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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-11
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】現場管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20230512BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230512BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
E04G21/32 Z ESW
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019174261
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051561
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】中 拓久哉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博史
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-105807(JP,A)
【文献】特開2012-203677(JP,A)
【文献】特許第6398062(JP,B1)
【文献】特開2012-001995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0232771(US,A1)
【文献】特開2017-049792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
E04G 21/24-21/32
H04N 7/18
E02F 9/00-9/18
9/24-9/28
G01S 1/72-1/82
3/80-5/14
5/18-5/30
7/52-7/64
15/00-15/96
19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場に配置された作業機械に搭載される作業機械情報処理装置と、前記作業現場に配置された複数の監視装置と、前記作業機械情報処理装置と前記複数の監視装置との情報のやりとりを管理する現場管理装置とを備えた現場管理システムであって、
前記作業機械情報処理装置は、
作業領域を設定するための入力情報と前記作業機械の位置および姿勢の検出情報に基づいて位置および姿勢を含む設定情報を生成して前記作業領域を設定し、
前記現場管理装置は、
前記作業現場に設置された前記複数の監視装置のそれぞれの検知可能領域と前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域の設定情報に基づいて、前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域を検知可能な監視装置を特定し、
前記特定された監視装置は、
前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域の設定情報に基づいて監視領域を設定し、検出した移動物体の位置情報に基づいて前記監視領域内に移動物体が侵入しているか否かを監視することを特徴とする現場管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の現場管理システムにおいて、
前記監視装置は、前記作業領域内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果を前記作業機械情報処理装置に送信することを特徴とする現場管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の現場管理システムにおいて、
前記作業機械情報処理装置は、前記監視結果が前記移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させることを特徴とする現場管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の現場管理システムにおいて、
前記作業機械情報処理装置は、前記作業領域の位置および姿勢を含む設定情報を前記作業現場に設定された作業現場座標系に変換し、
前記現場管理装置は、前記作業領域の位置および姿勢を含む設定情報を前記特定した監視装置に設定したセンサ座標系に変換し、
前記監視装置は、前記センサ座標系に変換した前記作業領域の位置および姿勢を含む設定情報を用いて、前記作業領域内に移動物体が侵入しているか否かを監視することを特徴とする現場管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の現場管理システムにおいて、
前記監視装置は、前記移動物体の位置情報を生成し、前記作業領域内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と前記移動物体の位置情報を送信し、
前記作業機械情報処理装置は、前記監視結果が前記移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させ、かつ前記移動物体の位置情報に基づいて前記移動物体をモニタに表示させることを特徴とする現場管理システム。
【請求項6】
請求項5記載の現場管理システムにおいて、
前記監視装置は、前記作業領域内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と前記移動物体の位置情報を、前記現場管理装置を介して前記作業機械情報処理装置に送信し、
前記現場管理装置は、前記移動物体の位置情報を前記監視装置に設定したセンサ座標系から前記作業現場に設定した作業現場座標系に変換し、前記作業機械情報処理装置は前記移動物体の位置情報を前記作業現場座標系から前記作業機械に設定された車体座標系に変換して用いることを特徴とする現場管理システム。
【請求項7】
請求項1記載の現場管理システムにおいて、
前記作業機械情報処理装置は、
前記作業領域を設定するための情報を入力する設定入力装置と、
前記作業機械の位置および姿勢を検出する車体位置検出装置と、
前記設定入力装置の入力情報と前記車体位置検出装置が検出した前記作業機械の位置および姿勢に基づいて前記作業領域を設定し、前記作業領域の設定情報を含む第1通知信号を生成する第1処理装置と、
前記第1通知信号を前記現場管理装置に送信する第1通信装置とを有し、
前記現場管理装置は、
前記複数の監視装置が物体を検知しうる検知可能領域を記録したデータベースを有し、前記データベースに記録された前記検知可能領域と前記第1通知信号に含まれる前記作業領域の設定情報に基づいて、前記作業領域と重複する検知可能領域を有する監視装置を前記作業領域を検知可能な監視装置として特定し、かつ前記作業領域の設定情報を含む第2通知信号を生成する第2処理装置と、
前記第2通知信号を前記特定した監視装置に送信する第2通信装置とを有し、
前記監視装置は、
前記移動物体の位置を検出する物体検出センサと、
前記第2通知信号に含まれる前記作業領域の設定情報に基づいて前記監視領域を設定し、前記物体検出センサで検出した前記移動物体の位置情報に基づいて前記作業領域内に前記移動物体が侵入しているか否かの監視結果を含む第3通知信号を生成する第3処理装置と、
前記第3通知信号を前記作業機械情報処理装置および前記現場管理装置のいずれか一方に送信する第3通信装置とを有することを特徴とする現場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械および作業員の作業する作業現場を管理する現場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
土木、建設等の作業現場では、作業内容に応じて、複数の作業機械および複数の作業員が現場内に配置され、作業機械および作業員は現場内を移動しながら作業を行う。作業現場における安全性の向上および円滑な施工管理のためには、作業員と作業機械の不必要な接近を防止することが重要である。作業機械と作業員の接近を防止するためには、作業員に不必要に作業機械の作業領域に立ち入らせないことが重要であり、作業員は、作業機械の作業内容や作業領域を把握し、作業機械の作業領域に侵入しないよう作業を行う必要がある。そのため従来より、作業現場内の作業機械の作業領域を、監視カメラなどの環境設置センサを用いて監視し、作業領域に接近した作業員に警報を発するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、「所定のエリア内に存在する監視対象物の周辺をモニタリングするシステムであって、監視対象物ごとにその近傍に設置され、視認可能な標識手段(例えば安全コーン)と、標識手段を視認できる場所に設置され、4πラジアンの立体角内の画像を取得する全天球型の撮像手段を備える監視手段と、撮像手段で取得された画像に基づいて標識手段の位置情報を取得するとともに、この位置情報に基づいて、対応する監視対象物の周辺に所定の形状の領域(危険ゾーン)を設定する領域設定手段と、領域設定手段で設定された領域における所定の移動体の有無を判定する判定手段と、判定手段において領域に移動体が有ると判定された場合に、警報を報知する報知手段とを備えたモニタリングシステム」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-97788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術を作業機械と作業員とが作業を行う作業現場に適用することにより、モニタリングシステムを用いて作業領域への作業員の接近を作業員に認識させることが可能となる。しかし、特許文献1では標識手段(安全コーン)を移動することで監視する作業領域を変更することができるが、領域設定手段が標識手段の位置情報に基づいて監視対象物の周辺に所定の形状の領域(危険ゾーン)を設定するためには、事前にその領域の形状や標識手段との位置関係などの設定情報を入力しておくことが必要である。そのため作業領域の更新頻度の高い施工作業を行う作業機械に適用した場合、作業領域の更新の都度、監視対象物周辺の設定領域の情報を入力することに加え、標識手段を移動させる作業が必要となり、作業効率の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、作業機械と作業員とが作業を行う作業現場において、作業機械の作業領域を変更したとき、作業領域の設定情報に応じて自動的に監視装置で監視する監視領域を変更することができ、作業効率を低下させない現場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために次のような手段を採用した。
【0008】
作業現場に配置された作業機械に搭載される作業機械情報処理装置と、前記作業現場に配置された複数の監視装置と、前記作業機械情報処理装置と前記複数の監視装置との情報のやりとりを管理する現場管理装置とを備えた現場管理システムであって、前記作業機械情報処理装置は、作業領域を設定するための入力情報と前記作業機械の位置および姿勢の検出情報に基づいて位置および姿勢を含む設定情報を生成して前記作業領域を設定し、前記現場管理装置は、前記作業現場に設置された前記複数の監視装置のそれぞれの検知可能領域と前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域の設定情報に基づいて、前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域を検知可能な監視装置を特定し、前記特定された監視装置は、前記作業機械情報処理装置により設定された前記作業領域の設定情報に基づいて監視領域を設定し、検出した移動物体の位置情報に基づいて前記監視領域内に移動物体が侵入しているか否かを監視するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械および作業員が作業を行う作業現場において、現場管理装置は、作業現場に設置された複数の監視装置のそれぞれの検知可能領域と作業機械情報処理装置により設定された作業領域の設定情報に基づいて、作業機械情報処理装置により設定された作業領域を検知可能な監視装置を特定し、特定された監視装置は、作業機械情報処理装置により設定された作業領域の設定情報に基づいて監視領域を設定し、検出した移動物体の位置情報に基づいて監視領域内に移動物体が侵入しているか否かを監視するため、作業機械の作業領域を変更したとき、作業領域の設定情報に応じて自動的に監視装置の監視領域を変更することができる。このため、作業領域の変更に伴う視認可能な標識手段の移動などの新たな作業が生じないことから、作業効率を低下することなく、作業領域を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る現場管理システムの概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る監視装置の概要を現す図である。
図3】第1の実施形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
図4】第1の実施形態に係る作業機械の処理装置の処理フローを示す図である。
図5】第1の実施形態に係る作業領域の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る設定入力装置のモニタ画面の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る作業領域通知信号と監視領域通知信号と侵入検知通知信号を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る現場管理装置の処理装置の処理フローを示す図である。
図9】第1の実施形態に係る監視装置の処理装置の処理フローを示す図である。
図10A】第1の実施形態に係る作業機械の処理装置の処理フローを示す図である。
図10B】第1の実施形態に係る作業機械の処理装置の変形例における処理フローを示す図である。
図11】第1の実施形態に係る作業機械通知装置のモニタ画面の一例を示す図である。
図12】作業現場における施工シーンの一例を示す図である。
図13】作業現場における施工シーンの他の一例を示す図である。
図14】作業現場における施工シーンの他の一例を示す図である。
図15】作業現場における施工シーンの他の一例を示す図である。
図16】第2の実施形態に係る現場管理システムの概略構成を示す図である。
図17】第2の実施形態に係る第1および第2侵入検知通知信号を示す図である。
図18】第2の実施形態に係る監視装置の処理装置の処理フローを示す図である。
図19】第2の実施形態に係る現場管理装置の処理装置の処理フローを示す図である。
図20】第2の実施形態に係る作業機械の処理装置の処理フローを示す図である。
図21】第2の実施形態に係る作業機械通知装置のモニタ画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る現場管理システムの実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
<概要・全体構成>
図12図15は、それぞれ、土木、建設等の作業現場における施工シーンの一例を示す図である。
【0013】
図12図15に示すように、土木、建設等の作業現場では、求められる作業に応じて、複数の作業機械1および複数の作業員100a,100b,100c(以下、適宜、符号100で代表する)が作業現場内に配置され、作業機械1および作業員100は作業現場内を移動しながら作業を行う。また、作業現場には、施工の計画および施工品質や進捗、安全対策等の施工管理を行う監督者(作業監督者)が配置される。作業機械1には、作業領域250が設定され、作業機械1は作業領域250内で、姿勢を種々変化させて作業を行う。作業領域250は、図12図14に示されるように、作業機械1の作業の進捗に伴って変更される。作業員100が作業機械1の作業領域250を認識せず、作業領域250に不用意に侵入した場合には、作業機械1と作業員100とが接近する可能性が生じる。そのため、作業領域250に作業員100が侵入したことを作業機械1のオペレータに通知することが重要である。
【0014】
図1は、本実施形態の現場管理システム200の概略構成を示す図である。
【0015】
本実施形態の現場管理システム200は、指定された監視領域260への移動物体の侵入を検知する作業現場に設置した複数の監視装置210a,210b,210c(以下、適宜、符号210で代表する)に対して、作業機械1から通知された作業領域250を監視できる監視装置210を特定し、特定した監視装置210に対して作業領域250を監視領域260として設定するように指令し、監視装置210が作業機械1の作業領域250への作業員100の侵入を検知した場合、作業機械1に作業員100が侵入したことを通知するようにしている。
【0016】
図1に示すように、現場管理システム200は、主に、作業現場内に設置される監視装置210と、作業現場管理事務所等に設けられる現場管理装置220と、作業機械1に搭載される作業機械情報処理装置230とから構成される。
【0017】
監視装置210と現場管理装置220と作業機械情報処理装置230とは現場内の無線ネットワークや携帯電話網などによる無線通信で接続される。
【0018】
作業機械情報処理装置230は、作業機械1に搭載される装置であって、設定入力装置231、車体位置検出装置232、作業機械通知装置233、処理装置234、通信装置235を備える。処理装置234は、設定入力装置231で入力された作業機械1のIDと作業領域情報とを含む作業領域通知信号500(図7の(A)参照)を生成し、通信装置235を用いて現場管理装置220に出力する。作業領域情報には、車体位置検出装置232によって取得した作業機械1の位置および姿勢の検出情報に基づいて算出した作業領域250の位置および姿勢を含む作業領域250の設定情報が含まれている。
【0019】
また、処理装置234は、監視装置210もしくは現場管理装置220から出力される侵入検知通知信号520に基づき、監視装置210の監視結果が移動物体の侵入有りであるとき、作業機械通知装置233を用いて警報を発生させ、作業領域に作業員が侵入したことを、オペレータに通知する。
【0020】
現場管理装置220は、処理装置221と通信装置222を備える。処理装置221は作業機械情報処理装置230から受け取った作業領域通知信号500と、監視装置210の検知可能領域に基づき、作業機械1の作業領域を監視できる監視装置210を特定し、特定した監視装置210に対して作業領域250を監視領域260として設定するための、作業機械1のIDと作業領域情報とを含む監視領域通知信号510(図7の(B)参照)を生成し、通信装置222を用いて特定した監視装置210に対して監視領域通知信号510を出力する。
【0021】
図2は、監視装置210の概要を現す図である。監視装置210は、図2に示すように移動物体を検知し得る検知可能領域270内に設定された監視領域260に侵入する移動物体を検知する機能を有しており、図2では作業員100aを監視領域260に侵入している移動物体と判定し、作業員100bを監視領域260に侵入していない移動物体と判定する。監視装置210は、図1に示すように物体検出センサ211と処理装置212と通信装置213を備える。物体検出センサ211はカメラやLiDARなどの検知範囲に存在する移動物体の位置情報を検出する装置であり、検出した移動物体の位置情報を処理装置212に出力する。処理装置212は物体検出センサ211から取得した移動物体の位置情報を基に、現場管理装置220から受信した監視領域通知信号510に含まれる作業領域250を監視領域260として設定し、作業領域250に移動物体が侵入しないか確認する。処理装置212は、作業領域250に移動物体が侵入している場合、侵入有無を表す侵入検知フラグを含む侵入検知通知信号520(図7の(C)参照)を、通信装置213を用いて出力する。
【0022】
侵入検知通知信号520は、作業機械1に搭載された作業機械情報処理装置230に送信される。そして、作業機械通知装置233を用いて警告を発生させ、作業機械1の作業領域250に作業員が侵入したことをオペレータに通知する。これにより作業機械1と作業員100との接近を未然に防ぐことが可能となる。
【0023】
このように本実施の形態において、作業機械情報処理装置230は、作業領域250を設定するための入力情報と作業機械1の位置および姿勢の検出情報に基づいて位置および姿勢を含む設定情報を生成して作業領域250を設定し、現場管理装置220は、作業現場に設置された複数の監視装置210a,210b,210cのそれぞれの検知可能領域と作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250の設定情報に基づいて、作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250を検知可能な監視装置210を特定し、この特定された監視装置210は、作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250の設定情報に基づいて監視領域260を設定し、検出した移動物体の位置情報に基づいて監視領域260内に移動物体が侵入しているか否かを監視する。
【0024】
また、監視装置210は、作業領域250内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果を作業機械情報処理装置230に送信し、作業機械情報処理装置230は、監視結果が移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させる。
【0025】
更に、作業機械情報処理装置230は、作業領域250の位置および姿勢を含む設定情報を作業現場に設定された作業現場座標系に変換し、現場管理装置220は、作業領域250の位置および姿勢を含む設定情報を特定した監視装置210に設定したセンサ座標系に変換し、監視装置210は、センサ座標系に変換した作業領域250の位置および姿勢を含む設定情報を用いて、作業領域250内に移動物体が侵入しているか否かを監視する。
【0026】
以下に、作業機械情報処理装置230、現場管理装置220、監視装置210の詳細を説明する。
【0027】
<作業機械情報処理装置230>
図3は、第1の実施形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
【0028】
本実施形態の現場管理システム200が導入される作業現場では、施工内容に応じて、油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダ等の作業機械が用いられる。以下では、作業機械情報処理装置230を図3に示すような油圧ショベルに搭載する場合を例に取り説明する。
【0029】
[作業機械1]
図3に示すように、作業機械1は、走行体2と、走行体2の上部に旋回可能に取り付けられた旋回体3と、一端が旋回体3に連結された多関節型のリンク機構よりなる作業フロント6とを備えている。作業フロント6は、一端が旋回体3に連結されたブーム6Aと、一端がブーム6Aの他端に連結されたアーム6Bと、一端がアーム6Bの他端に連結されたバケット6Cとを有しており、これらの各部材は、それぞれ上下方向に回動するように構成されている。旋回体3上には、運転室4が備えられている。また、この旋回体3上の所要の部分には、動力系を構成するエンジンや駆動アクチュエータの駆動油圧回路等から構成され、作業機械1の起動停止および動作全般を制御する運転制御装置が備えられている。運転室4内には、オペレータが各駆動アクチュエータに対する動きの指示を入力するための複数の操作レバー装置5が備えられる。複数の操作レバー装置5のそれぞれの操作レバーを操作することにより、走行、旋回、および作業フロント6を用いた各種動作が行われる。運転室4内には、操作レバー装置5の他、作業機械1の運転者に各種情報を通知するための作業機械通知装置233、設定入力装置231および処理装置234が備えられる。また、作業機械1には、車体位置検出装置232、通信装置235が備えられる。
【0030】
[作業機械情報処理装置230]
作業機械情報処理装置230は、作業機械1に搭載される装置であって、前述したように、設定入力装置231、車体位置検出装置232、作業機械通知装置233、処理装置234(第1処理装置)、通信装置235(第1通信装置)を備える。
【0031】
以下に、図1図2図3図4図5図6図7を参照して、車体位置検出装置232、設定入力装置231、処理装置234、通信装置235の詳細を説明する。作業機械通知装置233については後述する。
【0032】
[車体位置検出装置232]
車体位置検出装置232は、測位衛星からの電波を受信し、作業機械1の車体である旋回体3の3次元位置および姿勢データを出力する装置である。車体位置検出装置232は、測位衛星からの電波を受信する2台のGNSS受信アンテナと、受信した電波を復調して作業機械1の車体の3次元位置と姿勢を算出する位置情報算出部とを備え、算出された3次元位置と姿勢データを処理装置234に出力する。
【0033】
[設定入力装置231]
設定入力装置231は、作業機械1の作業領域250の設定等に用いられる入力装置であり、設定入力装置231は、作業領域250を設定するための入力情報を処理装置234に出力する。
【0034】
[処理装置234]
処理装置234は、図示しないCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびフラッシュメモリ等からなる記憶部を備えるマイクロコンピュータ並びに図示しない周辺回路などから構成され、例えばROMに格納されるプログラムにしたがって作動する。
【0035】
図1に示すように、処理装置234には、設定入力取得部234aと、作業領域設定部234bと、データ通信処理部234cと、車体位置取得部234dと、通知処理部234eが実装されている。 図4は、処理装置234の処理フローを示す図である。
【0036】
処理装置234において、設定入力取得部234aは、設定入力装置231を用いてオペレータが入力した作業領域250を設定するための入力情報を取得する(図4のステップS701)。
【0037】
図5は作業機械1の作業領域250の一例を示す図である。図4は、設定入力装置231のモニタ画面の一例を示す図である。
【0038】
図5において、作業領域250は、前述のように、作業機械1が動作する領域である。作業機械1は、設定された作業領域250内でのみ作業を行い、作業領域250は、作業の進捗に伴って変更される。設定入力装置231は、作業領域250の入力情報を取得したとき、入力した作業領域250を図6に示すように作業機械1のイラストと共にモニタ81に表示させる処理を行う。
【0039】
作業領域250の設定方法としては、例えば、作業機械1の運転者が、図6に示す設定入力装置231のモニタ81を確認しながら作業内容および作業の進捗に応じて設定入力装置231を操作することによって設定する方法が挙げられる。その他の設定方法としては、予め設定入力装置231を用いて作業工程ごとの作業領域250を設定し、作業進捗に応じて作業領域250を切り替える方法が挙げられる。
【0040】
車体位置取得部234dは、車体位置検出装置232が出力する作業機械1の車体の3次元位置と姿勢データを取得する(図4のステップS702)。
【0041】
作業領域設定部234bは、設定入力取得部234aおよび車体位置取得部234dから得られる作業領域250の入力情報と車体の3次元位置と姿勢データとから、作業現場の座標系における作業領域250の設定情報を算出し(図4のステップS703)、作業領域通知信号500を生成する。
【0042】
図7の(A)は、作業領域通知信号500を示す図である。作業領域通知信号500は、図7の(A)に示すように、送信先である現場管理装置を識別する現場管理装置IDと、作業機械情報処理装置230の搭載される送信元である作業機械1を識別する作業機械IDと、作業領域設定部234bで生成された作業領域250の設定情報とを含む信号である。
【0043】
データ通信処理部234cは、作業領域設定部234bが生成する作業領域通知信号500(第1通知信号)を現場管理装置220に送信するよう通信装置235に指令を出力する(図4のステップS704)。
【0044】
[通信装置235]
通信装置235は、作業現場内無線ネットワーク、携帯電話網等を用いて、現場管理装置220との通信を行う装置であり、処理装置234が生成した作業領域通知信号500を現場管理装置220に送信する。
【0045】
<現場管理装置220>
現場管理装置220は、前述したように処理装置221(第2処理装置)と、通信装置222(第2通信装置)とから構成され、作業現場内の管理事務所等に設置される。現場管理装置220は、現場内無線ネットワークや携帯電話網などを用いて、作業機械1の作業領域に侵入する作業員との接近を回避するために必要となる情報を監視装置210と作業機械情報処理装置230との間でやり取りする。
【0046】
以下に、図1図2図7図8図12を参照して、現場管理装置220の各部の詳細を説明する。
【0047】
[処理装置221]
処理装置221は、図示しないCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびフラッシュメモリ等からなる記憶部を備えるマイクロコンピュータ並びに図示しない周辺回路などから構成され、例えばROMに格納されるプログラムにしたがって作動する。
【0048】
処理装置221は、図1に示すように、データベース221aと、作業領域監視処理部221bと、データ通信処理部221cと、監視装置特定部221dとを備える。
【0049】
データベース221aは、作業現場に配置されている全ての監視装置210を特定するためのIDと、移動物体を検知可能な範囲を表す検知可能領域270(図2参照)と、監視装置210で検知した物体位置を作業現場座標系に変換するための座標変換パラメータを保持している。
【0050】
図8は、処理装置221の処理フローを示す図である。
【0051】
データ通信処理部221cは、通信装置222が受信した、作業機械情報処理装置230が出力した作業領域通知信号500を取得し(図8のステップS801)、監視装置特定部221dに監視領域通知信号510(第2通知信号)を送信する。
【0052】
監視装置特定部221dは、データ通信処理部221cより受け取った作業領域通知信号500に含まれる作業領域250が検知可能領域270の一部に含まれる監視装置210を特定する処理を行う。まず、データベース221aに保持されている全ての監視装置210の検知可能領域270を処理装置221のRAM上に取得する(図8のステップS802)。次に、RAM上に展開した全ての検知可能領域270に対して作業領域250と重なる検知可能領域270を有する監視装置210を特定する(図8のステップS803)。
【0053】
例えば図12に示すように3つの監視装置210a、210b、210cが作業現場に配置されており、作業機械1が作業領域250内で作業を行っているとする。このシーンに対して監視装置特定部221dで作業領域250と重なる検知可能領域270を有する監視装置210を特定すると、2つの監視装置210a、210bが特定される。
【0054】
作業領域監視処理部221bは、監視装置特定部221dで特定された監視装置210に対して作業領域250を監視領域260とするための監視領域通知信号510を生成するために、特定された監視装置210があるか否かを判定し(図8のステップS804)、特定された監視装置210がある場合、作業現場座標系で表される作業領域250を特定された監視装置210の座標系に変換する処理を行う。データベース221aから監視装置特定部221dで特定された全ての監視装置210の座標変換パラメータを取得し、監視領域通知信号510を生成する(図8のステップS805)。
【0055】
図7の(B)は、監視領域通知信号510を示す図である。図7の(B)に示すように、監視領域通知信号510は、作業機械IDと、監視装置210の座標系に変換した作業機械1の作業領域250の情報と、送信元である現場管理装置220のIDと、送信先である監視装置210のIDとを含む信号である。
【0056】
データ通信処理部221cは、作業領域監視処理部221bで生成された監視領域通知信号510を監視装置特定部221dで特定した監視装置210に対して通信装置222を用いて送信する処理を行う(図8のステップS806)。
【0057】
[通信装置222]
通信装置222は、作業現場内無線ネットワーク、携帯電話網等を用いて、監視装置210および作業機械情報処理装置230との通信を行う装置である。作業機械情報処理装置230からの作業領域通知信号500を受信して、処理装置221に出力する。また、処理装置221から出力される監視領域通知信号510を指定された監視装置210に送信する。
【0058】
<監視装置210>
監視装置210は、前述したように物体検出センサ211と、処理装置212(第3処理装置)と、通信装置213(第3通信装置)とを備える。
【0059】
以下に、図1図7図9図12及び図15を参照して、監視装置210の各部の詳細を説明する。
【0060】
[物体検出センサ211]
物体検出センサ211は、カメラやLiDARなどの外界センサを用いて検知範囲に存在する作業員などの移動物体の2次元もしくは3次元位置を検出する装置であり、検出した移動物体の位置情報を処理装置212に出力する。なお、特定の外界センサに限定するものではなく、超音波センサやミリ波レーダ、ステレオカメラなど移動物体の位置を検出できるものであれば何を使用してもよい。
【0061】
[処理装置212]
処理装置212は、図示しないCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびフラッシュメモリ等からなる記憶部を備えるマイクロコンピュータ並びに図示しない周辺回路などから構成され、例えばROMに格納されるプログラムにしたがって作動する。
【0062】
処理装置212は、図1に示すように物体検出部212aと、監視領域侵入判定部212bと、データ通信処理部212cと、監視領域設定部212dとを備える。
【0063】
図9は、処理装置212の処理フローを示す図である。
【0064】
データ通信処理部212cは、通信装置213が受信した、現場管理装置220から送信された監視領域通知信号510を取得し(図9のステップS901)、監視領域設定部212dに監視領域通知信号を送信する。例えば図12のシーンにおいては、監視装置210aと監視装置210bの2台の監視装置210に対して監視領域通知信号510が送信され、それぞれの監視装置210a,210bのデータ通信処理部212cが監視領域通知信号510を取得する。
【0065】
監視領域設定部212dは、データ通信処理部212cから送信された監視領域通知信号510に含まれる作業機械1の作業領域250を監視領域260として設定する(図9のステップS902)。図12のシーンにおいては、監視装置210aと監視装置210bがそれぞれ作業機械1の作業領域250を監視領域260として設定する。また、図15のシーンにおいては、監視装置210aには作業機械1aの作業領域250a、監視装置210bには作業機械1aの作業領域250aと作業機械1bの作業領域250b、監視装置210cには作業機械1bの作業領域250bを監視領域260として設定する。
【0066】
物体検出部212aは、物体検出センサ211で検出された移動物体の位置情報を取得する(図9のステップS903)。図12のシーンにおいては、監視装置210aは作業員100aと作業員100b、監視装置210bは作業員100bの位置情報を取得する。また、図15のシーンにおいては、監視装置210aは作業員100a、監視装置210bは作業員100b、監視装置210cは作業員100bと作業員100cの位置情報を取得する。
【0067】
監視領域侵入判定部212bは、物体検出部212aが取得した移動物体が監視領域設定部212dで設定された作業領域250(監視領域260)に侵入するか否かを判定する(図9のS905)。図12のシーンにおいては、監視装置210aおよび監視装置210bにおいて作業員100bが監視領域260に侵入していると判定する。また、図15のシーンにおいては、監視装置210bおよび監視装置210cにおいて作業員100bが作業領域250b(監視領域260)に侵入していると判定する。そして監視領域260内に移動物体が侵入し、監視領域60内に侵入した移動物体が存在する場合、監視領域侵入判定部212bは侵入検知通知信号520(第3通知信号)を生成する(図9のステップS906)。
【0068】
図7の(C)は、侵入検知通知信号520を示す図である。侵入検知通知信号520は、図7の(C)に示すように、送信先である作業機械IDと、送信元である監視装置IDと、侵入有を表す侵入検知フラグを含む信号である。
【0069】
監視領域260内に侵入した移動物体が存在しない場合は、監視領域侵入判定部212bは侵入検知通知信号520を生成しない。図12のシーンにおいては、監視領域260に侵入している移動物体が存在するため、監視装置210aおよび監視装置210bの両方とも侵入検知フラグを含む侵入検知通知信号520(第3通知信号)が生成される。また、図15のシーンにおいては、監視領域260に侵入している移動物体が存在するため、監視装置210bおよび監視装置210cの両方とも侵入検知フラグを含む侵入検知通知信号520(第3通知信号)が生成される。
【0070】
そして、データ通信処理部212cは、監視領域侵入判定部212bで生成された侵入検知通知信号520を、通信装置213を用いて作業機械1に送信する(図9のステップS907)。図12のシーンにおいては、監視装置210aおよび監視装置210bの両方とも侵入検知フラグを含む侵入検知通知信号を作業機械1に送信する。また、図15のシーンにおいては、監視装置210bおよび監視装置210cの両方とも侵入検知フラグを含む侵入検知通知信号を作業機械1bに送信する。
【0071】
[通信装置213]
通信装置213は、作業現場内無線ネットワーク、携帯電話網等を用いて、現場管理装置220および作業機械情報処理装置230との通信を行う装置である。現場管理装置220からの監視領域通知信号510を受信して、処理装置212に出力する。また、処理装置212から出力される侵入検知通知信号520を指定された作業機械の作業機械情報処理装置230に送信する。
【0072】
[作業機械情報処理装置230]
図10Aは、侵入検知通知信号520を作業機械情報処理装置230が受信したときの処理装置234の処理フローを示す図である。図11は、作業機械通知装置233のモニタ画面の一例を示す図である。
【0073】
監視装置210から出力された侵入検知通知信号520を作業機械情報処理装置230の通信装置235が受信した場合、処理装置234は、作業機械通知装置233を用いて作業機械1のオペレータに移動物体が作業領域に侵入した旨通知するために、図10Aに示すように、処理装置234に実装されるデータ通信処理部234cで侵入検知通知信号520を取得し(図10AのステップS1001)、作業機械通知装置233に警報指令を出力する(図10AのステップS1003)。警報指令を受け取った作業機械通知装置233は、音や光、振動などの手段を用いて移動物体が作業領域に侵入したことをオペレータに通知する。例えば図11に示すように、モニタ81の画面に作業員侵入の表示を出しても良い。通知手段は限定されるものではなく、どのような方法を用いても良い。
【0074】
なお、監視領域侵入判定部212bは、監視領域260内に侵入した移動物体が存在しない場合、侵入非検知フラグを含む侵入検知通知信号520を生成してもよい。図10Bは、その場合の処理装置234の通知処理部234eにおける処理フローを示す図である。通知処理部234eは侵入検知通信信号に含まれる侵入フラグが進入有を表すフラグかを確認し(図10BのステップS1002)、侵入有の場合に作業機械通知装置233に警報指令を出力する(図10BのステップS1003)。
【0075】
<効果>
以上で説明したように本実施形態によれば、作業員100および作業機械1が作業する作業現場において、現場管理装置220は、作業現場に設置された複数の監視装置210a,210b,210cのそれぞれの検知可能領域と作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250の設定情報に基づいて、作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250を検知可能な監視装置210を特定し、この特定された監視装置210は、作業機械情報処理装置230により設定された作業領域250の設定情報に基づいて監視領域260を設定し、検出した移動物体の位置情報に基づいて監視領域260内に移動物体が侵入しているか否かを監視する。このため図13および図14に示すように、作業領域250の位置が変化した場合、図13のシーンでは監視装置210aと監視装置210bが作業領域250を監視し、図14のシーンでは、監視装置210bと監視装置210cが作業領域250を監視することになる。このように作業領域250を変更したとき、作業領域250の位置および姿勢に応じて監視装置210の監視領域260および作業領域250を監視する監視領域260を自動的に変更することができるため、作業領域250の変更に伴う視認可能な標識手段の移動などの新たな作業が生じないことから、作業効率を低下することなく、作業領域250を変更することができる。
【0076】
また、監視装置210は、作業領域350内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果を作業機械情報処理装置230に送信するため、作業機械情報処理装置230は作業領域350内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果を利用することができる。
【0077】
更に、作業機械情報処理装置230は、監視結果が移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させるため、作業機械1のオペレータに通知することができるため、作業機械1に作業員が接近し過ぎることを未然に防止することができる。
【0078】
また、作業機械情報処理装置230は、作業領域250の位置および姿勢を含む設定情報を作業現場に設定された作業現場座標系に変換し、現場管理装置220は、作業領域250の位置および姿勢を含む設定情報を特定した監視装置210に設定したセンサ座標系に変換し、監視装置210は、センサ座標系に変換した作業領域の位置および姿勢を含む設定情報を用いて、作業領域250内に移動物体が侵入しているか否かを監視する。このように現場管理装置220において、作業領域250の設定情報を作業現場座標系からセンサ座標系に変換することにより、監視装置210の処理装置212での演算量を減らすことができ、監視装置210を安価なものとすることができる。
【0079】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。
【0080】
図16は、第2の実施形態の現場管理システム200Aの概略構成を示す図である。現場管理システム200Aは、主に、作業現場内に設置される監視装置210Aと、作業現場管理事務所等に設けられる現場管理装置220Aと、作業機械1に搭載される作業機械情報処理装置230Aとから構成される。
【0081】
監視装置210Aは、移動物体の位置情報を生成し、作業領域250内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と移動物体の位置情報を送信し、作業機械情報処理装置230Aは、監視装置210Aの監視結果が移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させ、かつ移動物体の位置情報に基づいて移動物体をモニタ81に表示させる。
【0082】
また、監視装置210Aは、作業領域内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と移動物体の位置情報を、現場管理装置220Aを介して作業機械情報処理装置230Aに送信し、現場管理装置220Aは、移動物体の位置情報を監視装置210Aに設定したセンサ座標系から作業現場に設定した作業現場座標系に変換し、作業機械情報処理装置230Aは移動物体の位置情報を作業現場座標系から作業機械1に設定された車体座標系に変換して用いる。
【0083】
以下に、監視装置210Aと現場管理装置220Aと作業機械情報処理装置230Aの変更部分の詳細を説明する。
【0084】
図17の(A)は本実施形態における監視装置210Aから現場管理装置220Aに送信される第1侵入検知通知信号を示す図であり、図17の(B)は、本実施形態における現場管理装置220Aから作業機械情報処理装置230Aに送信される第2侵入検知通知信号を示す図である。
【0085】
第1の実施形態では、監視装置210の監視領域侵入判定部212bで生成する侵入検知通知信号520には侵入検知フラグのみ含めたが、本実施形態では監視装置210Aは、図17の(A)に示すように、監視領域260に対応した作業機械IDと、侵入検知フラグと、検出した移動物体の位置情報(移動物体位置1,移動物体位置2,・・・)とを含めた第1侵入検知通知信号530を生成する。
【0086】
図18は、監視装置210Aの処理装置212Aの処理フローを示す図であり、図19は、現場管理装置220Aの処理装置221Aの処理フローを示す図である。
【0087】
監視装置210Aの処理装置212Aは、第1の実施形態と同様、データ通信処理部212cAにおいて、通信装置213が受信した、現場管理装置220から送信された監視領域通知信号510を取得し(図18のステップS1701)、監視領域設定部212dにおいて、データ通信処理部212cから送信された監視領域通知信号510に含まれる作業機械1の作業領域250を監視領域260として設定し(図18のステップS1702)、物体検出部212aにおいて、物体検出センサ211で検出された移動物体の位置情報を取得する(図18のステップS1703)。
【0088】
次いで、処理装置234Aは、監視領域侵入判定部212bAにおいて、図18のフローチャートに示すように、監視領域260内に移動物体が侵入したかの判定を行った後(図18のステップS1705)、侵入したと判定した場合、侵入検知フラグを侵入有とした第1侵入検知通知信号530を生成し(図18のステップS1706)、侵入していないと判定した場合、侵入検知フラグを侵入無しとした第1侵入検知通知信号530を生成する(図18のステップS1707)。そして、データ通信処理部212cは、監視領域侵入判定部212bAで生成された第1侵入検知通知信号530を、通信装置213を用いて現場管理装置220Aに送信する(図18のステップS1708)。
【0089】
次に現場管理装置220Aの処理装置221Aは、図19のフローチャートに示すように、監視装置210Aから送信された第1侵入検知通知信号530を受け取った後(図19のステップS1801)、作業領域監視処理部221bAにおいて、第1侵入検知通知信号530に含まれる移動物体の位置情報を作業現場座標系に座標変換するために、第1侵入検知通知信号530を送信した監視装置210Aの座標変換パラメータをデータベース221aから取得する(図19のステップS1802)。次に、座標変換パラメータに基づき作業現場座標系に位置情報を座標変換し、第1侵入検知通知信号530に含まれる侵入検知フラグと、座標変換した移動物体の位置情報とを含む第2侵入検知通知信号540を生成し(図19のステップS1803)、第2侵入検知通知信号540で指定された作業機械IDの作業機械に備わる作業機械情報処理装置230Aに第2侵入検知通知信号540を送信する(図19のステップS1804)。
【0090】
図20は、作業機械情報処理装置230Aの処理装置234Aの処理フローを示す図である。
【0091】
作業機械情報処理装置230Aの処理装置234Aは、図20のフローチャートに示すように、現場管理装置220Aから送信された第2侵入検知通知信号540を受け取った後(図20のステップS1901)、第2侵入検知通知信号540を座標変換処理部234fに送り、座標変換処理部234fは、車体位置取得部234dから得られる車体位置および姿勢を基に第2侵入検知通知信号540に含まれる移動物体の位置情報を車体座標系に座標変換する(図20のステップS1902)。合わせて座標変換した移動物体の位置情報を通知処理部234eに送り、作業機械1に搭載されたモニタ形式の作業機械通知装置233のモニタ81に移動物体を表示させる。そして、第2侵入検知通知信号540に含まれる侵入フラグが侵入有りか侵入無しか判定を行い(ステップS1903)、侵入有りの場合、作業機械通知装置233に警報指令を表示させる指令を通知処理部234eに出力し(図20のステップS1904)、侵入無しの場合は警報指令を表示させない指令を通知処理部234eに出力する(図20のステップS1905)。
【0092】
図21は、作業機械1に搭載されたモニタ形式の作業機械通知装置233を用いて、図12に示すシーンにおける作業員100aと作業員100bの位置を作業機械通知装置233のモニタ81の画面に表示する様子を示しており、作業員100bが作業領域250に侵入しているため警報も表示されている。
【0093】
このように監視装置210は移動物体の位置情報を生成し、作業領域250内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と移動物体の位置情報を送信し、作業機械情報処理装置230は、監視結果が移動物体の侵入有りであるとき警報を発生させ、かつ移動物体の位置情報に基づいて移動物体をモニタ81に表示させる。このため作業機械1のオペレータはこのモニタ81の画面を確認することで作業領域250に侵入した作業員の位置を確認することが可能となり、さらに作業領域250の周囲にいる作業員の位置も把握することが可能となる。
【0094】
また、監視装置210Aは、作業領域内に移動物体が侵入しているか否かの監視結果と移動物体の位置情報を、現場管理装置220Aを介して作業機械情報処理装置230Aに送信し、現場管理装置220Aは、移動物体の位置情報をセンサ座標系から作業現場座標系に変換し、作業機械情報処理装置230Aは移動物体の位置情報を作業現場座標系から車体座標系に変換して用いる。このように現場管理装置220において、移動物体の設定情報をセンサ座標系から作業現場座標系に変換することにより、監視装置210A及び作業機械情報処理装置230Aの処理装置212A,234Aの演算量を減らすことができ、作業機械情報処理装置230Aおよび監視装置210Aを安価なものとすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 作業機械
2 走行体
3 旋回体(車体)
4 運転室
5 操作レバー装置
6 作業フロント
210 監視装置
220 現場管理装置
230 作業機械情報処理装置
211 物体検出センサ
212 処理装置(第3処理装置)
213 通信装置(第3通信装置)
221 処理装置(第2処理装置)
222 通信装置(第2通信装置)
231 設定入力装置
232 車体位置検出装置
233 作業機械通知装置
234 処理装置(第1処理装置)
235 通信装置(第1通信装置)
212a 物体検出部
212b 監視領域侵入判定部
212c データ通信処理部
212d 監視領域設定部
221a データベース
221b 作業領域監視処理部
221c データ通信処理部
221d 監視装置特定部
234a 設定入力取得部
234b 作業領域設定部
234c データ通信処理部
234d 車体位置取得部
234e 通知処理部
234f 座標変換処理部
500 作業領域通知信号
510 監視領域通知信号
520 侵入検知通知信号
530 第1侵入検知通知信号
540 第2侵入検知通知信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21