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特許7269707切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法、及びこの方法を実施する木質化した人参の判別装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法、及びこの方法を実施する木質化した人参の判別装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20230427BHJP
   A23N 15/04 20060101ALI20230427BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20230427BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A23N15/00 F
A23N15/04
B26F3/00 L
B26F3/00 Q
B26F3/00 S
B26D7/06 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018147782
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020022373
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-08-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500048144
【氏名又は名称】びえいフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】國重 泰生
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3140585(JP,U)
【文献】特開2005-058194(JP,A)
【文献】特開2011-036214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/00
A23N 15/04
B26F 3/00
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断ユニットによる切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法であって、
上記切断ユニットにおいて噴射される上記ウォータージェットを、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流とする設定を上記切断ユニットが受け付けるステップと、
上記切断ユニットの噴射ノズルの噴射方向上に人参を搬送するステップと、
上記切断ユニットが、上記ウォータージェットにより上記人参の切断動作を行うステップと
上記切断されなかった人参を切断された人参と並んだまま上記ウォータージェットの位置より下流側に搬送する下流側搬送ステップと、
上記下流側搬送ステップの実行中において、上記人参の頭部の茎葉側部分に力を作用させる作用部により上記切断された人参の頭部の茎葉側部分を分離させるステップを備える、方法。
【請求項2】
上記搬送するステップにおける上記人参の搬送速度は、5m/min~15m/minの範囲内に設定され、
上記受け付けるステップにおける上記ウォータージェットの水流は、0.2L/min~1.5L/minの範囲の流量に設定される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
上記搬送するステップは、上記人参の頭部を一方側に向けると共に複数の上記人参を並べた状態で搬送する、請求項又はに記載の方法。
【請求項4】
上記搬送するステップは、上記人参の姿勢を保ちながら上記人参を搬送する、請求項乃至の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
切断ユニットによる切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法であって、
上記切断ユニットにおいて噴射される上記ウォータージェットを、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流とする設定を上記切断ユニットが受け付けるステップと、
上記切断ユニットの噴射ノズルの噴射方向上に人参を搬送するステップと、
上記切断ユニットが、上記ウォータージェットにより上記人参の切断動作を行うステップと、を備え、
さらに、上記搬送するステップの前に、整列ユニットにより、複数の上記人参の長手方向が同一方向となるように複数の上記人参を整列させるステップを備え、
整列された状態で搬送される上記人参の頭部側及び先端側に、上記搬送するステップを実行させる搬送手段が配置され、
さらに、上記整列された状態の上記人参を、上記人参の頭部側に設けられた上記搬送手段に移すステップを備える、方法。
【請求項6】
切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法を実施する上記木質化した人参の判別装置であって、
上記ウォータージェットを噴射する噴射ノズルを備えた切断ユニットを備え、
上記切断ユニットは、上記ウォータージェットの水流を調整可能な調整部を備え、上記切断ユニットにより噴射される上記ウォータージェットは、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流に設定されており
さらに、上記噴射ノズルの噴射方向上に人参を搬送する搬送ユニットを備え、上記搬送ユニットは、第1コンベヤと第2コンベヤとを備え、上記第1コンベヤは、上記第2コンベヤ側に向けて下る下り傾斜に形成され、さらに、上記第2コンベヤは、上記第1コンベヤ側に向けて下る下り傾斜に形成され、上記第1コンベヤと上記第2コンベヤとは隙間をあけて平行に配置され、上記第1コンベヤが上記人参の胴部を支持し、上記第2コンベヤが上記人参の頭部を支持する、判別装置。
【請求項7】
上記第1コンベヤの搬送速度は、上記第2コンベヤの搬送速度と同じである、請求項に記載の判別装置。
【請求項8】
上記切断ユニットの上記噴射ノズルは、上記搬送ユニットの上記第1コンベヤと上記第2コンベヤとの間の隙間に向けて上記ウォータージェットを噴射する、請求項又はに記載の判別装置。
【請求項9】
上記切断ユニットの上記噴射ノズルは、上記搬送ユニットの上記第2コンベヤの上方から、上記第2コンベヤの近傍且つ離間した位置を通り且つ上記第2コンベヤに沿う向きの上記ウォータージェットを噴射する、請求項乃至の何れか1項に記載の判別装置。
【請求項10】
切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法を実施する上記木質化した人参の判別装置であって、
上記ウォータージェットを噴射する噴射ノズルを備えた切断ユニットを備え、
上記切断ユニットは、上記ウォータージェットの水流を調整可能な調整部を備え、上記切断ユニットにより噴射される上記ウォータージェットは、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流に設定されており、
さらに、上記切断ユニットより下流側に配置され且つ上記人参の頭部の茎葉側部分に空気を噴射するエアノズルを備える、判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法、及びこの方法を実施する木質化した人参の判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天候などの要因により、畑から収穫された人参のうち極少数が中心部に木質化した部分を含む人参となることが知られている。木質化した部分は木のように硬くなっているため、木質化した部分が加工食品等に混入すると、消費者に違和感を生じさせる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3140585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、収穫された人参のうち木質化した人参を判別することが課題とされている。しかしながら、木質化した人参は、外見から判別することが難しい場合がある。また、木質化した人参が一本でも食品中に混入されれば、消費者に大きな違和感を生じさせ、食品加工業者の信頼を損ねる恐れがある。従って、従来から、食品加工業者が全ての人参を一本ずつ手包丁で切断し、木質化した人参でないか否かの判別を行っていた。人参の加工業者は、このような作業を実施する人手やコスト等の大きな負担を強いられるという問題があった。
これに対し、特許文献1に示すように、切断装置の金属刃により多数の人参の頭を連続して切断し、木質化した人参を判別しようとすれば、金属刃に人参の成分が付着し、人参を切断するにつれ金属刃の切断能力が低下し、切断できない人参が増え、木質化した人参の適切な判別ができなくなる可能性がある。また、仮に金属刃が折れたり欠けたりする場合には、金属片が食品中に混入するおそれが生じるという問題がある。このように金属刃によれば、作業効率が低下すると共に、金属刃のメンテナンスの負担も大きくなる。
【0005】
そこで、本発明は、木質化した人参を判別する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、切断ユニットによる切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法は、上記切断ユニットにおいて噴射されるウォータージェットを、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流とする設定を上記切断ユニットが受け付けるステップと、上記切断ユニットが、上記ウォータージェットにより上記人参の切断動作を行うステップとを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、切断ユニットにおいて噴射されるウォータージェットの水流により、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。これにより、ウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、さらに、上記切断ユニットの噴射ノズルの噴射方向上に上記人参を搬送するステップを備える。
このように構成された本発明においては、切断ユニットの噴射ノズルの噴射方向上に人参を搬送するので、切断ユニットの噴射ノズルを固定して比較的簡単に配置することができると共に、切断ユニットの可動範囲に限られることなく多数の人参を連続的に噴射ノズルの噴射方向上に搬送できる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記搬送するステップにおける上記人参の搬送速度は、5m/min~15m/minの範囲内に設定され、上記受け付けるステップにおけるウォータージェットの水流は、0.2L/min~1.5L/minの範囲の流量に設定される。
このように構成された本発明においては、人参の搬送速度を5m/min~15m/minの範囲内に設定し、ウォータージェットの水流を、0.2L/min~1.5L/minの範囲の流量に設定することにより、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記搬送するステップは、上記人参の頭部を一方側に向けると共に複数の上記人参を並べた状態で搬送する。
このように構成された本発明においては、人参の頭部を一方側に向けると共に複数の人参を並べた状態で噴射ノズルの噴射方向上に搬送するので、ウォータージェットにより複数の人参の例えば頭部を連続して切断することができる。これにより、効率的に複数の人参をウォータージェットにより切断し、切断されなかった上記人参を上記木質化した人参と判別することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、上記切断されなかった人参を上記切断された人参と並んだまま上記ウォータージェットの位置より下流側に搬送する下流側搬送ステップを備える。
このように構成された本発明においては、ウォータージェットによる切断作業を中断させることなく、後続の人参を連続して切断することができる。さらに、ウォータージェットの位置より下流側に、切断された人参と切断されていない人参が並んだ状態のまま搬送されるため、容易に切断されていない人参を判別することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、上記下流側搬送ステップの実行中において、上記人参の頭部の茎葉側部分に力を作用させる作用部により上記切断された人参の頭部の茎葉側部分を分離させるステップを備える。
このように構成された本発明においては、分離させるステップにより切断された人参の頭部の茎葉側部分が分離され、切断された人参と切断されなかった人参とが比較的簡単に判別されることができる。また、切断された人参の頭部の茎葉側部分を分離し、下流側に茎葉側部分を人手により取り出して排出する手間を減らすことができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、上記搬送するステップの前に、整列ユニットにより、複数の上記人参の長手方向が同一方向となるように複数の上記人参を整列させるステップを備える。
このように構成された本発明においては、上記搬送するステップの前に、整列ユニットにより複数の人参の長手方向が同一方向となるように複数の人参を整列させるので、人参の頭部を一方側に向けると共に複数の人参を並べた状態にしやすくすることができる。よって、上記人参を搬送するステップをより効率的に実行することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記整列された状態で搬送される上記人参の頭部側及び先端側に、上記搬送するステップを実行させる搬送手段が配置され、さらに、上記整列された状態の上記人参を、上記人参の頭部側に設けられた上記搬送手段に移すステップを備える。
このように構成された本発明においては、整列された状態の人参を、比較的簡単な作業により、その人参の頭部側に設けられた搬送手段に移すことができ、人参の頭部を一方側に向けると共に複数の人参を並べた状態にしやすくすることができる。よって、上記人参を搬送するステップをより効率的に実行することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記搬送するステップは、上記人参の姿勢を保ちながら上記人参を搬送する。
このように構成された本発明においては、人参の姿勢を保ちながら人参を搬送するので、ウォータージェットにより複数の人参の同様の部分、例えば頭部を連続して安定して切断することができ、ウォータージェットの切断による食品ロスを低減させると共にウォータージェットにより切断されなかった人参と木質化した人参とをより確実に判別することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法を実施する上記木質化した人参の判別装置であって、上記ウォータージェットを噴射する噴射ノズルを備えた切断ユニットを備え、上記切断ユニットは、上記ウォータージェットの水流を調整可能な調整部を備え、上記切断ユニットにより噴射される上記ウォータージェットは、上記木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流に設定されている。
このように構成された本発明においては、切断ユニットにおいて噴射されるウォータージェットの水流により、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。これにより、ウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、上記噴射ノズルの噴射方向上に上記人参を搬送する搬送ユニットを備える。
このように構成された本発明においては、搬送ユニットにより噴射ノズルの噴射方向上に人参が搬送されるので、切断ユニットの噴射ノズルを固定して比較的簡単に配置することができると共に、切断ユニットの可動範囲に限られることなく、多数の人参を連続的に噴射ノズルの噴射方向上に搬送できる。
【0017】
本発明において、好ましくは、搬送ユニットは、第1コンベヤと第2コンベヤとを備え、上記第1コンベヤは、上記第2コンベヤ側に向けて下る下り傾斜に形成され、さらに、上記第2コンベヤは、上記第1コンベヤ側に向けて下る下り傾斜に形成され、上記第1コンベヤと上記第2コンベヤとは隙間をあけて平行に配置され、上記第1コンベヤが上記人参の胴部を支持し、上記第2コンベヤが上記人参の頭部を支持する。
このように構成された本発明においては、第1コンベヤによって人参の胴部が支持され、第2コンベヤによって人参の頭部が支持される。よって、人参の姿勢を維持した状態で人参を搬送しやすくできる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記第1コンベヤの搬送速度は、上記第2コンベヤの搬送速度と同じである。
このように構成された本発明においては、第1コンベヤと上記第2コンベヤとは隙間をあけて平行に配置され、第1コンベヤによって人参の胴部が支持され、第2コンベヤによって人参の頭部が支持される場合であっても、第1コンベヤの搬送速度は、上記第2コンベヤの搬送速度と同じであるので、人参の胴部と頭部との相対的な位置関係が変わらず、人参の姿勢を維持した状態で人参を搬送しやすくできる。
【0019】
本発明において、好ましくは、上記切断ユニットの上記噴射ノズルは、上記搬送ユニットの上記第1コンベヤと上記第2コンベヤとの間の隙間に向けて上記ウォータージェットを噴射する。
このように構成された本発明においては、切断ユニットの噴射ノズルは、人参の胴部を支持する第1コンベヤと人参の頭部を支持する第2コンベヤとの間の隙間に向けてウォータージェットを噴射するので、人参の姿勢を維持した状態で人参を搬送すると共に人参の頭部を切断できる。
【0020】
本発明において、好ましくは、上記切断ユニットの上記噴射ノズルは、上記搬送ユニットの上記第2コンベヤの上方から、上記第2コンベヤの近傍且つ離間した位置を通り且つ上記第2コンベヤに沿う向きの上記ウォータージェットを噴射する。
このように構成された本発明においては、ウォータージェットが、人参の頭部を支持する第2コンベヤの近傍且つ離間した位置を通り且つ上記第2コンベヤに沿う向きに噴射される。これにより、人参の頭部を第2コンベヤに沿って切断することができる。よって、人参Aの切断部分のロスを低減すると共に木質化した人参Aの判別を行うことができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、さらに、上記切断ユニットより下流側に配置され且つ上記人参の頭部の茎葉側部分に空気を噴射するエアノズルを備える。
このように構成された本発明においては、切断ユニットにより木質化していない人参が切断されたとき、表面張力等により茎葉側部分a1が胴体側に付着している場合に、エアノズルが茎葉側部分に空気を噴射することにより、茎葉側部分a1を分離させ、落下させることができる。よって、ウォータージェットにより切断されなかった人参を比較的簡単に判別し、木質化した人参を比較的簡単に判別することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法によれば、木質化した人参を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法に用いられる木質化した人参の判別装置の概略構成図である。
図2図1の木質化した人参の判別装置の切断ユニット及び搬送ユニットの側面図である。
図3図2のIII-III線に沿って見た断面図である。
図4図1の木質化した人参の判別装置の切断ユニット近傍部分の側面図である。
図5図2のV-V線に沿って見た断面図である。
図6】本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法において切断されなかった人参の切断状態を説明する人参の頭部の平面図である。
図7】本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図1乃至図5を参照して、本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法に用いられる木質化した人参の判別装置を説明する。
図1は本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法に用いられる木質化した人参の判別装置の概略構成図であり、図2図1の木質化した人参の判別装置の切断ユニット及び搬送ユニットの側面図であり、図3図2のIII-III線に沿って見た断面図であり、図4図1の木質化した人参の判別装置の切断ユニット近傍部分の側面図であり、図5図2のV-V線に沿って見た断面図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による木質化した人参の判別装置1は、人参を貯留する水槽2と、人参を搬送する搬送ユニット4と、人参を切断する切断動作を行う切断ユニット6とを備えている。判別装置1は、人参の冷凍食品又はカット食品用の人参の食品加工処理システムの処理経路中に配置されている。
【0026】
水槽2は、水を貯留すると共に水中に多数の人参Aを貯留できるように形成されている。水槽2には、上流側コンベヤ8が接続される。水槽2には、上流側コンベヤ8から、前処理、例えば表面の汚れ落とし処理、二股形状の人参の二股解消処理、割れを有する人参の割れ除去処理等が施された人参Aが投入される。
【0027】
搬送ユニット4は、水槽2の水中から延びる桟付きコンベヤ10と、桟付きコンベヤ10に続く水平コンベヤ12と、水平コンベヤ12の両側方に並んで配置される搬送手段である一対の第1コンベヤ14と、第1コンベヤ14の側方に並んで配置される搬送手段である一対の第2コンベヤ16と、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16の下流側に延びる下流側コンベヤ17とを備えている。
【0028】
桟付きコンベヤ10は、整列ユニットであり、複数の人参Aを、水槽2から複数の人参Aの長手方向が概ね同一方向となるように整列させながら取り出すように横向きで形成される。桟付きコンベヤ10は、水槽2から水平コンベヤ12に向けて人参Aを搬送する。桟付きコンベヤ10の上流端は、水槽2中に配置され、水没している。桟付きコンベヤ10は水槽2中から斜め上方に上昇し、人参Aを大気中に引き上げて搬送する。桟付きコンベヤ10は、平面状のベルト表面から立ち上がる仕切壁10aを有している。仕切壁10aは薄板状に形成されている。多数の仕切壁10aは平行に配置される。桟付きコンベヤ10は、桟付きコンベヤ駆動モータ18により駆動される。桟付きコンベヤ10の搬送速度は、水平コンベヤ12の搬送速度と同じであり、これにより、人参Aを同じ速度の水平コンベヤ12に整列を維持したまま移動しやすくさせている。桟付きコンベヤ10の途中には、のれん(図示せず)が取付けられ、こののれんが人参Aが意図した量よりも多く搬送されることを抑制している。また、桟付きコンベヤ10の下流端には、水平コンベヤ12上まで延びる下流端のれん11が設けられている。下流端のれん11は、先端に重石を有し、人参Aが桟付きコンベヤ10から水平コンベヤ12に転がり出にくくし、人参Aの整列を乱しにくくしている。
【0029】
水平コンベヤ12は、桟付きコンベヤ10の下流端の下方からほぼ水平に延びている。水平コンベヤ12は、平ベルトを形成している。水平コンベヤ12の上面には山形の山形部13の凸凹表面が連続して形成されている。上面の山形部13は断面が三角形に形成されている。上面の山形部13は水平コンベヤ12のほぼ全面に形成され、山形部13の頂部は搬送方向F2に対して横向きに延びている。よって、水平コンベヤ12は、上面の山形部13間に人参Aを載せた状態で、人参Aの先端が搬送方向F2に対して横向きとなる横向きの姿勢で人参Aを搬送する。また、上面に山形部が形成されることにより、人参Aの整列を乱れにくくすることができる。水平コンベヤ12は、ゴム等の弾性部材又は樹脂等により形成されている。水平コンベヤ12は、水平コンベヤ駆動モータ20により駆動される。水平コンベヤ12の搬送速度及び後述する第1コンベヤ14の搬送速度はそれぞれ調整可能である。
【0030】
第1コンベヤ14は、水平コンベヤ12の搬送方向F2とほぼ平行な方向に延びる。第1コンベヤ14は、水平コンベヤ12の両側、人参Aの頭部a側及び先端側に配置される。第1コンベヤ14は、第1コンベヤ駆動モータ22により駆動され、人参Aを搬送方向F3に向けて搬送する。第1コンベヤ14は、搬送方向F3に関しては、ほぼ水平に延びている。第1コンベヤ14は、水平コンベヤ12の途中から切断ユニット6の下流側且つ分離ユニット38の下流側まで延びている。第1コンベヤ14は、平ベルトを形成し、概ね平坦な上面14bを形成している。図3に示すように、第1コンベヤ14の上端14aは水平コンベヤ12の上面とほぼ同じ高さに位置している。また、第1コンベヤ14の上端14aは水平コンベヤ12の上面の側部12aと比較的近い位置に配置される。第1コンベヤ14は、上面14bにより人参Aの胴部bを支持する。第1コンベヤ14の上面14bは、人参Aの姿勢を維持しやすくする姿勢維持部として凹凸部14c(図2参照)を備えている。凹凸部14cは第1コンベヤ14の上面14bに多数形成され、人参Aの滑りを抑制する。例えば、凹凸部14cは樹脂のベルトの表面加工により形成される。
【0031】
図3に示すように、第1コンベヤ14は、搬送方向F3に対する横方向において、第2コンベヤ16側に向けて下る下り傾斜に形成されている。第1コンベヤ14は、水平に対して好ましくは15度乃至45度の範囲内で傾斜され、より好ましくは30度で傾斜されている。第1コンベヤ14が傾斜され、人参Aの頭部aが第2コンベヤ16により支持されることにより、人参Aをより動きにくくさせることができる。
【0032】
変形例として、第1コンベヤ14の上方において第1コンベヤ14と対向する位置に押さえコンベヤを配置し人参Aの姿勢をより維持しやすくし安定させてもよい。この押さえコンベヤは、第1コンベヤ14上の少なくとも一部の人参Aを姿勢が変化しにくい程度の力で上方より抑えることができる。押さえコンベヤは切断時に人参Aを安定させるため少なくとも切断ユニット6の位置に配置される。
【0033】
図1に示すように、第2コンベヤ16は、第1コンベヤ14の搬送方向F3とほぼ平行な方向に延びる。第2コンベヤ16は、水平コンベヤ12の両側に配置される。第2コンベヤ16は、第2コンベヤ駆動モータ24により駆動され、人参Aを搬送方向F3に向けて搬送する。第2コンベヤ16は、搬送方向F3に関しては、ほぼ水平に延びている。第2コンベヤ16は、水平コンベヤ12の途中から切断ユニット6の下流側且つ分離ユニット38の下流側まで延びている。図3に示すように、第2コンベヤ16は、平ベルトを形成し、概ね平坦な上面16aを形成している。第2コンベヤ16は、上面16aにより人参Aの頭部aを支持する。第2コンベヤ16の上面16aは、第1コンベヤ14側に向けられている。第2コンベヤ16は、第1コンベヤ14の上面14bの延長線E(図3参照)より上方に配置されている。また、第2コンベヤ16の上面16aは、人参Aの姿勢を維持しやすくする姿勢維持部として凹凸部16bを備えている。凹凸部16bは第2コンベヤ16の上面16aに多数形成され、人参Aの滑りを抑制する。例えば、凹凸部16bは樹脂のベルトの表面加工により形成される。
【0034】
第2コンベヤ16は、搬送方向F3に対する横方向において、第1コンベヤ14側に向けて下る下り傾斜に形成されている。第2コンベヤ16は、第1コンベヤ14に対して約90度の角度を形成する。
【0035】
図1に示すように、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16の下流側に接続される下流側コンベヤ17は、人参Aをさらに下流側の処理装置に搬送する。
【0036】
次に、図1乃至図3を参照して、第1コンベヤ14と第2コンベヤ16との関係を説明する。
第1コンベヤ14と第2コンベヤ16とは所定間隔の隙間B(図3参照)をあけて平行に配置される。隙間Bは好ましくは10mm乃至40mmの範囲内であり、より好ましくは15mm乃至30mmの範囲内である。なお、隙間Bは不図示の調整機構により調整可能である。
【0037】
第1コンベヤ14の搬送方向F3は、第2コンベヤ16の搬送方向F3と同じである。また、第1コンベヤ14の搬送速度I1は、第2コンベヤ16の搬送速度I2と同じである(図2参照)。第1コンベヤ14を駆動する第1コンベヤ駆動モータ22と、第2コンベヤ16を駆動する第2コンベヤ駆動モータ24とが同じ回転速度で駆動される。第1コンベヤ14によって支持される人参Aの胴部bの搬送速度と、第2コンベヤ16によって支持される人参Aの頭部aの搬送速度とが同じとなり、人参Aの姿勢を維持した状態で人参Aを搬送できる。例えば、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16の搬送速度I1、I2、すなわち搬送するステップにおける人参Aの搬送速度は、好ましくは5m/min~15m/minの範囲内、より好ましくは10m/minに設定される。
【0038】
図1及び図3に示すように、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16は一組として配置され、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16の組が、水平コンベヤ12を中心とした対称な位置にそれぞれ一組ずつ配置されている。
【0039】
本実施形態においては、図3に示すように、切断ユニット6は、切断用のウォータージェットNを噴射する噴射ノズル26と、噴射ノズル26の位置及び方向を調整する調整機構28と、噴射ノズル26に高圧水を供給する高圧水供給経路30と、高圧水供給経路30に供給する高圧水を調整可能な水圧調整部32と、噴射ノズル26からの吐水開始及び終了を操作する制御部34とを備えている。
【0040】
噴射ノズル26は、調整部として、噴射ノズル26のオリフィス径(直径)を調整することにより、水流の径を調整可能である。噴射ノズル26は、高圧水供給経路30に接続されている。噴射ノズル26は、第2コンベヤ16の上方から、第2コンベヤ16の近傍且つ離間した位置を通り且つ第2コンベヤ16の上面16aに沿う向きのウォータージェットNを噴射する。噴射ノズル26は、第1コンベヤ14と第2コンベヤ16との間の隙間Bに向けてウォータージェットNを噴射する。なお、噴射ノズル26と対向する位置にウォータージェットNを受け且つ水を排出する水受け部27が設けられている。
【0041】
調整機構28は、調整部として噴射ノズル26の先端から人参Aの下端までの距離(縦方向位置)、横方向位置、及び角度を調整可能である。噴射ノズル26の先端から人参Aの下端(14b)までの距離は、好ましくは70mm~100mmの範囲内、より好ましくは80mm~90mmの範囲内の距離に設定される。
【0042】
噴射ノズル26及び調整機構28は、フレーム体36に固定されている。噴射ノズル26及び調整機構28は、人参Aの切断時に水平方向に移動するように構成されておらず、人参Aが噴射ノズル26に対して移動することにより人参Aが切断される。従って、切断ユニット6を比較的簡単に配置することができると共に、切断ユニット6の可動範囲に限られることなく、多数の人参Aを連続的に噴射ノズル26から噴射されるウォータージェットNにより切断することができる。
なお、変形例として、噴射ノズル26及び調整機構28は、人参Aの切断時に人参Aに対して移動可能なフレーム体に固定されていてもよい。この場合は、人参Aを静止させ安定させた状態でウォータージェットNにより切断することができる。
【0043】
水圧調整部32は、ウォータージェットNの水流を調整可能な調整部であり、高圧水供給経路30に接続されている。水圧調整部32は、噴射ノズル26に供給される水の圧力を調整及び設定することができる。よって、水圧調整部32は、水の圧力の設定を受け付けるようになっている。
【0044】
図3及び図4に示すように、制御部34は、噴射ノズル26からの噴射の開始及び終了を操作するように構成されている。制御部34は、例えば噴射ノズル26、水圧調整部32と電気的に接続されている。制御部34は、基板上に配置されたCPU及びメモリ等を備え、メモリ等に記憶された所定の制御プログラム、制御部34に設けられたスイッチ39から受信した指令信号等に基づいて、電気的に接続されている機器の制御を行うことができる。制御部34は、水圧調整部32と電気的に接続されていてもよい。ウォータージェットNの水流の設定は、水圧調整部32又は制御部34に設けられたスイッチ39等により行われる。
【0045】
次に、図6に示すように、木質化していない人参を切断でき且つ上記木質化した人参を切断できない水流について説明する。
図6は本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法において切断されなかった人参の切断状態を説明する人参の頭部の平面図である。
【0046】
切断ユニット6の噴射ノズル26により噴射されるウォータージェットNは、木質化していない人参を切断でき且つ木質化した人参を切断できない水流に設定されている。切断ユニット6はこのようなウォータージェットNの水流の設定を受け付ける。
木質化した人参を切断できない水流とは、人参のうちの木質化した部分が全く切断されない状態のみならず、木質化した部分のうち一部が切断されるも残りの部分が切断しきれず残る状態となる水流を含む。例えば、木質化した人参が木質化した人参を切断できない水流を上方から受けると、図6に示すように、木質化した部分D(点線により示す)のうち切断された一部分D1と、切断されていない残りの部分D2(仮想線により示される領域)とが生じる。木質化していない部分であり且つ切断された部分L1を一点鎖線により示す。また、切断されていない残りの部分D2の下方側の部分に、木質化していないが切断されなかった部分L2(仮想線により示される領域)が生じる。切断されていない残りの部分D2及び切断されなかった部分L2が存在する場合、人参Aの頭部aの茎葉側部分a1は人参Aの胴体側部分に接続したままとなる。
【0047】
木質化していない人参を切断できる水流とは、普通サイズの人参AがウォータージェットNを所定の搬送速度で通過したときに頭部aを切断できる水流である。普通サイズの人参Aとは、例えば人参のサイズのうち超特大、特大等のサイズ以外の平均的なサイズの人参である。本実施形態においては普通サイズの人参の大半が切断され、木質化した人参が切断されなければよいので、超特大サイズ、特大サイズの人参は切断できなくてもよい。すなわち、木質化した人参が判別されていれば、木質化した人参と判別された人参の中に木質化していない人参が含まれていてもよい。切断されなかった人参について人手により木質化の有無をチェックする更なる工程を設けるとしても、ほとんどの木質化した人参が自動的に判別されることにより、全ての人参の木質化をチェックすることに比べて遥かに効率的に木質化した人参を判別することができる。
【0048】
このような水流を実現するため、噴射ノズル26のオリフィス径及び噴射ノズルに供給される水の圧力を調整することにより、ウォータージェットNの吐水流量を調整可能である。ウォータージェットNの吐水流量Xは、オリフィス径Yの二乗の値に、水の圧力Zの平方根の値を乗じて得られた値に比例して求められ、次のような数式で示される。ここでRは定数を示す。
主にウォータージェットNの吐水流量と人参Aの搬送速度とにより木質化した人参を切断できない水流が設定可能である。さらに、噴射ノズル26の先端から人参Aの下端(上面14b)までの距離等を調整することにより木質化した人参を切断できない水流が設定されてもよい。
例えば、上述のような数式の関係に基づけば、圧力200Mpa、且つオリフィス径0.004Inch(0.1016mm)のときの吐出流量は0.21L/minである。圧力200Mpa、且つオリフィス径0.006Inch(0.1524mm)のときの吐出流量は0.48L/minである。圧力200Mpa、且つオリフィス径0.009Inch(0.2286mm)のときの吐出流量は1.08L/minである。圧力300Mpa、且つオリフィス径0.009Inch(0.2286mm)のときの吐出流量は1.33L/minである。
オリフィス径Yは、好ましくは約0.10mm~約0.22mmの範囲内、より好ましくは約0.15mmに設定される。圧力Zは、好ましくは50Mpa~414Mpaの範囲内、より好ましくは100Mpa~300Mpaの範囲内に設定される。
例えば、上述のような人参の搬送速度、オリフィス径Y及び圧力Zに対し、ウォータージェットNの水流は、好ましくは0.2L/min~1.5L/minの範囲内、より好ましくは0.2L/min~1.0L/minの範囲内の吐水流量に設定される。
また例えば、噴射ノズル26の先端から人参Aの下端までの距離等を離すように調整することにより、人参Aの下端側の水流の切断能力を弱め、木質化した人参を切断しきらないような水流の設定がなされてもよい。
【0049】
次に、図1及び図5に示すように、判別装置1は、さらに、切断ユニット6の下流側に分離ユニット38を備えている。分離ユニット38は、空気を供給する空気供給装置40と、空気を高速で噴出するエアノズルである吹出ノズル42とを備えている。空気供給装置40は、高圧の空気を吹出ノズル42に供給する。吹出ノズル42は、人参Aの頭部aの茎葉側部分a1に向けて配置される。茎葉側部分a1は、図5において仮想線により示すウォータージェットNの切断位置Mよりも茎葉側の部分である。吹出ノズル42は、茎葉側部分a1に空気の力を作用させる作用部を構成している。表面張力等により切断されても胴体側に付着している茎葉側部分a1は空気の作用により下方に落下し、排出コンベヤ44により排出される。
【0050】
次に、図7により、本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法について説明する。図7は、本発明の一実施形態による切断用のウォータージェットにより切断されなかった人参を木質化した人参と判別するための方法の内容を示すフローチャートである。図7において、Sは各ステップを示している。
【0051】
図7に示すように、最初に、S1において、水槽2内に判別しようとする人参Aを準備する。複数の人参Aが水槽2の水中に貯留された状態となる(図1参照)。
【0052】
次に、S2において、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16による人参Aの搬送速度を設定する。第1コンベヤ駆動モータ22及び第2コンベヤ駆動モータ24がこの搬送速度の設定を受け付ける。また、桟付きコンベヤ10及び水平コンベヤ12における人参Aの搬送速度を設定する。桟付きコンベヤ駆動モータ18及び水平コンベヤ駆動モータ20がこの搬送速度の設定を受け付ける。これらのコンベヤは搬送速度の設定を受け付けている。
【0053】
次に、S3において、切断ユニット6において噴射されるウォータージェットNを、木質化していない人参を切断でき且つ木質化した人参を切断できない水流とする設定を切断ユニット6が受け付ける。S1乃至S3のステップの順は変更可能である。
【0054】
次に、S4に進み、図1に示すように、桟付きコンベヤ駆動モータ18が桟付きコンベヤ10を駆動させ、桟付きコンベヤ10により水槽2から複数の人参Aの長手方向が同一方向となるように複数の人参Aを整列させながら取り出す。同一方向は、仕切壁10aの延びる方向であり、桟付きコンベヤ10の搬送方向F1に対して横向きの方向G1である。人参Aは横向きであればその先端が右に向いても左に向いてもよい。多数の人参Aが桟付きコンベヤ10上で横向きに整列した状態で搬送方向F1に搬送される。人参Aは、桟付きコンベヤ10の下流端から水平コンベヤ12上に移る。
【0055】
次に、S5に進み、図1に示すように、水平コンベヤ12が人参Aを横向きに整列した状態で搬送方向F2に向けて搬送する。作業者Hは、人参Aの頭部aを比較的簡単に識別でき、矢印Cに示すように、自身の方に頭部aが向いている人参Aを頭部a側に引き下ろし、人参Aを水平コンベヤ12から第1コンベヤ14に比較的簡単に且つ効率的に移すことができる。
なお、人参Aの頭部a側を重量センサ等の検出値により制御部が判定し、人参Aが制御部の指令を受けた移送機構により水平コンベヤ12から第1コンベヤ14に移されるようにしてもよい。
【0056】
次に、S6に進み、図1に示すように、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16により、人参Aを噴射ノズル26の噴射方向上に搬送する。人参Aは搬送方向F3に向けて搬送される。人参Aの胴部bが第1コンベヤ14により支持され、人参Aの頭部aが第2コンベヤ16により支持されている。この人参Aを搬送するステップは、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16により、人参Aの頭部aを一方側の第2コンベヤ16側に向けると共に複数の人参Aを横向き姿勢で並べた状態で搬送する。また、この人参Aを搬送するステップは、人参Aの姿勢を保ちながら人参Aを搬送する。
【0057】
人参Aを搬送中において、第1コンベヤ14の凹凸部14c及び第2コンベヤ16の凹凸部16bにより人参Aの姿勢が維持されやすく、倒れることなく安定している。また、第1コンベヤ14の搬送速度I1は、第2コンベヤ16の搬送速度I2と同じであるので、人参Aの姿勢が維持されやすく安定している。人参Aが横向き姿勢で近接又は近くに並べられた状態においては人参A同士が支え合うようにして人参Aの姿勢が維持されることもできる。
【0058】
次に、S7に進み、図3に示すように、切断ユニット6が、ウォータージェットNにより人参Aの切断動作を行う。多数の人参AがウォータージェットNの形成される位置を通過しながらウォータージェットNにより連続して切断される。人参AがウォータージェットNの形成される位置を通過すると、ウォータージェットNの水流により、木質化していない人参は切断された人参A1となり、木質化した人参は切断されなかった人参A2となる(図1参照)。
【0059】
次に、S8に進み、図1に示すように、第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16により切断されなかった人参A2を切断された人参A1と並んだままウォータージェットNの位置より下流側に搬送する下流側搬送ステップが実行される。
【0060】
次に、S9に進み、図5に示すように、下流側搬送ステップの実行中において、人参A1の頭部aの茎葉側部分a1が依然として頭部aの胴側部分a2から分離されていない場合に、吹出ノズル42により、茎葉側部分a1に空気Jの力を作用させ、切断された人参A1の茎葉側部分a1を分離させる。分離された茎葉側部分a1は、隙間Bから落下され排出コンベヤ44により排出される。切断されなかった人参A2については、吹出ノズル42により、茎葉側部分a1に空気が噴射されたとしても茎葉側部分a1は分離されず胴体側と接続されたままとなる。よって、分離ユニット38により切断された人参A1と切断されなかった人参A2とが、後述する判別するステップにおいてより確実に判別されることができる。
【0061】
次に、S10に進み、図1に示すように、木質化した人参か否かの判別がなされる。分離ユニット38の下流側において、ウォータージェットNにより切断されなかった人参A2は茎葉側部分a1が付いたままであり、木質化した人参と判別される。作業者Kによる目視により人参A2が木質化した人参と判別される。変形例として判別装置により人参A2が木質化した人参と判別されてもよい。S9の分離ユニット38により茎葉側部分a1を分離するステップを、茎葉側部分a1を分離できない人参Aを木質化した人参と判別するステップとして、上記判別するステップに含めてもよい。
S10において切断された人参A1が木質化した人参でないと判別される場合、S11に進む。
S10において切断されなかった人参A2が木質化した人参であると判別される場合、S12に進む。
【0062】
S11においては、図1に示すように、下流側コンベヤ17により判別後の切断された人参A1がさらに下流側の処理装置に搬送される。S11を実行した後一連の判別処理が終了する。
【0063】
S12においては、切断されなかった人参A2が下流側コンベヤ17又は第1コンベヤ14から選別箱19に取り除かれる(選別される)。切断されなかった人参A2を取り除くステップは、さらに下流側の処理を行って以後に実行されてもよい。S12を実行した後一連の判定処理が終了する。
【0064】
上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、切断ユニット6において噴射されるウォータージェットNの水流により、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。これにより、ウォータージェットNにより切断されなかった人参A2を木質化した人参と判別することができる。
さらに、ウォータージェットNの水流により切断及び判定を行うので、多量の人参Aを連続して切断及び判定することができる。
さらに、ウォータージェットNの水流により切断及び判定を行うので、水流を一定に保つことが比較的容易であり、多数の人参Aの切断後にも金属刃のように切断力が低下することがなく、判定の信頼性が低下せず一定に保たれることができる。
【0065】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、切断ユニット6の噴射ノズル26の噴射方向上に人参Aを搬送するので、切断ユニット6の噴射ノズル26を固定して比較的簡単に配置することができると共に、切断ユニット6の可動範囲に限られることなく多数の人参Aを連続的に噴射ノズル26の噴射方向上に搬送できる。
【0066】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、人参Aの搬送速度I1、I2を5m/min~15m/minの範囲内に設定し、ウォータージェットNの水流を、0.2L/min~1.5L/minの範囲の流量に設定することにより、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。
【0067】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、人参Aの頭部aを一方側に向けると共に複数の人参Aを並べた状態で噴射ノズル26の噴射方向上に搬送するので、ウォータージェットNにより複数の人参Aの例えば頭部aを連続して切断することができる。これにより、効率的に複数の人参AをウォータージェットNにより切断し、切断されなかった人参A2を木質化した人参と判別することができる。
【0068】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、ウォータージェットNによる切断作業を中断させることなく、後続の人参Aを連続して切断することができる。さらに、ウォータージェットNの位置より下流側に、切断された人参A1と切断されなかった人参A2が並んだ状態のまま搬送されるため、容易に切断されていない人参を判別することができる。
【0069】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、分離させるステップにより切断された人参A1の頭部aの茎葉側部分が分離され、切断された人参A1と切断されなかった人参A2とが比較的簡単に判別されることができる。また、切断された人参A1の頭部aの茎葉側部分を分離し、下流側に茎葉側部分を人手により取り出して排出する手間を減らすことができる。
【0070】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、上記搬送するステップの前に、整列ユニットにより複数の人参Aの長手方向が同一方向となるように複数の人参Aを整列させるので、人参Aの頭部aを一方側に向けると共に複数の人参Aを並べた状態にしやすくすることができる。よって、人参Aを搬送するステップをより効率的に実行することができる。
【0071】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、整列された状態の人参Aを、比較的簡単な作業により、その人参Aの頭部a側に設けられた第1コンベヤ14及び第2コンベヤ16に移すことができ、人参Aの頭部aを一方側に向けると共に複数の人参Aを並べた状態にしやすくすることができる。よって、人参Aを搬送するステップをより効率的に実行することができる。
【0072】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、人参Aの姿勢を保ちながら人参Aを搬送するので、ウォータージェットNにより複数の人参Aの同様の部分、例えば頭部aを連続して安定して切断することができ、ウォータージェットNの切断による食品ロスを低減させると共にウォータージェットNにより切断されなかった人参A2と木質化した人参とをより確実に判別することができる。
【0073】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、切断ユニット6において噴射されるウォータージェットNの水流により、木質化していない人参が切断され、木質化した人参は切断されないようにすることができる。これにより、ウォータージェットNにより切断されなかった人参A2を木質化した人参と判別することができる。
【0074】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、搬送ユニット4により噴射ノズル26の噴射方向上に人参Aが搬送されるので、切断ユニット6の噴射ノズル26を固定して比較的簡単に配置することができると共に、切断ユニット6の可動範囲に限られることなく、多数の人参Aを連続的に噴射ノズル26の噴射方向上に搬送できる。
【0075】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、第1コンベヤ14によって人参Aの胴部が支持され、第2コンベヤ16によって人参Aの頭部aが支持される。よって、人参Aの姿勢を維持した状態で人参Aを搬送しやすくできる。
【0076】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、第1コンベヤ14と第2コンベヤ16とは隙間Bをあけて平行に配置され、第1コンベヤ14によって人参Aの胴部が支持され、第2コンベヤ16によって人参Aの頭部aが支持される場合であっても、第1コンベヤ14の搬送速度は、上記第2コンベヤ16の搬送速度と同じであるので、人参Aの胴部と頭部aとの相対的な位置関係が変わらず、人参Aの姿勢を維持した状態で人参Aを搬送しやすくできる。
【0077】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、切断ユニット6の噴射ノズル26は、人参Aの胴部を支持する第1コンベヤ14と人参Aの頭部aを支持する第2コンベヤ16との間の隙間Bに向けてウォータージェットNを噴射するので、人参Aの姿勢を維持した状態で人参Aを搬送すると共に人参Aの頭部aを切断できる。
【0078】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、ウォータージェットNが、人参Aの頭部aを支持する第2コンベヤ16の近傍且つ離間した位置を通り且つ第2コンベヤ16に沿う向きに噴射される。これにより、人参Aの頭部aを第2コンベヤ16に沿って切断することができる。よって、人参Aの切断部分のロスを低減すると共に木質化した人参の判別を行うことができる。
【0079】
また、上述した本発明の一実施形態による木質化した人参を判別する方法によれば、切断ユニット6により木質化していない人参が切断されたとき、表面張力等により茎葉側部分a1が胴体側に付着している場合に、吹出ノズル42が茎葉側部分a1に空気を噴射することにより、茎葉側部分a1を分離させ、落下させることができる。よって、ウォータージェットNにより切断されなかった人参A2を比較的簡単に判別し、木質化した人参を比較的簡単に判別することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 :判別装置
4 :搬送ユニット
6 :切断ユニット
14 :第1コンベヤ
16 :第2コンベヤ
26 :噴射ノズル
A :人参
A1 :人参
A2 :人参
B :隙間
C :矢印
D :部分
E :延長線
F1 :搬送方向
F2 :搬送方向
F3 :搬送方向
G1 :方向
H :作業者
I1 :搬送速度
I2 :搬送速度
J :空気
K :作業者
L :切断されなかった部分
M :切断位置
N :ウォータージェット
a :頭部
a1 :茎葉側部分
a2 :胴側部分
b :胴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7