(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】信号処理方法、信号処理装置、信号処理デバイスおよびコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04B 10/61 20130101AFI20230424BHJP
G06F 17/10 20060101ALI20230424BHJP
H04L 27/01 20060101ALI20230424BHJP
H04L 7/027 20060101ALI20230424BHJP
H04B 10/2569 20130101ALI20230424BHJP
H03H 17/02 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H04B10/61
G06F17/10 D
H04L27/01
H04L7/027
H04B10/2569
H03H17/02 601A
H03H17/02 671C
(21)【出願番号】P 2021531472
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2019126412
(87)【国際公開番号】W WO2020125691
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】201811549215.3
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010548
【氏名又は名称】セインチップス テクノロジー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】叶曉平
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503446(JP,A)
【文献】特開2018-195925(JP,A)
【文献】特開2016-208115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/61
G06F 17/10
H04L 27/01
H04L 7/027
H04B 10/2569
H03H 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック再生入力データを取得するステップと、
前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得るステップと、
前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得るステップと、を含む
信号処理方法。
【請求項2】
前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得る前記ステップは、
位相検出用データを取得するステップと、
前記位相検出用データを位相検出することによって、前記位相検出用データから位相誤差値を抽出するステップと、
前記位相誤差値を用いて前記クロック再生入力データに対し補間処理を行って、クロック再生出力データを得るステップと、を含む
請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
位相検出用データを取得する前記ステップは、
前記クロック再生入力データを周波数領域に変換して、周波数領域のクロック再生入力データを得て、前記周波数領域のクロック再生入力データを周波数領域のブラインド等化処理に用いる周波数領域係数と乗算し、前記位相検出用データを得るか、または
前回得られた周波数領域等化データを前記位相検出用データとすることを含む
請求項2に記載の信号処理方法。
【請求項4】
前記位相誤差値を用いて前記クロック再生入力データに対し補間処理を行って、クロック再生出力データを得る前記ステップは、
時間領域で、前記位相誤差値に基づき前記クロック再生入力データに対し有限インパルス応答FIRフィルタリングを行って、クロック再生出力データを得るか、または
前記クロック再生入力データを周波数領域に変換して、周波数領域のクロック再生入力データを取得し、周波数領域で、前記位相誤差値により前記周波数領域のクロック再生入力データを位相調整して、クロック再生出力データを得ることを含む
請求項2または3に記載の信号処理方法。
【請求項5】
前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得る前記ステップは、
前記クロック再生出力データに基づき周波数領域ブラインド等化入力データを得るステップと、
周波数領域係数を取得するステップと、
前記周波数領域ブラインド等化入力データを前記周波数領域係数と乗算して前記周波数領域等化データを得るステップを含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の信号処理方法。
【請求項6】
前記クロック再生出力データに基づき周波数領域ブラインド等化入力データを得る前記ステップは、
前記クロック再生出力データが時間領域で得られたデータである場合、前記クロック再生出力データを周波数領域に変換して、前記周波数領域ブラインド等化入力データを得ることと、
前記クロック再生出力データが周波数領域で得られたデータである場合、前記周波数領域のクロック再生出力データに基づき前記周波数領域ブラインド等化入力データを得ることと、を含む
請求項5に記載の信号処理方法。
【請求項7】
周波数領域係数を取得する前記ステップは、
時間領域係数を取得し、前記時間領域係数を周波数領域に変換して前記周波数領域係数を得ることを含む
請求項5または6に記載の信号処理方法。
【請求項8】
周波数領域等化データを得る前記ステップの後に、
前記周波数領域等化データを時間領域に変換して時間領域等化データを得ることをさらに含む
請求項7に記載の信号処理方法。
【請求項9】
時間領域等化データを得る前記ステップの後に、
前記周波数領域ブラインド等化入力データおよび前記時間領域等化データに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得るステップをさらに含む
請求項8に記載の信号処理方法。
【請求項10】
前記周波数領域ブラインド等化入力データおよび前記時間領域等化データに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得る前記ステップは、
前記時間領域等化データの誤差を計算して、時間領域誤差データを得るステップと、
前記時間領域誤差データを周波数領域に変換して、周波数領域誤差データを得るステップと、
前記周波数領域誤差データを前記周波数領域ブラインド等化入力データと共役乗算して、相互スペクトルデータを得るステップと、
前記相互スペクトルデータに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得るステップと、を含む
請求項9に記載の信号処理方法。
【請求項11】
前記相互スペクトルデータに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得る前記ステップは、
前記相互スペクトルデータを時間領域に変換して、係数調整量を得ることと、
前記係数調整量を用いて前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得ることと、を含む
請求項10に記載の信号処理方法。
【請求項12】
クロック再生入力データを取得するように設けられた取得ユニットと、
前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得るように設けられた第1の処理ユニットと、
前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得るように設けられた第2の処理ユニットと、を備える
信号処理装置。
【請求項13】
プロセッサと、前記プロセッサで実行されるコンピュータプログラムを記憶するように設けられたメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1から11のいずれか1項に記載の信号処理方法が実行されるように設けられる
信号処理デバイス。
【請求項14】
プロセッサにより実行されると、請求項1から11のいずれか1項に記載の信号処理方法を実現するコンピュータプログラムが記憶された
コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年12月18日に中国特許庁に提出された出願番号を201811549215.3号とする中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を参照によりここに援用する。
【0002】
本願の実施例は、コヒーレント光通信システムの信号処理技術、例えば、信号処理方法、信号処理装置、信号処理デバイスおよびコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
コヒーレント光通信システムにおいて、クロック再生およびブラインド等化はいずれも信号処理に欠かせない部分である。関連技術では、通常、時間領域でブラインド等化を実現するが、その際には、演算量が多くなり、演算による消費電力が増加する。例えば、時間領域でのブラインド等化処理プロセスには、等化器のフィルタリングおよび等化器の係数更新の2つのプロセスが含まれ、これら両プロセスを時間領域で実現する際に多くの複素乗算を要し、演算に伴う消費電力が増加し、ブラインド等化技術の適用がある程度制限される。また、コヒーレント光通信システムにおいて、クロック再生およびブラインド等化は2つの緊密に結びついている部分であり、それらを個別に設計すると、動作が重複する可能性がある。このため、実用化を考慮して、これら2つの部分について1つの全体的なアーキテクチャを連携して設計し、動作の重複を減らして、チップの消費電力を低減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、信号処理方法、信号処理装置、信号処理デバイスおよびコンピュータ記憶媒体を提供し、クロック再生およびブラインド等化について1つの全体的なアーキテクチャを設計することにより、周波数領域でクロック再生およびブラインド等化処理を実現することができ、時間領域でクロック再生とブラインド等化処理を個別に実現する技術案と比べて、演算量および演算の消費電力が低減される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、クロック再生入力データを取得するステップと、前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得るステップと、前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得るステップとを含む信号処理方法を提供する。
【0006】
本願の実施例は、クロック再生入力データを取得するように設けられた取得ユニットと、前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得るように設けられた第1の処理ユニットと、前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得るように設けられた第2の処理ユニットとを備える信号処理装置をさらに提供する。
【0007】
本願の実施例は、プロセッサと、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを記憶するように設けられたメモリとを備え、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、上記の信号処理方法のいずれかが実行されるように設けられる信号処理デバイスをさらに提供する。
【0008】
本願の実施例は、プロセッサにより実行されると、上記の信号処理方法のいずれかを実現するコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】関連技術におけるブラインド等化アルゴリズムのフローブロック図である。
【
図2】本願の実施例が提供する信号処理方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例が提供する信号処理方法のフローブロック図である。
【
図4】本願の実施例が提供する周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
【
図5】本願の実施例が提供する定包絡線アルゴリズム(Constant Modulus Algorithm,CMA)フィルタリングのフローブロック図である。
【
図6】本願の実施例が提供する係数更新のフローブロック図である。
【
図7】本願の実施例が提供するもう1つの周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
【
図8】本願の実施例が提供するもう1つのCMAフィルタリングのフローブロック図である。
【
図9】本願の実施例が提供するもう1つの周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
【
図10】本願の実施例が提供するもう1つのCMAフィルタリングのフローブロック図である。
【
図11】本願の実施例が提供する信号処理装置の構成を示す模式図である。
【
図12】本願の実施例が提供する信号処理デバイスのハードウェア構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面および実施例を参照しつつ、本願について説明する。本明細書に記載する実施例は、本願を説明するためのものにすぎず、本願を限定するものではない。
【0011】
コヒーレント光通信システムでは、光ファイバの楕円度、圧力などのために互いに直交する2つの偏波モードの伝搬速度が異なることから、光ファイバでの伝搬時に、複屈折の効果を呈して、偏波モード分散(Polarization Mode Dispersion,PMD)が生じ、受信側の誤り率が増大し、通信システムの性能が低下する。
【0012】
偏波モード分散を補償し、時変または未知のチャネルの特性に合わせるために、通常、適応等化方法を用いて等化器の係数を適時更新することにより、信号のトレース能力を向上させ、補償の効果を高める。ブラインド等化アルゴリズムは、適応等化方法の1つであり、追加のトレーニング系列が不要であり、チャネル利用率が向上するという利点から広く用いられている。
図1は、関連技術におけるブラインド等化アルゴリズムのフローブロック図である。
図1に示すように、関連技術では、適応アルゴリズムに基づきブラインド等化フィルタリングを実現できる。
【0013】
一般的なブラインド等化アルゴリズムとしてCMAがあり、CMAが提案されてからというもの、多くの学者によってこのアルゴリズムが改良され、運用されてきた。関連技術において、CMAには、等化器のフィルタリングおよび等化器の係数更新の2つのプロセスが含まれ、これら両プロセスはいずれも時間領域で行われ、多くの複素乗算を要し、実用において、チップによりCMAを実現するとチップの演算に伴う消費電力が増加するため、一定の限界がある。
【0014】
また、コヒーレント光通信システムでは、クロック再生も欠かせない部分である。送信側クロックとローカルクロックが一致しないため、一定の位相誤差が生じる。位相誤差があることから、離散信号サンプルは毎回最適なサンプリング位置にあることが保証されず、位相誤差が大きすぎるとブラインド等化のフィルタリング効果に影響し、システム性能が低下する。クロック再生およびブラインド等化は、緊密に結びついた2つのモジュールである。ブラインド等化処理を行う際、クロック再生のプロセスに基づき入力データを取得し、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation,FFT)によって、周波数領域のフィルタリングおよび周波数領域の係数更新を行う必要がある。クロック再生を行う際には、ブラインド等化を用いて周波数領域のフィルタリングを行ったデータに対し、誤差抽出を行う必要がある。クロック再生およびブラインド等化を実現する2つのモジュールを個別に設計すると、両モジュールには重複する処理プロセスが存在する可能性がある。このため、実用化を考慮して、この両モジュールの全体的なアーキテクチャを連携して設計することにより、両モジュールを個別に設計した場合に存在する処理プロセスの重複を減らして、演算を行うチップの消費電力を低減する必要がある。
【0015】
上記記載内容に基づき、以下の実施例を提案する。
【0016】
[実施例1]
本願の実施例1では、コヒーレント光通信システムに応用可能な信号処理方法を提案する。
【0017】
図2は、本願の実施例が提供する信号処理方法のフローチャートである。
図2に示すように、この信号処理方法のフローには以下を含んでよい。
【0018】
ステップ2010:クロック再生入力データを取得する。
【0019】
ステップ2020:前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得る。
【0020】
本実施例において、周波数領域のクロック再生を行う目的は、最適なサンプリング位置でデータを再生するためである。実用において、典型的なコヒーレント光通信システムでは、通常、分散補償によってクロック再生入力データがもたらされる。
【0021】
このステップの実施形態について、例示的に、位相検出用データを取得し、位相検出用データを位相検出することによって位相誤差値を抽出し、この位相誤差値を用いてクロック再生入力データを補間処理してクロック再生出力データを得てよい。
【0022】
位相検出用データを取得する実施形態について、一例では、クロック再生入力データをFFT変換して、周波数領域のクロック再生入力データを得、周波数領域のクロック再生入力データを周波数領域のブラインド等化処理時に用いる周波数領域係数と乗算し、位相検出用データを得てよい。
【0023】
位相検出用データを取得する実施形態について、別の一例では、前回得られた周波数領域等化データを前記位相検出用データとしてよい。
【0024】
一実施形態として、位相検出用データを取得した後、Godard位相検出器で位相検出用データの位相を検出して、位相誤差値を抽出してよい。
【0025】
補間処理の実施形態は、時間領域または周波数領域で実現してよい。
【0026】
時間領域で実現される補間処理のプロセスは、位相誤差値に基づきクロック再生入力データに対して有限インパルス応答(Finite Impulse Response,FIR)フィルタリング(FIRフィルタを用いて実現してよい)を行って、クロック再生出力データを得るというものである。
【0027】
周波数領域で実現される補間処理のプロセスは、クロック再生入力データをFFT変換して、周波数領域のクロック再生入力データを得、周波数領域で、周波数領域のクロック再生入力データを位相調整して、クロック再生出力データを得るというものである。
【0028】
ステップ2030:クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得る。
【0029】
このステップの実施形態について、一例では、クロック再生出力データに基づき周波数領域ブラインド等化入力データを得、周波数領域係数を取得し、周波数領域ブラインド等化入力データを周波数領域係数と乗算して周波数領域等化データを得てよい。
【0030】
本願の実施例において、クロック再生出力データが時間領域で得られたデータである場合、クロック再生出力データをFFT変換することにより、周波数領域ブラインド等化入力データを得てよい。
【0031】
クロック再生出力データが周波数領域で得られたデータである場合、周波数領域のクロック再生出力データに基づき、前記周波数領域ブラインド等化入力データを得てよい。
【0032】
実用において、周波数領域のブラインド等化処理に用いるブラインド等化アルゴリズムは限定されず、例えば、CMAを用いて周波数領域のブラインド等化処理を行ってよく、その場合には、周波数領域ブラインド等化入力データを周波数領域CMA入力データとして記述する。
【0033】
一実施例では、周波数領域係数は周波数領域のブラインド等化処理に必要な係数である。周波数領域係数を取得する実施形態について、例示的に、時間領域係数を取得し、時間領域係数をFFT変換して、周波数領域係数を得てよい。時間領域係数は、時間領域係数の初期値および時間領域係数の更新フローに基づき取得してよく、時間領域係数の初期値は設定値であってよい。
【0034】
一実施例では、周波数領域等化データを得た後で、さらに周波数領域等化データの逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transformation,IFFT)を行って、時間領域等化データを得てよい。
【0035】
本願の実施例においては、さらに時間領域係数を更新してよく、時間領域係数を更新するときには、時間領域等化データを取得する必要がある。実用において、典型的なコヒーレント光通信システムでは、時間領域等化データを、係数の更新に用いるほか、さらにキャリアを同期する根拠とすることができる。
【0036】
一実施形態として、時間領域係数を更新するプロセスには、周波数領域ブラインド等化入力データおよび時間領域等化データに基づき時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得ることを含んでよい。
【0037】
一実施例では、時間領域等化データの誤差を計算して、時間領域誤差データを取得し、時間領域誤差データをFFT変換して、周波数領域誤差データを取得し、周波数領域誤差データを周波数領域ブラインド等化入力データと共役乗算して、相互スペクトルデータを得、相互スペクトルデータに基づき時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得てよい。
【0038】
前記相互スペクトルデータに基づき前記時間領域係数を更新する実施形態について、例示的に、相互スペクトルデータをIFFT変換して係数調整量を得、係数調整量を用いて時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得てよい。実用においては、係数調整量を得た後に、周波数領域係数更新アルゴリズムに基づき、時間領域係数を更新することができる。
【0039】
本実施例においては、1拍毎に時間領域係数を更新してもよいし、数拍毎に時間領域係数を更新してもよい。本実施例において、1拍とは、周波数領域のクロック再生および周波数領域のブラインド等化処理を1回行う時間をいい、すなわち、1拍毎に、周波数領域のクロック再生および周波数領域のブラインド等化処理が1回実現される。
【0040】
実用において、時間領域係数が更新される都度、周波数領域のブラインド等化処理が取得する必要のある時間領域係数は、更新された時間領域係数である。
【0041】
実用において、上述のステップ2010~ステップ2030はプロセッサにより実現可能であり、上述のプロセッサは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、デジタル信号処理装置(Digital Signal Processing Device,DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGA)、中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサの少なくとも1つであってよい。
【0042】
関連技術と比べ、本願の実施例の信号処理方法を用いることにより、周波数領域でクロック再生およびブラインド等化処理を実現することができ、時間領域で実現される計算の複雑度が低減される。DSPなどのプロセッサで周波数領域のクロック再生およびブラインド等化処理を実現すると、時間領域で実現される周波数領域のクロック再生およびブラインド等化処理プロセスと比べ、プロセッサで用いる乗算器の数が節約されて、演算の消費電力が減り、クロック再生およびブラインド等化処理のアーキテクチャを総合的に設計することにより、クロック再生およびブラインド等化処理それぞれの設計において動作が重複する部分を減らすことができる。
【0043】
上記記載内容に基づき、以下では、
図3を参照して、本願の実施例を実現するフローについて直感的に説明する。
図3は、本願の実施例が提供する信号処理方法のフローブロック図である。
図3に示すように、まず、周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得てよい。周波数領域のクロック再生の実施形態については、上記記載内容で説明したので、ここでは繰り返さない。
【0044】
クロック再生出力データを得た後、クロック再生出力データを用いて周波数領域のCMA等化を行ってよく、周波数領域のCMA等化プロセスには、CMAフィルタリングおよび係数の更新を含んでよい。係数を更新するプロセスは、上述した時間領域係数を更新するプロセスであり、ここでは繰り返さない。CMAフィルタリングによって時間領域等化データを得てよく、この時間領域等化データを、係数更新の根拠としてよく、係数を更新して得られた更新された時間領域係数を、CMAフィルタリングの根拠としてよい。
【0045】
CMAフィルタリングプロセスには、周波数領域CMA入力データを取得し、更新された時間領域係数をFFT変換して、周波数領域係数を得ることと、周波数領域CMA入力データを周波数領域係数と乗算して、周波数領域等化データを得ることと、周波数領域等化データをIFFT変換して、周波数領域等化データを時間領域に変換し、時間領域等化データを得ることと、を含んでよい。
【0046】
[実施例2]
本願の目的を具現化するため、本願の実施例1を基に、例を挙げて説明する。
【0047】
本願の実施例2における信号処理プロセスには、周波数領域のクロック再生および周波数領域のCMA等化の2つのプロセスが含まれ、周波数領域のCMA等化のプロセスには、CMAフィルタリングおよび係数の更新が含まれる。周波数領域のクロック再生プロセスは、周波数領域クロック再生モジュールによって実現され、周波数領域のCMA等化プロセスは、周波数領域CMA等化モジュールによって実現され、CMAフィルタリングプロセスは、CMAフィルタリングサブモジュールによって実現され、係数更新プロセスは、係数更新サブモジュールによって実現される。
【0048】
本願の実施例2において、周波数領域のクロック再生時に取得する必要のある入力データ(クロック再生入力データ)はサンプリングレートが1.5倍の時間領域データである。
【0049】
図4は、本願の実施例が提供する周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
図4に示すように、周波数領域のクロック再生のフローには、以下を含んでよい。
【0050】
ステップ410:周波数領域の位相を検出する。
【0051】
このステップの実施形態は、Godard位相検出器で、公式(1)によりCMAフィルタリングサブモジュール内で出力された複数の周波数領域等化データの位相を検出し、公式(2)に基づき位相誤差値を抽出するというものである。
【0052】
【0053】
【0054】
ステップ420:データのセグメント化、データのFFT変換およびデータの補間を順に行う。
【0055】
このステップの実施形態は、公式(3)により複数の周波数領域入力データの補間処理を行って、複数の周波数領域補間データ(すなわち、上記クロック再生出力データ)を得るというものであってよい。複数の周波数領域入力データは、サンプリングレートが1.5倍であるクロック再生入力データをセグメント化してセグメント長が各々0.75Nである複数の時間領域入力データを得、隣接する2セグメントの時間領域入力データは重なり、かつ重なる点数は、周波数領域のCMA等化係数のタップ数から1引いた数以上であり、複数の時間領域入力データに対し0.75N点FFT変換を行うことによって得られる。
【0056】
【0057】
【0058】
図5は、本願の実施例が提供するCMAフィルタリングのフローブロック図である。
図5に示すように、CMAフィルタリングのフローには以下を含んでよい。
【0059】
ステップ510:周波数領域CMA入力データを取得する。
【0060】
一実施例では、複数の周波数領域補間データの中間位置に0をN/4個挿入し、各データを4/3で乗算して、サンプリングレートを1.5倍から2倍に変更する機能を実現して、複数の周波数領域CMA入力データを得、ここにおける複数の周波数領域CMA入力データは、上述した周波数領域CMA入力データである。
【0061】
ステップ520:係数のFFT変換を行う。
【0062】
一実施例では、係数更新サブモジュールから出力された、更新された時間領域係数に対してN点FFT変換を行って、周波数領域係数を得る。
【0063】
ステップ530:等化フィルタリングを行う。
【0064】
公式(4)により、複数の周波数領域CMA入力データを周波数領域係数でそれぞれ乗算し、複数の周波数領域等化データを得て、等化フィルタリング機能を実現する。
【0065】
【0066】
【0067】
前後半セグメントの複数の周波数領域等化データを加算しエイリアシング処理を行って、サンプリングレートを2倍から1倍に変更する機能を実現し、エイリアシングを行った複数の周波数領域等化データを得る。
【0068】
ステップ540:データのIFFT変換を行う。
【0069】
一実施例では、エイリアシングを行った複数の周波数領域等化データに対しN/2点IFFT変換を行って、複数の時間領域等化データを得てから、複数の時間領域等化データ中の重畳データを間引いて組み合わせ、係数更新サブモジュールおよびコヒーレント光通信システムの後続のモジュール(例えば、キャリア同期を実現するモジュール)に出力する。
【0070】
本願の実施例において、係数更新サブモジュールは、CMAフィルタリングサブモジュールの出入力をそれ自体の入力とし、更新された等化係数を出力する。
【0071】
図6は、本願の実施例が提供する係数更新のフローブロック図である。
図6に示すように、係数更新のフローには以下を含んでよい。
【0072】
ステップ610:誤差を計算する。
【0073】
一実施例では、複数の時間領域等化データの重畳データの値を0とし、さらに定数と当該データのモジュラー平方の差で乗算して複数の誤差データを得、計算量を減らすために、係数の更新に用いるセグメントの数をMの半分程度としてよい。
【0074】
ステップ620:FFTの誤差を得る。
【0075】
一実施例では、複数の誤差データに対しN/2点FFT変換を行ってから、FFT変換の結果を複製し結合して、サンプリングレートを1倍から2倍に変更する機能を実現し、複数の周波数領域誤差データを得る。
【0076】
ステップ630:相互スペクトルを計算する。
【0077】
一実施例では、公式(5)を用いて、複数の周波数領域CMA入力データを複数の周波数領域誤差データと共役乗算して、複数の相互スペクトルデータを得る。
【0078】
【0079】
【0080】
複数の相互スペクトルデータを順に加算して、相互スペクトルデータをすべて得る。
【0081】
ステップ640:相互スペクトルのIFFT変換を行う。
【0082】
一実施例では、時間領域係数のタップ数をTとし、すべての相互スペクトルデータに対してN点IFFT変換を行い、先頭のT個のデータを取得して、係数調整量を得る。
【0083】
ステップ650:係数を更新する。
【0084】
一実施例では、反復因子を1つ選択して、係数調整量でそれぞれ乗算してから、現在の時間領域係数に相応に加算して、更新された時間領域係数を得る。
【0085】
サンプリングレートが1.5倍であるデータは、クロック再生入力データの例示的な実施形態にすぎず、本願の実施例は、クロック再生入力データのサンプリングレートを限定せず、データのサンプリングレートが1倍を超えるという条件をクロック再生入力データが満たせばよい。周波数領域のCMA等化プロセスにおいて、データのサンプリングレートは2倍である。
【0086】
[実施例3]
本願の目的を具現化するため、本願の実施例1を基に、例を挙げて説明する。
【0087】
本願の実施例3における信号処理プロセスには、周波数領域のクロック再生および周波数領域のCMA等化の2つのプロセスが含まれ、周波数領域のCMA等化のプロセスには、CMAフィルタリングおよび係数の更新が含まれる。周波数領域のクロック再生プロセスは、周波数領域クロック再生モジュールによって実現され、周波数領域のCMA等化プロセスは、周波数領域CMA等化モジュールによって実現され、CMAフィルタリングプロセスは、CMAフィルタリングサブモジュールによって実現され、係数更新プロセスは、係数更新サブモジュールによって実現される。
【0088】
本願の実施例3において、周波数領域のクロック再生時に取得する必要のある入力データ(クロック再生入力データ)はサンプリングレートが2倍の時間領域データである。
【0089】
図7は、本願の実施例が提供するもう1つの周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
図7に示すように、周波数領域のクロック再生のフローには、以下を含んでよい。
【0090】
ステップ710:周波数領域の位相を検出する。
【0091】
一実施例では、公式(1)によりCMAフィルタリングサブモジュール内で出力された複数の周波数領域等化データの位相を検出し、公式(2)に基づき位相誤差値を抽出する。
【0092】
ステップ720:データの補間およびデータの追加・削除処理を行う。
【0093】
【0094】
公式(6)に基づき、小数補間ポインタにより、6タップの補間フィルタ係数を計算する。
【0095】
【0096】
少なくとも一拍前のクロック再生入力データと、その一拍後のクロック再生入力データの先頭の8つのデータを結合して、結合データを得、結合データと補間フィルタhを時間領域に畳み込んでデータ補間を実現して、補間データ(すなわち、上記クロック再生出力データ)を得る。
【0097】
現在の拍で得られた補間データと前拍で得られた補間データの末尾部分を統合し、統合されたデータに対して位相誤差値に基づき追加・削除処理を行い、前拍の位相誤差値をupreと記述すると、以下の3つの状況が生じる。
【0098】
【0099】
【0100】
3)以上の1)および2)を満たさない場合(1)および2)以外の状況)、統合されたデータの先頭の1つのデータが削除されて、周波数領域CMA等化モジュールに出力される。
【0101】
図8は、本願の実施例が提供するもう1つのCMAフィルタリングのフローブロック図である。
図8に示すように、CMAフィルタリングのフローには以下を含んでよい。
【0102】
ステップ810:データのセグメント化およびデータのFFT変換を行う。
【0103】
一実施例では、周波数領域CMA等化モジュールの入力データを合計Mセグメントにセグメント化し、各セグメントのデータ長は各々2Nとし、隣接する2セグメントのデータは重なり、かつ重なる点数は、周波数領域のCMA等化係数のタップ数から1引いた数以上であり、さらに、セグメント化した結果を奇数・偶数インデックスにより、複数の時間領域奇数配列入力データおよび複数の時間領域偶数配列入力データに分け、N点FFT変換を行って、複数の周波数領域奇数配列入力データおよび複数の周波数領域偶数配列入力データを得る。
【0104】
ステップ820:係数のFFT変換を行う。
【0105】
一実施例では、係数更新サブモジュールから出力された時間領域係数を、奇数・偶数インデックスにより、時間領域の奇数配列係数および時間領域の偶数配列係数に分け、N点FFT変換を行って、周波数領域の奇数配列係数および周波数領域の偶数配列係数を得る。
【0106】
ステップ830:等化フィルタリングを行う。
【0107】
一実施例では、公式(7)により、複数の周波数領域奇数配列入力データ、複数の周波数領域偶数配列入力データを、周波数領域の奇数配列係数、周波数領域の偶数配列係数でそれぞれ乗算し、複数の周波数領域等化データを得て、等化フィルタリング機能を実現する。
【0108】
【0109】
【0110】
ステップ840:データのIFFT変換を行う。
【0111】
複数の周波数領域等化データに対しN点IFFT変換を行って、複数の時間領域等化データを得、複数の時間領域等化データ中の重畳データを間引いてインデックスの自然順序により組み合わせ、係数更新サブモジュールおよびコヒーレント光通信システムの後続のモジュール(例えば、キャリア同期を実現するモジュール)に出力する。
【0112】
本願の実施例において、係数更新サブモジュールは、CMAフィルタリングサブモジュールの出入力をそれ自体の入力とし、更新された等化係数を出力する。
【0113】
図6を参照すると、本願の実施例3において、係数更新のプロセスには、以下を含んでよい。
【0114】
ステップA10:誤差を計算する。
【0115】
このステップの実施形態はステップ610のそれと同一であり、ここでは繰り返さない。
【0116】
ステップA20:誤差のFFT変換を行う。
【0117】
一実施例では、複数の誤差データに対しN点FFT変換を行って、複数の周波数領域誤差データを得る。
【0118】
ステップA30:相互スペクトルを計算する。
【0119】
一実施例では、公式(8)を用いて、複数の周波数領域奇数配列入力データ、複数の周波数領域偶数配列入力データを複数の周波数領域誤差データと共役乗算して、複数の相互スペクトルデータを得る。
【0120】
【0121】
【0122】
複数の相互スペクトルデータを順に加算して、相互スペクトルデータをすべて得る。
【0123】
ステップA40:相互スペクトルのIFFT変換を行う。
【0124】
このステップの実施形態はステップ640のそれと同一であり、ここでは繰り返さない。
【0125】
ステップA50:係数を更新する。
【0126】
一実施例では、反復因子を1つ選択して、係数調整量でそれぞれ乗算してから、その結果を各々に対応する現在の時間領域の奇数配列係数、時間領域の偶数配列係数に加算して、更新された時間領域の奇数配列係数および時間領域の偶数配列係数を得、インデックスの自然順序により、更新された時間領域の奇数配列係数および時間領域の偶数配列係数をソートして組み合わせて、更新された時間領域係数を得る。
【0127】
[実施例4]
本願の目的を具現化するため、本願の実施例1を基に、例を挙げて説明する。
【0128】
本願の実施例4における信号処理プロセスには、周波数領域のクロック再生および周波数領域のCMA等化の2つのプロセスが含まれ、周波数領域のCMA等化のプロセスには、CMAフィルタリングおよび係数の更新が含まれる。周波数領域のクロック再生プロセスは、周波数領域クロック再生モジュールによって実現され、周波数領域のCMA等化プロセスは、周波数領域CMA等化モジュールによって実現され、CMAフィルタリングプロセスは、CMAフィルタリングサブモジュールによって実現され、係数更新プロセスは、係数更新サブモジュールによって実現される。
【0129】
図9は、本願の実施例が提供するもう1つの周波数領域のクロック再生のフローブロック図である。
図9に示すように、周波数領域のクロック再生のフローには、以下を含んでよい。
【0130】
ステップ910:データのセグメント化、データのFFT変換、プレフィルタリングおよび周波数領域の位相検出を行う。
【0131】
一実施例では、Godard位相検出器で、公式(1)により位相検出用データの位相を検出し、公式(2)に基づき位相誤差値を得る。位相検出用データの取得方法は、まず、クロック再生入力データをセグメント化し、セグメント長は各々Nとし、セグメントデータに対しFFT変換を行って、複数の周波数領域入力データを得てから、当該複数の周波数領域入力データを周波数領域CMA等化モジュールが得た周波数領域係数と乗算してプレフィルタリング動作を実現し、位相検出用データを得るというものである。
【0132】
ステップ920:データの補間を行う。
【0133】
一実施例では、公式(9)により複数の周波数領域入力データの補間処理を行って、複数の周波数領域補間データ(すなわち、上記クロック再生出力データ)を得、複数の周波数領域補間データを周波数領域CMA等化モジュールに出力する。
【0134】
【0135】
図10は、本願の実施例が提供するもう1つのCMAフィルタリングのフローブロック図である。
図10に示すように、CMAフィルタリングのフローには以下を含んでよい。
【0136】
ステップ10010:係数のFFT変換を行う。
【0137】
一実施例では、周波数領域CMA入力データを取得し、すなわち、複数の周波数領域補間データを取得する。係数更新サブモジュールから出力された更新された時間領域係数に対してN点FFT変換を行って、周波数領域係数を得る。
【0138】
ステップ10020:等化フィルタリングを行う。
【0139】
一実施例では、公式(4)により、複数の周波数領域CMA入力データを周波数領域係数でそれぞれ乗算し、複数の周波数領域等化データを得て、等化フィルタリング機能を実現する。
【0140】
ステップ10030:データのIFFT変換を行う。
【0141】
一実施例では、複数の周波数領域等化データに対しN点IFFT変換を行って、複数の時間領域等化データを得、複数の時間領域等化データ中の重畳データを間引いて組み合わせ、係数更新サブモジュールおよびコヒーレント光通信システムの後続のモジュール(例えば、キャリア同期を実現するモジュール)に出力する。
【0142】
本願の実施例において、係数更新サブモジュールは、CMAフィルタリングサブモジュールの出入力をそれ自体の入力とし、更新された等化係数を出力する。
【0143】
図6を参照すると、本願の実施例4において、係数更新のプロセスには、以下を含んでよい。
【0144】
ステップB10:誤差を計算する。
【0145】
このステップの実施形態はステップ610のそれと同一であり、ここでは繰り返さない。
【0146】
ステップB20:誤差のFFT変換を行う。
【0147】
一実施例では、複数の誤差データに対しN点FFT変換を行って、複数の周波数領域誤差データを得る。
【0148】
ステップB30:相互スペクトルを計算する。
【0149】
一実施例では、公式(5)を用いて、複数の周波数領域CMA入力データを複数の周波数領域誤差データと共役乗算して、複数の相互スペクトルデータを得る。複数の相互スペクトルデータを順に加算して、相互スペクトルデータをすべて得る。
【0150】
ステップB40:相互スペクトルのIFFT変換を行う。
【0151】
一実施例では、時間領域係数を設けるタップ数がTであり、すべての相互スペクトルデータに対してN点IFFT変換を行い、先頭のT個のデータを取得して、係数調整量を得る。
【0152】
ステップB50:係数を更新する。
【0153】
一実施例では、反復因子を1つ選択して、係数調整量でそれぞれ乗算してから、現在の時間領域係数に相応に加算して、更新された時間領域係数を得る。
【0154】
本願の実施例における周波数領域のCMA等化方法は、関連技術におけるCMAアルゴリズムと異なり、本願の実施例において、CMAフィルタリングプロセスおよび係数更新プロセスは、FFT変換を用いてデータを周波数領域に変換して、周波数領域で直接乗算することにより実現できる。周波数領域でCMA等化を実現することで、時間領域で実現する場合に比べ計算の複雑度が低減される。
【0155】
表1は、様々なパターンにおけるCMAの時間領域等化方法の複素乗算数の比較表である。表1を参照すると、周波数領域CMA方法に必要とされる複素乗算数は、時間領域CMA方法より確かに少なく、演算資源が約50%節約されるため、本願の実施例のチップを応用することによって、演算の消費電力を節約することができる。
【0156】
【0157】
[実施例5]
本願の前述した実施例で提案した信号処理方法を基に、本願の実施例5では、コヒーレント光通信システムに応用可能な信号処理装置を提案する。
【0158】
図11は、本願の実施例が提供する信号処理装置の構成を示す模式図である。
図11に示すように、前記装置は、クロック再生入力データを取得するように設けられた取得ユニット1101と、前記クロック再生入力データに対し周波数領域のクロック再生を行って、クロック再生出力データを得るように設けられた第1の処理ユニット1102と、前記クロック再生出力データに基づき周波数領域のブラインド等化処理を行って、周波数領域等化データを得るように設けられた第2の処理ユニット1103とを備える。
【0159】
一実施形態において、前記第1の処理ユニット1102は、位相検出用データを取得し、前記位相検出用データを位相検出することによって位相誤差値を抽出し、前記位相誤差値を用いてクロック再生入力データを補間処理してクロック再生出力データを得るように設けられる。
【0160】
一実施形態において、前記第1の処理ユニット1102は、前記クロック再生入力データを周波数領域に変換して、周波数領域のクロック再生入力データを得、前記周波数領域のクロック再生入力データを周波数領域のブラインド等化処理時に用いる周波数領域係数と乗算し、前記位相検出用データを得るか、または前回得られた周波数領域等化データを前記位相検出用データとすることにより、位相検出用データを得るように設けられる。
【0161】
一実施形態において、前記第1の処理ユニット1102は、時間領域で、前記位相誤差値に基づき前記クロック再生入力データに対し有限インパルス応答FIRフィルタリングを行って、クロック再生出力データを得るか、または前記クロック再生入力データを周波数領域に変換して、周波数領域のクロック再生入力データを得、周波数領域で、前記周波数領域のクロック再生入力データを位相調整して、クロック再生出力データを得ることにより、前記位相誤差値を用いて前記クロック再生入力データに対し補間処理を行ってクロック再生出力データを得るように設けられる。
【0162】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、前記クロック再生出力データに基づき周波数領域ブラインド等化入力データを得、周波数領域係数を取得し、前記周波数領域ブラインド等化入力データを前記周波数領域係数と乗算して周波数領域等化データを得るように設けられる。
【0163】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、前記クロック再生出力データが時間領域で得られたデータである場合、前記クロック再生出力データを周波数領域に変換して、前記周波数領域ブラインド等化入力データを得、前記クロック再生出力データが周波数領域で得られたデータである場合、前記周波数領域のクロック再生出力データを前記周波数領域ブラインド等化入力データとすることにより、前記クロック再生出力データに基づき周波数領域ブラインド等化入力データを得るように設けられる。
【0164】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、時間領域係数を取得し、前記時間領域係数を周波数領域に変換して周波数領域係数を得るように設けられる。
【0165】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、周波数領域等化データを得た後、前記周波数領域等化データを時間領域に変換して時間領域等化データを得るようにさらに設けられる。
【0166】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、前記周波数領域ブラインド等化入力データおよび時間領域等化データに基づき時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得るようにさらに設けられる。
【0167】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、時間領域等化データの誤差を計算して、時間領域誤差データを取得し、前記時間領域誤差データを周波数領域に変換して、周波数領域誤差データを取得し、前記周波数領域誤差データを前記周波数領域ブラインド等化入力データと共役乗算して、相互スペクトルデータを得、前記相互スペクトルデータに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得ることにより、前記周波数領域ブラインド等化入力データおよび前記時間領域等化データに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得るように設けられる。
【0168】
一実施形態において、前記第2の処理ユニット1103は、前記相互スペクトルデータを時間領域に変換して、係数調整量を得、前記係数調整量を用いて時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得ることにより、前記相互スペクトルデータに基づき前記時間領域係数を更新して、更新された時間領域係数を得るように設けられる。
【0169】
実用において、上記取得ユニット1101と、第1の処理ユニット1102と、第2の処理ユニット1103とはいずれも、コヒーレント光通信システム内に位置するCPU、マイクロプロセッサ(Micro Processor Unit,MPU)、DSP、FPGAなどにより実現できる。
【0170】
また、本実施例における多くの機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合してもよいし、各ユニットを物理的に単独に設けてもよいし、2つ以上のユニットを1つのユニット内に統合してもよい。上記の統合されたユニットは、ハードウェアの形態により実現してもよいし、ソフトウェア機能モジュールの形態により実現してもよい。
【0171】
前記統合されたユニットは、独立した製品としてではなく、ソフトウェア機能モジュールの形態により実現される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶してよい。このような理解に基づき、本実施例の技術案の全部または一部をコンピュータソフトウェア製品の形態により具体化してよく、当該コンピュータソフトウェア製品は、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスなどであってよい)、またはprocessor(プロセッサ)に、本実施例に記載された方法のステップの全部または一部を実行させる複数の命令を含む、記憶媒体内に記憶される。また、前述した記憶媒体には、ユニバーサルシリアルバスディスク(Universal Serial Bus Disc,Uディスク)、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(Read Only Memory,ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、ディスクまたは光ディスクといった、プログラムコードを記憶可能な様々な媒体が含まれる。
【0172】
本実施例における信号処理方法に対応するコンピュータプログラム命令は、光ディスク、ハードディスクドライブ、Uディスクといった記憶媒体に記憶されてよく、記憶媒体中の信号処理方法に対応するコンピュータプログラム命令が電子デバイスによって読み出されるかまたは実行されると、前述した実施例における任意の信号処理方法のステップが実現される。
【0173】
図12を参照すると、前述の実施例と同一の技術思想に基づき本願の実施例が提供する信号処理デバイス120が示されており、この装置は、コンピュータプログラムおよびデータを記憶するように設けられたメモリ121と、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行して前述の実施例における任意の信号処理方法を実行するように設けられたプロセッサ122とを備えてよい。
【0174】
実用において、上記メモリ121は、例えば、RAMといった揮発性メモリ(volatile memory)、または例えば、ROM、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive,HDD)もしくはソリッドステートドライブ(Solid-State Drive,SSD)といった不揮発性メモリ(non-volatile memory)、または上述したメモリの組み合わせであり、プロセッサ122に命令およびデータを提供してよい。
【0175】
上述のプロセッサ122は、ASIC、DSP、DSPD、PLD、FPGA、CPU、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサのうちの少なくとも1つであってよい。異なるデバイスについて、上述のプロセッサ機能を実現するように設けられた電子装置は他のものであってもよく、本願の実施例では限定しない。
【0176】
本願の実施例は、方法、システムまたはコンピュータプログラム製品として提供されてよい。そのため、本願は、ハードウェアの実施例、ソフトウェアの実施例、またはソフトウェアおよびハードウェア面の実施例を組み合わせた形態を採用してよい。また、本願は、1つまたは複数のコンピュータ使用可能なプログラムコードを含むコンピュータ使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリおよび光メモリなどが含まれるがこれらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を用いてよい。
【0177】
本願では、本願の実施例に基づく方法、デバイス(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明した。フローチャートおよび/またはブロック図における各フローおよび/またはブロック、ならびにフローチャートおよび/またはブロック図におけるフローおよび/またはブロックの組み合わせを、コンピュータプログラム命令によって実現してよいことが理解されるべきである。汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにこれらのコンピュータプログラム命令を提供して機器を生成することにより、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにより実行される命令によって、フローチャートの1つのフローもしくは複数のフロー、および/またはブロック図の1つのブロックもしくは複数のブロックにおいて指定される機能を実現する装置を生成してよい。
【0178】
コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で動作するようにガイドできるコンピュータ読み取り可能なメモリにこれらのコンピュータプログラム命令を記憶することによって、このコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令が、フローチャートの1つのフローもしくは複数のフロー、および/またはブロック図の1つのブロックもしくは複数のブロック中で指定される機能を実現する命令装置を備える製品を生成するようにしてもよい。
【0179】
コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にこれらのコンピュータプログラム命令を実装して、コンピュータまたは他のプログラマブルデバイス一連の動作ステップを実行することにより、コンピュータにより実現される処理を行い、これによって、コンピュータまたは他のプログラマブルデバイスで実行される命令が、フローチャートの1つのフローもしくは複数のフロー、および/またはブロック図の1つのブロックもしくは複数のブロックにおいて指定される機能を実現するステップを実現するようにしてもよい。
【0180】
以上は、本願の実施例にすぎず、本願の請求範囲を限定するものではない。