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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   F28B 9/02 20060101AFI20230412BHJP
   F22B 37/26 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F28B9/02
F22B37/26 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019001882
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020112286
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 義明
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054882(JP,A)
【文献】特開2010-116898(JP,A)
【文献】特開2007-247971(JP,A)
【文献】特開2010-107093(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056481(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 9/02
F22B 37/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と蒸気とを貯留するタンクと、
前記タンクから導入される蒸気の熱を回収する熱交換器と、
前記タンクからの水を圧送するポンプ装置とを備え、
前記タンクは、横長形状に形成され且つ、鉛直方向に上方から下方へ見た場合に前記熱交換器が上で前記タンクが下の状態で前記タンクと前記熱交換器とが少なくとも部分的に重なって配置され、
前記ポンプ装置の上端の位置は、前記タンクの上端及び前記熱交換器の上端よりも低い位置にある熱回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載の熱回収システムにおいて、
前記熱交換器は、蒸気が導入される蒸気導入口と、凝縮した水が排出される水排出口とを有し、
前記蒸気導入口は、前記水排出口よりも高い位置に配置されている熱回収システム。
【請求項3】
請求項2に記載の熱回収システムにおいて、
前記タンクと前記熱交換器とは、蒸気導入管を介して接続されており、
前記蒸気導入管は、前記タンクから延び、前記熱交換器の下部を貫通して前記熱交換器の内部を上方へ延び、
前記蒸気導入管には、前記熱交換器の内部において前記蒸気導入口が形成されている熱回収システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の熱回収システムにおいて、
前記ポンプ装置は、蒸気を駆動源とするメカニカルポンプである熱回収システム。
【請求項5】
水と蒸気とを貯留するタンクと、
前記タンクから導入される蒸気の熱を回収する熱交換器と、
前記タンクからの水を圧送するポンプ装置とを備え、
前記タンクは、横長形状に形成され且つ前記熱交換器の下方に配置され、
前記ポンプ装置は、前記タンク及び前記熱交換器よりも低い位置に配置され、
前記ポンプ装置と前記タンクとは、水流入管を介して接続されており、
前記水流入管には、バネの弾性力によって弁体を閉弁させ、前記タンクから前記ポンプ装置への方向の水の流れを許容する一方、前記ポンプ装置から前記タンクへの方向の水の流れを阻止するスプリング式の逆止弁が設けられ、
前記逆止弁は、前記水流入管のうち前記タンクから前記ポンプ装置へ向かう水が上から下に流れる部分に、前記弁体が開弁する方向へ前記弁体の自重が作用するように配置されている熱回収システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の熱回収システムにおいて、
前記ポンプ装置は、鉛直方向を向いて見たときに前記タンクに対して側方へオフセットした位置に配置されている熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タンクに貯留した水を圧送するポンプ装置が知られている。例えば、特許文献1には、蒸気使用装置で発生した凝縮水をタンクに一時的に貯留し、タンクに貯留された水をボイラ等に送るポンプ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-127258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、ポンプ装置の上流側において水を一時的に貯留するタンクを備える構成においては、タンク内で水が蒸発して蒸気が発生する場合やタンクに水と共に蒸気が流入する場合がある。例えば、タンクに流入する水が比較的高温の場合には、タンク内で蒸気が発生しやすい。そのような場合には、タンク内で発生した蒸気から熱を回収して、熱を有効活用することが考えられる。そのために、例えば、前述のようなポンプ装置に熱交換器を組み合わせて熱回収システムを構成することが考えられる。タンク内の蒸気を熱交換器に導入し、熱交換器において蒸気から熱が回収される。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タンクと熱交換器とポンプ装置とを組み合わせた熱回収システムにおいて、タンク、熱交換器及びポンプ装置のコンパクトな配置と熱回収効率とを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された熱回収システムは、水と蒸気とを貯留するタンクと、前記タンクから導入される蒸気の熱を回収する熱交換器と、前記タンクからの水を圧送するポンプ装置とを備え、前記タンクは、横長形状に形成され且つ前記熱交換器の下方に配置され、前記ポンプ装置は、前記タンク及び前記熱交換器よりも低い位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
前記熱回収システムによれば、ポンプ装置、タンク及び熱交換器のコンパクトな配置と熱回収効率とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、熱回収システムの正面図である。
図2図2は、熱回収システムの左側面図である。
図3図3は、熱回収システムの右側面図である。
図4図4は、熱回収システムの平面図である。
図5図5は、熱回収システムの概略的な配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、熱回収システムの正面図である。図2は、熱回収システムの左側面図である。図3は、熱回収システムの右側面図である。図4は、熱回収システムの平面図である。図5は、熱回収システムの概略的な配管図である。
【0011】
熱回収システム100は、各種蒸気使用装置で発生した、蒸気の凝縮水(以下、「ドレン」ともいう)を回収してボイラ又は廃熱利用箇所等に送ると共に、その際にドレンに含まれる蒸気又はドレンが再蒸発した蒸気(フラッシュ蒸気)から熱を回収するものである。凝縮水及びドレンは、水の一例である。熱回収システム100は、ドレンと蒸気とを貯留するドレンヘッダ1と、ドレンヘッダ1から導入される蒸気の熱を回収する熱交換器2と、ドレンヘッダ1からのドレンを圧送するポンプ装置5とを備えている。ドレンヘッダ1がタンクの一例である。
【0012】
〈ドレンヘッダ〉
ドレンヘッダ1は、タンク本体11と、ドレン流入口12と、ドレン流出口13と、第1連通口14と、第2連通口15と、オーバーフロー口16とを有している。
【0013】
タンク本体11は、横長の形状(即ち、水平方向の寸法の方が鉛直方向の寸法よりも長い形状)を有している。詳しくは、タンク本体11は、両端が閉じられた略円筒状に形成されている。タンク本体11は、略円筒状の周壁と、周壁の軸心方向の両端に設けられた2つの側端壁とを有している。タンク本体11は、円筒の軸心が水平方向を向くように配置される。タンク本体11は、ドレン及び蒸気を貯留する。タンク本体11の下部空間にドレンが貯留され、タンク本体11の上部空間(タンク本体11におけるドレンよりも上方の空間)に蒸気が貯留される。
【0014】
ドレン流入口12は、タンク本体11の一方の側端壁を貫通するように設けられている。ドレン流入口12は、側端壁の比較的上部に設けられ、タンク本体11の上部空間に連通している。
【0015】
ドレン流出口13は、タンク本体11の周壁を貫通するように設けられている。ドレン流出口13は、周壁の比較的下部(例えば、底)に設けられ、タンク本体11の下部空間に連通している。
【0016】
第1連通口14及び第2連通口15は、タンク本体11の周壁を貫通するように設けられている。第1連通口14及び第2連通口15は、周壁の比較的上部(例えば、頂部)に設けられ、タンク本体11の上部空間に連通している。
【0017】
オーバーフロー口16は、タンク本体11の周壁を貫通するように設けられている(図2,3参照)。オーバーフロー口16は、周壁の比較的上部に設けられ、タンク本体1の上部空間に連通している。オーバーフロー口16には、逆止弁17が設けられている。逆止弁17は、タンク本体11の内側から外側への流体の流れを許容する一方、その逆の流体の流れを阻止する。以下、許容される流れの方向を「順方向」と称し、阻止される流れの方向を「逆方向」と称する。逆止弁17は、弁体(例えば、ディスク弁)がバネによって弁口に逆方向から押し付けられたタイプの逆止弁である。上流側と下流側との差圧が大きくなると、バネの弾性力に抗して弁体が弁口を開く。逆止弁17には、ドレンの排出管(図示省略)が接続されている。
【0018】
〈熱交換器〉
熱交換器2は、容器21と、容器21内に収容され、内部を水が流通する伝熱管3とを有している。図2~4においては、伝熱管3の図示を省略している。
【0019】
容器21は、略円筒状に形成された周壁22と、周壁22の一端(上端)に設けられた天井23と、周壁22の他端(下端)に設けられた底24とを有している。容器21の中央には、容器21の軸心に沿って延びる大気開放管25が設けられている。大気開放管25の上部は、天井23を貫通して容器21の外方まで延び、大気に開放されている。大気開放管25の下部は、底24の近傍まで延び、下方に向かって開口している。大気開放管25の下端と底24との間には、間隙が設けられている。
【0020】
容器21は、蒸気が導入される蒸気導入口26aと、ドレンが排出されるドレン排出口27aとを有している。詳しくは、容器21は、ドレンヘッダ1の蒸気を容器21へ導入する蒸気導入管26と、容器21からドレンをドレンヘッダ1へ排出するドレン排出管27とを有している。図2~4においては、蒸気導入管26及びドレン排出管27の図示を省略している。
【0021】
蒸気導入管26は、熱交換器2の下部(具体的には、容器21の底24)を貫通して熱交換器2の内部を上方へ延びている。蒸気導入管26のうち容器21の外側の端部は、ドレンヘッダ1の第1連通口14に接続されている。つまり、蒸気導入管26は、ドレンヘッダ1から延び、ドレンヘッダ1と熱交換器2とを接続している。蒸気導入管26のうち容器21内の部分は、容器21内における大気開放管25の外側の空間を上方へ延びている。蒸気導入管26のうち容器21内の端部は、容器21内の比較的上部において開口している。この蒸気導入管26の端部の開口が蒸気導入口26aである。
【0022】
ドレン排出管27は、熱交換器2の下部(具体的には、容器21の底24)を貫通して熱交換器2の内部を上方へ延びている。ドレン排出管27のうち容器21の外側の端部は、ドレンヘッダ1の第2連通口15に接続されている。つまり、ドレン排出管27は、ドレンヘッダ1から延び、ドレンヘッダ1と熱交換器2とを接続している。ドレン排出管27のうち容器21内の部分は、容器21内における大気開放管25の外側の空間を上方へ延びている。ドレン排出管27のうち容器21内の端部は、容器21内の比較的下部において開口している。このドレン排出管27の端部の開口がドレン排出口27aである。蒸気導入口26aは、ドレン排出口27aよりも高い位置に配置されている。ドレン排出管27は、水排出管の一例であり、ドレン排出口27aは、水排出口の一例である。
【0023】
伝熱管3は、大気開放管25の周囲を周回するようにコイル状に形成されている。伝熱管3の内部には、流体が流通する流路が形成されている。伝熱管3の一端部は、周壁22の比較的下部を貫通し、容器21の外部に露出している。伝熱管3の一端部に水供給管31が接続されている。伝熱管3の他端部は、天井23を貫通し、容器21の外部に露出している。伝熱管3の他端部に水排出管32が接続されている。水供給管31から供給される水は、伝熱管3を下方から上方へ螺旋状に流れていき、水排出管32を介して排出される。
【0024】
尚、蒸気導入管26は、大気開放管25の外側であって伝熱管3の内側の空間を上方へ延びている。ドレン排出管27のドレン排出口27aは、伝熱管3よりも低い位置に位置している。
【0025】
〈ポンプ装置〉
ポンプ装置5は、ドレンヘッダ1からのドレンを下流側へ圧送する。この例では、ポンプ装置5は、蒸気を駆動源とするメカニカルポンプである。メカニカルポンプは公知なので、詳しい説明は省略する。ポンプ装置5は、内部にドレンの貯留室を有するケーシング51と、貯留室に配置されたフロート(図示省略)とを有する。
【0026】
ケーシング51には、貯留室へ蒸気を導入するための蒸気導入口と、貯留室から蒸気を排出するための蒸気排出口とが形成されている。蒸気導入口には、蒸気導入管52が接続されている。蒸気排出口には、蒸気排出管53が接続されている。蒸気排出管53の下流端は、熱交換器2の容器21に接続されている。蒸気排出管53の下流端は、容器21内の大気開放管25の外側の空間に開口している。ケーシング51内において蒸気導入口及び蒸気排出口のそれぞれには、フロートと連動する弁が設けられている。
【0027】
また、ケーシング51には、貯留室へドレンを流入させる流入口と、貯留室からドレンを流出させる流出口とが形成されている。流入口には、ドレン流入管54が接続されている。ドレン流入管54の上流端は、第1逆止弁55を介してドレン流出口13に接続されている。つまり、ポンプ装置5とドレンヘッダ1とは、ドレン流入管54を介して接続されている。第1逆止弁55は、ドレンヘッダ1からポンプ装置5へのドレンの流れを許容する一方、ポンプ装置5からドレンヘッダ1への方向のドレンの流れを阻止する。流出口には、ドレン流出管56が接続されている。ドレン流出管56には、第2逆止弁57が設けられている。第2逆止弁57は、ポンプ装置5からの流体の流れを許容する一方、その逆の流体の流れを阻止する。以下、許容される流れの方向を「順方向」と称し、阻止される流れの方向を「逆方向」と称する。ドレン流入管54は、水流入管の一例である。
【0028】
第1逆止弁55及び第2逆止弁57は、バネの弾性力によって閉弁しているスプリング式の逆止弁である。詳しくは、スプリング式の逆止弁は、弁体(例えば、ディスク弁)がバネによって弁口に逆方向から押し付けられたタイプの逆止弁である。弁体の上流側と下流側との差圧(上流側の圧力-下流側の圧力)が所定圧力以上になることによって、バネの弾性力に抗して弁体が弁口を開く。第1逆止弁55は、ドレン流入管54のうちドレンヘッダ1からポンプ装置5へ向かうドレンが上から下に流れる部分に配置されている。つまり、第1逆止弁55は、弁体がバネによって下方から弁口に押し付けられる状態で配置されている。第2逆止弁57は、弁体がバネによって水平方向から弁口に押し付けられる状態で配置されている。第1逆止弁55は、逆止弁の一例である。
【0029】
ポンプ装置5の貯留室内のドレンが少ない場合(ドレンが無い場合も含む)は、フロートが貯留室の下部に位置している。このとき、ポンプ装置5は、貯留動作を行う。具体的には、蒸気導入口が閉じられ、蒸気排出口が開いている。この状態において、ドレン流入管54を介してドレンが貯留室へ流入し、貯留室にドレンが貯留されていく。フロートは、貯留室のドレンに浮遊しており、ドレンの水位の上昇に応じて浮上する。貯留室内の蒸気又は空気は、ドレンの水位の上昇に伴って蒸気排出口から蒸気排出管53へ排出される。排出された蒸気又は空気は、蒸気排出管53を介して、熱交換器2の容器21へ流入する。ドレンの水位が所定の水位を上回る(即ち、フロートが所定の高さまで浮上する)と、蒸気導入口が開かれ、蒸気排出口が閉じられる。これにより、ポンプ装置5の動作は、貯留動作から以下の圧送動作に切り替わる。
【0030】
圧送動作においては、蒸気導入口が開かれることによって、蒸気導入口から貯留室へ蒸気が導入される。導入された蒸気によって、貯留室のドレンが加圧され、流出口からドレン流出管56へ流出する。ドレンは、ドレン流出管56を介して、ボイラ又は廃熱利用箇所等に送られる。ドレンの流出に伴って貯留室のドレンの水位が低下し、それに応じてフロートも下降する。ドレンの水位が所定の水位を下回る(即ち、フロートが所定の高さまで下降する)と、蒸気導入口が閉じられ、蒸気排出口が開かれる。これにより、ポンプ装置5の動作は、圧送動作から貯留動作に切り替わる。尚、圧送動作から貯留動作に切り替わる水位は、貯留動作から圧送動作に切り替わる水位よりも低い。
【0031】
ポンプ装置5は、貯留動作と圧送動作とを繰り返すことによって、ドレンヘッダ1からのドレンを圧送する。
【0032】
〈熱回収システムの動作〉
続いて、熱回収システム100の動作について説明する。熱回収システム100においては、ドレンヘッダ1のタンク本体11にドレン流入口12を介してドレンが流入する。このとき、ドレンに混ざって蒸気もタンク本体11に流入し得る。タンク本体11は、大気に開放されているので、タンク本体11において、ドレンの少なくとも一部は再蒸発(フラッシュ)し得る。ドレンは、タンク本体11の下部空間に貯留される一方、蒸気は、タンク本体11の上部空間に滞留する。
【0033】
タンク本体11の上部空間に滞留する蒸気は、第1連通口14及び第2連通口15から流出して、熱交換器2へ導入される。第1連通口14から導入流出した蒸気は、蒸気導入管26を介して熱交換器2の容器21内に導入される。第2連通口15から流出した蒸気は、ドレン排出管27を介して容器21内に導入される。
【0034】
熱交換器2においては、水供給管31から伝熱管3へ水が供給され、伝熱管3内を水が流通している。容器21へ導入された蒸気は、容器21内を滞留し、伝熱管3に冷却されて凝縮してドレンとなる。こうして、伝熱管3内の水が蒸気から熱を回収する。熱を回収した水は、伝熱管3を流通し、水排出管32から排出される。容器21内で発生したドレンは、容器21の下部に貯留される。容器21の下部に貯留されるドレンは、ドレン排出口27aから排出される。ドレンは、ドレン排出管27を介して容器21から排出され、第2連通口15を介してドレンヘッダ1へ流入する。つまり、第2連通口15は、タンク本体11からの蒸気の出口であるだけでなく、タンク本体11へのドレンの入口でもある。また、ドレン排出管27は、ドレンを熱交換器2からドレンヘッダ1へ排出するだけでなく、蒸気をドレンヘッダ1から熱交換器2へ導入するものでもある。尚、容器21内の圧力が高くなり過ぎた場合には、容器21内の蒸気は、大気開放管25を介して外部へ流出していく。
【0035】
こうして、ドレンヘッダ1に流入した蒸気又はドレンヘッダ1で再蒸発した蒸気は、熱交換器2に導入されて凝縮し、ドレンとなって再びドレンヘッダ1へ戻ってくる。
【0036】
ドレンヘッダ1に貯留されるドレンが増加すると、第1逆止弁55に作用する圧力が上昇する。ポンプ装置5が貯留動作中の場合には、やがて第1逆止弁55に作用する差圧が大きくなり、第1逆止弁55が開く。すると、ドレンヘッダ1のドレンは、ドレン流出口13、第1逆止弁55及びドレン流入管54を介してポンプ装置5へ流入する。尚、ポンプ装置5が圧送動作中の場合には、貯留室の圧力が高いため、第1逆止弁55は開かず、ドレンヘッダ1からポンプ装置5へドレンは流入しない。
【0037】
ポンプ装置5の貯留室にドレンが貯留されていくと、それに応じてフロートが浮上し、やがて蒸気導入口が開かれ、蒸気排出口が閉じられる。これにより、ポンプ装置5は、貯留動作から圧送動作に切り替わる。
【0038】
ポンプ装置5は、蒸気導入口から導入される蒸気によって、貯留室のドレンを加圧する。やがて第2逆止弁57に作用する差圧が大きくなり、第2逆止弁57が開く。その結果、貯留室のドレンは、ドレン流出管56へ流出する。ドレンは、ドレン流出管56を介して、ボイラ又は廃熱利用箇所等に送られる。ドレンの流出に伴って貯留室のドレンの水位が低下すると、フロートも下降し、蒸気導入口が閉じられ、蒸気排出口が開かれる。これにより、ポンプ装置5は、圧送動作から貯留動作に切り替わる。その後は、貯留動作と圧送動作とが交互に繰り返される。
【0039】
尚、ポンプ装置5が不調等によりドレンを圧送できない場合にはドレンヘッダ1のドレンの貯留量が増加していく。ドレンの水位がオーバーフロー口16に達し且つ逆止弁17の上流側と下流側との差圧が大きくなると、逆止弁17が開いて、ドレンがオーバーフロー口16から流出していく。
【0040】
こうして、熱回収システム100においては、ドレンを回収してボイラ又は廃熱利用箇所等に送ると共に、その際に蒸気から熱を回収する。
【0041】
〈熱回収システムの配置〉
続いて、熱回収システム100の各要素の配置について説明する。
【0042】
熱回収システム100は、ベース91及びフレーム92~96に取り付けられている。詳しくは、ベース91には、4本の縦フレーム92~95が設置されている。4本の縦フレーム92~95は、ベース91上において、平面視で四角形の4隅に配置されている。2本の縦フレーム92,95に横フレーム96が取り付けられている(図3参照)。
【0043】
熱交換器2は、4本の縦フレーム92~95に取り付けられている。詳しくは、容器21の外周面に4本の縦フレーム92~95が固定されている。熱交換器2(詳しくは、容器21)は、4本の縦フレーム92~95の上端部に取り付けられ、ベース91から上方に距離を開けて配置されている。
【0044】
ドレンヘッダ1は、熱交換器2の下方に配置されている。ドレンヘッダ1は、横長の状態(即ち、円筒の軸心が水平方向を向く状態)で配置される。ここで、「ドレンヘッダ1が熱交換器2の下方に配置されている」とは、鉛直方向に上方から下方へ見た場合に、熱交換器2が上でドレンヘッダ1が下の状態でドレンヘッダ1と熱交換器2とが少なくとも部分的に重なっていることを意味する。この例では、容器21の軸心の延長線とタンク本体11の軸心とが交差するように、熱交換器2の直下にドレンヘッダ1が配置されている。ドレンヘッダ1は、横フレーム96上に載置される。また、第1連通口14のフランジが蒸気導入管26の下端(容器21から露出している部分)に取り付けられ、第2連通口15のフランジがドレン排出管27の下端(容器21から露出している部分)に取り付けられることによって、ドレンヘッダ1は熱交換器2に取り付けられている。
【0045】
ポンプ装置5は、ドレンヘッダ1及び熱交換器2よりも低い位置に配置されている。ポンプ装置5は、ベース91に載置され、ベース91に取り付けられている。ここで、「ポンプ装置5がドレンヘッダ1及び熱交換器2よりも低い位置に配置されている」とは、ポンプ装置5の上端(ケーシング51の上端)の位置がドレンヘッダ1の上端(タンク本体11の上端)及び熱交換器2の上端(容器21の上端)よりも低い位置にあることを意味し、鉛直方向に見た場合に、ポンプ装置5とドレンヘッダ1及び熱交換器2が重なっている必要はない。前述の如く、ドレンヘッダ1が熱交換器2の下方に配置されているので、ポンプ装置5がドレンヘッダ1よりも低い位置に配置されていれば、必然的に、ポンプ装置5が熱交換器2よりも低い位置に配置される。好ましくは、ケーシング51の上端がタンク本体11の下端よりも低い位置に位置する。この例では、ポンプ装置5は、鉛直方向を向いて見た場合(即ち、平面視で)に、ドレンヘッダ1及び熱交換器2から側方へオフセットした位置に配置されている。ここで、「ポンプ装置5がドレンヘッダ1及び熱交換器2から側方へオフセットした位置に配置されている」とは、ポンプ装置5の平面的な重心が、ドレンヘッダ1の平面的な重心及び熱交換器2の平面的な重心の何れとも重なっていないことを意味する。つまり、鉛直方向を向いて見た場合に、ポンプ装置5は、ドレンヘッダ1又は熱交換器2と部分的に重なっていてもよい。好ましくは、鉛直方向を向いて見た場合に、ポンプ装置5とドレンヘッダ1及び熱交換器2とは完全に重なっていない。
【0046】
このような配置により、ドレンヘッダ1、熱交換器2及びポンプ装置5のコンパクトな配置と熱回収効率とを両立させることができる。詳しくは、ポンプ装置5は、水を圧送するために或る程度の流入水頭が必要である。一方、ドレンヘッダ1及び熱交換器2は、ドレンを一時的に貯留し、そのドレンを流出させる。ドレンヘッダ1及び熱交換器2は、ドレンの自重を活用することによってドレンを流出させるための動力等を低減できる。そのため、ポンプ装置5は、相対的に低い位置に配置され、ドレンヘッダ1及び熱交換器2は、相対的に高い位置に配置される傾向にある。
【0047】
ここで、ドレンヘッダ1においては、ドレンヘッダ1の下部にドレンが貯留され、ドレンヘッダ1の上部に蒸気が滞留する。一方、熱交換器2においては、発生したドレンが下方に溜まることから熱交換器2の上部に蒸気が導入される傾向にある。例えば、熱交換器2において、蒸気が流入する蒸気導入口26aは、ドレンが流出するドレン排出口27aよりも高い位置に配置されている。そのため、ドレンヘッダ1の蒸気を熱交換器2に導入する場合、熱交換器2の側方にドレンヘッダ1を配置し、蒸気が滞留するドレンヘッダ1の上部空間と熱交換器2のうち蒸気が導入される部分との高さを同じくらいに設定して、両者を配管で連通させることが考えられる。このような配置が通常採られ得る配置である。
【0048】
それに対し、本実施形態では、ポンプ装置5の流入水頭を確保するためにポンプ装置5をドレンヘッダ1及び熱交換器2よりも低い位置に配置する構成を前提に、熱交換器2の下方にドレンヘッダ1が配置されている。このようにドレンヘッダ1及び熱交換器2を高さ方向に並べることによって、熱回収ユニット100の設置面積(即ち、平面的な寸法)を低減することができる。
【0049】
それに加えて、ドレンヘッダ1を横長の状態で配置することによって、熱交換器2の下方においてドレンヘッダ1を縦長の状態で配置する場合と比較して、熱回収ユニット1の高さ方向の寸法も低減することができる。さらに、ドレンヘッダ1を横長形状とすることによって、ドレンヘッダ1に貯留されるドレンの水面(即ち、空気との接触面積)が拡大される。これにより、ドレンヘッダ2内においてドレンの再蒸発が促進され、ひいては、熱交換器2に導入される蒸気の量が増加する。その結果、熱回収ユニット1における熱回収効率が向上する。
【0050】
また、ドレンヘッダ1と熱交換器2とを接続する蒸気導入管26は、ドレンヘッダ1から延び、熱交換器2(詳しくは、容器21)の下部を貫通して熱交換器2の内部を上方へ延びている。これにより、蒸気が蒸気導入管26を流通する間の蒸気の熱の損失を低減することができる。例えば、蒸気導入管26を容器21の外側において上方まで延ばして容器21の比較的上部に接続する構成も考えられる。この構成の場合、蒸気が蒸気導入管26を流通する間に蒸気の熱の一部が蒸気導入管26を介して容器21の外部に散逸してしまう。しかし、蒸気導入管26が容器21の内部において延びている構成では、蒸気の熱の一部が蒸気導入管26から散逸しても容器21内で散逸するだけであり、散逸した熱はやがて伝熱管3を流通する水に回収され得る。その結果、蒸気が蒸気導入管26を流通する間の蒸気の熱の損失を低減することができる。そして、ドレンヘッダ1を熱交換器2の下方に配置することによって、蒸気導入管26に容器21を貫通させ、容器21の内部において延ばす構成を実現しやすくなる。
【0051】
さらに、ドレン排出管27をドレンヘッダ1に接続することによって、ドレンヘッダ1と熱交換器2とは蒸気導入管26とドレン排出管27の2本の配管で接続されることになる。これにより、ドレンヘッダ1(詳しくは、タンク本体11)と熱交換器2(詳しくは、容器21)とを均圧させやすくなる。その結果、ドレンヘッダ1から熱交換器2への蒸気の流入及び熱交換器2からドレンヘッダ1へのドレンの流出を円滑に行うことができる。それに加えて、熱交換器2のドレンがドレン排出管27を介してドレンヘッダ1に流出するので、熱交換器2におけるオーバーフロー管等を省略することができる。例えば、ドレン排出管27が熱交換器2とポンプ装置5とを接続する場合、ポンプ装置5の不調等の場合にドレン排出管27からのドレンの流出が滞り、熱交換器2のドレン量が増大する虞がある。そのため、そのような構成においては熱交換器2に過剰なドレンを排出するためのオーバーフロー管等を設けることが好ましい。それに対し、ドレン排出管27の接続先は、ポンプ等の動作する装置ではなく単なるドレンヘッダ1なので、ドレンヘッダ1が故障して熱交換器2からドレンヘッダ1へのドレンの流出が停止する可能性は低い。つまり、熱交換器2にオーバーフロー管等が無くても、熱交換器2のドレンは、基本的にはドレン排出管27を介してドレンヘッダ1へ流出する。尚、ドレンヘッダ1にはオーバーフロー口16が設けられているので、ドレンヘッダ1にドレンが溜まり過ぎた場合には、過剰なドレンはオーバーフロー口16から排出される。
【0052】
また、ポンプ装置5は、蒸気を駆動源とするメカニカルポンプであるので、電動ポンプと比較して、必要な流入水頭が小さい。そのため、ポンプ装置5からドレンヘッダ1までの高さを低減することができ、熱回収システム100の高さ方向の寸法を低減することができる。
【0053】
さらに、ドレンヘッダ1とポンプ装置5とを接続するドレン流入管54に設けられたスプリング式の第1逆止弁55を、弁体の自重がバネに作用するように配置することによって、第1逆止弁55を開弁させるために必要な差圧を低減することができる。第1逆止弁55の必要差圧が大きいと、ドレンヘッダ1の位置を高くして、水頭を大きくする必要がある。第1逆止弁55の必要差圧が小さいと、ドレンヘッダ1の位置を低くすることができ、ひいては、熱交換器2の位置も低くすることができる。その結果、熱回収システム100の高さ方向の寸法を低減することができる。
【0054】
また、ポンプ装置5は、ドレンヘッダ1よりも低い位置に配置されているものの、鉛直方向を向いて見たときにドレンヘッダ1に対して側方へオフセットした位置に配置されている。これにより、ポンプ装置5のメンテナンス性を向上させることができる。詳しくは、ポンプ装置5をドレンヘッダ1に対して側方にオフセットした位置に配置することによって、ポンプ装置5の上方に空間が確保される。これにより、ポンプ装置5に対する作業がしやすくなる。例えば、ケーシング51を組立又は分解する際にボルトの締め付け作業等を容易に行うことができる。それに加えて、ポンプ装置5をオフセットして配置することによって、ドレンヘッダ1の下方に空間が確保される。例えば、この空間に、伝熱管3、水供給管31及び水排出管32に水を流通させるためのポンプを配置してもよい。
【0055】
以上のように、熱回収システム100は、ドレン(水)と蒸気とを貯留するドレンヘッダ1(タンク)と、ドレンヘッダ1から導入される蒸気の熱を回収する熱交換器2と、ドレンヘッダ1からのドレンを圧送するポンプ装置5とを備え、ドレンヘッダ1は、横長形状に形成され且つ熱交換器2の下方に配置され、ポンプ装置は、ドレンヘッダ1及び熱交換器2よりも低い位置に配置されている。
【0056】
この構成によれば、ドレンヘッダ1が熱交換器2の下方に配置されるので、ドレンヘッダ1と熱交換器2とを側方に並べて配置する構成と比較して、熱回収システム100の設置面積、即ち、平面的な寸法を低減することができる。また、ドレンヘッダ1を熱交換器2の下方に配置する上で、ドレンヘッダ1を横長形状とすることによって、熱回収システム100の高さ方向の寸法も低減することができる。さらに、ドレンヘッダ1を横長形状とすることによって、ドレンヘッダ1においてドレンの再蒸発を促進することができ、熱回収システム100の熱回収効率を向上させることができる。
【0057】
また、熱交換器2は、蒸気が導入される蒸気導入口26aと、ドレンが排出されるドレン排出口27aとを有し、蒸気導入口26aは、ドレン排出口27aよりも高い位置に配置されている。
【0058】
この構成によれば、熱交換器2の比較的上部から蒸気導入口26aを介して蒸気が導入される。熱交換器2の比較的上部に蒸気を導入することだけ考慮すれば、ドレンヘッダ1を熱交換器2の側方に配置することが通常採られ得る配置である。なぜなら、蒸気が滞留するドレンヘッダ1の上部空間と熱交換器2のうち蒸気を流入させる部分との高さを揃えることによって、ドレンヘッダ1から熱交換器2へ蒸気を流入させる配管の構成が簡易になるからである。それにもかかわらず、熱回収システム100においては、ドレンヘッダ1を熱交換器2の下方に配置することによって、熱回収システム100のコンパクト化と熱回収効率との両立を図っている。
【0059】
さらに、ドレンヘッダ1と熱交換器2とは、蒸気導入管26を介して接続されており、蒸気導入管26は、ドレンヘッダ1から延び、熱交換器2の下部を貫通して熱交換器2の内部を上方へ延び、蒸気導入管26には、熱交換器2の内部において蒸気導入口26aが形成されている。
【0060】
この構成によれば、ドレンヘッダ1を熱交換器2の下方に配置することによって、ドレンヘッダ1のドレンを熱交換器2の比較的上部まで導く蒸気導入管26が長くなる傾向にある。しかし、蒸気導入管26に熱交換器2の下部を貫通させ、熱交換器2の内部を上方に延びるように構成することによって、蒸気が蒸気導入管26を流通する間の熱の損失を低減することができる。
【0061】
また、ポンプ装置5は、蒸気を駆動源とするメカニカルポンプである。
【0062】
この構成によれば、電動ポンプに比べて、メカニカルポンプは必要な流入水頭が小さいので、ポンプ装置5からドレンヘッダ1までの高さを低減することができる。これにより、熱回収システム100の高さ方向の寸法をさらに低減することができる。
【0063】
さらに、ポンプ装置5とドレンヘッダ1とは、ドレン流入管54(水流入管)を介して接続されており、ドレン流入管54には、ドレンヘッダ1からポンプ装置5への方向の水の流れを許容する一方、ポンプ装置5からドレンヘッダ1への方向の水の流れを阻止する第1逆止弁55(逆止弁)が設けられ、第1逆止弁55は、ドレン流入管54のうちドレンヘッダ1からポンプ装置5へ向かう水が上から下に流れる部分に配置されている。
【0064】
この構成によれば、ドレンヘッダ1とポンプ装置5とを接続するドレン流入管54に第1逆止弁55が設けられる。第1逆止弁55は、逆方向のドレンの流れを阻止する一方で、所定の差圧が作用することによって開弁して、順方向にドレンを流通させる。そのため、ドレンヘッダ1は、第1逆止弁55を開弁させるだけの水頭が必要である。ドレン流入管54のうちドレンヘッダ1からポンプ装置5へ向かう水が上から下に流れる部分に第1逆止弁55を配置することによって、第1逆止弁55が閉弁している際に弁体には開弁する方向へその自重が作用する。これにより、第1逆止弁55の必要な開弁圧力を低減することができ、ドレンヘッダ1の高さを低くすることができる。その結果、熱回収システム100の高さ方向の寸法を低減することができる。
【0065】
また、ポンプ装置5は、鉛直方向を向いて見たときにドレンヘッダ1に対して側方へオフセットした位置に配置されている。
【0066】
この構成によれば、ポンプ装置5の上方に作業するための空間が多少なりとも確保される。その結果、ポンプ装置5のメンテナンス性が向上する。
【0067】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0068】
タンクは、水と蒸気とを貯留する限り、ドレンヘッダ1に限られるものではない。例えば、タンクは、単に水と蒸気とを貯留するタンク又は水と蒸気とを分離して貯留する気液分離器であってもよい。
【0069】
タンクの形状は、横長形状であれば、略円筒形状に限られるものではない。例えば、タンクは、横長形状であれば、略直方体形状に形成されていてもよい。
【0070】
熱交換器は、容器21と伝熱管3とを有する構成に限られない。熱交換器は、蒸気と熱交換して、蒸気から熱を回収する構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、熱交換器は、プレート式やフィンチューブ式であってもよい。
【0071】
熱交換器2に貯留されるドレンの排出先は、ドレンヘッダ1に限定されない。例えば、ドレン排出管27は、ドレンヘッダ1ではなく、ドレン流入管54に接続されていてもよい。つまり、熱交換器2に貯留されるドレンは、ドレンヘッダ1を経由せずにポンプ装置5に流入する。その場合、第1逆止弁55は、ドレン流入管54のうちドレン排出管27の合流部分よりも下流側に設置される。
【0072】
熱交換器2において、蒸気導入口26aがドレン排出口27aよりも高い位置に配置されているが、これに限定されない。蒸気導入口26aがドレン排出口27aよりも低い位置又は略同じ高さに配置されていてもよい。また、熱交換器2の伝熱管3の内部を水が下方から上方へ向かって流通しているが、上方から下方へ向かって流通してもよい。
【0073】
蒸気導入管26は、熱交換器2の外部においてドレンヘッダ1から上方へ延び、熱交換器2の上部を貫通して、熱交換器2の内部に開口する構成であってもよい。蒸気導入管26が熱交換器2の下部を貫通する場合、蒸気導入管26は、容器21の底24ではなく、周壁22の比較的下部を貫通してもよい。
【0074】
第1逆止弁55は、ドレン流入管54のうちタンクからポンプ装置へ向かう水が上から下に流れる部分以外の部分、例えば、タンクからポンプ装置へ向かう水が水平に流れる部分に配置されてもよい。また、第1逆止弁55は、スプリング式以外の逆止弁、例えば、スイング式の逆止弁であってもよい。
【0075】
ポンプ装置は、ポンプ装置5のようにメカニカルポンプに限定されない。例えば、ポンプ装置は、電動ポンプであってもよい。ポンプ装置がメカニカルポンプである場合には、駆動源は蒸気に限られない。
【0076】
ポンプ装置は、鉛直方向を向いて見たときにタンクに対して側方へオフセットしていなくてもよい。すなわち、鉛直方向を向いて見たときに、ポンプ装置の平面的な重心とタンクの平面的な重心とが重なっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、ここに開示された技術は、熱回収システムについて有用である。
【符号の説明】
【0078】
100 熱回収システム
1 ドレンヘッダ(タンク)
2 熱交換器
26 蒸気導入管
26a 蒸気導入口
27a ドレン排出口(水排出口)
5 ポンプ装置
54 ドレン流入管(水流入管)
55 第1逆止弁(逆止弁)
図1
図2
図3
図4
図5