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特許7265484ガラス製造処理でのガラスリボン急冷装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ガラス製造処理でのガラスリボン急冷装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
C03B17/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019554620
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018025822
(87)【国際公開番号】W WO2018187283
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】62/481,221
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】油田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル,アンモル
(72)【発明者】
【氏名】マーカム,ショーン ラシェル
(72)【発明者】
【氏名】オズターク,アルパー
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヴィナイ エー
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジェ ヒュン
【審査官】中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特公昭55-014064(JP,B1)
【文献】特表2014-518190(JP,A)
【文献】特開平05-124833(JP,A)
【文献】特開平03-001096(JP,A)
【文献】米国特許第03223510(US,A)
【文献】特開2013-071888(JP,A)
【文献】特公昭46-002589(JP,B1)
【文献】特表2014-529570(JP,A)
【文献】特開2014-070000(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01054322(GB,A)
【文献】特開平08-245235(JP,A)
【文献】特開2012-176885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/06
C03B 37/08
C03B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシート製作装置において、
ガラスリボンを、供給された溶融ガラスから形成する形成装置と、
前記形成装置に隣接して前記ガラスリボンを囲み、該ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する転移部材と、
前記内部空間内に配置され、外面および内側通路を画定する管、並びに、前記外面から突出するフィンを含む第1の熱伝達装置と
を含み、
前記第1の熱伝達装置は、下流側隔壁により下流側を確定される転移上側領域に配置され、前記フィンの前記管から延伸する方向が、前記第1の熱伝達装置の近傍で予想される空気流領域の方向と対応するよう下流側方向に向けられる装置。
【請求項2】
前記フィンは、前記外面との交点における固定端部、および、前記固定端部の反対側の自由端部を含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管の長軸に垂直な断面において、前記フィンは、前記固定端部から前記自由端部までの高さ方向の高さ、および、前記高さ方向に垂直な方向の幅を画定するものであり、
更に、前記固定端部での前記フィンの幅は、前記外面によって画定される最大外側寸法未満である、請求2に記載の装置。
【請求項4】
前記管は、円筒状であり、前記最大外側寸法は、該管の外径である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フィンは、略平坦な板であるか、または、翼形状を含むものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記内側通路と流体連通する冷却流体源を、
更に含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ガラスリボンは、反対を向いた第1および第2の主要面を画定するものであり、
更に、前記第1の熱伝達装置は、前記第1の主要面に隣接配置されたものであり、
前記第2の主要面に隣接して前記内部空間内に配置され、外面および内側通路を画定する管、並びに、その前記外面から突出するフィンを含む第2の熱伝達装置を、
更に含む、請求項1から6のいずれか1項に請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記形成装置は、桶部を含むものであり、
前記ガラスリボンを、前記形成装置から前記転移部材を通って、ダウンドロー経路に沿って引き出すドロー装置を、
更に含む、請求項1から7のいずれか1項に請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ガラスリボンを形成装置から引き出すドロー装置において、
前記形成装置に隣接して前記ガラスリボンを囲み、該ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する転移部材と、
前記内部空間内に配置されて、外面および内側通路を画定する管、および、前記外面から突出するフィンを含む熱伝達装置と
を含み、
前記熱伝達装置は、下流側隔壁により下流側を確定される転移上側領域に配置され、前記フィンの前記管から延伸する方向が、前記熱伝達装置の近傍で予想される空気流領域の方向と対応するよう下流側方向に向けられる装置。
【請求項10】
前記フィンは、前記外面との交点における固定端部、および、前記固定端部の反対側の自由端部を含むものである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記管の中心軸に垂直な断面において、前記フィンは、前記固定端部から前記自由端部までの高さ方向の高さ、および、前記高さ方向に垂直な厚さ方向の厚さを画定するものであり、
更に、前記固定端部での前記フィンの厚さは、前記外面によって画定される最大外側寸法未満である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記管は、円筒状であり、前記最大外側寸法は、該管の外径である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フィンは、略平坦な板であるか、または、翼形状を含むものである、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2017年4月4日出願の米国仮特許出願第62/481,221号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ガラス製造装置および方法に関する。特に、ガラス製造処理またはシステムの一部として、ガラスドロー装置などを用いて生成されたガラスリボンの冷却処理に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なガラス製造システムにおいて、様々な未加工構成物質またはバッチ材料が、溶融炉に導入または「装入」される。バッチ材料は溶融されて、システムの製作部へと流入可能な粘性溶融材料を形成する。粘性溶融材料は、冷却された時に、ガラスを形成する。
【0004】
ガラスシートまたは他のガラス物品を、未加工材料の溶融によって製造することが知られている。フュージョン処理として知られた、そのような処理の1つにおいて、溶融ガラスは、形成体の桶部の側面から溢れる。別々の流れは、次に、形成体の底部で再結合または融合し、連続したガラスリボンを形成する。次に、ガラスリボンは、別々のガラスシートに切断される。フュージョン処理をガラス製造作業で用いて、フラットパネルディスプレイを含む様々な製品で使用される薄いガラスシートを製造する。
【0005】
従来のフュージョン処理では、形成体は、(「マッフル」とも称される)囲い内に維持され、ガラスリボンは、(例えば、一連のローラによって引っ張られるか、または、引き出されて)形成体から出る時に、転移部材または覆い部によって囲まれている。覆い部は、その役割の1つとして、覆い部によって画定されてガラスリボンを囲む領域で、望ましい熱的環境を維持しうる。1つ以上の熱伝達部または装置が、転移部材に、または、転移部材に隣接した領域に、ガラスリボンの進行経路に沿った様々な位置で、例えば、形成体と第1の(または、最上流側の)組のローラの間に配置されることが多く、望ましい熱的効果を提供するように動作する。いくつかの例において、ガラスリボンの熱的環境から熱を取り出すのが望ましいことがありうる。例えば、円筒状の冷却管(または、「バヨネット」)を、形成体に近接配置された転移部材内に配置して、熱的環境を冷却する(つまり、放射による熱を取り出す)ように働きうるので、ガラスリボンは、形成体を出たらすぐに冷却されうる。この技術は実現可能でありうるが、低温のバヨネットと高温のガラスリボンにより、熱的環境が不安定になりうる。このような不安定性は、次に、生成されたガラスに望ましくない変動(波状模様)を生じうる。
【0006】
上記のような従来のセルについての問題は、形成されたガラスリボンが、囲まれた空間で放射冷却条件に曝される他のガラス製造技術においても生じうる。例えば、ガラスを製造するスロット形成処理、フロート処理、および、フルコール処理の全てで、放射冷却装置を組み込みうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本明細書において、ガラスリボンをガラス製造処理において冷却する代わりの装置および方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、形成装置、転移部材、および、熱伝達装置を含むガラスシート製作装置に関する。形成装置は、ガラスリボンを、供給された溶融ガラスから形成する。転移部材は、形成装置に隣接してガラスリボンを囲み、ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する。熱伝達装置は、内部空間内に配置され、管およびフィンを含む。管は、外面および内側通路を画定する。フィンは、外面から突出する。この構成で、熱伝達装置は、渦流の形成を最小にしながら、ガラスリボンによって放射された熱を取り出すように機能する。いくつかの実施形態において、フィンは、細長い板であるか、または、それに類似したものである。他の実施形態において、フィンは、翼形状を有しうる。
【0009】
更に、本開示の他の実施形態は、ガラスリボンを形成装置から引き出すドロー装置に関する。ドロー装置は、転移部材と熱伝達装置を含む。転移部材は、形成装置に隣接してガラスリボンを囲む。転移部材は、ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する。熱伝達装置は、内部空間内に配置されて、管およびフィンを含む。管は、外面および内側通路を画定する。フィンは、外面から突出する。
【0010】
本開示の更に他の実施形態は、ガラスシート製作方法に関する。その方法は、ガラスリボンを、転移部材を通して向ける工程を含む。転移部材は、ガラスリボンを囲み、ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する。ガラスリボンを向ける工程中に、熱伝達装置を用いて、内部空間から熱が取り出される。熱伝達手段は、内部空間内に位置する。熱伝達手段は、内部空間内に配置されて、管およびフィンを含む。管は、外面および内側通路を画定する。フィンは、外面から突出する。いくつかの実施形態において、熱が取り出される工程は、内部空間内の空気流をフィンに沿って向けて、熱伝達装置の領域の内部空間内で実質的に層流状の空気流を提供する工程を含む。
【0011】
更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から明らかであるか、または、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。
【0012】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が、様々な実施形態を記載し、請求した主題の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると、理解すべきである。添付の図面は、様々な実施形態の更なる理解のために含められたものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を示し、明細書の記載と共に、請求した主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の原理に基づくガラス製造装置を示す概略図であり、部分要素をブロックで示している。
図2A図1のガラス製造装置で有用な本開示の原理に基づく熱伝達装置を簡略に示した斜視図である。
図2B図2Aの熱伝達装置の2B-2B線に沿った断面図である。
図3A】本開示の原理に基づく他の熱伝達装置を簡略に示す端面図である。
図3B】本開示の原理に基づく他の熱伝達装置の断面図である。
図3C】本開示の原理に基づく他の熱伝達装置を簡略に示す斜視図である。
図3D】本開示の原理に基づく他の熱伝達装置の断面図である。
図4図1のガラス製造装置の一部を簡略に示す側面図であり、ガラスリボンを形成装置から引き出すドロー装置を含み、更に、本開示の原理に基づく熱伝達装置を含む。
図5】ガラスリボンを引き出しながら、時間の経過に亘って、図4のドロー装置に類似したドロー装置の一部に沿って計算した温度領域であり、熱伝達装置は省かれている。
図6】ガラスリボンを引き出しながら、時間の経過に亘って、本開示の原理に基づく熱伝達装置を含むドロー装置の一部に沿って計算した温度領域である。
図7】ガラスリボンを引き出しながら、時間の経過に亘って、従来の熱冷却装置を含むドロー装置の一部に沿って計算した温度領域である。
図8】本開示の原理に基づく他のドロー装置を含むガラス製造装置の一部を簡略に示す側面図である。
図9】本開示の原理に基づく他のドロー装置を含むガラス製造装置の一部を簡略に示す側面図である。
図10】本開示の原理に基づく他のドロー装置を含むガラス製造装置の一部を簡略に示す側面図である。
図11】本開示の原理に基づく他の熱伝達装置を拡大して簡略に、ガラスリボンと相対的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、ガラスリボン冷却装置および方法並びにガラス製造作業の様々な実施形態を、詳細に記載する。全図を通して、同じ、または、類似の部分を称するには、可能な限り同じ参照番号を用いている。図1は、概して、ドロー操作でガラスを製造するのに用いられるガラス製造装置を示す。ガラス製造装置は、バッチ材料を溶融ガラスへと処理し、溶融ガラスは、次に、形成装置に導入され、そこから、溶融ガラスは流れて、ガラスリボンを形成する。以下の記載は、ガラスシートをフュージョンガラス製造処理で形成するものとして示しているが、本明細書に記載の原理は、溶融ガラスが閉鎖または部分的に閉鎖された空間に収容されて、溶融ガラスから生成されたガラスリボンの冷却が望まれるような広範囲の状況で利用可能である。したがって、本明細書に開示した原理は、以下の具体的な実施形態によって限定されるものではなく、例えば、フロート、アップドロー、スロット式、および、フルコール式処理などの他のガラス製造処理で用いうる。
【0015】
ここで、図1を参照すると、フュージョン処理を組み込んで、ガラスリボンを製造するガラス製造装置100を示している。ガラス製造装置100は、溶融槽110、清澄槽115、混合槽120、送出槽125、形成装置135、ドロー装置200、および、切断装置150を含む。ガラス製造装置100は、バッチ材料を溶融し合わせて溶融ガラスにし、溶融ガラスを予備的形状に分布させ、ガラスが冷却されて粘度が高まる時に、ガラスリボン105に張力を加えて、ガラスリボン105の寸法を制御し、更に、ガラスが粘弾性転移を経て、ガラスシート155に安定した寸法特性を与える機械的物性を有するようになった後に、ガラスリボン105を切断して、別々のガラスシート155にすることによって、連続したガラスリボン105をバッチ材料から製造する。ガラスリボン105の粘弾性領域は、ガラスの軟化点からガラスの歪点まで略延伸する。歪点より低い温度では、ガラスは弾性的振舞いをすると考えられる。
【0016】
作業において、ガラスを形成するためのバッチ材料は、矢印112が示すように、溶融槽110に導入され、溶融されて溶融ガラス126を形成する。溶融ガラス126は、溶融槽110の温度より高温で維持される清澄槽115に流入する。溶融ガラス126は、清澄槽115から混合槽120に流入し、そこで、溶融ガラス126は混合処理されて、溶融ガラス126は均質になる。溶融ガラス126は、混合槽120から送出槽125に流れ、送出槽125は、溶融ガラス126を、下降管130通して、投入部132、更に、形成装置135へと送出する。
【0017】
図1に示した形成装置135をフュージョンドロー処理で用いて、高い表面品質、および、低い厚さ変化を有するガラスリボン105を製造する。形成装置135は、溶融ガラス126を受け取る開口部136を含む。溶融ガラス126は、桶部137に流入し、次に、溢れて、更に、形成装置135の底縁部(根元部)139の下方で互いに融着される前に、桶部137の側面を2つの部分的なリボン部分として流れ落ちる。まだ溶融ガラス126である2つの部分的なリボン部分は、形成装置135の根元部139より下方位置で、互いに合流し(例えば、融着し)、それによって、ガラスリボン105を形成する。ガラスリボン105は、ドロー装置200によって、形成装置135から引き出される。本明細書で示し記載した形成装置135は、フュージョンドロー処理を行っているが、限定するものではないが、スロットドロー装置などを含む他の形成装置を用いうると、理解すべきである。
【0018】
ドロー装置200は、1つ以上のローラアセンブリ210を含む。転移部材または覆い部212は、根元部139より下方でガラスリボン105の上側領域を囲み、更に、形成装置135を収容する上側囲い部またはバッフル214と接続する。ローラアセンブリ210は、ドロー装置200に沿った位置に配列されて、ガラスリボン105がドロー装置200に沿って移動する時に、ガラスリボン105に接触する。各ローラアセンブリ210は、軸部220、および、軸部220の上に配置された接触またはロール面222を含む。接触面222は、ガラスリボン105に接触するのに適した様々な形状を想定しうる。当業者なら分かるように、支持構造物、ベアリング、および、駆動力手段(例えば、駆動モータ)も、必要に応じて備えうる。つまり、1つ以上のローラアセンブリ210を駆動させる一方、他のローラアセンブリ210は、自由輪でありうる(例えば、非駆動アイドルローラ)。図1に示した実施形態において、各ローラアセンブリ210は、ガラスリボン105の幅の一部だけに亘って延伸し、各々、ガラスリボン105の縁部に近接配置される。他の実施形態において(不図示)、1つ以上のローラアセンブリ210が、ガラスリボン105の全幅に亘って延伸する。どちらの場合でも、1つ以上のローラアセンブリ210が、ガラスリボン105を、ガラスリボン105の幅に対して横切る向きに延伸するドロー経路に沿って引き出す役割を果たしうる。
【0019】
少なくとも1つの熱伝達装置250が、ガラス製造装置100に備えられ、いくつかの実施形態において、図1に概略的に示したように形成装置135の根元部139に近接配置されたドロー装置200の構成要素と考えられうる。本開示の熱伝達アセンブリを、詳細に以下に示す。概して、熱伝達装置250は、カラスリボン105の環境において(例えば、転移部材212の中で)、ガラスリボン105から放射された熱を取り出すか、または、吸収する役割を果たして、その環境内の対流セルを維持または管理するように、空気流渦の形成を最小にしながら、ガラスリボン105の望ましい冷却を実現する。
【0020】
本開示の原理に基づく熱伝達装置250の一実施形態を、図2A、2Bに簡略に図示し、それは、管260およびフィン262を含む。概して、フィン262は、管260の外面に取り付けられ、そこから突出し(任意で、管260およびフィン262は、1つの均質な一体化された本体として備えられ)、熱伝達装置250に沿うか、または、それを中心とした流体の流れに影響を与えて、方向付けるように構成される(例えば、大きさ、形状、または、他の物理的特徴)。
【0021】
管260は、外面270、および、少なくとも1つの内側通路272を形成または画定する細長い本体でありうる。管260の細長い形状は、長軸Aを画定する。いくつかの限定するものではない実施形態において、管260の形状は、直円筒状であるか、それに類似した形状である。これらの限定するものではない構造で、図2Bの横断方向の(換言すれば、長軸Aに垂直な平面で見た)断面図において、外面270の形状は、円形または略円形(つまり、真円形から5%以内)である。したがって、管260の(横断面での)最大外側寸法TMAXは、外面270が生成した円形の直径でありうる。いくつかの実施形態において、外面270の形状は、管260の反対を向いた第1および第2の端部274、276の間で、均一または略均一で(つまり、真に均一から5%以内)である。規則的または不規則な形状を含む他の形状も可能でありうる。いずれの場合も、管260は、予想されるガラス製造温度下でも、その構造的完全性を維持するように選択された材料で形成され、熱伝導性を有する(例えば、金属)。
【0022】
いくつかの実施形態において、熱伝達装置250は、熱を、外面270で、管260を通って流れる流体(例えば、水などの液体)に伝達するように構成される。したがって、内側通路272は、熱伝達流体(不図示)に流路を提供する。内側通路272は、再循環式流路を、入口280および出口282を第1の端部274で有する管260内に確立しうる(つまり、第2の端部276について、内側通路272は閉鎖されている)。出口282が第2の端部276で形成または開口した構成など、他の構成も可能である。更に他の実施形態において、管構造部の中に管がある構成など、2つ以上の内側通路272を形成しうる。いずれの場合でも、熱伝達装置250は、冷却流体源(不図示)を更に含む熱伝達アセンブリの一部として備えられ、冷却流体源は、内側通路272と流体連通して、冷却流体を、内側通路272を通って循環させるように動作しうる。
【0023】
フィン262は、取り付けられて、外面270から突出する。フィン262は、反対を向いた第1および第2の側面290、292の間に延伸する細長い形状を有し、換言すれば、概して長軸Aに対応する。図2Bの横断方向の断面図について、外面270から突出するフィン262は、固定端部294および自由端部296を画定するものとして観察されうる。固定端部294は、フィン262が外面270と交差する点または線に対応する。自由端部296は、固定端部294の反対側である。フィン262の反対を向いた第1および第2の面300、302は、端部固定と自由端部294、296の間に延伸する。したがって、フィン262は、固定端部294と自由端部296の間の高さ方向304の高さH(例えば、外面270から自由端部296までの直線距離)、および、高さ方向304に垂直な方向の幅W(例えば、第1の面300と第2の面302の間の直線距離)を画定する。いくつかの実施形態において、フィン262は、横断方向の断面図(例えば、図2B)について、フィン262の固定端部294での幅Wが、管260の最大外側寸法TMAX未満となるように構成される。
【0024】
フィン262の形状は、以下に非常に詳細に記載するように、空気流に影響を与えるか、または、それを管理するように構成されるのが望ましい。いくつかの実施形態において、フィン262は、図2Bに示した横断面が矩形である板に類似したものでありうる。これらの構造および関連した構造において、第1および第2の面300、302は、各々、平坦か、または、略平坦(つまり、真に平坦な形状から10%以内)で、反対を向いた側面290、292の間に平行または略平行(つまり、真に平行な関係から10%以内)に延伸しうる(図2A)。他の構成も可能でありうる。例えば、フィン262の幅Wは、先細であるか、または、固定端部と自由端部294、296の間で変化しうる。他の実施形態において、反対を向いた面300、302の一方または両方が、1つ以上の曲面を組み込みうる。図3Aは、例えば、本開示の原理に基づく代わりの熱伝達装置250aを簡略に示した端面図であり、上記管260をフィン262aと共に含んでいる。図3Aの実施形態において、フィン262aは、対称な翼形状を有し、反対を向いた面300a、302aが1つ以上の曲面を示している。他の翼形状も可能であり、対称でなくてもよい。同様に、図2A、2Bに戻ると、反対を向いた面300、302は、同一形状でも、同一構成でもある必要はない。反対を向いた面300、302の一方または両方が、凸部および/または凹部などの表面不規則部を含むか、形成しうる。
【0025】
いくつかの実施形態において、フィン262は、中実で連続した構造物または本体でありうる。他の実施形態において、フィン262は、フィン262に沿った空気流に影響する1つ以上の孔または空隙を含みうる。例えば、図3Bの代わりの熱伝達装置250bは、上記のような管260を、フィン262bと共に含む。図3Bの実施形態において、フィン262bは、穴あき構造を有し、フィンの厚さを貫通する複数の孔306を画定している(例えば、1つ以上の孔306が、反対を向いた面300b、302bの両方に開口している)。
【0026】
図2A、2Bに戻り、いくつかの実施形態において、フィン262の形状は、反対を向いた第1および第2の側面290、292の間に略均一(つまり、真に均一な形状から10%以内)に延伸しうる。他の実施形態において、フィン262は、非均一な構造を有しうる。例えば、1つ以上の中断部が、フィン262の長さに沿って形成されうる。関連した実施形態において、図3Cの代わりの熱伝達装置250cに反映されているように、フィン262cは、2つの(または、それより多数の)縦方向に離間したフィン部分308、310によって、集合的に画定されうる。フィン部分308、310は、同一形状を有しても、そうでなくてもよい。図2A、2Bに戻り、他の実施形態において、本開示の熱伝達装置は、管260から円周方向に離間した位置で突出する2つの(または、それより多数の)262を含みうる。図2Aは、フィン262の細長い形状は、概して、管260の長軸Aと位置合わせされるか、または、それと平行でありうるのを示しているが、他の配列も可能でありうる。例えば、フィン262は、らせん状の形状を有し、管260を中心に、らせん状に巻かれるか、その代わりに、フィン262の細長い形状は、長軸Aから、ずれうる(例えば、フィン262の反対を向いた側面290、292は、長軸A方向に直線状に位置合わせされる必要はない)。更に、フィン262の長さを、管260の長さに概して対応するように示しているが(例えば、限定するものではない図2Aの配列において、フィン262の第1の側面290は、管260の第1の端部274から僅かに離間し、フィン262の第2の側面292は、管260の第2の端部276から僅かに離間する)、他の構造も可能でありうる。例えば、フィン262の側面290、292の一方または両方が、管260の対応する端部274、276に、更に近くても、更に離れていてもよい。
【0027】
他の実施形態において、本開示の熱伝達装置は、管およびフィンを、1つの均一な本体または構造物として備える。例えば、図3Dは、本開示の原理に基づく他の実施形態の熱伝達装置250dを示し、管部260d、および、フィン部262dを含む。熱伝達装置250dは、図示したように、横断面で、翼形状を有する。他の形状も可能である。
【0028】
図4は、ガラス製造処理における、図1のドロー装置200の一部としての熱伝達装置250の1つの配列を示している。概して、転移部材212の壁部は、ガラスリボン105が進行する(概して称する)内部空間318を画定し、熱伝達装置250は、内部空間318内のどこかに配置されうる。いくつかの実施形態において、参考のために、1つ以上の領域またはゾーンをドロー装置200に沿って画定しうるもので、それらは、概して、ガラスリボン105が形成装置135の根元部139から下流側方向320(例えば、ダウンドロー方向)に進行して、柔軟だが厚い液体から堅いガラスへと変形する時のガラスリボン105の状態に対応する(ガラスリボン105は、物理的寸法だけではなく、分子レベルで、複雑な構造変化を経験することが分かる)。転移上側領域322は、根元部139で始まり、概して、ガラスリボン105が粘性を有するか、粘性状態の領域に対応する。いくつかのガラス製造処理で、上流側隔壁またはゲート324、並びに、下流側隔壁またはフラッパ326が含まれ、転移部材212は、ガラスリボン105が根元部139から出る時に、ある程度の断熱効果をガラスリボン105の環境に提供する役割を果たしている。下流側隔壁326が備えられた場合には、下流側隔壁326は、転移上側領域322の下流側範囲を画定するものとして観察されうる。転移下側領域328は、転移上側領域322の下流側で、第1の対のローラ330と略同じ位置か、または、そのすぐ上流側に特定されうる。第1の対のローラ330の(図4で、210a、210bと特定された)ローラアセンブリの一方または両方が、ローラによって駆動され、ガラスリボン105に引っ張る力を加えうる。転移中間領域332は、転移上側領域302と転移下側領域328の間に特定されうる。転移中間領域332は、(下流側隔壁326が備えられた場合には)下流側隔壁326で始まる。ガラスリボン105は、転移中間領域332および転移下側領域328を通って進行する時に、粘性状態から粘弾性状態および/または弾性状態へと変形すると考えられる。したがって、図4には示していないが、例示的な熱伝達装置250は、内部空間318の任意の位置に備えられうるもので、位置は、限定するものではないが、転移上側領域322、転移下側領域328、転移中間領域332、および、内部空間318によって画定される他の領域を含みうる。
【0029】
したがって、熱伝達装置250は、ガラスリボン105に比較的近接するが、離間するように配列される。ガラスリボン105は、反対を向いた第1および第2の主要面340、342を有するものとして観察されうる。熱伝達装置250は、第1の主要面340に近接するが、そこから離間して位置する。いくつかの実施形態において、熱伝達装置250と第1の主要面340の間に、他の物理的構造物な何も配置されずに、図4の限定するものではない構成では、熱伝達装置250は、ガラスリボン105に対して「直視型」熱伝達装置と考えられうる。(例えば、水などの冷却流体が管260を通って流れる)使用中に、熱伝達装置250は、ガラスリボン105から放射を介して熱を吸収するか、または、取り出すように機能する。更に、フィン262は、空気流が妨げられるのを最小にするか、並びに/若しくは、熱伝達装置250およびガラスリボン105からすぐの環境において安定した流れ領域を容易に提供するように、空間的に配置される。
【0030】
いくつかの実施形態において、熱伝達装置250は、図示したように、転移上側領域322に配置され、フィン262が管260から延伸する方向が、熱伝達装置250の近傍で予想される空気流領域の方向と対応するように向けられる。例えば、転移上側領域322は、ガラスリボン105の第1の主要面340、および、第1の主要面340に最も近い転移部材212の壁部(例えば、上流側隔壁324、下流側隔壁326、および、第1の主要面340に最も近接した側壁部分346)を境界とする空気空隙部344を有するか、または、画定するものとして観察されうる。ガラスリボン105は、根元部139から出る時に、非常に高温であり、熱を空気空隙部344に放射する。熱伝達装置250の温度は、(例えば、冷却流体が管260を通って流れる状態では)ガラスリボン105の温度より十分低く、空気空隙部344の熱は、熱伝達装置250によって、吸収されるか、または、取り出される。ガラスリボン105と熱伝達装置250の温度差は、空気空隙部344内に対流セルを形成する。特に、ガラスリボン105の近傍の空気は上昇し、上流側隔壁324の下で、(図4の向きと相対的に)右に曲がり下降する。更なる説明として、図5A~5Cは、熱伝達装置250(図4)を備えずに、転移上側領域の空気空隙部344を通って進行するガラスリボン105について、時間の経過に亘って計算した温度領域を示している。上記のような空気流または流れ346、並びに、対流セル348が、特定されている。明確にしておくが、図5A~5Cの温度領域の計算では、理解を助けるために、熱伝達装置250は、含まれも、考慮もされていないが、本開示のいくつかのドロー装置に含みうる中間壁部350および冷却装置352などの他の任意の構成要素を反映して、図示している。いくつかの従来のフュージョン式ガラス製造システムでは、冷却装置352(換言すれば、上記のような熱伝達装置ではない)は、中間壁部350の「後方に」備えられ、したがって、ガラスリボン105に対して、「直視型」配列ではない。図5A~5Cは、空気空隙部344内に強力な対流セルパターンが存在する間に、温度領域は、異なる時間段階で実質的に同じであることを示しており、安定した流れを意味する。
【0031】
図4に戻り、熱伝達装置250は、フィン262が、上記のような予想される空気流パターンの方向に延伸するか、向けられるように、配列されている。例えば、図4の限定するものではない実施形態について、熱伝達装置250は、フィン262が管260から下流側方向に延伸するように配列される。図6A~6Cの計算した温度領域は、この向きの影響を、時間の経過に亘って示している。参考のために、図6A~6Cの計算した温度領域を生成するのに用いたパラメータまたは制約条件は、図6A~6Cでは、(流れパターンと相対的なフィン262の向きを含む)熱伝達装置250の存在および冷却効果を考慮した以外は、図5A~5Cのものと同一である。図6A~6Cは、転移上側領域の空気空隙部344の略中心の空気流に向けられたフィン262を含む熱伝達装置250を用いた場合の温度領域は、時間の経過に亘って、安定した流れパターンを示すことを明らかにしている。そのように向けられたフィン262は、流れを円滑にさせる。更に図4を参照すると、いくつかの実施形態において、熱伝達装置250の領域における流れパターンは、下流側方向320と対応し、熱伝達装置250は、フィン262が管260から延伸する方向が下流側方向320と対応するように向けられうる。少なくとも部分的には、熱伝達装置250についての流れ条件に基づく多数の他の向きも、可能である。
【0032】
熱伝達装置250の構造および向きは、任意で更に、ガラスリボンからすぐの環境において、渦放出の削減を示すとも記載しうる。図7A~7Cは、転移上側領域の空気空隙部344で、ガラスリボン105および冷却装置356によって生成された温度領域を、時間の経過に亘って計算して示している。冷却装置356は、本開示の熱伝達装置と異なり、フィン262(図2A)を含まない。図7A~7Cの温度領域には不安定さがある。特に、冷却装置356が対流セル/空気流の場所にあることで、渦放出を生じ、不安定な流れ(および、温度)領域が発生する。図6A~6Cを、図7A~7Cと比較すると、本開示の熱伝達装置は、空気流と相対的に有利に向けられたフィン262を含むことで、従来からガラス製造システムで採用された冷却装置と比べて、渦放出の形成を最小にすることが明らかである。その代わりに、または、追加で、図7A~7Cに例示した従来の構造とは違い、本開示の熱伝達装置は、熱伝達装置の領域内で、層流状または実質的に層流状の流れ(つまり、真に層流状の流れから5%以内)を確立するように構成されているとも記載しうる。
【0033】
図4に戻り、本開示の熱伝達装置250は、多すぎるような異なるガラス製造技術およびガラス組成物を用いた場合にも有用でありうる。限定するものではない例として、図4に反映されたフュージョンによるアプローチを用いた場合に、いくつかのガラス組成物(例えば、Allanらによる米国特許第8,429,936号明細書に記載された約100,000ポアズ未満の液相粘度を有するガラスなどの低粘度ガラスであり、その教示が、全体として参照により本明細書に組み込まれる)について、ガラスリボン105が、転移上側領域302で急冷されて、ガラスで「弛み反り」の発生をなくすのが望ましいことがありうる。いくつかの場合において、「直視型」冷却アプローチは、要求されるレベルのガラスリボン冷却を行うために必要である。しかしながら、図7A~7Cが示すように、従来の直視型冷却技術は、望ましくない不安定な温度領域を生成し、それは、次に、ガラスリボン105を不完全にしうる(例えば、主要面340、342上で波状模様の形成)。本開示のいくつかの実施形態は、これらの問題を解決するものである。特に、本開示の熱伝達装置が上記のように設置されて向けられた場合には、対応するガラスリボン105の主要面340、342で生成される温度領域への悪影響を最小にするか、無くして、望ましい直視型冷却を行いうる。
【0034】
熱伝達装置250の構成、並びに、形成装置135およびガラスリボン105に対する熱伝達装置250の位置を含む図4のドロー装置200の構成は、本開示の原理に基づく一例であり、限定するものではない。例えば、図8に概して反映された代わりのドロー装置200aは、上記中間壁部350および冷却装置352などの更なる壁部および/または冷却装置を含みうる。熱伝達装置250は、中間壁部350とガラスリボン105の間に位置するので、直視型熱伝達装置として機能する。いくつかの実施形態において、熱伝達装置250を、既存のドロー装置に設置または追加で組み込んで、中間壁部350および冷却装置352を(更に、例えば、転移中間領域332、転移下側領域328に位置する追加の冷却装置も)既存のドロー装置の一部として備えうる。
【0035】
他の実施形態において、ガラス製造システムで、2つ以上の本開示の熱伝達装置を備えうる。例えば、図9は、本開示の原理に基づく他のドロー装置200bを示し、2つの熱伝達装置250a、250bを含む。第1の熱伝達装置250aは、ガラスリボン105の第1の主要面340に対して、直視型熱伝達装置として配置され、第2の熱伝達装置250bは、第2の主要面342に対して、直視型熱伝達装置として配置される。更に他の実施形態において、例えば、図10のドロー装置200cに概して反映されたように、熱伝達装置250は、ガラスリボン105の進行経路に沿った他の位置に配置されうる。
【0036】
本開示の熱伝達装置は、ガラス製造処理中に静止したままであるように構成され、設置されうる。他の実施形態において、熱伝達装置は、選択的に移動自在でありうる。例えば、図11は、ガラスリボン105と相対的に設置された本開示の原理に基づく他の熱伝達装置360の一部を簡略に示している。熱伝達装置360は、上記管260およびフィン262を、作動機構362と共に含む。作動機構362は、機械的に管260に連結され、モータまたは同様の装置を含む。作動機構362は、フィン262の空間的向き(または、位置)を、管260を長軸Aを中心に回転させるなどして、変化させるように動作自在である。図11の矢印が示すように、次に、フィン262の空間的向きを望ましいように変えて、例えば、特定のガラス製造処理に関連した空気流または温度領域に対応するようにしうる。異なるパラメータまたは特徴(例えば、ガラスの配合、温度、引き出す時の力など)を有する異なるガラス製造処理を行う場合には、フィン262の異なる向きが望ましいことがありうるもので、作動機構362は、このような異なる向きを実現するように動作する。
【0037】
請求した主題の範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に、様々な変更および変形を行いうる。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態の変更例および変形例が、添付の請求項、および、それらの等価物の範囲である限りは、本明細書は、それらの変更例および変形例を網羅することを意図する。
【0038】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0039】
実施形態1
ガラスシート製作装置において、
ガラスリボンを、供給された溶融ガラスから形成する形成装置と、
前記形成装置に隣接して前記ガラスリボンを囲み、該ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する転移部材と、
前記内部空間内に配置され、外面および内側通路を画定する管、並びに、前記外面から突出するフィンを含む第1の熱伝達装置と
を含む装置。
【0040】
実施形態2
前記フィンは、前記外面との交点における固定端部、および、前記固定端部の反対側の自由端部を含むものである、実施形態1に記載の装置。
【0041】
実施形態3
前記管の長軸に垂直な断面において、前記フィンは、前記固定端部から前記自由端部までの高さ方向の高さ、および、前記高さ方向に垂直な方向の幅を画定するものであり、
更に、前記固定端部での前記フィンの幅は、前記外面によって画定される最大外側寸法未満である、実施形態2に記載の装置。
【0042】
実施形態4
前記管は、円筒状であり、前記最大外側寸法は、該管の外径である、実施形態3に記載の装置。
【0043】
実施形態5
前記フィンは、略平坦な板である、実施形態1に記載の装置。
【0044】
実施形態6
前記フィンは、翼形状を含むものである、実施形態1に記載の装置。
【0045】
実施形態7
前記内側通路と流体連通する冷却流体源を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
【0046】
実施形態8
前記ガラスリボンは、反対を向いた第1および第2の主要面を画定するものであり、
更に、前記第1の熱伝達装置は、前記第1の主要面に隣接配置されたものであり、
前記第2の主要面に隣接して前記内部空間内に配置され、外面および内側通路を画定する管、並びに、その前記外面から突出するフィンを含む第2の熱伝達装置を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
【0047】
実施形態9
前記形成装置は、桶部を含むものであり、
前記ガラスリボンを、前記形成装置から前記転移部材を通って、ダウンドロー経路に沿って引き出すドロー装置を、
更に含む、実施形態1に記載の装置。
【0048】
実施形態10
第1の熱伝達装置は、前記フィンが前記管から延伸する方向が前記ガラスリボンの進行方向と対応するように、向けられたものである、実施形態1に記載の装置。
【0049】
実施形態11
ガラスリボンを形成装置から引き出すドロー装置において、
前記形成装置に隣接して前記ガラスリボンを囲み、該ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する転移部材と、
前記内部空間内に配置されて、外面および内側通路を画定する管、および、前記外面から突出するフィンを含む熱伝達装置と
を含む装置。
【0050】
実施形態12
前記フィンは、前記外面との交点における固定端部、および、前記固定端部の反対側の自由端部を含むものである、実施形態11に記載の装置。
【0051】
実施形態13
前記管の中心軸に垂直な断面において、前記フィンは、前記固定端部から前記自由端部までの高さ方向の高さ、および、前記高さ方向に垂直な厚さ方向の厚さを画定するものであり、
更に、前記固定端部での前記フィンの厚さは、前記外面によって画定される最大外側寸法未満である、実施形態12に記載の装置。
【0052】
実施形態14
前記管は、円筒状であり、前記最大外側寸法は、該管の外径である、実施形態13に記載の装置。
【0053】
実施形態15
前記フィンは、略平坦な板である、実施形態11に記載の装置。
【0054】
実施形態16
前記フィンは、翼形状を含むものである、実施形態11に記載の装置。
【0055】
実施形態17
ガラスシート製作方法において、
ガラスリボンを、前記ガラスリボンを囲み、該ガラスリボンが中を通って進行する内部空間を画定する転移部材を通して向ける工程と、
前記ガラスリボンを向ける工程中に、前記内部空間内に配置され、外面および内側通路を画定する管、並びに、前記外面から突出するフィンを含む熱伝達装置を用いて、前記内部空間から熱を取り出す工程と
を含む方法。
【0056】
実施形態18
前記熱を取り出す工程は、前記内部空間内の空気流を前記フィンに沿って向けて、前記熱伝達装置の領域の該内部空間内で実質的に層流状の空気流を提供する工程を含むものである、実施形態17に記載の方法。
【0057】
実施形態19
前記フィンは、板および翼からなる群から選択された形状を有するものである、実施形態17に記載の方法。
【0058】
実施形態20
溶融ガラスを、形成装置を越えて流して、前記ガラスリボンを形成する工程と、
前記ガラスリボンを、前記形成装置から前記内部空間を通って、ダウンドロー経路に沿って引き出す工程と
を更に含む、実施形態17に記載の方法。
【符号の説明】
【0059】
100 ガラス製造装置
105 ガラスリボン
135 形成装置
139 根元部
155 ガラスシート
200、200a、200b、200c ドロー装置
210 ローラアセンブリ
212 転移部材
220 シャフト
250、250a、250b、250c、250d、360 熱伝達装置
260 管
262、262a、262b、262c、262d フィン
272 内側通路
318 内部空間
324 上流側隔壁
326 下流側隔壁
340 第1の主要面
342 第2の主要面
344 空気空隙部
356 冷却装置
362 作動機構
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11