(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】蒸気発生装置、ハウジング部材、家電機器及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 1/00 20060101AFI20230508BHJP
F24C 13/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
F24C1/00 310C
F24C13/00 E
F24C13/00 A
(21)【出願番号】P 2019166235
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】井口 滉喜
(72)【発明者】
【氏名】阪本 昌雄
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-007493(JP,A)
【文献】特開2010-159920(JP,A)
【文献】特開2002-039503(JP,A)
【文献】特開2007-093091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/14
F22B 37/26-37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する気化室を有するハウジングと、
前記液体を加熱して蒸気を発生させるヒーターと
を備え、
前記気化室は、前記液体が供給される第1領域と、前記第1領域内の前記液体から発生した前記蒸気が導かれる第2領域とを有し、
前記ハウジングは、
前記第2領域に対向し、前記蒸気を前記ハウジングの外部に吹き出す吹出孔部と、
前記気化室内に配置されて、前記液体が突沸して噴き上がる第1液滴が前記吹出孔部に到達することを遮る遮蔽部と
、
前記気化室の一部を構成する壁部と
を有し、
前記遮蔽部は、前記遮蔽部に載る第2液滴を前記第1領域に案内するガイド部を有
し、
前記壁部は、前記気化室に面する内壁面と、前記遮蔽部とを有し、
前記ガイド部は、前記内壁面から前記遮蔽部の先端部にわたって形成されている溝部を有する、蒸気発生装置。
【請求項2】
前記吹出孔部は、前記壁部に形成されており、
前記壁部
は、筒部
を更に有し、
前記筒部は、前記吹出孔部の前記内壁面側の開口の全周を囲い、
前記筒部は、前記内壁面から突出している、請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
前記筒部の先端面は、前記筒部が前記内壁面から突出する方向に対して傾斜している、請求項2に記載の蒸気発生装置。
【請求項4】
前記溝部の幅は、前記遮蔽部が前記内壁面から突出する突出方向に向かうにつれて広くなっており、
前記溝部の深さは、前記突出方向に向かうにつれて深くなっている、請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸気発生装置。
【請求項5】
前記遮蔽部は、前記内壁面から突出しており、
前記遮蔽部は、ベース部と、第1傾斜部と、第2傾斜部とを有し、
前記ベース部は、前記ベース部が延在する方向に延在し、
前記ベース部は、前記ベース部が延在する方向において、第1端部及び第2端部を有し、
前記第1傾斜部は、前記ベース部の前記第1端部から、前記吹出孔部及び前記第1領域から離れる方向に延在し、
前記第2傾斜部は、前記ベース部の前記第2端部から、前記吹出孔部及び前記第1領域から離れる方向に延在する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の蒸気発生装置。
【請求項6】
液体を収容する気化室を有するハウジングと、
前記液体を加熱して蒸気を発生させるヒーターと
を備え、
前記気化室は、前記液体が供給される第1領域と、前記第1領域内の前記液体から発生した前記蒸気が導かれる第2領域とを有し、
前記ハウジングは、
前記第2領域に対向し、前記蒸気を前記ハウジングの外部に吹き出す吹出孔部と、
前記気化室内に配置されて、前記液体が突沸して噴き上がる第1液滴が前記吹出孔部に到達することを遮る遮蔽部と、
前記気化室の一部を構成する壁部と
を有し、
前記遮蔽部は、前記遮蔽部に載る第2液滴を前記第1領域に案内するガイド部を有する、
前記吹出孔部は、前記壁部に形成されており、
前記壁部は、前記気化室に面する内壁面と、前記遮蔽部とを有し、
前記遮蔽部は、前記内壁面から突出しており、
前記ガイド部は、溝部を有し、
前記溝部は、前記内壁面から前記遮蔽部の先端部にわたって形成されている、蒸気発生装置。
【請求項7】
液体を収容する気化室を有するハウジングと、
前記液体を加熱して蒸気を発生させるヒーターと
を備え、
前記気化室は、前記液体が供給される第1領域と、前記第1領域内の前記液体から発生した前記蒸気が導かれる第2領域とを有し、
前記ハウジングは、
前記第2領域に対向し、前記蒸気を前記ハウジングの外部に吹き出す吹出孔部と、
前記気化室内に配置されて、前記液体が突沸して噴き上がる第1液滴が前記吹出孔部に到達することを遮る遮蔽部と、
前記気化室の一部を構成する壁部と
を有し、
前記遮蔽部は、前記遮蔽部に載る第2液滴を前記第1領域に案内するガイド部を有し、
前記吹出孔部は、前記壁部に形成されており、
前記壁部は、前記気化室に面する内壁面と、筒部とを有し、
前記筒部は、前記吹出孔部の前記内壁面側の開口の全周を囲い、
前記筒部は、前記内壁面から突出し、
前記筒部の先端面は、前記筒部が前記内壁面から突出する方向に対して傾斜し、
前記筒部が前記内壁面から突出する方向における前記筒部の長さは、前記遮蔽部に接近するほど短くなる、蒸気発生装置。
【請求項8】
請求項2~請求項
7のいずれか1項に記載の蒸気発生装置が備える前記ハウジングの一部を構成するハウジング部材であって、
前記壁部を有する、ハウジング部材。
【請求項9】
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の蒸気発生装置を備える、家電機器。
【請求項10】
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の蒸気発生装置と、
被加熱物が加熱調理される加熱調理室と
を備え、
前記蒸気発生装置は、前記吹出孔部から前記加熱調理室内に前記蒸気を吹出す、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生装置、ハウジング部材、家電機器及び加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱調理器が開示されている。特許文献1に開示の加熱調理器は、ヒーターによる加熱と、蒸気による加熱とを組み合わせて調理を行う。詳しくは、特許文献1に開示の加熱調理器は、加熱室と、蒸気発生装置と、上部ヒーターと、下部ヒーターとを備える。蒸気発生装置は、加熱室の背面側壁の外側に配置されている。蒸気発生装置は、水を沸騰して蒸気を発生させる。蒸気発生装置は、4つの蒸気噴出口を有する。加熱室の背面側壁には、4つの貫通孔が形成されている。4つの蒸気噴出口は、背面側壁の4つの貫通孔から加熱室内に突き出ている。蒸気噴出口は、蒸気発生装置で発生した蒸気を加熱室の中に吹き込む。上部ヒーターは、加熱室の天井面の下に配置されている。下部ヒーターは、加熱室の床面の上に配置されている。上部ヒーター及び下部ヒーターは、加熱室内の蒸気を加熱して、過熱蒸気を発生させる。
【0003】
より詳しくは、特許文献1に開示の蒸気発生装置は、正面側ケージングと、背面側ケージングと、蒸気発生ヒーターとを有する。正面側ケージングは、背面側が全面的に開口している。背面側ケージングは、正面側ケージングの背面側の開口部を閉ざす。蒸気発生ヒーターは、正面側ケージングの下部を貫通している。背面側ケージングは、給水口を有する。正面側ケージングは、4つの蒸気噴出口と、3つのリブと有する。4つの蒸気噴出口の各々は、正面側ケージングの上部に、4つの蒸気噴出口が横一列に並ぶように配置されている。3つのリブは、正面側ケージングの内壁面に設けられる。3つのリブの各々は、4つの蒸気噴出口の各々よりも下に、ラビリンス通路を形成するように配置されている。ラビリンス通路は、沸騰して躍り上がった水滴が蒸気噴出口に到達するのを防ぐ。詳しくは、第1リブ及び第2リブは、左右に間隔をおいて配置されている。第3リブは、第1リブ及び第2リブに跨るように、第1リブ及び第2リブの上方に配置されている。第1リブ及び第2リブは、正面側ケージングの中央方向に下がる傾斜がつられている。第3リブは、中央部が高く、両端が低い山形形状を有する。第1リブ、第2リブ又は第3リブに載る水滴は、自重により、正面側ケージングの下部に向けて流れ落ちる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の蒸気発生装置では、リブに載る水滴が流れ落ちず、リブ上に滞留することがある。そのため、特許文献1に開示の蒸気発生装置では、蒸気とともに水滴が、蒸気噴出口から吹き出されることがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、蒸気とともに液滴が吹き出されることを抑制することができる蒸気発生装置、ハウジング部材、家電機器及び加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蒸気発生装置は、ハウジングと、ヒーターとを備える。前記ハウジングは、気化室を有する。気化室は、液体を収容する。前記ヒーターは、前記液体を加熱して蒸気を発生させる。前記気化室は、第1領域と、第2領域とを有する。前記第1領域には、前記液体が供給される。前記第2領域には、前記第1領域内の前記液体から発生した前記蒸気が導かれる。前記ハウジングは、吹出孔部と、遮蔽部とを有する。前記吹出孔部は、前記第2領域に対向する。前記吹出孔部は、前記蒸気を前記ハウジングの外部に吹き出す。前記遮蔽部は、前記気化室内に配置されている。前記遮蔽部は、前記液体が突沸して噴き上がる第1液滴が前記吹出孔部に到達することを遮る。前記遮蔽部は、ガイド部を有する。前記ガイド部は、前記遮蔽部に載る第2液滴を前記第1領域に案内する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蒸気発生装置、ハウジング部材、家電機器及び加熱調理器によれば、蒸気とともに液滴が吹き出されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【
図2】
図1の切断線IIで切断した加熱調理器の断面図である。
【
図3】
図1の切断線IIIで切断した加熱調理器の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る加熱調理器の左側面を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るハウジングの正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る加熱調理器の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図5の切断線VIIで切断したハウジングの断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るハウジング部材の正面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るハウジング部材の斜視図である。
【
図10】
図7の切断線Xで切断したハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る加熱調理器の実施形態について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る加熱調理器1について説明する。
図1は、本実施形態に係る加熱調理器1を示す斜視図である。
図2は、
図1の切断線IIで切断した加熱調理器1の断面図である。
【0012】
加熱調理器1は、被加熱物を加熱調理する。被加熱物は、例えば、食品である。
図1に示すように、加熱調理器1は、加熱庫2と、扉3と、操作パネル4とを備える。扉3は、ハンドル3aを有する。
【0013】
本実施形態では、加熱調理器1の扉3が配置される側を加熱調理器1の前側とし、その反対側を加熱調理器1の後側と規定する。また、加熱調理器1を前側から見たときの右側を加熱調理器1の右側とし、その反対側を加熱調理器1の左側と規定する。また、加熱調理器1の前後方向及び左右方向と直交する方向において、扉3のハンドル3aが配置される側を加熱調理器1の上側とし、その反対側を加熱調理器1の下側と規定する。なお、これらの向きは、本発明の加熱調理器の使用時の向きを限定するものではない。
【0014】
加熱庫2は、箱状部材である。
図2に示すように、加熱庫2は、その内部に加熱調理室R2を有する。加熱調理室R2は、被加熱物を収容する空間を示す。加熱調理室R2は、被加熱物を加熱調理するための空間を示す。加熱調理室R2の前側は、被加熱物を出し入れするために開口されている。
【0015】
図1に示すように、扉3は、加熱庫2の前側に位置する。扉3は、加熱庫2の加熱調理室R2(
図2)を開閉する。扉3は、加熱庫2に取り付けられている。扉3は、略矩形状の板状物である。扉3は、扉3の下側の辺を軸に加熱庫2に対して回動可能である。扉3は、覗窓3bを更に有する。覗窓3bは、ハンドル3aの下側に取り付けられている。
【0016】
操作パネル4は、ユーザーからの操作を受け付ける。操作パネル4は、扉3に取り付けられている。操作パネル4は、覗窓3bの右側に位置する。操作パネル4は、操作部と、表示部とを有する。操作部は、ユーザーからの操作を受け付ける。表示部は、各種の情報を表示する。
【0017】
本実施形態では、加熱調理器1は、加熱調理モードとして、蒸気加熱モード、レンジ加熱モード、及び熱風循環加熱モードを有する。蒸気加熱モードは、主として、加熱調理室R2内に過熱蒸気を充満させることによって、被加熱物を加熱調理するモードである。レンジ加熱モードは、主として、加熱調理室R2内にマイクロ波を放射することによって、被加熱物を加熱調理するモードである。熱風循環加熱モードは、主として、加熱調理室R2内に熱風Fを循環させて加熱調理室R2内の温度の均一化を図ることによって、被加熱物を加熱調理するモードである。
【0018】
次に、
図1~
図3を参照して、加熱庫2の構成について更に説明する。
図3は、
図1の切断線IIIで切断した加熱調理器1の断面図である。
【0019】
図2及び
図3に示すように、加熱調理室R2は、略直方体状である。
図2に示すように、加熱庫2は、左内壁2A、右内壁2B、上内壁2C、下内壁2D、及び後内壁2Eを有する。左内壁2A、右内壁2B、上内壁2C、下内壁2D、及び後内壁2Eは、加熱調理室R2を形成する。
【0020】
加熱庫2は、第1加熱室R30と、オーブントレイ30Aとを更に備える。第1加熱室R30は、下内壁2Dの外側に位置する。オーブントレイ30Aは、下内壁2Dの略中央部を構成する。オーブントレイ30Aは、第1加熱室R30と加熱調理室R2とを仕切る。オーブントレイ30Aは、板状物である。オーブントレイ30Aは、加熱庫2に取り付けられている。
【0021】
オーブントレイ30Aの材質は、セラミックス又はガラスを含む。オーブントレイ30Aの材質がセラミックス又はガラスを含むことで、オーブントレイ30Aは、マイクロ波を透過しやすくなる。これにより、加熱調理器1は、レンジ加熱モードが実行される際、被加熱物を効率的に加熱調理することができる。
【0022】
図3に示すように、加熱庫2は、第2加熱室R40と、仕切り板40Aとを更に備える。第2加熱室R40は、後内壁2Eの外側に位置する。仕切り板40Aは、後内壁2Eの略中央部を構成する。仕切り板40Aは、第2加熱室R40と、加熱調理室R2とを仕切る。仕切り板40Aは、板状物である。
【0023】
図2に示すように、仕切り板40Aは、複数の吹出孔部BHと、吸込孔部AHとを有する。複数の吹出孔部BHの各々は、複数のパンチ孔の集合体である。吸込孔部AHは、複数のパンチ孔の集合体である。パンチ孔の直径は、例えば、3.4mmである。複数の吹出孔部BHの各々と、吸込孔部AHとは、複数のパンチ孔の集合体であるので、レンジ加熱モードが実行される際、マイクロ波が加熱調理室R2の外部に漏洩することを抑制することができる。
【0024】
吸込孔部AHは、後内壁2Eの中央部に位置する。複数の吹出孔部BHの各々は、仕切り板40Aの吸込孔部AHの周りに位置する。複数の吹出孔部BHは、後内壁2Eを前側から後側に観た場合に、略左右対称となるように位置する。
【0025】
次に、
図1~
図5を参照して、加熱調理器1の構成について更に説明する。
図2に示すように、加熱調理器1は、蒸気供給部20と、マイクロ波供給部30とを備える。
【0026】
まず、
図2及び
図3を参照して、マイクロ波供給部30の構成について説明する。マイクロ波供給部30は、マイクロ波を加熱調理室R2内に供給する。つまり、マイクロ波供給部30は、加熱調理器1にレンジ加熱機能を付与する。
【0027】
図2に示すように、マイクロ波供給部30は、回転アンテナ31と、導波管32と、アンテナモーター33とを有する。加熱庫2は、第1壁部30Bを有する。第1壁部30Bは、第1加熱室R30の下壁を構成する。第1壁部30Bは、給電孔部FHを有する。回転アンテナ31は、第1加熱室R30内に収容されている。導波管32、及びアンテナモーター33は、第1壁部30Bの外側に位置する。
図3に示すように、マイクロ波供給部30は、マグネトロン34を更に有する。マグネトロン34は、第1壁部30Bの外側に位置する。マグネトロン34はマイクロ波を発生する。導波管32は、発生したマイクロ波を第1壁部30Cの給電孔部FHに伝播する。この結果、マイクロ波は、回転アンテナ31を介して加熱調理室R2内に供給される。アンテナモーター33は、回転アンテナ31を駆動する。回転アンテナ31は、マイクロ波を攪拌し、加熱調理室R2内にマイクロ波を放射させる。
【0028】
図3に示すように、加熱調理器1は、送風部40を更に備える。
図2及び
図3を参照して、マイクロ波供給部30の構成について説明する。送風部40は、熱風Fを加熱調理室R2内に供給する。つまり、送風部40は、加熱調理器1に熱風循環加熱機能を付与する。
【0029】
送風部40は、第1ヒーター41と、遠心ファン42と、駆動部43と、第1通電部44とを有する。第1ヒーター41及び遠心ファン42は、第2加熱室R40内に収容されている。加熱庫2は、第2壁部40Bを有する。第2壁部40Bは、第2加熱室R40の後壁を構成する。駆動部43及び第1通電部44は、第2壁部40Bの外側に位置する。第1通電部44は、第1ヒーター41を通電する。通電された第1ヒーター41は、空気を加熱する。駆動部43は、遠心ファン42を駆動する。駆動した遠心ファン42は、複数の吹出孔部BH(
図2)を介して、加熱された空気を加熱調理室R2内に吹き付ける。また、駆動した遠心ファン42は、吸込孔部AHを介して、加熱調理室R2内の空気を吸い込む。吸込孔部AHは、遠心ファン42の軸方向において、遠心ファン42と対向している。第1ヒーター41は、例えば、シーズヒーターである。駆動部43は、例えば、モーターである。
【0030】
続いて、
図2~
図5を参照して、蒸気発生装置10の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る加熱調理器1の左側面を示す図である。詳しくは、
図4は、左外壁2Fが取り外された状態の加熱調理器1の左側面を示す。
図5は、本実施形態に係るハウジング11の正面図である。
【0031】
蒸気供給部20は、蒸気Vを加熱調理室R2内に供給する。蒸気供給部20は、加熱調理器1に蒸気加熱機能を付与する。
図2に示すように、加熱庫2は、左外壁2Fを有する。加熱庫2は、左内壁2Aと、左外壁2Fとの間に空間を有する。蒸気供給部20は、この空間内に収容されている。
【0032】
蒸気供給部20は、蒸気発生装置10と、チューブ21と、ポンプ22と、タンク23とを備える。蒸気発生装置10は、左内壁2Aの外側に取り付けられている。チューブ21の一端部は、蒸気発生装置10に接続されている。チューブ21の他端部は、ポンプ22を介して、タンク23と接続されている。
【0033】
チューブ21、ポンプ22、及びタンク23は、蒸気発生装置10内に液体Lを供給する。タンク23は、液体Lを貯留する。ポンプ22は、駆動すると、タンク23内の液体Lを蒸気発生装置10に供給する。本実施形態では、液体Lは、水道水である。水道水は、水道法第4条に基づく水質基準に適合する。水道水は、カルキを含む。
【0034】
蒸気発生装置10は、液体Lを加熱して蒸気Vを発生させる。
図4に示すように、蒸気発生装置10は、ハウジング11と、第2ヒーター12とを備える。第2ヒーター12は、ハウジング11の下部に装着されている。ハウジング11は、その内部に気化室R11を有する。気化室R11は、液体Lを収容する空間を示す。第2ヒーター12は、気化室R11内の液体Lを加熱して蒸気Vを発生させる。第2ヒーター12は、例えば、シーズヒーターである。
【0035】
図5に示すように、ハウジング11は、供給部13と、3つの吹出部14とを有する。ハウジング11は、略直方体状物である。ハウジング11は、右側面RS11と、後側面BS11と、左側面LS11(
図4)とを有する。供給部13は、後側面BS11の上部に位置する。3つの吹出部14は、右側面RS11の上部に位置する。3つの吹出部14は、前後方向に沿って一列に形成されている。供給部13と、気化室R11と、3つの吹出部14とは、連通している。
【0036】
供給部13は、液体Lを気化室R11内に供給する孔部を有する。供給部13には、チューブ21(
図2)の一端が接続される。吹出部14は、気化室R11内の蒸気Vをハウジング11の外部に吹き出させる孔部を有する。加熱庫2の左内壁2A(
図2)は、上下方向の略中央部において、3つの貫通孔部を有する。3つの吹出部14の各々は、3つの貫通孔部の各々の内部に位置する。これにより、気化室R11内で発生した蒸気Vは、3つの吹出部14の各々から加熱調理室R2内に移動する。ハウジング11の構成の詳細については、
図5~
図9を参照して、後述する。
【0037】
次に、
図6を参照して、加熱調理器1の構成について詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係る加熱調理器1の構成を示すブロック図である。
【0038】
図6に示すように、加熱調理器1は、記憶部5と、制御部6とを更に備える。蒸気供給部20は、第2通電部24を更に有する。第2通電部24は、第2ヒーター12を通電する。通電された第2ヒーター12は、発熱する。
【0039】
記憶部5は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)によって構成される。記憶部5は、加熱調理器1の各部の動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部5は、操作パネル4が操作されて入力された設定情報を記憶する。
【0040】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含むハードウェア回路である。制御部6は、記憶部5に格納された制御プログラムを実行することにより、操作パネル4、記憶部5、ポンプ22、第2通電部24、アンテナモーター33、マグネトロン34、駆動部43、及び第1通電部44を制御する。
【0041】
制御部6は、操作パネル4が受け付けた加熱調理モードの種類に応じて、蒸気供給部20、マイクロ波供給部30、及び送風部40の駆動を制御する。操作パネル4は、ユーザーから操作されて、蒸気加熱モード、レンジ加熱モード、及び熱風循環加熱モードのいずれかの加熱調理モードを設定する指令を受け付ける。制御部6は、操作パネル4が受け付けた指令に応じた加熱調理モードを設定する。
【0042】
制御部6は、加熱調理モードをレンジ加熱モードにした後に、操作パネル4から調理開始の指令を受けると、マイクロ波供給部30を駆動させる。詳しくは、制御部6は、マグネトロン34及びアンテナモーター33を駆動させる。マグネトロン34の駆動によって発生したマイクロ波は、回転アンテナ31を介して加熱調理室R2内に供給される。この際、マイクロ波は、回転アンテナ31の回転によって、加熱調理室R2内に拡散される。これにより、加熱調理器1は、マイクロ波によって、被加熱物を加熱調理する。
【0043】
制御部6は、加熱調理モードを熱風循環加熱モードにした後に、操作パネル4から調理開始の指令を受けると、送風部40を駆動させる。詳しくは、制御部6は、駆動部43及び第1通電部44を駆動させる。第2加熱室R40内の空気は第1ヒーター41の発熱によって加熱される。加熱された空気は、遠心ファン42の回転によって、吹出孔部BHを介して加熱調理室R2内に吹き付けられる。吹出孔部BHから吹き出された熱風Fは、遠心ファン42の回転によって、吸込孔部AHを介して、第2加熱室R40内に吸入される。吸入された熱風Fは、第1ヒーター41の発熱によって加熱され、吹出孔部BHを介して加熱調理室R2内に吹き付けられる。このように、送風部40は、第2加熱室R40と加熱調理室R2との間で空気を循環させて、加熱調理室R2内の温度を均一にする。これにより、加熱調理器1は、熱風Fによって、被加熱物を加熱調理する。
【0044】
制御部6は、加熱調理モードを蒸気加熱モードにした後に、操作パネル4から調理開始の指令を受けると、蒸気供給部20及び送風部40を駆動させる。詳しくは、制御部6は、ポンプ22、第2通電部24、駆動部43、及び第1通電部44を駆動させる。タンク23内の液体Lは、ポンプ22の駆動によって、チューブ21を介して、気化室R11内に供給される。気化室R11内の液体Lは、第2ヒーター12の発熱によって加熱され、蒸気Vとなる。気化室R11内の蒸気Vは、吹出部14を介して、加熱調理室R2内に移動する。加熱調理室R2内の蒸気Vは、遠心ファン42の回転によって、吸込孔部AHを介して、第2加熱室R40内に吸入される。吸入された蒸気Vは、第1ヒーター41の発熱によって加熱され、過熱蒸気となる。過熱蒸気は、遠心ファン42の回転によって、吹出孔部BHを介して加熱調理室R2内に吹き付けられる。送風部40は、第2加熱室R40と加熱調理室R2との間で蒸気Vを循環させて、加熱調理室R2内に過熱蒸気を充満させる。これにより、加熱調理器1は、過熱蒸気によって、被加熱物を加熱調理する。
【0045】
次に、
図1~
図9を参照して、ハウジング11の構成について更に説明する。
図7は、
図5の切断線VIIで切断したハウジング11の断面図である。
図8は、本実施形態に係る第1ハウジング部材100の正面図である。
図9は、本実施形態に係る第1ハウジング部材100の斜視図である。第1ハウジング部材100は、ハウジング部材の一例である。
【0046】
図7に示すように、ハウジング11は、第1ハウジング部材100と、第2ハウジング部材110とを備える。第1ハウジング部材100及び第2ハウジング部材110の各々は、板状物である。第2ハウジング部材110は、凹部C110を有する。第1ハウジング部材100及び第2ハウジング部材110は、第2ハウジング部材110の凹部C110が第1ハウジング部材100によって塞がれるように接合されている。第2ハウジング部材110の凹部C110が第1ハウジング部材100によって塞がれることで、第1ハウジング部材100と第2ハウジング部材110との間に、気化室R11が形成される。第1ハウジング部材100は、ハウジング11の右部に配置されている。
【0047】
第2ハウジング部材110は、下部に貫通孔111を有する。貫通孔111は、前後方向に沿って形成されている。貫通孔111には、
図4に示す第2ヒーター12が挿着される。第2ハウジング部材110は、蒸気供給部20が駆動している際、第2ヒーター12の発熱によって高温になる。これにより、気化室R11内の液体Lは加熱される。第2ハウジング部材110の材質は、金属を含む。金属は、例えば、アルミニウム、又はアルミニウム合金を含む。
【0048】
図5に示すように、第1ハウジング部材100は、供給部13と、3つの吹出部14とを有する。第1ハウジング部材100は、後側面BS100を有する。後側面BS100は、ハウジング11の後側面BS11の一部を構成する。供給部13は、後側面BS100から突出している。第1ハウジング部材100は、右側面RS100を有する。右側面RS100は、ハウジング11の右側面RS11の一部を構成する。3つの吹出部14は、右側面RS100から突出している。第1ハウジング部材100の材質は、例えば、耐熱性樹脂を含む。耐熱性樹脂は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、フッ素樹脂、又はシリコーン樹脂を含む。
【0049】
図7に示すように、気化室R11は、下側領域R11Aと、上側領域R11Bとを有する。上側領域R11Bは、下側領域R11Aに隣接する。上側領域R11Bは、下側領域R11Aよりも上側の空間を示す。下側領域R11Aには、液体Lが供給される。換言すると、下側領域R11Aには、蒸気供給部20が駆動している際、主に液体Lが存在する。上側領域R11Bには、下側領域R11A内の液体Lから発生した蒸気Vが導かれる。換言すると、上側領域R11Bには、蒸気供給部20が駆動している際、主に蒸気Vが存在する。下側領域R11Aは、第1領域の一例である。上側領域R11Bは、第2領域の一例である。
【0050】
第1ハウジング部材100は、壁部11Aを有する。壁部11Aは、ハウジング11の右壁の一部を構成する。ハウジング11の右壁は、気化室R11の一部を構成する。第1ハウジング部材100の壁部11Aは、左側面LS100を有する。左側面LS100は、内壁面S11を有する。内壁面S11は、気化室R11に面している。
【0051】
図8に示すように、壁部11Aは、3つの吹出孔部VHと、遮蔽部101と、3つの筒部102と、供給口部103とを有する。3つの吹出孔部VH、及び供給口部103は、壁部11Aに形成されている。遮蔽部101、及び3つの筒部102は、気化室R11内に形成されている。3つの吹出孔部VH、及び供給口部103は、上側領域R11Bに対向している。
【0052】
本実施形態では、吹出孔部VHは、吹出部14の孔部と連通している。吹出孔部VHは、蒸気供給部20が駆動している際、気化室R11内の蒸気Vを吹出部14を介して加熱調理室R2内に吹き出す。3つの吹出孔部VHは、上下方向において、気化室R11の上部に対向する位置に形成されている。3つの吹出孔部VHは、前後方向において、気化室R11の中央部に対向する位置に形成されている。3つの吹出孔部VHの各々は、前後方向に沿って一列に配置されている。3つの吹出孔部VHの各々は、左右方向に沿って壁部11Aを貫通している。
【0053】
遮蔽部101は、蒸気供給部20が駆動している際、液体Lが突沸して噴き上がる液滴が吹出孔部VHに到達することを遮る。遮蔽部101は、3つの吹出孔部VHと、下側領域R11Aとの間に位置する。遮蔽部101は、内壁面S11から左方向に向けて突出している。
【0054】
遮蔽部101は、遮蔽部101を左側から右側に向けて観た場合、湾曲状である。詳しくは、遮蔽部101は、ベース部101Aと、後側傾斜部101Bと、前側傾斜部101Cとを有する。ベース部101Aは、内壁面S11の面方向に対して平行に延在している。本実施形態では、ベース部101Aは、前後方向に沿って延在している。前後方向において、ベース部101Aは、後側端部101A1及び前側端部101A2を有する。後側傾斜部101Bは、ベース部101Aの後側端部101A1から、吹出孔部VH及び下側領域R11Aから離れる方向に延在している。例えば、後側傾斜部101Bは、後側端部101A1から前方向に対して上方に略45度傾いた方向に延在している。前側傾斜部101Cは、ベース部101Aの前側端部101A2から、吹出孔部VH及び下側領域R1から離れる方向に延在している。例えば、前側傾斜部101Cは、前側端部101A2から後方向に対して上方に略45度傾いた方向に延在している。後側傾斜部101Bは、第1傾斜部の一例である。前側傾斜部101Cは、第2傾斜部の一例である。後側端部101A1は、第1端部の一例である。前側端部101A2は、第2端部の一例である。
【0055】
図7に示すように、遮蔽部101は、上側面US101を有する。遮蔽部101は、先端部101Dを有する。先端部101Dは、遮蔽部101の左側端部を示す。上側面US101は、先端部101Dに向かって下側に位置するように傾斜している。
【0056】
図9に示すように、遮蔽部101は、3つの溝部101Eを有する。溝部101Eは、遮蔽部101に載る液滴を下側領域R11Aに案内する。3つの溝部101Eの各々は、3つの吹出孔部VHの各々に対応して上側面US101に形成されている。溝部101Eは、内壁面S11から遮蔽部101の先端部101Dにわたって形成されている。溝部101Eの幅は、遮蔽部101が内壁面S11から突出する第1突出方向P1に向かうにつれて広くなっている。第1突出方向P1は、左右方向と略平行である。本実施形態において、溝部101Eの幅とは、溝部101Eの前後方向の長さを示す。溝部101Eの深さは、第1突出方向P1に向かうにつれて深くなっている。本実施形態において、溝部101Eの深さとは、上下方向において、上側面US101から溝部101Eの底部までの長さを示す。溝部101Eは、ガイド部の一例である。
【0057】
遮蔽部101は、3つの切欠部101Fを有する。切欠部101Fは、遮蔽部101の先端部101Dに到達した液滴を下側領域R11Aに案内する。3つの切欠部101Fの各々は、3つの溝部101Eの各々に対応して先端部101Dに形成されている。
【0058】
図7に示すように、第2ハウジング部材110は、右側面RS110を有する。遮蔽部101の第1突出方向P1における長さは、先端部101Dのうち切欠部101Fを除いた部位が右側面RS110に接触するように形成されている。
【0059】
筒部102は、内壁面S11を伝って落下する液滴が吹出孔部VH内に侵入することを抑制する。
図8に示すように、3つの筒部102の各々は、3つの吹出孔部VHの各々の内壁面S11側の開口の全周を囲っている。
図9に示すように、筒部102は、内壁面S11から第2突出方向P2に向けて突出している。第2突出方向P2は、左右方向と略平行である。筒部102の先端面FS102は、第2突出方向P2に対して傾斜している。
【0060】
図7に示すように、筒部102の第2突出方向P2における長さは、遮蔽部101の第1突出方向P1における長さよりも短い。筒部102の第2突出方向P2における最大長さH1は、例えば、遮蔽部101の第1突出方向P1における最大長さの半分である。遮蔽部101の第1突出方向P1の最大長さは、左右方向における気化室R11の長さH2を示す。
【0061】
図8に示すように、供給口部103は、蒸気供給部20が駆動している際、供給部13(
図5)に送られた液体Lを気化室R11内に供給するための孔部を有する。供給口部103は、供給部13(
図5)と連通している。
図8に示すように、供給口部103は、上下方向において、気化室R11の上部に対向する位置に形成されている。供給口部103は、前後方向において、気化室R11の後側に対向する位置に形成されている。
【0062】
次に、
図10を参照して、気化室R11内の液体L、蒸気V及び液滴Dの流れについて説明する。
図10は、
図7の切断線Xで切断したハウジング11の断面図である。
【0063】
蒸気供給部20が駆動すると、液体Lが供給口部103から気化室R11内に供給される。
図10に示すように、液体Lは、供給口部103から流れ落ちて、下側領域R11Aに移動する。下側領域R11Aの液体Lは、加熱されて、蒸気Vとなる。この際、液体Lは突沸する。その結果、液滴が噴き上がって、遮蔽部101に接触することがある。以下、突沸により噴き上がる液滴を「第1液滴D1」と記載する。第1液滴D1は、遮蔽部101と接触した後に、自重により下側領域R11Aに落下する。そのため、第1液滴D1は、吹出孔部VHに到達しにくい。
【0064】
蒸気Vは、遮蔽部101を回り込むようにして、気化室R11内を上昇する。遮蔽部101より上方に移動した蒸気Vは、吹出孔部VHに向けて移動する。この際、蒸気Vが気化室R11を構成する壁面に凝結して、液滴が発生することがある。以下、壁面に形成される液滴を「第2液滴D2」と記載する。第2液滴D2は、自重により、遮蔽部101に向けて落下する。特に、筒部102の上方で発生した第2液滴D2は、筒部102の外周面を伝って落下する。そのため、第2液滴D2は、吹出孔部VH内に侵入しにくい。
【0065】
遮蔽部101に載る液滴は、先端部101Dに向けて流れる。以下、遮蔽部101に載る液滴を、「第3液滴D3」と記載する。この際、複数の第3液滴D3は、溝部101Eに集合して、合体しやすい。そのため、第3液滴D3は、自重により、溝部101Eに沿って先端部101Dに向けて流れやすい。第3液滴D3は、先端部101Dに到達すると、切欠部101Fから下側領域R11Aに向けて流れ落ちる。つまり、第3液滴D3は、遮蔽部101に滞留しにくい。
【0066】
従って、本実施形態では、蒸気発生装置10が、加熱調理室R2内に、蒸気Vとともに液滴を吹き出しにくい。液滴は乾燥によって白色汚れを形成しやすい。白色汚れは、カルキに起因する。例えば、加熱調理室R2内に、黒色のトレイが装着されている場合、白色汚れが目立ちやすくなる。加熱調理器1では、加熱調理室R2内に白色汚れが形成されにくくなる。
【0067】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、蒸気発生装置10は、ハウジング11と、第2ヒーター12とを備える。ハウジング11は、気化室R11を有する。気化室R11は、下側領域R11Aと、上側領域R11Bとを有する。ハウジング11は、吹出孔部VHと、遮蔽部101とを有する。遮蔽部101は、溝部101Eを有する。溝部101Eは、遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)を下側領域R11Aに案内する。遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)は、自重で溝部101Eを伝って下側領域R11Aに流れ落ちやすくなる。その結果、蒸気発生装置10は、遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)が遮蔽部101に滞留することを抑制することができる。従って、蒸気発生装置10は、蒸気Vとともに液滴が吹き出されることを抑制することができる。
【0068】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、ハウジング11は壁部11Aを有する。吹出孔部VHは、壁部11Aに形成されている。壁部11Aは、内壁面S11と、筒部102とを有する。筒部102は、吹出孔部VHの内壁面S11側の開口の全周を囲う。筒部102は、内壁面S11から突出している。気化室R11内の蒸気Vは、ハウジング11の内壁面S11に凝結して、第2液滴D2となる場合がある。第2液滴D2は、内壁面S11を伝って流れ落ちやすい。吹出孔部VHに向けて流れ落ちる第2液滴D2は、筒部102の外周面を伝って流れ落ちる。そのため、蒸気発生装置10は、吹出孔部VHに向かって流れ落ちる第2液滴D2が吹出孔部VH内に侵入することを抑制することができる。その結果、蒸気発生装置10は、蒸気Vとともに液滴が吹き出されることをより抑制することができる。
【0069】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、筒部102の先端面FS102は、筒部102が突出する方向(第2突出方向P2)に対して傾斜している。筒部102の孔部は、蒸気流路を形成する。蒸気流路は、筒部102の先端面FS102から蒸気Vを吹出孔部VHに導く。筒部102の蒸気流路の長さは、先端面FS102が傾斜しているので、先端面FS102が傾斜していない場合よりも短くなる。その結果、蒸気発生装置10は、蒸気Vが筒部102の蒸気流路内に侵入しやすくなり、蒸気Vを外部に、より吹き出しやすくなる。
【0070】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、壁部11Aは、遮蔽部101を更に有する。遮蔽部101は、内壁面S11から突出している。溝部101Eは、内壁面S11から遮蔽部101の先端部101Dにわたって形成されている。遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)は、自重で溝部101Eに沿って下側領域R11Aに流れ落ちやすくなる。つまり、蒸気発生装置10は、遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)が遮蔽部101に滞留することをより抑制することができる。その結果、蒸気発生装置10は、蒸気Vとともに液滴が吹き出されることをより抑制することができる。
【0071】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、溝部101Eの幅は、遮蔽部101が突出する方向(第1突出方向P1)に向かうにつれて広くなっている。溝部101Eの深さは、遮蔽部101が突出する方向(第1突出方向P1)に向かうにつれて深くなっている。第2液滴D2の体積は、第2液滴D2が遮蔽部101の先端部101Dに近づくにつれて、大きくなりやすい。溝部101Eの幅は遮蔽部101が突出する方向(第1突出方向P1)に向かうにつれて広くなっているので、第2液滴D2は、内壁面S11から遮蔽部101の先端部101Dにわたって、溝部101E内を流れやすくなる。また、溝部101Eの深さは遮蔽部101が突出する方向(第1突出方向P1)に向かうにつれて深くなっているので、第2液滴D2は、遮蔽部101の先端部101Dに向けてより流れやすくなる。これらにより、遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)は、自重で溝部101Eに沿って下側領域R11Aにより流れ落ちやすくなる。つまり、蒸気発生装置10は、遮蔽部101に載る液滴(第3液滴D3)が流れ落ちずに、遮蔽部101に滞留することを更に抑制することができる。その結果、蒸気発生装置10は、蒸気Vとともに液滴が吹き出されることを更に抑制することができる。
【0072】
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、遮蔽部101は、ベース部101Aと、後側傾斜部101Bと、前側傾斜部101Cとを有する。ベース部101Aは、前後方向において、後側端部101A1及び前側端部101A2を有する。後側傾斜部101Bは、ベース部101Aの後側端部101A1から、吹出孔部VH及び下側領域R11Aから離れる方向に延在している。後側傾斜部101Bは、ベース部101Aの前側端部101A2から、吹出孔部VH及び下側領域R11Aから離れる方向に延在している。遮蔽部101は、後側端部101A1及び前側端部101A2を有しない場合よりも、第1液滴D1が吹出孔部VHに到達することをより抑制することができる。更に、遮蔽部101は、後側端部101A1及び前側端部101A2の各々が延在する方向と、前後方向とのなす角度が直角である場合よりも、蒸気Vを吹出孔部VHに到達させやすくすることができる。その結果、蒸気発生装置10は、蒸気Vとともに液滴が吹き出されることをより抑制することができる。
【0073】
以上、図面(
図1~
図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(9))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
(1)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、壁部11Aは、筒部102を有するが、本発明はこれに限定されない。壁部11Aは、筒部102を有しなくてもよい。
【0075】
(2)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、筒部102の先端面FS102は第2突出方向P2に対して傾斜しているが、発明はこれに限定されない。例えば、筒部102の先端面FS102は、第2突出方向P2に対して直角となるように形成されていてもよい。
【0076】
(3)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、遮蔽部101は、ガイド部として溝部101Eを有するが、本発明はこれに限定されない。ガイド部は、遮蔽部101に載る第2液滴D2を下側領域R11Aに案内するように、遮蔽部101に形成されていればよい。例えば、ガイド部は、遮蔽部101の上側面US101に形成された複数の凹み部を有してもよい。
【0077】
(4)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、溝部101Eの幅は、第2突出方向P2に向かうにつれて広くなっており、溝部101Eの深さは、第2突出方向P2に向かうにつれて深くなっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、溝部101Eの幅は、一定の幅であってもよいし、溝部101Eの深さは、一定の深さであってもよい。
【0078】
(5)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、遮蔽部101の形状は、湾曲状であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、遮蔽部101の形状は、遮蔽部101を左側から右側に向けて観た場合、三角状、矩形状、又はU字状であってもよい。
【0079】
(6)本実施形態では、壁部11Aには、3つの吹出孔部VHが形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、壁部11Aには、1つ、2つ、又は4つ以上の吹出孔部VHが形成されていてもよい。本実施形態では、壁部11Aは遮蔽部101を1つ有するが、本発明はこれに限定されない。例えば、壁部11Aは、複数の吹出孔部VHの各々に1つずつ遮蔽部101を有していてもよい。
【0080】
(7)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、第1ハウジング部材100は、遮蔽部101及び筒部102を有するが、本発明はこれに限定されない。第1ハウジング部材100は、遮蔽部101及び筒部102の少なくとも一方を有しなくてもよい。第1ハウジング部100が遮蔽部101を有しない場合、第2ハウジング部材110は、遮蔽部101を有する。
【0081】
(8)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、液体Lは、水道水であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体Lは、蒸留水、イオン交換水、精製水、RO(Reverse Osmosis)水、天然水、軟水、又は硬水を含む。
【0082】
(9)本実施形態では、加熱調理器1を説明した。本発明は、加熱調理器1以外の家電機器にも適用できる。例えば、本発明は、スチーム美容機器、スチームアイロン、及び加湿器に適用できる。スチーム美容機器は、例えば、蒸気Vを肌又は髪に当てて、肌又は髪に潤いを与える。スチームアイロンは、例えば、蒸気Vを服に当てて、服の皺を伸ばす。加湿器は、例えば、蒸気Vを発生して、湿度を上げる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、蒸気発生装置、ハウジング部材、家電機器及び加熱調理器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 加熱調理器
10 蒸気発生装置
101 遮蔽部
101E 溝部
101D 先端部
102 筒部
11 ハウジング
11A 壁部
12 ヒーター
R11 気化室
R11A 下側領域
R11B 上側領域
VH 吹出孔部
S11 内壁面
FS102 先端面
L 液体
V 蒸気