(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】切替バルブおよび駆動システム
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20230414BHJP
B60T 15/36 20060101ALI20230414BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20230414BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20230414BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20230414BHJP
B62L 3/02 20060101ALI20230414BHJP
F16D 121/04 20120101ALN20230414BHJP
F16D 125/04 20120101ALN20230414BHJP
F16D 125/06 20120101ALN20230414BHJP
F16D 125/40 20120101ALN20230414BHJP
【FI】
B60T13/138 A
B60T15/36 Z
F16D65/18
B60T8/17 B
F16D65/02 B
B62L3/02 D
F16D121:04
F16D125:04
F16D125:06
F16D125:40
(21)【出願番号】P 2019105463
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 康博
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-038799(JP,A)
【文献】実公昭44-013019(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00-13/74
B60T 15/00-17/22
B60T 7/12-8/1769
B62L 3/02
F16D 49/00-71/04
F16D 121/04
F16D 125/04
F16D 125/06
F16D 125/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の切替バルブであって、
流体供給源に流体的に接続される第1孔と、
リザーバに流体的に接続される第2孔と、
被操作装置に流体的に接続される第3孔と、
前記被操作装置に流体的に接続される第4孔と、
前記切替バルブの連通状態を第1状態および第2状態の一方から他方に切り替える切替機構と、を備え、
前記第1状態において、前記第1孔は、前記第3孔に流体的に連通され、かつ、前記第1孔は前記第4孔との流体的な連通が制限され、
前記第2状態において、前記第1孔は、前記第4孔に流体的に連通される、切替バルブ。
【請求項2】
前記第1状態において、前記第2孔は、前記第4孔に流体的に連通される、請求項1に記載の切替バルブ。
【請求項3】
前記第2状態において、前記第1孔は、前記第3孔および前記第4孔に流体的に連通される、請求項1または2に記載の切替バルブ。
【請求項4】
前記第2状態において、前記第2孔は、前記第1孔、前記第3孔および前記第4孔と流体的に遮断される、請求項1から3のいずれか一項に記載の切替バルブ。
【請求項5】
前記切替機構は、前記切替バルブを含む経路内の流体圧力に応じて前記連通状態を切り替えるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の切替バルブ。
【請求項6】
前記第1孔と前記第4孔とを連通する第1流路をさらに備え、
前記切
替機構は、前記第1流路を閉じる第1位置と前記第1流路を開く第2位置との間で移動可能に設けられる移動部材と、前記移動部材を第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、
前記移動部材は、前記流体圧力の上昇に伴って前記第1位置から前記第2位置に移動するように構成される、請求
項5に記載の切替バルブ。
【請求項7】
前記第2孔と前記第4孔とを連通する第2流路をさらに備え、
前記移動部材は、前記第2位置において前記第2流路を閉じるように構成される、請求項6に記載の切替バルブ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の切替バルブと、
前記流体供給源と、
前記リザーバと、
前記被操作装置と、を備える、駆動システム。
【請求項9】
前記流体供給源は、シリンダと、移動可能にシリンダ内に設けられる駆動ピストンと、前記駆動ピストンを移動させる電動アクチュエータとを含む、請求項8に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記流体供給源は、前記電動アクチュエータからの動力を変速して前記駆動ピストンに伝達する伝達機構を含む、請求項9に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記流体供給源を操作するための操作装置をさらに備える、請求項9または10に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記操作装置は、使用者によって操作される操作部材を含み、
前記操作部材への入力に応じて前記電動アクチュエータを制御する制御装置をさらに備える、請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記流体供給源は、シリンダと、ユーザによって操作される操作部材と、前記操作部材への入力に応じて移動可能にシリンダ内に設けられる駆動ピストンと、を含む、請求項8に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記被操作装置は、筐体と、前記筐体に移動可能に配置される従動ピストンと、前記筐体および前記従動ピストンの間に設けられる第1チャンバと、前記第1チャンバとは流体的に分離するように前記筐体および前記従動ピストンの間に設けられる第2チャンバと、を含み、
前記第3孔は、前記第1チャンバに流体的に接続され、
前記第4孔は、前記第2チャンバに流体的に接続される、請求項8から13のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項15】
前記第1チャンバにおける前記従動ピストンの受圧面積は、前記第2チャンバにおける前記従動ピストンの受圧面積よりも小さい、請求項14に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替バルブおよび駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を含む人力駆動車には、ブレーキシステムが設けられる。ブレーキシステムには、供給する油圧で制動装置の位置や制動力を変化させる機構が用いられる。また、特許文献1には、油圧の供給装置として、大シリンダと小シリンダを備える二重油圧シリンダの一例が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車用のブレーキシステムは、応答性を高くし、かつ、制動時の制動力を大きくすることで、好適な操作フィーリングが得られる。しかしながら、応答性と制動力とは一方の向上に伴って他方が低下する特性がある。つまり、応答性と制動力とは互いに相反する要求項目である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、使用者に好適な操作フィーリングを与えることができる、人力駆動車の切替バルブおよび駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1側面に従う切替バルブは、人力駆動車用の切替バルブであって、流体供給源に流体的に接続される第1孔と、リザーバに流体的に接続される第2孔と、被操作装置に流体的に接続される第3孔と、前記被操作装置に流体的に接続される第4孔と、前記切替バルブの連通状態を第1状態および第2状態の一方から他方に切り替える切替機構と、を備え、前記第1状態において、前記第1孔は、前記第3孔に流体的に連通され、かつ、第1孔は前記第4孔との流体的な連通が制限され、前記第2状態において、前記第1孔は、前記第4孔に流体的に連通される。
【0007】
前記第1側面によれば、連通状態を切り換えることによって、人力駆動車の状態に応じて、応答性および制動力を変化させることができる。これによって、人力駆動車に適用する切替バルブとして、好適な応答性および制動力が得られる。ひいては使用者に好適な操作フィーリングを与えることができる。
【0008】
前記第1側面に従う第2側面の切替バルブは、前記第1状態において、前記第2孔は、前記第4孔に流体的に連通される。
【0009】
前記第2側面によれば、流体供給源から被操作装置に供給される作動油に追従してリザーバから被操作装置に作動油を供給できる。
【0010】
前記第1側面または前記第2側面に従う第3側面の切替バルブにおいて、前記第2状態において、前記第1孔は、前記第3孔および前記第4孔に流体的に連通される。
【0011】
前記第3側面によれば、第2状態において第3孔および第4孔の両方で、流体供給源と被操作装置とを接続することで、流体供給源から被操作装置に多くの作動油を供給できる。これによって駆動力を大きくできる。
【0012】
前記第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の切替バルブは、前記第2状態において、前記第2孔は、前記第1孔、前記第3孔および前記第4孔と流体的に遮断される。
【0013】
前記第4側面によれば、リザーバの経路を遮断することで、対象の領域により多くの作動油を供給できる。
【0014】
前記第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の切替バルブにおいて、前記切替機構は、前記切替バルブを含む経路内の流体圧力に応じて前記連通状態を切り替えるように構成される。
【0015】
前記第5側面によれば、圧力に応じて連通状態を切り換えることによって、別の切替機構を設けることなく、流体供給源から供給する圧力で第1状態と第2状態を切り換えることができる。
【0016】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の切替バルブは、前記第1孔と前記第4孔とを連通する第1流路をさらに備え、前記切換機構は、前記第1流路を閉じる第1位置と前記第1流路を開く第2位置との間で移動可能に設けられる移動部材と、前記移動部材を第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、前記移動部材は、前記流体圧力の上昇に伴って前記第1位置から前記第2位置に移動するように構成される。
【0017】
前記第6側面によれば、移動部材で好適に流通状態を切り換えることができる。
【0018】
前記第6側面に従う第7側面の切替バルブにおいて、前記第2孔と前記第4孔とを連通する第2流路をさらに備え、前記移動部材は、前記第2位置において前記第2流路を閉じるように構成される。
【0019】
前記第7側面によれば、1つの移動部材で、第1流路と第2流路の開閉を切り換えることができる。
【0020】
第8側面の駆動システムは、前記第1から第7側面のいずれか1つに従う切替バルブと、前記流体供給源と、前記リザーバと、前記被操作装置と、を備える。
【0021】
前記第8側面によれば、切替バルブを用いることで、前記流体供給源と、前記リザーバと、前記被操作装置と、の間で適切に作動油を供給および排出できる。
【0022】
前記第8側面に従う第9側面の駆動システムにおいて、前記流体供給源は、シリンダと、移動可能にシリンダ内に設けられる駆動ピストンと、前記駆動ピストンを移動させる電動アクチュエータとを含む。
【0023】
前記第9側面によれば、制御信号で切替バルブに供給する作動油を制御できる。
【0024】
前記第9側面に従う第10側面の駆動装置において、前記流体供給源は、前記電動アクチュエータからの動力を変速して前記駆動ピストンに伝達する伝達機構を含む。
【0025】
前記第10側面によれば、変速することで、作動油の供給をより適切に制御できる。
【0026】
前記第9または第10側面に従う第11側面の駆動システムは、前記流体供給源を操作するための操作装置をさらに備える。
【0027】
前記第11側面によれば、操作装置で好適に被操作装置を操作できる。
【0028】
前記第11側面に従う第12側面の駆動システムにおいて、前記操作装置は、使用者によって操作される操作部材を含み、前記操作部材への入力に応じて前記電動アクチュエータを制御する制御装置をさらに備える。
【0029】
前記第12側面によれば、使用者の操作部材への操作に基づいて電動アクチュエータを制御することによって、作動油を被操作装置に容易に供給できる。
【0030】
前記第8側面従う第13側面の駆動システムにおいて、前記流体供給源は、シリンダと、ユーザによって操作される操作部材と、前記操作部材への入力に応じて移動可能にシリンダ内に設けられる駆動ピストンと、を含む。
【0031】
前記第13側面によれば、使用者の操作部材への操作に基づいて駆動ピストンが移動することによって、作動油を被操作装置に的確に供給できる。
【0032】
前記第8から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の駆動システムにおいて、前記被操作装置は、筐体と、前記筐体に移動可能に配置される従動ピストンと、前記筐体および前記従動ピストンの間に設けられる第1チャンバと、前記第1チャンバとは流体的に分離するように前記筐体および前記従動ピストンの間に設けられる第2チャンバと、を含み、前記第3孔は、前記第1チャンバに流体的に接続され、前記第4孔は、前記第2チャンバに流体的に接続される。
【0033】
前記第14側面によれば、第1状態および第2状態それぞれにおける応答性および制動力を1つのピストンで変化させることができる。
【0034】
前記第14側面に従う第15側面の駆動システムは、前記第1チャンバにおける前記従動ピストンの受圧面積は、前記第2チャンバにおける前記従動ピストンの受圧面積よりも小さい。
【0035】
前記第15側面によれば、初期動作時の応答性を高くでき、かつ、制動時の制動力をより大きくできる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、使用者に好適な操作フィーリングを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本実施形態の人力駆動車の模式的な正面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の操作装置の模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の制動装置の模式図である。
【
図4】
図4は、制動装置の動作を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の制動装置の切替バルブの概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、制動装置の切替バルブの動作を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の制動装置のリザーバの概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図8は、制動装置のリザーバの動作を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、切替バルブの一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の制動装置の他の例の模式図である。
【
図14】
図14は、本実施形態の制動装置の他の例の模式図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の制動装置の他の例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明は、この実施形態によって限定されない。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせも本発明に含まれる。
【0039】
本実施形態に係る人力駆動車10は、搭乗者の人力によって走行する自転車である。本実施形態における人力駆動車10は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動によって人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道においての運転に免許を要しない車両が想定される。人力駆動車10は、e-bikeと呼ばれる、補助的に電動によって駆動される自転車であってよい。
図1に示すように、人力駆動車10は、フレーム12と、ハンドルバー14と、サドル15と、フォーク16と、フロントホイール20と、リアホイール22と、バッテリ24と、ブレーキシステム30と、を備える。本実施形態において、“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”、ならびにこれらと同義の用語は、ユーザがハンドルバー14に向かってサドル15に座った状態からみた“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”を意味する。
【0040】
図1に示すように、フレーム12は、ヘッドチューブ12aと、トップチューブ12bと、ダウンチューブ12cと、シートチューブ12dと、一対のシートステー12eと、一対のチェーンステー12fと、を備える。ヘッドチューブ12aは、ハンドルバー14およびフォーク16を回転可能に支持する。トップチューブ12bは、一端がヘッドチューブ12aに接続され、他端がシートチューブ12dに接続される。ダウンチューブ12cは、一端がヘッドチューブ12aに接続され、他端がシートチューブ12dに接続される。一対のシートステー12eはそれぞれ、一端がシートチューブ12dに接続され、他端がチェーンステー12fに接続される。一対のチェーンステー12fはそれぞれ、一端がシートチューブ12dに接続され、他端がシートステー12eに接続される。
図1には右側のシートステー12eおよびチェーンステー12fが示される。
【0041】
ハンドルバー14は、人力駆動車10の搭乗者によって把持されるように構成される。ハンドルバー14は、ヘッドチューブ12aに対して回転可能である。ハンドルバー14が回転させられることによって、フォーク16が回転し、人力駆動車10の進行方向が変化する。
【0042】
図1に示すように、フロントホイール20は、フォーク16に回転可能に取り付けられる。フロントホイール20は、タイヤが取り付けられるリム20aと、複数のスポーク20cと、ディスクロータ20eと、を備える。リアホイール22は、シートステー12eとチェーンステー12fとの接続箇所であるリアエンドに取り付けられる。リアホイール22は、フレーム12に対して回転可能である。リアホイール22は、タイヤが取り付けられるリム22aと、複数のスポーク22cと、ディスクロータ22eと、を含む。
【0043】
バッテリ24は、充電可能な二次電池である。
図1に示すように、バッテリ24は、たとえばダウンチューブ12cに取り付けられる。バッテリ24は、ブレーキシステム30を含む人力駆動車10のコンポーネントに接続され、これらに電力を供給する。すなわち、ブレーキシステム30は、バッテリ24を備える。バッテリ24は、ブレーキシステム30の電力で駆動する各部に供給するための電力を蓄える。
【0044】
ブレーキシステム30は、操作装置40Aおよび40Bと、制動装置70Aおよび70Bと、駆動システム100Aおよび100B(
図2および
図3参照)と、を含む。駆動システム100Aおよび100Bのその他の構成は、後述する。操作装置40Aは、制動装置70Aに対応する。操作装置40Aと制動装置70Aとは、電気ケーブルなどによって電気的に接続される。操作装置40Bは、制動装置70Bに対応する。操作装置40Bと制動装置70Bとは、電気ケーブルなどによって電気的に接続される。本実施形態において、制動装置70Aおよび70Bは、それぞれ、ディスクブレーキキャリパである。制動装置70Aは、リアホイール22のディスクロータ22eを制動するために用いられる。制動装置70Bは、フロントホイール20のディスクロータ20eを制動するために用いられる。操作装置40Aおよび操作装置40Bは、それぞれ、変速装置など、制動装置70Aおよび70B以外の装置を操作可能に構成されてもよい。
【0045】
操作装置40Aおよび40Bは、ハンドルバー14に設けられる。操作装置40Aは、ハンドルバー14の一端に設けられ、操作装置40Bは、ハンドルバー14の他端に設けられる。本実施形態では、操作装置40Aがハンドルバー14の右側端部に設けられ、操作装置40Bがハンドルバー14の左側端部に設けられる。操作装置40Aおよび40Bは基本的に同様の構成であるので、以下、操作装置40Aについて説明する。
図1および
図2の括弧内に示すように、操作装置40Bについては、符号を読み替えることでその説明を省略する。
【0046】
操作装置40Aは、油圧ブレーキの操作装置である。
図2に示すように、操作装置40Aは、支持体41と、操作部材42と、回転軸44と、油圧ユニット46と、を含む。支持体41は、ハンドルバー14に設けられる。操作部材42は、支持体41に設けられる。操作部材42は、待機位置から操作位置に回転軸心A回りに揺動可能に支持体41に設けられる。回転軸心Aは、回転軸44の中心を通る仮想的な直線である。操作部材42は、ブレーキレバーである。
図2において待機位置にある操作部材42が実線によって示される。
図2において操作位置にある操作部材42が二点鎖線で示される。たとえば、操作部材42は、ばねなどの付勢部材によって待機位置に向けて付勢される。待機位置にある操作部材42に力が加えられると、操作部材42は、付勢部材の付勢力に抗しながら操作位置に移動する。操作部材42が解放されると、操作部材42は、付勢部材の付勢力によって待機位置に戻る。操作位置は、
図2に示す位置に限定されない。
図2に示す操作位置は、一例である。
【0047】
油圧ユニット46は、支持体41に設けられる。油圧ユニット46は、基部46aと、シリンダ孔46cと、ピストン46eと、リザーバ46gと、を備える。基部46aは、シリンダ孔46cを形成するように中空筒状に設けられる。基部46aは、支持体41に設けられる。基部46aは、支持体41に対して一体的に設けられる。基部46aは、支持体41に対して別体に設けられてもよい。シリンダ孔46cは、基部46aに設けられる。ピストン46eは、シリンダ孔46cに移動可能に設けられる。シリンダ孔46cは、動力伝達媒体によって満たされる。本実施形態における動力伝達媒体は、油、すなわち作動油である。ピストン46eは、操作部材42に接続される。ピストン46eは、操作部材42と連動する。操作部材42が揺動すると、ピストン46eがシリンダ孔46cの内部を移動する。これによって、シリンダ孔46cの作動油が変動する。操作装置40Aは、検出装置60を含む。検出装置60は、シリンダ孔46cの内の圧力の変動を検出する。リザーバ46gは、シリンダ孔46cに流体的に連結される。すなわち、リザーバ46gおよびシリンダ孔46cは、流体である作動油が流通できるように連通する。リザーバ46gは、基部46aに設けられる。リザーバ46gは、作動油を貯留し、ピストン46eの位置に応じてシリンダ孔46cとリザーバ46gとの間において、作動油を流通させる。
【0048】
図2に示すように、検出装置60は、支持体41に設けられる。検出装置60は、操作装置40Aへの入力に関する情報を検出するセンサである。したがって、検出装置60は、操作装置40Aに設けられるセンサを含むといえる。本実施形態において、検出装置60は、シリンダ孔46cに接続されて、シリンダ孔46cの内部の作動油の圧力を検出する。操作装置40Aのシリンダ孔46cの内部の作動油の圧力は、搭乗者による操作装置40Aの操作部材42への操作量に応じて変化する。したがって、検出装置60は、操作装置40Aへの入力に関する情報を検出する。
【0049】
検出装置60は、電気ケーブルなどによって、駆動システム100Aの制御装置160(
図3参照)と電気的に接続される。検出装置60は、検出結果、ここでは操作装置40Aの内部の作動油の圧力の検出値を、電気信号として制御装置160に送信する。
【0050】
検出装置60は、操作装置40Aのシリンダ孔46cの作動油の圧力を検出するよう構成されるが、操作装置40A、作動油、および制動装置70Aの少なくともいずれかに関する情報を検出するよう構成されていればよい。操作装置40Aに関する情報は、操作装置40Aのシリンダ孔46cの作動油の圧力の値に替えてまたは加えて、たとえば、操作部材42の移動量(回転角度)、操作部材42の移動速度(回転速度)、操作部材42の移動加速度(回転加速度)、および搭乗者が操作部材42を押圧する圧力値の少なくとも1つを含んでいてもよい。また、検出装置60は、操作装置40Aとは別の装置として設けられてもよい。
【0051】
駆動システム100Aは、操作装置40Aの検出装置60の検出結果に基づいて、制動装置70Aの制動動作を制御する。同様に、駆動システム100Bは、操作装置40Bの検出装置60の検出結果に基づいて、制動装置70Bの制動動作を制御する。なお、一つの駆動システムによって制動装置70Aおよび70Bの制動動作を制御するように構成してもよい。
【0052】
以下、駆動システム100Aおよび100Bについて説明する。駆動システム100Aおよび100Bは基本的に同様の構成であるので、以下、駆動システム100Aについて説明する。
図1、
図2および
図3の括弧内に示すように、操作装置100Bについては、符号を読み替えることでその説明を省略する。駆動システム100Aは、流体供給源101と、切替バルブ106と、リザーバ110と、制御装置160と、を含む。操作装置40Aが流体供給源101を操作するための操作装置となり、制動装置70Aが被操作装置となる。
【0053】
駆動システム100Aは、作動油が流れる配管として、第1供給配管112と、第2供給配管114と、第1排出配管116と、第2排出配管118と、を有する。第1供給配管112は、一方の端部が流体供給源101に接続され、他方の端部が切替バルブ106に接続される。第2供給配管114は、一方の端部がリザーバ110に接続され、他方の端部が切替バルブ106に接続される。第1排出配管116と第2排出配管118は、共に、一方の端部が切替バルブ106に接続され、他方の端部が制動装置70Aに接続される。第1供給配管112、第2供給配管114、第1排出配管116、および第2排出配管118のいずれにおいても、作動油は双方向に流通可能である。
【0054】
流体供給源101は、電動アクチュエータ162と、伝達機構163と、動力油圧変換機構164とを有する。制御装置160は、コンピュータであり、たとえばCPU(Central Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、などを含む。制御装置160の各機能は、これらに格納されるプログラム(ソフトウェア)の実行を含め、これらが連携することによって実現される。制御装置160には、バッテリ24からの電力が供給される。制御装置160は、操作装置40Aの操作部材42への入力に応じて電動アクチュエータ162を制御する。
【0055】
制御装置160は、検出装置60から操作部材42の操作量の情報、ここでは、作動油の圧力の検出値を取得する。制御装置160は、検出結果に基づいて、電動アクチュエータ162を制御する。
【0056】
電動アクチュエータ162は、電動モータを含み、制御装置160の入力に基づいて動作する。伝達機構163は、電動アクチュエータ162の出力を動力油圧変換機構164に伝達する。伝達機構163は、例えば減速機である。電動アクチュエータ162は、制御装置160の入力に基づいてモータを回転させた駆動力を伝達機構で動力油圧変換機構164に伝達する。また、伝達機構163は、モータの動力を減速して、トルクを増大させる減速機と、減速機から伝達される回転力を直線運動に変換するすべりネジと、を含む構造としてもよい。
【0057】
動力油圧変換機構164は、伝達機構163を介して電動アクチュエータ162から入力される機械的な動力を油圧に変換する。動力油圧変換機構164は、例えば、油圧シリンダと、油圧シリンダのピストンを移動させるボールねじと、を含む。動力油圧変換機構164は、電動アクチュエータ162の駆動力が伝達機構163を介してボールねじに伝達され、ボールねじが移動する。動力油圧変換機構164は、ボールねじが移動することで油圧シリンダのピスントンが移動して、油圧シリンダの内部の圧力、液量が変化する。流体供給源101は、シリンダと、移動可能にシリンダ内に設けられる駆動ピストンと、を含む動力油圧変換機構164と、駆動ピストンを移動させる電動アクチュエータである電動アクチュエータ162と、を含む。これによって、流体供給源101は、制御信号で切替バルブに供給する作動油を制御できる。また、流体供給源101は、電動アクチュエータ162の出力を動力油圧変換機構164に伝達する伝達機構163を含む。
【0058】
切替バルブ106は、第1供給配管112および第2供給配管114と、第1排出配管116および第2排出配管118と、の接続状態を切り換える。
図3および
図4を用いて、切替バルブ106の機能について概念的に説明する。切替バルブ106は、筐体210の内部に、切替機構212が設けられている。切替機構212は、移動部材222と、付勢部材224と、付勢回路225が配置される。移動部材222は、ブロック226と、ブロック228と、を有する。
【0059】
ブロック226には、第2供給配管114を第2排出配管118に接続する経路(第2流路)232と、第1供給配管112を第1排出配管116に接続する経路233と、が形成される。ブロック228には、第2供給配管114を閉塞する閉止流路229と、第1供給配管112を第1排出配管116に接続する経路231および流路231から分岐し、第1供給配管112を第2排出配管118に接続する流路230と、が形成される。
【0060】
付勢部材224は、ばねなどの弾性体である。付勢部材224は、ブロック226をブロック228側に付勢する。付勢回路225は、第1排出配管116と同じ圧力で、ブロック228をブロック226側に付勢する。
【0061】
付勢部材224の付勢力が付勢回路225よりも大きい場合、
図3に示すように、切換機構212においてブロック226は、第1供給配管112、第2供給配管114、第1排出配管116および第2排出配管118と対面するように配置される。この状態が第1状態である。これによって、切替バルブ106は、流路233で第1供給配管112を第1排出配管116に接続し、流路232で第2供給配管114を第2排出配管118に接続する。
【0062】
付勢回路225の油圧が上昇して付勢部材224の付勢力が付勢回路225よりも小さくなる場合、
図4に示すように、切換機構212においてブロック226は、第1供給配管112、第2供給配管114、第1排出配管116および第2排出配管118と対面するように配置される。この状態が第2状態である。これによって、切替バルブ106は、流路229で第2供給配管114を閉止し、流路230で第1供給配管112を第1排出配管116に接続し、流路231で第1供給配管112を第2排出配管118に接続する。
【0063】
図5および
図6を用いて、切替バルブ106の具体例を説明する。切替バルブ106は、
図5および
図6に示すように、筐体202と、切替機構212と、を有する。筐体202には、第1孔204と、第2孔206と、第3孔208と、第4孔210が形成される。第1孔204には、第1供給配管112が接続される。つまり、第1孔204は、流体供給源101と流体的に接続される。第2孔206には、第2供給配管114が接続される。つまり、第2孔206は、リザーバ(リザーバ)110と流体的に接続される。第3孔208には、第1排出配管116が接続される。つまり、第3孔208は、制動装置(被操作装置)70Aと流体的に接続される。第4孔210には、第2排出配管118が接続される。つまり、第4孔210は、制動装置(被操作装置)70Aと流体的に接続される。切替機構212が配置される領域は、第1孔204と第2孔206と第3孔208と第4孔210とのそれぞれと接続される。
【0064】
切換機構212は、移動部材222と、付勢部材224と、を有する。移動部材222は、移動することで、第1孔204および第2孔206と、第3孔208および第4孔210と、の連通状態を切り換える。付勢部材224は、移動部材222を流路233側に付勢する。移動部材222は、第1孔204および第3孔208が形成される流路と対面する面と、筐体202と対面し、かつ、第4孔210側の流路が形成される面とを連通する流路223が形成される。流路223は、筐体202の内部の移動部材222の位置が変化することで、筐体202と対面して塞がれる状態、または、穴210と連通する空間と繋がる状態となる。
【0065】
図5および
図6に示す切替バブル106においては、移動部材222が移動することで、第1状態と第2状態との間で連通状態が切り換わる。第1状態において、第1孔204は、第3孔208に流体的に連通され、かつ、第1孔204は第4孔210との流体的な連通が制限される。第2状態において、第1孔204は、第4孔210に流体的に連通される。
【0066】
切替バブル106は、
図5に示すように、流路233の圧力と、付勢部材224の付勢力が同等の場合、第1状態となる。切替バルブ106は、移動部材222が、第2穴206の流路を塞がない位置に配置される。これによって、切替バルブ106において、第1孔204と第3孔208を連通する流路233が形成され、第2孔206と第4孔208を連通する流路(第2流路)232が形成される。
【0067】
切替バブル106は、
図6に示すように、流路233の圧力が付勢部材224の付勢力よりも大きくなり、移動部材222で付勢部材224を圧縮する場合、第2状態となる。切替バルブ106は、移動部材222が、第2穴206を塞ぐ位置に配置される。これによって、切替バルブ106において、移動部材222と第2穴206との流路が閉止流路229となる。切替バルブ106において、第1孔204と第3孔208を連通する流路231が形成され、第1穴204と第4孔208を連通する流路(第1流路)230が形成される。
【0068】
制動装置70Aは、作動油を介して伝達される動力によって駆動される。制動装置70Aは、第1排出配管116および第2排出配管118の両方を介して前記切換バルブ106と接続している。
【0069】
制動装置70Aは、筐体130と、ブレーキパッド132と、従動ピストン140と、を有する。制動装置70Aは、筐体130がシリンダとなり、シリンダ内の作動油を制御することで、筐体130の内部に配置された従動ピストン140を移動させる。ブレーキパッド132は、従動ピストン140に固定される。ブレーキパッド132は、ディスクロータ22eに接し、リアホイール22に制動力を加える。
図3および
図4では、ディスクロータ22eを示したが、フロントホイール20のロータディスク20eも同様である。
【0070】
従動ピストン140は、小径ピストン142、および、小径ピストン142と一体的に設けられる大径ピストン144とを含む。大径ピストン144の直径は、小径ピストン142の直径よりも大きい。大径ピストン144は、小径ピストン142とブレーキパッド132との間で小径ピストン142と同軸に配置される。
【0071】
筐体130は、従動ピストン140が内部に配置されたシリンダである。筐体130には、第1チャンバ148と、第2チャンバ150と、第1流路152と、第2流路154と、が形成される。第1チャンバ148には、小径ピストン142が挿入される。第1チャンバ148は、第1流路152に接続される。第1流路152は、第1排出配管116に接続される。第1チャンバ148には、小径ピストン142を付勢するように第1流路152から作動油が供給される。第2チャンバ150には、大径ピストン144が挿入される。第2チャンバ150は、第2流路154に接続される。第2流路154は、第2排出配管118に接続される。第2チャンバ150には、大径ピストン144を付勢するように第2流路154から作動油が供給される。
【0072】
このように、制動装置70Aは、筐体130と、筐体130に移動可能に配置される従動ピストン140と、筐体130および従動ピストン140の間に設けられる第1チャンバ152と、第1チャンバ152とは流体的に分離するように筐体130および従動ピストン140の間に設けられる第2チャンバ154と、を含む。第3孔208は、第1チャンバ152に流体的に接続される。第4孔210は、第2チャンバ154に流体的に接続される。
【0073】
リザーバ110は、大気圧を利用して内圧を保持するオープンタイプに構成される。リザーバ110は、
図7および
図8に示すように、筐体250と、可動部252と、を有する。筐体250は、一面が開放された箱形状であり、第2供給配管114に接続される。可動部252は、筐体250の開放された面を塞ぐ。可動部(ダイアフラム)252は、ゴムなどの変形可能な材料で形成され、作動油の圧力に応じて伸縮するように構成される。リザーバ110は、筐体250と可動部252とで形成される空間に作動油が貯留する貯留部254を含む。リザーバ110は、貯留部254内の作動油の圧力に応じて可動部252が移動することで貯留部254の容積が変化し、作動油の供給と回収を行う。リザーバ110は、作動油の圧力が高い状態では、
図7に示すように、貯留部254に貯留される作動油の量が一定量となる。リザーバ110は、第2供給配管114の接続先から作動油を吸引する力が働くと、作動油の圧力が低下し、貯留部254に貯留される作動油の量が減少する。これによって、リザーバ110は、
図8に示すように、可動部252が大気圧で、配管側に押され、貯留部254の容積が小さくなる。
【0074】
切替バルブ106は、電動アクチュエータ162が休止状態である場合、
図3および
図5に示す第1状態となる。第1状態において流体供給源101から切替バルブ106に作動油が供給されると、供給された作動油は、切替バルブ106の流路233を通り、第2チャンバ150に供給される。第2チャンバ150に作動油が供給されて、第2チャンバ150内の作動油の量が増加すると、小径ピストン142を含む従動ピストン140がディスクロータ22e側に移動する。従動ピストン140が移動すると、リザーバ110の作動油が、流路232を通過して、第1チャンバ148に供給される。
【0075】
制動装置70Aに作動油が供給され、従動ピストン140がディスクロータ22e側に移動すると、ブレーキパッド132がディスクロータ22eに接する。その後、さらに、制動装置70Aに作動油が供給されると、第1排出配管116の作動油の圧力が増加し、
図4、
図6に示すように、切替バブル106が第2状態となり、流路230および231を介して第1供給配管112と第1排出配管116および第2排出配管118とが連通し、第2供給配管114が切替バルブ106で閉塞された状態となる。これによって、流体供給源101から第1チャンバ148および第2チャンバ150の両方に作動油が供給される。
【0076】
切替バルブ106は、制動開始時、つまりブレーキパッド132がディスクロータ22eと接していない状態では、第1状態となる。これによって、流体供給源101から第2チャンバ150のみに作動油が供給され、第1チャンバ148にリザーバ110から作動油が供給される。駆動システム100は、制動開始時は、切替バルブ106が第1状態となり、流体供給源101から供給される作動油を、小径ピストン142のみ向けて供給する。これによって、従動ピストン140の移動速度を速くできる。
【0077】
切替バルブ106は、ブレーキパッド132がディスクロータ22eと接している状態では、第2状態となる。これによって、流体供給源101から第1チャンバ148および第2チャンバ150に作動油が供給される。駆動システム100は、ブレーキパッド132がディスクロータ22eと接し、制動力を加える状態では、第2状態となり、流体供給源101から供給される作動油を、小径ピストン142と大径ピストン144の両方に向けて供給する。これによって、従動ピストン140に加える力を大きくできる。
【0078】
切替バルブ106は、流体供給源101に流体的に接続される第1孔204と、リザーバ110に流体的に接続される第2孔206と、制動装置70Aに流体的に接続される第3孔208と、制動装置70Aに流体的に接続される第4孔210と、を有する。さらに、切替バルブ106は、連通状態を第1状態および第2状態の一方から他方に切り替える切替機構212と、を備える。第1状態において、第1孔204は、第3孔208に流体的に連通され、かつ、第1孔204は、第4孔210との流体的な連通が制限される。また、第2状態において、第1孔204は、第4孔210に流体的に連通される。切替バルブ106は、連通状態を切り換えることによって、人力駆動車10の状態に応じて、応答性および制動力を変化させることができる。これによって、人力駆動車10に適用する切替バルブ106として、好適な応答性および制動力が得られる。ひいては使用者に好適な操作フィーリングを与えることができる。
【0079】
切替バルブ106は、第2状態で第1孔204と第4孔210との流体的な連通を遮断する。これによって、流体供給源101から供給される作動油を、制動装置70Aの第1チャンバ148により多く供給できる。本発明はこれに限定されず、第2状態で第1孔204と第4孔210との流体的な連通を制限することで、流体供給源101からの作動油を制動装置70Aの第1チャンバ148に多く供給できる。これによって、応答性を向上できる。
【0080】
また、切替バルブ106は、第1状態において、第2孔206は、第4孔210に流体的に連通される。流体供給源101から制動装置70Aに供給される作動油に追従してリザーバ110から制動装置70Aに作動油を供給できる。
【0081】
切替バルブに106は、第2状態において、第1孔204は、第3孔208および前記第4孔210に流体的に連通される。第3孔208および第4孔210の両方で、流体供給源101と制動装置70Aとを接続することで、流体供給源101から制動装置70Aの両方のチャンバに作動油を供給する。これによって、流体供給源101から供給する圧力の高い作動油を制動装置70Aに供給でき、駆動力を大きくできる。
【0082】
切替バルブ106は、第2状態において、閉止流路229で、第2孔206は、第1孔204、第3孔208および第4孔210と流体的に遮断される。これによって、リザーバ110と制動装置70Aとを接続する経路を遮断でき、液体供給源101から供給する作動油を対象の領域により多く供給できる。
【0083】
切替機構212は、切替バルブ106を含む経路内の流体圧力に応じて連通状態を切り替える。本実施形態では、第1孔204と第3孔208を繋げる流路の圧力に応じて第1状態と第2状態を切り替える。このように、圧力に応じて、連通状態を切り換えることによって、別の切替機構を設けることなく、流体供給源から供給する圧力で第1状態と第2状態を切り換えることができる。
【0084】
切替バルブ106は、第1孔204と第4孔210とを連通する第1流路である流路230を備える。切換機構212は、第1流路230を閉じる第1位置と流路230を開く第2位置との間で移動可能に設けられる移動部材222と、移動部材222を第1位置に向けて付勢する付勢部材224と、を含む。移動部材222は、流体圧力の上昇に伴って第1位置から前記第2位置に移動する。これによって、移動部材で好適に流通状態を切り換えることができる。
【0085】
切替バルブ106は、第2孔208と第4孔210とを連通する第2流路である流路232を備える。移動部材222は、第2位置において第2流路を閉じる。これによって、1つの移動部材222で、第1流路と第2流路の開閉を切り換えることができる。
【0086】
第1チャンバ152における従動ピストン140の受圧面積は、第2チャンバ154における従動ピストン140の受圧面積よりも小さいことが好ましい。つまり、小径ピストン142の受圧面積が、大径ピストン144の受圧面積よりも小さくすることが好ましい。これによって、初期動作時の応答性を高くし、かつ、制動時の制動力をより大きくする。
【0087】
制御装置160は、操作装置40Aの操作部材42への入力に応じて電動アクチュエータ162を制御する。これによって、使用者の操作部材への操作に基づいて電動アクチュエータ162を制御することによって、作動油を制動装置70Aに容易に供給できる。
【0088】
以下、切替バルブ106の具体的な構造について説明する。
図9に示す切替バルブ106aは、筐体202aと、切替機構212aと、を有する。切換機構212aは、移動部材222aと、付勢部材224aと、を有する。筐体202aは、第1孔204aと、第2孔206aと、第3孔208aと、第4孔210aが形成される。第1孔204aには、第1供給配管112が接続される。第2孔206aには、第2供給配管114が接続される。第3孔208aには、第1排出配管116が接続される。第4孔210aには、第2排出配管118が接続される。切替機構212aが配置される領域は、第1孔204aと第2孔206aと第3孔208aと第4孔210aとのそれぞれと接続される。第1孔204aは、移動部材222aの位置に関わらず、第3孔208aと連通する。第2孔206aは、移動部材222aを付勢する付勢部材224aが配置されている空間と連通している。第4孔210aは、移動部材222aが移動する領域と連通している。
【0089】
移動部材222aは、移動することで、第1孔204aおよび第2孔206aと、第3孔208aおよび第4孔210aとの連通状態を切り換える。移動部材222aは、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路に開口された穴を塞ぎ、かつ、第2孔206を塞がない位置と、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路に開口された穴を塞がず、かつ、第2孔206塞ぐ位置と、の間で移動するように構成される。移動部材222aは、第2孔206の内側の端部である閉止部209aを塞ぐことで、第2孔206を塞ぐ。付勢部材224aは、移動部材222aを、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路側に付勢する。
【0090】
切替バブル106aは、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路の圧力と、付勢部材224aの付勢力が同等の場合、第1状態となる。第1状態において、移動部材222aは、第2穴206aの流路を塞がない位置に配置される。これによって、切替バルブ106aには、第2孔206aと第4孔208aを連通する流路(第2流路)232aが形成される。
【0091】
切替バブル106aは、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路の圧力が付勢部材224aの付勢力よりも大きくなり、移動部材222aで付勢部材224aを圧縮する場合、第2状態となる。第2状態において、移動部材222aは、閉止部209aと接し、第2穴206aを塞ぐ位置に配置される。これによって、切替バルブ106aには、第1穴204aと第4孔208aを連通する流路(第1流路)230aが形成される。
【0092】
移動部材222aは、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路の穴を塞ぐ構造、および、第2孔206aの筐体202aの内側の端部を塞ぐ構造を備える。切替バルブ106aは、付勢部材224aの圧力と、第1孔204aと第3孔208aとを連通する流路の圧力との関係で、移動部材222aの位置を切り換えることで、第1状態と第2状態を切り換える。
【0093】
図10に示す切替バルブ106bは、筐体202bと、切替機構212bと、を有する。切換機構212bは、移動部材222bと、付勢部材224bと、を有する。筐体202bは、第1孔204bと、第2孔206bと、第3孔208bと、第4孔210bが形成される。第1孔204bには、第1供給配管112が接続される。第2孔206bには、第2供給配管114が接続される。第3孔208bには、第1排出配管116が接続される。第4孔210bには、第2排出配管118が接続される。切替機構212bが配置される領域は、第1孔204bと第2孔206bと第3孔208bと第4孔210bとのそれぞれと接続される。本実施形態の筐体202bは、切替位置に関わらず、第1孔204bは、移動部材222bの位置に関わらず、第3孔208bと連通する。第2孔206bは、移動部材222bを付勢する付勢部材224bが配置されている空間と連通している。第4孔210bは、移動部材222aが移動する領域と連通している。
【0094】
移動部材222bは、移動することで、第1孔204bおよび第2孔206bと、第3孔208bおよび第4孔210bとの連通状態を切り換える。移動部材222bは、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路に開口された穴を塞ぎ、かつ、第2孔206を塞がない位置と、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路に開口された穴を塞がず、かつ、第2孔206bを塞ぐ位置と、の間で移動するように構成される。移動部材222bは、第2孔206bの内側の開口を閉止部209bで塞ぐ。第2孔206bは、移動部材222bの移動方向に沿った面に配置されている。付勢部材224bは、移動部材222bを、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路側に付勢する。
【0095】
切替バブル106bは、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路の圧力と、付勢部材224bの付勢力が同等の場合、第1状態となる。第1状態において、移動部材222bは、第2穴206bの流路を塞がない位置に配置される。これによって、切替バルブ106bには、第2孔206bと第4孔208bを連通する流路(第2流路)232bが形成される。
【0096】
切替バブル106bは、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路の圧力が付勢部材224bの付勢力よりも大きくなり、移動部材222bで付勢部材224bを圧縮する場合、第2状態となる。第2状態において、移動部材222bは、閉止部209で第2孔206bの内側の開口の全面を塞ぐことで、第2孔206bを塞ぐ。第2状態において、第1穴204bと第3孔208bとを連通する流路の穴が移動部材222bで塞がれていない状態となる。これによって、切替バルブ106bには、第1穴204bと第4孔208bを連通する流路(第1流路)230bが形成される。
【0097】
このように、切替バルブ106bは、移動部材222bに、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路の穴を塞ぐ構造、および、第2孔206bの筐体202bの内側の端部を塞ぐ構造を備える。切替バルブ106bは、付勢部材224bの圧力と、第1孔204bと第3孔208bとを連通する流路の圧力との関係で、移動部材222bの位置を切り換えることで、第1状態と第2状態を切り換える。
【0098】
図11に示す切替バルブ106cは、筐体202cと、切替機構212cと、を有する。切換機構212cは、移動部材222cと、付勢部材224cと、を有する。筐体202cは、第1孔204cと、第2孔206cと、第3孔208cと、第4孔210cが形成される。第1孔204cには、第1供給配管112が接続される。第2孔206cには、第2供給配管114が接続される。第3孔208cには、第1排出配管116が接続される。第4孔210cには、第2排出配管118が接続される。本実施形態の筐体202cは、4つの孔が同じ面に列状に配置され、第1孔204c、第3孔208c、第4孔210c、第2孔206cの順で並んでいる。切替機構212cが配置される領域は、第1孔204cと第2孔206cと第3孔208cと第4孔210cとのそれぞれと接続される。切替機構212cが配置される領域は、直線状の流路である。
【0099】
移動部材222cは、移動することで、第1孔204cおよび第2孔206cと、第3孔208cおよび第4孔210cとの連通状態を切り換える。移動部材222cは、4つの孔を連通する直線状の流路に沿って移動する板状の部材である。移動部材222cは、第3孔208cと第4孔210cとの間で4つの孔を連通する直線状の流路を塞ぐ位置と、第4孔210cと第2孔206cの間で4つの孔を連通する直線状の流路を塞ぐ位置と、の間を移動するように構成される。移動部材222cは、4つの孔を連通する直線状の流路のうち、第3孔208cと第4孔210cとの間に閉止部209cが配置されることで、第3孔208cと第4孔210cとの流路を塞ぐ。移動部材222cは、4つの孔を連通する直線状の流路のうち、第4孔210cと第2孔206cの間に閉止部209caが配置されることで、第4孔210cと第2孔206cの流路を塞ぐ。付勢部材224cは、移動部材222cを、第1孔204cと第3孔208cとを連通する流路側に付勢する。移動部材222cは、第4孔210cとそれぞれ隣接する2つ孔の間を移動する。第1孔204cは、移動部材222cの位置に関わらず、第3孔208cと連通している。
【0100】
切替バブル106cは、第1孔204cと第3孔208cとを連通する流路の圧力と、付勢部材224cの付勢力が同等の場合、第1状態となる。第1状態において、移動部材222cは、第3孔208cと第4孔210cとの間を閉止部209cで塞ぐ位置に配置される。これによって、切替バルブ106cには、第2孔206cと第4孔208cを連通する流路(第2流路)232cが形成される。第3孔208cと第4孔210cとの間は、閉止部209cで塞がれ、作動油が流れない状態となる。
【0101】
切替バブル106cは、第1孔204cと第3孔208cとを連通する流路の圧力が付勢部材224cの付勢力よりも大きくなり、移動部材222cで付勢部材224cを圧縮する場合、第2状態となる。第2状態において、移動部材222cは、第4孔210cと第2孔206cとの間を閉止部209caで塞ぐ位置に配置される。これによって、切替バルブ106cには、第1穴204cと第4孔208cを連通する流路(第1流路)230cが形成される。第4孔210cと第2孔206cとの間は、閉止部209caで塞がれる。これによって、第2孔206cは、他の孔との間で作動油が流れない状態となる。
【0102】
切替バルブ106cは、4つの孔を列状に配置しかつ4つの孔を繋げる流路を備え、4つの孔を繋げる流路内で移動部材222cを移動させ、流路を塞ぐ位置を調整する。これによって、付勢部材224cの圧力と、第1孔204cと第3孔208cとを連通する流路の圧力との関係で、移動部材222cの位置を切り換え、第1状態と第2状態を切り換える。
【0103】
図12に示す切替バルブ106dは、筐体202dと、切替機構212dと、を有する。切換機構212dは、移動部材222dと、付勢部材224dと、を有する。筐体202dは、第1孔204dと、第2孔206dと、第3孔208dと、第4孔210dが形成される。第1孔204dには、第1供給配管112が接続される。第2孔206dには、第2供給配管114が接続される。第3孔208dには、第1排出配管116が接続される。第4孔210dには、第2排出配管118が接続される。本実施形態の筐体202dは、4つの孔が同じ面に列状に配置され、第3孔208d、第1孔204d、第4孔210d、第2孔206dの順で並んでいる。切替機構212dが配置される領域は、第1孔204dと第2孔206dと第3孔208dと第4孔210dとのそれぞれと接続される。切替機構212dが配置される領域は、直線状の流路である。切替バルブ106dは、第1孔204dと第3孔208dの位置が入れ替わった以外は、切替バルブ106cと同様の構造である。
【0104】
移動部材222dは、4つの孔を連通する直線状の流路のうち、第3孔208dと第4孔210dとの間に閉止部209dが配置されることで、第3孔208dと第4孔210dと間の流路を塞ぐ。移動部材222dは、4つの孔を連通する直線状の流路のうち第4孔210dと第2孔206dの間に閉止部209daが配置されることで、第4孔210dと第2孔206dの間の流路を塞ぐ。付勢部材224dは、移動部材222dを、第1孔204dと第3孔208dとを連通する流路側に付勢する。移動部材222dは、第4孔210dとそれぞれ隣接する2つ孔の間を移動する。したがって第1孔204dは、移動部材222dの位置に関わらず、第3孔208dと連通している。
【0105】
切替バルブ106dは、4つの孔を列状に配置しかつ4つの孔を繋げる流路を備え、4つの孔を繋げる流路内で移動部材222dを移動させ、流路を塞ぐ位置を調整する構造とする。これによって、付勢部材224dの圧力と、第1孔204dと第3孔208dとを連通する流路の圧力との関係で、移動部材222dの位置を切り換え、第1状態と第2状態を切り換える。
【0106】
以下、駆動装置の他の例を説明する。
図3に示す駆動装置100と同様の点は、詳細な説明を省略し、各駆動装置に特有の点を重点的に説明する。
図13に示す駆動装置300aは、流体供給源101aと、切替バルブ106と、制動装置(制動装置)70Aと、リザーバ110と、を含む。切替バルブ106と、制動装置70Aと、リザーバ110と、は、駆動装置100Aの各部と同様であるので説明を省略する。
【0107】
流体供給源101aは、ブレーキシステム30の操作装置に入力される操作に基づいて、作動油の供給と回収を行う。制御装置160と、モータ302と、トルクダイオード304と、減速機306と、ボールねじ308と、動力油圧変換機構310と、を含む。流体供給源101aは、トルクダイオード304と、減速機306と、ボールねじ308が、伝達機構となる。
【0108】
制御装置160は、流体供給源101の制御装置160と同様であり、第1検出装置60Aおよび第2検出装置60Bのうち、対応する検出装置から操作部材42の操作量の情報、ここでは、作動油の圧力の検出値を取得する。制御装置160は、検出結果に基づいて、電動アクチュエータ162を制御する。
【0109】
モータ302は、電動アクチュエータであり、制御装置160の入力に基づいて動作する。モータ302は、制御装置160の入力に基づいて回転する。トルクダイオード304は、モータ302と減速機306とを接続する伝達機構である。トルクダイオード304は、モータ302から減速機306に入力される動力は伝達し、減速機306からモータ302に入力される動力は伝達しない。トルクダイオード304は、動力の伝達を一方向に制限する機器である。減速機306は、モータ302の回転数を減速してトルクを増大させる。ボールねじ308は、減速機306から伝達される回転力を直線運動に変換する。流体供給源101aは、電動アクチュエータであるモータ302からの動力を変速して駆動ピストン322に伝達する伝達機構である減速機306を含む。
【0110】
動力油圧変換機構310は、油圧シリンダ312と、リザーバ314と、を含む。油圧シリンダ312は、シリンダ320と、シリンダ320内に移動可能に設けられる駆動ピストン322と、を含む。シリンダ320は、作動油を貯留する。駆動ピストン322は、ボールねじ308の直動する部材が固定される。駆動ピストン322は、ボールねじ308と一体で直動運動する。
【0111】
リザーバ314は、シリンダ320の作動油を貯留している領域で、かつ、駆動ピストン322の移動範囲に接続される。リザーバ314は、切替バルブ106が第1状態となる領域で駆動ピストン322が移動する範囲に接続される。リザーバ314は、作動油を貯留し、貯留している領域の一部が、大気圧で付勢されて変形可能なゴムなどの材料で形成される。リザーバ314は、貯留される作動油の圧力を大気圧と同等とするオープンタイプのタンクである。
【0112】
流体供給源101aは、制御装置160でモータ302を駆動させることで、モータ32の動力が駆動ピストン322に伝達し、駆動ピストン322を移動させることで、シリンダ320内の作動油を第1供給配管112に供給し、第1供給配管112からシリンダ320内に作動油を回収する。また、流体供給源101aは、トルクダイオード304を設けることで、モータ302に反力が入力されることを防ぎ、モータ302に不要な荷重が入力されることを抑制できる。また、流体供給源101aは、リザーバ314を設けることで、第1状態でのシリンダ320内の作動油の圧力の変動が生じることを抑止性できる。これによって、第1状態で第1供給配管112と第1排出配管116とを接続する流路での圧力が上昇することを抑制でき、意図しない第2状態への移行を防げる。
【0113】
図14に示す駆動装置300bは、流体供給源101bと、切替バルブ106と、制動装置70Aと、リザーバ110と、を含む。切替バルブ106と、制動装置70Aと、リザーバ110とは、駆動装置100Aの各部と同様であるので説明を省略する。流体供給源101bは、油圧シリンダ332と、リザーバ334を有する。流体供給源101bは、油圧シリンダ332が、操作部材42と機械的に連結しており、操作部材42の機械的な移動に基づいて、作動油の供給と回収を行う。
【0114】
油圧シリンダ332は、駆動ピストン340と、シリンダ342と、を含む。駆動ピストン340は、操作部材42と機械的に連結し、シリンダ342内に移動可能に設けられる。駆動ピストン340は、操作部材42の直動する部材が固定される。駆動ピストン340は、ボールねじ308と一体で直動運動する。油圧供給源101bは、油圧シリンダ332が操作部材42の近傍に配置され、駆動ピストン340が操作部材42に直接連結してもよいが、ワイヤなどの伝達機構を介して接続してもよい。シリンダ320は、作動油を貯留する。リザーバ334は、リザーバ314と同様である。
【0115】
流体供給源101bは、シリンダ342と、ユーザによって操作される操作部材である操作部材42と、操作部材への入力に応じて移動可能にシリンダ243内に設けられる駆動ピストン340と、を含む。これによって、使用者の操作部材への操作に基づいて、被操作装置である制動装置70Aに作動油を供給して制動装置70Aを操作できる。
【0116】
図15に示す駆動装置300cは、流体供給源101cと、切替バルブ106と、制動装置70Aと、を含む。切替バルブ106と、制動装置70Aとは、駆動装置100Aの各部と同様であるので説明を省略する。
【0117】
流体供給源101cは、ブレーキシステム30の操作装置に入力される操作に基づいて、作動油の供給と回収を行う。制御装置160と、モータ302と、トルクダイオード304と、減速機306と、ボールねじ308と、動力油圧変換機構310と、を含む。動力油圧変換機構310は、油圧シリンダ312と、リザーバ314aと、を含む。流体供給源101cは、基本的に
図13の流体供給源101aと同様の構成である。以下、流体供給源101cに特有の点を説明する。
【0118】
リザーバ314aは、シリンダ320の作動油を貯留している領域で、かつ、駆動ピストン322の移動範囲に接続される。リザーバ314aは、切替バルブ106が第1状態となる領域で駆動ピストン322が移動する範囲に接続される。リザーバ314は、作動油を貯留し、貯留している領域の一部が、大気圧で付勢されて変形可能なゴムなどの材料で形成される。リザーバ314aは、貯留される作動油の圧力を大気圧と同等とするオープンタイプのタンクである。
【0119】
駆動装置300cは、第2供給配管114aが、流体供給源101cのリザーバ314aに接続される。つまり、リザーバ314aは、切替バルブ106の第2孔206に作動油を供給するリザーバの機能も備える。リザーバ314aは、切替バブル106が第2状態となる場合、駆動ピストン322でシリンダ320との接続部が塞がれる。これによって、リザーバ314aは、切替バブル106が第2状態となる場合、第2供給配管114の経路が塞がれ、シリンダ320と連通する経路も塞がれる。
【0120】
このように、リザーバ314aを、第2供給配管114に作動油を供給するリザーバと、流体供給源101cのリザーバの両方の機能を備えることで、装置構成を簡単できる。
【0121】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲において構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0122】
10…人力駆動車、20…フロントホイール、22…リアホイール、24…バッテリ、30…ブレーキシステム、40A,40B…操作装置、60…検出装置、70A,70B…制動装置、81…アクチュエータ、82…コントローラ、100…駆動システム、101…流体供給源、106…切替バルブ、110…リザーバ、202…筐体、204…第1孔、206…第2孔、208…第3孔、210…第4孔