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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ICカード及び携帯可能電子装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20230508BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20230508BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G06K19/07 090
G06K19/07 040
G06K19/077 244
G06K19/07 180
G06K19/073 054
G06K19/07 210
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018174904
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020046941
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】新井 英朗
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238126(JP,A)
【文献】特開2013-027164(JP,A)
【文献】特開2006-254317(JP,A)
【文献】特開平10-209953(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008548(WO,A1)
【文献】特表2016-511460(JP,A)
【文献】特開2020-043730(JP,A)
【文献】永井 靖浩,ICカードシステムの現状と今後の展望,電子情報通信学会誌 ,日本,社団法人電子情報通信学会,2002年06月01日,第85巻 第6号,pp.414-420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
G06K 19/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナの電磁誘導により発生する電流で充電される充電部と、
複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶するメモリと、
前記充電部からの電流により動作し、前記処理実行情報に基づく間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する第1のプロセッサと、
を備え
前記第1のプロセッサは、一つの処理を複数の処理に分割し、前記充電部の残容量に基づいて、分割された複数の処理を非連続で実行するICカード。
【請求項2】
前記充電部からの電流により動作する第2のプロセッサを備え、
前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサからのコマンドに応じた複数の処理を非連続で実行する請求項1のICカード。
【請求項3】
前記処理実行情報は、閾値を含み、
前記複数の処理は、第1及び第2の処理を含み、
前記第1のプロセッサは、前記第1の処理を実行した後、前記充電部の残容量が前記閾値を超えるタイミングに基づき、前記第2の処理を実行する請求項1のICカード。
【請求項4】
前記第1のプロセッサは、前記メモリに複数の処理の進捗を示す進捗情報を記録する請求項1のICカード。
【請求項5】
前記第1のプロセッサは、複数の画像処理を非連続で実行する請求項1のICカード。
【請求項6】
指紋センサを備え、
前記第1のプロセッサは、前記指紋センサからの画像に基づく複数の画像処理を非連続で実行する請求項のICカード。
【請求項7】
アンテナと、
前記アンテナの電磁誘導により発生する電流で充電される充電部と、
複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶するメモリと、
前記充電部からの電流により動作し、前記処理実行情報に基づく間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する第1のプロセッサと、
を備え
前記第1のプロセッサは、一つの処理を複数の処理に分割し、前記充電部の残容量に基づいて、分割された複数の処理を非連続で実行する携帯可能電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ICカード及び携帯可能電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(integrated circuit)チップを備えるICカードが広く普及している。ICカードは、携帯可能なサイズであることから携帯可能電子装置と呼ばれることもあり、そのサイズの小ささからは、携帯可能電子装置の代表的な例とも言える。ICカードは、クレジットカード、定期券、その他の商取引の決済に使われるだけでなく、社員証、会員証、保険証などのID(identification card)カードとしても様々な分野で使われるようになってきている。
【0003】
ICカードは、接触型と非接触型に大別される。接触型のICカードは、接触端子による給電で動作するため、ICカードリーダ/ライタ等の端末から十分な供給電流を得ることができる。一方で、非接触型のICカードは、アンテナを介した非接触給電で動作するため、端末から得られる電流が少ない、又は端末とカード間の距離が離れることにより、動作するための十分な電力を得られない可能性がある。その場合、動作を安定させる為に平滑コンデンサをICカードの回路に組み込む方法が考えられ、また電気二重層キャパシタ(EDLC:electrical double-layer capacitor)又は二次電池を用いて電源を補助する等が考えられる。
【0004】
しかしながら、平滑コンデンサは、ほぼ電流が充足されていないと途中で動作エラーとなり、またEDLC又は二次電池等の充電装置を用いた場合も、満充電した電流により、処理を完遂できない場合は途中で処理が止まってしまい、動作エラーとなってしまうことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-238126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ICカードの厚さは0.76mm程度であり、このような薄型のICカードに搭載される充電装置の容量は小さく、処理の負荷(消費電流)によっては処理を完遂できない可能性がある。今後、ICカードの高機能化を進める上でも、消費電流が高くなる負荷の重い処理でも動作エラーにならないように処理を完遂するための技術が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、電流不足による処理未遂の発生リスクを低減できるICカード及び携帯可能電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るICカードは、アンテナと、充電部と、メモリと、第1のプロセッサとを備える。前記充電部は、前記アンテナの電磁誘導により発生する電流で充電される。前記メモリは、複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶する。前記第1のプロセッサは、前記充電部からの電流により動作し、前記処理実行情報に基づく間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るICカードシステムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係るICカードの一例を示す上面図である。
図3図3は、実施形態に係るICカードの一例を示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係るICカードのセキュアICチップの概略構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るICカードの画像処理用ICチップの概略構成を示すブロック図である。
図6図6は、ICカード処理装置とICカードの動作シーケンス、及びICカード内部の動作シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るICカードシステムについて図面を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るICカードシステムの一例を示すブロック図である。図1に示すように、ICカードシステムは、ICカード1、及びICカードを処理するICカード処理装置2を備える。
【0011】
ICカード1は、例えば85.6mm×54mm×0.76mmのサイズのカードであり、ユーザに携帯されることを想定した携帯可能電子装置である。また、ICカードは、スマートカード等と呼ばれることもある。ICカード1は、非接触型のICカードであり、非接触給電により動作電力を得る。つまり、ICカード1が、ICカード処理装置2のカードリーダライタの通信エリア(磁界エリア)に入ると、ICカード1のアンテナ(コイル)が電磁誘導により起電し、発生した電流を得て動作する。本実施形態では、非接触でICカード処理装置2と通信する非接触型、及び接触してICカード処理装置2と通信する接触型の両機能をサポートするコンビ型と呼ばれるICカードについて説明する。なお、本実施形態で説明する動作及び処理は、非接触型のICカードにも適用可能である。
【0012】
ICカード処理装置2は、店舗又は駅などの施設の入出場口に設置され、ユーザによって翳されるICカード1と通信し、ICカード1へ情報を送信し、またICカード1からの情報を受信する。多くのICカード1が市場で流通し、各所に設置されたICカード処理装置2が、ユーザにより翳されるICカード1と通信する。
【0013】
ここで、ICカード処理装置2の概略構成を説明する。ICカード処理装置2は、プロセッサ21、ROM(read-only memory)22、RAM(random-access memory)23、補助記憶デバイス24、カードリーダライタ25、操作部26、及びディスプレイ27等を備える。
【0014】
プロセッサ21は、ROM22及び補助記憶デバイス24の少なくとも一方に記憶されたプログラムに基づいて、ICカード処理装置2の動作に必要な演算及び制御などの各種処理を実行するコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、例えば、CPU(central processing unit)、又はMPU(micro processing unit)等である。なお、ICカード処理装置2は、2以上のプロセッサ21を組み合わせてこれら2以上のプロセッサの協働により各種処理を実行するようにしてもよい。
【0015】
例えば、プロセッサ21は、プログラムを実行することにより、カードリーダライタ25によりICカード1へコマンドを送信する機能、及びICカード1から受信するレスポンスなどのデータに基づく処理を実行する機能等を有する。これらの機能により、プロセッサ21は、カードリーダライタ25を介して、操作部26等に入力されたデータ又は書き込みデータを含む書き込みコマンドをICカード1に送信する。
【0016】
ROM22は、コンピューターに相当するプロセッサ21の主記憶部分に相当する読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM22は、オペレーティングシステム又はアプリケーションソフトウェアなどのプログラムを記憶する。また、ROM22は、プロセッサ21が各種処理を行う上で使用するデータなどを記憶する。
【0017】
RAM23は、コンピューターに相当するプロセッサ21の主記憶部分に相当する揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21が各種処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0018】
補助記憶デバイス24は、コンピューターに相当するプロセッサ21の補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス24は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)(登録商標)、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス24が、上記プログラムの一部又は全部を記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス24は、プロセッサ21が各種処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ21による各種処理で生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0019】
カードリーダライタ25は、ICカード1との間でデータを送受信するためのインタフェース装置である。カードリーダライタ25は、アンテナ、接触端子、及び通信制御部等を備え、アンテナを介してコンビ型又は非接触型のICカード1(ICカード1のアンテナ)と非接触で通信し、接触端子を介してコンビ型のICカード1(ICカードの接触端子)と物理的且つ電気的に接続して通信する。なお、上述の通り、本実施の形態では、コンビ型のカードを用いた場合を説明しているが、非接触型のカード用のカードリータライタ25であれば接触端子は設けられない。
【0020】
操作部26は、ICカード処理装置2の操作者からの入力指示を受付ける。操作部26は、受付けた入力指示に対応する入力データをプロセッサ21へ送信する。操作部26は、例えば、キーボード、テンキー、及び、タッチパネルなどである。
【0021】
ディスプレイ27は、プロセッサ21の制御により種々の情報を表示する表示デバイスである。ディスプレイ27は、例えば、液晶モニタである。ディスプレイ27は、例えば、操作部26と一体的に形成されてもよい。
【0022】
図2は、実施形態に係るICカードの一例を示す上面図である。また、図3は、実施形態に係るICカードの一例を示す断面図である。図2及び図3に示すように、ICカード1は、プラスティック等のカード基材11により構成される。カード基材11には、電子基板12が内包される。電子基板12には、アンテナ(コイル)13、接触端子14、セキュアICチップ15、画像処理用ICチップ16、指紋センサ17、及び充電部18が設けられる。なお、本実施形態では、二つのICチップを備えたICカード1について説明するが、三つ以上のICチップを備えたICカードであってもよいし、一つのICチップを備えたICカードであってもよい。
【0023】
ICカード1のアンテナ13は、カードリーダライタ25のアンテナの通信エリア(磁界エリア)に入ると、アンテナ13が電磁誘導により起電し、電流を発生する。アンテナ13は、セキュアICチップ15に接続され、接触端子14は、セキュアICチップ15に接続され、セキュアICチップ15は、画像処理用ICチップ16に接続され、画像処理用ICチップ16は、指紋センサ17に接続される。
【0024】
例えば、セキュアICチップ15は、マスターICチップとして動作し、画像処理用ICチップ16は、スレーブICチップとして動作する。セキュアICチップ15は、カードリーダライタ25との通信を制御する。また、セキュアICチップ15は、指紋認証処理等を実行する。画像処理用ICチップ16は、指紋センサ17から出力される読取指紋画像を取得する画像取得処理、及び読取指紋画像から複数の特徴点を抽出し、複数の特徴点に基づき読取指紋画像テンプレートを生成する画像処理を実行する。
【0025】
指紋センサ17は、静電容量方式、光学式、又は超音波式等のセンサであり、指紋センサ17に置かれた指から指紋を読み取り、読取り結果である指紋画像を画像処理用ICチップ16へ出力する。なお、指紋センサ17のセンシング方式は上記に限定されるものではなく、その他のセンシング方式であってもよい。
【0026】
充電部18は、EDLC又は二次電池等の充放電可能なデバイスを含み、アンテナ13で発生した電流により充電される。また、充電部18から放電される電流は、セキュアICチップ15及び画像処理用ICチップ16に供給され、セキュアICチップ15及び画像処理用ICチップ16は充電部18から放電される電流により動作する。例えば、充電部18と画像処理用ICチップ16とは、セキュアICチップ15(インタフェース151及びインタフェース161)を通じて接続され、充電部18からの電流はセキュアICチップ15を介して画像処理用ICチップ16へ供給される。或いは、セキュアICチップ15に充電部18(第1の充電部)を接続し、画像処理用ICチップ16に第2の充電部を接続する構成としてもよい。なお、ICカード1の厚さは0.76mm程度であり、このようなICカード1に搭載される充電部18の容量は、たとえばEDLCの場合、数mF~数十mF程度である。この容量は、コンデンサ面積を広げる、または複数枚の充電部を設けることで容量を拡張できる。また、充電部18は、リアルタイムに残容量を検出し、残容量をセキュアICチップ15及び画像処理用ICチップ16へ通知する。
【0027】
ICカード1を使用する際、ユーザは、指紋センサ17上に指を接触させた上で、ICカード1をカードリーダライタ25へ翳す又は挿入する。ICカード1のアンテナ(コイル)は電磁誘導により起電し、指紋センサ17は発生した電流を得て指先の指紋を読み取り、指紋画像を出力する。ICカード1のセキュアICチップ15及び画像処理用ICチップ16が協働して、指紋画像に基づき指紋認証処理を実行する。
【0028】
図4は、実施形態に係るICカードのセキュアICチップの概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、セキュアICチップ15は、プロセッサ151、ROM152、RAM153、不揮発性メモリ154、及びインタフェース155等を備える。
【0029】
プロセッサ151は、ROM152及び不揮発性メモリ154の少なくとも一方に記憶されたプログラムに基づいて、セキュアICチップ15の動作に必要な演算及び制御などの各種処理を実行するコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサ151は、例えば、CPU(central processing unit)、又はMPU(micro processing unit)等である。なお、セキュアICチップ15は、2以上のプロセッサ151を組み合わせてこれら2以上のプロセッサの協働により各種処理を実行するようにしてもよい。
【0030】
例えば、プロセッサ151は、プログラムを実行することにより、カードリーダライタ25から送信されアンテナ13を介して受信されたコマンドを解釈しコマンドに基づく処理を実行する機能、及びアンテナ13によりカードリーダライタ25へレスポンスを送信する機能等を有する。また、プロセッサ151は、カード認証コマンドに基づきカード認証処理を実行する。
【0031】
また、プロセッサ151は、充電部18からインタフェース155を介して通知される残容量を検知する。具体的には、図示しない電圧検知ICや電流検知ICを用いて、充電部18の残容量、電圧または電流を検知して、その値をプロセッサ151が検知できるようにする。また、プロセッサ151は、不揮発性メモリ154に記憶される処理実行情報に基づき、複数の処理を非連続で実行する。プロセッサ151は、一連の処理の途中で電流不足に陥り処理未了による処理エラーが発生することを防止するため、状況に応じて、複数の処理を非連続で実行する。つまり、プロセッサ151は、処理実行情報に基づき、状況に応じて、処理と処理の間に処理を実行しない間隔を設け、この間隔において非接触給電で得られる電流により充電部18の容量を回復させる。非連続処理の実行については後に詳しく説明する。
【0032】
ROM152は、プロセッサ151の主記憶部分に相当する読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM152は、オペレーティングシステム又はアプリケーションソフトウェアなどのプログラムを記憶する。また、ROM152は、プロセッサ151が各種処理を行う上で使用するデータなどを記憶する。
【0033】
RAM153は、プロセッサ151の主記憶部分に相当する揮発性のメモリである。RAM153は、プロセッサ151が各種処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0034】
不揮発性メモリ154は、プロセッサ151の補助記憶部分に相当する。不揮発性メモリ154は、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ154が、上記プログラムの一部又は全部を記憶する場合もある。また、不揮発性メモリ154は、プロセッサ151が各種処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ151による各種処理で生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0035】
また、不揮発性メモリ154は、プロセッサ151により実行される複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶する。例えば、処理実行情報は、充電部18の残容量を判定するための電圧閾値や電流閾値を含む。また、処理実行情報は、非連続処理の対象となるコマンド情報、及び各処理の進捗を示す進捗情報等のうちの少なくとも一つを含む。また、処理実行情報は、非連続で実行される複数の処理の間隔を示す情報(時間)を含む。この間隔を示す情報は、事前に設定される情報であり、ICカード1に搭載される充電部18の容量、非接触給電で得られる電流値(例えば平均値)、及び各処理の消費電流(例えば平均値)のうちの少なくとも一つに基づき、決定される。電流量を間接的に示すものとして電圧を検知して間隔時間を決定させてもよい。
【0036】
さらに、不揮発性メモリ154は、指紋認証のための登録指紋画像テンプレートを登録する。不揮発性メモリ154は、一本の指先に対する複数回の読み取りにより得られた複数の登録指紋画像テンプレートを登録してもよいし、複数の指先のそれぞれに対する1又は複数回の読み取りにより得られた複数の登録指紋画像テンプレートを登録してもよい。登録指紋画像テンプレートは、指紋画像から抽出される複数の特徴点に基づき生成されたものである。
【0037】
インタフェース155は、画像処理用ICチップ16と通信し、画像処理用ICチップ16で生成された読取指紋画像テンプレートを受信する。また、インタフェース155は、接触端子14から送信されるコマンド等を受信する。なお、画像処理用ICチップ16は、読み取り指紋画像テンプレートになる前の状態である指紋画像情報をインタフェース155を通じてセキュアICチップ15に送信するようにして、指紋画像テンプレート自体はセキュアICチップで生成するようにしてもよい。
【0038】
図5は、実施形態に係るICカードの画像処理用ICチップの概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、画像処理用ICチップ16は、プロセッサ161、ROM162、RAM163、不揮発性メモリ164、及びインタフェース165等を備える。画像処理用ICチップ16の各部とセキュアICチップ15の各部の基本構成は、実質的に同様であり、相違点を中心に説明し、共通する部分の説明は省略する。
【0039】
例えば、プロセッサ161は、指紋センサ17から出力される読取指紋画像を取得する画像取得処理、及び読取指紋画像から複数の特徴点を抽出し、複数の特徴点に基づき読取指紋画像テンプレートを生成する画像処理を実行する。インタフェース165は、指紋センサ17と通信し、また、セキュアICチップ15と通信する。なお、既に上述したように、画像処理用ICチップ16は、読み取り指紋画像テンプレートになる前の状態である指紋画像情報をインタフェース155を通じてセキュアICチップ15に送信して、指紋画像テンプレート自体はセキュアICチップ側で生成してもよい。
【0040】
また、プロセッサ161は、充電部18からインタフェース165またはセキュアICチップ15を介して通知される残容量を検知する。具体的には、図示しない電圧検知ICや電流検知ICを用いて、充電部18の残容量、電圧または電流を検知して、その値をプロセッサ161が検知できるようにする。また、プロセッサ161は、不揮発性メモリ164に記憶される処理実行情報に基づき、複数の処理を非連続で実行する。プロセッサ161は、一連の処理の途中で電流不足に陥り処理未了による処理エラーが発生することを防止するため、状況に応じて、複数の処理を非連続で実行する。つまり、プロセッサ161は、処理実行情報に基づき、状況に応じて、処理と処理の間に処理を実行しない間隔を設け、この間隔において非接触給電で得られる電流により充電部18の容量を回復させる。非連続処理の実行については後に詳しく説明する。
【0041】
不揮発性メモリ164は、プロセッサ161により実行される複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶する。例えば、処理実行情報は、充電部18の残容量を判定するための電圧閾値や電流閾値を含む。また、処理実行情報は、非連続処理の対象となるコマンド情報、及び各処理の進捗を示す進捗情報等のうちの少なくとも一つを含む。また、処理実行情報は、非連続で実行される複数の処理の間隔を示す情報を含む。処理の間隔の決定方法は、セキュアICチップ15のプロセッサ151で決定する方法と同様である。
【0042】
次に、電流不足による動作エラーへの対策について説明する。
ICカード1を非接触給電で動作させる為には(充電部18からの電流を利用しない場合)、非接触給電で得られる電流以下の消費電流を要する処理に制限することになる。ICカード1は、充電部18を備えるので、非接触給電により充電された充電部18からの電流により、非接触給電で得られる電流を超える消費電流を要する処理を実行することができる。さらに、ICカード1は、処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行すること、又は一つの処理を複数の処理に分割しこれら複数の処理を非連続で実行することにより、充電部18からの電流不足による動作エラーを防ぐことができる。例えば、複数の処理は、複数のコマンドに対応するもの、又は一つのコマンドに対応する処理を複数に分割したものである。ICカード1は、処理を実行していない期間(つまり処理と処理の間隔)に、非接触給電により充電部18を充電し残容量を回復することができるので、電流不足による動作エラーを防ぐことができる。処理と処理の間隔を適切な長さに設定するこれにより、処理の遅延を防止するとともに、負荷の重い処理(消費電流の多い処理)であっても残容量の十分な回復により処理を完遂することができる。
【0043】
セキュアICチップ15のプロセッサ151は、不揮発性メモリ154に記憶される処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する。例えば、プロセッサ151は、第1の処理を実行し、前記充電部の残容量が電流閾値を超えるタイミングで、第2の処理を実行する。或いは、プロセッサ151は、第1の処理を実行し、所定の時間が経過した後、第2の処理を実行する。所定の時間は、処理実行情報が含む間隔を示す情報により定まる。所定の時間は固定時間であってもよいし、充電部18の残容量及び非接触給電で得られる電流値のうちの少なくとも一つに基づき設定される変更時間であってもよい。
【0044】
同様に、画像処理用ICチップ16のプロセッサ161も、不揮発性メモリ164に記憶される処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する。例えば、プロセッサ161は、第1の処理を実行し、前記充電部の残容量が電流閾値を超えるタイミングで、第2の処理を実行する。或いは、プロセッサ161は、第1の処理を実行し、所定の時間が経過した後、第2の処理を実行する。所定の時間は、処理実行情報が含む間隔を示す情報により定まる。例えば、画像処理用ICチップ16は、指紋センサ17から出力される読取指紋画像を取得する画像取得処理、及び読取指紋画像から複数の特徴点を抽出し読取指紋画像テンプレートを生成する特徴点抽出処理を含む画像処理を実行するが、これら画像取得処理及び特徴点抽出処理の負荷は重く、消費電流が大きくなる傾向にある。プロセッサ161は、処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、画像処理に含まれる画像取得処理及び特徴点抽出処理を非連続的に実行すること、又は画像処理に含まれる画像取得処理及び特徴点抽出処理を分割し、分割された画像取得処理及び特徴点抽出処理を非連続的に実行する。これにより、負荷の重い処理(消費電流の多い処理)であっても残容量の十分な回復により処理を完遂することができる。
【0045】
図6は、ICカード処理装置とICカードの動作シーケンス、及びICカード内部の動作シーケンスの一例を示す図である。本実施形態では、ICカード1の二つのICチップ(セキュアICチップ15及び画像処理用ICチップ16)が協働して認証処理(カード認証処理及び指紋認証処理)を実行し、この認証処理に非連続処理を適用するケースを中心に説明する。なお、ICカード1が一つのICチップで認証処理を実行し、この認証処理に非連続処理を適用してもよい。
【0046】
ICカード処理装置2のカードリーダライタ25は、ポーリング信号を出力し、ICカード1からの応答を待つ。ユーザによりICカード1がカードリーダライタ25に翳され、ICカード1のアンテナ13がカードリーダライタ25の通信エリアに入ると、ICカード1のアンテナ13が電磁誘導により起電し、ICカード1は動作電流を得て動作する。セキュアICチップ15のプロセッサ151は、アンテナ13を介して受信したポーリング信号を検知し、アンテナ13を介して応答信号を返信する。
【0047】
ここで、外部装置であるICカード処理装置2からのコマンド処理に非連続処理を適用するケースについて説明する。例えば、ICカード1は、ICカード処理装置2のカードリーダライタ25からの複数のコマンドを受信し、複数のコマンドに対応する複数の処理を順番に実行するが、これら複数の処理に非連続処理を適用するケースについて説明する。
【0048】
カードリーダライタ25は、ICカード1からの応答信号を受信し、カード認証コマンドを送信する(ステップST1)。プロセッサ151は、アンテナ13を介して受信したカード認証コマンドを検知し、カード認証コマンドに基づきカード認証処理を実行し(ステップST2)、アンテナ13を介してカード認証成功(OK)又はカード認証失敗(NG)を示すカード認証結果を返信する(ステップST3)。カード認証に成功した場合、プロセッサ151は、処理実行情報に含まれる進捗情報に、カード認証処理の進捗(カード認証完了)を記録する。
【0049】
例えば、プロセッサ151は、充電部18の残容量が容量閾値より高い場合に、カード認証コマンドに基づきカード認証処理を実行し、充電部18の残容量が容量閾値以下の場合に、残容量が容量閾値より高くなるのを待ってカード認証処理を実行するようにしてもよい。なお、残容量が容量閾値より高い状態が充電部18の性能上の満充電になるように、容量閾値を定めてもよい。これにより、電流不足によりカード認証処理の未遂発生リスクを低減することができる。
【0050】
カードリーダライタ25は、ICカード1からのカード認証成功(OK)を示すカード認証結果を受信すると、指紋認証コマンドを送信する(ステップST4)。なお、ICカード1からのカード認証失敗(NG)を示すカード認証結果を受信すると、ここで処理は終了となる。
【0051】
プロセッサ151は、アンテナ13を介して受信した指紋認証コマンドを検知し、指紋認証コマンドに基づき指紋認証処理を実行する。ここで、プロセッサ151は、不揮発性メモリ154に記憶される処理実行情報に基づいて、先の処理(カード認証処理)と次の処理(指紋認証処理)を非連続で実行する(ステップST6)。また、プロセッサ151は、処理実行情報に含まれる進捗情報に基づき、カード認証処理の進捗(完了)をチェックしてから、指紋認証処理を実行し、進捗情報に、指紋認証処理の進捗を記録する。
【0052】
例えば、指紋認証処理は、画像取得処理、特徴点抽出処理、及び照合処理のように複数の処理を含む。画像取得処理、特徴点抽出処理、及び照合処理の順に処理を実行することが定められているとする。プロセッサ151は、処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、先の処理(カード認証処理)と次の処理(指紋認証処理に含まれる最初の画像取得処理)を非連続で実行させる。即ち、プロセッサ151は、先の処理(カード認証処理)を完遂し、実行間隔が経過し、次の処理のタイミングに達すると(ステップST5、YES)、次の処理(指紋認証処理に含まれる最初の画像取得処理)を画像処理用ICチップに実行させる。
【0053】
例えば、プロセッサ151は、以下に示す非連続処理1乃至非連続処理4の少なくとも一つに示すような非連続処理を画像処理用ICチップに実行させる。非連続処理の実行により、電流不足により指紋認証処理の未遂発生リスクを低減することができる。指紋認証処理は負荷が重く、電流消費が多いため、非連続処理の実行により、指紋認証処理を実行する前に充電部18を充電する機会を持たせることにより、電流不足により指紋認証処理の未遂発生リスクを低減することができる。
【0054】
(非連続処理1)プロセッサ151は、カード認証処理を完遂し、処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、画像処理用ICチップ16に対して、指紋画像処理コマンドを送信し、画像取得処理及び特徴点抽出処理を実行させる。
【0055】
(非連続処理2)処理実行情報は、非連続処理の対象となるコマンド情報を含む。プロセッサ151は、非連続処理の対象となるコマンド情報に指紋認証コマンドが含まれる場合、カード認証処理を完遂し、実行間隔を空けて(例えば残容量が容量閾値を超えるまで待ってから)、画像処理用ICチップ16に対して、指紋画像処理コマンドを送信し、画像取得処理及び特徴点抽出処理を実行させる。また、不揮発性メモリ154に、コマンド別の実行間隔を登録することにより、事前に把握されているコマンド別の負荷に応じた実行間隔による非連続処理を実現することができる。換言すれば、コマンドに応じた変動実行間隔による非連続処理を実現することができる。これにより、処理時間を無用に長引かせることなく、より効率的な非連続処理を実現することができる。
【0056】
(非連続処理3)プロセッサ151は、カード認証処理を完遂し、処理実行情報に含まれる残容量が容量閾値以下の場合に、残容量が容量閾値を超えるタイミングに基づき(処理実行情報に基づく実行間隔を空けて)、画像処理用ICチップ16に対して、指紋画像処理コマンドを送信し、画像取得処理及び特徴点抽出処理を実行させる。また、不揮発性メモリ154に、残容量別の実行間隔を登録することにより、残容量に応じた実行間隔による非連続処理を実現することができる。換言すれば、残容量に応じた変動実行間隔による非連続処理を実現することができる。これにより、処理時間を無用に長引かせることなく、より効率的な非連続処理を実現することができる。
【0057】
(非連続処理4)プロセッサ151は、カード認証処理を完遂し、非接触給電で得られる電流値が電流閾値以下の場合に、電流値が電流閾値を超えるタイミングに基づき(処理実行情報に基づく実行間隔を空けて)、画像処理用ICチップ16に対して、指紋画像処理コマンドを送信し、画像取得処理及び特徴点抽出処理を実行させる。また、不揮発性メモリ154に、非接触給電で得られる電流値別の実行間隔を登録することにより、電流値に応じた実行間隔による非連続処理を実現することができる。換言すれば、電流値に応じた変動実行間隔による非連続処理を実現することができる。これにより、処理時間を無用に長引かせることなく、より効率的な非連続処理を実現することができる。
【0058】
なお、ICカード1が一つのICチップで複数の処理(カード認証処理及び指紋認証処理)を実行する場合には、一つのICチップが、処理実行情報に基づき、状況に応じて実行間隔を空けて、複数コマンドに対応する複数の処理を非連続で実行する。
【0059】
次に、ICカード1において、内部のコマンド処理に非連続処理を適用するケースについて説明する。例えば、ICカード1のセキュアICチップ15が、画像処理用ICチップ16に対してコマンドを送信する場合、画像処理用ICチップ16は、このコマンドを受信し、このコマンドに対応する複数の処理を順番に実行するが、これら複数の処理に非連続処理を適用するケースについて説明する。
【0060】
セキュアICチップ15のプロセッサ151は、画像処理用ICチップ16に対して、指紋画像処理コマンドを送信し(ステップST61)、画像処理用ICチップ16のプロセッサ161は、指紋画像処理コマンドを検知し、指紋センサ17から出力される画像を取得する画像取得処理を実行する(ステップST62)。プロセッサ161は、不揮発性メモリ164に記憶される処理実行情報に含まれる進捗情報に、画像取得処理の進捗を記録する。
【0061】
続いて、プロセッサ161は、不揮発性メモリ164に記憶される処理実行情報に基づいて、状況に応じて実行間隔を空けて、先の処理(画像取得処理)と次の処理(特徴点抽出処理)を非連続で実行する。即ち、プロセッサ161は、先の処理(画像取得処理)を完遂し、実行間隔が経過し、次の処理のタイミングに達すると(ステップST63、YES)、次の処理(特徴点抽出処理)を実行する(ステップST64)。例えば、充電部18の残容量が容量閾値を超えるタイミングに基づき、次の処理(特徴点抽出処理)を実行する。プロセッサ161は、処理実行情報に含まれる進捗情報に基づき、画像取得処理の進捗(完了)をチェックしてから、特徴点抽出処理を実行し、進捗情報に、特徴点抽出処理の進捗を記録する。これにより、複数の処理を正しく実行することができる。プロセッサ161は、特徴点抽出処理により、指紋センサ17から出力される読取指紋画像から複数の特徴点を抽出し、複数の特徴点に基づき読取指紋画像テンプレートを生成し、読取指紋画像テンプレートをセキュアICチップ15へ送信する(ステップST65)。
【0062】
なお、プロセッサ161で実行される非連続処理についても、プロセッサ151で実行される非連続処理1乃至非連続処理4の少なくとも一つの非連続処理と同様に、処理実行情報に基づき制御されるので、指紋画像処理コマンドが非連続処理の対象のコマンドでなければ非連続処理は適用されず、また、充電部18の残容量又は非接触給電で得られる電流値に基づき、非連続処理の実行間隔を可変制御するようにしてもよい。プロセッサ161で実行される非連続処理の効果についても、プロセッサ151で実行される非連続処理と同様である。
【0063】
また、一つの指紋画像処理コマンドが画像取得処理及び特徴点抽出処理の実行を指示する場合、プロセッサ161は、一つの指紋画像処理コマンドに対応する画像取得処理及び特徴点抽出処理を分割し、画像取得処理と特徴点抽出処理とを非連続で実行する。また、セキュアICチップ15が、画像取得処理に対応する第1のコマンドを送信し、その後、特徴点抽出処理に対応する第2のコマンドを送信する場合には、分割処理は必須ではなく、プロセッサ161は、これら第1及び第2のコマンドに対応する画像取得処理及び特徴点抽出処理を非連続で実行する。
【0064】
セキュアICチップ15のプロセッサ151は、画像処理用ICチップ16からの読取指紋画像テンプレートを受け取り、不揮発性メモリ164に記憶される処理実行情報に基づき、状況に応じて実行間隔を空けて、先の処理(特徴点抽出処理)と次の処理(照合処理)を非連続で実行する。即ち、プロセッサ151は、先の処理(特徴点抽出処理)を完遂し、実行間隔が経過し、次の処理のタイミングに達すると(ステップST66、YES)、次の処理(照合処理)を実行する(ステップST67)。例えば、充電部18の残容量が容量閾値を超えるタイミングに基づき、次の処理(照合処理)を実行する。なお、ここでも、プロセッサ151は、非連続処理1乃至非連続処理4の少なくとも一つの非連続処理と同様にして、非連続処理4を実行する。また、プロセッサ151は、処理実行情報に含まれる進捗情報に、照合処理の進捗を記録する。プロセッサ151は、照合処理により、不揮発性メモリ154に登録された登録指紋画像テンプレートと、受け取った読取指紋画像テンプレートとを照合し、類似度を算出し、類似度算出結果に基づき指紋認証成功又は指紋認証失敗を判定する。プロセッサ151は、カードリーダライタ25からの指紋認証コマンド(ステップST4)に対して、指紋認証成功又は指紋認証失敗を示す指紋照合結果を返信する(ステップST7)。
【0065】
上記説明では、ICカード1の二つのICチップのそれぞれで非連続処理を適用するケースについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、どちらか一方のICチップで非連続処理を適用し、他方のICチップでは非連続処理を適用しないようにしてもよい。例えば、負荷が重く消費電流が多い画像処理を担うICチップに非連続処理を適用し、画像処理を担わないICチップに非連続処理を適用しないようにしてもよい。
【0066】
また、上記説明では、ICカード1の二つのICチップのうちの一方のICチップが、マスターとして機能し、外部装置からの外部コマンドの処理を担う場合に、この外部コマンドの処理に対して非連続処理を適用し、また、他方のICチップが、スレーブとして機能し、マスターからの内部コマンドの処理を担う場合に、この内部コマンドの処理に対して非連続処理を適用するケースについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ICカード1の一つのICチップが画像取得処理、特徴抽出処理、及び照合処理等を担う場合には、一つのICチップで実行されるこれら処理に非連続処理を適用するようにしてもよい。
【0067】
上記説明した非連続処理の概要は以下の通り。
【0068】
(1)ICカード1のICチップは、処理実行情報に基づき、外部装置からの複数の外部コマンドに対応する複数の処理、又は一つの外部コマンドに対応する処理を複数に分割し、分割した複数の処理を非連続で実行する。また、ICカード1のICチップは、処理実行情報に基づき、ICカード1内の他のICチップからの内部コマンドに対応する複数の処理、又は一つの内部コマンドに対応する処理を複数に分割し、分割した複数の処理を非連続で実行する。これにより、電流不足による処理未遂の発生リスクを低減することができる。
【0069】
(2)特徴点抽出処理のような負荷の重い処理に対応する特定のコマンドを処理実行情報へ登録する。ICカード1のICチップは、特定のコマンドに対応する複数の処理を非連続で実行する。これにより、負荷の重い処理を非連続処理の対象にすることができる。
【0070】
(3)ICカードの1のICチップは、各処理の進捗を進捗情報として記録する。ICチップは、実行間隔を空けて複数の処理を実行する場合に、進捗情報を参照することにより、正しい処理順で漏れなく各処理を実行することができる。つまり、ICチップは、進捗情報を参照することにより、複数の処理のうちのどの処理まで実施したか確認しながら、次の処理を再開することができる。
【0071】
(4)ICカード1のICチップは、複数の処理を実行する際、処理実行情報に基づき、充電部の残容量が容量閾値を超えるタイミングで(満充電になってから)、次の処理を実行する。これにより、満充電→放電(処理1)→満充電→放電(処理2)…→満充電→放電(処理X)のような流れで充放電を繰り返して複数の処理を実行することができ、電流不足による処理未遂の発生リスクを低減することができる。
【0072】
本実施形態では、指紋センサ17で読み取られる読取指紋画像の画像処理に着目して非連続処理を適用するケースについて説明したが、指紋センサ17に限らず、他のカメラ素子の様なセンサ、ディスプレイ、ボタン等を備えた高機能なICカードによる複数の処理に対して非連続処理を適用することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載の発明を付記する。
[C1]
アンテナと、
前記アンテナの電磁誘導により発生する電流で充電される充電部と、
複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶するメモリと、
前記充電部からの電流により動作し、前記処理実行情報に基づく間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する第1のプロセッサと、
を備えるICカード。
[C2]
前記第1のプロセッサは、複数のコマンドに応じた複数の処理を非連続で実行する[1]のICカード。
[C3]
前記第1のプロセッサは、一つの処理を複数の処理に分割し、分割された複数の処理を非連続で実行する[1]のICカード。
[C4]
前記充電部からの電流により動作する第2のプロセッサを備え、
前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサからのコマンドに応じた複数の処理を非連続で実行する[1]のICカード。
[C5]
前記処理実行情報は、閾値を含み、
前記複数の処理は、第1及び第2の処理を含み、
前記第1のプロセッサは、前記第1の処理を実行した後、前記充電部の残容量が前記閾値を超えるタイミングに基づき、前記第2の処理を実行する[1]のICカード。
[C6]
前記第1のプロセッサは、前記メモリに複数の処理の進捗を示す進捗情報を記録する[1]のICカード。
[C7]
前記第1のプロセッサは、複数の画像処理を非連続で実行する[1]のICカード。
[C8]
指紋センサを備え、
前記第1のプロセッサは、前記指紋センサからの画像に基づく複数の画像処理を非連続で実行する[7]のICカード。
[C9]
アンテナと、
前記アンテナの電磁誘導により発生する電流で充電される充電部と、
複数の処理を非連続で実行するための処理実行情報を記憶するメモリと、
前記充電部からの電流により動作し、前記処理実行情報に基づく間隔を空けて、複数の処理を非連続で実行する第1のプロセッサと、
を備える携帯可能電子装置。
【符号の説明】
【0074】
1…ICカード
2…カード処理装置
11…カード基材
12…電子基板
13…アンテナ
14…接触端子
15…セキュアICチップ
16…画像処理用ICチップ
17…指紋センサ
18…充電部
21…プロセッサ
24…補助記憶デバイス
25…カードリーダライタ
26…操作部
27…ディスプレイ
151…プロセッサ
154…不揮発性メモリ
155…インタフェース
161…プロセッサ
164…不揮発性メモリ
165…インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6