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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】横架材
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/18 20060101AFI20230425BHJP
   E04C 5/02 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04C3/18
E04C5/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019046167
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020147992
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】増子 寛
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-143352(JP,A)
【文献】特開2015-209725(JP,A)
【文献】実開昭57-196713(JP,U)
【文献】特開昭63-194056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/12-3/18,3/292
E04C 5/01-5/065
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系横架材と、当該木質系横架材を補強する補強材とを備え、補強材が互いに対向する木質系横架材の側面と木質系横架材の側面との間に挟み込まれて、各木質系横架材と補強材とが一体化されて構成されることで、各木質系横架材が補強材で補強された横架材であって、
補強材は、各木質系横架材の長手方向の一端側を補強する一端側補強部と、各木質系横架材の長手方向の他端側を補強する他端側補強部と、各木質系横架材の一端側と他端側との間である各木質系横架材のスパン中央側を補強するスパン中央側補強部と、一端側補強部とスパン中央側補強部とを繋いで各木質系横架材の一端側とスパン中央側との間である各木質系横架材の一方側を補強する一方側補強部と、他端側補強部とスパン中央側補強部とを繋いで各木質系横架材の他端側とスパン中央側との間である各木質系横架材の他方側を補強する他方側補強部とを備え、
一端側補強部は、各木質系横架材の一端側における上縁側を補強する一端側上補強部と、各木質系横架材の一端側における下縁側を補強する一端側下補強部とを備え、
他端側補強部は、各木質系横架材の他端側における上縁側を補強する他端側上補強部と、各木質系横架材の他端側における下縁側を補強する他端側下補強部とを備え、
スパン中央側補強部は、各木質系横架材のスパン中央側の上縁側を補強するスパン中央側上補強部と、各木質系横架材のスパン中央側の下縁側を補強するスパン中央側下補強部とを備え、
一方側補強部は、一端側上補強部とスパン中央側下補強部との間に位置される第1補強部と、一端側下補強部とスパン中央側上補強部との間に位置される第2補強部とを備え、
他方側補強部は、他端側上補強部とスパン中央側下補強部との間に位置される第3補強部と、他端側下補強部とスパン中央側上補強部との間に位置される第4補強部とを備え
補強材は、一端側上補強部と第1補強部とスパン中央側下補強部と第3補強部と他端側上補強部とで形成される補強部分が、木質系横架材のスパンの中央に荷重を加えた際に想定される引張応力の分布曲線に沿って延長して各木質系横架材の側面に取付けられる板面を有した帯状板により形成され、かつ、一端側下補強部と第2補強部とスパン中央側上補強部と第4補強部と他端側下補強部とで形成される補強部分が、木質系横架材のスパンの中央に荷重を加えた際に想定される圧縮応力の分布曲線に沿って延長して各木質系横架材の側面に取付けられる板面を有した帯状板により形成されたことを特徴とする横架材。
【請求項2】
スパン中央側上補強部を補強する上補強体と、スパン中央側下補強部を補強する下補強体とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の横架材。
【請求項3】
第1補強部を形成する板の縁面と第2補強部を形成する板の縁面との境界、及び、第3補強部を形成する板の縁面と第4補強部を形成する板の縁面との境界が、湾曲面に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の横架材。
【請求項4】
スパン中央側上補強部とスパン中央側下補強部とを繋ぐ中央側連結部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の横架材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強材が木質系横架材の側面と木質系横架材の側面との間に挟み込まれて、各木質系横架材と補強材とが一体化されて構成されることで、各木質系横架材が補強材で補強された横架材に関する。
【背景技術】
【0002】
木製の横架材、例えば、木製の梁は、梁の断面が大きくなるほど、木材の使用量が多くなり、コストが高くなる。
そこで、断面の小さい木梁部材と木梁部材との間に補強材を挟み込んで、当該各木梁部材と補強材とを一体化させることにより、コストを抑制できて、かつ、各木梁部材が補強材で補強された梁が知られている。
例えば、三枚の平板状木材を重ね合わせて構成される梁であって、中央木材の左右の両側面に補強材をトラス状に設けて、三枚の平板状木材とトラス状の補強材とを一体化させて構成された梁が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭57-71957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような、補強材をトラス状に設けた構成の梁では、トラスを構成するために、上弦材と下弦材と斜材とが必要となるので、補強材の使用料が多くなり、コストが増大するという課題があった。即ち、木梁部材と木梁部材との間に補強材を挟み込んで当該各木梁部材と補強材とを一体化させた構造の場合、トラスの上弦材及び下弦材を設けずに、補強材の使用料を少なくしても、十分な耐力を持たせることが可能である。つまり、梁部材と木梁部材との間に補強材を挟み込んで当該各木梁部材と補強材とを一体化させた構造の場合、上述したトラス状に補強材を設けることは、不経済であるという問題があった。
本発明は、補強材が木質系横架材の側面と木質系横架材の側面との間に挟み込まれて、各木質系横架材と補強材とが一体化されて構成されることで、各木質系横架材が補強材で補強された横架材であって、補強材の使用量を少なくできて、コストを低減できる横架材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る横架材は、木質系横架材と、当該木質系横架材を補強する補強材とを備え、補強材が互いに対向する木質系横架材の側面と木質系横架材の側面との間に挟み込まれて、各木質系横架材と補強材とが一体化されて構成されることで、各木質系横架材が補強材で補強された横架材であって、補強材は、各木質系横架材の長手方向の一端側を補強する一端側補強部と、各木質系横架材の長手方向の他端側を補強する他端側補強部と、各木質系横架材の一端側と他端側との間である各木質系横架材のスパン中央側を補強するスパン中央側補強部と、一端側補強部とスパン中央側補強部とを繋いで各木質系横架材の一端側とスパン中央側との間である各木質系横架材の一方側を補強する一方側補強部と、他端側補強部とスパン中央側補強部とを繋いで各木質系横架材の他端側とスパン中央側との間である各木質系横架材の他方側を補強する他方側補強部とを備え、一端側補強部は、各木質系横架材の一端側における上縁側を補強する一端側上補強部と、各木質系横架材の一端側における下縁側を補強する一端側下補強部とを備え、他端側補強部は、各木質系横架材の他端側における上縁側を補強する他端側上補強部と、各木質系横架材の他端側における下縁側を補強する他端側下補強部とを備え、スパン中央側補強部は、各木質系横架材のスパン中央側の上縁側を補強するスパン中央側上補強部と、各木質系横架材のスパン中央側の下縁側を補強するスパン中央側下補強部とを備え、一方側補強部は、一端側上補強部とスパン中央側下補強部との間に位置される第1補強部と、一端側下補強部とスパン中央側上補強部との間に位置される第2補強部とを備え、他方側補強部は、他端側上補強部とスパン中央側下補強部との間に位置される第3補強部と、他端側下補強部とスパン中央側上補強部との間に位置される第4補強部とを備え、補強材は、一端側上補強部と第1補強部とスパン中央側下補強部と第3補強部と他端側上補強部とで形成される補強部分が、木質系横架材のスパンの中央に荷重を加えた際に想定される引張応力の分布曲線に沿って延長して各木質系横架材の側面に取付けられる板面を有した帯状板により形成され、かつ、一端側下補強部と第2補強部とスパン中央側上補強部と第4補強部と他端側下補強部とで形成される補強部分が、木質系横架材のスパンの中央に荷重を加えた際に想定される圧縮応力の分布曲線に沿って延長して各木質系横架材の側面に取付けられる板面を有した帯状板により形成されたことを特徴とするので、補強材の使用量を少なくでき、各木質系横架材が補強材で補強されて、たわみ、長期的なクリープを防止できる横架材を、安価に提供できるようになり、特に、当該横架材に荷重が加わった場合に、帯状板によって効果的に補強されるようになり、たわみ、長期的なクリープを効果的に防止できる横架材を提供できる。
スパン中央側上補強部を補強する上補強体と、スパン中央側下補強部を補強する下補強体とを備えたことを特徴とするので、上補強体により、横架材のスパン中央側上部に対する補強効果が向上するとともに、下補強体により、横架材のスパン中央側下部に対する補強効果が向上するので、たわみ、長期的なクリープをさらに効果的に防止できる横架材を提供できる。
第1補強部を形成する板の縁面と第2補強部を形成する板の縁面との境界、及び、第3補強部を形成する板の縁面と第4補強部を形成する板の縁面との境界が、湾曲面に形成されたので、補強材に境界を起点とした割れが発生してしまうことを抑制できるようになる。
スパン中央側上補強部とスパン中央側下補強部とを繋ぐ中央側連結部を備えたので、スパン中央側上補強部とスパン中央側下補強部とが一体となったスパン中央側補強部を備えた補強材となり、スパン中央側補強部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】柱間に設置された梁を示す斜視図(実施形態1)。
図2】梁を構成する各構成部品を示す分解斜視図(実施形態1)。
図3】補強板を示す正面図(実施形態1)。
図4】木梁部材の側面に取付けられる補強板を示す図(実施形態1)。
図5】木梁部材に加わる引張応力分布曲線及び圧縮応力分布曲線を示す図(実施形態3)。
図6】補強板を示す正面図(実施形態3)。
図7】木梁部材の側面に取付けられる補強板と引張応力分布曲線及び圧縮応力分布曲線との関係を示す図(実施形態3)。
図8】補強体で補強された構成の梁を示す断面図(実施形態4)。
図9】補強体で補強された構成の梁を示す断面図(実施形態4)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る横架材は、2つの木質系横架材と、当該2つの木質系横架材を補強する補強材とを備え、当該補強材が木質系横架材の側面と木質系横架材の側面との間に挟み込まれて、各木質系横架材と補強材とが一体化されて構成されることで、各木質系横架材が補強材で補強された横架材である。
【0008】
横架材は、例えば図1図2に示すように、木質系横架材としての2つの木梁部材2A,2Bと、補強材としての補強板3とを備え、2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2bと補強板3の板面3a,3bとが互いに対向するように、補強板3が2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2b間に挟み込まれた状態で、2つの木梁部材2A,2Bと補強板3とが連結されて一体化された構成の梁1である。
尚、2つの木梁部材2A,2Bと補強板3との連結は、例えば、接着剤を用いて連結したり、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具を用いて連結したり、あるいは、これら接着剤及び連結具を併用して連結すればよい。
【0009】
木梁部材2A,2Bは、例えば、無垢材や集成材やCLT(直交集成板)等の木材により形成された、同一の木梁部材である。
木梁部材2A,2Bは、例えば、互いに隣り合う一方の柱4Aと他方の柱4Bとの間のスパン長に対応した長さで断面矩形状に形成された平板により構成される。
尚、柱4A,4Bは、木製柱、鉄骨柱、鉄筋コンクリート柱等、柱であれば、材質は問わない。
【0010】
集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向となるように複数の板を張り合わせて構成された木材である。
また、CLTとは、農林水産省告示第3079号に規定されたように、「ひき板又は小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ又は接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた一般材」である。
即ち、CLTは、張り合わせる板の繊維方向が直交するように複数の板を張り合わせて構成された木材であり、直交集成板と呼ばれている。
【0011】
補強板3は、例えば、鋼板、繊維樹脂板、カーボンファイバー板、コンクリート板等により形成される。
図3に示すように、補強板3は、各木梁部材2A,2Bの長手方向の一端側を補強する一端側補強部31と、各木梁部材2A,2Bの長手方向の他端側を補強する他端側補強部32と、各木梁部材2A,2Bの一端側と他端側との間である各木梁部材2A,2Bのスパン中央側を補強するスパン中央側補強部33と、一端側補強部31とスパン中央側補強部33とを繋いで各木梁部材2A,2Bの一端側とスパン中央側との間である各木梁部材2A,2Bの一方側を補強する一方側補強部34と、他端側補強部32とスパン中央側補強部33とを繋いで各木梁部材2A,2Bの他端側とスパン中央側との間である各木梁部材2A,2Bの他方側を補強する他方側補強部35と、両端に設けられた端連結部36,36とを備える。
【0012】
一端側補強部31は、各木梁部材2A,2Bの一端側における上縁側を補強する一端側上補強部31Aと、各木梁部材2A,2Bの一端側における下縁側を補強する一端側下補強部31Bとを備える。
【0013】
他端側補強部32は、各木梁部材2A,2Bの他端側における上縁側を補強する他端側上補強部32Aと、各木梁部材2A,2Bの他端側における下縁側を補強する他端側下補強部32Bとを備える。
【0014】
スパン中央側補強部33は、各木梁部材2A,2Bのスパン中央側の上縁側を補強するスパン中央側上補強部33Aと、各木梁部材2A,2Bのスパン中央側の下縁側を補強するスパン中央側下補強部33Bと、スパン中央側上補強部33Aの中央側とスパン中央側下補強部33Bの中央側とを連結する中央側連結部33Cとを備える。
このように、スパン中央側補強部33は、スパン中央側上補強部33Aと、スパン中央側下補強部33Bと、当該スパン中央側上補強部33Aとスパン中央側下補強部33Bとを繋ぐ中央側連結部33Cとを備えたので、中央側連結部33Cによりスパン中央側上補強部33Aとスパン中央側下補強部33Bとが一体となって強度が向上したスパン中央側補強部33を備えた補強板3を提供できる。即ち、スパン中央側上補強部33Aとスパン中央側下補強部33Bとが一体となったスパン中央側補強部33を備えた補強板3となり、スパン中央側補強部33の強度を向上させることができる。
【0015】
一方側補強部34は、一端側上補強部31Aとスパン中央側下補強部33Bとの間に位置される第1補強部34Aと、一端側下補強部31Bとスパン中央側上補強部33Aとの間に位置される第2補強部34Bとを備える。
【0016】
他方側補強部35は、他端側上補強部32Aとスパン中央側下補強部33Bとの間に位置される第3補強部35Aと、他端側下補強部32Bとスパン中央側上補強部33Aとの間に位置される第4補強部35Bとを備える。
【0017】
一端側上補強部31A、スパン中央側上補強部33A、他端側上補強部32Aは、各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bの上縁に沿って真っすぐに延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
一端側下補強部31B、スパン中央側下補強部33B、他端側下補強部32Bは、各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bの下縁に沿って真っすぐに延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
【0018】
第1補強部34Aは、一端側上補強部31Aからスパン中央側下補強部33Bに向けて直線状又は湾曲状に下るように傾斜して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
第3補強部35Aは、他端側上補強部32Aからスパン中央側下補強部33Bに向けて直線状又は湾曲状に下るように傾斜して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
第2補強部34Bは、一端側下補強部31Bからスパン中央側上補強部33Aに向けて直線状又は湾曲状に上るように傾斜して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
第4補強部35Bは、他端側下補強部32Bからスパン中央側上補強部33Aに向けて直線状又は湾曲状に上るように傾斜して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状の板材により形成される。
【0019】
即ち、補強板3は、一端側上補強部31Aと第1補強部34Aとスパン中央側下補強部33Bと第3補強部35Aと他端側上補強部32Aとで形成される補強部分が、一端側上補強部31Aからスパン中央側下補強部33Bに向けて傾斜して下降した後にスパン中央側下補強部33Bから他端側上補強部32Aに向けて傾斜して上昇する線に沿って延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状板により形成され、かつ、一端側下補強部31Bと第2補強部34Bとスパン中央側上補強部33Aと第4補強部35Bと他端側下補強部32Bとで形成される補強部分が、一端側下補強部31Bからスパン中央側上補強部33Aに向けて傾斜して上昇した後にスパン中央側上補強部33Aから他端側下補強部32Bに向けて傾斜して下降する線に沿って延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面3a,3bを有した帯状板により形成されている。
つまり、補強板3は、第1補強部34Aと第2補強部34Bとが交差し、かつ、第3補強部35Aと第4補強部35Bとが交差するように形成されている。
【0020】
当該補強板3は、例えば、柱4Aと柱4Bとの間の間隔(スパン)よりも長い長尺な鋼板の一部をくり貫くことによって、上述した一端側補強部31、他端側補強部32、スパン中央側補強部33、一方側補強部34、他方側補強部35、中央側連結部33C、端連結部36,36が形成された鋼板を用いればよい。
この場合、端連結部36と一端側補強部31と一方側補強部34とで囲まれた開口を形成する開口縁面は、互いに隣り合う面と面との境界面が、開口の中心から離れた方向に突出するように湾曲する湾曲面(R面)31Ar,31Br,34rにより形成されている。
また、一方側補強部34とスパン中央側補強部33と中央側連結部33Cとで囲まれた開口を形成する開口縁面は、互いに隣り合う面と面との境界面が、開口の中心から離れた方向に突出するように湾曲する湾曲面(R面)34r,33Ar,33Brにより形成されている。
また、他方側補強部35とスパン中央側補強部33と中央側連結部33Cとで囲まれた開口を形成する開口縁面は、互いに隣り合う面と面との境界面が、開口の中心から離れた方向に突出するように湾曲する湾曲面(R面)35r,33Ar,33Brにより形成されている。
また、端連結部36と他端側補強部32と他方側補強部35とで囲まれた開口を形成する開口縁面は、互いに隣り合う面と面との境界面が、開口の中心から離れた方向に突出するように湾曲する湾曲面(R面)32Ar,32Br,35rにより形成されている。
換言すれば、第1補強部34Aを形成する板の縁面と第2補強部34Bを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)34rになるよう面取り加工されている。
また、湾曲面34rと対向する端連結部36を形成する板の縁面36eと一端側上補強部31Aを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)31Arになるよう面取り加工されている。
また、湾曲面34rと対向する端連結部36を形成する板の縁面36eと一端側下補強部31Bを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)31Brになるよう面取り加工されている。
また、中央側連結部33Cを形成する板の縁面とスパン中央側上補強部33Aを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)33Arになるよう面取り加工されている。
また、中央側連結部33Cを形成する板の縁面とスパン中央側下補強部33Bを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)33Brになるよう面取り加工されている。
第3補強部35Aを形成する板の縁面と第4補強部35Bを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)35rになるよう面取り加工されている。
また、湾曲面35rと対向する端連結部36を形成する板の縁面36eと他端側上補強部32Aを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)32Arになるよう面取り加工されている。
また、湾曲面35rと対向する端連結部36を形成する板の縁面36eと他端側下補強部32Bを形成する板の縁面との境界が、湾曲面(R面)32Brになるよう面取り加工されている。
【0021】
即ち、補強板3は、互いに隣り合う部分の縁面と縁面との境界面が湾曲面(R面)に形成されたことで、互いに隣り合う部分の縁面と縁面との境界面に角部が無い構成となるように形成されたので、補強板3に境界を起点とした割れが発生してしまうことを抑制できるようになっている。
【0022】
実施形態1の梁1は、例えば、一方の柱4Aと他方の柱4Bとの間に配置されて、長手方向の一端側が一方の柱4Aと連結され、他端側が他方の柱4Bと連結される。
例えば、図1図2図4に示すように、梁1を構成する各木梁部材2A,2Bの長手方向の一端面2e,2eから突出する補強板3の一端側の端連結部36を一方の柱4Aに形成された連結溝部4aに嵌入するとともに、梁1を構成する各木梁部材2A,2Bの長手方向の他端面2f,2fから突出する補強板3の他端側の端連結部36を他方の柱4Aに形成された連結溝部4aに嵌入した後、補強板3の一端側の端連結部36と一方の柱4Aとを接着剤、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具を用いて連結するとともに、補強板3の他端側の端連結部36と他方の柱4Bとを接着剤、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具を用いて連結する。
連結溝部4aは、柱4A,柱4Bにおいて、後述の互いに対向する一側面4b,他側面4cとは別の互いに対向する側面4f,4g及び上端面の三方に開口する下端有底の溝により形成される。
尚、例えば、図1乃至図4に示すように、各端連結部36,36は、左右方向の寸法が、柱4A,4Bの一側面4bの幅寸法の長さよりも長く形成される。
即ち、図1乃至図4に示すように、一方の端連結部36の端側が柱4Aの側面4fから突出するように当該一方の端連結部36が柱4Aの連結溝部4aに嵌入状態に設置され、かつ、他方の端連結部36の端側が柱4Bの側面4fから突出するように当該他方の端連結部36が柱4Bの連結溝部4aに嵌入状態に設置される。
そして、上述したように、一方の端連結部36と柱4Aとが接着剤、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具により連結され、かつ、他方の端連結部36と柱4Bとが接着剤、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具により連結される。
さらに、柱4Aの側面4fから突出する一方の端連結部36の端側、及び、柱4Bの側面4fから突出する他方の端連結部36の端側は、例えば、ガセットプレートとして使用され、当該ガセットプレートに、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具、あるいは、溶接等を用いて図外の鉄骨梁等の梁が連結される。
また、端連結部36に、当該端連結部36の板面と直交する方向に延長する図外の端連結部を設けるとともに、柱4A,4Bに上端部に当該柱4A,4Bの上方から見た場合に十字状、あるいは、T字状の連結溝部を形成しておいて、当該連結溝部に嵌入されて柱4A,4Bの側面4fと隣り合う一側面4bや他側面4cより突出する図外の端連結部をガセットプレートとして使用し、当該ガセットプレートに、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具、あるいは、溶接等を用いて鉄骨梁等の梁を連結することも可能である。
また、各端連結部36,36の左右方向の寸法を、柱4A,4Bの一側面4bの幅寸法の長さの1/2以下に設定した梁1を形成し、当該梁1の一方の端連結部36を柱4Aに連結して他方の端連結部36を柱4Bに連結した構成とすれば、当該柱4Aの側面4f側や柱4Bの側面4f側に、当該梁1と同じ構成の梁1を連結できるようになる。
【0023】
実施形態1によれば、2つの木梁部材2A,2Bの一端側の上側、スパン中央側の上側、他端側の上側が、補強板3の一端側上補強部31A、スパン中央側上補強部33A、他端側上補強部32Aによって補強されるとともに、2つの木梁部材2A,2Bの一端側の下側、スパン中央側の下側、他端側の下側が、補強板3の一端側下補強部31B、スパン中央側下補強部33B、他端側下補強部32Bによって補強されているので、2つの木梁部材2A,2Bの一端側、スパン中央側、他端側を補強板3で補強でき、2つの木梁部材2A,2Bの一端側、スパン中央側、他端側に加わる応力負担を軽減できるため、たわみ、長期的なクリープを防止できる梁1を提供できる。
【0024】
また、2つの木梁部材2A,2Bの一端側とスパン中央側との間である一方側が、補強板3の一方側補強部34(第1補強部34Aと第2補強部34B)で補強され、かつ、2つの木梁部材2A,2Bの他端側とスパン中央側との間である他方側が、補強板3の他方側補強部35(第3補強部35Aと第4補強部35B)で補強されているので、2つの木梁部材2A,2Bの一方側及び他方側を補強板3で補強でき、2つの木梁部材2A,2Bの一方側及び他方側に加わる応力負担を軽減できるため、たわみ、長期的なクリープを防止できる梁1を提供できる。
【0025】
つまり、2つの木梁部材2A,2Bの一方側を、互いに交差する第1補強部34Aと第2補強部34Bとによる、少ない量の補強板3によって、効率的に補強できるとともに、2つの木梁部材2A,2Bの他方側を、互いに交差する第3補強部35Aと第4補強部35Bとによる、少ない量の補強板3によって、効率的に補強できるようになる。
【0026】
即ち、実施形態1によれば、2つの木梁部材2A,2Bの一方側及び他方側は、上縁側及び下縁側に補強板3を設けない構成としたため、2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2bにトラス状の補強板を設ける従来構成と比べて、補強板3の使用量を少なくできるので、各木梁部材2A,2Bが補強板3で補強されて、たわみ、長期的なクリープを防止できる梁1を、安価に提供できるようになった。
【0027】
実施形態2
図3に示した、第1補強部34Aとスパン中央側下補強部33Bと第3補強部35Aとで形成される補強部分が、下方に突出する湾曲状に延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成され、かつ、第2補強部34Bとスパン中央側上補強部33Aと第4補強部35Bとで形成される補強部分が、上方に突出する湾曲状に延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成された構成の補強板を用いて、当該補強板が2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2b間に挟み込まれた状態で、2つの木梁部材2A,2Bと補強板3とが連結されて一体化された構成の梁としてもよい。
また、図3に示した、一端側上補強部31Aと第1補強部34Aとスパン中央側下補強部33Bと第3補強部35Aと他端側上補強部32Aとで形成される補強部分が、下方に突出する湾曲状に延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成され、かつ、一端側下補強部31Bと第2補強部34Bとスパン中央側上補強部33Aと第4補強部35Bと他端側下補強部32Bとで形成される補強部分が、上方に突出する湾曲状に延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成された構成の補強板を用いて、当該補強板が2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2b間に挟み込まれた状態で、2つの木梁部材2A,2Bと補強板3とが連結されて一体化された構成の梁としてもよい。
【0028】
実施形態2に係る梁によれば、実施形態1同様に、2つの木梁部材2A,2Bの一方側及び他方側は、上縁側及び下縁側に補強板を設けない構成であるため、2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2bにトラス状の補強板を設ける従来構成と比べて、補強板の使用量を少なくできるので、各木梁部材2A,2Bが補強板で補強されて、たわみ、長期的なクリープを防止できる梁を、安価に提供できるようになる。
【0029】
実施形態3
図5に示すように、木梁部材(木梁部材2A又は木梁部材2B)のスパンの中央に荷重Pを加えた場合に、木梁部材の下面側には引張力が加わり、木梁部材の上面側には圧縮力が加わり、当該引張力の分布曲線は、図5に示す曲線2Xのようになり、圧縮力の分布曲線は、図5に示す曲線2Yのようになる。2Cは中立軸である。
そこで、実施形態2においては、図6図7に示すように、一端側上補強部31aと第1補強部34aとスパン中央側下補強部33bと第3補強部35aと他端側上補強部32aとで形成される補強部分が、木梁部材2A,2Bのスパンの中央に荷重を加えた際に想定される引張応力の分布曲線2Xに沿って延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成され、かつ、一端側下補強部31bと第2補強部34bとスパン中央側上補強部33aと第4補強部35bと他端側下補強部32bとで形成される補強部分が、木梁部材2A,2Bのスパンの中央に荷重を加えた際に想定される圧縮応力の分布曲線2Yに沿って延長して各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられる板面を有した帯状板により形成された構成の補強板3Xを用いて、当該補強板3Xが2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2b間に挟み込まれた状態で、2つの木梁部材2A,2Bと補強板3Xとが連結されて一体化された構成の梁1とした。
尚、図6図7において、実施形態1の図3図4と同じ部分は同一符号を付して説明を省略する。
また、実施形態3の補強板3Xは、実施形態1の補強板3と同様に、第1補強部34aの縁面と第2補強部34bの縁面との境界面、端連結部36の縁面36eと一端側上補強部31aの縁面との境界面、端連結部36の縁面36eと一端側下補強部31bの縁面との境界面、中央側連結部33Cの縁面とスパン中央側上補強部33aの縁面との境界面、中央側連結部33Cの縁面とスパン中央側下補強部33bの縁面との境界面、第3補強部35aの縁面と第4補強部35bの縁面との境界面、端連結部36の板の縁面36eと他端側上補強部32aの縁面との境界面、端連結部36の板の縁面36eと他端側下補強部32bの縁面との境界面が、湾曲面(R面)になるよう面取り加工されている。
【0030】
実施形態3に係る梁1によれば、当該梁1のスパンの中央に荷重が加わった場合に、各木梁部材2A,2Bが、引張応力の分布曲線2Xに沿って各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられた帯状板、及び、圧縮応力の分布曲線2Yに沿って各木梁部材2A,2Bの側面2a,2bに取付けられた帯状板によって効果的に補強されるようになり、たわみ、長期的なクリープを効果的に防止できる梁1を提供できるようになる。
また、実施形態1と同じように、2つの木梁部材2A,2Bの一方側及び他方側は、上縁側及び下縁側に補強板3Xを設けない構成としたため、2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2bにトラス状の補強板を設ける構成と比べて、補強板の使用量を少なくできるので、たわみ、長期的なクリープを効果的に防止できる梁1を安価に提供できる。
【0031】
実施形態4
実施形態1,2の梁1の構成に加えて、図8図9に示すように、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aを補強する上補強体5Aと、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bを補強する下補強体5Bとを備えた構成の梁1とした。
【0032】
図8は上補強体5A及び下補強体5BとしてCT形鋼を用いた梁1の断面を示す。
当該梁1は、例えば、上補強体5Aを構成するCT形鋼のT字の縦部5aが、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの一方の板面3aと一方の木梁部材2Aの側面2aとの間に挟み込まれるように配置されるとともに、CT形鋼のT字の横部5bが、木梁部材2A,2Bの上面2t,2tに跨って接触するように配置される。そして、例えば、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの一方の板面3aとCT形鋼のT字の縦部5aの端面とが隅肉溶接33mによって連結されるとともに、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの他方の板面3bとCT形鋼のT字の横部5bの下面とが隅肉溶接33mによって連結される。
また、下補強体5Bを構成するCT形鋼のT字の縦部5aが、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの他方の板面3bと他方の木梁部材2Bの側面2bとの間に挟み込まれるように配置されるとともに、CT形鋼のT字の横部5bが、木梁部材2A,2Bの下面2u,2uに跨って接触するように配置される。そして、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの一方の板面3aとCT形鋼のT字の横部5bの下面とが隅肉溶接33mによって連結されるとともに、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの他方の板面3bとCT形鋼のT字の縦部5aの端面とが隅肉溶接33mによって連結される。
そして、補強板3の一方の板面3aと一方の木梁部材2Aの側面2aとの間において、適切な位置に、上補強体5Aを構成するCT形鋼のT字の縦部5aの厚さに対応する板厚のスペーサ6,6…を配置する。また、補強板3の他方の板面3bと他方の木梁部材2Bの側面2bとの間において、適切な位置に、下補強体5Bを構成するCT形鋼のT字の縦部5aの厚さに対応する板厚のスペーサ6,6…を配置する。
そして、木梁部材2A、上補強体5A、補強板3、スペーサ6、木梁部材2Bが連結されるとともに、木梁部材2A、スペーサ6、補強板3、下補強体5B、木梁部材2Bが連結される。当該連結は、例えば、接着剤を用いて連結したり、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具を用いて連結したり、あるいは、これら接着剤及び連結具を併用して連結すればよい。
【0033】
図9は、上補強体5A及び下補強体5Bとして、L形鋼を用いた例を示す。
当該梁1は、例えば、上補強体5Aを構成するL形鋼の一方板部5cが、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの一方の板面3aと一方の木梁部材2Aの側面2aとの間に挟み込まれるように配置されるとともに、L形鋼の他方板部5dが、他方の木梁部材2Bの上面2tに接触するように配置される。そして、例えば、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの一方の板面3aとL形鋼の一方板部5cの端面とが隅肉溶接33mによって連結されるとともに、補強板3のスパン中央側上補強部33A,33aの他方の板面3bの上端部とL形鋼の他方板部5dの下面とが隅肉溶接33mによって連結される。
また、下補強体5Bを構成するL形鋼の一方板部5cが、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの一方の板面3aと一方の木梁部材2Aの側面2aとの間に挟み込まれるように配置されるとともに、L形鋼の他方板部5dが、他方の木梁部材2Bの下面2uに接触するように配置される。そして、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの一方の板面3aとL形鋼の一方板部5cの端面とが隅肉溶接33mによって連結されるとともに、補強板3のスパン中央側下補強部33B,33bの他方の板面3bの下端部とL形鋼の他方板部5dの上面とが隅肉溶接33mによって連結される。
そして、補強板3の一方の板面3aと一方の木梁部材2Aの側面2aとの間において、適切な複数の位置に、L形鋼の一方板部5cの厚さに対応する板厚のスペーサ6,6…を配置する。
そして、木梁部材2A、上補強体5A(又は下補強体5B)、補強板3、木梁部材2Bが連結される。当該連結は、例えば、接着剤を用いて連結したり、あるいは、ボルト,ナット,座金等を使用した連結具を用いて連結したり、あるいは、これら接着剤及び連結具を併用して連結すればよい。
【0034】
実施形態4によれば、上補強体5Aにより、梁1のスパン中央側上部に対する補強効果が向上するとともに、下補強体5Bにより、梁1のスパン中央側下部に対する補強効果が向上するので、たわみ、長期的なクリープをさらに効果的に防止できる梁1を提供できる。
【0035】
尚、図8図9に示すように、木梁部材2B(又は2A)の上面2tや下面2uとCT形鋼のT字の横部5bやL形鋼の他方板部5dとの段差tを無くすために、木梁部材2B(又は2A)の上面2tや下面2uに厚さtの板材を取付けたり、あるいは、木梁部材2B(又は2A)の上面2tや下面2uに凹部を形成して当該凹部にCT形鋼のT字の横部5bやL形鋼の他方板部5dを挿入するようにしてもよい。
【0036】
また、実施形態1では、第1補強部34A、第2補強部34B、第3補強部35A、第4補強部35Bが、直線状又は湾曲状に傾斜する帯状の板材により形成された例を示したが、第1補強部34A、第2補強部34B、第3補強部35A、第4補強部35Bは、例えば、段差状に傾斜したり、上下を繰り返しながら傾斜する帯状の板材により形成されていてもよい。
【0037】
また、柱4A,4Bと梁1の補強板3,3Xとの連結は、柱4A,4Bから突出させたガセットプレート等の連結部と補強板3,3Xとを連結するようにしてもよい。この場合、例えば、補強板3,3Xは、端連結部36,36を備えない構成のものを用いて、柱4Aから突出させたガセットプレート等の連結部と一端側補強部31とを連結するととに、柱4Bから突出させたガセットプレート等の連結部と他端側補強部32とを連結するようにしてもよい。
【0038】
また、補強板3,3Xは、中央側連結部33Cを備えない構成であってもよい。
【0039】
端連結部36及び中央側連結部33Cを備えない構成の補強板3にあっては、図3に示した、第1補強部34Aの縁面と第2補強部34Bの縁面との境界の湾曲面34r、及び、第3補強部35Aの縁面と第4補強部35Bの縁面との境界の湾曲面35rを備えた構成とすればよい。端連結部36及び中央側連結部33Cを備えない構成の補強板3Xの場合も、同様に構成すればよい。
【0040】
また、上記では、鋼板の一部をくり貫いて形成された補強板3,3Xを用いた例を示したが、例えば、上述した補強板3,3Xの各部を個別に用意して、これら個別に用意した各部を連結した補強板を形成して、当該補強板が、2つの木梁部材2A,2Bの側面2a,2b間に挟み込まれた状態で、当該補強板と2つの木梁部材2A,2Bとが連結されて一体化された構成の梁としてもよい。
【0041】
木質系横架材は、木材以外の材料で形成されたものであってもよい。
補強材は、鋼以外の金属、又は、金属以外の材料により形成されたものであってもよい。
【0042】
本発明は、梁以外の横架材、例えば、桁、胴差し、土台等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 梁(横架材)、2A,2B 木梁部材(木質系横架材)、3 補強板(補強材)、
31 一端側補強部、31A 一端側上補強部、31B 一端側下補強部、
32 他端側補強部、32A 他端側上補強部、32B 他端側下補強部、
33 スパン中央側補強部、33A スパン中央側上補強部、
33B スパン中央側下補強部、33C 中央側連結部、34 一方側補強部、
34A 第1補強部、34B 第2補強部、34r;35r 湾曲面、
35 他方側補強部、35A 第3補強部、35B 第4補強部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9