(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】遺伝子操作された細胞の組成物および関連組成物を産生するための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20230510BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230510BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230510BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230510BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230510BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230510BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230510BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230510BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/10 ZNA
A61K35/17
A61K48/00
A61K35/76
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P29/00
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/86 Z
(21)【出願番号】P 2020506936
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 US2018046149
(87)【国際公開番号】W WO2019032927
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ムヤチッチ ミルナ
(72)【発明者】
【氏名】ラハルジョ アユ
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510108(JP,A)
【文献】特表2014-509841(JP,A)
【文献】GARDNER, Rebecca A. et al.,Intent-to-treat leukemia remission by CD19 CAR T cells of defined formulation and dose in children and young adults,Blood,米国,The American Society of Hematology,2017年04月13日,Vol.129, No.25,pp.3322-3331, supplemental methods
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00-5/28
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成するための方法であって、
(a) CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1であるインプット組成物におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
であって、
該比は、第1の細胞組成物中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、および第2の細胞組成物中のCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定される、
工程と
(b) インプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸分子を該インプット細胞組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と
を含み、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項2】
第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
インプット細胞組成物におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、請求項
1または請求項
2記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、
(i) 対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージを決定する工程と、
(ii) CCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む2.2:1~0.8:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット細胞組成物を産生する工程であって、インプット細胞組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を
さらに含む、請求項
1記載の方法。
【請求項5】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成する方法であって、
対象からの生物学的試料からのCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含むインプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸
分子を該組成物中の細胞に導入するための条件下で、接触させる工程
を含み、インプット細胞組成物中に存在するCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1であり、
該比は、CCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定さ
れ、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項6】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成する方法であって、
(a) CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1であるインプット組成物におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程であって、
該比は、第1の細胞組成物中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、および第2の細胞組成物中のCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定される、工程と、
(b) インプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸
分子を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
(c) 該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含
み、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項7】
インプット細胞組成物が、
(a)
両端の値を含
む0.8:1~1.6:
1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比、および/または
(b)1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比、および/または
(c)1.1:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比
を含む、請求項
1~
6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成するための方法であって、
(a) CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む1.2:1~2.4:1であるインプット組成物におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
であって、
該比は、第1の細胞組成物中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、および第2の細胞組成物中のCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定される、
工程と
(b) インプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸分子を該インプット細胞組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と
を含み、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項9】
第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
工程(a)において、
(i) 対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージを決定する工程と、
(ii) CD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む
1.2:1~2.4:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット細胞組成物を産生する工程であって、インプット細胞組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を
さらに含む、請求項
8記載の方法。
【請求項11】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成する方法であって、
対象からの生物学的試料からのCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞を含むインプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸
分子を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
を含み、インプット細胞組成物中に存在するCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1であり、
該比は、CD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、およびCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定さ
れ、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項12】
インビトロまたはエクスビボで細胞組成物を生成する方法であって、
(a) CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1であるインプット組成物におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程であって、
該比は、第1の細胞組成物中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージ、および第2の細胞組成物中のCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数またはパーセンテージに基づいて決定される、工程と、
(b) インプット細胞組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸
分子を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
(c) 該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含
み、
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1である、遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物を製造する、方法。
【請求項13】
インプット細胞組成物が
、
(a)1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比、および/または
(
b)1.1:1の、もしくは1.69:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比
を含む、請求項
8~
12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
生物学的試料が
(a)血液、血漿もしくは血清試料であるか、またはそれから得られ、かつ/または
(b)全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核球(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物もしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれを含む、
請求項
2~5、または9~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
インプット細胞組成物が、
(a)1×10
7~5×10
9個の総細胞もしくは総T細胞、5×10
7~1×10
9個の総細胞もしくは総T細胞、1×10
8~5×10
8個の総細胞もしくは総T細胞、または2×10
8~5×10
8個の総細胞もしくは総T細胞を含むか、あるいは前記いずれかの生存集団を含み、かつ/または
(b)少なくとも1×10
8、2×10
8、3×10
8、4×10
8もしくは5×10
8個の総細胞または総T細胞、あるいは前記いずれかの生存集団
を含む、請求項1~
14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数の刺激物質は、T細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞を活性化することができ、TCR複合体を介したシグナルを誘導することができ、かつ/またはT細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞の増殖を誘導することができる、請求項
6または12のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の刺激物質が抗CD3抗体および抗CD28抗体とのインキュベーションを含む、請求項
16記載の方法。
【請求項18】
インキュベーションが、
(a)2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、もしくは10~12日にわたって実行され、かつ/または
(b)少なくとも4日、6日、8日、10日もしくは12日または4日、6日、8日、10日もしくは12日にわたって実行される、
請求項
17記載の方法。
【請求項19】
核酸分子を含む作用物質がウイルスベクターであるか、またはトランスポゾンである、請求項
1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項
1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
(a)CARが、抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインと、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはそのシグナル伝達部分であるか、もしくはそれを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、かつ/または
(b)細胞内シグナル伝達ドメインが共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、
請求項
20記載の方法。
【請求項22】
共刺激シグナル伝達領域が4-1BBもしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、請求項
21記載の方法。
【請求項23】
組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比が
、
(a)1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1、もしくは0.8:1である、かつ/または
(
b)1:1である、
遺伝子操作された細胞を含むアウトプット組成物
を産生
する、
請求項
1~22のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「METHODS FOR PRODUCING GENETICALLY ENGINEERED CELL COMPOSITIONS AND RELATED COMPOSITIONS」と題する2017年8月9日に出願された米国特許仮出願第62/543,363号、および「METHODS FOR PRODUCING GENETICALLY ENGINEERED CELL COMPOSITIONS AND RELATED COMPOSITIONS」と題する2017年12月8日に出願された米国特許仮出願第62/596,770号の優先権を主張し、その内容は全体が参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願されている。配列表は、サイズが35,001キロバイトである、2018年8月9日に作成された735042013140SEQLIST.txtと題するファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞が所定の比であるインプット組成物の刺激および/または操作を伴う方法を含む、組換え受容体を発現する細胞などの操作された細胞を生成するための方法および組成物に関する。特に、本方法は、遺伝子操作された受容体、例えば遺伝子操作された抗原受容体、例えば操作された(組換え)TCRおよびキメラ抗原受容体(CAR)、または他の組換えキメラ受容体を用いてT細胞を操作するために使用することができる。本方法の特徴として、他の方法と比べてばらつきが少なくかつ/もしくは予測可能性が高いT細胞産物および/または他の方法と比べて毒性が低い産物が産生されることが挙げられる。
【背景技術】
【0004】
背景
治療的使用のための細胞を調製し、それらの細胞を投与するには、様々な方法を利用することができる。例えば、T細胞を含む細胞を調製し、操作し、細胞療法を行うための方法は、一定の亜集団の枯渇または濃縮を伴う方法を含めて、利用することができる。例えば一定の養子細胞療法の施与に関連する毒性を低減し、製造プロセスを改良し、改良された投与を可能にし、かつ/またはコストもしくは他の資源を低減するために、改良された方法が必要とされている。そのようなニーズを満たす方法、細胞、組成物、キットおよびシステムが提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
細胞組成物を生成するための方法であって、ナイーブ様CD4+T細胞を含有する第1の細胞組成物を、ナイーブ様CD8+T細胞を含有する第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程を含む方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される。
【0006】
いくつかの態様において、本方法は、組み合わせることの前に、第1の細胞組成物中のナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。いくつかの場合において、本方法は、組み合わせることの前に、対象からの生物学的試料中のナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、インプット組成物中のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される。
【0007】
細胞組成物を生成するための方法であって、対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含有し、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有する、インプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比は、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と、を含む方法が、本明細書において提供される。
【0008】
いくつかの態様において、本方法は、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含有する作用物質と、組換え受容体をコードする核酸をインプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を、さらに含む。
【0009】
細胞組成物を生成する方法であって、対象からの生物学的試料からのナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞を含有するインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含有する作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を含み、インプット組成物中に存在するナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1である、方法が、本明細書において提供される。
【0010】
いくつかの態様において、本方法は、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖(proliferation)をもたらす、工程を、さらに含む。
【0011】
細胞組成物を生成する方法であって、ナイーブ様CD4+T細胞を含有する第1の細胞組成物を、ナイーブ様CD8+T細胞を含有する第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含有する作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程とを含む方法が、本明細書において提供される。
【0012】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27、CD28、CD62LおよびCCR7からなる群より選択されるマーカーに関して表面陽性であり、かつ/またはCD25、CD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーに関して表面陰性であり、かつ/またはCD95の低発現を有し、かつ/またはIL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現に関して陰性である。いくつかの態様において、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27、CD28およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーに関して表面陽性であり、かつ/またはCD45RO、CD56、KLRG1からなる群より選択されるマーカーに関して表面陰性であり、かつ/またはCD95の低発現を有する。いくつかの局面において、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞はCD45RAおよびCCR7に関して表面陽性である。いくつかの態様において、ナイーブ様CD4+細胞およびナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7に関して表面陽性であり、かつCD45ROに関して表面陰性である。
【0013】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、ナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定される。いくつかの局面において、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整されている。
【0014】
いくつかの態様において、生物学的試料は、血液、血漿もしくは血清試料であるか、またはそれから得られる。いくつかの局面において、生物学的試料は、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核球(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物であるか、それを含む。いくつかの場合において、生物学的試料は、アフェレーシス試料もしくは白血球アフェレーシス試料であるか、またはそれから得られる。いくつかの態様において、対象はヒト対象である。
【0015】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、インプット組成物は、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1もしくは1.0:1~1.2:1、または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1もしくは約1.0:1~1.2:1の、ナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含有する。いくつかの態様において、インプット組成物は、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、または約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1の、ナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む。いくつかの態様において、インプット組成物は、1.1:1のまたは約1.1:1の、ナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含有する。
【0016】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、インプット組成物は、1×107~5×109個もしくは約1×107~5×109個の総細胞もしくは総T細胞、5×107~1×109個もしくは約5×107~1×109個の総細胞もしくは総T細胞、1×108~5×108個もしくは約1×108~5×108個の総細胞もしくは総T細胞、または2×108~5×108個もしくは約2×108~5×108個の総細胞もしくは総T細胞を含有するか、または前記いずれかの生存集団を含有する。いくつかの場合において、インプット組成物は、少なくとも1×108、2×108、3×108、4×108もしくは5×108個または少なくとも約1×108、約2×108、約3×108、約4×108もしくは約5×108個の総細胞または総T細胞を含有するか、あるいは前記いずれかの生存集団を含有する。
【0017】
いくつかの態様において、1つまたは複数の刺激物質は、T細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞を活性化することができ、TCR複合体を介したシグナルを誘導することができ、かつ/またはT細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞の増殖を誘導することができる。いくつかの局面において、1つまたは複数の刺激物質は、TCR複合体のメンバーに結合し、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質を含有する。いくつかの場合において、1つまたは複数の刺激物質は、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を、さらに含有する。いくつかの例において、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSからなる群より選択される。
【0018】
いくつかの態様において、一次作用物質および二次作用物質は抗体を含有し、任意で、1つまたは複数の刺激物質は抗CD3抗体および抗CD28抗体とのインキュベーションを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の刺激物質は、固体支持体、任意でビーズの表面上に存在する。いくつかの態様において、1つまたは複数の刺激物質はビーズの表面上に存在し、ビーズは常磁性ビーズである。いくつかの局面において、1つまたは複数の刺激物質は、CD3結合分子、CD28結合分子、組換えIL-2、組換えIL-15、および組換えIL-7、抗原受容体によって特異的に認識される抗原を含有するワクチン、ならびに抗原受容体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0019】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、インキュベーションは、2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、または10~12日にわたって実行される。いくつかの場合において、インキュベーションは、少なくとも4日、6日、8日、10日もしくは12日または少なくとも約4日、6日、8日、10日もしくは12日または4日、6日、8日、10日もしくは12日にわたって実行される。
【0020】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、核酸分子を含有する作用物質はウイルスベクターであるか、またはトランスポゾンである。いくつかの場合において、核酸分子を含有する作用物質は、ウイルスベクターであり、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの例において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0021】
いくつかの態様において、ある疾患、障害または状態の細胞または組織に関連している、特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原に、組換え受容体が結合することができる。いくつかの場合において、疾患、障害または状態は、感染性疾患もしくは感染性障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである。いくつかの場合において、標的抗原は腫瘍抗原である。いくつかの例において、標的抗原は、ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児型アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される。
【0022】
いくつかの例において、標的抗原は、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、CD19、CD20、CD22、メソテリン(MSLN)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、B7-H3、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、CD171、葉酸受容体α、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、神経細胞接着分子(NCAM)、血管内皮増殖因子受容体(VEGF受容体もしくはVEGFR)、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、メランA(MART-1)、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、胎児腫瘍性抗原、TAG72、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、がん胎児性抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、エフリンB2、CD123、CD133、c-Met、O-アセチル化GD2(OGD2)、L1-CAMのCE7エピトープ、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原もしくは病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子の中から選択される。
【0023】
受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの態様において、数々の公知のB細胞マーカーのうちのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30であるか、またはそれを含む。
【0024】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的抗原または病原体発現抗原であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなどに由来するウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0025】
いくつかの態様において、組換え受容体は、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかあるいはそれを含有する。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの場合において、キメラ抗原受容体は、抗原結合ドメインを含有する細胞外ドメインを含有する。いくつかの場合において、抗原結合ドメインは、抗体、もしくは任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるか、またはそれを含有する。いくつかの態様において、断片は、フレキシブルリンカーによって接合された抗体可変領域を含有する。いくつかの局面において、断片はscFvを含有する。
【0026】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体はスペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含有する。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は細胞内シグナル伝達領域を含有する。いくつかの場合において、細胞内シグナル伝達領域は細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメインおよび/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはそのシグナル伝達部分であるか、またはそれを含有する。
【0027】
いくつかの態様において、CARは、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかそれを含む共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかそれを含む一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含む;CARは、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかそれを含む共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインである一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを、順に含む;またはCARは、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、4-1BBシグナル伝達ドメインであってもよい共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および任意でCD3ゼータシグナル伝達ドメインであるかそれを含む一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを、順に含む。
【0028】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は共刺激シグナル伝達領域をさらに含有する。いくつかの局面において、共刺激シグナル伝達領域はT細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含有する。いくつかの例において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、4-1BBもしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含有する。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある。
【0029】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、対象は、ある疾患または状態を有し、任意で、組換え受容体は、該疾患もしくは状態に関連する抗原または該疾患もしくは状態の細胞上に発現するもしくは存在する抗原を、特異的に認識するかあるいはそれに特異的に結合する。
【0030】
いくつかの態様において、本方法は、組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、本方法によって産生される複数のT細胞組成物における該比の平均から20%を超えずに、もしくは10%を超えずに、もしくは5%を超えずに変動する、かつ/またはそのような平均から1標準偏差を超えずに変動する、アウトプット組成物を産生する。いくつかの態様において、本方法は、組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、それぞれ両端の値を含む0.5:1~2:1もしくは0.8:1~1.6:1もしくは1:1~1.5:1または約0.5:1~2:1もしくは約0.8:1~1.6:1もしくは約1:1~1.5:1である、アウトプット組成物を産生する。いくつかの例において、アウトプット組成物における組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比は、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1もしくは0.8:1であるか、または約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約0.9:1もしくは約0.8:1である。いくつかの場合において、アウトプット組成物における組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比は、1:1であるか、または約1:1である。
【0031】
いくつかの態様において、生存細胞はアポトーシスマーカー陰性(-)である細胞を含有し、任意でアポトーシスマーカーはアネキシンVまたは活性カスパーゼ3である。
【0032】
いずれかのそのような態様のうちのいくつかにおいて、本方法はインビトロまたはエクスビボで行われる。
【0033】
本明細書に記載される方法のいずれかによって産生されるアウトプット組成物が、本明細書において提供される。記載されるアウトプット組成物を含有する薬学的組成物も提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物は薬学的担体をさらに含有する。
【0034】
記載の方法のいずれかによって産生されるアウトプット組成物または記載の薬学的組成物のいずれかを哺乳動物対象に投与する工程を含む処置の方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞は、その細胞が投与される対象に由来する。
【0035】
提供される方法の一定の態様において、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CD45RAおよびCCR7に関して表面陽性である。提供される方法のいくつかの態様において、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CD27およびCCR7に関して表面陽性である。提供される方法の特定の態様において、ナイーブ様CD4+細胞およびナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7に関して表面陽性であり、CD45ROに関して表面陰性である。
【0036】
提供される方法の一定の態様において、ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CCR7に関して表面陽性であり、CD62Lに関して表面陰性である。提供される方法のいくつかの態様において、インプット組成物は、CD45RAおよびCCR7に関して表面陽性である、1.1:1のまたは約1.1:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む。提供される方法の特定の態様において、インプット組成物は、CD45RAおよびCD27に関して表面陽性である、1.69:1のまたは約1.69:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD27およびCCR7に関して表面陽性である、1.69:1のまたは約1.69:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む。
【0037】
一定の態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、以下の工程を含む方法が、本明細書において提供される:CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程。提供される方法のいくつかの態様において、第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される。
【0038】
提供される方法の特定の態様において、本方法は、組み合わせることの前に、第1の細胞組成物中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。提供される方法の一定の態様において、本方法は、組み合わせることの前に、対象からの生物学的試料中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。提供される方法のいくつかの態様において、インプット組成物におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される。
【0039】
特定の態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、CCR7+CD45RA+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比は、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と、を含む方法が、本明細書において提供される。
【0040】
提供される方法の一定の態様は、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸をインプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を、さらに含む。
【0041】
細胞組成物を生成する方法であって、以下の工程を含む方法が、本明細書において提供される:対象からの生物学的試料からのCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含むインプット組成物であって、インプット組成物中に存在するCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で、接触させる工程。いくつかの態様において、提供される方法は、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程を、さらに含む。
【0042】
特定の態様では、細胞組成物を生成する方法であって、CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程とを含む方法が、本明細書において提供される。
【0043】
提供される方法の一定の態様において、CCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定される。提供される方法のいくつかの態様において、CCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整されている。提供される方法の特定の態様において、インプット組成物は、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1もしくは1.0:1~1.2:1の、または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1もしくは約1.0:1~1.2:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む。提供される方法の一定の態様において、インプット組成物は、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、または約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む。
【0044】
提供される方法のいくつかの態様において、インプット組成物は、1.1:1のまたは約1.1:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む。特定の態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、以下の工程を含む方法が、本明細書において提供される:CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む1.2:1~2.4:1または約1.2:1~2.4:1であるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程。
【0045】
提供される方法の一定の態様において、第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される。提供される方法のいくつかの態様において、本方法は、組み合わせることの前に、第1の細胞組成物中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。提供される方法の特定の態様において、本方法は、組み合わせることの前に、対象からの生物学的試料中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程を含む。
【0046】
提供される方法の一定の態様において、インプット組成物におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される。一定の態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、CD27+CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と、を含む方法が、本明細書において提供される。
【0047】
提供される方法のいくつかの態様は、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸をインプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を、さらに含む。
【0048】
特定の態様では、細胞組成物を生成する方法であって、対象からの生物学的試料からのCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞を含むインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を含み、インプット組成物中に存在するCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1である方法が、本明細書において提供される。提供される方法の一定の態様は、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程を、さらに含む。
【0049】
いくつかの態様では、細胞組成物を生成する方法であって、CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程とを含む方法が、本明細書において提供される。
【0050】
提供される方法の特定の態様において、CD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定される。提供される方法の一定の態様において、CD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整されている。
【0051】
提供される方法のいくつかの態様において、インプット組成物は、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1もしくは1.0:1~1.2:1または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1もしくは約1.0:1~1.2:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む。提供される方法の特定の態様において、インプット組成物は、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、または約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む。提供される方法の一定の態様において、インプット組成物は、1.1:1のまたは約1.1:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、1.69:1のまたは約1.69:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む。
【0052】
いくつかの態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、CD62L-CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD62L-CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1であるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程を含む方法が、本明細書において提供される。
【0053】
特定の態様では、細胞組成物を生成するための方法であって、対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCD62L-CCR7+CD4+T細胞およびCD62L-CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、CD62L-CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比は、対象からの生物学的試料におけるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と、を含む方法が、本明細書において提供される。
【0054】
提供される方法の一定の態様は、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸をインプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程を、さらに含む。いくつかの態様では、細胞組成物を生成する方法であって、CD62L-CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD62L-CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1であるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、組換え受容体をコードする核酸を組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、前記接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程とを含む方法が、本明細書において提供される。
【0055】
提供される方法の特定の態様において、CD62L-CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD62L-CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定される。提供される方法の一定の態様において、CD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比は、対象からの生物学的試料におけるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整されている。提供される方法のいくつかの態様において、インプット組成物は、それぞれ両端の値を含む0.5:1~1.5:1、1:1~2:1、0.75:1~1.5:1もしくは0.8:1~1.2:1または約0.5:1~1.5:1、約1:1~2:1、約0.75:1~1.5:1もしくは約0.8:1~1.2:1の、CD62L-CCR7+CD4+細胞対CD62L-CCR7+CD8+細胞の比を含む。提供される方法の特定の態様において、インプット組成物は、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1もしくは0.8:1の、または約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1もしくは約0.8:1の、CD62L-CCR7+CD4+細胞対CD62L-CCR7+CD8+細胞の比を含む。
【0056】
提供される方法の一定の態様において、生物学的試料は、血液、血漿もしくは血清試料であるか、またはそれから得られる。提供される方法のいくつかの態様において、生物学的試料は、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核球(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物であるか、それを含む。提供される方法の特定の態様において、生物学的試料は、アフェレーシス試料もしくは白血球アフェレーシス試料であるか、またはそれから得られる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1Aは、T細胞の活性化、キメラ抗原受容体(CAR)構築物による形質導入および増大(expansion)後の、T細胞組成物におけるCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の比(CAR+CD4+/CD8+比)と比較した、アフェレーシス試料における生存CD4+細胞対生存CD8+細胞の比(生存CD4+/CD8+比)の二変量フィット解析(bivariate fit analysis)のプロットを表す。曲線は、p=0.990における二変量正規楕円(bivariate normal ellipse)の境界を表す。データポイントは、健常対象(丸)および骨髄腫を持つ対象(プラス記号)を含む各対象からの4つの試料の平均比を表す。
図1Bは、T細胞の活性化、キメラ抗原受容体(CAR)構築物による形質導入および増大後の、T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD45RA+/CCR7+CD4/CD8比の二変量フィット解析のプロットを表す。曲線は、p=0.990における二変量正規楕円の境界を表す。データポイントは、健常対象(丸)および骨髄腫を持つ対象(プラス記号)を含む各対象からの4つの試料の平均比を表す。
【
図2A】
図2A~2Cは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物における様々な表現型の細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図2Aは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD45RA+/CCR7+/CD4+細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図2Bは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図2Cは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。曲線は、p=0.950における二変量正規楕円の境界を表す。データポイントは、健常ドナー(丸)および多発性骨髄腫を持つ患者(プラス記号)を含む各対象からの複数の組成物の平均比を表す。
【
図3A】
図3A~3Cは、生成した操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、多発性骨髄腫を持つ7人のドナーからの選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物における様々な表現型の細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図3Aは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD27+/CCR7+/CD4+細胞対CD27+/CCR7+/CD8+細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図3Bは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。
図3Cは、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+/CD8+比と比較した、選択されたCD4細胞およびCD8細胞の出発混合物におけるCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比の二変量フィット解析のプロットを表す。曲線は、p=0.950における二変量正規楕円の境界を表す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
詳細な説明
組換え受容体を発現させるために細胞を遺伝子操作する際に使用するための細胞組成物、例えばインプット細胞組成物を調製するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、所定の、制御された、または所望のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を含有するインプット細胞組成物を産生するために、1つまたは複数の工程を含む。いくつかの場合において、提供されるインプット組成物は、ナイーブ様CD4+T細胞の数またはパーセンテージが既知であるか決定されているCD4+T細胞を含有する細胞組成物を、ナイーブ様CD8+T細胞の数またはパーセンテージが既知であるか決定されているCD8+T細胞を含有する細胞組成物と、選ばれた比または所望の比が達成されるように、混合しまたは組み合わせることによって、産生することができる。インプット組成物中の細胞を刺激し、増大し、かつ/またはその増殖を誘導するための方法も提供される。提供される方法は、細胞の遺伝子操作に関連する方法、例えば形質導入方法、例えば養子細胞療法に関連して使用するためのそのような細胞にキメラ抗原受容体などの組換え受容体を導入するための方法を含むこともできる。
【0059】
1つの態様において、生成したインプット組成物の処理には、例えばいくつかの局面では、細胞を活性化して操作もしくは形質導入または細胞の増大を行うために、細胞を刺激条件下でインキュベートする工程が含まれる。本方法は、いくつかの態様において、複数の細胞タイプ、例えばCD4+細胞およびCD8+細胞、例えば単離されてインプット組成物中に存在するものを操作するための工程を含む。いくつかの局面において、操作する工程は、TCR、例えば高親和性TCR、または機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの、遺伝子操作された抗原受容体を細胞に導入するために実行される。いくつかの局面において、本方法はさらなる処理、例えばさらなるインキュベーション、例えば37℃±2℃もしくは約37℃±2℃におけるさらなるインキュベーション、ならびに/または細胞およびそれを含有する組成物の製剤化を含む。いくつかの態様において、処理は、遺伝子操作された細胞、例えば遺伝子操作されたCD4+細胞およびCD8+細胞、例えば操作されたCD4+細胞とCD8+細胞とが所望の比で存在する細胞を含有する、結果として生じるアウトプット組成物を産生する。いくつかの態様において、結果として生じる処理されたアウトプット組成物は、本方法によって調製された細胞および組成物を例えば養子細胞療法などに関連して患者に投与する方法において使用することができる。
【0060】
いくつかの局面において、操作された細胞、例えばCAR+T細胞を含有するアウトプット組成物であって、操作されたCD4+細胞とCD8+細胞とが所望の比で存在するか、または所望の比の一定程度の許容誤差内に存在するものは、有利である。例えば、複数の異なる細胞集団または細胞のタイプ、例えば単離されたCD4+およびCD8+のT細胞集団およびT細胞亜集団が濃縮された細胞を操作する工程は、効力を改良し、または不要な効果を低減しもしくは回避することができる。いくつかの場合において、そのような比には、例えば治療用途にとって最適と見なされる比、例えば養子細胞療法に関連して、患者への投与にとって適当または最適と見なされるアウトプット比が含まれる。いくつかの態様において、養子細胞療法などに関連して対象に投与するためのアウトプット組成物におけるCD4+T細胞対CD8+T細胞の所望の比は、2:1~0.5:1または約2:1~0.5:1、例えば1:1または約1:1である。いくつかの局面において、単離されたCD8+およびCD4+T細胞を含有する組成物、例えば一定の所望の比のそのような細胞を含有する組成物は、最終的に対象に投与される細胞の、存続し、増大し、活性化された状態になり、かつ/またはインビボでもしくは対象に投与されたときに生着する能力を増加させる。いくつかの局面において、これは1つまたは複数のエフェクター機能または活性化表現型を改良しまたは増加させる。例えば、そのような利点は、いくつかの局面において、CD8+集団のみではなくCD4+集団およびCD8+集団を投与することによって達成することができる。
【0061】
いくつかの態様において、本方法には、他の調製、単離、インキュベーションおよび操作方法と比較して、コスト削減、時間削減および/または省資源など、1つまたは複数の利点がある。そのような利点には、所望の比でまたは所望の比に近い比で存在する複数の細胞集団を、他の方法と比較して向上した効率で、ならびに/または低減した複雑さ、時間、コストおよび/もしくは資源使用で、単離、処理、例えばインキュベート、および/または操作できることが含まれ得る。
【0062】
いくつかの態様において、提供される方法は、細胞を操作するための一定の細胞産生プロセスにおいて、CD4+細胞対CD8+細胞のインプット比、またはそれらの生存細胞の比が、操作されたCD4+細胞対CD8+細胞のアウトプット比、またはそれらの生存細胞の比とは相関しないかもしれないという知見に基づく。本明細書に示すとおり、アウトプット組成物における操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)所望の比は、アウトプット組成物を産生するために例えば細胞の刺激、活性化、増大、増殖および/または形質導入のうちの1つまたは複数の工程を伴う産生プロセスを細胞に対して実行する前にインプット組成物中に存在するナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比またはそれらの生存細胞の比と相関または関連することがわかる。そのようなナイーブ様細胞の典型例は、CD45RA+およびCCR7+、CD62L-/CCR7+またはCD27+/CCR7+であるCD4+細胞対CD8+細胞の比である。いくつかの局面において、インプット組成物におけるナイーブ様CD4/CD8細胞の比と、アウトプット組成物における操作されたCD4+細胞対CD8+細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)比との間のそのような相関は、アウトプット組成物を生成または産生するために使用されるプロセスの変動にもかかわらず、存在することが観察される。この変動の原因は、細胞組成物間のばらつきをもたらし得るプロセスの特定工程または特定条件などといった、いくつかの異なる要因を含み得るか、または操作された細胞がそこから単離され、選択され、誘導され、または得られる個体または試料における相違に由来し得る。
【0063】
一定の態様において、提供される方法は、アウトプット組成物における操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)所望の比が、アウトプット組成物を産生するために例えば細胞の刺激、活性化、増大、増殖および/または形質導入のうちの1つまたは複数の工程を伴う産生プロセスを細胞に対して実行する前にインプット組成物中に存在するCD45RA+/CCR7+CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+CD8+T細胞の比またはそれらの生存細胞の比と相関または関連するという知見に基づく。一定の局面において、インプット組成物におけるCD45RA+/CCR7+CD4+細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+細胞の比と、アウトプット組成物における操作されたCD4+細胞対CD8+細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)比との間のそのような相関は、アウトプット組成物を生成または産生するために使用されるドナーおよび/またはプロセスの変動にもかかわらず、存在することが観察される。
【0064】
特定の態様において、提供される方法は、アウトプット組成物における操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)所望の比が、アウトプット組成物を産生するために例えば細胞の刺激、活性化、増大、増殖および/または形質導入のうちの1つまたは複数の工程を伴う産生プロセスを細胞に対して実行する前にインプット組成物中に存在するCD62L-/CCR7+CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+CD8+T細胞の比またはそれらの生存細胞の比と相関または関連するという知見に基づく。一定の局面において、インプット組成物におけるCD62L-/CCR7+CD4+細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+細胞の比と、アウトプット組成物における操作されたCD4+細胞対CD8+細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)比との間のそのような相関は、アウトプット組成物を生成または産生するために使用されるドナーおよび/またはプロセスの変動にもかかわらず、存在することが観察される。
【0065】
いくつかの態様において、提供される方法は、アウトプット組成物における操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)所望の比が、アウトプット組成物を産生するために例えば細胞の刺激、活性化、増大、増殖および/または形質導入のうちの1つまたは複数の工程を伴う産生プロセスを細胞に対して実行する前にインプット組成物中に存在するCD27+/CCR7+CD4+T細胞対CD27+/CCR7+CD8+T細胞の比またはそれらの生存細胞の比と相関または関連するという知見に基づく。一定の局面において、インプット組成物におけるCD27+/CCR7+CD4+細胞対CD27+/CCR7+/CD8+細胞の比と、アウトプット組成物における操作されたCD4+細胞対CD8+細胞の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)比との間のそのような相関は、アウトプット組成物を生成または産生するために使用されるドナーおよび/またはプロセスの変動にもかかわらず、存在することが観察される。
【0066】
いくつかの局面において、提供される方法は、細胞産生プロセスによって生成する遺伝子操作された細胞、例えばCAR+T細胞のアウトプット組成物が、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の、比較的一貫したかつ/または制御された所望の比、またはそれらの生存細胞の比であって、多くの異なる対象、例えば異なる特徴を有する対象、例えば年齢、前治療の数および/またはタイプ、ならびに適応およびそのサブタイプまたは重篤度またはグレードが異なる対象からの試料に由来するものを含む、本プロセスによって産生された組成物間で、低い分散または許容されるしきい分散未満であるそのような比の分散を呈するものを達成することを保証する。いくつかの局面において、そのようなプロセスは、そのような操作されたCD4+対CD8+の(例えばCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の、またはそれらの生存細胞の)、そのプロセスによって産生される複数のT細胞組成物における該比の平均から20%を超えずに、もしくは10%を超えずに、もしくは5%を超えずに変動する、かつ/または、そのような平均から1標準偏差を超えずに変動する、または、そのような様々な試料および患者の間で、そのプロセスによって産生される複数のT細胞組成物間で、20%を超えずに、もしくは10%を超えずに、もしくは5%を超えずに変動する、比を生成する。
【0067】
いくつかの態様において、細胞産生プロセス間、生成するアウトプット組成物間で、例えば操作されたCD4 T細胞対CD8 T細胞比に関して、より高い一貫性をもたらすプロセスの使用は、対象の投薬における一貫性を保証するのに有利であることができ、それは、いくつかの局面において、処置される対象間で、投与される組成物の効力、力価および/または安全性を最適化することができる。いくつかの局面において、操作されたアウトプット組成物においてCD4+T細胞集団およびCD8+T細胞集団が所望のアウトプット比で濃縮されている細胞を操作する工程は、効力を改良し、または不要な効果を低減しもしくは回避することができる。いくつかの局面において、この単離または濃縮は、最終的に対象に投与される細胞の、存続し、増大し、活性化された状態になり、かつ/またはインビボでもしくは対象に投与されたときに生着する能力を増加させる。いくつかの局面において、これは1つまたは複数のエフェクター機能または活性化表現型を改良しまたは増加させる。そのような結果は、細胞操作のための出発細胞試料間にドナー変動性がある場合でさえ、達成され得る。
【0068】
いくつかの態様において、本明細書で提供される方法では、アウトプット組成物において所望のアウトプット比を有する操作された細胞の治療用細胞組成物の産生が可能であり、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を別々に処理および/または投与する必要がない。したがって提供される方法は、所望のアウトプット比の、またはそれに近い、操作されたCD4+T細胞集団およびCD8+T細胞集団を有する組成物を調製するための、より簡潔なかつ/または制御された方法を提供する。特定の局面では、記載のとおり所望の比のナイーブ様CD4細胞およびCD8細胞を含有するインプット組成物を産生した後に、提供される方法を、CD4+T細胞およびCD8+T細胞が単一ストリームプロセス(single stream process)で一緒に処理、例えば活性化、刺激、増大および/または形質導入される、細胞産生プロセスにおいて、使用することができる。したがっていくつかの局面において、本方法では、細胞集団が組み合わされて単離、インキュベートおよび/または操作される、養子細胞療法において使用するための遺伝子操作された抗原受容体の導入が可能であり、本方法は、集団が別々に単離、インキュベートおよび/または操作される方法と比較して、向上した効率ならびに/または低減した複雑さ、時間、コストおよび/もしくは資源使用を伴う。
【0069】
薬学的組成物および製剤を含む、本方法によって調製された細胞および組成物、ならびに本方法を実行するためのキット、システムおよびデバイスも提供される。養子細胞療法の方法などといった治療方法を含む、本方法によって調製される細胞および組成物の使用方法、ならびに対象に投与するための薬学的組成物も提供される。
【0070】
本出願において言及される特許文書、科学論文、およびデータベースを含むすべての刊行物は、あたかも各々個々の刊行物が個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、すべての目的でその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願、および他の刊行物において示される定義と相反するか、またはさもなければ矛盾する場合は、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先される。
【0071】
本明細書において用いられるセクションの見出しは、構成上の目的だけのものであり、記載されている主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0072】
I. CD4+T細胞対CD8+T細胞またはそれらの特定サブタイプの比が制御されている、操作された細胞を生成するための方法
組換え受容体を発現させるために細胞を遺伝子操作する際に使用するための細胞組成物、例えばインプット細胞組成物を生成するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、インプット細胞組成物はCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含有する。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の1つまたは複数のサブタイプまたは集団を含有する。一定の態様において、前記1つまたは複数のサブタイプまたは集団は、ナイーブ細胞および/またはナイーブ様細胞である。特定の態様において、インプット細胞組成物はCD4+T細胞を含有し、そのCD4+T細胞の少なくとも一部分はナイーブ様CD4細胞である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物はCD8+T細胞を含有し、そのCD8+T細胞の少なくとも一部分はナイーブ細胞である。特定の態様において、インプット細胞組成物は、固定された、好ましい、標的の、所定の、および/または制御された、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を含有しおよび/または有する。
【0073】
一定の態様において、本方法は、細胞または細胞の組成物を混合しまたは組み合わせてインプット細胞組成物を生成または産生する、1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、細胞または細胞組成物は、試料から選択および/または単離されている。いくつかの態様において、インプット細胞組成物の細胞は、試料から選択および/または単離されている。いくつかの態様において、CD4+T細胞および/またはCD4+T細胞の組成物は、試料から選択されまたは単離される。いくつかの態様において、試料は、血液試料、アフェレーシス試料および/または白血球アフェレーシス試料などの生物学的試料である。一定の態様において、試料は対象、例えばヒト対象からの試料である。特定の態様において、CD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物は、同じ試料から単離および/または選択される。一定の態様において、CD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物は、同じ対象から採取されまたは得られた試料から、単離および/または選択される。
【0074】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物の生成および産生は、細胞を評価、特徴付けおよび/または同定する、1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、CD4+T細胞の組成物において、細胞を評価、特徴付けおよび/または同定する。いくつかの態様では、CD8+T細胞の組成物において、細胞を評価、特徴付けおよび/または同定する。いくつかの態様では、T細胞におけるナイーブ様状態を示しかつ/またはT細胞におけるナイーブ様状態に関連するマーカーに関して陽性である細胞について、細胞を評価する。一定の態様では、T細胞における非ナイーブ様状態を示しかつ/またはT細胞における非ナイーブ様状態に関連するマーカーに関して陰性である細胞について、細胞を評価する。特定の態様では、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物からの細胞、例えば対象からの生物学的試料から単離された細胞組成物からの細胞を評価、特徴付けおよび/または同定することで、ナイーブ様状態に関連する1つもしくは複数のマーカーに関して陽性である細胞および/または非ナイーブ様状態に関連する1つもしくは複数のマーカーに関して陰性である細胞の量、レベル、割合および/またはパーセンテージを決定する。一定の態様では、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物からの細胞、例えば対象からの生物学的試料から単離された細胞組成物からの細胞を評価、特徴付けおよび/または同定することで、ナイーブ様細胞である細胞の量、レベル、割合および/またはパーセンテージを決定する。
【0075】
いくつかの態様において、本方法は、CD4+T細胞を含有する細胞組成物を、CD8+T細胞を含有する細胞組成物と混合しまたは組み合わせて、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞が所定の比である細胞組成物、例えばインプット細胞組成物を生成または産生する、1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、インプット細胞組成物の生成または産生は、(i)試料、例えば生物学的試料からCD4+T細胞の組成物および/もしくはCD8+T細胞の組成物を単離または選択し、(ii)CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞の組成物中のナイーブ様状態に関連する1つまたは複数のマーカーに関して陽性である細胞および/もしくは非ナイーブ様状態に関連する1つまたは複数のマーカーに関して陰性である細胞の量、レベル、割合および/もしくはパーセンテージを評価、特徴付けおよび/または同定し、かつ/または(iii)CD4+T細胞の組成物の細胞を、CD8+T細胞の組成物の細胞と、所定の、固定された、および/または好ましい、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比で、混合しもしくは組み合わせる、1つまたは複数の工程を含む。特定の態様において、インプット細胞組成物におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比は、試料中に存在する比とは異なる。
【0076】
特定の態様において、インプット細胞組成物の内容、構造(make-up)および/または構成(constitution)は、アウトプット細胞組成物の内容、構造および/または構成と相関し、それらを制御し、それらと対応し、かつ/またはそれらと関連する。一定の態様において、インプット細胞組成物におけるナイーブおよび/またはナイーブ様細胞の、例えばナイーブ様T細胞の、量、割合、パーセンテージ、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/または比は、アウトプット細胞組成物の内容、構造および/または構成と相関し、それらを制御し、それらと対応し、かつ/またはそれらと関連する。特定の態様において、インプット細胞組成物におけるナイーブ様CD4+T細胞および/またはナイーブ様CD8+T細胞の量、割合、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/または比は、アウトプット細胞組成物における内容、構造および/または構成と相関し、それらを制御し、それらと対応し、かつ/またはそれらと関連する。
【0077】
いくつかの態様において、本方法は、インプット組成物の細胞を遺伝子操作する、1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、遺伝子操作は、細胞を活性化および/または刺激する条件下でインプット細胞組成物の細胞をインキュベートし、遺伝子、例えば組換えおよび/または異種遺伝子を細胞に送達し、細胞を活性化条件または刺激条件下でインキュベートすることによって細胞を増大し、細胞を収穫し、かつ/または凍結によって、例えば凍結保存によって、細胞を貯蔵する、1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の遺伝子操作工程は、操作された細胞を含有するアウトプット細胞組成物を産生する。一定の態様において、アウトプット組成物の操作された細胞は、固定された、所定の、および/または標的のCD4+細胞対CD8+細胞の比を有する。
【0078】
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、所定のCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する操作された細胞、例えば組換え受容体を発現する細胞などを生成するための1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、本明細書において提供される方法は、出発細胞組成物および/またはインプット細胞組成物からの細胞を遺伝子操作することで、所定の、遺伝子操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する結果として生じる細胞組成物および/またはアウトプット細胞組成物を生成するための、1つまたは複数の工程を含む。特定の態様において、遺伝子操作する工程は、核酸を含有する作用物質をインプット細胞組成物の細胞に導入するための、インプット細胞組成物からの細胞のトランスフェクションまたは形質導入であるか、それを含む。いくつかの態様において、核酸は、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物を生成する工程は、インプット細胞組成物の細胞を活性化しもしくは刺激し、インプット細胞組成物からの細胞に遺伝子操作、形質導入もしくはトランスフェクションを行い、かつ/またはトランスフェクト細胞を増大し、それによって、所定の、遺伝子操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比、例えば1:1の比を有する、アウトプット細胞組成物をもたらす、1つまたは複数の工程を含む。
【0079】
A. インプット細胞組成物の細胞および調製
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、遺伝子操作のために細胞を調製するための1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、1つまたは複数の工程は、遺伝子操作を受ける細胞の組成物、例えばインプット細胞組成物を調製するために、生物学的試料から細胞を単離する工程を含む。いくつかの態様において、インプット細胞組成物の調製は、2つ以上の細胞タイプおよび/または特定細胞タイプもしくは細胞サブタイプの組成物を単離し、その細胞タイプおよび/または特定細胞タイプの組成物を混合しまたは組み合わせて単一のインプット細胞組成物にする、1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、組成物中のさらなるサブタイプの存在、量および/または比を決定するために、特定細胞タイプの細胞組成物が評価される。一定の態様では、細胞タイプまたは細胞サブタイプの比が固定されまたは決定されたインプット細胞組成物が達成されるように、特定細胞タイプの細胞組成物が混合されまたは組み合わされる。いくつかの態様において、細胞タイプおよび/または細胞サブタイプは、アウトプット細胞組成物の内容、構造および/または構成と相関し、それらを制御し、それらと対応し、かつ/またはそれらと関連する。
【0080】
一定の態様において、インプット細胞組成物の調製は、CD4+T細胞の組成物またはCD4+T細胞を含む組成物を単離し、CD8+T細胞の組成物またはCD8+T細胞を含む組成物を単離し、特定細胞タイプのCD4+T細胞組成物とCD8+T細胞組成物とを混合しまたは組み合わせて単一のインプット細胞組成物にする、1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、インプット細胞組成物の調製は、細胞組成物のCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞のサブタイプの割合または量を評価、決定および/または定量する、1つまたは複数の工程を含む。特定の態様において、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞のサブタイプは、ナイーブおよび/またはナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞であるか、それらを含む。いくつかの態様において、インプット細胞組成物におけるナイーブ様細胞の割合または量は、アウトプット細胞組成物の内容、構造および/または構成と相関し、それらを制御し、それらと対応し、かつ/またはそれらと関連する。
【0081】
いくつかの態様において、試料から単離される細胞、例えばCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、いくつかの態様ではヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は対象の血液、骨髄、リンパもしくはリンパ器官に由来し、かつ/または免疫系の細胞、例えば自然免疫または適応免疫の細胞である。いくつかの態様において、細胞はリンパ球である。一定の態様において、リンパ球はTリンパ球またはT細胞である。いくつかの態様において、細胞はCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む。
【0082】
一定の態様において、T細胞の組成物、例えばCD4+T細胞組成物および/またはCD8+T細胞組成物は、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大能、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって、さらに類別される細胞のサブタイプを含有する。例えばいくつかの態様において、細胞は、ナイーブおよび/またはナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞であるか、それらを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種異系および/または自己由来であり得る。方法の中には、既製の方法が含まれる。いくつかの態様において、方法は、対象から細胞を単離し、細胞を調製、処理、培養および/または操作し、凍結保存の前または後に、細胞を同じ対象に再導入する工程を含む。
【0083】
いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養工程および/または調製工程を含む。インプット細胞組成物、例えばCARなどの組換え受容体を発現させるためなどの目的で遺伝子操作を受ける細胞の組成物において使用される細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られたものまたは対象に由来するものから単離された細胞を含有し得る。いくつかの態様において、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が施与される対象である。いくつかの態様における対象は、特定の治療的介入、例えば養子細胞療法であってそのための細胞が単離、処理および/または操作されているものを必要とするヒトである。
【0084】
いくつかの局面において、細胞が由来するかまたは単離される試料、例えば生物学的試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシス産物もしくは白血球アフェレーシス産物に由来する。例示的な試料として、全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。いくつかの態様において、細胞は、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核球(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含み得る試料または生物学的試料に由来し、そこから単離され、かつ/または選択される。試料には、細胞療法、例えば養子細胞療法に関連して、自己由来および同種異系の供給源由来の試料が含まれる。
【0085】
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0086】
いくつかの態様において、細胞または細胞の組成物、例えばTリンパ球またはCD4+T細胞組成物および/もしくはCD8+T細胞組成物の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または親和性に基づかない細胞分離工程を含む。いくつかの例において、例えば、不要な構成要素を除去する、所望の構成要素を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解するかまたは除去するために、細胞を、洗浄し、遠心分離し、かつ/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートする。いくつかの例において、細胞は、密度、接着特性、サイズ、特定の構成要素に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0087】
いくつかの例において、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0088】
いくつかの態様において、対象から収集された血球を、例えば、血漿画分を除去するため、および細胞をその後の処理工程に適切な緩衝液または培地に置くために洗浄する。いくつかの態様において、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウム、ならびに/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面において、洗浄工程は、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)において、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの局面において、洗浄工程は、接線流濾過(TFF)によって、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの態様において、細胞を、洗浄後に、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁する。ある特定の態様において、血球試料の構成要素を除去し、細胞を、培養培地に直接再懸濁する。
【0089】
いくつかの態様において、方法は、密度に基づく細胞分離法、例えば、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびPercollまたはFicoll勾配を通した遠心分離を含む。
【0090】
いくつかの態様において、単離法は、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特異的な分子の細胞における発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が、用いられてもよい。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、ならびにその後概して続く、洗浄工程、および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離による、細胞および細胞集団の分離を含む。
【0091】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために保持される陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される陰性選択に基づくことができる。いくつかの例において、両方の画分が、さらなる使用のために保持される。いくつかの局面において、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に実施されるように、不均一な集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能ではない場合に、特に有用であり得る。
【0092】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去を結果としてもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の型の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在を結果としてもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の型の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去を結果としてもたらす必要はない。
【0093】
いくつかの例において、1つの工程由来の陽性選択または陰性選択された画分が、その後の陽性選択または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例において、例えば、細胞を、陰性選択のために標的とされるマーカーに各々特異的な多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、単一の分離工程が、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、細胞を、様々な細胞型上に発現される多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0094】
例えばいくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団またはサブタイプ、例えばCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞が、陽性または陰性選択技法によって単離される。一定の態様では、CD4+T細胞および/またはCD4+T細胞の細胞組成物もしくはCD4+T細胞を含む細胞組成物が、陽性または陰性選択技法によって単離される。特定の態様では、CD8+T細胞および/またはCD8+T細胞の細胞組成物もしくはCD8+T細胞を含む細胞組成物が、陽性または陰性選択技法によって単離される。特定の態様では、CD4+T細胞の組成物および/またはCD8+T細胞の組成物が、陽性または陰性選択技法によって単離される。
【0095】
いくつかの態様において、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって実施される。いくつかの態様において、陽性または陰性選択は、細胞を、それぞれ陽性または陰性選択される細胞上に発現されるか(マーカー+またはマーカー+)、または比較的高いレベルで発現される(マーカー高)、1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合物質と共にインキュベートすることによって達成される。
【0096】
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現されるマーカー、例えばCD14の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程が、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために用いられる。そのようなCD4+組成物およびCD8+組成物は、マーカーの陽性発現または陰性発現および/またはマーカーの相対的発現レベルに基づいて、亜集団へとさらに分類または選別され得る細胞を含有することができる。そのようなサブタイプには、ナイーブ、ナイーブ様および/または非ナイーブのサブタイプまたは亜集団が含まれ得る。
【0097】
一定の態様において、CD4+T細胞、例えばCD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブおよび/またはナイーブ様細胞と非ナイーブおよび/または非ナイーブ様細胞とに類別される。特定の態様において、CD8+T細胞、例えばCD8+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブおよび/またはナイーブ様細胞と非ナイーブおよび/または非ナイーブ様細胞とに類別される。
【0098】
一定の態様では、Tリンパ球が免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使って分離または単離される。特定の態様では、CD4+T細胞および/またはCD4+T細胞の組成物が免疫磁気分離技法を使って分離または単離される。いくつかの態様では、CD8+T細胞および/またはCD8+T細胞の組成物が免疫磁気分離技法を使って分離または単離される。免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使った分離および単離については、Methods in Molecular Medicine,vol.58:Metastasis Research Protocols、Vol.2:Cell Behavior In Vitro and In Vivo,p17-25,S.A.BrooksおよびU.Schumacher編(c)Humana Press Inc.(ニュージャージー州トトワ)に総説がある。
【0099】
いくつかの局面において、分離されるべき細胞の試料または組成物を、小さな磁化可能または磁気応答性材料、例えば磁気応答性粒子または微小粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)とインキュベートする。磁気応答性材料、例えば粒子は、概して、分離することが望ましい、例えば、陰性選択または陽性選択することが望ましい細胞、複数の細胞、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接または間接的に付着している。
【0100】
いくつかの態様において、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離法で用いられる、多数の公知の磁気応答性材料が存在する。適している磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものが含まれる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものが、他の例である。
【0101】
インキュベーションは、概して、磁性粒子もしくはビーズに付着している抗体もしくは結合パートナー、または、そのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬などの分子が、試料内の細胞上に存在する場合は細胞表面分子に特異的に結合する条件下で実施される。
【0102】
いくつかの局面において、試料を磁場に置き、磁気応答性または磁化可能粒子が付着している細胞を、磁石に引きつけて、非標識細胞から分離する。陽性選択のためには、磁石に引きつけられる細胞が保持され;陰性選択のためには、引きつけられない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面において、陽性選択と陰性選択との組み合わせが同じ選択工程中に行われ、ここで、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0103】
ある特定の態様において、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされている。ある特定の態様において、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。ある特定の態様において、ビーズではなく細胞を、一次抗体または結合パートナーで標識し、次いで、細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子を添加する。ある特定の態様において、ストレプトアビジンコーティング磁性粒子を、ビオチン化一次抗体または二次抗体と組み合わせて用いる。
【0104】
いくつかの態様において、磁気応答性粒子は、その後インキュベート、培養、および/または操作されることになる細胞に付着したままであり;いくつかの局面において、粒子は、患者への投与のための細胞に付着したままである。いくつかの態様において、磁化可能または磁気応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、および、切断可能リンカーにコンジュゲートした磁化可能粒子または抗体の使用を含む。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
【0105】
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を介する。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が付着している細胞の高純度の選択ができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種および標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出される間、適所に保持される。次いで、この最初の溶出工程が完了した後に、磁場に捕捉されて溶出が阻止されていた種は、それらが溶出されて回収され得るように、何らかの方法で遊離される。ある特定の態様において、非標的細胞を、標識して、不均一な細胞の集団から枯渇させる。
【0106】
ある特定の態様において、単離または分離は、本発明の方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実施するシステム、デバイス、または装置を用いて実施される。いくつかの局面において、システムは、例えば、エラー、使用者の取り扱い、および/または汚染を最小化するように、これらの工程の各々を閉鎖環境または無菌環境で実施するために用いられる。1つの例において、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003、またはUS 20110003380 A1に記載されているようなシステムである。
【0107】
いくつかの態様において、システムまたは装置は、統合もしくは自己完結型システムで、および/または自動化もしくはプログラム可能方式で、単離、処理、操作、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えばすべてを実施する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置に接続されたコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、使用者が処理、単離、操作、および製剤化工程をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、かつ/またはその様々な局面を調整することが可能になる。
【0108】
いくつかの局面において、分離工程および/または他の工程は、例えば、閉鎖系および無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。いくつかの局面における統合コンピュータは、機器のすべての構成要素を制御し、標準化された順序で反復手順を行うようにシステムに指令する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動永久磁石および選択カラム用のホルダを含む。蠕動ポンプは、チューブセット全体の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通る緩衝液の制御された流れおよび細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0109】
いくつかの局面におけるCliniMACSシステムは、無菌非発熱性溶液において供給される抗体カップリング磁化可能粒子を用いる。いくつかの態様において、細胞の磁性粒子での標識化後に、細胞を、洗浄して過剰の粒子を除去する。次いで、細胞調製バッグをチューブセットに接続し、これを次に、緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続する。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含むあらかじめ組み立てられた無菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムの開始後、システムは、自動的に細胞試料を分離カラム上にアプライする。非標識細胞が一連の洗浄工程によって除去される間、標識細胞は、カラム内に保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されておらず、カラムに保持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されており、カラムに保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0110】
ある特定の態様において、分離工程および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。いくつかの局面におけるCliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムはまた、供給源細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する、搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば、末梢血は、赤血球、白血球、および血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば、細胞分化および増大、抗原負荷、ならびに長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを達成する、統合細胞培養チャンバも含むことができる。入力ポートは、培地の無菌除去および補充を可能にすることができ、細胞を、統合顕微鏡を用いてモニターすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れにおいて運ばれるフローサイトメトリーを介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、調製規模(FACS)選別を介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。ある特定の態様において、本明細書に記載される細胞集団を、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10:1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合も、細胞を、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする、複数のマーカーで標識することができる。
【0112】
いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づいてもよい。いくつかの例において、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、調製規模(FACS)を含む蛍光活性化細胞選別(FACS)、および/または、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、流体の流れにおいて行われる。そのような方法は、同時に複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を可能にする。
【0113】
インプット細胞組成物
一定の態様では、インプット細胞組成物を産生および/または調製する方法が、本明細書において提供される。一定の態様において、インプット細胞組成物は、遺伝子操作において使用するための細胞、例えば、組換えタンパク質、例えばCARなどの組換え受容体をコードする核酸で遺伝子操作されることになる細胞、および/または組換えタンパク質、例えばCARなどの組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞を産生するためのプロセスを受けることになる細胞の組成物である。一定の態様において、インプット組成物の細胞は、組換え受容体をコードする核酸による処理、該核酸との接触、および/または該核酸とのインキュベーションをされることになる。一定の態様において、インプット細胞組成物はCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含有する。特定の態様において、インプット細胞組成物は、特定の所望の比、固定された比および/または制御された比の、ナイーブおよび/またはナイーブ様T細胞であるCD4+T細胞対CD8+T細胞を含むCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含有する。
【0114】
いくつかの態様において、ナイーブおよび/またはナイーブ様T細胞であるCD4+T細胞対CD8+T細胞の所望の比、固定された比および/または制御された比は、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞が所望の比、所定の比および/または制御された比であるかまたはその許容誤差率(tolerated error rate)もしくはその許容誤差(tolerated error difference)内にあるアウトプット細胞組成物を、インキュベーションおよび/または操作工程もしくは他の処理工程の完了時におよび/または解凍時におよび/または対象への投与の直前にもたらすように設計された、インプット細胞組成物に含まれる2タイプの細胞または単離された細胞集団が示す細胞の比または細胞の数である。
【0115】
一定の態様において、インプット細胞組成物は、あるCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比、例えば所定の比、制御された比、および/または固定された比を含有する。特定の態様において、CD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比は、両端の値を含む10:1~0.05:1、8:1~0.1:1、5:1~0.2:1、2.5:1~0.25:1、2.2:1~0.8:1、2:1~0.5:1、または1.5:1~1:1である。特定の態様において、CD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比は、両端の値を含む2:1~0.8:1、1.6:1~0.8:1、1.4:1~0.8:1、1.2:1~0.8:1、または1.2:1~0.8:1である。いくつかの態様において、比は、両端の値を含む2.2:1~0.8:1である。一定の態様において、CD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比は、2.2:1、2.1:1、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1、もしくは0.8:1であるか、または約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1、もしくは約0.8:1である。一定の態様において、比は、1.1:1であるか、または約1.1:1である。
【0116】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、総細胞または総生存細胞の量が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、ナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞の量が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。
【0117】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108または1×108~3×108個の総細胞または総生存細胞を有する。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、ナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞の量が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。
【0118】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のナイーブ様細胞を有しまたは含有する。特定の態様において、インプット細胞組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下または85%以下のナイーブ様細胞を含有しまたは含む。
【0119】
特定の態様において、本明細書において提供される方法は、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞の組成物の細胞をCD8+T細胞の組成物の細胞と混合しまたは組み合わせる1つまたは複数の工程を含む。
【0120】
いくつかの態様において、インプット組成物の細胞、例えばCD4+T細胞 CD8+T細胞は、試料、例えば生物学的試料から単離および/または選択されている。一定の態様において、インプット組成物の細胞の供給源は、試料から単離および/または選択された、例えば別々に単離または選択された、細胞の組成物、例えばCD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物である。特定の態様において、CD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物は、試料、例えば生物学的試料から、単離および/または選択、例えば別々に単離および/または選択される。一定の態様において、CD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物は、同じ試料から単離および/または選択される。一定の態様において、CD4+T細胞の組成物およびCD8+T細胞の組成物は、同じ対象から採取されまたは得られた試料から、単離および/または選択される。
【0121】
特定の態様において、CD4+T細胞の組成物は、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のCD4+T細胞を含有しまたは含む。いくつかの態様において、CD4+T細胞の組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下または85%以下のCD4+T細胞を含有しまたは含む。
【0122】
一定の態様において、CD8+T細胞の組成物は、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のCD8+T細胞を含有しまたは含む。特定の態様において、CD8+T細胞の組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下、または85%以下のCD8+T細胞を含有しまたは含む。
【0123】
一定の態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、例えば細胞組成物の細胞を組み合わせまたは混合する前にCD4+T細胞の組成物および/またはCD8+T細胞の組成物中に存在する生存CD4+T細胞および/または生存CD8+T細胞の量、割合、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを測定、決定および/または定量する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞の組成物および/またはCD8+T細胞の組成物中に存在するナイーブ様CD4+T細胞および/またはナイーブ様CD8+T細胞の量、割合、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを測定、決定および/または定量する1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、ナイーブ様CD4+T細胞および/またはナイーブ様CD8+T細胞は、生存ナイーブ様細胞である。
【0124】
一定の態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、試料、例えば生物学的試料中に存在する生存CD4+T細胞および/または生存CD8+T細胞の量、割合、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを測定、決定および/または定量する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、試料中に存在するナイーブ様CD4+T細胞および/またはナイーブ様CD8+T細胞の量、割合、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを測定、決定および/または定量する1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、ナイーブ様CD4+T細胞および/またはナイーブ様CD8+T細胞は、生存ナイーブ様細胞である。
【0125】
いくつかの態様において、インプット組成物の細胞は、試料、例えば生物学的試料から単離および/または選択される。特定の態様において、試料におけるナイーブ様細胞の割合、例えばナイーブ様CD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合は既知であるか、決定、測定または評価されている。いくつかの態様では、所定の、固定された、または制御されたナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を持つ細胞組成物、例えばインプット細胞組成物を直接産生するために、試料からの細胞が単離および/または選択される。一定の態様において、細胞は免疫親和性ビーズ選択法で単離および/または選択される。いくつかの態様において、細胞は親和性カラムで単離および/または選択される。特定の態様において、試料からの細胞は、所定の、制御された、および/または固定されたナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を持つ細胞組成物を産生するために、WO 2015/164675に記載されている方法のいずれかに従って、単離または選択される。
【0126】
一定の態様において、インプット細胞組成物は、第1および第2の単離または選択によって試料から直接的に単離および/または選択された細胞を含有する。一定の態様において、インプット組成物は、所定の、固定された、および/または制御されたナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比をもたらすのに十分な量、数または濃度のCD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離するために第1および第2の選択を行うことによって産生される。
【0127】
いくつかの態様において、試料からの細胞は、CD4+細胞およびCD8+細胞が濃縮されたインプット細胞組成物を産生するために、直接的に単離、選択および/または濃縮される。いくつかの態様において、試料中のナイーブ様CD4+細胞およびナイーブ様CD8+細胞の量、数、パーセンテージ、体積あたりの数および/または重量あたりの数は測定、評価および/または決定されており、CD4+細胞およびCD8+細胞が、所定の、固定されまたは制御されたナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を達成するのに十分な量で、単離、選択および/または濃縮される。いくつかの態様において、試料から直接的に単離、選択および/または濃縮される細胞は、インプット細胞組成物であり、後続の処理工程において、例えば濃縮された細胞のインキュベーション、刺激、活性化、操作および/または製剤化を伴う後続の処理工程において、使用される。
【0128】
いくつかの態様において、試料から単離、選択および/または濃縮された細胞、例えばインプット細胞組成物は、所定の、固定されまたは制御されたナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比であるCD4+細胞対CD8+細胞の比を含有する。本明細書において提供される方法の態様において、試料の第1および/もしくは第2の選択またはその亜集団の選択は、所望のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を持つインプット細胞組成物をもたらすように行うことができる。
【0129】
いくつかの態様では、試料からの第1および/または第2の選択を行う前に、試料、例えば生物学的試料におけるCD4+T細胞対CD8+T細胞の比が決定される。一定の態様において、第1および/または第2の選択を行う前に、試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が決定される。試料における、試料間で変動し得るそのCD4+T細胞対CD8+T細胞の比および/またはナイーブ様CD4+T細胞対CD8+T細胞の比に基づき、所望の、固定されまたは制御された比を達成するために、特定の選択モードを、例えばクロマトグラフィーカラムのサイジング(sizing)または免疫親和性試薬の量もしくは濃度の選択などによって、その試料に合わせて個別に設定することができる。対象における様々な細胞集団の相対レベルまたは相対頻度は、そのような集団または亜集団上に存在する1種または複数種のマーカーの表面発現の評価に基づいて決定することができる。親和性ベースの方法、例えば免疫親和性ベースの方法、例えば細胞表面タンパク質との関連ではフローサイトメトリーによる検出など、表面マーカーまたは表面タンパク質の発現レベルを評価するための周知の方法をいくつか使用することができる。
【0130】
状況により、ナイーブ様CD4+T細胞およびCD8+T細胞に関する適当な比は、例えば細胞が由来する対象の特定の疾患、状態もしくは前処置、および/または細胞の特定の抗原特異性、様々な亜集団の特定タイプの細胞(例えばCD4+細胞)間での相対的提示(relative representation)、例えばエフェクター対メモリー対ナイーブ細胞、および/または細胞をインキュベートする際の1つまたは複数の条件、例えば培地、刺激物質、培養時間、緩衝液、酸素含有量、二酸化炭素含有量、抗原、サイトカイン、抗体および他の構成要素などに関する状況に応じて、変動し得る。したがって、典型的には、または一般的には、他の細胞タイプより迅速に増殖または増大することが知られている細胞タイプが、どの状況でも、常にそのような性質を有するとは限らないだろう。したがっていくつかの局面において、ナイーブ様CD4+T細胞とナイーブ様CD8+T細胞の比は、通常のまたは典型的な状況での細胞タイプの公知の能力に、その細胞の、もしくはその細胞が由来する対象の、表現型もしくは状態の評価、および/または実験的証拠を加味したものに基づいて、決定される。
【0131】
いくつかの態様において、分離および/または単離工程は、免疫磁気ビーズを使って実行される。いくつかの態様では、CD4+細胞およびCD8+細胞を含有する細胞試料を、CD4またはCD8に結合する第1の免疫親和性試薬を含有する磁気ビーズおよびCD4またはCD8のうちの他方に結合する第2の免疫親和性試薬を含有する磁気ビーズと接触させる。分離および/または単離工程は同時にまたは逐次的に行うことができる。
【0132】
いくつかの態様では、第1および/または第2の免疫親和性試薬が、インキュベーション組成物中に最適収率濃度未満の濃度(sub-optimal yield concentration)で存在し、この場合、濃縮された組成物は、インキュベーション組成物中の総CD4+細胞の全部ではなく例えば70%および/またはインキュベーション組成物中のCD8+細胞の全部ではなく例えば70%を含有し、それによってCD4+T細胞およびCD8+T細胞が濃縮された組成物を産生する。
【0133】
いくつかの態様において、親和性試薬の最適収率濃度未満の濃度は、細胞を試薬と共にインキュベートし、試薬に結合している細胞を回収または分離することを伴う所与の選択または濃縮において、結合した細胞の収率を最適または最大にするために使用されるまたは要求される濃度よりも低い濃度である(「収率」(yield)とは、例えば、そのようにして回収されまたは選択された細胞の数を、試薬が標的とするインキュベーション中の細胞の総数、または試薬が特異性を示すインキュベーション中の細胞の総数、または試薬が特異性を示しかつ結合することができるマーカーを有するインキュベーション中の細胞の総数と比較したものである)。最適収率濃度未満の濃度は、一般に、そのようなプロセスまたは工程において、試薬に結合している細胞を回収したときに、結合した細胞、例えばCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の収率が、100%未満、例えば70%以下となるような試薬の濃度または量である。いくつかの態様では、50%以下、45%以下、40%以下、30%以下もしくは25%以下または約50%以下、約45%以下、約40%以下、約30%以下もしくは約25%以下の収率が、最適濃度未満の濃度の親和性試薬によって達成される。濃度は、細胞あたりの粒子もしくは表面の数もしくは質量および/または細胞あたりの試薬(例えば抗体断片などの抗体)の質量もしくは分子の数で表すことができる。特定の態様において、最適収率濃度未満の濃度は、固定された、制御されたおよび/または所定のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を引き出すまたは達成するのに十分な濃度である。
【0134】
いくつかの態様において、例えばCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞に対して親和性を持つ2つ以上の選択試薬のうちのそれぞれまたは1つもしくは複数について最適収率濃度未満の濃度で作用する場合、そのような試薬のうちの1つまたは複数は、他の試薬によって認識される細胞タイプと比較した、当該試薬によって認識される細胞タイプの比にバイアスをかけるために、他のそのような試薬のうちの1つまたは複数よりも高い濃度で使用される。例えば、比にバイアスをかけることが望まれるマーカーに特異的に結合する試薬は、どのぐらい比を増加させることが望まれるかに応じて、他と比較して0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍またはそれ以上増加させた濃度(例えば細胞あたりの作用物質または質量)で含めることができる。
【0135】
いくつかの態様において、最適未満の範囲でかつ/または試薬を飽和させるのに十分な細胞と共に作用する場合、免疫親和性試薬の量は、濃縮された細胞のおよその収率に比例する。一定の態様において、濃縮または選択されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含有する生成した組成物の所望の比に依存する免疫親和性試薬の適当な量または濃度は、常法によって決定することができる。
【0136】
いくつかの態様において、分離および/または単離工程は、免疫親和性試薬が、例えばWO 2015/164675に記載のとおりストレプトアビジンムテインとのペプチドリガンド相互作用を介して、可逆的に結合されている磁気ビーズを使って実行される。そのような磁気ビーズの典型例はStreptamers(登録商標)である。いくつかの態様において、分離および/または単離工程は、Miltenyi Biotecから市販されているものなどの磁気ビーズを使って実行される。
【0137】
いくつかの態様において、試料からのCD4+細胞およびCD8+細胞の第1選択または濃縮は、それぞれその上に抗体が固定化されている少なくとも第1および第2の親和性クロマトグラフィーマトリックスを含む免疫親和性ベースの試薬を使って行われる。いくつかの態様において、第1および/または第2選択の一方または両方は、複数の親和性クロマトグラフィーマトリックスおよび/または抗体を使用することができ、この場合、同じ選択、すなわち第1選択または第2選択に使用される複数のマトリックスおよび/または抗体は、連続的に接続される。いくつかの態様において、第1および/または第2選択に使用される1つまたは複数の親和性クロマトグラフィーマトリックスは、少なくとも約50×106細胞/mL、100×106細胞/mL、200×106細胞/mLまたは400×106細胞/mLを吸着し、または選択もしくは濃縮することができる。いくつかの態様において、吸着能は、カラムの直径および/または長さに基づいて調節することができる。いくつかの態様において、選択または濃縮された組成物の培養開始比(culture-initiating ratio)は、例えば細胞を選択するための1つまたは複数のカラムの吸着能に基づく仮定の下に、その培養開始比を達成するのに十分な量のマトリックスを選ぶことによって、かつ/またはその培養開始比を達成するのに十分な相対量において、達成される。
【0138】
例示的一態様において、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、等しいまたは類似する割合のナイーブ様細胞を有し、1つまたは複数のマトリックスの吸着能は第1選択と第2選択との間で同じであり、例えばどちらについても1×108細胞/mLまたは約1×108細胞/mLであり、この場合、第1選択および第2選択における細胞の濃縮または選択は、ナイーブ様CD4+細胞対CD8+T細胞比が1:1または約1:1であるCD4+細胞対CD8+細胞を含有する組成物をもたらす。特定の態様において、第1および/または第2選択のための親和性マトリックスクロマトグラフィーカラムの適当な体積、直径または数は、ナイーブ様細胞の割合および生成させるインプット細胞組成物の所望の比に応じて、常法によって選択または決定することができる。
【0139】
いくつかの態様において、1つまたは複数のカラムマトリックスの吸着能は、対象からの出発試料中におけるそれぞれのCD4+またはCD8+親集団の細胞の頻度と比較したナイーブ様細胞、例えばナイーブ様CD4+またはCD8+細胞の頻度の相違を考慮して調整される。対象における様々な細胞集団の相対レベルまたは相対頻度は、そのような集団または亜集団上に存在する1種または複数種のマーカーの表面発現の評価に基づいて決定することができる。親和性ベースの方法、例えば免疫親和性ベースの方法、例えば細胞表面タンパク質との関連ではフローサイトメトリーによる検出など、表面マーカーまたは表面タンパク質の発現レベルを評価するための周知の方法をいくつか使用することができる。
【0140】
いくつかの態様では、細胞組成物、例えばCD4+T細胞組成物および/もしくはCD8+T細胞組成物、または試料、例えば生物学的試料において、ナイーブ様細胞、例えばナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞が、評価、測定および/または検出される。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、その細胞がナイーブであることおよび/またはナイーブ様細胞であることを示す1つまたは複数のマーカーの発現に関して陽性であるT細胞である。一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、T細胞におけるナイーブ状態またはナイーブ様状態と関連するマーカーの発現に関して陽性である細胞である。特定の態様において、ナイーブ様T細胞は、その細胞がナイーブでないことおよび/またはナイーブ様細胞でないことを示す1つまたは複数のマーカーの発現に関して陰性であるT細胞である。一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、T細胞における非ナイーブ状態または非ナイーブ様状態と関連するマーカーの発現に関して陰性である細胞である。一定の態様において、T細胞における非ナイーブ状態または非ナイーブ様状態として、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0141】
いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個または10個超の、その細胞がナイーブであることおよび/もしくはナイーブ様細胞であることを示しかつ/またはT細胞におけるナイーブ状態もしくはナイーブ様状態と関連するマーカーの発現に関して、陽性である。いくつかの態様において、マーカーは細胞表面に発現される。一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個または10個超の、その細胞が非ナイーブであることおよび/もしくは非ナイーブ様細胞であることを示しかつ/またはT細胞における非ナイーブ状態もしくは非ナイーブ様状態と関連するマーカーの発現に関して、陰性である。
【0142】
T細胞がナイーブであることおよび/もしくはナイーブ様T細胞であることを示しかつ/またはT細胞におけるナイーブ状態もしくはナイーブ様状態と関連することを示すマーカーとしては、CD27、CD28、CD45RA、CD62Lおよび/またはCCR7が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞、例えばナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、CD27、CD28、CD45RAおよび/またはCCR7の発現に関して陽性である。一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、CD27、CD28、CD45RAおよび/またはCCR7のうちの1つまたは複数の表面発現に関して陽性である。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞、例えばナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞はCD62Lの発現に関して陰性である。
【0143】
細胞が非ナイーブであることおよび/もしくは非ナイーブ様T細胞であることを示しかつ/またはT細胞における非ナイーブ状態もしくは非ナイーブ様状態と関連するマーカーとしては、CD25、CD45RO、CD56、KLRG1および/またはCD95が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、ナイーブ様T細胞、例えばナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、CD25、CD45RO、CD56および/またはKLRG1の発現に関して陰性である。特定の態様において、ナイーブ様T細胞、例えばナイーブ様CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、非ナイーブ細胞または非ナイーブ様細胞と関連するマーカーの低発現を有する。特定の態様において、ナイーブ様T細胞はCD95の低発現を有する。一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、CD25、CD45RO、CD56および/またはKLRG1のうちの1つまたは複数の表面発現に関して陰性である。
【0144】
いくつかの態様において、非ナイーブ細胞または非ナイーブ様細胞と関連するマーカーの低発現は、非ナイーブ様細胞である細胞における、ならびに/あるいは、その細胞が非ナイーブであることおよび/もしくは非ナイーブ様T細胞であることを示しかつ/またはT細胞における非ナイーブ状態もしくは非ナイーブ様状態と関連する1つもしくは複数のマーカーに関して陽性である細胞における、そのマーカーの発現よりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低い発現であるか、そのような発現を含む。一定の態様において、非ナイーブ細胞または非ナイーブ様細胞と関連するマーカーの低発現量は、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)および/またはエフェクターメモリーT(TEM)細胞におけるそのマーカーの発現よりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低い発現であるか、そのような発現を含む。
【0145】
いくつかの態様において、その細胞が非ナイーブであることおよび/もしくは非ナイーブ様T細胞であることを示しかつ/またはT細胞における非ナイーブ状態もしくは非ナイーブ様状態と関連するマーカーには、1つまたは複数のサイトカインが含まれる。例えば、一定の態様において、非ナイーブT細胞または非ナイーブ様T細胞は、IL-2、IFN-γ、IL-4およびIL-10のうちの1つまたは複数の発現および/または産生に関して陰性である。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインは分泌される。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、例えば分泌を防止、阻害または低減する作用物質による処理中または処理後に、非ナイーブ様T細胞により、細胞内で発現される。
【0146】
一定の態様において、ナイーブ様T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性である。特定の態様において、ナイーブ様CD4+T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性である。いくつかの態様において、ナイーブ様CD8+Tは、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性である。特定の態様において、ナイーブ様T細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性であり、かつCD45ROの発現、例えば表面発現に関して陰性である。特定の態様において、ナイーブ様CD4+T細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性であり、かつCD45ROの発現、例えば表面発現に関して陰性である。いくつかの態様において、ナイーブ様CD8+T細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7の発現、例えば表面発現に関して陽性であり、かつCD45ROの発現、例えば表面発現に関して陰性である。
【0147】
一定の態様において、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は生存細胞である。一定の態様において、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は生存ナイーブ様細胞である。生存細胞は、その細胞が正常な機能的細胞プロセスを起こしかつ/または壊死もしくはプログラム細胞死を起こしていないか、壊死もしくはプログラム細胞死を起こす過程にないことを示すマーカーの発現に関して陽性である。いくつかの態様において、生存性は、細胞の酸化還元電位、細胞膜の完全性、またはミトコンドリアの活性もしくは機能によって評価することができる。いくつかの態様において、生存性は、細胞死と関連する特異的分子の非存在またはアッセイにおける細胞死の徴候の非存在である。
【0148】
一定の態様において、細胞生存性はアッセイで評価され、そのアッセイとしては、色素取込みアッセイ(例えばカルセインAMアッセイ)、XTT細胞生存性アッセイ、および色素排除アッセイ(例えばトリパンブルー、エオシンまたはプロピジウム色素排除アッセイ)などを挙げることができるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、生存細胞は、1つまたは複数のアポトーシスマーカー、例えばアネキシンVまたは活性カスパーゼ3の発現に関して陰性である。いくつかの態様において、生存細胞は、1つまたは複数のアポトーシスマーカーの発現または活性化に関して陰性であり、アポトーシスマーカーとしては、カスパーゼ、例えばカスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9およびカスパーゼ10、Bcl-2ファミリーメンバー、例えばBax、BadおよびBid、アネキシンVならびに/またはTUNEL染色を挙げることができるが、それらに限定されるわけではない。
【0149】
いくつかの態様において、発現は、マーカーの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。特定の態様において、マーカーはポリペプチドである。いくつかの態様において、マーカーはmRNAである。いくつかの態様において、発現は、ポリペプチド、例えばマーカーポリペプチドの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。一定の態様において、発現は、マーカーをコードするポリヌクレオチド、例えばmRNAまたはそのmRNAに由来するcDNAの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。一定の態様において、発現は、細胞表面上のマーカーもしくは細胞表面上に露出しているマーカーまたは細胞膜内のマーカーの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。一定の態様において、発現は、細胞表面上のマーカーもしくは細胞表面上に露出しているマーカーまたは細胞膜内のマーカーの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。特定の態様において、発現は、細胞内発現、例えば細胞内の、例えばサイトゾル、核、小胞体および/またはゴルジ装置内のマーカーの量、レベル、濃度および/または存在であるか、それらを含む。
【0150】
いくつかの態様において、マーカーは、インビトロアッセイを行うことによって測定、評価および/または定量される。いくつかの例において、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。いくつかの場合において、使用されるインビトロアッセイは、酵素結合免疫測定法(ELISA)、イムノブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学ルミネセンスアッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイまたはアビディティアッセイであることができる。いくつかの態様において、マーカーの発現は、RNA-seqによって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、マーカーの発現は、免疫染色技法によって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、マーカーの発現は、フローサイトメトリー分析によって測定、評価および/または定量される。いくつかの態様において、マーカーの発現は、細胞内サイトカイン染色によって測定、評価および/または定量される。
【0151】
いくつかの態様では、CD4+T細胞組成物の細胞において、マーカーが測定、評価および/または定量される。特定の態様では、CD4+T細胞のうちの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%がナイーブ様CD4+T細胞である。一定の態様では、CD4+T細胞のうちの10%~50%、20%~60%、25%~75%、30%~80%、40%~90%、50%~100%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%、70%~90%、80%~100%、5%~25%、25%~50%、50%~75%もしくは75%~99%がナイーブ様CD4+T細胞である。一定の態様において、ナイーブ様CD4+T細胞は生存ナイーブ様CD4+T細胞である。
【0152】
一定の態様では、CD8+T細胞組成物の細胞において、マーカーが測定、評価および/または定量される。特定の態様では、CD8+T細胞のうちの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%がナイーブ様CD8+T細胞である。一定の態様では、CD8+T細胞のうちの10%~50%、20%~60%、25%~75%、30%~80%、40%~90%、50%~100%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%、70%~90%、80%~100%、5%~25%、25%~50%、50%~75%もしくは75%~99%がナイーブ様CD4+T細胞である。一定の態様において、ナイーブ様CD8+T細胞は生存ナイーブ様CD8+T細胞である。
【0153】
いくつかの態様において、CD4+T細胞の組成物からの細胞は、CD8+T細胞の組成物からの細胞と、両端の値を含む10:1~0.05:1、8:1~0.1:1、5:1~0.2:1、2.5:1~0.25:1、2.2:1~0.8:1、2:1~0.5:1または1.5:1~1:1のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するのに十分な量および/または比率で、混合または組み合わされる。いくつかの態様において、細胞は、両端の値を含む2.2:1~0.8:1のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比に十分な量および/または比率で混合される。一定の態様において、細胞は、2.2:1、2.1:1、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1もしくは0.8:1または約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1もしくは約0.8:1のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比になるように、混合されまたは組み合わされる。一定の態様において、細胞は、1.1:1または約1.1:1の比になるように、混合されまたは組み合わされる。
【0154】
いくつかの態様では、所定のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個の量の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5.5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5.5×108もしくは約1×109個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。一定の態様では、所定のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。
【0155】
いくつかの態様では、所定のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個の量のナイーブ様CD4+T細胞が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5.5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5.5×108もしくは約1×109個の量のナイーブ様CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。一定の態様では、所定のCD4+ナイーブ様T細胞対CD8+ナイーブ様T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個のナイーブ様CD4+T細胞が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個の量のナイーブ様CD8+T細胞と混合されまたは組み合わされる。
【0156】
特定の態様において、インプット細胞組成物のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比は、試料、例えば生物学的試料のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して、調整、改変および/または変更されている。特定の態様において、ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比は、生物学的試料から、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍または約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、調整、改変または変更される。一定の態様において、試料は、インプット細胞組成物の細胞がそこに由来し、そこから単離、選択および/または取得される試料である。
【0157】
一定の態様において、インプット細胞組成物は、あるCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比、例えば所定の比、制御された比、および/または固定された比を含有する。特定の態様において、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む10:1~0.05:1、8:1~0.1:1、5:1~0.2:1、2.5:1~0.25:1、2.2:1~0.8:1、2:1~0.5:1または1.5:1~1:1である。特定の態様において、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む2:1~0.8:1、1.6:1~0.8:1、1.4:1~0.8:1、1.2:1~0.8:1または1.2:1~0.8:1である。いくつかの態様において、比は、両端の値を含む2.2:1~0.8:1である。一定の態様において、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、2.2:1、2.1:1、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1もしくは0.8:1であるか、または約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1もしくは約0.8:1である。一定の態様において、比は、1.1:1であるか、または約1.1:1である。
【0158】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、総細胞または総生存細胞の量が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞およびCD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の量が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。
【0159】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108または1×108~3×108個の総細胞または総生存細胞を有する。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞およびCD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の量が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。
【0160】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のCD45RA+/CCR7+細胞を有しまたは含有する。特定の態様において、インプット細胞組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下または85%以下のCD45RA+/CCR7+細胞を含有しまたは含む。
【0161】
いくつかの態様では、所定のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個の量の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5.5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5.5×108もしくは約1×109個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。一定の態様では、所定のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。
【0162】
特定の態様において、インプット細胞組成物のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、試料、例えば生物学的試料のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比と比較して、調整、改変および/または変更されている。特定の態様において、CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、生物学的試料から、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍または約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、調整、改変または変更される。一定の態様において、試料は、インプット細胞組成物の細胞がそこに由来し、そこから単離、選択および/または取得される試料である。
【0163】
一定の態様において、インプット細胞組成物は、あるCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比、例えば所定の比、制御された比、および/または固定された比を含有する。特定の態様において、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む10:1~0.05:1、8:1~0.1:1、5:1~0.2:1、2.5:1~0.25:1、2.2:1~0.8:1、2:1~0.5:1または2:1~1:1である。特定の態様において、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む2:1~0.8:1、1.8:1~1:1、1.8:1~1.2:1、1.2:1~1.4:1または1.8:1~1.6:1である。いくつかの態様において、比は、両端の値を含む1.8:1~1.6:1である。一定の態様において、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、2.2:1、2.1:1、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.69:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1もしくは1.3:1であるか、または約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.69:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1もしくは約1.3:1である。一定の態様において、比は、1.69:1であるか、または約1.69:1である。
【0164】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、総細胞または総生存細胞の量が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞およびCD27+/CCR7+/CD8+T細胞の量が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個である。
【0165】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108または1×108~3×108個の総細胞または総生存細胞を有する。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞およびCD27+/CCR7+/CD8+T細胞の量が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。
【0166】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のCD27+/CCR7+細胞を有しまたは含有する。特定の態様において、インプット細胞組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下または85%以下のCD27+/CCR7+細胞を含有しまたは含む。
【0167】
いくつかの態様では、所定のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個の量の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5.5×108もしくは1×109個または約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5.5×108もしくは約1×109個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。一定の態様では、所定のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、5×105~1×1010、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約5×105~1×1010、約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。
【0168】
特定の態様において、インプット細胞組成物のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、試料、例えば生物学的試料のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比と比較して、調整、改変および/または変更されている。特定の態様において、CD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比は、生物学的試料から、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍または約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、調整、改変または変更される。一定の態様において、試料は、インプット細胞組成物の細胞がそこに由来し、そこから単離、選択および/または取得される試料である。
【0169】
一定の態様において、インプット細胞組成物は、あるCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比、例えば所定の比、制御された比、および/または固定された比を含有する。特定の態様において、CD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む10:1~0.05:1、8:1~0.1:1、5:1~0.2:1、2.5:1~0.25:1、2.2:1~0.8:1、2:1~0.5:1または1.5:1~1:1である。特定の態様において、CD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比は、両端の値を含む2:1~0.8:1、1.6:1~0.8:1、1.4:1~0.8:1、1.2:1~0.8:1または1.2:1~0.8:1である。いくつかの態様において、比は、両端の値を含む2.2:1~0.8:1である。一定の態様において、CD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比は、2.2:1、2.1:1、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1もしくは0.8:1であるか、または約2.2:1、約2.1:1、約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1もしくは約0.8:1である。一定の態様において、比は、1.1:1であるか、または約1.1:1である。
【0170】
特定の態様において、インプット細胞組成物は、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108または1×108~3×108個の総細胞または総生存細胞を有する。一定の態様において、インプット細胞組成物は、CD4またはCD8を発現する細胞の量が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、CD62L-/CCR7+/CD4+T細胞およびCD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の量が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個である。
【0171】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%のCD62L-/CCR7+細胞を有しまたは含有する。特定の態様において、インプット細胞組成物は、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、90%以下または85%以下のCD62L-/CCR7+細胞を含有しまたは含む。
【0172】
いくつかの態様では、所定のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5×108もしくは約1×109個の量の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、1×106、5×106、1×107、5×107、1.0×108、1.1×108、1.2×108、1.3×108、1.4×108、1.5×108、1.6×108、1.7×108、1.8×108、1.9×108、2.0×108、2.1×108、2.2×108、2.3×108、2.4×108、2.5×108、2.6×108、2.7×108、2.8×108、2.9×108、3.0×108、3.5×108、4.0×108、4.5×108、5×108、5.5×108もしくは1×109個または約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1.0×108、約1.1×108、約1.2×108、約1.3×108、約1.4×108、約1.5×108、約1.6×108、約1.7×108、約1.8×108、約1.9×108、約2.0×108、約2.1×108、約2.2×108、約2.3×108、約2.4×108、約2.5×108、約2.6×108、約2.7×108、約2.8×108、約2.9×108、約3.0×108、約3.5×108、約4.0×108、約4.5×108、約5×108、約5.5×108もしくは約1×109個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。一定の態様では、所定のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比を持つインプット細胞組成物を産生するために、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個の総CD4+T細胞または総生存CD4+T細胞が、1×106~1×1010、1×107~1×109、5×107~5×108もしくは1×108~3×108個または約1×106~1×1010、約1×107~1×109、約5×107~5×108もしくは約1×108~3×108個の量の総CD8+T細胞または総生存CD8+T細胞と、混合されまたは組み合わされる。
【0173】
特定の態様において、インプット細胞組成物のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比は、試料、例えば生物学的試料のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比と比較して、調整、改変および/または変更されている。特定の態様において、CD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比は、生物学的試料から、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍または約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍または少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、調整、改変または変更される。一定の態様において、試料は、インプット細胞組成物の細胞がそこに由来し、そこから単離、選択および/または取得される試料である。
【0174】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞組成物の細胞をCD8+T細胞組成物の細胞と混合しまたは組み合わせて、2.2:1~0.8:1であるCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、混合しまたは組み合わせることの前に、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物中のCD45RA+/CCR7+細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数、および/または量、レベルもしくはパーセンテージが、測定、評価および/または定量される。いくつかの態様において、CD45RA+/CCR7+細胞の量、レベル、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージは、CD45RA+;CCR7+T細胞を検出することによって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、インプット細胞組成物は、2.2:1~0.8:1のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、1.1:1または約1.1:1のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。
【0175】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞組成物の細胞をCD8+T細胞組成物の細胞と混合しまたは組み合わせて、2.4:1~1:1であるCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、混合しまたは組み合わせることの前に、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物中のCD27+/CCR7+細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数、および/または量、レベルもしくはパーセンテージが、測定、評価および/または定量される。いくつかの態様において、CD27+/CCR7+細胞の量、レベル、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージは、CD45RA+;CCR7+T細胞を検出することによって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、インプット細胞組成物は、2.4:1~1:1のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、1.69:1または約1.69:1のCD27+/CCR7+/CD4+T細胞対CD27+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。
【0176】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞組成物の細胞をCD8+T細胞組成物の細胞と混合しまたは組み合わせて、2.2:1~0.8:1であるCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、混合しまたは組み合わせることの前に、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物中のCD62L-/CCR7+細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数、および/または量、レベルもしくはパーセンテージが、測定、評価および/または定量される。いくつかの態様において、CD62L-/CCR7+細胞の量、レベル、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージは、CD62L-/CCR7+T細胞を検出することによって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、インプット細胞組成物は、2.2:1~0.8:1のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、1.1:1または約1.1:1のCD62L-/CCR7+/CD4+T細胞対CD62L-/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。
【0177】
いくつかの態様において、インプット細胞組成物を産生、生成および/または作製する工程は、CD4+T細胞組成物の細胞をCD8+T細胞組成物の細胞と混合しまたは組み合わせて、2.2:1~0.8:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、混合しまたは組み合わせることの前に、CD4+T細胞組成物およびCD8+T細胞組成物中のナイーブ様細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数、および/または量、レベルもしくはパーセンテージが、測定、評価および/または定量される。いくつかの態様において、ナイーブ様細胞の量、レベル、数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージは、CD45RA+;CCR7+T細胞を検出することによって測定、評価および/または定量される。特定の態様において、インプット細胞組成物は、2.2:1~0.8:1のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、インプット細胞組成物は、1.1:1または約1.1:1のCD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+T細胞の比を有する。
【0178】
B. 細胞の活性化または刺激
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作のためのプロセスの前に、および/またはそれに関連して、および/またはその後に、インキュベートおよび/または培養される。一定の態様において、細胞は、遺伝子操作プロトコールもしくは遺伝子操作プロセスと関連する1つもしくは複数の工程の前、その最中、またはその直後にインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養、育成、刺激、活性化および/または増殖を含むことができる。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養もしくは育成するための他の容器などの、培養容器において実施され得る。いくつかの態様では、組成物または細胞を、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートする。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、および/または抗原曝露を模倣するように、および/または組換え抗原受容体の導入などを目的とする遺伝子操作のために細胞をプライミングするように、設計されたものが含まれる。
【0179】
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、刺激条件下または活性化条件下で細胞をインキュベートする1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、細胞は、15分、30分、45分、60分、90分、120分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、18時間、24時間、36時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくは7日超または約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、約120分、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約24時間、約36時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日もしくは約7日超にわたって、インキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、5~90分、1~4時間、2~8時間、6~24時間、12~48時間、16~32時間、18~30時間、1~4日、または2~7日にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、2~15日、2~12日、2~10日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、または10~12日にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、または14日超にわたってインキュベートされる。
【0180】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子移入のための1つまたは複数の工程を含む方法またはプロセスによって遺伝子操作される。いくつかの態様において、遺伝子移入は、まず、例えば細胞を刺激条件下でインキュベートすることによって、例えば増殖、生存および/または活性化などの応答を誘導する刺激と共に細胞をインキュベートすることによって、細胞を刺激してから、遺伝子移入を行うことによって達成される。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子移入に先だって、細胞を活性化するために刺激条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、遺伝子移入は、活性化された細胞の形質導入であるか、またはそれを含む。特定の態様において、刺激物質または刺激条件は、細胞の一次シグナル、シグナル伝達、刺激、活性化および/または増大を誘導し、かつ/またはそれらを誘導することができる。
【0181】
いくつかの態様において、細胞、例えばインプット細胞組成物の細胞は、遺伝子移入の前に、刺激条件下または活性化条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、刺激条件下または活性化条件下で、15分、30分、45分、60分、90分、120分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、18時間、24時間、36時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくは7日超または約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、約120分、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約24時間、約36時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日もしくは約7日超にわたって、インキュベートされる。いくつかの態様において、インプット細胞組成物の細胞は、刺激条件下または活性化条件下で、遺伝子移入の前に、5~90分、1~4時間、2~8時間、6~24時間、12~48時間、16~32時間、18~30時間、1~4日または2~7日にわたってインキュベートされる。特定の態様において、インプット細胞組成物の細胞は、刺激条件下または活性化条件下で、2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日または10~12日にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、または14日超にわたってインキュベートされる。
【0182】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子移入の一部または全部の間、刺激条件下または活性化条件下でインキュベートされる。例えば一定の態様において、細胞は、異種核酸を導入するために行われる細胞の形質導入またはトランスフェクションの全部または一部の間、刺激条件下で、インキュベートされる。一定の態様において、細胞は、刺激条件下または活性化条件下、ウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターの存在下でインキュベートされる。
【0183】
特定の態様において、細胞は、遺伝子移入の後に、例えば遺伝子移入の直後に、刺激条件下または活性化条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子移入後に、例えば臨床適用に十分な数へと細胞を増大するために、刺激条件下または活性化条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子移入後に、刺激条件下または活性化条件下で、15分、30分、45分、60分、90分、120分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、18時間、24時間、36時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくは7日超または約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、約120分、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約18時間、約24時間、約36時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日もしくは約7日超にわたって、インキュベートされる。いくつかの態様において、細胞組成物は、遺伝子移入後に、刺激条件下または活性化条件下で、遺伝子移入の前に、5~90分、1~4時間、2~8時間、6~24時間、12~48時間、16~32時間、18~30時間、1~4日または2~7日にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、組成物の細胞は、遺伝子移入後に、刺激条件下または活性化条件下で、2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日または10~12日にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、または14日超にわたってインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞は、臨床適用に適した細胞数を生成するのに十分な時間にわたって増大される。
【0184】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された他の任意の作用物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0185】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、細胞の一次シグナル、シグナル伝達、刺激、活性化および/または増大を誘導し、かつ/またはそれらを誘導することができる。
【0186】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動または開始する。そのような作用物質は、TCRに特異的な抗体などの抗体、例えば抗CD3を含むことができる。いくつかの態様において、刺激条件は、共刺激受容体を刺激することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。いくつかの態様において、そのような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。任意で、増大法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、刺激物質は、IL-2、IL-15および/またはIL-7を含む。特定の態様において、作用物質は、組換え受容体に特異的に結合する抗体である。特定の態様において、組換え受容体は、抗原結合性受容体、例えばCARであり、作用物質は、その抗原結合性受容体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体である。
【0187】
いくつかの態様では、作用物質および/またはリガンドを、常磁性ビーズなどの磁気ビーズ(例えばDynalbeadsまたはMACSビーズ)に付着させる。一定の態様において、ビーズは、細胞を磁場に置いて細胞からビーズを除去および/または分離すること、例えば細胞からのビーズ除去(debeading)を行うことによって、細胞から除去され得る。一定の態様において、ビーズは、細胞を活性化するためのインキュベーションの直後に除去される。いくつかの態様において、ビーズは、例えば形質導入またはトランスフェクションなどによる遺伝子送達の前に除去される。一定の態様において、ビーズは、遺伝子送達中または遺伝子送達の直後に除去される。特定の態様において、ビーズは、細胞を増大するためのインキュベーションの前またはその間に除去される。いくつかの態様において、ビーズは、細胞を収穫しかつ/または凍結保護処理する前に除去される。
【0188】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012)J Immunother.,35(9):651-660、Terakura et al.(2012)Blood.1:72-82および/またはWang et al.(2012)J Immunother.35(9):689-701に記載されている技法などの技法に従って実行される。
【0189】
いくつかの態様では、培養開始組成物に非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダ細胞を(例えば、結果として生じる細胞の集団が、増大させるべき初期集団中の各Tリンパ球に対して少なくとも約5、10、20、もしくは40個、またはそれ以上のPBMCフィーダ細胞を含有することになるように)添加し、培養物を(例えばT細胞の数を増大させるのに十分な時間にわたって)インキュベートすることによって、T細胞を増大させる。いくつかの局面において、非分裂フィーダ細胞は、γ線照射PBMCフィーダ細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCには、細胞分裂を阻止するために、約3000~3600ラドの範囲のγ線が照射される。いくつかの局面において、フィーダ細胞は、T細胞の集団の添加の前に、培養培地に添加される。
【0190】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適している温度、例えば少なくとも約25℃、概して少なくとも約30℃、および概して37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダ細胞として添加することをさらに含んでもよい。LCLには、約6000~10,000ラドの範囲のγ線を照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダ細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダ細胞対初期Tリンパ球比など、任意の適切な量で提供される。
【0191】
諸態様において、抗原特異的T細胞、例えば抗原特異的CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、ナイーブTリンパ球または抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株または抗原特異的T細胞クローンは、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染した対象からT細胞を単離し、インビトロで同じ抗原を使ってその細胞を刺激することによって生成することができる。
【0192】
C. 遺伝子操作
いくつかの態様において、提供される方法は、操作された細胞の組成物、例えば組換え抗原受容体を発現する細胞を含有する細胞組成物を生成または産生する工程を伴う。遺伝子操作された構成要素、例えば組換え受容体、例えばCARまたはTCRを導入するための様々な方法が周知であり、それらを、提供される方法および組成物と共に使用し得る。例示的な方法として、受容体をコードする核酸を移入するための方法、例えばウイルス形質導入、例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス形質導入、トランスポゾンおよびエレクトロポレーションによる方法が挙げられる。
【0193】
一定の態様では、インプット細胞組成物の細胞を、核酸を含有する、例えばCARなどの組換え受容体をコードする核酸を含有する、1つまたは複数の作用物質と接触させ、かつ/またはそれらの作用物質をインプット細胞組成物の細胞に導入する。いくつかの態様において、作用物質はベクター、例えばウイルスベクター、プラスミド、またはトランスポゾンである。いくつかの態様において、細胞はCD4+T細胞である。一定の態様において、細胞はCD8+T細胞である。特定の態様において、細胞に核酸を導入しかつ/または細胞を核酸と接触させる工程は、所定の、所望の、または固定された、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比を持つ、操作された細胞をもたらす。いくつかの態様において、核酸は異種、すなわち細胞または細胞から得られる試料中に常態では存在しないものであり、例えば操作されている細胞および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られる核酸などである。いくつかの態様において、核酸は、天然には存在せず、例えば複数の異なる細胞タイプ由来の様々なドメインをコードする核酸のキメラ的組み合わせを含むものなど、天然において見出されない核酸である。
【0194】
いくつかの態様において、調製方法は、遺伝子操作するための工程もしくは段階および/または遺伝子操作された細胞を含有するアウトプット細胞組成物を産生するための工程もしくは段階のいずれかの前、例えば直前、それらの工程もしくは段階の間、またはそれらの工程もしくは段階の後、例えば直後に、細胞を凍結する、例えば凍結保存するための工程を含む。一定の態様において、細胞は、細胞を単離または選択する工程、細胞を混合しまたは組み合わせてインプット細胞組成物にする工程、インキュベーション、活性化、遺伝子移入、形質導入、トランスフェクション、増大および/または収穫の前、またはその間、またはその後に、低温凍結(cryofreeze)される。いくつかの態様では、細胞の全部または一部が凍結のために収集される。いくつかの態様では、後の分析または後続の分析のために、例えば操作された細胞の組成物が対象に投与された後の分析のために、細胞を遺伝子操作するプロセス中のある段階または工程の前、その最中、またはその後に細胞の一部が収集される。
【0195】
いくつかの態様において、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球を、およびある程度まで、単球を除去する。いくつかの態様において、細胞は、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかが、いくつかの局面において用いられてもよい。1つの例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適している細胞凍結培地を用いることを伴う。次にこれを、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、培地で1:1希釈する。次いで、一般的には、細胞を、1分あたり1°の速度で-80℃まで凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
【0196】
1. 遺伝子操作のためのベクターおよび方法
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞中に移入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを使って、T細胞中に移入される(例えばKoste et al.(2014)Gene Therapy 2014 Apr 3.doi:10.1038/gt.2014.25、Carlens et al.(2000)Exp Hematol 28(10):1137-46、Alonso-Camino et al.(2013)Mol Ther Nucl Acids 2,e93、Park et al.,Trends Biotechnol.2011 November 29(11):550-557参照)。いくつかの態様において、ウイルスはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0197】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類または哺乳類の細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは、典型的には両種指向性であり、これは、それらが、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染できることを意味している。1つの態様において、発現されることになる遺伝子は、レトロウイルスのgag、polおよび/またはenv配列に取って代わる。レトロウイルスシステムの実例はいくつか記載されている(例えば米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号、Miller and Rosman(1989)BioTechniques 7:980-990、Miller,A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5-14、Scarpa et al.(1991)Virology 180:849-852、Burns et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033-8037およびBoris-Lawrie and Temin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102-109)。
【0198】
レンチウイルス形質導入の方法は、公知である。例示的な方法は、例えばWang et al.(2012)J.Immunother.35(9):689-701、Cooper et al.(2003)Blood.101:1637-1644、Verhoeyen et al.(2009)Methods Mol Biol.506:97-114およびCavalieri et al.(2003)Blood.102(2):497-505に記載されている。
【0199】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスゲノムベースのベクターに由来するゲノム、例えばレンチウイルスゲノムまたはガンマレトロウイルスベースのベクターに由来するゲノムを含有する。提供されるウイルスベクターのいくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARなどの抗原受容体をコードする異種核酸は、ベクターゲノムの5’LTR配列と3’LTR配列との間に含有されかつ/または位置する。
【0200】
いくつかの態様において、ウイルスベクターゲノムは、レンチウイルスゲノム、例えばHIV-1ゲノムまたはSIVゲノムなどである。例えばレンチウイルスベクターは、ビルレンス遺伝子を多重に弱毒化することによって生成されており、例えば遺伝子env、vif、vpuおよびnefを欠失させることで、治療目的にとってより安全なベクターを作製することができる。レンチウイルスベクターは公知である。Naldini et al.,(1996 and 1998)、Zufferey et al.,(1997)、Dull et al.,1998、米国特許第6,013,516号および同5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様において、これらのウイルスベクターはプラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の組込み、選択および宿主細胞への核酸の移入のための必須配列を保持するように構成される。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」、20110-2209バージニア州マナッサス・ユニバーシティブルバード10801)などの寄託機関または収集機関から容易に入手することができるか、または一般に利用可能な技法を使って公知の供給源から単離することができる。
【0201】
レンチウイルスベクターの非限定的な例として、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)、HTLV-2またはウマ伝染性貧血ウイルス(E1AV)などのレンチウイルスに由来するものが挙げられる。例えばレンチウイルスベクターは、HIVビルレンス遺伝子を多重に弱毒化することによって生成されており、例えば遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させることで、治療目的にとってより安全なベクターが作製される。レンチウイルスベクターは当技術分野において公知である。Naldini et al.,(1996 and 1998)、Zufferey et al.,(1997)、Dull et al.,1998、米国特許第6,013,516号および同5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様において、これらのウイルスベクターはプラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の組込み、選択および宿主細胞への核酸の移入のための必須配列を保持するように構成される。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」、20110-2209バージニア州マナッサス・ユニバーシティブルバード10801)などの寄託機関または収集機関から容易に入手することができるか、または一般に利用可能な技法を使って公知の供給源から単離することができる。
【0202】
いくつかの態様において、ウイルスゲノムベクターは、レンチウイルスなどのレトロウイルスの5’LTRおよび3’LTRの配列を含有し得る。いくつかの局面において、ウイルスゲノム構築物は、レンチウイルスの5’LTRおよび3’LTRからの配列を含有してよく、特に、レンチウイルスの5’LTRからのR配列およびU5配列ならびにレンチウイルスの不活化されたまたは自己不活化3’LTRを含有することができる。LTR配列は、任意の種のレンチウイルスに由来するLTR配列であることができる。例えば、それらはHIV、SIV、FIVまたはBIVからのLTR配列であり得る。典型的にはLTR配列はHIV LTR配列である。
【0203】
いくつかの態様において、HIVウイルスベクターなどのウイルスベクターの核酸は、追加の転写単位を欠く。ベクターゲノムは、不活化されたまたは自己不活化3’LTRを含有することができる(Zufferey et al.J Virol 72:9873,1998、Miyoshi et al.,J Virol 72:8150,1998)。例えば、ウイルスベクターRNAを産生するために使用される核酸の3’LTRのU3領域における欠失は、自己不活化(self-inactivating)(SIN)ベクターの生成に使用することができる。その場合、この欠失は、逆転写中にプロウイルスDNAの5’LTRに移入され得る。自己不活化ベクターは、一般に、3’長末端反復(LTR)からのエンハンサーおよびプロモーター配列の欠失を有し、それはベクター組込み(vector integration)時に5’LTRにコピーされる。いくつかの態様では、LTRの転写活性を消失させるためにTATAボックスの除去を含む十分な配列を除去することができる。これにより、形質導入された細胞における完全長ベクターRNAの産生を防止することができる。いくつかの局面において、3’LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、TATAボックス、Sp1およびNF-カッパB部位の欠失を含有する。自己不活化3’LTRの結果として、進入および逆転写後に生成するプロウイルスは、不活化された5’LTRを含有する。これは、ベクターゲノムの可動化のリスクとLTRが近傍の細胞性プロモーターに及ぼす影響とを低減することによって、安全性を改良することができる。自己不活化3’LTRは、当技術分野において公知の任意の方法によって構築することができる。いくつかの態様において、これは、ベクターの力価にも、インビトロまたはインビボでのベクターの性質にも、影響を及ぼさない。
【0204】
任意で、レンチウイルス5’LTRからのU3配列は、ウイルス構築物中のプロモーター配列、例えば異種プロモーター配列で置き換えることができる。これは、パッケージング細胞株から回収されるウイルスの力価を増加させることができる。エンハンサー配列も含めることができる。パッケージング細胞株におけるウイルスRNAゲノムの発現を増加させるエンハンサー/プロモーターの組み合わせはどれでも使用し得る。一例では、CMVエンハンサー/プロモーター配列が使用される(米国特許第5,385,839号および米国特許第5,168,062号)。
【0205】
一定の態様において、挿入変異生成のリスクは、レンチウイルスベクターゲノムなどのレトロウイルスベクターゲノムを組込み欠損性になるように構築することによって、最小限に抑えることができる。非組込み型ベクターゲノムを産生するために様々なアプローチを実行することができる。いくつかの態様において、pol遺伝子のインテグラーゼ酵素構成要素には、それが不活性インテグラーゼを持つタンパク質をコードするように、変異を操作することができる。いくつかの態様において、組込みを防止するために、ベクターゲノムそのものを、例えば1つまたは両方の付着部位を変異または欠失させることによって、または3’LTR-近位ポリプリントラクト(proximal polypurine tract)(PPT)を欠失または改変によって非機能的にすることによって、改変することができる。いくつかの態様では非遺伝子アプローチを利用することができ、それらにはインテグラーゼの1つまたは複数の機能を阻害する薬理学的作用物質が含まれる。これらのアプローチは相互に排他的ではない。すなわち、それらのうちの2つ以上を同時に使用することができる。例えば、インテグラーゼと付着部位の両方が非機能的であってもよいし、インテグラーゼとPPT部位が非機能的であってもよいし、付着部位とPPT部位が非機能的であってもよいし、それらのすべてが非機能的であってもよい。そのような方法およびウイルスベクターゲノムは公知であり、入手することができる(Philpott and Thrasher,Human Gene Therapy 18:483,2007、Engelman et al.J Virol 69:2729,1995、Brown et al J Virol 73:9011(1999)、WO 2009/076524、McWilliams et al.,J Virol 77:11150,2003、Powell and Levin J Virol 70:5288,1996参照)。
【0206】
いくつかの態様において、提供される方法は、複数の細胞を含む細胞組成物をウイルス粒子と接触させる、例えばインキュベートすることによって、細胞に形質導入する方法を伴う。いくつかの態様において、トランスフェクトまたは形質導入される細胞は、対象から得られた初代細胞、例えば対象から濃縮および/または選択された細胞であるか、それらを含む。
【0207】
いくつかの態様において、組成物の、形質導入される細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mL、例えば少なくとも1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mLもしくは1×108細胞/mL、または少なくとも約1.0×105細胞/mL、約5×105細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約1×107細胞/mL、約5×107細胞/mLもしくは約1×108細胞/mL、または約1.0×105細胞/mL、約5×105細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約1×107細胞/mL、約5×107細胞/mLもしくは約1×108細胞/mLである。
【0208】
いくつかの態様において、ウイルス粒子は、形質導入される細胞の総数につき、一定の比のウイルスベクター粒子のコピーまたはその感染単位(IU)(IU/細胞)で提供される。例えばいくつかの態様において、ウイルス粒子は、接触させる工程の間、細胞1つにつき0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50もしくは60IUまたは約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約30、約40、約50もしくは約60IUまたは少なくとも0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50もしくは60IUまたは少なくとも約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約30、約40、約50もしくは約60IUのウイルスベクター粒子量で存在する。
【0209】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子の力価は、1×106IU/mL~1×108IU/mLまたは約1×106IU/mL~1×108IU/mL、例えば5×106IU/mL~5×107IU/mLまたは約5×106IU/mL~5×107IU/mL、例えば少なくとも6×106IU/mL、7×106IU/mL、8×106IU/mL、9×106IU/mL、1×107IU/mL、2×107IU/mL、3×107IU/mL、4×107IU/mLまたは5×107IU/mLである。
【0210】
いくつかの態様において、形質導入は、100未満、例えば一般的には60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、5未満もしくはそれ以下の感染多重度(MOI)で達成される。
【0211】
いくつかの態様において、本方法は、細胞をウイルス粒子と接触させまたはインキュベートする工程を伴う。いくつかの態様において、接触させる工程は、30分~72時間、例えば30分~48時間、30分~24時間または1時間~24時間、例えば少なくとも30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上または少なくとも約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上にわたる。
【0212】
いくつかの態様において、接触させる工程は、遠心分離、例えばスピノキュレーション(spinoculation)(例えば遠心分離接種(centrifugal inoculation))で達成することができる。いくつかの態様では、細胞、ウイルス粒子および試薬を含有する組成物を、一般的には比較的小さな力または低速で、例えば細胞をペレット化するために使用される速度より低い速度、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば600rpm、1000rpmまたは1500rpmもしくは1700rpmまたは約600rpm、約1000rpmまたは約1500rpmもしくは約1700rpmまたは少なくとも600rpm、1000rpmまたは1500rpmもしくは1700rpm)で、回転させることができる。いくつかの態様において、回転は、例えばチャンバまたはキャビティの内壁または外壁における測定で、100g~3200gまたは約100g~3200g(例えば100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3200gまたは約100g、約200g、約300g、約400g、約500g、約1000g、約1500g、約2000g、約2500g、約3000gもしくは約3200gまたは少なくとも100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3200gまたは少なくとも約100g、約200g、約300g、約400g、約500g、約1000g、約1500g、約2000g、約2500g、約3000gもしくは約3200g)の力、例えば相対遠心力で行われる。「相対遠心力」(relative centrifugal force)またはRCFという用語は、一般に、回転軸に対する空間中の特定ポイントにおける、地球の重力との相対値としての、物体または物質(例えば細胞、試料もしくはペレットおよび/またはチャンバもしくは回転される他の容器におけるあるポイント)に伝わる慣性力であると理解される。その値は、重力、回転速度および回転半径(回転軸からRCFが測定されている物体、物質または粒子までの距離)を考慮して、周知の式を使って決定することができる。
【0213】
一定の態様では、インプット細胞を、ウイルスDNAによってコードされる組換え受容体に結合しまたはウイルスDNAによってコードされる組換え受容体を認識する結合分子を含む粒子で処理し、同粒子と共にインキュベートし、または同粒子と接触させる。
【0214】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞中に移入される(例えばChicaybam et al,(2013)PLoS ONE 8(3):e60298およびVan Tedeloo et al.(2000)Gene Therapy 7(16):1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転位(transposition)によってT細胞中に移入される(例えばManuri et al.(2010)Hum Gene Ther 21(4):427-437、Sharma et al.(2013)Molec Ther Nucl Acids 2,e74およびHuang et al.(2009)Methods Mol Biol 506:115-126参照)。免疫細胞に遺伝物質を導入して免疫細胞中で発現させる他の方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons、ニューヨーク州ニューヨーク)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソームが媒介するトランスフェクション、タングステン粒子促進マイクロパーティクルボンバードメント(tungsten particle-facilitated microparticle bombardment)(Johnston,Nature,346:776-777(1990))およびリン酸ストロンチウムDNA共沈法(Brash et al.,Mol.Cell Biol.,7:2031-2034(1987))が挙げられる。
【0215】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0216】
いくつかの態様において、組換え核酸は、トランスポゾンによってT細胞中に移入される。ヒト初代白血球などの哺乳動物細胞との使用に適したトランスポゾンの例として、Sleeping BeautyおよびPiggybacが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。トランスポゾンベースのトランスフェクションはトランスポザーゼとトランスポゾンとからなる2成分系である。いくつかの態様において、この系は、付随するトランスポザーゼによって認識される逆方向反復/順方向反復(IR/DR)配列に挟まれた外来DNA(本明細書ではカーゴDNAともいう)、例えば組換え受容体をコードする遺伝子を含むように操作されたトランスポゾンを含む。いくつかの態様において、非ウイルスプラスミドは、プロモーターの制御下にトランスポザーゼをコードする。いくつかの態様において、宿主細胞へのプラスミドのトランスフェクションは、ゲノムDNA中にそのトランスポゾンを組み込むのに十分なレベルでのトランスポザーゼの一過性発現をもたらす。
【0217】
Sleeping Beauty(SB)は、サケ科魚類ゲノムに内包されている休止状態のエレメントから再構築されたトランスポゾンのTc/1-marinerスーパーファミリーの合成メンバーである。SBトランスポゾンベースのトランスフェクションは、トランスポザーゼと、TAジヌクレオチドへの正確な組込みをもたらす逆方向反復/順方向反復(IR/DR)配列を含有するトランスポゾンとからなる2成分系である。トランスポゾンはIR/DRに挟まれた関心対象の発現カセットを考慮して設計される。SBトランスポザーゼは、Sleeping beautyトランスポゾンのIR上に位置する特異的結合部位に結合する。SBトランスポザーゼは、トランスポゾン、すなわち触媒酵素のための結合部位を内包する逆方向末端反復が両側に隣接しているカーゴ配列をコードする可動エレメント(SB)の組込みを媒介する。SBが脊椎動物染色体中のTA標的ジヌクレオチドに切り貼り機構によって遺伝子配列を挿入すると、適切な発現が起こる。この系は、初代ヒト末梢血白血球を含む様々な脊椎動物細胞タイプを操作するために使用されてきた。いくつかの態様では、細胞を、SB IR配列に挟まれたカーゴ遺伝子、例えば組換え受容体またはCARをコードする遺伝子を含むSBトランスポゾンと接触させ、同SBトランスポゾンと共にインキュベートし、かつ/または同SBトランスポゾンで処理する。特定の態様では、トランスフェクションに供される細胞を、SB IR配列に挟まれたカーゴ遺伝子、例えばCARをコードする遺伝子を含むSBトランスポゾンを含むプラスミドと接触させ、同プラスミドと共にインキュベートし、かつ/または同プラスミドで処理する。一定の態様において、プラスミドは、SB IR配列に挟まれていないSBトランスポザーゼをコードする遺伝子をさらに含む。
【0218】
PiggyBac(PB)は、宿主の、例えばヒトの、ゲノムDNAにカーゴDNAを組み込むために使用することができるもう1つのトランスポゾン系である。PBトランスポザーゼは、トランスポゾンの両端に位置するPBトランスポゾン特異的逆方向末端反復配列(ITR)を認識し、その内容物を元の位置から効率よく移動させて、TTAA染色体部位へとそれらを効率よく組み込む。PBトランスポゾン系は、PBベクター中の2つのITRの間にある関心対象の遺伝子が、標的ゲノム中に可動化されることを可能にする。PB系は、初代ヒト細胞を含む様々な脊椎動物細胞タイプを操作するために使用されてきた。いくつかの態様では、トランスフェクションに供される細胞を、PB IR配列に挟まれたカーゴ遺伝子、例えばCARをコードする遺伝子を含むPBトランスポゾンと接触させ、同PBトランスポゾンと共にインキュベートし、かつ/または同PBトランスポゾンで処理する。特定の態様では、トランスフェクションに供される細胞を、PB IR配列に挟まれたカーゴ遺伝子、例えばCARをコードする遺伝子を含むPBトランスポゾンを含むプラスミドと接触させ、同プラスミドと共にインキュベートし、かつ/または同プラスミドで処理する。一定の態様において、プラスミドは、PB IR配列に挟まれていないSBトランスポザーゼをコードする遺伝子をさらに含む。
【0219】
いくつかの態様において、トランスポゾンによる形質導入は、トランスポザーゼ遺伝子を含むプラスミドと、そのトランスポザーゼによって認識される逆方向反復/順方向反復(IR/DR)配列に挟まれたカーゴDNA配列を含有するトランスポゾンを含むプラスミドとを使って行われる。一定の態様において、カーゴDNA配列は異種タンパク質、例えば組換えT細胞受容体またはCARをコードする。いくつかの態様において、プラスミドはトランスポザーゼとトランスポゾンとを含む。いくつかの態様において、トランスポザーゼは、遍在性プロモーターの制御下または標的細胞におけるトランスポザーゼの発現を駆動するのに適した任意のプロモーターの制御下にある。遍在性プロモーターとしては、EF1a、CMB、SV40、PGK1、Ubc、ヒトβ-アクチン、CAG、TRE、UAS、Ac5、CaMKIIaおよびU6が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、カーゴDNAは、カーゴDNAがゲノムDNA中に安定に組み込まれている細胞の選択を可能にする選択カセットを含む。適切な選択カセットとしては、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カルベニシリン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子およびポリミキシンB耐性遺伝子をコードする選択カセットが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0220】
いくつかの態様では、トランスポゾンによる形質導入のための構成要素、例えばSBトランスポザーゼとSBトランスポゾンとを含むプラスミドが、標的細胞に導入される。任意の好都合なプロトコールを使用することができ、そのプロトコールは、標的細胞の位置に応じて、系の構成要素の標的細胞へのインビトロ導入またはインビボ導入をもたらし得る。例えば標的細胞が単離された細胞である場合、系は、標的細胞の生存を許容する細胞培養条件下で、細胞中に例えば標準的形質転換技法などを使って、直接的に導入され得る。そのような技法としては、ウイルス感染、形質転換、接合(conjugation)、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿法、直接マイクロインジェクション、ウイルスベクター送達などが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。方法の選択は、一般に、形質転換される細胞のタイプおよび形質転換が行われる状況(すなわちインビトロ、エクスビボ、またはインビボ)に依存する。これらの方法の総論は、Ausubel,et al,Short Protocols in Molecular Biology,3rd ed.,Wiley&Sons,1995に見出すことができる。
【0221】
いくつかの態様では、SBトランスポゾンおよびSBトランスポザーゼ供給源が、トランスポゾンを運ぶベクターからの、逆方向反復配列に挟まれた核酸の切出しと、それに続く切り出された核酸の標的細胞のゲノムへの組込みとに十分な条件下で、多細胞生物、例えば哺乳動物またはヒトの標的細胞に導入される。いくつかの態様は、必要なトランスポザーゼ活性が、導入されたトランスポゾンと一緒に標的細胞内に存在することを保証するステップをさらに含む。トランスポゾンベクターそのものの構造に依存して、すなわちベクターがトランスポザーゼ活性を有する産物をコードする領域を含んでいるかどうかに依存して、本方法は、必要なトランスポザーゼ活性をコードする第2のベクターを標的細胞中に導入する工程をさらに含み得る。
【0222】
いくつかの態様において、細胞に導入されるトランスポゾンを含むベクター核酸の量とトランスポザーゼをコードするベクター核酸の量は、トランスポゾン核酸の所望の切出しおよび標的細胞ゲノムへの挿入をもたらすのに十分な量である。したがって、導入されるベクター核酸の量は、十分な量のトランスポザーゼ活性と、標的細胞への挿入が望まれる核酸の十分なコピー数とをもたらすべきである。標的細胞に導入されるベクター核酸の量は、使用される特定導入プロトコール、例えば使用される特定エクスビボ投与プロトコールの効率に依存して変動する。
【0223】
ベクターDNAが、必要なトランスポザーゼと組み合わされて標的細胞に進入したら、逆方向反復によって挟まれたベクターの核酸領域、すなわちSleeping Beautyトランスポザーゼが認識する逆方向反復の間に位置するベクター核酸は、提供されたトランスポザーゼによってベクターから切り出され、標的細胞のゲノム中に挿入される。したがって、標的細胞にベクターDNAが導入されると、続いてベクターが運ぶ外因性核酸の、トランスポザーゼが媒介する切出しと標的細胞のゲノムへの挿入とが起こる。特定の態様において、ベクターは、SBトランスポゾンおよび/またはSBトランスポザーゼがトランスフェクトされた細胞のうちの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%または少なくとも20%のゲノムに組み込まれる。いくつかの態様において、標的細胞ゲノムへの核酸の組込みは安定である。すなわちベクター核酸は、一時的にではなく標的細胞ゲノム中に存在し続け、染色体遺伝物質の一部として、標的細胞の子孫に伝達される。
【0224】
一定の態様において、トランスポゾンは、様々なサイズの核酸、すなわちポリヌクレオチドを標的細胞ゲノムに組み込むために使用される。いくつかの態様において、本方法を使って標的細胞ゲノムに挿入されるDNAのサイズは、約0.1kb~200kb、約0.5kb~100kb、約1.0kb~約8.0kb、約1.0~約200kb、約1.0~約10kb、約10kb~約50kb、約50kb~約100kbまたは約100kb~約200kbの範囲にある。いくつかの態様において、本方法を使って標的細胞ゲノムに挿入されるDNAのサイズは、約1.0kb~約8.0kbの範囲にある。いくつかの態様において、本方法を使って標的細胞ゲノムに挿入されるDNAのサイズは、約1.0~約200kbの範囲にある。特定の態様において、本方法を使って標的細胞ゲノムに挿入されるDNAのサイズは、約1.0kb~約8.0kbの範囲にある。
【0225】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞には、増大中または増大後のいずれかに、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をトランスフェクトし得る。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターで実施することができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を最初の刺激(例えば抗CD3/抗CD28刺激)から解放し、その後、第2のタイプの刺激で、例えば新たに導入された受容体を介して、刺激することができる。この第2のタイプの刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えばCARの天然リガンド)または(例えば受容体内の定常領域を認識することによって)新しい受容体のフレームワーク内に直接的に結合する任意のリガンド(抗体など)の形態での抗原刺激を含み得る。例えば、Cheadle et al,「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」Methods Mol Biol.2012;907:645-66またはBarrett et al.,Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol.65:333-347(2014)を参照されたい。
【0226】
いくつかの場合において、細胞、例えばT細胞を活性化することを必要としないベクターを使用することができる。そのような例の一部では、活性化の前に、細胞を選択および/または形質導入することができる。したがって、細胞は、細胞の培養に先だって、または細胞の培養後に、また場合によっては、培養の少なくとも一部分と同時に、操作することができる。
【0227】
追加の核酸、例えば、導入のための遺伝子の中には、例えば移入された細胞の生存および/または機能を増進することなどによって治療の効力を改善するためのもの、例えばインビボでの生存または局在化を評価するなどの目的で、細胞を選択および/または評価するための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子、例えばLupton S.D.et al.,Mol.and Cell Biol.,11:6(1991)およびRiddell et al.,Human Gene Therapy 3:319-338(1992)に記載されているように、細胞がインビボでの陰性選択を受けやすくなるようにすることなどによって安全性を改良するための遺伝子がある。優性陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することによって誘導される二機能性選択可能融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公報も参照されたい。例えばRiddellらの米国特許第6,040,177号の第14欄~第17欄を参照されたい。
【0228】
2. 組換え受容体
いくつかの態様において、提供される方法において使用される細胞または提供される方法との関連において投与される細胞は、操作された受容体、例えば操作された抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含有するか、またはそれらを含有するように操作される。そのような細胞の集団、そのような細胞を含有しかつ/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えばT細胞またはCD8+もしくはCD4+T細胞などの、一定タイプの細胞が濃縮または選択された組成物も、提供される。組成物には、投与のための、例えば養子細胞療法のための、薬学的組成物および製剤が含まれる。提供される方法および/または提供される製造物品もしくは組成物に従って、細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための方法も提供される。
【0229】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様において、遺伝子移入は、まず、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される増殖、生存および/または活性化などといった応答を誘導する刺激と組み合わせることなどによって、細胞を刺激し、次に、活性化された細胞に形質導入を行い、臨床用途に十分な数まで拡大培養することによって達成される。
【0230】
細胞は、一般に、組換え受容体、例えば抗原受容体、例えば機能的な非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、および他の抗原結合性受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する。受容体には他のキメラ受容体も含まれる。
【0231】
a. キメラ抗原受容体(CAR)
提供される方法および使用のいくつかの態様において、キメラ受容体、例えばキメラ抗原受容体は、所望の抗原(例えば腫瘍抗原)に対する特異性を与えるリガンド結合ドメイン(例えば抗体または抗体断片)を細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせる1つまたは複数のドメインを含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを与える活性化細胞内ドメイン部分、例えばT細胞活性化ドメインである。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を増進するために、共刺激シグナル伝達ドメインを含有し、または共刺激シグナル伝達ドメインを追加的に含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、免疫細胞中に遺伝子操作された場合に、T細胞の活性を調節することができ、また場合によっては、T細胞の分化またはホメオスタシスを調節することができ、それによって、例えば遺伝子細胞療法で使用するための、インビボでの寿命、生存性および/または持続性が改良された、遺伝子操作された細胞をもたらす。
【0232】
いくつかの態様において、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、特定の細胞型の表面上に発現される抗原に対して特異性を有するCARを発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。いくつかの態様において、抗原はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0233】
特定の態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有し、これは、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる細胞質(細胞内)領域などの細胞質シグナル伝達ドメイン(互換的に細胞内シグナル伝達ドメインとも呼ばれる)、例えば、T細胞受容体(TCR)構成要素の細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)を含み、かつ/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0234】
いくつかの態様において、キメラ受容体は、リガンド(例えば抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。いくつかの態様において、抗原などのリガンドは、細胞の表面上に発現されるタンパク質である。いくつかの態様において、CARはTCR様CARであり、抗原は、細胞内タンパク質のペプチド抗原などのプロセシングされたペプチド抗原であり、これは、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上で認識される。
【0235】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作して細胞中に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/または、Sadelain et al., Cancer Discov.2013 April;3(4):388-398;Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338;Turtle et al., Curr.Opin.Immunol.,2012 October;24(5):633-39;Wu et al., Cancer,2012 March 18(2):160-75によって記載されているものを含む。いくつかの局面において、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものを含む。CARの例には、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの前述の刊行物のいずれかにおいて開示されているCARが含まれる。WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0236】
いくつかの態様において、CARは、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、養子療法によって標的とされる特定の細胞型において発現される抗原、例えばがんマーカー、および/または正常細胞型もしくは非罹患細胞型上に発現される抗原などの減衰応答を誘導することが意図される抗原に対する特異性を備えて構築される。したがって、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つもしくは複数の抗原結合断片、ドメイン、もしくは一部分などの1つもしくは複数の抗原結合分子、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)などの、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分を含む。
【0237】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現される。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。いくつかの態様において、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、いくつかの局面においてはリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素に連結されている。いくつかの態様において、そのような分子は、典型的には、TCRなどの天然の抗原受容体を介するシグナル、および任意で、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナルを模倣するかまたは近似することができる。
【0238】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体(例えばCAR)は、抗原(またはリガンド)に結合する、例えば特異的に結合するリガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的とされる抗原の中には、養子細胞療法を介して標的とされる疾患、状態、または細胞型に関連して発現されるものがある。疾患および状態の中には、血液がん、免疫系のがん、例えば、B、Tおよび骨髄性の白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などのリンパ腫、白血病、および/または骨髄腫を含むがんおよび腫瘍を含む、増殖性、新生物性、および悪性の疾患および障害がある。
【0239】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0240】
いくつかの態様において、CARは、細胞の表面上に発現される抗原、例えば無傷の抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を含有する。
【0241】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、オーファンチロシンキナーゼ受容体(ROR1)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、CD19、CD20、CD22、メソテリン(MSLN)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、B7-H3、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、CD171、葉酸受容体α、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、神経細胞接着分子(NCAM)、血管内皮増殖因子受容体(VEGF受容体もしくはVEGFR)、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、メランA(MART-1)、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、胎児腫瘍性抗原、TAG72、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、がん胎児性抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、エフリンB2、CD123、CD133、c-Met、O-アセチル化GD2(OGD2)、L1-CAMのCE7エピトープ、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原もしくは病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはそれらを含む。受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの態様において、数々の公知のB細胞マーカーのうちのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0242】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的抗原である。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0243】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、CD19である。いくつかの態様において、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来抗体である。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、例えば、米国特許出願公開第2016/0152723号に記載されているようなヒト抗体である。
【0244】
いくつかの態様において、scFvはFMC63に由来する。FMC63は概して、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。FMC63抗体は、それぞれSEQ ID NO:38、39に示されるCDRH1およびH2、およびSEQ ID NO:40または54に示されるCDRH3、ならびにSEQ ID NO:35に示されるCDRL1、およびCDR L2 36または55、およびCDR L3配列37または34を含む。FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、svFvは、SEQ ID NO:35のCDRL1配列、SEQ ID NO:36のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:37のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:38のCDRH1配列、SEQ ID NO:39のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:40のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:41に示されるFMC63の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:42に示されるFMC63の可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様において、リンカーはSEQ ID NO:56に示される。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様において、svFcは、SEQ ID NO:57に示されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:57に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0245】
いくつかの態様において、scFvはSJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。SJ25C1抗体は、それぞれSEQ ID NO:47~49に示されるCDRH1、H2、およびH3、ならびにそれぞれSEQ ID NO:44~46に示されるCDRL1、L2、およびL3配列を含む。SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、svFvは、SEQ ID NO:44のCDRL1配列、SEQ ID NO:45のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:46のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:47のCDRH1配列、SEQ ID NO:48のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:49のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:50に示されるSJ25C1の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:51に示されるSJ25C1の可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様において、リンカーはSEQ ID NO:52に示される。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様において、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:53に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:53に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0246】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、BCMAである。いくつかの態様において、scFvは、BCMAに特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、BCMAに結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO 2016/090327およびWO 2016/090320に示されている抗体または抗体断片由来のVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0247】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合ドメインは、GPRC5Dである。いくつかの態様において、scFvは、GPRC5Dに特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様において、GPRC5Dに結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO 2016/090329およびWO 2016/090312に示されている抗体または抗体断片由来のVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0248】
いくつかの態様において、CARは、TCR様抗体、例えば、細胞表面上にMHC-ペプチド複合体として提示される腫瘍関連抗原などの細胞内抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を含有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現されることができる。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。
【0249】
「主要組織適合遺伝子複合体」(MHC)への言及は、いくつかの場合には、細胞機構によってプロセシングされたペプチド抗原を含むポリペプチドのペプチド抗原と複合体を形成することができる、多型ペプチド結合部位または結合溝を含有するタンパク質、概して糖タンパク質を指す。いくつかの場合には、MHC分子は、TCRまたはTCR様抗体などの、T細胞上の抗原受容体が認識可能な立体配座での抗原の提示のために、ペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体としてのものを含めて、細胞表面上に表示されるかまたは発現されることができる。概して、MHCクラスI分子は、いくつかの場合には3つのαドメインを備える膜貫通α鎖、および非共有結合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。概して、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβから構成され、それらは両方とも、典型的には膜を貫通している。MHC分子は、ペプチドに結合するための1つまたは複数の抗原結合部位、および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含有するMHCの有効部分を含むことができる。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、サイトゾルが起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでMHC-ペプチド複合体は、概してCD8+ T細胞であるが、いくつかの場合にはCD4+ T細胞などのT細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、小胞系が起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでそれらは、典型的にはCD4+ T細胞によって認識される。概して、MHC分子は、マウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と総称される一群の連鎖する遺伝子座によってコードされる。したがって、典型的には、ヒトMHCはまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれ得る。
【0250】
「MHC-ペプチド複合体」もしくは「ペプチド-MHC複合体」という用語またはその変形は、例えば、概して、MHC分子の結合溝または裂におけるペプチドの非共有結合性相互作用による、ペプチド抗原とMHC分子との複合体または会合を指す。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するかまたは表示される。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えばTCR、TCR様CAR、またはその抗原結合部分によって特異的に認識されることができる。
【0251】
いくつかの態様において、ポリペプチドの、ペプチド抗原またはエピトープなどのペプチドは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。概して、ペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質などのより長い生物学的分子の断片に由来するか、またはそれに基づく。いくつかの態様において、ペプチドは、典型的には、長さが約8~約24アミノ酸である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスII複合体における認識のために、9~22アミノ酸または約9~22アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI複合体における認識のために、8~13アミノ酸または約8~13アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体などのMHC分子に関連したペプチドの認識時に、抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARは、T細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答、または他の応答などのT細胞応答を誘導する、T細胞への活性化シグナルを生じるかまたは誘発する。
【0252】
いくつかの態様において、TCR様抗体または抗原結合部分は公知であるか、または公知である方法によって作製することができる(例えば、米国特許出願公開第2002/0150914号;同第2003/0223994号;同第2004/0191260号;同第2006/0034850号;同第2007/00992530号;同第20090226474号;同第20090304679号;および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照されたい)。
【0253】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原で宿主を免疫することによって作製することができる。いくつかの場合には、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合することができる抗原、例えば腫瘍抗原、例えば、ユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原、または以下に記載される他の抗原のエピトープである。いくつかの態様において、次いで、免疫応答を惹起するために有効量の免疫原を宿主に投与し、ここで免疫原は、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示に対する免疫応答を惹起するのに十分な期間、その三次元形態を保持する。次いで、宿主から収集した血清をアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示を認識する所望の抗体が生じているかどうかを判定する。いくつかの態様において、生じた抗体を評価して、抗体が、MHC分子単独、関心対象のペプチド単独、およびMHCと無関係なペプチドとの複合体からMHC-ペプチド複合体を識別できることを確認することができる。次いで、所望の抗体を単離することができる。
【0254】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリなどの抗体ライブラリディスプレイ法を使用することによって作製できる。いくつかの態様において、例えば、ライブラリのメンバーが1つまたは複数のCDRの1個または複数個の残基で変異している、変異体Fab、scFv、または他の抗体型のファージディスプレイライブラリを生成することができる。例えば、米国特許出願公開第20020150914号、同第2014/0294841号;およびCohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
【0255】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、無傷の抗体、ならびに断片抗原結合(Fab)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む機能的(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvを包含する。特に明記されない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGならびにそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷のまたは完全長の抗体も包含する。
【0256】
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質、抗体、およびその抗原結合断片は、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であることができ、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fv、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))であることができる。他の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、より詳細にはIgG1(例えばヒトIgG1)から選択される。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は、例えば、κまたはλ、特にκから選択される。
【0257】
提供される抗体の中には、抗体断片がある。「抗体断片」とは、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部分を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;可変重鎖(VH)領域、scFvおよび単一ドメインVH単一抗体などの一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、抗体は、scFvなどの、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片である。
【0258】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は概して、類似した構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい。)単一のVHまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体由来のVHまたはVLドメインを用いて単離して、それぞれ相補的なVLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングしてもよい。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0259】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、CARは、抗原、例えばがんマーカーまたは標的とされる細胞もしくは疾患、例えば腫瘍細胞もしくはがん細胞の細胞表面抗原、例えば本明細書に記載されるかまたは当技術分野で公知の標的抗原のいずれかに特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0260】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解消化、および組換え宿主細胞による産生を含むがそれらに限定されない、様々な技法によって作ることができる。いくつかの態様において、抗体は、組換え生産された断片、例えば、合成リンカー、例えばペプチドリンカーによって連結された2つ以上の抗体領域もしくは鎖を有するものなどの、天然には存在しない配置、および/または天然に存在する無傷の抗体の酵素消化によっては生じ得ない配置を含む断片である。いくつかの態様において、抗体断片はscFvである。
【0261】
「ヒト化」抗体は、すべてのまたは実質的にすべてのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、すべてのまたは実質的にすべてのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。非ヒト抗体の「ヒト化型」は、典型的には、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化を受けている非ヒト抗体のバリアントを指す。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復するかまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0262】
したがって、いくつかの態様において、TCR様CARを含むキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvを含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。
【0263】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばCAR、例えばその抗体部分は、スペーサーをさらに含み、これは、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などの、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョンの少なくとも一部分であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの態様において、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面において、定常領域の一部分は、抗原認識構成要素、例えばscFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として働く。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後に増加した細胞の応答性を提供する長さのものであることができる。いくつかの例において、スペーサーは、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであるか、または12アミノ酸以下の長さである。例示的なスペーサーには、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有する、および列挙された範囲のいずれかの両端の値の間の任意の整数を含むものが含まれる。いくつかの態様において、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーには、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが含まれる。例示的なスペーサーには、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153または国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示される配列を有し、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示される配列を有する。
【0264】
いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、および5のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:23~31に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:23~31のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0265】
いくつかの態様において、抗原受容体は、細胞外ドメインに直接敵または間接的に連結された細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインはITAMを含む。例えばいくつかの局面において、抗原認識ドメイン(例えば細胞外ドメイン)は、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素に、例えばCARの場合にはTCR複合体などの抗原受容体複合体を介する活性化および/または別の細胞表面受容体を介するシグナルを模倣するシグナル伝達構成要素などに、連結されている。いくつかの態様において、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えばscFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間に連結または融合された膜貫通ドメインを含む。したがって、いくつかの態様において、抗原結合構成要素(例えば抗体)は、1つまたは複数の膜貫通領域および細胞内シグナル伝達領域に連結されている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合されている。1つの態様において、受容体、例えばCAR中のドメインのうちの1つと天然で会合している膜貫通ドメインが用いられる。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに対するそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように、選択されるかまたはアミノ酸置換によって改変される。
【0266】
いくつかの態様における膜貫通ドメインは、天然の供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、いくつかの局面におけるドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、いくつかの態様における膜貫通ドメインは合成である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。いくつかの局面において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。いくつかの態様において、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。いくつかの局面において、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含む。
【0267】
いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、直接的または間接的に連結することができる。いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。いくつかの態様において、受容体は、CD28細胞外部分など、膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分を含有する。
【0268】
細胞内シグナル伝達ドメインの中には、天然の抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するかまたは近似するものがある。いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含有するもの、例えばグリシン-セリンダブレットなどの2~10アミノ酸の長さのリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成する。
【0269】
受容体、例えばCARは、概して、少なくとも1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ζ鎖などのTCR複合体の細胞内構成要素を含む。したがって、いくつかの局面において、ROR1結合抗体は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結されている。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部分をさらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3ゼータ(CD3ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0270】
いくつかの態様において、CARの連結時に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況において、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様において、抗原受容体構成要素または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の切断部分が、例えば、それがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷の免疫刺激鎖の代わりに用いられる。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、およびいくつかの局面においてはまた、天然の状況でそのような受容体と協調的に作用して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始する共受容体のもの、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくはバリアント、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
【0271】
天然のTCRに関連して、完全な活性化は概して、TCRを介するシグナル伝達だけではなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様において、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素もCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成要素を含まない。いくつかの局面において、追加のCARが、同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0272】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存性の一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存性の様式で作用して、二次シグナルまたは共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達構成要素の一方または両方を含む。
【0273】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を制御する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性の様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRまたはCD3ζ、FcRγまたはFcRβに由来するものが含まれる。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含有する。
【0274】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10およびICOSなどの、共刺激受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARがシグナル伝達領域と共刺激構成要素をどちらも含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子に由来する細胞内ドメインまたはその機能的バリアントを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または41BBである。
【0275】
いくつかの態様において、シグナル伝達領域および/または活性化ドメインは、1つのCAR内に含まれ、他方、共刺激構成要素は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、活性化CARまたは刺激CAR、および共刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上で発現される(WO2014/055668を参照されたい)。いくつかの局面において、細胞は、1つもしくは複数の刺激もしくは活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。いくつかの態様において、細胞は阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al.,Sci.Transl.Medicine,5(215)(December,2013)参照)、例えば疾患もしくは状態に関連しかつ/または疾患もしくは状態に特異的な抗原以外の抗原を認識するCARであって、それにより、疾患を標的とするCARを介して送達される活性化シグナルが、阻害性CARがそのリガンドに結合することによって減少しまたは阻害されて、例えばオフターゲット効果を低減するものを、さらに含む。
【0276】
ある特定の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えばCD3ζ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内ドメインに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0277】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARは、CD3ζ、CD28および4-1BBの細胞内構成要素を含む。
【0278】
いくつかの態様において、抗原受容体はマーカーをさらに含み、かつ/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、受容体を発現させるための細胞の形質導入または操作を確認するために使用し得る細胞表面マーカーなどの代理マーカーをさらに含む。いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFRまたは上皮成長因子受容体の全部または一部(例えば切断型)、例えばそのような細胞表面受容体の切断型(例えばtEGFR)を含む。例示的な代理マーカーは、切断型の細胞表面ポリペプチド、例えば、非機能性であって、シグナルを伝達しないもしくは伝達することができないか、または完全長型の細胞表面ポリペプチドによって通常伝達されるシグナルを伝達しないもしくは伝達することができず、かつ/またはインターナライズしないもしくはインターナライズすることができない切断型を含むことができる。例示的な切断型細胞表面ポリペプチドとして、切断型の成長因子受容体または他の受容体、例えば切断型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、切断型上皮成長因子受容体(tEGFR、例示的tEGFR配列をSEQ ID NO:7もしくは16に示す)もしくは前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはそれらの改変型が挙げられる。tEGFRは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合性分子によって認識されるエピトープを含有することができ、そのエピトープは、tEGFR構築物を使って操作された細胞およびコードされた外因性タンパク質を同定もしくは選択するために、かつ/またはコードされた外因性タンパク質を発現する細胞を排除もしくは分離するために、使用することができる。米国特許第8,802,374およびLiu et al.,Nature Biotech.2016 April;34(4):430-434を参照されたい。いくつかの局面において、マーカー、例えば代理マーカーは、CD34の全部もしくは一部(例えば切断型)、NGFRの全部もしくは一部(例えば切断型)、CD19もしくは切断型CD19、例えば切断型非ヒトCD19、または上皮成長因子受容体の全部もしくは一部(例えば切断型)(例えばtEGFR)を含む。いくつかの態様において、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばsuper-fold GFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedもしくはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにそれらのバリアント、例えば蛍光タンパク質の、種バリアント、単量体バリアント、ならびにコドン最適化および/もしくは高感度バリアントであるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、マーカーは、酵素、例えばルシフェラーゼ、大腸菌(E.coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるか、またはそれらを含む。例示的な発光レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントが挙げられる。
【0279】
いくつかの態様において、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様において、選択マーカーは、外因性薬剤または薬物に対する耐性を与えるポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を与える抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子またはそれらの改変型であるか、またはそれらを含む。
【0280】
いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば切断可能なリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチドに、機能的に連結される。例えばマーカーは、また任意でリンカー配列は、PCT公開番号WO2014031687に開示されているもののいずれかであることができる。例えばマーカーは、T2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結されていてもよい切断型EGFR(tEGFR)であることができる。切断型EGFR(例えばtEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸配列を含む。
【0281】
いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば切断可能なリンカー配列、例えばMMP切断可能リンカー配列をコードするポリヌクレオチドに、機能的に連結される。例えばマーカーは、また任意でリンカー配列は、特許出願公開番号WO2014031687に開示されているもののいずれかであることができる。例えばマーカーは、T2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結されていてもよい切断型EGFR(tEGFR)であることができる。
【0282】
いくつかの態様において、マーカーは、T細胞上に天然には見出されないまたはT細胞の表面上に天然には見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部分である。いくつかの態様において、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞が養子移入されることになる宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0283】
いくつかの態様において、マーカーは、治療機能を果たさず、かつ/または遺伝子操作のためのマーカーとして、例えば操作が成功した細胞を選択するために使用される以外の効果をもたらさない。別の態様において、マーカーは、治療分子であるか、または他の形で何らかの望ましい効果を発揮する分子、例えばインビボで遭遇する細胞に対するリガンド、例えば養子移入されてリガンドと遭遇したときに細胞の応答を強化および/または減衰するための共刺激分子または免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0284】
いくつかの場合には、CARは、第一世代、第二世代、および/または第三世代のCARと呼ばれる。いくつかの局面において、第一世代のCARは、抗原結合時にCD3鎖誘導シグナルを提供するだけのものである;いくつかの局面において、第二世代のCARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するもの、例えば、CD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものである;いくつかの局面において、いくつかの局面における第三世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0285】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインを含む。
【0286】
いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、直接または間接的に連結されることができる。いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0287】
いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかのそのような態様において、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部分、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0288】
いくつかの態様において、受容体、例えばCARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはそのバリアント、例えば、ヒトCD28(アクセッション番号P10747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインであるか、または、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインであり;いくつかの態様において、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0289】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0290】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、その41アミノ酸ドメインおよび/または天然CD28タンパク質の位置186~187にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、ヒト4-1BB(アクセッション番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0291】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意でCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアント、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号P20963.2)の112 AAの細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0292】
いくつかの局面において、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えば、SEQ ID NO:1に示されるヒンジのみのスペーサーを含有する。他の態様において、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示されるような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示されるような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他のフレキシブルリンカー、例えば公知のフレキシブルリンカーであるかまたはそれを含む。
【0293】
例えばいくつかの態様において、CARは、抗体、例えばscFvを含む抗体断片と、スペーサー、例えば免疫グロブリン分子の一部、例えばヒンジ領域および/または1つもしくは複数の定常領域を含有するスペーサー、例えばIg-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来の膜貫通ドメインの全部または一部を含有する膜貫通ドメインと、CD28由来の細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζシグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、抗体または断片、例えばscFvと、スペーサー、例えばIg-ヒンジ含有スペーサーのいずれかと、CD28由来の膜貫通ドメインと、4-1BB由来の細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ由来のシグナル伝達ドメインとを含む。
【0294】
いくつかの態様において、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子は、T2Aリボソームスキップエレメントをコードする配列および/またはtEGFR配列を、例えばCARをコードする配列の下流に、さらに含む。いくつかの態様において、配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示すT2AリボソームスキップエレメントまたはSEQ ID NO:6もしくは17に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈する配列をコードする。いくつかの態様において、抗原受容体(例えばCAR)を発現するT細胞は、非免疫原性選択エピトープとして切断型EGFR(EGFRt)を(例えば2つのタンパク質を同じ構築物から発現させるためにT2Aリボソームスイッチによって分離されたCARとEGFRtとをコードする構築物の導入によって)発現するように生成させることもでき、その場合は、それを、そのような細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる(例えば米国特許第8,802,374号参照)。いくつかの態様において、配列は、SEQ ID NO:7もしくは16に示すtEGFR配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸配列をコードする。いくつかの場合に、T2Aなどのペプチドは、リボソームに2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップ(リボソームスキッピング)させることができ、2A配列の末端と下流にある次のペプチドとの間の分離をもたらす(例えばde Felipe,Genetic Vaccines and Ther.2:13(2004)およびde Felipe et al.Traffic 5:616-626(2004)を参照されたい)。多くの2Aエレメントが公知である。本明細書において開示される方法および核酸において使用することができる2A配列の例は、非限定的に、米国特許出願公開第20070116690号に記載されているような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO:22)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えばSEQ ID NO:21)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO:6または17)、およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えばSEQ ID NO:19または20)からの2A配列である。
【0295】
対象に投与された細胞によって発現されるCARなどの組換え受容体は、一般に、処置される疾患もしくは状態または細胞において発現され、それらと関連し、かつ/またはそれらに特異的な分子を認識し、または同分子と特異的に結合する。分子、例えば抗原に特異的に結合すると、受容体は一般に、ITAM伝達シグナルなどの免疫刺激シグナルを細胞内に送達し、それによって、疾患または状態を標的とする免疫応答を増進する。例えば、いくつかの態様において、細胞は、疾患もしくは状態の細胞もしくは組織または疾患もしくは状態と関連する細胞もしくは組織によって発現される抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0296】
b. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造物品、および組成物に関連して用いられる操作された細胞によって発現される組換え受容体の中には、キメラ自己抗体受容体(CAAR)がある。いくつかの態様において、CAARは、自己抗体に特異的である。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞を、正常な抗体発現細胞には特異的に結合せず、死滅させないが、自己抗体発現細胞に特異的に結合して死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、自己免疫疾患などの自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、最終的に自己抗体を産生して、その細胞表面上に自己抗体を提示するB細胞を標的とし、これらのB細胞を治療的介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、抗原特異的キメラ自己抗体受容体を用いて疾患を引き起こすB細胞をターゲティングすることによって、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的にターゲティングし、死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開第2017/0051035号に記載されているいずれかである。
【0297】
いくつかの態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、二次または共刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
【0298】
いくつかの態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存することができる。例えば、自己抗原は、それが特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連する、B細胞などの標的細胞上の自己抗体を認識するために、選択されてもよい。いくつかの態様において、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原には、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3が含まれる。
【0299】
c. マルチターゲティング
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造物品、および組成物に関連して用いられる細胞は、マルチターゲティング戦略を使用する細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は、多鎖キメラ抗原受容体(CAR)を発現するか、または細胞上に2つ以上の遺伝子操作された受容体を発現し、各々は異なる抗原の同じものを認識し、典型的には、各々は異なる細胞内シグナル伝達構成要素を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO 2014055668 A1(例えば、オフターゲット、例えば正常細胞上では個別に存在するが、処置されるべき疾患または状態の細胞上でのみ一緒に存在する2つの異なる抗原をターゲティングする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載している)、ならびにFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(2013)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常または非罹患細胞、および処置されるべき疾患または状態の細胞の両方上で発現される1つの抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置されることが望ましくない細胞上でのみ発現される別の抗原に結合するものを記載している)に記載されている。
【0300】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、概して第1の受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原への特異的結合時に、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様において、細胞は、概して第2の受容体によって認識される第2の抗原への特異的結合時に、免疫細胞への共刺激シグナルを誘導することができる、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えば、キメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは同じである。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは異なる。
【0301】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞への活性化シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化を含み、ITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫学的シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近くの分子(例えば、CD4もしくはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/もしくはAP-1などの1つもしくは複数の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、ならびに/または生存を結果としてもたらす。
【0302】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含む。いくつかの態様において、第1の受容体と第2の受容体とは、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1の受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2の受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有するか、またはその逆である。
【0303】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを両方とも含む。
【0304】
いくつかの態様において、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2の受容体は、共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わせた共刺激シグナルは、免疫応答、例えば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能のような堅牢なかつ持続的な免疫応答を結果としてもたらすものである。
【0305】
いくつかの態様において、第1の受容体単独の連結または第2の受容体単独の連結はいずれも、堅牢な免疫応答を誘導しない。いくつかの局面において、1つの受容体のみが連結されている場合、細胞は、抗原に対して寛容もしくは非応答性になり、または阻害され、かつ/または増殖するかもしくは因子を分泌するかもしくはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかし、いくつかのそのような態様において、第1および第2の抗原を発現する細胞の遭遇時などの、複数の受容体が連結される時には、例えば、1つもしくは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続性、および/または標的細胞の細胞傷害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの所望の応答が達成される。
【0306】
いくつかの態様において、2つの受容体は、受容体のうちの一方によるその抗原への結合は細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合はその応答を抑制するかまたは減衰させるシグナルを誘導するように、それぞれ、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせである。例えば、活性化CARが、疾患または状態において発現されるが正常細胞上でも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞上で発現されるが疾患または状態の細胞上では発現されない別々の抗原に結合する、そのような戦略が用いられてもよい。
【0307】
いくつかの態様において、マルチターゲティング戦略は、特定の疾患または状態に関連する抗原が、非罹患細胞上で発現される、および/または操作された細胞自体上で、一過性に(例えば、遺伝子操作に関連する刺激時に)または永続的にのいずれかで発現される場合に使用される。そのような場合には、2つの別々のおよび個別に特異的な抗原受容体のライゲーションを必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0308】
いくつかの態様において、複数の抗原、例えば、第1および第2の抗原は、がん細胞などの標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態で発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、複数の抗原のうちの1つまたは複数は、概してまた、正常もしくは非罹患細胞もしくは組織などの細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、および/または操作された細胞自体でも発現される。そのような態様において、細胞の応答を達成するために複数の受容体のライゲーションを必要とすることによって、特異性および/または有効性が達成される。
【0309】
d. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様において、腫瘍の抗原、ウイルスまたは自己免疫タンパク質などの標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。
【0310】
いくつかの態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはその抗原結合部分を含有し、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様において、TCRはαβ形態である。典型的には、αβ形態およびγδ形態で存在するTCRは概して、構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、別個の解剖学的場所または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上にまたは可溶型で見出されることができる。概して、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見出され、ここで概して、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することを担う。
【0311】
特に明記されない限り、「TCR」という用語は、完全なTCR、およびその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様において、TCRは、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、無傷または完全長のTCRである。いくつかの態様において、TCRは、完全長未満のTCRであるが、MHC分子に結合した特異的なペプチドに結合する、例えば、MHC-ペプチド複合体に結合する抗原結合部分である。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長または無傷のTCRの構造ドメインの一部分のみを含有することができるが、それでもなお、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。概して、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
【0312】
いくつかの態様において、TCRの可変ドメインは、概して抗原認識ならびに結合能力および特異性への主たる寄与因子である、超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含有する。いくつかの態様において、TCRのCDRまたはそれらの組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位のすべてまたは実質的にすべてを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは概して、CDRと比較してTCR分子の間でより低い変動性を概して示すフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990;Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい;またLefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。いくつかの態様において、CDR3は、抗原結合もしくは特異性を担う主なCDRであるか、または抗原認識のため、および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用のために、所与のTCR可変領域上の3つのCDRの中で最も重要である。いくつかの状況において、α鎖のCDR1は、ある特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、β鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれを担う主たるCDRである。いくつかの態様において、β鎖の可変領域は、概してスーパー抗原結合に関与し、抗原認識には関与しないさらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含有することができる(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
【0313】
いくつかの態様において、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質尾部も含有することができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)。いくつかの局面において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質尾部を保有することができる。いくつかの態様において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質と会合している。
【0314】
いくつかの態様において、TCR鎖は、1つまたは複数の定常ドメインを含有する。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリングに基づくアミノ酸1~116、Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインもしくはCα、典型的にはKabatナンバリングに基づく鎖の位置117~259、またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づく鎖の位置117~295)を含有することができる。例えば、いくつかの場合には、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含有し、この可変ドメインは各々、CDRを含有する。TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する短い接続配列を含有し得る。いくつかの態様において、TCRが定常ドメイン中に2つのジスルフィド結合を含有するように、TCRは、α鎖およびβ鎖の各々に追加のシステイン残基を有し得る。
【0315】
いくつかの態様において、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質尾部を含有する。いくつかの場合には、その構造は、TCRがCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMを含有する。
【0316】
いくつかの態様において、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または一本鎖TCR構築物であり得る。いくつかの態様において、TCRは、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結されている、2本の別々の鎖(α鎖およびβ鎖、またはγ鎖およびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。
【0317】
いくつかの態様において、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に入手可能である、Vα、β鎖の配列などの公知のTCR配列から生成することができる。V鎖配列を含む完全長TCR配列を細胞供給源から得るための方法が周知である。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸は、例えば、所与の1つまたは複数の細胞内のもしくは細胞から単離されたTCRコード核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成によって、様々な供給源から得ることができる。
【0318】
いくつかの態様において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えば、T細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に入手可能な供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞は、インビボで単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様において、TCRは、胸腺的に選択されたTCRである。いくつかの態様において、TCRは、ネオエピトープ拘束性TCRである。いくつかの態様において、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであることができる。いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分またはその抗原結合断片は、TCRの配列の知識から合成的に生成することができる。
【0319】
いくつかの態様において、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対して候補TCRのライブラリをスクリーニングすることから同定されたかまたは選択されたTCRから生成される。TCRライブラリは、PBMC、脾臓、または他のリンパ系器官中に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からの、VαおよびVβのレパートリーの増幅によって生成することができる。いくつかの場合には、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅することができる。いくつかの態様において、TCRライブラリは、CD4+またはCD8+T細胞から生成することができる。いくつかの態様において、TCRは、正常な健常対象のT細胞供給源、すなわち正常なTCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、TCRは、罹患対象のT細胞供給源、すなわち罹患TCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、ヒトから得られたT細胞などの試料において、例えばRT-PCRによってVαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために、縮重プライマーが用いられる。いくつかの態様において、scTvライブラリは、ナイーブVαおよびVβライブラリからアセンブルすることができ、ここで、増幅産物がクローニングされるか、またはリンカーによって分離されるようにアセンブルされる。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリは、HLA対立遺伝子特異的であることができる。あるいは、いくつかの態様において、TCRライブラリは、親または骨格TCR分子の突然変異誘発または多様化によって生成することができる。いくつかの局面において、TCRは、例えば、α鎖またはβ鎖の突然変異誘発などによって、指向性進化に供される。いくつかの局面において、TCRのCDR内の特定の残基が、変更される。いくつかの態様において、選択されたTCRを、親和性成熟によって改変することができる。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞は、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって選択され得る。いくつかの局面において、例えば、抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、結合活性、例えば、抗原に対する特定の親和性または結合力などによって選択され得る。
【0320】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、改変されているかまたは操作されているものである。いくつかの態様において、特異的なMHC-ペプチド複合体に対するより高い親和性などの変更された特性を有するTCRを生成するために、指向性進化法が用いられる。いくつかの態様において、指向性進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62;Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)を含むがそれらに限定されないディスプレイ法によって達成される。いくつかの態様において、ディスプレイアプローチは、公知の、親または参照TCRを操作することまたは改変することを含む。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRを、CDRのうちの1個または複数個の残基が変異している変異誘発されたTCRを作製するための鋳型として用いることができ、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの所望の変更された特性を有する変異体が選択される。
【0321】
いくつかの態様において、関心対象のTCRの作製または生成における使用のための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるか、または容易に同定されることができる。いくつかの態様において、TCRまたは抗原結合部分の生成における使用に適しているペプチドは、下記の標的ポリペプチドなどの、関心対象の標的ポリペプチド中のHLA拘束性モチーフの存在に基づいて決定することができる。いくつかの態様において、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様において、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、MHC拘束性エピトープはHLA-A0201であり、これは、すべての白人のおよそ39~46%において発現され、そのため、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子を調製する使用のためのMHC抗原の適している選択である。
【0322】
コンピュータ予測モデルを用いたHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームについての切断部位が公知である。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred:prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17 (12):1236-1237 2001により詳細に記載されている)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
【0323】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の特性が変更されている、組換え生産された天然のタンパク質またはその変異型であってもよい。いくつかの態様において、TCRは、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物などの様々な動物種のうちの1つに由来してもよい。TCRは、細胞結合型であってもよく、または可溶型であってもよい。いくつかの態様において、提供される方法の目的で、TCRは、細胞の表面上に発現される細胞結合型である。
【0324】
いくつかの態様において、TCRは完全長TCRである。いくつかの態様において、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様において、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様において、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載されている構造を有する。
【0325】
いくつかの態様において、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、CD3とTCR複合体を形成することができる。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRを含むTCRのいずれかは、シグナル伝達ドメインに連結されることができ、T細胞の表面上に活性TCRを生じる。いくつかの態様において、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0326】
いくつかの態様において、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第2のポリペプチドを含有し、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとはジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様において、結合は、天然の二量体αβTCR中に存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応することができる。いくつかの態様において、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCR中に存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。いくつかの態様において、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含有する。
【0327】
いくつかの態様において、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含有し、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を一緒に連結する。
【0328】
いくつかの態様において、TCRはscTCRである。典型的には、scTCRは、公知の方法を用いて生成することができる。例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992);Wulfing, C. and Pluckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994);Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993);国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186;およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照されたい。いくつかの態様において、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするために導入された非天然のジスルフィド鎖間結合を含有する(例えば、国際公開PCT番号WO 03/020763を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、そのC末端に融合した異種のロイシンジッパーが鎖の会合を容易にする、非ジスルフィド結合切断型TCRである(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合で連結されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照されたい)。
【0329】
いくつかの態様において、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0330】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0331】
いくつかの態様において、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0332】
いくつかの態様において、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成できる任意のリンカーであることができる。いくつかの態様において、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有してもよく、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様において、第1および第2のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために配向されるように対合される。したがって、いくつかの場合には、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間、またはその逆の間の距離を橋渡しするのに十分な長さを有するが、標的リガンドに対するscTCRの結合を遮断するかまたは低減するほど長くはない。いくつかの態様において、リンカーは、10~45アミノ酸または約10~45アミノ酸、例えば10~30アミノ酸または26~41アミノ酸残基、例えば、29、30、31、もしくは32アミノ酸を含有することができる。いくつかの態様において、リンカーは、式
を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、かつSはセリンである(SEQ ID NO:32)。いくつかの態様において、リンカーは、配列
を有する。
【0333】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する、共有ジスルフィド結合を含有する。いくつかの態様において、天然のTCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。
【0334】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRのいくつかの態様において、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様において、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する天然のシステインのうちの1つまたは複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置換されている。いくつかの態様において、導入されるジスルフィド結合は、第1および第2のセグメント上の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然のジスルフィド結合は、国際公開PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0335】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合断片は、10-5~10-12M または約10-5~10-12 Mならびにその中のすべての個々の値および範囲の、標的抗原に対する平衡結合定数で親和性を示す。いくつかの態様において、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0336】
いくつかの態様において、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする1つまたは複数の核酸は、PCR、クローニング、または他の適している手段によって増幅し、適している1つまたは複数の発現ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の適している組換え発現ベクターであることができ、任意の適している宿主を形質転換するかまたはトランスフェクトするために用いることができる。適しているベクターには、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および増大のため、または発現のため、またはその両方のために設計されたものが含まれる。
【0337】
いくつかの態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであることができる。いくつかの場合には、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも用いることができる。いくつかの態様において、植物発現ベクターを用いることができ、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、およびpBIN19(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、動物発現ベクターには、pEUK-Cl、pMAM、およびpMAMneo(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが用いられる。
【0338】
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技法を用いて調製することができる。いくつかの態様において、ベクターは、適切なように、かつベクターがDNAベースであるかまたはRNAベースであるかを考慮に入れて、ベクターが導入されることになる宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的である制御配列、例えば転写および翻訳開始および終止コドンを含有することができる。いくつかの態様において、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然のプロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復配列において見出されるプロモーターであることができる。他の公知のプロモーターもまた、企図される。
【0339】
いくつかの態様において、TCRをコードするベクターを生成するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAから、α鎖およびβ鎖をPCR増幅して、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、同じベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター中に組み込まれる。
【0340】
D. アウトプット細胞組成物の特徴
特定の態様において、本明細書に提供される方法は、遺伝子操作された細胞を含有する細胞の組成物、例えば、アウトプット細胞組成物を作製するかまたは生成する。ある特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、細胞を遺伝子操作するための工程のうちのいくつかまたはすべてに起因する細胞組成物である。ある特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、インプット組成物の細胞を遺伝子操作するプロセスに起因する。ある特定の態様において、プロセスは、インプット細胞組成物から得られる細胞などの、細胞を活性化する、形質導入するかもしくはトランスフェクトする、増大させる、および/または採集するための1つまたは複数の工程を含有する。ある特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、遺伝子操作されている細胞を含有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物の細胞は、遺伝子操作のプロセスのための工程のすべてを経ている。
【0341】
いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する細胞を含有する。いくつかの態様において、核酸は、異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在せず、例えば、操作されている細胞、および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものである。いくつかの態様において、核酸は、天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞型由来の様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものを含む、天然において見出されない核酸である。
【0342】
いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物は、遺伝子操作された細胞を含有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は操作されたT細胞を含有する。いくつかの態様において、操作されたT細胞は、操作されたCD4+T細胞および操作されたCD8+T細胞を含む。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%の操作されたT細胞を含有しまたは含む。一定の態様において、操作された細胞は組換え受容体を発現する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%もしくは100%または約100%の、組換え受容体を発現するT細胞を含有しまたは含む。いくつかの態様において、組換え受容体はTCRまたはCARである。特定の態様において、組換え受容体はCARである。
【0343】
一定の態様において、アウトプット細胞組成物は、5:1~0.2:1、4:1~0.25:1、3:1~0.33:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.66:1または1.25:1~0.8:1の、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、2:1~0.5:1の、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物は、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1もしくは0.5:1の、または約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1、約0.8:1、約0.7:1、約0.6:1もしくは約0.5:1の、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、1:1の、または約1:1の、操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の比を有する。特定の態様において、操作されたT細胞は組換え受容体を発現する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1もしくは0.5:1の、または約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1、約0.8:1、約0.7:1、約0.6:1もしくは約0.5:1の、組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比を有する。特定の態様において、アウトプット細胞組成物は、1:1のまたは約1:1の、組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比を有する。いくつかの態様において、組換え受容体はTCRまたはCARである。特定の態様において、組換え受容体はCARである。
【0344】
いくつかの態様において、本方法は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比、組換え受容体を発現するCD4+T細胞対組換え受容体を発現するCD8+T細胞の比、および/またはCARを発現するCD4+T細胞対CARを発現するCD8+T細胞の比が、そのような所定の、所望の、または固定された比の一定の許容誤差または誤差範囲内にあり、かつ/または本方法を実施したときに一定の割合で、例えば少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは95%超または少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%もしくは約95%超の割合で、そのような比をもたらす、アウトプット細胞組成物をもたらす。いくつかの態様において、許容誤差は、前記比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%または約75%内である。いくつかの局面において、比は、所望の比の10%、20%または30%内であり、かつ/または本方法を実施したときに少なくとも70%、80%もしくは90%の割合で、その比の範囲内である。一定の態様において、比は、本方法を実施したときの少なくとも90%は、1:1という比の50%内である。
【0345】
いくつかの態様において、組換え受容体を発現しかつ/またはCARを発現する操作されたCD4+T細胞対CD8+T細胞の許容誤差および/または所定の比は、1または複数の対象に、複数の試験比または試験数で、異なる細胞タイプ、例えばCD4+T細胞およびCD8+T細胞を投与し、1つまたは複数のパラメータを評価することによって、決定される、または決定された。いくつかの局面において、所定のもしくは固定された比または許容誤差の決定は、対象への投与後に1つまたは複数のアウトカムを評価する工程を含む。いくつかの局面において、アウトカムには、疾患症状の改善および安全性および/または低い毒性もしくは毒性の欠如を示すアウトカムの中から選択されるものが含まれる。
【0346】
一定の態様において、本明細書において提供される方法によって産生されるアウトプット細胞組成物は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が2:1~0.5:1である。一定の態様において、アウトプット組成物は、1:1のまたは約1:1の、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比を含有する。いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物は、本明細書に記載されるインプット細胞組成物、例えばセクションI~Aに記載のインプット細胞組成物から産生された。これらのアウトプット細胞組成物は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が2:1~0.5:1である。特定の態様において、インプット細胞組成物から産生されたアウトプット細胞組成物は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が1:1であり、許容誤差は50%、25%、10%またはそれ未満である。一定の態様において、操作されたT細胞は組換え受容体を発現する。一定の態様において、操作されたT細胞はCARを発現する。
【0347】
II. 組成物および製剤
本明細書に記載されるインキュベーション(例えば刺激)方法に従って調製された細胞を含有する組成物または製剤が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物および方法は、例えば治療用細胞組成物として使用するための、組換え受容体発現CD4+T細胞対CD8+T細胞が所定の比である細胞のアウトプット細胞組成物を得るために使用することができる。本明細書に記載される方法のいずれかによって産生されるアウトプット細胞組成物も、本明細書において提供される。
【0348】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法のいずれかを用いて産生される細胞、例えばアウトプット細胞組成物の細胞は、薬学的組成物および製剤を含む組成物として、例えば所与の用量またはその何分の一かの、投与される細胞数を含む単位用量型組成物として、提供される。特定の態様において、アウトプット細胞組成物の細胞は、組換え受容体で遺伝子操作されている(例えばCAR-T細胞)。一定の態様において、薬学的組成物および製剤は一般に、1つまたは複数の随意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0349】
いくつかの態様において、細胞の組成物、例えばアウトプット細胞組成物は、細胞療法の目的で生成されるかまたは製造される。いくつかの態様において、細胞組成物は、薬学的組成物または製剤である。そのような組成物は、例えば、疾患、状態、および障害の予防または処置における、または検出、診断、および予後判定法における使用のためのその放出を評価するために、提供される方法に従って用いることができる。
【0350】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象に対して許容できないほどの毒性を有するさらなる構成要素を含有しない調製物を指す。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、同じ操作された細胞から構成されるが、異なる薬学的製剤を有する細胞組成物の表面グリカン発現を比較するために用いられてもよい。
【0351】
「薬学的に許容される担体」とは、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、本明細書に提供される方法は、同じ操作された細胞から構成されるが、異なる薬学的に許容される担体を有する細胞組成物の表面グリカン発現を比較するために用いられてもよい。
【0352】
いくつかの態様において、T細胞療法、例えば操作されたT細胞(例えば、CAR T細胞)は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。いくつかの局面において、担体の選択は、一部には、特定の細胞によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、多種多様な適している製剤がある。例えば、薬学的組成物は、保存剤を含有することができる。適している保存剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。いくつかの局面において、2種類以上の保存剤の混合物が用いられる。保存剤またはその混合物は、典型的には、総組成物の重量で約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は、概して、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、以下を含むが、それらに限定されない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
【0353】
いくつかの局面における緩衝剤は、組成物中に含まれる。適している緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。いくつかの局面において、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、総組成物の重量で約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は、公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed.(May 1, 2005)においてより詳細に記載されている。
【0354】
製剤は、水溶液を含むことができる。製剤または組成物はまた、1つまたは複数の活性成分を含む、細胞で予防されているかまたは処置されている特定の適応症、疾患、または状態に有用な1つよりも多い活性成分を含有してもよく、ここで、活性は、細胞に対して相補的であり、かつ/またはそれぞれの活性は、互いに有害な影響を与えない。そのような活性成分は、意図される目的にとって有効である量において組み合わせで適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのような他の薬学的に活性な剤または薬物をさらに含む。
【0355】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、疾患または状態を処置するかまたは予防するのに有効な量、例えば、治療的に有効なまたは予防的に有効な量で、細胞、例えばアウトプット細胞組成物の細胞を含有する。いくつかの態様における治療的または予防的有効性は、処置された対象の定期的な評価によってモニターされる。数日またはより長期にわたる反復投与では、状態に応じて、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで、処置が繰り返される。しかし、他の投薬レジメンが、有用である可能性があり、決定することができる。望ましい投薬量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0356】
細胞、例えばアウトプット細胞組成物の細胞は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを用いた投与のために製剤化され得る。組成物の保管および投与のための製剤およびデバイス、例えばシリンジおよびバイアルが提供される。細胞に関して、投与は、自己由来または異種であることができる。例えば、免疫応答性細胞または前駆体を、1名の対象から得て、同じ対象または適合性を有する異なる対象へ投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロ由来)を、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む、局所注射を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は概して、単位投薬量を注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルション)に製剤化される。
【0357】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔投与、舌下投与、または坐剤投与のためのものが含まれる。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は、非経口投与される。本明細書において用いられる「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、膣内投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて、対象へ投与される。
【0358】
いくつかの態様における組成物は、いくつかの局面において選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供される。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。加えて、液体組成物は、特に注射によって投与するのに、いくらかより便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供する適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性組成物は、担体を含むことができ、担体は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適している混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。
【0359】
滅菌の注射可能な溶液は、細胞を溶媒中に組み込むことによって、例えば、適している担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物において、調製することができる。組成物はまた、凍結乾燥することもできる。組成物は、所望される投与の経路および調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などのような補助物質を含有することができる。標準的な教科書が、いくつかの局面において、適している調製物を調製するために参考にされてもよい。
【0360】
抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を増強する様々な添加剤を、添加することができる。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0361】
インビボ投与のために用いられる製剤は、概して無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって、容易に達成され得る。
【0362】
疾患の予防または処置のために、適切な投薬量は、作用物質または細胞が、予防目的で投与されようとまたは治療目的で投与されようと、処置されるべき疾患のタイプ、1つまたは複数の作用物質のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重篤度および経過、事前の治療法、対象の臨床歴および作用物質または細胞に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物は、いくつかの態様において、一度にまたは一連の処置にわたって、対象に適当に投与される。
【0363】
III. 投与の方法
また、組換え受容体(例えばCAR)によって認識される抗原が発現される疾患、状態、および障害の処置における、細胞および組成物、例えば本明細書に記載されるアウトプット組成物中に存在するものを用いる方法およびその使用も提供される。また、記載される操作方法のいずれかによって作製されるアウトプット細胞組成物を対象へ投与する工程を含む、処置の方法も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載される方法のいずれかを用いて、遺伝子操作されたT細胞、例えばアウトプット細胞組成物の遺伝子操作されたT細胞を生成する工程、および本明細書に記載される方法によって作製される遺伝子操作されたT細胞を投与する工程を含む。
【0364】
操作された細胞および組成物を投与する方法、ならびに、がんを含む疾患、状態、および障害を処置するかまたは予防するためのそのような操作された細胞および組成物の使用が提供される。提供される方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。いくつかの態様において、方法は、操作された細胞、または、記載されるようなアウトプット組成物由来の細胞などの細胞を含有する組成物の、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態、または障害を有する、その危険性がある、またはそれを有すると疑われるものへの投与を含む。いくつかの態様において、細胞、集団、および組成物は、処置されるべき特定の疾患または状態を有する対象へ、例えば、養子T細胞療法などの養子細胞療法を介して投与される。いくつかの態様において、細胞または組成物は、対象、例えば、疾患もしくは状態を有するかまたはその危険性がある対象へ、例えば、操作されたT細胞によって認識される抗原を発現するがんにおける腫瘍負荷を小さくすることによって、疾患または状態の1つまたは複数の症状を改善するために投与される。
【0365】
いくつかの局面において処置される疾患または状態は、抗原の発現が、疾患、障害または状態の細胞または組織に関連している、それに特異的である、および/もしくはその上に発現している、ならびに/または疾患、状態または障害の病因に関与している、例えば、そのような疾患、状態、または障害を引き起こす、憎悪させる、または他の方法で関与している、いずれかのものであり得る。例示的な疾患および状態としては、悪性腫瘍もしくは細胞の形質転換(例えば、がん)、自己免疫もしくは炎症性疾患、または、例えば細菌、ウイルスもしくは他の病原体によって引き起こされる感染性疾患に関連する疾患または状態を挙げることができる。例示的な抗原は、処置することができる種々の疾患および状態に関連する抗原を含み、上記に記載されている。特定の態様において、免疫調節ポリペプチドおよび/または組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体またはTCRは、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、対象は、疾患、障害または状態、任意でがん、腫瘍、自己免疫性の疾患、障害もしくは状態、または感染性疾患を有する。
【0366】
いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、種々のがんに関連する腫瘍を含む。がんは、いくつかの態様において、対象の身体内に位置している任意のがん、例えば、これらに限定されないが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置しているがんなどであり得る。例えば、抗がん剤が、結腸がん、子宮頸がん、中枢神経系のがん、乳がん、膀胱がん、肛門がん、頭頸部がん、卵巣がん、子宮内膜がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経内分泌がん、軟部組織がん、陰茎がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、胆嚢がん、または食道がんの処置のために用いられ得る。いくつかの場合において、がんは血液のがんであり得る。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、例えば固形腫瘍、リンパ腫、白血病、血液腫瘍、転移性腫瘍、または他のがんもしくは腫瘍タイプなどである。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、結腸、肺、肝臓、乳房、前立腺、卵巣、皮膚、黒色腫、骨のがん、脳がん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞がん、膵臓腺がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、神経芽腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫の中から選択される。
【0367】
疾患、状態、および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含む、ならびに局限性および転移性腫瘍を含む腫瘍、感染性疾患、例えばウイルスまたは他の病原体、例えばHIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染および寄生虫病など、ならびに自己免疫および炎症性疾患がある。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患には、これらに限定されないが、白血病、リンパ腫、例えば急性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、治療抵抗性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および多発性骨髄腫(MM)が含まれ、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)内から選択される。
【0368】
いくつかの態様において、疾患または状態は、これらに限定されないが、ウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫感染、免疫不全、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどの、感染性疾患または状態である。いくつかの態様において、疾患または状態は、関節炎、例えば関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態などの、自己免疫または炎症性の疾患または状態である。
【0369】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ 5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、NKG2D、がん-精巣抗原 がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、MART-1、糖タンパク質100(gp100)、胎児腫瘍抗原、ROR1、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子からなる群より選択される。
【0370】
いくつかの態様において、抗原またはリガンドは、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原またはリガンドは、オーファンチロシンキナーゼ受容体(ROR1)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、CD19、CD20、CD22、メソテリン(MSLN)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、B7-H3、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、CD171、葉酸受容体α、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、神経細胞接着分子(NCAM)、血管内皮増殖因子受容体(VEGF受容体もしくはVEGFR)、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、メランA(MART-1)、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、胎児腫瘍性抗原、TAG72、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、がん胎児性抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、エフリンB2、CD123、CD133、c-Met、O-アセチル化GD2(OGD2)、L1-CAMのCE7エピトープ、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原もしくは病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはそれらを含む。
【0371】
いくつかの態様において、疾患または状態は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、B細胞悪性腫瘍は、白血病またはリンパ腫である。いくつかの局面において、疾患または状態は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの場合には、疾患または状態は、侵襲性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(新規および低悪性度から形質転換)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)であるNHLなどであるかまたはそれを含む、NHLである。いくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARは、疾患もしくは状態に関連する、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変の環境の細胞において発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原が含まれる。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0372】
いくつかの態様において、疾患または状態は、多発性骨髄腫などの骨髄腫である。いくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARは、疾患もしくは状態に関連する、または多発性骨髄腫に関連する病変の環境の細胞において発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、GPRC5DまたはBCMAなどの、多発性骨髄腫に関連する抗原が含まれる。
【0373】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原である。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0374】
いくつかの態様において、細胞ベースの治療法は、腫瘍またはがんなどの病変の表面上に発現される分子を標的とする、T細胞などの細胞の投与であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)または他の抗原結合受容体を発現する。いくつかの態様において、免疫細胞は、組換え受容体、例えばトランスジェニックTCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して自己由来である。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して同種異系である。
【0375】
養子細胞療法のための操作された細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して用いられてもよい。例えば、養子T細胞法は、例えば、Gruenberg et alに対する米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergに対する米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載される。例えば、Themeli et al., (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al., (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al., (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照。
【0376】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、自己由来移植によって行われる。よって、いくつかの局面において、細胞は処置を必要とする対象、例えば患者に由来し、細胞は、単離および処理後に、同じ対象に投与される。
【0377】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっているまたは最終的に該細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1の対象から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、同種異系移植によって行われる。そのような態様において、細胞は次に、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に類似する。いくつかの態様において、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。細胞は任意の適切な手段によって投与することができる。用量および投与は、投与が短期または慢性であるかどうかに一部依拠し得る。種々の投与スケジュールには、様々な時点での単回もしくは複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0378】
いくつかの態様において、提供される方法は、アウトプット細胞組成物の細胞、例えばセクションIに記載した細胞の組成物の細胞を対象に投与する、1つまたは複数の工程を含む。一定の態様において、アウトプット細胞組成物の細胞は、操作されたCD4+T細胞と操作されたCD8+T細胞とを含む。いくつかの態様において、操作されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞は、T細胞受容体(TCR)または他の抗原結合性受容体を発現する。いくつかの態様において、免疫細胞は組換え受容体、例えばトランスジェニックTCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの態様において、アウトプット細胞組成物の細胞は対象にとって自己由来である。いくつかの態様において、細胞は細胞にとって同種異系である。
【0379】
一定の態様において、アウトプット細胞組成物のCD4+T細胞およびCD8+T細胞は、同じ組成物、用量または混合物として対象に投与される。したがっていくつかの態様では、組換え受容体発現CD4+T細胞および組換え受容体発現CD8+T細胞、例えばCAR+CD4+およびCAR+CD8+が、同じ組成物、用量または混合物として対象に投与される。
【0380】
ある態様において、細胞、例えばアウトプット細胞組成物の細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、対象の体重1キログラム当たり約100万~約1000億の細胞の範囲および/またはその量の細胞で、例えば、約100万~約500億の細胞(例えば、約500万の細胞、約2500万の細胞、約5億の細胞、約10億の細胞、約50億の細胞、約200億の細胞、約300億の細胞、約400億の細胞、もしくは前述の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)、例えば、約1000万~約1000億の細胞(例えば、約2000万の細胞、約3000万の細胞、約4000万の細胞、約6000万の細胞、約7000万の細胞、約8000万の細胞、約9000万の細胞、約100億の細胞、約250億の細胞、約500億の細胞、約750億の細胞、約900億の細胞、もしくは前述の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)、いくつかの場合において、約1億の細胞~約500億の細胞(例えば、約1億2000万の細胞、約2億5000万の細胞、約3億5000万の細胞、約4億5000万の細胞、約6億5000万の細胞、約8億の細胞、約9億の細胞、約30億の細胞、約300億の細胞、約450億の細胞)、または、これらの範囲の中にある任意の値でかつ/または対象の体重1キログラム当たり、対象へ投与される。投薬量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特定の特質に依存して、変動し得る。
【0381】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1×108個より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、約1×106~1×108個の範囲のこのような細胞、例えば、2×106、5×106、1×107、5×107、または1×108個もしくはすべてのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。
【0382】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、1×105~5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~1×108個の総CAR発現T細胞、1×105~5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~1×107個の総CAR発現T細胞、1×105~5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~1×106個の総CAR発現T細胞、1×106~5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~1×108個の総CAR発現T細胞、1×106~5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×106~5×106個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106個の総CAR発現T細胞、5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×107~5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×107~5×107個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107個の総CAR発現T細胞、5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×108~5×108個の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108個の総CAR発現T細胞、もしくは2.5×108 ~5×108個の総CAR発現T細胞、または概ねそれらの値の総CAR発現T細胞を含む。
【0383】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、少なくとも1×105個もしくは少なくとも約1×105個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105個もしくは少なくとも約2.5×105個のCAR発現細胞、少なくとも5×105個もしくは少なくとも約5×105個のCAR発現細胞、少なくとも1×106個もしくは少なくとも約1×106個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106個もしくは少なくとも約2.5×106個のCAR発現細胞、少なくとも5×106個もしくは少なくとも約5×106個のCAR発現細胞、少なくとも1×107個もしくは少なくとも約1×107個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107個もしくは少なくとも約2.5×107個のCAR発現細胞、少なくとも5×107個もしくは少なくとも約5×107個のCAR発現細胞、少なくとも1×108個もしくは少なくとも約1×108個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108個もしくは少なくとも約2.5×108個のCAR発現細胞、または少なくとも5×108個もしくは少なくとも約5×108個のCAR発現細胞を含む。
【0384】
いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の細胞数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、少なくとも1×105個または少なくとも約1×105個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば少なくとも1×106個または少なくとも1×106個、少なくとも1×107個または少なくとも約1×107個、少なくとも1×108個または少なくとも約1×108個のそのような細胞の細胞数を含む細胞の用量の投与を含む。いくつかの態様において、該数は、CD3+またはCD8+の総数を基準とし、いくつかの場合においては、組換え受容体発現(例えばCAR+)細胞も基準とする。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。
【0385】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量で含む、用量のCD8+T細胞は、約1×106から5×108 個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5×106~1×108個のそのような細胞の範囲で、例えば1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、または5×108個の総数のそのような細胞、または前述の値の任意の2つ間の範囲で含む。いくつかの態様において、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は前述の値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様において、細胞の用量は、それぞれ両端の値を含む、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~2.5×107個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個または約1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。
【0386】
いくつかの態様において、細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞の用量は、単一用量として対象へ投与されるか、または、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、もしくはそれよりも長い期間内に1回のみ投与される。
【0387】
いくつかの局面において、薬学的組成物および製剤は、所与の用量またはその画分での投与のための細胞の数を含む単位用量形態組成物として提供される。いくつかの態様において、提供される方法は、細胞をインキュベートする(例えば、刺激する)他の方法と比較して、投薬まで予測可能な時間表で細胞を作製する。いくつかの場合には、投与のための細胞の用量は、インプット細胞組成物におけるナイーブ様細胞の数に基づいて決定される。
【0388】
いくつかの局面において、用量のサイズは、対象における疾患または状態の負荷によって決定される。例えば、いくつかの局面において、用量で投与される細胞の数は、細胞の用量の投与開始の直前に対象中に存在する腫瘍負荷に基づいて決定される。いくつかの態様において、第1のおよび/またはその後の用量のサイズは、疾患負荷と逆相関する。いくつかの局面では、疾患負荷が大きい場合などに、対象には少数の細胞が投与される。他の態様では、疾患負荷が低い場合などに、対象には多数の細胞が投与される。
【0389】
細胞の投与後、いくつかの態様における操作された細胞集団の生物学的活性は、例えばいくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメータには、インビボでの、例えばイメージングによる、またはエクスビボでの、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。一定の態様において、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、例えばKochenderfer et al.,J.Immunotherapy,32(7):689-702(2009)、およびHerman et al.J.Immunological Methods,285(1):25-40(2004)に記載されている細胞傷害性アッセイなど、任意の適切な方法を用いて測定することができる。一定の態様において、細胞の生物学的活性は、1つまたは複数のサイトカイン、例えばCD107a、IFNγ、IL-2およびTNFなどの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍負荷または腫瘍量の低減などの臨床アウトカムを測定することによって測定される。
【0390】
細胞は任意の適切な手段によって投与することができる。細胞は、腫瘍量の低減などの治療効果を達成するための投与レジメンで投与される。投薬および投与は、一つには、T細胞療法の施与前、施与後および/または施与の開始と同時に投与することができる免疫調節化合物の投与スケジュールに依存し得る。T細胞療法の種々の投与スケジュールは、様々な時点での単回もしくは複数回投与、ボーラス投与およびパルス注入を含むが、それらに限定されるわけではない。一定の態様において、操作されたT細胞は組換え受容体を発現する。一定の態様において、操作されたT細胞はCARを発現する。
【0391】
特定の態様において、同じ組成物、用量または混合物として対象に投与されるCD4+T細胞対CD8+T細胞の比は、5:1~0.2:1、4:1~0.25:1、3:1~0.33:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.66:1または1.25:1~0.8:1である。いくつかの態様において、同じ組成物、用量または混合物として態様に投与されるCD4+T細胞対CD8+T細胞の比は、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1もしくは0.5:1であるか、または約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1、約0.8:1、約0.7:1、約0.6:1もしくは約0.5:1である。
【0392】
特定の態様において、同じ組成物、用量または混合物として対象に投与される組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比は5:1~0.2:1、4:1~0.25:1、3:1~0.33:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.66:1または1.25:1~0.8:1である。一定の態様において同じ組成物、用量または混合物として対象に投与される組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比は、2.0:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1もしくは0.5:1であるか、または約2.0:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1、約0.8:1、約0.7:1、約0.6:1もしくは約0.5:1である。特定の態様において、投与される組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比は、1:1であるか、または約1:1である。いくつかの態様において、組換え受容体はTCRまたはCARである。特定の態様において、組換え受容体はCARである。
【0393】
いくつかの態様において、対象に投与される用量、組成物または混合物の、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比は、そのような所定の、所望の、または固定された比の一定の許容誤差または誤差範囲内にある。いくつかの態様において、許容誤差は、標的とする、所定の、好ましい、および/または固定された比の1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%内または約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%もしくは約50%内である。
【0394】
いくつかの態様では、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が2:1~0.5:1である、本明細書において提供される方法によって産生される細胞の組成物、例えばアウトプット組成物が、単一の組成物、用量または混合物として対象に投与される。一定の態様において、組成物は、1:1または約1:1の、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比を含有する。いくつかの態様において、インプット細胞組成物から産生された細胞組成物、例えばセクションI-A1に記載のインプット細胞組成物から産生された細胞組成物は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が、2:1~0.5:1であり、単一の組成物、用量または混合物として対象に投与される。特定の態様において、インプット細胞組成物から産生された細胞組成物は、操作されたCD4+T細胞対操作されたCD8+T細胞の比が1:1であり、許容誤差は50%、25%、10%またはそれ未満である。
【0395】
いくつかの態様において、細胞は、さらなる併用処置の一部として、例えば、別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または作用物質、例えば細胞傷害剤または治療剤と同時にまたは逐次的に、任意の順序で投与される。例えば、いくつかの態様において、抗がん剤または免疫調節剤を、組換え受容体、例えばCARを発現する操作された細胞での養子細胞療法との併用療法において用いることができる。いくつかの状況において、細胞は、細胞集団がPの1つまたは複数の追加の治療剤の効果を増強するか、またはその逆であるように、十分に近い時間で、別の療法と同時投与される。いくつかの態様において、細胞は、1つまたは複数の追加の治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、1つまたは複数の追加の治療剤の後に投与される。
【0396】
いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば持続性を高めるための、IL-2などのサイトカインを含む。いくつかの態様において、方法は、化学療法剤の投与を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば操作された細胞の投与の開始の前またはそれと同時の、1つまたは複数のリンパ枯渇療法を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は、シクロホスファミドなどのホスファミドの投与を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は、フルダラビンの投与を含むことができる。いくつかの態様において、フルダラビンは、リンパ枯渇療法において除外される。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は施与されない。
【0397】
いくつかの態様において、方法は、プレコンディショニング剤、例えばリンパ枯渇剤または化学療法剤、例えばシクロホスファミド、フルダラビン、またはそれらの組み合わせを、細胞療法の開始前の対象へ投与する工程を含む。例えば、対象は、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば少なくとも3、4、5、6、または7日前に、プレコンディショニング剤を投与されてもよい。いくつかの態様において、対象は、細胞療法の開始のせいぜい7日前に、例えばせいぜい6、5、4、3、または2日前に、プレコンディショニング剤を投与される。
【0398】
いくつかの態様において、対象は、20 mg/kg~100 mg/kgまたは約20 mg/kg~100 mg/kg、例えば40 mg/kg~80 mg/kgまたは約40 mg/kg~80 mg/kgの用量で、シクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの局面において、対象は、60 mg/kgまたは約60 mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、1日または2日間、1日に1回投与される。いくつかの態様において、リンパ枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象は、両端の値を含む、100 mg/m2~500 mg/m2または約100 mg/m2~500 mg/m2、例えば200 mg/m2~400 mg/m2もしくは約200 mg/m2~400 mg/m2、または250 mg/m2~350 mg/m2もしくは約250 mg/m2~350 mg/m2の用量で、シクロホスファミドを投与される。いくつかの例において、対象は、約300 mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、毎日、例えば1~5日間、例えば、3~5日間投与される。いくつかの例において、対象は、細胞療法の開始前に3日間毎日、約300 mg/m2のシクロホスファミドを投与される。
【0399】
いくつかの態様において、リンパ枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象は、両端の値を含む、1 mg/m2~100 mg/m2または約1 mg/m2~100 mg/m2、例えば10 mg/m2~75 mg/m2もしくは約10 mg/m2~75 mg/m2、15 mg/m2~50 mg/m2もしくは約15 mg/m2~50 mg/m2、20 mg/m2~40 mg/m2もしくは約20 mg/m2~40 mg/m2、または24 mg/m2~35 mg/m2もしくは約24 mg/m2~35 mg/m2の用量で、フルダラビンを投与される。いくつかの例において、対象は、約30 mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様において、フルダラビンは、単一用量で投与することができ、または、例えば毎日、1日おき、もしくは3日毎に与えられる、複数の用量で投与することができる。いくつかの態様において、フルダラビンは、毎日、例えば1~5日間、例えば、3~5日間投与される。いくつかの例において、対象は、細胞療法の開始前に3日間毎日、約30 mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0400】
いくつかの態様において、リンパ枯渇剤は、作用物質の組み合わせ、例えばシクロホスファミドおよびフルダラビンの組み合わせを含む。したがって、作用物質の組み合わせは、上記のものなどの任意の用量または投与スケジュールのシクロホスファミド、および、上記のものなどの任意の用量または投与スケジュールのフルダラビンを含んでもよい。例えば、いくつかの局面において、対象は、最初のまたはその後の用量の前に、60 mg/kg(約2 g/m2)のシクロホスファミド、および3~5用量の25 mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0401】
IV. 製造物品およびキット
また、養子細胞療法用の提供される方法に従う、対象への細胞の投与のため、ならびに細胞および組成物、例えば記載されるようなインプット組成物またはアウトプット組成物の保管および投与のための製造物品、例えばキットおよびデバイスも提供される。
【0402】
製造物品は、1つまたは複数の容器、典型的には複数の容器、包装材料、ならびに、概して対象への細胞の投与のための説明書を含む、1つもしくは複数の容器および/または包装上のまたはそれに付随したラベルまたは添付文書を含む。
【0403】
いくつかの態様において、容器は、投与されるべき細胞、例えば、その1つまたは複数の単位用量を含有する。製造物品は、典型的には、各々が細胞の単一単位用量を含有する、複数の容器を含む。単位用量は、第1の用量において対象へ投与されるべき細胞の量もしくは数、または、第1または任意の1つもしくは複数の連続用量において投与されるべき細胞の2倍の数(またはそれよりも多く)であってもよい。単位用量は、投与法に関連して対象へ投与されるであろう細胞の最低用量または最低可能用量であってもよい。いくつかの態様において、単位用量は、本明細書における方法に従って、特定の疾患もしくは状態を有する任意の対象または任意の対象へ単一用量で投与されるであろう、細胞の最小数または細胞の数または参照単位の最小数または標的参照単位または標的範囲内の参照単位である。
【0404】
好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および、注入バッグなどのフレキシブルバッグが挙げられる。特定の態様において、容器は、バッグ、例えば、フレキシブルバッグ、例えば対象への細胞の注入に適しているもの、例えば、フレキシブルプラスチックまたはPVCバッグ、および/またはIV溶液バッグである。いくつかの態様におけるバッグは、細胞および組成物の無菌溶液および送達を提供するために、密封可能であり、かつ/または滅菌することができる。いくつかの態様において、容器、例えば、バッグは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、または少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000 mL容量、例えば、それぞれ両端の値を含む、10もしくは約10~100もしくは約100、または10もしくは約10~500もしくは約500 mL容量の容量を有する。いくつかの態様において、溶液、例えばバッグは、様々な温度、例えば、例えば-20℃、-80℃、-120℃、135℃よりも下であるか、または約-20℃、-80℃、-120℃、135℃よりも下であるか、または-20℃、-80℃、-120℃、135℃であるか、または約-20℃、-80℃、-120℃、135℃である冷たい温度、ならびに/または凍結保存に適している温度、ならびに/または、例えば、処置の直前に、例えば対象の場所もしくは処置の場所、例えばベッドサイドでの解凍を可能にする、細胞を解凍するのに適している温度および体温、例えば37℃または約37℃などの他の温度のうちの1つまたは複数で安定である、かつ/または細胞の安定な保管および/もしくは維持を提供する材料であり、かつ/またはそれから作られている。
【0405】
容器は、ガラスまたはプラスチックなどの、様々な材料から形成されてもよい。いくつかの態様において、容器は、例えば、例えば静脈内注入もしくは他の注入のための1つもしくは複数のチューブへのチューブもしくはカニューレの接続のため、ならびに/または、他の容器、例えば細胞培養および/もしくは保管バッグまたは他の容器へのおよびそれからの移動の目的の接続のための、1つまたは複数のポート、例えば、無菌のアクセスポートを有する。例示的な容器には、注入バッグ、静脈内溶液バッグ、バイアルが、注射用の針によって突き刺し可能なストッパーを有するものを含めて、含まれる。
【0406】
製造物品は、1つまたは複数の識別情報および/または使用説明を伴う添付文書またはラベルをさらに含んでもよい。いくつかの態様において、情報または説明は、内容物が、特定の状態または疾患を処置することができるか、または処置するために用いられるべきであることを示し、かつ/またはそのための説明を提供する。ラベルまたは添付文書は、製造物品の内容物が、疾患または状態を処置するために用いられるべきであることを示し得る。いくつかの態様において、ラベルまたは添付文書は、例えば、提供される方法の態様のうちのいずれかに従って、第1のおよび1つまたは複数の連続用量の細胞の投与を含む方法を介して、対象、例えば、細胞が由来している対象を処置するための説明を提供する。いくつかの態様において、説明書は、第1の用量における、1つの単位用量の、例えば、製造物品中の単一の個々の容器の内容物の投与、ならびにその後続く、指定された時点での、または指定された時間枠内での、および/または対象における1つもしくは複数の要因もしくはアウトカムの存在もしくは非存在もしくは量もしくは程度の検出後の、1つまたは複数の連続用量を指定する。
【0407】
いくつかの態様において、説明書は、単位用量の1つまたは複数を対象へ投与することを指定する。
【0408】
いくつかの態様において、ラベルまたは添付文書または包装は、細胞が由来し、かつ/または投与されるべきである対象の特異的アイデンティティを示す識別名を含む。自己由来移入の場合には、細胞が由来する対象のアイデンティティは、細胞が投与されるべき対象のアイデンティティと同じである。したがって、識別情報は、細胞が、特定の患者、例えば細胞が元々由来していた患者に投与されるべきことを指定し得る。そのような情報は、バーコードもしくは他のコード化識別名の形態で包装材料および/もしくはラベルに存在し得、または対象の名前および/もしくは他の識別特性を示し得る。
【0409】
いくつかの態様における製造物品は、1つまたは複数の、典型的には複数の、細胞を含む組成物、例えば、その個々の単位用量形態を含有する容器を含み、かつ、例えば、細胞との組み合わせで、例えば、同時にまたは逐次的に任意の順序で投与されることになる、細胞傷害剤またはそうではない治療剤などのさらなる作用物質を含む組成物がその中に含有された1つまたは複数の追加の容器をさらに含む。代替的にまたは追加的に、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別のまたは同じ容器をさらに含んでもよい。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、チューブ、針、および/または注射器などの他の材料をさらに含んでもよい。
【0410】
「添付文書」という用語は、そのような治療用産物の使用に関わる適応症、用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含有する、治療用産物の商業的包装に慣例上含まれる説明書を指すように用いられる。
【0411】
V. 定義
別途定義される場合を除き、本明細書において使用するすべての専門用語、表記法、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、特許請求の範囲に記載された対象が関係する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合において、通常理解されている意味を有する用語が、明快さのために、かつ/または即座の参照のために本明細書において定義されており、そのような定義が本明細書に含まれることは、当技術分野において一般に理解されていることを超える実質的な違いを表すように必ずしも解釈されるべきではない。
【0412】
本明細書において用いられる「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物などであり、典型的にはヒトである。いくつかの態様において、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物であり、典型的には、ヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は雄性または雌性であることが可能であり、乳幼児期、若年期、青年期、成体期および老齢期の対象を含む、任意の適した年齢であることが可能である。いくつかの態様において、対象は霊長類以外の哺乳動物であり、例えば、齧歯類などである。
【0413】
本明細書において用いられる「処置」(およびその文法上の変形、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」など)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに付随する症状、有害な作用もしくはアウトカム、または表現型の完全または部分的な改善または軽減を指す。処置の望ましい作用には、それらに限定されないが、疾患の発生または再発を阻止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的なもしくは間接的な病理学的結果の軽減、転移を阻止すること、疾患進行の速度を低下させること、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または改善された予後が含まれる。これらの用語は、疾患を完全に治癒させること、または任意の症状を完全に排除すること、またはすべての症状もしくはアウトカムに対する作用を暗示するものではない。
【0414】
本明細書において用いられる「疾患の発生を遅らせる」とは、疾患(がんなど)の発生を先延ばしすること、妨げること、遅くすること、遅延させること、一定に保つこと、抑制すること、および/または延期させることを意味する。この遅れは、疾患歴および/または処置される個体に応じて、様々な長さの時間の遅れであり得る。明らかであるように、十分なまたは有意な遅れは、個体が疾患を発生しないという点で、実際には阻止を包含し得る。例えば、後期段階のがん、例えば転移の発生が遅らされる可能性がある。
【0415】
本明細書において用いられる「阻止する」は、疾患に対する素因を有するかもしれないが、該疾患が未だ診断されていない対象における該疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、疾患の発生を遅らせるために、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
【0416】
本明細書において用いられる、機能または活性を「抑制する」ことは、対象となる条件またはパラメータを除いて他の点では同じ条件と比較したとき、または代替として別の条件と比較して、この機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、該細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して腫瘍の成長速度を低下させる。
【0417】
投与の文脈において、作用物質、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」は、治療結果または予防結果などの所望の結果を達成するために、必要な投与量/量および期間での、有効な量を指す。
【0418】
作用物質、例えば、薬学的製剤または操作された細胞の「治療的有効量」は、例えば疾患、状態、または障害の処置のための、所望の治療結果、および/または処置の薬物動態学的または薬力学的な作用を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および体重ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞などの因子に応じて変動する場合がある。いくつかの態様において、提供される方法は、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物を有効量で、例えば、治療的有効量で投与することを伴う。
【0419】
「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。必ずしもそうではないが典型的には、予防的用量は、疾患に先立ってまたは疾患のより初期段階に対象において用いられることから、予防的有効量は治療的有効量より少ないであろう。
【0420】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象に対して許容できないほどの毒性を有するさらなる構成成分を含まない調製物を指す。
【0421】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、これらに限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、または保存剤が含まれる。
【0422】
本明細書において用いられる場合、ヌクレオチド位置またはアミノ酸位置が、配列表に示されるものなど、開示された配列におけるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置「に対応する」という記載は、標準的なアライメントアルゴリズム、例えばGAPアルゴリズムなどを用いて同一性を最大となるように開示された配列とのアライメント時に特定されたヌクレオチド位置またはアミノ酸位置を指す。配列をアライメントすることによって、例えば、保存アミノ酸残基および同一のアミノ酸残基をガイドとして用いて、対応する残基を特定することができる。一般に、対応する位置を特定するために、アミノ酸の配列は、最も高水準の一致が得られるようにアライメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New.Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照)。
【0423】
アミノ酸置換はポリペプチドの中のあるアミノ酸の別のアミノ酸による置き換えを含み得る。置換は保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であり得る。アミノ酸置換を関心対象の結合分子、例えば抗体に導入し、生成物を所望の活性について、例えば保持/改良された抗原結合、減少した免疫原性、または改良されたADCCもしくはCDCなどについて、スクリーニングすることができる。
【0424】
アミノ酸は、一般に、以下の共通する側鎖の性質に従って分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0425】
いくつかの態様において、保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーと同じクラスの別のメンバーとの交換を伴い得る。いくつかの態様において、非保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーと別のクラスとの交換を伴い得る。
【0426】
本明細書において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書において記載される局面および変化形は、局面および変化形「からなる」ことおよび/またはそれら「から本質的になる」ことを包含することが理解される。
【0427】
本開示の全体を通して、特許請求の範囲に記載される対象の種々の局面が範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔性のためであり、特許請求の範囲に記載される対象の範囲に関して柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能性のある部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある各介在する値(intervening value)、およびその表記された範囲における任意の他の表記された値または介在する値が、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、このより小さい範囲に独立して含まれてもよく、表記された範囲における任意の特に除外される限界に従うことを条件に、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内にも包含される。表記された範囲が限界点の一方または両方を含む場合、そのような含まれた限界点のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、特許請求の範囲に記載される対象において含まれる。このことは、範囲の広さにかかわらず、当てはまる。
【0428】
本明細書において用いられる用語「約」は、この技術分野における当業者には容易に理解されるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及には、その値またはパラメータ自体に関する態様が含まれる(および記載される)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。ある特定の態様において、「約」表記された値は、表記された値の±25%、±20%、±10%、±5%、±1%、±0.1%、または±0.01%以内の値を指す。
【0429】
本明細書において用いられる場合、組成物は、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0430】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの細胞上でのまたは細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものと実質的に同様のレベルで、および/またはマーカーについて陰性であることが公知の細胞のものよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0431】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの細胞上でのまたは細胞中での実質的に検出可能な存在の非存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の非存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を実施して検出される染色を実質的に上回るレベルでフローサイトメトリーによって検出されず、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものより実質的に低いレベル、および/またはマーカーについて陰性であることが公知の細胞のものと比較して実質的に同様のレベルである。
【0432】
「ベクター」という用語は、本明細書において用いられる場合、それに連結される別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製性核酸構造物としてのベクター、ならびに導入されている宿主細胞のゲノム中に組み込まれるベクターが含まれる。ある特定のベクターは、それに機能的に連結される核酸の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0433】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に用いられ、その中に外因性核酸が導入されている細胞を、そのような細胞の子孫を含めて指す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞、および継代の数に関係なくそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容において親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有していてもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0434】
VI. 例示的な態様
例示的な態様には以下がある:
1. 細胞組成物を生成するための方法であって、
ナイーブ様CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、ナイーブ様CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
を含む、方法。
2. 第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される、態様1の方法。
3. 組み合わせることの前に、
第1の組成物中のナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様1または態様2の方法。
4. 組み合わせることの前に、
対象からの生物学的試料中のナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様2の方法。
5. インプット組成物中のナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、態様1~4のいずれかの方法。
6. 細胞組成物を生成するための方法であって、
対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、
CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含み、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有する、インプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を含む、方法。
7. インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該インプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
をさらに含む、態様1~6のいずれかの方法。
8. 細胞組成物を生成する方法であって、
対象からの生物学的試料からのナイーブ様CD4+T細胞およびナイーブ様CD8+T細胞を含むインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
を含み、
インプット組成物中に存在するナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1である、方法。
9. 接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程
をさらに含む、態様7または態様8の方法。
10. 細胞組成物を生成する方法であって、
ナイーブ様CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、ナイーブ様CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、
インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含む、方法。
11. ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、
CD45RA、CD27、CD28およびCCR7からなる群より選択されるマーカーに関して表面陽性であり、かつ/または
CD25、CD45RO、CD56、CD62LおよびKLRG1からなる群より選択されるマーカーに関して表面陰性であり、かつ/または
CD95の低発現を有し、かつ/または
IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-10からなる群より選択されるサイトカインの細胞内発現に関して陰性である、
態様1~10のいずれかの方法。
12. ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、
CD45RA、CD27、CD28およびCCR7からなる群より選択されるT細胞活性化マーカーに関して表面陽性であり、かつ/または
CD45RO、CD56、CD62LおよびKLRG1からなる群より選択されるマーカーに関して表面陰性であり、かつ/または
CD95の低発現を有する、
態様1~11のいずれかの方法。
13. ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞はCD45RAおよびCCR7に関して表面陽性である、態様1~12のいずれかの方法。
14. ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞はCD27およびCCR7に関して表面陽性である、態様1~12のいずれかの方法。
15. ナイーブ様CD4+細胞およびナイーブ様CD8+細胞は、CD45RA、CD27およびCCR7に関して表面陽性であり、かつCD45ROに関して表面陰性である、態様1~14のいずれかの方法。
16. ナイーブ様CD4+細胞および/またはナイーブ様CD8+細胞は、CCR7に関して表面陽性であり、かつCD62Lに関して表面陰性である、態様1~12のいずれかの方法。
17. ナイーブ様CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはナイーブ様CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージが、フローサイトメトリーによって決定される、態様3~16のいずれかの方法。
18. ナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるナイーブ様CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整されている、態様8~17のいずれかの方法。
19. インプット組成物が、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1、1.5:1~2:1、1.6:1~1.8:1もしくは1.0:1~1.2:1または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1、約1.5:1~2:1、約1.6:1~1.8:1もしくは約1.0:1~1.2:1であるナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む、態様1~18のいずれかの方法。
20. インプット組成物が、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.69:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1または約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.69:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む、態様1~19のいずれかの方法。
21. インプット組成物が、1.1:1または約1.1:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む、態様1~20のいずれかの方法。
22. インプット組成物は、CD45RAおよびCCR7に関して表面陽性である、1.1:1のまたは約1.1:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む、態様1~20のいずれかの方法。
23. インプット組成物は、CD45RAおよびCD27に関して表面陽性である、1.69:1のまたは約1.69:1のナイーブ様CD4+細胞対ナイーブ様CD8+細胞の比を含む、態様1~20のいずれかの方法。
24. 細胞組成物を生成するための方法であって、
CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
を含む、方法。
25. 第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される、態様24の方法。
26. 組み合わせることの前に、
第1の組成物中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様24または態様25の方法。
27. 組み合わせることの前に、
対象からの生物学的試料中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様24~26のいずれかの方法。
28. インプット組成物におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、態様24~27のいずれかの方法。
29. 細胞組成物を生成するための方法であって、
対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、
CCR7+CD45RA+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を含む、方法。
30. インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該インプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
をさらに含む、態様29のいずれかの方法。
31. 細胞組成物を生成する方法であって、
対象からの生物学的試料からのCCR7+CD45RA+CD4+T細胞およびCCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含むインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で、接触させる工程
を含み、インプット組成物中に存在するCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1である、方法。
32. 接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程
をさらに含む、態様31の方法。
33. 細胞組成物を生成する方法であって、
CCR7+CD45RA+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CCR7+CD45RA+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、
インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含む、方法。
34. CCR7+CD45RA+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCCR7+CD45RA+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージが、フローサイトメトリーによって決定される、態様24~33のいずれかの方法。
35. CCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCCR7+CD45RA+CD4+T細胞対CCR7+CD45RA+CD8+T細胞の比と比較して調整されている、態様31~34のいずれかの方法。
36. インプット組成物が、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1もしくは1.0:1~1.2:1の、または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1もしくは約1.0:1~1.2:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む、態様24~35のいずれかの方法。
37. インプット組成物が、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、または約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む、態様24~36のいずれかの方法。
38. インプット組成物が、1.1:1のまたは約1.1:1の、CCR7+CD45RA+CD4+細胞対CCR7+CD45RA+CD8+細胞の比を含む、態様24~37のいずれかの方法。
39. 細胞組成物を生成するための方法であって、
CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む1.2:1~2.4:1または約1.2:1~2.4:1であるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
を含む、方法。
40. 第1の細胞組成物は、対象から得られた生物学的試料からCD4+T細胞を単離することによって産生され、かつ/または第2の細胞組成物は、該対象から得られた該生物学的試料からCD8+T細胞を単離することによって産生される、態様39の方法。
41. 組み合わせることの前に、
第1の組成物中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/または第2の組成物中のCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様39または態様40の方法。
42. 組み合わせることの前に、
対象からの生物学的試料中のCD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージを決定する工程
を含む、態様39~41のいずれかの方法。
43. インプット組成物におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、態様39~42のいずれかの方法。
44. 細胞組成物を生成するための方法であって、
対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、
CD27+CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む2.2:1~0.8:1または約2.2:1~0.8:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を含む、方法。
45. インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該インプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
をさらに含む、態様39~44のいずれかの方法。
46. 細胞組成物を生成する方法であって、
対象からの生物学的試料からのCD27+CCR7+CD4+T細胞およびCD27+CCR7+CD8+T細胞を含むインプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
を含み、インプット組成物中に存在するCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1である、方法。
47. 接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程
をさらに含む、態様46または47の方法。
48. 細胞組成物を生成する方法であって、
CD27+CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD27+CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.8:1~2.2:1または約0.8:1~2.2:1であるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、
インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含む、方法。
49. CD27+CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD27+CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージが、フローサイトメトリーによって決定される、態様39~48のいずれかの方法。
50. CD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCD27+CCR7+CD4+T細胞対CD27+CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整されている、態様39~49のいずれかの方法。
51. インプット組成物が、それぞれ両端の値を含む0.8:1~2.0:1、0.8:1~1.6:1、0.8:1~1.4:1、0.8:1~1.2:1もしくは1.0:1~1.2:1または約0.8:1~2.0:1、約0.8:1~1.6:1、約0.8:1~1.4:1、約0.8:1~1.2:1もしくは約1.0:1~1.2:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む、態様39~50のいずれかの方法。
52. インプット組成物が、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1もしくは1.0:1の、または約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1もしくは約1.0:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む、態様39~51のいずれかの方法。
53. インプット組成物が、1.1:1のまたは約1.1:1の、CD27+CCR7+CD4+細胞対CD27+CCR7+CD8+細胞の比を含む、態様39~52のいずれかの方法。
54. 細胞組成物を生成するための方法であって、
CD62L-CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD62L-CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1であるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程
を含む、方法。
55. 細胞組成物を生成するための方法であって、
対象から得られた生物学的試料またはそれから派生する1つもしくは複数の試料中のCD62L-CCR7+CD4+T細胞およびCD62L-CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/またはパーセンテージを決定する工程と、
CD62L-CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比が、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1である、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含むインプット組成物を産生する工程であって、インプット組成物における該比が、対象からの生物学的試料におけるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対ナイーブ様CD8+T細胞の比と比較して調整または変更される、工程と
を含む、方法。
56. インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該インプット組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程
をさらに含む、態様54または態様55の方法。
57. 細胞組成物を生成する方法であって、
CD62L-CCR7+CD4+T細胞を含む第1の細胞組成物を、CD62L-CCR7+CD8+T細胞を含む第2の細胞組成物と組み合わせて、両端の値を含む0.5:1~2:1または約0.5:1~2:1であるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比を有するインプット細胞組成物を産生する工程と、
インプット組成物を、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、該組換え受容体をコードする核酸を該組成物中の細胞に導入するための条件下で接触させる工程と、
該接触させる工程の前、その最中および/またはその後に細胞を刺激する工程であって、刺激が、細胞を1つまたは複数の刺激物質の存在下でインキュベートすることを含み、刺激が、細胞の活性化および/または増殖をもたらす、工程と
を含む、方法。
58. CD62L-CCR7+CD4+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージ、ならびに/またはCD62L-CCR7+CD8+T細胞の数、体積あたりの数、重量あたりの数および/もしくはパーセンテージが、フローサイトメトリーによって決定される、態様56または態様57の方法。
59. CD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比が、対象からの生物学的試料におけるCD62L-CCR7+CD4+T細胞対CD62L-CCR7+CD8+T細胞の比と比較して調整されている、態様55~58のいずれかの方法。
60. インプット組成物が、それぞれ両端の値を含む0.5:1~1.5:1、1:1~2:1、0.75:1~1.5:1もしくは0.8:1~1.2:1または約0.5:1~1.5:1、約1:1~2:1、約0.75:1~1.5:1もしくは約0.8:1~1.2:1の、CD62L-CCR7+CD4+細胞対CD62L-CCR7+CD8+細胞の比を含む、態様55~59のいずれかの方法。
61. インプット組成物が、1.2:1、1.1:1、1.0:1、0.9:1もしくは0.8:1の、または約1.2:1、約1.1:1、約1.0:1、約0.9:1もしくは約0.8:1の、CD62L-CCR7+CD4+細胞対CD62L-CCR7+CD8+細胞の比を含む、態様55~60の方法。
62. 生物学的試料が血液、血漿もしくは血清試料であるか、またはそれから得られる、態様2~9、18~23、25~32、34~38、40~47、50~53、55~56または59~61のいずれかの方法。
63. 生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核球(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物もしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれを含む、態様2~9、18~23、25~32、34~38、40~47、50~53、55~56または59~62のいずれかの方法。
64. 生物学的試料が、アフェレーシス試料もしくは白血球アフェレーシス試料であるか、またはそれから得られる、態様2~9、18~23、25~32、34~38、40~47、50~53、55~56または59~63のいずれかの方法。
65. 対象がヒト対象である、態様2~9、18~23、25~32、34~38、40~47、50~53、55~56または59~64のいずれかの方法。
66. インプット組成物が、1×107~5×109個もしくは約1×107~5×109個の総細胞もしくは総T細胞、5×107~1×109個もしくは約5×107~1×109個の総細胞もしくは総T細胞、1×108~5×108個もしくは約1×108~5×108個の総細胞もしくは総T細胞、または2×108~5×108個もしくは約2×108~5×108個の総細胞もしくは総T細胞を含むか、あるいは前記いずれかの生存集団を含む、態様1~65のいずれかの方法。
67. インプット組成物が、少なくとも1×108、2×108、3×108、4×108もしくは5×108個または少なくとも約1×108、約2×108、約3×108、約4×108もしくは約5×108個の総細胞または総T細胞、あるいは前記いずれかの生存集団を含む、態様1~66のいずれかの方法。
68. 1つまたは複数の刺激物質は、T細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞を活性化することができ、TCR複合体を介したシグナルを誘導することができ、かつ/またはT細胞、CD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞の増殖を誘導することができる、態様9~23、32~38、47~53、57~67のいずれかの方法。
69. 1つまたは複数の刺激物質が、TCR複合体のメンバーに結合する一次作用物質、任意でCD3に特異的に結合する一次作用物質を含む、態様9~23、32~38、47~53、57~68のいずれかの方法。
70. 1つまたは複数の刺激物質が、T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含む、態様69の方法。
71. 共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSからなる群より選択される、態様70の方法。
72. 一次作用物質および二次作用物質が抗体を含み、任意で、1つまたは複数の刺激物質が抗CD3抗体および抗CD28抗体とのインキュベーションを含む、態様70または態様71の方法。
73. 1つまたは複数の刺激物質が、固体支持体、任意でビーズの表面上に存在する、態様9~23、32~38、47~53、57~72のいずれかの方法。
74. 1つまたは複数の刺激物質が、CD3結合分子、CD28結合分子、組換えIL-2、組換えIL-15、および組換えIL-7、抗原受容体によって特異的に認識される抗原を含むワクチン、ならびに抗原受容体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様9~23、32~38、47~53、57~73のいずれかの方法。
75. インキュベーションが、2~15日、2~12日、2~12日、2~8日、2~6日、2~4日、4~12日、4~10日、4~8日、4~6日、6~12日、6~10日、6~8日、8~12日、8~10日、または10~12日にわたって実行される、態様9~23、32~38、47~53、57~74のいずれかの方法。
76. インキュベーションが、少なくとも4日、6日、8日、10日もしくは12日または少なくとも約4日、約6日、約8日、約10日もしくは約12日または4日、6日、8日、10日もしくは12日にわたって実行される、態様9~23、32~38、47~53、57~75のいずれかの方法。
77. 核酸分子を含む作用物質がウイルスベクターであるか、またはトランスポゾンである、態様7~23、30~39、45~53または57~76のいずれかの方法。
78. 核酸分子を含む作用物質がウイルスベクターであり、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである、態様77の方法。
79. ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、態様78の方法。
80. ある疾患、障害または状態の細胞または組織に関連している、特異的である、かつ/またはその上に発現している標的抗原に、組換え受容体が結合することができる、態様7~23、30~38、45~53または56~79のいずれかの方法。
81. 疾患、障害または状態が、感染性疾患もしくは感染性障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、態様80の方法。
82. 標的抗原が腫瘍抗原である、態様80または態様81の方法。
83. 標的抗原が、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、CD19、CD20、CD22、メソテリン(MSLN)、がん胎児性抗原(CEA)、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、B7-H3、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、CD171、葉酸受容体α、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、神経細胞接着分子(NCAM)、血管内皮増殖因子受容体(VEGF受容体もしくはVEGFR)、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、メランA(MART-1)、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、胎児腫瘍性抗原、TAG72、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGF-R2)、がん胎児性抗原(CEA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、エフリンB2、CD123、CD133、c-Met、O-アセチル化GD2(OGD2)、L1-CAMのCE7エピトープ、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原もしくは病原体発現抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、態様80~82のいずれかの方法。
84. 組換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合フラグメントであるか、あるいはそれを含む、態様7~23、30~38、45~53または56~83のいずれかの方法。
85. 組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様7~23、30~38、45~53または56~83のいずれかの方法。
86. キメラ抗原受容体が、抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインを含む、態様85の方法。
87. 抗原結合ドメインが、抗体、もしくは任意で一本鎖断片であるその抗体断片であるか、またはそれを含む、態様86の方法。
88. 断片が、フレキシブルリンカーによって接合された抗体可変領域を含む、態様87の方法。
89. 断片がscFvを含む、態様87または態様88の方法。
90. キメラ抗原受容体がスペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、態様86~89のいずれかの方法。
91. キメラ抗原受容体が細胞内シグナル伝達領域を含む、態様86~90のいずれかの方法。
92. 細胞内シグナル伝達領域が細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様91の方法。
93. 細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメインおよび/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む、態様92の方法。
94. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはそのシグナル伝達部分であるか、またはそれを含む、態様93の方法。
95. キメラ抗原受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含む、態様91~94のいずれかの方法。
96. 細胞内シグナル伝達領域が共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様91~95のいずれかの方法。
97. 共刺激シグナル伝達領域がT細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む、態様96の方法。
98. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BBもしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、態様96または態様97の方法。
99. 共刺激シグナル伝達領域が膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある、態様96~98のいずれかの方法。
100. 対象が、ある疾患または状態を有し、任意で、組換え受容体が、該疾患もしくは状態に関連する抗原または該疾患もしくは状態の細胞上に発現するもしくは存在する抗原を、特異的に認識するかあるいはそれに特異的に結合する、態様2~9、11~23、25~32、34~38、40~47、50~53、55~56または59~99のいずれかの方法。
101. 組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、前記方法によって産生される複数のT細胞組成物における該比の平均から20%を超えずに、もしくは10%を超えずに、もしくは5%を超えずに変動する、かつ/またはそのような平均から1標準偏差を超えずに変動する、アウトプット組成物
を産生する、態様1~100のいずれかの方法。
102. 組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、それぞれ両端の値を含む0.5:1~2:1もしくは0.8:1~1.6:1もしくは1:1~1.5:1または約0.5:1~2:1もしくは約0.8:1~1.6:1もしくは約1:1~1.5:1である、アウトプット組成物
を産生する、態様1~101のいずれかの方法。
103. アウトプット組成物における組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1、もしくは0.8:1であるか、または約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約0.9:1、もしくは約0.8:1である、態様101または態様102のいずれかの方法。
104. アウトプット組成物における組換え受容体発現CD4+T細胞対組換え受容体発現CD8+T細胞の比、任意でそれらの生存細胞の比が、1:1であるか、または約1:1である、態様101~103のいずれかの方法。
105. 生存細胞が、アポトーシスマーカー陰性(-)である細胞を含み、任意で、該アポトーシスマーカーがアネキシンVまたは活性カスパーゼ3である、態様66~104のいずれかの方法。
106. インビトロまたはエクスビボで実行される、態様1~105のいずれかの方法。
107. 態様104のいずれかの方法によって産生されるアウトプット組成物。
108. 態様107のアウトプット組成物を含む薬学的組成物。
109. 薬学的担体をさらに含む、態様108の薬学的組成物。
110. 態様105のいずれかの方法によって産生されるアウトプット組成物または態様108もしくは態様109の薬学的組成物を哺乳動物対象に投与する工程
を含む、処置の方法。
111. 細胞は、該細胞が投与される対象に由来する、態様110の方法。
【実施例】
【0435】
VII.実施例
以下の実施例は例示のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0436】
実施例1:出発組成物の表現型とCAR+T細胞組成物におけるCD4+対CD8+CAR発現細胞の比との間の相関
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己由来T細胞を含有するCAR+T細胞組成物を、11人の別々のドナーから収集したアフェレーシス試料から生成し、各ドナー試料から別々に処理した4つの試料を得た。1人のドナーは骨髄腫患者であり、残りのドナーは健常対象であった。各アフェレーシス試料を洗浄した後、各試料を、フローサイトメトリーにより、アポトーシスマーカーを使って細胞生存性について評価し、CD4およびCD8の表面発現について評価することで、各アフェレーシス試料実験における生存CD4+T細胞対CD8+T細胞の比(CD4/CD8比)を決定した。
【0437】
免疫親和性ベースの選択法によって、アフェレーシス試料からCD4+T細胞およびCD8+T細胞を選択した。CD4+T細胞とCD8+T細胞とを1:1の生存CD4+細胞対CD8+細胞の比で組み合わせた。組み合わされた細胞の試料を、フローサイトメトリーにより、生存性について、アポトーシス特異的マーカーを使って評価すると共に、CD4、CD8、CD45RAおよびCCR7を含むマーカーの表面発現について評価した。選択されたCD4細胞およびCD8細胞の混合物における生存CD45RA+/CCR7+CD4+対生存CD45RA+/CCR7+CD8+の比(CD45RA+/CCR7+CD4/CD8比)を決定した。
【0438】
CAR+T細胞組成物を生成するために、組み合わされたCD4+T細胞とCD8+T細胞を、サイトカインの存在下で抗CD3および抗CD28抗体被覆ビーズと共にインキュベートすることによって活性化し、次に、抗BCMA CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した。このCARは、BCMAに特異的なscFv抗原結合ドメインと、スペーサーと、CD28膜貫通領域と、4-1BB共刺激シグナル伝達領域と、CD3-ゼータ由来の細胞内シグナル伝達ドメインとを含有した。形質導入後に、細胞を増大した後、凍結保存によって凍結した。凍結組成物中の細胞を解凍し、フローサイトメトリーにより、生存性、CD4およびCD8の表面発現について評価すると共に、BCMA-Fc試薬を使ってCAR発現について評価した。CD8+である生存CAR+細胞に対するCD4+である生存CAR+細胞の比を決定した(CAR+CD4/CD8比)。
【0439】
アフェレーシス試料におけるCD4/CD8比、または選択されたCD4細胞およびCD8細胞の混合物におけるCD45RA+/CCR7+CD4/CD8比を、操作されたCAR-T細胞組成物におけるCAR+CD4/CD8比と、事後に比較した。各対象からの平均比の相関度を二変量解析によって評価した。プロットされたデータについて0.990の確率領域を表す二変量正規楕円を、それぞれ
図1Aおよび
図1Bに示す。表1Aおよび表1Bは、それぞれ
図1Aおよび
図1Bにプロットされたデータに関して実行されたピアソン相関分析の結果を表す。
【0440】
(表1A)二変量正規楕円P=0.990;アフェレーシス試料におけるCD4/CD8比
【0441】
(表1B)二変量正規楕円P=0.990;選択されたCD4細胞およびCD8細胞の混合物におけるCD45RA+/CCR7+CD4/CD8比
【0442】
図1Aおよび表1Aに示されるとおり、この実験では、アフェレーシス試料からのCD4+T細胞およびCD8+T細胞の生存CD4/CD8比は、最終組成物におけるCAR+CD4/CD8比と相関しなかった。この結果は、精製されたCD4 T細胞とCD8 T細胞を活性化の前に総生存細胞に基づいて1:1の比で混合することは、アウトプットT細胞組成物におけるCD4+T細胞とCD8+T細胞との1:1の比と必ずしも相関しないという知見と合致している。
【0443】
図1Bおよび表1Bに示すとおり、この実験では、最終T細胞組成物におけるCAR+CD4/CD8比が、CD4細胞およびCD8細胞の混合物におけるCD45RA+/CCR7+CD4/CD8比の比によって決定される出発ナイーブ様細胞CD4/CD8 T細胞比と、正に相関した。特に、
図1Bの結果は、出発試料におけるCD45RA+/CCR7+/CD4+細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+細胞の比と、T細胞組成物におけるCAR+CD4/CD8比との間の相関が、高いピアソン相関係数に基づいて高く、p値<0.0001であることを示している。この相関は、インプット組成物のばらつきおよびプロセス実験間のばらつきにもかかわらず保たれている。この例示的試料セットからのこのモデルフィットに基づいて、約1.1:1というCD45RA+/CCR7+/CD4+対CD45RA+/CCR7+/CD8+比が、アウトプットT細胞組成物における約1:1というCAR+CD4/CD8比をもたらすことが決定された。
【0444】
これらのデータは、例えばCD45RA+およびCCR7+の表面発現などによって決定されるナイーブ様CD4+T細胞サブセット対ナイーブ様CD8+T細胞サブセットの比を制御することによって、アウトプットT細胞組成物におけるCD4+細胞とCD8+細胞の比および/または組成を制御および/または調整することが可能であるという仮説を裏付けている。
【0445】
実施例2:出発T細胞集団の表現型と、操作されたCAR+T細胞組成物におけるCAR+CD4+T細胞対CAR+CD8+T細胞の比との間の相関
15人の健常ドナーと1人の多発性骨髄腫患者から収集したアフェレーシス試料から、合計50の操作されたCAR+T細胞組成物を生成した。CAR-T組成物を生成するために、生存可能な選択されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞を1:1の比で組み合わせて出発細胞組成物にしてから、実施例1で述べたように活性化、形質導入および増大した。組み合わされた生存CD4+T細胞およびCD8+T細胞の出発組成物からの試料を、フローサイトメトリーにより、生存性と、CD4、CD8、CD27、CD45RA、CCR7およびCD62Lを含むマーカーの表面発現について、評価した。
【0446】
操作されたCAR+T細胞組成物からの試料を、CAR発現と、CD4およびCD8を含むマーカーの表面発現について評価した。一定のプロセスパラメータを変化させた点以外は実施例1に記載した同じ例示的プロセスを使って生成させた同じドナーの個々のCAR+T細胞組成物のCD4+CAR+T細胞対CD8+CAR+T細胞の比(CAR+CD4/CD8比)について、平均を算出した。平均CAR+CD4/CD8比を、組み合わされた生存CD4+細胞対CD8+細胞の出発組成物の様々な表現型との相関について分析した。選択されたCD4+T細胞とCD8+T細胞を活性化の前に1:1の比で組み合わせる工程は、生成したアウトプット細胞組成物における1:1のCAR+CD4/CD8比と、必ずしも相関しなかった。
【0447】
平均CAR+CD4/CD8比と各ドナーからの表現型との間の相関度を二変量解析によって評価した。CD45RA+/CCR7+/CD4+T細胞対CD45RA+/CCR7+/CD8+の比(CD45RA+/CCR7+CD4/CD8比;
図2A)、CD62L-/CCR7+/CD4+対CD62L-/CCR7+/CD8+の比(CD62L-/CCR7+CD4/CD8比;
図2B)およびCD27+/CCR7+/CD4+対CD27+/CCR7+/CD8+比(CD27+/CCR7+CD4/CD8比;
図2C)について、0.950の確率を表す二変量正規楕円を示す。表2は、
図2A~2Cにプロットされたデータに関して実行したピアソン相関分析の結果を表す。
【0448】
(表2)例示的表現型に関する二変量正規楕円P=0.950
【0449】
この分析は、実施例1に記載した例示的プロトコールを使用した場合に、CAR+CD4/CD8比が、健常ドナーについてはCD45RA+/CCR7+CD4/CD8 T細胞比と正に相関したが、この実験の場合、1つの患者試料については相関しなかったことを示した。CAR+CD4/CD8比は、健常ドナー試料出発組成物でも患者試料出発細胞組成物でも、CD62L-/CCR7+CD4/CD8比およびCD27+/CCR7+CD4/CD8比と、正に相関することが示された。モデルフィットに基づいて、1.69:1の出発CD27+/CCR7+CD4/CD8比がおよそ1:1のCAR+CD4/CD8比を持つアウトプット細胞組成物を生成すると予測されると推定された。これらの結果は、出発細胞組成物においてCD27+CCR7+CD4/CD8比を調整することで、結果として生じる操作された細胞組成物のCAR+CD4/CD8比を制御しかつ/または予測することができるという発見と合致した。
【0450】
実施例3:出発組成物の表現型に基づいてCAR+T細胞組成物を産生するためのプロセス
2人の健常ドナーと1人の多発性骨髄腫患者を含む3人の別々のドナーから収集したアフェレーシス試料から、CARを発現する自己由来T細胞を含有するCAR+T細胞組成物を10個生成させた。実施例1で述べたようにアフェレーシス試料からCD4+T細胞およびCD8+T細胞を選択した。アフェレーシス試料ならびに選択されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞を、フローサイトメトリーにより、生存性と、CD27、CCR7、CD4およびCD8を含む表面マーカーについて評価した。選択されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞におけるCD27+/CCR7+細胞の頻度を決定した。各ドナーが呈するアフェレーシス試料におけるCD27+/CCR7+CD4+細胞対CD27+/CCR7+CD8+細胞の比は異なっていた。例えば、患者試料がおよそ12.2:1というCD27+/CCR7+CD4+細胞対CD27+/CCR7+CD8+細胞の比を呈したのに対し、2人の健常ドナー試料は3.56:1および2.15:1というCD27+/CCR7+CD4+細胞対CD27+/CCR7+CD8+細胞の比を呈した。活性化の前に(1)選択されたCD4+細胞とCD8+細胞とを1:1の生存CD4+対CD8+比で組み合わせる工程(生存CD4/CD8)または(2)CD4+細胞とCD8+細胞とを1.69:1のCD27+/CCR7+CD4+細胞とCD27+/CCR7+CD8+細胞の比で組み合わせる工程(CD27+/CCR7+CD4/CD8)のいずれかによって、インプット細胞組成物を生成させた。インプット組成物からの合計300×106細胞または100×106細胞を、実質的に実施例1で述べたように、活性化し、形質導入し、増大することで、アウトプット細胞組成物を生成した。
【0451】
活性化工程における細胞の総数がCAR+CD4/CD8比に影響を及ぼすとは認められなかった。約1.69:1の比で混合したCD27+/CCR7+CD4/CD8細胞を含有する出発組成物から生成させたアウトプット細胞組成物は、患者試料からのものを含めて、所望の標的比1:1に近いCAR+CD4/CD8比(例えばおよそ1.86:1~1:1.86)を呈した。1:1の比で混合された生存CD4/CD8細胞を含有するインプット組成物から生成させたアウトプット細胞組成物は、CD27+/CCR7+CD4+細胞とCD27+/CCR7+CD8+細胞との比が1.69:1であるCD4+細胞およびCD8+細胞を含有するインプット組成物から生成させた組成物と比較して、CAR+CD4/CAR+CD8比に、より大きなばらつきを示した。この実験において、例示的プロセスで患者材料を使って生成させたアウトプット組成物は、100×106細胞または300×106細胞を活性化した場合に、それぞれ、およそ7.6および8.6のCAR+CD4/CAR+CD8比を呈した。同様のプロセスにおいて表現型に基づいて、例えば1.69:1のCD27+CCR7+CD4+:CD27+CCR7+CD8+T細胞の比で混合した場合、最終CAR+CD4/CAR+CD8比は、100×106細胞または300×106細胞を活性化した場合に、それぞれ1.6および1.3であった。これらの結果は、特定の表現型、例えばCD27+/CCR7+細胞は、健常ドナー試料および患者試料のどちらから生成するアウトプット組成物でも、結果として生じるCAR+CD4/CAR+CD8比と相関し得るという発見と合致する。
【0452】
実施例4:罹患対象からの試料の、出発組成物の表現型とCAR+T細胞組成物におけるCD4+対CD8+CAR発現細胞の比との間の相関の評価
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己由来T細胞を含有するCAR+T細胞組成物を、7人の別々のドナーから収集したアフェレーシス試料から生成させた。
【0453】
免疫親和性ベースの選択法によって、アフェレーシス試料からCD4+T細胞およびCD8+T細胞を選択した。CD4+T細胞とCD8+T細胞とを1:1の生存CD4+細胞対CD8+細胞の比で組み合わせた。組み合わされた細胞の試料を、CD4、CD8、CD27、CD45RA、CCR7およびCD62Lを含むマーカーの表面発現について評価した。選択されたCD4細胞とCD8細胞の混合物において、以下の細胞表現型の比を決定した:(1)CD27+/CCR7+CD4+細胞対CD27+/CCR7+CD8+細胞(CD27+/CCR7+CD4/CD8比)、(2)CD45RA+/CCR7+CD4+細胞対CD45RA+/CCR7+CD8+細胞(CD45RA+/CCR7+CD4/CD8比)および(3)CD62L-/CCR7+CD4+細胞対CD62L-/CCR7+CD8+細胞(CD62L-/CCR7+CD4/CD8比)。
【0454】
活性化、形質導入、増大および生成した細胞の凍結保存を含む実質的に実施例1で述べたプロセスを使って、抗BCMA CARを発現するCAR+T細胞組成物を生成させた。凍結組成物中の細胞を解凍し、フローサイトメトリーにより、生存性、CD4およびCD8の表面発現について評価すると共に、BCMA-Fc試薬を使ってCAR発現について評価した。CD8+である生存CAR+細胞に対するCD4+である生存CAR+細胞の比を決定した(CAR+CD4/CD8比)。
【0455】
選択されたCD4細胞とCD8細胞の混合物におけるCD27+/CCR7+CD4/CD8比、CD45RA+/CCR7+CD4/CD8比またはCD62L-/CCR7+CD4/CD8比を、事後に、操作されたCAR-T細胞組成物におけるCAR+CD4/CD8比と比較した。各対象からの平均比の相関度を二変量解析によって評価した。プロットされたデータについて0.950の確率領域を表す二変量正規楕円を
図3A~3Cに示す。示されるとおり、出発試料におけるCD27+/CCR7+CD4/CD8比、CD45RA+/CCR7+CD4/CD8比またはCD62L-/CCR7+CD4/CD8比とT細胞組成物におけるCAR+CD4/CD8比との間の相関は、ピアソン相関分析によれば有意であった。表3A~3Cは、
図3A~3Cにプロットされたデータに関して実行された相関分析の結果を表す。有意性<0.05を*で示す。
【0456】
(表3A)二変量正規楕円P=0.950;出発試料およびアウトプット細胞組成物におけるCD4/CD8比
【0457】
(表3B)二変量正規楕円P=0.950;出発試料およびアウトプット細胞組成物におけるCD4/CD8比
【0458】
(表3C)二変量正規楕円P=0.950;出発試料およびアウトプット細胞組成物におけるCD4/CD8比
【0459】
開示した特定態様は、例えば本発明の様々な局面を例示するなどの目的で提供されているのであって、本発明の範囲は、それらの特定態様に限定されるものではない。記載の組成物および方法の様々な変更態様は、本明細書における記載および教示から、明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および要旨から逸脱することなく実施することができ、本発明の範囲に包含されるものとする。
【0460】
【配列表】