(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 330
(21)【出願番号】P 2021548107
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038096
(87)【国際公開番号】W WO2021059468
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】郡司 遼佑
(72)【発明者】
【氏名】齋田 信介
(72)【発明者】
【氏名】市川 伸治
(72)【発明者】
【氏名】岡部 達
(72)【発明者】
【氏名】井上 彬
(72)【発明者】
【氏名】仲田 芳浩
(72)【発明者】
【氏名】神村 浩治
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-338013(JP,A)
【文献】国際公開第2017/213178(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/064409(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/061961(WO,A1)
【文献】特開2008-64961(JP,A)
【文献】特開2011-17821(JP,A)
【文献】特開2011-164329(JP,A)
【文献】特開2012-173621(JP,A)
【文献】特開2014-078026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0011602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
1/136-1/1368
G09F 9/00-9/46
G09G 3/00-3/08
3/12
3/16
3/19-3/26
3/30
3/34
3/38
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、
前記表示領域の周囲に配置された額縁領域とを備え、
前記額縁領域が、その端部に配置された端子部を有する表示装置であって、
前記表示領域と前記額縁領域とに配置された基板上に、第1配線、第1層間絶縁膜、第2配線、第2層間絶縁膜、及び、第3配線、がこの順番に設けられ、
前記表示領域に、
前記第1配線に含まれるとともに、第1方向に延伸する複数の制御線と、
前記第3配線に含まれるとともに、前記第1方向と直交する第2方向に延伸する複数のデータ信号線と、
前記制御線と前記データ信号線との交差点に対応するように備えられた複数の画素回路と、
前記画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子と、が設けられ、
前記額縁領域に、前記端子部に設けられた複数の端子と前記複数のデータ信号線とを電気的に接続する複数の引き回し配線が設けられ、
前記引き回し配線は、前記第2層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記データ信号線と電気的に接続し、
前記表示領域が、前記第1方向に沿った前記端子部側の二つの角に配置された一対の隅部と、前記一対の隅部の間に配置された中央部とを有し、
前記引き回し配線は、中央部引き回し配線と、前記中央部引き回し配線よりも長さが長い隅部引き回し配線と、を含み、
前記隅部引き回し配線は、前記複数のデータ信号線のうち、前記表示領域の前記隅部を通るデータ信号線と電気的に接続され、
前記中央部引き回し配線は、前記複数のデータ信号線のうち、前記表示領域の前記中央部を通るデータ信号線と電気的に接続され、
前記隅部引き回し配線に対応するコンタクトホールの数が、前記中央部引き回し配線に対応するコンタクトホールの数よりも多い表示装置。
【請求項2】
前記第1配線が前記引き回し配線を含み、
前記コンタクトホールが、前記第2層間絶縁膜及び前記第1層間絶縁膜に設けられる請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の引き回し配線のうち、前記第1配線に含まれる前記引き回し配線に隣接する引き回し配線は、前記第2配線に含まれる請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域の一方の隅部を通る前記データ信号線と電気的に接続する引き回し配線に対応する前記コンタクトホールと、前記表示領域の他方の隅部を通る前記データ信号線と電気的に接続する引き回し配線に対応する前記コンタクトホールとの間の第1距離が、前記端子部と前記表示領域との間の引き回し領域における前記一方の隅部側の引き回し配線と前記他方の隅部側の引き回し配線との間の第2距離よりも長い請求項1から3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域の前記隅部がアール形状を有する請求項1から4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記隅部引き回し配線に対応する前記コンタクトホールの数が複数であり、
前記複数のコンタクトホールの一部が、前記複数のコンタクトホールの残りの一部よりも前記端子部から遠い位置に配置された電蝕対応コンタクトホールであり、
前記複数のコンタクトホールの残りの一部が、前記電蝕対応コンタクトホールよりも前記端子部に近い位置に配置された接続確保コンタクトホールである請求項1から5の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
表示領域と、
前記表示領域の周囲に配置された額縁領域とを備え、
前記額縁領域が、その端部に配置された端子部を有する表示装置であって、
前記表示領域と前記額縁領域とに配置された基板上に、第1配線、第1層間絶縁膜、第2配線、第2層間絶縁膜、及び、第3配線、がこの順番に設けられ、
前記表示領域に、
前記第1配線に含まれるとともに、第1方向に延伸する複数の制御線と、
前記第1方向と直交する第2方向に延伸する複数のデータ信号線と、
前記制御線と前記データ信号線との交差点に対応するように備えられた複数の画素回路と、
前記画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子と、が設けられ、
前記額縁領域に、
前記制御線に制御信号を入力するための制御回路と、
前記複数の制御線と前記制御回路とを接続するための複数の引き回し配線とが設けられ、
前記第3配線は、前記複数の制御線と前記複数の引き回し配線とをそれぞれ接続する複数の接続配線を含み、
各制御線は、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜とに設けられた第1コンタクトホールを介して前記接続配線と電気的に接続し、
各引き回し配線は、前記第2層間絶縁膜に設けられた第2コンタクトホールを介して前記接続配線と電気的に接続し、
各引き回し配線に対応する前記第2コンタクトホールの数が各制御線に対応する前記第1コンタクトホールの数よりも大きい表示装置。
【請求項8】
前記表示領域がアール形状を有する隅部を含み、
前記制御線が前記隅部を通り、
前記制御回路が、前記表示領域の前記第1方向に平行な辺に沿って配置された第1ドライバと、前記第2方向に平行な辺に沿って配置された第2ドライバとを含み、
前記引き回し配線が前記制御線と前記第1ドライバとを接続する請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1配線が前記引き回し配線を含み、
前記第2コンタクトホールが、前記第2層間絶縁膜及び前記第1層間絶縁膜に設けられる請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の引き回し配線のうち、前記第1配線に含まれる前記引き回し配線に隣接する引き回し配線は、前記第2配線に含まれる請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御回路が走査制御回路であり、
前記制御線が走査制御線である請求項7から10の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御回路が発光制御回路であり、
前記制御線が発光制御線である請求項7から10の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2コンタクトホールの数が複数であり、
前記複数の第2コンタクトホールの一部が、前記複数の第2コンタクトホールの残りの一部よりも前記制御回路から遠い位置に配置された電蝕対応コンタクトホールであり、
前記複数の第2コンタクトホールの残りの一部が、前記電蝕対応コンタクトホールよりも前記制御回路に近い位置に配置された接続確保コンタクトホールである請求項7に記載の表示装置。
【請求項14】
前記電蝕対応コンタクトホールと前記接続確保コンタクトホールとの間の第3距離が、前記電蝕対応コンタクトホールが設けられた引き回し配線の幅の2倍以上である請求項6又は13の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記電蝕対応コンタクトホールと前記接続確保コンタクトホールとの間の前記引き回し配線の幅が、前記接続確保コンタクトホールが設けられた位置の前記引き回し配線の幅よりも狭い請求項6、請求項13、及び請求項14の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記引き回し配線が、前記電蝕対応コンタクトホールと前記接続確保コンタクトホールとの間の少なくとも二箇所で屈曲して延伸する請求項6、請求項13から請求項15の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記接続確保コンタクトホールの数が、前記電蝕対応コンタクトホールの数よりも多い請求項6、請求項13~請求項16の何れか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁基板上に、薄膜トランジスタのゲートを共通接続するゲートバスラインと、薄膜トランジスタのドレインを共通接続するドレインバスラインとが延在し、透明絶縁基板の縁部にゲートバスラインの端部に相対して外部端子が形成され、ドレインバスラインの端部に相対して外部端子が形成されている表示装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開平8-328033号(1996年12月13日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の表示装置では、絶縁基板上のゲートバスライン、ドレインバスラインに対して、製造工程でスピン洗浄により絶縁基板に洗浄液を流すと、長いゲートバスライン、ドレインバスラインの端部のコンタクトホールが電蝕を起こして電気的に断線するおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、製造工程でスピン洗浄により基板に洗浄液を流しても、基板上の配線が電気的に断線することを防止することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、表示領域と、前記表示領域の周囲に配置された額縁領域とを備え、前記額縁領域が、その端部に配置された端子部を有する表示装置であって、前記表示領域と前記額縁領域とに配置された基板上に、第1配線、第1層間絶縁膜、第2配線、第2層間絶縁膜、及び、第3配線、がこの順番に設けられ、前記表示領域に、第1方向に延伸する複数の制御線と、前記第1方向と直交する第2方向に延伸する複数のデータ信号線と、前記制御線と前記データ信号線との交差点に対応するように備えられた複数の画素回路と、前記画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子と、が設けられ、前記額縁領域に、前記端子部に設けられた複数の端子と前記複数のデータ信号線とを電気的に接続する複数の引き回し配線が設けられ、前記第3配線は前記データ信号線を含み、前記引き回し配線は、前記第2層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記データ信号線と電気的に接続し、前記表示領域が、前記第1方向に沿った前記端子部側の二つの角に配置された一対の隅部と、前記一対の隅部の間に配置された中央部とを有し、前記表示領域の前記隅部を通るデータ信号線と電気的に接続される引き回し配線の長さが、前記表示領域の前記中央部を通るデータ信号線と電気的に接続される引き回し配線の長さよりも長く、前記表示領域の前記隅部を通るデータ信号線と電気的に接続される引き回し配線に関連するコンタクトホールの数が、前記表示領域の前記中央部を通るデータ信号線と電気的に接続される引き回し配線に関連するコンタクトホールの数よりも多い。
【0007】
本発明に係る他の表示装置は、表示領域と、前記表示領域の周囲に配置された額縁領域とを備え、前記額縁領域が、その端部に配置された端子部を有する表示装置であって、前記表示領域と前記額縁領域とに配置された基板上に、第1配線、第1層間絶縁膜、第2配線、第2層間絶縁膜、及び、第3配線、がこの順番に設けられ、前記表示領域に、前記第1配線に含まれるとともに、第1方向に延伸する複数の制御線と、前記第1方向と直交する第2方向に延伸する複数のデータ信号線と、前記制御線と前記データ信号線との交差点に対応するように備えられた複数の画素回路と、前記画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子と、が設けられ、前記額縁領域に、前記制御線に制御信号を入力するための制御回路と、前記複数の制御線と前記制御回路とを接続するための複数の引き回し配線とが設けられ、前記第3配線は、前記複数の制御線と前記複数の引き回し配線とをそれぞれ接続する複数の接続配線を含み、各制御線は、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜とに設けられた第1コンタクトホールを介して前記接続配線と電気的に接続し、各引き回し配線は、前記第2層間絶縁膜に設けられた第2コンタクトホールを介して前記接続配線と電気的に接続し、各引き回し配線に対応する前記第2コンタクトホールの数が各制御線に対応する前記第1コンタクトホールの数よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様は、製造工程でスピン洗浄により基板に洗浄液を流しても、基板上の配線が電気的に断線することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示すフローチャートの一部の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る表示領域の中央部と隅部とを示す平面図である。
【
図7】実施形態1に係る額縁領域の構成を示す平面図である。
【
図11】実施形態1に係る額縁領域の構成を示す平面図である。
【
図12】実施形態1に係る額縁領域の構成の変形例を示す平面図である。
【
図13】実施形態1に係る額縁領域の構成を示す平面図である。
【
図14】実施形態1に係る額縁領域の構成を示す平面図である。
【
図15】上記額縁領域の引き回し配線の製造工程を説明するための平面図である。
【
図19】上記額縁領域の他の引き回し配線の製造工程を説明するための平面図である。
【
図23】上記額縁領域の電蝕対応コンタクトホール及び接続確保コンタクトホールの製造工程を説明するための平面図である。
【
図27】上記額縁領域のデータ信号線の製造工程を説明するための平面図である。
【
図31】実施形態2に係る表示領域の中央部と隅部とを示す平面図である。
【
図32】実施形態2に係る表示領域の隅部の構成を示す平面図である。
【
図33】実施形態2に係る表示領域の中央部の構成を示す平面図である。
【
図34】実施形態2に係る額縁領域の隅部の構成を示す平面図である。
【
図35】実施形態2に係る額縁領域の中央部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下においては、「同層」とは同一のプロセス(成膜工程)にて形成されていることを意味し、「下層」とは、比較対象の層よりも前のプロセスで形成されていることを意味し、「上層」とは比較対象の層よりも後のプロセスで形成されていることを意味する。
【0011】
[実施形態1]
図1は、表示装置2の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2は表示装置2の平面構成を示す模式図であり、
図3は表示領域DAの断面構成を示す模式図である。
【0012】
図1~
図3に示すように、フレキシブルな表示装置2を製造する場合、まず、透光性の支持基板(例えば、マザーガラス)上に可撓性基板12(樹脂基板)を形成する(ステップS1)。可撓性基板12は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲に配置された額縁領域NAとを有する。額縁領域NAは、その端部に配置された端子部TSと、端子部TS及び表示領域DAの間にY方向に延びるように配置された折り曲げ部ZSとを有する。
【0013】
次いで、バリア層3を形成する(ステップS2)。次いで、TFT層4を形成する(ステップS3)。次いで、トップエミッション型の発光素子層5を形成する(ステップS4)。表示領域DAの発光素子層5には、サブ画素SGの発光素子ESが形成される。次いで、封止層6を形成する(ステップS5)。次いで、封止層6上に上面フィルムを貼り付ける(ステップS6)。次いで、レーザ光の照射等によって支持基板を可撓性基板12から剥離する(ステップS7)。次いで、可撓性基板12の下面に下面フィルム10を貼り付ける(ステップS8)。次いで、下面フィルム10、可撓性基板12、バリア層3、TFT層4、発光素子層5、封止層6を含む積層体を分断し、複数の個片を得る(ステップS9)。次いで、得られた個片に機能フィルム39を貼り付ける(ステップS10)。次いで、額縁領域NAの端子部TS(端子TMbを含む)に、電子回路基板(ドライバチップ、フレキシブルプリント基板等)を実装する(ステップS11)。ステップS11の後に、表示装置2を額縁領域NAの折り曲げ部ZSで折り曲げることができる。
【0014】
ステップS1~S11は、表示装置製造装置(ステップS1~S5の各工程を行う成膜装置を含む)が行う。
【0015】
図4は、
図1のステップS3およびステップS4の詳細を示すフローチャートである。
図1~
図4に示すように、ステップS2の後に、半導体層15の成膜(ステップS3a)、フォトリソグラフィ(ステップS3A)、半導体層15のパターニング(ステップS3b)を行う。続いて、下層無機絶縁膜である無機絶縁膜16の成膜(ステップS3c)、第1下層金属層4ma(第1配線)の成膜(ステップS3d)、フォトリソグラフィ(ステップS3D)を行う。そして、第1下層金属層4maをパターニングして引き回し配線C1(
図6)を形成する(ステップS3e)。続いて、中層無機絶縁膜である無機絶縁膜18(第1層間絶縁膜)の成膜(ステップS3f)、第2下層金属層4mb(第2配線)の成膜(ステップS3g)、フォトリソグラフィ(ステップS3G)を行う。そして、第2下層金属層4mbをパターニングして引き回し配線C2(
図6)を形成する(ステップS3h)。
【0016】
続いて、上層無機絶縁膜である無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)の成膜(ステップS3i)、フォトリソグラフィ(ステップS3I)を行う。そして、無機絶縁膜16・18・19のパターニングを行い、電蝕対応コンタクトホールCH1(
図7)、接続確保コンタクトホールCH2(
図7)、及び、導通電極DEのためのコンタクトホールを形成する(ステップS3j)。次に、フォトリソグラフィ(ステップS3J)を行った後、折り曲げ部ZSのバリア層3、無機絶縁膜16・18・19を除去してスリットを形成する(ステップS3k)。
【0017】
続いて、充填層を塗布(ステップS3m)する。そして、
図2に示す折り曲げ部ZSのスリットにのみ充填層を残し、表示領域DAの画素内の充填層を除去して充填層のパターニング(ステップS3n)を行う。続いて、第1上層金属層4mc(第3配線)の成膜(ステップS3p)、フォトリソグラフィ(ステップS3P)を行う。そして、第1上層金属層4mcのパターニングを行い、データ信号線DL(
図6、
図7)を形成する(ステップS3q)。
【0018】
続いて、第1樹脂層20の塗布(ステップS3r)、フォトリソグラフィ(ステップS3R)、及び、第1樹脂層20のパターニング(ステップS3s)を行う。
【0019】
続いて、第2上層金属層4mdの成膜(ステップS3w)、フォトリソグラフィ(ステップS3W)、及び、第2上層金属層4mdのパターニングを行う(ステップS3x)。続いて、第2樹脂層21の塗布(ステップS3y)、フォトリソグラフィ(ステップS3Y)、及び、第2樹脂層21のパターニングを行う(ステップS3z)。
【0020】
続いて、アノード22を形成するための金属層の成膜(ステップS4a)、フォトリソグラフィ(ステップS4A)、アノード22のパターニング(ステップS4b)を行う。続いて、第3樹脂層23の塗布(ステップS4c)、フォトリソグラフィ(ステップS4C)、第3樹脂層23のパターニング(ステップS4d)、EL層24の蒸着(ステップS4e)、カソード25の形成(ステップS4f)を行う。その後、封止層6の形成(ステップS5)を行う。
【0021】
可撓性基板12の材料としては、例えばポリイミド等が挙げられる。可撓性基板12を、2層のポリイミド膜およびこれらに挟まれた無機絶縁膜で置き換えることもできる。
【0022】
バリア層3は、水、酸素、可動イオン等の異物がTFT層4および発光素子層5に侵入することを防ぐ層であり、例えば、CVD法により形成される、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、あるいは酸窒化シリコン膜、またはこれらの積層膜で構成することができる。
【0023】
半導体層15には、低温ポリシリコン(LTPS)あるいは酸化物半導体(例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体)を用いることができる。
【0024】
第1下層金属層4ma、第2下層金属層4mb、第1上層金属層4mc、および第2上層金属層4mdは、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、チタン、銅の少なくとも1つを含む単層金属膜あるいは複層金属膜によって構成される。特に、第1上層金属層4mcおよび第2上層金属層4mdについては、アルミニウム膜を2層のチタン膜で挟持して得られる、低抵抗金属層とすることができる。また、第2上層金属層4mdについてはアルミニウム膜とその上層のチタン膜の2層で形成することもできる。
【0025】
第1下層金属層4maと第2下層金属層4mbは同じ金属材料で形成されるのが好ましく、第1上層金属層4mcと第2上層金属層4mdは同じ金属材料で形成されるのが好ましい。
【0026】
無機絶縁膜16・18・19および保護層は、例えば、CVD法によって形成された、酸化シリコン(SiOx)膜あるいは窒化シリコン(SiNx)膜またはこれらの積層膜によって構成することができる。
【0027】
充填層、第1樹脂層20および第2樹脂層21は、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂等の塗布可能な有機材料によって構成することができる。
【0028】
トランジスタTrは、半導体層15と、第1下層金属層4maに含まれるゲート電極GEとを含む。
【0029】
表示領域DAには、m列目のデータ信号線DL(m)とn行目の走査制御線GL(n)との交差点に対応するように、
図5に示すサブ画素SG(m列n行に対応)の画素回路が設けられている。なお、ここで説明する画素回路の構成は一例であって、他の公知の構成を採用することもできる。
図5に示す画素回路は、1個の発光素子ESと、6個のトランジスタ(駆動トランジスタTa、書き込み制御トランジスタTb、電源供給制御トランジスタTc、発光制御トランジスタTd、閾値電圧補償トランジスタTe、初期化トランジスタTf)と、1個のコンデンサCpとを含んでいる。トランジスタTa~Tfは、pチャネル型のトランジスタである。コンデンサCpは、2つの電極からなる容量素子である。発光制御線EM(n)(制御線)は、電源供給制御トランジスタTcおよび発光制御トランジスタTdの制御端子に接続する。走査制御線GL(n)(制御線)は、書き込み制御トランジスタTbおよび閾値電圧補償トランジスタTeの制御端子に接続する。走査制御線GL(n-1)は初期化トランジスタTfの制御端子に接続する。初期化電源線PI(n)は、初期化トランジスタTfの一方の導通端子に接続される。データ信号線DL(m)は、書き込み制御トランジスタTbの一方の導通端子に接続される。高電源電圧ELVDDを供給する高電源電圧線PS(m)は電源供給制御トランジスタTcの一方の導通端子に接続する。発光素子ESのカソード25は複数の画素回路に共通する共通電極であり、低電源電圧ELVSSと電気的に接続する。
【0030】
図5の画素回路は一例であり、これに限定されない。nチャネル型のトランジスタを用いて画素回路を構成することもできる。
【0031】
表示領域DAにおいては、例えば、第1下層金属層4ma(第1配線)に、Y方向に延伸する走査制御線GL(n)、Y方向に延伸する発光制御線EM(n)、各トランジスタ(Ta~Tf)のゲート電極、およびゲート配線GH(
図3参照)が含まれ、第2下層金属層4mb(第2配線)に、Y方向に延伸する初期化電源線PI(n)、Y方向に延伸する高電圧電源線、コンデンサCpの一方電極CE(
図3参照)が含まれ、第1上層金属層4mc(第3配線)に、X方向に延伸するデータ信号線DL(m)、X方向に延伸する高電圧電源線、各トランジスタの導通電極DE(ソース/ドレイン電極)が含まれ、第2上層金属層4md(第4配線)にX方向及びY方向に延伸し、格子状に設けられる高電圧電源線PS(m)が含まれる。これらは例示に過ぎず、どの金属層にどの配線が含まれるかを限定するものではない。なお、第2上層金属層4md、第2樹脂層21は形成しなくてもよいが、第2上層金属層4mdで形成される高電源電圧線を設けることで、電源線の抵抗を下げ、IRドロップによる輝度の変化を抑えることができる。
【0032】
発光素子層5は、アノード22と、アノード22のエッジを覆う第3樹脂層(エッジカバー)23と、EL(エレクトロルミネッセンス)層24と、EL層24よりも上層のカソード25とを含む。第3樹脂層23には、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂等の塗布可能な有機材料を用いることができる。
【0033】
表示領域DAでは、サブ画素SGごとに表示素子が設けられる。表示素子は、島状のアノード22、EL層24、およびカソード25を含んで発光素子層5に形成される発光素子ES(例えば、OLED:有機発光ダイオード、QLED:量子ドット発光ダイオード)と、発光素子ESの制御回路(TFT層4に形成される)とで構成される。
【0034】
EL層24は、例えば、下層側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を積層することで構成される。発光層は、蒸着法あるいはインクジェット法によって、第3樹脂層(エッジカバー)23の開口に重なるように島状に形成される。他の層は、島状あるいはベタ状(共通層)に形成する。また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のうち1以上の層を形成しない構成も可能である。
【0035】
OLEDの発光層を蒸着形成する場合は、FMM(ファインメタルマスク)を用いる。FMMは多数の貫通孔を有するシート(例えば、インバー材製)であり、1つの貫通孔を通過した有機物質によって島状の発光層(1つのサブ画素に対応)が形成される。
【0036】
QLEDの発光層は、例えば、量子ドットを拡散させた溶媒をインクジェット塗布することで、島状の発光層(1つのサブ画素に対応)を形成することができる。
【0037】
アノード22は、例えばITO(Indium Tin Oxide)とAg(銀)あるいはAgを含む合金との積層によって構成され、光反射性を有する。カソード25は、MgAg合金(極薄膜)、ITO、IZO(Indium zinc Oxide)等の透光性の導電材で構成することができる。
【0038】
発光素子ESがOLEDである場合、アノード22およびカソード25間の駆動電流によって正孔と電子が発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが基底状態に遷移する過程で光が放出される。カソード25が透光性であり、アノード22が光反射性であるため、EL層24から放出された光は上方に向かい、トップエミッションとなる。
【0039】
発光素子ESがQLEDである場合、アノード22およびカソード25間の駆動電流によって正孔と電子が発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが、量子ドットの伝導帯準位(conduction band)から価電子帯準位(valence band)に遷移する過程で光(蛍光)が放出される。
【0040】
発光素子層5には、前記のOLED、QLED以外の発光素子(無機発光ダイオード等)を形成してもよい。
【0041】
封止層6は透光性であり、カソード25を覆う無機封止膜26と、無機封止膜26よりも上層の有機バッファ膜27と、有機バッファ膜27よりも上層の無機封止膜28とを含む。発光素子層5を覆う封止層6は、水、酸素、可動イオン等の異物の発光素子層5への浸透を防いでいる。
【0042】
無機封止膜26および無機封止膜28はそれぞれ無機絶縁膜であり、例えば、CVD法により形成される、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、あるいは酸窒化シリコン膜、またはこれらの積層膜で構成することができる。有機バッファ膜27は、平坦化効果のある透光性有機膜であり、アクリル樹脂等の塗布可能な有機材料によって構成することができる。有機バッファ膜27は例えばインクジェット塗布によって形成することができる。
【0043】
下面フィルム10は、支持基板を剥離した後に可撓性基板12の下面に貼り付けることで柔軟性に優れた表示装置を実現するための、例えばPETフィルムである。機能フィルム39は、例えば、光学補償機能、タッチセンサ機能、保護機能の少なくとも1つを有する。
【0044】
表示領域DAは、Y方向(第1方向)に沿った端子部TS側の二つの角に配置された一対の隅部SPと、この一対の隅部SPの間に配置された中央部CPとを有する。表示領域DAの隅部SPは、外側に突出するように湾曲したアール形状を有する。また、隅部SPに沿う額縁領域NAも同様に、アール形状を有する。
【0045】
図6は実施形態1に係る表示領域DAの中央部CPと隅部SPとを示す平面図である。
図7は実施形態1に係る隅部SPに沿う額縁領域NAの構成を示す平面図である。
図8は
図7に示す面AAに沿った断面図である。
図9は
図7に示す面BBに沿った断面図である。
図10は
図7に示す面CCに沿った断面図である。
図11は中央部CPに沿う額縁領域NAの構成を示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0046】
表示領域DAに、Y方向(第1方向)に延伸する複数の走査制御線GL(制御線)及び発光制御線EM(制御線)と、X方向(第2方向)に延伸する複数のデータ信号線DLと、走査制御線GL及び発光制御線EMとデータ信号線DLとの交差点に対応するように備えられた複数の画素回路(
図5)と、画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子ES(
図3)とが設けられる。
【0047】
額縁領域NAに、端子部TSに設けられた複数の端子TMb(
図2)と複数のデータ信号線DLとを電気的に接続する複数の引き回し配線C1・C2が設けられる。
図8、
図9に示すように、引き回し配線C1は第1下層金属層4ma(第1配線、
図3)に含まれ、引き回し配線C2は第2下層金属層4mb(第2配線、
図3)に含まれる。
【0048】
表示領域DAの隅部SPを通るデータ信号線DLと電気的に接続される引き回し配線C1・C2(隅部引き回し配線)に対応するコンタクトホールの数は複数(少なくとも2つ以上)ある。そして、複数のコンタクトホールの一部は、複数のコンタクトホールの他の一部よりも端子部TSから遠い位置に配置された電蝕対応コンタクトホールCH1である。複数のコンタクトホールの他の一部は、電蝕対応コンタクトホールCH1よりも端子部TSに近い位置に配置された接続確保コンタクトホールCH2である。
【0049】
図8に示すように、隅部SPに対応する引き回し配線C1は、無機絶縁膜18(第1層間絶縁膜)及び無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)に設けられた電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を介してデータ信号線DLと電気的に接続する。
図9に示すように、隅部SPに対応する引き回し配線C2は、無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)に設けられた電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を介してデータ信号線DLと電気的に接続する。また、同様に、中央部CPに対応する引き回し配線C1(中央部引き回し配線)は、無機絶縁膜18(第1層間絶縁膜)及び無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)に設けられた接続確保コンタクトホールCH2を介してデータ信号線DLと電気的に接続する。中央部CPに対応する引き回し配線C2(中央部引き回し配線)は、無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)に設けられた接続確保コンタクトホールCH2を介してデータ信号線DLと電気的に接続する。
【0050】
表示領域DAの隅部SPを通るデータ信号線DLと電気的に接続される引き回し配線C1・C2の長さは、表示領域DAの中央部CPを通るデータ信号線DLと電気的に接続される引き回し配線C1・C2の長さよりも長い。ここで、引き回し配線C1・C2の長さとは、それぞれ同じ金属層のままで延伸する長さをいう。例えば、引き回し配線C1の場合は、第1下層金属層4ma(第1配線)の金属層のまま延伸する長さであり、
図7や
図11に示す表示領域DA側の端(端において、例えば、別の金属層である第1上層金属層4mc(第3配線)に繋ぎ変えられる)から、端子部TS側の端(端において、例えば、別の金属層である第1上層金属層4mc(第3配線)に繋ぎ変えられる)までの長さをいう。
【0051】
このように、隅部SPに対応する引き回し配線C1・C2は、
図6に示すように、中央部CPに対応する引き回し配線C1・C2よりも長い。これは、隅部SPがアール形状を有する場合により強調される。隅部SPがアール形状を有さない場合でも、引き回し領域RAのY方向に沿った幅が、表示領域DAのY方向に沿った幅よりも狭いことによって、隅部SPに対応する引き回し配線C1・C2は、中央部CPに対応する引き回し配線C1・C2よりも長くなる。
【0052】
表示領域DAの隅部SPを通るデータ信号線DLと電気的に接続される引き回し配線C1・C2に関連するコンタクトホール(電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2とを含む)の数が、表示領域DAの中央部CPを通るデータ信号線DLと電気的に接続される引き回し配線C1・C2に関連するコンタクトホール(接続確保コンタクトホールCH2)の数よりも多い。例えば、
図7において、隅部SPに対応するコンタクトホールの数は3つ(電蝕対応コンタクトホールCH1が1つ、接続確保コンタクトホールCH2が2つ)であり、
図11において、中央部CPに対応するコンタクトホールは1つ(接続確保コンタクトホールCH2が1つ)である。コンタクトホールの数は上記に限定されない。少なくとも、隅部SPに対応する引き回し配線C1・C2に関連するコンタクトホールの数が、中央部CPに対応する引き回し配線C1・C2に関連するコンタクトホールの数よりも多ければよい。中央部CPに対応するコンタクトホールが1つであれば、隅部SPに対応するコンタクトホールの数は少なくとも2つ以上あればよく、例えば、隅部SPに対応するコンタクトホールの数は、電蝕対応コンタクトホールCH1が1つ、接続確保コンタクトホールCH2が1つの合計2つであってもよい。また、中央部CPに対応するコンタクトホールつまり、接続確保コンタクトホールCH2が2つであってもよい。その場合、隅部SPに対応するコンタクトホールの数は少なくとも3つ以上である。また、
図7に示すように、接続確保コンタクトホールCH2の数は、電蝕対応コンタクトホールCH1の数よりも多い方が好ましい。
【0053】
電蝕対応コンタクトホールCH1は、引き回し配線C1・C2の端子部TSと反対側の先端で生じる電蝕に対して避雷針的に作用するコンタクトホールである。接続確保コンタクトホールCH2は、引き回し配線C1・C2の先端で電蝕が生じた場合に、データ信号線DLと引き回し配線C1・C2との間の電気的接続を確保するコンタクトホールである。
【0054】
複数の表示パネルパターンをガラスや有機フィルムからなる1枚の絶縁性母基板上に作製する製造工程において、この絶縁性母基板を回転させて洗浄液等の液体を流すスピン洗浄工程では、絶縁性母基板の外周側が帯電して電蝕が発生しやすい。絶縁性母基板の外周側に配置された表示パネルパターンの特に長い配線パターンで帯電が生じやすい。また、表示パネルパターンの回路形成が完了していない途中工程では、電気的に浮いた配線パターンにおいて帯電した電荷が抜けにくいため帯電が生じやすい。
【0055】
端子部TSから引き回す複数の引き回し配線C1及び複数の引き回し配線C2のうち隅部SPに対応する外側の引き回し配線C1・C2のコンタクトホールが電蝕を起こし易い。
【0056】
実際には、端子部TSから表示領域DAまで引き回したゲート配線GHに対応する引き回し配線C1・C2と、データ信号線DLとの間の接続部において、引き回し配線C1・C2の端子部TSと反対側の先端のコンタクトホールが電蝕で断線するという問題がある。
【0057】
実施形態1では、データ信号線DLと引き回し配線C1・C2との間の接続部に、引き回し配線C1・C2の先端の電蝕対応コンタクトホールCH1とは別に、接続確保コンタクトホールCH2が設けられる。これにより、引き回し配線C1・C2の先端のコンタクトホール(つまり、電蝕対応コンタクトホールCH1)で電蝕による断線が生じても、接続確保コンタクトホールCH2によりデータ信号線DLと引き回し配線C1・C2との間の電気的な接続が確保され電気的な不良(コンタクト不良)の発生が防止される。
【0058】
電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の第3距離D3は、電蝕対応コンタクトホールCH1が設けられた引き回し配線C1・C2の幅W1の2倍以上であることが好ましく、さらには5倍以上であることが好ましい。また、第3距離D3は、複数の接続確保コンタクトホールCH2の間の距離D4よりも長いことが好ましい。電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2とは、互いにより離れて配置される方が、より大きな効果が得られ、電蝕対応コンタクトホールCH1に生じた電蝕が接続確保コンタクトホールCH2に及ぶ事を防ぐことができる。
【0059】
図7に示すように、電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の引き回し配線C1・C2の幅W2が、接続確保コンタクトホールCH2が設けられた位置の引き回し配線C1・C2の幅W1よりも狭い。このようにすることで、電蝕対応コンタクトホールCH1に電蝕が起きても、幅W2に対応する引き回し配線C1・C2を切ることにより、この電蝕が接続確保コンタクトホールCH2に及ぶ事を防ぐことができる。但し、電蝕対応コンタクトホールCH1が設けられていれば、幅W1と幅W2は同程度であってもよく、同程度であっても断線に効果がある。
【0060】
図12は額縁領域NAの構成の変形例を示す平面図である。隅部SP、中央部CPに沿う額縁領域NAの引き回し配線C1・C2は、電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の少なくとも二箇所の屈曲点KP1・KP2で屈曲して延伸してもよい。このようにすることで、電蝕対応コンタクトホールCH1で電蝕が起きても、屈曲点KP1又はKP2において引き回し配線C1又はC2を切断するようにすることで、電蝕が接続確保コンタクトホールCH2に及ぶのを防ぐことができる。
【0061】
また、スピン洗浄工程の回数分の個数の電蝕対応コンタクトホールCH1を設けてもよい。これにより、スピン洗浄工程の度に電蝕が発生してもスピン洗浄工程の回数分の個数の電蝕対応コンタクトホールCH1により対応することができ、接続確保コンタクトホールCH2により電気的接続が確保される。
【0062】
電蝕は、コンタクトホールを形成した後に起こり、電蝕が起こると下地の第1下層金属層4ma、第2下層金属層4mbが無くなる。このため、単にデータ信号線DLと引き回し配線C1・C2とが重畳する接続部を延長するだけでなく、電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を設けることによりコンタクトホールの設置数を増やしている。
【0063】
電蝕対応コンタクトホールCH1の寸法と接続確保コンタクトホールCH2の寸法とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
図7等で前述した例では、第1下層金属層4maに対応する引き回し配線C1と、第2下層金属層4mbに対応する引き回し配線C2とを設けた例を示したが、
図13及び
図14に示すように、第1下層金属層4maに対応する引き回し配線C1のみを設けてもよい。
【0065】
図6に示すように、表示領域DAの一方の隅部SPを通るデータ信号線DLと電気的に接続する引き回し配線C1に対応するコンタクトホールと、表示領域DAの他方の隅部SPを通るデータ信号線DLと電気的に接続する引き回し配線C1に対応するコンタクトホールとの間の第1距離D1は、端子部TSと表示領域DAとの間の引き回し領域RAにおける一方の隅部SP側の引き回し配線C1と他方の隅部SP側の引き回し配線C1との間の第2距離D2よりも長い。上記は、引き回し配線C2にも当てはまる。
【0066】
図15は額縁領域NAの引き回し配線C1の製造工程を説明するための平面図である。
図16は
図15に示す面AAに沿った断面図である。
図17は
図15に示す面BBに沿った断面図である。
図18は
図15に示す面CCに沿った断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0067】
図4で前述したステップS3eにおいて、第1下層金属層4ma(
図3)をパターニングして引き回し配線C1を
図15~
図18に示すように無機絶縁膜16上に形成する。
【0068】
図19は額縁領域NAの引き回し配線C2の製造工程を説明するための平面図である。
図20は
図19に示す面AAに沿った断面図である。
図21は
図19に示す面BBに沿った断面図である。
図22は
図19に示す面CCに沿った断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0069】
図4で前述したステップS3hにおいて、第2下層金属層4mb(
図3)をパターニングして引き回し配線C2を
図19~
図22に示すように無機絶縁膜18上に形成する。
【0070】
図23は額縁領域NAの電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2の製造工程を説明するための平面図である。
図24は
図23に示す面AAに沿った断面図である。
図25は
図23に示す面BBに沿った断面図である。
図26は
図23に示す面CCに沿った断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0071】
図4で前述したステップS3jにおいて、引き回し配線C1に対応する電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を、
図23、
図24、及び
図26に示すように、無機絶縁膜18・19を通って引き回し配線C1に到達するように形成する。そして、引き回し配線C2に対応する電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を、
図23、
図25、及び
図26に示すように、無機絶縁膜19を通って引き回し配線C2に到達するように形成する。
【0072】
図27は額縁領域NAのデータ信号線DLの製造工程を説明するための平面図である。
図28は
図27に示す面AAに沿った断面図である。
図29は
図27に示す面BBに沿った断面図である。
図30は
図27に示す面CCに沿った断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0073】
図4で前述したステップS3qにおいて、引き回し配線C1に対応するデータ信号線DLを、
図27、
図28、及び
図30に示すように、電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を通って引き回し配線C1に到達するように無機絶縁膜19上に形成する。そして、引き回し配線C2に対応するデータ信号線DLを、
図27、
図29、及び
図30に示すように、電蝕対応コンタクトホールCH1及び接続確保コンタクトホールCH2を通って引き回し配線C2に到達するように無機絶縁膜19上に形成する。
【0074】
[実施形態2]
図31は実施形態2に係る表示領域DAの中央部CP1と隅部SP1とを示す平面図である。
図32は表示領域DAの隅部SP1の構成を示す平面図である。
図33は表示領域DAの中央部CP1の構成を示す平面図である。
図34は額縁領域NAの隅部SP1の構成を示す平面図である。
図35は額縁領域NAの中央部CP1の構成を示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0075】
実施形態2に係る表示装置は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲に配置された額縁領域NAとを備える。額縁領域NAは、表示装置の端部に配置された端子部TSを有する。表示領域DAと額縁領域NAとに配置された可撓性基板12上に、前述した
図3に示すように、第1下層金属層4ma(第1配線)、無機絶縁膜18(第1層間絶縁膜)、第2下層金属層4mb(第2配線)、無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)、及び、第1上層金属層4mc(第3配線)、がこの順番に設けられる。
【0076】
表示領域DAに、第1下層金属層4maに含まれるとともに、Y方向に延伸する複数の発光制御線EM(制御線)及び走査制御線GL(制御線)と、X方向に延伸する複数のデータ信号線DLと、発光制御線EM及び走査制御線GLとデータ信号線DLとの交差点に対応するように備えられた複数の画素回路と、画素回路に対応するように備えられた複数の発光素子層5と、が設けられている。
【0077】
額縁領域NAに、発光制御線EMに発光制御信号を入力するための発光制御回路31a(第1ドライバ、制御回路)・31b(第2ドライバ、制御回路)及び走査制御線GLに走査制御信号を入力するための走査制御回路32(第2ドライバ、制御回路)と、複数の発光制御線EMと発光制御回路31aとを接続するための複数の引き回し配線C3・C4とが設けられる。
【0078】
発光制御線EM及び走査制御線GLは第1下層金属層4ma(第1配線)に含まれる。
【0079】
第1上層金属層4mc(第3配線)は、複数の発光制御線EMと複数の引き回し配線C3・C4とをそれぞれ接続する複数の接続配線C5を含む。
【0080】
図34において、引き回し配線C3は、第1下層金属層4ma(第1配線)に含まれ、引き回し配線C4は、第2下層金属層4mb(第2配線)に含まれ、第1下層金属層4maの引き回し配線C3と第2下層金属層4mbの引き回し配線C4とを交互に引き回す例を示す。しかしながら本発明はこれに限定されず、引き回し配線C3・C4ともに、第2下層金属層4mb(第2配線)に含まれていてもよい。
【0081】
各発光制御線EMは、無機絶縁膜18(第1層間絶縁膜)、無機絶縁膜19(第2層間絶縁膜)に設けられた1個以上のコンタクトホールCH3(第1コンタクトホール)を介して対応する接続配線C5と電気的に接続する。
【0082】
各引き回し配線C3・C4は、無機絶縁膜19に設けられた1個以上の電蝕対応コンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)、接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)を介して対応する接続配線C5と電気的に接続する。但し、引き回し配線C4が第1下層金属層4ma(第1配線)に含まれる場合は、無機絶縁膜18にも電蝕対応コンタクトホールCH1が設けられる。
【0083】
各引き回し配線C3・C4に対応する電蝕対応コンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)の数と、接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)の数との和は、各発光制御線EMに対応するコンタクトホールCH3(第1コンタクトホール)の数以上である。
【0084】
例えば、
図34において、各引き回し配線C3・C4に対応する電蝕対応コンタクトホールCH1の数は1つであり、接続確保コンタクトホールCH2の数は2つである。そして、各発光制御線EMに対応するコンタクトホールCH3の数は1つである。従って、請求項に記載の第2コンタクトホールの数(電蝕対応コンタクトホールCH1の数と接続確保コンタクトホールCH2の数との和(3つ))が、請求項に記載の第1コンタクトホール(コンタクトホールCH3)の数(1つ)よりも多くなっている例を示している。
【0085】
コンタクトホールの数は上記に限定されない。少なくとも、電蝕対応コンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)の数と接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)の数との和がコンタクトホールCH3(第1コンタクトホール)の数以上であればよい。例えば、コンタクトホールCH3(第1コンタクトホール)の数が1つであれば、電蝕対応コンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)と接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)との何れかが1つ以上あればよい。また、コンタクトホールCH3(第1コンタクトホール)の数が零であれば、電蝕対応コンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)と接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)との何れかが1つ以上あればよい。
【0086】
中央部CP1においては、発光制御線EMは隅部SP1のように発光制御回路31aへとC3・C4により引き回す必要がなく発光制御回路31bと直接接続する。このため、中央部CP1を示す
図35では、発光制御線EMが接続配線C5と接続するための接続確保コンタクトホールCH2(第2コンタクトホール)のみが示されている。
【0087】
表示領域DAの隅部SP1はアール形状を含む。複数の発光制御線EMの一部は、隅部SP1を通る。
【0088】
制御回路は、表示領域DAのY方向に平行な辺に沿って配置された発光制御回路31a(第1ドライバ)と、X方向に平行な辺に沿って配置された発光制御回路31b(第2ドライバ)及び走査制御回路32(第2ドライバ)とを含む。引き回し配線C3・C4は発光制御線EMと発光制御回路31a(第1ドライバ)とを接続するために設けられる。ここで、第1ドライバとは、Y方向に平行な辺に沿って配置される制御回路を意味し、第2ドライバとは、X方向に平行な辺に沿って配置される制御回路を意味する。上記では、第1ドライバが発光制御回路31aである例を示したが、第1ドライバが走査制御回路32aであってもよい。つまり、表示領域DAのY方向に平行な辺に沿って配置された走査制御回路32a(第1ドライバ)と、X方向に平行な辺に沿って配置された走査制御回路3sb(第2ドライバ)及び発光制御回路32(第2ドライバ)とを含んでいてもよく、その変形例では、引き回し配線C3・C4は走査制御線GLと走査制御回路32a(第1ドライバ)とを接続するために設けられる。
【0089】
電蝕対応コンタクトホールCH1は、接続確保コンタクトホールCH2よりも発光制御回路31aから遠い位置に配置されている。
【0090】
電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の第3距離D3は、電蝕対応コンタクトホールCH1が設けられた引き回し配線C3・C4の幅W1の2倍以上であることが好ましい。また、第3距離D3は、複数の接続確保コンタクトホールCH2の間の距離D4よりも長いことが好ましい。電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2とは、互いにより離れて配置される方が、より大きな効果が得られ、電蝕対応コンタクトホールCH1に生じた電蝕が接続確保コンタクトホールCH2に及ぶ事を防ぐことができる。
【0091】
電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の引き回し配線C3・C4の幅W2は、接続確保コンタクトホールCH2が設けられた位置の引き回し配線C3・C4の幅W1よりも狭い。
【0092】
引き回し配線C3・C4は、実施形態1で前述した引き回し配線C1・C2と同様に、電蝕対応コンタクトホールCH1と接続確保コンタクトホールCH2との間の少なくとも二箇所で屈曲して延伸することが好ましい。
【0093】
接続確保コンタクトホールCH2の数は、電蝕対応コンタクトホールCH1の数よりも多いことが好ましい。
【0094】
図31に示すように、表示領域DAの端子部TSと反対側の隅部SP1でアール形状を形成したときに、アール形状の隅部SP1における非表示部である額縁領域NAの幅を狭くするために、発光制御回路を、隅部SP1の近傍に配置せず、表示領域DAのY方向に延伸する辺に沿って発光制御回路31aとして配置する。この場合、発光制御線EMを発光制御回路31aに接続するために第1下層金属層4ma又は第2下層金属層4mbを引き回した長い引き回し配線C3・C4が電蝕を起こし易い。
【0095】
実施形態2では、引き回し配線C3・C4の発光制御回路31aと反対側の先端に対応する位置に電蝕対応コンタクトホールCH1を設け、電蝕対応コンタクトホールCH1から発光制御回路31a側に離れた位置に接続確保コンタクトホールCH2を設けたので、電蝕対応コンタクトホールCH1が電蝕を起こした場合でも、接続確保コンタクトホールCH2の存在により、発光制御線EMと引き回し配線C3・C4との間の電気的接続を確保することができる。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0097】
2 表示装置
4 薄膜トランジスタ層
4ma 第1下層金属層(第1配線)
4mb 第2下層金属層(第2配線)
4mc 第1上層金属層(第3配線)
4md 第2上層金属層(第4配線)
5 発光素子層
12 可撓性基板(基板)
15 半導体層
18 無機絶縁膜(第1層間絶縁膜)
19 無機絶縁膜(第2層間絶縁膜)
31a 発光制御回路(第1ドライバ、制御回路)
31b 発光制御回路(第2ドライバ、制御回路)
32 走査制御回路(第2ドライバ、制御回路)
C1、C2 引き回し配線(中央部引き回し配線、隅部引き回し配線)
C3、C4 引き回し配線
C5 接続配線
CH1 電蝕対応コンタクトホール(コンタクトホール、第2コンタクトホール)
CH2 接続確保コンタクトホール(コンタクトホール、第2コンタクトホール)
CH3 コンタクトホール(第1コンタクトホール)
CP 中央部
SP 隅部
SP1 隅部
GL(n) 走査制御線(制御線)
EM(n) 発光制御線(制御線)
DL(m) データ信号線
TMb 端子
TS 端子部
DA 表示領域
NA 額縁領域
RA 引き回し領域
D1 第1距離
D2 第2距離
D3 第3距離