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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】頭皮用外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/10 20170101AFI20230519BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230519BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61M 35/00 20060101ALN20230519BHJP
   A45D 34/04 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
A61K47/10
A61K9/08
A61K31/573
A61K31/045
A61K31/135
A61K8/34
A61K8/63
A61K8/41
A61P17/14
A61Q7/00
A61M35/00 Z
A45D34/04 530
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021210974
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2020147497の分割
【原出願日】2016-03-25
(65)【公開番号】P2022042517
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(72)【発明者】
【氏名】太田 経子
(72)【発明者】
【氏名】丸川 純子
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】メディクイックH添付文書,2011年
【文献】液体ムヒS2a添付文書,2017年
【文献】虫刺され|よくあるご質問|池田模範堂,http://webarchive.org/web/20160324074744/http://www.ikedamohando.co.jp/qa/qa_insect_bite.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 33/00-33/44
A61K 47/00-47/48
A61P 1/00-43/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 34/00
A65D 47/00
A65D 83/00
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低級アルコールと、
ステロイド、モノテルペン、及び抗ヒスタミン成分からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記低級アルコールの含有量が、外用組成物全量を基準として5~70w/w%であり、
軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器(但し、薬液を毛髪や頭皮に塗布する塗布部と、前記塗布部に供給する薬液を貯留する薬液貯蔵部を有する薬液塗布用具であり、前記塗布部は、前記薬液貯蔵部に連通し薬液を吐出させる吐出通路と、押し上げにより移動して前記吐出通路を開き薬液を吐出させる導き機能を有する中棒部材と、前記中棒部材を前記吐出通路を閉じ方向に付勢し、押し上げ力に対して負荷を与える付勢手段と、を有し、前記中棒部材は、押し上げにより移動して前記吐出通路を開き薬液を吐出させ、押し上げによる前記中棒部材の移動に応じて薬液の吐出量を変化させることを特徴とする薬液塗布用具を除く。)に収容されてなる頭皮用外用組成物(但し、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びデキサメタゾン酢酸エステルを含有する外用組成物を除く。)。
【請求項2】
発毛部位に対して用いられる、請求項1に記載の頭皮用外用組成物。
【請求項3】
頭皮における湿疹、皮膚炎、抜け毛、薄毛、フケ、痒み、乾燥及びバリア機能低下からなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用である、請求項1又は2に記載の頭皮用外用組成物。
【請求項4】
前記低級アルコールが、エタノールである、請求項1~のいずれか一項に記載の頭皮用外用組成物。
【請求項5】
可溶化系の組成物である、請求項1~のいずれか一項に記載の頭皮用外用組成物。
【請求項6】
増粘剤を更に含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の頭皮用外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮用外用組成物に関する。より具体的には、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器に収容されてなる頭皮用外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトを始めとする哺乳動物の皮膚は、表皮、真皮及び皮下組織から構成され、そこに毛包、汗腺及び脂腺等の皮膚付属器官が存在する構造をしている。
【0003】
ヒトの皮膚には多数の毛包が存在するが、部位によって毛包の密度及び深さは大きく異なる(非特許文献1)。ヒトの皮膚の大部分を占める腹部、腕及び下腿大腿の毛包は、毛包密度が60~80個/cmと低く、深度は浅い傾向があることが知られている。一方、ヒトの頭皮の毛包は、毛包密度が350~500個/cmと非常に高くて深度が深い。また、腹部等の毛包は表面に対してやや大きく傾斜した構造をしているのに対して、頭皮の毛包は、皮膚の表面から下に向かって比較的まっすぐ長い構造をしていることが知られている。
【0004】
経皮的に薬物等の有効成分を投与・適用する場合、皮膚を介した有効成分の透過経路としては、表皮の角層を透過するルートと、毛包等の皮膚付属器官を介したルートが知られている。角層は皮膚表面積の大部分を占めるため適用部位は広いが、大きな成分は透過しにくいなどの問題がある。一方で、毛包等の皮膚付属器官は皮膚表面積に占める割合自体は低いものの、角層ルートよりも透過抵抗が低い場合が多いというメリットがある。
【0005】
頭皮に適用される外用組成物として、頭皮で痒み等の症状を引き起こす頭皮湿疹の治療剤及び改善剤、養毛剤並びに育毛剤等がある。頭皮湿疹は、その原因の一つとして、頭皮の毛包等におけるマラセチア属真菌(Malassezia)の過剰増殖が指摘されている。育毛剤及び養毛剤は、毛包深部に存在する毛母細胞、並びにその下を通る真皮及び皮下組織の毛細血管の血流まで充分な量の有効成分を送達させることが望まれる製剤である。また、頭皮の乾燥及びバリア機能低下は頭皮環境を悪化させ、フケ及び痒み、並びに薄毛等の原因となるため、早期に予防又は改善することが望まれる状態である。このような外用組成物はいずれも、頭皮そしてその毛包深部まで有効成分を送達させることが有益であると期待される。
【0006】
しかしながら、頭皮に外用組成物を適用する場合、毛髪が邪魔をして、充分な量の外用組成物を頭皮そしてその毛包深部まで送達し難くなることが懸念される。そこで毛髪を避けて外用組成物を頭皮に適用するために、噴霧状に外用組成物を吐出するスプレータイプの容器を採用すること、及び開口部を押し当てた部位にピンポイントで外用組成物を吐出するタイプの容器(いわゆる液体用細口容器。図4参照)を採用することが主流となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】機能を中心とした図説組織学 第4版、山田英智等訳、医学書院、2001年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、頭皮そしてその毛包深部への送達効率が向上した頭皮用外用組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、低級アルコールを含有する外用組成物を収容する容器として、軟質多孔性材料で形成された塗布部を押し当てて、又は押し当てながら塗り広げて外用組成物を面状に吐出するタイプの容器を採用することで、意外にも頭皮の毛包深部への当該外用組成物の送達効率が向上することを見出した。本発明はこの新規な知見に基づく。
【0010】
本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]低級アルコールを含有し、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器に収容されてなる頭皮用外用組成物。
[2]発毛部位に対して用いられる、[1]に記載の頭皮用外用組成物。
[3]上記低級アルコールの含有量が、外用組成物全量を基準として5~70w/w%である、[1]又は[2]に記載の頭皮用外用組成物。
[4]頭皮における湿疹、皮膚炎、抜け毛、薄毛、フケ、痒み、乾燥及びバリア機能低下からなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用である、[1]~[3]のいずれかに記載の頭皮用外用組成物。
[5]上記低級アルコールが、エタノールである、[1]~[4]のいずれかに記載の頭皮用外用組成物。
[6]可溶化系の組成物である、[1]~[5]のいずれかに記載の頭皮用外用組成物。
[7]ステロイド、モノテルペン、及び抗ヒスタミン成分からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の頭皮用外用組成物。
[8]増粘剤を更に含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の頭皮用外用組成物。
[9]低級アルコールを含有する頭皮用外用組成物が、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器に収容された、容器入り頭皮用外用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低級アルコールを含有する外用組成物を収容する容器として、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器を採用しているため、頭皮の毛包深部への当該外用組成物の送達効率が向上する。当該容器は、塗布部を適用部位に押し当てて、又は押し当てながら塗り広げて容器内の外用組成物を面状に吐出するタイプの容器であることから、毛髪を避けて頭皮に直接外用組成物を適用することが難しく、頭皮用外用組成物を収容する容器としては適していないと考えられていた。すなわち、頭皮の毛包深部への外用組成物の送達効率が向上するという本発明による効果は、全く意外なものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器の一実施形態を示す斜視図である。
図2】毛包付き頭皮モデルを使用した浸透量の測定方法の説明図である。(a)毛髪なし、(b)毛髪あり。
図3】試験例1の結果を示すグラフである。
図4】液体用細口容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の頭皮用外用組成物は、低級アルコールを含有する。また、本発明の頭皮用外用組成物は、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器に収容されてなる。
【0015】
〔容器〕
図1は、一実施形態に係る容器を示す斜視図である。当該容器は、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器等と呼ばれるものである。図1に示す軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器100は、外用組成物20を貯える容器本体10と、容器本体10に着脱自在に螺嵌されるキャップ30とを備える。キャップ30は、断面が略逆U字形に形成され、内周面には螺子が形成されている。この螺子が容器本体10の螺子40と螺合する。容器本体10には、外用組成物20を吐出する塗布部50が形成されている。塗布部50は、容器本体10と一体に成形されていてもよいし、また着脱自在に構成されていてもよい。
【0016】
塗布部50は、軟質多孔性材料で形成される。本明細書において、「軟質多孔性材料で形成される」とは、塗布部の少なくとも一部(好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、更に好ましくは約90%以上、なかでも好ましくは全体)が軟質多孔性材で構成されることをいう。軟質多孔性材料は、皮膚に適用するのに適した軟らかさを有し、多数の細孔を有する多孔質の材料であって、容器内部の外用組成物が容器外部に排出されるものであればよい。軟質多孔性材料の構造は、スポンジ構造、バルーン構造、ハニカム構造等のいずれであってもよい。細孔の孔径は、外用組成物をより効率よく塗布することができるという観点から、1mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることが更に好ましく、0.3mm以下であることが更により好ましい。また、細孔の孔径は0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましい。
【0017】
軟質多孔性材料の具体例として、例えば、連続気泡構造を有する樹脂発泡体を挙げることができる。当該樹脂発泡体は、独立気泡構造を含んでいてもよい。樹脂発泡体の具体例としては、天然ゴム発泡体;ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体等の合成ゴム発泡体;メラミン樹脂発泡体等が挙げられる。樹脂発泡体としては、本発明による効果をより一層顕著に奏することから、天然ゴム発泡体、合成ゴム発泡体が好ましく、天然ゴム発泡体、ポリウレタン発泡体(例えば、軟質ウレタン)がより好ましく、天然ゴム発泡体が更に好ましい。塗布部50は、これら軟質多孔性材料を1種単独で使用して形成されたものであってもよく、2種以上を組み合わせて使用して形成されたものであってもよい。
【0018】
容器本体10及びキャップ30を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン:HDPE、低密度ポリエチレン:LDPE)、ポリスチレン、ガラス、アルミニウム等の金属が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、容器本体10とキャップ30は、同一の材料で形成されていてもよく、また異なる材料で形成されていてもよい。
【0019】
容器本体10の形状は、軟質多孔性材料で形成された塗布部を備えるものであれば、図1に示す形状に限定されるものではなく、例えば、塗布部が横向き、下向き、やや上方又は下方に傾斜した向きになるように曲げられた形状を有していてもよい。キャップ30は容器本体10と着脱自在であれば、螺嵌構造に限定されず、例えば、ワンタッチロック嵌合、外嵌等の任意の嵌合構造を有していてもよい。
【0020】
〔組成物〕
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、低級アルコールを含有する。本明細書において、低級アルコールとは、炭素数1~6の1価のアルコールを意味する。
【0021】
低級アルコールは、生理学的又は薬学的に許容できるものであれば特に制限されない。低級アルコールの具体例として、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール及びヘキシルアルコールが挙げられる。本発明による効果をより一層顕著に奏するという観点から、低級アルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールであることが好ましく、エタノール及びイソプロパノールであることがより好ましく、エタノールであることが更に好ましい。低級アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
頭皮用外用組成物における低級アルコールの含有量は、本発明による効果をより一層顕著に奏することから、外用組成物全量を基準として、5~70w/w%であることが好ましく、5~50w/w%であることがより好ましく、10~50w/w%が更に好ましく、30~50w/w%であることが更により好ましい。
【0023】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、医薬品、医薬部外品又は化粧品に使用される有効成分又は機能性成分を更に含んでいてもよい。有効成分又は機能性成分の具体例としては、例えば、ステロイド、保湿成分、抗炎症成分、抗ヒスタミン成分、抗菌成分、ビタミン類、鎮痒成分、局所麻酔成分、局所刺激成分、養毛・育毛成分、モノテルペン、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分、紫外線防御成分(紫外線吸収成分、紫外線散乱成分)が挙げられる。これらを含有することにより、その有効成分又は機能性成分に応じた用途展開が可能となる。これらの有効成分又は機能性成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、上記有効成分又は機能性成分に応じて、例えば、頭皮における湿疹、皮膚炎、抜け毛、薄毛、フケ、痒み、乾燥及びバリア機能低下からなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用として好適に用いられる。本発明の頭皮用外用組成物は、頭皮の毛包深部への有効成分又は機能性成分の送達効率が向上するので、これらの成分の所期の効果を十分に発揮させることができる。
【0025】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、ステロイド、モノテルペン、及び抗ヒスタミン成分からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有していてもよい。頭皮用外用組成物がステロイド、モノテルペン、又は抗ヒスタミン成分を含むことにより、頭皮及びその毛包深部への送達効率がより一層向上する。また、ステロイド、モノテルペン、又は抗ヒスタミン成分による作用に応じた用途展開が可能となる。
【0026】
ステロイドは、ステロイド核を有するステロイドホルモン及びその誘導体、並びにこれらの塩であって、抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用等を有するものである。ステロイドは、ステロイド系抗炎症薬とも称される。ステロイドは、市販のものを用いることもできる。
【0027】
ステロイドホルモンの誘導体としては、ステロイドホルモンの官能基の一部を化学修飾したもの、官能基の一部に保護基を付加したもの等をいい、異性体を含むものである。例えば、ステロイド核の一つ又はそれ以上の水素原子が、ヒドロキシル基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基、トリフルオロ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアセチル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~6のアルキニル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のアルコキシル基、炭素数1~6のアルキルアミノ基等に置換されたもの、有機酸(例えば、吉草酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、フランカルボン酸等)でエステル化されたもの、保護基が外れることによりステロイド系抗炎症薬としての活性を有するように修飾された前駆体等が挙げられる。
【0028】
ステロイドホルモン及びその誘導体の塩としては、生理学的又は薬学的に許容できるものであれば特に制限されない。具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、ジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。さらには、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンとの塩;リジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。また、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、吉草酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩も挙げられる。ステロイドホルモン及びその誘導体の塩は、溶媒和物又は水和物であってもよい。
【0029】
ステロイドの具体例としては、例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ジフルプレドナード、モメタゾン、ジフルコルトロン、フルオニシド、ベクロムタゾン、デプロドン、クロベタゾン、アルクロメタゾン、フルメタゾン及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩が挙げられ、より具体的には、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、アムシノニド、プロピオン酸デキサメタゾン、ジフルプレドナート、フルオニシド、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾンジプロピオネート、プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸クロベタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酢酸プレドニゾロンが挙げられる。
【0030】
ステロイドとしては、本発明による効果をより一層顕著に奏することから、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ジフルプレドナート、プロピオン酸ベクロメタゾンが好ましく、吉草酸酢酸プレドニゾロンがより好ましい。
【0031】
ステロイドは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物におけるステロイドの含有量は特に限定されず、ステロイドの種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。ステロイドの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、外用組成物の総量を基準として、ステロイドの総含有量が、0.01~2w/w%であることが好ましく、0.02~1w/w%であることがより好ましく、0.025~0.5w/w%であることが更に好ましく、0.05~0.25w/w%であることが特に好ましい。
【0033】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における、低級アルコールに対するステロイドの含有比率は特に限定されず、低級アルコール及びステロイドの種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。低級アルコールに対するステロイドの含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る頭皮用外用組成物に含まれる低級アルコールの総含有量1重量部に対して、ステロイドの総含有量が、0.0001~0.05重量部であることが好ましく、0.0002~0.03重量部であることがより好ましく、0.0003~0.02重量部であることが更に好ましく、0.0005~0.01重量部であることが特に好ましい。
【0034】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物がステロイドを含有する場合、例えば、頭皮における湿疹、皮膚炎、フケ、痒み、及び乾燥からなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用として好適に用いられる。
【0035】
モノテルペンは、二個のイソプレン単位からなる構造を有し、清涼化剤等として公知の化合物である。モノテルペンとしては、生理学的又は薬学的に許容できるものであれば特に制限されない。また、モノテルペンは、d体、l体又はdl体の何れであってもよい。
【0036】
モノテルペンの具体例としては、例えば、メントール、オイゲノール、チモール、リモネン、アネトール、シメン及びテルピネオール等の単環式モノテルペン、カンフル、ボルネオール、シネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール及びフェンチェン等の二環式モノテルペン、並びにゲラニオール、ネロール、ミルセン、ミルセノール、リナロール、酢酸リナロール及びラバンジュロール等の非環式モノテルペンが挙げられる。
【0037】
モノテルペンとしては、本発明による効果をより一層顕著に奏することから、メントール、オイゲノール、チモール、リモネン、アネトール、シメン及びテルピネオール等の単環式モノテルペン、カンフル、ボルネオール、シネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール及びフェンチェン等の二環式モノテルペンが好ましく、メントール、カンフル及びボルネオールがより好ましく、メントールが更に好ましい。
【0038】
モノテルペンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
モノテルペンとしては、モノテルペンを含む精油を用いてもよい。このような精油としては、例えば、クールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、ユーカリ油、ベルガモット油、スペアミント油、ローズ油及び樟脳油が挙げられる。メントール及びカンフルを含む精油としては、例えば、クールミント油、ペパーミント油、ハッカ油及び樟脳油を挙げることができる。
【0040】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物におけるモノテルペンの含有量は特に限定されず、モノテルペンの種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。モノテルペンの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、外用組成物の総量を基準として、モノテルペンの総含有量が、0.01~5.0w/w%であることが好ましく、0.05~4.0w/w%であることがより好ましく、0.1~3.5w/w%であることが更に好ましく、0.5~3.5w/w%であることが更により好ましく、1.0~3.5w/w%であることが特に好ましい。本実施形態に係る頭皮用外用組成物が、モノテルペンとして精油を含む場合には、精油中のモノテルペン含量が上記範囲内となるように設定することが好ましい。
【0041】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における、低級アルコールに対するモノテルペンの含有比率は特に限定されず、低級アルコール及びモノテルペンの種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。低級アルコールに対するモノテルペンの含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る頭皮用外用組成物に含まれる低級アルコールの総含有量1重量部に対して、モノテルペンの総含有量が、0.0001~1重量部であることが好ましく、0.0005~0.8重量部であることがより好ましく、0.001~0.7重量部であることが更に好ましく、0.005~0.5重量部であることが更により好ましく、0.01~0.1重量部であることが特に好ましい。本実施形態に係る頭皮用外用組成物が、モノテルペンとして精油を含む場合には、精油中のモノテルペン含量の比率が上記範囲内となるように設定することが好ましい。
【0042】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物がモノテルペンを含有する場合、例えば、頭皮における湿疹、皮膚炎、フケ、及び痒みからなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用として好適に用いられる。
【0043】
抗ヒスタミン成分としては、生理学的又は薬学的に許容できるものであれば特に制限されない。抗ヒスタミン成分としては、例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、イソチペンジル、ケトチフェン、ベポタスチン、ジメンヒドリナート、シプロヘプタジン、ジフェニルピラリン、プロメタジン、イプロヘプチン、エメダスチン、クレマスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、ヒドロキシジン、メキタジン、ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、オキサトミド、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、及びこれらの化合物の塩が挙げられる。上記化合物の塩としては、生理学的又は薬学的に許容されることを限度として、特に制限されず、例えば、上記でステロイドホルモン及びその誘導体の塩について例示したような各種の塩が挙げられる。抗ヒスタミン成分の塩は、溶媒和物又は水和物であってもよい。
【0044】
抗ヒスタミン成分の具体例としては、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート等のエタノールアミン系化合物;マレイン酸クロルフェニラミン、クロルフェニラミン等のプロピルアミン系化合物;塩酸プロメタジン、塩酸イソチペンジル等のフェノチアジン系化合物;ヒドロキシジン等のピペラジン系化合物;塩酸シプロヘプタジン等のピペリジン系化合物;エピナスチン塩酸塩、ロラタジン、及び塩酸フェキソフェナジン等が挙げられる。
【0045】
抗ヒスタミン成分としては、本発明による効果をより一層顕著に奏することから、エタノールアミン系化合物、プロピルアミン系化合物、フェノチアジン系化合物が好ましく、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジルがより好ましく、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミンが更に好ましい。
【0046】
抗ヒスタミン成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における抗ヒスタミン成分の含有量は特に限定されず、抗ヒスタミン成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。抗ヒスタミン成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、外用組成物の総量を基準として、抗ヒスタミン成分の総含有量が、0.1~5.0w/w%であることが好ましく、0.15~4.5w/w%であることがより好ましく、0.2~4.0w/w%であることが更に好ましく、0.3~3.0w/w%であることが特に好ましい。
【0048】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における、低級アルコールに対する抗ヒスタミン成分の含有比率は特に限定されず、低級アルコール及び抗ヒスタミン成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。低級アルコールに対する抗ヒスタミン成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る頭皮用外用組成物に含まれる低級アルコールの総含有量1重量部に対して、抗ヒスタミン成分の総含有量が、0.001~1重量部であることが好ましく、0.002~0.9重量部であることがより好ましく、0.003~0.8重量部であることが更に好ましく、0.004~0.6重量部であることが特に好ましい。
【0049】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物が抗ヒスタミン成分を含有する場合、例えば、頭皮における湿疹、皮膚炎、フケ、及び痒みからなる群より選択される少なくとも1つの症状の予防、治療、及び/又は改善用として好適に用いられる。
【0050】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物が含むことができる他の有効成分又は機能性成分の具体例としては、クロタミトン等の鎮痒成分;グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム)、グリチルレチン酸及びその誘導体(例えば、グリチルレチン酸ステアリル)並びにそれらの塩類、サリチル酸及びその誘導体(例えば、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル)並びにそれらの塩類、アラントイン等の抗炎症成分;イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の抗菌成分;酸化亜鉛、カラミン等の収斂成分;アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、リドカイン、塩酸リドカイン等の局所麻酔成分;アンモニア水等の局所刺激成分;酢酸トコフェロール、トコフェロール、パンテノール、ビタミンA油、パルミチン酸レチノール等のビタミン類;ピロクトンオラミン、ニンジン抽出物、センブリエキス、パントテニルエチルエーテル、D-パントテニルアルコール、海藻エキス、ミノキシジル、フィナステリド、カルプロニウム塩化物、ヒノキチオール、エストラジオール安息香酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、パントテン酸カリウム、レゾルシン、チクセツニンジンチンキ、カシュウチンキ、アルニカチンキ、dl-α-トコフェロール、2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、6-ベンジルアミノプリン等の養毛・育毛成分等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0051】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品又は化粧品に通常使用される低級アルコール以外の基剤又は担体を含有していてもよい。また、本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品又は化粧品に通常使用される添加剤を含有していてもよい。
【0052】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物が添加剤として増粘剤を含む場合、その増粘作用により外用組成物を頭皮に適用しても毛包への有効成分又は機能性成分の送達効率が抑制される傾向が懸念される。しかし、本発明によれば、外用組成物を軟質多孔性材料で形成された塗布部を備える容器に収容して用いているため、増粘剤を含む場合であっても、頭皮そしてその毛包への有効成分又は機能性成分の送達効率が高められる。
【0053】
増粘剤としては、例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤;ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、オリゴヒアルロン酸、加水分解ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、及びそれらの塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム)等のムコ多糖系増粘剤;グアーガム、カチオン化グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、マクロゴール、クインスシード、デキストラン、ジェランガム等が挙げられる。
【0054】
増粘剤としては、本発明による効果をより一層顕著に得られ易いという観点から、セルロース系増粘剤、ビニル系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤が好ましく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、オリゴヒアルロン酸、加水分解ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムがより好ましく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースが更に好ましい。
【0055】
増粘剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における増粘剤の含有量は特に限定されず、増粘剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。増粘剤の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、外用組成物の総量を基準として、増粘剤の総含有量が、0.01~3.0w/w%であることが好ましく、0.05~2.5w/w%であることがより好ましく、0.05~2.0w/w%であることが更に好ましく、0.1~1.5w/w%であることが特に好ましい。
【0057】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物における、低級アルコールに対する増粘剤の含有比率は特に限定されず、低級アルコール及び増粘剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、外用組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。低級アルコールに対する増粘剤の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る頭皮用外用組成物に含まれる低級アルコールの総含有量1重量部に対して、増粘剤の総含有量が、0.0001~0.6重量部であることが好ましく、0.0005~0.5重量部であることがより好ましく、0.0008~0.4重量部であることが更に好ましく、0.001~0.3重量部であることが特に好ましい。
【0058】
基剤又は担体としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン等のシリコーン油;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル等のステロール類;ホホバ油、メドウフォーム油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、椿油、スクワラン、シアバター、コメ胚芽油等の植物油;ラノリン、オレンジラフィー油、スクワラン、馬油等の動物油;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ホホバ油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;炭素数2~6、水酸基数2~4の多価アルコール;コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等の有機酸;並びに水等の水系基剤が挙げられる。
【0059】
基剤又は担体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、香料、パール光沢付与剤が挙げられる。
【0061】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩が挙げられる。
【0062】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、及びテトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等の硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;セトステアリルグルコシド等のアルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤;リン脂質、サーファクチン、及びサポニン等の天然界面活性剤;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン;トリラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン等のアルキルアミン;ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤が挙げられる。
【0063】
防腐剤又は保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、グリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0064】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0065】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0066】
刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
【0067】
着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素が挙げられる。
【0068】
パール光沢付与剤としては、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコールが挙げられる。
【0069】
添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0070】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物のpHは、生理学的又は薬学的に許容できる範囲内であれば特に制限されないが、例えば、3~9であってよく、3.5~8.5であることが好ましく、4~8であることがより好ましく、4~7であることが更に好ましい。
【0071】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、例えば、可溶化系、乳化系又は粉末分散系の組成物であってよい。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、頭皮用外用組成物は、可溶化系の組成物であることが好ましい。本明細書において可溶化系とは、水と油とが相分離せずに均一で透明の外観を呈し、熱力学的にも安定な一相系の状態を指す。すなわち、可溶化系とは、乳化系又は粉末分散系を除く状態である。
【0072】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物の剤型は、頭皮用外用組成物の用途等に応じて任意に選択することができ、例えば、外用液剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等とすることができる。これらの剤型には、公知の方法に従って製剤化することができる。本実施形態に係る頭皮用外用組成物の剤型は、外用液剤、ローション剤、ゲル剤であることが好ましく、外用液剤、ローション剤であることがより好ましい。
【0073】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、軟質多孔性材料で形成された塗布部を毛髪の上から、又は直接頭皮に押し当てる、又は押し当てながら塗り広げることにより、頭皮に適用することができる。これにより、発毛部位であるか否かに関わらず、効率よく毛包深部への有効成分又は機能性成分の送達が可能となる。本実施形態に係る頭皮用外用組成物の有効投与量は、配合成分の種類及び含有量、用途及び剤型、並びに症状等に応じて適宜設定され得る。
【0074】
本実施形態に係る頭皮用外用組成物は、例えば、1日数回又は症状(痒み等)が現れたときに、適量を頭皮に塗布することにより使用することができる。定期的に塗布する場合には、頭皮洗浄・洗髪後の頭皮に塗布することが好ましい。適量としては、特に限定はされないが、例えば、単位面積あたり1回、約20~60mg/cm程度とすることができる。
【実施例
【0075】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
〔試験方法〕
(毛包付き頭皮モデル)
5mm(ヒト頭皮毛包における毛の深さに相当する)厚のシリコンシート(アズワン、シリコンゴムシート5t300角)を4.15cm(1.1cm×1.1cm×3.14)の円形状に型抜きした。1mmバイオプシーパンチ(カイメディカルBP-10F,生検トレパン)を使用して、型抜きしたシートの厚み方向に25個の貫通孔を形成した。これを毛包付き頭皮モデルとした。
【0077】
(吐出量の調整)
浸透試験での吐出量を揃えるため、事前に試験製剤毎にその吐出量を測定した。試験製剤は、各表に記載の組成物(処方)が液体用細口容器(図4参照)又は軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器(図1参照)に収容されたものである。まず、容器の塗布部を5回キムタオルに押し当てた前後でのキムタオルの重量変化から容器から吐出された組成物の量を測定し、これを5回繰り返して測定値の平均値を求めた。この平均値を1回の吐出量とした。このようにして求めた1回の吐出量から、比較する試験製剤間で吐出量が同じ(0.4g)になるように押し当て回数を調整した。
【0078】
(浸透試験-毛髪なし)
図2(a)を参照して説明する。まず、キムタオル130の上に貫通孔110を有するシリコンシート120(毛包付き頭皮モデル)を置き、毛包付き頭皮モデルのキムタオル130とは反対側の面から試験製剤(図2(a)では、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器100)をまんべんなく押し当てた。押し当て回数は、各試験製剤の吐出量が0.4gになるよう調整した。押し当て後、貫通孔110を透過した透過液140がキムタオル130に吸収された。押し当てた前後のキムタオルの重量変化から、キムタオルまで浸透した組成物の量を測定した。この測定値を毛包への浸透量(毛髪なし)とした。
【0079】
(浸透試験-毛髪あり)
図2(b)を参照して説明する。まず、キムタオル130の上に貫通孔110を有するシリコンシート120(毛包付き頭皮モデル)を置き、毛包付き頭皮モデルのキムタオル130とは反対側の面に毛髪サンプル150(ビューラックス,BM-B15)を載置した。毛髪サンプル150が載置されている面から試験製剤(図2(b)では、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器100)をまんべんなく押し当てた。押し当て回数は、各試験製剤の吐出量が0.4gになるよう調整した。押し当て後、貫通孔110を透過した透過液140がキムタオル130に吸収された。押し当てた前後のキムタオルの重量変化から、キムタオルまで浸透した組成物の量を測定した。この測定値を毛包への浸透量(毛髪あり)とした。
【0080】
〔試験例1:容器の比較(1)〕
表1に示す各処方を調製し、軟質多孔性の天然ゴム発泡体で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。なお、青色1号は、処方の視認性を高めるために添加している。
【表1】
【0081】
〔試験方法〕に記載した方法により、各試験製剤の浸透量(毛髪なし)及び浸透量(毛髪あり)を測定した。結果を表2及び図3に示す。図3(a)は、浸透量(毛髪なし)をエタノール濃度に対してプロットしたグラフである。図3(b)は、浸透量(毛髪あり)をエタノール濃度に対してプロットしたグラフである。
【表2】
【0082】
表2及び図3に示すとおり、意外にも、毛髪の有無に関わらず、少なくともエタノール濃度が5~70w/w%の範囲において、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器の方が頭皮の毛包への浸透量がより多かった。特に、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器は、毛髪ありの場合、エタノール濃度が5~50w/w%の範囲において、頭皮の毛包への浸透量が顕著に多かった。
【0083】
〔試験例2:処方の比較(1)〕
表3に示す各処方を調製し、軟質多孔性の天然ゴム発泡体で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。なお、青色1号は、処方の視認性を高めるために添加している。
【表3】
【0084】
〔試験方法〕に記載した方法により、各試験製剤の浸透量(毛髪あり)を測定した。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)を含まないこと以外は処方7及び処方8と同じ処方である処方4及び処方6も同様に測定した。結果を併せて表4に示す。
【表4】
【0085】
表4に示すとおり、容器に収容する組成物がエタノールに加えPVAを含有することで、頭皮の毛包への浸透量(毛髪あり)が顕著に増加した。この効果は、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器の場合により顕著であった。
【0086】
〔試験例3:処方の比較(2)〕
表5に示す各処方を調製し、軟質多孔性の天然ゴム発泡体で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。なお、青色1号は、処方の視認性を高めるために添加している。
【表5】
【0087】
〔試験方法〕に記載した方法により、各試験製剤の浸透量(毛髪あり)を測定した。l-メントールを含まないこと以外は処方9(又は処方10)及び処方11と同じ処方である処方6及び処方5も同様に測定した。結果を表6及び表7に示す。
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
表6及び表7に示すとおり、容器に収容する組成物がエタノールに加えメントールを含有することで、頭皮の毛包への浸透量(毛髪あり)が顕著に増加した。この効果は、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器の場合により顕著であった。
【0090】
〔試験例4:処方の比較(3)〕
表8に示す処方を調製し、軟質多孔性の天然ゴム発泡体で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。なお、青色1号は、処方の視認性を高めるために添加している。
【表8】
【0091】
〔試験方法〕に記載した方法により、処方12の浸透量(毛髪あり)を測定した。塩酸ジフェンヒドラミンを含まないこと以外は処方12と同じ処方である処方6も同様に測定した。結果を表9に示す。
【表9】
【0092】
表9に示すとおり、容器に収容する組成物がエタノールに加えて塩酸ジフェンヒドラミンを含有することで、頭皮の毛包への浸透量(毛髪あり)が顕著に増加した。この効果は、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器の場合により顕著であった。
【0093】
〔試験例5:容器の比較(2)〕
表10に示す各処方を調製し、軟質多孔性の天然ゴム発泡体で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。なお、青色1号は、処方の視認性を高めるために添加している。
【表10】
【0094】
〔試験方法〕に記載した方法により、各試験製剤の浸透量(毛髪あり)を測定した。結果を併せて表11に示す。
【表11】
【0095】
増粘剤(疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有する外用組成物は粘性がやや高まるため、頭皮の小さな毛包には一般に浸透し難い傾向がある。しかし、表11に示すように、増粘剤が配合された外用組成物であっても、軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器を用いることにより頭皮の毛包への浸透量(毛髪あり)が顕著に増加した。
【0096】
〔試験例6:容器の比較(3)〕
表1に示した処方4を、軟質多孔性のポリウレタン発泡体(軟質ウレタン)で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、又は液体用細口容器に収容して試験製剤とした。〔試験方法〕に記載した方法により、各試験製剤の浸透量(毛髪あり)を測定した。結果を併せて表12に示す。
【表12】
【0097】
表12に示すとおり、軟質多孔性のポリウレタン発泡体(軟質ウレタン)で形成された軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器を用いた場合にも、毛包への浸透量が高められた。
【0098】
別途、容器に収容して用いた場合と等量(0.4g)の処方4を、図2(b)に示した毛髪サンプル150の上に滴下し、それを指で塗り広げることにより、容器を用いずに塗布した場合の評価も行った。その結果、指で塗り広げようとしても処方4の試験製剤が毛髪にはじかれて非常に浸透させ難く、その浸透量は液体用細口容器を用いる場合よりも劣る傾向があることが確認された。
【0099】
〔製剤処方例〕
以下に、本発明の製剤処方例を示す。これらのローション剤は、頭皮に適用した場合に、広範囲に塗布できるだけでなく、液ダレしにくく、毛髪があっても十分に液剤が頭皮に到達した感覚があり、実効感に優れる。
【0100】
<製剤処方例1:ローション剤>
(1)イオン交換水 残余
(2)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15重量%
(3)l-メントール 3.5重量%
(4)1,3-ブチレングリコール 5重量%
(5)パラベン 0.1重量%
(6)エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
(7)疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1重量%
(8)無水エタノール 45重量%
常法に従い、上記の各成分を配合した処方を調製する。調製した処方を、軟質多孔性材料(天然ゴム発泡体)で形成された塗布部を有する容器に充填することで、本実施形態のローション剤を製造することができる。
【0101】
<製剤処方例2:ローション剤>
(1)イオン交換水 残余
(2)ジフェンヒドラミン塩酸塩 1.0重量%
(3)l-メントール 3.5重量%
(4)1,3-ブチレングリコール 10重量%
(5)パラベン 0.1重量%
(6)エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
(7)疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2重量%
(8)無水エタノール 50重量%
常法に従い、上記の各成分を配合した処方を調製する。調製した処方を、軟質多孔性材料(天然ゴム発泡体)で形成された塗布部を有する容器に充填することで、本実施形態のローション剤を製造することができる。
【0102】
<製剤処方例3:ローション剤>
(1)イオン交換水 残余
(2)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1重量%
(3)酢酸トコフェロール 0.05重量%
(4)1,3-ブチレングリコール 5重量%
(5)パラベン 0.1重量%
(6)エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
(7)カルボキシビニルポリマー 0.15重量%
(8)水酸化カリウム 0.05重量%
(9)無水エタノール 10重量%
常法に従い、上記の各成分を配合した処方を調製する。調製した処方を、軟質多孔性材料(ポリウレタン発泡体)で形成された塗布部を有する容器に充填することで、本実施形態のローション剤を製造することができる。
【0103】
<製剤処方例4:乳化系ローション剤>
(1)イオン交換水 残余
(2)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15重量%
(3)アラントイン 0.2重量%
(4)ジプロピレングリコール 3重量%
(5)ジグリセリン 1重量%
(6)軽質流動パラフィン 1.5重量%
(7)パルミチン酸イソプロピル 0.5重量%
(8)モノステアリン酸ソルビタン 0.5重量%
(9)ポリソルベート60 1.5重量%
(10)パラベン 0.2重量%
(11)エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
(12)カルボキシビニルポリマー 0.2重量%
(13)トリエタノールアミン 0.3%重量%
(14)無水エタノール 5重量%
常法に従い、上記の各成分を配合した処方を調製する。調製した処方を、軟質多孔性材料(天然ゴム発泡体)で形成された塗布部を有する容器に充填することで、本実施形態の乳化系ローション剤を製造することができる。
【符号の説明】
【0104】
10,11…容器本体、20,21…外用組成物、30,31…キャップ、40,41…螺子、50…塗布部、51…開口部(塗布部)、100…軟質多孔性塗布部を備えた液体塗布用栓式容器、110…貫通孔、120…シリコンシート、130…キムタオル、140…浸透液、150…毛髪サンプル、200…液体用細口容器。
図1
図2
図3
図4