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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】リッドロックユニットの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/00 20060101AFI20230419BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20230419BHJP
   E05B 83/30 20140101ALI20230419BHJP
【FI】
E05C21/00 A
B60R7/06 G
E05B83/30 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020061502
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021161635
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 裕紀
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086427(WO,A1)
【文献】特開2018-144558(JP,A)
【文献】特開2009-180028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な板状のリッドの裏側に配置されて取り付けられ、前記リッドの裏面に沿って第一方向に延びるベース軸部を有するベース部材と、
記ベース軸部に軸嵌合するノブ軸部と、前記リッドに設けられたリッド開口に配置され、前記リッドの表側に表出するノブ板部と、を有し、前記ベース部材に前記ノブ軸部を中心にして基準位置と開位置との間で回動可能に支持されるノブ部材と、
前記ノブ部材の前記基準位置から前記開位置への回動により前記リッドを開放させる開閉機構と、
を備えるリッドロックユニットを前記リッドに取り付ける構造であって、
前記ベース部材は、
前記リッドの裏面に沿って平行に広がる板状のベース本体部と、
前記第一方向に交差する第二方向のうち、前記ベース本体部における前記リッドの裏面に対向する対向側から前記リッドの裏面に向けて延出するベース延出部と、
を有し、
前記リッドは、前記第二方向のうち、前記リッドの裏側から前記ベース部材側に向けて延出し、前記ベース延出部に対して前記第一方向の外側に隣接して配置される、前記ベース部材を前記リッドに取り付けるためのリッド延出部を有し、
前記ベース延出部は、前記リッドの裏面における前記リッド開口の周辺部に対向した状態で、前記リッドの裏面における前記リッド開口の縁に沿うように、前記第一方向と前記第二方向との双方に交差する第三方向に線状に連続して延在しており、
前記リッド延出部は、前記リッドの裏面における前記リッド開口の周辺部に設けられ、前記縁に沿って前記第三方向に線状に連続して延在している、リッドロックユニットの取付構造。
【請求項2】
前記ベース延出部は、前記第一方向に離間して対をなす第一ベース延出部及び第二ベース延出部を有し、
前記リッド延出部は、前記第一方向に離間して対をなす第一リッド延出部及び第二リッド延出部を有し、
前記第一リッド延出部は、前記第一ベース延出部に対して前記第一方向の外側に隣接して配置され、
前記第二リッド延出部は、前記第二ベース延出部に対して前記第一方向の外側に隣接して配置される、請求項1に記載されたリッドロックユニットの取付構造。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記第一方向に弾性変形可能であり、
前記ベース部材は、前記ベース延出部における前記第一方向の外側の面が前記リッド延出部における前記第一方向の内側の面に当接することにより、前記リッドに取り付け固定される、請求項2に記載されたリッドロックユニットの取付構造。
【請求項4】
前記ベース延出部及び前記リッド延出部のうちの一方は、他方を前記第一方向で挟み込むように二股状に形成されている、請求項1乃至の何れか一項に記載されたリッドロックユニットの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドロックユニットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に搭載されるグラブボックスのリッドロックユニットが知られている(例えば、特許文献1)。このリッドロックユニットは、操作者のノブ操作によりグラブボックスのリッドを開放させると共に、操作者のリッドへの押し込み操作によりリッドを閉位置に移行させる装置である。リッドロックユニットは、ベース部材と、ノブ部材と、開閉機構と、を備えている。
【0003】
ベース部材は、グラブボックスのリッドの裏側に固定されている。ベース部材は、所定方向に延びるベース軸部としての軸体を有している。この軸体は、基部から軸方向外側に突出している。ノブ部材は、リッドの表側に表出している。ノブ部材は、ベース軸部に軸嵌合するノブ軸部としての軸孔を有しており、ベース部材に支持されている。ベース部材の軸体及びノブ部材の軸孔は、それぞれ軸方向に離れて一対設けられており、各軸孔が軸体の軸方向外側に配置されて軸孔が軸体を軸方向に挟み込むように互いに軸嵌合する。
【0004】
開閉機構は、ノブ部材が基準位置から開位置へ回動操作された場合にリッドを開放させると共に、その回動操作が解除された後、その開放されたリッドが操作者により押し込み操作された場合にそのリッドを閉位置にロックする機構である。具体的には、開閉機構は、ノブ部材への回動操作及びリッドへの押し込み操作により閂ロッドを進退させてリッドの開閉を実現する。開閉機構は、閂ロッドをリッド閉位置側に付勢する力を発生する付勢部材を有している。ノブ部材は、操作者による回動操作により、付勢部材の付勢力に抗して基準位置から開位置まで回動し、閂ロッドを係合する車体開口周縁から引き抜いてリッドを開放させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-100343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の如く、ベース部材の軸体とノブ部材の軸孔とが互いに軸嵌合する。一般的に、ノブ部材の回動は、基準位置と開位置との範囲内で許容され、その範囲外ではノブ部材がベース部材に当接することで規制される。しかし、ノブ部材が例えばその規制を超えて過度に回動操作されて、ノブ部材の軸孔とベース部材の軸体とを互いに軸ズレさせる力が作用すると、上記の軸体と軸孔との軸嵌合部が変形して、ノブ部材がベース部材から外れるおそれがある。
【0007】
この現象に対しては、上記の軸体と軸孔との軸嵌合部での両者のラップ量を増やせば、上記の過度な回動操作でも、ノブ部材がベース部材から外れるのを防止することはできる。しかし、この構成では、軸体と軸孔とのラップ量の増加に起因して、ベース部材へのノブ部材の組み付け抵抗が大きくなり、その組み付け性が低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ベース部材へのノブ部材の組み付け性を低下させることなく、ノブ部材の回動操作に対してノブ部材をベース部材から外れ難くしたリッドロックユニットの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、開閉可能なリッドの裏側に配置されて取り付けられ、所定方向に延びるベース軸部を有するベース部材と、前記リッドの表側に表出し、前記ベース軸部に軸嵌合するノブ軸部を有し、前記ベース部材に前記ノブ軸部を中心にして基準位置と開位置との間で回動可能に支持されるノブ部材と、前記ノブ部材の前記基準位置から前記開位置への回動により前記リッドを開放させる開閉機構と、を備えるリッドロックユニットを前記リッドに取り付ける構造であって、前記ベース部材は、前記リッドに対向する対向側から前記所定方向に交差する交差方向に延出するベース延出部を有し、前記リッドは、前記リッドの裏側から前記交差方向に延出し、前記ベース延出部に対して前記所定方向の外側に隣接して配置されるリッド延出部を有する、リッドロックユニットの取付構造である。
【0010】
この構成によれば、リッドの裏側へのベース部材の取付後、そのベース部材が所定方向に伸長するような変形が、ベース延出部がリッド延出部に当接するまでに制限され、その当接後は、ベース部材を所定方向伸長側へ変形させる力に対する耐性が向上する。このため、ノブ軸部とベース軸部との軸嵌合部の変形を、ベース部材の上記変形制限に伴って制限することができるので、ノブ部材の過度な回動操作でもそのノブ部材をベース部材から外れ難くすることができる。また、この場合、軸嵌合部におけるノブ軸部とベース軸部とのラップ量を増やすことは不要である。従って、ベース部材へのノブ部材の組み付け性を低下させることなく、ノブ部材の回動操作に対してノブ部材をベース部材から外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るリッドロックユニットが適用されるグラブボックスの斜視図である。
図2】実施形態のリッドロックユニットの正面図である。
図3】実施形態のリッドロックユニットの分解斜視図である。
図4】実施形態のリッドロックユニットの図2に示す直線IV-IVで切断した際の断面である。
図5】実施形態のリッドロックユニットの図2に示す直線V-Vで切断した際の断面図である。
図6図5に示すリッドロックユニットの要部の拡大断面図である。
図7】実施形態のリッドの裏側からの要部斜視図である。
図8】一変形形態に係るリッドの裏側からの要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明に係るリッドロックユニットの取付構造の具体的な実施形態について説明する。
【0013】
一実施形態のリッドロックユニット1の取付構造は、車両のグラブボックス10に適用されるものである。グラブボックス10は、例えば車室内の助手席前のインストルメントパネルなどの内装部材(図示せず)に設置される収納容器であって、内装部材に対して開閉される。
【0014】
グラブボックス10は、内装部材に設けられた開口(図示せず)に開閉可能に収容される。グラブボックス10は、図1に示す如く、収納部11と、リッド12と、を有している。収納部11は、本や冊子などの物を収納可能なケース状の部位であって、グラブボックス10の閉状態で内装部材の開口奥側に配置される。リッド12は、収納部11の前面側に配置される板状の部位であって、グラブボックス10の閉状態でその表面が車室内側に露出して内装部材と面一になる。
【0015】
リッドロックユニット1は、図1図2図3、及び図4に示す如く、ベース部材20と、ノブ部材30と、開閉機構40と、を備えている。
【0016】
ベース部材20は、グラブボックス10のリッド12に固定される部材である。ベース部材20は、略四角板状に形成されている。ベース部材20は、リッド12の表面に対する裏側に配置されて取り付けられる。ベース部材20は、板部21と、水平部22と、ベース軸部23と、を有している。
【0017】
板部21は、リッド12の裏面に対して平行に広がる板状の部位である。板部21は、略四角形に形成されている。板部21の中央には、貫通穴21aが設けられている。貫通穴21aは、ノブ部材30やリッド12を閉位置で施錠するロック機構の一部などが通る穴である。
【0018】
水平部22は、板部21から水平方向のリッド裏面に近づく方向(以下適宜、X方向と称す。)に突出する板状の部位である。水平部22は、板部21の上下二箇所に設けられており、板部21の上辺及び下辺に沿った方向(以下適宜、Y方向と称す。)に延在している。水平部22の先端部には、フランジ部22aが設けられている。フランジ部22aは、水平部22の本体から上下方向(以下適宜、Z方向と称す。)の本体から離れる外側に向けて延びている。また、上下二箇所の水平部22にはそれぞれ、筒状の支持部22bが設けられている。尚、上記したX方向、Y方向、及びZ方向は、互いに交差する方向、具体的には、互いに直交する方向である。
【0019】
ベース軸部23は、上下方向(すなわち、Z方向)に延びる断面円形の軸孔である。ベース軸部23は、支持部22bに形成されている。ベース軸部23は、上下二箇所に設けられている。上方側のベース軸部23は、上方側の水平部22の支持部22bに設けられており、その支持部22bの下面に開口している。下方側のベース軸部23は、下方側の水平部22の支持部22bに設けられており、その支持部22bの上面に開口している。上下二箇所の支持部22bの間には、空間が形成されている。上下二箇所のベース軸部23は、空間を介して互いに同軸になるように設けられている。
【0020】
ノブ部材30は、操作者がノブ部材30とリッド12の表面との間に手指を挿入してノブ部材30の一端側(図1図2における右側)を手前に引っ張ることによりリッド12ひいてはグラブボックス10を開動作させる操作部である。ノブ部材30は、板状に形成されている。ノブ部材30は、リッド12に設けられたリッド開口12aに配置されており、リッド12の表側に表出している。尚、ノブ部材30は、上記したロック機構のシリンダキーを保持可能であってよい。ノブ部材30は、板部31と、軸支持部32と、ノブ軸部33と、対アーム当接部34と、を有している。
【0021】
板部31は、リッド12の表面に対して平行に広がる板状の部位である。板部31は、操作者による操作時に手や指が触れる操作部である。軸支持部32は、板部31から水平方向のリッド表面に近づく方向(すなわち、X方向)に突出する部位である。軸支持部32は、板部31の上下二箇所に設けられている。尚、軸支持部32は、シリンダキーを収容する円筒状の側壁の一部であってよい。
【0022】
ノブ軸部33は、上下方向(すなわち、Z方向)に延びる円柱状の軸体である。ノブ軸部33は、軸支持部32に形成されている。ノブ軸部33は、上下二箇所に設けられている。上方側のノブ軸部33は、上方側の軸支持部32に設けられており、その軸支持部32から上方へ突出している。下方側のノブ軸部33は、下方側の軸支持部32に設けられており、その軸支持部32から下方へ突出している。ノブ部材30は、一部がベース部材20の上下二箇所の支持部22bの間の空間に嵌って両支持部22bに挟み込まれることが可能である。ノブ部材30のノブ軸部33は、ベース部材20のベース軸部23に軸嵌合している。
【0023】
上記の軸嵌合が実現されると、ノブ部材30は、ベース部材20に対してそのノブ軸部33を中心(図4に示す回動中心O1)にして回動可能に支持される。ノブ部材30は、板部31がリッド12の表面に対して平行になる基準位置と、板部31がリッド12の表面に対して所定角度をなして傾斜する開位置との間で回動することが可能である。
【0024】
対アーム当接部34は、開閉機構40の後述のアーム部材に当接してノブ部材30の回動をアーム部材に伝達する部位である。対アーム当接部34は、板部31の裏面に設けられており、操作者がノブ部材30を操作(具体的には、引っ張り操作)する際に触れる箇所とは回動中心O1を挟んで反対側に設けられている。対アーム当接部34は、ノブ部材30の板部31から水平方向のリッド12表面に近づく方向(すなわち、X方向)に延出している。対アーム当接部34の先端部34aは、板部31に対して平行になるように対アーム当接部34の本体から屈曲している。
【0025】
ノブ部材30は、基準位置からリッド12が開放される開位置までノブ軸部33を中心にして回動することが可能である。ノブ部材30の回動は、基準位置と上記の開位置との範囲内で許容されており、その範囲外ではノブ部材30の所定部位とベース部材20の所定部位との当接により規制される。
【0026】
開閉機構40は、ノブ部材30が基準位置から開位置へ回動操作された場合にリッド12を開放させると共に、その回動操作が解除された後、その開放されたリッド12が操作者により押し込み操作された場合にそのリッド12を閉位置にロックする機構である。開閉機構40は、アーム部材41と、付勢部材42と、を有している。
【0027】
アーム部材41は、ベース部材20に対して揺動可能な部材である。アーム部材41は、ベース部材20の裏側に配置されている。アーム部材41は、円筒状の軸部41aを有している。軸部41aは、アーム長手方向中心部に設けられている。軸部41aは、ベース部材20の裏面に設けられた軸部に挿通されている。アーム部材41は、アーム長手方向中心部でベース部材20に揺動可能に支持されている。
【0028】
アーム部材41の軸部41aを挟んだ上端部及び下端部にはそれぞれ、棒状に延びる閂ロッド(図示せず)の一端部が揺動可能に連結されている。この一対の閂ロッドは、リッド12ひいてはグラブボックス10を開閉させるための部材である。閂ロッドの他端部は、内装部材の開口縁部に係脱することが可能である。アーム部材41は、一対の閂ロッドが互いに同期してリッド12から内装部材に対して進退するように、リッド12を閉じるロック状態に保持可能なロック位置と、そのリッド12のロック状態を解除させるロック解除位置との間で揺動することが可能である。
【0029】
尚、アーム部材41の揺動は、ロック位置とロック解除位置との範囲内で許容されており、その範囲外ではアーム部材41の所定部位とベース部材20の所定部位との当接により規制されてよい。また、このアーム部材41自体の当接によりアーム部材41のロック位置を越える揺動が規制されることに代えて或いはその規制と共に、アーム部材41の揺動中に閂ロッドが内装部材側に当接してその更なる前進が妨げられることで、アーム部材41のロック位置を超える揺動が規制されてもよい。
【0030】
アーム部材41は、対ノブ当接部41bを有している。対ノブ当接部41bは、ノブ部材30の対アーム当接部34が当接する部位である。対ノブ当接部41bは、アーム部材41の本体裏面から突出してノブ部材30の対アーム当接部34の先端部34aが引っ掛かるように形成されている。
【0031】
付勢部材42は、アーム部材41をロック位置へ揺動させることにより閂ロッドを内装部材に係合させると共にノブ部材30を基準位置へ回動させる付勢力を発生するコイルバネである。付勢部材42は、ベース部材20の裏面の軸部に挿通されている。付勢部材42は、一端部でベース部材20に係止され、他端部でアーム部材41に係止されるように構成されている。
【0032】
次に、リッドロックユニット1の動作について説明する。
リッドロックユニット1において、ノブ部材30に対して基準位置から開位置への回動操作が行われていない状態では、付勢部材42の付勢力により、ノブ部材30が閉位置に維持されると共に、アーム部材41がロック位置に維持され、閂ロッドがグラブボックス10から内装部材側へ前進して内装部材側と係合している。この場合、グラブボックス10は、閉扉されている。
【0033】
上記したグラブボックス10の閉扉状態でノブ部材30が開位置へ向けて回動操作されると、そのノブ部材30の対アーム当接部34がアーム部材41の対ノブ当接部41bに当接することで、アーム部材41が付勢部材42の付勢力に抗してロック位置からロック解除位置へ向けて揺動する。そして、アーム部材41がロック解除位置まで揺動すると、閂ロッドがグラブボックス10側に後退して内装部材側との係合が解除されることでグラブボックス10が開扉される。
【0034】
上記の如くグラブボックス10が開扉された後、ノブ部材30への開位置への回動操作が解除されると、アーム部材41が付勢部材42の付勢力によりロック位置へ向けて揺動する。この場合には、閂ロッドがグラブボックス10から外方へ前進することで、内装部材側との係合が可能な状態になる。
【0035】
そして、グラブボックス10が開扉状態から閉扉状態へ向けて操作者により押し込み操作されると、その操作途中、閂ロッドが内装部材側に係合する直前に、その閂ロッドが、グラブボックス10から外方へ突出した位置でその内装部材側から後退側に押圧されることで、付勢部材42の付勢力に抗してグラブボックス10側へ僅かに後退する。この後退が生じると、アーム部材41がロック位置からロック解除位置側へ揺動する。そして、閂ロッドを内装部材側から後退側へ押圧する力が無くなると、付勢部材42の付勢力によりアーム部材41がロック位置へ向けて揺動し、閂ロッドが再び内装部材側へ前進する。この場合には、閂ロッドが内装部材側と係合することでグラブボックス10が閉扉される。
【0036】
次に、リッドロックユニット1の要部について説明する。
上記のリッドロックユニット1において、ノブ部材30は、そのノブ部材30のノブ軸部33がベース部材20のベース軸部23に軸嵌合することによりそのベース部材20に回動可能に支持される。ノブ部材30の回動は、基準位置と開位置との範囲内で許容されており、その範囲外ではベース部材20との当接により規制される。ベース部材20は、グラブボックス10のリッド12の裏側に配置されて取り付けられる。
【0037】
ベース部材20は、図5及び図6に示す如く、ベース延出部25を有している。ベース延出部25は、ベース部材20におけるリッド12に対向する対向側からそのリッド裏面に向けて、上下方向であるZ方向に交差するX方向に延出する部位である。ベース延出部25は、上下二箇所に設けられており、それぞれ上下二箇所の水平部22のフランジ部22aの外端部に設けられている。ベース延出部25は、リッド12の裏面に対向してリッド12の裏面に沿うように線状に延在している。
【0038】
以下、上方側の水平部22に設けられたベース延出部25を第一ベース延出部25aと、下方側の水平部22に設けられたベース延出部25を第二ベース延出部25bと、それぞれ称す。第一ベース延出部25aと第二ベース延出部25bとは、Z方向に離間して対をなしている。
【0039】
ベース部材20は、Z方向に弾性変形可能である。具体的には、ベース部材20は、第一ベース延出部25aと第二ベース延出部25bとのZ方向離間距離Bが可変するように弾性変形することが可能である。上記のZ方向離間距離Bは、ベース部材20に外力が加わっていないときの自然長B0よりも短くなることが可能である。
【0040】
リッド12は、図5図6、及び図7に示す如く、リッド延出部13を有している。リッド延出部13は、リッド12の裏側からベース部材20側に向けて、上下方向であるZ方向に交差するX方向に延出する部位である。リッド延出部13は、ベース部材20をリッド12に取り付けるために設けられている。リッド延出部13は、ベース部材20の第一ベース延出部25a及び第二ベース延出部25bに対応して上下二箇所に設けられている。リッド延出部13は、リッド12の裏面に沿って線状に延在している。
【0041】
以下、上方側のリッド延出部13を第一リッド延出部13aと、下方側のリッド延出部13を第二リッド延出部13bと、それぞれ称す。第一リッド延出部13aと第二リッド延出部13bとは、Z方向に離間して対をなしている。第一リッド延出部13aと第二リッド延出部13bとのZ方向離間距離Lは、予め定められた固定値であり、上記した第一ベース延出部25aと第二ベース延出部25bとのZ方向離間距離Bの自然長B0よりも小さくなるように設定されている。
【0042】
第一リッド延出部13aは、第一ベース延出部25aに対してZ方向外側(具体的には、上側)に隣接して配置される。また、第二リッド延出部13bは、第二ベース延出部25bに対してZ方向外側(具体的には、下側)に隣接して配置される。すなわち、ベース部材20は、第一ベース延出部25a及び第二ベース延出部25bが第一リッド延出部13aと第二リッド延出部13bとの間に収まるようにリッド12に組み付けられる。
【0043】
上記のリッド12へのベース部材20の組み付けは、上記のZ方向離間距離Bが自然長B0よりも小さくなるようにベース部材20が外力により弾性変形した状態で行われる。この組み付けが完了してベース部材20への外力が解除されると、ベース部材20の弾性力により、第一ベース延出部25aにおけるZ方向外側の面(具体的には、上面)が第一リッド延出部13aにおけるZ方向内側の面(具体的には、下面)に当接すると共に、第二ベース延出部25bにおけるZ方向外側の面(具体的には、下面)が第二リッド延出部13bにおけるZ方向内側の面(具体的には、上面)に当接する。
【0044】
各リッド延出部13はそれぞれ、ベース部材20のベース延出部25をZ方向で挟み込むように二股状に形成されている。すなわち、第一リッド延出部13aは、一対の延出片部14a,14bと、保持溝14cと、を有している。また、第二リッド延出部13bは、一対の延出片部15a,15bと、保持溝15cと、を有している。
【0045】
第一リッド延出部13aの延出片部14a,14bはそれぞれ、リッド12の裏側からX方向に延出している。延出片部14a,14bは、保持溝14cを挟んで上下に離間して第一ベース延出部25aを咥え込むように設けられている。保持溝14cは、第一ベース延出部25aが挿入されて嵌る溝である。延出片部14a,14b及び保持溝14cは、リッド12の裏面に沿ってY方向に線状に延在している。
【0046】
第二リッド延出部13bの延出片部15a,15bはそれぞれ、リッド12の裏側からX方向に延出している。延出片部15a,15bは、保持溝15cを挟んで上下に離間して第二ベース延出部25bを咥え込むように設けられている。保持溝15cは、第二ベース延出部25bが挿入されて嵌る溝である。延出片部15a,15b及び保持溝15cは、リッド12の裏面に沿ってY方向に線状に延在している。
【0047】
ベース部材20がリッド12に組み付けられた状態では、第一ベース延出部25aの上面が第一リッド延出部13aの延出片部14a,14bのうち上方側の延出片部14aの下面に当接すると共に、第二ベース延出部25bの下面が第二リッド延出部13bの延出片部15a,15bのうち下方側の延出片部15aの上面に当接する。
【0048】
尚、上記した第一リッド延出部13aと第二リッド延出部13bとのZ方向離間距離Lは、具体的には、第一リッド延出部13aの上方側の延出片部14aの下面と第二リッド延出部13bの下方側の延出片部15aの上面とのZ方向離間距離である。また、上記した第一ベース延出部25aと第二ベース延出部25bとのZ方向離間距離Bは、具体的には、第一ベース延出部25aの上面と第二ベース延出部25bの下面とのZ方向離間距離である。
【0049】
尚、リッド12へのベース部材20の組み付けは、ベース部材20の第一ベース延出部25aを第一リッド延出部13aの対をなす延出片部14a,14bの間の保持溝14cに挿入すると共に、第二ベース延出部25bを第二リッド延出部13bの対をなす延出片部15a,15bの間の保持溝15cに挿入した状態で、そのベース部材20をリッド12の裏面に沿ってその裏面に平行なY方向にスライドさせることにより実現されてよい。この構成によれば、リッド12へのベース部材20の組み付けを容易に行うことが可能となる。
【0050】
上記のリッドロックユニット1において、リッド12の裏側へのベース部材20の取り付けは、リッド12のリッド延出部13がベース部材20のベース延出部25に対してZ方向外側に隣接配置されるように行われる。この取付構造においては、その取付後、ベース部材20がZ方向に伸長するような変形が、上下二箇所のベース延出部25a,25bそれぞれが第一リッド延出部13aの上方側の延出片部14a又は第二リッド延出部13bの下方側の延出片部15aに当接するまでに制限され、その当接後は、ベース部材20をZ方向伸長側へ変形させる力に対する耐性が向上する。
【0051】
このため、ノブ部材30がZ方向に延びる回動中心O1の回りに例えば過度に回動操作されて、ノブ部材30のノブ軸部33とベース部材20のベース軸部23とを互いに軸ズレさせる力が作用したことに起因してそれらのノブ軸部33とベース軸部23との軸嵌合部が変形する場合でも、その軸嵌合部の変形を、ベース部材20の上記変形制限に伴って制限することができ、その軸嵌合部の変形を抑えることができる。従って、ノブ部材30の回動操作によってノブ部材30のノブ軸部33とベース部材20のベース軸部23とを互いに軸ズレさせる力が作用しても、そのノブ部材30をベース部材20から外れ難くすることができる。
【0052】
特に、上記したリッド12の裏側へのベース部材20の取り付けは、リッド12のリッド延出部13がベース部材20のベース延出部25に対してZ方向外側に当接して配置されるように行われる。このため、その取付後、ベース部材20がZ方向に伸長するように変形することはできず、ベース部材20をZ方向へ変形させる力に対する耐性が更に向上する。従って、ノブ部材30の過度な回動操作でもそのノブ部材30の変形余地を最小に制限することができ、ベース部材20からのノブ部材30の外れ防止の確実性を向上させることができる。
【0053】
この点、ノブ部材30の回動操作に対してノブ部材30をベース部材20から外れ難くするうえで、ノブ部材30のノブ軸部33とベース部材20のベース軸部23との軸嵌合部での両者のラップ量を増やすことは不要である。このため、ベース部材20へのノブ部材30の組み付け時にそのラップ量増加に起因して組み付け抵抗の増加を招くことはなく、組み付け容易性が確保される。
【0054】
このように、本実施形態のリッドロックユニット1の取付構造によれば、ベース部材20へのノブ部材30の組み付け性の低下を招くことなく、ノブ部材30の回動操作に対してノブ部材30をベース部材20から外れ難くすることができる。
【0055】
また、リッド12のリッド延出部13がベース部材20のベース延出部25をZ方向で挟み込むように二股状に形成されている。この構造においては、リッド12の裏側へのベース部材20の取り付け後、ベース部材20がZ方向に収縮するような変形が、上下二箇所のベース延出部25a,25bそれぞれが第一リッド延出部13aの下方側の延出片部14b又は第二リッド延出部13bの上方側の延出片部15bに当接するまでに制限され、その当接後は、ベース部材20をZ方向収縮側へ変形させる力に対する耐性が向上する。このため、上記の取り付け後、車両振動などでベース部材20がリッド12から外れ易くなるのを防止することができる。
【0056】
ところで、上記の実施形態においては、リッド12の第一リッド延出部13aと第二リッド延出部13bとのZ方向離間距離Lが、ベース部材20の第一ベース延出部25aと第二ベース延出部25bとのZ方向離間距離Bの自然長B0よりも小さくなるように設定されている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、そのZ方向離間距離Lがその自然長B0以上であってもよい。但し、このZ方向離間距離Lは、ノブ部材30が過度に回動操作された際にベース部材20のベース延出部25がリッド12のリッド延出部13に当接することで、そのノブ部材30がベース部材20から外れるのを防止できる距離に設定されていればよい。
【0057】
また、上記の実施形態においては、リッド12のリッド延出部13がベース部材20のベース延出部25をZ方向で挟み込むように二股状に形成される。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、ベース部材20のベース延出部25がリッド12のリッド延出部13をZ方向で挟み込むように二股状に形成されるものであってもよい。
【0058】
また、上記の実施形態においては、リッド延出部13がベース部材20のベース延出部25をZ方向で挟み込むように二股状に形成されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、図8に示す如く、第一リッド延出部13a及び第二リッド延出部13bがそれぞれ、ベース部材20のベース延出部25に対してZ方向外側に隣接する部分のみを有するように形成されるものに適用されるものであってもよい。
【0059】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:リッドロックユニット、10:グラブボックス、12:リッド、13:リッド延出部、13a:第一リッド延出部、13b:第二リッド延出部、20:ベース部材、23:ベース軸部、25:ベース延出部、25a:第一ベース延出部、25b:第二ベース延出部、30:ノブ部材、33:ノブ軸部、40:開閉機構、41:アーム部材、42:付勢部材。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8