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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】スプーン
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20230512BHJP
   G01F 19/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A47J43/28
G01F19/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019049582
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2019195614
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018089045
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517060166
【氏名又は名称】吉川 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】吉川 桂子
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05706546(US,A)
【文献】実開昭56-092922(JP,U)
【文献】特開2012-090931(JP,A)
【文献】米国特許第02799086(US,A)
【文献】特開2004-191248(JP,A)
【文献】特開2013-083512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/28
G01F 19/00
G01G 19/56
日本意匠分類C6-1120
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面から垂直に立設される内面を有する容器に残存する粉体を掬い取るためのスプーンであって、
角縁を2つ備える方形開口を有すると共に、先端が平面状に形成され、方形面の1つが前記開口となる三角柱状に形成される凹状の掬い部と、
該掬い部から延設され、前記掬い部の前記方形開口から、該方形開口の開口面に垂直な方向に離間する位置に取り付けられる棒状の把持部とを備え、
前記粉体を掬い取る際に、前記角縁を形成する二辺のうちの一辺が前記底面に線接触すると共に、他辺が前記内面に線接触することを特徴とするスプーン。
【請求項2】
前記掬い部の三角形面の前記開口を形成しない2辺の間の角度が30°以上90°以下であることを特徴とする請求項に記載のスプーン。
【請求項3】
前記掬い部の内面に該掬い部の容量を表す目盛が記載されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉ミルクや粉状のプロテイン等の粉末状食品等の缶の底面に残った粉末を完全に容易に掬い取ることができるスプーンに関する。
【背景技術】
【0002】
粉ミルク等の粉末状の食品は、通常蓋付きの円筒状の缶に入れられて販売されている。これらを使用する際には、缶に付属の計量スプーンで缶の中から粉末を掬い出し、ほ乳瓶等の別の容器に入れた後、湯や水を加えて撹拌する。これにより、粉末が湯や水に溶けて飲食に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、粉ミルク缶等に付属の計量スプーンは、缶の中に粉末が十分にある状態で粉末を掬って計量するものであるため、缶の底面に残った粉末を掬い取ることは容易ではない。また、付属の計量スプーンではなく、一般的に用いられるスプーンを用いても同様に缶の底面に残った粉末を掬い取ることは容易ではない。そのため、缶の底面に残った粉末を掬い取れずに、缶を逆さまにして残った粉末を捨てたり、缶を洗った後処分するなど、粉末を使い切ることができていなかった。さらに、缶を洗う場合も、数回水を入れ替えてすすがなければ透明の水にならないので、環境の面でも改善の余地があった。
【0004】
そこで、本発明は、粉末状食品等を収容した缶の底面に残った粉末を完全に容易に掬い取ることができるスプーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、底面から垂直に立設される内面を有する容器に残存する粉体を掬い取るためのスプーンであって、角縁を2つ備える方形開口を有すると共に、先端が平面状に形成され、方形面の1つが前記開口となる三角柱状に形成される凹状の掬い部と、該掬い部から延設され、前記掬い部の前記方形開口から、該方形開口の開口面に垂直な方向に離間する位置に取り付けられる棒状の把持部とを備え、前記粉体を掬い取る際に、前記角縁を形成する二辺のうちの一辺が前記底面に線接触すると共に、他辺が前記内面に線接触することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、角縁を容器の底面と内面の交差部に沿って移動させると、掬い部と容器の底面及び内面との間に隙間が形成され難く、その隙間から粉末が逃げることがないため、容器の底面に残った粉末を完全に容易に掬い取ることができる。さらに、把持部が掬い部の開口面に垂直な方向に離間しているため、掬い部の開口を缶の内面に沿って移動させ易くなる。また、掬い部の先端と缶が面接触するため、掬い部の先端と缶の底面との間に隙間が形成され難く、その隙間から粉末が逃げることがない。さらに、前記掬い部を、方形面の1つが前記開口となる三角柱状に形成したため、掬い部の底部と把持部が缶の内面に当たり難くなり、掬い取る操作を妨げず、掬い取った粉末が掬い部内でまとまり易く、別の容器に移し易い。
【0009】
上記スプーンにおいて、前記掬い部の三角形面の前記開口を形成しない2辺の間の角度を30°以上90°以下で調節することができる。
【0013】
さらに、上記スプーンにおいて、前記掬い部の内面に該掬い部の容量を表す目盛を記載すれば、掬い取った粉末の量を容易に量ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るスプーンによれば、粉末状食品等を収容した缶の底面に残った粉末を完全に容易に掬い取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスプーンの実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は斜視図である。
図2図1に示すスプーンの使用方法を説明するための一部破断斜視図である。
図3図1に示すスプーンの変形例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は斜視図である。
図4】本発明に係るスプーンの参考例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は底面図、(e)は斜視図である。
図5図4に示すスプーンの使用方法を説明するための一部破断斜視図である。
図6図4に示すスプーンの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明に係るスプーンの実施形態を示し、このスプーン1は、方形開口(以下「開口」と略称する。)3を有する掬い部2と、掬い部2から延設される把持部4とを備える。
【0018】
掬い部2は、例えば、プラスチックや、ステンレスから凹状に形成され、2つの方形面2a、2bと2つの三角形面2c、2dを備えると共に、1つの方形面が開口3を構成する三角柱状に形成される。開口3の下端部には、角縁2g、2hが存在する。角縁とは、縁部が略々直角に交わった部分である。三角形面2dの外表面が、スプーン1及び掬い部2の先端である。以下、掬い部2の先端も符号2dで表す。
【0019】
また、掬い部2は、三角形面2cの開口3を形成しない2辺の間の角度θ1が30°以上90°以下、より好ましくは50°以上70°以下となるように構成され、本実施の形態では60°程度に設定されている。これは、三角形面2cの角度θ1を30°より小さくすると、粉末を掬い取り難くなり、90°より大きくすると、掬い取った粉末がこぼれ易くなるためである。
【0020】
把持部4は、例えば、プラスチックや、ステンレスから棒状に形成され、掬い部2と一体形成してもよい。把持部4は、掬い部2の底部2e、すなわち、掬い部2の開口3から離間する位置に取り付けられている。この把持部4を太くすれば、使用者が把持部4を握り易くなるが、把持部4を把持する使用者の手が粉末状食品等の缶の内面10cに当たり易くなるおそれもあるため、適宜調整する。
【0021】
掬い部2と把持部4を合わせたスプーン1の長手方向長さは、使い易さを考慮し、16~17cm程度とするのが好ましい。
【0022】
次に、上記構成を有するスプーン1の使用方法について、図2を中心に参照しながら説明する。尚、以下の説明では、使用者がスプーン1を右手で握るものとする。
【0023】
まず、底面に粉末が残存する缶10を斜めにすると共に、缶10の開口10aから掬い部2を内部に挿入し、掬い部2の角縁2gを缶10の底面10bと内面10cの交差部10dに当て、縁部2fと他辺2jを使って缶の底面10bに散らばる粉末を缶10の底面10bの一箇所に集める。
【0024】
次に、集めた粉末の近くにおいて、掬い部2の角縁2gを缶10の底面10bと内面10cの交差部10dに当て、縁部2jを缶10の内面10cに線接触させ、先端2dを缶10の底面10bに面接触させ、その状態で掬い部2の開口3を缶10の内面10cに沿って上方から見て時計回りに移動させながら、角縁2gを交差部10dに沿わせながらすべての粉末を掬い取る。
【0025】
ここで、掬い部2の先端2dと缶10の底面10bが面接触するか、掬い部2の縁部2fと缶10の底面10bが線接触すると共に、角縁2gを形成する他辺2jが缶10の内面10cと線接触するため、掬い部2と缶10との間に隙間が形成され難く、粉末が逃げることがない。また、把持部4が開口3から開口3の垂直方向に離間しているため、開口3を缶10の内面10cに沿って移動させ易くなる。さらに、開口3を缶10の内面10cに沿って移動させながら角縁2gを交差部10dに沿わせながら移動させることで、缶10の底面10bに残った粉末を完全に容易に掬い取ることができる。また、掬い部2を三角柱状としたことで、掬い部2の底部2eと把持部4が缶10の内面10cに当たりにくくなるため、掬い取る操作を妨げず、掬い取った粉末が掬い部内でまとまり易く、別の容器に移し易い。尚、使用者がスプーン1を左手で握った場合には、掬い部2を上方から見て反時計回りに移動させながら角縁2h及び他辺2kを利用して粉末を掬い取る。
【0028】
上記スプーン1では、把持部4を2つの方形面2a、2bの交差部に設けたが、図3に示すように、把持部4を方形面2a側に設けることで、右利きの使用者にとってより使い易くなる。尚、把持部4を方形面2b側に設けることで、左利きの使用者にとってより使い易くなる。
【0029】
次に、本発明に係るスプーンの参考例について図4及び図5を参照しながら説明する。
【0030】
このスプーン11は、舟形開口(以下、適宜「開口」と略称する。)13を有する掬い部12と、掬い部12から延設される把持部14とを備え、開口13の先端に角度θ2が90°程度である角縁12aを備える。
【0031】
掬い部12は、例えば、プラスチックや、ステンレスから凹状に形成され、角縁12aが開口3の開口面から開口面に垂直な方向に離間した位置に存在する。
【0032】
把持部14は棒状で、掬い部12と一体形成される。把持部14は、開口13の角縁12aが存在する側の反対側から開口13を2等分する直線方向(図4(a)で上下方向)に延設される。この把持部14を太くすれば、使用者が把持部14を握り易くなるが、把持部14を把持する使用者の手が缶10の内面に当たり易くなるおそれもあるため、適宜調整する。
【0033】
掬い部12と把持部14を合わせたスプーン11の長手方向長さは、使い易さを考慮し、16~17cm程度とするのが好ましい。
【0034】
次に、上記構成を有するスプーン11の使用方法について、図5を中心に参照しながら説明する。尚、以下の説明では、使用者がスプーン11を右手で握るものとする。
【0035】
まず、底面に粉末が残存する缶10を斜めにすると共に、缶10の開口10aから掬い部12を内部に挿入し、角縁12aを缶10の底面10bと内面10cの交差部10dに当て、縁部12dと他辺12eを使って缶の底面10bに散らばる粉末を缶10の底面10bの一箇所に集める。
【0036】
次に、集めた粉末の近くにおいて、掬い部12の角縁12aを缶10の底面10bと内面10cの交差部10dに当て、角縁12aを形成する他辺12eを缶10の内面10cに線接触させ、縁部12dを底面12bに線接触させ、その状態で掬い部12の開口13を缶10の内面10cに沿って上方から見て時計回りに移動させながら、角縁12aを交差部10dに沿わせながら移動させてすべての粉末を掬い取る。
【0037】
ここで、角縁12aを形成する他辺12eが缶10の内面10cに線接触すると共に、掬い部12の縁部12dと缶10の底面10bが線接触するか、掬い部12の先端面12bと缶10の底面10bが面接触するため、掬い部12と缶10との間に隙間が形成され難く、粉末が逃げることがない。また、角縁12aが開口3の開口面から開口面に垂直な方向に離間した位置に存在するため、掬い部12の先端部の底が深くなり、掬い取った粉末がこぼれ難い。尚、使用者がスプーン11を左手で握った場合には、縁部12dと他辺12eを使って粉末を集め、掬い部12の角縁12aを缶10の交差部10dに当て、縁部12dを缶10の内面10cに線接触させ、他辺12eを缶10の底面10bに線接触させ、その状態で掬い部12の開口13を缶10の内面10cに沿って上方から見て反時計回りに、角縁12aを交差部10dに沿わせて移動させながら集めた粉末を掬い取る。
【0038】
尚、上記参考例においては、掬い部12の角縁12aを把持部14の軸線上に位置させたが、図6に示すように、角縁12aを、開口13の開口面と同一面上において、把持部14の軸線Aから垂直な方向に距離Lだけ離間させてもよい。これにより、右利きの使用者は他の粉を触らずより衛生的に、また手をよごさずに粉末を容易に掬い取ることができる。尚、角縁12aを図示例とは反対側(軸線Aの左側)に離間させると、左利きの使用者は他の粉を触らずより衛生的に、また手をよごさずに粉末を容易に掬い取ることができる。
【0039】
また、本参考例において、掬い部12の角縁12aを形成する二辺12d、12eの角度は90°に限定されず、スプーン11の使用時に、これら二辺12d、12eが缶10の底面10bと内面10cに線接触するように構成されていればよい。
【0040】
さらに、掬い部12は舟形開口でなくともよく、開口13に角縁12aが存在すれば他の形状であってもよい。但し、先端に角縁12aを備え、角縁12aを通る平面に対して開口13が対称になっている方が右利き、左利きの両者にとって使用しやすい。
【0041】
また、上述のように、角縁12aが開口3の開口面から開口面に垂直な方向に離間した位置に存在するのが好ましいが、必ずしも開口面から離間していなくてもよく、開口面と同一面上に位置してもよい。
【0042】
さらに、上記実施の形態及び参考例において、掬い部2、12の内面には、掬い取った粉末の量を量るために、掬い部2、12の容量を表す目盛が記載されていることが好ましい。スプーン1、11は、缶の底面に残る少量の粉末を掬い取るものであるため、上記粉末に付属の計量スプーン一杯で量ることのできる量よりもかなり少ない量を量ることができるように、目盛を細かく記載する。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 スプーン
2 掬い部
2a、2b 方形面
2c、2d 三角形面
2e 底部
2f 縁部
2g、2h 角縁
2j、2k 他辺
3 開口
4 把持部
10 缶
10a 開口
10b 底面
10c 内面
10d 交差部
11 スプーン
12 掬い部
12a 角縁
12b、12c 先端面
12d 縁部
12e 他辺
13 開口
14 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6