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  • 特許-被膜の製造方法 図1
  • 特許-被膜の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】被膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20230502BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230502BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230502BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230502BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230502BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/87
A61K8/34
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/33
A61K8/37
A61K8/891
A61Q1/00
A61Q1/02
A61Q17/04
A61Q19/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018079734
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2018177794
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2017082073
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元章
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-506470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0058880(US,A1)
【文献】特開2005-350466(JP,A)
【文献】特表2016-503037(JP,A)
【文献】特表2005-527548(JP,A)
【文献】ID 600036, Air Touch Foundation,2006年10月,p.1-7,http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/600036/from_search/WXRZkNFaL6/?page=1[retrieved on 2018-06-06],Mintel GNPD[online], [retrieved on 2018-06-06], Retrieved from the Internet: <URL: http://www.gnpd.c
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)55質量%以上94質量%以下、成分(b)4質量%以上45質量%以下及び成分(c)0.01質量%以上30質量%以下を含む組成物を、直接皮膚に、ノズルに正の高電圧をかけてノズルと皮膚の間に電界を生じさせて静電スプレーすることを特徴とする、皮膚上に繊維の太さの100倍以上の長さを有する連続繊維の堆積物からなる多孔性の被膜の製造方法。
(a)エタノールを60質量%以上100質量%以下含む揮発性物質、
(b)ポリビニルブチラール樹脂及びポリウレタン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の被膜形成能を有するポリマー、
(c)粉体。
【請求項2】
前記静電スプレーが、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧を印加する電源とを有する静電スプレー装置を用いて行なわれる請求項1記載の被膜の製造方法。
【請求項3】
成分(a)の含有量が前記組成物中に60質量%以上94質量%以下である請求項1又は2記載の被膜の製造方法。
【請求項4】
成分(b)の含有量が、噴霧用組成物中に6質量%以上40質量%以下である請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項5】
成分(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))が、0.5以上40以下である請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項6】
成分(c)が、着色顔料、体質顔料、パール顔料及び有機粉体から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項7】
成分(c)の含有量が、前記組成物中に0.1質量%以上15質量%以下である請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項8】
成分(c)と成分(b)の含有量の比率((c)/(b))が、0.001以上20以下である請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項9】
前記組成物中に、さらに、20℃において液体の極性油を含有する請求項1~のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項10】
20℃において液体の極性油が、炭化水素油、エステル油、エーテル油、高級アルコール及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上である請求項記載の被膜の製造方法。
【請求項11】
前記組成物は、グリコールの含有量が10質量%以下である請求項1~10のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【請求項12】
前記組成物の用途がメイクアップ化粧料、紫外線防御化粧料及びスキンケア化粧料から選ばれる化粧料である請求項1~11のいずれか1項記載の被膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚上で化粧料被膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電スプレーによって被膜を形成する方法が種々知られている。例えば特許文献1には、皮膚に組成物を静電スプレーすることを含む皮膚を処理する方法が記載されている。この方法で用いられる組成物は、液体絶縁性物質と、導電性物質と、粒子状粉末物質と、増粘剤とを含んでいる。この組成物としては、典型的には顔料を含む化粧品やスキンケア組成物が用いられている。具体的には、組成物として化粧用ファンデーションが用いられている。すなわち、特許文献1に記載の発明は、美容の目的で化粧用ファンデーションを静電スプレーして、皮膚を化粧することを主として想定している。
【0003】
特許文献2には、化粧品の静電スプレー装置に使用するための使い捨てカートリッジが記載されている。この静電スプレー装置は、手持ち式の自蔵型のものである。この静電スプレー装置は、前記の特許文献1と同様に化粧用ファンデーションを噴霧するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-104211号公報
【文献】特表2003-507165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファンデーションや日焼け止め化粧料に代表される粉体含有化粧料は、皮膚に塗布した際に色むらや白浮きが生じることがあり、また時間が経過するとともに化粧よれが目立つことがある。特許文献1及び2に記載の方法に従って静電スプレーしても、色むら、白浮き及び化粧よれは十分に改善されていない。
従って、本発明の課題は、皮膚に施されたファンデーション等の粉体含有化粧料の色むら、白浮き、化粧よれ等を防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討した結果、特定の揮発性物質と被膜形成能を有するポリマーと粉体とを含有する組成物を、直接皮膚に静電スプレーすれば、粉体を担持した多孔性被膜が皮膚上に形成され、当該被膜が皮膚の皮丘、皮溝、毛穴の表面に均一に分散して密着し、色むらや白浮きの発生を抑制し、時間が経過しても化粧よれしにくいことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む組成物を直接皮膚に静電スプレーすることを特徴とする皮膚上への被膜の製造方法を提供するものである。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー、
(c)粉体。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法により皮膚上に形成された被膜は、塗布直後の皮膚の上で粉体が凝集し、化粧よれが生じることを抑制する。また、この被膜は、皮の皮丘、皮溝、毛穴へ均一に密着し、色むらや白浮きを生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を示す概略図である。
図2】静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行う様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、直接皮膚に静電スプレーされる組成物(以下、噴霧用組成物ということもある)は、次の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含有する組成物である。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー、
(c)粉体。
【0011】
成分(a)の揮発性物質は、液体の状態において揮発性を有する物質である。噴霧用組成物において成分(a)は、電界内に置かれた該噴霧用組成物を十分に帯電させた後、ノズル先端から皮膚に向かって吐出され、成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物の電荷密度が過剰となり、クーロン反発によって更に微細化しながら成分(a)が更に蒸発していき、最終的に乾いた被膜を形成させる目的で配合される。この目的のために、揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。
【0012】
成分(a)の揮発性物質のうち、アルコールとしては例えば一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。一価の鎖式脂肪族アルコールとしてはC1-C6アルコール、一価の環式アルコールとしてはC4-C6環式アルコール、一価の芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等がそれぞれ挙げられる。それらの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、n-プロパノール、n-ペンタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
成分(a)の揮発性物質のうち、ケトンとしてはジC1-C4アルキルケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
成分(a)の揮発性物質は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエタノール及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは少なくともエタノールを含有することである。
【0015】
噴霧用組成物における成分(a)の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが一層好ましい。また98質量%以下であることが好ましく、96質量%以下であることが更に好ましく、94質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(a)の含有割合は、30質量%以上98質量%以下であることが好ましく、55質量%以上96質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上94質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(a)を含有させることで、静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができ、粉体が担持された被膜を形成させることができる。
又、エタノールは成分(a)の揮発性物質の全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが一層好ましい。また100質量%以下であることが好ましい。エタノールは成分(a)の揮発性物質の全量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、65質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが一層好ましい。
【0016】
成分(b)である被膜形成能を有するポリマーは、一般に、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることをいう。
【0017】
被膜形成能を有するポリマーとしては、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的には、被膜形成能を有するポリマーは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとに大別される。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧、23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧、23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が溶解しない性質を有するものをいう。
【0018】
水溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性ポリマーのうち、被膜の製造が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、その数平均分子量は、5万以上300万以下であることが好ましく、10万以上250万以下であることが一層好ましい。
【0019】
一方、水不溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えば被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水不溶性ポリマーのうち、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、水溶性ポリエステル、ツエインを1種又は2種以上含有することが好ましく、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂を1種又は2種以上含有することがより好ましい。
【0020】
噴霧用組成物における成分(b)の含有割合は、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、6質量%以上であることが一層好ましい。また50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(b)の含有割合は、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(b)を配合することで、目的とする被膜を効率的に形成することができる。
【0021】
噴霧用組成物中の成分(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))は、静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができ、粉体が二次凝集することなく、担持された被膜を形成させることができ、その結果、肌に塗布した後も、肌の皮丘・皮溝・毛穴に均一に付着し、色むら、白浮き、化粧よれを防止する観点から、0.5以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、2以上25以下がさらに好ましい。
また、噴霧用組成物中のエタノール(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))は、静電スプレー法を行うときにエタノール(a)を十分に揮発させることができ、粉体が二次凝集することなく、担持された被膜を形成させることができ、その結果、肌に塗布した後も、肌の皮丘・皮溝・毛穴に均一に付着し、色むら、白浮き、化粧よれを防止する観点から、0.5以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、2以上25以下がさらに好ましい。
【0022】
成分(c)である粉体は、化粧料に配合可能な粉体であり、皮膚上に化粧料被膜を形成させる目的で配合される。当該粉体としては、着色顔料、体質顔料、パール顔料、有機粉体等が挙げられる。着色顔料としては、無機着色顔料、有機着色顔料、有機色素が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0023】
無機着色顔料としては、具体的には、ベンガラ、水酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、紺青、群青、紺青酸化チタン、黒色酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機有色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、カラミン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、これらの複合体等の無機白色顔料が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
これらのうち、少なくとも、酸化鉄、酸化チタン及び酸化亜鉛から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄及び黒酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0024】
有機着色顔料・有機色素としては、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の有機タール系顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の有機色素が挙げられる。また、セルロース、ポリメタクリル酸エステル等の高分子で被覆したもの等が挙げられる。これらのうち、少なくとも赤色102号が含まれることが好ましい。
【0025】
体質顔料としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、クレー、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スメクタイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、合成マイカ、合成セリサイト、金属石鹸、硫酸バリウム処理マイカ等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
これらのうち、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、無水ケイ酸、タルク、窒化ホウ素、合成マイカが含まれることが好ましい。
【0026】
パール顔料(光輝性粉体)としては、魚鱗箔、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン酸化鉄被覆雲母、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成雲母、酸化チタン被覆板状シリカ、中空板状酸化チタン、酸化鉄被覆雲母、板状酸化鉄(MIO)、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、酸化チタン被覆板状アルミナ、ガラスフレーク、酸化チタン被覆ガラスフレーク、真珠殻、金箔、金蒸着樹脂フィルム、金属蒸着樹脂フィルム等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0027】
有機粉体としては、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー、長鎖アルキルリン酸金属塩、N-モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
これらのうち、セルロースパウダー、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル樹脂パウダー、ナイロンパウダーが含まれることが好ましい。
【0028】
本発明で用いる粉体は、いずれも、そのまま使用することができ、これらの1種又は2種以上が疎水化処理されたものを用いることもできる。疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、アルキルシラン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、フッ素変性シリコーン等のフッ素系化合物;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、片末端又は両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体等のアミノ酸系化合物;レシチン、水添レシチン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂等の油剤;トリイソステアリン酸イソプロピルチタン等の有機チタネートなどが挙げられる。
【0029】
また、本発明で用いる粉体は、更に、これらの1種又は2種以上が親水化処理されたものを用いることもできる。親水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されない。
例えば、アラビアゴム、トラガカント、アラビノガラクタン、ローカストビーンガム(キャロブガム)、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、デオキシリボ核酸(DNA)及びその塩等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールシラン等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子など、さらに、シリカなど無機ケイ酸系化合物などが挙げられる。
【0030】
粉体としては、化粧料に通常用いられる粉体であれば、球状、板状、針状、不定形状等の形状、煙霧状、微粒子状、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等のものを用いることができる。
【0031】
成分(c)の粉体の平均粒子径は、肌の皮丘・皮溝・毛穴に均一に密着し、自然な化粧感を与える点から平均粒子径0.001μm以上200μm以下が好ましく、0.01μm以上50μm以下がより好ましく、0.02μm以上20μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上10μm以下がさらに好ましい。
本発明において、粉体の平均粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、セイシン企業社製、LMS-350)で測定する。なお、粉体を疎水化処理又は親水化処理した場合、成分(c)の平均粒子径、含有量は、疎水化処理又は親水化処理した剤を含めての平均粒子径、質量を意味する。
【0032】
成分(c)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、被膜中に粉体を担持させることで、粉体が二次凝集することを抑制し、肌に塗布した後も、肌の皮丘・皮溝・毛穴に均一に付着し、色むら、白浮き、化粧よれを防止する観点から、噴霧用組成物中に0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(c)の含有量は、噴霧用組成物中に0.001質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0033】
全粉体(成分(c))に対する着色顔料の質量割合〔着色顔料/成分(c)〕は、色むら、白浮きを防止させる観点からが0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1.0以下が好ましい。
【0034】
噴霧用組成物中の成分(c)と成分(b)の含有量の比率((c)/(b))は、粉体が二次凝集することを抑制し、肌に塗布した後も、肌の皮丘・皮溝・毛穴に均一に付着し、色むら、白浮き、化粧よれを防止する観点から、0.001以上20以下が好ましく、0.002以上1以下がより好ましく、0.005以上0.5以下がさらに好ましい。
【0035】
さらに、本発明では噴霧用組成物中に油剤を含有させることができる。この油剤は化粧料に配合可能な油剤であり、皮膚上に成分(b)と成分(c)を含有する均一な化粧被膜を形成させる目的で配合される。
前記油剤として、20℃において液体の極性油を好ましく用いることができ、炭化水素油、エステル油、エーテル油、高級アルコール、シリコーン油が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
前記炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、流動イソパラフィン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、軽質イソパラフィン等が挙げられ、使用感・密着性の観点から流動パラフィン、スクワランが好ましい。また、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、30℃において粘度が10mPa・s未満である、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテンが好ましい。
ここでの粘度は、30℃において、B型粘度計(TVB-10型・東機産業株式会社製)測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。
前記炭化水素油の含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0037】
前記エステル油としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸と、直鎖又は分岐鎖のアルコール又は多価アルコールからなるエステルが挙げられる。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチル、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油等が挙げられる。
【0038】
これらの中では、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚に塗布した際の感覚に優れる点から、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチルから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチルから選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が更に好ましい。
【0039】
前記エステル油の含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0040】
前記エーテル油としては、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル等が挙げられる。
前記エーテル油の含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0041】
前記高級アルコールとしては、炭素数12~20の液状の高級アルコールが挙げられ、分岐又は不飽和の高級アルコールが好ましく、具体的にはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
前記高級アルコールの含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0042】
前記シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、少なくともジメチルポリシロキサンを含むことが好ましい。
25℃におけるシリコーン油の動粘度は、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、3mm2/s以上が好ましく、4mm2/s以上がより好ましく、5mm2/s以上が更に好ましく、30mm2/s以下が好ましく、20mm2/s以下がより好ましく、10mm2/s以下がさらに好ましい。
前記シリコーン油の含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0043】
前記油剤の含有量は、静電噴霧された被膜を皮膚に均一に密着させ、色むらを抑制させる観点から、噴霧用組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0044】
更に、噴霧用組成物中にグリコールを含有することができる。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができ、粉体の二次凝集を抑制する観点から、噴霧用組成物中に10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が好ましく、実質含まないことが好ましい。
【0045】
噴霧用組成物中には、上述した成分(a)、成分(b)及び成分(c)のみが含まれていてもよく、あるいは成分(a)、成分(b)及び成分(c)に加えて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば前記油剤の他、成分(b)の被膜形成能を有するポリマーの可塑剤、界面活性剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、各種ビタミン等が挙げられる。
噴霧用組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の含有割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0046】
本発明においては、前記噴霧用組成物を、直接皮膚に静電スプレーすることを特徴とする。
【0047】
静電スプレー法を行う場合、噴霧用組成物として、その粘度が、25℃において、好ましくは1mPa・s以上、更に好ましくは10mPa・s以上、一層好ましくは50mPa・s以上であるものを用いる。また粘度が、25℃において、好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下、一層好ましくは1500mPa・s以下であるものを用いる。噴霧用組成物の粘度は、25℃において、好ましくは1mPa・s以上5000mPa・s以下であり、更に好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下であり、一層好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である。この範囲の粘度を有する噴霧用組成物を用いることで、静電スプレー法によって粉体を含む多孔性被膜、特に粉体を含む繊維の堆積物からなる多孔性被膜を首尾よく形成することができる。粉体を含む多孔性被膜の形成は、粉体を含む被膜の皮丘、皮溝、毛穴への均一な付着性、色むら、白浮きの防止、化粧よれの防止、被膜の密着性等の観点から有利なものである。噴霧用組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定される。E型粘度計としては例えば、例えば東京計器株式会社製のE型粘度計を用いることができる。その場合のローターとしては、ローターNo.43を用いることができる。
【0048】
噴霧用組成物は静電スプレー法によって、ヒトの皮膚における粉体による化粧をしようとする部位に直接噴霧される。静電スプレー法は、静電スプレー装置を用い、皮膚に噴霧用組成物を静電スプレーする工程を含む。静電スプレー装置は、基本的に、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧を印加する電源とを有する。
【0049】
図1には、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を表す概略図が示されている。同図に示す静電スプレー装置10は、低電圧電源11を備えている。低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させ得るものである。静電スプレー装置10の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り替えを容易に行えるという利点もある。電池に代えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。
【0050】
静電スプレー装置10は、高電圧電源12も備えている。高電圧電源12は、低電圧電源11と接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電気回路(図示せず)を備えている。昇圧電気回路は一般にトランス、キャパシタ及び半導体素子等から構成されている。
【0051】
静電スプレー装置10は、補助的電気回路13を更に備えている。補助的電気回路13は、上述した低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。更に補助的電気回路13は、後述するマイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、後述する噴霧用組成物の容器15からマイクロギヤポンプ14への噴霧用組成物の供給量が制御される。補助的電気回路13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられており、スイッチSWの入り切りによって、静電スプレー装置10を運転/停止できるようになっている。
【0052】
静電スプレー装置10は、ノズル16を更に備えている。ノズル16は、金属を初めとする各種の導電体や、プラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から噴霧用組成物の吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には噴霧用組成物が流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は導電体でもよく、あるいは非導電体でもよい。また、ノズル16は、高電圧電源12と電気的に接続されている。これによって、ノズル16に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、ノズル16に人体が直接触れた場合に過大な電流が流れることを防止するために、ノズル16と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。
【0053】
管路17を介してノズル16と連通しているマイクロギヤポンプ14は、容器15中に収容されている噴霧用組成物をノズル16に供給する供給装置として機能する。マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。また、マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の噴霧用組成物をノズル16に供給するように構成されている。
【0054】
マイクロギヤポンプ14には、フレキシブル管路18を介して容器15が接続されている。容器15中には噴霧用組成物が収容されている。容器15は、カートリッジ式の交換可能な形態をしていることが好ましい。
【0055】
以上の構成を有する静電スプレー装置10は、例えば図2に示すように使用することができる。図2には、片手で把持できる寸法を有するハンディタイプの静電スプレー装置10が示されている。同図に示す静電スプレー装置10は、図1に示す構成図の部材のすべてが円筒形の筐体20内に収容されている。筐体20の長手方向の一端10aには、ノズル(図示せず)が配置されている。ノズルは、その組成物の吹き出し方向を、筐体20の縦方向と一致させて、肌側に向かい凸状になるように該筐体20に配置されている。ノズル先端が筐体20の縦方向においてに肌に向かい凸状になるように配置されていることによって、筐体に噴霧用組成物が付着しにくくなり、安定的に被膜を形成することができる。
【0056】
静電スプレー装置10を動作させるときには、使用者、すなわち静電スプレーによって皮膚上の粉体により化粧をしようとする部位上に被膜を形成する者が該装置10を手で把持し、ノズル(図示せず)が配置されている該装置10の一端10aを、静電スプレーを行う適用部位に向ける。図2では、使用者の前腕部内側に静電スプレー装置10の一端10aを向けている状態が示されている。この状態下に、装置10のスイッチをオンにして静電スプレー法を行う。装置10に電源が入ることで、ノズルと皮膚との間には電界が生じる。図2に示す実施形態では、ノズルに正の高電圧が印加され、皮膚が負極となる。ノズルと皮膚との間に電界が生じると、ノズル先端部の噴霧用組成物は、静電誘導によって分極して先端部分がコーン状になり、コーン先端から帯電した噴霧用組成物の液滴が電界に沿って、皮膚に向かって空中に吐出される。空間に吐出され且つ帯電した噴霧用組成物から溶媒である成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、皮膚に到達する。この場合、噴霧用組成物の粘度を適切に調整することで、噴霧された該組成物を液滴の状態で適用部位に到達させることができる。あるいは、空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質を液滴から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を適用部位に堆積させることもできる。例えば、噴霧用組成物の粘度を高めると、該組成物を繊維の形態で適用部位に堆積させやすい。これによって、繊維の堆積物からなる多孔性被膜が適用部位の表面に形成される。粉体を含む繊維の堆積物からなる多孔性被膜は、ノズルと皮膚との間の距離や、ノズルに印加する電圧を調整することでも形成することが可能である。
【0057】
静電スプレー法を行っている間は、ノズルと皮膚との間に高い電位差が生じている。しかし、インピーダンスが非常に大きいので、人体を流れる電流は極めて微小である。例えば通常の生活下において生じる静電気によって人体に流れる電流よりも、静電スプレー法を行っている間に人体に流れる電流の方が数桁小さいことを、本発明者は確認している。
【0058】
静電スプレー法によって粉体を含む繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また3000nm以下であることが好ましく、1500nm以下であることが更に好ましい。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、最小の繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
【0059】
静電スプレー法によって形成された繊維の堆積物である被膜は、構成する繊維の内側に、成分(c)が存在する粉体担持被膜を有している。繊維の内側とは、内包あるいは、表面の一部、を意味する。噴霧用組成物における成分(c)の含有量が、ポリマーと成分(c)との親和性にも依存するが、概ね0.001質量%以上50質量%以下であれば、構成する繊維の肌への密着性が高く、肌への追従性に優れた粉体担持被膜が形成され易く、一方、噴霧用組成物における成分(c)の含有量が50質量%超であれば、構成する繊維の内側に粉体担持被膜が形成されにくい。このように被膜を構成する繊維に粉体担持被膜が形成されると、粉体が繊維に覆われている為、被膜が半透明化する傾向にあり、ソフトフォーカス効果を持つ自然な見た目に近づく。更に、密着の持続性が高まることから化粧の仕上がりが持続する。なお、これらの密着性や粉体による化粧効果の均一性の効果は、後述する液剤塗布によりさらに増強される。
【0060】
噴霧用組成物である成分(a)、成分(b)及び成分(c)の含有量は以下のようにして測定する。揮発性物質である成分(a)は形成された被膜に存在せず、又は存在しても揮発するため、形成された被膜には成分(b)及び成分(c)のみが含有される状態で測定し、その含有量は以下のようにして測定する。
【0061】
<噴霧用組成物の成分(a)、成分(b)及び成分(c)の含有量の測定法>
溶液状態にて液体クロマトグラフ(HPLC)による分離同定や、赤外分光光度計(IR)にて同定する方法がある。液体クロマトグラフでは、分子量の大きい成分から溶出するため、分子量の予測や、成分の溶出位置によって組成を同定することもできる。IR分析では個々の吸収体より官能基を帰属し同定することも可能であり、一般的には市販添加剤の標準チャートと成分のIRチャートを比較することで同定することが可能である。
【0062】
<形成された被膜における成分(b)及び成分(c)の含有量の測定法>
被膜を溶解可能な溶媒の探索を行い、溶媒に被膜を溶解後、液体クロマトグラフ(HPLC)による分離同定や、赤外分光光度計(IR)にて同定する。
【0063】
被膜を形成する前記繊維は、製造の原理上は無限長の連続繊維となるが、少なくとも繊維の太さの100倍以上の長さを有することが好ましい。本明細書においては、繊維の太さの100倍以上の長さを有する繊維のことを「連続繊維」と定義する。そして、静電スプレー法によって製造される被膜は、連続繊維の堆積物からなる多孔性の不連続被膜であることが好ましい。このような形態の被膜は、集合体として1枚のシートとして扱えるだけでなく、非常に柔らかい特徴を持っており、それに剪断力が加わってもばらばらになりにくく、身体の動きへの追従性に優れるという利点がある。また、被膜の完全除去が容易であるという利点もある。これに対して、細孔を有さない連続被膜は剥離が容易でなく、また汗の放散性が低いので、皮膚に蒸れが生じる虞がある。また、粒子の集合体からなる多孔性の不連続被膜は、被膜を完全に除去するために、被膜全体に摩擦をかける等の動作が必要となるなど、皮膚へのダメージなく完全除去することは困難である。
【0064】
静電スプレー装置10を用いた静電スプレー工程において、静電スプレーされ繊維状となった噴霧用組成物は、成分(a)が蒸発しながら、成分(b)及び成分(c)が帯電した状態で皮膚に直接到達する。先に述べたとおり皮膚も帯電しているので、繊維は静電力によって一枚の膜の形態で皮膚に密着する。皮膚の表面には肌理等の微細な凹凸が形成されているので、その凹凸によるアンカー効果と相まって繊維は一枚の膜の形態で皮膚の表面に一層密着する。このようにして静電スプレーが完了したら、静電スプレー装置10の電源を切る。これによってノズルと皮膚との間の電界が消失し、皮膚の表面は電荷が固定化される。その結果、一枚の膜の形態の被膜の密着性が一層発現し、着用中に被膜の際からの剥離がし難く、使用中の耐久性が向上する。また、被膜を構成する繊維が成分(c)を含有しているので、優れた化粧効果が得られるだけでなく、繊維中に成分(c)が存在することで、肌の微細な凹凸面へのアンカー効果が高まるため、皮膚に被膜を十分に密着させることができる。この理由としては、成分(c)が繊維中に存在することで、肌の微細な凹凸面への追従性が高まると考えられる。更に、被膜を構成する繊維の内側に成分(c)が存在する粉体担持被膜を有しているので、光が散乱されやすく、被膜がソフトフォーカス効果により見た目が自然な状態で皮膚を被覆できる。これらの効果は、後述の液剤塗布により、さらに増強される。
【0065】
ノズルと皮膚との間の距離は、ノズルに印加する電圧にも依存するが、50mm以上、150mm以下であることが、被膜を首尾よく形成するうえで好ましい。ノズルと皮膚との間の距離は、一般的に用いられる非接触式センサ等で測定することができる。
【0066】
静電スプレー法によって形成された被膜が多孔性のものであるか否かを問わず、被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、1g/m2以上であることが更に好ましい。また50g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以下であることが更に好ましい。例えば被膜の坪量は、0.1g/m2以上50g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上40g/m2以下であることが更に好ましい。被膜の坪量をこのように設定することで、粉体による化粧効果及び被膜の密着性を向上させることができる。
【0067】
なお、皮膚に組成物を直接に静電スプレーして被膜を形成する静電スプレー工程とは、皮膚に静電スプレーして、被膜を形成する工程を意味する。組成物を皮膚以外の場所に静電スプレーして繊維からなるシートを作製し、そのシートを皮膚に塗布する工程は、前記静電スプレー工程とは異なる。
【0068】
本発明においては、上述した静電スプレーによって被膜を形成する静電スプレー工程の前に、若しくはその後に、又は該静電スプレー工程の前後に、水、ポリオール及び20℃で液体の油から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を、静電スプレー以外の手段により皮膚に施す液剤適用工程を行うこともできる。静電スプレー工程の前に液剤を施すことで、皮膚表面が静電誘導によってより一層分極しやすくなり、スプレーされた噴霧用組成物が静電力により更に強く付着しやすくなるとともに、スプレーされた噴霧用組成物の外観の透明性を向上することができる。また、静電スプレー工程の後に、特に静電スプレー工程の直後に、静電スプレー以外の手段により液剤適用工程を行うことで、静電スプレー工程で形成された被膜が、該液剤で皮膚になじみやすくなり、該被膜が皮膚に高密着化するとともに、一層透明性が向上する。被膜の端部と皮膚との間に段差が生じにくくなり、それによっても被膜と皮膚との密着性が向上する。その結果、皮膚の伸び縮みの程度が大きい部位や、曲率の大きい部位に被膜を形成しても、その剥離や破れ等が生じにくくなる。好適には被膜が、繊維の堆積物からなる多孔性被膜である場合、高い空隙率であるにもかかわらず皮膚との密着性が高く、また大きな毛管力が発生しやすい。更に、繊維が微細である場合には多孔性被膜を高比表面積化することが容易となる。
【0069】
静電スプレー工程において繊維の堆積物からなる多孔性被膜を形成する工程の前、及び/又は後に、静電スプレー以外の手段により液剤適用工程を行うことにより、該多孔性被膜を形成する繊維間、及び/又は繊維表面に保湿液剤及び粉体が存在する保湿液剤及び粉体の担持被膜が形成される。これによって、被膜の密着性が向上する。特に被膜が無色透明、あるいは半透明である場合には、より被膜を視認しにくくなることによって、自然な皮膚のように見せることができる。また、被膜が有色不透明である場合には、被膜に透明感が出るため、皮膚の一部のように見せることができる。なお、前記有色とは、白色も含む。
【0070】
液剤適用工程において用いられる液剤が水を含む場合、該液剤としては、例えば水、水溶液及び水分散液等の水系液体などが挙げられる。また、化粧水や、O/Wエマルション、W/Oエマルション等の乳化液からなる乳液や化粧クリーム、増粘剤で増粘された水性液なども挙げられる。
【0071】
液剤適用工程において用いられる液剤がポリオールを含む場合、該ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられる。これらのうち、塗布時の滑らかさなどの使用感の点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、更にプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンがより好ましく、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールが一層好ましい。
【0072】
一方、液剤適用工程において用いられる液剤が20℃において液体の油(以下、この油のことを「液体油」ともいう。)を含む場合、該20℃において液体の油としては、例えば流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ホホバ油、オリーブ油等の植物油、液状ラノリン等の動物油、モノアルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油などが挙げられる。これらのうち、塗布時の滑らかさなどの使用感の点から、炭化水素油と、エステル油、トリグリセライド等を含有する植物油、シリコーン油等の極性油が好ましく、炭化水素油、エステル油及びトリグリセライドがより好ましい。また、これらから選ばれる液体油を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
前記炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン等が挙げられ、使用感の観点から流動パラフィン、スクワランが好ましい。また、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、炭化水素油の30℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは30mPa・s以上である。かかる観点から、30℃において粘度が10mPa・s未満である、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテンの液剤中の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.5質量%以下であり、含有しなくてもよい。
同様に、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、エステル油及びシリコーン油の30℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは30mPa・s以上である。
ここでの粘度は、30℃において、B型粘度計(TVB-10型・東機産業株式会社製)、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。なお、同様の観点から、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル等のエーテル油の液剤中の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
【0074】
また、前記液体油として、20℃において液体の極性油も好ましく用いることができ、その例としてはエステル油、エステル油を含む植物油(トリグリセライド)、分岐脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸の高級アルコール、防腐剤、シリコーン油等が挙げられる。これらの液体油は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
前記エステル油としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸と、直鎖又は分岐鎖のアルコール又は多価アルコールからなるエステルが挙げられる。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。
これらの中では、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚に塗布した際の感覚に優れる点から、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が更に好ましい。
【0076】
トリグリセライドとしては、脂肪酸トリグリセライドが好ましく、例えばオリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油などに含まれる。
【0077】
高級アルコールとしては、炭素数12~20の液状の高級アルコールが挙げられ、具体的にはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0078】
防腐剤としてはフェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラアミノ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
【0079】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。皮膚への密着性の観点から、シリコーン油の液剤中の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
25℃におけるシリコーン油の動粘度は、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、3mm2/sが好ましく、4mm2/sがより好ましく、5mm2/s以上が更に好ましく、30mm2/s以下が好ましく、20mm2/s以下がより好ましく、10mm2/s以下が一層好ましい。
これらの中では、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、シリコーン油はジメチルポリシロキサンを含むことが好ましい。
【0080】
液剤は液体油を含有することが好ましく、該液剤中の液体油の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下である。液剤中における液体油の含有量は、好ましくは0.1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上100質量%以下である。 また、液剤は液体油又はポリオールを含有することが好ましく、該液剤中の液体油又はポリオールの含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下である。液剤中における液体油の含有量は、好ましくは0.1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上100質量%以下である。
【0081】
液剤が極性油を含有する場合、該液剤は、水と極性油を含有することが、被膜の皮膚への密着性を高める観点から好ましく、水と極性油を合計で40質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。また安定性の観点から、液剤は、界面活性剤、ポリマー、増粘剤を含有するものであってもよく、皮膚への密着性、被膜への保湿性能を向上する観点から、ワセリン、セタノール、ステアリルアルコール、セラミド等の30℃で固体の油剤を含有するものであってもよい。
同様に、液剤がポリオールを含有する場合、該液剤は、水とポリオールを含有することが、被膜の皮膚への密着性を高める観点から好ましく、水とポリオールを合計で40質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。また安定性の観点から、液剤は、界面活性剤、ポリマー、増粘剤を含有するものであってもよく、皮膚への密着性、被膜への保湿性能を向上する観点から、ワセリン、セタノール、ステアリルアルコール、セラミド等の30℃で固体の油剤を含有するものであってもよい。
【0082】
液剤が水、ポリオール及び液体油のうちのいずれを用いる場合であっても、液剤は25℃において5000mPa・s程度以下の粘性を有することが、静電スプレー法によって形成された被膜と皮膚との密着性の向上の点から好ましい。液体の粘度の測定方法は、上述したとおりである。
また、液剤中の着色顔料の含有量は、静電スプレー法によって形成された被膜と皮膚との密着性の向上の点から、0.1質量%未満が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が好ましく、0.001質量%以下が好ましい。本発明において、着色顔料とは、透明な顔料を含まないことを意味し、白色の顔料は着色顔料に含まれるものである。
【0083】
静電スプレー以外の手段により、水又は液体油を含む液剤を皮膚に施すには種々の方法を用いることができる。例えば、滴下、振りかけ等の皮膚に液剤を適用できる方法によって液剤を皮膚に施し、必要に応じて、該液剤を塗り広げる工程を備えることにより、皮膚又は被膜になじませることで、該液剤の薄層を形成することができる。液剤を塗り広げる工程は、例えば使用者本人の指や、アプリケータ等の道具を用いた擦過などの方法を採用することができる。液剤を単に滴下したり振りかけたりしただけでもよいが、塗り広げる工程を備えることにより、皮膚や被膜になじませることが可能となり、被膜の密着性を十分に向上させることができる。別法として、液剤を皮膚にスプレーにより噴霧して該液剤の薄層を形成することもできる。この場合には、別途の塗り広げは格別必要ないが、噴霧後に塗り広げの操作を行うことは妨げられない。なお、被膜の形成後に液剤を施す場合には、十分な液剤を皮膚に適用し、余分の液剤はシート材を液剤の施した範囲に接触させる工程により、余剰の液剤を除去することができる。
【0084】
液剤を皮膚又は被膜に施す量は、皮膚と被膜との密着性が向上するのに必要十分な量とすればよい。液剤中に液体油が含まれている場合には、皮膚と被膜との密着性を確実にする観点から、液剤を皮膚に施す量は、液体油の坪量が好ましくは0.1g/m2以上であり、より好ましくは0.2g/m2以上となるような量であり、好ましくは40g/m2以下であり、より好ましくは35g/m2以下となるような量とする。また、液剤を皮膚に施す量は、液体油の坪量が好ましくは0.1g/m2以上40g/m2以下、より好ましくは0.2g/m2以上35g/m2以下となるような量とする。
また、液剤を皮膚に、又は被膜に施す量は、皮膚と被膜の密着性を向上させる観点、透明性を向上させる観点から、好ましくは5g/m2以上であり、より好ましくは10g/m2以上であり、更に好ましくは15g/m2以上であり、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは45g/m2以下である。
更に、前記液剤を皮膚に塗布する前、又はその後に、前記液剤以外の化粧料を皮膚に施してもよい。
【0085】
本発明を用いる用途としては、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日焼け止め化粧料等の紫外線防御化粧料、保湿化粧料、しわ改善化粧料、美白化粧料、皮脂対策化粧料、アクネケア化粧料、エイジングケア化粧料等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、オーバーコート剤、日焼け止め化粧料がより好ましい。
【0086】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持し、該装置10のノズルとその者の皮膚との間に電界を生じさせたが、両者間に電界が生じる限り、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持する必要はない。
【0087】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の被膜の製造方法を開示する。
【0088】
<1>成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む組成物を、直接皮膚に静電スプレーすることを特徴とする皮膚上への被膜の製造方法。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー、
(c)粉体。
【0089】
<2>直接皮膚に静電スプレーして皮膚上に多孔性被膜を形成する<1>記載の被膜の製造方法。
<3>前記静電スプレーが、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧を印加する電源とを有する静電スプレー装置を用いて行なわれる<1>又は<2>記載の被膜の製造方法。
<4>成分(a)の揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい前記<1>~<3>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<5>成分(a)の揮発性物質がアルコールであり、該アルコールとして一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、及び一価の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、該アルコールとして、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、プロパノール、及びペンタノールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、前記<1>~<4>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<6>成分(a)の揮発性物質が、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはエタノール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種であり、より好ましくは少なくともエタノールを含むものであり、更に好ましくは少なくともエタノールを含むものであり、揮発性物質中のエタノールの含有量が50質量%以上100質量%以下である前記<1>~<5>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<7>成分(b)の被膜形成能を有するポリマーは、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質であり、水溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーを含み、ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態である前記<1>~<6>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
【0090】
<8>水溶性である被膜形成能を有するポリマーが、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の水溶性の高分子であり、より好ましくはプルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上の水溶性の高分子である前記<7>記載の被膜の製造方法。
<9>水不溶性である被膜形成能を有するポリマーが、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性ポリマーであり、より好ましくは、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、水溶性ポリエステル、ツエインから選ばれる1種又は2種以上の水不溶性ポリマーである前記<7>記載の被膜の製造方法。
<10>成分(b)が、好ましくは完全鹸化又は部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、オキサゾリン変性シリコーン、水溶性ポリエステル及びツエインから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはポリビニルブチラール樹脂及びポリウレタン樹脂から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<9>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<11>前記組成物における成分(a)の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが一層好ましく、また98質量%以下であることが好ましく、96質量%以下であることが更に好ましく、94質量%以下であることが一層好ましく、前記組成物における成分(a)の含有割合は、30質量%以上98質量%以下であることが好ましく、55質量%以上96質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上94質量%以下であることが一層好ましい前記<1>~<10>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<12>前記組成物における成分(b)の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、6質量%以上であることが一層好ましく、また50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが一層好ましく、前記組成物における成分(b)の配合割合は、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい前記<1>~<11>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<13>成分(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))が0.5以上40以下であり、好ましくは1以上30以下であり、より好ましくは2以上25以下である<1>~<12>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<14>エタノール(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))が0.5以上40以下であり、好ましくは1以上30以下であり、より好ましくは2以上25以下である<1>~<12>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<15>成分(c)が、着色顔料、体質顔料、パール顔料及び有機粉体から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは無機着色顔料、有機着色顔料、有機色素、体質顔料、パール顔料及び有機粉体から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<14>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<16>無機着色顔料が、、ベンガラ、水酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、紺青、群青、紺青酸化チタン、黒色酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機有色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、カラミン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、これらの複合体等の無機白色顔料から選ばれる1種又は2種以上であり、酸化鉄、酸化チタン及び酸化亜鉛から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄及び黒酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい<15>記載の被膜の製造方法。
<17>有機着色顔料・有機色素が、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の有機タール系顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の有機色素から選ばれる1種又は2種以上である<15>記載の被膜の製造方法。
<18>体質顔料が、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、クレー、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スメクタイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、合成マイカ、合成セリサイト、金属石鹸、硫酸バリウム処理マイカ等から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは硫酸バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、無水ケイ酸、タルク、窒化ホウ素及び合成マイカから選ばれる1種又は2種以上である<15>記載の被膜の製造方法。
<19>パール顔料(光輝性粉体)が、魚鱗箔、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン酸化鉄被覆雲母、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成雲母、酸化チタン被覆板状シリカ、中空板状酸化チタン、酸化鉄被覆雲母、板状酸化鉄(MIO)、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、酸化チタン被覆板状アルミナ、ガラスフレーク、酸化チタン被覆ガラスフレーク、真珠殻、金箔、金蒸着樹脂フィルム、金属蒸着樹脂フィルムから選ばれる1種又は2種以上である<15>記載の被膜の製造方法。
<20>有機粉体が、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー、長鎖アルキルリン酸金属塩、N-モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはセルロースパウダー、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル樹脂パウダー、ナイロンパウダーから選ばれる1種又は2種以上である<15>記載の被膜の製造方法。
<21>前記粉体が、疎水化処理された粉体であり、好ましくはフッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、アルキルシラン、油剤、有機チタネートから選ばれる疎水化処理された粉体である<15>~<20>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<22>前記粉体が、親水化処理された粉体である<15>~<20>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<23>成分(c)の粉体の平均粒子径が0.001μm以上200μm以下が好ましく、0.01μm以上50μm以下がより好ましく、0.02μm以上20μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上10μm以下がさらに好ましい<1>~<22>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<24>成分(c)の前記組成物中の含有量が、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、50質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい<1>~<23>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<25>前記組成物中の成分(c)と成分(b)の含有量の比率((c)/(b))は、0.001以上20以下が好ましく、0.002以上1以下がより好ましく、0.005以上0.5以下がさらに好ましい<1>~<24>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<26>前記組成物中の全粉体(成分(c))に対する着色顔料の質量割合〔着色顔料/成分(c)〕が、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1.0以下が好ましい<1>~<25>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<27>前記組成物が、さらに油剤を含有する<1>~<26>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<28>前記油剤が、20℃において液体の極性油が好ましく、炭化水素油、エステル油、エーテル油、高級アルコール及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上である<27>記載の被膜の製造方法。
<29>前記油剤の含有量が、前記組成物中に、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい<27>又は<28>記載の被膜の製造方法。
<30>前記組成物は、その粘度が、25℃において、好ましくは1mPa・s以上、更に好ましくは10mPa・s以上、一層好ましくは50mPa・s以上であり、好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下、一層好ましくは1500mPa・s以下であり、前記組成物の粘度は、25℃において、好ましくは1mPa・s以上5000mPa・s以下であり、更に好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下であり、一層好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である前記<1>~<29>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<31>前記組成物中に、さらに、成分(b)の被膜形成能を有するポリマーの可塑剤、界面活性剤、UV防御剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、各種ビタミンが含まれる前記<1>~<30>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<32>前記組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の配合割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい前記<31>記載の被膜の製造方法。
<33>静電スプレー法を静電スプレー装置を用いて行い、
前記静電スプレー装置はノズルを備えており、
前記ノズルは、金属を初めとする各種の導電体、又はプラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から前記組成物の吐出が可能な形状をしている前記<1>~<32>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<34>静電スプレー法を静電スプレー装置を用いて行い、
前記静電スプレー装置はノズル及び筐体を備えており、
前記筐体の長手方向の一端に、前記ノズルが配置されており、
前記ノズルは、前記組成物の吹き出し方向を、前記筐体の縦方向一致させて、肌側に向かい凸状になるように該筐体に配置されている前記<1>~<33>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<35>噴霧された前記組成物を、溶媒である揮発性物質を液滴から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成する前記<1>~<34>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<36>静電スプレー法を静電スプレー装置を用いて行い、
前記静電スプレー装置はノズルを備えており、
前記ノズルと皮膚との間の距離を、50mm以上、150mm以下にする前記<1>~<35>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<37>静電スプレー法によって形成された被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、1g/m2以上であることが更に好ましく、30g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることが更に好ましく、被膜の坪量は、0.1g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上20g/m2以下であることが更に好ましい前記<1>~<36>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<38>静電スプレーによって被膜を形成する静電スプレー工程の前及び/又は後に、水、ポリオール及び20℃の液体の油から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を、静電スプレー以外の手段により、皮膚に施す液剤適用工程を有する<1>~<35>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
【0091】
<39>液剤適用工程において用いられる液剤が水を含む場合、該液剤として、水、水溶液及び水分散液等の水系液体などが挙げられ、また、化粧水や、O/Wエマルション、W/Oエマルション等の乳化液からなる乳液や化粧クリーム、増粘剤で増粘された水性液なども挙げられる前記<38>記載の被膜の製造方法。
<40>液剤適用工程において用いられる液剤が20℃において液体の油を含む場合、該油としては、例えば流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ホホバ油、オリーブ油等の植物油、液状ラノリン等の動物油、モノアルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油などが挙げられ、これらのうち、好ましくは炭化水素油と、エステル油、トリグリセライド等を含有する植物油、シリコーン油等の極性油、より好ましくは炭化水素油、エステル油及びトリグリセライドから選ばれる1種又は2種以上である前記<38>又は<39>記載の被膜の製造方法。
<41>前記液剤は液体油を含有することが好ましく、該液剤中の液体油の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは100質量%以下であり、また、好ましくは0.1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上100質量%以下である前記<38>~<40>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<42>前記液剤が極性油を含有する場合、該液剤は、水と極性油を含有することが好ましく、水と極性油を合計で40質量%以上100質量%以下含有することが好ましい前記<38>~<41>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<43>前記液剤は、界面活性剤、ポリマー、増粘剤を含有するものが好ましく、ワセリン、セタノール、ステアリルアルコール、セラミド等の30℃で固体の油剤を含有するものが好ましい前記<38>~<42>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<44>液剤中に液体油が含まれている場合には、液剤を皮膚に施す量は、液体油の坪量が好ましくは0.1g/m2以上であり、より好ましくは0.2g/m2以上となるような量であり、好ましくは40g/m2以下であり、より好ましくは35g/m2以下となるような量であり、また、好ましくは0.1g/m2以上40g/m2以下、より好ましくは0.2g/m2以上35g/m2以下となるような量であり、
また、液剤を皮膚に、又は被膜に施す量は、好ましくは5g/m2であり、より好ましくは10g/m2以上であり、更に好ましくは15g/m2以上であり、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは45g/m2以下である前記<38>~<43>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<45>前記組成物中に、さらに10質量%以下のグリコールを含む<1>~<44>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<46>前記組成物の用途がメイクアップ化粧料、紫外線防御化粧料及びスキンケア化粧料から選ばれる化粧料である<1>~<45>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<47>成分(a)が、少なくともエタノールを含む揮発性物質であり、成分(b)が、ポリビニルブチラール樹脂及びポリウレタン樹脂から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<46>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<48>成分(a)が、少なくともエタノールを含む揮発性物質であり、さらに10質量%以下のグリコールを含む<1>~<47>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<49>成分(a)が、少なくともエタノールを含む揮発性物質であり、揮発性物質中のエタノールの含有量が50質量%以上100質量%であり、10質量%以下のグリコールを含む<1>~<48>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
【実施例
【0092】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0093】
[試験例1]
〔実施例1~33〕
(1)噴霧用組成物の調製
表1~表8に記載の組成物を製造した。
【0094】
(2)静電スプレー工程
図1に示す構成を有し、図2に示す外観を有する静電スプレー装置10を用い、化粧料適用部位に向けて静電スプレー法を20秒間行った。静電スプレー法の条件は以下に示すとおりとした。
・印加電圧:10kV
・導電性ノズルと皮膚との距離:100mm
・噴霧用組成物の吐出量:5mL/h
・環境:25℃、30%RH
この静電スプレーによって、化粧料適用部位の全域に繊維の堆積物からなる多孔性被膜が形成された。被膜は直径約4cmの円であり、質量は約5.5mgであった。上述した方法で測定された繊維の太さは1μmであった。
【0095】
〔比較例1~3〕
表9に記載の組成物を製造した。
これらの組成物を皮膚に0.2g/400cm2塗布した。静電スプレーは行なわなかった。
【0096】
〔評価〕
表1~9に示す実施例及び比較例を製造し、「塗布直後、肌の上での粉体の凝集性」、「肌の皮丘・皮溝・毛穴へ付着性」「仕上がった肌の色むらのなさ」「仕上がった肌の白浮きのなさ」を評価した。結果を表1~9に併せて示す。
(1)塗布直後、肌の上での粉体の凝集性
専門パネラーが、実際に噴霧組成物(ファンデーション)を肌に噴霧した時の「塗布直後、肌の上での粉体の凝集性」を以下の基準で評価した。結果を評価者5名の平均値で示す。
〔評価基準〕
4;肌の上の粉体の凝集物が見られない
3;肌の上の粉体の凝集物がわずかに見られる
2;肌の上の粉体の凝集物が見られる
1;肌の上の粉体の凝集物が多数見られる
【0097】
(2)肌の皮丘・皮溝・毛穴へ付着性
専門パネラーが、実際に噴霧組成物(ファンデーション)を肌に噴霧した時の「肌の皮丘・皮溝・毛穴へ付着性」を以下の基準で評価した。結果を評価者5名の平均値で示す。
〔評価基準〕
4;粉体が肌全体に均一に付着している。
3;粉体が肌全体にやや不均一に付着している。
2;粉体が肌の皮溝・毛穴に入り込み、不均一に付着している。
1;粉体が肌の皮丘に付着せず、皮溝・毛穴に入り込み、かなり不均一に付着している。
【0098】
(3)仕上がった肌の色むらのなさ
専門パネラーが、実際に噴霧組成物(ファンデーション)を肌に噴霧した時の「仕上がった肌の色むらのなさ」を以下の基準で評価した。結果を評価者5名の平均値で示す。
〔評価基準〕
4;塗布後の肌にむらがない。
3;塗布後の肌にあまりむらがない。
2;塗布後の肌にややむらが見られる。
1;塗布後の肌にむらが見られる。
【0099】
(4)仕上がった肌の白浮きのなさ
専門パネラーが、実際に噴霧組成物(ファンデーション)を肌に噴霧した時の「仕上がった肌の白浮きのなさ」を以下の基準で評価した。結果を評価者5名の平均値で示す。
〔評価基準〕
4;塗布後の肌に白浮きがない。
3;塗布後の肌にあまり白浮きがない。
2;塗布後の肌にやや白浮きが見られる。
1;塗布後の肌に白浮きが見られる。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
〔実施例34及び35〕
表10記載の組成物を製造した。この組成物を噴霧用組成物として皮膚に静電スプレーすることができる。
【0110】
【表10】
【0111】
〔実施例36~47〕
表11~表15の組成物を製造した。この組成物を噴霧用組成物として前記実施例1~34と同様にして静電スプレーした。その結果も表11~表15に示した。
【0112】
【表11】
【0113】
【表12】
【0114】
【表13】
【0115】
【表14】
【0116】
【表15】
【符号の説明】
【0117】
10 静電スプレー装置
11 低電圧電源
12 高電圧電源
13 補助的電気回路
14 マイクロギヤポンプ
15 容器
16 ノズル
17 管路
18 フレキシブル管路
19 電流制限抵抗
20 筐体
図1
図2