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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】車両用ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/08 20140101AFI20230502BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20230502BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E05B79/08
E05B85/02
B60J5/00 N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021508691
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2019035281
(87)【国際公開番号】W WO2020194791
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2019059814
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 隆雄
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-266027(JP,A)
【文献】特開2013-136361(JP,A)
【文献】特開2015-209663(JP,A)
【文献】特開2017-20226(JP,A)
【文献】特開平10-196182(JP,A)
【文献】特開平7-293081(JP,A)
【文献】特開平8-144602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに配置される電気部品と、
前記電気部品に電気的に接続されると共に、互いに隣接する導電部同士を連結する連結部を有する導電性の薄板により形成されるターミナルと、を備え、
前記導電部が前記連結部の剪断により分断されることにより前記電気部品に係る電気回路を形成する車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングは、前記ターミナルの前記導電部が設置される設置部に対して直角方向に開口する嵌合溝を有し、
前記ターミナルは、前記導電部と、前記導電部の端部にあって直角に折曲形成されて前記嵌合溝に嵌合されるピンとを有し、
前記ピンは、前記ターミナルの端部を180度折り返した折返し部により形成されることを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
前記折返し部は、ターミナルの端部を長手方向に沿って180度折り返されると共に、前記ピンと前記導電部との境目である曲げ部を含んで形成されることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に収容される電気部品に電気的に接続される導電性のターミナルを備えた車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング(筐体)と、ハウジングに収容される電気部品と、電気部品に電気的に接続され、連結部を有する導電性のターミナルとを備え、連結部を介して互いに連結されたターミナルが連結部の剪断により分断されることで、電気部品に係る電気回路が形成されるようにした車両用ドアロック装置にあって、連結部が剪断される際、ターミナルのハウジングに対する位置ずれ(移動)を規制する規制部をハウジングに設けた発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4517914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明は、ターミナルをハウジングに確実に固定するため、ターミナルを所定以上の板厚を有する導電性の板材により形成される。この結果、連結部を剪断する際、ターミナルのハウジングに対する位置ずれを規制部により規制しているものの、連結部を剪断する際、大きな力を要するため、ターミナルのハウジングに対する位置ずれを確実に阻止することは困難であると共に、ターミナルのコスト上昇を招くこととなる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、ターミナルにおける連結部の剪断を容易にし、ターミナルのハウジングへの取付けを確実にし、かつターミナルのコスト低減を可能にした車両用ドアロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに配置される電気部品と、前記電気部品に電気的に接続されると共に、互いに隣接する導電部同士を連結する連結部を有する導電性の薄板により形成されるターミナルと、を備え、前記導電部が前記連結部の剪断により分断されることにより前記電気部品に係る電気回路を形成する車両用ドアロック装置において、前記ハウジングは、前記ターミナルの前記導電部が設置される設置部に対して直角方向に開口する嵌合溝を有し、前記ターミナルは、前記導電部と、前記導電部の端部にあって直角に折曲形成されて前記嵌合溝に嵌合されるピンとを有し、前記ピンは、前記ターミナルの端部を180度折り返した折返し部により形成されることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記折返し部は、ターミナルの端部を長手方向に沿って180度折り返されると共に、前記ピンと前記導電部との境目である曲げ部を含んで形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ハウジングの嵌合溝に嵌合されるターミナルのピンを折返し部により形成したことにより、ターミナルを従来に比して薄い板材により形成しても、ターミナルのハウジングへの取付けを確実すると共に、連結部の剪断を容易にし、かつターミナルのコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る車両用ドアロック装置の正面図である。
図2】車両用ドアロック装置の側面図である。
図3】車両用ドアロック装置の内部構造を示す側面図である。
図4】ハウジングの要部を拡大した側面図である。
図5】スイッチターミナルモジュール及びモータターミナルをハウジングに組み付けた状態の要部の斜視図である。
図6】スイッチターミナルモジュール及びモータターミナルをハウジングに組み付けた状態の要部の側面図である。
図7】(a)スイッチターミナルの斜視図である。(b)スイッチターミナルモジュールの裏側から見た斜視図である。
図8】(a)は、図6におけるA-A線拡大断面図である。(b)は、図8(a)におけるB-B線に相当する断面図である。
図9図6におけるC-C線拡大断面図である。
図10】スイッチターミナルモジュール及びモータターミナルをハウジングに組み付ける際の要部の斜視図である。
図11】モータターミナルの要部の展開斜視図である。
図12】スイッチターミナルモジュール及びモータターミナルのハウジングへの組付けを説明するための要部の断面図であり、(a)はスイッチターミナルモジュール及びモータターミナルの仮組み状態、(b)はスイッチターミナルモジュール及びモータターミナルを組付け装置により押し付けた状態、(c)は連結部を剪断する際の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される車両用ドアロック装置1の正面図、図2は、車両用ドアロック装置1の側面図、図3は、車両用ドアロック装置1の内部構造を示す側面図である。以下の説明における方向の表記は車両を基準とする。車両を基準とした方向は、図面上で適宜上下(Up,Down)、外(Out)(つまり室外側)を矢印で示す。
【0011】
車両用ドアロック装置1は、車両の運転席側のフロントドア(以下、「ドア」という)の内部後端に固定され、ドアを閉鎖状態に保持するためのラッチ2及びラチェット3を有するラッチ機構、及びラッチ2の回転位置を検出するためのラッチスイッチ20が配置されるボディ4と、ボディ4の前面に固定され、後述の構成要素が配置される合成樹脂製のハウジング5とを備える。なお、図3は、ハウジング5内に収容される構成要素を明示するため、ハウジング5の側面を閉塞するためのハウジング5の一部を形成するカバー6を省略した形態を示す。
【0012】
図1に示すように、ラッチ2は、ボディ4内にラッチ軸7に枢支され、ドア閉鎖時に車体側のストライカ(図示略)と噛合する。ラチェット3は、ボディ4内にラチェット軸8に枢支され、ストライカに噛合したラッチ2に係合することにより、ラッチ2の回転を阻止して、ドアを閉鎖状態に保持すると共に、ラッチ2との係合が解除されることで、ドアの開放を可能にする。
【0013】
図2に示すように、カバー6の側面には、車両搭載のバッテリ(図示略)及びECU(Electronic Control Unit)(図示略)等に接続された電線に電気的に接続された外部コネクタ(図示略)が差し込み可能なコネクタ差込口6aが設けられる。コネクタ差込口6aに外部コネクタが差し込まれることにより、外部コネクタの端子とコネクタ差込口6a内に配置される後述のスイッチターミナル18のコネクタピン18b及びモータターミナル19のコネクタピン19bとが互いに電気的に接続される。これにより、ハウジング5内に収容される電気部品であるモータ14にバッテリの電力を給電したり、電気部品であるキースイッチ16、ロックスイッチ17及びラッチスイッチ20の検出信号をECUへ出力可能となる。
【0014】
図3に示すように、ハウジング5内には、構成要素である、ドアの車外側に設けられるドア開操作用のアウトサイドハンドル(図示略)に連結されるアウトサイドレバー9と、ドアの車内側に設けられるドア開操作用のインサイドハンドルに連結されるインサイドレバー10と、ドアの車外側に設けられる施解錠操作用のキーシリンダ(図示略)に連結されるキーレバー11と、キーレバー11の作動に連動して上下動するサブキーレバー11aと、キーレバー11に連結されると共に、アウトサイドハンドルのドア開操作を無効にするロック状態及びアウトサイドハンドルのドア開操作に基づいてラチェット3をリリース作動させてドア開操作を有効にするアンロック状態に切り替え可能とするロックレバー12及びリフトレバー13を含むロック機構(符号無し)と、電動力によりロック機構をロック状態からアンロック状態及びその逆へ切り替え作動させるためのるモータ14と、モータ14の動力をロックレバー12に伝達するためのウォームホイール15と、サブキーレバー11aを介してキーレバー11の作動を検出するためのキースイッチ16と、ロックレバー12の作動を検出するための電気部品であるロックスイッチ17と、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びラッチスイッチ20の検出信号をECUへ出力するための導電材料により形成されるスイッチターミナル18と、バッテリの電力をモータ14へ給電させるための導電材料で形成されるモータターミナル19と、が配置される。
【0015】
なお、ラッチ2、ラチェット3、アウトサイドレバー9、インサイドレバー10、キーレバー11、サブキーレバー11a、ロックレバー12、リフトレバー13及びウォームホイール15は、公知の構造で、かつ本発明に直接関係しないため、これらの詳細説明は省略する。
【0016】
図4は、各ターミナル18、19及び電気部品が組み付けられていない状態のハウジング5の要部を拡大した側面図である。図5は、各ターミナル18、19及び各スイッチ16、17をハウジング5に組み付けた状態の要部の斜視図である。図6は、各ターミナル18、19及び各スイッチ16、17をハウジング5に組み付けた状態の要部の側面図である。
【0017】
図4に示すように、ハウジング5は、主要部として、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びスイッチターミナル18が配置される第1領域部51と、モータターミナル19が配置される第2領域部52と、を有する。
【0018】
第1領域部51には、ハウジング5の配置面(前記構成要素が配置される面)5aに対して直角に外方(図4において手前方向)へ向けて円柱状に突出する複数(実施例では3本)の位置決め突部51aと、コネクタ差込口6aの位置に対応する位置にあって、外方に向けて略T字状に開口する複数(実施形態において6個)のコネクタ嵌合溝51bと、キースイッチ16が配置される領域にあって、外方へ直角に突出する第1突部51c、及び外方に向けて開口する第1凹部51dと、ロックスイッチ17が配置される領域にあって、外方へ直角に突出する第2突部51e、及び外方に向けて開口する第2凹部51fと、スイッチターミナル18の電気回路のパターンに対応する形状で配置面5aから外方へ所定量突出し、かつ配置面5aと平行な面を有する設置部51gと、設置部51g内に設けられる複数のパンチ用凹部51hと、外方に向けて開口する第3凹部51iとが設けられる。
【0019】
第2領域部52には、コネクタ差込口6aの位置に対応する位置にあって、外方へ向けて略T字状に開口する複数のコネクタ嵌合溝52aと、モータ14が配置される領域にあって、外方へ向けて開口する凹部52bと、モータターミナル19の電気回路のパターンに対応するように配置面5aから外方へ所定量突出し、配置面5aと平行な面を有する設置部52cと、設置部52c内に設けられる複数のパンチ用凹部52dとが設けられる。
【0020】
図7(a)は、スイッチターミナル18単体の斜視図である。図7(b)は、スイッチターミナルモジュール(スイッチターミナル18にキースイッチ16及びロックスイッチ17を組み付けた状態)の裏側から見た斜視図である。図8(a)は、図6におけるA-A線拡大断面図である。図8(b)は、図8(a)におけるB-B線に相当する断面図である。図9は、図6におけるC-C線拡大断面図である。
【0021】
図7(a)、(b)に示すように、スイッチターミナル18は、例えば板厚が0.6mmの導電性の薄板の導電材料により形成され、電気回路を形成する複数の導電部18aと、外部コネクタに電気的に接続される複数のコネクタピン18bと、キースイッチ16に電気的に接続される複数のキースイッチピン18cと、ロックスイッチ17に電気的に接続される複数のロックスイッチピン18dと、ラッチスイッチ20に電気的に接続される導電性のターミナル21(図3参照)に電気的に接続されるラッチスイッチピン18eと、互いに隣接する導電部18a同士を連結する複数の連結部18fと、ハウジング5の位置決め突部51aが差し込まれることによりスイッチターミナル18を位置決めする位置決め孔18gとを有し、各導電部18aが各連結部18fの剪断により分断されることで各スイッチ16、17、20に係る電気回路を形成する。
【0022】
導電部18aは、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びラッチスイッチ20に係る電気回路を形成する部分であって、図9に示すように、設置部51gに接触した形態でハウジング5内に配置される。
【0023】
コネクタピン18bは、導電部18aの一端部にあって、設置部51gに対して直角になるように外方へ折曲形成されると共に、第1領域部51のコネクタ嵌合溝51bに嵌合されることにより、コネクタ差込口6aから外部に臨むようにハウジング5に固定される。好ましくは、図8(a)に示すように、コネクタピン18bには幅広の拡幅部18hが形成される。これにより、コネクタピン18bをコネクタ嵌合溝51bに嵌合した状態においては、拡幅部18hがコネクタ嵌合溝51b内に圧入されているため、コネクタピン18bをコネクタ嵌合溝51bに強固に嵌合させることが可能となる。この結果、スイッチターミナル18のハウジング5に対する組付けを確実なものとすることができる。
【0024】
キースイッチピン18cは、導電部18aの他端部にあって、外方へ直角に折曲形成されて、図7(b)に示すように、キースイッチ16の雌型ピン16aに差し込まれることによりキースイッチ16に電気的に接続されると共に、図9に示すように、第1領域部51の第1凹部51dに嵌合することでハウジング5に対して位置決めされる。
【0025】
ロックスイッチピン18dは、導電部18aにおけるキースイッチピン18cと異なる部位の他端部にあって、外方へ直角に折曲形成されて、図7(b)に示すように、ロックスイッチ17の雌型ピン17aに差し込まれることによりロックスイッチ17に電気的に接続されると共に、第1領域部51の第2凹部51fに嵌合することでハウジング5に対して位置決めされる。
【0026】
ラッチスイッチピン18eは、導電部18aにおけるキースイッチピン18c及びロックスイッチピン18dと異なる部位の他端部にあって、外方へ直角に折曲形成されて、ターミナル21を介してラッチスイッチ20に電気的に接続されると共に、第1領域部51の第3凹部51iに嵌合されることでハウジング5に対して位置決めされる。
【0027】
連結部18fは、互いに隣接する導電部18a同士を連結することで、複数の導電部18aを同時にハウジング5に組み付け可能とするものであって、スイッチターミナルモジュールをハウジング5に組付ける際、後述のターミナルカット装置22により剪断されることにより、互いに隣接する導電部18a同士を分断して、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びラッチスイッチ20の電気回路を形成する。
【0028】
位置決め孔18gは、複数の導電部18aのうち最外部の導電部18aに隣接した部分に設けられ、ハウジング5の位置決め突部51aが差し込まれることにより、ハウジング5に対するスイッチターミナル18の位置決めを行う。このように、位置決め孔18gを最外部の導電部18aに隣接した部分に設けることにより、ターミナルカット装置22により連結部18fを剪断する際、位置決め孔18gから突出した位置決め突部51aがターミナルカット装置22の昇降動作を邪魔することがない。
【0029】
なお、図3、5及び図6において、各ターミナル18、19の各連結部18f、19dを塗り潰して示しているが、各ターミナル18、19のハウジング5への組付け完了後は、各連結部18f、19dは剪断されて存在しない。
【0030】
上述により、スイッチターミナル18は、複数のコネクタピン18bがハウジング5の複数のコネクタ嵌合溝51bにそれぞれ圧入状態で嵌合され、複数の位置決め孔18gにハウジング5の複数の位置決め突部51aがそれぞれ差し込まれ、さらに、キースイッチピン18c、ロックスイッチピン18d及びラッチスイッチピン18eがそれぞれハウジング5の第1凹部51d、第2凹部51f及び第3凹部51iに嵌合されることによって、ハウジング5に確実に正規の位置に位置決めされて組み付けられる。特に、外部コネクタに電気的に接続される複数のコネクタピン18bにおいては、複数のコネクタ嵌合溝51bにそれぞれ圧入されて嵌合されるため、正規の位置に確実に固定することができ、外部コネクタとの電気的接続を確実にする。
【0031】
キースイッチ16は、雌型ピン16a及び差込孔16bを有し、雌型ピン61aにスイッチターミナル18のキースイッチピン18cが差し込まれることでスイッチターミナル18に電気的に接続されると共に、ハウジング5の第1領域部51の第1突部51cが差込孔16bに差し込まれることでハウジング5に位置決めされる。
【0032】
ロックスイッチ17は、雌型ピン17a及び差込孔17bを有し、雌型ピン17aにスイッチターミナル18のロックスイッチピン18dが差し込まれることでスイッチターミナル18に電気的に接続されると共に、ハウジング5の第1領域部51の第2突部51eが差込孔17bに差し込まれることでハウジング5に位置決めされる。
【0033】
モータターミナル19は、例えば板厚が0.3mm(スイッチターミナル18の板厚の1/2)の導電性の薄板の導電材料により形成され、2本の導電部19aと、外部コネクタに電気的に接続される2個のコネクタピン19bと、モータ14に電気的に接続される2個のモータピン19cと、互いに隣接する導電部19a同士を連結する2個の連結部19dとを有し、各連結部19dが剪断されることで、互いに隣接する導電部19a同士を分断してモータ14に係る電気回路を形成する。
【0034】
導電部19aは、モータ14に係る電気回路を形成する部分であって、第2領域部52の設置部52cに接触した状態で設置される。
【0035】
コネクタピン19bは、導電部19aの一端部にあって、外方へ直角に折曲形成されると共に、ハウジング5の第2領域部52のコネクタ嵌合溝52aに嵌合されることにより、コネクタ差込口6aから外部に臨むようにハウジング5に固定される。
【0036】
好ましくは、図11に示すように、コネクタピン19bは、その長手方向に沿って矢印α方向へ180度折り返すことで、その部分の板厚が2枚重ねになるようにした折返し部19fを形成し、その後に、折返し部19fを矢印β方向へ直角に折曲することで形成される。折返し部19fは、図9に示すように、導電部19aとコネクタピン19bとの境目である折曲部19eを含んで形成される。このようにすると、モータターミナル19を板厚が0.3mmの薄板を採用しても、コネクタピン19b及び折曲部19eの板厚を、スイッチターミナル18の板厚と同じ0.6mmにできるため、モータターミナル19をハウジング5のコネクタ嵌合溝52aに確実に固定することが可能となる。この結果、コネクタピン19bは、スイッチターミナル18のコネクタピン18bと共に外部コネクタに対して確実に電気的接続される。さにらは、モータターミナル19を板厚の薄い材料で形成されることから、コスト低減を可能にする。
【0037】
次に、図10、12を参照して、スイッチターミナル18及びモータターミナル19のハウジング5への組付け態様及び各連結部18f、19dの剪断態様について説明する。
【0038】
先ず、図10に示すように、スイッチターミナル18においては、ハウジング5に組み付ける前に、予めキースイッチ16及びロックスイッチ17をスイッチターミナル18に電気的に接続して、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びスイッチターミナル18をモジュール化したスイッチターミナルモジュールを形成する。キースイッチ16のスイッチターミナル18に対する電気的接続は、スイッチターミナル18のキースイッチピン18cをキースイッチ16の雌型ピン16aに差し込むことで達成される。ロックスイッチ17のスイッチターミナル18に対する電気的接続は、スイッチターミナル18のロックスイッチピン18dをロックスイッチ17の雌型ピン17aに差し込むことで達成される。
【0039】
次に、図12(a)に示すように、スイッチターミナルモジュールをハウジング5の第1領域部51に仮組みする。仮組みは、スイッチターミナル18の位置決め孔18gにハウジング5の位置決め突部51aを差し込みつつ、スイッチターミナル18の各コネクタピン18bを第1領域部51の各コネクタ嵌合溝51bにそれぞれ軽く嵌合させることで達成される。また、これと同時に、キースイッチ16の差込孔16bにハウジング5の第1突部51cを差し込み、ロックスイッチ17の差込孔17bにハウジング5の第2突部51eを差し込む。これにより、スイッチターミナルモジュールは、ハウジング5に対して仮組みされる。
【0040】
モータターミナル19においては、各コネクタピン19bを第2領域部52の各コネクタ嵌合溝52aにそれぞれ軽く嵌合させる。
【0041】
次に、図12(b)に示すように、ハウジング5に仮組みされたスイッチターミナルモジュール及びモータターミナル19をターミナルカット装置(組付け装置)22により正規の組付け位置に押し付ける。
【0042】
ターミナルカット装置22は、上下動可能な複数の筒状のターミナルクランプ22aと、各ターミナルクランプ22a内で上下動可能なパンチ22bを備える。スイッチターミナルモジュールにおいては、ターミナルクランプ22a及びパンチ22bは、スイッチターミナル18の各連結部18fに対応する位置に設けられる。モータターミナル19においては、ターミナルクランプ22a及びパンチ22bは、モータターミナル19の連結部19dに対応する位置に設けられる。
【0043】
詳しくは、図12(b)、(c)から理解できるように、スイッチターミナルモジュールにおいては、ターミナルクランプ22aは、その環状の先端面が連結部18fを跨いだ形態で、当該連結部18fにより互いに連結された両導電部18a、18aの表面に接触して、両導電部18a、18aを設置部51gに押し付けるような形態で設けられる。パンチ22bは、連結部18fに対応する位置に設けられ、ターミナルクランプ22aが両導電部18a、18aを設置部51gに押し付けている状態で、ターミナルクランプ22aの先端から突出することで連結部18fを剪断し得るように設けられる。
【0044】
モータターミナル19においては、ターミナルクランプ22aは、その環状の先端面が連結部19dを跨いだ形態で、当該連結部19dにより互いに連結された両導電部19a、19aの表面に接触して、両導電部19a、19aを設置部52cに押し付けるような形態で設けられる。パンチ22bは、連結部19dに対応する位置に設けられ、ターミナルクランプ22aが両導電部19a、19aを設置部52cに押し付けている状態で、ターミナルクランプ22aの先端から突出することで連結部19dを剪断し得るように設けられる。
【0045】
スイッチターミナルモジュールがターミナルクランプ22aにより正規の組付け位置に押し付けられた状態においては、ハウジング5の位置決め突部51aがスイッチターミナル18の位置決め孔18gに完全に差し込まれ、スイッチターミナル18のコネクタピン18bが第1領域部51のコネクタ嵌合溝51bに完全に嵌合し、各導電部18aがパンチ用凹部51hを跨ぐように設置部51gに押し付けられ、連結部18fがパンチ用凹部51h上に位置し、キースイッチピン18cが第1凹部51dに嵌合し、ロックスイッチピン18dが第2凹部51fに嵌合し、ラッチスイッチピン18eが第3凹部51iに嵌合する。
【0046】
モータターミナル19においては、コネクタピン19bが第2領域部52のコネクタ嵌合溝52aに完全に嵌合し、導電部19aが第2領域部52の設置部52cに押し付けられ、連結部19dが第2領域部52のパンチ用凹部52d上に位置し、モータピン19cが第2領域部52の凹部52bに嵌合する。
【0047】
図12(b)に示す状態からターミナルカット装置22がさらに下降すると、図12(c)に示すように、スイッチターミナルモジュールにおいては、ターミナルクランプ22aが両導電部18a、18aを設置部51gに押し付けつつターミナルクランプ22aの先端からパンチ22bが突出し、当該パンチ22bにより連結部18fが剪断される。これにより、各導電部18aが分断されて、キースイッチ16、ロックスイッチ17及びラッチスイッチ20に係る電気回路が形成される。
【0048】
連結部18fを剪断する際、従来技術にあってはスイッチターミナル18の位置がずれてしまう虞があるが、本実施形態においてはそのようなことはなく、連結部18fを確実かつ正確に剪断できる。その理由は、ターミナルクランプ22aの先端面が連結部18fを跨いた形態で、連結部18fにより互いに連結された両導電部18a、18aを設置部51gに押し付けていること、位置決め突部51aが位置決め孔18gに差し込まれていること、コネクタピン18bがコネクタ嵌合溝51bに嵌合していることにある。
【0049】
また、モータターミナル19においては、連結部19dにより互いに連結された両導電部19a、19aを設置部52cに押し付けつつターミナルクランプ22aの先端からパンチ22bが突出し、当該パンチ22bにより連結部19dが剪断される。これにより、各導電部19aが分断されて、モータ14に係る電気回路が形成される。この場合、連結部19dを剪断する際、モータターミナル19における連結部19dの板厚が従来に比して0.3mmと薄いため、連結部19dの剪断を容易に行うことができる。
【0050】
モータターミナル19をハウジング5に組付けた後、モータ14は、そのハウジングの底面に設けた雌型ピン(図示略)にモータピン19cを差し込むことでモータターミナル19に電気的に接続される。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0052】
(a)前記実施形態においては、スイッチターミナルモジュール及びモータターミナル19のハウジング5に対する組付け作業を同時に行うものとしたが、これに代えて別々に行うものとする。
(b)モータターミナル19のコネクタピン19bに適用した折返し部19fの技術を、スイッチターミナル18の複数のピンのいずれかに適用する。
(c)連結部18fはパンチ22bによって剪断されるが、その折損片はパンチ用凹部51hに圧入されてそのまま固定されてもよいし、吸引などの除去手段によって除去されてもよい。また、連結部18fは、剪断によって隣接する2つの導電部18aを切り離すとともに折れ曲がり、いずれか一方の導電部18aとつながったままとしてもよい。すなわち、本願における連結部の剪断とは、折損片が発生する場合と発生しない場合とを含む。
【符号の説明】
【0053】
1 車両用ドアロック装置 2 ラッチ
3 ラチェット 4 ボディ
5 ハウジング 5a 配置面
51 第1領域部 51a 位置決め突部
51b コネクタ嵌合溝 51c 第1突部
51d 第1凹部 51e 第2突部
51f 第2凹部 51g 設置部
51h パンチ用凹部 51i 第3凹部
52 第2領域部 52a コネクタ嵌合溝
52b 凹部 52c 設置部
52d パンチ用凹部 6 カバー
6a コネクタ差込口 7 ラッチ軸
8 ラチェット軸 9 アウトサイドレバー
10 インサイドレバー 11 キーレバー
11a サブキーレバー 12 ロックレバー
13 リフトレバー 14 モータ(電気部品)
15 ウォームホイール 16 キースイッチ(電気部品)
16a 雌型ピン 16b 差込孔
17 ロックスイッチ(電気部品) 17a 雌型ピン
17b 差込孔 18 スイッチターミナル
18a 導電部 18b コネクタピン
18c キースイッチピン(電気部品ピン)
18d ロックスイッチピン(電気部品ピン)
18e ラッチスイッチピン(電気部品ピン)
18f 連結部 18g 位置決め孔
18h 拡幅部 19 モータターミナル
19a 導電部 19b コネクタピン
19c モータピン(電気部品ピン) 19d 連結部
19e 折曲部 19f 折返し部
20 ラッチスイッチ 21 ターミナル
22 ターミナルカット装置(組付け装置)22a ターミナルクランプ
22b パンチ
図1
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図12