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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】グラフトコポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 287/00 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
C08F287/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020530324
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018063550
(87)【国際公開番号】W WO2019125743
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】62/609,679
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォ、ハイラン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルス、モリス
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-507486(JP,A)
【文献】特表2016-512855(JP,A)
【文献】特開2005-113008(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027524(WO,A1)
【文献】特開昭61-098714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 287/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の(メタ)アクリルモノマー、1つ以上のビニル芳香族モノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のビニルモノマーの共有結合された残基を有する、ポリオレフィンブロックコポリマーであって、
前記ポリオレフィンブロックコポリマーが、1つ以上のアモルファスブロックおよび1つ以上の結晶性ブロックを含み、
前記アモルファスブロックが、4つ以上の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含み、及び
前記ポリオレフィンブロックコポリマーに対する前記1つ以上のビニルモノマーの%グラフト化が88%以上である、
ポリオレフィンブロックコポリマー
【請求項2】
前記ビニルモノマーが、1つ以上の(メタ)アクリルモノマーからなる、請求項1に記載のポリオレフィンブロックコポリマー。
【請求項3】
前記ビニルモノマーが、1つ以上のビニル芳香族モノマーからなる、請求項1に記載のポリオレフィンブロックコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリオレフィンブロックコポリマーは、種々の目的に有用である。しかしながら、そのようなポリオレフィンの表面は、一般に極性種と適合しない。この不適合性は、種々の状況で明らかである。例えば、ほとんどの塗料およびインクは、極性化合物を含有する複雑な組成物である。典型的な塗料およびインクは、ポリオレフィンブロックコポリマーから作製された物品の表面を適切に湿潤しない。別の例では、ポリオレフィンブロックコポリマーがアクリルコポリマーなどの極性ポリマーとブレンドされた場合、そのようなブレンドから作製された物品は、典型的には、応力白化を示し、これは、極性ポリマーがポリオレフィンブロックコポリマーに十分に接着しないことを示す。変性生成物が極性種との適合性を改善するように、ポリオレフィンブロックコポリマーを変性する方法を見出すことが望ましい。より具体的には、変性ポリオレフィンブロックコポリマーが、未変性ポリオレフィンブロックコポリマーに対して以下の改善の1つまたは両方を有することが望ましい:多種多様の塗料またはインクが、未変性ポリオレフィンブロックコポリマーの表面を湿潤して接着するよりも、変性ポリオレフィンブロックコポリマーの表面を湿潤してその表面に接着する、および変性ポリオレフィンブロックコポリマーとアクリルポリマーとのブレンドが、未変性ポリオレフィンブロックコポリマーとアクリルポリマーとのブレンドよりも、応力白化が少ないことを示す。
【0002】
US5,247,024は、ポリオレフィンのセグメント化されたコポリマーの調製プロセスを記載している。US5,247,024は、ポリオレフィンブロックコポリマーの使用を記載していない。また、US5,247,024のプロセスは、分散剤の使用を必要とし、圧力容器内で実行される。改善されたプロセスおよび改善された変性ポリオレフィンを提供することが望ましい。以下の利点のうちの1つ以上を有するプロセスを提供することが望ましい:分散剤は必要とされず、かつ/または圧力容器は、必要とされない。
【0003】
以下は、本発明の記述である。
【0004】
本発明の第1の態様は、ポリマー組成物を形成するためのプロセスであり、このプロセスは、
(a)水性媒体中でスラリーを提供することであって、このスラリーは、
(i)結晶性ブロックおよびアモルファスブロックを含む、ポリオレフィンブロックコポリマーを含むペレット、
(ii)1つ以上のビニルモノマー、
(iii)1つ以上の開始剤、
を含み、このスラリーは、スラリーの総重量に基づいて、0~0.01重量%のすべての界面活性剤および0~0.01重量%のすべての水溶性ポリマーを含む、提供することと、
(b)1つ以上のビニルモノマーを重合することと、を含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、1つ以上の(メタ)アクリルモノマー、1つ以上のビニル芳香族モノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のビニルモノマーの共有結合残基を有するポリオレフィンブロックコポリマーである。
【0006】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0007】
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈上他に明確に示されていない限り、指定された定義を有する。
【0008】
本明細書において使用される場合、「ポリマー」は、より小さい化学繰り返し単位の反応生成物で構成される比較的大きな分子である。ポリマーは、直鎖状、分岐状、星型、ループ状、超分岐状、架橋状、またはそれらの組み合わせである構造を有してもよく、ポリマーは、単一タイプの繰り返し単位(「ホモポリマー」)を有してもよく、またはそれらは2種以上の繰り返し単位(「コポリマー」)を有してもよい。コポリマーは、ランダムに、順番に、ブロックで、他の配置で、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせで配置された様々なタイプの繰り返し単位を有してもよい。ポリマーは、1,000ダルトン以上の重量平均分子量を有する。十分に架橋されていて、任意の溶媒中で不溶性になるポリマーは、無限の分子量を有すると見なされる。
【0009】
ブロックコポリマーは、M1およびM2と標識付けされた2つの異なるモノマーの重合単位を有するポリマーである。ブロックコポリマーには、互いに直接結合している10個以上のM1の重合単位の少なくとも1つのシーケンス(「M1ブロック」と呼ばれる)および互いに直接結合している10個以上のM2の重合単位の少なくとも1つのシーケンス(「M2ブロック」と呼ばれる)が存在する。M1の重合単位の90モル%以上がM1ブロック内にあり、M2の重合単位の90モル%以上がM2ブロック内にある。ブロックコポリマーは、少なくとも1つのM1ブロックおよび少なくとも1つのM2ブロックを有し、場合により複数のM1ブロックを有し、場合により複数のM2ブロックを有する。
【0010】
いくつかのブロックコポリマーは、M1およびM2を超える追加の異なるモノマーの追加のブロックを有する。いくつかのブロックコポリマーは、場合により、M3の重合単位の90%以上がM1とM3との混合ブロック内にある限り(すなわち、M2ブロック内にM3の重合単位がほとんどまたは全くない)、M1の重合単位のみを有する代わりに、M1単位と第3のモノマーM3の単位との統計的混合物を有するブロックを有してもよい。同様に、第4のモノマーM4の重合単位は、M1ブロック内ではなく、M2ブロック内に見られてもよい。
【0011】
ブロックのすべてが互いに結合して単一の線を形成するブロックコポリマーは、直鎖ブロックコポリマーである。他のブロックコポリマーは、分岐を有してもよい。
【0012】
本明細書では、ポリマーは、以下の条件下でグラフトポリマーと標識付けされる。本明細書でMGRAFTと標識付けされたモノマーの分子は、元のポリマーと反応し、MGRAFTの分子の多くは、元のポリマーに直接結合するか、またはMGRAFTの1つ以上の相互に共有結合した単位の鎖(鎖は元のポリマーに直接結合する)に結合するかのいずれかによって、元のポリマーに共有結合する。
【0013】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書において「モノマー」として知られている。そのように形成された繰り返し単位は、本明細書においてモノマーの「重合単位」として知られている。
【0014】
ビニルモノマーは、構造
【化1】
を有し、式中、R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基など)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換もしくは非置換有機基、またはそれらの任意の組み合わせである。ビニルモノマーは、フリーラジカル重合してポリマーを形成することができる。
【0015】
オレフィンモノマーは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、かつ芳香環を有さない炭化水素であるモノマーである。
【0016】
50重量%を超えるオレフィンモノマーの重合単位を有するポリマーは、ポリオレフィンである。ビニル芳香族モノマーは、R、R、R、およびRのうちの1つ以上が1つ以上の芳香環を含有するビニルモノマーである。(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリレートを意味する。(メタ)アクリルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、それらのアルキルエステル、それらの置換アルキルエステル、それらのアミド、それらのN-置換アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびそれらの混合物から選択されるモノマーである。置換基は、例えば、ヒドロキシル基、アルキル基、芳香族基、非芳香族炭素-炭素二重結合を含有する基、もしくは他の基、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0017】
アルファ-オレフィンは、3つ以上の炭素原子を有し、かつ末端炭素原子にあるちょうど1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素である。すなわち、アルファ-オレフィンでは、炭素-炭素二重結合における2つの炭素原子のうちの少なくとも1つにも2つの水素原子が結合している。
【0018】
分散液は、連続した液体媒体全体に分散する粒子の集まりである。連続した液体媒体は、液体媒体が液体媒体の重量に基づいて80重量%以上の水である場合、水性媒体である。
【0019】
本明細書では、化合物は、20℃でその溶媒の1リットルに溶解するその化合物の量が5グラム以下である場合、溶媒に不溶性であると言われる。5グラムを超える化合物が20℃で溶媒の1リットルに溶解する場合、その化合物は、本明細書ではその溶媒に溶解すると言われる。
【0020】
開始剤は、開始条件に曝されると、フリーラジカル重合を開始することができるラジカル部分を生成する化合物である。開始条件の性質は、開始剤間で変わる。いくつかの例:熱開始剤は、十分に高い温度まで加熱するとラジカル部分を生成し、光開始剤は、十分に短い波長および十分に高い強度の放射線に曝されると、ラジカル部分を生成する。別の例として、レドックス開始剤は、酸化/還元反応で一緒に反応してラジカル部分を生成する一対の分子であり、開始条件は、対の両方の要素が存在し、互いに反応することができるときに取得される。
【0021】
ポリマー組成物は、結晶性もしくはアモルファス、またはそれらの組み合わせであり得る。ポリマー組成物のアモルファス部分は、変曲点法を使用して、10℃/分のスキャン速度で示差走査熱量測定(DSC)によって測定される1つ以上のガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられ得る。ポリマー組成物の結晶性部分は、10℃/分のDSCによっても特徴付けられ得る。DSC分析で結晶性の発熱ピークが現れた場合、ポリマー組成物は、部分的または完全に結晶性であると見なされ、結晶化度の程度は、試料の質量(グラム)で割った結晶性発熱ピーク(ジュール)下の面積で評価される。
【0022】
本明細書で使用する場合、「非水性溶媒」は、18℃~30℃の範囲を含む温度範囲にわたって液体であり、かつ水ではない化合物である。
【0023】
本明細書で使用する場合、界面活性剤は、疎水性部分および親水性部分の両方を含有する分子を有する化合物である。疎水性部分は、典型的には、互いに結合して直鎖構造、分岐構造、環状構造、またはそれらの組み合わせを形成する8つ以上の炭素原子を有する1つ以上の化学基を含有する。親水性部分は、典型的には、イオン基または-(CHCHO)-基を含有し、式中、nは2以上である。化合物がそのpHで水と接触すると、基の50モル%以上がイオン状態になるように、いくつかの値または3~11のpHの値の範囲がある場合、その基はイオン性である。
【0024】
本明細書で使用する場合、スラリーは、水に溶解しない固体粒子が水性媒体中に分散される組成物である。粒子は、任意のサイズであり得る。分散は、安定していても安定していなくてもよい。すなわち、粒子が容器の底部に沈殿するか、または上面に浮くかのいずれかを防ぐために、機械的振動(例えば、撹拌など)が必要な場合と必要でない場合がある。
【0025】
本発明は、結晶性ブロックおよびアモルファスブロックを含有するポリオレフィンブロックコポリマーを伴う。好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマーは、エチレンもしくは1つ以上のアルファ-オレフィン、またはそれらの組み合わせの重合単位を含有する。より好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマーの重合単位のすべては、エチレンもしくは1つ以上のアルファ-オレフィン、またはそれらの組み合わせの重合単位である。
【0026】
好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマーの結晶性ブロックは、エチレンもしくはプロピレン、またはそれらの混合物の重合単位を含有し、より好ましくは、エチレンの重合単位を含有する。好ましくは、結晶性ブロックは、エチレンおよびプロピレン以外のモノマーの重合単位をほとんどまたは全く含有しない。すなわち、結晶性ブロックでは、エチレンおよびプロピレン以外のモノマーの重合単位がないか、または結晶性ブロックの重量に基づいて、エチレンおよびプロピレン以外のモノマーの重合単位の量が0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0重量%のいずれかである。
【0027】
結晶化度の量は、10℃/分でのDSCにおいて結晶発熱を観察することと、結晶性ブロックの既知の結晶化エンタルピーに基づいて、結晶性ポリマーの重量%を計算することと、によって評価される。好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマー中の結晶化度の量は、5~25%である。
【0028】
好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマーのアモルファスブロックは、4つ以上の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含有し、より好ましくは、6つ以上の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含有し、より好ましくは、8つ以上の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含有する。好ましくは、ポリオレフィンブロックコポリマーのアモルファスブロックは、12個以上の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含有し、より好ましくは、10個以下の炭素原子を有する1つ以上のアルファ-オレフィンの重合単位を含有する。
【0029】
好ましくは、アモルファスブロックのTgは、20℃以下、より好ましくは0℃以下、より好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である。
【0030】
ポリオレフィンブロックコポリマーの可溶性部分は、以下のように決定され得る。元の重量のWPO0のポリオレフィンブロックコポリマーの試料を溶媒で抽出する。次いで、溶媒を蒸発させて計量し、残基の重量(WPOSOL)は、ポリオレフィンブロックコポリマーの可溶性部分である。そのとき、ポリオレフィンブロックコポリマー(POSF)の可溶性重量画分は、
POSF=WPOSOL/WPO0である。
好ましくは、50%以下、より好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下のPOSFを有するポリオレフィンブロックコポリマーが使用される。
【0031】
本発明は、水性媒体中のスラリーを伴い、スラリーは、ポリオレフィンブロックコポリマーを含むペレットを含有する。好ましくは、ペレット中のポリオレフィンブロックコポリマーの量は、ペレットの重量に基づいて、80重量%以上、より好ましくは、90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。ペレットの重量は、「乾燥」ペレットの重量を指し、これは、水および150℃以下の沸点を有する他の任意の化合物をペレットから除去した後に決定される。
【0032】
ペレットは、任意のサイズまたは形状であり得る。ペレットのサイズは、ペレットが通過する、または通過しないメッシュスクリーンのサイズによって特徴付けられ得る。好ましくは、乾燥時に、ペレットの80重量%以上が、12.7mmの開口部を有するスクリーンを通過する。好ましくは、乾燥時に、ペレットの80重量%以上が、2mmの開口部を有するスクリーンを通過できない。
【0033】
スラリー中のペレットの量は、スラリー中の水の重量に基づく乾燥ペレットの5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。スラリー中のペレットの量は、スラリー中の水の重量に基づく乾燥ペレットの40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0034】
スラリーの水性媒体は、好ましくは、水性媒体の重量に基づいて、80重量%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の量の水を含有する。
【0035】
スラリーは、場合により非水性溶媒も含有する。好ましい非水性溶媒は、水に溶解しない。好ましい非水性溶媒は、ポリオレフィンブロックコポリマーを含有する乾燥ペレットを過剰量の非水性溶媒と接触させた場合、ペレットが膨潤するが非水性溶媒に溶解しないように選ばれる。好ましくは、非水性溶媒が使用されるとき、使用される各ビニルモノマーは、非水性溶媒に可溶性である。好適な非水性溶媒は、アルカン、芳香族炭化水素、脂肪族ケトン、5つ以上の炭素の一価アルコール、およびそれらの混合物から選ばれ得る。好ましい非水性溶媒は、芳香族炭化水素であり、より好ましいのは、ベンゼン、トルエン、tert-ブチルベンゼン、トルエン、およびそれらの混合物であり、より好ましいのは、トルエンである。
【0036】
好ましくは、ペレットを膨潤させる非水性溶媒が選ばれる。好ましくは、非水性溶媒の量がペレットの重量に基づいて50重量%以下であるとき、ペレット内にある非水性溶媒の部分は、非水性溶媒の総重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
【0037】
スラリーは、界面活性剤を含有しないか、または比較的少量の界面活性剤を含有するかのいずれかである。スラリー中の界面活性剤の量は、スラリーの総重量に基づいて、0~0.01重量%、好ましくは0~0.001重量%である。
【0038】
スラリーは、水溶性ポリマーを含有しないか、または比較的少量の水溶性ポリマーを含有するかのいずれかである。スラリー中の水溶性ポリマーの量は、スラリーの総重量に基づいて、0~0.01重量%、好ましくは0~0.001重量%である。本発明のスラリー以外の組成物では、分散剤として水溶性ポリマーが使用されることがある。使用されるいくつかの一般的な水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーである。
【0039】
本発明のスラリーは、1つ以上のビニルモノマーを含有する。好ましいモノマーは、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリルモノマー、およびそれらの混合物である。ビニル芳香族モノマーの中では、好ましいのは、スチレンおよびアルキル置換スチレンである。(メタ)アクリルモノマーの中では、好ましいのは、(メタ)アクリル酸の置換および非置換アルキルエステルである。(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルの中では、好ましいのは、ヒドロキシル基、アミン基、およびグリシジル基から選択されるアルキル基に置換基を有するものであり、より好ましいのは、ヒドロキシ基およびグリシジル基であり、より好ましいのは、ヒドロキシル基である。好ましいのは、(メタ)アクリル酸の非置換アルキルエステルである。好ましくは、酸形態または塩形態のいずれかでカルボキシル基を有するモノマーが使用されない。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態(本明細書では「全VAM」実施形態)では、モノマーのすべてがビニル芳香族モノマーである。全VAM実施形態では、非水性溶媒の量は、ポリオレフィンブロックコポリマーを含有する乾燥ペレットの重量およびすべてのビニルモノマーの重量に基づいて、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、より好ましくはゼロである。
【0041】
他の好ましい実施形態(本明細書では「(メタ)アクリル」)実施形態では、ビニルモノマーは、1つ以上の(メタ)アクリルモノマーを含む。いくつかの(メタ)アクリル実施形態では、(メタ)アクリルモノマーの量は、ビニルモノマーの総重量に基づいて、50重量%以上、または75重量%以上、または100重量%である。(メタ)アクリル実施形態の中では、非水性溶媒の量は、ポリオレフィンブロックコポリマーを含有する乾燥ペレットの重量およびすべてのビニルモノマーの重量に基づいて、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。(メタ)アクリル実施形態の中では、非水性溶媒の量は、ポリオレフィンブロックコポリマーを含有する乾燥ペレットの重量およびすべてのビニルモノマーの重量に基づいて、好ましくは100重量%以下、より好ましくは75重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0042】
好ましくは、使用されるビニルモノマーの総量は、ペレットの乾燥重量およびすべてのビニルモノマーの重量に基づいて、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。好ましくは、使用されるビニルモノマーの総量は、ペレットの乾燥重量およびすべてのビニルモノマーの重量に基づいて、60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0043】
スラリーは、1つ以上の開始剤を含有する。好ましい開始剤は、ジアシル化合物、過酸化物、過エステル、および過酸であり、より好ましいのは、過酸化物である。好ましい開始剤は、水溶性ではない。好ましい開始剤は、以下の構造を有するペルオキシエステルであり、
【化2】
式中、RおよびRはそれぞれ、独立して、炭化水素基、より好ましくは、アルキル基、より好ましくは、2つ以上の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは、3つ以上の炭素原子を有するアルキル基である。好ましくは、RおよびRはそれぞれ、独立して、18個以下の炭素原子を有するアルキル基である。2つの好ましい開始剤は、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエートおよびt-アミルペルオキシピバレートである。
【0044】
好ましい開始剤は、熱開始剤である。熱開始剤は、1時間の半減期を与える温度(T1)によって特徴付けられ得る。好ましい開始剤は、100℃以下、より好ましくは95℃以下のT1を有する。好ましい開始剤は、60℃以上、より好ましくは70℃以上のT1を有する。
【0045】
使用される開始剤の総量は、好ましくは、使用されるビニルモノマーの総量に基づいて、0.3重量%以上、より好ましくは、0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。使用される開始剤の総量は、好ましくは、使用されるビニルモノマーの総量に基づいて、10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0046】
好ましくは、スラリー中のビニルモノマーが重合される。好ましくは、ペレットのすべておよび非水性溶媒のすべては、ビニルモノマーの添加前にスラリーに添加される。スラリーは、ペレットを水性媒体中に分散させ続ける必要がある場合、好ましくは撹拌により、機械的に振動される。次いで、ビニルモノマーが好ましくはそのときにスラリーに添加される。次いで、ビニルモノマーの重合が、ビニルモノマーをスラリーに添加するプロセス中もしくはプロセス後に、またはビニルモノマーをスラリーに添加するプロセス中とプロセス後との組み合わせのいずれかで行われる。
【0047】
重合は、開始剤の存在を提供することにより、および開始剤がラジカルを生成する条件を確立することにより行われる。好ましくは、開始剤は、熱開始剤であり、開始剤がラジカルを生成する条件を確立することは、温度を上げることを伴う。好ましくは、25℃で検出可能な重合を引き起こすのに十分なラジカルを生成しないが、85℃以上で検出可能な重合を引き起こすのに十分なラジカルを生成する開始剤が選ばれる。
【0048】
重合を行う1つの好適な方法は、ポリオレフィンブロックコポリマーを含有するペレットのスラリーを提供し、非水溶媒(使用する場合)をスラリーに添加し、かつスラリーを60℃以上の温度TSLURRYに加熱することである。好ましくは、TSLURRYは、70℃以上、より好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上である。好ましくは、スラリーが温度TSLURRYに保たれている間、ビニルモノマーおよび開始剤の両方が徐々にスラリーに添加される。1つの好ましい方法は、すべての所望のビニルモノマーとすべての所望の開始剤との混合物を室温(約23℃)で形成し、次いでその混合物を徐々にスラリーに添加することである。
【0049】
重合を行う好ましい方法は、ポリオレフィンブロックコポリマー、非水溶媒(使用する場合)、モノマー、および開始剤の混合物を30℃未満の温度で作製することである。好ましくは、この混合物を作製する温度は、開始剤の半減期が1時間であるT1の温度より20℃超低い。この混合物は、場合により、ポリオレフィンブロックコポリマーが他の成分によって膨潤するようになる間、室温で放置することが可能であり得る。好ましくは、成分は、ポリオレフィンブロックコポリマー粒子を膨潤させる液体が、ポリオレフィンブロックコポリマー粒子を互いに融合させないように選ばれる。次いで、水を添加して、撹拌し、膨潤したポリオレフィンブロックコポリマー粒子のスラリーを形成する。次いで、スラリーは、開始剤が重合を開始するのに十分なラジカルを作るのに十分な温度、好ましくは70℃~95℃まで加熱される。スラリーが加熱される温度は、T1より20℃低い温度以上であることが好ましく、T1より20℃高い温度以下であることが好ましい。
【0050】
ビニルモノマーを徐々にスラリーに添加するとき、ビニルモノマーの添加開始からビニルモノマーの添加完了までの所要時間(TADD)は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、より好ましくは15分以上である。好ましくは、TADDは、2時間以下、より好ましくは1時間以下である。
【0051】
好ましくは、ビニルモノマーの重合後、非水性溶媒および水の両方がスラリーから除去される。好ましい実施形態では、スラリーは、95℃まで加熱され、非水性溶媒は、例えば、水蒸気蒸留により除去される次いで、好ましくは、ペレットは、濾過によりスラリーから分離され、次いで、例えばペレットは、例えば60℃の真空オーブンで乾燥される。
【0052】
好ましくは、ビニルモノマーの重合は、大気圧で行われる。すなわち、好ましくは、重合は、周囲雰囲気への開口部を有するか、そうでなければ、容器中の圧力を周囲雰囲気と同じ圧力に維持することを可能にする容器中で行われる。周囲雰囲気は、通常、0.8~1.1気圧の圧力を有する。
【0053】
本明細書では、ビニルモノマーの重合は、ビニルモノマーの相互の重合およびビニルモノマーのポリオレフィンブロックコポリマーへの結合の両方を伴う複雑なプロセスであると見なされる。ポリオレフィンブロックコポリマーに結合したビニルモノマーは、ポリオレフィンブロックコポリマーに直接結合した個々のビニルモノマーの形態であっても、重合したビニルモノマーの鎖が長いまたは短い鎖の形態であってもよく、重合したビニルモノマーの鎖は、ポリオレフィンブロックコポリマーにそれを結合する1つ以上の共有結合を有する。
【0054】
ポリオレフィンブロックコポリマーに結合する(「グラフト化率」と標識付けされた)ビニルモノマーの量は、以下のように評価される。グラフト化する前の乾燥ポリオレフィンブロックコポリマーの重量は、WPO1である。上記で定義したように、グラフト化する前のポリオレフィンブロックコポリマーにおける可溶性重量画分は、POSFである。スラリーに添加されるすべてのビニルモノマーの重量は、WMONである。グラフト化されたペレットの初期重量は、WGR1である。グラフトされたペレットは、溶媒で抽出され、次いで、溶媒を蒸発させ、残基の重量は、溶解した材料WGRSOLの重量である。溶解した材料WGRSOLは、元のポリオレフィンブロックコポリマーならびにビニルモノマーの可溶性残基およびその反応生成物の両方からの可溶性材料を含有する。そのとき、グラフト化率は、
%グラフト化=100*[WGRSOL-(POSF)*(WPO1)]/WMONである。
時々、測定における小さな不可避の誤差のために、%グラフト化は、100%を超えるように見える。そのような場合、%グラフト化は、本明細書では100%であると考える。
【0055】
好ましくは、%グラフト化は、50%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは88%以上、より好ましくは95%以上である。
【0056】
好ましくは、重合後、1つ以上のビニルモノマーの重合単位は、ペレット全体に均一に分散される。均一性は、ペレットの断面を切り開いて、エネルギー分散分光法(SEM/EDS)とともに走査型電子顕微鏡を使用して、断面の放射状の線に沿った1つ以上の要素の分散を調べることによって調べられ得る。中心の試料は、距離0.9*Rの試料と比較されてもよく、式中、Rは半径方向距離である。好ましくは、0.9*Rでのビニルモノマーの重合単位の濃度とビニルモノマーの重合単位の濃度との比は、0.8:1~1.2:1である。
【0057】
好ましくは、ビニルモノマーの重合単位は、ポリオレフィンブロックコポリマーによって囲まれたビニルモノマーの重合単位の小さな丸いドメインを形成する。好ましくは、ビニルモノマーの重合単位の平均ドメインは、250nmを超える寸法を有さない。ビニルモノマーの重合単位のドメインは、ペレットの断面を切断してから、原子間力顕微鏡を使用して断面の表面を調べることによって特徴付けられ得る。
【0058】
本発明は、任意の特定のメカニズムに限定されないが、以下の重合メカニズムが想到される。開始剤は、ポリオレフィンブロックコポリマーのアモルファスブロックにある炭素原子から水素を引き抜くラジカルを生成する。この抽象化により、ポリオレフィンブロックコポリマーに結合したラジカルが作られ、そのラジカルがビニルモノマーの重合を開始し、これは、ポリオレフィンブロックコポリマーから成長するモノマーの鎖で重合する。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]1つ以上の(メタ)アクリルモノマー、1つ以上のビニル芳香族モノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のビニルモノマーの共有結合された残基を有する、ポリオレフィンブロックコポリマー。
[2]前記ポリオレフィンブロックコポリマーが、1つ以上のアモルファスブロックおよび1つ以上の結晶性ブロックを含む、[1]に記載のポリオレフィンブロックコポリマー。
[3]前記ビニルモノマーが、1つ以上の(メタ)アクリルモノマーからなる、[1]に記載のポリオレフィンブロックコポリマー。
[4]前記ビニルモノマーが、1つ以上のビニル芳香族モノマーからなる、[1]に記載のポリオレフィンブロックコポリマー。
【0059】
以下は、本発明の実施例である。
以下の略語が使用される:
LMA=ラウリルメタクリレート
BMA=ブチルメタクリレート
MMA=メチルメタクリレート
t-BPO=t-ブチルペルオクトエート(t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートとも呼ばれる)ペルオキシエステル(Akzo NobelからのTRIGONOX(商標)21S)
PO=ポリオレフィン
PO-B1=エチレン/1-オクテンブロックコポリマー
PO-B2=PO-B1とは異なるエチレン/1-オクテンブロックコポリマー
PO-S1=エチレン/1-オクテン統計的コポリマー
PO-S2=PO-S1とは異なるエチレン/1-オクテン統計的コポリマー
Ex=実施例
【0060】
試料は、「A」または「B」の2つの方法のうちの1つを使用して作製した。方法Aでは、(0gまたは60gのトルエンのいずれかとともに)140gのポリオレフィンペレットを1000gの水に添加し、得られた反応混合物を85℃まで加熱した。モノマーミックス(60gのモノマーおよびt-BPO)を30分かけて添加した。t-BPOの量は、モノマーに基づいて3重量%であった。モノマーミックスを添加した後、反応を85℃で1時間保持した後、95℃で1時間保持した(存在する場合、トルエンは、Dean-Starkトラップを用いて85~100℃に加熱中に除去した)。次いで、混合物を冷却し、濾過した。ペレットを60℃の真空オーブンで乾燥させた。すべての本発明の実施例において、約200gのポリマーを除去した(100%の収率)。
【0061】
方法Bでは、方法Aと同じ量のポリオレフィンペレット、溶媒(使用する場合)、モノマー、開始剤を使用した。方法Bでは、ポリオレフィンペレット、溶媒(使用する場合)、モノマー、および開始剤を23℃で一緒に混合し、次いで、水を室温で添加し、次いで、スラリーを85℃まで加熱した。
【0062】
グラフト化率は、テトラヒドロフラン(THF)またはトルエンのいずれかを使用して、上記のように決定し、どちらの溶媒でも同じ結果が得られた。試料を25℃で2時間膨潤させた後、分離して乾燥させた。
【0063】
実施例1:(メタ)アクリルモノマーによるグラフト化
メタクリルモノマーを使用する以下のグラフト組成物を、以下の方法Aを使用して作製した。示されている量は、総ポリマー(ポリオレフィンブロックコポリマーおよびすべてのビニルモノマー)に基づく重量パーセントである。「C」で始まる実施例の番号は、比較例である。「nm」は、測定されていないことを意味する。
【表1】
【0064】
比較例C4、C6、およびC7は、統計的コポリマーであり、ブロックコポリマーではないポリオレフィンポリマーを使用した。すべてがひどく膨潤して、グラフト化反応を行うことができなかった。
【0065】
グラフト化のために(メタ)アクリルモノマーを使用して、表1に記載されたものと同様の試料を、方法Bを使用して作製した。得られた材料は、表1に記載されたものと同等であった。
【0066】
実施例2:スチレンモノマーによるグラフト化
グラフト化は、方法Bを使用して、ビニルモノマーとしてスチレンを用いて行った。トルエンは、重合中の膨潤に使用した。他の溶媒は、%グラフト化の試験に使用した。示されている量は、総ポリマー(ポリオレフィンブロックコポリマーおよびすべてのビニルモノマー)に基づく重量パーセントである。結果は、以下の通りであった。
【表2】
【0067】
スチレンモノマーは、トルエンの有無にかかわらず、よくグラフトする。最高レベルのトルエンは、高い%グラフト化(92.8%)を有したが、そのレベルは、より少ないトルエンを使用して、またはトルエンを使用せずにグラフト化した試料よりも低くなった。
【0068】
実施例3:アクリルポリマーとの適合性
2つの試料は、ポリオレフィンブロックコポリマーとアクリルポリマー粒子(アクリル-1)とをブレンドすることによって調製した。アクリル-1は、架橋ポリ(BA)のコアおよびポリ(MMA)のシェルを有した。
【0069】
比較例C14を作製するために、PO-B1(80重量%)およびアクリル-1(20重量%)を2本のロールミル(Collin Mill(W.H.Collin GmbH Maschienefabrik、Aichach、Germany)を用いて、185℃で5分間処理した。粉砕完了後、溶融ポリマーを金属ロールから剥がし、動作温度180℃の条件下ならびに5000psiで3分間、その後20000psiで2分間、および20000psiで5分間の冷却期間(23℃、室温)のプレス条件下で、CARVER(商標)プレス(Carver Press Inc.,Menomonee Falls、WI)を用いて、500マイクロメートル厚のシートに圧縮成形した。
【0070】
実施例Ex15を作製するために、材料Ex5(80重量%)およびアクリル-1(20重量%)を、比較例C14と同じ方法によって粉砕およびプレスした。
C14およびEx15のそれぞれについて、プレスされたプラークから長方形を切り取り、機械式引張試験機に入れて、最長方向で延伸した。引張試験機から取り出した後の試料の外観は、以下の通りであった。
【表3】
【0071】
表3は、(メタ)アクリルモノマーでグラフト化されたポリオレフィンブロックコポリマー(Ex5)が、グラフト化されていないポリオレフィンブロックコポリマー(PO-B1)よりも他のアクリルポリマーとはるかに適合性であることを示している。
【0072】
実施例4-塗装性
塗装性試料の調製:
Ex1の乾燥したグラフト化ペレットを金属型に入れ、厚さ3.2mm(1/8インチ)の薄いプラークにプレスした。CARVERプレス(Carver Press Inc.,Menomonee Falls、Wisconsin)を、185℃の動作温度ならびに2.268トンで3分間、その後9.07トンで2分間、および9.07トンで5分間の冷却期間(23℃)のプレス条件で使用した。PO-B1の乾燥ペレットを粉砕し、同じ方法でプレスした。
【0073】
塗装性を以下の通り試験した:水性のダインペン(EnerDyne、Enercon Industries Corp.,Menomonee Falls、WI USA製)を使用して、プラーク試料の表面エネルギーを試験した。
【表4】
【0074】
ダインペンの読み取り値が高いほど、グラフト化された試料の表面が、グラフト化されていないポリオレフィンブロックコポリマーの表面よりも塗料またはインクを受け取りやすいことを示している。