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特許7272970スペクトル電位温度多次元滴定分析装置およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】スペクトル電位温度多次元滴定分析装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/16 20060101AFI20230502BHJP
   G01N 27/27 20060101ALI20230502BHJP
   G01N 25/48 20060101ALI20230502BHJP
   G01N 21/79 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G01N31/16 A
G01N27/27 C
G01N25/48
G01N21/79
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019572718
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 CN2019097096
(87)【国際公開番号】W WO2021007876
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】201910636634.9
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519461532
【氏名又は名称】王飛
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】王飛
(72)【発明者】
【氏名】鄒明強
(72)【発明者】
【氏名】張昂
(72)【発明者】
【氏名】艾連峰
(72)【発明者】
【氏名】王海洋
(72)【発明者】
【氏名】李響
(72)【発明者】
【氏名】温昊松
(72)【発明者】
【氏名】崔宗岩
(72)【発明者】
【氏名】柳吉芹
(72)【発明者】
【氏名】王宇曦
(72)【発明者】
【氏名】席飛
(72)【発明者】
【氏名】劉芳
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-071355(JP,A)
【文献】特開平11-108917(JP,A)
【文献】特開2010-145221(JP,A)
【文献】特開2001-296305(JP,A)
【文献】国際公開第2019/134355(WO,A1)
【文献】特開昭61-144557(JP,A)
【文献】特開平02-268271(JP,A)
【文献】特開昭53-039793(JP,A)
【文献】特開昭59-087350(JP,A)
【文献】特表2004-520585(JP,A)
【文献】実開昭56-097740(JP,U)
【文献】特開2009-264913(JP,A)
【文献】特表2008-500526(JP,A)
【文献】特開平03-137562(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107703202(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滴定試剤制御システム、滴定測量システムおよびデータ処理システムを含み、前記滴定試剤制御システムは前記滴定測量システムにより前記データ処理システムに接続されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置であって、
前記滴定試剤制御システムは滴定試剤キャビンを含み、
前記滴定測量システムは、測量キャビンを含み、
前記滴定試剤キャビンと前記測量キャビンが管路を介して連通しており、
前記滴定測量システムはスペクトル滴定測量装置、温度滴定測量装置および電位滴定測量装置を含み、且つ前記スペクトル滴定測量装置、前記温度滴定測量装置と前記電位滴定測量装置が並列接続して前記測量キャビンの内部に設置されており、
同一の測定過程で、前記スペクトル滴定測量装置、前記電位滴定測量装置と前記温度滴定測量装置は同時に、測量パラメータの測量を行い、
前記データ処理システムは測量信号変換計算装置を含み、前記測量信号変換計算装置は、信号線を介して、それぞれ前記スペクトル滴定測量装置、前記温度滴定測量装置および前記電位滴定測量装置から測定信号を受け取れるように接続されており、
前記スペクトル電位温度多次元滴定分析装置はさらにデータ出力表示システムを含み、前記データ出力表示システムは前記測量パラメータの測量データの同期表示が実現されるように前記データ処理システムに接続されており、
前記滴定試剤キャビンは滴定液保存容器、滴定試剤制御装置および第1の温度制御装置を含み、前記滴定液保存容器と前記滴定試剤制御装置が滴定試剤管路を介して連通しており、前記第1の温度制御装置はそれぞれ前記滴定液保存容器および前記滴定試剤制御装置に接続されており、
前記滴定試剤制御装置は保護ガスユニット、ガス濾過ユニットおよび液体感知ユニットを含み、
前記保護ガスユニットは、前記滴定液保存容器中の滴定試剤の空気による酸化が防止された保護ガス環境を提供し、前記ガス濾過ユニットは、空気ガスの濾過を実現し、前記液体感知ユニットは前記滴定液保存容器中の滴定試剤である滴定液の残量を感知するものであり、
前記第1の温度制御装置は加熱ユニット、降温ユニットおよび温度感知ユニットを含み、且つ前記第1の温度制御装置は前記滴定試剤に恒温環境を提供するものであり、
前記測量キャビンは機械的アーム、滴定ヘッド、滴定制御装置、反応容器、攪拌装置、洗浄装置、第2の温度制御装置、ガス保護装置および信号フィードバック装置を含み、
前記滴定ヘッドと前記測量キャビンの壁が、前記滴定ヘッドと前記反応容器の相対変位が可能となるように前記機械的アームを介して接続されており、
前記滴定制御装置、前記攪拌装置、前記洗浄装置、前記ガス保護装置はそれぞれ前記滴定ヘッドに接続されるとともに、前記滴定ヘッドにより前記反応容器との相対変位ができるように構成されており、
前記信号フィードバック装置は前記機械的アーム、前記滴定制御装置、前記攪拌装置、前記洗浄装置、前記第2の温度制御装置、前記ガス保護装置のそれぞれに信号により通信可能に接続され、且つ前記第2の温度制御装置は滴定反応の前記反応容器温度を制御するもので、前記ガス保護装置は滴定反応に保護ガス環境を提供するものであり、
前記信号フィードバック装置と前記測量信号変換計算装置は信号により通信可能に接続されている、
ことを特徴とするスペクトル電位温度多次元滴定分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測量の分野に関し、具体的には、分析化学の技術分野に関し、より具体的には
、スペクトル電位温度多次元滴定分析装置および滴定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
滴定化学分析では、反応溶液中の物質構成の変化と計量は、該化学分析における極めて
重要な基礎課題となっている。異なる測量方法によって同一の測定目標に対して異なる測
量データを取得すること、およびデータ間の比較は、化学反応における物質構成の変化過
程に対して異なる物理量の分析を提供することができ、化学分析において幅広く応用され
且つ極めて重要な一環である。
【0003】
電位滴定とは、測量電極を被測溶液に挿入させ、被測物質とともに電気化学セルを構成し
、電位変化を測量することにより反応溶液における物質構成の変化を特徴付け、化学反応
のプロセスを識別するものであり、電極鈍化や隔膜閉塞という欠点がある。温度滴定技術
とは、分析検測方法として、温度センサにより滴定溶液システムにおける温度変化を感知
するものである。温度センサの感知素子は一般的にサーミスターとされる。反応システム
の温度がわずかに変化するとその電気抵抗値が変化することから、電気抵抗値を測量する
時に溶液に触る必要がなく、一つの電極であればどんな滴定でも適合できるもので、測定
が快速的で、分解率が高くて、操作が簡単で、結果も正確で、温度感知システムのメンテ
ナンスも便利であるなどの利点がある。これに対して複雑なシステムの測定には適し得な
いという欠点がある。スペクトル滴定とは、溶液を透過した可視光の信号変化を分析する
ことにより、反応プロセスを分析するという非破壊的測量手段であり、その応答速度が速
く、測量範囲が広く、操作が簡単で、構造が正確的であるという利点がある一方、呈色物
質だけの構造変化に対する特徴づけ、呈色化学反応だけの識別ができるという欠点がある
【0004】
従来まで、滴定分析技術は国内外どこでも温度滴定方法、スペクトル滴定方法と電気化学
滴定方法を別々に実施して別々の装置を構築するのであり、同一の化学反応に同期の測定
結果を提供できなく、異なる測定結果間の同期のデータ比較も可能ではなかった。しかし
、このような同じ測量条件に基づくデータ比較は、物質構成の特徴付け分析において非常
に重要である。この3種類の方法はそれぞれ利点と欠点があり、三つの方法を統一な測量
技術として集めることは、分析業界での大きな進歩であろうと言える。技術上の制限が原
因で、従来では、温度、可視光スペクトルと電気化学滴定データを同期測量するというス
キルが、どの装置でも備えていなく、異なる方法による同期測量データを取得してほしい
という化学分析における要求は満足していなかったのであり、単独な実験で独立にパラメ
ータを測るという方式しか採用していない。その不利点は、1)測量対象が統一ではなく
、すなわち別々に実験を行えば各実験の基質と測量条件が同様ではならなく、化学反応ご
とのデータも様々になるので、異なる実験データに基づき対比分析を行って得られた化学
反応の情報も誤差があること、および2)少ないサンプル量であるならば多数回の独立実
験のためのサンプル要求を満足できなく、また多数回の独立実験であったら、実験の工程
も増え、実験時間を延長するので、実験のプロセスに影響を与えることである。
【0005】
したがって、一つの化学反応過程に多種類の滴定モードによる同期測定を提供可能なスペ
クトル電位温度多次元滴定分析装置およびその使用方法は、本分野当業者にとって早急に
解決しょうとする課題となる。
【発明の概要】
【0006】
このような実情を踏まえ、従来技術における課題に対して、本発明の目的は、一の化学
反応過程に同期測定結果を提供可能なスペクトル電位温度多次元滴定分析装置を提供する
ことである。該スペクトル電位温度多次元滴定分析装置は化学分析における異なる分析方
法による同期測量という要求を満足できる。異なる測量方法間の測量精度を向上し、効果
的に複数回で独立に行う実験の作業量を減少する。一の分析対象に対する異なる分析方法
による同期測量を実現することができる。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術解決策を提供する。
本発明におけるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置は、試剤制御システム、滴定測量
システムおよびデータ処理システムを含み、前記試剤制御システムは前記滴定測量システ
ムにより前記データ処理システムに接続されており、
前記試剤制御システムは試剤キャビンおよび測量キャビンを含み、前記試剤キャビンと前
記測量キャビンが試剤管路を介して連通しており、
前記滴定測量システムはスペクトル滴定測量装置、温度滴定測量装置および電位滴定測量
装置を含み、且つ前記スペクトル滴定測量装置、温度滴定測量装置と電位滴定測量装置が
並列接続して前記測量キャビンの内部に設置されており、
前記データ処理システムは測量信号変換計算装置を含み、前記測量信号変換計算装置はそ
れぞれ前記スペクトル滴定測量装置、前記温度滴定測量装置および前記電位滴定測量装置
に信号により接続されている。
【0008】
説明すべきのは、少なとも一つの前記測量キャビンと少なとも一つの前記試剤キャビンが
連通する。例示的に、ある場合では、一つの前記測量キャビンと複数の前記試剤キャビン
が連通するとされる。他の場合では、複数の前記測量キャビンと一つの前記試剤キャビン
が連通するとされる。
【0009】
滴定化学分析では、反応溶液における物質構成の変化と計量は化学分析の基礎であり、こ
れに対して、スペクトル滴定、温度滴定および電位滴定はそれぞれ異なる物理量をもって
、化学反応およびそれにおける物質構成変化に構成特徴情報を提供するのである。
【0010】
化学反応における物質構成の変化が、常に反応溶液の色変化と反映することを考慮して、
スペクトル滴定過程では、滴定剤の絶えない添加および反応のプロセスと伴って、化学反
応における物質構成は絶えずに変化し、異なる構成の可視光スペクトルの異なる波長に対
する吸収能力も異なり、よって反応溶液の色も相応的に変化することとなり、この場合、
異なるパラメータと派生パラメータにより変化中の条件を標識するとして、滴定グラフに
より化学反応およびそれにおける物質構成の変化と変化過程を標識および/または特徴付
けることができる。
【0011】
電位滴定方法は、反応溶液における異なる構成の物質はその電気化学電位の変化が化学反
応の進行を特徴つけることに基づくのである。電位滴定過程では、滴定剤の絶えない添加
と伴って、反応プロセスにおける化学反応参与の物質構成が変化し、その構成の電極電位
Esが絶えずに変化する。また、電極電位は予定の急昇が発生するときは、滴定が終点に
なることを意味する。この場合、異なるパラメータと派生パラメータにより変化中の条件
を標識し、および/または化学反応およびそれにおける物質構成変化と変化過程を特徴付
けるとする。
【0012】
また、吸熱と放熱を伴う化学反応もあることを考慮して、このような温度の改変はエンタ
ルピー変化(DH )と称され、その原理式はDH =DG + TDSであり、ただし、DGは自由エネ
ルギー変化量、Tは反応システムの温度、DSはエントロピーの変化量であることとなる。
したがって、温度滴定反応の発生と伴って、熱が環境へ釈放し、あるいは環境から吸収さ
れるので、溶液の温度が上昇または降下する。この場合、温度を測量パラメータとして、
化学反応およびそれにおける物質構成の変化と変化過程を標識および/または特徴付ける
ことができる。
【0013】
したがって、スペクトル滴定技術、電位滴定技術および温度滴定技術という3種類の滴定
方法により同様な測量環境および状態における同一の反応プロセスに同期測量を行う場合
には、電位滴定技術と温度滴定技術は成熟の化学分析測量技術として、論理的に独立な装
置の測量精密度と正確度を低下さることがなく、またスペクトル滴定技術は本発明者の新
たな発明技術としてその応用にてちょうど前記の成熟技術を検証することができ、そして
また、データノイズ、データ補正、測量グラフ処理などの面でも新たな応用も実現される
【0014】
説明すべきのは、本発明は、3種類の技術を一装置に集合するもので、従来における単一
の技術に従う単独な装置に比べると、構成方面から見れば試剤システムとデータ処理装置
を共用するとして、著しく装置の製造コストが低くなる。3種類の測量方法のデータは同
期比較が行われることにより、同一測定目標に対する、且つ相対誤差がない多次元の測量
データを取得可能になり、また異なる測量技術データ間の比較分析により、化学反応にお
ける物質構成の変化過程に異なる視点から異なる特徴パラメータの分析結果を提供するこ
とができる。異なる測量方法間における精度と分析方法の正確度を向上し、効果的に滴定
分析の作業量を減少する。より正確的な測量方法を取得し、新たな物質物理特性および構
成データを発見することが可能である。本発明は一の反応過程に対する多次元同期分析技
術を採用して、分析化学に新たな分析技術プラットフォームを提供する。
【0015】
好ましくは、前記試剤キャビンは滴定液保存容器、試剤制御装置および第1の温度制御装
置を含み、前記滴定液保存容器と前記試剤制御装置が試剤管路を介して連通しており、前
記第1の温度制御装置はそれぞれ前記滴定液保存容器および前記試剤制御装置に接続され
ており、
前記試剤制御装置は保護ガスユニット、ガス濾過ユニットおよび液体感知ユニットを含み
、且つ前記保護ガスユニットは前記滴定液保存容器中の滴定試剤に保護ガス環境を提供す
るもので、前記ガス濾過ユニットは空気ガスの濾過を実現するためのもので、前記液体感
知ユニットは前記滴定液保存容器中の滴定液残量を感知するものであり、
前記第1の温度制御装置は加熱ユニット、降温ユニットおよび温度感知ユニットを含み、
且つ前記第1の温度制御装置は前記滴定試剤に恒温環境を提供するものである。
【0016】
説明すべきのは、前記保護ガスユニットは保護ガス管路とバルフを含み、前記少なとも一
つの保護ガス管路は少なとも一つの保護ガス入口と少なとも一つのバルフを含む。
【0017】
説明すべきのは、前記ガス濾過ユニットは浄化剤容器、空気管路、浄化気管路と複数のバ
ルフを含む。空気が前記空気管路を経由して前記浄化剤容器に進入する。滴定要求によっ
て浄化剤により例えば二酸化炭素、酸素や水など空気中の干渉物質を除去する。濾過すみ
清潔ガスがさらに浄化気管路を経由して滴定液保存容器に進入する。前記空気管路および
浄化気管路には、何もバルフが設けられることにより気路開閉と気流速度を調整する。
【0018】
説明すべきのは、前記液体感知ユニットは磁性センサと非接触センサを含む。前記磁性セ
ンサは前記滴定液保存容器の外壁に設けられ、前記滴定液保存容器中の滴定液液面の高度
を感知する。前記非接触センサは前記滴定液保存容器の瓶口に設けられ、前記滴定液保存
容器中の溶液体積情報を感知する。
【0019】
従来技術では、滴定試剤の保存温度は環境温度とほぼ同期しており、不安定で温度に敏感
な試薬であれば、環境温度が変化すると結晶、沈殿、ガス、揮発などの変化が生じ、試薬
溶液の濃度や安定性が変化し、測量結果に影響を与える可能性がある。これに対して、本
発明は、試薬キャビンにおける第1の温度制御装置の設置により、保存試薬に対する環境
温度の影響を低減させ、設定に基づいて保存試薬を必要な高温または低温に維持して恒温
保存することができ、滴定測定要求に基づいて滴定液を予め昇温または冷却処理しておく
こともでき、化学滴定の進行に有益である。
【0020】
また、空気中の干渉が未知であるということを考慮して、例えば、二酸化炭素、酸素など
は滴定試薬と化学反応を起こしやすく、ひいては滴定試薬の性質が変化することとなる。
本発明は、試薬制御装置の保護ガスユニット、ガス濾過ユニットの設置により滴定試薬に
より濾過済みの清潔ガスと不活性ガスの保護環境を提供し、これにより滴定試薬に対する
空気中の反応性ガスの影響を避ける。
【0021】
さらに説明すべきのは、前記滴定液保存容器、前記浄化剤容器はそれぞれ密閉容器口を備
えることにより、滴定液や浄化剤が外部と物質交換することを防止し、滴定液、浄化剤の
保存環境条件の安定性を保証する。
【0022】
好ましくは、前記測量キャビンは機械的アーム、滴定ヘッド、滴定制御装置、反応容器、
攪拌装置、洗浄装置、第2の温度制御装置、ガス保護装置および信号フィードバック装置
を含み、
前記滴定ヘッドと前記測量キャビンの壁は前記滴定ヘッドと前記反応容器の相対変位が可
能となるように前記機械的アームを介して接続されており、
前記滴定制御装置、前記攪拌装置、前記洗浄装置、前記ガス保護装置はそれぞれ前記滴定
ヘッドに接続されるとともに、前記滴定ヘッドにより前記反応容器との相対変位ができる
ように構成されており、
前記信号フィードバック装置はそれぞれ前記機械的アーム、前記滴定制御装置、攪拌装置
、洗浄装置、第2の温度制御装置、ガス保護装置に信号により接続され、且つ前記第2の
温度制御装置は滴定反応の容器温度を制御するもので、前記ガス保護装置は滴定反応に保
護ガス環境を提供するものであり、
前記滴定制御装置と前記試剤制御装置が管路を介して連通しており、前記信号フィードバ
ック装置と前記測量信号変換計算装置は信号により接続されている。
【0023】
説明すべきのは、前記反応容器の側壁に反応容器中の反応溶液が反応容器の上縁から溢れ
出ないように保証する溶液溢流穴が設けられ、前記反応容器の外部にさらに前記溶液溢流
穴から溢れ出た溶液を収集する廃液収集盤が設けられる。前記廃液収集盤は廃液出口を含
む。前記溢れ出た溶液が前記廃液出口を介して測量キャビンから排出される。
【0024】
説明すべきのは、前記洗浄装置は洗浄液ユニットと洗浄気ユニットを含み、前記洗浄液ユ
ニットは洗浄液噴出により反応溶液に浸入される攪拌装置、光信号センサ、温度信号セン
サおよび電位信号センサをフラッシュ洗浄する。前記洗浄気ユニットは清潔空気または不
活性ガスにより反応溶液に浸入される攪拌装置、光信号センサ、温度信号センサおよび電
位信号センサをブロー洗浄する。
【0025】
説明すべきのは、前記滴定制御装置は少なとも一つの試剤添加ユニットと液面距離センサ
を含み、前記試剤添加ユニットの開閉により滴定試剤添加の速度、種類、添加タイミング
を制御する。前記液面距離センサにより前記滴定ヘッドと前記反応容器の距離を制御する
【0026】
多次元滴定器の半自動的、且つロット的な使用を考慮して、本発明は、機械的アームと滴
定ヘッドの集積化設置により、滴定制御装置、攪拌装置、洗浄装置及びガス保護装置と反
応容器の相対変位を実現することにより、従来の装置使用時における頻繁な人力操作を回
避し、分析速度を向上させ、分析者の作業を軽減させる。
【0027】
滴定反応条件を調整制御するために、本発明は測量キャビンにおける滴定制御装置により
滴定試薬の添加速度、添加試薬の種類又は添加タイミングを調整する。撹拌装置の設置に
より反応溶液システムの均一性を確保することにより滴定測量の正確度を実現する。また
、多次元滴定器の自動化及び滴定測量の連続性を考慮して、本発明は、前記洗浄装置と前
記反応容器、攪拌装置との管路接続により、連続的且つ複数回の測量の場合における反応
溶液の交差汚染を回避し、連続測量のために測量品質の保証条件となる。
【0028】
また、ある滴定反応測量では、反応温度や反応雰囲気が何も滴定反応の測量に大きな影響
を及ぼすことを考慮する。例えば、食品における還元糖の測量実験は、沸騰状態でサンプ
ルに対して滴定する必要があるる。この場合、常温の反応環境であるとしたら、測量条件
を満たすことができない。また、例えば油脂の過酸化値の測量では、空気中の酸素が油脂
を酸化する可能性があり、過酸化値の測量に影響を及ぼす。この場合、不活性雰囲気の存
在は反応測量結果の精度に大きな影響を与える。このため、本発明は、第2の温度制御装
置とガス保護装置の設置により、滴定反応環境を滴定反応によって調整できるように確保
する。これにより、多次元滴定器の広範囲な適用と反応測量結果の精度を保証する。
【0029】
より好ましくは、前記温度滴定測量装置は温度信号センサを含み、前記電位滴定測量装置
は電位信号センサを含み、前記スペクトル滴定測量装置は光信号センサを含み、且つ前記
温度信号センサ、電位信号センサ、光信号センサは前記反応容器に信号により接続されて
おり、
前記温度信号センサおよび電位信号センサは前記滴定ヘッドに接続されるとともに、前記
滴定ヘッドにより前記反応容器との相対変位ができるように構成されており、
前記スペクトル滴定測量装置はさらに光源と光信号ロード部品を含み、前記光源、前記光
信号ロード部品は前記光信号センサに光信号により順次に接続されている。
【0030】
説明すべきのは、前記光源は発射波長が380nm~780nmの無停電連続光源とされ
る。前記光源から発出した1種類、複数種類または全部波長の光信号を光信号ロード部品
を通して化学反応溶液に照射させ、化学反応溶液の吸収および/または反射を経てさらに
光信号センサを介して前記測量信号変換計算装置にスペクトル測量情報を提供する。
【0031】
多次元滴定測定の過程では、前記温度信号センサ、電位信号センサ、光信号センサは独立
にまたは同期的に反応容器中の滴定反応を検測できる。三者の測量周期が同期設定された
ら、各計量点ごとの測量データは、いずれも一の反応システムにおける同時刻の、異なる
測量モードによる測量データと見なされてもよい。この場合、一の測量モードによる異な
る計量点における測量データ、または一の計量点における異なる測量モードによる測量デ
ータに対して比較分析をすると、相同測量条件に基づく異なる理化パラメータの物質構成
の特徴情報を取得することができるようになり、これにより反応溶液における物質構成の
変化特徴付けと計量分析を実現する。
【0032】
より好ましくは、前記光信号ロード部品はレンズを含み、前記レンズは前記反応容器の外
壁に設置されている。
【0033】
説明すべきのは、前記レンズは一つまたは複数であってもよく、ある場合では、前記一つ
のレンズが前記反応容器の一方側の外壁にある。他の場合では、前記二つのレンズが平行
して前記反応容器の外壁に設置され、且つ前記第1のレンズが前記反応容器の一方側の外
壁にあり、前記第2のレンズが前記反応容器の反対側の外壁にあり、前記光源、第1のレ
ンズおよび第2のレンズが順次に一直線上にある。
【0034】
さらにより好ましくは、前記光信号ロード部品はさらにリフレクタを含み、前記リフレク
タが前記反応容器の外壁または内部に設置されている。
【0035】
例示的に、ある適用形態では、前記リフレクタが前記反応容器の内部に位置され、光源か
ら発出した測量光を反応容器外壁のレンズを経て反応溶液に照射させてから、反応溶液の
内部にあるリフレクタで反射させ、さらにレンズを通させて前記光信号センサに照射させ
る。前記光源、レンズおよびリフレクタが順次に一直線上にある。
【0036】
例示的に、他の適用形態で、前記リフレクタが前記反応容器の外壁に位置され、光源から
発出した測量光を反応容器外壁にある第1のレンズを経て反応溶液へ照射させてから、反
応容器の他方側外壁にある第2のレンズを通させて反応容器の外壁に位置されるリフレク
タで反射させてから、さらに反応溶液を通させて第1のレンズを経て前記光信号センサへ
照射させる。前記光源、第1のレンズ、第2のレンズおよびリフレクタが順次に一直線上
にある。
【0037】
好ましくは、前記化学反応用のスペクトル電位温度多次元滴定分析装置はさらにデータ出
力表示システムを含み、前記データ出力表示システムが前記データ処理システムに接続さ
れることにより、多次元滴定パラメータの同期出力と表示を実現する。
【0038】
本発明のもう一つの目的は前記スペクトル電位温度多次元滴定分析装置の使用方法を提供
することにある。
【0039】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術解決策を提供する。
【0040】
スペクトル電位温度多次元滴定分析装置の滴定方法であって、以下の工程を含む。
S1:装置を起動すること;
S2:試剤キャビンの環境パラメータを設定し、第1の温度制御装置により試剤キャビン
の温度を調整制御するとともに、試剤制御装置中のガス濾過ユニットにより空気ガスの濾
過を実現し、試剤制御装置中の保護ガスユニットにより滴定試剤に保護ガス環境を提供す
ること;
S3:測量キャビンの環境パラメータを設定し、滴定制御装置により滴定試剤の滴定パラ
メータを設定し、第2の温度制御装置により測量キャビンの温度を調整制御するとともに
、ガス保護装置により反応容器に保護ガスを充填すること;
S4:前記装置の基準補正を行うとともに、反応容器中に被滴定液を調製して使用に順次
させる測定前の予め処理;
S5:データ処理システムにおいて少なくとも1つの計量パラメータを設定し、スペクト
ル滴定モード、温度滴定モード、電位滴定モードのうちの一つまたは複数を選定し、そし
て滴定モードにおける少なくとも1つの測量パラメータを選択する測定パラメータの設定

S6:滴定液保存容器中の滴定試剤を試剤制御装置と滴定制御装置により反応容器に加え
、工程S4で得られた被滴定液と反応させ、スペクトル滴定測量装置、温度滴定測量装置
、電位滴定測量装置のうちの一つまたは複数により反応容器中の反応溶液を同期測量し、
工程S5で設定した計量パラメータおよび測量パラメータに対応する測量データを取得す
る被測反応の測定;
S7:データ処理システムにより工程S6で得られた測量データを記憶分析するとともに
、データ出力表示システムにより測量データを同期表示すること;
S8:滴定が終了すると、信号フィードバック装置により滴定制御装置、ガス保護装置、
攪拌装置および第2の温度制御装置の動作を終了させるとともに、洗浄装置を起動して反
応溶液に浸入される攪拌装置および光信号センサ、温度信号センサ、電位信号センサを洗
浄すること。
【0041】
説明すべきのは、工程S3における前記滴定試剤の滴定パラメータは滴定試剤の滴定速率
、滴定タイミング、滴定種類のうちの一つまたは複数を含む。
【0042】
説明すべきのは、工程S5における前記計量パラメータは時間tおよびその派生パラメー
タ、パルス信号fおよびその派生パラメータ、反応液のpH値およびその派生パラメータ
、添加試剤体積Vおよびその派生パラメータ、反応液の物質濃度Cおよびその派生パラメ
ータ、電位滴定パラメータEsおよびその派生パラメータ、温度滴定パラメータTおよび
その派生パラメータ、スペクトル滴定パラメータSおよびその派生パラメータのうちの一
つまたは複数を含む。理解すべきのは、計量パラメータは測量ポイントを明確にさせ、滴
定グラフを構築するために選択した測量基準であり、従来技術では時間tや添加試剤体積
Vを測量基準として選択することが多く、しかし実際の滴定分析では、研究者は一つの化
学反応に異なる化学計量的、化学熱力的、反応動力的な特徴パラメータなど異なるパラメ
ータの計算を行う必要がある。したがって、異なる計量パラメータの選出は滴定分析の情
報収集および測量データ処理に大きく影響を与える。したがって、従来の滴定分析方法お
よび反応溶液中物質構成の変化と計量を考慮して、本発明は計量パラメータの選択に関し
て具体的に限定されるものになる。しかし理解すべきのは、本分野の当業者が創造的な仕
事を費やさず得られる全ての他の計量パラメータおよびその派生パラメータは、本発明保
護の範囲に含まれべきである。
【0043】
また、工程S5においてスペクトル滴定モード、温度滴定モード、電位滴定モードのうち
の一つまたは複数を選定して多次元滴定分析を行うことを考慮して、本発明における前記
測量パラメータは電位滴定モードにおける電位滴定パラメータEsおよびその派生パラメ
ータ、温度滴定モードにおける温度滴定パラメータTおよびその派生パラメータ、スペク
トル滴定モードにおけるスペクトル滴定パラメータSおよびその派生パラメータのうちの
一つまたは複数を含む。
【0044】
その中、前記派生パラメータとは、設定した少なくとも1つの計量パラメータまたは少な
くとも1つの測量パラメータを引数パラメータとして、本分野公知の計算法により少なく
とも一回の計算を経て、得られた任意の変数パラメータである。理解すべきのは、本分野
の当業者が創造的な労働を費やさずに得られた全ての他の計量パラメータまたは測量パラ
メータの派生パラ本発明の保護範囲に含まれる。
【0045】
好ましくは、工程S5における前記スペクトル滴定モードの測量方式は、全透過モード、
全透過-全反射モード、半透過-半反射モードまたは反射式モードを含む。
【0046】
説明すべきのは、全透過モードは非接触式の測量方式であり、光源光を第1の光学レンズ
が取付けられた反応容器の一側から反応容器に入らせて、光源光の一部の波長光を反応溶
液中に吸収させた後、吸収信号がロードされた信号光を反応容器の反対側から第2の光学
レンズを経て反応容器から出射させ、光信号センサを介してスペクトル情報を測量信号変
換計算装置に導入することにより、反応溶液の吸収情報を取得する。
【0047】
全透過-全反射モードは非接触式の測量方式であり、光源光を第1の光学レンズが取付け
られた反応容器の一側から反応容器に入らせて、光源光の一部の波長光を反応溶液中に吸
収させた後、吸収信号がロードされた信号光を反応容器の反対側から第2の光学レンズを
経て反応容器から出射させた後、反応容器の外壁に設けられたリフレクタで信号光を反射
させ、再び反応溶液中に入らせて、再び吸収させ、吸収信号がロードされ、そして第1の
光学レンズを経て反応容器から出射させ、光信号センサを介してスペクトル情報を測量信
号変換計算装置に導入することにより、反応溶液の吸収情報を取得する。前記全透過-全
反射モードは一回の測量過程に2回の吸収信号ロードの過程があることで、信号精度の増
加を実現する。
【0048】
半透過-半反射モードは接触式の測量方式であり、光源光をレンズから反応溶液中に入ら
せて、一部の波長光を反応溶液中に吸収させた後、吸収信号がロードされた信号光を溶液
内部のリフレクタでレンズへ反射させて、反応容器から出射させ、光信号センサを介して
スペクトル情報を測量信号変換計算装置に導入することにより、反応溶液の吸収情報を取
得する。
【0049】
反射式モードは非接触式の測量方式であり、光源光をレンズから反応溶液中に入らせて、
一部の波長光を反応溶液中に吸収させた後、吸収信号がロードされた信号光を溶液表面で
反射させ反応容器から出射させ、光信号センサを介してスペクトル情報を測量信号変換計
算装置に導入することにより、反応溶液の吸収情報を取得する。
【0050】
好ましくは、工程S5における前記温度滴定モードの測量方式は浸入接触方式、接着接触
方式、溶液表面照射方式または容器表面照射方式を含む。
説明すべきのは、前記浸入接触式は、センサを反応溶液に浸没させ、反応溶液の温度変化
が直接に温度センサに伝わる。
【0051】
前記接着接触式は、接触式測量に属するもので、温度センサを反応容器の外壁に緊密に貼
り、反応溶液の温度変化が反応容器に伝わってから、反応容器を経由して温度センサに伝
わる。
【0052】
前記溶液表面照射式は、非接触式測量に属するもので、反応溶液の表面から輻射した赤外
線エネルギー信号を温度センサに集光させて相応電信号に変換させる。
【0053】
前記容器表面照射式は、非接触式測量に属するもので、反応溶液の熱変化を反応容器の表
面に伝わって、反応容器の表面から輻射した赤外線エネルギー信号を温度センサに集光さ
せて相応電信号に変換させる。
【0054】
本発明の動作原理は、同一の測定過程で、スペクトル滴定測量装置、電位滴定測量装置と
温度測量装置を並列接続して、同時に、または別々に測量パラメータの測量を行って、相
同化学反応条件でのスペクトル滴定パラメータ、電位滴定パラメータと温度測量パラメー
タを取得する。測量条件の違いによる、異なる測量モードにおける測量パラメータ間の誤
差を大幅に減少や消滅させ、同一のサンプルに対する多数回の作業量を減少させ、測量精
度を向上する。また、試剤キャビンと測量キャビンの設置により、測定環境条件を統一し
、外部干渉が小さくなり、多次元滴定の感度と正確度を向上し、測定結果をより正確的、
且つ確実的にさせる。
【0055】
従来の技術に比べて、本発明は以下の有益な技術効果がある。
1) 単一の滴定測量装置をスペクトル滴定測量装置、電位滴定測量装置と温度測量装置
を並列接続して設置した多次元滴定装置に変えることで、従来の操作規定を変化しなくて
も、上滴定検測の過程における異なる測量条件、化学反応過程の未知性による異なる測量
モードの測量パラメータ間の誤差を、計量点の測量パラメータを統一することによりリル
タイムで修正することが可能となり、これにより異なる滴定測量モード間の誤差を減少し
、測量精度を向上するる。
2) 試剤キャビンと測量キャビンにより滴定液保存および滴定反応環境を制御すること
により、滴定の環境条件を統一し、外部の干渉を低下させ、滴定システムの信号対雑音比
に対する改善となって、多次元滴定の検測感度の向上目的を達成する。
3) ユニットごとの機能がはっきりであり、構成が簡単で、集積化および微型化が容易
になり、滴定反応の半自動化、ロット化検測の実現が可能となる;
4) 一つのサンプルに対する多種類の滴定モードによる同時測定を実現でき、分析速度
を向上し、分析工程を減少し、スタッフの分析作業量を大幅に軽減させる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明実施例や従来の技術における技術案をより説明するために、以下は実施例または
従来技術における記載で使用すべき図面を簡単に紹介する。明らかには、下記の記載にお
ける図面は、単に本発明の実施例であり、本分野の当業者によって創造的な労働を費やさ
ず、ここで提供された図面から他の図面を得ることも可能である。
【0057】
図1】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の模式図。
図2】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の試剤キャビンの模式図。
図3】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の試剤キャビンの試剤制御装置の模式図。
図4】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の試剤キャビンの試剤制御装置の保護ガスユニットと液体感知ユニットの模式図。
図5】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の試剤キャビンの試剤制御装置のガス濾過ユニットの模式図。
図6】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の測量キャビンの模式図。
図7】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の測量キャビンの滴定ヘッドの模式図。
図8】本発明に提供されるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置のスペクトル滴定模式における4種類の測量方式の光路模式図。
図9】本発明実験例1に提供される多次元滴定グラフ。
図10】本発明実験例2に提供される電位(A)、スペクトル(B)、温度(C)による滴定グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明実施例における技術案を明確的且つ十分的に説明する。明らかには、記載
された実施例は、単に本発明の一部実施例であり、すべての実施例とは理解できない。本
発明の実施例に基づき、本分野の当業者が創造的な労働を費やさず得られる全ての他の実
施例は、本発明が保護を求める範囲に含まれる。
【0059】
本発明をよりよく理解するために、下記実施例をもって本発明をさらに具体的に説明す
る。しかし、本発明の制限と理解してはならなく、当業者により本発明の原理と精神の範
疇内において行える変形や修正、置換も本発明の保護の範囲に含まれる。
【0060】
実施例1:
図1~8に示すように、本例における多次元滴定装置は、試剤制御システム、滴定測量シ
ステムおよびデータ処理システムを含み、前記試剤制御システムは前記滴定測量システム
により前記データ処理システムに接続される。
【0061】
図1に示すように、前記試剤制御システムは試剤キャビン1を含み、前記滴定測量システムは測量キャビン2を含み、試剤キャビン1と測量キャビン2が管路8を介して連通する。
【0062】
図2に示すように、試剤キャビン1は滴定液保存容器101、試剤制御装置102および
第1の温度制御装置103を含み、滴定液保存容器101と試剤制御装置102が試剤管
路を介して連通し、第1の温度制御装置103と滴定液保存容器101が接続される。
【0063】
図3に示すように、試剤制御装置102は保護ガスユニット1021、ガス濾過ユニット
1022および液体感知ユニット1023を含む。保護ガスユニット1021は滴定液保
存容器101中の滴定試剤に保護ガス環境を提供する。ガス濾過ユニット1022は空気
ガスの濾過を実現するためのものである。液体感知ユニット1023は滴定液保存容器1
01中の滴定液残量を感知する。
【0064】
図4に示すように、保護ガスユニット1021は保護ガス管路10211およびバルフ1
0212を含み、少なとも一つの保護ガス管路10211は少なとも一つの保護ガス入口
10213および少なとも一つのバルフ10212を含む。
【0065】
図5に示すように、ガス濾過ユニット1022は浄化剤容器10221、空気管路102
22、浄化気管路10223および複数のバルフ10224を含む。空気は空気管路10
222を経由して浄化剤容器10221に進入する。滴定要求によって浄化剤により空気
中の二酸化炭素、酸素や水を除去する。濾過済み清潔ガスがさらに浄化気管路10223
を経由して滴定液保存容器101に進入する。空気管路10222および浄化気管路10
223には、何れも気路開閉と気流速度を調整するバルフ10224が設置される。
【0066】
図4に示すように、液体感知ユニット1023は磁性センサ10231と非接触センサ1
0232を含み、磁性センサ10231は滴定液保存容器101の外壁に設置され、滴定
液保存容器101中の滴定液の液面高度を感知する。非接触センサ10232は滴定液保
存容器101の瓶口に設置され、滴定液保存容器101中の気圧を感知する。
【0067】
第1の温度制御装置103は加熱ユニット、降温ユニットおよび温度感知ユニットを含み
、且つ第1の温度制御装置103は前記滴定試剤に恒温環境を提供する。
【0068】
図6に示すように、測量キャビン2は機械的アーム201、滴定ヘッド202、滴定制御
装置203、反応容器204、攪拌装置205、洗浄装置206、第2の温度制御装置2
07、ガス保護装置208および信号フィードバック装置209を含む。
【0069】
滴定ヘッド202と測量キャビンの壁が機械的アーム201を介して接続される。滴定制
御装置203、攪拌装置205、洗浄装置206、ガス保護装置208はそれぞれ滴定ヘ
ッド202に接続される。信号フィードバック装置209はそれぞれ機械的アーム201
、滴定制御装置203、攪拌装置205、洗浄装置206、第2の温度制御装置207、
ガス保護装置208に信号により接続される。
【0070】
また、滴定制御装置203と試剤制御装置102が管路8を介して連通する。
反応容器204の側壁にさらに反応容器204中の反応溶液が溢れ出ないように保証する
溶液溢流穴2041が設置される。反応容器204の外部にさらに溶液溢流穴2041中
から溢れ出た溶液を収集する廃液収集盤2042が設置される。廃液収集盤2042は廃
液出口2043を含み、廃液出口2043を介して前記溢れ出た溶液が測量キャビン2か
ら排出される。
【0071】
図7に示すように、洗浄装置206は洗浄液ユニット2061および洗浄気ユニット20
62を含む。洗浄液ユニット2061は洗浄液噴出により反応溶液に浸入される攪拌装置
205、光信号センサ504、温度信号センサ6および電位信号センサ7をフラッシュ洗
浄する。一方、洗浄気ユニット2062は清潔空気または不活性ガスにより反応溶液に浸
入される攪拌装置205、光信号センサ504、温度信号センサ6および電位信号センサ
7をブロー洗浄する。
【0072】
滴定制御装置203は少なとも一つの試剤添加ユニット2031および液面距離センサ2
032を含む。試剤添加ユニット2031の開閉により滴定試剤添加の速度、種類および
添加タイミングを制御可能である。液面距離センサ2032により滴定ヘッド202と反
応容器204の距離を制御可能である。
【0073】
前記滴定測量システムはスペクトル滴定測量装置5、温度滴定測量装置および電位滴定測
量装置を含み、且つスペクトル滴定測量装置5、前記温度滴定測量装置および前記電位滴
定測量装置が並列接続して前記測量キャビン2の内部に設置される。スペクトル滴定測量
装置5は光信号センサ504を含み、前記温度滴定測量装置は温度信号センサ6を含み、
前記電位滴定測量装置は電位信号センサ7を含み、且つ前記温度信号センサ6、電位信号
センサ7、光信号センサ504は反応容器204に信号により接続される。
【0074】
図8に示すように、前記スペクトル滴定測量装置5はさらに光源501および光信号ロー
ド部品を含み、前記光源501および前記光信号ロード部品は光信号センサ504に光信
号により順次に接続される。
【0075】
前記光信号ロード部品は第1のレンズ502を含み、第1のレンズ502が反応容器20
4の外壁に設置される。前記光信号ロード部品はさらに第2のレンズ503を含み、第2
のレンズ503が反応容器204の外壁に設置される。
【0076】
前記光信号ロード部品はさらにリフレクタ505を含み、リフレクタ505が反応容器2
04の外壁または内部に設置される。
【0077】
図1に示すように、前記データ処理システムは測量信号変換計算装置3を含み、測量信号
変換計算装置3はそれぞれスペクトル滴定測量装置5、温度滴定測量装置6、電位滴定測
量装置7に信号により接続される。
【0078】
前記化学反応用のスペクトル電位温度多次元滴定分析装置はさらにデータ出力表示システ
ム4を含み、データ出力表示システム4が前記データ処理システムに接続されることによ
り、多次元滴定パラメータの同期出力と表示を実現する。
【0079】
作業際は、装置を起動して、滴定液保存容器101と浄化剤容器10221中の試剤残量
を確定し、バルフ10212またはバルフ10224の開閉を調整することにより気路お
よび気流速度を制御するとともに、空気をガス濾過ユニット1022に進入させて空気中
の二酸化炭素、酸素や水を除去し、或いは不活性ガスを導入させて滴定試剤に保護ガス環
境を提供する。また、第1の温度制御装置103を起動して滴定試剤を恒温保存する。
【0080】
滴定準備際は、被滴定液を反応容器204中に加えて、機械的アーム201を調整するこ
とにより滴定ヘッド202と反応容器204を適宜な相対位置になるように合わせる。第
2の温度制御装置207およびガス保護装置208を起動して測量キャビン2の環境パラ
メータを調整制御するとともに、試剤添加ユニット2031により滴定試剤添加の速度、
種類および添加タイミングを制御する。
【0081】
滴定開始際は、滴定ヘッド202を反応容器204の瓶口まで下向き移動させ、閉じて、
管路8を介して滴定試剤を滴定液保存容器101から試剤添加ユニット2031を経由し
て反応容器204中に滴加し、また、攪拌装置205を起動して、光信号センサ504、
温度信号センサ6、電位信号センサ7中の一つまたは複数により測定を行う。
【0082】
スペクトル滴定測量際は、スペクトル滴定測量装置5は反応容器204中の滴定反応を測
定する。それにおいては、全透過モード(図8Aに示すように)は、光信号を光源501
から発射し、第1の光学レンズ502を経て反応容器204に入らせて、光信号の一部の
波長光を反応溶液中に吸収させた後、吸収信号がロードされた光信号を第2の光学レンズ
503を経て出射させ、光信号センサ504を介してスペクトル情報を測量信号変換計算
装置3に導入することにより、滴定反応のスペクトル測量情報を取得する。
【0083】
反射モード(図8Bに示すように)は、光信号を光源501から発射し、直接に反応容器
204に入らせて、光信号の一部の波長光を反応溶液の表面に吸収させ、吸収信号がロー
ドされた光信号を溶液の表面で反射させ、光信号センサ504を介してスペクトル情報を
測量信号変換計算装置3に導入することにより、滴定反応のスペクトル測量情報を取得す
る。
【0084】
半透過-半反射モード(図8Cに示すように)は、光信号を光源501から発射し、第1
の光学レンズ502を経て反応容器204に入らせて、光信号の一部の波長光を反応溶液
中に吸収させた後、吸収信号がロードされた光信号を溶液内部のリフレクタ505で反射
させ、さらに第1の光学レンズ502を経て反応容器204から出射させ、光信号センサ
504を介してスペクトル情報を測量信号変換計算装置3に導入することにより、滴定反
応のスペクトル測量情報を取得する。
【0085】
全透過-全反射モード(図8Dに示すように)は、光信号を光源501から発射し、第1
の光学レンズ502を経て反応容器204に入らせて、光信号の一部の波長光を反応溶液
中に吸収させた後、吸収信号がロードされた光信号を第2の光学レンズ503を経て出射
させ、そしてリフレクタ505で反射させ、再び反応溶液中に入らせて、再び吸収させて
、吸収信号がロードされた後、再び第1の光学レンズ502を経て反応容器204から出
射させ、光信号センサ504を介してスペクトル情報を測量信号変換計算装置3に導入す
ることにより、滴定反応のスペクトル測量情報を取得する。
【0086】
滴定が終了すると、測量信号変換計算装置3から信号フィードバック装置209に信号を
発信し、攪拌装置205、第2の温度制御装置207、ガス保護装置208、試剤添加ユ
ニット2031に動作を停止させ、機械的アーム201に連動して滴定ヘッド202を移
動させ、液面距離センサ2032に信号がフィードバックされながら反応容器204から
遠離させ、洗浄装置206により反応溶液に浸入される攪拌装置205、光信号センサ5
04、温度信号センサ6および電位信号センサ7等を洗浄しはじめ、また溶液溢流穴20
41により反応容器204中の反応溶液を廃液収集盤2042の廃液出口2043を介し
て測量キャビン2から排出させ、次回の滴定反応を待機させる。
【0087】
実施例2:
本例におけるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の滴定方法は以下の工程を含む。
S1:装置を起動すること;
S2:試剤キャビンの環境パラメータを設定し、第1の温度制御装置106により試剤キ
ャビン1の温度を制御し、試剤制御装置により滴定試剤に保護ガス環境を提供することで
あって、ガス濾過ユニット102に雑物が濾過された後に保護ガスが保護ガスユニット1
03により滴定液保存容器101に進入すること;
S3:測量キャビン2の環境パラメータを設定し、滴定制御装置201により滴定試剤の
滴定パラメータを設定し、第2の温度制御装置205により測量キャビン2の温度を調整
制御し、そしてガス保護装置202により反応容器204に保護ガスを充填すること;
S4:ブランク標準サンプルにより本装置の基準補正を行い、補正が終了してから反応容
器204中に被滴定液を調製して使用に準じさせる測定前の予め処理;
S5:データ処理システムにおいて時間tを計量パラメータとして設定し、スペクトル滴
定モードにおける全透過モードを選定し、そしてCIE 1976 L色度パ
ラメータL値を測量パラメータとして選択する測定パラメータの設定;
S6:滴定液保存容器101中の滴定試剤を試剤制御装置と滴定制御装置201により反
応容器204に加え、工程S4で得られた被滴定液と反応させ、スペクトル滴定測量装置
5により反応容器204中のスペクトル信号を測量し、工程S5で設定した時間tと測量
パラメータL値に対応する測量データを取得する被測反応の測定;
S7:データ処理システムにより工程S6で得られた測量データを記憶分析するとともに
、データ出力表示システム4により測量データを同期表示すること;および
S8:滴定が終了すると、信号フィードバック装置206により滴定制御装置201、ガ
ス保護装置202、攪拌装置203および第2の温度制御装置205の動作を終了させる
とともに、洗浄装置を起動して反応容器204および攪拌装置203を洗浄すること。
【0088】
実施例3:
本例におけるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の滴定方法は、その工程が実施例2
に示されるようなものであり、異なるのは以下である。
【0089】
S5:データ処理システムにおいてパルス信号fを計量パラメータとして設定し、スペク
トル滴定モードにおける半透過-半反射モードを選定し、そしてCIE 1976 L
色度パラメータa値を測量パラメータとして選択し、また温度滴定モードにお
ける溶液表面照射式測定法を選定し、そして温度滴定パラメータTの派生パラメータT2
を測量パラメータとして選択する測定パラメータの設定。
【0090】
相応的に、残りの工程は実施例2と同様である。
【0091】
実施例4:
本例におけるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の滴定方法は、その工程が実施例2
に示されるようなものであり、異なるのは以下である。
【0092】
S5:データ処理システムにおいて添加滴定液体積Vと反応溶液の物質濃度Cを計量パラ
メータとして設置し、スペクトル滴定モードにおける反射式モードを選定し、そしてCI
E 1976 L色度パラメータΔE値を測量パラメータとして選択し、温度
滴定モードにおける接着接触式測定法を選定し、そして選択温度滴定パラメータTの派生
パラメータTを測量パラメータとして選択し、また電位滴定モードを選定するとともに電
位滴定パラメータEsの派生パラメータEs/Tを測量パラメータとして選択する測定パ
ラメータの設定。
【0093】
相応的に、残りの工程は実施例2と同様である。
【0094】
本発明の優れる効果をさらに検証するために、本発明者はさらに以下の実験を行った。
【0095】
実験例1:
110gの水酸化ナトリウムを計量し取り、100mLの二酸化炭素非含有水に溶解し、
均一に揺動し、ポリエチレン容器に注入して、密閉で明るくなるまで溶液を放置して、得
られた溶液を、水酸化ナトリウム溶液を調製するための備用溶液とする。プラスチックチ
ューブにより備用溶液の上澄み液を5.4mL計量し取り、二酸化炭素非含有水により1
000mLに希釈し、均一に揺動し、得られた溶液が未知濃度cの水酸化ナトリウム標準
溶液となった。この溶液を実施例1にかかるスペクトル電位温度多次元滴定分析装置の滴
定液保存容器101に置いて、保護ガスを添加し、第1の温度制御装置103を起動し温
度パラメータを読み込んだ。
【0096】
動作基準試剤となるフタル酸水素カリウム(モル質量はGram per Moore(
g/mol)で[M(KHC8H4O4)=204.22])を105℃~110℃電気
オーブンで恒重まで乾燥させ、精度が0.1mgより大きい天秤で(m)フタル酸水素カ
リウムを0.7526g計量し取り、80mLの二酸化炭素非含有水にてフタル酸水素カ
リウム溶液となるように溶解させた。得られた溶液を反応容器204中に移して、得られ
た溶液が被測サンプル溶液となる。
【0097】
1gのフェノールフタレイン指示剤を計量し取り、乙醇(95%)にて溶解させ、希釈さ
せて、100mLとなるように定体積させた。
【0098】
第2の温度制御装置207を閉じ、ガス保護装置208を起動して、水で反応容器204
を満して測量用ブランクサンプルとした。滴定液面に浸入された部品を洗浄して使用に準
じらせた。
【0099】
汎用パラメータの設定:測量周期は0.2s、最小添加試剤体積は10μL、最大滴加体
積は100μL、攪拌速度は200回転数/s。
【0100】
測定パラメータの設定:タングステンランプ光源を起動し安定光通量まで安定させて、全
透過式測量モードを選択し、スペクトル範囲380nm~780nm、間隔5nm、積分
時間:2、スリット幅:5.0とし、水により装置のブランク値を調製し、データ収集スペ
クトル透過比を測量する。酸塩基滴定モードとpH電極を選択し、データ収集電位滴定パ
ラメータEsを測量する。接触侵入式モードと温度電極を選択し、データ収集温度滴定パ
ラメータTを測量する。
【0101】
被測サンプル溶液と等量の水にフェノールフタレイン指示剤を2滴添加し、得られた溶液
をサンプルブランクとして未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液により滴定し、滴定終点
になるまで消耗する未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液がブランク試験体積数Vブラン
となった。
【0102】
被測サンプル溶液にフェノールフタレイン指示剤を2滴添加し、被滴定液を得た。未知濃
度の水酸化ナトリウム標準溶液によりそれを滴定して、滴定終点になるまで消耗する未知
濃度cの水酸化ナトリウム標準溶液が被測サンプル試験体積数Vとなった。
【0103】
測量時の試剤温度は25℃、実験ブランク消耗の試剤体積数Vブランクは0.05mlと
した。滴定データは表1に示される。
【0104】
【表1】


【0105】
滴定体積を横座標とし、測量パラメータを縦座標として描いた滴定グラフは図9に示され
る。滴定終点になると、電位滴定終点ピーク値が対応する未知濃度の水酸化ナトリウム標
準溶液体積数が32.85ml、スペクトル滴定終点ピーク値が対応する未知濃度の水酸
化ナトリウム標準溶液体積数が32.80ml、温度終点終点ピーク値が対応する未知濃
度の水酸化ナトリウム標準溶液体積数が32.90mlとなった。実験ブランク消耗のV
ブランク、滴定消耗の体積数を温度が20℃の標準体積に換算してから、下式によりそれ
ぞれ電位滴定方法、スペクトル滴定方法、温度終点法による水酸化ナトリウム標準溶液濃
度を算出する。
【0106】
計算の結果、電位滴定方法測量の未知濃度cの水酸化ナトリウム標準溶液cEs=0.
1125mol/Lとなった。スペクトル滴定方法測量の未知濃度cの水酸化ナトリウム
標準溶液cs=0.1127mol/Lとなった。温度終点方法測量の未知濃度cの水酸
化ナトリウム標準溶液cT=0.1123mol/Lとなった。スペクトル電位温度多次
元滴定分析装置の滴定の標準偏差(S)が0.0002、相対標準偏差(RSD%)が0
.18%であった。
【0107】
実験例2:
110gの水酸化ナトリウムを計量し取り、100mLの二酸化炭素非含有水に溶解し、
均一に揺動し、ポリエチレン容器に注入して、密閉で明るくなるまで溶液を放置して、得
られた溶液を水酸化ナトリウム溶液を調製するための備用溶液とした。プラスチックチュ
ーブにより備用溶液の上澄み液を5.4mL計量し取り、二酸化炭素非含有水により10
00mLに希釈し、均一に揺動し、得られた溶液が未知濃度cの水酸化ナトリウム標準溶
液となった。
【0108】
動作基準試剤となるフタル酸水素カリウムを105℃~110℃電気オーブンで恒重まで
乾燥させ、精度が0.1mgより大きい天秤で(m)フタル酸水素カリウムを0.755
5g、0.7587g、0.7516g計量し取り、それぞれ電位滴定、スペクトル滴定
と温度滴定のために用いて、80mLの二酸化炭素非含有水にてフタル酸水素カリウム溶
液となるように溶解させた。
【0109】
1gのフェノールフタレイン指示剤を計量し取り、乙醇(95%)にて溶解させ、希釈さ
せて、100mLと定体積させた。
【0110】
それぞれ市販の電位滴定装置、温度滴定装置、および公開番号がCN106645134
Aである特許の化学分析用色測定装置を利用して滴定測定を行った。滴定パラメータ設置
は実験例1と同様であった。
【0111】
被測サンプル溶液と等量の水にフェノールフタレイン指示剤を2滴添加し、得られた溶液
をサンプルブランクとして未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液により滴定し、滴定終点
になるまで消耗する未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液がブランク試験体積数Vブラン
クとなった。被測サンプル溶液にフェノールフタレイン指示剤を2滴添加し、被滴定液を
得た。未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液によりそれを滴定して、滴定終点になるまで
消耗する未知濃度cの水酸化ナトリウム標準溶液が被測サンプル試験体積数Vとなった。
【0112】
測量時の試剤温度は25℃、実験ブランク消耗の試剤体積数Vブランクは0.05mlと
した。滴定データは表2に示される。
【0113】
【表2】

【0114】
滴定体積を横座標とし、測量パラメータを縦座標とする描く滴定グラフは図10に示され
る。それぞれAは電位滴定グラフ、Bはスペクトル滴定グラフ、Cは温度滴定グラフであ
る。観られるように、滴定終点になると、電位滴定終点ピーク値が対応する未知濃度の水
酸化ナトリウム標準溶液体積数が32.95ml、スペクトル滴定終点ピーク値が対応す
る未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液体積数が32.75ml、温度終点終点ピーク値
が対応する未知濃度の水酸化ナトリウム標準溶液体積数が32.75mlとなった。実験
ブランク消耗のVブランク、滴定消耗の体積数を温度が20℃の標準体積に換算してから
、下記の式によりそれぞれ電位滴定方法、スペクトル滴定方法、温度終点法による水酸化
ナトリウム標準溶液濃度を算出する。

【0115】
計算の結果、電位滴定方法測量の未知濃度cの水酸化ナトリウム標準溶液がcEs=0
.1126mol/Lとなった。スペクトル滴定方法測量の未知濃度cの水酸化ナトリウ
ム標準溶液がcs=0.1137mol/Lとなった。温度終点方法測量の未知濃度cの
水酸化ナトリウム標準溶液がcT=0.1127mol/Lとなった。同じ未知濃度の水
酸化ナトリウム標準溶液に対して、3種類の滴定方法による標準偏差(S)が0.000
6であり、相対標準偏差(RSD%)が0.54%であった。
【0116】
実験例1、2のデータによれば、単一の滴定測量装置を、スペクトル滴定測量装置、電位
滴定測量装置と温度測量装置を並列接続し設置した多次元滴定装置に変えた本発明は、従
来の操作規定を変化しない上で、滴定検測過程における異なる測量条件、化学反応過程の
未知性による異なる測量モードの測量パラメータ間の誤差を、計量点の測量パラメータを
統一することによりリルタイムで修正することで、三種類の滴定方法間の標準偏差(S)
を0.0006から0.0002に、相対標準偏差(RSD%)を0.54%から0.1
8%に低くさせたと分かり、顕著な統計学的差異が確認された。したがって、異なる滴定
測量モード間の誤差を減少し、測量精度を向上することができる。また、本発明により一
サンプルに対して複数種類の滴定モードによる同時測定を可能にさせ、分析速度を速くさ
せて、分析工程数を減少し、分析スタッフの労力を大幅に軽減させることができる。
【0117】
本公開実施例にかかる上記説明により、本分野の当業者に本発明を実施または使用させる
ことができる。これら実施例に対する様々な修正が、本分野の当業者によってはっきりと
したものであり、本公開に定義した一般原理が本発明の精神または範囲を超えなければ他
の実施例でも実現できる。したがって、本発明はこれら本公開実施例に限定されず、本公
開にかかる原理と新規特徴に一致する最大の範囲となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10