圧を
内圧に応じた強さまで上昇させ、
ついで前記容器本体を蓋体によって気密に閉じる加圧製品の製造方法。
【請求項2】
前記容器本体の口部を蓋体で閉じるとき、超音波溶着により密閉する請求項1記載の加圧製品の製造方法。
【請求項3】
前記容器を昇降自在の台に載置し、容器の内圧の上昇に伴って台を押し上げる力を増大させる請求項1または2記載の加圧製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンダーカップ充填を用いた加圧製品の製造方法およびその製造方法に用いる加圧剤充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外側容器と、その中に収容される可撓性を有する内側容器と、内側容器の上端に設けられるバルブを保持し、それ自体は外側容器に取り付けられて封止する取付スリーブ(蓋体)を備えた二重加圧容器が開示されている。そしてこの二重加圧容器の加圧ガスの充填方法として、取付スリーブと外側容器の間から外側容器と内側容器の間の空間に加圧ガスを充填し、その後、取付スリーブの周囲を外側容器に超音波溶着するという、アンダーカップ充填と超音波溶着を組み合わせた方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、容器とバルブカバー(蓋体)の隙間から噴射剤をアンダーカップ充填し、その後、容器の底面側に配置した超音波ホーンを振動させ、容器全体を振動させて容器の開口部の周囲とバルブカバーとを超音波溶着する噴霧容器の充填方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5138777号公報
【文献】特開昭58-1622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波溶着により容器本体と蓋体とを密閉する場合、容器本体と蓋体はいずれも熱可塑性樹脂製である。そしてアンダーカップ充填のとき、蓋体を配置した容器本体の肩部に充填具を押し当て、充填具のシール材と容器本体とは、ガス漏れしないように相当のシール圧で当接させる。そのため、容器本体は、高いシール圧に耐えることができるように、内圧に対して要求される強度よりさらに高い強度のもの、すなわち肉厚が厚い容器本体が用いられる。
【0006】
本発明は従来より低い強度の肉厚が薄い容器本体を採用しうる加圧製品の製造方法およびその製造方法に用いる加圧剤充填装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加圧製品の製造方法は、容器本体(41、43)の口部に蓋体40、44を隙間をあけて配置し、下方で開口するカップ状の充填具13を容器本体(41、43)と蓋体40、44に被せ、充填具13の下端の環状のシール材29を容器本体(41、43)の肩部32に当接させ、容器本体(41、43)の口部と蓋体40、44の隙間を通して加圧剤Pを容器(20、42)内に充填し、その充填の際に容器(20、42)内の内圧の上昇に伴ってシール材29と肩部32の当接圧を上昇させ、前記容器本体(41、43)を蓋体40、44によって気密に閉じることを特徴としている。
【0008】
このような加圧製品(45)の製造方法においては、前記容器本体(41、43)を蓋体40、44で閉じるとき、超音波溶着により密閉するのが好ましい。また、前記容器(20、42)を昇降自在の台(19)に載置し、容器(20、42)の内圧の上昇に伴って台(19)を押し上げる力を増大するのが好ましい。
【0009】
本発明の加圧剤充填装置10は、下方で開口するカップ状の形態を有し、下端に容器本体(41、43)の肩部32と当接する環状のシール材29を有する充填具13と、容器(20、42)内の内圧の上昇に伴ってシール材29と容器本体(41、43)の肩部32との当接圧を上昇させる調節器とを備えていることを特徴としている。
【0010】
このような加圧剤充填装置10においては、前記充填具13の上部に超音波を生ずるホーン14を通す空洞24が形成されており、前記ホーン14の外周面と充填具13の空洞24の内周面の間に第2のシール材(34)が介在されているものが好ましい。また、前記容器(20、42)を載置する昇降自在の台(19)を備え、容器(20、42)内の内圧の上昇に伴って台(19)を押し上げる力を増大させるものが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
容器内に加圧剤を充填するとき、内圧が高くなると、容器本体の肉厚が薄い場合でも張りによって変形しにくくなり、高いシール圧に耐えることができる。本発明はこの現象を利用するものであり、容器本体の口部と蓋体の隙間を通して加圧剤を容器内に充填する際、容器の内圧が低いときはシール材と肩部の当接圧を低くしておき、内圧が高くなって容器の剛性が高くなると当接圧を高くする。それにより、比較的肉薄の容器本体でも、シール材の当接圧で変形したりつぶれたりすることがなく、しかも最終的に高い内圧を呈するまで充填することができる。そのため、少ない材料で製造された安価な容器本体を採用することができる。また、内圧が低いときはシール圧が低くても加圧剤は漏れにくい。
【0012】
この製造方法において、前記容器本体を蓋体で閉じるとき、超音波溶着により密閉する場合は、容器本体と蓋体の間のシール材を省略することができるので、一層安価に製造することができる。また、超音波溶着する際には、容器は内圧により強度が高くなっており、また、溶着時に容器に加わる押圧力(垂直荷重)は小さいため、薄肉の容器本体を使いやすい。
【0013】
また、前記容器を昇降自在の台に載置し、容器の内圧の上昇に伴って台を押し上げる力を増大させる場合は、容易に肩部とシール材の当接圧を上昇させることができる。
【0014】
本発明の加圧剤充填装置は、容器内の内圧の上昇に伴ってシール材と容器の肩部との当接圧を上昇させる調節器を備えているので、本発明の製造方法に利用することができる。前記充填具の上部に超音波を生ずるホーンを通す空洞が形成されており、前記ホーンの外周面と充填具の空洞の内周面の間に第2のシール材が介在されている場合は、充填と封止を順次行うことができ、加圧製品を効率的に製造することができる。加圧剤充填装置が前記容器を載置する昇降自在の台を有し、容器内の内圧の上昇に伴って台を押し上げる力が増大するものである場合は、簡易な構造で充填装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の加圧剤充填装置の一実施形態を示す一部断面正面図である。
【
図2】本発明の製造方法における充填工程を示す一部断面正面図である。
【
図4】
図4Aは本発明の製造方法で用いる加圧容器の一実施形態を示す組み立て前の断面図、
図4Bは組み立て後の断面図、
図4Cはキャップ装着後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す加圧剤充填装置10は、ベース11と、そのベース11に設けられる昇降台12と、その昇降台12の上方に配置される筒状の充填具13と、その充填具13の上部開口を閉じ、充填具13内に昇降自在に設けられる超音波溶着用のホーン14とからなる。充填具13はベース11から立ち上がる2本の支柱15によって高さ調節自在に支持されている。ホーン14は流体シリンダまたはモータなどの駆動源を備えた昇降機構16(
図2参照)を介して超音波発振器に取り付けられている。
【0017】
昇降台12は、基台17と、その基台17によって昇降がガイドされるロッド18と、ロッド18を昇降駆動するための昇降機構16Aと、ロッド18の上端に設けられる保持カップ(台)19とからなる。基台17は直方体状で、内部にロッド18の昇降をガイドするガイド部材18aが設けられている。昇降機構16Aは、たとえば液圧や気体などの流体圧シリンダなどの直動機構、あるいはモータで回転駆動するネジ機構などから構成されている。
【0018】
昇降機構16Aの一例としては、ロッド18に固定した2個のピストン18b1、18b2と、ピストンを収容する収容室(シリンダ)18c1、18c2と、ロッド18を上昇させるための上昇用空気導入部Au1、Au2と、ロッド18を下降させるための下降用空気導入部Ad1、Ad2が設けられた直列2段タイプのエアシリンダがあげられる。それぞれの空気導入部Au1、Au2、Ad1、Ad2は電磁弁Sv1、Sv2を介してエアコンプレッサーなどのエア源Asと接続されている。ボトル(容器)20内に加圧剤を充填する前には、第1の電磁弁Sv1を切り換えて下降用空気導入部Ad1から空気を抜きながら第1のピストン18b1用の上昇用空気導入部Au1から第1の収容室18c1に加圧(圧縮)空気を導入し、ロッド18を上昇させ、容器本体41の肩部32をシール材29と当接させる。第2の電磁面Sv2は、第2のピストン18b2が負荷にならないように、第2の下降用空気導入部Ad2および上昇用空気導入部Au2を大気に開放させるように切り換える。
【0019】
次いでボトル20内に加圧剤を充填する際には、ボトル20の内圧の上昇に伴い第2の電磁弁Sv2を切り換えて第2の上昇用空気導入部Au2から第2の収容室18c2に加圧空気をさらに導入して容器本体41の肩部32とシール材29との当接圧を高くし、加圧剤が漏れないようにシールを維持する。溶着などにより蓋体44で容器本体41を気密に閉じた後は、第1および第2の下降用空気導入部Ad1、Ad2から収容室18cに加圧空気を導入してロッド18を下降させ、ボトル20を取り出すことができる。
【0020】
保持カップ19は加圧剤を充填しようとするボトル20を載置するもので、ボトル20の底部21を安定して保持できるように、さらに中心を合わせられるように、底部21の外周と嵌合する。昇降台12は、加圧剤が充填されていないボトル20を上昇させ、加圧剤充填後のボトル20を下降させるほか、充填中は加圧剤が漏れず、しかもボトル20が潰れない程度のシール圧を生ずるように、上向きに加圧するものである。
【0021】
前述の直列2段式のエアシリンダを採用する場合は、電磁弁Sv1、Sv2を切り換えるだけでロッド18の加圧力を変更することができ、エアシリンダに導入する空気の圧力は一定でよい。なお、並列2連式のエアシリンダによって加圧力を変動させることもできる。他方、1段式のエアシリンダを採用し、シリンダに導入する空気の圧力を変化させ、それによってロッド18の加圧力(昇降荷重)を調節するようにしてもよい。シリンダに導入する空気の圧力を変化させる方法としては、たとえば、供給圧力が異なる複数のエア源を設け、いずれのエア源をシリンダに導入するかを電磁弁で切り換える、あるいは内径の異なる複数のエアシリンダを組み合わせるなどの方法を採用しうる。また、電磁弁を開閉してエアシリンダ内に供給する加圧空気の量を段階的に、または直線的に増加させていくことにより、エアシリンダ内の内圧を上昇させ、ロッド18の加圧力を増加させていくようにしてもよい。
【0022】
いずれの場合も加圧力を検出する加圧力センサ、ボトル20の内圧を検出する内圧センサ、検出値に基づき、加圧力を調節する制御装置を設けるのが好ましい。なお、ボトル20内の内圧は、たとえば、加圧剤を充填したときのボトル20の胴部の膨張や硬度の変化を検出し、検量線から算出することができる。
【0023】
前記支柱15の上部には、高さ調節自在に支持ブロック22が装着されており、左右の支持ブロック22の上に支持プレート23が取り付けられている。支持プレート23の下面には、前述の充填具13が吊られている。充填具13にはホーン14が摺動自在に嵌合する内径の空洞(密閉空間)24が形成されている。空洞24の下部は段部25を介して小径部26が設けられている。小径部26の内径はボトル20の首部27およびフランジ28を通す大きさとしている(
図2参照)。
【0024】
充填具13の下端には環状で板状のシール材29が取付板30によって取り付けられている(下部シール部)。シール材29はゴムなどの弾力性を備え、中央にボトル20を通す開口を有し、開口の内縁がボトル20の肩部32と当接してシールする傾斜面(テーパ面)33とされている(
図2参照)。開口の内端は弾力的に変形しやすいリップとして作用する。充填具13の空洞24の上部には、ホーン14との間でシールするためのOリング34と、そのOリング34を収容するOリング溝からなる上部シール部が設けられている。充填具13の下部には、空洞24と外部を連通する導入口36が設けられ、その導入口36に加圧剤導入管37が接続されている。
【0025】
前記ホーン14は円柱状で、下端は蓋体40を超音波溶着するため、リング状などの形状にされており、下面14aは平坦である。ホーン14の上部は傾斜段部38を介して大径部39とされている。ホーン14の上部は、上下の振動を妨げないように保持され、超音波発振器と振動伝達が可能なように接続されている。そして前述のように、ホーン14は、下面14aがボトル20の蓋体40と当接する低い位置と、蓋体40から離れた高い位置との間で昇降する昇降機構16を介して吊られている。
【0026】
ボトル(容器)20としては、たとえば容器本体41と、その容器本体41の開口を閉じて超音波溶着される蓋体40とからなり、加圧剤による内圧に耐える強度を有する加圧容器があげられる。
図1の状態では蓋体40はまだ容器本体41に超音波溶着されておらず、蓋体40と容器本体41の上端面の間には加圧剤を通す隙間あるいは充填通路が設けられている。
【0027】
ボトル20に加圧剤を充填する方法は、
図1に示すように、まず容器本体41に原液を充填し口部に蓋体40を載せたボトル20を昇降台12の保持カップ19に載置する。ついで昇降機構16Aを駆動してボトル20を上昇させ、容器本体41の肩部32を充填具13のシール材29に当接させる(
図2参照)。このときのシール材29の当接圧(初期値)は、肩部32と底部21を挟圧しても潰れない程度に充分に弱くする。空洞24の上部はホーン14で閉じられており、充填具13とホーン14の隙間はOリング34によってシールされている。
【0028】
ついで導入口36から加圧剤を導入し、空洞24を経由して蓋体40と容器本体41の隙間から容器本体41内に加圧剤を充填する(アンダーカップ充填)。加圧剤としては、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素ガスなどの圧縮ガスが用いられる。ボトル20内の内圧は0.1~0.5MPa(25℃、ゲージ圧)、とくに炭酸飲料と同程度の圧力0.3~0.5MPa(25℃、ゲージ圧)とするのが好ましい。
【0029】
そして容器本体41内への加圧剤の充填に伴って、昇降台12を徐々に上昇させたり、昇降台12が降下しないように保持して、シール材29を弾性変形させながら昇降台12を押し上げる加圧力を少しずつ高めていく。昇降台12を上昇させる場合は、昇降台12は階段状に上昇させてもよく、直線的または曲線的に上昇させるようにしてもよい。それによりシール材29と容器本体41の肩部32の当接圧(シール圧)は、少なくとも、途中で1~3回程度、初期値より高くなるようにする。それによりボトル20の内圧が低い場合でもボトル20を潰さず、ボトル20の内圧が上昇してもシール材29と肩部32の隙間からの加圧剤の漏れを少なくすることができる。内圧が上昇すると、当接圧を高くしても潰れにくくなる。そのため胴部の肉厚が0.1~0.5mm程度の薄い容器本体41を採用することができ、生産コストを低減できる。
【0030】
当接圧の上昇は、あらかじめ加圧剤の充填時間とボトル20の内圧の関係を測定しておき、それに基づいて上昇させるようにしてもよい。他方、ボトル20の内圧とシール材19の当接圧をそれぞれ検出し、それらの検出値に基づき、充填と昇降をバランスさせながら充填操作を行うようにしてもよい。
【0031】
シール材19の当接圧は、ロッド18あるいは昇降機構16Aに設けた圧力計などで検出する。ロッド18に圧縮スプリングを介在させ、その圧縮スプリングの圧縮量を検出することにより当接圧を検出することもできる。圧縮スプリングとしては、圧縮コイルバネのほか、エアスプリング、エアシリンダも利用できる。ボトル20の内圧は、たとえば充填を一時的に停止して密閉されている空洞24の内圧を検出することにより、間接的に検出することができる。充填を停止するのは、流れている状態ではボトル20内と空洞24内とで圧力差が生ずるためである。ボトル20の内圧の変化とボトル20の径や高さの変化が対応している場合は、ボトルの径や高さを検出することによっても内圧を間接的に検出できる。
【0032】
加圧剤の充填が完了すると、
図3に示すようにホーン14を下降させ、蓋体40を容器本体41の口部上端に押しつけると共に、超音波振動子を発振させて蓋体40を容器本体41の口部に溶着する。溶着が完了すると、加圧剤の供給を停止し、ホーン14を上昇させ、昇降台の保持カップ19を下降させてボトル20を取り出す。それにより加圧製品(加圧剤を充填したボトル)の製造が完了する。
【0033】
このような加圧剤充填装置10や加圧製品の製造方法は、
図4A、
図4Bに示す二重容器本体43と、その開口を閉じる蓋体44を有する二重ボトル42に加圧剤を充填する二重加圧製品45の製造に適用できる。二重容器本体43は、外容器46と、その内部に収容される内容器47とから形成し(
図4A)、内容器47内の空間(原液収容部)S1に原液Cを充填する。ついで内容器47の口部に蓋体44を装着して内容器47を密封し、
図2の工程によって外容器46と内容器47の間の空間(加圧剤収容部)S2に加圧剤Pを充填する。そして
図3の工程にしたがって蓋体44を外容器46と内容器47に超音波溶着する。
【0034】
それにより
図4Bの二重加圧製品45が得られる。蓋体44は内容器47の口部を閉じるカップ状の封止部48と、外容器46の首部と内容器47の首部の隙間の上端を閉じるフランジ49とを有し、封止部48の底面に被開封部50が設けられている。製造された二重加圧製品45は、
図4Cに示すように、バルブ51付きのキャップ52を装着し、バルブのステムにノズル付き押しボタン53を取り付ける。そのとき、バルブ51のハウジング51aの下端に設けた針状の開封部54で被開封部50を破り、バルブ51内と内容器46の内部とを連通させる。それにより二重エアゾール製品55が得られる。
【0035】
二重加圧製品45は交換用ないし詰め替え用の製品として使用することができ、それにより前述の外容器46の薄肉化と共に、製造コストを抑え、資源保護、環境保護に寄与する。なお、この二重加圧製品45では、蓋体44と内容器47のシールおよび蓋体44と外容器46のシールのそれぞれで超音波溶着を行う。
【0036】
以上、本発明の加圧製品の製造方法と加圧剤充填装置の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。たとえば
図4A~Cでは容器本体の例として二重加圧容器43を示したが、外容器46だけであってもよい。また、蓋体44とは別のキャップ52にバルブ51を設けているが、蓋体44にバルブ51を設けてもよく、バルブ51のハウジング51aを蓋体とすることもできる。また、充填具13内をホーン14が移動する容積分の気体で容器本体内を所定の圧力に加圧できる場合は、充填具13内に加圧剤を加圧導入しなくてもよく、ホーン14が下降する際に容器本体内に前記容積分の加圧剤や空気を導入すればよい。
【0037】
さらに蓋体は超音波溶着で容器本体に固定するほか、高周波溶着、レーザー溶着など、熱によって溶着する方法、加圧剤の充填後にキャップをボトル本体にネジ止めしたり、カシメによって固着する方法なども採用することができる。また、前記実施形態では保持カップ19を昇降自在としているが、充填具13を昇降させてもよく、両方を昇降させてもよい。また、ホーン14を下降させるのに代えて、保持カップ19と充填具13を上昇させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 加圧剤充填装置
11 ベース
12 昇降台
13 充填具
14 ホーン
14a 下面
15 支柱
16、16A 昇降機構
17 基台
18 ロッド
18a ガイド部材
18b1、18b2 ピストン
18c1、18c2 収容室
Au1、Au2 上昇用空気導入部
Ad1、Ad2 下降用空気導入部
Sv1、Sv2 電磁弁
As エア源
19 保持カップ(台)
20 ボトル(容器)
21 底部
22 支持ブロック
23 支持プレート
24 空洞(密閉空間)
25 段部
26 小径部
27 首部
28 フランジ
29 シール材
30 取付板
32 肩部
33 傾斜面
34 Oリング
36 導入口
37 加圧剤導入管
38 傾斜段部
39 大径部
40 蓋体
41 容器本体
42 二重ボトル(容器)
43 二重容器本体
44 蓋体
45 二重加圧製品
46 外容器
47 内容器
S1 原液収容部
C 原液
S2 加圧剤収容部
P 加圧剤
48 封止部
49 フランジ
50 被開封部
51 バルブ
51a ハウジング
52 キャップ
53 ノズル付き押しボタン
54 開封部
55 二重エアゾール製品