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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】衣類乾燥機用筐体
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
D06F39/12 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018160474
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020031843
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 祥彰
(72)【発明者】
【氏名】本田 民樹
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02594182(EP,A1)
【文献】特開2004-305709(JP,A)
【文献】中国実用新案第207760583(CN,U)
【文献】特表2005-534373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/06-37/08,58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板、底板、前板、後蓋、及び、対向する左右の側板からなり、衣類を収容して乾燥するドラムが内部に配置され、前記ドラムに衣類を投入するための衣類投入口が前記前板に設けられている衣類乾燥機用筐体であって、
前記底板、前記左右の側板、及び、前記左右の側板の間に橋渡しされた補強部材からなる筐体部品と、前記前板とは、筐体ユニットを構成し、
前記天板、及び、前記後蓋は、前記筐体ユニットに対し着脱自在であり、
前記前板は、前記筐体部品に対して着脱自在であり、
前記補強部材の左右の端部の各々は、前記左右の側板の前側の縁部に固定され、
前記補強部材は、第1係止部を有し、
前記前板は、後方に向かって延設された延設部を有し、
前記延設部は、その下面後端に、前記第1係止部に係止される第1被係止部を有し、
前記天板の前端部は、前記天板の前方の端縁から下方に向かって延設されており、
前記第1被係止部は、前記第1係止部の上方から掛止され、
前記第1係止部に掛止された状態の前記第1被係止部の前方側は、前記第1係止部の後方側に位置し、
前記天板の前端部は、前記第1係止部の後方から当接され、前記補強部材に、後方からビス止め固定されていることを特徴とする衣類乾燥機用筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機用筐体において、
前記補強部材の左右の端部の各々は、前記左右の側板の前側の縁部の上端に固定され、
前記補強部材は、第2係止部を有し、
前記天板は、前端部に、前記第2係止部に係止される第2被係止部を有していることを特徴とする衣類乾燥機用筐体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衣類乾燥機用筐体において、
前記前板は、前記左右の側板の前側の縁部に、後方からビス止め固定されていることを特徴とする衣類乾燥機用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯後の衣類、タオル、シーツ等を乾燥させる衣類乾燥機に用いられる衣類乾燥機用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機用筐体(以下、単に「筐体」ともいう。)の内部に、回転ドラムを配置した衣類乾燥機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の衣類乾燥機では、回転ドラムの内部に洗濯後の衣類(いわゆる洗濯物であり、タオル、シーツ等の布製品も含む)を収容した後、回転ドラムの内部に温風を供給しつつ回転ドラムを回転させることによって内部の衣類を乾燥させる。これにより、乾燥中、回転ドラムが回転することにより内部の衣類は定位置に止まることなく常に動いた状態となる。これにより、温風が衣類に満遍なく当たって衣類の乾燥が効率良く進む。
【0004】
このような衣類乾燥機は、一般に、背面側(後方)が開放された筐体ユニット(すなわち、天板、底板、前板、及び、対向する左右の側板からなる部材)の内部に、後方から内部機器を運び込んで組み付けた後に、その筐体ユニットの背面側に後蓋を固定することによって組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-102800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のような衣類乾燥機では、筐体の内部に内部機器を組み付ける際に、背面側以外を板金等で囲われた空間で組み付け作業を行わなければならず、作業性が低下してしまうという問題があった。例えば、天板によって作業者の頭部の移動が阻害されて、ある程度姿勢が固定された状態で内部機器の組み付け作業を行わなければならないことがあった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、組み立ての際の作業性の低下を防止することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、天板、底板、前板、後蓋、及び、対向する左右の側板からなり、衣類を収容して乾燥するドラムが内部に配置され、前記ドラムに衣類を投入するための衣類投入口が前記前板に設けられている衣類乾燥機用筐体であって、前記底板、前記左右の側板、及び、前記左右の側板の間に橋渡しされた補強部材からなる筐体部品と、前記前板とは、筐体ユニットを構成し、前記天板、及び、前記後蓋は、前記筐体ユニットに対し着脱自在であり、前記前板は、前記筐体部品に対して着脱自在であり、前記補強部材の左右の端部の各々は、前記左右の側板の前側の縁部に固定され、前記補強部材は、第1係止部を有し、前記前板は、後方に向かって延設された延設部を有し、前記延設部は、その下面後端に、前記第1係止部に係止される第1被係止部を有し、前記天板の前端部は、前記天板の前方の端縁から下方に向かって延設されており、前記第1被係止部は、前記第1係止部の上方から掛止され、前記第1係止部に掛止された状態の前記第1被係止部の前方側は、前記第1係止部の後方側に位置し、前記天板の前端部は、前記第1係止部の後方から当接され、前記補強部材に、後方からビス止め固定されていることを特徴とする。
【0009】
このように、本発明の衣類乾燥機用筐体は、底板、前板、及び、左右の側板によって構成されている筐体ユニットに対し、天板及び後蓋が着脱自在に構成されている。
【0010】
これにより、この衣類乾燥機用筐体は、筐体ユニットに対する内部機器の組み付けが完了した後に、天板及び後蓋を固定するという順序で組み立てることができる。すなわち、後蓋だけでなく天板も外された状態で、内部機器の組み付けを行うことが可能となっている。その結果、後方だけでなく上方からも筐体の内部空間にアクセスして、組み付け作業を行うことができる。
【0011】
したがって、この衣類乾燥機用筐体によれば、従来の筐体とは異なり、上方からも筐体の内部空間にアクセスすることができるので、筐体を構成する部品そのものによる作業性の低下を防止することができる。
【0012】
また、底板及び補強部材が左右の側板同士の間隔を保持するので、前板を外して筐体部品のみとしても、左右の側板が底板に対し立設した状態を維持することができる。すなわち、内部機器の組み付けの際に、天板と後蓋だけでなく前板も外した状態とすることができる。これにより、前方からも筐体の内部空間にアクセスして、組み付け作業を行うことができるので、組み立ての際の作業性の低下をさらに防止することができる。
【0013】
更に、補強部材を介して、前板を筐体部品に対して固定することができるので前板に対して前面側(前方)からビス止めを行わなくても、前板と筐体部品とを固定することができる。その結果、組み立ての際の作業性の低下を防止するだけでなく、前面側の美観を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の衣類乾燥機用筐体においては、補強部材を備える構成の場合、前記補強部材の左右の端部の各々は、前記左右の側板の前側の縁部の上端に固定され、前記補強部材は、第2係止部を有し、前記天板は、前端部に、前記第2係止部に係止される第2被係止部を有していることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、天板の前側の端縁が補強部材によって補強されることになる。これにより、天板のたわみを抑制して、隙間の発生を抑制することができるようになるので、前面及び上面の美観の向上を図ることができる。また、隙間からの埃等の侵入も抑制することができる。
【0016】
また、本発明の衣類乾燥機用筐体においては、前記前板は、前記左右の側板の前側の縁部に、後方からビス止め固定されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の衣類乾燥機用筐体においては、前記天板は、前記補強部材に、後方からビス止め固定されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る衣類乾燥機の構成を模式的に示す縦断面図。
図2図1の衣類乾燥機の筐体の形状を示す前方から見た斜視図。
図3図2の筐体を構成する筐体ユニット、及び、天板を前方から見た斜視図。
図4図2の筐体を構成する筐体ユニット、及び、天板を後方から見た斜視図。
図5図3及び図4の筐体ユニットを構成する筐体部品及び前板、並びに、天板を前方から見た斜視図。
図6図5の筐体部品の上端前板側の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態に係る衣類乾燥機用筐体である筐体2を備える衣類乾燥機Dについて説明する。
【0020】
まず、図1を参照して、衣類乾燥機Dの概略構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、衣類乾燥機Dは、衣類W(いわゆる洗濯物であり、タオル、シーツ等の布製品も含む)を収容して回転しつつ乾燥する回転ドラム1を備えている。回転ドラム1は、回動自在な状態で筐体2(衣類乾燥機用筐体)の内部に設けられている。
【0022】
筐体2の背面壁2aには、正面に向かって延びる支持軸3が設けられている。支持軸3には、回転ドラム1が備えるドラム回転軸1aが回転自在に装着されている。これにより、回転ドラム1は、横倒姿勢(軸線が水平方向となる姿勢)に設けられている。
【0023】
回転ドラム1の前端には、正面開放部1bが形成されている。回転ドラム1の正面開放部1bに対応する筐体2の正面側には、片開き式の扉4で覆われた衣類投入口2bが設けられている。筐体2の衣類投入口2bの外周には、リング板5が装着されている。リング板5には、回転ドラム1が正面開放部1bを介して回動自在な状態で支持されている。
【0024】
回転ドラム1の奥壁1cには、前述したドラム回転軸1aが設けられている。ドラム回転軸1aの回転ドラム1の内部側の端部には、フィルタユニット6が取り付けられている。また、ドラム回転軸1aの回転ドラム1の外側の端部には、軸支された回転ドラム1の奥壁1cを補強するための補強板1dが取り付けられている。
【0025】
回転ドラム1の奥壁1cの外側には、回転ドラム1内の空気を筐体2の外部に導く排気路7が設けられている。排気路7は、回転ドラム1の奥壁1cと筐体2の背面壁2aとの間に位置している。排気路7の下流端には、筐体2の上部で開口する排気口7aが設けられている。排気路7の上流側には、内部に排湿ファン8aを収容したファンケース8bが設けられている。排湿ファン8aは、支持軸3に回転自在に支持されたファン回転軸8cを備えている。
【0026】
排湿ファン8aは、衣類Wの乾燥に伴い高湿度となった回転ドラム1内の空気を排出するとともに、回転ドラム1の内部に温風を引き込む気流を発生させる。すなわち、排湿ファン8aが回転すると、外気が筐体2の底部に形成されている給気口2cから筐体2の内部に取り込まれる。筐体2の内部に取り込まれた外気は、後述するガスバーナ10aの炎に加熱されて温風となり、後述する温風ダクト11を通って回転ドラム1の内部に送られる。そして、回転ドラム1の内部で衣類Wの湿気を吸収した温風は、フィルタユニット6を通過して排気路7へ向かい、排気口7aから筐体2の外部に排出される。
【0027】
筐体2の内部には、回転ドラム1及び排湿ファン8aを回転させるためのモータ9と、外気を加熱して温風を生成する燃焼ユニット10と、温風を回転ドラム1の内部へ導く温風ダクト11とが設けられている。さらに、乾燥運転時にモータ9の駆動、燃焼ユニット10の点消火動作等を制御するコントローラ12が設けられている。
【0028】
モータ9は、二つの駆動軸(第1駆動軸9a及び第2駆動軸9b)を備えている。第1駆動軸9aの回転力は、第1伝動ベルト9cを介して回転ドラム1に伝達され、回転ドラム1を回転させる。回転ドラム1の回転は、内部に収容されている衣類Wを定位置に止めることなく常に動かすために行われる。第2駆動軸9bの回転力は、第2伝動ベルト9dを介して排湿ファン8aのファン回転軸8cに伝達され、排湿ファン8aを回転させる。排湿ファン8aの回転により、回転ドラム1の内部に気流が形成される。
【0029】
燃焼ユニット10は、ガスバーナ10a、ガス噴射ノズル10b、及び、ガス供給弁装置10cを備えることにより構成されている。ガス供給弁装置10cから供給された燃料ガスは、ガス噴射ノズル10bからガスバーナ10aのガス入口10dへ向けて噴射される。これにより、燃料ガスがガス入口10d周辺の空気とともにガスバーナ10aに導かれて燃焼し、外気が加熱される。なお、ガスバーナ10aに供給する燃焼用空気も、加熱するための空気と同じく筐体2の底部の給気口2cから取り込まれる。
【0030】
温風ダクト11は、ガスバーナ10aの上方からリング板5に形成された温風出口5aまで延設されている。ガスバーナ10aにより加熱生成された温風は、温風ダクト11を通って温風出口5aへ導かれ、回転ドラム1内に送り込まれる。
【0031】
回転ドラム1の内部に送り込まれた温風は、回転ドラム1に収容されている衣類Wを乾燥させた後、フィルタユニット6を通過して排湿ファン8aへ向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑類がフィルタユニット6に捕捉される。
【0032】
フィルタユニット6を経て排湿ファン8aへ向かった高湿温風は、排湿ファン8aの正面側から入って排湿ファン8aの外周に向かい、排気路7に集約されて排気口7aから機外に排出される。
【0033】
コントローラ12の前面側の下方部には、乾燥運転時にモータ9の駆動、燃焼ユニット10の点消火動作等に関する制御を選択するための操作パネル12aが設けられている。
【0034】
次に、図2図5を参照して、衣類乾燥機Dの筐体2(衣類乾燥機用筐体)の構成、及び、その組み立て方法について、詳細に説明する。
【0035】
図2に示すように、筐体2は、略立方体をしており、天板20、底板21(図2では不図示。図4及び図5参照。)、前板22、後蓋23、及び、対向する左右一対の側板24により構成されている。なお、左右の側板24は、対向するように設けられているものであればよく、対象となる形状、又は、同一の形状であってもよいし、左右で異なる形状であってもよい。
【0036】
前述のように、前板22の下方部には、操作パネル12aが設けられている。また、前板22の中央には、組み立て後に筐体2の内部に位置する回転ドラム1に衣類を投入するための衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bは、片開き式の扉4で覆われている。また、後蓋23は、前述の背面壁2aを構成している。
【0037】
図3及び図4に示すように、底板21、前板22、及び、一対の側板24は、1つのユニットである筐体ユニット25を構成している。天板20及び後蓋23(図2参照)は、筐体ユニット25に対して着脱自在となっている。
【0038】
これにより、筐体2は、筐体ユニット25に対する内部機器の組み付けが完了した後に、天板20及び後蓋23を固定するという順序で組み立てることができる。すなわち、後蓋23だけでなく天板20も外された状態で、内部機器の組み付けを行うことが可能となっている。その結果、後方だけでなく上方からも筐体2の内部空間にアクセスして、組み付け作業を行うことができる。
【0039】
さらに、図5に示すように、一対の側板24の間には、細長い略板状の部品である補強部材26が橋渡しされている。
【0040】
具体的には、一対の側板24の一方の前板22側の端縁から、板状の第1縁部24aが、その端縁に沿うようにして内側に向かって延設されている。その第1縁部24aの上端には、補強部材26の一方側の端部である第1端部26aが固定されている。
【0041】
また、一対の側板24の他方の前板22側の端縁から、板状の第2縁部24bが、その端縁に沿うようにして内側に向かって延設されている。その第2縁部24bの上端には、補強部材26の他方側の端部である第2端部26bが固定されている。
【0042】
底板21、一対の側板24、及び、補強部材26は、1つの部品である筐体部品27を構成している。前板22は、後述するように補強部材26を介して、筐体部品27に対して着脱自在に構成されている。
【0043】
これにより、筐体2は、内部機器の組み付けの際に、天板20及び後蓋23だけでなく前板22も外した状態とすることができる。これにより、前方からも筐体2の内部空間にアクセスして、組み付け作業を行うことができる。
【0044】
したがって、筐体2によれば、従来の筐体とは異なり、上方及び前方からも筐体の内部空間にアクセスして、組み付け作業を行うことができるので、筐体2を構成する部品そのもの(例えば、天板20等)による作業性の低下を防止することができる。
【0045】
なお、筐体2では、筐体ユニット25を、筐体部品27と、筐体部品27に着脱自在な前板22とで構成している。しかし、本発明の衣類乾燥機用筐体は、そのような構成に限定されるものではなく、筐体ユニットを単一の部材として構成してもよい。すなわち、筐体部品に対して前板を着脱自在に構成しなくてもよい。
【0046】
ところで、図6に示すように、補強部材26は、細長い略板状の部品として構成されている。具体的には、補強部材26では、両端部である第1端部26aと第2端部26bとの間に、板状の部材である本体部26c(第1係止部)が設けられている。
【0047】
補強部材26両端部に設けられている第1端部26a及び第2端部26bを一対の側板24に対して固定した際には、本体部26cは、一対の側板24の上縁から上方に向かって突出するように立設した状態になる。
【0048】
一方、図4及び図6に示すように、前板22は、その上縁部から後方(後蓋23側)に向かって延設部22aが延設されている。延設部22aの上面の高さは、筐体部品27に天板20を装着した際における天板20の上面の高さに対応する高さとなっている。そのため、延設部22aの上面は、天板20の上面とともに、筐体2の上面を形成する(図2参照)。また、延設部22aの下面側には、板状の第1被係止部22bが、下方に向かって延設されている。
【0049】
そして、筐体部品27では、第1被係止部22bを補強部材26の本体部26cに上方から掛止させることによって、前板22を筐体部品27に係止させて取り付ける。すなわち、前板22は、補強部材26を介して、筐体部品27に固定されている。
【0050】
これにより、筐体部品27(ひいては、筐体2)では、前板22に対して前面側からビス止めを行わなくても、前板22と筐体部品27とを固定することができるようになっている。その結果、筐体2では、組み立ての際の作業性の低下を防止するだけでなく、前面側の美観を向上させることができるようになっている。
【0051】
なお、筐体2では、上述のようにして筐体部品27に前板22を取り付けた後、補強部材26の本体部26c、並びに、側板24の第1縁部24a及び第2縁部24bの後方からビス止めを行って、前板22を筐体部品27に対して固定している。これは、筐体部品27に対して前板22を強固に固定するためである。
【0052】
そのため、係止による固定で充分である場合には、このようなビス止めを省略してもよい。逆に、係止による固定を省略し、ビス止めのみによって、補強部材26に対して前板22を固定してもよい。
【0053】
また、図6に示すように、補強部材26の本体部26cの両端部の各々には、左右方向に延びる細長い孔である第2係止部26dが設けられている。また、本体部26cの下端からは、板状の載置部26eが、後方に向かって延設されている。
【0054】
さらに、図3及び図4に示すように、一対の側板24の一方の天板20側の端縁からは、板状の第3縁部24cが、その端縁に沿うようにして内側に向かって延設されている。第3縁部24cの中央部には、前後方向に延びる細長い孔である第3係止部24dが設けられている。
【0055】
また、一対の側板24の他方の天板20側の端縁からは、板状の第4縁部24eが、その端縁に沿うようにして内側に向かって延設されている。第4縁部24eの中央部には、前後方向に延びる細長い孔である第4係止部24fが設けられている。
【0056】
一方、図3図5及び図6に示すように、天板20は、略平板の天井部20aと、天井部20aの前方(前板22側)の端縁から下方に向かって延設された前端部20bと、天井部20aの両側の各々から下方に向かって延設された一対の側面部20cとを有している。
【0057】
前端部20bの端面の下縁部の補強部材26の第2係止部26dに対応する位置には、前方に向かって延設された板状の第1係止突起20d(第2被係止部)が設けられている。
【0058】
一対の側面部20cの下端には、筐体部品27に天板20を装着した際に一対の側板24の第3係止部24d及び第4係止部24fに対応する位置の各々に、下方に向かって延設された板状の第2係止突起20eが設けられている。
【0059】
そして、筐体2では、筐体ユニット25に天板20を取り付ける際には、まず、第2係止突起20eを第3係止部24d及び第4係止部24fに挿入する。その後、天板20全体を前方に向かってスライドさせることにより、第1係止突起20dを第2係止部26dに挿入させるとともに、前端部20bを補強部材26の本体部26cに当接させる。このとき、前端部20bは、補強部材26の載置部26eに載置された状態になる。
【0060】
これにより、天板20の前側の端縁が補強部材26によって補強されることになる。その結果、天板20のたわみを抑制して、隙間の発生を抑制することができるようになるので、筐体2の前面及び上面の美観の向上を図ることができる。また、隙間からの埃等の侵入も抑制することができる。
【0061】
なお、筐体2では、上述のようにして筐体ユニット25に天板20を取り付けた後、天板20の前端部20bの後方からビス止めを行って、天板20を筐体ユニット25に対して固定している。これは、筐体ユニット25に対して天板20を強固に固定するためである。
【0062】
そのため、係止による固定で充分である場合には、このようなビス止めを省略してもよい。逆に、係止による固定を省略し、ビス止めのみによって、補強部材26に対して天板20を固定してもよい。
【0063】
また、筐体2は、第2係止突起20eを第3係止部24d及び第4係止部24fに挿入することによって、筐体ユニット25に対する天板20の位置決めを容易に行うことができるように構成されている。しかし、位置決めの手段が別途設けられている場合には、第2係止突起20e、第3係止部24d及び第4係止部24fを省略してもよい。
【0064】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、本実施形態の筐体2では、補強部材26を介することによって、筐体部品27に対して前板22を係止させて装着するように構成されている。これは、筐体部品27に対して前板22を容易に着脱することができるようにするとともに、前面側にビス止めが見えないようにして、美観を向上させるためである。
【0066】
しかし、本発明の衣類乾燥機用筐体は、そのような構成に限定されるものではなく、補強部材を介さずに、筐体部品に対して前板を着脱自在としてもよい。例えば、ビス止め用の孔及びその孔を閉塞するための部品を用いる場合には、補強部材を省略してビス止めのみによって、筐体部品に対して前板を装着してもよい。
【0067】
なお、筐体2では、補強部材26は、底板21とともに左右一対の側板24同士の間隔を保持している。そのため、筐体2では、前板22を外して筐体部品27のみとしても、一対の側板24が底板21に対し立設した状態を維持することができるようになっている。
【0068】
そのため、補強部材を省略する場合には、左右の側板同士の間隔を保持して、左右の側板が底板に対して立設した状態を維持することができる手段を別途設けることが好ましい。例えば、左右の側板と前板を一体的に構成した1つの部品として構成して、その部品に対して底板を着脱自在にしてもよい。
【0069】
また、本実施形態の筐体2では、補強部材26は、前板22及び天板20を容易に着脱自在にするために用いられている。そのため、補強部材26の一方側の端部である第1端部26aは、左右一対の側板24の一方の前板22側の第1縁部24aの上端に固定されており、補強部材26の他方側の端部である第2端部26bは、一対の側板24の他方の前板22側の第2縁部24bの上端に固定されている。
【0070】
しかし、本発明の衣類乾燥機用筐体は、そのような構成に限定されるものではなく、補強部材は、左右の側板の間に橋渡しされていればよい。具体的には、補強部材の左右の端部の各々は、左右の側板に固定されていればよい。例えば、前板及び天板を補強部材に係止しない構成の場合には、前板を左右の側板の上縁よりも下方であって、前後方向の中央部に位置させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…回転ドラム、1a…ドラム回転軸、1b…正面開放部、1c…奥壁、1d…補強板、2…筐体(衣類乾燥機用筐体)、2a…背面壁、2b…衣類投入口、2c…給気口、3…支持軸、4…扉、5…リング板、5a…温風出口、6…フィルタユニット、7…排気路、7a…排気口、8a…排湿ファン、8b…ファンケース、8c…ファン回転軸、9…モータ、9a…第1駆動軸、9b…第2駆動軸、9c…第1伝動ベルト、9d…第2伝動ベルト、10…燃焼ユニット、10a…ガスバーナ、10b…ガス噴射ノズル、10c…ガス供給弁装置、10d…ガス入口、11…温風ダクト、12…コントローラ、12a…操作パネル、20…天板、20a…天井部、20b…前端部、20c…側面部、20d…第1係止突起(第2被係止部)、20e…第2係止突起、21…底板、22…前板、22a…延設部、22b…第1被係止部、23…後蓋、24…側板、24a…第1縁部、24b…第2縁部、24c…第3縁部、24d…第3係止部、24e…第4縁部、24f…第4係止部、25…筐体ユニット、26…補強部材、26a…第1端部、26b…第2端部、26c…本体部(第1係止部)、26d…第2係止部、26e…載置部、27…筐体部品、D…衣類乾燥機、W…衣類。
図1
図2
図3
図4
図5
図6