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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】薬剤送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20230425BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61M5/315 516
A61M5/24 500
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021208920
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2020073821の分割
【原出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2022046620
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】62/310,961
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド・オールデン・ジャドソン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・リー・モールトン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504437(JP,A)
【文献】特開2015-221386(JP,A)
【文献】特開2010-240410(JP,A)
【文献】特表2015-524722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0023637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤(25)を保持するように構成され、かつ出口(28)を画定する容器本体(24)を有する薬剤容器(22)であって、容器本体内に配置されるピストン(26)を含む薬剤容器と、
遠位端部(56,56B)及び近位端部(58,58B)を有する駆動リボン(40,40B)であって、駆動リボンは渦巻きを形成する後退構成(54,54B)及び延伸構成(52,52B)に駆動軸周りに巻かれており、延伸構成における駆動リボンの延伸部分は、駆動軸周りに螺旋を形成しており、駆動リボンが後退構成延伸構成の間で徐々に移動可能である、駆動リボン(40,40B)と、
駆動リボンに操作可能に結合され、かつ駆動リボンを駆動軸周りで選択的に回転させるギア部材であって、ここで第1方向における駆動リボンの回転は、駆動リボンの延伸構造を伸展させて駆動リボンの延伸部分を伸ばす、ギア部材(122,124,122B)と、
駆動リボンの遠位端に近接して駆動リボンにおいて支持される支持部材(80,80B)と、
支持部材において回転可能に装着され、ピストンを押すように構成された伝達部材(84,84B)であって、ここで支持部材は、伝達部材に対して回転するように構成されている、伝達部材と、
を備えた、薬剤送達システム(20,20B,20C)
【請求項2】
ギア部材に操作可能に結合され、ギア部材を回転させる機械駆動部(32,38,32B)をさらに備える、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
駆動リボンは、ギア部材に係合可能な複数のギア歯(76,78,78B)を形成しており、これによりギア部材は、複数のギア歯を介して回転力を伝達することにより駆動リボンを回転可能である、請求項2に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
複数のギア歯(76)は、駆動リボンの半径方向内向き面に配置されている、請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
ギア部材は、延伸構成によって形成される螺旋の内側に配置される、請求項4に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
複数のギア歯(78,78B)は、駆動リボンの外側表面に配置されている、請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
ギア部材は、延伸構成によって形成される螺旋の外側に配置される、請求項6に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
駆動リボンの少なくとも一部に係合し少なくとも部分的に延伸させる推進部材(88,88B,88C)をさらに備える、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
支持構造(30,30B)をさらに備え、ここで推進部材は、支持構造に対して回転可能に固定され、駆動リボンの近位端部に係合可能な螺旋傾斜部(90,176,178)を画定し、ここで駆動リボンが第1方向に回転されると、螺旋傾斜部に係合する駆動リボンの移行部分が、後退構成から延伸構成に移行する、請求項8に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
駆動リボンが第2方向に回転されると螺旋傾斜部に係合する駆動リボンの移行部分は、延伸構成から後退構成に移行する、請求項9に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
駆動リボンの延伸部分において、駆動リボンの近位端部は、遠位端部の隣接部分に直接支持係合されている、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
延伸部分は、軸及び捻れ剛性を有する円柱状体を形成する、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
近位端部及び遠位端部の一方は、半径方向に延出する段差部を画定して、近位端部及び遠位端部の他方に直接支持係合する、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
近位端部及び遠位端部の一方は、複数の突出部を画定し、近位端部及び遠位端部の他方は、複数の連携凹部を画定する、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
駆動リボンは、一体部材型の単体リボンである、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項16】
機械駆動部は、電動モータを備える、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項17】
ピストンに作用する力を決定し、かつ薬剤容器の動作状態及び/又はピストンの位置を決定するフォースフィードバックシステムをさらに備える、請求項16に記載の薬剤送達システム。
【請求項18】
フォースフィードバックシステムは、駆動リボンの遠位端部に配置されたピストンに対する推進部材部材の接触を検出するためのスイッチを備える、請求項17に記載の薬剤送達システム。
【請求項19】
近位端部は、近位端面を画定し、遠位端部は、遠位端面を画定し、
近位端面は、第1縦長部分及び第2縦長部分を画定し、遠位端面は、第3縦長部分及び第4縦長部分を画定し、ここで、第1縦長部分及び第2縦長部分は、第3縦長部分及び第4縦長部分が向いた軸方向とは反対の軸方向に向いており、
螺旋を形成する駆動リボンの延伸部分において、駆動リボンの近位端部は、近位端面の第2縦長部分が遠位端面の第3縦長部分に係合している状態で、遠位端部の隣接部分に係合し、
螺旋を形成する延伸構成において、近位端面の第1縦長部分は、駆動リボンの半径方向内側及び半径方向外側の一方に突出し、及び遠位端面の第4縦長部分は、駆動リボンの半径方向内側及び半径方向外側の他方に突出し、
推進部材は、近位端面の第1縦長部分に係合されている、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、MEDICAL DELIVERY DEVICE WITH AXIALLY EXPANDABLE DRIVE MEMBER(軸方向に拡開可能な駆動部材を備える薬剤送達デバイス)と題する2016年3月21日出願の米国仮特許出願第62/310,961号の優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願の開示内容が参照をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、注射用デバイスのような薬剤送達デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の注射用デバイスは多くの場合、薬剤を患者に注射するために使用される。
【0004】
例えば、インスリンを含む使い捨てカートリッジを収容するペン型注射器は多くの場合、糖尿病患者によって使用される。このようなペンは普通、カートリッジ内のピストンに作用する長尺ロッドを含む。ロッドがピストンを前進させると、カートリッジ内の薬剤が針を通って患者に投与される。
【発明の概要】
【0005】
ロッドは、カートリッジから外側に突出してペン内の駆動機構に、ロッドがカートリッジの内部の前進限界に達するときを含む注射過程全体を通じて係合する必要がある。また、ロッドは、当該ロッドが完全に後退するとペン内に収容されて、ロッドを薬剤で満たされている新しいカートリッジに挿入することができるようにする必要がある。その結果、従来のペン型注射器は普通、長尺であり、かつ細く、ペン型注射器の長さは、薬剤が収納されるカートリッジ胴部の長さの2倍超である。同様に、非ペン型の詰め替え可能な注射用デバイスの場合、デバイスの長さは普通、薬剤が収納されるカートリッジ胴部の長さの2倍超である。
【0006】
このような注射用デバイスを使用して、薬剤を1日の異なる時刻に自己投与する場合、注射用デバイスを使用者が容易に持ち運びできることが望ましい。例えば、糖尿病患者は多くの場合、インスリンを、注射用デバイスを使用して自己投与し、当該デバイスを患者が抱えて1日中持ち運ぶ。従来のペン型注射器及び類似の器具は、十分に小さいので携行することができるが、このようなデバイスの長さは多くの場合、デバイスの持ち運びを厄介なものにする。
【0007】
本発明は、容易に持ち運ぶことができる小型薬剤送達デバイスを提供する。
【0008】
本発明は、本発明の1つの形態において、薬剤容器と一体的に使用される薬剤送達デバイスを備える。薬剤容器は、薬剤を保持し、かつ出口を画定する容器本体を有し、更には、容器本体内に配置されるピストンを含み、ピストンが容器本体内で前進すると、薬剤が出口から排出される。送達デバイスは、薬剤容器を支持するように適合される支持構造と、支持構造上に支持され、かつピストンを容器本体内で前進させるように適合される駆動アセンブリと、を含む。駆動アセンブリは、遠位端部及び近位端部を有する駆動リボンを含む。駆動リボンは、後退構成及び延伸構成を有し、後退構成の駆動リボンの後退部分が渦巻を画成し、延伸構成の駆動リボンの延伸部分が螺旋を画成する。駆動リボンは、後退構成と延伸構成との間で徐々に移行することができ、後退構成から延伸構成への駆動リボンの移行が駆動軸を画定する。機械駆動部は、駆動リボンに操作可能に結合され、かつ駆動リボンを駆動軸周りで選択的に回転させ、駆動リボンが第1方向に回転すると、駆動リボンが延伸し、駆動リボンが反対の第2方向に回転すると、駆動リボンが後退する。推進部材は、支持構造と駆動リボンとの間に操作可能に配置され、駆動リボンを少なくとも部分的に延伸させると近位端部の少なくとも一部に係合する。支持部材は、駆動リボン上に、駆動リボンの遠位端に近接して支持される。支持部材は、駆動リボンを延伸させているときに軸方向力をピストンに作用させるように適合される。支持部材からピストンに作用する軸方向力は、支持構造に薬剤容器を介して少なくとも部分的に伝達される。軸方向圧縮荷重が駆動リボンに作用すると、軸方向圧縮荷重が、支持構造に推進部材を介して少なくとも部分的に伝達される。
【0009】
幾つかの実施形態では、支持構造は、人間の手で把持されるように適合されるハウジングを画定する。このような実施形態では、薬剤容器は、少なくとも3mLの貯蔵容積を有し、支持構造は、110mm以下の軸方向長を規定する。支持構造は、100mm以下の軸方向長を規定することもできる。
【0010】
送達デバイスの幾つかの実施形態では、推進部材は、支持構造に対して回転可能に固定され、駆動リボンの近位端部に係合可能な螺旋傾斜部を画定し、駆動リボンを第1方向に回転させると、螺旋傾斜部に係合する駆動リボンの移行部分が、後退構成から延伸構成に移行し、駆動リボンを第2方向に回転させると、螺旋傾斜部に係合する駆動リボンの移行部分が、延伸構成から後退構成に移行する。このような実施形態では、送達デバイスは更に、推進部材を取り囲むことにより半径方向内向き支持力を駆動リボンに螺旋傾斜部に近接して作用させるリボン支持部材を含むことができる。リボン支持部材は、駆動リボンに係合可能な複数のローラの形態を採ることができ、複数のローラは、半径方向内向き力を作用させ、駆動リボンを回転させると、駆動リボンを推進部材の螺旋傾斜部に付勢する。螺旋傾斜部を含むこれらの実施形態では、螺旋傾斜部に近接する駆動リボンの後退部分は、螺旋傾斜部の半径よりも大きい半径を規定する。
【0011】
送達デバイスの幾つかの実施形態では、支持部材は回転軸受を含むことにより、駆動リボンと前記ピストンとの間の駆動軸周りの相対回転移動を可能にする。このような回転軸受は宝石軸受の形態を採ることができる。
【0012】
送達デバイスは、幾つかの実施形態では、駆動リボンを含むことができ、駆動リボンは、機械駆動部に係合可能な複数のギア歯を規定するので機械駆動部は駆動リボンを、回転力を複数のギア歯を介して伝達することにより回転させることができる。
【0013】
駆動リボンの幾つかの実施形態では、駆動リボンの延伸部分は近位端部を有することができ、近位端部は、遠位端部の隣接部分に直接支持係合する。このような実施形態では、近位端部及び遠位端部の一方の端部は、半径方向に延出する段差部を画定して、近位端部及び遠位端部の他方の端部に直接支持係合することができる。このような実施形態では、近位端部及び遠位端部の一方の端部が複数の突出部を画定し、近位端部及び遠位端部の他方の端部が複数の連携凹部を画定することも可能である。
【0014】
送達デバイスは、一体部材型の単体リボンである駆動リボンを有することができ、駆動リボンが少なくとも部分的に延伸するときに支持部材と推進部材との間で伝達される軸方向力の全ては、一体部材型の単体リボンにより伝達される。
【0015】
幾つかの実施形態では、送達デバイスは更に、円筒ボビンを含み、駆動リボンの後退部分はボビンに収納される。このような実施形態では、ボビンは、推進部材上に回転可能に配置することができる。ボビンを含む実施形態では,駆動リボンの後退部分がボビン内に配置される場合、駆動リボンは、駆動リボンの遠位端面が、駆動軸と直交する方向に向いた第1平面内にあり、駆動リボンの近位端面が、駆動軸と直交する方向に向いた第2平面内にあるように構成することができる。
【0016】
送達デバイスの幾つかの実施形態では、機械駆動部はバッテリ駆動モータを含む。
【0017】
送達デバイスの幾つかの実施形態では、近位端部は近位端面を画定し、遠位端部は遠位端面を画定し、近位端面が、第1の軸方向に対向する縦長部分、及び第2の軸方向に対向する縦長部分を画定し、遠位端面が、第3の軸方向に対向する縦長部分、及び第4の軸方向に対向する縦長部分を画定する。螺旋を画成する駆動リボンの延伸部分では、リボンの近位端部を遠位端部の隣接部分に、近位端面の第2縦長部分が遠位端面の第3縦長部分に係合している状態で係合させ、近位端面の第1縦長部分及び遠位端面の第4縦長部分は、半径方向にはみ出して反対方向に延出する。また、このような実施形態では、推進部材を近位端面の第1縦長部分に係合させる。推進部材は、近位端面の第1縦長部分に、駆動リボンの後退部分と延伸部分との間に配置される駆動リボンの移行部分において係合することができる。
【0018】
本発明は、本発明の別の形態において、薬剤を保持し、かつ出口を画定する容器本体を有する薬剤容器と一体的に使用される薬剤送達デバイスを備える。薬剤容器は更に、容器本体内に配置されるピストンを含み、ピストンが容器本体内で前進すると、薬剤が出口から排出される。送達デバイスは、薬剤容器を支持するように適合される支持構造と、支持構造上に支持され、かつピストンを容器本体内で前進させるように適合される駆動アセンブリと、を含む。駆動アセンブリは、遠位端面を画定する遠位端部と、近位端面を画定する近位端部と、を有する駆動リボンを含む。駆動リボンは、後退構成及び延伸構成を有し、後退構成の駆動リボンの後退部分が渦巻を画成し、延伸構成の駆動リボンの延伸部分が螺旋を画成する。駆動リボンは、後退構成と延伸構成との間で徐々に移行することができ、後退構成から延伸構成への駆動リボンの移行が駆動軸を画定する。近位端面は、第1の軸方向に対向する縦長部分、及び第2の軸方向に対向する縦長部分を画定し、遠位端面は、第3の軸方向に対向する縦長部分、及び第4の軸方向に対向する縦長部分を画定する。螺旋を画成する駆動リボンの延伸部分において、リボンの近位端部を遠位端部の隣接部分に、近位端面の第2縦長部分が遠位端面の第3縦長部分に係合している状態で係合させ、近位端面の第1縦長部分及び遠位端面の第4縦長部分が、半径方向にはみ出して反対方向に延出する。機械駆動部は、駆動リボンに操作可能に結合され、かつ駆動リボンを駆動軸周りで選択的に回転させ、駆動リボンが第1方向に回転すると駆動リボンが延伸し、駆動リボンが反対の第2方向に回転すると駆動リボンが後退する。推進部材は、支持構造と駆動リボンとの間に操作可能に配置される。推進部材は、近位端部の第1縦長部分に係合させる。支持部材は、駆動リボン上に駆動リボンの遠位端に近接して支持される。支持部材は、駆動リボンを延伸させるときに軸方向力を駆動リボンに伝達するように適合される。
【0019】
幾つかの実施形態では、遠位端面の第4縦長部分は、半径方向外向きに突出し、近位端面の第1縦長部分は、半径方向内向きに突出する。
【0020】
幾つかの実施形態では、推進部材は、近位表面の第1縦長部分に係合可能な螺旋ネジを含む。このような実施形態では、螺旋ネジは、駆動軸周りで360度超の角度に亘って延びることができる。
【0021】
推進部材が螺旋ネジを有する実施形態では、デバイスは、遠位端面の第4縦長部分が半径方向外向きに突出し、近位端面の第1縦長部分が半径方向内向きに突出するように構成することができ、送達デバイスは更に、駆動リボンを取り囲むリボン支持部材を含み、リボン支持部材は、遠位端面の第4縦長部分に係合可能な第2螺旋ネジを画定する。
【0022】
第2螺旋ネジを有するこのような実施形態では、推進部材の螺旋ネジは、駆動軸周りで360度超の角度に亘って延びることができる。更に他の実施形態では、第2螺旋ネジは、リボン支持部材が駆動リボンを推進部材に近接して取り囲む状態で、駆動軸周りで360度超の角度に亘って延びることができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、駆動リボンを展開して平面内に配置する場合、駆動リボンは弓形を画成する。このような実施形態では、リボンは、駆動リボンが展開されて平面内に配置されると、近位端部が、遠位端部の半径方向内側に配置され、駆動リボンが螺旋を画成すると、遠位端面の第4縦長部分が半径方向外向きに突出し、近位端面の第1縦長部分が半径方向内向きに突出するように構成することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、近位端部及び遠位端部の一方の端部は、複数のペグを画定し、近位端部及び遠位端部の他方の端部は、複数の孔を画定し、螺旋を画成する駆動リボンの延伸部分では、リボンの近位端部が遠位端部の隣接部分に係合する際に、ペグが孔に係合する。
【0025】
ペグ及び孔を有する実施形態では、駆動リボンは、機械駆動部に係合可能な複数のギア歯を規定することができるので、機械駆動部は、駆動リボンに係合して、回転力を複数のギア歯を介して伝達することにより駆動リボンを回転させることができる。例えば、機械駆動部は、複数のギア歯に係合可能なウォームギアを含むことができる。
【0026】
リボンがペグ、孔、及びギア歯を含む実施形態では、駆動リボンは、第1及び第2主面を駆動リボンの両側の面に画定し、複数のペグ、複数の孔、及びギア歯が全て、駆動リボンの第1主面に現われるので、複数のペグ、複数の孔、及びギア歯は、第1主面の側から機械加工されるように適合され、第2主面は平坦面を画定する。このような実施形態では、駆動リボンは、一体部材型の単体リボンとすることができ、駆動リボンを少なくとも部分的に延伸させるときに支持部材と推進部材との間で伝達される全軸方向力は、一体部材型の単体リボンにより伝達され、第1及び第2主面の最外周部は、互いに平行な平面を画定し、第1及び第2主面により画定される平面間の距離は、駆動リボンの最大厚さを規定する。
【0027】
幾つかの実施形態では、送達デバイスは更に、駆動リボンの後退部分がボビンに収納されている状態で推進部材に対して回転可能なボビンを含むことができる。
【0028】
送達デバイスの幾つかの異なる特徴が本明細書において開示され、これらの特徴を様々な異なる構成で組み合わせることができることに留意されたい。このような特徴の幾つかの異なる組み合わせが、本明細書において記載されるが、この技術分野の当業者であれば、本明細書において明示的には記載されていない別のこのような組み合わせも可能であり、本開示により可能となり、本出願の範囲に包含されることを理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の上記特徴及び他の特徴、並びにこれらの特徴を実現する方法は、本発明の所定の実施形態に関する以下の説明を、添付の図面と併せて参照することにより一層明らかになり、本発明自体がより深く理解されることになる。
【0030】
図1A】送達デバイスの第1の実施形態の側面図である。
図1B】第1の実施形態の端面図である。
図1C】第1の実施形態の別の端面図である。
図1D】キャップを取り外し、針アセンブリを取り付けた状態の第1の実施形態の側面図である。
図1E図1Dの実施形態の端面図である。
図1F】第1の実施形態の斜視図である。
図2A】先行技術による送達デバイスの側面図である。
図2B】先行技術によるデバイスの端面図である。
図2C】先行技術によるデバイスの別の端面図である。
図2D】キャップを取り外し、針アセンブリを取り付けた状態の先行技術によるデバイスの側面図である。
図2E図2Dの先行技術によるデバイスの端面図である。
図2F】先行技術によるデバイスの斜視図である。
図3A】送達デバイスの第2の実施形態の側面図である。
図3B】第2の実施形態の端面図である。
図3C】第2の実施形態の別の端面図である。
図3D】キャップを取り外し、針アセンブリを取り付けた状態の第2の実施形態の側面図である。
図3E図3Dの実施形態の端面図である。
図3F】第2の実施形態の斜視図である。
図4】駆動アセンブリの部分模式斜視図である。
図5】駆動リボンの部分斜視図である。
図6】駆動リボンの別の斜視図である。
図7】駆動リボンの別の部分斜視図である。
図8】駆動リボンの部分細部斜視図である。
図9】駆動リボンの別の部分細部斜視図である。
図10】駆動リボンの別の部分細部斜視図である。
図11】駆動リボンの延伸部分を示す模式斜視図である。
図12】リボン推進部材の斜視図である。
図13】駆動リボンの周りのリボン支持アセンブリを示す模式斜視図である。
図14】駆動リボンに係合する機械駆動アセンブリを示す模式斜視図である。
図15】別の機械駆動アセンブリの模式斜視図である。
図16】駆動リボン及び収納ボビンの模式斜視図である。
図17】第1の実施形態の模式図である。
図18】駆動アセンブリ及び薬剤容器を示す部分斜視図である。
図19】駆動アセンブリ及び薬剤容器を示す別の部分斜視図である。
図20】駆動アセンブリの部分斜視図である。
図21】別の実施形態の側面図である。
図22図21の実施形態の部分分解図である。
図23図26の直線23-23に沿って切断したときの断面図である。
図24図21の実施形態の駆動リボンの上面図である。
図25図24の細部D25の図である。
図25A図24の駆動リボンの端面図である。
図26】ハウジングを取り外した状態の図21の実施形態の一部の側面図である。
図27図26の直線27-27に沿って切断したときの断面図であり、リボン支持部材を更に示している。
図28】ハウジングを取り外した状態の図21の実施形態の側面図である。
図29】ハウジングを取り外した状態の図21の実施形態の端面図である。
図30】ハウジングを取り外した状態の別の実施形態の側面図である。
図31】ハウジングを取り外した状態の図30の実施形態の端面図である。
図32】ハウジングを取り外した状態の図30の実施形態の斜視図である。
図33】ハウジングが無い状態の図30の実施形態の分解図である。 対応する参照記号は、対応する構成要素を幾つかの図を通じて指している。本明細書において提示される例示は、本発明の所定の実施形態を1つの形態で示しているが、以下に開示される実施形態は、網羅的にはなっていない、または本発明の範囲を開示される厳密な形態に限定するものとして捉えられてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
小型薬剤送達デバイス20の第1の実施形態が図1A図1Fに図示されているのに対し、小型薬剤送達デバイス20Aの第2の実施形態は図3A図3Fに図示されている。先行技術による1つの従来の薬剤送達デバイス21が図2A図2Fに図示されている。図2A図2Fに図示されているデバイス21は、インディアナ州インディアナポリスに本社を構えるEli Lilly and Companyから市販されているKwikpen注射器であり、約145mmの長さを有する。図1A図2A、及び図3Aを比較して分かるように、小型薬剤送達デバイス20,20Aは、従来のデバイス21よりも長さがかなり短い。しかしながら、従来のデバイス21は、図1B図1C図2B図2C図3B、及び図3Cを参照して分かるように、小型デバイス20,20Aよりも細い。
【0032】
薬剤送達デバイス20は薬剤容器22を収容する。図17に模式的に図示されているように、薬剤容器22は薬剤25、例えばインスリンを容器本体の円筒胴部の内部に保持する容器本体24を含む。ピストン26は、本体24内に配置され、ピストン26が容器本体24内を前進すると、薬剤25が出口28から排出される。図示の実施形態では、出口28は、容器の隔膜を貫通する一方の端部と、患者の体内に挿入して薬剤25を注射することができる反対側端部と、を有する注射針である。
【0033】
デバイス20は更に、薬剤容器22を支持するように適合される支持構造30を含む。支持構造30は、図示の実施形態におけるデバイスハウジングとしても機能し、本明細書においてはハウジングとも表記される。ハウジング30はまた、ピストン26を前進させる駆動アセンブリ32を支持し、人間の手で把持されるように適合される。デバイス20及びデバイス20Aは、略同様であるが、デバイス20Aのハウジング30Aがハウジング30よりも若干大きくなっているので異なるハウジングを有する。
【0034】
両方のハウジング30,30Aが取り外し可能なキャップ31、31Aを含み、これらのキャップは、ハウジング30,30Aに解放可能に固定することができ、出口/針28を、デバイスが使用されていないときに覆っている。図1D及び図3Dが、キャップ30、30Aを取り外した状態のデバイス20、20Aを示しているのに対し、図1A及び図3Aは、キャップ31、31Aをハウジング30,30Aに取り付けた状態を示している。図1D及び図3Dから分かるように、キャップ30、30Aを使用して標準針を被覆し、標準針も取り外し可能な円筒内側針シールド29を有する。
【0035】
図3A及び図3Dを参照して分かるように、キャップ31Aを取り外すと、容器本体24の縦長部分のほぼ全体が剥き出しになる。一般に、容器本体24は、ガラスまたは他の透明材料により形成される。容器本体24のこの長さ部分を剥き出しにすることにより、使用者は、カートリッジ本体24内に残留する薬剤25の量を眼で確認することができる。これとは異なり、ハウジング30は、出口28近傍の薬剤容器22の端部しか剥き出しにしないので、ハウジング30の開口スロット42を提供して、使用者が、容器本体24に残留する薬剤25の量を眼で確認することができるようにしている。開口スロット42を使用するのではなく、透明材料を使用して窓を形成してこのような目視確認を可能にする。
【0036】
ハウジング30は、投与量の設定を制御する制御ノブ44と、注射を開始するボタン45と、ハウジング30の端部に位置する電子ディスプレイ46と、を含む。例えば、ノブ44を回転させて注射量を設定することができ、中心ボタン45を押下して、注射作業を開始することができる。ハウジング30Aは操作部44A及び電子ディスプレイ46Aをハウジング30Aの側面に含む。操作部44Aを使用して注射量を設定するのに対し、ハウジング30Aの端部に位置する制御ボタン45Aを使用して注射手順を開始する。図示の実施形態は、ハウジングの端部に位置するアクチュエータを有することにより注射を開始しているが、このような機能部に対応するハウジングの他の箇所を用いてもよい。例えば、ハウジング本体を従来のペンよりも太くすることにより、幾人かの人間は、デバイスを異なる態様で把持することができ、注射手順を開始するアクチュエータは別の構成として、ハウジングの側面に配備するようにしてもよい。また、患者の握りかたは、患者の体のいずれの部位に注射が行なわれるかによって異なり、幾つかの実施形態では、複数のアクチュエータをハウジングに含めて、様々な握りかたを容易にすることも望ましい。
【0037】
薬剤容器22は、少なくとも3mLの貯留容積を有し、従来の薬剤カートリッジの形態で図示されている。支持構造30は、110mm以下の軸方向長を規定する、または100mm以下の軸方向長を規定することもできる。支持構造30、30Aの軸方向長は、図1A及び図3Aのそれぞれにおける参照番号48,48Aにより指示される。図1A及び図3Aから明らかに分かることであるが、本明細書において表記される支持構造の軸方向長とは、取り外し可能なキャップを含んでいる。図示の実施形態では、キャップ付き軸方向長48,48Aは、共に105mmである。図示の実施形態では、デバイス20、20Aの軸方向長48,48Aは、容器22の軸方向長49(針28を含まない)の2倍未満である。インスリンに使用される標準的な3mL薬剤カートリッジは、64mmの軸方向長、及び約43mmのプランジャー移動距離を有する。
【0038】
デバイス20,20Aが、比較的短い軸方向長48,48Aを有することができるのは、駆動リボン40を有する駆動アセンブリ32を使用するからである。図17は、デバイス20の概略模式図を提供して、容器22が支持構造30内に、駆動アセンブリ32に対して配置される過程を示している。駆動アセンブリ32は、駆動リボン40に結合される機械駆動部38を含む。駆動リボン40は、後退構成と延伸構成との間で徐々に移行することができる。薬剤容器22をデバイス20内に取り付けた状態では、駆動リボンが後退構成から延伸構成に移行すると、駆動リボン40が延伸してピストン26が前進し、その結果、薬剤が出口28から放出されるようになる。
【0039】
駆動リボン40を機械駆動部38により選択的に回転させると、駆動リボン40が後退するか、または延伸するようになる。図示の実施形態では、機械駆動部38は、DC電動モータ34と、モータ34に給電するバッテリ36、例えば1個のAAAバッテリ、または充電式リチウムイオン電池と、を含む。別の機構は、外部電源、または別の形態のトルク電源を用いることができる。例えば、トルクバネまたは他の機構は、手で引っ張ることができ、このような引張力を選択的に解除して駆動アセンブリ32の動作を駆動するために必要な回転力を供給する。
【0040】
機械駆動部38は駆動リボンに選択的に結合されてリボン40を駆動軸50周りで、いずれの回転方向にも回転させる。第1回転方向では、駆動リボン40に指示して軸方向に延伸させ、反対の第2回転方向では、駆動リボン40の後退を指示する。駆動リボン40が回転すると、リボンが渦巻構成と螺旋構成との間で変化する。駆動リボン40が限界まで延伸すると、駆動リボン40の全てではないが、大半が螺旋構成になる。駆動リボン40が限界まで後退すると、駆動リボン40の全てではないが、大半が渦巻構成になる。殆どの軸方向位置において、駆動リボン40の延伸部分52が螺旋を画成するのに対し、駆動リボン40の後退部分54は渦巻を画成することになる。駆動リボン40が回転すると、リボンが2つの形状の間で徐々に変化するようになる。
【0041】
図5図11は、駆動リボン40の細部図を示している。図6は、リボン40が部分的に延伸している形状になっているリボン40を示している。図6では、後退部分54が渦巻を画いているのに対し、延伸部分52は螺旋を画いている。後退部分54では、渦巻部分の各渦巻部分に対応するリボン40の遠位端部56の軸方向端面は、共通平面110内にあり、同様に、渦巻部分の各渦巻部分の近位端部58の軸方向端面もまた、共通平面112内にある。この渦巻機構により、リボン40の後退部分54を、リボン40の幅に略等しい最小限の軸方向空間に収納することができる。駆動リボン40の延伸部分52では、近位端部56は、遠位端部58の隣接部分に直接当接係合する。
【0042】
図6及び図11が、端面が係合している螺旋延伸部分52を示しているのに対し、図5及び図7は、駆動リボン40の分解図を示していることに留意されたい。図5及び図7は、リボン40の細部を説明して図示するために提示されている。使用状態では、駆動リボン40は、図5及び図7に示す分解形状とはならない。
【0043】
リボン40の近位端部58及び遠位端部56の一方の端部が、半径方向に突出する段差部60を画定して、近位端部58及び遠位端部56の他方の端部に直接当接係合する。図8から分かるように、図示の実施形態では、半径方向に突出する段差部60を含み、かつ図示の段差部60が半径方向内向きに延出するのが遠位端部56である。段差部60は、軸50と略直交する軸方向対向面62を含み、軸方向対向面62は、対向する近位端面58に係合して、軸方向圧縮力を伝達することができる。リボン40は更に、回転力の伝達を可能にする。リボン40の近位端部58及び遠位端部56の一方の端部が複数の突出部64を画定し、近位端部58及び遠位端部56の他方の端部が、複数の係合凹部66を画定する。突出部64を凹部66に相互に嵌合させることにより回転力を伝達して、近位端部58及び遠位端部56のインターロック状態を、リボン40を回転させているときに保ち易くする。図8及び図9から分かるように、図示の実施形態では、複数の凹部66を画定するのが遠位端部56であり、複数の突出部64を画定するのが近位端部58である。凹部66の側壁面68が突出部64の側壁面70に係合することにより、回転力の伝達を可能にしていることに注目されたい。側壁面68及び70は共に、軸50に対して略半径方向に設定される向きを有する平坦面を画定する。半径方向に向いたこの係合側壁面は、連結部に沿ったせん断力に耐える、従って延伸リボン40により形成される柱状体内の捻じれに耐えることができる。係合している突出部64及び凹部66の様々な他の機構及び形状を使用することができる。例えば、凹部66は、リボン40の全厚を貫通して延在する開口部を形成することができる。係合端面により形成される連結部に沿ったせん断力に耐える結果として、結果的に得られる柱状体が、捻じれ荷重を支持して、一方の端部が反対側の端部に対して回転するのを防止することができる。柱状体は、リボン40の延伸部分52により形成される柱状体の捻じれに耐え、繰り出しに耐えることもできる。
【0044】
遠位端部56及び近位端部58は更に、半径方向に延出するフランジ72,74をそれぞれ含む。遠位端部56のフランジ72が、半径方向内向きに延出しているのに対し、近位端部58のフランジ74は、半径方向外向きに延出している。遠位端部56及び近位端部58を係合させると、半径方向外向きに延出するフランジ74は、段差部60及びフランジ72により画定される溝76内に着座する。フランジ72,74が係合すると、軸方向に作用する引張力に耐えることができ、軸方向に作用する引張力を受ける場合に、係合している遠位端部56及び近位端部58が軸方向に分離するのを防止することができる。
【0045】
展開されると、リボン40は、螺旋に形成されて高剛性の係止円柱状体を形成する。上に説明したように、遠位端部56及び近位端部58を係止させることにより、柱状体に軸方向剛性及び捻じれ剛性、並びに軸方向強度、及び捻じれ強度を付与することができる。リボン端部56,58は互いに、取り外し可能に、かつ再取り付け可能に機械的に係合する。以下に説明する展開過程が継続的に行なわれるので、スムーズかつ正確な注射作業が可能になる。
【0046】
リボン40の延伸部分52により形成される柱状体は、連続管構造として機能し、薬剤を容器22から排出するために必要な力に対応する軸方向圧縮荷重を主として支持することになる。柱状体は更に、リボン40が延伸して後退するときのリボン40の回転により発生する所定の捻じれ荷重を支持することになる。軸方向の引張荷重は普通、リボン40には加わらないが、相互接続フランジ72,74を使用することにより、軸方向の引張荷重に耐えることができるのでリボン40の係合端面が使用中に軸方向に分離するのを防止することができ、リボン40の信頼性を高めることができる。
【0047】
駆動リボン40は更に、複数のギア歯76を規定し、これらのギア歯は、機械駆動部38に係合可能であるので、機械駆動部38は駆動リボン40を、回転力を複数のギア歯76を介して伝達することにより回転させることができる。図8及び図9から分かるように、ギア歯76は、リボン40の半径方向内向き面に配置される。ギア歯76は、リボン40の内側面に配置されるが、別の機構は、リボン40の半径方向外側表面にあるギア歯を利用するようにしてもよい。図10は、リボン40の外側表面にある一連のギア歯78を示しており、これらのギア歯は、一連の凹部により形成される。内側ギア歯76または外側ギア歯78のいずれを使用してもリボン40を回転させることができる。更に他の変形例も可能であり、例えばギア歯は、リボン40の近位端面に用いることができる、または内側ギア歯及び外側ギア歯の両方を同じリボンに用いることができる。機械駆動部38によるリボン40の係合及び回転について以下に更に詳細に説明する。
【0048】
駆動リボン40の図示の実施形態は可撓性ポリマーリボンを利用し、可撓性ポリマーリボンを機械加工して、リボンの様々な形状部を規定している。ナイロン、ポリプロピレン、及び高密度ポリエチレンが、適切なポリマー材料の例であり、ポリマー材料を使用してリボン40を形成することができる。図示の実施形態は機械加工されるが、別の実施形態は成形プロセスを使用して、リボンの端面形状部の全てを備えるポリマーリボン40を形成することができる。リボンをフラット機構で成形し、次にリボンをロール成形して渦巻構成にすることが、リボン40を形成する最も効率的な製造方法であると考えられる。
【0049】
他の材料を使用してリボン40を形成してもよい。例えば、金属薄帯を使用してリボン40を形成することができる。フォトエッチング法、レーザエッチング法、または他の適切な微細加工法を使用して、リボン40の個々の形状部を形成することができる。別の構成として、金属リボンは、単一の金属帯を使用するのではなく、2つの半厚層を拡散接合することにより形成することができる。
【0050】
更に他のリボン形態は、外側被覆金属帯の形態を採ることができる。金属帯に遠位端面形状部を設け、リボンの外側被覆プラスチック部分が、近位端面形状部を形成する。この手法では、金属の所望の剛性、弾性、及び耐クリープ性を、微小形状部を成形プラスチックで形成する際の低摩擦性及び製造容易性と組み合わせる。リボン40の全ての実施形態について、リボン40に可撓性を持たせることによりリボン40を延伸させて後退させることができ、同時に発生する弾性ひずみを、永久変形することなく受けることができることが望ましい。
【0051】
リボン40の遠位端から軸方向力がピストン26に作用する必要がある。このような力の伝達を可能にするために、支持部材80を駆動リボン40上に、駆動リボン40の遠位端81に近接して支持し、軸方向力がピストン26に作用するように適合される。リボン40により形成される柱状体は、柱状体が延伸すると回転するが、容器22のピストン26は回転しない。回転軸受82をリボン40の遠位端81に設けて相対回転運動を吸収し、駆動リボン40とピストン26との間の駆動軸50周りの相対回転移動を可能とする。図示の実施形態では、回転軸受82は、支持部材80に位置する宝石軸受である。図示の実施形態では、支持部材80は、駆動リボン40の一体部品として図示されているが、これらの2つの部品は、適切な連結部材を部品間に挟んだ状態の別体の部品とすることもできる。図10から分かるように、伝達部材84は、ピストン26または他の中間部品に作用し、宝石軸受82内で回転する突出部材86を含む。伝達部材84は、ピストン26を押圧して前進させ、ピストン40が前進するときにピストン26に対して回転しない。リボン40が前進し、リボン40がピストン26に対して回転すると、突出部材86が回転軸受82内で回転する。荷重は殆どが軸方向荷重であり、摩擦損失を最小限に抑えることが望ましいので、この位置の回転連結部材は低摩擦宝石軸受としてもよいが、リボン40及びピストン26の相対回転を可能にする他の機構を使用してもよい。
【0052】
推進部材88(図12)は、支持構造30と駆動リボン40との間に操作可能に配置される。推進部材88は、リボン40の近位端面58の一部に、駆動リボン40が少なくとも部分的に延伸すると係合する。更に詳細には、推進部材88はリボン40に、リボン40が渦巻構成と螺旋構成との間で移行し、更にリボン40に作用する軸方向圧縮力を支える場合に係合する。図示の実施形態では、駆動リボン40は、一体部材型の単体リボンであり、駆動リボン40が少なくとも部分的に延伸する場合に支持部材80と推進部材88との間で伝達される全軸方向力は、一体部材型の単体リボン40により伝達される。ピストン26に押圧当接することにより発生する軸方向圧縮荷重は、支持構造30に、傾斜部90の反対側の推進部材88の軸方向端部の支持面91を介して伝達される。この点に関して、リボン40に作用する軸方向圧縮力の所定部分が容器22内の薬剤に作用して、薬剤が出口28から排出されるようになることに留意されたい。
【0053】
また、伝達部材84からピストン26に作用する軸方向力は、支持構造30に薬剤容器22を介して少なくとも部分的に伝達され、伝達されない場合には、リボン40が延伸したときに、容器22が単に、リボン40と一体となって軸方向に移動することになることに留意されたい。容器22がデバイス20,20A内に、支持構造30内の摩擦嵌めによって保持される場合、この摩擦嵌めは、容器を所定位置に保持して、容器に作用する軸方向圧縮力を吸収するために十分である。別の構成として、構造保持具を使用して、容器22を支持構造30内に保持することができる。図18は、容器22の肩面128に、保持具を支持面130と一体となって摺動させて肩部128に係合させることにより係合させることができる過程を模式的に示している。圧縮力は、肩部128から表面130に伝達されるので、支持構造30の一部である保持具に伝達される。
【0054】
推進部材88は、ハウジング30に対して回転可能に固定され、リボン40の近位端面58に係合する螺旋傾斜部90を画定する。軸方向圧縮力は、リボン40と推進部材88との間の螺旋傾斜部90の位置に伝達される。螺旋傾斜部90は更に、リボン40の移行を、リボンの渦巻構成と螺旋構成との間で誘導する。
【0055】
駆動リボンを第1方向に回転させて、傾斜部90に係合する近位端面58が上方の遠位方向に摺動している場合、螺旋傾斜部90に係合するリボン40の移行部分53は、傾斜部90により案内されて螺旋機構によって移動し、後退(渦巻)形状54から延伸(螺旋)形状52に移行する。同様に、リボン40を反対の第2方向に回転させる場合、螺旋傾斜部90に係合しているリボン40の移行部分53は、傾斜部90上を下方に摺動して、延伸(螺旋)形状52から後退(渦巻)形状54に移行する。
【0056】
近位端部58と傾斜部90との間の接触面積が小さく限定されているので、摺動移動に逆らう摩擦が比較的小さい。傾斜部90に沿った摺動に逆らう摩擦抵抗を更に小さく抑えるために、推進部材88は、アセタールのような潤滑性ポリマー材料により形成することができる。近位端部58は、連続表面を形成することができ、近位端部58のうち、傾斜部90に係合する部分の凹部または途切れ部を回避して、不規則表面を発生させる可能性がある抵抗の増加、及びより大きな摩耗を回避することができる。
【0057】
別の推進支持面を使用してもよい。例えば、摺動面を使用するのではなく、小型ローラを螺旋パターンに、推進部材の外周に沿って配置することができる。リボン40を使用して薬剤を注射する場合に普通予測される規模が小さく、力が小さいので、より大きな製造上の困難、及びこのようなローラが必要とする費用は一般的に正当化されない。
【0058】
軸方向に延在する壁92は、螺旋傾斜部90の半径方向内側端面に位置し、遠位方向に延在する。壁92は、近位端部58が、リボン支持部材100により半径方向内向きに付勢されて傾斜部90との係合が解除されるのを防止する。リボン支持部材100は、推進部材88を取り囲み、半径方向内向き支持力を駆動リボン40に、螺旋傾斜部90に近接して作用させる。リボン支持部材100は、推進部材88を取り囲むスリーブ102と、スリーブ102内に取り付けられる複数のローラ94と、を含む。ローラ94は駆動リボン40に係合可能であり、半径方向内向き力を作用させて、駆動リボン40を回転させているときに駆動リボン40を螺旋傾斜部90に付勢する。ローラ94は円筒ディスク96を含み、円筒ディスク96は、リボン40及びアクスルスタブ98に係合し、これらのアクスルスタブ98は、ディスク96の両側面から延出し、ディスク96は、スリーブ102の内側表面に回転可能に取り付けられる。
【0059】
リボン40は、螺旋傾斜部90上に、リボン40の後退部分54から給送され、リボン40は、図16から分かるように、ボビン104内に渦巻構成で収納される。リボン40の近位端106はボビン104に固定され、リボン40を回転させると、ボビン104がリボン40と一体になって回転する。図示の実施形態では、ボビン104は、円筒収納ボビンであり、推進部材88に回転可能に取り付けられる。図示の実施形態では、ボビン104は、軸方向延在スロット108を含み、延在スロット108内に、リボン40の近位端106が固定される。様々な他の方法を使用して、近位端106をボビン104に固定するようにしてもよい。リボン40及びボビン106は共に、軸50周りで回転する。
【0060】
図16から分かるように、駆動リボン40の後退部分54がボビン104内に配置される場合、駆動リボン40の遠位端部56の軸方向端面は、駆動軸50と直交する方向に向いた第1平面110内にあり、駆動リボン40の近位端部58の軸方向端面は、駆動軸50と直交する方向に向いた第2平面112内にある。この渦巻構成により、リボン40を最小限の大きさの空間に収納することができ、この渦巻構成は、リボン40を収納するために必要な収納空間の軸方向長を短くするために特に有用である。平面110と平面112との間の距離は、リボン40の幅に等しい、すなわちリボン40の遠位端部56と近位端部58により規定される両側の軸方向端面の間の最短距離に等しい。
【0061】
図16から更に分かるように、駆動リボン40の後退部分54を収納ボビン104に、ボビン104内の半径方向最外周位置から、収納リボン40の最内周部分に向かって内向きに充填して行き、螺旋傾斜部90の半径よりも大きい半径を規定する。これにより、リボン40が後退部分54の収納渦巻構成から延伸部分52の延伸螺旋構成に移行するのが、リボン40がリボン支持部材100に係合することにより容易になる。
【0062】
リボン40が、ボビン104の内径よりも大きい半径を有する巻回形状を自然に採るようになって、リボン40が拡開してボビン104の内側表面に、リボンがボビンに収納されるときに当接するようにすることが望ましい。幾つかの種類のプラスチック材料は、クリープ変形して当該材料の収納寸法を採る傾向がある。金属リボンまたは被覆金属リボンの使用により、リボンを拡開してボビン104の半径方向最外周部に充填することができないリスクを最小限に抑えることができる。
【0063】
図示の実施形態は、リボン40を収納する円筒収納ボビン104を利用しているが、別の実施形態も可能である。例えば、ハウジング30内の複数の当接部材が、幾つかの実施形態の場合に十分である、またはリボン40が適切な物理特性を有する場合、リボンは、リボンの隣接巻回部分から係合解除されると、渦巻構成を自然に採ることができるので、収納ボビンの使用を回避することができる。
【0064】
収納ボビン104のサイズは、リボン40が限界まで後退するときに十分となるように選択される。限界まで後退すると、リボン40は、リボン40の螺旋延伸部分52の半径に対応する傾斜部90の半径よりも大きい最小半径を有するようになる。リボン40が、収納リボン40を収納ボビン104から螺旋傾斜部90に給送する方向に回転すると、更に別の各巻回リボンが収納渦巻の内部から、延伸部分52により形成される柱状体に移行する。リボン40の移行部分53は、リボンがボビン104内のリボンの収納形状から傾斜部90に移動して、リボンが、延伸部分52により形成される螺旋柱状体に、リボン40が延伸部分52の螺旋柱状体に連結される箇所で接するようになると、半径方向に小さくなる。リボンを半径方向内向きにこの螺旋経路に沿って移動させると、リボン40の移行部分53の遠位端部56に沿った形状部が、リボン40の延伸部分52の最下層の巻回部分の近位端部58の形状部に係合する。
【0065】
周方向着座部及びリボン端面の係合が行なわれる位置はデバイス内で固定されたままであり、推進部材88に対して固定される。この係合位置から遠い方で、リボンが螺旋柱状体となって延伸部分52を形成し;この係合位置から近い方で、リボンが螺旋から渦巻に移行する(移行部分53)ことにより弛緩して、収納ボビン104内に収納される渦巻機構(後退部分54)となる。
【0066】
係合位置から遠い方の巻回リボン40の全ては、すなわちリボン40の延伸部分52は、これらの巻回リボンの下方の近い方のリボンコイルを介して互いに係合する状態が保たれる。係合位置では、係合対象のリボンコイルの近位端面は未係合状態のままであり、リボン支持部材100により半径方向内向きに付勢されるので、係合対象のリボンコイルが半径方向外向きに拡開することがなく、係合不能状態とならずに済む。同時に、リボン40は、軸50を取り囲む位置に保持される必要がある。これらの作業は、螺旋1巻回リボン40をほぼ取り囲む外周支持部材100により行なわれる。この固定支持部材100に対して、リボン40が当該リボンの螺旋経路に沿って前進する(または、後退する)と、リボン40が回転するとともに並進移動する。
【0067】
上に説明したように、図示の実施形態は、複数のローラ94を含むリボン支持部材100を利用する。この機構では、ローラ群94の各ローラは、リボン40により画定され、かつ螺旋角度で傾斜する円筒体に接する。ローラ群94は、リボン40により画定される円筒体に沿って摺動するのではなく、転動する。この位置のローラ群94は、係合リボン端面の螺旋構造全体が半径方向及び軸方向に同時に支持される状態を保ちながら、リボン端部56,58の係合を確立し、次に維持する。開示されるローラ群94は効果的であるが、より簡単で、より高いコスト効率で製造することができる別の機構が、幾つかの用途に適している。例えば、従来のボールベアリングと同様に、溝内に配置される微小ボールベアリング、またはボールスクリューに含まれるボールベアリングが、幾つかの用途に適している。潤滑性ポリマー材料により形成される簡易ブッシングも、幾つかの用途に適している。
【0068】
図4は、駆動アセンブリ32の部分透明図を示しており、別の駆動アセンブリの図が、図14及び図15に図示されている。図示の実施形態では、駆動アセンブリ32は、バッテリ駆動電動モータ34と、機械駆動部38と、を含む。機械駆動部38は、モータ34により駆動されるモータシャフト114を含み、モータ34により発生する回転力を伝達するギア機構116を含む。回転力をモータ34からリボン40に伝達することにより、リボン40は機械作業を行なうことができる、すなわちリボン40を強制的に回転させて前進させることにより、ピストン26を前進させることができる、または反対方向に回転すると、リボン40を後退させ、リボンを巻き取ってボビン104内の渦巻とすることができる。
【0069】
小型電動モータ34は、動力を供給してリボン40の延伸及び後退を操作する。通常、このサイズのモータは、ギア減速機を利用する。モータシャフト角度検出を利用して、リボン40の前進を、従って投与量を制御することができる。
【0070】
図14及び図15は、2つの異なる機構を示しており、これらの機構により、回転力をモータ34からリボン40に伝達することができる。様々な他のトルク伝達機構及び図示の機構の変形例を駆動リボン40に用いてもよい。
【0071】
図14の実施形態では、リボン40は、ギア歯76をリボン40の内側表面に含む。ギア歯76に噛合するギア歯126を有するギア部材124を使用してリボン40を回転させる。ギア部材124は、推進部材88内の開口部93から延出するシャフト(図示せず)を含む。シャフトは、伝達ギア部材に噛合する別のギア機構を含み、伝達ギア部材もまた、モータシャフト114上のギア機構116に噛合するので、モータ34の回転力がリボン40に伝達される。
【0072】
図14に示す内部ギア駆動機構では、リボン40の内壁にある歯76は、延伸部分52により形成される螺旋柱状体の内部のギアに噛合する。ギア124が回転すると、当該ギアによりリボン40が回転するようになって延伸するか、または後退する。図示の実施形態では、ギア124の回転軸は軸50に平行であり、平行から若干ずれている。このオフセット機構が、リボン40の内径よりも小さい外径を有するギア124と一体となってギア124の位置に作用して、ギア124をリボン40に、ギア124の全外周に沿ってではなく、1箇所のみで噛合させることができる。ギア歯ピッチは、従来の噛合を確立するように選択される。直線状歯付きギアの場合、リボン40の内歯76は、螺旋角度だけ傾斜して(リボン端面に対して)、正しい噛合を確実に行なう。リボンが回転しているときにリボン40が延伸している(または、後退している)ので、リボン40を回転させるときに、ギア歯は互いに一体となって軸方向に摺動する。
【0073】
駆動ギア124は更に、螺旋歯を傾斜させて延伸部分52の螺旋角度に一致させる場合に螺旋歯を有することができる。このような用途では、リボン歯76をリボン端面と直交させることができる。ギア歯76とリボン端面56,58とがなす他の相対角度も可能である。様々な他の機構も可能であり、例えば別の軸方位が可能である(例えば、ギアは、螺旋に接するように配置することができる)。
【0074】
内部配置ギアの使用が有効となり得る。しかしながら、幾つかの用途の場合、内部配置ギアの使用は、不具合を伴う。例えば、普通、内部ギア124を回転させるギアトレインのような幾つかの機械部材は、推進部材88の軸方向近位端に配置される必要がある。これは、更に別の軸方向長をデバイス全体に付加してしまう。この機構は更に、半径方向に十分高い剛性を有する機械構造がリボン外周支持部材100を所定位置に保持することを必要とする。
【0075】
図15は、リボン40がギア機構78をリボン40の外側表面に含む実施形態を示している。この実施形態では、2つの伝達ギア部材118が、回転力をモータシャフト114からリボン40に伝達する。更に詳細には、伝達ギア部材群118はそれぞれ、シャフト114上のギア機構116に噛合する第1ギア機構120と、リボン40に噛合するウォームギア122と、を含む。
【0076】
図15に示す外部駆動システムは、リボン40の外向きスロット78と咬合するウォームギア122を使用する。ウォーム122は、リボン40の延伸部分52の螺旋角度に一致する螺旋角度を有することにより、リボン40に開口されたスロット78をリボン端面と直角に配置することができるように選択することができる。2つのウォームギア122が図15に図示されているが、1個のウォームギア122を別の構成として使用することができる。ウォーム(群)が回転すると、これらのウォームがリボンを前進させる、または後退させる。
【0077】
伝達ギア部材118のような外部ウォーム駆動部を使用して、伝達ギア部材118をリボン40の側面に配置することができるので、軸方向長がデバイスに追加されることがない。更に、伝達ギア部材118がリボン40に対する半径方向支持を行なうので、伝達ギア部材118により、ローラ群94の個数を減らすことができる。
【0078】
図示の容器22は取り替え可能なカートリッジである。容器が空になったときに容器22の簡便な取り替えを容易にするために、カートリッジ保持具を使用することができる。このような保持具は、この技術分野において公知であり、通常、ネジジョイントまたはバイヨネットジョイントを利用するが、他の適切な機械保持具を使用してもよい。
【0079】
容器22の取り替えに関する別の注意事項は、使用者がリボン40の延伸部分52に接触するのを回避することである。延伸部分52に接触することにより、必ずしも破損が生じる訳ではないが、リボン40を粗雑に扱うと、リボン40に対する操作性を損なう可能性があり、例えば延伸部分52の端部56,58の係合が解除されてしまう。様々な手法を使用して、このような接触を阻止する、または防止することができる。例えば、延伸部分52の全長部分が、容器22を取り出したときに剥き出しになる場合、機械係止機構を設けてリボン40を、容器22を取り出す前に後退させることができるようにする。容器22の遠位端だけが剥き出しになって、延伸部分52に接触しないように延伸部分52がハウジング30により遮蔽される場合、容器22の取り出しが検出されると、電動係止機構がリボン40の後退を指示することができる。
【0080】
本明細書において説明される図示の実施形態は、取り替え可能な容器22を利用して、デバイス20及び20A~20Cの再使用を可能にしているが、別の実施形態は、使い捨てプレフィルドデバイスの形態を採ることができる、または廃棄されて取り替えられるのではなく、詰め替えられる薬剤容器を使用することができる。
【0081】
別の形態のデバイス20Bが図21図29に図示されている。デバイス20Bは、デバイス20、20Aと略同様であるが、幾つかの変更が加えられる。図21に示すデバイス20Bの全長は、110mm未満である。デバイス20Bは、薬剤を、針28を有する容器22から投薬する。取り外し可能なキャップ31Bは、デバイス20Bが使用状態ではなく、内側針シールド29の使用を可能にする十分なスペースを有する場合に針28を被覆する。支持構造30Bは、駆動アセンブリ32Bを収容するハウジングとなる。カートリッジスリーブ140は、容器22を収容し、開口部142を有し、開口部142から針28を延出させることができる。カートリッジスリーブ140は、図33から最も良く分かり、ネジ切り部144を開口部142に隣接して含む。固定用キャップ146がネジ切り部144に係合し、固定用キャップ146を使用して針28をカートリッジスリーブ140に固定する。一連の後部ネジ148でカートリッジスリーブ140をデバイスに固定する。図示の実施形態では、後部ネジ148は、リボン支持部材の延伸部分上の対応するネジに係合する。図示のカートリッジスリーブ140は更に、軸方向に延在する開口部150を含み、開口部150は、窓として機能して使用者が容器22を眺めることができるので容器内に残留する薬剤の量を、容器22を取り外す必要なく眼で確認することができる。カートリッジスリーブ140は更に、表面130と同じ機能を果たす支持面となり、支持面は、容器22の徐々に幅狭になる部分に接触する内側肩部により形成することができる。容器22をデバイス内に固定する様々な他の手段を別の構成として使用してもよい。
【0082】
図22は、駆動アセンブリ32Bの主要構成要素を示している。駆動アセンブリ32Bは、出力シャフト114Bを有するDCモータ34Bを含み、出力シャフト114B上に第1ギア116Bが固定される。ギア部材116Bは、2つの伝達ギア118B上に位置するギア部材120Bに噛合する。ギア部材116B、120Bは、交差軸型インボリュート螺旋ギアである。伝達ギア118B上のウォームギア122Bは駆動リボン40Bの外周面のギア歯78Bに噛合してリボン40Bを回転可能に駆動する。
【0083】
ウォームギアピッチ、リボン40Bのギアスロット78Bのギア比及びギアピッチは全て、一体となって作用するように選択される。この点に関して、延伸リボンの半巻回当たりのリボン歯の整数の個数の選択は、これらのピッチ及びギア比の適切な値を決定する際の重要なファクタである。
【0084】
駆動リボン40Bは、デバイス20,20Aの駆動リボンとは異なっている。駆動リボン40Bは、凹領域152をリボン40Bの近位端部58Bに沿って含み、凹領域152は、リボン40Bが延伸して螺旋を形成すると、リボン40Bの遠位端部56Bの隣接部分を収容する。しかしながら、凹部152は、遠位端部56Bの全厚を収容せず、その結果、遠位端部及び近位端部の両方の端部の一部が、半径方向に、かつ反対方向に突出する。
【0085】
複数のペグ154を凹部152内に配置して、対応する複数の孔156に係合させる。図示の実施形態では、ペグ154は近位端部58Bに、孔156が遠位端部56Bに配置されている状態で配置される。しかしながら、これらの位置は逆にすることができる。駆動リボン40Bが延伸して螺旋に形成されると、近位端部58Bが遠位端部56Bの隣接部分に係合する際に、ペグ154が孔156に係合する。図示の実施形態では、ペグ154は面取り面155を有することにより、ペグ154を孔156に進入させて孔156から退出させるのが容易になる。
【0086】
ペグ154が孔156に係合すると、駆動リボン40Bの隣接部分を軸方向に互いに固定することができる。ペグ154及び孔156が係合すると更に、回転力を延伸リボンの隣接部分の間で伝達することができ、延伸リボンにより形成される柱状体の安定性を維持することができる。
【0087】
図示の実施形態では、駆動リボン40Bは、第1主面158及び第2主面160を駆動リボン40Bの両側の面に有する。複数のギア歯78Bが第1主面158に形成される。ギア歯78Bは、ギア部材122Bにより噛合されるので、駆動アセンブリ32Bは駆動リボン40Bを、回転力を駆動リボン40Bに伝達することにより回転させることができる。
【0088】
駆動リボン40Bの形状は、多種多様な異なる形態を採ることができる。図示の実施形態では、複数のペグ154、凹部152、複数の孔156、及びギア歯78Bは全て第1主面158に現われる。この点に関して、ペグ154を収容するのは、第2主面160の孔開口156であることに留意されたい。孔156を第1主面まで延在させることにより、孔156が第1主面158までずっと続いて延びていることが、孔156が正しく機能するために必ずしも必要である訳ではないが、孔156を第1主面まで延ばすことにより、リボン40Bの製造を容易にすることができる。更に詳細には、孔156が第1主面158までずっと延びていることにより、2つの平坦平面を有するフラットリボンの製造が可能となり、次に機械加工操作または圧延操作が可能となって、複数のペグ154、凹部152、複数の孔156、及びギア歯78Bの形成を第1主面158の側から行なうことができ、このような操作を第2主面160の側で行なってリボン40Bの両側の面を形成するという必要が全くない。これにより、製造中のリボン40Bの取り扱いの機会を減らすことができるので、効率を高めてコストを低減することができる。リボン40Bは、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)または他の適切な材料により形成することができる。例えば、ABSは比較的高い可撓性を示す材料であるが、ポリカーボネートのような比較的硬度が高い他の材料、及び金属リボンを別の構成として使用してもよい。比較的硬度が高い材料を用いる場合、複数の穿孔をリボンの長さに沿って使用してリボンの可撓性を高めると有利である。
【0089】
リボン40Bのこれらの形状部を機械加工する前に、2つの平面が互いに平行であり、いずれの形状部も当該平面内に形成されることがないのが、2つの平面を有するフラットリボンである。その結果、ペグ154、凹部152、孔156、及びギア歯スロット78Bを形成した後、第1主面158及び第2主面160の最外周部が、互いに平行である平面159,161を画定し、第1主面及び第2主面により画定されるこれらの2つの平面159と161との間の距離162が、駆動リボン40Bの最大厚さを規定する。
【0090】
上に説明したように、駆動リボン40Bの近位端部58Bは、駆動リボン40Bの全長、またはほぼ全長に亘って延在する凹部152と、凹部152内に配置される複数のペグ154と、を含む。近位端部58Bは、第1の軸方向に対向する縦長部分166と、第2の軸方向に対向する縦長部分168と、を有する近位端面164を画定する。遠位端部56Bは、複数の孔156を含み、第3の軸方向に対向する縦長部分172と、第4の軸方向に対向する縦長部分174と、を有する遠位端面170を画定する。第1表面部分166と第3表面部分172とが対向する軸方向は、第2表面部分168と第4表面部分174とが対向する軸方向とは異なっている。
【0091】
図24は、巻回前の状態のリボン40Bを示しており、細部D25が図25に図示されている。リボン40Bの別の図が、図25Aに図示されている。図24図25、及び図25Aを参照して理解できることであるが、近位端面164及び遠位端面170は、第1主面158と第2主面160との間に延在し、リボン40Bが螺旋を形成すると、軸方向に、かつ相反する方向に対向する。第1表面部分166がリボン40Bに対して縦長に延在して、第2主面160に近接しているのに対し、第2表面部分168は、リボン40Bに対して縦長に延在して、第1主面158に近接している。
【0092】
図示の実施形態では、第1部分166及び第2部分168は、軸方向に凹部152により分離される。第3表面部分172がリボン40Bに対して縦長に延在して、第2主面160に近接しているのに対し、第4表面部分174は、リボン40Bに対して縦長に延在して、第1主面158に近接している。図示の実施形態では、第3表面部分172及び第4表面部分174は同一平面にある。更に、図示のリボン40Bでは、第1主面158及び第2主面160は、駆動リボン40Bにより画定される平面に平行であり、近位端面164及び遠位端面170の軸方向に対向する部分166,168,172,及び174の向きは、第1主面172及び第2主面174と直交する方向に設定されることに留意されたい。
【0093】
図26及び図27を参照して最も良く理解できることであるが、螺旋を形成する駆動リボン40Bの延伸部分では、近位端部58Bを遠位端部56Bの隣接部分に、近位端面164の軸方向に対向する第2縦長部分168が、遠位端面170の軸方向に対向する第3縦長部分172に係合している状態で係合させる。第1の、近位端面164の軸方向に対向する縦長部分166、及び第4の、遠位端面170の軸方向に対向する縦長部分174は、反対方向に半径方向外向きに延出している。図示の実施形態では、第1の軸方向に対向する縦長部分166が半径方向内向きに延出しているのに対し、第4の軸方向に対向する縦長部分174は半径方向外向きに延出している。
【0094】
推進部材88Bは螺旋ネジ176を含み、螺旋ネジ176を第1の、近位端面164の軸方向に対向する縦長部分166に係合させる。螺旋ネジ176は、駆動リボン40Bの渦巻を画成する後退部分54Bと螺旋を画成する延伸部分52Bとの間に配置される駆動リボン40Bの移行部分の駆動リボン40Bの表面166に係合することができる。表面166が半径方向に突出し、駆動リボン40Bの延伸部分52Bで剥き出しの状態になっているので、螺旋ネジ176は、駆動リボン40Bの螺旋延伸部分52Bの表面166に係合するようにしてもよい。また、この機構により更に、螺旋ネジ176は表面166に、駆動軸50B周りで360度超の角度で係合することができる。図示の実施形態では、螺旋ネジ176は、軸50B周りで360度超の角度で延びている。
【0095】
近位端部58Bが遠位端部56Bに係合した後に、螺旋ネジ176が表面166に係合することができることにより、ネジ176が、駆動リボンの延伸螺旋部分の軸方向荷重を支えることができるので、ペグ154が孔156に、軸方向荷重が駆動リボン40Bにより支えられていない位置で噛合することができる。
【0096】
リボン支持部材100Bは、駆動リボンを取り囲み、遠位端面170の第4縦長部分174に係合可能な第2螺旋ネジ178を画定する。ネジ178は、駆動リボン40Bの移行部分の表面部分174に係合することができる。しかしながら、表面174が半径方向に突出し、駆動リボン40Bの螺旋延伸部分52Bで剥き出しの状態になっているので、螺旋ネジ178は、駆動リボン40Bの螺旋延伸部分52Bの表面174に係合することもできる。この機構により更に、螺旋ネジ178は表面174に、駆動軸50B周りで360度超の角度で係合することができる。図示の実施形態では、螺旋ネジ178は、軸50B周りで360度超の角度で延びており、駆動リボン40Bを推進部材88Bに近接して取り囲む。リボン支持部材100Bは更に、ギア部材118Bを支持し、アセタール、ポリアセタール、及びポリホルムアルデヒドとしても知られ、かつデルリンのような様々な商品名で販売されているか、または他の適切な材料及び方法を使用して形成されるポリオキシメチレン(POM)から機械加工することができる。
【0097】
駆動軸50B周りで360度超の角度で延びる螺旋ネジ176及び178を供給し、これらのネジを互いに近接して配置することにより、駆動リボン40Bの短い方の部分を両方のネジ176及び178により同時に拘束することができるので、駆動リボンの軸方向位置を確実に制御して、駆動リボン40Bが駆動リボン自体に係合し易くする。駆動軸50B周りで360度超の角度で延びる推進部材88B上の螺旋ネジ176の使用により更に、表面領域に亘って軸方向圧縮力を駆動リボン40Bと推進部材88Bとの間で伝達することができる当該表面領域を大きくすることができる。
【0098】
推進部材88B及びリボン支持部材100Bが共に、互いに対して、かつ支持構造30Bに対して静止状態を保っているのに対し、駆動リボン40Bは駆動軸50B周りで、これらの部材に対して、駆動リボン40Bが延伸しているときに、及び後退しているときに回転する。推進部材88B上の螺旋ネジ176は、リボン40Bに押圧当接することにより、駆動リボン40Bが、容器22内のピストン26を軸方向に押すと発生する圧縮力のような駆動リボン40Bの延伸部分に作用する軸方向圧縮力を支える。螺旋ネジ178は、遠位端面170の一部174に係合可能であるので、駆動リボン40Bに作用する引張力に耐えることができ、この引張力が作用して、駆動リボン40Bを推進部材88Bから軸方向に引き離す。螺旋ネジ176,178は更に、近位端部を遠位端部の隣接部分に駆動リボン40Bが延伸するときに係合させると、駆動リボンを駆動リボン自体に軸方向に位置合わせする。
【0099】
軸方向圧縮力に関して、図示の駆動リボン40Bは、一体部材型の単体リボンであり、駆動リボンが少なくとも部分的に延伸する場合に支持部材80Bと推進部材88Bとの間で伝達される全軸方向力は、一体部材型の単体リボン40Bを介して伝達されることに留意されたい。支持部材80Bは、2つの固定用ペグ180を含み、これらの固定用ペグは、リボン40Bの開口部182内に配置される。伝達部材84Bは、支持部材80Bに回転可能に取り付けられ、デバイス20Bを使用しているときにピストン26に当接する。
【0100】
支持部材80Bは軸方向力を駆動リボン40Bに、ペグ180を開口部182に係合させることにより、重なり段差部を駆動リボン40Bの遠位端の遠位端面171に係合させることにより伝達する。ペグ180を開口部182に係合させることにより、支持部材80Bが駆動リボン40Bに対して回転するのを防止することができる。駆動リボン40Bが延伸すると、支持部材80Bが軸方向力をピストン26に作用させることにより、薬剤が容器22から放出されるようになる。この点に関して、支持部材80Bは、この軸方向力をピストン26に、支持部材80Bに対して回転することができる伝達部材84Bを介して作用させる。従って、薬剤が放出されている間、伝達部材84Bがピストン26を押すことになり、ピストン26に対して回転しないが、支持部材80Bに対して回転することになる。
【0101】
軸方向圧縮力はリボン40Bを介して支持部材80Bから推進部材88Bに、近位端面168の第2縦長部分が遠位端面172の第3縦長部分に係合することにより伝達される。図示の実施形態では、ペグ154が孔156に係合することにより圧縮力が伝達されることはないが、別の実施形態は、ペグ及び孔をこの目的に利用することができる。しかしながら、図示の実施形態において、ペグ154が孔156に係合することにより、リボン40Bに作用する軸方向へ向いた引張力に耐えることができるので、延伸リボンの分離に抗することができる。
【0102】
ボビン104Bは推進部材88Bに対して回転可能であり、駆動リボン40Bの後退部分54Bは、ボビン40Bに収納される。ボビン40Bは、駆動リボン40Bがボビン104Bに摩擦係合するので、駆動リボン40Bと一緒に回転する。図示の実施形態では、リボン40Bは、ボビン104Bに取り付けられない。リボン40Bをボビン104Bに取り付けないことにより、駆動リボンを限界まで延伸させる場合に延伸してボビンで固定される必要があるリボンの短い長さ部分を省略することができる。様々な方法を使用して、駆動リボン40Bの未固定端部が過大に延伸して駆動リボン40Bが駆動機構から抜け出ようとするのを防止することができる。例えば、ギアスロット78Bは、駆動リボン40Bのうち、リボン40Bの延伸を抑える位置で終端させることができる。別の構成として、または更に、フックまたは他の捕捉用部材の形態のストップ材は、駆動リボンの端部に固定することができるので、駆動リボンが推進部材と88Bとリボン支持部材100Bとの間の隙間からはみ出すのを防止する。別の構成として、モータの動作を、駆動リボン40Bの延伸を抑えて、リボンが抜け出ようとするのを防止するように制御するコントローラを用いることができる。
【0103】
回転ボビン104Bを使用することにより、駆動リボンの延伸時及び後退時の駆動リボンの後退部分の摩擦による係止を防止し易くする。駆動リボンを形成するための潤滑性材料の使用のような、このような摩擦による係止を防止する別の方法を別の構成として使用してもよく、回転ボビンを省略することができる。
【0104】
図示の形態の駆動リボン40Bでは、近位端面の一部が、半径方向内向きに突出するのに対し、遠位端面の一部は、半径方向外向きに突出する。他の機構を使用してもよいことに留意されたい。例えば、近位端面の一部は、半径方向外向きに突出することができ、遠位端面の一部は、半径方向内向きに突出することができる。このような別の実施形態では、近位端面に係合し、かつ軸方向圧縮力を支える螺旋ネジは、駆動リボンの半径方向外側に配置されることになり、遠位端面の一部に係合し、かつ軸方向引張力に抗するように配置されるネジ部材は、駆動リボンの半径方向内向きに配置されることになる。
【0105】
これらの端面をずらして配置することにより、これらの端面の一方の端面の駆動リボンの単位長当たりの長さがより長くなる。図示の実施形態では、相対的に長い長さを有するのが遠位端面である。図24に示すように、駆動リボン40Bを展開して平面内に配置すると、駆動リボン40Bは、近位端部58Bが遠位端部56Bの半径方向内側に配置された状態で弓形を画成する。近位端面が半径方向外向きに突出する実施形態では、近位端部は、リボンが、弓形を規定する平面内に配置される場合に遠位端部の半径方向外側に配置されることになる。
【0106】
若干細い外形を有することを除き、デバイス20Bと同様の別の実施形態20Cが、図30図33に図示されている。デバイス20Cはデバイス20Bとは、ハウジング支持構造のサイズを小さくすることができる幾つかの金属薄板部材を用いているという点で異なっている。更に詳細には、金属製ベースプレート184、金属製スカート186、及び金属製支持ブラケット188がデバイス20C内で利用される。
【0107】
図33から最も容易に分かるように、モータ、ギア機構、駆動リボン、及びボビンは、デバイス20B内に使用される構成部材と同じである。リボン支持部材100Cは、リボン支持部材100Bとは若干異なる形状を有するが、リボン支持部材100Bと同じ態様で機能する。図33から分かるように、リボン支持部材100Cは、カートリッジスリーブ140のネジ148に係合するネジ190を含む。図を分かり易くするためにこれらの図には図示されていないが、リボン支持部材100Bは、カートリッジスリーブ140に係合する同様のネジを含む。推進部材88Cはポスト192を含む。ポスト192の鍵194は、ベースプレート184の鍵穴196と嵌合してポスト192と、ベースプレート184が支持構造の構成部材となる当該支持構造との相対回転を防止する。ボビン104Cは、ポスト192上に回転可能に配置され、ポスト192を取り囲むワッシャー198が、ベースプレート184とボビン104Cとの間に配置されてボビン104Cをベースプレート184から分離している。
【0108】
デバイス20及びデバイス20A~20Cに、広くフォースフィードバック部と表記される構成部材を配設することができる、または配設しないで済ませることができる。フォースフィードバック部は、ピストン26に作用する力を決定することによりデバイスが、容器22の状態及び/又はピストン26の位置を認識することができるようにしている。
【0109】
使用者がデバイスをプライミングする方法を利用する場合、及びその他として、デバイスの状態を確認する方法を利用する場合、フォースフィードバック部は必要がない。フォースフィードバック部を備えていないデバイスでは、モータ速度及びモータ電流を監視してシステムの状態を把握し、過大な回転力がリボン40に加わるのを、従って過大な力がピストン26に加わるのを回避することができる。電流検出信号対雑音比は、駆動リボンの遠位端とピストン26との接触を検出するために十分高くすることが可能である。普通、システムは、各投与を、システムが大気圧に出口28を介して通じている状態で、開始して完了させる。このようなシステムでは、ピストン26に、すなわちフォースフィードバック部に作用する力を検出することは、投与の精度を高めるためには必要ではない。
【0110】
フォースフィードバックシステムを使用する場合、デバイスは、伝達部材84の遠位端がピストン26に接触する時点を認識することになる。これにより、プライミングのような使用者による幾つかの手順を完全に、または部分的に自動化することができる。簡易フォースフィードバックシステムは、小さな力で作動するコンタクトスイッチを用いることができる。このようなスイッチは、駆動リボンの遠位端81に配置することができ、支持部材80または回転軸受82に結合することができる。電気導体を駆動リボンに配置してコンタクトスイッチとプロセッサとの間の電気通信をハウジング内で可能にすることができる。また、力に比例する検出が、コンタクトスイッチの代わりに力検出抵抗のような力検出構成部材を使用することにより可能である。駆動リボンに配置される導体は、収納ボビン内で、または収納ボビン上で終端させることができる。回転ボビンを使用する場合、デバイスフレームとの継続的な接続は、スリップリングまたは他の適切なコンタクトにより行なうことができる。
【0111】
図示の実施形態は、電気機械的手段であり、プロセッサ、マイクロコントローラ、またはマイクロコンピュータにより制御される。プロセッサを使用することにより、非常に多くの相互作用点及び追加機能をデバイスに含めることができる。例えば、使用者はデバイスと、タッチスクリーン、マルチボタンインターフェース、または特殊タッチポイント(投与量設定ダイヤルのような)を使用して対話することができる。必要に応じて、このような操作部は、従来の注射用デバイスの対話行動を模倣することができる。
【0112】
デバイスは、現在の設定投与量、最後の投与量、備忘録、及び使用開始情報、または任意の他の有用情報のような多種多様な異なる情報を表示することもできる。ディスプレイは、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、電子ペーパーディスプレイ(EPD)、または他の適切なディスプレイの形態を採ることができる。
【0113】
デバイスには更に、接続機能を設けることができるので、有線通信技術または無線通信技術を使用して、デバイスを他のデバイス(例えば、スマートフォン)に接続することができ、他のデバイスと対話させることができる。これらの対話を利用して情報をいずれの方向にも授受することができるので、(例えば)医療従事者はデバイス設定を変更するか、または投与量履歴をダウンロードすることができる。
【0114】
本発明について、好適な設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲に収まるように更に変更することができる。従って、本出願は、本発明の一般原理を使用する本発明の全ての変形、使用、または適応化を包含するものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
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