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  • 特許-積層体及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20230502BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230502BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20230502BHJP
   B05D 7/04 20060101ALI20230502BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B05D7/24 301T
B05D7/24 302P
B05D7/24 302U
B05D7/24 302Z
B05D7/24 303A
B05D7/02
B05D7/04
C08F290/12
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022526761
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2022003714
(87)【国際公開番号】W WO2022168811
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021016807
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597003516
【氏名又は名称】MGCフィルシート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】亀井 将太
(72)【発明者】
【氏名】中瀬古 大志
(72)【発明者】
【氏名】植木 昭武
(72)【発明者】
【氏名】福永 泰隆
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/038101(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056196(WO,A1)
【文献】特開2003-231218(JP,A)
【文献】特開2012-072327(JP,A)
【文献】特開2020-049770(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B05D 1/00-7/26
C09D 4/02
C09D 7/20
C09D 133/00-133/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材層と、前記基材層の表面に設けられる表面層とを備える積層体であって、
前記表面層は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有した樹脂組成物を塗工し、少なくとも、第1の乾燥炉で90~120℃の範囲の温度で乾燥させた後、第2の乾燥炉で100℃~140℃の範囲の温度で乾燥させ、UV硬化させることにより形成されており、
前記有機溶剤(A)は、メチルイソブチルケトン、アセトン、及びメチルエチルケト らなる群より選択され、
前記有機溶媒(B)は、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンからなる群より選択され、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
UV硬化させた後の前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、積層体。
【請求項2】
前記(メタ)アクロイルポリマー(C)が、以下の式(I)で示される繰り返し単位を含む、請求項1に記載の積層体。
【化1】


(式(I)中、
mは、炭素数1~4のアルキレン基、又は、単結合であり、
nは、炭素数1~4のアルキル基、又は、水素であり、
pは、単結合、又は、炭素数1又は2のアルキレン基であり、
qは、エポキシ基、水酸基、アクリロイル基、及び、メタクリロイル基の少なくともいずれかの置換基を含んでも良い全炭素数が1~12のアルキル基、又は、水素である。)
【請求項5】
(メタ)アクリロイルポリマー(C)が、以下の式(II-a)、式(II-b)、及び、式(II-c)で示される繰り返し単位の少なくともいずれかを含む、請求項2に記載の積層体。
【化2】
【請求項9】
前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物が、以下の式(III-a)で示されるペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、式(III-b)で示されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群より選択される1以上である、請求項8に記載の積層体。
【化3】
【請求項14】
前記基材層が、ポリメチルメタクリレートであり、
前記有機溶剤Aは、メチルイソブチルケトンであり、
前記有機溶剤Bは、シクロヘキサノンである、
請求項1~13のいずれかに記載の積層体。
【請求項17】
請求項1~15のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、前記方法が、
放射線硬化性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂組成物を基材層の表面に塗工し塗工物を得る工程1と、
得られた塗工物を、第1の乾燥炉で90~120℃の範囲の温度で乾燥させた後、第2の乾燥炉で100℃~140℃の範囲の温度で乾燥させて、前記基材層の表面に表面層を形成する工程2と、
UV硬化させる工程
と含み、
前記積層体は、少なくとも、基材層と表面層とを備え、
前記樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有し、
前記有機溶剤(A)は、メチルイソブチルケトン、アセトン、及びメチルエチルケト らなる群より選択され、
前記有機溶媒(B)は、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンからなる群より選択され、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
UV硬化させた後の前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、方法。
【請求項21】
前記基材層が、ポリメチルメタクリレートであり、
前記有機溶剤Aは、メチルイソブチルケトンであり、
前記有機溶剤Bは、シクロヘキサノンである、
請求項17~20のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境試験後における塗膜密着性が改善された積層体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーティング層(以下「表面層」ともいう。)を有する樹脂フィルム積層体が様々な分野で使用されている(特許文献1参照)。例えば、このような樹脂フィルムの積層体は、モバイル機器の前面板、背面板、及び、自動車内装部材等において用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-508828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂フィルムの積層体の表面を保護する表面層には、ある程度以上の硬さと高い耐擦傷性が必要とされる。一方、所望の形状を有する積層体を製造するためには、各層を構成する樹脂フィルムについて、優れた成形性が必要とされる。そして、積層体の特に表面層の製造に用いられる樹脂組成物において、これらの異なる性能をいずれも満足させることは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、硬化させると優れた耐擦傷性と高い硬さを有するハードコート層を製造できるとともに、環境試験後における塗膜密着性が改善された積層体、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と表面層とを有する積層体の製造において、所定の沸点を有する複数の溶剤を用い、一定範囲の乾燥条件とすることにより、環境試験後の塗膜密着性が効果的に向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
<1>
少なくとも、基材層と、前記基材層の表面に設けられる表面層とを備える積層体であって、
前記表面層は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有した樹脂組成物を塗工し、少なくとも、第1の乾燥炉で90~120℃の範囲の温度で乾燥させた後、第2の乾燥炉で100℃~140℃の範囲の温度で乾燥させることにより形成されており、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、積層体。
<2>
前記(メタ)アクロイルポリマー(C)が、以下の式(I)で示される繰り返し単位を含む、<1>に記載の積層体。
【化1】

(式(I)中、
mは、炭素数1~4のアルキレン基、又は、単結合であり、
nは、炭素数1~4のアルキル基、又は、水素であり、
pは、単結合、又は、炭素数1又は2のアルキレン基であり、
qは、エポキシ基、水酸基、アクリロイル基、及び、メタクリロイル基の少なくともいずれかの置換基を含んでも良い全炭素数が1~12のアルキル基、又は、水素である。)
<3>
前記式(I)において、
mが、炭素数1又は2のアルキレン基であり、
nが、炭素数1又は2のアルキル基あり、
pが、単結合、又は、メチレン基であり、
qが、グリシジル基、水酸基、及び、アクリロイル基の少なくともいずれかの置換基を含んでも良い全炭素数が1~6のアルキル基、又は、水素である、<2>に記載の積層体。
<4>
前記式(I)において、mはメチレン基であり、nはメチル基であり、pは単結合であり、qは、メチル基、グリシジル基(エポキシ基)を含む炭素数5以下のアルキル基、又は、水酸基とアクリロイル基とを含む炭素数8以下のアルキル基である、<3>に記載の積層体。
<5>
(メタ)アクリロイルポリマー(C)が、以下の式(II-a)、式(II-b)、及び、式(II-c)で示される繰り返し単位の少なくともいずれかを含む、<2>に記載の積層体。
【化2】

<6>
前記式(II-a)の繰り返し単位、上記式(II-b)の繰り返し単位、及び、前記式(II-c)の繰り返し単位の合計モル数を基準として、前記式(II-a)の繰り返し単位は、30~85モル%であり、前記式(II-b)の繰り返し単位は、5~30モル%であり、前記式(II-c)の繰り返し単位は、10~40モル%である、<5>に記載の積層体。
<7>
前記式(II-a)の繰り返し単位と、前記式(II-b)の繰り返し単位と、前記式(II-c)の繰り返し単位とのモル比が、4.5~5.5:1.5~2.5:2.5~3.5である、<5>に記載の積層体。
<8>
(メタ)アクリロイルポリマー(C)が、ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物をさらに含む、<1>~<7>のいずれかに記載の積層体。
<9>
前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物が、以下の式(III-a)で示されるペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、式(III-b)で示されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群より選択される1以上である、<8>に記載の積層体。
【化3】

<10>
前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物が、前記樹脂組成物の総質量を基準として、70質量%以下の量で含まれる、<8>又は<9>に記載の積層体。
<11>
前記樹脂組成物が、放射線硬化性である、<1>~<10>のいずれかに記載の積層体。
<12>
前記樹脂組成物が、光重合開始剤をさらに含む、<1>~<11>のいずれかに記載の積層体。
<13>
前記基材層が、熱可塑性樹脂を含む、<1>~<12>のいずれかに記載の積層体。
<14>
加飾シートである、<1>~<13>のいずれかに記載の積層体。
<15>
<1>~<14>のいずれかに記載の積層体を熱成形した成形体。
<16>
<1>~<15>のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、前記方法が、
放射線硬化性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂組成物を基材層の表面に塗工し塗工物を得る工程1と、
得られた塗工物を乾燥させて、前記基材層の表面に表面層を形成する工程2
と含み、
前記積層体は、少なくとも、基材層と表面層とを備え、
前記樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有し、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、方法。
<17>
前記工程2において、少なくとも2つの乾燥炉が使用され、最後の乾燥炉における乾燥炉温度は最初の乾燥炉における乾燥炉温度よりも高い、<16>に記載の方法。
<18>
前記工程2において、塗工物を60℃以上に加温可能な乾燥炉が少なくとも2つ使用され、
第1の乾燥炉における乾燥炉温度が90~120℃の範囲であり、第2の乾燥炉おける乾燥炉温度が100~140℃の範囲である、<16>又は<17>に記載の方法。
<19>
前記基材層の厚さが、0.1mm~1.0mmであり、前記基材層の表面に塗工した樹脂組成物の層の厚さが、1.0μm~10μmである、<16>~<18>のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、成形性、耐擦傷性、硬度、密着性など成形体用積層体に必要とされる特性を損なうことなく、環境試験後の塗膜密着性が効果的に向上された積層体を提供することができる。本発明の積層体は、このような優れた特徴を有するため、環境試験後の塗膜密着性が効果的に向上された成形体を提供することができる。そして、このような成形体は、例えば、自動車内装、電子機器の筐体などの用途に適している。本発明はまた、環境試験後の塗膜密着性が効果的に向上された積層体を製造する方法、並びに積層体から得られる成形体も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、基材層30と、基材層30の表面に設けられる表面層20とを備える積層体10の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らが積層体を用いた成形品の製造について鋭意検討を行ったところ、環境試験後における積層体の塗膜密着性が効果的に向上されることができる場合があることを見出した。そして、本発明者らは、試行錯誤を重ねた結果、塗工後の最初の乾燥温度が塗膜密着性を低下される要因になり得ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の効果を有する範囲において任意に変更して実施することができる。
【0012】
1.積層体
本発明の積層体10の構造は、例えば図1に示される。すなわち、本発明の積層体10は、少なくとも、基材層30と、基材層30の表面に設けられる表面層20とを備える(図1)。本発明の好ましい実施形態において、積層体は、成形用積層体である。本発明の積層体10は、表面層20の基材層30と接していない側の表面に、マスキング層などの更なる層を備えてもよい。本発明の実施形態において、積層体10における前記表面層20の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である。
【0013】
本発明の一実施形態において、少なくとも、基材層と、前記基材層の表面に設けられる表面層とを備える積層体であって、
前記表面層は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有した樹脂組成物を塗工し、少なくとも、第1の乾燥炉で90~120℃の範囲の温度で乾燥させた後、第2の乾燥炉で100℃~140℃の範囲の温度で乾燥させることにより形成されており、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
前記表面層20の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、積層体
が提供される。
【0014】
1.1 基材層
本発明の積層体10において、基材層30は、1つの層から構成されてもよいし、2つ以上の層から構成されてもよい。本発明の一実施形態において、基材層30は、例えば、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32とから構成され得る(図1)。
【0015】
本発明の積層体10において、基材層30は、樹脂、より好ましくは熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の種類について特に限定されないが、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂が用いられる。基材層の熱可塑性樹脂は、これらの選択肢のうち、少なくともポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、基材層は、熱可塑性樹脂を含む。
【0016】
基材層に含まれるポリカーボネート樹脂の種類としては、分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む-[O-R-OCO]-単位(Rが脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を持つもの)を含むものであれば、特に限定されないが、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネート等が好ましく、ビスフェノールA骨格、又はビスフェノールC骨格を有するポリカーボネートが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとビスフェノールCの混合物、又は、共重合体を用いても良い。ビスフェノールC系のポリカーボネート樹脂、例えば、ビスフェノールCのみのポリカーボネート樹脂、ビスフェノールCとビスフェノールAの混合物あるいは共重合体のポリカーボネート樹脂を用いることにより、基材層の硬度を向上できる。
【0017】
また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、15,000~40,000であることが好ましく、より好ましくは20,000~35,000であり、さらに好ましくは22,500~25,000である。
【0018】
また、基材層に含まれるアクリル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)に代表される各種(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、またはPMMAやMMAと他の1種以上の単量体との共重合体であり、さらにそれらの樹脂の複数種が混合されたものが挙げられる。これらのなかでも、低複屈折性、低吸湿性、耐熱性に優れた環状アルキル構造を含む(メタ)アクリレートが好ましい。以上のような(メタ)アクリル樹脂の例として、アクリペット(三菱レイヨン株式会社製)、デルペット(旭化成ケミカルズ株式会社製)、パラペット(活式会社クラレ製)があるが、これらに限定されない。
【0019】
なお、ポリカーボネート樹脂の表層に上述のアクリル樹脂を積層したものを基材層として用いると、基材層の表層の硬度を向上させることができる点で好ましい。本発明の一実施形態において、積層体10は、例えば、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32とから構成され(図1)、前記第1の樹脂層31はアクリル樹脂層であってよく、前記第2の樹脂層32はポリカーボネート(PC)樹脂層であってよい。本発明のこのような一実施形態において、表面層20は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂層31とポリカーボネート(PC)樹脂層32とを備える基材層30のPMMA層側の表面上に積層されている(図1)。
【0020】
また、基材層は、熱可塑性樹脂以外の成分として添加剤を含んでいても良い。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、離型剤及び着色剤から成る群から選択された少なくとも1種類の添加剤などである。また、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等を基材層に添加してもよい。
【0021】
基材層においては、熱可塑性樹脂が80質量%以上、含まれていることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上の熱可塑性樹脂が含まれている。また、基材層の熱可塑性樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂が80質量%以上、含まれていることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上のポリカーボネート樹脂が含まれている。
【0022】
基材層の厚さは、特に制限されないが、0.1mm~1.0mmであることが好ましい。基材層の厚さは、例えば、0.2mm~0.8mm、あるいは0.3mm~0.7mmである。本発明のより好ましい実施形態において、基材層の厚さは、0.1mm~1.0mmである。
【0023】
1.2 表面層
本発明の表面層20は、上記基材層30の表面に樹脂組成物を塗工し乾燥させることにより設けられる。上記基材層30が複数の層、例えば、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32とから構成される場合(図1)、表面層20は、前記第1の樹脂層31と前記第2の樹脂層32とを備える基材層30の第1の樹脂層31側の表面上に積層されている(図1)。
【0024】
<樹脂組成物>
本発明の表面層に用いられる樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)と有機溶剤とを含む。
【0025】
<(メタ)アクリロイルポリマー(C)>
本発明の実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)は、200~600g/eqの(メタ)アクリル当量を有する。(メタ)アクリロイルポリマーの(メタ)アクリル当量は、好ましくは、200~500g/eqであり、より好ましくは220~450g/eqであり、更により好ましくは、250~400g/eqである。
【0026】
また、本発明の実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)は、5,000~200,000の質量平均分子量を有する。(メタ)アクリロイルポリマーの質量平均分子量は、好ましくは10,000~150,000であり、より好ましくは15,000~100,000であり、さらに好ましくは20,000~50,000である。
【0027】
質量平均分子量の値は、特開2007-179018号公報の段落0061~0064の記載に基づいて測定できる。測定法の詳細を以下に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
すなわち、まず、ポリスチレンを標準ポリマーとしたユニバーサルキャリブレーション法により、溶出時間と、ポリカーボネートの分子量との関係を示す検量線を作成した。そして、ポリカーボネートの溶出曲線(クロマトグラム)を、上述の検量線の場合と同一の条件で測定した。さらに、ポリカーボネートの溶出時間(分子量)、及び、その溶出時間のピーク面積(分子数)から、質量平均分子量(Mw)を算出した。質量平均分子量は、以下の式(A)で表され、式(A)において、Niは分子量Miを有する分子数を意味する。
Mw=Σ(NiMi)/Σ(NiMi)・・・・(A)
【0030】
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルのいずれをも含む。
【0031】
上述のように、所定の範囲の(メタ)アクリル当量と質量平均分子量を有する(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含む樹脂組成物については、硬化前のタックフリー性、及び、硬化後の耐擦傷性が良好であるとともに、硬化・重合反応を容易に進行させることも可能である。
【0032】
本発明の一実施形態において、表面層に用いられる樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリロイルポリマー(C)は、以下の式(I)で示される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0033】
【化4】

ただし、式(I)において、mは、炭素数1~4のアルキレン基、又は、単結合であり、nは、炭素数1~4のアルキル基、又は、水素であり、pは、単結合、又は、炭素数1又は2のアルキレン基であり、qは、エポキシ基、水酸基、アクリロイル基、及び、メタクリロイル基の少なくともいずれかの置換基を含んでも良い全炭素数が1~12のアルキル基、又は、水素である。
【0034】
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)は、より好ましくは、以下の繰り返し単位、すなわち、上記式(I)において、mが、炭素数1又は2のアルキレン基であり、nが、炭素数1又は2のアルキル基あり、pが、単結合、又は、メチレン基であり、qが、グリシジル基、水酸基、及び、アクリロイル基の少なくともいずれかの置換基を含んでも良い全炭素数が1~6のアルキル基、又は、水素である繰り返し単位を含む。
【0035】
例えば、上記式(I)において、mはメチレン基であり、nはメチル基であり、pは単結合であり、qは、メチル基、グリシジル基(エポキシ基)を含む炭素数5以下のアルキル基、水酸基とアクリロイル基とを含む炭素数8以下のアルキル基等である。
【0036】
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)に含まれ得る繰り返し単位の具体例として、以下の式(II-a)、式(II-b)、及び、式(II-c)で示されるものが挙げられる。
【0037】
【化5】
【0038】
本発明の一実施形態では、(メタ)アクリロイルポリマー(C)において、上記式(II-a)の繰り返し単位は、上記式(II-a)の繰り返し単位、上記式(II-b)の繰り返し単位、及び、上記式(II-c)の繰り返し単位の合計モル数を基準として30~85モル%であることが好ましく、40~80モル%であることがより好ましい。上記式(II-b)の繰り返し単位は、上記合計モル数を基準として、5~30モル%であることが好ましく、10~25モル%であることがより好ましい。また、上記式(II-c)の繰り返し単位は、上記合計モル数を基準として、10~40モル%であることが好ましく、10~35モル%であることがより好ましい。本発明の好ましい実施形態において、前記式(II-a)の繰り返し単位、前記式(II-b)の繰り返し単位、及び、前記式(II-c)の繰り返し単位の合計モル数を基準として、前記式(II-a)の繰り返し単位は、30~85モル%であり、前記式(II-b)の繰り返し単位は、5~30モル%であり、前記式(II-c)の繰り返し単位は、10~40モル%である。本発明のより好ましい実施形態において、前記式(II-a)の繰り返し単位、前記式(II-b)の繰り返し単位、及び、前記式(II-c)の繰り返し単位の合計モル数を基準として、前記式(II-a)の繰り返し単位は、40~80モル%であり、前記式(II-b)の繰り返し単位は、10~25モル%であり、前記式(II-c)の繰り返し単位は、10~35モル%である。
【0039】
また、本発明の一実施形態において、上記式(II-a)の繰り返し単位と、上記式(II-b)の繰り返し単位と、上記式(II-c)の繰り返し単位とのモル比は、好ましくは、4.5~5.5:1.5~2.5:2.5~3.5であり、例えば、5:2:3である。
【0040】
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)には、複数のアクリレート基を有する多官能性アクリレート化合物を添加してもよい。(メタ)アクリロイルポリマー(C)に添加してもよい複数のアクリレート基を有する多官能性アクリレート化合物は、好ましくは3つ以上のアクリレート基を含んでよい。本発明の好ましい実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)に添加してもよい複数のアクリレート基を有する多官能性アクリレート化合物は、ペンタエリスリトール系の多官能性アクリレート化合物であってよい。本発明の好ましい実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)は、ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物をさらに含む。複数のアクリレート基を有する多官能性アクリレート化合物として、例えば、以下の式(III-a)で示されるペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、式(III-b)で示されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が用いられる。本発明の好ましい実施形態において、前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物は、以下の式(III-a)で示されるペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、式(III-b)で示されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群より選択される1以上である。
【0041】
【化6】
【0042】
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)に添加してもよい複数のアクリレート基を有する多官能性アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイルポリマーとの合計質量を基準として、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下含まれる。本発明の好ましい実施形態において、前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物は、前記樹脂組成物の総質量を基準として、70質量%以下の量で含まれる。本発明のより好ましい実施形態において、前記ペンタエリスリトール系多官能性アクリレート化合物は、前記樹脂組成物の総質量を基準として、50質量%以下の量で含まれる。このように、多官能性アクリレート化合物を上記の樹脂組成物に加え、(メタ)アクリロイルポリマーの側鎖に含まれるアクリロイル基、グリシジル基(エポキシ基)、及び、水酸基と反応させるにより、より高い耐擦傷性を有する表面膜を形成することができる。
【0043】
<有機溶剤>
表面層に用いられる樹脂組成物は、希釈溶剤として、有機溶剤を含む。本発明の実施形態において、表面層に用いられる樹脂組成物は、希釈溶剤として、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)と、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)とを含む。本明細書において、沸点とは、1気圧下における沸点を意味する。
【0044】
本発明の実施形態において、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)の沸点は、例えば、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、などであってよい。本発明の実施形態において、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)の沸点は、例えば、40℃以上120℃未満、45℃以上120℃未満、50℃以上120℃未満、55℃以上120℃未満、60℃以上120℃未満、65℃以上120℃未満、70℃以上120℃未満、75℃以上120℃未満、80℃以上120℃未満、85℃以上120℃未満、90℃以上120℃未満、95℃以上120℃未満、100℃以上120℃未満、105℃以上120℃未満、110℃以上120℃未満、111℃以上120℃未満、112℃以上120℃未満、113℃以上120℃未満、114℃以上120℃未満、115℃以上120℃未満、116℃以上120℃未満、117℃以上120℃未満、118℃以上120℃未満、119℃以上120℃未満、などであってよい。本発明の実施形態において、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)の沸点は、好ましくは、40℃以上120℃未満であってよく、より好ましくは、65℃以上120℃未満であってよく、さらにより好ましくは90℃以上120℃未満であってよい。
【0045】
本発明において用いられ得る、上記の沸点が120℃未満の有機溶剤(A)としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK;沸点:116℃)、アセトン(沸点:56℃)、イソプロピルアルコール(沸点:83℃)、メチルエチルケトン(沸点:80℃)、2-ブタノール(沸点:100℃)、トルエン(沸点:111℃)などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において用いられ得る有機溶剤(A)は、好ましくは、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、2-ブタノール、トルエンであってよく、より好ましくは、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2-ブタノール、トルエンであってよく、さらにより好ましくは、メチルイソブチルケトン(MIBK)であってよい。本発明の好ましい一実施形態において、有機溶剤(A)は、メチルイソブチルケトン(MIBK)である。
【0046】
本発明の実施形態において、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)の沸点は、例えば、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、225℃、230℃、235℃、240℃、245℃、250℃、などであってよい。本発明の実施形態において、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)の沸点は、例えば、120℃以上250℃以下、120℃以上245℃以下、120℃以上240℃以下、120℃以上235℃以下、120℃以上230℃以下、120℃以上225℃以下、120℃以上220℃以下、120℃以上215℃以下、120℃以上210℃以下、120℃以上205℃以下、120℃以上200℃以下、120℃以上195℃以下、120℃以上190℃以下、120℃以上185℃以下、120℃以上180℃以下、120℃以上175℃以下、120℃以上170℃以下、120℃以上165℃以下、120℃以上160℃以下、120℃以上155℃以下、120℃以上150℃以下、120℃以上145℃以下、120℃以上140℃以下、120℃以上135℃以下、120℃以上130℃以下、120℃以上125℃以下、などであってよい。本発明の実施形態において、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)の沸点は、好ましくは、120℃以上250℃以下であってよく、より好ましくは、120℃以上205℃以下であってよく、さらにより好ましくは120℃以上160℃以下であってよい。
【0047】
本発明において用いられ得る、上記の沸点が120℃以上の有機溶剤(B)としては、例えば、シクロヘキサノン(沸点:155.6℃)、メチルシクロヘキサノール(174℃)、メチルシクロヘキサノン(163℃)、フェニルメタノール(205℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(230℃)などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において用いられ得る有機溶剤(B)は、好ましくは、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、フェニルメタノールであってよく、より好ましくは、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノンであってよく、さらにより好ましくは、シクロヘキサノンであってよい。本発明の好ましい実施形態において、有機溶剤(B)は、シクロヘキサノンである。
【0048】
本発明の実施形態において、表面層に用いられる樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)をA:B=3:7~7:3の範囲で含有する。本発明の上記の樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)と、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)とを、質量比で、例えば、3:7、3.5:7(すなわち1:2)、4:6、5:5、6:4、7:3.5(すなわち2:1)、7:3で含有してよい。
【0049】
本発明の上記の樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)と、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)とを、質量比で、例えば、
3:7~7:3、3:7~7:3.5(すなわち2:1)、3:7~6:4、3:7~5:5、3:7~4:6、3:7~3.5:7(すなわち1:2);
3.5:7(すなわち1:2)~7:3、3.5:7(すなわち1:2)~7:3.5(すなわち2:1)、3.5:7(すなわち1:2)~6:4、3.5:7(すなわち1:2)~5:5、3.5:7(すなわち1:2)~4:6;
4:6~7:3、4:6~7:3.5(すなわち2:1)、4:6~6:4、4:6~5:5;
5:5~7:3、5:5~7:3.5(すなわち2:1)、5:5~6:4;
6:4~7:3、6:4~7:3.5(すなわち2:1);
7:3.5(すなわち2:1)~7:3;
で含有してよい。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、上記の樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)と、沸点が120℃以上の有機溶剤(B)とを、質量比で、
3:7~7:3、3:7~7:3.5(すなわち2:1)、3:7~6:4、3:7~5:5;
3.5:7(すなわち1:2)~7:3、3.5:7(すなわち1:2)~7:3.5(すなわち2:1)、3.5:7(すなわち1:2)~6:4、3.5:7(すなわち1:2)~5:5;
4:6~7:3、4:6~7:3.5(すなわち2:1)、4:6~6:4、4:6~5:5;
で含有してよい。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、表面層に用いられる樹脂組成物は、前記樹脂組成物中の前記希釈溶剤の全質量を基準として、30~50質量%の沸点120℃未満の有機溶剤(A)と、70~50質量%の沸点120℃以上の有機溶剤(B)とを含む。
【0052】
本発明において、表面層に用いられる樹脂組成物が、有機溶剤(A)と有機溶剤(B)とを上記の範囲の割合で含有することにより、硬化前においては塗工性、成形性、及びタックフリー性に優れており、樹脂組成物を塗工し乾燥させた後の積層体においては、高い硬度と優れた耐擦傷性に加えて、環境試験後における積層体の塗膜密着性を効果的に改善することができる。
【0053】
<樹脂組成物中のその他の成分>
表面層に用いられる樹脂組成物は、上述の(メタ)アクリロイルポリマー(C)に加え、レベリング剤をさらに含むことが好ましい。レベリング剤としては、例えば、フッ素系添加剤、シリコーン系添加剤等が用いられる。
【0054】
フッ素系添加剤としては、DIC製メガファックRS-56、RS-75、RS-76-E、RS-76-NS、RS-78、RS-90、ネオス製フタージェント710FL、220P、208G、601AD、602A、650A、228P、フタージェント240GFTX-218(いずれもフッ素基含有UV反応性基含有オリゴマー)等が用いられ、これらの中でもフタージェント601AD等がフッ素系添加剤として好ましい。
【0055】
また、シリコーン系添加剤としては、ビックケミー社製BYK-UV3500、BYK-UV3505(いずれも、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)等が用いられ、これらの中でもBYK-UV3500等がシリコーン系添加剤として好ましい。
【0056】
表面層に用いられる樹脂組成物において、樹脂組成物の全質量を基準として0.1質量%以上10質量%以下のレベリング剤が含まれることが好ましく、樹脂組成物におけるレベリング剤の含有量は、より好ましくは0.5質量%以上7質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
【0057】
本発明の一実施形態において、表面層に用いられる樹脂組成物は、硬化性の樹脂組成物であってよい。本発明の好ましい実施形態おいて、上記の樹脂組成物は、放射線硬化性である。本発明の一実施形態において、放射線硬化性の樹脂組成物は、エネルギー線硬化性、又は、熱硬化性であって良いが、好ましくはエネルギー線硬化性、より好ましくは、紫外線硬化性を有する。よって、表面層に用いられる樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、前記樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含む。
【0058】
光重合開始剤としては、IRGACURE 184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、IRGACURE1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)、IRGACURE TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)、EsacureONE(オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン)等が用いられ、これらの中でも耐熱性の観点から、IRGACURE TPO等が光重合開始剤として好ましい。
【0059】
表面層に用いられる樹脂組成物においては、例えば、樹脂組成物の全質量を基準として1質量%以上6質量%以下の光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤の樹脂組成物における含有量は、より好ましくは2質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上4質量%以下である。
【0060】
表面層に用いられる樹脂組成物は、その他の添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、離型剤、及び着色剤から成る群から選択された少なくとも1種類の添加剤を含んでいても良い。また、所望の諸物性を著しく損なわない限り、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、無機酸化物ナノ粒子等を樹脂組成物に添加してもよい。
【0061】
表面層に用いられる樹脂組成物において、(メタ)アクリロイルポリマー(C)、有機溶剤(A)、および有機溶剤(B)は、60質量%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、含まれている。
【0062】
よって、樹脂組成物における、上記主要な三成分(メタ)アクリロイルポリマー(C))、有機溶剤(A)、および有機溶剤(B)以外の成分の含有量は、40質量%未満であることが好ましく、より好ましくは20質量%未満であり、特に好ましくは10質量%未満である。
【0063】
<樹脂組成物の製造>
表面層に用いられる樹脂組成物は、上述の(メタ)アクリロイルポリマー(C)、有機溶剤(A)、有機溶剤(B)等の材料物質をブレンドすることにより製造される。例えば、タンブラーを用いて(メタ)アクリロイルポリマー等の各成分を混合することにより、樹脂組成物を製造する。
【0064】
<樹脂組成物の性状>
(i)未硬化状態でのタックフリー性
本発明において表面層に用いられる樹脂組成物は、タックフリー性に優れている。このため、未硬化の状態の樹脂組成物が、例えば作業者の手などの他の物質と接触しても、所定の形状を維持することができ、かつ接触した物質の表面に樹脂組成物の一部が付着することは抑制される。このように、タックフリー性に優れている樹脂組成物によれば、様々な用途に適した形状に成形した後で、硬化させる加工を容易に実施することができる。また、硬化前の状態の樹脂組成物を所定の形状のまま保管、あるいは流通させることも容易である。
【0065】
(ii)未硬化状態での成形性(圧空成形性)
本発明の表面層に用いられる樹脂組成物は、未硬化の状態における成形性にも優れている。上記の樹脂組成物の成形性は、例えば、以下のように評価される。すなわち、基材層の表面上に上記の樹脂組成物を塗工して乾燥させた後、得られた塗工物を、凸部を有する金型上に配置した状態で加熱して圧空成形性を実施したときに、シート状の樹脂組成物が、凸部に追従しつつ適度に延伸されるか否か、及び、クラックが発生するか否か、等によって評価され得る。
【0066】
詳細は省略するものの、表面層に用いられる樹脂組成物は、このような評価試験において、圧空成形性時にクラックを生じさせずに凸部に追従しつつ、延伸可能であることが確認された。
【0067】
1.3 積層体の製造方法
基材層を含む積層体は、以下のように製造される。
【0068】
<基材層の製造>
まず、基材層を構成する樹脂組成物等の材料を従来の手法で層状(シート状)に加工し、基材層を製造する。例えば、押出成形、キャスト成形による方法である。押出成形の例としては、基材層に用いる樹脂組成物のペレット、フレークあるいは粉末を押出機で溶融、混練後、Tダイ等から押出し、得られる半溶融状のシートをロールで挟圧しながら、冷却、固化してシートを形成する方法が挙げられる。基材層の組成については、上述した通りである。基材層は、単一層から構成されてもよいし、複数の層からこうせいされてもよい。本発明の一実施形態において、基材層30は、例えば、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32とから構成され得る(図1)。
【0069】
<表面層の形成>
そして単一層、もしくは複数の層を有する基材層の外側表面に、上述のように製造した、表面層に用いる樹脂組成物を塗工して表面層を形成する。表面層に用いる樹脂組成物の組成及び性状については、上述した通りである。
【0070】
本発明の実施形態において、表面層は、
放射線硬化性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂組成物を基材層の表面に塗工し塗工物を得る工程1と、
得られた塗工物を乾燥させて、前記基材層の表面に表面層を形成する工程2と含む方法によって形成される。そして、本発明の方法によれば、積層体における前記表面層の塗膜密着性が、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、積層体を得ることができる。
【0071】
本発明において、表面層に用いる樹脂組成物を基材層に塗工する方法としては、グラビアコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング、ロッドコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、ディップコーティング等を用いることができる。これらの中から塗料の粘度やコーティング層の厚さに応じて適当なものを選択すればよい。例えば粘度10mPa・sの塗料で乾燥膜厚5μmの表面層を得る場合、低粘度薄膜塗工に適したグラビアコーティングを用いるのが望ましい。
【0072】
本発明において、上記の塗工物を乾燥させる方法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥、ドラム加熱乾燥、電磁誘導加熱乾燥等を用いることができる。生産性、制御性の観点から熱風乾燥を用いるのが望ましい。
【0073】
上記の塗工物を乾燥させる工程で用いられる、熱風乾燥炉の構成としては温度、風速を独立に制御できるよう少なくとも2つ以上のゾーンを持つことが望ましい。熱風供給方式としては、基材の搬送方向と平行に熱風を供給するフォローフロー、カウンターフローや、基材の搬送方向に垂直に熱風を供給するスリットノズル方式、また両者の中間的な斜め方向へ熱風を供給する方式が用いられる。乾燥炉内での基材搬送方式としてはロールサポート方式及びフローティング方式等を用いることができる。また、塗工工程と乾燥炉における乾燥工程との間に、塗工面外観を調整する目的、乾燥炉内外の差圧を調整する目的で、積極的に乾燥を行わないゾーンを設けてもよい。また乾燥炉通過後においても、冷却ゾーン等を設けてもよい。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、上述の積層体を製造する方法であって、前記方法が、
放射線硬化性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂組成物を基材層の表面に塗工し塗工物を得る工程1と、
得られた塗工物を乾燥させて、前記基材層の表面に表面層を形成する工程2
と含み、
前記積層体は、少なくとも、基材層と表面層とを備え、
前記樹脂組成物は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有し、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、方法
が提供される。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記工程2で使用される乾燥炉は少なくとも2つであってよい。本発明の好ましい実施形態において、前記工程2では、少なくとも2つの乾燥炉が使用され、最後の乾燥炉における乾燥炉温度は最初の乾燥炉における乾燥炉温度よりも高い。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、前記工程2において、塗工物を60℃以上に加温可能な乾燥炉が少なくとも2つ使用され得る。この実施形態において、第1の乾燥炉における乾燥炉温度が90~120℃の範囲であってよく、第2の乾燥炉おける乾燥炉温度が100~140℃の範囲であってよい。本発明のより好ましい実施形態では、前記工程2において、塗工物を60℃以上に加温可能な乾燥炉が少なくとも2つ使用され、第1の乾燥炉における乾燥炉温度が90~120℃の範囲であり、第2の乾燥炉おける乾燥炉温度が100~140℃の範囲である。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、前記工程2において、塗工物を60℃以上に加温可能な乾燥炉が少なくとも2つ使用され、最後の乾燥炉における乾燥炉温度は最初の乾燥炉における乾燥炉温度よりも高い。本発明のより好ましい実施形態では、前記工程2において、塗工物を60℃以上に加温可能な乾燥炉が少なくとも2つ使用され、最初の乾燥炉における乾燥炉温度が90~120℃の範囲であり、最後の乾燥炉おける乾燥炉温度が100~140℃の範囲である。
【0078】
本発明の好ましい実施形態において、前記基材層の厚さは、0.1mm~1.0mmであり、前記基材層の表面に塗工した樹脂組成物の層の厚さは、1.0μm~10μmである。
【0079】
こうして得られた基材層と表面層とを備える積層体の表面層側の表面に、さらにマスキングフィルムを貼合せてもよい。
【0080】
<表面層の物性>
(i)厚さ
本発明において、表面層20の厚さは1.0μm~10μmであることが好ましい。表面層の厚さは、例えば、2.0μm~8.0μm、あるいは3.0μm~7.0μmである。
【0081】
(ii)耐擦傷性
表面層を硬化させると、高い耐擦傷性が実現される。詳細を後述するように、表面層を備える積層体を硬化させると、表面層の表面における耐擦傷性は、硬化したPMMA樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)やレンズ用樹脂よりも優れていることが確認された。
【0082】
(iii)硬度
硬化させた表面層は、高い硬度を有する。具体的には、JIS K 5600-5-4:1999の評価方法における鉛筆硬度B以上を実現できる。硬化させた表面層の表面において、より好ましくはF以上、特に好ましくは2H以上の鉛筆硬度が実現される。
【0083】
(vi)塗膜密着性
樹脂組成物を硬化させて得られる表面層は、基材層に対する塗膜密着性にも優れている。具体的には、基材層上に樹脂組成物を塗工した後、下記の条件下、前処理としてUV硬化及び環境試験を実施し、環境試験後の塗膜密着性を評価した。
<前処理:UV硬化>
UV照射装置:株式会社GSユアサ製 COST-40
UVランプ(HAN 250AL)
積算光量:750mJ/cm(紫外線積算照度計:岩崎電気株式会社製 UVPF-A2/受光機PD-365A2)
ピーク強度250mW/cm(紫外線積算照度計:岩崎電気株式会社製 UVPF-A2/受光機PD-365A2)
<環境試験>
85℃/85%RHにて1,000時間耐久試験を実施
<塗膜密着性試験>
JIS K 5600-5-6:1999に従った塗膜密着性試験を実施
本発明の積層体について、JIS K 5600-5-6:1999の評価方法によって定められる評価結果が0であり、評価結果1~5よりも良好な結果が得られた。
【0084】
上述の硬化後に得られる表面層の性状からも明らかであるように、硬化フィルムの表面層側の表面は、優れた性状を有する。すなわち、硬化フィルムの表面層側の表面においては、高い鉛筆硬度、好ましくはJISK 5600-5-4:1999に基づくB以上の鉛筆硬度、高い耐擦傷性、及び、優れた密着性、例えば、JISK 5600-5-6における評価結果が0レベルである密着性がいずれも実現される。
【0085】
<積層体の物性>
(i)残留溶媒量
本発明の一実施形態において、積層体における残留溶剤量が82mg/m以下である、積層体が提供され得る。本発明の実施形態において、積層体における残留溶剤量は、82mg/m以下、80mg/m以下、75mg/m以下、70mg/m以下、65mg/m以下、60mg/m以下、55mg/m以下、50mg/m以下、45mg/m以下、40mg/m以下、35mg/m以下、30mg/m以下、25mg/m以下、などであってよい。本発明において、積層体における残留溶剤量は、少なければ少ないほど好ましい。
【0086】
本発明の方法によれば、少なくとも、基材層と、前記基材層の表面に設けられる表面層とを備える積層体であって、
前記表面層は、沸点が120℃未満の有機溶剤(A)、及び沸点が120℃以上の有機溶剤(B)を質量比で、A:B=3:7~7:3の範囲で含有した樹脂組成物を塗工し、少なくとも、第1の乾燥炉で90~120℃の範囲の温度で乾燥させた後、第2の乾燥炉で100~140℃の範囲の温度で乾燥させることにより形成されており、
前記樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルポリマー(C)を含み、前記(メタ)アクリロイルポリマー(C)は200~600g/eqの(メタ)アクリル等量と5,000~200,000の質量平均分子量を有し、
前記表面層の塗膜密着性は、JIS K 5600-5-6の評価方法によって定められる評価結果が0である、積層体
を得ることができる。
【0087】
(ii)外観(ピンホール)
ピンホールの有無は、透過光・反射光にて目視評価し、0.06mmφ以上かつ0.3mm以上のサイズのピンホールが10個/m未満を合格とし、10個/m以上を不合格とした。
【0088】
<硬化フィルム>
上記の塗工物を乾燥させることにより硬化させると、積層体は、硬化フィルムとして得ることができる。マスキングフィルムを貼合せた場合には、マスキングフィルムを除去した後硬化させる。本発明の好ましい実施形態において、積層体は、硬化フィルムである。
【0089】
<成形体>
上述の積層体を熱成形させることにより、成形体を得ることができる。本発明の一実施形態において、上述の積層体を熱成形させた成形体が提供される。
【実施例
【0090】
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0091】
<実施例1>
紫外線硬化型アクリロイルポリマー(根上工業製 アートキュアRA-3602MI)に、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)を混合することにより、MIBK:シクロヘキサノンの質量比が6:4となり、かつ固形分濃度が20質量%になるように調整した。さらに、光重合開始剤IRGACURE 184(固形分に対し3質量%)を添加して、表面層に用いる樹脂組成物を得た。
【0092】
上記のようにして得られた、表面層に用いる樹脂組成物を、基材層としてのポリカーボネート(PC)/ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムのPMMA側に塗工して、塗工物を得た。
【0093】
塗工する工程は、120線のグラビアロールを用いて行いた。その後、乾燥工程は、塗工物を最初の乾燥炉(下記表中「前乾燥炉」)では90℃、最後の乾燥炉(下記表中「後乾燥炉」)では120℃で乾燥させることにより実施し、PMMA側の表面に約4マイクロメートルの放射線硬化性樹脂層が表面層として形成された、積層体を得た。得られた積層体について、塗膜密着性、残留溶媒量、ピンホールの有無を評価した。評価結果は下記表に示す。
【0094】
<実施例2~7、比較例1~14>
下記表に示される組成、乾燥温度に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様に、塗膜密着性、残留溶媒量、ピンホールの有無を評価した。評価結果は下記表に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
以上の通り、本発明の積層体はいずれも、成形性、耐擦傷性、硬度、密着性、良好な外観など、成形体用積層体に必要とされる特性を損なうことなく、環境試験後における塗膜密着性が効果的に向上できるという優れた特徴を有する。よって、本発明の積層体は、自動車内装、電子機器の筐体などの用途に適している。
【符号の説明】
【0097】
10 積層体
20 表面層
30 基材層
31 第1の樹脂層
32 第2の樹脂層
図1