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特許7271433免疫賦活薬、免疫療法用医薬組成物、ならびにその調製および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】免疫賦活薬、免疫療法用医薬組成物、ならびにその調製および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/39 20060101AFI20230501BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 39/09 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230501BHJP
   A61K 9/08 20060101ALN20230501BHJP
   A61K 38/21 20060101ALN20230501BHJP
   A61K 38/19 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
A61K39/39
A61K39/00 H
A61K39/12
A61K39/02
A61K39/00 K
A61K39/09
A61P37/04
A61P43/00 121
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61P35/00
A61P31/16
A61P31/18
A61P31/22
A61P31/20
A61K9/08
A61K38/21
A61K38/19
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019550155
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 CN2018073916
(87)【国際公開番号】W WO2018166298
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】201710021679.6
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810035029.1
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516022770
【氏名又は名称】フダン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ,ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イウェイ
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525523(JP,A)
【文献】特表2008-539249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0324952(US,A1)
【文献】特表2004-507231(JP,A)
【文献】特表2003-510290(JP,A)
【文献】特表2009-542714(JP,A)
【文献】特表2000-502995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/19
A61K 38/21
A61K 39/00
A61P 31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも抗原、ならびに少なくとも、組換え型インターフェロンと顆粒球マクロファージコロニー刺激因子とを含む免疫賦活薬を含む免疫療法用医薬組成物であって、
組換え型インターフェロンの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比が、(約0.5×10 IU~約5×10 IU)対(約5μg~約50μg)であり、ここで組換え型インターフェロンがインターフェロンアルファ-2bである、前記免疫療法用医薬組成物。
【請求項2】
抗原が組換え型タンパク質抗原を含む、請求項1に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項3】
ンターフェロンアルファ-2bの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比が、(約0.5×10 IU~約1.5×10 IU)対(約5μg~約20μg)である、請求項1または2に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項4】
ンターフェロンアルファ-2bの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比が、約1×10 IU対約10μgである、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項5】
組換え型タンパク質抗原が、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つである、請求項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項6】
ウイルス性抗原が、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス抗原、インフルエンザ抗原、およびRSV抗原の少なくとも1種である、請求項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項7】
組換え型タンパク質抗原が、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である、請求項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項8】
組換え型タンパク質抗原が遺伝子改変組換え抗原である、請求項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項9】
抗原が、B型肝炎抗原、または配列番号10に示されるHBV PreSタンパク質または配列番号12に示されるHBV PreS1タンパク質であり、免疫療法用医薬組成物によって、免疫寛容を崩し、抗HBsAbを生じさせながら、感染した肝細胞、HBeAg、およびHBsAgを除去することができる、請求項1に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項10】
薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の免疫療法用医薬組成物を調製する方法であって、抗原と、組換え型インターフェロンと、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と、薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤とを、無菌条件下で混合して、免疫療法用医薬組成物を生成するステップを含み、ここで組換え型インターフェロンがインターフェロンアルファ-2bである、方法。
【請求項12】
1)単球産生を促進するステップと、
2)単球CCR2の発現を促進するステップと、
3)Ly6ChiCCR2+単球の、表現型がCD11b+CD11c+であるDCへの分化を促進するステップと、
4)対象の細胞性免疫およびCTL細胞溶解機能を向上させるステップと、
5)対象の液性免疫および1種または数種の防御抗体の産生を促進するステップ
における使用のための請求項1~10のいずれか一項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項13】
ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生生物感染症、および腫瘍のうちの1つまたは複数を予防または処置における使用のための請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項14】
ウイルス感染症が、ヒト肝炎ウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、ヒト免疫不全ウイルス感染症、メルケル細胞ウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症、およびRSウイルス感染症のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項15】
ウイルス感染症が慢性B型肝炎である、請求項13に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項16】
抗原が、B型肝炎抗原、または配列番号10に示されるHBV PreSタンパク質または配列番号12に示されるHBV PreS1タンパク質であり、免疫療法用医薬組成物によって、免疫寛容を崩し、抗HBsAbを生じさせながら、感染した肝細胞、HBeAg、およびHBsAgを除去することができる、請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項17】
抗原が腫瘍抗原であり、免疫療法用医薬組成物によって、抗腫瘍免疫応答が誘発される、請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項18】
腫瘍抗原が、前立腺がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、乳がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、結腸直腸がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、子宮頚がんポリペプチドまたはエピトープペプチド、肝臓がんポリペプチドまたはエピトープペプチド、多発性骨髄腫ポリペプチドまたはエピトープペプチド、および腎細胞癌ポリペプチドまたはエピトープペプチドのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項19】
抗原が、連鎖球菌抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗細菌感染を生じる免疫応答が誘発される、請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項20】
連鎖球菌抗原が、修飾されたA型連鎖球菌エピトープペプチドである、請求項19に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項21】
抗原が、HIV抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗HIV感染を生じる免疫応答が誘発される、請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項22】
HIV抗原がHIVエピトープペプチドである、請求項21に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項23】
抗原が、メルケル細胞ウイルス抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗メルケル細胞ウイルス感染を生じる免疫応答が誘発される、請求項12に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項24】
メルケル細胞ウイルス抗原が、メルケル細胞ポリペプチドの1つである、請求項23に記載の使用のための免疫療法用医薬組成物。
【請求項25】
安全かつ治療に有効な量の免疫療法用医薬組成物の、免疫化する対象への投与における使用のための、請求項1224のいずれか一項に記載の免疫療法用医薬組成物。
【請求項26】
対象が哺乳動物である、請求項25に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本出願は、「An Immunotherapeutic Pharmaceutical Composition and Its Uses」という表題の、中国特許庁に2017年3月13日に出願された中国出願第201710021679.6号の優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本出願に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、生物医学の分野、特に、免疫賦活薬、免疫療法用医薬組成物、ならびにその調製および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
栄養学的状況と共に、健康状態および医療レベルは著しく向上し、平均余命は着実に延びた。しかし、B型肝炎、AIDS、結核などの主な感染性疾患、ならびに他の病原性微生物によって引き起こされる持続性の感染性疾患および腫瘍は、公衆衛生を脅かす主要な問題になってきている。B型肝炎、AIDSおよびHPV、結核は、世界中で主要な感染性疾患となっている。2008年の中国衛生部(Ministry of Health of China)による統計報告によれば、中国ではB型肝炎ウイルスの感染者が9300万人となり、世界的に全体の3分の1を占めた。こうした患者の一部には、有効な臨床処置が必要であったが、それが不足していた。中国におけるAIDS死亡者数は、急激な増加を示し、4年連続で感染性疾患死第1位の座にあった。HIV感染は、高リスク集団から一般集団へと拡大する傾向を示している。結核処置における多剤耐性および広範な薬剤耐性は、より深刻な問題となってきている。結核の耐性率は、中国では28%にまで上っている。HPV感染は、2000年以来HPVワクチンが利用可能であるという事実にもかかわらず、その他の深刻な公衆衛生問題となっている。加えて、患者において再発性の発作を引き起こすだけでなく、耐性株の根源ともなる、慢性尿路感染症、肺感染症などの、多くの抗療性慢性細菌感染症が存在する。
【0004】
National Cancer Statistics Centerのデータによれば、米国では、がん死亡件数が50万件を超えており、これは、2014年における2番目に多い死亡に相当し、中国では2009年において657万件であり、これは、この年の全死亡件数の26%に相当していた。がんの発生率は、より若い世代において有意に増加した。中国における肝臓がんの発生率は、27/100000であり、このうち90%は、B型肝炎ウイルスによる持続性感染症に関連する。
【0005】
したがって、持続性感染症および腫瘍のために、経済的および社会的負荷は劇的に増大しており、公衆衛生上の重大な脅威となっている。
【0006】
中でも、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症は、公衆衛生をひどく脅かすかなり重篤な感染性疾患である。世界中の約20億人がHBVに感染しており、その中で、約2億4000万人が慢性に感染しており、毎年約65万人が、HBV感染による肝不全、肝硬変、および肝臓がんで死亡している。中国では、約9300万人がHBVに慢性感染しており、その中で、約2000万人が、慢性B型肝炎(CHB)患者である。HBV複製の持続可能かつ有効な阻害、およびB型肝炎e抗原(HBeAg)に対する血清転換は、CHBの臨床処置の申し分のない終点になると考えられている。
【0007】
B型肝炎の臨床処置の際、B型肝炎抗原(HBsAg)消失およびHBsAg血清転換は、臨床的治癒(clinical cure)であると考えられる。したがって、CHB患者において、HBsAgに対する血清転換によって臨床的治癒を実現することは、CHBを処置する手法の目標である。しかし、HBsAg血清転換離率は、本来、毎年1~2%である。二重盲検無作為化対照臨床コホート研究において、HBsAg消失は、テノホビルジピボキシル(tenofovir dipivoxil)で1年間処置されたHBeAg陽性CHB患者のうち3%のみで実現された。別の無作為化対照臨床研究では、順次PEG化インターフェロンアルファと共にエンテカビルで3~4年間処置されたHBeAg陽性CHB患者のうち8.5%でHBsAg消失が実現された。処置終了後3年の時点で追跡調査した、HBeAg陰性CHB患者についてのPEG化インターフェロンアルファの1年間の別の無作為化対照試験では、患者の8.7%のHBsAgが一掃されていたことがわかった。これらのデータから、CHB患者におけるHBsAgのクリアランスは、依然として最も難しい課題であることが示された。したがって、B型肝炎慢性感染症に対抗する新たな薬物および処置を開発することにより、HBVを治癒させること(WHOから命じられている)が差し迫って求められている。
【0008】
B型肝炎を現在治癒させることのできない主たる理由は、患者におけるHBV特異的な細胞性免疫機能の喪失または不全によって引き起こされる、CHB患者における免疫寛容である。B型肝炎治療用ワクチンは、B型肝炎処置の新たな手法であり、HBV感染患者の免疫寛容を崩して、HBVに対する中和抗体および細胞性応答を生じるように患者を再構築または刺激することを狙うものである。現在、DNAを主体とするワクチン、DCを主体とするワクチン、遺伝子改変タンパク質を主体とするワクチン、および抗原-抗体複合体が、その効力を評価するための臨床研究中である。上記治療用ワクチンに、いくつかの予見できる問題があることは、注目に値する。たとえば、DNAワクチンには、不十分な免疫原性が関連付けられる。DCワクチンの調製には、患者の内部に戻される、in vitroで積載がなされた抗原が必要となるため、品質管理の問題および高いコストに加えて、技術的困難がある。既存の臨床結果を根拠として、組換えタンパク質ワクチンには、宿主の細胞性応答を刺激する能力が低いことが関連付けられた。これらの短所はすべて、臨床利益を得るためにCHB処置に必要となる免疫寛容を崩すことを損ないかねないものである。
【0009】
したがって、持続性の微生物感染症に対してだけでなく、腫瘍に対しても、免疫寛容を崩し、疾患を効率よく処置することのできる免疫療法用ワクチンを開発することが差し迫って求められている。
【0010】
伝統的なワクチンとは、弱毒化、不活化された病原性生物(細菌、ウイルスなど)または遺伝子改変抗原成分によって調製された生物学的製品を指す。現代的なワクチンは、遺伝子改変抗原成分との関係がより深い。ワクチン接種によって、感染性病原体の拡散から個体が防御されるだけでなく、集団における感染性病原体の拡散も制限される。ワクチン接種の機序は、宿主免疫系を活性化することで、最終的に、長期の予防が実現されるように、対応する病原体に応じて特定の免疫記憶が生成されて、同じ病原体に遭遇したなら速やかに病原体が一掃されるというものである。治療用ワクチンは、予防用ワクチンと同じ長期間の効力を有する。健康なヒト対象において使用される予防用ワクチンとは異なり、治療用ワクチンは、宿主免疫系を再活性化または修復することにより、すでに感染し、患者の組織に隠れている病原体をターゲットとして、疾患を処置する。現在、治療用ワクチンに関する研究は、主として、持続性感染性疾患などの、有効な処置のない主要な慢性疾患、ならびに悪性腫瘍に集中している。上で論じたとおり、こうした疾患は、中国において膨大な患者人口を抱える。こうした慢性疾患および悪性腫瘍に対抗する治療用ワクチンの開発を進歩させることで、往々にして低分子薬物と関連付けられる有害作用を解決できるだけでなく、少ない副作用、長い効力、および良好な特異性といった意義を手にすることもできる。
【発明の概要】
【0011】
治療用ワクチン開発には、多くの場合、強力なアジュバントが必要であるため、治療用ワクチンは、アジュバントの役割とますます切り離せなくなってきている。特に、組換えタンパク質抗原を主体とする治療用ワクチンには、所望の免疫療法的効力を得るために、アジュバントが必要である。アジュバントは、免疫寛容を崩し、その防御持続期間を延ばし、特定の種類の免疫応答を誘導することにより、治療用ワクチンを補佐して、病原体に対する適応免疫応答を増強しうる薬剤である。しかし、この目的のためのアジュバントの使用または開発には、多くの難題が立ちはだかる。難題の一部として、アジュバントの副作用、アジュバントの有効性、およびアジュバントの用量に関して、抗原に対する免疫応答をどのように有効に増大させるかの問題が挙げられる。すなわち、難題の1つは、所望の有効性を実現する「正しい」アジュバントをどのように選択するかである。
【0012】
現況技術の短所を考慮して、本発明は、免疫賦活薬および免疫療法用医薬組成物を提供し、免疫療法用医薬組成物の調製方法ならびに免疫賦活薬および関連した免疫療法薬の使用を開示する。本発明の詳細な技術的解決策は、以下のとおりに列記される。
【0013】
一態様では、本発明は、少なくとも組換え型インターフェロン(rIFN-α)と組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rGM-CSF)とを含む免疫賦活薬を提供する。
【0014】
上で言及した免疫賦活薬において、rIFN-αの重量による含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.1×10IU~5×10IU):(1μg~200μg)の範囲にあることが好ましい。
【0015】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.5×10IU~1×10IU):(5μg~150μg)の範囲にあることがより好ましい。
【0016】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.5×10IU~5×10IU):(5μg~50μg)の範囲にあることがより好ましい。
【0017】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり1×10IU:10μgの範囲にあることが最も好ましい。
【0018】
好ましい一実施形態では、上で言及した免疫賦活薬中のrGM-CSFの含有量は、1用量あたり約1μg~約100μgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約5μg~約50μgの範囲内、より好ましくは、1用量あたり約5μg~約20μgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約10μgである。
【0019】
別の好ましい実施形態では、上で言及した免疫賦活薬中のrIFN-αの含有量は、1用量あたり1×10IU~9×10IUの範囲内、好ましくは、1用量あたり5×10IU~5×10IUの範囲内、より好ましくは、1用量あたり8×10IU~2×10IUの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約0.5×10IU~1×10IUの範囲内、たとえば、1×10IUである。
【0020】
別の好ましい実施形態では、上で言及した免疫賦活薬は、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウムアジュバントをさらに含む場合がある。
【0021】
一例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.5mg~約10mgの範囲、好ましくは、1用量あたり約1mg~約3mgの範囲、より好ましくは、1用量あたり約1.25mg~約2.5mgの範囲にある。別の例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.1mg~約3mgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約0.8mg~約2mgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約1.25mgである。さらに別の例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.01mg~約3mgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約0.05mg~約2mgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約0.1mg~約0.5mgの範囲内、たとえば、1用量あたり約0.125mgである。
【0022】
一例として、アルミニウムアジュバントのrGM-CSFに対する重量比は、1用量あたり(約0.01mg~約1mg):(約1μg~約200μg)の範囲、好ましくは、1用量あたり(約0.05mg~約0.5mg):(約5μg~約150μg)の範囲にあり、比が、1用量あたり(約0.1mg~約0.25mg):(約5μg~約50μg)の範囲にあることがより好ましく、重量比が、1用量あたり約0.125mg:約10μgであることが最も好ましい。別の例として、アルミニウムアジュバントのrGM-CSFに対する重量比は、1用量あたり(約0.1mg~約10mg):(約1μg~約300μg)の範囲、好ましくは、1用量あたり(約0.5mg~約5mg):(約2μg~約200μg)の範囲にあり、重量比が、1用量あたり(約1.5mg~約3mg):(約5μg~約100μg)の範囲にあることがより好ましく、重量比が、1用量あたり(約1mg~約2mg):(約10μg~約75μg)の範囲にあることが最も好ましい。
【0023】
上で言及したインターフェロンは、インターフェロンアルファ(IFN-α)であることが好ましい。
【0024】
上で言及したインターフェロンは、rIFN-α-2aであることがより好ましい。
【0025】
別の態様では、本発明は、少なくとも、抗原と、上で言及した免疫賦活薬とを含む、免疫療法医薬組成物を提供する。
【0026】
一実施形態では、免疫療法医薬組成物中のrIFN-αは、インターフェロンアルファ-2aである。
【0027】
別の実施形態では、免疫療法医薬組成物中の抗原は、タンパク質抗原を含む。
【0028】
タンパク質抗原は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物性抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0029】
上で言及したウイルス性抗原は、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス、インフルエンザウイルス抗原、およびRSV抗原のうちの少なくとも1つを含むことがより好ましい。
【0030】
別の実施形態では、上で言及したタンパク質抗原は、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である。
【0031】
別の実施形態では、タンパク質抗原は、遺伝子改変ワクチン抗原である。
【0032】
一実施形態では、上で言及した免疫療法用医薬組成物は、薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤の少なくとも1種をさらに含む。
【0033】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(約0.5×10IU~約1.5×10IU):(約5μg~約20μg)の範囲にあり、比が、1用量あたり約1×10IU:約10μgであることが好ましい。
【0034】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、rGM-CSFの含有量は、1用量あたり約1μg~約200μg、好ましくは、1用量あたり約5μg~約50μg、より好ましくは、1用量あたり約5μg~約20μgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約10μgである。
【0035】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、rIFN-αの含有量は、1用量あたり約1×10IU~約9×10IU、好ましくは、1用量あたり約5×10IU~約1×10IU、より好ましくは、1用量あたり約8×10IU~約5×10IU、最も好ましくは、1用量あたり約1×10~約2×10IUの範囲内、たとえば、約1×10IUである。
【0036】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、抗原のrGM-CSFに対する含有量比は、1用量あたり(約0.1μg~約10μg):(約1μg~約100μg)、好ましくは、1用量あたり(約0.5μg~約5μg):(約5μg~約50μg)、より好ましくは、1用量あたり(約1μg~約5μg):(約5μg~約25μg)の範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約1μg:約10μgである。
【0037】
別の態様では、本発明は、免疫療法用医薬組成物を調製する方法であって、抗原をrIFN-αおよびrGM-CSFと混合して混合物とするステップと、次いで、混合物に、薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤の少なくとも1種を加え、それによって、上で言及した免疫療法用医薬組成物を生成するステップとを含む方法を提供する。
【0038】
一実施形態では、rGM-CSF、rIFN-α、および抗原は、4~10℃、好ましくは4℃で混合される。
【0039】
別の態様では、本発明は、安全かつ有効な量の上で言及した免疫賦活薬を、免疫化する対象に、抗原の投与または抗原と免疫賦活薬の同時投与前に投与することを含む、上で言及した免疫賦活薬の使用を提供する。
【0040】
上記投与は、少なくとも粘膜投与または注射投与、より好ましくは、局所注射投与を含むことが好ましい。
【0041】
上述したような免疫化する対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含めた哺乳動物であることが好ましい。非ヒト哺乳動物には、げっ歯動物などのげっ歯類、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、およびウシが含まれる。
【0042】
別の態様では、本発明は、免疫療法薬の調製における免疫療法用医薬組成物の使用であって、
(1)単球産生を促進するステップと、
(2)単球CCR2の発現を促進するステップと、
(3)Ly6ChiCCR2単球の、表現型がCD11bCD11cDCであるDCへの分化を促進するステップと、
(4)対象の細胞性免疫およびCTL細胞溶解機能を向上させるステップと、
(5)対象の液性免疫および1種または数種の防御抗体の産生を促進するステップと
を含む使用を提供する。
【0043】
上で言及した使用は、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生生物感染症、および/または腫瘍のうちの1つまたは複数の、予防または処置を含むことが好ましい。
【0044】
上で言及したウイルス感染症には、HBV感染症、ヘルペスウイルス感染症、HPV感染症、HIV感染症、メルケル細胞ウイルス(たとえば、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCVまたはMCPyV))関連感染症、インフルエンザウイルス感染症、およびRSV感染症のうちの1つまたは複数が含まれることがより好ましい。
【0045】
好ましい一実施形態では、ウイルス感染症は、慢性B型肝炎である。
【0046】
好ましい別の実施形態では、抗原が肝炎表面抗原であるとき、免疫療法用医薬組成物によって、免疫寛容を崩し、感染した肝細胞を除去し、HBeAgとHBsAgの両方を一掃し、抗HBsAbを産生させることができる。
【0047】
好ましい別の実施形態では、抗原が肝炎表面抗原を有するpreS1であるとき、免疫療法用医薬組成物によって、免疫寛容を崩し、感染した肝細胞を除去し、HBeAgとHBsAgの両方を一掃し、抗HBsAbを産生させることができる。
【0048】
好ましい別の実施形態では、抗原が腫瘍抗原であるとき、免疫療法用医薬組成物によって、有効な抗腫瘍免疫応答が誘発される。
【0049】
好ましい別の実施形態では、上で言及した腫瘍抗原には、前立腺がんエピトープペプチドまたはポリペプチド、乳がんエピトープペプチドまたはポリペプチド、結腸直腸がんエピトープポリペプチド、子宮頚がんエピトープペプチドまたはポリペプチド、肝臓がんエピトープペプチドまたはポリペプチド、多発性骨髄腫エピトープペプチド、および腎細胞癌エピトープペプチドまたはポリペプチドが含まれる。
【0050】
好ましい別の実施形態では、抗原が連鎖球菌抗原であるとき、免疫療法用医薬組成物によって、抗細菌感染を生じる免疫応答が誘発される。
【0051】
好ましい別の実施形態では、連鎖球菌抗原は、A型連鎖球菌エピトープペプチドまたはポリペプチドのうちの1つである。
【0052】
好ましい別の実施形態では、抗原がHIV抗原であるとき、免疫療法用医薬組成物によって、HIV感染に対抗する免疫応答が誘発される。
【0053】
好ましい別の実施形態では、HIV抗原は、HIVエピトープペプチドまたはポリペプチドのうちの1つである。
【0054】
上で言及した使用は、上で論じたとおりの免疫療法用医薬組成物の、免疫化する対象への、安全かつ治療に有効な量での投与を含むことが好ましい。
【0055】
上で言及した免疫化する対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含めた哺乳動物であることがより好ましい。非ヒト哺乳動物には、げっ歯動物、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、およびウシが含まれる。
【0056】
既存技術に比べ、本発明における免疫賦活薬の組成物ならびに関連した方法および使用は、以下の利点を有する。
(1)本発明は、免疫機能を著しく向上させ、抗原提示の効率を向上させ、免疫寛容を有効に崩し、有効な免疫活性化および応答を確立し、強力な抗体および細胞性免疫応答を生じうる、rGM-CSFとrIFN-αとを免疫賦活薬として最適な比で含む混合物を使用している。
(2)上述のとおりのrGM-CSFとrIFN-αとを最適な比で含む免疫賦活薬は、液性および細胞性免疫を有効に活性化し、免疫効率を有意に高めうる。
(3)免疫賦活薬とB型肝炎表面抗原の混合物または組合せを使用して、B型肝炎感染動物モデルにおいて免疫寛容をうまく崩すことができ、HBsAgは、その抗HBs抗体を伴って一掃されうる。
(4)免疫賦活薬と腫瘍抗原の混合物または組合せを使用して、抗腫瘍免疫応答を誘発することができる。
(5)免疫賦活薬と連鎖球菌抗原の混合物または組合せを使用して、抗細菌感染を生じる免疫応答を誘発することができる。
(6)免疫賦活薬とHIV抗原の混合物または組合せを使用して、抗HIV感染を生じる免疫応答を誘発することができる。
(7)免疫賦活薬は、使用しやすく、低コストであり、有害反応および副作用が少ない。
【0057】
本発明の視野の範囲内で、上述の本発明の各技術的特色および以下に(実施例として)記載する種々の技術的特色を互いに組み合わせて、新たなまたは好ましい技術的解決策を講じてもよいことは、理解されるべきである。本発明において開示される原則から逸脱しない均等物または変更形態は、本発明の保護範囲にある。
【0058】
本発明の趣旨、技術的特色、および技術的効果を十分に例証するために、本発明について図面と共にさらに記述する。本発明の前述および他の態様および利点は、以下の記述から明らかとなる。記述の中で、その一部をなし、本発明の好ましい実施形態の例として示されている、添付の図面への言及がなされる。そのような実施形態は、必ずしも本発明の完全な範囲に相当しないが、しかし、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】免疫療法用医薬組成物処置の使用による、異なる比および組合せの効果を示す、一式のグラフおよび像である。C57BL/6マウスを、10μg、20μg、30μgのGM-CSFを、それぞれ100IU、1,000IU、10,000IUのIFN-αおよび1ugのHBVワクチンと組み合わせたもので免疫化した。図1A:免疫化後3日目の末梢血CD11bCD11cDC比率。免疫化から21日後の時点で、10μgのHBsAgをマウスの左足蹠に注射し、対照として、PBSを右足蹠に注射した。足蹠の腫脹を、それぞれ、注射後24時間、48時間、および72時間の時点で測定した。図1B:24時間DTHの統計的結果。図1C:免疫化から21日後に末梢血を採取し、血清を分離し、ELISAによって抗HBsAgレベルを測定した。結果は、平均±SEMとして表示しており、*がP<0.05を示し、**がP<0.01を示し、***がP<0.001を示す。
図2】免疫療法用医薬組成物処置の使用による、異なる比および組合せの効果を示す、一式のグラフおよび像である。C57BL/6マウスを、5μg、10μg、20μgのGM-CSFを、それぞれ1000IU、10000IU、100000IUのIFN-αおよび1ugのHBVワクチンと組み合わせたもので免疫化した。図2A:免疫化後3日目の末梢血CD11b+CD11c+DC比率。免疫化から21日後の時点で、10μgのHBsAgをマウスの左足蹠に注射し、対照として、PBSを右足蹠に注射した。足蹠の腫脹を、それぞれ、注射後24時間、48時間、および72時間の時点で測定した。図2B:24時間DTHの統計的結果。図2C:免疫化から21日後に末梢血を採取し、血清を分離し、ELISAによって抗HBsAgレベルを測定した。結果は、平均±SEMとして表示しており、*がP<0.05を示し、**がP<0.01を示す。
図3】2種類の予備混合プランにおける末梢血およびリンパ節中のCD11bCD11cDCの変化ならびに抗HBsAgのレベルの比較を示す、一式のグラフである。図3A:免疫化後3日目の末梢血中のCD11bCD11cDCの比率。図3B:免疫化後3日目のマウスリンパ節におけるCD11bCD11cDCの比率。図3C:21日間の血清中抗HBsAgレベル。結果は、平均±SEMとして、P>0.05についてはns、P<0.05については*、P<0.01については**として表示している。
図4】本発明のある特定の実施形態による異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化した野生型マウスのDTH結果を示す、一式のグラフおよび像である。図4A:この実験における異なる実験群のための免疫化戦略。図4B:2回目の免疫化後7日目の時点で、10μgのHBsAg抗原をマウスの左足蹠に注射し、陰性対照として、PBSを右足蹠に注射した。24時間後、足蹠の腫脹を観察した。図4C:マウス足蹠におけるHBsAg抗原の注射後24時間、48時間、72時間の時点における腫脹の程度。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図5】本発明のある特定の実施形態に従って野生型マウスによって産生された、HBsAg特異的HBsAbであるIgGl、IgG2aの濃度を示す、一式のグラフである。図5A:異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化後、ELISAによって測定されたHBsAb濃度の結果。図5B:2回目の免疫化後7日目に、異なる免疫化群におけるHBsAg特異的IgG1およびIgG2a濃度をELISAによって検出した。図5C:2回目の免疫化後7日目に、HBsAg特異的IgG2aのIgG1に対する比を、ELISAによって検出した。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図6-1】本発明のある特定の実施形態による異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化した野生型マウスからのTリンパ球のサイトカイン分泌の結果を示す、一式のグラフである。2回目の免疫化から7日後、脾細胞を採取し、HBsAg(10μg/L)で18時間刺激し、最後にBFAによって6時間ブロックした。フローサイトメトリーを使用して、IFN-γ(図3A)、IL4(図3B)、IL17A(図3C)を分泌するCD4+T細胞、およびIFN-γ(D)を分泌するCD4+T細胞を検出した。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図6-2】本発明のある特定の実施形態による異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化した野生型マウスからのTリンパ球のサイトカイン分泌の結果を示す、一式のグラフである。2回目の免疫化から7日後、脾細胞を採取し、HBsAg(10μg/L)で18時間刺激し、最後にBFAによって6時間ブロックした。フローサイトメトリーを使用して、IFN-γ(図3A)、IL4(図3B)、IL17A(図3C)を分泌するCD4+T細胞、およびIFN-γ(D)を分泌するCD4+T細胞を検出した。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図7】本発明のある特定の実施形態による異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化した野生型マウスからのTリンパ球の増殖を示す、一式のグラフである。2回目の免疫化から7日後、脾細胞を1μMのCFSEで染色し、HBsAg(10μg/mL)で72時間刺激した。フローサイトメトリーを使用して、CD4+T細胞(図4A)およびCD8+T細胞(図4B)の増殖を検出した。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図8】本発明のある特定の実施形態による異なる免疫療法用医薬組成物で免疫化した野生型マウスのin vitro CTL結果を示す、一式のグラフである。免疫化後、脾細胞を単離し、非関連抗原細胞としてのHBV CTLポリペプチドS208-215(10μg/mL)と共に3日間培養した。OVA CTLペプチドOVA257-264(10μg/mL)を、無関係の抗原細胞として使用した。野生型マウス脾臓細胞を、HBV CTLペプチド(10μg/mL)と共に37℃で1時間インキュベートし、収集した後、CFSEでターゲット細胞として染色した。エフェクター細胞:ターゲット細胞=20:1を混合し、6時間培養し、PIで15分間染色し、ターゲット細胞のCTL細胞による死滅をフローサイトメトリーによって検出した。図8A:フローサイトメトリーデータ解析の戦略。図8B:異なる免疫化群についてのCTLフローサイトメトリー結果。図8C:異なるHBV特異的免疫群のCTL死滅速度統計結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図9】本発明のより好適な一例として、野生型マウスにおける、IL-12を分泌するDC2.4細胞および血清IL-12の濃度に対する、異なる免疫療法用医薬組成物の効果を示す、一式のグラフである。DC2.4細胞を、GM-CSF(1μg/mL)、IFN-α(20IU/mL)、およびLPSでそれぞれ72時間処理した。図9A:DC2.4細胞中のIL-12レベル。図9B:それぞれの統計結果。免疫化後3、7、14、および21日目に、ELISAによって血清IL-12濃度を測定した。図9C:21日時点での血清IL-12濃度結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図10】本発明のより好適な一例として、野生型マウスにおける血中DC細胞の数および機能に対する、異なる免疫療法用医薬組成物の効果を示す、一式のグラフである。図10A:異なる薬物の組合せで処置したマウスにおける血中CD11bCD11cDC細胞についてのフローサイトメトリー結果。図10Bおよび図10C:それぞれ、マウス血液中のCD11bCD11cDCの百分率および量。図10D:CD11bCD11cDC細胞についてのCD80発現レベル。図10E:CD11bCD11cDC細胞のMHC-II発現レベル。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図11-1】本発明のより好適な一例として、野生型マウスにおける血中単球の数および機能に対する、異なる免疫療法用医薬組成物の効果を示す、一式のグラフである。図11Aおよび図11B::異なる薬物の組合せで処置したマウスにおけるフローサイトメトリー分析戦略およびCD11bLy6C単球の結果。図11Cおよび図11D:それぞれ、マウス血液中のCD11bLy6C単球の百分率および量。図11E:CD11bLy6C単球のMHC-II発現レベル。図11F:免疫化から21日後にELISAによって検出されたマウス血清中のMCP-1レベル。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図11-2】本発明のより好適な一例として、野生型マウスにおける血中単球の数および機能に対する、異なる免疫療法用医薬組成物の効果を示す、一式のグラフである。図11Aおよび図11B::異なる薬物の組合せで処置したマウスにおけるフローサイトメトリー分析戦略およびCD11bLy6C単球の結果。図11Cおよび図11D:それぞれ、マウス血液中のCD11bLy6C単球の百分率および量。図11E:CD11bLy6C単球のMHC-II発現レベル。図11F:免疫化から21日後にELISAによって検出されたマウス血清中のMCP-1レベル。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図12】本発明のより好適な一例として、rAAV8-1.3HBVマウスモデル検証の検証を示す、一式のグラフ、略図、および像である。図12A:6~8週齢の雄C57B/L6マウスを選択し、rAAV-1.3HBVウイルスを、マウス1匹あたり1×1010μg/100μLの用量で尾静脈から注射した。図12D図12E図12C、および図12G:注射から14日後、それぞれ検出された、マウスにおけるHBeAg、HBsAg、HBV-DNA、およびALTの血清レベル。図12B:それぞれ、肝臓、心臓、および腎臓におけるHBcAgの免疫組織化学結果。矢印で示された細胞がHBcAg陽性細胞である。図12F:それぞれ、肝臓、心臓、および腎臓におけるHBcAgのヘマトキシリン-エオシン染色結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、P<0.0001は、統計学的有意差を示すものとし、バー=200μmである。
図13】本発明のより好適な一例として、rAAV8-1.3HBVマウスモデルのモニタリングを示す、一式のグラフである。C57B/L6マウスをrAAV-1.3HBVウイルスで感染させた。図13A図13B、および図13C:感染後0週間~12週間の血清中のHBsAg、HBV-DNA、およびALTのレベルをモニターした。
図14】本発明のより好適な一例として、B型肝炎モデルマウスにおいて免疫療法用医薬組成物で免疫化した動物における血清HBsAgおよびHBeAgレベルの変化を示す、一式のグラフである。ウイルス感染後21日目に免疫化を開始し、2週間毎に免役化した。各免疫化の前に血清HBsAgおよびHBeAg濃度を測定した。図14A:9つの実験群における異なる時点での血清HBsAg濃度。図14B:9つの実験群における異なる時点での血清HBeAg、点線S/CO=1。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図15-1】本発明のより好適な一例として、rAAV8-1.3 B型肝炎マウスの血液中のCD11bCD11c樹状細胞に対する免疫療法用医薬組成物処置の効果を示す、一式のグラフである。B型肝炎マウスモデルを免疫化後3日目に、マウスの静脈血を採取し、血中CD11bCD11cDCのレベルを測定した。図15A:血中CD11bCD11cDCについてのフローサイトメトリー分析戦略。図15B:異なる免疫化群の血中CD11bCD11cDCの割合。図15C:異なる免疫化群の血中CD11bCD11cDCの統計結果。図15Dおよび図15Eは、異なる免疫化群の血液中におけるCD11bCD11cDC上でのCD80、CD86、MHC-I、およびMHC-IIの発現および統計結果を示す。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図15-2】本発明のより好適な一例として、rAAV8-1.3 B型肝炎マウスの血液中のCD11bCD11c樹状細胞に対する免疫療法用医薬組成物処置の効果を示す、一式のグラフである。B型肝炎マウスモデルを免疫化後3日目に、マウスの静脈血を採取し、血中CD11bCD11cDCのレベルを測定した。図15A:血中CD11bCD11cDCについてのフローサイトメトリー分析戦略。図15B:異なる免疫化群の血中CD11bCD11cDCの割合。図15C:異なる免疫化群の血中CD11bCD11cDCの統計結果。図15Dおよび図15Eは、異なる免疫化群の血液中におけるCD11bCD11cDC上でのCD80、CD86、MHC-I、およびMHC-IIの発現および統計結果を示す。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図16-1】rAAV8-1.3 B型肝炎マウスの血液中の単球に対する免疫療法用医薬組成物処置の効果を示す、一式のグラフである。B型肝炎マウスモデルを免疫化後3日目に、マウスの静脈血を採取し、血中の単球レベルを測定した。図16A:血中の単球についてのフローサイトメトリー分析戦略。図16B:異なる免疫化群の血液中におけるCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球の割合。図16C:異なる免疫化群の血液中におけるCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球の統計結果。図16D:異なる免疫化群の血液中のCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球におけるCCR2発現の統計結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図16-2】rAAV8-1.3 B型肝炎マウスの血液中の単球に対する免疫療法用医薬組成物処置の効果を示す、一式のグラフである。B型肝炎マウスモデルを免疫化後3日目に、マウスの静脈血を採取し、血中の単球レベルを測定した。図16A:血中の単球についてのフローサイトメトリー分析戦略。図16B:異なる免疫化群の血液中におけるCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球の割合。図16C:異なる免疫化群の血液中におけるCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球の統計結果。図16D:異なる免疫化群の血液中のCD11bLy6GLy6C顆粒球、CD11bLy6GLy6Chi単球、およびCD11bLy6GLy6Clo単球におけるCCR2発現の統計結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図17】免疫療法用医薬組成物処置によって、rAAV8-1.3HBV B型肝炎マウスの細胞性免疫が向上することを示す、一式のグラフおよび像である。図17A:4回目の免疫化から7日後、HBsAg(10μg/10μL)抗原を、マウスの左足蹠に注射し、対照として右足蹠にPBSを注射した。24時間後、ノギスを用いてキャリパー厚を測定し、蹠腫脹厚=左蹠厚-右蹠厚とした。図17B:異なる免疫化群におけるCD8T細胞、陽性対照としてのCD3(1μg/mL)およびCD28(100ng/mL)の増殖についての統計結果。図17Cおよび図17D、それぞれ、異なる免疫化群における脾臓IFN-γCD4T細胞およびIL-4CD4T細胞の統計結果。図17E:異なる免疫化群、陽性対照としてのイオノマイシン(1μg/mL)およびPMA(100ng/mL)における脾臓IFN-γCD8T細胞のフローサイトメトリー分析。図17F:異なる免疫化群における脾臓IFN-γCD8T細胞の統計結果。図17G:免疫組織化学的方法によって測定した、異なる免疫化群における肝臓中のCD8T細胞、バー=100μm。in vivo CTLアッセイのフローサイトメトリー結果(左)および統計結果(右)(H)および(I)。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図18】免疫療法用医薬組成物処置によって、rAAV8-1.3HBV B型肝炎マウスの液性免疫が向上することを示す、一式のグラフおよび像である。4回目の免疫化から14日後、末梢血を採取し、血清を分離した。図18A:血清HBeAg結果。図18B:血清HBsAg結果。図18C:血清HBV-DNA結果、点線は30IU/mLのキット検出限界のため。図18D:血清ALT結果。図18E:肝臓におけるHBcAgの免疫組織化学結果、バー=50μm。図18F:血清抗HBsAg結果。図18G:血清IgG2a/IgG1結果。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図19】CCR2をブロックすることが、免疫療法用医薬組成物処置の効力に与える効果を示す、一式のグラフおよび像である。CCR2ブロッカーであるINCB3344を、GM-CSF/IFN-α/VACCINEを注射する1時間前、注射から24時間後および48時間後に、それぞれ30μg/kgの用量で3回注射した。それぞれ、3日後の末梢血中のCD11bLy6ChiCCR2hi単球のフローサイトメトリーおよび統計分析(図19A)および(図19B)。図19C:末梢血中のCD11bCD11cDCの比率の統計結果。図19D:脾臓中のIFN-γCD8T細胞の統計結果。図19E図19F、および図19G:それぞれ、血清ALT、HBsAg、およびHBV-DNAの結果。図19H:肝臓HBcAgの免疫組織化学結果、バー=50μm。ns(P>0.05)は、統計学的差異なしを示し、*(P<0.05)は、統計学的差異を示し、**(P<0.01)は、統計学的有意差を示すものとした。
図20】本発明のある特定の実施形態による前立腺がんペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図20A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図20B)。
図21】本発明のある特定の実施形態による乳がんペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図21A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図21B)。
図22】本発明のある特定の実施形態による結腸直腸がんペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図22A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図22B)。
図23】本発明のある特定の実施形態による子宮頚がんペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図23A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図23B)。
図24】本発明のある特定の実施形態による肝細胞癌ペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図24A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図24B)。
図25】本発明のある特定の実施形態による多発性骨髄腫ペプチドワクチン免疫化の強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図25A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図25B)。
図26】本発明のある特定の実施形態による腎細胞癌のペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図26A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図26B)。
図27】本発明のより好適な一例における、A型連鎖球菌ワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図27A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図27B)。
図28】本発明のより好適な一例における、HIV-1ペプチドワクチンの強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。動物を組成物で免疫化し、抗体産生(図28A)、およびそのような免疫化後の足蹠腫脹のサイズ変化を誘導し、次いで抗原を負荷すると、細胞性免疫応答が示された(図28B)。
図29】本発明のより好適な一例における、HBV PreSおよびHBV PreS1の強化に対する免疫療法用医薬組成物処置の免疫効果を示す、一式のグラフである。最適な組成についての用量は、GM-CSFを10μg、IFN-αを10,000IU、PreSを1μgまたはPreS1を1μgである。6週齢の雌Balb/cマウスに、最適な用量比のGM-CSF/IFN-α/PreSまたはGM-CSF/IFN-α/PreS1を、それぞれ、隔週で3回皮下注射した。対照群は、PreSまたはPreS1で個々に免疫化した。各免疫化の前後に血液サンプルを採取して、液性免疫を検出した。
【発明を実施するための形態】
【0060】
一般事項
本発明の実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その出願において、以下の記述の中で明記され、または以下の図面において例証される構成要素の構築および配置の細目に限定されないと理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実践または実施することができる。また、本明細書で使用する術語および用語は、記述する目的のためのものであり、限定するとみなすべきではないと理解されたい。本明細書における「including」、「comprising」、または「having」、およびこれらの変形語は、その後に列挙する項目およびその均等物ならびに追加項目を包含するものである。さらに、方法、プロトコール、材料、および試薬は、様々となりうるため、本発明は、記載した特定の方法、プロトコール、材料、および試薬に限定されないと理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態について述べる目的のものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、後に出願される仮でない出願によってのみ限定されると理解される。
【0061】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈からそうでないことが明らかに規定されない限り、複数の言及を包含する。なお、用語「a」(または「an」)、「one or more(1つまたは複数)」、および「at least one(少なくとも1つ)」は、本明細書では、区別なく使用される場合がある。用語「comprising」、「including」、および「having」は、区別なく使用される場合がある。
【0062】
別段定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験する際は、本明細書に記載するものと同様または同等ないずれの方法および材料を使用してもよいが、好ましい方法および材料についてここで述べる。本明細書において詳細に言及するすべての刊行物および特許は、本発明と関連して使用することのできる、刊行物において報告されている化学物質、機器、統計分析、および方法を記載および開示することを含むすべての目的で参照により援用される。本明細書で引用するすべての参考文献は、当業界の技量のレベルを示すと解釈される。本明細書には、本発明が、先行発明によってそのような開示に先行する権利を与えられないことを容認すると解釈されるものは何もない。
【0063】
I.定義
別段定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する業界の技術者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書で使用するとき、以下の用語は、次の意味を有する。
【0064】
本明細書で使用する用語「comprising」または「comprises」は、組成物および方法が、列挙される要素を含むが、他のものを除外しないことを意味するものとする。「Consisting essentially of(から本質的になる)」は、組成物および方法を規定するのに使用されるとき、明記される目的のために組合せに本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。すなわち、本明細書で規定するとおりの要素から本質的になる組成物は、請求項に係る発明の基本的かつ新規な特徴に著しく影響しない他の材料またはステップを除外しないことになる。「Consisting of(からなる)」は、微量より多い他の成分の要素および実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。こうした転換用語それぞれによって規定される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0065】
用語「about(約)」は、範囲を含めた、数に関する指定、たとえば、温度、時間、量、濃度の前に使用されるとき、(+)または(-)10%、5%、または1%変動してもよい近似値を示す。
【0066】
本明細書で使用する用語「免疫賦活薬」とは、自然な免疫応答を増強、強化、または別な形で増大しうるいずれかの薬剤または物質を指す。一実施形態では、本開示は、少なくとも、組換え型インターフェロンなどのインターフェロンと、組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子とを含む免疫賦活薬を明らかにする。好ましい一実施形態では、免疫賦活薬は、rIFN-αとrGM-CSFとを含む。
【0067】
本明細書で使用する用語「医薬組成物」とは、疾患または病態の医学的診断、治癒、処置、または予防における使用を目的とした、いずれかの化学的もしくは生物学的化合物もしくは物質または2種以上のそうした化合物もしくは物質の混合物もしくは組合せを指す。
【0068】
用語「treat(処置する)」および「prevent(予防する)」ならびにこれから派生する単語は、本明細書で使用するとき、100%または完全な処置または予防を必ずしも含意しない。むしろ、当業者が潜在的な利益または治療効果を有すると認める、様々な程度の処置または予防が存在する。一実施形態では、本発明の組成物または方法では、哺乳動物における疾患のいずれかのレベルの処置または予防をいずれかの量で提供することができる。さらに、本発明の方法によって提供される処置または予防は、処置または予防がなされる疾患、たとえば、がんの1つまたは複数の状態または症状の処置または予防を含みうる。また、本明細書における目的では、「予防」は、疾患、またはその症状もしくは状態の発症を遅らせることも包含しうる。本発明の方法に関して、がんは、本明細書に記載の腫瘍抗原のいずれかと関連するがんのいずれかを含めて、いかなるがんでもよい。
【0069】
本発明は、いかなる哺乳動物にも適用可能である。本明細書で使用するとき、用語「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ネコなどの温血脊椎動物を指す。一実施形態では、哺乳動物には、げっ歯動物などのげっ歯類、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、およびウシが含まれる。
【0070】
本明細書で使用する用語「投与する」または「投与」とは、ワクチンや組成物などの物質で患者を処置する分野におけるその通常および普通の意味を指す。本明細書で使用する用語「共投与(co-administration)」および「同時投与(concomitant administration)」は、類義語であり、2種の物質または2種の組成物を、両方の物質または両方の組成物が患者の身体において同時に滞留するような要領およびタイミングで患者に投与することを指す。共投与は、時期が同時または順次である場合があり、共投与される物質または組成物は、同時に、または別々であるが近い時期に、または同日に、またはそれぞれの物質もしくは組成物の身体における滞留期間が実質的に一部重なり合う結果となるようにして別な形で、患者に投与される場合がある。投与、たとえば、非経口投与には、皮下投与、筋肉内投与、経皮投与、皮内投与、腹腔内投与、眼内投与、鼻腔内投与、および静脈内投与を含めることができる。
【0071】
本発明によるワクチンまたは組成物は、当業界で知られている方法に従って個体に投与することができる。そのような方法は、皮膚へのまたは皮膚を介した注射のすべての経路、たとえば、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮内、粘膜、粘膜下、または皮下によるなどの、たとえば非経口的な適用を含む。また、ワクチンは、滴剤、スプレー、ゲル、または軟膏としての局所的な適用によって、眼、鼻、口、肛門、もしくは膣の粘膜上皮に、または身体のいずれかの部分における外皮の表皮上に適用される場合もある。考えられる他の適用経路は、呼吸路を介した吸入による、スプレー、エアロゾル、または粉末適用によるものである。この最後の場合では、使用される粒径によって、粒子が呼吸路にどれだけ深く浸透するかが決まる。別法として、適用は、たとえば、粉末、液体、もしくは錠剤として食物、飼料、もしくは飲料水と合わせることによる食事性経路によるもの、または液体、ゲル、錠剤、もしくはカプセル剤として口腔へ、または坐剤として肛門へ直接投与することによるものである場合もある。
【0072】
II.本発明の好ましい実施形態についての記述
本発明について述べる前に、本発明は、記載する特定の方法および実験条件に限定されず、そのため、方法および条件は、変わる場合もあると理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態について述べる目的のものにすぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないと理解されたい。
【0073】
広範囲にわたる研究の後、出願人らは、免疫賦活薬としてのrGM-CSFとrIFN-αの最適な比の混合物によって、(たとえば、タンパク質抗原と混合したとき)身体の免疫を有意に向上させ、抗原提示の効率を向上させ、有効な免疫活性化および応答を確立し、強力な抗体および細胞性免疫応答を惹起させて、疾患を予防および処置することができることを初めて発見した。免疫賦活薬をB型肝炎ワクチンと混合することで、B型肝炎動物モデルにおいて、免疫寛容が首尾よく崩れ、HBsAgの除去および抗HBsAbの誘導につながる。
【0074】
本発明の趣旨は、新規な免疫療法用医薬組成物、特に、持続性ウイルス感染症および腫瘍に対抗する免疫療法用医薬組成物を提供することである。本発明の医薬組成物は、多くの疾患、またはHBV、ヘルペスウイルス、HPV、HIV、メルケル細胞ウイルス、インフルエンザウイルス、RSVなどのウイルスの処置に、新たな免疫療法薬として使用することができる。
【0075】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、少なくとも、組換え型インターフェロンなどのインターフェロンと、組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子とを含む。一実施形態では、組換え型インターフェロンは、組換え型インターフェロンアルファ(rIFN-α)である。一実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子は、組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rGM-CSF)である。
【0076】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、少なくとも、組換え型インターフェロンなどのインターフェロンと、組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子とを含む免疫賦活薬を含む。
【0077】
免疫賦活薬の一実施形態では、組換え型インターフェロンの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比は、1用量あたり(約0.1×10IU~約5×10IU)対(約1μg~約200μg)である。別の実施形態では、組換え型インターフェロンの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比は、1用量あたり(約0.5×10IU~約1×10IU)対(約5μg~約50μg)である。
【0078】
一実施形態では、免疫賦活薬の組換え型インターフェロンは、インターフェロンアルファ-2aなどのインターフェロンアルファである。
【0079】
rIFN-αの重量による含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.1×10IU~5×10IU):(1μg~200μg)の範囲にあることが好ましい。
【0080】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.5×10IU~1×10IU):(5μg~150μg)の範囲にあることがより好ましい。
【0081】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(0.5×10IU~5×10IU):(5μg~50μg)の範囲にあることがより好ましい。
【0082】
rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり1×10IU:10μgの範囲にあることが最も好ましい。
【0083】
好ましい一実施形態では、rGM-CSFの含有量は、1用量あたり約1μg~約100μgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約5μg~約50μgの範囲内、より好ましくは、1用量あたり約5μg~約20μgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約10μgである。
【0084】
別の好ましい実施形態では、rIFN-αの含有量は、1用量あたり1×10IU~9×10IUの範囲内、好ましくは、1用量あたり5×10IU~5×10IUの範囲内、より好ましくは、1用量あたり8×10IU~2×10IUの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約0.5×10IU~1×10IUの範囲内、たとえば、1×10IUである。
【0085】
別の好ましい実施形態では、上で言及した免疫賦活薬は、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウムアジュバントをさらに含む場合がある。
【0086】
一例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.5mg~約10mgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約1mg~約3mgの範囲内、より好ましくは、1用量あたり約1.25mg~約2.5mgの範囲内である。別の例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.1mg~約3mgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約0.8mg~約2mgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約1.25mgである。さらに別の例として、アルミニウムアジュバントの量は、1用量あたり約0.01mg~約3mgの範囲内、好ましくは、1用量あたり約0.05mg~約2mgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約0.1mg~約0.5mgの範囲内、たとえば、1用量あたり約0.125mgである。
【0087】
一例として、アルミニウムアジュバントのrGM-CSFに対する重量比は、1用量あたり(約0.01mg~約1mg):(約1μg~約200μg)の範囲、好ましくは、1用量あたり(約0.05mg~約0.5mg):(約5μg~約150μg)の範囲にあり、比が、1用量あたり(約0.1mg~約0.25mg):(約5μg~約50μg)の範囲にあることがより好ましく、重量比が、1用量あたり約0.125mg:約10μgであることが最も好ましい。別の例として、アルミニウムアジュバントのrGM-CSFに対する重量比は、1用量あたり(約0.1mg~約10mg):(約1μg~約300μg)の範囲、好ましくは、1用量あたり(約0.5mg~約5mg):(約2μg~約200μg)の範囲にあり、重量比が、1用量あたり(約1.5mg~約3mg):(約5μg~約100μg)の範囲にあることがより好ましく、重量比が、1用量あたり(約1mg~約2mg):(約10μg~約75μg)の範囲にあることが最も好ましい。
【0088】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、少なくとも、タンパク質抗原(より好ましくは、組換え型タンパク質抗原)などの抗原と、上で論じたとおりの免疫賦活薬とを含む。一実施形態では、組換え型インターフェロンは、インターフェロンアルファ-2aである。一実施形態では、抗原は、組換え型タンパク質抗原を含む、または組換え型タンパク質抗原である。免疫療法用医薬組成物の一実施形態では、組換え型インターフェロンの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比は、1用量あたり(約0.5×10IU~約1×10IU)対(約5μg~約20μg)である。別の実施形態では、組換え型インターフェロンの含有量の組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含有量に対する比は、1用量あたり約1×10IU対約10μgである。
【0089】
一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つである。一実施形態では、ウイルス性抗原は、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス抗原、インフルエンザ抗原、およびRSV抗原の少なくとも1種である。一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である。
【0090】
一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、遺伝子改変組換え抗原である。
【0091】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、少なくともアジュバントをさらに含む。一実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムなどのアルミニウムアジュバントである。
【0092】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。
【0093】
一実施形態では、免疫療法用医薬組成物は、B型肝炎抗原をさらに含む。一実施形態では、対象に抗原を投与する前、または抗原を投与する間(たとえば、共投与)のいずれかに、安全かつ治療に有効な量の免疫賦活薬を対象に投与することができる。一実施形態では、対象に抗原を投与する前に、安全かつ治療に有効な量の免疫賦活薬が対象に投与される。別の実施形態では、対象に抗原を投与する間(たとえば、共投与)に、安全かつ治療に有効な量の免疫賦活薬が対象に投与される。
【0094】
一実施形態では、B型肝炎抗原は、組換え型B型肝炎表面抗原などの組換え型B型肝炎抗原である。
【0095】
一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つである。
【0096】
一実施形態では、ウイルス性抗原は、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス抗原、インフルエンザ抗原、およびRSV抗原の少なくとも1種である。
【0097】
別の実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である。好ましい一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、遺伝子改変組換え抗原である。
【0098】
一実施形態では、本発明の免疫療法用医薬組成物は、少なくとも、組換え型インターフェロンなどのインターフェロンと、組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と、アルミニウムアジュバントなどのアジュバントと、タンパク質抗原(より好ましくは、組換え型タンパク質抗原)などの抗原とを含む。一実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムなどのアルミニウムアジュバントである。一実施形態では、組換え型インターフェロンは、インターフェロンアルファ-2aなどのインターフェロンアルファである。
【0099】
一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つである。一実施形態では、ウイルス性抗原は、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス抗原、インフルエンザ抗原、およびRSV抗原の少なくとも1種である。一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である。好ましい一実施形態では、組換え型タンパク質抗原は、組換え型B型肝炎抗原、好ましくは、組換え型B型肝炎表面抗原などのB型肝炎抗原である。
【0100】
好ましい一実施形態では、本発明の免疫療法用医薬組成物は、ある特定の割合に従い、ある特定の順序で混合された後、rIFN-αと、rGM-CSFと、アルミニウムアジュバントと、組換え型B型肝炎表面抗原とを含む。
【0101】
一実施形態では、本発明の免疫療法用医薬組成物は、B型肝炎の処置に有用であり、慢性B型肝炎の処置に特に適しており、免疫賦活薬は、rIFN-αとrGM-CSFとを含み、アジュバントは、水酸化アルミニウムである。一実施形態では、タンパク質抗原またはワクチンのrIFN-αおよびrGM-CSFとの最適な比での組合せが、医薬製剤へと調製される。一実施形態では、rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(約0.1×10IU~約5×10IU)対(約1μg~約200μg)、好ましくは、1用量あたり、(約0.5×10IU~約1×10IU)対(約5μg~約50μg)、より好ましくは、約1×10IU~約10μgである。
【0102】
一実施形態では、rIFN-αの含有量のrGM-CSFの含有量に対する比は、1用量あたり(約0.5×10IU~約1.5×10IU):(約5μg~約20μg)の範囲にあり、比が、1用量あたり約1×10IU:約10μgであることが好ましい。
【0103】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、rGM-CSFの含有量は、1用量あたり約1μg~約200μg、好ましくは、1用量あたり約5μg~約50μg、より好ましくは、1用量あたり約5μg~約20μgの範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約10μgである。
【0104】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、rIFN-αの含有量は、1用量あたり約1×10IU~約9×10IU、好ましくは、1用量あたり約5×10IU~約1×10IU、より好ましくは、1用量あたり約8×10IU~約5×10IU、最も好ましくは、1用量あたり約1×10~約2×10IUの範囲内、たとえば、約1×10IUである。
【0105】
上で言及した免疫療法用医薬組成物において、抗原のrGM-CSFに対する含有量比は、1用量あたり(約0.1μg~約10μg):(約1μg~約100μg)、好ましくは、1用量あたり(約0.5μg~約5μg):(約5μg~約50μg)、より好ましくは、1用量あたり(約1μg~約5μg):(約5μg~約25μg)の範囲内、最も好ましくは、1用量あたり約1μg:約10μgである。
【0106】
一実施形態では、医薬調製物または製剤中の組成物は、皮下、筋肉、粘膜、他の身体部分などの伝統的な注射方法によって身体に注射され、また、点鼻薬、点眼薬、および皮膚送達によって投与することもできる。投与後、単球は、未熟DCへと効果的に分化し、次いで、成熟DC細胞へと変換され、これによって、抗原提示の効率が向上して、宿主免疫が効果的に惹起されて、ウイルスによって誘発された免疫寛容は崩され、身体に潜むウイルスは除去され;単球は、ウイルス感染症の再発を予防し、身体からウイルスを除去さえし、HBV再感染を予防する、強力な抗体および細胞性免疫応答を伴う。
【0107】
本発明では、抗原は、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物などの微生物由来である場合がある。
【0108】
一実施形態では、免疫療法医薬組成物中の抗原は、タンパク質抗原を含む。
【0109】
タンパク質抗原は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、真菌性抗原、寄生生物性抗原、および腫瘍抗原のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0110】
上で言及したウイルス性抗原は、HBV抗原、ヘルペスウイルス抗原、HPV抗原、HIV抗原、メルケル細胞ウイルス、インフルエンザウイルス抗原、およびRSV抗原のうちの少なくとも1つを含むことがより好ましい。
【0111】
別の実施形態では、上で言及したタンパク質抗原は、不活化ワクチン抗原、弱毒化ワクチン抗原、またはサブユニットワクチン抗原である。
【0112】
別の実施形態では、タンパク質抗原は、遺伝子改変ワクチン抗原である。
【0113】
好ましい一実施形態では、タンパク質抗原は、B型肝炎抗原、好ましくは、組換え型B型肝炎抗原、より好ましくは、組換え型B型肝炎表面抗原などの組換え型タンパク質抗原である。
【0114】
一実施形態では、ウイルス性抗原は、血清由来のB型肝炎ウイルス表面抗原または遺伝子改変B型肝炎表面タンパク質であり、酵母およびCHO細胞において発現させたものである場合がある。一実施形態では、B型肝炎サブユニット抗原は、酵母系または哺乳動物細胞において発現されるように遺伝子操作によって調製され、抽出され、精製され、アジュバントと組み合わせられる。
【0115】
ウイルス性抗原は、ヘルペスウイルス、HPV、HIV、メルケル細胞ウイルス、インフルエンザウイルス、RSV、または、限定はしないが、アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブラディウイルス科(Bradyviridae)、カリチウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルソミクソウイルス科、オルソミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、もしくはトガウイルス科を始めとする各科のウイルス由来である場合がある。また、動物疾患を引き起こす微生物、たとえば、PRRSV、PCV、FMDV、狂犬病ウイルス、パルボウイルス、ジステンパーウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ボルデテラ属およびレプトスピラ属の細菌も挙げられる。
【0116】
腫瘍抗原は、次の腫瘍、すなわち、口腔がん、食道がん、胃がん、十二指腸がん、小腸がん、結腸がん、肛門がん、肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管癌、がん、肺がん、皮膚がん(黒色腫)、骨がん、骨髄腫、TおよびB細胞リンパ腫、白血病、ホジキン腫瘍、非ホジキン腫瘍、カポジ肉腫、頭頚部新生物、脳、甲状腺、神経膠腫、甲状腺、胸腺、腎臓、尿管、膀胱、精巣、前立腺、陰茎、子宮、子宮頚、卵巣、卵管、膣由来である場合がある。
【0117】
一実施形態では、動物ウイルス抗原は、主として、不活化ワクチン、弱毒化ワクチン、サブユニットワクチンなどの動物ワクチン由来である。
【0118】
一実施形態では、抗原は、腫瘍由来の特異的および関連抗原である場合がある。
【0119】
別の態様では、本開示によって、本明細書で論述するとおりの免疫療法用医薬組成物を調製する方法であって、抗原と、組換え型インターフェロンと、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と、薬学的または免疫学的に許容される担体または賦形剤とを、無菌条件下で混合して、免疫療法用医薬組成物を生成するステップを含む方法が明らかになる。
【0120】
別の態様では、本発明は、本明細書で論述するとおりの免疫療法用医薬組成物の治療用ワクチンアジュバントおよびワクチン組成物としての使用および調製方法を提供する。出願人らは、実証する目的で、一例として組換え型B型肝炎表面抗原を使用する。具体的な実施過程にいる当分野の技術者によって、これが、本発明における組換え型rHBsAg抗原から調製されるB型肝炎サブユニットワクチンなどの、既存技術にあるいずれかのワクチンで置き換えられてもよい。
【0121】
一実施形態では、免疫療法薬の調製における請求項5の免疫療法用医薬組成物の使用であって、1)単球産生を促進するステップと、2)単球CCR2の発現を促進するステップと、3)Ly6ChiCCR2単球の、表現型がCD11bCD11cであるDCへの分化を促進するステップと、4)対象の細胞性免疫およびCTL細胞溶解機能を向上させるステップと、5)対象の液性免疫および1種または数種の防御抗体の産生を促進するステップとを含む使用。
【0122】
一実施形態では、使用は、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生生物感染症、および腫瘍のうちの1つまたは複数を予防または処置することを含む。一実施形態では、ウイルス感染症は、ヒト肝炎ウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、ヒト免疫不全ウイルス感染症、メルケル細胞ウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症、およびRSウイルス(respiratory syncytium virus)感染症のうちの1つまたは複数を含む。
【0123】
一実施形態では、抗原は、B型肝炎ワクチンであり、免疫療法用医薬組成物は、免疫寛容を崩し、抗HBsAbを生じさせながら、感染した肝細胞、HBeAg、およびHBsAgを除去することができる。一実施形態では、抗原は、腫瘍抗原であり、免疫療法用医薬組成物によって、抗腫瘍免疫応答が誘発される。別の実施形態では、腫瘍抗原は、前立腺がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、乳がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、結腸直腸がん抗原ポリペプチドまたはエピトープペプチド、子宮頚がんポリペプチドまたはエピトープペプチド、肝臓がんポリペプチドまたはエピトープペプチド、多発性骨髄腫ポリペプチドまたはエピトープペプチド、および腎細胞癌ポリペプチドまたはエピトープペプチドのうちの少なくとも1つを含む。
【0124】
一実施形態では、抗原は、連鎖球菌抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗細菌感染を生じる免疫応答が誘発される。一実施形態では、連鎖球菌抗原は、修飾されたA型連鎖球菌エピトープペプチドである。
【0125】
一実施形態では、抗原は、HIV抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗HIV感染を生じる免疫応答が誘発される。一実施形態では、HIV抗原は、HIVエピトープペプチドである。
【0126】
一実施形態では、抗原は、メルケル細胞ウイルス抗原の1つであり、免疫療法用医薬組成物によって、抗メルケル細胞ウイルス感染を生じる免疫応答が誘発される。一実施形態では、メルケル細胞ウイルス抗原は、メルケル細胞ポリペプチドの1つである。
【0127】
一実施形態では、使用は、安全かつ治療に有効な量の免疫療法用医薬組成物の、免疫化する対象への投与を含む。一実施形態では、対象は、哺乳動物である。
【0128】
一実施形態では、出願人らは、1用量あたり約1μg~約200μgの範囲、好ましくは、1用量あたり約20μg~約150μgの範囲、より好ましくは、1用量あたり約50μg~約100μgの範囲にある量のGM-CSFが有効であることを実験によって確認している。
【0129】
一実施形態では、出願人らは、約1000IU~約50,000(IU)単位の範囲、好ましくは、1用量あたり約2000IU~約30,000(IU)の範囲、より好ましくは、約5000IU~約20000(IU)の範囲にある活性のIFN-αが有効であることを実験によって確認している。
【0130】
本発明では、以下の技術的実施形態を採用した。組換え型ヒトインターフェロン-aは、遺伝子操作技術によって大腸菌(Escherichia coli)または酵母系において発現させ、抽出し、精製し、賦形剤と合わせて、調製済みrhIFN-α(I型インターフェロン)とする。組換え型ヒトGM-CSFは、遺伝子操作技術によって大腸菌または酵母系において発現させ、抽出し、精製し、賦形剤と合わせて、調製済みrhGM-CSF(組換え型ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)とする。ヒトB型肝炎表面抗原は、遺伝子操作技術によって酵母系またはCHO細胞において発現させ、抽出し、精製し、調製済みrHBsAg(組換え型B型肝炎表面抗原)とする。
【0131】
本発明の組成物中のrhIFN-α、rhGM-CSF、および抗原は、当分野における従来の方法によって調製することができ、または市販品として入手可能である。
【0132】
本発明の組成物の一実施形態では、rHBsAgのrhGM-CSFに対する質量比は、約1:(1~100)、好ましくは1:(1~80)、より好ましくは1:(1~30)(たとえば、1:7.5)である。rhGM-CSFのrhIFN-αおよび/またはアルミニウムアジュバントに対する比は、上述のとおりである。
【0133】
免疫賦活薬
アジュバントおよび非特異的免疫賦活薬としても知られる免疫賦活薬は、抗原性でなく、事前に作用し、または抗原と同時に作用する。抗原と一緒に(たとえば、共投与)または抗原の投与より前に事前に注射された免疫賦活薬は、抗原に対する特定の免疫応答を非特異的に変更または増強して、免疫原性を高め、または免疫応答のタイプを変化させる。伝統的なアルミニウムアジュバントに加えて、サイトカインなどの物質も、重要なアジュバントとなりうる。たとえば、GM-CSFは、造血前駆細胞の増殖、分化、および成熟を促進するだけでなく、APC、線維芽細胞、ケラチノサイト、皮膚粘液細胞などの他の細胞も刺激する、多能性の造血細胞成長因子である。
【0134】
出願人らは、予備実験において、B型肝炎ワクチンをGM-CSFと組み合わせることで、哺乳動物における免疫応答を増強することができるが、増強は限定されることを見出した。さらに、出願人らは、GM-CSFを1日1回、3回にわたって予備注射し、次いで、同じ部位にワクチン抗原を注射すると、免疫応答、特にT細胞応答のレベルが大いに向上しうることを見出した。機序についても徹底的に研究した。GM-CSFの予備注射によって、主として、単球の濃縮および変換が向上して、抗原提示細胞(DC)の数、DC抗原提示の能力および実現性が増すことがわかった。DCは、抗原に曝されると、T細胞に効果的に抗原を提示し、したがって、細胞性免疫の応答を増強することができるのであろう。この研究では、GM-CSFおよびワクチン抗原の異なる投与戦略によって、異なる免疫効果が生じうることが示唆された。しかし、この方法は、臨床で使用するには非常に不都合である。実際に、ワクチンの注射前にGM-CSFを3日間予備注射するプロトコールは、患者および注射を取り扱う看護師にとって、実施するのは容易でなかった。3点の主な不利益が存在することがわかった。すなわち、1)この方法では、用いられる注射の回数が多く、臨床試験において各回に同じ場所が注射されなかったために、患者にワクチン接種し、一定の結果を得るのに多大な不都合が生じ、2)上記事由により、患者の不十分な服薬遵守および試験からの脱落が、不都合なプロトコールと関連付けられ、3)患者は、一区切りの注射を完遂できる前に何日間も病院に滞在することが求められる。これらの不利益を考慮すると、3日の予備処置は、早急に改善されるべきである。
【0135】
高用量投与でのIFN-αは、近接する細胞に危険を知らせて抗ウイルスタンパク質を産生させることでウイルスの複製を阻害し、それによってウイルス感染を一掃しうるだけでなく、免疫調節の役割を担い、抗ウイルス応答を増強するナチュラルキラー細胞(NK細胞)、単球、マクロファージ、およびTリンパ球活性を増強することもできる。
【0136】
IFN-αは、樹状細胞が分化する原動力となり、樹状細胞交差提示を増強することが示されている(J.Immunol.2012年4月1日、188:3116~3126;Blood 2012年2月9日、119:1407~1417)。一緒に投与されたIFN-αおよびGM-CSFは、in vitro系において、ある特定の濃度で、末梢血単球を強力な抗原提示細胞へと分化させている(Journal of Leukocyte Biology 1998、64:358~367)。しかし、発明された最適な用量比のIFN-αとGM-CSFが、タンパク質抗原と共に、in vivoで免疫応答の増強をもたらしうるかどうかは、これまで調べられたことがない。特に、分化するLy6ChiCCR2単球の活性化およびCD11bCD11c樹状細胞への強化によって、免疫応答の増強が媒介されうるかどうかは不明のままである。Ly6ChiCCR2単球のCD11bCD11c樹状細胞への分化は、Ly6C単球などの他のタイプの単球以後の、細胞を媒介とする潜在的な免疫にとって非常に重要である。
【0137】
これらの主要な2タイプの単球は、マウスおよびヒトにおいて報告されている(Immunity 2003、19、71~82)。最も顕著な相違点は、高いレベルのLy6Cを発現する炎症性単球とLy6Cを欠いている単球とにある。本発明に記載の最適な製剤の免疫療法用医薬組成物なら、高レベルのLy6ChiCCR2単球を誘導し、その後治療効果につなげることができる。
【0138】
組合せ
本発明は、免疫療法用医薬組成物を提供する。
【0139】
本発明の免疫療法用医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、有効量の活性成分とを含む。
【0140】
本明細書で使用するとき、用語「治療に有効な量」または「治療に有効な用量」とは、ヒトおよび/または動物において機能性または活性があり、ヒトおよび/または動物に許容される量を指す。
【0141】
本明細書で使用するとき、用語「薬学的に許容される担体」とは、毒性、刺激、アレルギーなどの過度の有害作用なしにヒトおよび/または哺乳動物に適用できる妥当な利益/リスク比を有する物質を指す。用語「薬学的に許容される担体」は、治療薬の投与を支援するための担体を指し、種々の賦形剤および希釈剤を包含する。
【0142】
本発明の免疫療法用医薬組成物は、安全かつ治療に有効な量の活性成分と薬学的に許容される担体とを含む。そのような担体としては、限定はしないが、食塩水、緩衝液、デキストロース、グリセロール、マンニトール、トレハロース、シクロデキストリン、アルミニウムアジュバント、尿素、およびこれらの組合せを挙げることができる。一般に、医薬調製物は、投与の方式に合わせるべきである。本発明の免疫療法用医薬組成物は、注射、経口調製物(錠剤、カプセル剤、経口液)、経皮的薬剤、および徐放性薬剤の形態にすることができる。たとえば、組成物は、従来の方法によって、生理食塩水、またはグルコースを含有する水溶液と、他のアジュバントとを含む場合がある。免疫療法用医薬組成物は、無菌条件下で製造されることが好ましい。
【0143】
本発明の活性成分の治療に有効な量は、投与の方式および処置する疾患の重症度に応じて様々となりうる。好ましい治療に有効な量は、当分野における一般技術者によって、様々な要素に基づき(たとえば、臨床試験を通して)選択することができる。そのような要素としては、限定はしないが、生物学的利用能、代謝、半減期などの、活性成分の薬動学的パラメーター、疾患の重症度、患者の体重、患者の免疫状態、投与などを挙げることができる。一般に、活性成分を、約0.00001mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約0.0001mg~約10mg/kgの用量で毎日投与すると、申し分のない効果が得られる。たととば、処置条件の緊急性に応じて、いくつかの分割用量を毎週投与してもよいし、または用量を比例的に減らしてもよい。
【0144】
本発明の薬学的に許容される担体としては、限定はしないが、食塩水、デキストロース、グリセロール、マンニトール、トレハロース、シクロデキストリン、アルミニウムアジュバント、尿素、リポソーム、脂質、油、タンパク質、タンパク質-抗体複合体、ペプチド、セルロース、ナノ粒子、ナノゲル、および他の組合せを挙げることができる。担体は、ことごとく当分野における一般技術者によく知られているとおり、投与の方式に合わせるべきである。
【0145】
本発明はまた、微生物感染症および持続性感染症(たとえば、ウイルス感染症)または腫瘍を含む疾患を予防および/または処置するための医薬組成物の使用も提供する。
【0146】
ワクチン組成物
本発明のワクチン組成物は、予防的になる(感染症を予防する)場合もあり、治療的になる場合もある。ワクチン組成物は、免疫原性抗原(タンパク質抗原など)を含み、担体特異的な抗体を誘導しない「薬学的に許容される担体」と組み合わせられる。適切な担体は、通常、大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子、たとえば、水酸化アルミニウム、デキストロース、マンニトール、トレハロース、シクロデキストリン、担体タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、油滴やリポソームなどの脂質凝集体、および/またはこれらのいずれかの組合せである。これらのベクターは、当分野における一般技術者によく知られている。加えて、こうしたベクターは、免疫刺激薬(「アジュバント」)として機能する。抗原は、細菌毒素(ジフテリア、破傷風、コレラ、ジフテリアCRM197などのトキソイド)または担体タンパク質(HPV16またはHPV18からのL1、メルケル細胞ウイルスからのVP1、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン)と接合することもできる。
【0147】
上で言及した本発明の免疫刺激薬に加えて、ワクチン組成物に同じく加えることのできる、免疫原性組成物の効果を高める他のアジュバントとして、限定はしないが、(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム、(2)(a)MF59(WO90/14837を参照されたい)、(b)SAF、(c)Ribi(商標)アジュバント系(RAS)などの、水中油エマルション製剤、(3)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)、(4)TLRアゴニスト、たとえば、CpG、MPL、ポリI:C、Pam3Cys、フラジェリン、レシキモド、(5)インターロイキン(IL-1、IL-2およびIL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)や腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン、(5)コレラ毒素CT、百日咳毒素PT、大腸菌易熱性毒素LT、たとえば、WO93/13302およびWO92/19265などの、細菌性ADPリボシル化毒素解毒変異体、ならびに(6)組成物の有効性を高める他の物質を挙げることができる。
【0148】
一実施形態では、ワクチン組成物は、抗原などの免疫原性組成物と、薬学的に許容される担体と、アジュバントとを含み、通常は、水、食塩水、グリセロール、緩衝液などの希釈剤を含有する。加えて、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質も含まれる場合がある。
【0149】
より詳細には、免疫原性組成物を含むワクチンは、免疫学的に有効な量の免疫原性ポリペプチド、ならびに所望される他の上述の成分を含有する。「免疫学的に有効な量」とは、対象に一用量としてまたは連続的な投与量の一部として投与される量が、処置または予防に有効であることを意味する。その量は、個体の健康および生理機能、個体の種類(たとえば、ヒト)、個体の免疫系の抗体産生能、所望の防御の程度、ワクチンの製剤、医師による医学的状態の評価、および他の関連要素に応じて様々となりうる。この量は、比較的広い範囲内になり、型通りの実験によって求めることができると予想される。
【0150】
一般に、ワクチン組成物または免疫原性組成物は、注射として、たとえば、液体の溶液または懸濁液として製剤することができ、注射前に溶液または懸濁液として調製するのに適する固体形態として製造することもできる。製剤は、アジュバント効果を高めるために、乳化してもよいし、またはリポソームに封入してもよい。
【0151】
加えて、本発明のワクチン組成物は、一価または多価である場合がある。
【0152】
投与経路および投与量
組成物は、対象に直接投与することができる。対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である場合があり、好ましくはヒトである。ワクチンとして使用するとき、本発明の組成物は、知られているいずれかの方法を使用して、個体に直接投与することができる。こうしたワクチンは、従来のワクチンで使用されるのと同じ経路を使用して、かつ/または病原体の感染を模倣して投与されるのが普通である。
【0153】
本発明の医薬組成物またはワクチン組成物の投与経路としては、限定はしないが、筋肉内、皮下、皮内、肺内、静脈内、鼻腔内、経膣、経口、または他の非経口投与経路を挙げることができる。所望であれば、投与経路は、疾患の状態に従って、組合せ、または調整してもよい。ワクチン組成物は、1回で、または複数回で投与することができ、免疫を惹起および/または維持するための追加免疫用量の投与を含む場合がある。
【0154】
ワクチンは、「治療に有効な量」で与えられるべきであり、すなわち、ワクチンの量は、選択された投与経路で免疫応答を惹起するのに十分であり、宿主のウイルス感染からの防御を有効に促進しうる。
【0155】
各用量について選択される抗原の量は、有意な副作用なく防御応答を誘発することになる量に基づく。一般に、宿主細胞の感染後、各用量は、約0.1μg~約10000μg、好ましくは約1μg~約100μg、より好ましくは約10μg~約50μgのタンパク質抗原を含有する。特定のワクチンについての最適な投与量を求めるには、対象における抗体力価および他の反応を、標準の方法として使用することができる。追加免疫用量が必要であるかの判定には、免疫のレベルを使用することができる。血清中の抗体力価またはPBMCのT細胞機能を評価した後、追加免疫用量が必要となる場合がある。アジュバントおよび/または免疫刺激薬の投与によって、本発明の抗原に対する免疫応答が増大する場合がある。好ましい方法は、免疫原性組成物を、注射によって皮下または筋肉内経路から投与することである。
【0156】
本発明について、以下で詳細な実施例に関連してさらに記載する。こうした実施例は、本発明を例証するために使用するにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。以下の実施例では、通常は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(ニューヨーク州Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載されているものなどの従来の条件、または製造者が推奨する条件に従って、実験方法の詳細な条件を示さなかった。別段指摘しない限り、百分率および部には、重量で言及する。
【0157】
材料および方法
1.実験動物および細胞株
6~8週齢のC57BL/6雄マウスを、Huafukang Laboratory Animal Co.Ltd(中国北京)から購入した。すべてのマウスを、環境が制御された条件で収容した。5匹のマウスを1つのケージに入れ、各ケージにおいて個別に換気した。すべての手順を、施設内の動物使用および保護委員会(animal use and care committee)の承認を得て実施した。
【0158】
DC2.4細胞は、C57BL/6骨髄由来樹状細胞である。
【0159】
2.主な試薬
本発明の実施例において使用した主な試薬を表1に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
3.抗体
本発明の実施例において使用した主な抗体を表2に示す。
【0162】
【表2】
【0163】
4.動物群および免疫化戦略を表3に示す。
【0164】
【表3】
【0165】
5.マウス血液採取および血清調製
眼窩静脈叢から約200μLの血液を採取した。採取した血液を37℃で40分間インキュベートし、4℃で30分間3000rpmで遠心分離した。血清を集め、使用に向けて-80℃で貯蔵した。
【0166】
6.ELISAによる特異的抗体力価検出
抗原を2μg/mLに希釈して、4℃で終夜プレートをコートした。試験するマウス血清を10倍勾配希釈によって希釈し、希釈された血清100μlを各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした。37℃で1時間の200μl/ウェルの二次抗体インキュベーション。37℃で15分間のTMB反応。サンプルのOD値に従って、抗原特異的IgGの力価を算出した。
【0167】
7.遅延型過敏症(DTH)試験
マウスに、対応する薬物100μLを皮下注射した。最後の免疫化後7日目に、マウス足蹠に、微量注射器を使用してHBsAg(10μg/10μL)を注射し、対照としてPBS 10μLを右足蹠に注射した。注射後、24時間、48時間、および72時間の時点で、それぞれ、ノギスを使用して足蹠厚を測定した。同じ部位を3回測定し、平均した。DTH式:DTH腫脹厚(mm)=左足蹠厚(mm)-右足蹠厚(mm)。
【0168】
8.フローサイトメトリーによる細胞内サイトカインの検出
マウス脾臓を無菌的に取り出し、単細胞懸濁液へと調製した。細胞を1×10細胞/mlに調整した。HBsAg(最終濃度10μg/ml)を加えて、脾臓細胞を37℃で18時間刺激し、最後の6時間にかけて、ブレフェルディンA(BFA)によってブロックし、ホルボールエステル(PMA)100ng/mlおよびイオノマイシン1μg/mlを陽性対照とした。50μLの染色系に適切な蛍光抗体を加え、細胞表面抗体を4℃で30分間染色し、次いで、細胞内サイトカイン抗体を4℃で1.5時間インキュベートした。BDフローサイトメトリーによる検出結果を、FlowJo7.6ソフトウェアを使用して分析した。
【0169】
9.カルボキシフルオレセイン二酢酸スクシンイミジルエステル(CFSE)によるT細胞増殖アッセイ
マウス脾臓を無菌的に取り出し、単細胞懸濁液へと調製した。細胞を1×10細胞/mlに調整した。HBsAg(最終濃度10μg/ml)を加えて、脾臓細胞を37℃で72時間刺激し、抗CD3および抗CD28(最終濃度1μg/mL、最終濃度100ng/mL)を陽性対照とした。細胞を抗CD3、抗CD4、および抗CD8で染色した。T細胞の増殖をフローサイトメトリーによって検出した。結果をFlowJo7.6ソフトウェアによって分析した。
【0170】
10.DC2.4細胞試験
1×10細胞/ウェルのDC2.4細胞を6ウェルプレートに播いた。5%CO2中にて、細胞を、それぞれ、LPS(1μg/mL)、GM-CSF1μg/mL)、IFN-α(100IU/mL)、GM-CSF/IFN-αによって37℃で72時間刺激し、最後の6時間にかけてブレフェルディンA(BFA)を加えた。DCを72時間培養した後、表面分子CD11b、CD80、CD86、MHC-I、MHC-II、および細胞内サイトカインIL12を染色し、細胞をフローサイトメトリーによって検出した。
【0171】
11.in vitro細胞毒性溶解アッセイ
マウス脾臓を無菌的に取り出し、単細胞懸濁液へと調製した。エフェクター細胞を、HBsAgのCTLペプチド(10μg/mL)によって37℃で72時間濃縮した。ターゲット細胞を、HBsAgのCTLペプチド(10μg/mL)によって1時間刺激した。エフェクター細胞のターゲット細胞に対する比は、50:1とした。反応後、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で染色し、フローサイトメトリーによって検出した。
【0172】
12.in vivo細胞毒性溶解アッセイ
未処置C57BL/6ドナーマウスからの脾細胞を15mMのCFSEで標識し、1mg/mLのS208-215で瞬間標識した(CFSE高ターゲット細胞として定める)。非HBVターゲット対照として、等画分の脾細胞を1mMのCFSEで標識し、1mg/mLのOVA257-264で瞬間標識した(CFSE低ターゲット細胞として定める)。4回目のワクチン接種後14日目に、CFSEとCFSE細胞の1:1の比の混合物を、免疫化されたレシピエントに、マウス1匹あたり2×10細胞で、静脈内養子移入した。8時間後、脾細胞をレシピエントから単離し、CFSE蛍光強度を分析した。
【0173】
13.免疫組織化学(IHC)分析
4回目の免疫化後14日目に、解剖された肝臓サンプルを集め、4%パラホルムアルデヒドで3日間固定した後、パラフィン蝋に包埋し、切断して厚さ5~10mmの薄片とした。肝臓切片は、組織学分析用に、ヘマトキシリン-エオシンで染色し、IHC分析用に、ポリクローナルウサギ抗体と共にインキュベートした。
【0174】
14.統計分析
統計分析は、スチューデントt検定を使用して行い、0.05未満のP値を有意であると考えた。
【実施例1】
【0175】
IFN-α/GM-CSF/VACCINEは、野生型マウスにおいて液性および細胞性免疫を誘発する
1.1 GM-CSFとIFN-αとVACCINEの最適な用量比
3×GM-CSF+VACCINEレジメンと同じ免疫療法効果を実現する、GM-CSFとIFN-αとVACCINEの最適な用量比を明らかにするために、GM-CSFとIFN-αとVACCINEの様々な用量比を調べた。本発明者らは、10μgのGM-CSFと10,000IUのIFN-αを1μgのVACCINEと混合したレジメンの用量比において、CD11bCD11c細胞の数が、他の比に比べて有意に高かったことを見出した(図1A)。本発明者らは、動物において、10μgのGM-CSFと10,000IUのIFN-αを1μgのVACCINEと混合したものによって誘発されたDTH応答が、3×GMCSF+VACCINEと同じレベルに達し、他の用量比より有意に高かったことを見出した(図1B)。本発明者らはまた、そのような用量比のGM-CSF/IFN-α/VACCINEレジメンによって、3×GM-CSF+VACCINEに匹敵する最高レベルの高HBsAgが実現されたことも見出した(図1C)。これらの結果は、10μgのGM-CSFと10,000IUのIFN-αと1μgのVACCINEを用いたレジメンが、最適な用量比であることを示している。
【0176】
詳細には、本実施形態では、6~8週齢の雄C57B/L6マウスを選択する。
【0177】
最初の実験については、3種の用量のGM-CSF(10μg、20μg、および30μg)、3種の用量のIFN-α(100IU、1,000IU、10,000IU)、およびHBVワクチン1μgをそれぞれ選択し、3種の成分を混合し、0日目および14日目に2回免疫化を行った。免疫化後1、2、および3日目に末梢血サンプルを採取し、DCの変化を検出し、分析した。21日目に、DTHおよびHBsAbのレベルを検出した。実験結果から、末梢血におけるCD11bCD11cDCの比率ならびにDTHおよび抗HBsAg応答のレベルが、10μgのGM-CSFと10,000IUのIFN-αと1μgのHBVワクチンの組合せによって有意に増大したことが示された(図1)。CTL応答および抗HBsAg抗体レベルは、同じ現象を示した(データは示さない)。
【0178】
先行する実験では、10μgのGM-CSF濃度が選択されたうち最低であり、第2用量を発見する実験には、5μgのGM-CSFを加えた。同様に、より高い100,0000IUのIFN-α用量を、第2用量を発見する実験に加えた。結果を図2に示す。5μgのGM-CSFの種々の用量のIFN-αとの組合せによるCD11bCD11cDCの比率および抗HBsAgのレベルおよびDTH応答は、10μgのGM-CSFを他の用量のIFN-αと組み合わせたものより低かった。驚いたことに、100,000IUのIFN-αを種々の用量のGM-CSFと組み合わせたものは、10,000IU以下のIFN-αの組合せより、CD11bCD11cDCの比率ならびにDTHおよび抗HBsAgのレベルに、有意な抑制効果をもたらした。この結果は、マウス免疫化に最適な用量比が、GM-CSFについては10ug、IFN-αについては10,000IUであることを示している。
【0179】
1.2 成分の加工処理が免疫応答に与える効果
実験には、(GM-CSFとIFN-αとHBVワクチンを免疫化の直前に混合する)プランA群、および(GM-CSFとIFN-αとHBVワクチンを混合し、免疫化の前に4℃で12時間保管する)プランB群を含めた。各群を0日目と14日目に2回免疫化し、免疫化後1、2、および3日目に、末梢血およびリンパ節中のDCを試験し、21日目に抗HBsAgレベルを検出した。結果から、プランAおよびB群両方において、末梢血からのCD11bCD11cDCの比率が、PBS対照に比べて有意に高かった(P<0.01)ことが示された。しかし、プランB群の方が、プランA群より高かった(図3A)。プランAでは、局所リンパ節中のCD11bCD11cDCの割合が有意に増加しなかったが、プランBでは、局所リンパ節中のCD11bCD11cDCの割合が有意に増加した(図3B)。加えて、プランA群による抗HBsAg抗体の誘導は、プランB群より低かった(2136±165.2mIU/mL対3094±126.6mIU/mL、P<0.01、図3C)。これらの結果は、GM-CSF、IFN-α、およびワクチンの各成分の混合加工処理は、免疫化前に4℃で少なくとも12時間保管することがより有利であることを示している。
【0180】
1.3 免疫化後のマウスDTH反応
細胞性免疫のレベルは、B型肝炎ウイルスを一掃する能力とに正の相関が認められるため、細胞性免疫は、慢性B型肝炎の処置において重要な役割を果たす。DTH試験は、細胞性免疫の最も好都合かつ直接的な評価である。図4Aにあるとおりに示される免疫化戦略に基づき、HBsAgをマウス足蹠に注射して、表3に示した異なるレジメンで免疫化した野生型マウスのDTH応答を試験した。結果から、VACCINEのみ、IFN-α/VACCINE、GM-CSF/VACCINE、3×GM-CSF+VACCINE、IFN-α/GM-CSF/VACCINEのすべてにおいてDTH応答を誘発することができたことが示された(図4B)。異なるレジメンを比較する統計分析として(図4C)。DTH応答は、24時間の時点で、3×GM-CSF/VACCINEまたはIFN-α/GM-CSF/VACCINEの動物において最も強く実現され、他の群より有意に高かった(P<0.01)。しかし、3×GM-CSF/VACCINE免疫化とIFN-α/GM-CSF/VACCINE免疫化とに有意差はなく(P>0.05)、2つのレジメンによって、同様のレベルの細胞性免疫が誘導されうることが示唆された。IFN-α/GM-CSF/VACCINEの単一製剤が使用しやすいことを考慮すると、IFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンを使用することは、ワクチン前のGM-CSFによる3日間の予備処置(3×GM-CSF/VACCINE)より有利である。
【0181】
1.4 IFN-α/GM-CSF/VACCINEの液性免疫に対する効果
防御抗体の産生は、ワクチン効力を評価する究極の判断基準であるとみなされる。
【0182】
本発明者らは、各レジメンで免疫化後、抗HBsAg抗体(HBsAb)の力価を試験した。結果から、未処置マウス、GM-CSF、IFN-α、およびIFN-α/GM-CSFによる免疫化では、HBsAbが誘導されなかったことが示された。VACCINE、GM-CSF/VACCINE、IFN-α/GM-CSF/VACCINE、および3×GM-CSF/VACCINEでは、種々のレベルのHBsAbが誘導された。IFN-α/GM-CSF/VACCINE群におけるHBsAbのレベル(2749±238.9IU/L)は、3×GM-CSF/VACCINE群におけるレベル(3016±196.2IU/L)よりわずかに低かったが、統計的有意差はなかった(P>0.05)。これら2つの群からのHBsAbのレベルは、VACCINE群(918.4±43.28IU/L)、GM-CSF/VACCINE群(1665±45.94IU/L)、およびIFN-α/VACCINE群(1902±76.93IU/L、図2A)に比べて、有意に増大していた。加えて、データからは、GM-CS/VACCINE群およびIFN-α/VACCINE群が、VACCINE群より多くのHBsAbを産生しうることも示された(P<0.01)。結果は、3×GM-CSF+VACCINEとIFN-α/GM-CSF/VACCINEの両方の群において、より高いレベルの防御HBsAbが誘導されうることを示している。
【0183】
IgG2a/IgG1の比は、Th1またはTh2極性化に対する宿主免疫応答の評価に使用することができる。図5Bおよび5Cに示されるとおり、他の免疫群に比べて有意に高いIgG2a:IgG1比は、IFN-α/GM-CSF/VACCINE群および3×GM-CSF+VACCINE群と関連付けられ(P<0.05)、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEがTh1型の応答をより多く促進するレジメンであることが示唆された。
【0184】
1.5 IFN-α/GM-CSF/VACCINEの細胞性免疫に対する効果
HBsAg特異的DTHおよびIgG1/IgG2aについての先行する結果において、本発明者らは、IFN-α/GM-CSF/VACCINE群および3×GM-CSF/VACCINE群がすべて、細胞性免疫を効率よく促進しうることを見出したが、細胞性免疫の重要性は、ウイルス感染を一掃することである。
【0185】
HBsAg特異的な細胞性免疫のレベルを、異なるレジメンにおいてさらに調べた。結果から、CD4+T細胞のIFN-γ、IL-4、およびIL-17(図6C)ならびにCD8+T細胞のIFN-γ(図6D)の誘導のレベルが、IFN-α/GM-CSF/VACCINE群および3×GM-CSF+VACCINEにおいて、他の群より有意に高かった(P>0.05)ことが示された。IFN-α/GM-CSF/VACCINE群と3×GM-CSF+VACCINE群とに有意差は認められず、両方のレジメンが、T細胞に同様のレベルのサイトカインを産生させうることが示唆された。
【0186】
1.6 免疫化後のT細胞増殖
Tリンパ球増殖は、細胞性免疫応答の重要な部分である。特有のレベルのT細胞増殖は、特定の抗原に対する免疫を反映する。この研究では、CFSE標識法を使用して、HBsAgに対するT細胞増殖を試験した。
【0187】
データは、IFN-α/GM-CSF/VACCINE群におけるCD4+T細胞増殖の誘導のレベルが、3×GM-CSF+VACCINEと比較して差がない(P>0.05、図7A)ものの、他の群より有意に高かった(P<0.01)ことを示している。CD8+Tリンパ球増殖レベルについては、IFN-α/GM-CSF/VACCINE群が、GM-CSF/VACCINE群、GM-CSF群、およびVACCINE群より有意に高い(P<0.05)ものの、3×GM-CSF+VACCINE、IFN-α/GM-CSF、およびIFN-α/VACCINE群とには差がなかった(P>0.05、図7B)。このことから、IFN-α/GM-CSF/VACCINEは、3×GM-CSF+VACCINEが誘発したのと同様のレベルで、Tリンパ球増殖も有意に促進することができる。
【0188】
1.7 in vitro CTLアッセイ
CD8+細胞溶解性細胞(CTL)は、任意の治療用ワクチンの機能を評価するための鍵となる要素である。HBV持続性感染症に関しては、HBV抗原に特異的なCTLが、感染した細胞からHBVを除去する主要な力であると考えられる。この研究において、本発明者らは、異なる群からのCD8+T細胞の細胞毒性を、in vitro CTLアッセイを使用して調べた。結果は、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEによって誘導されたCTLのレベルが、他の方法より20%高かったことを示している(P<0.01、図8)。
【0189】
1.8 抗原提示細胞(APC)の効果
先行する実験において、本発明者らは、IFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンによって、液性および細胞性免疫応答をより良好に刺激できることを見出しており、このレジメンが、抗原提示細胞(APC)を効率よく活性化する可能性があることが示唆された。APC、特に樹状細胞(DC)は、生得免疫応答と適応免疫応答とを結び付ける決定的な役割を果たす。したがって、本発明者らは、IFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンが、DCの機能に大きな影響を及ぼしうるという仮説を立てた。
【0190】
まず、本発明者らは、ネズミ骨髄由来のDC2.4細胞をin vitroで試験し、IFN-α/GM-CSFによる処置によって、DCによるIL-12の分泌を、IFN-αまたはGM-CSFのみに比べて有意に向上させることができたことを見出した(図9B)。in vivo実験で、本発明者らは、マウスにおいて、IFN-α/GM-CSF/VACCINEまたは3×GM-CSF+VACCINE免疫化後21日目に、血清IL-12p70の濃度が、他の群により有意に増大したことも見出した(図9C)。
【0191】
さらに、本発明者らは、IFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンによって誘導された、CD11bCD11cDCの頻度および絶対数、CD80およびMHC-IIの発現が、IFN-α/GM-CSF、IFN-α/VACCINE、GM-CSF/VACCINE、またはVACCINE群より有意に高かったことを観察した(P<0.05)。こうした誘導された変化は、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINE群において、これら2つのレジメン間に有意差はないとはいえ、最高になった(図10)。
【0192】
1.9 in vivo単核細胞アッセイ
先行する結果に示されるとおり、本発明者らは、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEレジメンによって、DCの数および機能を有意に伸ばすことができたことを証明した。通常、DCは、一定の数で存在する。単球は、異なるサイトカインのもとでマクロファージまたは樹状細胞へと分化し続けることができるため、増加するCD11bCD11cDC数の供給源は、単球の変換によるものであると思われる。IFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンによってin vivoで単球がDCに変換されたかを探るために、動物を種々のレジメンで免疫化し、その単球を免疫化の前後に分析した。データは、IFN-α/GM-CSF/VACCINEまたは3×GM-CSF+VACCINEレジメンで処置した末梢血からのCD11bLy6C単球の数が、他のレジメンによる数より有意に高かったことを示している(P<0.05)。同時に、こうした単球上でのCD80およびMHC-IIの発現も、有意に増加した(図11)。加えて、免疫化後21日目において、ELISAアッセイによって検出された、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEレジメンからの血清中のMCP-1の濃度も、他の免疫化群より有意に高かった(P<0.05)。
【0193】
1.10 要約
上記実験データから、IFN-α/GM-CSF/VACCINEによって、3×GM-CSF+VACCINE用量と同じ免疫効果を実現できたことが示唆される。最適な用量および製剤としたこのIFN-α/GM-CSF/VACCINEでは、3×GM-CSF+VACCINEの煩雑なプロトコールより、レジメンの使用がより容易になり、したがって、それに優る大きな利点がもたらされる。最適化されたIFN-α/GM-CSF/VACCINEは、臨床での適用において、3×GM-CSF+VACCINEに完全に取って代わり、臨床利益を得ることができる。
【実施例2】
【0194】
IFN-α/GM-CSF/VACCINEは、rAAV-1.3HBVマウスにおいて免疫寛容を崩す
実施例1において、IFN-α/GM-CSF/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEは両方とも、野生型マウスにおいて液性および細胞性応答を刺激して、CD8T細胞のHBV特異的CTL活性を有意に増大させることができる。これらが、慢性B型肝炎における免疫寛容を崩してHBVを一掃しうるかを試験するために、本発明者らは、新たな動物モデルを採用した。このモデルにおいて、本発明者らは、1.3コピーのHBVゲノムを保有する組換え型アデノ随伴ウイルス(AAV)(AAV8-1.3HBV)を感染させて、HBVによって誘導された免疫寛容を確立し、このモデルを使用して、最適化されたIFN-α/GM-CSF/VACCINEレジメンの効力を評価した。
【0195】
2.1 rAAV-1.3HBVマウスモデルの樹立および検証
rAAV-1.3HBV組換え型ウイルスが雄C57BL/6マウスに感染しうるかどうかを検証するために、1×10pfu/mlのウイルスを尾静脈から注射することによりモデルを樹立した。データは、血清サンプルが、感染した後、陽性としてのHBeAg(S/CO>1)、667.9±80.39IU/mLのHBsAg、および205.6±28.92コピー/mLのHBV-DNAを含有していたことを示しており、これらは、PBS対照群より有意に高かった(P<0.0001、図12)。感染したマウスからのアラニンアミノ基転移酵素(ALT)のレベルは、20.81±1.72U/Lであり、PBS対照群(22.01±1.47U/L)とに統計的な差はなかった。免疫組織化学(IHC)の結果は、HBcAg陽性が、rAAV-1.3HBVウイルスで感染させた肝細胞においてのみ観察され、心臓および腎臓ではHBcAg陽性細胞が見出されなかったことを示した。H&Eの結果は、rAAV-1.3HBVで感染させた肝臓細胞のサイズは、より大きくなったが、心筋細胞および腎細胞では明らかな変化が見出されなかったことを示した。
【0196】
2.2 rAAV-1.3HBVマウスモデルモニタリング
ウイルス残存性を評価するために、本発明者らは、ウイルス感染後12週間(wpi)かけてマウスを継続的にモニターした。HBsAgおよびウイルスDNAの発現は、12wpiにかけて有意に減少することなく安定したままとなった(図13)。加えて、この期間にかけての血清ALTレベルは、PBS群とに有意差がなく、rAAV-1.3HBVが雄C57BL/6マウスにおいて持続性感染を引き起こしうることが示唆された。
【0197】
2.3 B型肝炎マウスのGM-CSF/IFN-α/VACCINE処置
最適化されたレジメンによって、こうしたマウスからB型肝炎ウイルス感染を一掃することができるかを試験するために、本発明者らは、GM-CSF/IFN-α/VACCINE用に最適化された免疫化戦略を、rAAV8-1.3HBVで感染させたマウスの処置に適用した。感染したマウスを、種々のレジメンによって隔週で4回免疫化し、血清サンプルを採取して、示した各時点で分析した。本発明者らは、GM-CSF/IFN-α/VACCINEまたは3×GM-CSF+VACCINE群の血清HBsAgレベルが、他の群に比べて有意に低下し、9wpiの時点の4回の免疫化後に減少したことを観察した(P<0.01、図14)。血清HBeAgレベルは、7wpiの時点で、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方の処置群において、他の群に比べて有意に低下し、一掃された(P<0.01)。GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEのどちらの免疫化によっても、こうした免疫寛容動物において同様かつ強固な治療利益が得られ、両方のレジメンによって、動物モデルにおける持続性HBV感染の一掃につながる活発な抗HBV免疫応答を誘発できることが示唆された。
【0198】
2.4 HBV感染マウスからのDCに対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEの効果
DCは、細胞特異的な細胞性免疫の促進において決定的な役割を果たすため、本発明者らは、GM-CSF/IFN-α/VACCINEが、野生型マウスにおいてCD11bCD11cDCの産生を有意に促進しうることを見出した。したがって、本発明者らはまた、rAAV8-1.3HBV感染マウスにおけるDC産生に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEの効果も調べようとした。
【0199】
GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方のレジメンによって、CD11bCD11cDCの産生を有意に促進することができ、その産生は、他の免疫化群より有意に高かった(P<0.01、図15A~C)。加えて、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEレジメンでは、CD11bCD11cDC上でのCD86、MHC-I、およびMHC-IIの発現も、他の免疫化群より有意に高く誘導された(P<0.05、図15D~E)。GM-CSF/IFN-α/VACCINE処置は、CD11bCD11cDC産生を誘導しうるだけでなく、DCが、こうしたrAAV8-1.3HBV感染マウスにおいて抗原を加工処理する能力も高めうる。
【0200】
2.5 HBV感染マウスにおける単球に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEの効果
GM-CSF/IFN-α/VACCINEは、野生型マウスにおいて、CD11bLy6C単球を有意に促進したことが見出された。したがって、本発明者らは、HBV感染マウスにおける単球に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEレジメンの効果を検証することを試みた。
【0201】
GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方のレジメンによって、GM-CSF、IFN-α、GM-CSF/IFN-α、GM-CSF/VACCINE、およびIFN-α/VACCINE群(P<0.05)、ならびにPBSおよびVACCINE群(P<0.01、図16)に比べて、優秀なレベルのCD11bLy6GLy6ChiおよびCD11bLy6GLy6Clo単球(P>0.05)が誘導された。GM-CSF/IFN-α/VACCINE群および3×GM-CSF+VACCINE群における顆粒球の数は、他の群より有意に多かった(P<0.01)。CD11bLy6GLy6Chi単球は、こうした単球上に、炎症の指標である、高レベルのCCR2hiを誘導することが実証されているのに対し、CD11bLy6GLy6Chi単球は、CCR2lo循環血液中単球(circulating monocytes)と関連付けられている。
【0202】
2.6 ヒト単球のDCへの分化に対するGM-CSF/IFN-αの効果
本発明者らによって、GM-CSF/IFN-α/VACCINEがDCおよび単球の産生を促進しうることが実証されたため、本発明者らは、DCと単球とに直接的な相関関係があるかを試験することとした。このために、ヒトPBMCからのCD14単球を、抗CD14を結合させた磁気ビーズによって単離し、それぞれ、GM-CSF、IFN-α、GM-CSF/IFN-α、およびLPSで刺激した。結果から、GM-CSFおよびIFN-αの両方によって、CD14単球のCD11cDCへの変換を促進することができ、組合せの効果は、これらのいずれか一方より正確であったことが示された。GM-CSFとIFN-αの組合せによって、DC上でのCD80、CD86、HLA-A2、およびHLA-DRの発現を、これらのいずれか一方より助長することもできた。したがって、GM-CSF/IFN-αの組合せは、単球のDCへの変換を促進しうるだけでなく、より重要なことに、DCの成熟および機能性をも助長しうる。
【0203】
2.7 HBV感染マウスにおける細胞性免疫に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEの効果
DTHは、抗原特異的な細胞性応答である。GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEのどちらのレジメンも、24時間の時点で、HBV感染マウスにおけるDTH応答およびほとんどの反応を他の群より有意に惹起しうる(P<0.01)(図17A)。
【0204】
HBV感染マウスにおいて、T細胞増殖は、GM-CSF/IFN-α/VACCINE群および3×GM-CSF+VACCINE群で、他の群に比べて有意に増強された(P<0.01、図17B)。
【0205】
GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方の群が、HBV感染マウスにおいて、高レベル(P<0.01)のIFN-γ産生性CD4T細胞(Th1)およびCD8T細胞(Tc1)、IL-4産生性CD4T細胞を、他の群に優って促進することができた(P<0.01、図17CおよびF)。
【0206】
肝臓組織におけるCD8細胞の免疫組織化学分析によって、本発明者らは、HBV感染マウスにおいて、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方の群で、肝臓へのCD8+T細胞浸潤が他の群より多く誘発されたことを観察することができた(図17G)。
【0207】
in vivo CTLアッセイでは、HBV感染マウスにおいて、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINEの両方の群で、HBVに対するCTLを、他の群に比べて有意に高いレベル(45%)で誘発することができた(図17HI)。
【0208】
2.8 HBVHBV感染マウスにおける液性応答に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEレジメンの効果
rAAV8-1.3HBV感染マウスにおける液性免疫応答に対するGM-CSF/IFN-α/VACCINEレジメンの効果を調べるために、動物を、種々のレジメンによって隔週で4回免疫化し、その抗HBV抗体応答について試験し、HBeAg(図18A)およびHBsAg(図18B)およびHBV-DNA(図18C)の濃度について分析した。本発明者らは、GM-CSF/IFN-α/VACCINEまたは3×GM-CSF+VACCINEのいずれかで4回免疫化した後、他の群に比べて、HBeAgおよびHBsAg両方のレベルが一掃され、血清HBV-DNAレベルが検出限界を下回り、血清ALTが約3倍に増加したことを観察した。GM-CSFとIFN-αの組合せによって、高めのレベルのALTが誘導されたことも認められ、このような組合せでは、肝臓において高めの炎症が誘発されることが示唆された。肝臓免疫組織化学の分析によって、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINE免疫化の後、肝臓におけるHBcAg陽性細胞が、有意に減少していたことが明らかになった(図18E)。加えて、GM-CSF/IFN-α/VACCINEおよび3×GM-CSF+VACCINE免疫化群だけにおいて、抗HBsAg抗体を誘導することができた。抗体サブタイプをさらに調べると、IgG2a:IgG1>1であることが示され、強力な細胞性免疫応答が誘導されたことが示唆された。
【0209】
2.9 Ly6ChiCCR2hi単球の封鎖がGM-CSF/IFN-α/VACCINEレジメンに及ぼす影響
GM-CSF/IFN-a/VACCINEは、rAAV8-1.3HBV感染動物における末梢血中のCD11bLy6GLy6ChiCCR2hi単球を促進することができたため、細胞性および液性応答、最終的にはHBVクリアランスと強く関連付けられた。Ly6ChiCCR2hi単球が、免疫活性化の状況において特段に重要であり、免疫寛容を崩すのかを試験するために、本発明者らは、同じ動物モデルにおいて、CCR2阻害剤を使用してCCR2機能をブロックした。
【0210】
本発明者らは、まず第1に、末梢血からのCD11bLy6ChiCCR2hi単球およびCD11bCD11cDCの比率が、in vivoでCCR2阻害剤(INCB3344)によってブロックした群において、ブロックしていない群より有意に低かったことを見出した(図19A~B)。それに対し、IFN-γ産生性CD8+T細胞および血清ALTは、CCR2阻害剤で処置した動物において、非ブロック群より有意に低かった。さらに、本発明者らは、血清HBsAgおよびHBV-DNAレベルが、CCR2阻害剤で処置した動物またはPBS対照群において少しばかり変化していたことも見出した。最後に、肝臓免疫組織化学の結果からは、CCR2阻害剤で処置した動物において、HBcAg陽性細胞のクリアランスが、非ブロック群に比べて激しく阻害されたことが示された。
【実施例3】
【0211】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、前立腺がんエピトープペプチド配列の1つ(PAP、配列は、配列番号1として示されるCMSAMTNLAALFPPEGである)をワクチン抗原とするために選択した。選択した前立腺がんエピトープペプチド(PAP)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。前立腺がんエピトープペプチド(PAP)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、前立腺腫瘍抗原に対する抗体(図20A)およびDTH(図20B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合PAPワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例4】
【0212】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、乳がんエピトープペプチドの1つ(WT1、配列番号2として示される配列:CYTWNQMNLSLGEQQYSV)をワクチン抗原とするために選択した。選択した乳がんエピトープペプチド(WT1)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。乳がんエピトープペプチド(WT1)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、乳がん抗原に対する抗体(図21A)およびDTH(図21B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合WT1ワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例5】
【0213】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、結腸直腸がんエピトープペプチドの1つ(CEA、配列は、配列番号3として示されるYLSGADLNLCである)をワクチン抗原とするために選択した。選択した乳がんエピトープペプチド(CEA)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。結腸直腸がんエピトープペプチド(CEA)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、結腸直腸がん抗原に対する抗体(図22A)およびDTH(図22B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合CEAワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例6】
【0214】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、結腸直腸がんエピトープペプチドの1つ(E6、配列は、配列番号4として示されるDKKQRFHNIRGRWTGRCMSCCRSSRTRRETQLCである)をワクチン抗原とするために選択した。選択した結腸直腸がんエピトープペプチド(E6)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。結腸直腸がんエピトープペプチド(E6)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、結腸直腸がん抗原に対する抗体(図23A)およびDTH(図23B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合E6ワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例7】
【0215】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、肝細胞癌(HCC)エピトープペプチドの1つ(Trp、配列は、配列番号5として示されるCRPGWRAACNQKILである)をワクチン抗原とするために選択した。選択した肝細胞癌エピトープペプチド(Trp)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。肝細胞癌エピトープペプチド(Trp)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、HCCがん抗原に対する抗体(図24A)およびDTH(図24B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合HCCワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例8】
【0216】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、多発性骨髄腫エピトープペプチドの1つ(MAGE-A3、配列:配列番号6として示されるKVAELVHFLFLWGPRALVC)をワクチン抗原とするために選択した。選択した多発性骨髄腫エピトープペプチド(MAGE-A3)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。多発性骨髄腫エピトープペプチド(MAGE-A3)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、多発性骨髄腫抗原に対する抗体(図25A)およびDTH(図25B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合MAGE-A3ワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例9】
【0217】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、腎細胞癌抗原エピトープペプチドの1つ(hTERT、配列:配列番号7として示されるEARPALLTSRLRFIPKC)をワクチン抗原とするために選択した。
【0218】
選択した結腸直腸がんエピトープペプチド(hTERT)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。結腸直腸がんエピトープペプチド(hTERT)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、腎細胞癌がん抗原に対する抗体(図26A)およびDTH(図26B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合hTERTワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例10】
【0219】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、A型連鎖球菌抗原エピトープペプチドの1つ(J8、配列は、配列番号8として示されるQAEDKVKQSREAKKQVEKALKQLEDKVQCである)をワクチン抗原とするために選択した。選択したA型連鎖球菌抗原エピトープペプチド(J8)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。A型連鎖球菌抗原エピトープペプチド(J8)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、A型連鎖球菌抗原に対する抗体(図27A)およびDTH(図27B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合J8ワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例11】
【0220】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、HIVエピトープペプチドの1つ(C4-V3、配列は、配列番号9として示されるKQIINMWQEVGKAMYARPNCNTRKSIHIGPGRAFYTTGEIICである)をワクチン抗原とするために選択した。選択したHIVエピトープペプチド(C4-V3)を、まず、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)と接合した。それを精製した後、50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。HIVエピトープペプチド(C4-V3)をBSAと接合し、GM-CSF/IFNα-2bおよびアルミニウムアジュバントと共に上述のとおりに製剤した。免疫化の様式は、上で言及したスケジュールおよび経路と同じとした。免疫化から2週間後、抗原特異的な液性応答のレベルを調べるELISAアッセイ用に、マウスの血清サンプルを採取し、遅延型過敏症(DTH)アッセイのために、足蹠に10μgの接合抗原を注射した。本発明者らは、HIV抗原に対する抗体(図28A)およびDTH(図28B)のレベルが、GM-CSF/IFNα-2b/接合C4-V3ワクチンで免疫化した動物において、対照群より有意に高かったことを観察した。
【実施例12】
【0221】
GM-CSF/IFNα-2b/VACCINEの抗腫瘍免疫応答に対する効果を証明するために、本発明者らは、2種の付加的なHBVポリペプチド(配列番号10として示される、コドンが最適化されたPreS、および配列番号11として示されるそのcDNA配列、ならびに、配列番号12として示される、コドンが最適化されたPreS1)をワクチン抗原とするために選択した。
【0222】
50μgの接合抗原を、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。製剤されたワクチンを使用して、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。対照群として、50μgの接合抗原を、アルミニウムアジュバント中に製剤し、BALB/cマウスを、週2回、2回にわたって皮下的に免疫化した。
【0223】
1ugのPreSまたは1ugのPreS1を、それぞれ、10μgのGM-CSFおよび10,000IUのIFNα-2bと4℃で混合し、引き続いて、水酸化アルミニウムアジュバントと共に製剤した。6~8週齢の雌Balb/cマウスを、隔週で3回、それぞれGM-CSF/IFN-α/PreSまたはGM-CSF/IFN-α/PreS1で皮下的に免疫化した。対照群は、PreSまたはPreS1のいずれかのみで免疫化した。各免疫化の前後に、液性応答のレベルをELISAによって検出した。抗PreS1またはPreS特異的抗体のレベルは、図29に示されるとおり、対照より有意に高かった。
【0224】
本発明について、その好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者なら、本発明は、添付の請求項の真意および視野の範囲内で変更を加えて実施してもよいことを認められよう。したがって、本発明は、上述のとおりの実施形態に限定されるべきでなく、本明細書で提供する記述の真意および視野の範囲内にあるそのすべての変形形態および均等物をさらに包含すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16-1】
図16-2】
図17
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図19
図20
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図22
図23
図24
図25
図26
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図28
図29
【配列表】
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