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特許7277777音声再生プログラム、音声再生装置および音声生成方法
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  • 特許-音声再生プログラム、音声再生装置および音声生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】音声再生プログラム、音声再生装置および音声生成方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/285 20140101AFI20230512BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20230512BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20230512BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A63F13/285
A63F13/54
G10K15/04 302F
G06F3/01 560
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019204460
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021074363
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 学
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 佑樹
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-075419(JP,A)
【文献】特開2006-075619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00ー13/98
G10K 15/04
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
音声を再生する再生手段と、
振動を発生する振動機構を制御する振動制御手段と
して機能させ、
前記振動制御手段は、前記振動機構に対して振動の態様を定める振動情報を出力し、
前記再生手段は、前記振動情報に基づいて再生タイミングが設定された、音声を再生し、
前記コンピュータを、
前記振動の態様を判定する判定手段としてさらに機能させ、
前記再生手段は、前記判定手段によって判定された前記振動の態様に基づいて、前記音声を再生し、
前記振動の態様ごとに、複数の前記音声が設定されており、
前記再生手段は、前記判定手段によって判定された前記振動の態様に基づいて、当該振動の態様に設定された複数の音声のうちのいずれか1つを再生する
ことを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項2】
請求項において、
前記判定手段は、前記振動の態様を、前記振動情報に示される振動の開始時刻および終了時刻に基づいて判定することを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項3】
請求項または請求項において、
前記判定手段は、前記振動の態様を、前記振動情報に示される振動の振幅に基づいて判定することを特徴とする音声再生プログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれかの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、前記音声再生プログラムを実行する制御部と、を備えることを特徴とする音声再生装置。
【請求項5】
コンピュータを用いて、音声を生成する方法であって、
音声を生成する音声生成ステップと、
振動を発生する振動機構を制御するために用いられる振動情報を生成する振動情報生成ステップと
を含み、
前記振動情報生成ステップでは、動画の再生に合わせて前記振動機構に振動を発生させるタイミングが設定された、前記振動情報が生成され、
前記音声生成ステップでは、前記振動情報に基づいて、音声を再生するタイミングを設定し、
前記振動の態様を判定する判定ステップをさらに含み、
前記音声生成ステップでは、前記判定ステップにおいて判定された前記振動の態様に基づいて、前記音声を再生し、
前記振動の態様ごとに、複数の前記音声が設定されており、
前記音声生成ステップでは、前記判定ステップにおいて判定された前記振動の態様に基づいて、当該振動の態様に設定された複数の音声のうちのいずれか1つを再生する
ことを特徴とする音声生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声再生プログラム、音声再生装置および音声生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム装置では、敵キャラクタに与えられたダメージの大きさに応じて、ユーザの操作するコントローラが振動するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-63547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲームでは、映像にあわせて音声が再生される。ゲーム開発では、一般的に、音声の再生タイミングの設定は、映像を目視しながらゲーム開発者によって手入力で行われる。このため、ゲーム開発の工数がかかる。
【0005】
本発明の目的は、ソフトウェア開発の工数を減らすことができる音声生成方法、およびその方法で生成された音声再生プログラム、音声再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、コンピュータを、音声を再生する再生手段と、振動を発生する振動機構を制御する振動制御手段として機能させ、前記振動制御手段は、前記振動機構に対して振動の態様を定める振動情報を出力し、前記再生手段は、前記振動情報に基づいて再生タイミングが設定された、音声を再生し、前記コンピュータを、前記振動の態様を判定する判定手段としてさらに機能させ、前記再生手段は、前記判定手段によって判定された前記振動の態様に基づいて、前記音声を再生し、前記振動の態様ごとに、複数の前記音声が設定されており、前記再生手段は、前記判定手段によって判定された前記振動の態様に基づいて、当該振動の態様に設定された複数の音声のうちのいずれか1つを再生することを特徴とする音声再生プログラム。
【0007】
第1の発明においては、判定手段は、振動の態様を、振動情報に示される振動の開始時刻および終了時刻に基づいて判定してもよい。
【0008】
また、前記発明においては、判定手段は、振動の態様を、振動情報に示される振動の振幅に基づいて判定してもよい。
【0009】
第2の発明は、前記発明のいずれかの音声再生プログラムを記憶した記憶部と、前記音声再生プログラムを実行する制御部とを備えたことを特徴とする音声再生装置である。
【0010】
第3の発明は、コンピュータを用いて、音声を生成する方法であって、音声を生成する音声生成ステップと、振動を発生する振動機構を制御するために用いられる振動情報を生成する振動情報生成ステップとを含み、振動情報生成ステップでは、動画の再生に合わせて振動機構に振動を発生させるタイミングが設定された、振動情報が生成され、音声生成ステップでは、振動情報に基づいて、音声を再生するタイミングを設定し、前記振動の態様を判定する判定ステップをさらに含み、前記音声生成ステップでは、前記判定ステップにおいて判定された前記振動の態様に基づいて、前記音声を再生し、前記振動の態様ごとに、複数の前記音声が設定されており、前記音声生成ステップでは、前記判定ステップにおいて判定された前記振動の態様に基づいて、当該振動の態様に設定された複数の音声のうちのいずれか1つを再生することを特徴とする音声生成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ソフトウェア開発の工数を減らすことができる音声生成方法、およびその方法で生成された音声再生プログラム、音声再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態におけるゲーム装置の構成を示すブロック図。
図2】カットシーン再生中に振動制御手段から出力される振動情報の一例を示す波形図。
図3】振動データと音声素材データとの対応の一例を示す図。
図4】開発用コンピュータの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態にかかる音声再生プログラム、音声再生装置および音声生成方法について、図面を参照して説明する。本発明の音声再生プログラムおよび音声生成方法は、ゲームプログラムの一機能として実装されている。音声再生装置は、ゲーム装置として実現されている。
【0014】
本実施形態で説明するゲームプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)などのゲーム装置において実行される。
【0015】
このゲームプログラムによるゲームでは、ユーザの操作を受けて、プレイヤキャラクタを三次元の仮想ゲーム空間(以下、単に仮想空間という)で活動させたり、プレイヤキャラクタの仲間に対して様々なアクションを行わせたりする。
【0016】
このゲームでは、プレイヤキャラクタ等の移動過程やアクション等において、所定のトリガ条件を満たすとサウンドが流れる。所定のトリガ条件とは、例えば、プレイヤキャラクタの所定場所への移動、敵キャラクタの出現、敵キャラクタを倒したあと、アイテムの発見などである。
【0017】
また、このゲームでは、仮想空間におけるプレイヤキャラクタの状況に応じて、ユーザが操作するコントローラが振動する。例えば、プレイヤキャラクタが敵キャラクタからダメージを受けたり、仮想空間において地震が発生したりすると、コントローラが振動する。
【0018】
また、このゲームでは、ユーザがゲームプレイ中に所定の条件を満たしたときに、動画(以下、カットシーンともいう)が再生される。例えば、プレイヤキャラクタが敵キャラクタに遭遇した場合やプレイヤキャラクタが所定の地点に到達した場合、所定のカットシーンが再生される。
【0019】
特に、このゲームでは、カットシーンに合わせてコントローラが振動する。例えば、カットシーンにおいて小さな地震が起こったときは、コントローラがゆっくり振動し、大きな地震が起こったときには、コントローラが激しく振動する。
【0020】
<ゲームシステムの概要>
本ゲームシステムは、サーバ装置2および複数のゲーム装置5を含む。
【0021】
サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5の(下記のアカウント情報毎の)ゲームデータの管理を行う。
【0022】
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいてゲームを実行する。オンライン状態でゲームを実行する際、ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。
【0023】
具体的に、ゲーム装置5は、オンライン状態でのゲームの進行にあたり、先ずはサーバ装置2にログインすることができる。各ユーザには、ゲーム装置5に対応づけて、ユーザ毎の識別情報(ユーザID)およびパスワードを含むアカウント情報が割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム装置5からサーバ装置2に送信され、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0024】
ユーザ認証を経て、サーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)をサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ61およびスピーカ62に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0025】
一方、オフライン状態の場合、ゲーム装置5は、既に記憶部55内に記憶しているゲーム進行状況に関するデータと、ユーザの操作とに基づいて、ゲーム画像や音声をディスプレイ61およびスピーカ62に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0026】
また、サーバ装置2は、振動情報およびカットシーンデータを記憶している。
【0027】
ゲーム装置5は、ゲームを実行する際に、サーバ装置2から振動情報およびカットシーンデータを受信(具体的にはダウンロード)する。
【0028】
ゲーム装置5は、受信(ダウンロード)した振動情報に従って、ユーザが操作するコントローラ63を振動させる。振動情報には、コントローラ63を振動させるために用いられる複数の振動パターン(振動の態様)が定められている。ゲーム装置5は、ゲームの進行状況に応じて、振動情報に定められた振動パターンでコントローラ63を振動させる。
【0029】
また、ゲーム装置5は、ユーザがゲームプレイ中に所定条件を満たした場合、カットシーンデータに基づいて、カットシーンを再生する。このとき、ゲーム装置5は、カットシーンの再生に合わせて、コントローラ63を振動させる。
【0030】
<ハードウェア構成>
以下、サーバ装置2およびゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。
【0031】
<サーバ装置2の構成>
図1に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22および制御部23を有する。ネットワークインターフェース21および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0032】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して複数のゲーム装置5と通信可能に接続される。
【0033】
記憶部22は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部22には、ゲームをプレイするユーザそれぞれのアカウント情報、ログイン履歴、ゲームデータ、本実施形態に係るゲームプログラムの一部を含む各種プログラムが格納されている。また、記憶部22には、振動情報、カットシーンデータおよび音声素材データが格納されている。
【0034】
振動情報は、ゲーム装置5のコントローラ63を振動させるために用いられるデータである。具体的に、振動情報には、複数の振動パターン(振動の態様)が定められている。振動パターンには、例えば、大きく(強く)短い振動、小さく(弱く)長い振動などの振動パターンが含まれる。振動情報には、振動パターンごとに、振動の時間や振動の振幅が定められている。
【0035】
また、振動情報には、振動パターンごとの振動の開始条件が設定されている。例えば、振動情報には、プレイヤキャラクタが敵キャラクタから大きなダメージを受けたとき、コントローラ63が大きく(強く)振動するように設定されている。
【0036】
カットシーンデータは、カットシーンを再生するために用いられるデータであり、シーン映像データ、シーン音声データなどが含まれる。シーン映像データ、シーン音声データは、カットシーン再生時に用いられる映像データ、音声データである。
【0037】
シーン振動データは、コントローラ63の振動をシーン映像データの再生に連動させるための情報を含む。具体的に、シーン振動データには、コントローラ63の振動に用いられる振動パターンと、振動の開始時刻および振動の終了時刻とが関連付けられた振動データが含まれる。
【0038】
例えば、カットシーンにおいて小さい地震が発生している演出を行う場合、振動データには、小さな(弱い)振動が振動パターンとして設定される。そして、振動データには、振動の開始時刻として地震の発生時刻が設定され、振動の終了時刻として地震の終了時刻が設定される。
【0039】
音声素材データは、カットシーンにおいて用いられる効果音、環境音、BGMなどの音声データである。
【0040】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置2の動作を制御する。
【0041】
<サーバ装置2における制御部23の機能的構成>
制御部23は、各種プログラムを実行することにより、図1に示すように、情報処理手段231、照合手段232および配信手段233として機能する。
【0042】
情報処理手段231は、各ゲーム装置5と間で各種データを送受信する。情報処理手段231が受信する前記データとしては、ゲームプログラムおよびゲームデータのダウンロード要求、アカウント情報などが挙げられる。情報処理手段231が送信する前記データとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報などが挙げられる。
【0043】
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したアカウント情報を用いて、ユーザの認証処理を行う。
【0044】
配信手段233は、ゲームプログラムのダウンロード要求情報およびユーザのアカウント情報を情報処理手段231が受信した後、ゲームプログラムおよび受信したアカウント情報に対応するゲームデータを、ゲーム装置5に配信(送信)する。また、配信手段233は、カットシーンデータおよび振動情報を、ゲーム装置5に配信(送信)する。
【0045】
<ゲーム装置5の構成>
複数のゲーム装置5は、いずれも同様の構成を有する。
【0046】
ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。
【0047】
また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0048】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間、および、ゲーム装置5同士の間で、各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。
【0049】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、例えば液晶型であるディスプレイ61と接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0050】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されており、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ62から出力させる。
【0051】
操作部54は、コントローラ63と接続され、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。ユーザは、コントローラ63の各種ボタンを押下することで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0052】
また、操作部54は、コントローラ63に設けられた振動機構(図示を省略)により、コントローラ63を振動させる。コントローラ63の振動機構は、例えば、アクチュエータを含む。操作部54は、制御部56から出力される振動信号をコントローラ63の振動機構に入力する。コントローラ63の振動機構は、入力された振動信号に従って、アクチュエータを駆動させ、コントローラ63を振動させる。
【0053】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、カットシーンデータ、振動情報、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、自装置5のアカウント情報などが格納されている。
【0054】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する。
【0055】
<ゲーム装置5における制御部56の機能的構成>
制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム進行手段562、カットシーン再生手段563および振動制御手段564として機能する。
【0056】
通信手段561は、ネットワークインターフェース51を介して、サーバ装置2およびゲーム装置5との通信を行う機能である。
【0057】
通信手段561は、操作部54がコントローラ63から受信した各種操作信号などに応じて、アカウント情報、ゲームプログラムや新たなゲームデータのダウンロード要求などを、サーバ装置2に送信する。また、通信手段561は、ダウンロード要求に応じてサーバ装置2から送られてきたゲームデータ、カットシーンデータ、振動情報などを、サーバ装置2から受信する。
【0058】
ゲーム進行手段562は、ユーザの操作に従って、ゲームデータに含まれるオブジェクト、およびテクスチャなどのデータを読み出し且つゲームプログラムを実行して、二次元または三次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52によって処理されることにより、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が表示される。
【0059】
カットシーン再生手段563は、ゲームプレイ中に、ユーザが所定条件を満たしたときに、カットシーンを再生する。例えば、カットシーン再生手段563は、プレイヤキャラクタが敵キャラクタに遭遇した場合、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとが遭遇したことを示すカットシーンを再生する。
【0060】
具体的に、カットシーン再生手段563は、ユーザが所定条件を満たしたときに、カットシーンデータを記憶部55から読み出す。カットシーン再生手段563は、カットシーンデータに含まれるシーン映像データを示す信号をグラフィック処理部52に出力し、ディスプレイ61にシーン映像データを表示させる。また、カットシーン再生手段563は、データに含まれるシーン音声データを示す信号をオーディオ処理部53に出力し、スピーカ62にシーン音声データを再生させる。シーン音声データには、振動情報に基づいて、音声素材データの再生タイミングが設定されている。したがって、カットシーン再生手段563は、振動情報に基づいて、音声素材データ(音声)を再生する。
【0061】
振動制御手段564は、振動情報に基づいて、コントローラ63を振動させる。具体的に、振動制御手段564は、振動の開始条件を満たしたときにコントローラ63を振動させるように振動信号を生成し、操作部54に出力する。例えば、振動制御手段564は、プレイヤキャラクタが敵キャラクタからダメージを受けたとき、プレイヤキャラクタがダメージを受けたタイミングで、コントローラ63を振動させるように、操作部54に振動信号を出力する。
【0062】
また、振動制御手段564は、カットシーン再生手段563によりカットシーンが再生されている場合、再生されているカットシーンに合わせて、コントローラ63を振動させる。具体的に、振動制御手段564は、カットシーンデータに含まれるシーン振動データおよび振動情報に基づいて、振動信号を生成する。振動制御手段564は、生成した振動信号を操作部54に出力して、コントローラ63を振動させる。
【0063】
より具体的に、振動制御手段564は、シーン振動データから振動データを検出する。振動制御手段564は、振動データに設定された振動パターンを記憶部55の振動情報から読み出す。そして、振動制御手段564は、振動データに設定された振動の開始時刻から振動の終了時刻まで、読み出した振動パターンに従って、コントローラ63を振動させる。
【0064】
<ゲーム開発段階におけるシーン音声データの生成について>
ゲーム開発では、カットシーンは、映像、コントローラ63の振動タイミングなどの設定が行われた後に、映像を見ながら、効果音、環境音、BGMなどの再生タイミングの設定が行われる。すなわち、シーン映像データ(映像)、シーン振動データなどの生成(設定)が行われた後に、音声素材データ(効果音、環境音、BGMなど)の再生タイミングの設定が行われ、シーン音声データ(音声)が生成される。
【0065】
本実施形態では、シーン振動データに基づいて、シーン音声データが生成される。例えば、シーン音声データは、ゲーム開発用のコンピュータ(以下、開発用コンピュータという)などにより生成される。開発用コンピュータにより生成されたシーン音声データは、サーバ装置2の記憶部22に格納され、各ゲーム装置5に配信(送信)される。
【0066】
具体的に、開発用コンピュータは、シーン振動データに含まれる振動データを検出する。開発用コンピュータは、振動データに設定された振動パターンを判定する。開発用コンピュータは、判定した振動パターンに設定された複数の音声素材データの中から1つを選択する。開発用コンピュータは、振動データによってコントローラ63が振動するタイミングに合わせて、音声素材データの再生タイミングを設定する。開発用コンピュータは、設定した再生タイミングに音声素材データが再生されるように、シーン音声データを生成する。
【0067】
図2はカットシーン再生中に振動制御手段から出力される振動情報の一例を示す波形図である。図2に示すように、シーン振動データには、振動データA~Cが含まれる。開発用コンピュータは、シーン振動データに含まれる振動データA~Cを検出して、それぞれの振動パターンを判定する。
【0068】
具体的に、開発用コンピュータは、振動データにおける振動の長さおよび振動の振幅に基づいて、振動パターンを判定する。
【0069】
振動データにおける振動の長さは、開始時刻から終了時刻までの時間に基づいて判定される。例えば、開発用コンピュータは、振動データにおける振動の長さが所定時間よりも長い場合には、振動の長さが「長い」と判定し、振動データにおける振動の長さが所定時間よりも短い場合には、振動の長さが「短い」と判定する。
【0070】
また、開発用コンピュータは、振動データにおける振動の振幅がしきい値よりも大きい場合には、振動の強さが「強い」と判定し、振動データにおける振動の振幅がしきい値よりも小さい場合には、振動の強さが「弱い」と判定する。
【0071】
図2では、振動データAは、振動の長さが所定時間よりも短く、振動の振幅がしきい値よりも大きいため、「短い・強い」振動パターンであると判定される。振動データBは、振動の長さが所定時間よりも長く、振動の振幅がしきい値よりも小さいため、「長い・弱い」振動パターンであると判定される。振動データCは、振動の長さが所定時間よりも短く、振動の振幅がしきい値よりも小さいため、「短い・弱い」振動パターンであると判定される。
【0072】
図3は振動パターンと音声素材データとの対応の一例を示す図である。図3に示すように、振動パターンは、振動の長さ(「長い」または「短い」)と、振動の強さ(「強い」または「弱い」)との組み合わせによって4つの種類に分類される。そして、振動データの種類ごとに、複数の音声素材データが設定されている。
【0073】
開発用コンピュータは、振動パターンを判定した後、判定した種類に設定された複数の音声素材データの中の1つを選択する。例えば、開発用コンピュータは、振動データAの振動パターンが「短い・強い」振動パターンであるため、「a_short_srong_0.wav」、「a_short_srong_1.wav」…の中から1つの音声素材データを選択する。例えば、開発用コンピュータは、振動パターンに設定された複数の音声素材データの中からランダムで1つの音声素材データを選択してもよい。
【0074】
開発用コンピュータは、振動データによってコントローラ63が振動するタイミングに合わせて、音声素材データの再生タイミングを設定する。例えば、開発用コンピュータは、振動データAの音声素材データとして「a_short_srong_0.wav」を選択した場合、「a_short_srong_0.wav」の再生タイミングを、振動データAの振動の開始時刻(Start)から振動の終了時刻(End)までと設定する。
【0075】
開発用コンピュータは、設定した再生タイミングに音声素材データが再生されるように、シーン音声データを生成する。
【0076】
<開発用コンピュータの動作について>
図1図4を用いて、開発用コンピュータにおけるシーン音声データの生成の一連の流れを説明する。図4は開発用コンピュータの動作を示すフローチャートである。
【0077】
ステップS1の前に、開発用コンピュータの記憶部に、シーン映像データ、シーン音声データ、シーン振動データおよび音声素材データが格納されている。また、シーン音声データに対して、音声素材データ(カットシーンにおいて再生される効果音、環境音、BGMなどの音声データ)の再生タイミングが設定されていないものとする。
【0078】
開発用コンピュータは、シーン振動データを自己の記憶部から取得する(ステップS1)。開発用コンピュータは、シーン振動データに含まれる振動データを検出する(ステップS2)。例えば、開発用コンピュータは、シーン振動データに含まれる1つの振動データを検出する。
【0079】
開発用コンピュータは、検出した振動データに設定された振動パターンを判定する(ステップS3)。具体的に、開発用コンピュータは、振動データにおける振動の長さ(「長い」または「短い」)および振動の強さ(「強い」または「弱い」)に基づいて、振動データの振動パターンを判定する。例えば、振動データAは、振動の長さ(振動の開始時刻から振動の終了時刻までの時間)が所定時間よりも短く、振動の振幅がしきい値よりも大きいため、「短い・強い」振動パターンであると判定される。
【0080】
開発用コンピュータは、判定した振動パターンに設定された複数の音声素材データの中から1つの音声素材データを選択する(ステップS4)。例えば、開発用コンピュータは、振動データAの振動パターンを「短い・強い」振動パターンであると判定したため、「a_short_srong_0.wav」、「a_short_srong_1.wav」…の中から1つの音声素材データをランダムで選択する。
【0081】
開発用コンピュータは、選択した音声素材データの再生タイミングを設定する(ステップS5)。具体的に、開発用コンピュータは、選択した音声素材データが、振動データにおける振動の開始時刻から振動の終了時刻まで再生されるように再生タイミングを設定する。開発用コンピュータは、設定された再生タイミングに音声素材データが再生されるように、シーン音声データ生成する。
【0082】
開発用コンピュータは、次の振動データが存在する場合(ステップS6のYes)、次の振動データに対して、ステップS2~S5を実行する。
【0083】
開発用コンピュータは、次の振動データが存在しない場合(ステップS6のNo)、音声素材データの再生タイミングが設定されたシーン音声データをサーバ装置2の記憶部22に格納する(ステップS7)。
【0084】
ステップS7の後、記憶部22に格納されたシーン音声データ(カットシーンデータ)は、各ゲーム装置5に送信(配信)される。ゲーム装置5では、ゲームプレイ中にユーザが所定条件を満たした時に、オーディオ処理部53(スピーカ62)によりシーン音声データが再生される。ゲーム装置5は、シーン音声データに設定された再生タイミングに従って、音声素材データを再生する。
【0085】
以上をまとめると、本実施形態のゲームプログラムは、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、音声素材データ(音声)を含むシーン音声データを再生するカットシーン再生手段563(再生手段)と、振動を発生する振動機構を制御する振動制御手段564として機能させ、振動制御手段564は、コントローラ63の振動子(振動機構)に対して振動パターン(振動の態様)を定める振動情報(振動信号)を出力し、カットシーン再生手段563は、振動情報に基づいて再生タイミングが設定された、音声素材データを含むシーン音声データを再生するものである。
【0086】
<発明の効果>
以上のように、本実施形態では、コントローラ63を振動させるために用いられる振動情報に基づいて、音声素材データが再生される。
【0087】
カットシーンにおいて、例えば、地震や敵キャラクタからの攻撃などにより、プレイヤキャラクタが衝撃を受けることがある。この場合、プレイヤキャラクタが衝撃を受けたタイミングに合わせて、コントローラ63が振動するように振動子に対して振動情報が出力される。また、カットシーンでは、プレイヤキャラクタが衝撃を受けたタイミングに、効果音、環境音、BGMなどが再生されるように設定される。すなわち、ゲーム開発において、カットシーンでは、コントローラ63が振動するタイミングに合わせて、効果音、環境音、BGMなどが再生されるように設定される。
【0088】
本実施形態では、振動情報に基づいて、シーン音声データに対して音声素材データの再生タイミングが設定される。すなわち、カットシーン再生手段563は、振動情報に基づいて、音声素材データを再生する。これにより、ゲーム開発者が、映像を目視しながら、音声素材データを再生するタイミングを設定する手間を省くことができる。すなわち、ゲーム(ソフトウェア)開発の工数を減らすことができる。
【0089】
また、開発用コンピュータは、振動データ(振動情報)における振動パターンを判定する。開発用コンピュータは、判定した振動パターンに基づいて、音声素材データの再生タイミングを設定する。カットシーン再生手段563は、開発用コンピュータによって設定された再生タイミングで音声素材データを再生させる。すなわち、ゲーム(ソフトウェア)開発の工数を減らすことができる。
【0090】
また、開発用コンピュータは、振動データの振動パターンを、振動データにおける振動の長さ(振動の開始時刻から振動の終了時刻までの時間)に基づいて判定する。これにより、振動データのパターン分けを容易に行うことができる。
【0091】
また、開発用コンピュータは、振動データの振動パターンを、振動データにおける振動の振幅(強さ)に基づいて判定する。これにより、振動データのパターン分けを容易に行うことができる。
【0092】
また、振動パターンごとに、複数の音声素材データが設定されている。開発用コンピュータは、振動パターンに設定された複数の音声素材データのうちのいずれか1つを選択する。カットシーン再生手段563は、開発用コンピュータによって選択された音声素材データを再生する。例えば、開発用コンピュータが複数の音声素材データのうちのいずれか1つをランダムで選択することにより、音響演出のバリエーションを広げることができる。
【0093】
(その他の実施形態)
なお、音声素材データは、低音域(所定の周波数以下の音域)の音声であってもよい。すなわち、カットシーン再生手段563は、シーン振動データに基づいて、低音域の音声を再生してもよい。スピーカ62にウーファーやサブーファーが含まれる場合、カットシーン再生手段563は、ウーファーやサブーファーから低音域または超低音域の音声を再生してもよい。
【0094】
また、ステップS5において、開発用コンピュータは、選択した音声素材データの再生時間よりも、振動データにおける振動の長さ(振動の開始時刻から振動の終了時刻までの時間)が長い場合、音声素材データがループして再生されるように設定してもよい。
【0095】
また、開発用コンピュータは、振動データにおける振動の長さおよび振動の強さ以外によって振動パターンを判定してもよい。例えば、開発用コンピュータに、地鳴り、爆発、攻撃などの具体的な振動パターンを予め設定しておき、開発用コンピュータは、振動データに含まれる振動が、設定されたいずれの振動パターンと一致するかを判定する。この場合、設定された振動パターンごとに音声素材データを設定しておくことにより、効果音、環境音、BGMなどの設定の手間をさらに省くことができる。
【0096】
また、開発用コンピュータは、振動の長さと振動の振幅(強さ)との2つの基準を用いて、振動データのパターン分けを行っているが、3つ以上の基準を用いて振動データのパターン分けをおこなってもよい。例えば、開発用コンピュータは、振動の長さと振動の振幅との基準に加えて、振動の振幅の変化量(例えば、振動データにおける、最も大きい振幅と最も小さい振幅との差)の基準を用いて振動データのパターン分けを行ってもよい。これにより、効果音、環境音、BGMなどの設定の手間をさらに省くことができる。
【0097】
また、ゲーム装置5は、振動制御手段564から振動信号(振動情報)が出力されるタイミングに合わせて、音声素材データ(効果音、環境音、BGMなど)を再生する機能を備えてもよい。例えば、振動情報(振動データ)の振動パターンごとに音声素材データを設定しておく。ゲーム装置5は、振動情報(振動データ)の振動パターンを判定する。そして、ゲーム装置5は、振動制御手段564から振動信号(振動情報)が出力されるタイミングに合わせて、判定した振動パターンに設定された音声素材データを再生する。すなわち、本発明はカットシーン再生時以外(例えば、ゲームプレイ中の効果音、環境音、BGMの再生タイミングの設定)にも適用することができる。
【0098】
上記実施形態では、ゲーム装置5が、パーソナルコンピュータおよびプレイステーション等の装置である場合について説明したが、ゲーム装置5の種類は、これに限定されない。例えば、ゲーム装置5は、スマートフォンやタブレット、ゲームセンターに提供されるアーケードゲームの筐体などであってもよい。
【0099】
また、ゲーム装置5は、振動情報に従ってコントローラ63以外を振動させてもよい。例えば、ゲーム装置5がスマートフォンである場合、振動情報に従って、スマートフォンに内蔵された振動機構を振動させてもよい。すなわち、ゲーム装置5は、振動情報に従って、内部または外部に接続された振動機構を有する装置を振動させてもよい。また、ゲーム装置5の種類に応じて、振動情報に従って振動させる対象を変更してもよい。
【符号の説明】
【0100】
2 サーバ装置
22 記憶部
23 制御部
5 ゲーム装置
53 オーディオ処理部
54 操作部
55 記憶部
56 制御部
563 カットシーン再生手段
564 振動制御手段
63 コントローラ
図1
図2
図3
図4