IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越化学工業株式会社の特許一覧

特許7268735感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体及びパターン形成方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20230426BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230426BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20230426BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G03F7/075 511
G03F7/004 512
G03F7/038 503
H05K3/28 D
H05K3/28 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021533061
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2020027174
(87)【国際公開番号】W WO2021010360
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2019130851
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 久美子
(72)【発明者】
【氏名】曽我 恭子
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142458(JP,A)
【文献】特開2017-049327(JP,A)
【文献】特開2013-210607(JP,A)
【文献】特開2017-002279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
H05K 3/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリコーン骨格含有ポリマー及び(B)光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物(ただし、カチオンが下記式(A1)で表されるアンモニウムであり、かつアニオンが下記式(A2)、(A3)又は(A4)のいずれかで示されるアンモニウム塩を含まない。)であって、
(A)シリコーン骨格含有ポリマーが、下記式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)で表される繰り返し単位を含むものであり、
(B)光酸発生剤が、(B1)オニウム塩である光酸発生剤及び(B2)オニウム塩以外の光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。
【化1】
[式中、R 1 ~R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、1~600の整数である。
1 ~a 4 及びb 1 ~b 4 は、0≦a 1 <1、0≦a 2 <1、0≦a 3 <1、0≦a 4 <1、0≦b 1 <1、0≦b 2 <1、0≦b 3 <1、0≦b 4 <1、0<a 1 +a 2 +a 3 +a 4 <1、0<b 1 +b 2 +b 3 +b 4 <1及びa 1 +a 2 +a 3 +a 4 +b 1 +b 2 +b 3 +b 4 =1を満たす数である。
1 は、下記式(X1)で表される2価の基である。X 2 は、下記式(X2)で表される2価の基である。X 3 は、下記式(X3)で表される2価の基である。X 4 は、下記式(X4)で表される2価の基である。
【化2】
(式中、Z 1 は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R 11 及びR 12 は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R 13 及びR 14 は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。p 1 及びp 2 は、それぞれ独立に、0~7の整数である。q 1 及びq 2 は、それぞれ独立に、0~2の整数である。)
【化3】
(式中、Z 2 は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R 21 及びR 22 は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R 23 及びR 24 は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。r 1 及びr 2 は、それぞれ独立に、0~7の整数である。s 1 及びs 2 は、それぞれ独立に、0~2の整数である。)
【化4】
(式中、R 31 及びR 32 は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。t 1 及びt 2 は、それぞれ独立に、0~7の整数である。)
【化5】
(式中、R 41 及びR 42 は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R 43 及びR 44 は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。u 1 及びu 2 は、それぞれ独立に、0~7の整数である。vは、0~600の整数である。)]
【化6】
[(式中、R 50 、R 51 、R 52 及びR 53 は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル基、エステル基若しくはカルボニル基を含んでもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であり、これらの基の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はシアノ基のいずれかを1つ又は複数で置換されていてもよい。あるいはR 50 、R 51 、R 52 及びR 53 のうちの2つ以上が相互に結合して式中のNと共に環を形成してもよい。)
【化7】
(式中、R 54 は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1~25のアルキル基、炭素数2~25のアルケニル基、炭素数6~25のアリール基、又は炭素数7~25のアラルキル基であり、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基のいずれか、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい。Gは、単結合又は二重結合であり、R 55 及びR 56 は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10の置換若しくは非置換のアルキル基であり、あるいはR 55 とR 56 とは互いに結合してそれらが結合している炭素原子を含めて脂肪族環状構造、複素環状構造又は芳香環構造を形成してもよい。)]
【請求項2】
(B2)オニウム塩以外の光酸発生剤が、2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-[(4-メチルチオ)フェニル]-1-プロパンである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、(C)架橋剤を含む請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(D)溶剤を含む請求項1~3のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、(E)クエンチャーを含む請求項1~4のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜。
【請求項7】
支持フィルムと、該支持フィルム上に請求項6記載の感光性樹脂皮膜とを備える感光性ドライフィルム。
【請求項8】
基板と、該基板上に請求項6記載の感光性樹脂皮膜とを備える積層体。
【請求項9】
(i)請求項1~5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法。
【請求項10】
(i')請求項7記載の感光性ドライフィルムを用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法。
【請求項11】
更に、(iv)パターンが形成された感光性樹脂皮膜を、100~250℃の温度で後硬化する工程を含む請求項9又は10記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光性を有する半導体素子保護膜や多層プリント基板用絶縁膜として、感光性ポリイミド組成物、感光性エポキシ樹脂組成物、感光性シリコーン組成物等が利用されてきた。このような基板や回路の保護用に適用される感光性材料として、特に可撓性に優れる感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献1)。この感光性シリコーン組成物は、低温で硬化可能であり、かつ耐湿接着性等の信頼性に優れた皮膜を形成することができるが、N-メチル-2-ピロリドンのような溶解力の強いフォトレジスト剥離液等への耐薬品性に劣るという問題があった。
【0003】
それに対し、シルフェニレン骨格含有シリコーン型ポリマーを主成分とした感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献2)。この感光性シリコーン組成物は、フォトレジスト剥離液等への耐薬品性が向上するが、ヒートサイクル試験(-25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返す)時に基板から硬化物が剥離したり、硬化物にクラックが入ったりする等の問題があり、信頼性の更なる向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-88158号公報
【文献】特開2012-1668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、かつ、耐クラック性や、基板、電子部品や半導体素子等、特に回路基板に使用される基材に対する密着性等の各種フィルム特性に優れ、電気・電子部品保護用皮膜や、基板接着用皮膜等としての信頼性に優れる硬化物層(硬化皮膜)を形成することができる感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、これらを用いた積層体、及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、シリコーン骨格含有ポリマー、オニウム塩である光酸発生剤及びオニウム塩以外の光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物によって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本発明は、下記感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体及びパターン形成方法を提供する。
1.(A)シリコーン骨格含有ポリマー及び(B)光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物であって、
(B)光酸発生剤が、(B1)オニウム塩である光酸発生剤及び(B2)オニウム塩以外の光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。
2.(A)シリコーン骨格含有ポリマーが、下記式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)で表される繰り返し単位を含むものである1の感光性樹脂組成物。
【化1】
[式中、R1~R4は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、1~600の整数である。
1~a4及びb1~b4は、0≦a1<1、0≦a2<1、0≦a3<1、0≦a4<1、0≦b1<1、0≦b2<1、0≦b3<1、0≦b4<1、0<a1+a2+a3+a4<1、0<b1+b2+b3+b4<1及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数である。
1は、下記式(X1)で表される2価の基である。X2は、下記式(X2)で表される2価の基である。X3は、下記式(X3)で表される2価の基である。X4は、下記式(X4)で表される2価の基である。
【化2】
(式中、Z1は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R13及びR14は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。p1及びp2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。q1及びq2は、それぞれ独立に、0~2の整数である。)
【化3】
(式中、Z2は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。r1及びr2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。s1及びs2は、それぞれ独立に、0~2の整数である。)
【化4】
(式中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。t1及びt2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。)
【化5】
(式中、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R43及びR44は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。u1及びu2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。vは、0~600の整数である。)]
3.更に、(C)架橋剤を含む1又は2の感光性樹脂組成物。
4.更に、(D)溶剤を含む1~3のいずれかの感光性樹脂組成物。
5.更に、(E)クエンチャーを含む1~4のいずれかの感光性樹脂組成物。
6.1~5のいずれかの感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜。
7.支持フィルムと、該支持フィルム上に6の感光性樹脂皮膜とを備える感光性ドライフィルム。
8.基板と、該基板上に6の感光性樹脂皮膜とを備える積層体。
9.(i)1~5のいずれかの感光性樹脂組成物を用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法。
10.(i')7の感光性ドライフィルムを用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むパターン形成方法。
11.更に、(iv)パターンが形成された感光性樹脂皮膜を、100~250℃の温度で後硬化する工程を含む9又は10のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感光性樹脂組成物を使用することで、容易に皮膜を形成できる。得られた皮膜は、解像性に優れ、更に微細加工にも優れた性能を有し、良好な信頼性(密着性、耐クラック性)、解像性及び可撓性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)シリコーン骨格含有ポリマー及び(B)光酸発生剤を含むものである。(B)光酸発生剤は、(B1)オニウム塩である光酸発生剤及び(B2)オニウム塩以外の光酸発生剤の両方を含むものである。
【0010】
[(A)シリコーン骨格含有ポリマー]
(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーとしては、特には限定されないが、下記式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)で表される繰り返し単位(以下、それぞれ繰り返し単位a1~a4及びb1~b4ともいう。)を含むものが好ましい。
【化6】
【0011】
式(a1)~(a4)中、R1~R4は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。mは、1~600の整数である。mが2以上の整数のとき、各R3は、互いに同一であっても異なっていてもよく、各R4は、互いに同一であっても異なっていてもよい。繰り返し単位a1~a4中、シロキサン単位が2以上ある場合、各シロキサン単位は、全て同一であってもよく、2種以上の異なるシロキサン単位を含んでいてもよい。2種以上の異なるシロキサン単位を含む場合(すなわち、mが2以上の整数のとき)、シロキサン単位がランダムに結合したものでも交互に結合したものでもよく、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。
【0012】
前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、これらの構造異性体等のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらのうち、メチル基及びフェニル基が原料の入手の容易さから好ましい。
【0013】
式(a1)~(a4)中、mは、1~600の整数であるが、1~400の整数が好ましく、1~200の整数がより好ましい。
【0014】
式(a1)及び(b1)中、X1は、下記式(X1)で表される2価の基である。
【化7】
【0015】
式(X1)中、Z1は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R13及びR14は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。p1及びp2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。q1及びq2は、それぞれ独立に、0~2の整数である。
【0016】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、これらの構造異性体等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、これらの構造異性体等が挙げられる。
【0017】
式(a2)及び(b2)中、X2は、下記式(X2)で表される2価の基である。
【化8】
【0018】
式(X2)中、Z2は、単結合、メチレン基、プロパン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基又はフルオレン-9,9-ジイル基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。r1及びr2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。s1及びs2は、それぞれ独立に、0~2の整数である。前記アルキル基及びアルコキシ基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0019】
式(a3)及び(b3)中、X3は、下記式(X3)で表される2価の基である。
【化9】
【0020】
式(X3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。t1及びt2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。
【0021】
式(a4)及び(b4)中、X4は、下記式(X4)で表される2価の基である。
【化10】
【0022】
式(X4)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R43及びR44は、それぞれ独立に、炭素数1~8の1価炭化水素基である。u1及びu2は、それぞれ独立に、0~7の整数である。vは、0~600の整数であるが、0~400の整数が好ましく、0~200の整数がより好ましい。前記1価炭化水素基としては、R1~R4の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。式(X4)で表される基において、vが2以上の整数のとき、添え字vで示されるシロキサン単位は、ランダムに結合したものでも交互に結合したものでもよく、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。
【0023】
(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が、3,000~500,000であることが好ましく、5,000~200,000であることがより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフランを溶出溶剤として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0024】
式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)中、a1~a4及びb1~b4は、0≦a1<1、0≦a2<1、0≦a3<1、0≦a4<1、0≦b1<1、0≦b2<1、0≦b3<1、0≦b4<1、0<a1+a2+a3+a4<1、0<b1+b2+b3+b4<1及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数であるが、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0≦a3≦0.8、0≦a4≦0.8、0≦b1≦0.95、0≦b2≦0.95、0≦b3≦0.95、0≦b4≦0.95、0.05≦a1+a2+a3+a4≦0.8、0.2≦b1+b2+b3+b4≦0.95及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数が好ましく、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0≦a3≦0.7、0≦a4≦0.7、0≦b1≦0.9、0≦b2≦0.9、0≦b3≦0.9、0≦b4≦0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4≦0.7、0.3≦b1+b2+b3+b4≦0.9及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数がより好ましい。
【0025】
(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーは、分子中に、エポキシ基、ヒドロキシ基等の架橋基又は架橋反応が生じる反応点を有することが好ましい。すなわち、前記ポリマーは、繰り返し単位a1~a3から選ばれる少なくとも1種及び繰り返し単位b1~b3から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。このとき、式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)中、a1~a4及びb1~b4は、0≦a1<1、0≦a2<1、0≦a3<1、0≦a4<1、0≦b1<1、0≦b2<1、0≦b3<1、0≦b4<1、0<a1+a2+a3<1、0<b1+b2+b3<1及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数が好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0≦a3≦0.8、0≦a4≦0.8、0≦b1≦0.95、0≦b2≦0.95、0≦b3≦0.95、0≦b4≦0.95、0.05≦a1+a2+a3≦0.8、0.2≦b1+b2+b3≦0.95及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数がより好ましく、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0≦a3≦0.7、0≦a4≦0.7、0≦b1≦0.9、0≦b2≦0.9、0≦b3≦0.9、0≦b4≦0.9、0.1≦a1+a2+a3≦0.7、0.3≦b1+b2+b3≦0.9及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数が更に好ましい。
【0026】
特に、(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーは、繰り返し単位a3及びb3を含むことが好ましい。このとき、式(a1)~(a4)及び(b1)~(b4)中、a1~a4及びb1~b4は、0≦a1<1、0≦a2<1、0<a3<1、0≦a4<1、0≦b1<1、0≦b2<1、0<b3<1、0≦b4<1、0<a1+a2+a3+a4<1、0<b1+b2+b3+b4<1及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数が好ましく、0≦a1<0.8、0≦a2<0.8、0<a3≦0.8、0≦a4<0.8、0≦b1<0.95、0≦b2<0.95、0<b3≦0.95、0≦b4<0.95、0.05≦a1+a2+a3+a4≦0.8、0.2≦b1+b2+b3+b4≦0.95及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数がより好ましく、0≦a1<0.7、0≦a2<0.7、0<a3≦0.7、0≦a4<0.7、0≦b1<0.9、0≦b2<0.9、0<b3≦0.9、0≦b4<0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4≦0.7、0.3≦b1+b2+b3+b4≦0.9及びa1+a2+a3+a4+b1+b2+b3+b4=1を満たす数が更に好ましい。
【0027】
前述した各繰り返し単位は、ランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。また、各繰り返し単位中のシロキサン単位は、ランダムに結合していても、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。また、前記シリコーン樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30~80質量%であることが好ましい。
【0028】
(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーは、フィルム形成能を与えるものとして機能する。また、得られた樹脂フィルムは、積層体、基板等への良好な密着性、良好なパターン形成能、耐クラック性及び耐熱性を有する。
【0029】
(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
[シリコーン骨格含有ポリマーの製造方法]
前記シリコーン骨格含有ポリマーは、下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)ともいう。)と、下記式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)ともいう。)と、下記式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)ともいう。)、下記式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)ともいう。)、下記式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)ともいう。)及び下記式(6)で表される化合物(以下、化合物(6)ともいう。)から選ばれる少なくとも1種とを、金属触媒存在下、付加重合させることにより製造することができる。
【0031】
【化11】
(式中、R1~R4及びmは、前記と同じ。)
【0032】
【化12】
(式中、R11~R14、R21~R24、R31、R32、R41~R44、Z1、Z2、p1、p2、q1、q2、r1、r2、s1、s2、t1、t2、u1、u2及びvは、前記と同じ。)
【0033】
前記金属触媒としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・xH2O、H2PtCl6・xH2O、NaHPtCl6・xH2O、KHPtCl6・xH2O、Na2PtCl6・xH2O、K2PtCl4・xH2O、PtCl4・xH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・xH2O(ここで、xは、0~6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号明細書に記載のもの);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(例えば、米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書及び米国特許第3,775,452号明細書に記載のもの);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(いわゆるウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特に、ビニル基含有環状シロキサン)との錯体等を使用することができる。
【0034】
前記触媒の使用量は触媒量であり、通常、化合物(1)~(6)の合計100質量部に対し、0.001~0.1質量部であることが好ましく、0.01~0.1質量部であることがより好ましい。
【0035】
前記付加重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
【0036】
重合温度は、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、40~150℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。重合時間は、得られる樹脂の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5~100時間が好ましく、0.5~30時間がより好ましい。反応終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、(A)成分のシリコーン骨格含有ポリマーを得ることができる。
【0037】
反応方法は、特に限定されないが、例えば、まず、化合物(3)~(6)から選ばれる少なくとも1種を加熱した後、そこへ金属触媒を添加し、次いで化合物(1)及び化合物(2)を0.1~5時間かけて滴下する方法が挙げられる。
【0038】
各原料化合物は、化合物(3)~(6)から選ばれる少なくとも1種が有するアルケニル基の合計に対し、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が有するヒドロシリル基の合計が、モル比で、好ましくは0.67~1.67、より好ましくは0.83~1.25となるように配合するのがよい。
【0039】
前記シリコーン骨格含有ポリマーのMwは、o-アリルフェノールのようなモノアリル化合物又はトリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシランやモノヒドロシロキサンを分子量調整剤として使用することにより制御することが可能である。
【0040】
[(B)光酸発生剤]
(B)成分の光酸発生剤は、光照射によって分解し、酸を発生するものであれば特に限定されないが、波長190~500nmの光を照射することによって酸を発生するものが好ましい。本発明の組成物は酸発生剤の相溶性に優れるため、幅広い酸発生剤を使用することができる。
【0041】
(B)光酸発生剤は、硬化触媒として用いられる。(B)成分の光酸発生剤は、(B1)オニウム塩である光酸発生剤(以下、オニウム塩型光酸発生剤ともいう。)及び(B2)オニウム塩以外の光酸発生剤(以下、非オニウム塩型光酸発生剤ともいう。)を含む。
【0042】
(B1)オニウム塩型光酸発生剤としては、下記式(B1-1)で表されるスルホニウム塩、下記式(B1-2)で表されるヨードニウム塩等が挙げられる。
【化13】
【0043】
式(B1-1)及び(B1-2)中、R101~R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数7~12のアラルキル基である。A-は、非求核性対向イオンである。
【0044】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0045】
前記置換基としては、オキソ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルコキシ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数7~25のアラルキル基、炭素数6~24のアリールオキシ基、炭素数6~24のアリールチオ基等が挙げられる。
【0046】
101~R105としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2-オキソシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、2-、3-又は4-メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、3-又は4-tert-ブトキシフェニル基、2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ターフェニリル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基が好ましい。これらのうち、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基がより好ましい。
【0047】
前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルカンスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルカンスルホネートイオン;トリフルオロメタンスルホンイミドイオン等のフルオロアルカンスルホンイミドイオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等のフルオロアルカンスルホニルメチドイオン;テトラキスフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のボレートイオン等が挙げられる。
【0048】
前記オニウム塩として具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4-チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリス[4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム等が挙げられる。
【0049】
(B2)非オニウム塩型光酸発生剤としては、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド-イル-スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0050】
前記ジアゾメタン誘導体としては、下記式(B2-1)で表される化合物が挙げられる。
【化14】
【0051】
式(B2-1)中、R111及びR112は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。
【0052】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、R101~R105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1-トリフルオロエチル基、1,1,1-トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0053】
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基;2-、3-又は4-メトキシフェニル基、2-、3-又は4-エトキシフェニル基、3-又は4-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2-、3-又は4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0054】
前記グリオキシム誘導体としては、下記式(B2-2)で表される化合物が挙げられる。
【化15】
【0055】
式(B2-2)中、R121~R124は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基である。また、R123及びR124は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、環を形成する場合、R123及びR124が結合して形成される基は、炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
【0056】
前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及びアラルキル基としては、R111及びR112として例示したものと同様のものが挙げられる。前記直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0057】
前記ジアゾメタン誘導体として具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロへキシルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1-シクロヘキシルスルホニル-1-(tert-ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1-tert-ペンチルスルホニル-1-(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0058】
前記グリオキシム誘導体として具体的には、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(p-トルエンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-(p-トルエンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジフェニルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-α-ジシクロへキシルグリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2,3-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(n-ブタンスルホニル)-2-メチル-3,4-ペンタンジオングリオキシム、ビス-o-(メタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(トリフルオロメタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(1,1,1-トリフルオロエタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(tert-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(パーフルオロオクタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(シクロヘキサンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(ベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-フルオロベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(p-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(キシレンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-o-(カンファースルホニル)-α-ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0059】
前記β-ケトスルホン誘導体として具体的には、2-シクロヘキシルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン、2-イソプロピルカルボニル-2-(p-トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
【0060】
前記ジスルホン誘導体として具体的には、ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等が挙げられる。
【0061】
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体として具体的には、p-トルエンスルホン酸2,6-ジニトロベンジル、p-トルエンスルホン酸2,4-ジニトロベンジル等が挙げられる。
【0062】
前記スルホン酸エステル誘導体として具体的には、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0063】
前記イミド-イル-スルホネート誘導体として具体的には、フタルイミド-イル-トリフレート、フタルイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トリフレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-トシレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド-イル-n-ブチルスルホネート、n-トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等が挙げられる。
【0064】
前記オキシムスルホネート誘導体として具体的には、α-(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)-4-メチルフェニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0065】
前記イミノスルホネート誘導体として具体的には、(5-(4-メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-(4-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)-アセトニトリル等が挙げられる。
【0066】
また、(B2)非オニウム塩型光酸発生剤として、2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-[(4-メチルチオ)フェニル]-1-プロパン等も好適に使用できる。
【0067】
(B)光酸発生剤のうち、(B1)オニウム塩型光酸発生剤としてはスルホニウム塩が好ましく、(B2)非オニウム塩型光酸発生剤としては、ジアゾメタン誘導体が好ましい。
【0068】
(B)成分の含有量は、光硬化性の観点から、(B1)オニウム塩型光酸発生剤及び(B2)非オニウム塩型光酸発生剤の合計が、(A)成分100質量部に対し、0.05~20質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が0.05質量部以上であれば、酸の発生量が不足して架橋反応が十分に進行しないおそれがないため好ましい。また、20質量部以下であれば、酸発生剤自身の吸光度が増大するのを抑制することができ、透明性が低下するといった問題が生じるおそれがないため好ましい。また、(B1)オニウム塩型光酸発生剤の含有量は、(B2)非オニウム塩型光酸発生剤より多いことが好ましく、具体的には、(B2)非オニウム塩型光酸発生剤100質量部に対し、125~500質量部が好ましく、150~300質量部がより好ましい。
【0069】
[(C)架橋剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に(C)架橋剤を含むことが好ましい。前記架橋剤は、前述した(A)成分のフェノール性ヒドロキシ基、あるいはR13、R14、R23又はR24で表されるアルコキシ基と縮合反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であると共に、硬化物の強度を更に上げるものである。
【0070】
前記架橋剤としては、Mwが150~10,000、特に200~3,000の樹脂が好ましい。Mwが150以上であれば、十分な光硬化性を得ることができ、10,000以下であれば組成物の硬化後の耐熱性を悪化させるおそれがないため好ましい。
【0071】
また、前記架橋剤としては、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物等の含窒素化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールで変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物も好ましい。
【0072】
前記メラミン化合物としては、下記式(C1)で表されるものが挙げられる。
【化16】
【0073】
式(C1)中、R201~R206は、それぞれ独立に、水素原子、メチロール基又は炭素数2~5のアルコキシメチル基であるが、少なくとも1つはメチロール基又はアルコキシメチル基である。前記アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が挙げられる。
【0074】
式(C1)で表されるメラミン化合物としては、トリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0075】
式(C1)で表されるメラミン化合物は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルムアルデヒドでメチロール化することで、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化することで得ることができる。なお、前記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1~4のアルコールが好ましい。
【0076】
前記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシエチルグアナミン等が挙げられる。
【0077】
前記グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
【0078】
前記ウレア化合物としては、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメトキシエチルウレア、テトラエトキシメチルウレア、テトラプロポキシメチルウレア等が挙げられる。
【0079】
前記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールで変性されたアミノ縮合物としては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールで変性されたメラミン縮合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールで変性された尿素縮合物等が挙げられる。
【0080】
前記変性メラミン縮合物としては、式(C1)で表される化合物又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)と、ホルムアルデヒドとを常法に従って所望の分子量になるまで付加縮合重合させて得られるものが挙げられる。
【0081】
ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールで変性された尿素縮合物としては、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。
【0082】
前記変性尿素縮合物は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化することで、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化することで得ることができる。
【0083】
前記1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物としては、(2-ヒドロキシ-5-メチル)-1,3-ベンゼンジメタノール、2,2',6,6'-テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。
【0084】
前記1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0085】
(C)成分を含む場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5~50質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましい。0.5質量部以上であれば光照射時に十分な硬化性が得られ、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物中の(A)成分の割合が低下しないため、硬化物に十分な本発明の効果を発現させることができる。()成分の架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
[(D)溶剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(D)溶剤を含んでもよい。前記溶剤としては、(A)~(C)成分や、後述する各種添加剤が溶解可能な溶剤であれば特に限定されないが、これら成分の溶解性に優れていることから有機溶剤が好ましい。
【0087】
前記有機溶剤としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。特に、光酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、PGMEA、γ-ブチロラクトン及びこれらの混合溶剤が好ましい。
【0088】
(D)成分の使用量は、感光性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し、50~2,000質量部が好ましく、50~1,000質量部がより好ましく、50~100質量部が特に好ましい。
【0089】
[(E)クエンチャー]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に(E)クエンチャーを含んでもよい。クエンチャーとしては、光酸発生剤より発生した酸が感光性樹脂皮膜内を拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。前記クエンチャーを配合することにより、解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板依存性又は環境依存性を小さくし、露光余裕度やパターン形状を向上させることができる。
【0090】
前記クエンチャーとしては、第1級、第2級又は第3級脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0091】
前記第1級脂肪族アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、tert-ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0092】
前記第2級の脂肪族アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N-ジメチルメチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルテトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0093】
前記第3級の脂肪族アミン類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0094】
前記混成アミン類としては、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
【0095】
前記芳香族アミン類及び複素環アミン類としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2-ニトロアニリン、3-ニトロアニリン、4-ニトロアニリン、2,4-ジニトロアニリン、2,6-ジニトロアニリン、3,5-ジニトロアニリン、N,N-ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H-ピロール、1-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、N-メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2-メチル-1-ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N-メチルピロリジン、ピロリジノン、N-メチル-2-ピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4-(1-ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3-メチル-2-フェニルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1-メチル-2-ピリジン、4-ピロリジノピリジン、1-メチル-4-フェニルピリジン、2-(1-エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H-インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3-キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10-フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が挙げられる。
【0096】
前記カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3-アミノピラジン-2-カルボン酸、メトキシアラニン等)等が挙げられる。
【0097】
前記スルホニル基を有する含窒素化合物としては、3-ピリジンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。
【0098】
前記ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物及びアルコール性含窒素化合物としては、2-ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2-キノリンジオール、3-インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2'-イミノジエタノール、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリジノン、3-ピペリジノ-1,2-プロパンジオール、3-ピロリジノ-1,2-プロパンジオール、8-ヒドロキシユロリジン、3-クイヌクリジノール、3-トロパノール、1-メチル-2-ピロリジンエタノール、1-アジリジンエタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が挙げられる。
【0099】
前記アミド誘導体としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が挙げられる。
【0100】
前記イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が挙げられる。
【0101】
前記クエンチャーとして、下記式(E1)で表されるものを使用することもできる。
【化17】
【0102】
式(E1)中、wは、1、2又は3である。R301は、下記式(E2)~(E4)で表される置換基から選ばれるいずれかの置換基である。R302は、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。また、R301が2以上存在する場合は、2つのR301が、互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。また、R301が2以上存在する場合は、これらは同一でも異なっていてもよく、R302が2以上存在する場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。
【化18】
【0103】
式(E2)~(E4)中、R303、R305及びR308は、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐状の炭素数1~4のアルカンジイル基である。R304及びR307は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。R306は、単結合、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルカンジイル基である。R309は、炭素数1~20のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0104】
式(E1)で表される化合物としては、トリス[2-(メトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2-(1-メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2-(1-エトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2-(1-エトキシプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18-テトラオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザビシクロオクタデカン、1-アザ-12-クラウン-4、1-アザ-15-クラウン-5、1-アザ-18-クラウン-6、トリス(2-ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2-アセトキシエチル)アミン、トリス(2-プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2-ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2-メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2-tert-ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2-(2-オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2-(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2-(tert-ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2-(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2-メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2-エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(2-アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-(4-ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)-2-(4-ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)-2-(2-ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-メトキシエチル)-2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-アセトキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-メトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N-メチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-エチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-メチルビス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N-エチルビス[2-(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N-エチルビス[2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N-ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N-ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン及びβ-(ジエチルアミノ)-δ-バレロラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0~3質量部であるが、含有する場合は、感度の観点から0.01~2質量部が好ましく、0.05~1質量部がより好ましい。(E)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0106】
[その他の添加剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、前述した各成分以外に、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤が挙げられる。
【0107】
前記界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えば、フッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、Fluorad(登録商標)FC-430(スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)S-141及びS-145(AGCセイミケミカル(株)製)、ユニダイン(登録商標)DS-401、DS-4031及びDS-451(ダイキン工業(株)製)、メガファック(登録商標)F-8151(DIC(株)製)、X-70-093(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、Fluorad FC-430及びX-70-093が好ましい。前記界面活性剤の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.01~5質量部が好ましい。
【0108】
本発明の感光性樹脂組成物は、その他の添加剤として、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤を含むことにより、該組成物から得られる樹脂皮膜の被接着体への密着性を更に高めることができる。シランカップリング剤としては、エポキシ基含有シランカップリング剤、芳香族基含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01~5質量%が好ましい。
【0109】
本発明の感光性樹脂組成物は、通常の方法で調製することができる。例えば、前記各成分を攪拌、混合し、その後必要に応じてフィルター等により濾過することで、本発明の感光性樹脂組成物を調製することができる。
【0110】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、半導体素子の保護膜、配線の保護膜、カバーレイフィルム、ソルダーマスク、貫通電極用絶縁膜(TSV用)の材料、更には、三次元積層における積層基板間の接着剤として好適に用いられる。
【0111】
[感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法は、
(i)本発明の感光性樹脂組成物を用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0112】
工程(i)は、感光性樹脂組成物を用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程である。前記基板としては、例えばシリコンウエハ、貫通電極用シリコンウエハ、裏面研磨により薄膜化したシリコンウエハ、プラスチック又はセラミック基板、イオンスパッタリング法やめっき法等により基板全面又は基板の一部にNi、Au等の金属を有する基板等が挙げられる。開口幅が10~100μmかつ深さが10~120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板が使用されることもある。なお、基板の溝又は孔の開口幅及び深さは、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0113】
感光性樹脂皮膜の形成方法としては、例えば、前記感光性樹脂組成物を前記基板上に、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等の方法で塗布し、光硬化反応を効率的に行うため必要に応じて予備加熱(プリベーク:PB)する方法が挙げられる。予備加熱は、例えば40~140℃で1分~1時間程度行うことができる。
【0114】
前記感光性樹脂組成物の塗布量は目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚が0.1~200μm、好ましくは1~150μmとなる量が好ましい。
【0115】
基板面における膜厚均一性を向上させる目的で、感光性樹脂組成物を塗布する前に溶剤を基板に滴下してもよい(プリウェット法)。滴下する溶剤及びその量は、目的に応じて適宜選択することができる。前記溶剤としては、例えばイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、PGME等のグリコール類等が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。
【0116】
次に、(ii)感光性樹脂皮膜を露光する。露光は、波長1~600nmの光で行うことが好ましく、10~600nmの光で行うことがより好ましく、190~500nmの光で行うことが更に好ましい。このような波長の光としては、例えば放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、h線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。これらのうち、波長248~436nmの光が特に好ましい。露光量は、10~10,000mJ/cm2が好ましい。
【0117】
露光は、フォトマスクを介して行ってもよい。前記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は、特に限定されないが、前記波長の光を遮蔽するものが好ましく、例えば遮光膜としてクロム等を備えるものが好適に用いられる。
【0118】
更に、現像感度を高めるために、露光後加熱処理(PEB)を行ってもよい。PEBは、40~150℃で0.5~10分間とすることが好ましい。PEBによって、露光部分が架橋して現像液である溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0119】
露光後又はPEB後、(iii)現像液で現像してパターンを形成する。現像液としては、例えばIPA等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類、PGME等のグリコール類等が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることもできる。現像方法としては、通常の方法、例えばパターン形成された基板を前記現像液に浸漬する方法等が挙げられる。その後、必要に応じて洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する樹脂皮膜が得られる。
【0120】
更に、(iv)パターンを形成した膜を、オーブンやホットプレートを用いて、100~250℃、好ましくは150~220℃で後硬化することが好ましい。後硬化温度が100~250℃であれば、感光性樹脂組成物の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着性、耐熱性や強度、電気特性、更に接着強度の観点からより好ましい。後硬化時間は、10分間~10時間が好ましく、10分間~3時間がより好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、200℃前後の比較的低温の後硬化であっても、各種フィルム特性に優れた皮膜を得ることができる。後硬化後の皮膜(硬化皮膜)の膜厚は、通常1~200μm、好ましくは5~50μmである。
【0121】
パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一な皮膜を形成したい場合は、前記パターン形成方法における工程(ii)において、フォトマスクを介さずに適切な波長の光で露光することで、皮膜形成を行えばよい。
【0122】
[感光性ドライフィルム]
本発明の感光性ドライフィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に前記感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜とを備えるものである。
【0123】
前記感光性ドライフィルム(支持フィルム及び感光性樹脂皮膜)は固体であり、感光性樹脂皮膜が溶剤を含まないため、その揮発による気泡が前記感光性樹脂皮膜の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。凹凸のある基板上での平坦性、段差被覆性及び基板積層間隔を考慮すると、適切な膜厚範囲は存在する。したがって、前記感光性樹脂皮膜の膜厚は、5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。
【0124】
また、前記感光性樹脂皮膜の粘性率と流動性は密接に関係しており、前記感光性樹脂皮膜は適切な粘性率範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との接着性を強くしたりすることができる。したがって、前記感光性樹脂皮膜の粘性率は、前記感光性樹脂皮膜の流動性の観点から、温度80~120℃において10~5,000Pa・sが好ましく、30~2,000Pa・sがより好ましく、50~300Pa・sが更に好ましい。なお、本発明において粘性率は、回転粘度計による測定値である。
【0125】
本発明の感光性ドライフィルムは、凹凸のある基板(例えば、開口幅が10~100μmかつ深さが10~120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板)に密着させる際に、感光性樹脂皮膜が前記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、本発明の感光性樹脂皮膜は、柔軟性があることが特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、前記感光性樹脂皮膜を真空環境下で前記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
【0126】
次に、本発明の感光性ドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて感光性樹脂皮膜を形成することによって製造することができる。感光性ドライフィルムの製造装置としては、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。前記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0127】
支持フィルムを前記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、前記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、前記支持フィルム上に前記感光性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度及び時間で熱風循環オーブンを通過させ、前記支持フィルム上で乾燥させて感光性樹脂皮膜とすることで、感光性ドライフィルムを得ることができる。また、必要に応じて、感光性ドライフィルムを前記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムとともに、所定の圧力でラミネートロールを通過させて前記支持フィルム上の前記感光性樹脂皮膜と保護フィルムとを貼り合わせた後、前記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを製造することができる。この場合、前記温度としては25~150℃が好ましく、前記時間としては1~100分間が好ましく、前記圧力としては0.01~5MPaが好ましい。
【0128】
前記支持フィルムは、単一のフィルムからなる単層フィルムであっても、複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムでもよい。前記フィルムの材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられるが、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有する点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡 (株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1-A3、PET38×1-V8、PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0129】
前記保護フィルムとしては、前述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0130】
前記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、感光性ドライフィルム製造の安定性、巻き芯に対する巻き癖及び所謂カール防止の観点から、10~100μmが好ましく、25~50μmがより好ましい。
【0131】
[感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法]
感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法は、
(i')本発明の感光性ドライフィルムを用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液で現像してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0132】
まず、工程(i')において、感光性ドライフィルムを用いて基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。具体的には、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付けることで、基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。前記感光性ドライフィルムに保護フィルムが積層されている場合には、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付ける。貼り付けは、例えばフィルム貼り付け装置を用いて行うことができる。
【0133】
前記基板としては、感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法において説明したものと同様のものが挙げられる。前記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。例えば、前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した前記感光性樹脂皮膜を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で前記基板に密着させる。なお、前記温度としては60~120℃が好ましく、前記圧力としては0~5.0MPaが好ましく、前記真空度としては50~500Paが好ましい。
【0134】
必要な厚さの感光性樹脂皮膜を得るために、必要に応じてフィルムを複数回貼り付けてもよい。貼り付け回数は例えば1~10回程度で、10~1,000μm、特に100~500μm厚程度の感光性樹脂皮膜を得ることができる。
【0135】
前記感光性樹脂皮膜の光硬化反応を効率的に行うため、及び感光性樹脂皮膜と基板との密着性を向上させるため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行ってもよい。プリベークは、例えば40~140℃で1分間~1時間程度行うことができる。
【0136】
基板に貼り付けた感光性樹脂皮膜は、前記感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法の場合と同様に、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像する工程、及び必要に応じて(iv)後硬化処理をすることでパターンを形成することができる。なお、感光性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
【0137】
前記感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムから得られる皮膜は、耐熱性、可撓性、電気絶縁性、機械的特性及び基板等との密着性に優れ、半導体素子等の電気・電子部品保護用皮膜や基板接着用皮膜として好適に用いられる。
【0138】
[基板の接着方法]
更に、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムは、2つの基板を接着するための基板接着剤としても使用できる。基板の接着方法としては、好適な熱及び圧力の条件下で、本発明の感光性樹脂組成物又は感光性ドライフィルムを用いて皮膜を形成した基板を、該皮膜を介して第2の基板と接着させる方法が挙げられる。すなわち、前記皮膜が接着層となる。皮膜を形成した基板及び第2の基板のいずれか一方又は両方が、ダイシング加工等によりチップ化されることもある。
【0139】
接着条件としては、加熱温度を50~200℃、加熱時間を1~60分間とすることが好ましい。接着装置としてウエハボンダ装置を使用し、荷重を加えながら減圧下でのウエハ同士を貼り付けることもでき、あるいはフリップチップボンダ装置を用いてチップ-ウエハ又はチップ-チップ接着を行うこともできる。
【0140】
貼り付け(接着)を行った基板を前述した工程(iv)と同じ条件で後硬化処理することで前記皮膜の架橋密度が増し、基板接着力を高めることができる。後硬化処理により基板間に形成された接着層の結合力が高まり、永久接着となる。なお、接着時の加熱によって架橋反応が起こるが、前記架橋反応においては脱ガスを伴う副反応が生じないため、特に基板接着剤として使用した場合において、貼り合わせ欠陥(ボイド)を誘起しない。
【0141】
[積層体]
本発明の積層体は、基板と、該基板上に前記感光性樹脂皮膜とを備えるものである。前記基板としては、感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法において前述したものと同様のものが挙げられ、特に凹凸のある基板(例えば、開口幅が10~100μmかつ深さが10~120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板)が好ましい。前記感光性樹脂皮膜を形成した積層体は、基板と該皮膜との密着性に優れたものとなり、また、基板が凹凸のある場合にも高い平坦性を有するものとなる。
【実施例
【0142】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。下記合成例において、各ポリマーのMwは、カラムとしてTSKgel Super HZM-H(東ソー(株)製)を用い、流量0.6mL/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
【0143】
下記合成例において使用した化合物(S-1)~(S-6)は、以下のとおりである。
【化19】
【0144】
[1]シリコーン骨格含有ポリマーの合成
[合成例1-1]樹脂1の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-1)84.0g(0.2モル)、化合物(S-2)39.7g(0.15モル)及び化合物(S-3)46.5g(0.25モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-5)38.8g(0.20モル)及び化合物(S-6)(y1=38)553.4(0.20モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂1を得た。樹脂1は、1H-NMR(Bruker社製)により、繰り返し単位a1、b1、a2、b2、a3、b3、a4及びb4を含むものであることを確認した。樹脂1のMwは38,000、シリコーン含有率は67.2質量%であった。
【0145】
[合成例1-2]樹脂2の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-2)53.0g(0.20モル)、化合物(S-4)172.0g(0.40モル)及び化合物(S-3)9.3g(0.05モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-5)29.1g(0.15モル)及び化合物(S-6)(y1=8)430.5g(0.7モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂2を得た。樹脂2は、1H-NMR(Bruker社製)により、繰り返し単位a1、b1、a2、b2、a3、b3、a4及びb4を含むものであることを確認した。樹脂2のMwは35,000、シリコーン含有率は53.6質量%であった。
【0146】
[合成例1-3]樹脂3の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-1)84.0g(0.20モル)及び化合物(S-2)132.5g(0.50モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-5)58.2g(0.30モル)及び化合物(S-6)(y1=38)830.1g(0.3モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂3を得た。樹脂3は、1H-NMR(Bruker社製)により、繰り返し単位a1、b1、a3、b3、a4及びb4を含むものであることを確認した。樹脂3のMwは32,000、シリコーン含有率は75.5質量%であった。
【0147】
[合成例1-4]樹脂4の合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、化合物(S-2)132.5g(0.50モル)、化合物(S-4)107.5g(0.25モル)及び化合物(S-3)18.6g(0.10モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、化合物(S-5)9.7g(0.05モル)及び化合物(S-6)(y1=8)276.7g(0.45モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂4を得た。樹脂4は、1H-NMR(Bruker社製)により、繰り返し単位a2、b2、a3、b3、a4及びb4を含むものであることを確認した。樹脂4のMwは36,000、シリコーン含有率は58.4質量%であった。
【0148】
[2]アクリル樹脂の合成
[合成例2-1]アクリル樹脂1の合成
攪拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、PGMEA70g及びトルエン70gを仕込んだ。次に、アクリル酸32.6g及びメタクリル酸40gを加え、窒素雰囲気下で十分攪拌した後、80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら6時間攪拌し、アクリル樹脂1の溶液を得た。得られた溶液に、アクリル樹脂1の濃度が60質量%となるようにPGMEAを添加した。アクリル樹脂1のMwは15,000であった。
【0149】
[合成例2-2]アクリル樹脂2の合成
攪拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、AIBN1g、PGMEA70g及びトルエン70gを仕込んだ。次に、アクリル酸25gとアクリル酸メチル43.9gを加え、窒素雰囲気下で十分攪拌した後、80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら6時間攪拌し、アクリル樹脂2の溶液を得た。得られた溶液に、アクリル樹脂2の濃度が60質量%となるようにPGMEAを添加した。アクリル樹脂2のMwは17,000であった。
【0150】
[3]感光性樹脂組成物の調製
[実施例1~8、比較例1~4]
表1に記載の配合量に従って各成分を配合し、その後常温にて攪拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密濾過を行い、実施例1~8及び比較例1~4の感光性樹脂組成物を得た。
【0151】
【表1】
【0152】
表1に記載した光酸発生剤PAG-1~PAG-6、架橋剤CL-1、CL-2及びクエンチャーAM-1は、以下のとおりである。
・PAG-1~PAG-6
【化20】
【0153】
【化21】
【0154】
・CL-1、CL-2
【化22】
【0155】
・AM-1
【化23】
【0156】
[4]感光性ドライフィルムの作製
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、実施例1~8及び比較例1~4の感光性樹脂組成物をそれぞれ前記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより乾燥し、支持フィルム上に感光性樹脂皮膜を形成し、感光性ドライフィルムを得た。前記感光性樹脂皮膜の上から、保護フィルムとしてのポリエチレンフィルム(厚さ40μm)をラミネートロールで圧力1MPaにて貼り合わせ、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを作製した。各感光性樹脂皮膜の膜厚は表2に記載した。なお、膜厚は光干渉式膜厚測定機((株)SCREENセミコンダクターソリューションズ製)により測定した。
【0157】
[5]樹脂皮膜の評価
(1)パターン形成性の評価
前記感光性ドライフィルムは、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM-100RF((株)タカトリ製)を用いて、真空チャンバー内の真空度80Paに設定し、支持フィルム上の感光性樹脂皮膜を凹凸のあるシリコン基板に密着させた。温度条件は100℃とした。常圧に戻した後、前記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより110℃で5分間プリベークを行った。得られた感光性樹脂皮膜に対してラインアンドスペースパターン及びコンタクトホールパターンを形成するためにマスクを介し、365nmの露光条件でコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。露光後、ホットプレートにより130℃で5分間PEBを行い、冷却し、PGMEAにて300秒間スプレー現像を行い、パターンを形成した。
【0158】
前記方法によりパターンを形成した基板上の感光性樹脂皮膜を、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成した100μm、80μm、60μm、40μm、20μmのコンタクトホールパターン断面を観察し、フィルム底部までホールが貫通している最小のホールパターンを限界解像性とした。更に得られた断面写真から、40μmのコンタクトホールパターンの垂直性を評価し、垂直なパターンは◎、やや逆テーパー形状は○、逆テーパー形状は△、開口不良は×とした。結果を表2に示す。
【0159】
(2)信頼性(密着性、耐クラック性)の評価
実施例1~8及び比較例1~4の各感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて厚さが10μmになるようにシリコンウエハにコートした。溶剤を除去するため、ホットプレート上で、100℃で3分間加熱し、乾燥させた。
ウエハに塗布した組成物全面に対し、マスクを介さず、ズース・マイクロテック社のマスクアライナーMA8を用い、高圧水銀灯を光源とする光(波長365nm)を照射し、140℃で5分間PEBを行い、PGMEAに5分間浸漬した。この操作後に残った皮膜を190℃のオーブンで1時間加熱し、樹脂皮膜を得た。
得られたウエハを、ダイシングブレードを備えるダイシングソー((株)DISCO製DAD685、スピンドル回転数:40,000rpm、切断速度:20mm/sec)を使用して切断し、10mm×10mm角の試験片を得た。得られた試験片(各10片づつ)をヒートサイクル試験(-25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返す)に供し、ヒートサイクル試験後の樹脂フィルムのウエハからの剥離状態、クラックの有無を光学顕微鏡により確認した。全く剥離・クラックを生じなかったものを良好、1つでも剥離を生じたものを剥離、1つでもクラックが生じたものをクラックとした。結果を表2に示す。
【0160】
(3)耐熱性の評価
信頼性評価で作製した試験片の試験前質量を測定し、その後、試験片を200℃に加熱したオーブンに1,000時間放置し、試験片をオーブンから取り出し、質量を測定した。試験前後の質量変化率が0.5%未満だった場合を良好、試験前後の質量変化率が0.5%以上だった場合を不良として判定した。結果を表2に示す。
【0161】
【表2】