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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】天然温泉濃縮液とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20230508BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 8/96 20060101ALI20230508BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230508BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230508BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20230508BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230508BHJP
   C05G 5/20 20200101ALI20230508BHJP
   C05D 9/02 20060101ALI20230508BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20230508BHJP
   A23L 27/00 20160101ALN20230508BHJP
   A23L 27/60 20160101ALN20230508BHJP
【FI】
C02F1/68 520K
A61Q5/00
A61K8/96
A61Q19/10
A61Q19/00
A01G7/06 A
A61L9/01 B
C02F1/68 510A
C05G5/20
C05D9/02
A23L2/52
A23L27/00 Z
A23L27/60 A
A23L27/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020114509
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022022697
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517019083
【氏名又は名称】株式会社Le Furo
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】三田 直樹
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-155431(JP,A)
【文献】特開平06-218031(JP,A)
【文献】特開平05-192566(JP,A)
【文献】特開平07-238004(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1686855(CN,A)
【文献】国際公開第1986/007048(WO,A1)
【文献】特開2004-161689(JP,A)
【文献】特開2013-116871(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073644(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0120523(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0007770(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00-9/00
A01N 61/00
A61K 35/02-35/10
A01G 7/06
A61L 9/01
C05G 5/20
C05D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液であって、
前記天然温泉濃縮液は、ナトリウム:100ml/L~200ml/L、 マグネシウム:2000ml/L~4000ml/L、シリカ:10ml/L~40ml/L、リン: 100ml/L~400ml/L、カリウム;1000ml/L~4000ml/L、カルシウム:100ml/L~500ml/L、チタン:500ml/L~1000ml/L、クロム;3ml/L~20ml/L、マンガン:50ml/L~200ml/L、鉄分;5000ml/L~30000ml/L、コバルト:2ml/L~10ml/L、銅;2ml/L~20ml/L、亜鉛;10ml/L~30ml/L、ゲルマニウム;10ml/L以下、セレン:1ml/L~10ml/L、モリブデン:5ml/L以下とから構成される水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液。
【請求項2】
天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液からなるウイルス不活化剤であって、
前記天然温泉濃縮液は、ナトリウム:100ml/L~200ml/L、 マグネシウム:2000ml/L~4000ml/L、シリカ:10ml/L~40ml/L、リン: 100ml/L~400ml/L、カリウム;1000ml/L~4000ml/L、カルシウム:100ml/L~500ml/L、チタン:500ml/L~1000ml/L、クロム;3ml/L~20ml/L、マンガン:50ml/L~200ml/L、鉄分;5000ml/L~30000ml/L、コバルト:2ml/L~10ml/L、銅;2ml/L~20ml/L、亜鉛;10ml/L~30ml/L、ゲルマニウム;10ml/L以下、セレン:1ml/L~10ml/L、モリブデン:5ml/L以下とから構成されるウイルス不活化剤。
【請求項3】
天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液からなる液肥であって、
前記天然温泉濃縮液は、ナトリウム:100ml/L~200ml/L、 マグネシウム:2000ml/L~4000ml/L、シリカ:10ml/L~40ml/L、リン: 100ml/L~400ml/L、カリウム;1000ml/L~4000ml/L、カルシウム:100ml/L~500ml/L、チタン:500ml/L~1000ml/L、クロム;3ml/L~20ml/L、マンガン:50ml/L~200ml/L、鉄分;5000ml/L~30000ml/L、コバルト:2ml/L~10ml/L、銅;2ml/L~20ml/L、亜鉛;10ml/L~30ml/L、ゲルマニウム;10ml/L以下、セレン:1ml/L~10ml/L、モリブデン:5ml/L以下とから構成される液肥。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル含有鉱石を天然温泉に添加し、無機酸処理することにより、天然温泉に含まれる温泉成分の増強による温浴効果や体内組織中のミネラル栄養素の補給、天然温泉中の細菌の除菌、殺菌、脱臭、消臭、湯温が低い状態での温浴効果による睡眠導入、調味料として様々な食品へ添加することによる味の改善や栄養補給を行う。
【背景技術】
【0002】
天然鉱物中には、カルシウム、シリコン、アルミニウム、鉄等の主要金属を始め微量金属に至るまでの種々の金属元素がミネラルとして多く含まれており、これらのミネラルは、一般に、動物や植物等の生体にとって必須の微量元素となっている。
【0003】
従来、これらの金属元素は、一般に天然温泉や金属や塩の形で提供されているが、実際に、生体にとって必要な量をこれらから摂取することは難しく、また、現実に摂取したとしても、これが生体にとって吸収されやすい状態になるとは限らず、その可能吸収率は低いものでしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3872501号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Physician’s Desk Reference, NPPDR No.18:676,1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、天然温泉に含有する有効成分であるミネラルを増強すべく鋭意研究を重ねた結果、ミネラル含有鉱石に鉱酸を作用させると多くのミネラル分が生体に吸収しやすい形で溶出すること、及びこのミネラル分は温泉成分を増強するばかりでなく、温浴効果を高め、体内のミネラル成分バランスを整え、風呂内の細菌の抗菌、脱臭、消臭、湯温が低い、つまり身体への負担が低い状態での温浴効果による睡眠導入、調味料として様々な食品へ添加することによるに利用し得る有用性を有するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、このミネラルは口腔内または舌下噴霧により吸収することが、非特許文献1に示されている。図1によれば、静脈注射が一番高く99%であるのに対して、口腔内または舌下噴霧による吸収率は、95%である。これは、10%である錠剤、20%であるカプセル、45%である経皮パッチ、50%である舌下液、80%である筋肉注射よりも高い結果となっている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、動物や植物等の生体にとって必須の微量元素である金属元素からなるミネラルを生体にとって必要な量を摂取することができ、可能吸収率の高いミネラルを液体として提供することにある。
【0008】
また、本発明は、温浴施設や飲食店における清掃溶液等に有用であって、人体に有害な化学物質を用いず安全な清掃用品を作ることを目的とするものである。
【0009】
更に、本発明は、ミネラルを用いたヘアケア製品を生成し、有機物並びに無機物を酸化する特性を有する天然温泉濃縮液を提供することを目的とするものである。
【0010】
更に、本発明は、ミネラルを用いた口腔ケア製品を生成し、有機物並びに無機物を酸化する特性を有する天然温泉濃縮液を提供することを目的とするものである。
【0011】
更に、本発明は、ミネラルを用いたボディケア製品を生成し、有機物並びに無機物を酸化する特性を有する天然温泉濃縮液を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を解決する為に、本発明に係る水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液は、天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする。
【0013】
天然温泉濃縮液は、主要成分として1~20g/リットルのアルミニウム、1~20g/リットルの鉄、1~10g/リットルのマグネシウム及び1~10g/リットルのカリウムを含有し、その比重は1.1~1.5、pHが0.1~2.0である。
【0014】
天然温泉濃縮液は、金属成分として、アルミニウム、鉄、マグネシウム及びカリウムを多量に含み、そして、リン、チタン、カルシウム、マンガン、ナトリウム、シリコン、コバルト、リチウム、銅、ニッケル、亜鉛及びバリウムからなる金属の大部分を含み、且つヒ素、鉛、水銀、クロムを含まない。
【0015】
また、本発明に係るウイルス不活化剤は、天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液からなる。
【0016】
さらに、ウイルス不活化剤は、主要成分として1~20g/リットルのアルミニウム、1~20g/リットルの鉄、1~10g/リットルのマグネシウム及び1~10g/リットルのカリウムを含有し、その比重は1.1~1.5、pHが0.1~2.0である。
【0017】
加えて、ウイルス不活化剤は、金属成分として、アルミニウム、鉄、マグネシウム及びカリウムを多量に含み、そして、リン、チタン、カルシウム、マンガン、ナトリウム、シリコン、コバルト、リチウム、銅、ニッケル、亜鉛及びバリウムからなる金属の大部分を含み、且つヒ素、鉛、水銀、クロムを含まない。
【0018】
続いて、本発明に係る水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液からなる液肥は、天然温泉成分とミネラルを含有する鉱物の無機酸処理物とを含む含金属酸性溶液であって、温泉液中の有機物並びに無機物とを含みこれらを酸化する特性を有することを特徴とする。
【0019】
さらに、液肥は、主要成分として1~20g/リットルのアルミニウム、1~20g/リットルの鉄、1~10g/リットルのマグネシウム及び1~10g/リットルのカリウムを含有し、その比重は1.1~1.5、pHが0.1~2.0である。
【0020】
この液肥は、金属成分として、アルミニウム、鉄、マグネシウム及びカリウムを多量に含み、そして、リン、チタン、カルシウム、マンガン、ナトリウム、シリコン、コバルト、リチウム、銅、ニッケル、亜鉛及びバリウムからなる金属の大部分を含み、且つヒ素、鉛、水銀、クロムを含まない。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したように、本発明の水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液は、動植物及び魚貝類の成長を促進する作用があり、また、OHラジカルを生成し有機物を酸化する特性を有しているので、汚水や用水中の有機物や細菌類を減少せしめる作用を有し、特に、種々の汚水もしくは用水の清浄化、細菌の抗菌、脱臭、消臭、アオコの除去、ヘドロ処理、植物種子の発芽促進、動植物体の成長促進等を中心として、農園芸分野、水産分野、廃水処理分野、水道事業等において、種々の添加剤の有効成分として広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】体内摂取の方法別吸入率のグラフである。
図2】本発明に係る天然温泉濃縮液の製造方法ブロックチャートである。
図3】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図4】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図5】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図6】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図7】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図8】本発明に係る天然温泉濃縮液のオリゴスキャンによる測定表である。
図9】本発明に係る天然温泉濃縮液のインフルエンザ感染力価測定グラフである。
図10】本発明に係る天然温泉濃縮液による液肥によって育成した稲と通常の稲の対比写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
このような目的を達成する本発明は、以下の(1)~(3)の技術的手段から構成されるものである。
【0024】
(1)腐食系鉱物の無機酸処理物からなる含金属酸性溶液であって、これを天然温泉に添加することにより、その水溶液中の有機物並びに無機物を酸化する特性を有することを特徴とする水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉無機ブレンドしたものである。
ここで、本発明に係る天然温泉濃縮液は、好適にはナトリウム:100ml/L~200ml/L、 マグネシウム:2000ml/L~4000ml/L、シリカ:10ml/L~40ml/L、リン: 100ml/L~400ml/L、カリウム;1000ml/L~4000ml/L、カルシウム:100ml/L~500ml/L、チタン:500ml/L~1000ml/L、クロム;3ml/L~20ml/L、マンガン:50ml/L~200ml/L、鉄分;5000ml/L~30000ml/L、コバルト:2ml/L~10ml/L、銅;2ml/L~20ml/L、亜鉛;10ml/L~30ml/L、ゲルマニウム;10ml/L以下、セレン:1ml/L~10ml/L、モリブデン:5ml/L以下とから構成される。
本発明に係る天然温泉濃縮液は、より好適には、ナトリウム:170ml/L、 マグネシウム:3000ml/L、シリカ:28ml/L、リン: 300ml/L、カリウム;2500ml/L、カルシウム:400ml/L、チタン:860ml/L、クロム;8ml/L、マンガン:140ml/L、鉄分;10000ml/L、コバルト:4ml/L、銅;8ml/L、亜鉛;17ml/L、ゲルマニウム;1ml/L以下、セレン:5ml/L、モリブデン:0.5ml/L以下とするのが望ましい。
【0025】
(2)主要成分として1~20g/リットルのアルミニウム、1~20g/リットルの鉄、1~10g/リットルのマグネシウム及び1~10g/リットルのカリウムを含有し、その比重は1.1~1.5、pHが0.1~2.0である前記無機物酸化処理用天然温泉無機ブレンドしたものである。
【0026】
(3)金属成分として、アルミニウム、鉄、マグネシウム及びカリウムを多量に含み、そして、リン、チタン、カルシウム、マンガン、ナトリウム、シリコン、コバルト、リチウム、銅、ニッケル、亜鉛及びバリウムからなる金属の大部分を含み、且つヒ素、鉛、水銀、クロムを含まない前記(1)記載の天然温泉濃縮液である。
【0027】
本発明の天然温泉濃縮液は、腐食系鉱物、例えば黒雲母を使用し、必要により前処理した後、これに鉱酸を作用させ、更にこれを分離することにより得られるものである。また、黒雲母の前処理は、鉱酸を効率よく作用させるために、必要により採用されるものであり、当該前処理は、例えば、黒雲母の風化土壌を適宜のサイズに、粉砕すること等により行われる。
【0028】
当該前処理をした後の鉱酸による処理は、鉱酸水溶液を黒雲母の風化土壌に作用させ、溶出処理すればよい。鉱酸としては、硫酸を用いる。鉱酸処理は、必要により加熱温度下で行うことが好ましく、必要なミネラル分が黒雲母から溶出するまで継続する。
【0029】
更に、上記鉱酸処理物は、固液分離することにより、液状物と固形分に分離される。固液分離手段としては、例えば、フィルタープレス等が用いられ、必要により更に分離、精製して有機物並びに無機物を酸化する作用を有する水中有機物並びに無機物酸化処理用天然温泉濃縮液が分取される。具体的には、その製造工程を、図2に示す。
【0030】
本発明の製造工程の第一の工程は、黒雲母の風化土壌を原土として掘削する工程である(S2)。
【0031】
第二の工程は、この原土を溶出するための鉱酸を保管するタンクに蓄積する(S4)。鉱酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、炭酸などが用いられる。
【0032】
続いて、第三の工程は、鉱酸は希釈層で希釈される(S6)。純水で希釈するが、ここで、温泉潜水で希釈しても良い。
【0033】
第四の工程は、希釈された酸で、原土が原土ホッパーの中で攪拌される(S8)。
【0034】
第五の工程では、酸と攪拌された原土は、原土峻別設備でより粒度の細かい原土に峻別されて原料となる(S10)。
【0035】
第六の工程では、峻別された原料がさらに原料ホッパーに貯蔵され、底開式のじょうご型の口から落下させて取り出される(S12)。
【0036】
第七の工程で、原料ホッパーから取りされた原料は抽出槽に移される(S14)。
【0037】
第八の工程で、分級機が粒形の大きな4mm以上の礫や岩を分別する(S16)。分級された規格より大きな粒形の4mm以上の礫や岩は、残留岩として廃棄される(S18)。規格より小さな砂、シルト、ミネラル、水分は中継槽に格納される(S20)。
【0038】
第九の工程で、中継槽の小さな砂、シルト、ミネラル、水分は、フィルタープレスによって濾され、小さな砂、シルトは残留土として廃棄される(S24)。
【0039】
第十の工程で、ミネラル、水分、残留物は、濾液槽で、残留物が沈殿すし、上澄みとしてミネラルと水分のミネラル混合液が貯液される(S26)。
【0040】
第十一の工程で、特定の温泉地の源泉から取水した温泉地固有の成分が含まれた温泉水を予め温泉水タンクに格納する(S30)。温泉としては、例えば、草津温泉であれば、草津温泉水の源泉水を格納する。
【0041】
第十二の工程で、濾液槽に格納されたミネラルと水分のミネラル混合液と、温泉水とが混合槽で攪拌されて混合して混合槽において天然温泉濃縮液が生成される(S28)。
【0042】
第十三の工程で、混合槽にある天然温泉濃縮液は、用途に応じて、瓶、ペットボトル、缶、ビニール袋などの容器に格納されて製品化される(S32)。
【0043】
この様にして得られた本発明の天然温泉濃縮液の性質は以下の通りである。
1.温泉成分分量:ミネラル分を塩類換算重量で20%以上含む。
2.温泉成分内訳:(1)アルミニウム、鉄、マグネシウム及びカリウムを多量に含む。
(2)リン、チタン、カルシウム、マンガン、ナトリウム、シリコン、コバルト、リチウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウムの大部分を含む。
(3)ヒ素、鉛、水銀、クロムを含まない。
【0044】
3.比重:1.1~1.54.pH:0.1~2.05.作用:■天然温泉に温泉成分のミネラルを添加することで泉質が大きく向上し、保温、保湿、腰痛や肌荒れなどに改善効果が見られる。
(実施例1)
【0045】
以上の方法によって形成された天然温泉濃縮液を、発明者が別途発明した特許第6523960号で示される温泉ミスト吸引施設において温泉ミストとして用いたところ未使用時と使用経過後について比較した図を図3~8に示す。いずれもオリゴスキャン社有害重金属及び必須・参考ミネラル非侵襲・短時間測定でラマン分光法を用いたオリゴスキャン装置を用いて測定した。測定対象は、各被験者の手掌4か所である。測定光は、UV・タングステンランプであり、その波長は380nm~730nmである。必須ミネラルの摂取について、天然温泉濃縮液未使用時(図3)、天然温泉濃縮液6か月使用時(図4)、有害ミネラルの排出について、天然温泉濃縮液未使用時(図5)、天然温泉濃縮液6か月使用時(図6)、免疫力について、天然温泉濃縮液未使用時(図7)、天然温泉濃縮液6か月使用時(図8)に各被験者の手掌4か所からオリゴスキャン装置を用いて測定した結果の各成分について示す。測定結果には測定値(単位:μg/mg Tissues)とグラフが表示される。必須・参考ミネラルのグラフではデータベースを元に標準範囲±1SD範囲内をグリーンゾーン、±1SD<±2SDをイエローゾーン、±2SD<レッドゾーンと表記する。
【0046】
必須ミネラルの摂取について図3図4を比較すると、天然温泉濃縮液を用いることで主要ミネラルについての吸収量は、カリウムが265%増加し、カルシウムが25%増加し、ナトリウム6%増加し、硫黄も0.6%増加することがわかる。
【0047】
また、微量ミネラルについても、銅が198%、モリブデンが139%、バナジウムが158%、亜鉛が50%、クロムが31%、コバルトが25%、ヨウ素が11%、鉄が10%、ホウ素が9.8%それぞれ増大した。
【0048】
有害ミネラルの排出について図5図6について比較すると、バリウムが72%減少し、タリウムが66%減少し、トリウムが65%減少し、ヒ素が62%、ビスマスが49%減少し、アンチモンが28%減少し、カドミウムが26%減少し、水銀が22%減少し、ベリリウムが2.5%減少することが明らかになった。有害ミネラルが9種類減少することが明らかになった。
【0049】
免疫力について、図7,8より、潜在的な課題としてトータル重金属無毒性は要注意75%から許容範囲65%に改善し、アシドーシス/酸性症は要注意79%から良好33%に改善、糖尿素因は許容範囲50%から良好27%に改善、アレルギーリスクは許容範囲53%から良好33%に改善した。
【0050】
また、生理機能として、酵素の状態は、要注意21%から良好97%に改善、緑の消化器は、要注意25%から良好89%に改善、代謝は要注意27%から許容範囲50%に改善、免疫システムは要注意21%から良好88%に改善、認知機能は、要注意33%から良好79%に改善、ホルモン状態等は、要注意33%から良好79%に改善、組織修復は、許容範囲50%から良好74%に改善、感情の状態は、要注意27%から良好75%に改善、心血管系は、要注意28%から良好72%に改善、神経系は要注意32%から良好87%に改善した。以上から潜在的な課題や生理機能についても本発明に係る天然温泉濃縮液によってトータルに改善している。
(実施例2)
【0051】
前記方法で形成された天然温泉濃縮液を用いた第2の実施例について説明する。天然温泉濃縮液によるウイルス不活性化試験を行った。天然温泉濃縮液の2000倍希釈液と試験対照としてリン酸緩衝液(PBS(-))を用いて、インフルエンザウイルスへの不活性効果について評価した。ウイルス株は、Influenza virus H1N1 A/PR/8/34 (ATCC VR-1469)を用いた。また、宿主細胞はMDCK細胞(イヌ腎細胞)(ATCC CCL-34)を用いた。
【0052】
試験方法は、第一に天然温泉濃縮液0.01mLを精製水0.99mLに添加し、100倍希釈溶液を作成した。さらに、この天然温泉濃縮液100倍希釈溶液0.15mLを精製水2.85mLに添加し、2000倍希釈溶液を作成した。
【0053】
天然温泉濃縮液2000倍希釈溶液1.08mLをチューブに分注後、リン酸緩衝液(PBS)を用いて5~10x105pfu/ml調整したインフルエンザ溶液0.12mL混合し、攪拌したものを試験液とした。
【0054】
試験液は室温下で静置し、反応を行った。所定時間(直後、1分、5分)経過ごとに試験液から0.12mlの溶液を回収し、0.2%ウシ血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(FBS-DMEM培地)1.08mlと混合した。0.2%FBS-DMEM培地による希釈を複数回繰り返し、10倍段階希釈系を作成した。10倍段階希釈系を事前に準備した宿主細胞に各1ml・WELL滴下し、37℃ 5% CO下で1時間感染処理を行った。
【0055】
ウイルス感染後、細胞上清を0.8%オキソイド寒天溶液に置換し、37℃ 5% CO下で2日間培養した。プラークの形成を目視で確認した後、5%グルタルアルデヒド溶液で固定し、メチレンブルー染色を行い、形成されたプラーク数の測定データを元にウイルス感染力を測定した。
【0056】
本試験は2回実施し、2回の平均値を元に、天然温泉濃縮液2000倍希釈溶液による不活性化率を評価した。
【表1】
【0057】
表1、図9に示すようにリン酸緩衝液(PBS(-))は、インフルエンザ感染力価に継時変化は一切ないのに対して、天然温泉濃縮液2000倍希釈溶液では、30秒程度でインフルエンザ感染力価が激減し10pfu/ml以下に落ちている。これは表からも明確である。
【0058】
従って、天然温泉濃縮液2000倍希釈溶液のインフルエンザウイルスに対する不活化効果を評価した。インフルエンザウイルスにはH1N1血清型のA/PR/8/34株を用いた。天然温泉濃縮液2000倍希釈溶液は作用直後から99.988%以上のウイルス不活化効果が確認された。
(実施例3)
【0059】
天然温泉濃縮液肥について
【0060】
天然温泉濃縮液肥は、肥料というよりは光合成増強資材としての機能を有する。主に葉面散布により作物の光合成を20-30%高める。水稲の種籾消毒。育苗での使用した例について説明する。品種はコシヒカリであり、籾消毒に500倍に希釈した天然温泉濃縮液肥を用い、播種前3日間芽出し、浸漬され、発芽後3回2000倍水素面散布される。
【0061】
天然温泉濃縮液肥を前記の条件で育成することで、発芽率が極めて良好である。また、いわゆるバカ苗と呼ばれる不良育成苗の発生が存在しない。また、慣行として使用される種子消毒剤を一切使用することなく育成が可能であった。さらに田植え直後の活着生育の開始も従来の開始日より4~5日早まった。さらに、天然温泉濃縮液肥は他の液肥の希釈水として利用可能である。図10に出荷前の苗半作を示す。右側の従来手法の苗半作に対して、左側の天然温泉濃縮液肥を用いた苗半作は節間が詰まり、その茎が太く根の張りが良くなった。
(実施例4)
【0062】
次に、本発明の天然温泉濃縮液の有用性について説明する。
1.天然温泉の成分増量分野における利用本発明の天然温泉濃縮液を家庭用風呂に例えば、50-5,000ppm水溶液を0.1ml/L程度希釈することによりさら湯をミネラル成分豊富な温泉に変換し保温、保湿効果を高め、水溶化したミネラルが経皮から浸透しミネラルの補給を行うことが可能である。これにより温泉を採掘したり、運搬を行うことなく場所を問わず温泉湯治を行うことが可能になる。
(実施例5)
【0063】
天然温泉の飲料分野における利用 本発明の天然温泉濃縮液を飲料水等に添加することで良質のマルチミネラルを含有する温泉水を生成し、現代人のミネラル不足を解消することが可能である。5年以上にわたる利用実績の中で、その日の体調によって酸味を感じたり、苦味や血のようなしょっぱい味になったりすることがわかってきた。推察するにこれは舌下の粘膜が不足、つまり身体が欲しているミネラルを先に吸収しようとしてそれが味の変化になって現れたと考えられる。実際二日酔いや便秘等には即効性のある効果が認められた。
【表2】
(実施例6)
【0064】
天然温泉の調味料分野における利用 本発明の天然温泉濃縮液を調味料として様々な料理に添加することで(1)肉質を柔らかくしたり、(2)ドレッシング等に使用することで食品中に含まれるミネラルを補ったり、(3)酸味を加えることで味を引き締めたり、(4)魚等の生臭さを解消したりすることが可能である。
(実施例7)
【0065】
天然温泉の清掃分野における利用 本発明の天然温泉濃縮液を50-5,000ppm水溶液を用いて0.1-100ml/m2程度散布することにより殺菌と洗浄を行うことができる。従来用いてきた塩素系の清掃・消臭材からの転換をすることで環境にも人体にも安全な製品の開発が可能である。
(実施例8)
【0066】
天然温泉の化粧品分野における利用 本発明の天然温泉濃縮液を50-5,000ppm水溶液に希釈して髪の毛や顔や体にスプレーすることによりミネラルが浸透し、髪の毛のダメージを緩和し、ボリュームを出し、肌をなめらかに保つことが可能になる。
(実施例9)
【0067】
脱臭、消臭分野における利用本発明の天然温泉濃縮液を悪臭源に対して、例えば、50~5,000ppm水溶液を0.1~100ml/m2 程度散布することにより、悪臭を除去することができる。本発明の天然温泉濃縮液を有効成分とする脱臭剤、消臭剤組成物は、溶液、固体、エアゾール等の形態で、し尿そのもの及びトイレ、ゴミ処理場、養鶏・養豚場等の悪臭防止に、また、冷蔵庫、靴箱、ペット飼育舎等の消臭に、更に、口臭、ワキガ等の体臭防止等に、広く利用することが可能である。
(実施例10)
【0068】
微生物や植物の培養、成長加速分野における利用 本発明の天然温泉濃縮液を50-5,000ppm水溶液に希釈し微生物や植物の培養に適用し、浸漬、散布することにより、成長が加速することができる。特に水耕栽培において優れた作用を有する。また組織内のミネラル量を増加することが可能になる。
本発明の天然温泉濃縮液を有利に使用できる微生物としては、ミドリムシやクロレラ、糀酵素、水耕栽培、路地栽培、温室栽培、土壌栽培を問わず、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、ネギ、ブロッコリー、エンドウ、インゲン、ゴボウ、カイワレ大根、ミツバ、ホーレン草、葉ネギ、イチゴ、スイカ、メロン等の野菜類;ミカン、ネーブル、ポンカン、ハッサク、桃、梨、柿、イチジク、ネクタリン、ブドウ、リンゴ等の果樹類;菊、バラ、デンファレ、オンシジウム、コチョウラン、ブーゲンビリア、黒木、モンステラ、ハイビスカス、アレカシア、黄金ガジュマル、幸福の木、カーネーション、ガーベラ、シクラメン、サイネリア、ジュリアン、ベゴニア、ストック、菜の花等の花卉類;芝、葉たばこ、茶、椎茸等が挙げられる。更には、野菜、果物の鮮度保持、及び花卉類の保命効果にも有用である。
(実施例11)
【0069】
水産養殖における利用本発明の天然温泉濃縮液を水槽に20~500ppm程度添加することにより、養殖魚類及び貝類の摂餌が良好となり、生育が促進される等の効果が奏される。また、生餌となるワムシ、ミジンコ等の微小動物の繁殖がさかんとなり、また、水棲植物が迅速に繁茂する。
【0070】
本発明の天然温泉濃縮液を利用することによって、生育が促進される養殖魚類の例としては、銀鮭、キングサーモン、ヤマメ、ニジマス、ウグイ、ハヤ、タナゴ、鯉、鮒、うなぎ、なまず、どじょう類等の淡水養殖魚;メジナ、メバル、ソイ、ヒラメ、鯛、カワハギ等の海水養殖魚;グッピー、オスカー、エンゼルフィッシュ、ネオンテトラ等の熱帯魚;オニテナガエビ、藻エビ、蟹類等の甲殻類;アワビ、真珠貝、カキ、帆立貝等の貝類が挙げられる。
(実施例12)
【0071】
汚水処理分野における利用本発明の天然温泉濃縮液を100~50,000ppm程度汚水中に添加することにより、汚水中に含まれる有機物を分解、析出、凝集、沈降せしめ、汚水をきれいな水に変えることが可能となる。本発明の天然温泉濃縮液により処理可能な汚水の例としては、水産加工廃水、家畜屎尿、養鶏廃水、人間屎尿、化学産業廃水等が挙げられる。
(実施例13)
【0072】
用水浄化分野における利用本発明の天然温泉濃縮液を水道水に20~500ppm程度加えることにより、溶解性有機物の析出除去と、次亜塩素酸ソーダそのもの及び塩素殺菌の際に副生成物として生じるトリハロメタンを分解、析出させて無毒化、無臭化することができ、更にミネラル分が補給されるので、水道水を無菌状でミネラルウォーターに変えることができる。また、湖沼水や、河川水に本発明の天然温泉濃縮液を添加し、これらの水中に含まれている有機物や微生物を分解、析出、凝集、濾過することにより安全な飲料水とすることができる。
(実施例14)
【0073】
殺菌消毒分野に於ける利用本発明の天然温泉濃縮液を水に100~1,000ppm加えることにより、抗菌作用のある水溶液とすることができるために、例えば、風呂、温泉、プール等の湯水の処理に有用であり、更に、現在、殺菌のために次亜塩素酸ソーダを使用している全利用分野への応用が可能である。
(実施例15)
【0074】
黒雲母を粉砕、篩別して4メッシュ以下の粉体とした。この粉体1m3 に25~50%硫酸1m3 を加え、80℃で4時間100rpm(1分間当りの回転数)によって攪拌し、次いで50rpmで1時間攪拌した。次いで、この混合物をフィルタープレスにかけ固液分離し、精製して、OHラジカルを生成し有機物を酸化する作用を有する液状物1.5m3 を得た。得られた天然温泉濃縮液のpHは0.2であり、これについて組成成分を分析した結果を表3に示す。
【表3】
【0075】
表3の結果から明らかなように、本発明の天然温泉濃縮液は、多種のミネラル分を多量に含むものであった。
(実施例16)
【0076】
花崗岩の風化体である蛭石を粉砕、篩別して4メッシュ以下の粉体とした。この粉体1m3 に25~50%硫酸1m3 を加え、80℃で4時間100rpm(1分間当りの回転数)によって攪拌し、次いで50rpmで1時間攪拌した。次いで、この混合物をフィルタープレスにかけ固液分離し、精製して、OHラジカルを生成し有機物を酸化する作用を有する液状物1.5m3 を得た。
【0077】
この結果から明らかなように、水道水では半値幅が132Hzであったのに対し、水道水に天然温泉濃縮液を加えた後の半値幅は74Hzとなり、水の会合体であるクラスターが小さくなっていることが示された。なお、現在、クラスターの小さい水ほど良質の水、あるいは美味い水、活性水等と言われ生体にとって有益な水とされている。
(実施例17)
【0078】
養殖魚に対する使用:養鰻に使用する水(井水自然)に、100ppmの濃度で本発明の天然温泉濃縮液を加え、その効果を調べた。養鰻に使用する養殖槽は250トンであり、この中で鰻の稚魚を32,000匹飼育した。飼育方法は、従来と全く同様に給餌して行った。
【0079】
この結果、飼育開始後160~180日で稚魚から成魚となり、従来に比べ生育期間が大幅に短縮された。また、飼育期間中、pHは6~6.7で安定しており、溶存酸素量(DO)も多く、微生物量も平均1.5×103 程度となった。更に、飼育水の色度が1.4~1.8程度となり、従来は透視度が10cm位であったものが底まで見えるようになった。更にまた、飼育水中のカルシウムイオン量が従来は2,600ppm程度であったものが550~580ppmに低下した。なお、飼育期間中に病害の発生は認められず、生存率はほぼ100%であった。
(実施例18)
【0080】
実施例14で得られた天然温泉濃縮液を500ppmになるように水に溶解し、これを噴射ガス(LPG)とともにエアゾール容器に充填し、消臭スプレーを調製した。この消臭スプレーを、通常の家庭の冷蔵庫に噴霧したところ、冷蔵庫中の腐敗臭(悪臭)が直ちになくなった。その効果は翌日まで持続した。また、この消臭スプレーを悪臭のあるトイレに噴霧したところ悪臭がなくなり、その効果は3時間持続した。また、この消臭スプレーを歯槽膿漏の口臭で悩む人の口にスプレーしたところ、口臭が消えその効果は30分間持続したままであった。更に、この消臭スプレーを獣臭のある犬小屋に噴霧したところ獣臭が消え、その効果は6時間持続した。
【0081】
更に、悪臭源として、糞臭のある鳥かご、幼児用おむつ、列車に付属する循環式トイレ、ゴミ処理廃棄場、熱帯魚の水槽等を選定し、同様に処理したところ、同様の結果が得られた。
(実施例19)
【0082】
アオコの発生が認められる昆陽池(兵庫県伊丹市)の水について、実施例14で得たのと同じ天然温泉濃縮液をアオコ除去剤として使用することにより、生活用水や飲料水に利用できる程度に浄化できるかどうかを検討した。
【0083】
試験は、鉄板製の、側面に直径約30cmの透明アクリル製の窓を取り付けて、作業中に水槽内部の状況を観察できるようにした角型10トン水槽に池の水10トンをポンプで送り込み、これに薬剤自動添加装置、浮上汚泥回収装置を設置して、実施例1で得たのと同じ天然温泉濃縮液によって池の水を処理し、COD、SS、全りん、全窒素及びアオコを含む各種藻類の量の変化を検討した。Q323
(実施例20)
【0084】
某神社の池で数十年に亘って堆積したヘドロをスラリーポンプにより吸い上げて200リットル容器のポリエチレン製タンクに採取した。これに、蛭石(バーミキュライト)由来の無機酸処理物(商品名:ルフロックス、シマニシ科研社製)を200ml添加し、攪拌し、30分間放置した。30分後にスラリーは上澄液100リットルと濃縮スラリー100リットルに分離した。上澄水をサイフォンにより排出して、濃縮ヘドロのスラリー(水分30%)を得た。上澄のpHは、pH6.5であったので、そのまま池に還流させた。濃縮ヘドロのスラリーは、肥料と混合、乾燥させ、土壌改良剤として使用することができた。
(実施例21)
【0085】
次に、実施例20で得られた濃縮ヘドロのスラリーに高分子凝集剤(中性アニオン系、アコフロックA-110、三井サイアナミット社製)を100ppm(乾量換算10g)添加し、攪拌して、濃縮ヘドロのスラリーをゼラチン状に凝集させた。
【0086】
次いで、別の200リットル容量のポリタンク(底から20cm高い処に格子を設け、その上に合成繊維の濾過布を敷いた)を用意し、上記ゼラチン状に凝集させたスラリーを入れた。これを、16時間放置した後、濾過脱水を行った結果、スラリー中の水分は20%に脱水されるとともに、濾過液として、濁りのない澄明な、且つ悪臭の除去された無臭の水が得られた。濾過液は、そのまま池に還流させた。
【0087】
更に、このスラリーを7日間天日乾燥した結果、水分は12%迄脱水され固形状のヘドロ乾燥物が得られた。
(実施例22)
【0088】
本発明の天然温泉濃縮液を50~100ppmの濃度で水に溶解し、この水溶液を農作物の種子浸漬及び葉面散布などにより適用することにより、発芽、発根の促進、葉、茎、枝の伸長、果実の熟成と糖度増加、樹勢強化等において優れた結果を示した。特に、水耕栽培において、従来法と比べ優れた結果を示した。また、本発明の天然温泉濃縮液は、各種ミネラルをバランス良く、しかも吸収の良い状態で含んでいるので、ミネラルの欠乏が原因となって発生する各種の農病害から農作物を守る作用を有することが分った。
【0089】
その他に、(1)温泉の有効成分ミネラルを大量に含有させることで温泉濃縮原液を生産、(2)天然温泉に天然ミネラルを添加することで良質な飲用ミネラル水を生産、(3)食卓用のミネラル調味料の生産、(4)殺菌作用を利用した清掃用の溶液、(5)天然ミネラルを含んだ化粧品、(6)OHラジカルを生成し有機物並びに無機物を酸化する作用を有する。(7)水のクラスターを小さくする作用を有する。(8)脱臭、消臭作用を有する。(9)微生物や植物の培養、成長加速作用を有する。(10)懸濁物質を凝集する作用を有する。
【作用】
【0090】
本発明の天然温泉濃縮液の作用機序は、未だ明らかでない部分も有るが、次のように推察される。すなわち、本発明の天然温泉濃縮液原料である温泉シェール層から鉱酸抽出したミネラル液(商品名:ルフロックス)を廃水に添加すると、ガスが発生し、二相分離が起こるとともにCODが低下する。分析の結果、発生したガスはCO2 であることが判明している。このことは、廃水中の有機物がルフロックスにより酸化されたからであると考えられる。ESRによる測定結果から、ルフロックスの添加により酸化力の強いOHラジカルが生成することが計測された。
【0091】
また、天然温泉濃縮液の好適な出発原料の1つである黒雲母は、フィロ珪酸塩に属する化合物であり、層状構造をなしている。そして、必要により行われる前処理、次いで鉱酸処理することによりこれらのイオンを始めとする各種のイオンが、単純イオンの他、複イオン、錯イオン又は水溶性酸化物の形で溶出するものと考えられる。フィロ珪酸塩のうち特に黒雲母が良い理由は、黒雲母自身が他の鉱物と比べ多種類のミネラル分を含んでおり、また、黒雲母の場合、構造的にこれらミネラル分を抽出しやすいためである。また、花崗岩の風化体である蛭石も同じことが言える。
【0092】
得られた天然温泉濃縮液に含まれるこれらのミネラル分は、天然に徐々に溶出されるものと同じであるため、動植物等の生体に必須的要素であり、その成長を促進するものと推察される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10