IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図1
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図2
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図3
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図4
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図5
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図6
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図7
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図8
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図9
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図10
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図11
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図12
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図13
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図14
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図15
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図16
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図17
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図18
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図19
  • 特許-自動車用パネルの製造方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】自動車用パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/00 20060101AFI20230502BHJP
   B21D 53/88 20060101ALI20230502BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20230502BHJP
   B21D 24/04 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B21D24/00 F
B21D53/88 Z
B21D22/26 D
B21D24/00 H
B21D24/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019186989
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021062381
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓史
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05600991(US,A)
【文献】特開2018-183786(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014221878(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 24/00
B21D 53/88
B21D 22/26
B21D 24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のブランク材をプレス成形することにより、キャラクタラインを有する目標形状のアウタパネルである自動車用パネルを製造する方法であって、
前記ブランク材のうち前記目標形状に成形される成形対象領域の周りの周辺部をホルダで保持する保持工程と、
前記成形対象領域へ向かって突出するパンチの突出部に前記成形対象領域を押し当てて、前記成形対象領域をその成形対象領域のうち前記キャラクタラインが形成される箇所であるキャラクタライン形成箇所を頂点として曲げ変形させることにより、前記成形対象領域を前記目標形状に成形する成形工程と、を備え、
前記パンチの前記突出部は、当該突出部に前記成形対象領域が押し当てられたときに前記成形対象領域のうち前記キャラクタライン形成箇所を挟んで両側の第1部位と第2部位とにそれぞれ接触して荷重を加えることが可能な第1加重部と第2加重部とを有し、前記パンチの前記突出部は、先端面又は前記第1加重部及び前記第2加重部から窪んだ谷部を有し、前記第1加重部及び前記第2加重部は、前記先端面の両側に位置する角部又は前記谷部を挟んだ両側の突出する部分により構成され、
前記成形工程では、前記第1加重部から前記第1部位に荷重を加えるとともに前記第2加重部から前記第2部位に荷重を加えることによって、前記成形対象領域を曲げ変形させる、自動車用パネルの製造方法。
【請求項2】
前記パンチは、前記成形対象領域と対向する面であって前記突出部が設けられた面であるパンチ対向面を有し、
前記パンチ対向面は、前記第1加重部に対して前記第2加重部と反対側に隣接する位置で前記成形対象領域から離れる向きに窪んだ第1窪み部と、前記第2加重部に対して前記第1加重部と反対側に隣接する位置で前記成形対象領域から離れる向きに窪んだ第2窪み部と、を有し、
前記保持工程では、前記ブランク材に対して前記パンチと反対側に配置されたダイに対して前記ブランク材の前記周辺部を前記ホルダで固定することによって保持し、
前記成形工程は、前記成形対象領域を前記ダイへ向かって曲げ変形させた後、前記ダイのうち前記成形対象領域と対向する面であるダイ対向面によって、前記成形対象領域のうち前記第1部位に対して前記第2部位と反対側に隣接する第1隣接箇所を前記第1窪み部内に押し込むとともに、前記成形対象領域のうち前記第2部位に対して前記第1部位と反対側に隣接する第2隣接箇所を前記第2窪み部内に押し込む押込工程を有する、請求項1に記載の自動車用パネルの製造方法。
【請求項3】
前記ダイ対向面は、前記第1隣接箇所へ向かって突出する第1突出部と、前記第2隣接箇所へ向かって突出する第2突出部と、を有し、
前記押込工程では、前記第1突出部によって前記第1隣接箇所を前記第1窪み部内に押し込むとともに、前記第2突出部によって前記第2隣接箇所を前記第2窪み部内に押し込む、請求項2に記載の自動車用パネルの製造方法。
【請求項4】
前記押込工程では、前記第1突出部によって前記第1隣接箇所が前記第1窪み部内に押し込まれるとともに前記第2突出部によって前記第2隣接箇所が前記第2窪み部内に押し込まれるときに、前記キャラクタライン形成箇所が前記ダイ対向面のうち前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置する部分から離間した状態を維持する、請求項3に記載の自動車用パネルの製造方法。
【請求項5】
前記ダイ対向面は、前記パンチの前記突出部に対向する位置において前記突出部から離れる方向に窪む中央窪み部を有し、前記中央窪み部の内面は連続する面によって構成され、
前記押込工程では、前記ダイ対向面によって前記第1隣接箇所が前記第1窪み部内に押し込まれるとともに前記第2隣接箇所が前記第2窪み部内に押し込まれるときに、前記キャラクタライン形成箇所が前記中央窪み部の前記内面から離間した状態を維持する、請求項2に記載の自動車用パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用パネルとして、例えば自動車のドアの外面を構成するアウタパネルが知られている。このアウタパネルは、金属製の板材をプレス成形することによって製造される。アウタパネルには稜線をなすキャラクタラインが意匠性のために施され、近年では、意匠性の向上のためにキャラクタラインがより先鋭であることが求められているが、従来の製造方法によって板材をより先鋭なキャラクタラインを有する形状にプレス成形すると成形不良や面性状の不良が生じる虞があった。下記特許文献1では、成形不良及び面性状の不良の発生を抑制しつつ、より先鋭なキャラクタラインを形成することが可能なアウタパネルの製造方法が提案されている。
【0003】
具体的に、下記特許文献1に提案された製造方法では、二段階のプレス成形でアウタパネルを製造しており、当該製造方法は、まず板材を中間形状にプレス成形する第1プレス工程と、その第1プレス工程で成形された中間形状の板材を先鋭なキャラクタラインを有する最終的なアウタパネルの目標形状に成形する第2プレス工程とを有する。前記中間形状は、キャラクタライン付近のみ目標形状よりも曲率半径が大きく緩やかに湾曲した形状であり、キャラクタライン付近以外は目標形状に等しい形状である。第1プレス工程において、このような中間形状に板材を一旦成形してから、第2プレス工程で先鋭なキャラクタラインを成形することにより、成形不良及び面性状の不良の発生を抑制しつつ、先鋭なキャラクタラインを形成することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5959702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、製造コストが増大するとともに、製造されるアウタパネルの歩留まりが低下する虞があり、また、成形痕がアウタパネルに残る虞がある。
【0006】
具体的には、特許文献1に開示された製造方法では、第1プレス工程で板材を中間形状に成形するための金型と、第2プレス工程で板材を目標形状に成形するための金型とを個別に用意する必要があるため、金型のためのコストが増加し、その結果、製造コストが増大する。また、板材を目標形状に成形する工程を第1プレス工程と第2プレス工程の2回の工程に分けて行うことから、その各プレス工程毎に歩留まりが生じ、最終的に製造されるアウタパネルの歩留まりが低下する。また、第1プレス工程で板材を中間形状に成形する際についた成形痕が第2プレス工程で解消されず、その成形痕が最終的に製造されたアウタパネルに残る虞がある。
【0007】
本発明の目的は、より先鋭なキャラクタラインを形成できるとともに、製造コストの増加及び製造される自動車用パネルの歩留まりの低下を抑制でき、且つ、製造された自動車用パネルに成形痕が残るのを防ぐことが可能な自動車用パネルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供される自動車用パネルの製造方法は、板状のブランク材をプレス成形することにより、キャラクタラインを有する目標形状のアウタパネルである自動車用パネルを製造する方法である。この製造方法は、前記ブランク材のうち前記目標形状に成形される成形対象領域の周りの周辺部をホルダで保持する保持工程と、前記成形対象領域へ向かって突出するパンチの突出部に前記成形対象領域を押し当てて、前記成形対象領域をその成形対象領域のうち前記キャラクタラインが形成される箇所であるキャラクタライン形成箇所を頂点として曲げ変形させることにより、前記成形対象領域を前記目標形状に成形する成形工程と、を備える。前記パンチの前記突出部は、当該突出部に前記成形対象領域が押し当てられたときに前記成形対象領域のうち前記キャラクタライン形成箇所を挟んで両側の第1部位と第2部位とにそれぞれ接触して荷重を加えることが可能な第1加重部と第2加重部とを有する。前記パンチの前記突出部は、先端面又は前記第1加重部及び前記第2加重部から窪んだ谷部を有し、前記第1加重部及び前記第2加重部は、前記先端面の両側に位置する角部又は前記谷部を挟んだ両側の突出する部分により構成される。前記成形工程では、前記第1加重部から前記第1部位に荷重を加えるとともに前記第2加重部から前記第2部位に荷重を加えることによって、前記成形対象領域を曲げ変形させる。
【0009】
この自動車用パネルの製造方法では、成形工程においてブランク材の成形対象領域を、キャラクタライン形成箇所を頂点として曲げ変形させるときに、キャラクタライン形成箇所の一箇所にパンチから荷重を加えるのではなく、あえて、成形対象領域のキャラクタライン形成箇所を挟んで両側の二箇所(第1部位と第2部位)にパンチから荷重を加えることにより、キャラクタライン形成箇所における板厚の減少を軽減してキャラクタライン形成箇所付近の外面の扁平化を抑制でき、その結果、より先鋭なキャラクタラインを自動車用パネルに形成することができる。
【0010】
具体的に、この製造方法では、ブランク材の周辺部がホルダによって保持された状態で、成形工程において、ブランク材の周辺部の内側の成形対象領域を、パンチの突出部の第1加重部と第2加重部とからキャラクタライン形成箇所を挟んで両側の第1部位と第2部位とにそれぞれ荷重を加えて曲げ変形させるため、キャラクタライン形成箇所の一箇所にのみパンチの突出部から荷重を加えて成形対象領域を曲げ変形させる場合に比べて、この曲げ変形によって成形対象領域に生じるキャラクタライン形成箇所から両外側への引っ張り方向の歪みをより広い範囲に分散させることができる。その結果、前記引っ張り方向の歪みに起因してキャラクタライン形成箇所に生じる板厚の減少を軽減できる。また、パンチの第1加重部と第2加重部とから成形対象領域の第1部位と第2部位とにそれぞれ荷重が加えられることによって、成形対象領域に前記引っ張り方向の歪みが生じたとしてもその成形対象領域の第1部位と第2部位との間の領域の材料が両部位の外側へ流れるのを抑制する効果が得られる。このことからも、キャラクタライン形成箇所の板厚の減少を軽減できる。キャラクタライン形成箇所の板厚が減少するほど、キャラクタライン形成箇所付近の外面が扁平化し、それに伴って、キャラクタライン形成箇所の外面に形成されるキャラクタラインが先鋭でなくなるが、当該製造方法では、前記のようにキャラクタライン形成箇所の板厚の減少を軽減できることから、より先鋭なキャラクタラインを自動車用パネルに形成することができる。
【0011】
しかも、この製造方法では、1回の成形工程でブランク材の成形対象領域をキャラクタラインを有する目標形状にプレス成形することができるので、従来のように二段階のプレス成形を行う場合に比べて金型のためのコストを削減でき、その結果、自動車用パネルの製造コストの増加を抑制できる。また、プレス成形を二段階に分けて行う場合には各段階毎に歩留まりが生じるため、最終的に製造される自動車用パネルの歩留まりは低下するが、この製造方法では、1回の成形工程で成形対象領域を目標形状に成形できるので、製造される自動車用パネルの歩留まりの低下を抑制できる。さらに、二段階のプレス成形を行う場合には、一段階目のプレス成形でブランク材についた成形痕が最終的に製造される自動車用パネルに残る虞があるが、この製造方法では1回の成形工程で成形対象領域を目標形状に成形できるので、自動車用パネルに一段階目のプレス成形による成形痕が残るのを防ぐことができる。
【0012】
前記パンチは、前記成形対象領域と対向する面であって前記突出部が設けられた面であるパンチ対向面を有し、前記パンチ対向面は、前記第1加重部に対して前記第2加重部と反対側に隣接する位置で前記成形対象領域から離れる向きに窪んだ第1窪み部と、前記第2加重部に対して前記第1加重部と反対側に隣接する位置で前記成形対象領域から離れる向きに窪んだ第2窪み部と、を有し、前記保持工程では、前記ブランク材に対して前記パンチと反対側に配置されたダイに対して前記ブランク材の前記周辺部を前記ホルダで固定することによって保持し、前記成形工程は、前記成形対象領域を前記ダイへ向かって曲げ変形させた後、前記ダイのうち前記成形対象領域と対向する面であるダイ対向面によって、前記成形対象領域のうち前記第1部位に対して前記第2部位と反対側に隣接する第1隣接箇所を前記第1窪み部内に押し込むとともに、前記成形対象領域のうち前記第2部位に対して前記第1部位と反対側に隣接する第2隣接箇所を前記第2窪み部内に押し込む押込工程を有することが好ましい。
【0013】
このようにダイ対向面によってパンチの第1窪み部内に成形対象領域の第1隣接箇所を押し込むとともにパンチの第2窪み部内に成形対象領域の第2隣接箇所を押し込むことにより、パンチの第1加重部に対して成形対象領域の第1部位をより強く押し付けることができるとともに、パンチの第2加重部に対して成形対象領域の第2部位をより強く押し付けることができる。その結果、成形対象領域の第1部位と第2部位との間の領域の材料が両部位の外側へ流れるのを抑制してキャラクタライン形成箇所の板厚の減少をより軽減でき、より先鋭なキャラクタラインを形成できる。
【0014】
前記ダイ対向面は、前記第1隣接箇所へ向かって突出する第1突出部と、前記第2隣接箇所へ向かって突出する第2突出部と、を有し、前記押込工程では、前記第1突出部によって前記第1隣接箇所を前記第1窪み部内に押し込むとともに、前記第2突出部によって前記第2隣接箇所を前記第2窪み部内に押し込むことが好ましい。
【0015】
こうすれば、押込工程において、成形対象領域の第1隣接箇所と第2隣接箇所をそれぞれパンチの第1窪み部内と第2窪み部内により有効に押し込むことができる。
【0016】
前記押込工程では、前記第1突出部によって前記第1隣接箇所が前記第1窪み部内に押し込まれるとともに前記第2突出部によって前記第2隣接箇所が前記第2窪み部内に押し込まれるときに、前記キャラクタライン形成箇所が前記ダイ対向面のうち前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置する部分から離間した状態を維持することが好ましい。
【0017】
こうすれば、第1突出部によって第1隣接箇所が第1窪み部内に押し込まれるとともに第2突出部によって第2隣接箇所が第2窪み部内に押し込まれることによりキャラクタライン形成箇所付近の外面の曲率半径がより小さくなるように成形対象領域が曲げ変形されるのが、ダイ対向面のうち第1突出部と第2突出部との間に位置する部分がキャラクタライン形成箇所に当たることによって阻害されるのを防ぐことができる。
また、前記ダイ対向面は、前記パンチの前記突出部に対向する位置において前記突出部から離れる方向に窪む中央窪み部を有し、前記中央窪み部の内面は連続する面によって構成され、前記押込工程では、前記ダイ対向面によって前記第1隣接箇所が前記第1窪み部内に押し込まれるとともに前記第2隣接箇所が前記第2窪み部内に押し込まれるときに、前記キャラクタライン形成箇所が前記中央窪み部の前記内面から離間した状態を維持してもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の自動車用パネルの製造方法によれば、より先鋭なキャラクタラインを形成できるとともに、製造コストの増加及び製造される自動車用パネルの歩留まりの低下を抑制でき、且つ、製造された自動車用パネルに成形痕が残るのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチの突出部付近の拡大図である。
図5】比較例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチの突出部付近の拡大図である。
図6】実施例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合にキャラクタライン付近の部分に生じる相当塑性歪みの分布図である。
図7】比較例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合にキャラクタライン付近の部分に生じる相当塑性歪みの分布図である。
図8】実施例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のパンチの加重部間距離Lとキャラクタライン部の外面の曲率半径Rとの相関関係を示す図である。
図9】比較例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のパンチの加重部間距離Lとキャラクタライン部の外面の曲率半径Rとの相関関係を示す図である。
図10】実施例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のキャラクタライン付近の外面の形状及び比較例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のキャラクタライン付近の外面の形状を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図12】本発明の第2実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図13】本発明の第3実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図14】本発明の第3実施形態による自動車用パネルの製造工程を模式的に示す縦断面図である。
図15】本発明の第3実施形態による製造方法でダイの第1及び第2突出部の曲率半径が異なる各場合におけるパンチの加重部間距離Lとキャラクタライン部の外面の曲率半径Rとの相関関係を示す図である。
図16】本発明の第1変形例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチとダイの部分的な縦断面図である。
図17】本発明の第2変形例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチとダイの部分的な縦断面図である。
図18】本発明の第3変形例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチとダイの部分的な縦断面図である。
図19】本発明の第4変形例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチとダイの部分的な縦断面図である。
図20】本発明の第5変形例による自動車用パネルの製造方法で用いられるパンチとダイの部分的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1図3は、本発明の第1実施形態による自動車用パネル1の製造工程を模式的に示している。これらの図1図3では、自動車用パネル1と、その自動車用パネル1の素材であるブランク材100と、自動車用パネル1をプレス成形するための金型であるパンチ10及びダイ20と、ブランク材100を保持するためのホルダ30とが、自動車用パネル1に形成されるキャラクタライン2と交差し且つブランク材100のプレス方向に沿う方向の縦断面で示されている。また、図4は、当該第1実施形態による自動車用パネル1の製造方法で用いられるパンチ10の突出部12付近の拡大図である。
【0022】
当該第1実施形態による製造方法では、ブランク材100をプレス成形することにより、稜線であるキャラクタライン2を有する目標形状の自動車用パネル1(図3参照)を製造する。この自動車用パネル1の形状は、キャラクタライン2を頂点として屈曲した形状である。
【0023】
当該第1実施形態による製造方法では、まず、パンチ10及びダイ20を用意する。
【0024】
パンチ10は、後述の成形工程においてブランク材100のうち目標形状に成形される成形対象領域101と対向する面であるパンチ対向面11を有する。このパンチ対向面11は、自動車用パネル1の目標形状に概ね対応した形状を有する。具体的に、パンチ10は、成形対象領域101側へ向かうにつれて幅が小さくなるように山型をなす部分を有しており、その山型の部分の外面であって成形対象領域101と対向する面がパンチ対向面11となっている。
【0025】
また、パンチ10は、その幅方向の中央の位置でパンチ対向面11に設けられて、成形対象領域101へ向かって突出する突出部12を有する。以下、この突出部12をパンチ突出部12と称する。なお、幅方向は、自動車用パネル1に形成されるキャラクタライン2に対して交差し且つ後述の成形工程におけるプレス方向に対して直交する方向に相当し、各図における左右方向に相当する。
【0026】
パンチ突出部12は、後述の成形工程において成形対象領域101に押し当てられる部分であり、パンチ10の山型をなす部分のうち成形対象領域101側へ最も突出した頂部に相当する。パンチ対向面11は、前記幅方向においてパンチ突出部12に対して一方側の領域である第1斜面部14と、前記幅方向においてパンチ突出部12に対して第1斜面部14と反対側の領域である第2斜面部16とを有する。第1斜面部14と第2斜面部16は、前記幅方向におけるパンチ対向面11の中央へ向かうにつれてパンチ突出部12側へ向かうように傾斜している。
【0027】
パンチ突出部12は、その突出方向の最先端に位置する平面状の先端面17を有する。先端面17は、後述の成形工程においてパンチ10のうちブランク材100に最初に接触する部分である。当該第1実施形態では、先端面17は、パンチ10の中心軸に対して垂直な面である。
【0028】
また、パンチ突出部12は、後述の成形工程においてブランク材100の成形対象領域101が当該パンチ突出部12に押し当てられたときにその成形対象領域101のうちの後述のキャラクタライン形成箇所103を挟んで両側の第1部位104と第2部位106とにそれぞれ接触して荷重を加えることが可能な第1加重部18と第2加重部19とを有する。第1加重部18は、先端面17と第1斜面部14とによってそれらの間の境界に形成される角部に相当する。第2加重部19は、先端面17と第2斜面部16とによってそれらの間の境界に形成される角部に相当する。
【0029】
ダイ20は、後述の成形工程においてブランク材100の成形対象領域101と対向する面であるダイ対向面22と、そのダイ対向面22の周りに位置する外周部24と、を有する。
【0030】
ダイ対向面22は、自動車用パネル1の目標形状に対応した形状であってパンチ対向面11の形状に概ね対応した形状で窪んでいる。ダイ対向面22は、後述のようにプレス成形装置にパンチ10とダイ20とが装着されたときにパンチ10の第1斜面部14と対向するように配置される第1対向面部26と、同様にプレス成形装置にパンチ10とダイ20とが装着されたときにパンチ10の第2斜面部16と対向するように配置される第2対向面部27と、を有する。第1対向面部26は、パンチ10の第1斜面部14と同様の傾斜角度を有し、第2対向面部27は、パンチ10の第2斜面部16と同様の傾斜角度を有する。ダイ20の幅方向におけるダイ対向面22の中央において、第1対向面部26と第2対向面部27とは、それらの間に谷線部28を形成するように互いに繋がっている。
【0031】
そして、当該第1実施形態による製造方法では、以上のような構成のパンチ10とダイ20を図略のプレス成形装置に装着する。この際、ダイ20とパンチ10とを上下に分かれて配置するとともに、ダイ20をそのダイ対向面22が下向きになる姿勢で配置し、パンチ10を、そのパンチ対向面11が上向きになる姿勢で、且つ、そのパンチ対向面11がダイ対向面22の真下に位置するように配置する(図1参照)。このとき、ダイ20の第1対向面部26が、パンチ10の第1斜面部14に対して平行に配置されるとともに、上下方向において第1斜面部14から離間した状態でその第1斜面部14に対向するように配置される。また、ダイ20の第2対向面部27が、パンチ10の第2斜面部16に対して平行に配置されるとともに、上下方向において第2斜面部16から離間した状態でその第2斜面部16に対向するように配置される。また、パンチ10は、その中心軸がプレス成形装置によるプレス方向(上下方向)に沿う姿勢で配置される。
【0032】
次に、図1に示すように、ブランク材100をホルダ30によって保持する保持工程を行う。この保持工程では、ブランク材100のうち成形対象領域101の周りの周辺部102をホルダ30で保持する。そして、この保持工程では、ダイ対向面22に対して成形対象領域101が対向するようにブランク材100が配置された状態で当該ブランク材100の周辺部102をダイ20に対してホルダ30で固定することによって保持する。
【0033】
具体的に、ブランク材100は、アルミニウムや鋼等の金属製の平板である。当該保持工程では、ブランク材100の成形対象領域101がダイ対向面22の真下に位置するとともにパンチ対向面11の上方でそのパンチ対向面11に対向するように配置され、その状態でブランク材100のうち成形対象領域101の周りに位置する部分である周辺部102をダイ20の外周部24に対してホルダ30で挟み込むことによって保持する。これにより、周辺部102は、ダイ20に対して固定される。このダイ20とホルダ30との間での周辺部102の保持力は、後述の成形工程においてブランク材100の成形対象領域101がパンチ10によって押されて曲げ変形されるときに、当該周辺部102が幅方向内側へ移動するのを阻止可能な大きさの力である。
【0034】
次に、ブランク材100の成形対象領域101を前記目標形状にプレス成形する成形工程を行う。
【0035】
この成形工程では、プレス成形装置により、ダイ20をパンチ10へ向かって降下させる(接近させる)。それによって、ダイ20に固定されたブランク材100の成形対象領域101をパンチ突出部12に押し当てて、当該成形対象領域101をその成形対象領域101のうちキャラクタライン2が形成される箇所であるキャラクタライン形成箇所103を頂点として曲げ変形させることにより、当該成形対象領域101を目標形状に成形する。
【0036】
具体的に、ダイ20とともに降下してきたブランク材100に対して、まず、パンチ突出部12のうちの先端面17が最初に接触する(図2参照)。その後、さらにダイ20とともにブランク材100が降下し、それに伴って、成形対象領域101のうちキャラクタライン2が形成される箇所であるキャラクタライン形成箇所103近傍の部分(幅方向の中央近傍の部分)がパンチ突出部12によって下側から押されて当該成形対象領域101がキャラクタライン形成箇所103を頂点として曲げ変形される。この際、成形対象領域101のうちキャラクタライン形成箇所103を挟んで両側でそのキャラクタライン形成箇所103に隣接した第1部位104と第2部位106とにパンチ突出部12の第1加重部18と第2加重部19からそれぞれ荷重が加えられることによって、成形対象領域101が曲げ変形される。
【0037】
詳しくは、成形対象領域101のうちキャラクタライン形成箇所103に対して第1加重部18側に隣接し、その第1加重部18に接触した部位である第1部位104に第1加重部18から上向きの荷重が加えられるとともに、成形対象領域101のうちキャラクタライン形成箇所103に対して第2加重部19側に隣接し、その第2加重部19に接触した部位である第2部位106に第2加重部19から上向きの荷重が加えられ、それによって成形対象領域101が曲げ変形される。成形対象領域101が曲げ変形し始めると、当該成形対象領域101の第1部位104と第2部位106との間に位置するキャラクタライン形成箇所103は、パンチ突出部12の第1加重部18と第2加重部19との間の先端面17から僅かに浮き上がった状態になり、当該キャラクタライン形成箇所103にパンチ突出部12から直接的に荷重は加えられない。
【0038】
また、ダイ20及びブランク材100を降下させて成形対象領域101を曲げ変形させる過程において、その成形対象領域101及びパンチ対向面11がダイ対向面22によって囲まれた空間内に入り込む。そして、最終的にダイ20が図3に示す下死点の位置まで降下し、成形対象領域101が前記目標形状に成形されてそのキャラクタライン形成箇所103にキャラクタライン2が形成される。以上の成形工程は、連続的に行われる。すなわち、ダイ20は、下死点に達するまで連続的に降下し、成形対象領域101は前記目標形状になるまで連続的に曲げ変形される。
【0039】
以上のようにして、当該第1実施形態による自動車用パネル1の製造方法が行われる。
【0040】
当該第1実施形態による製造方法では、成形工程においてブランク材100の成形対象領域101を曲げ変形させるときに、キャラクタライン形成箇所103の一箇所にパンチから荷重を加えるのではなく、あえて、キャラクタライン形成箇所103を挟んで両側の二箇所である第1部位104と第2部位106にパンチ10から荷重を加えることにより、キャラクタライン形成箇所103における板厚の減少を軽減してキャラクタライン形成箇所103付近の外面の扁平化を抑制でき、その結果、より先鋭なキャラクタライン2を自動車用パネル1に形成することができる。
【0041】
具体的に、当該第1実施形態による製造方法では、ブランク材100の周辺部102がダイ20とホルダ30とによって固定された状態で、成形工程において、そのブランク材100の周辺部102の内側の成形対象領域101をパンチ突出部12の第1加重部18と第2加重部19から当該成形対象領域101の第1部位104と第2部位106とにそれぞれ荷重を加えることによって曲げ変形させる。このため、当該第1実施形態による製造方法では、従来のようにパンチからキャラクタライン形成箇所の1箇所のみに直接的に荷重を加えて成形対象領域を曲げ変形させる場合に比べて、成形対象領域101の曲げ変形によって当該成形対象領域101に生じるキャラクタライン形成箇所103から両外側への引っ張り方向の歪みをより広い範囲に分散させることができる。その結果、前記引っ張り方向の歪みに起因してキャラクタライン形成箇所103に生じる板厚の減少を軽減できる。
【0042】
また、パンチ10の第1加重部18と第2加重部19とから成形対象領域101の第1部位104と第2部位106とにそれぞれ荷重が加えられることによって、成形対象領域101に前記引っ張り方向の歪みが生じたとしても当該成形対象領域101の第1部位104と第2部位106との間の領域の材料が両部位104,106の両外側へ流れるのを抑制する効果が得られる。このことからも、キャラクタライン形成箇所103の板厚の減少を軽減できる。
【0043】
キャラクタライン形成箇所103の板厚が減少するほど、キャラクタライン形成箇所103付近の外面が扁平化し、それに伴って、成形後のブランク材100からなる自動車用パネル1のキャラクタライン2が先鋭でなくなるが、当該第1実施形態による製造方法では、前記のようにキャラクタライン形成箇所103の板厚の減少を軽減できることから、より先鋭なキャラクタライン2を自動車用パネル1に形成することができる。
【0044】
しかも、当該第1実施形態による製造方法では、1回の連続的なプレス成形(成形工程)で、ブランク材100の成形対象領域101を、キャラクタライン2を有する目標形状に成形できる。このため、従来のように二段階のプレス成形を行う場合に比べて金型のためのコストを削減でき、その結果、自動車用パネル1の製造コストの増加を抑制できる。
【0045】
また、プレス成形を二段階に分けて行う場合には各段階毎に歩留まりが生じるため、最終的に製造される自動車用パネル1の歩留まりは低下するが、当該第1実施形態による製造方法では、1回のプレス成形で成形対象領域101を目標形状に成形して自動車用パネル1を製造できるため、自動車用パネル1の歩留まりの低下を抑制できる。
【0046】
さらに、二段階のプレス成形を行う場合には、一段階目のプレス成形でブランク材についた成形痕が最終的に製造される自動車用パネル1に残る虞があるが、当該第1実施形態による製造方法では、1回の連続的なプレス成形で成形対象領域101を目標形状に成形して自動車用パネル1を製造できるため、自動車用パネル1に成形痕が残るのを防ぐことができる。
【0047】
次に、当該第1実施形態の製造方法による効果を調べたシミュレーションについて説明する。
【0048】
まず、当該第1実施形態の製造方法によって製造した自動車用パネル1では、キャラクタライン2(キャラクタライン形成箇所103)付近に生じる前記引っ張り方向の歪みがどのようになるかについてシミュレーションにより調べた。
【0049】
このシミュレーションでは、実施例として、当該第1実施形態による上述の製造方法と同様にパンチ突出部12が平面状の先端面17とその両側の第1及び第2加重部18,19とを有するパンチ10を用いて上述の製造方法と同様のプロセスで自動車用パネル1を製造した場合を設定した。また、比較例として、従来から一般的に用いられる形状のパンチ、具体的には図5に示すようにパンチ突出部212の先端面217が円弧状の断面を有するパンチ210を用い、そのこと以外は第1実施形態の上述の製造方法と同様にして自動車用パネル201(図7参照)を製造した場合を設定した。そして、その実施例と比較例のそれぞれによって製造した自動車用パネル1に生じる前記引っ張り方向の歪み、具体的には相当塑性歪みをシミュレーションにて調べた。図6には、そのシミュレーションによって得られた実施例の自動車用パネル1の相当塑性歪み分布が示されている。また、図7には、そのシミュレーションによって得られた比較例の自動車用パネル201の相当塑性歪み分布が示されている。
【0050】
実施例では、自動車用パネル1のうち図6に示されたキャラクタライン2の両側に亘る範囲αにおいて相当塑性歪みが生じている。一方、比較例では、自動車用パネル201のうち図7に示されたキャラクタライン202の両側に亘る範囲βにおいて相当塑性歪みが生じている。これらの結果から判るように、実施例において相当塑性歪みが生じる範囲αは、比較例において相当塑性歪みが生じる範囲βよりも広い。これは、比較例では、パンチ突出部212の最先端の一箇所のみでブランク材のキャラクタライン形成箇所に対して荷重が加えられるのに対し、実施例では、パンチ突出部12の第1加重部18と第2加重部19の二箇所でブランク材100のキャラクタライン形成箇所103を挟んで両側の第1部位104と第2部位106とに荷重が加えられることから、前記引っ張り方向の歪みがキャラクタライン形成箇所103から両側のより広い範囲に分散して生じることによると考えられる。
【0051】
次に、前記実施例において、パンチ10の前記縦断面における第1加重部18と第2加重部19との間の距離である加重部間距離L(図4参照)を変化させた場合に、当該実施例で製造される自動車用パネル1のキャラクタライン2付近の部分の外面の曲率半径Rが変化する傾向を調べた。具体的には、パンチ10の前記加重部間距離Lを0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm及び3mmのそれぞれに設定し、その各場合のパンチ10を用いて製造される自動車用パネル1のキャラクタライン2付近の部分の外面の前記曲率半径Rをシミュレーションにより求めた。このようにして得られた実施例における前記加重部間距離Lと前記曲率半径Rとの相関関係が、図8に示されている。この相関関係から、実施例において前記加重部間距離Lが1.5mmである場合にキャラクタライン2付近の部分の外面の曲率半径Rが最小の4.48mmになることが判った。
【0052】
また、前記比較例において、パンチ210の前記縦断面における先端面217の曲率半径Rpを変化させた場合に、当該比較例で製造される自動車用パネル201のキャラクタライン202付近の部分の外面の曲率半径Rが変化する傾向を調べた。具体的には、パンチ210の先端面217の前記曲率半径Rpを0.5mm、1mm、3mm及び8mmのそれぞれに設定し、その各場合のパンチ210を用いて製造される自動車用パネル201のキャラクタライン202付近の部分の外面の曲率半径Rをシミュレーションにより求めた。このようにして得られた比較例におけるパンチ210の先端面217の曲率半径Rpと自動車用パネル201のキャラクタライン202付近の部分の外面の曲率半径Rとの相関関係が、図9に示されている。この相関関係から、比較例においてパンチ210の先端面217の前記曲率半径Rpが3mmである場合にキャラクタライン202付近の部分の外面の曲率半径Rが最小の5.38mmになることが判った。
【0053】
そして、図8及び図9の結果から、実施例において前記加重部間距離Lを1.0mm~1.5mmの範囲に設定すれば、キャラクタライン2付近の部分の外面の曲率半径Rが比較例によって得られるキャラクタライン202付近の部分の外面の曲率半径Rの最小値5.38mmよりも小さくなることが判る。従って、望ましくは、実施例において前記加重部間距離Lを1.0mm以上1.5mm以下の範囲に設定すれば、従来の先端面が円弧状の断面を有するパンチを用いた製造方法によって自動車用パネルを製造する場合に比べて、キャラクタライン2付近の部分の外面の扁平化を抑制でき、より先鋭なキャラクタライン2を形成できることが判った。
【0054】
図10には、前記実施例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のキャラクタライン付近の外面の形状及び前記比較例による製造方法で自動車用パネルを製造した場合のキャラクタライン付近の外面の形状が抜き出して示されている。この図10において、横軸のXはプレス方向に直交する幅方向の寸法であり、縦軸のYはプレス方向に沿う方向の寸法である。
【0055】
図10から、実施例によって製造された自動車用パネルのキャラクタライン付近において目標形状から板厚が減少した範囲Aが、比較例によって製造された自動車用パネルのキャラクタライン付近において目標形状から板厚が減少した範囲Bよりも大きいことが判る。これは、実施例では、比較例に比べて、ブランク材の成形対象領域の曲げ変形によって生じる引っ張り方向の歪みがキャラクタライン形成箇所から両外側のより広い範囲に分散した結果、板厚の減少範囲が拡大したことを示唆している。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図11及び図12を参照して、本発明の第2実施形態による自動車用パネル1の製造方法について説明する。
【0057】
当該第2実施形態による製造方法では、成形工程は、パンチ突出部12によりブランク材100の成形対象領域101を曲げ変形させた後、ダイ対向面22によって、成形対象領域101のうち第1部位104に対して第2部位106と反対側に隣接する第1隣接箇所108をパンチ10の後述の第1窪み部41内に押し込むとともに、成形対象領域101のうち第2部位106に対して第1部位104と反対側に隣接する第2隣接箇所109をパンチ10の後述の第2窪み部42内に押し込む押込工程を有する。
【0058】
具体的に、当該第2実施形態による製造方法で用いるパンチ10は、そのパンチ対向面11の第1斜面部14及び第2斜面部16の延長線上よりも突出したパンチ突出部12を有する。そのため、パンチ対向面11のうち第1加重部18に対して第2加重部19と反対側に隣接する部分が第1窪み部41となっているとともに、パンチ対向面11のうち第2加重部19に対して第1加重部18と反対側に隣接する部分が第2窪み部42となっている。第1窪み部41及び第2窪み部42は、成形工程においてパンチ10が対向して配置される成形対象領域101から離れる向きに窪んでいる。
【0059】
また、当該第2実施形態による製造方法で用いるダイ20は、前記第1実施形態で用いたダイ20の外周部24と同様の外周部24を有するとともに、その外周部24の内側にダイ対向面22を有する。
【0060】
ダイ対向面22は、パンチ対向面11の形状に対応した形状で窪んでいる。ダイ対向面22は、図略のプレス成形装置にパンチ10とダイ20とが装着されたときにパンチ10の第1斜面部14と対向するように配置される第1対向面部26と、同様にプレス成形装置にパンチ10とダイ20が装着されたときにパンチ10の第2斜面部16と対向するように配置される第2対向面部27とを有する。
【0061】
そして、当該第2実施形態では、ダイ対向面22は、その幅方向の中央に中央窪み部22aを有する。中央窪み部22aは、第1対向面部26及び第2対向面部27の延長線上よりもパンチ10から離れる方向に窪んでいる。この中央窪み部22aは、プレス成形装置にパンチ10とダイ20が装着された状態でパンチ突出部12と対向する箇所にあり、また、成形工程においてブランク材100のキャラクタライン形成箇所103と対向する箇所にある。
【0062】
そして、当該第2実施形態では、保持工程において前記第1実施形態と同様にダイ20に対してブランク材100の成形対象領域101を配置した状態でそのブランク材100の周辺部102をホルダ30で保持することによってダイ20に対して固定する。そして、成形工程において、図11に示すようにパンチ突出部12によりブランク材100の成形対象領域101がキャラクタライン形成箇所103を頂点として曲げ変形された後、ダイ20が下死点の位置に至る過程で、図12に示すように、成形対象領域101のキャラクタライン形成箇所103付近の部分がパンチ突出部12によってダイ対向面22の中央窪み部22a内に押し込まれ、相対的に、ダイ対向面22によって成形対象領域101の第1隣接箇所108と第2隣接箇所109とがそれぞれパンチ10の第1窪み部41内と第2窪み部42内とに押し込まれる(押込工程)。
【0063】
この押し込みの過程では、キャラクタライン形成箇所103がダイ20の中央窪み部22aの内面から離間した状態が維持される。すなわち、中央窪み部22aの深さは、ダイ20が下死点の位置に達して成形対象領域101のキャラクタライン形成箇所103付近の部分が中央窪み部22a内に押し込まれた状態でその部分の外面と中央窪み部22aの内面との間に隙間が残るような深さに設定されている。
【0064】
この第2実施形態による製造方法の上記以外の点は、第1実施形態と同様である。
【0065】
この第2実施形態による製造方法では、成形工程において、ダイ対向面22によって成形対象領域101の第1隣接箇所108がパンチ10の第1窪み部41内に押し込まれるとともに成形対象領域101の第2隣接箇所109がパンチ10の第2窪み部42内に押し込まれるため、成形対象領域101の第1部位104をパンチ10の第1加重部18に対してより強く押し付けることができるとともに、成形対象領域101の第2部位106をパンチ10の第2加重部19に対してより強く押し付けることができる。このため、成形対象領域101が曲げ変形される過程で第1部位104と第2部位106との間の領域の材料が両部位104,106の両外側へ流れるのをより有効に抑制できる。そのため、より先鋭なキャラクタライン2を自動車用パネル1に形成できる。
【0066】
また、この第2実施形態による製造方法では、パンチ突出部12により成形対象領域101が曲げ変形された後、その成形対象領域101のキャラクタライン形成箇所103付近の部分がダイ20の中央窪み部22a内に押し込まれるとともに、その成形対象領域101の第1隣接箇所108と第2隣接箇所109とがダイ対向面22によってそれぞれパンチ10の第1窪み部41内と第2窪み部42内に押し込まれることによって、キャラクタライン形成箇所103の外面の曲率半径がより小さくなるようにそのキャラクタライン形成箇所103付近の部分が曲げ変形される。そして、この押し込みの過程では、でキャラクタライン形成箇所103がダイ対向面22の中央窪み部22aの内面から離間した状態が維持されることから、前記のように外面の曲率半径がより小さくなるようにキャラクタライン形成箇所103付近の部分が曲げ変形されるのが、当該キャラクタライン形成箇所103に中央窪み部22aの内面が当たって阻害されるのを防ぐことができる。このため、より先鋭なキャラクタライン2を形成できる。
【0067】
当該第2実施形態による上記以外の効果は、第1実施形態による効果と同様である。
【0068】
(第3実施形態)
次に、図13及び図14を参照して、本発明の第3実施形態による自動車用パネル1の製造方法について説明する。
【0069】
当該第3実施形態による製造方法では、成形工程の終期において、ブランク材100の成形対象領域101をパンチ突出部12によって曲げ変形させた後、その成形対象領域101の第1隣接箇所108をダイ20の第1突出部51によってパンチ10の第1窪み部41内に押し込むとともにその成形対象領域101の第2隣接箇所109をダイ20の第2突出部52によってパンチ10の第2窪み部42内に押し込む押込工程を行う。
【0070】
具体的に、当該第3実施形態による製造方法で用いるパンチ10は、前記第2実施形態による製造方法で用いたパンチ10と同様のものである。
【0071】
また、当該第3実施形態による製造方法で用いるダイ20のダイ対向面22は、図13に示すように、成形対象領域101の第1隣接箇所108へ向かって突出する第1突出部51と、成形対象領域101の第2隣接箇所109へ向かって突出する第2突出部52と、を有する。第1突出部51は、ダイ対向面22の第1対向面部26のうちパンチ10の第1窪み部41に対向し且つ成形工程の終期において成形対象領域101の第1隣接箇所108に接触する箇所に設けられている。また、第2突出部52は、ダイ対向面22の第2対向面部27のうちパンチ10の第2窪み部42に対向し且つ成形工程の終期において成形対象領域101の第2隣接箇所109に接触する箇所に設けられている。
【0072】
そして、当該第3実施形態では、成形工程において、図13に示すようにパンチ突出部12にブランク材100の成形対象領域101が押し当てられてキャラクタライン形成箇所103を頂点として曲げ変形された後、ダイ20が下死点の位置に至る過程で、ダイ20の第1突出部51によって成形対象領域101の第1隣接箇所108がパンチ10の第1窪み部41内へ押し込まれるとともに、ダイ20の第2突出部52によって成形対象領域101の第2隣接箇所109がパンチ10の第2窪み部42内に押し込まれる(図14参照)。この押し込みの過程で、成形対象領域101のキャラクタライン形成箇所103付近の部分は、パンチ突出部12によってダイ対向面22の中央窪み部22a内に押し込まれる。
【0073】
当該第3実施形態では、前記第2実施形態と同様、前記の押し込みの過程で、キャラクタライン形成箇所103がダイ対向面22の中央窪み部22aの内面から離間した状態が維持される。すなわち、当該第3実施形態でも、中央窪み部22aの深さは、ダイ20が下死点の位置に達して成形対象領域101のキャラクタライン形成箇所103付近の部分が中央窪み部22a内に押し込まれた状態でその部分の外面と中央窪み部22aの内面との間に隙間が残るような深さに設定されている。
【0074】
この第3実施形態による製造方法の上記以外の点は、第2実施形態と同様である。
【0075】
この第3実施形態の製造方法によれば、前記押込工程により、前記第2実施形態の製造方法と同様に自動車用パネル1により先鋭なキャラクタライン2を形成できるという効果が得られる。
【0076】
さらに、この第3実施形態の製造方法では、ダイ20の第1対向面部26から突出した第1突出部51とダイ20の第2対向面部27から突出した第2突出部52とによって成形対象領域101の第1隣接箇所108と第2隣接箇所109をそれぞれ押し込むので、その第1隣接箇所108と第2隣接箇所109をそれぞれパンチ10の第1窪み部41内と第2窪み部42内とにより有効に押し込むことができる。
【0077】
この第3実施形態による製造方法の上記以外の効果は、第2実施形態による効果と同様である。
【0078】
次に、この第3実施形態による製造方法で製造する場合に、ダイ20の第1及び第2突出部51,52の外面の曲率半径を変更した場合に、パンチ10の第1加重部18と第2加重部19との間の加重部間距離Lとキャラクタライン2付近の外面の曲率半径との相関関係がどのように変化するかについてシミュレーションにより調べた所、図15に示す結果が得られた。
【0079】
このシミュレーションでは、ダイ20の第1及び第2突出部51,52の外面の曲率半径Rdが3mm、5mm、10mm及び20mmの各場合について、加重部間距離Lを変化させて成形される自動車用パネル1のキャラクタライン2付近の外面の曲率半径を調べた。
【0080】
前記第1実施形態において説明したように従来の先端面が円弧状の断面を有するパンチを用いてプレス成形した比較例による自動車用パネルでは、キャラクタライン付近の外面の曲率半径が最小で5.38mmであったことから、当該第3実施形態のシミュレーションで調べた範囲では、第1及び第2突出部51,52の外面の曲率半径Rdが3mm、5mm、10mm及び20mmのいずれの場合であっても、加重部間距離Lが0.5mm以上1.5mm以下の範囲で前記比較例よりもキャラクタライン付近の外面の曲率半径を低減できること、すなわち、より先鋭なキャラクタラインを形成できることが判った。
【0081】
(変形例)
本発明による自動車用パネルの製造方法は、前記のようなものに必ずしも限定されない。例えば、本発明による自動車用パネルの製造方法に以下のような技術を採用可能である。
【0082】
図16図20には、本発明の各変形例による製造方法で用いられるパンチ10とダイ20の構成が示されている。
【0083】
図16に示されている第1変形例では、パンチ突出部12が第1及び第2斜面部14,16の延長線上よりも突出しているとともに、その第1斜面部14のうち第1加重部18に対して第2加重部19と反対側に隣接した箇所に部分的に窪んだ第1窪み部41が設けられ、第2斜面部16のうち第2加重部19に対して第1加重部18と反対側に隣接した箇所に部分的に窪んだ第2窪み部42が設けられている。また、ダイ対向面22のうち第1窪み部41に対向する位置に第1突出部51が設けられているとともに、ダイ対向面22のうち第2窪み部42に対向する位置に第2突出部52が設けられている。
【0084】
このような構成のパンチ10とダイ20を用いて、成形工程の終期の押込工程において、成形対象領域101の第1隣接箇所108を第1突出部51により第1窪み部41内に押し込むとともに、成形対象領域101の第2隣接箇所109を第2突出部52により第2窪み部42内に押し込んでもよい。
【0085】
また、図17に示されている第2変形例では、パンチ突出部12の先端面17に対する第2斜面部16の角度θが、その先端面17に対する第1斜面部14の角度θよりも大きくなっている。また、ダイ対向面22のうちの第1対向面部26は、パンチ10の第1斜面部14に対して平行となっており、ダイ対向面22のうちの第2対向面部27は、パンチ10の第2斜面部16に対して平行となっている。従って、この第2変形例では、プレス方向P(上下方向)に対してパンチ10の第1斜面部14及びダイ20の第1対向面部26がなす角度と、プレス方向Pに対してパンチ10の第2斜面部16及びダイ20の第2対向面部27がなす角度とが異なっている。このような構成のパンチ10とダイ20を用いてブランク材100の成形対象領域101をプレス成形してもよい。
【0086】
また、図18に示されている第3変形例では、パンチ対向面11全体がプレス方向Pに対して傾いているとともに、そのパンチ対向面11の傾きに対応するようにダイ対向面22全体がプレス方向Pに対して傾いている。このような構成のパンチ10とダイ20を用いてブランク材100の成形対象領域101をプレス成形してもよい。
【0087】
また、図19に示されている第4変形例では、パンチ10の第1斜面部14のうち第1加重部18に隣接する箇所に外側へ膨らむ第1膨出部61が設けられ、パンチ10の第2斜面部16のうち第2加重部19に隣接する箇所に外側へ膨らむ第2膨出部62が設けられている。第1膨出部61及び第2膨出部62のそれぞれの外面は、丸みを帯びた曲面となっている。また、ダイ対向面22のうちパンチ10の第1膨出部61に対向する領域は、その第1膨出部61の外面の形状に対応した形状で窪んでおり、ダイ対向面22のうちパンチ10の第2膨出部62に対向する領域は、その第2膨出部62の外面の形状に対応した形状で窪んでいる。このような構成のパンチ10とダイ20を用いてブランク材100の成形対象領域101をプレス成形してもよい。
【0088】
また、図20に示されている第5変形例では、パンチ突出部12が、第1加重部18と第2加重部19との間にその両加重部18,19から窪んだ谷部71を有する。この谷部71の存在により、パンチ突出部12のうち谷部71を挟んで両側の部分がそれぞれ独立して突出した部分となっており、その両突出部のそれぞれの先端が第1加重部18と第2加重部19となっている。成形工程においてパンチ突出部12にブランク材100の成形対象領域101が押し当てられるときには、この第1加重部18と第2加重部19のみが成形対象領域101に接触するようになっている。このような構成のパンチ10を用いてブランク材100の成形対象領域101をプレス成形してもよい。
【0089】
また、前記第2実施形態による製造方法では、成形工程の終期の押込工程でダイ対向面22により成形対象領域101の第1隣接箇所108をパンチ10の第1窪み部41内に押し込むとともに成形対象領域101の第2隣接箇所109をパンチ10の第2窪み部42内に押し込む結果、第1隣接箇所108の外面及び第2隣接箇所109の外面がダイ対向面22のそれぞれ対応する箇所に対して強く押し付けられる。その結果、成形された自動車用パネル1の外面のうち第1隣接箇所108及び第2隣接箇所109にそれぞれ対応する箇所の外面にダイ対向面22に対する接触痕が残る可能性も考えられる。その対策として、ダイ対向面22のうち第1及び第2隣接箇所108,109のそれぞれに対向する箇所にゴムシート等の緩衝材を設置し、その緩衝材によって自動車用パネル1の外面のうち第1及び第2隣接箇所108,109に対応する箇所の外面に接触痕がつくのを抑制してもよい。
【0090】
また、前記第3実施形態による製造方法のように、ダイ対向面22の第1対向面部26に設けられた第1突出部51により成形対象領域101の第1隣接箇所108をパンチ10の第1窪み部41内に押し込むとともに、ダイ対向面22の第2対向面部27に設けられた第2突出部52により成形対象領域101の第2隣接箇所109をパンチ10の第2窪み部42内に押し込む場合も同様に、第1突出部51の外面上及び第2突出部52の外面上にそれぞれゴムシート等の緩衝材を設置し、その緩衝材によって自動車用パネル1の外面のうち第1及び第2隣接箇所108,109に対応する箇所の外面にダイ20の第1及び第2突出部51,52に対する接触痕がつくのを抑制してもよい。
【0091】
また、成形工程では、位置が固定されたパンチへ向かってダイを接近させる代わりに、位置が固定されたダイへ向かってパンチを接近させ、パンチ突出部によってブランク材の成形対象領域を曲げ変形させてもよい。
【0092】
また、成形工程におけるダイもしくはパンチの移動方向は、必ずしも上下方向に沿う方向に限定されず、任意の方向に設定されてもよい。
【0093】
また、ダイ20をそのダイ対向面22が上向きになる姿勢で配置し、パンチ10をそのパンチ対向面11が下向きになる姿勢で、且つ、そのパンチ対向面11がダイ対向面22の真上に位置するように配置してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 自動車用パネル
2 キャラクタライン
10 パンチ
11 パンチ対向面
12 パンチ突出部(突出部)
18 第1加重部
19 第2加重部
20 ダイ
30 ホルダ
41 第1窪み部
42 第2窪み部
51 第1突出部
52 第2突出部
100 ブランク材
101 成形対象領域
102 周辺部
103 キャラクタライン形成箇所
104 第1部位
106 第2部位
108 第1隣接箇所
109 第2隣接箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20