(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】防音畳
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
E04F15/02 102P
E04F15/02 102C
E04F15/02 102D
E04F15/02 102J
(21)【出願番号】P 2019152337
(22)【出願日】2019-08-22
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】横田 裕次
(72)【発明者】
【氏名】稲津 明
(72)【発明者】
【氏名】島田 隼人
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-121287(JP,A)
【文献】特開2011-246914(JP,A)
【文献】特開2001-317189(JP,A)
【文献】特開2018-104981(JP,A)
【文献】特開2018-040140(JP,A)
【文献】特開2013-124528(JP,A)
【文献】実開平5-32563(JP,U)
【文献】実開昭59-32046(JP,U)
【文献】実開昭59-152039(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の上面に、表面クッションシートを介して畳表が積層されている防音畳であって、前記表面クッションシートは見かけ密度0.04~0.2g/cm
3、圧縮弾性率10~40KPa、厚さ1~10mmであることを特徴とする防音畳。
【請求項2】
芯材が木質系芯材であることを特徴とする請求項1記載の防音畳。
【請求項3】
表面クッションシートが、非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されている不織繊維シートであることを特徴とする請求項1又は2記載の防音畳。
【請求項4】
表面クッションシートが、非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されている不織繊維シートとクッション性シートの積層シートであることを特徴とする請求項1又は2記載の防音畳。
【請求項5】
芯材の厚さ:表面クッションシートの厚さ:畳表の厚さが1:0.5~2:0.2~2.5であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の防音畳。
【請求項6】
表面クッションシートと芯材が(粘)接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の防音畳。
【請求項7】
芯材の下面に、裏面クッションシートが積層されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の防音畳。
【請求項8】
畳表と表面クッションシートの端部が芯材の側面に折り曲げられると共に畳表の先端部は芯材の下面に折り曲げられて積層されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載の防音畳。
【請求項9】
芯材の下面と畳表で囲まれている空間に段差調整シートが積層されていることを特徴とする請求項8記載の防音畳。
【請求項10】
芯材の下面に積層されている畳表と段差調整シート下面に、裏面クッションシートが積層されていることを特徴とする請求項9記載の防音畳。
【請求項11】
更に、裏面クッションシートの表面に裏面仕上げ材が積層されていることを特徴とする請求項7又は10記載の防音畳。
【請求項12】
JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項記載の防音畳。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項記載の防音畳を、それぞれ隣り合う防音畳の畳表のいぐさが直交するように敷設することを特徴とする防音畳の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音性の優れた防音畳に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より、住宅の床材としては、稲わら畳床を芯材とし、その表面に畳表を積層した、厚さが55mm前後の畳(いわゆる、厚畳)が広く使用されてきた。畳については畳縁を付けていない短い辺を框と呼ぶ。一般的に畳床を畳表で包むとき、長手方向には畳表を巻き付けて裏側で畳床に縫い付ける(この側面部を框という)が、横方向は畳床の幅に合わせて畳表を切り揃えてしまう。切り放しのままでは畳表が固定されないので、畳縁で切り口を隠すと同時に畳床に縫い付けて止める。畳床を畳表で包むときに、縦方向だけでなく横方向にも巻きつけて、折り込むように裏側で縫い付けると縁無し畳となる。ただし、一般的な畳表(諸目表)を横方向に巻き付けようとしても緯糸のいぐさが鋭角的に折れ曲がってしまい上手くいかない。
【0003】
しかしながら、従来の厚畳は、近年の生活環境の変化により、原材料の品質や供給量が安定しない、高コストである等の欠点があり、これらの欠点を、改良するために、材木を芯材とし、その表面に畳表を積層した畳が種々検討されてきている。特に、近年、住宅設計分野において、和洋折衷住宅として洋間と和室の間に段差のない住宅がバリアフリー住宅として注目されているが、従来の厚畳を用いた場合、和室と洋室との段差を無くすためには、和室の大引きを下げたり、洋室床下地のかさ上げをしたり等の施工が必要となる。そこで、洋室と和室の変更も容易に施工しうる厚さ7~25mm程度の薄い畳(いわゆる、薄畳)が種々提案されている。
【0004】
例えば、厚みが5~15mmのファイバーボードの少なくとも表側にクッションシートを設け、更にその上に畳表を固着した薄畳であって、該ファイバーボードの密度が、0.35~0.6g/cm3である薄畳及び該ファイバーボードの表裏に、金属箔、又はプラスチックフィルムを貼付した薄畳(例えば、特許文献1参照。)や全厚7~25mmの畳に用いられる畳床構成材において、該畳床構成材は、密度0.02~0.5g/cm3の板状体(但し、合成樹脂発泡体を除く。)と繊維強化樹脂シートとを接着一体化してなる厚さ4~20mmのものであり、且つ曲げ弾性率が6000kgf/cm2以上である畳床構成材(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【0005】
上記薄畳は薄く軽量で、施工は容易であり、上記の用途等に好適である。又、持ち運びも容易なので薄畳単体を床の上の所定位置において使用することもなされている。しかし、上記薄畳は従来の厚さ55mmの厚畳に比較すると20~40mm厚さが薄くなっているので防音性が低下しており、団地やマンションにおいて床材若しくは床材の下地の上に置いて使用した場合、薄畳の上を歩行した際に発生した音は階下の部屋に直接伝わり騒音が発生するという欠点があった。
【0006】
この欠点を解消する防音性の優れた薄畳も種々提案されている。例えば、吸湿による伸縮が少ない平板状の基材(木質系軟質繊維板(インシュレーションボード)、ポリスチレンなどの樹脂発泡体、木質系部材と樹脂系部材の積層体等)の両面に引張強度の高い補強材(熱可塑性樹脂を木製微細チップに混合させ熱圧締した木質系熱圧締成形板、オレフィン系樹脂複合板などプラスチック板、強化樹脂シート等)を積層し、更にその両面に緩衝性を有するクッション材(ポリスチレン樹脂などの樹脂発泡体、あるいは不織布)を積層し、これらを固着して一体化した畳床と、畳床の表面全体を覆いその裏面の縁部に折り曲げて固定される畳表とからなり、畳の裏面となる最下層のクッション材の厚さを畳表の厚さよりも厚くした、ことを特徴とする高遮音薄畳(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
【0007】
上記高遮音薄畳の防音性は向上しているようであるが、JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-4をクリアすることができず、より防音性の優れた薄畳が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-84340号公報
【文献】特開平11-336307号公報
【文献】特開2003-129647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上の防音性の優れた防音畳を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、
[1]芯材の上面に、表面クッションシートを介して畳表が積層されている防音畳であって、前記表面クッションシートは見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KPa、厚さ1~10mmであることを特徴とする防音畳、
[2]芯材が木質系芯材であることを特徴とする前記[1]記載の防音畳、
[3]表面クッションシートが、非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されている不織繊維シートであることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の防音畳。
[4]表面クッションシートが、非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されている不織繊維シートとクッション性シートの積層シートであることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の防音畳、
[5]芯材の厚さ:表面クッションシートの厚さ:畳表の厚さが1:0.5~2:0.2~2.5であることを特徴とする前記[1]~[4]のいずれか1項記載の防音畳、
[6]表面クッションシートと芯材が(粘)接着剤により接着されていることを特徴とする前記[1]~[5]のいずれか1項記載の防音畳、
[7]芯材の下面に、裏面クッションシートが積層されていることを特徴とする前記[1]~[6]のいずれか1項記載の防音畳、
[8]畳表と表面クッションシートの端部が芯材の側面に折り曲げられると共に畳表の先端部は芯材の下面に折り曲げられて積層されていることを特徴とする前記[1]~[7]のいずれか1項記載の防音畳、
[9]芯材の下面と畳表で囲まれている空間に段差調整シートが積層されていることを特徴とする前記[8]記載の防音畳、
[10]芯材の下面に積層されている畳表と段差調整シート下面に、裏面クッションシートが積層されていることを特徴とする前記[9]記載の防音畳、
[11]更に、裏面クッションシートの表面に裏面仕上げ材が積層されていることを特徴とする前記[7]又は[10]記載の防音畳、
[12]JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上であることを特徴とする前記[1]~[11]のいずれか1項記載の防音畳、及び、
[13]前記[1]~[12]のいずれか1項記載の防音畳を、それぞれ隣り合う防音畳の畳表のいぐさが直交するように敷設することを特徴とする防音畳の敷設方法
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防音畳の構成は上述の通りであり、JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上と防音性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の防音畳の異なる例を示す断面図である。
【
図3】本発明の防音畳の異なる例を示す断面図である。
【
図4】本発明の防音畳の框部の構造の一例を示す断面図である
【
図5】本発明の防音畳の框部の構造の異なる例を示す断面図である。
【
図6】本発明の防音畳を敷設した一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の防音畳は、芯材の一面に、表面クッションシートを介して畳表が積層されている防音畳であって、前記表面クッションシートが見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KMPa、厚さ1~10mmであることを特徴とする。
【0014】
次に本発明を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の防音畳の一例を示す断面図である。図中1は芯材であり、芯材1の上面に表面クッションシート2を介して畳表3が順次積層されている。
【0015】
図2は本発明の防音畳の異なる例を示す断面図である。図中1は芯材であり、芯材1の上面にクッション性シート21及び不織繊維シート22が積層されてなる表面クッションシート2を介して畳表3が順次積層され、下面に裏面クッションシート4が積層されている。
【0016】
図3は本発明の防音畳の異なる例を示す断面図である。図中1は芯材であり、芯材1の上面に表面クッションシート2を介して畳表3が順次積層され、下面に裏面クッションシート4を介して裏面仕上げ材5が積層されている。
【0017】
上記芯材1は、防音畳に機械的強度を付与するものであり、従来から畳の芯材として使用されている芯材であれば特に限定されないが、例えば、薄畳の芯材として使用されている木質系芯材、表裏両面に高剛性シートが積層されている独立気泡性オレフィン系合成樹脂発泡体シート等が挙げられる。
【0018】
上記木質系芯材としては、木材その他の植物繊維をパルプ化し、バインダー樹脂により結合し、熱圧成板した木質繊維板が好ましく、例えば、パーティクルボード、合板、インシュレーションファイバーボード(インシュレーションボード)、ミディアムデンシティファイバーボード(MDF)、ハードファイバーボード(ハードボード)等が挙げられ、ミディアムデンシティファイバーボード(MDF)が好ましい。
【0019】
芯材1の厚さは、特に限定されないが、薄くなると機械的強度が不足し、厚くなると重くなるので、一般に2~8mmが好ましく、より好ましくは3~6mmである。
【0020】
上記表面クッションシート2は畳にクッション性及び防音性を付与するものであり、見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KPa、厚さ1~10mmである。
【0021】
表面クッションシート2の見かけ密度は、小さくなるとクッションが低下し、へたりやすくなり、大きくなると防音性が低下するので、0.04~0.2g/cm3であり、好ましくは0.04~0.12g/cm3である。圧縮弾性率は、小さくなるとへたりやすくなり、防音性が低下し、大きくなるとクッション性が低下するので、10~40KPaであり、好ましくは1.5~2.0KPaである。又、厚さは、薄くなるとクッション性及び防音性が低下し、厚くなるとへたりやすくなるので、1~10mmであり、好ましくは2~6mmである。
【0022】
尚、本発明において、圧縮弾性率とは、JIS K 7181(2011プラスチック-圧縮特性の求め方)に準拠し、直径が30mmで底面が平坦な筒状圧子で10mm/minの速度で押圧し、クッションシートを歪みが10%から20%になるように圧縮した際の傾きの値で求めた。
【0023】
上記表面クッションシートは、見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KPaのクッション性を有するシートであれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂発泡体シート;ゴムシート;エラストマーシート;天然繊維、合成繊維などの有機繊維や無機繊維の織布、編み物、不織布、マット、フェルト等の従来から畳のクッションシートとして使用されているクッション性シートが挙げられる。
【0024】
又、上記表面クッションシートとしては、非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されている不織繊維シートが見かけ密度が小さく、圧縮弾性率がすぐれ、機械的強度が大きいので好適に使用される。
【0025】
上記非湿熱接着性繊維としては、非湿熱接着性の汎用繊維が使用可能であり、例えば、麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられ、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維が好ましい。
【0026】
上記湿熱接着性樹脂は、高温・高湿度下で自己接着又は前記非湿熱接着性繊維に接着可能な熱可塑性樹脂であり、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体,ポリ乳酸樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記不織繊維シートは非湿熱接着性繊維が湿熱接着性樹脂により部分的に融着されているが、不織繊維シート全体の見かけ密度や機械的強度が均一になるように、融着部は不織繊維シート全体に均一に分布しているのが好ましい。
【0028】
従って、非湿熱接着性繊維は、上記湿熱接着性樹脂よりなる湿熱接着性樹脂繊維により部分的に融着されているのが好ましい。又、湿熱接着性樹脂繊維は上記非湿熱接着性繊維の表面に上記湿熱接着性樹脂がコーティングされた芯鞘型繊維であってもよい。
【0029】
上記非湿熱接着性繊維及び湿熱接着性樹脂繊維の平均繊度は、小さくなるとクッション性が低下し、へたりやすくなり、大きくなると防音性が低下するので0.1~30dtexが好ましく、より好ましくは0.5~20dtexである。又、断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等の形状が挙げられる。
【0030】
又、上記非湿熱接着性繊維及び湿熱接着性樹脂繊維の長さは、短くなると機械的強度や防音性が低下し、長くなると製造しにくくなるので一般に5~100mmであり、好ましくは10~80mmである。
【0031】
非湿熱接着性繊維と湿熱接着性樹脂の比率は、特に限定されないが、一般に非湿熱接着性繊維100重量部に対し湿熱接着性樹脂50~200重量部であり、好ましくは80~150重量部である。
【0032】
上記不織繊維シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、非湿熱接着性繊維及び湿熱接着性樹脂繊維を混合してシート状のウェブを作成し、得られたウェブをネットで挟んで加圧しながら、上下から熱水又は水蒸気を吹きかけて加熱・加湿する方法が挙げられる。上記の方法で製造された不織繊維シートはシート全体が均一に接着されており、シート全体の機械的強度(特に、圧縮弾性率)が均一であり優れている。尚、非湿熱接着性繊維の表面に湿熱接着性樹脂がコーティングされた芯鞘型繊維を使用してウェブを作成する場合は芯鞘型繊維のみでウェブを作成してもよい。
【0033】
表面クッションシート2は、2枚以上の薄い不織繊維シートが積層された積層シートでもよいし、2枚以上の薄いクッション性シートが積層された積層シートでもよい。更に1枚以上の薄い不織繊維シートと1枚以上の薄いクッション性シートが積層された積層シートでもよい。
【0034】
尚、不織繊維シートとクッション性シートを積層して表面クッションシートを構成する際には、不織繊維シートとクッション性シートのどちらが上になってもかまわないが、クッション性シートが畳表に接し、不織繊維シートが芯材に接するように積層されるのが好ましい。
【0035】
又、不織繊維シートとクッション性シートが積層されなる表面クッションシートは、シート全体として、見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KPa、厚さ1~10mmである。クッション性シートの見かけ密度と圧縮弾性率はこの範囲を少々逸脱してもよいが、不織繊維シートの見かけ密度と圧縮弾性率はこの範囲であるのが好ましく、不織繊維シートとクッション性シートの両方のシートの見かけ密度と圧縮弾性率はこの範囲であるのが好ましい。
【0036】
不織繊維シートとクッション性シートの厚さは、全体として1~10mmであり、不織繊維シートの厚さ:クッション性シートの厚さの比は1:2~2:1が好ましい。
【0037】
又、表面クッションシート2の目付量は小さくなるとへたりやすくなり、大きくなるとクッション性や防音性が低下するので、目付量は、160~800g/m2が好ましく、より好ましくは200~500g/m2である。
【0038】
上記畳表3は、従来から畳表として使用されている畳表であって、多数の(合成)いぐさを横稈として平行に配置し、麻糸、マニラ麻糸、綿糸等糸を縦糸として、横目、目積、大目等の引き目織により織成されている。
【0039】
上記畳表は、いぐさから製造された天然畳表であってもよいし、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂製の合成いぐさから製造された合成畳表であってもよい。合成畳表としては、例えば、積水成型工業(株)から「美草(登録商標)」の名称で市販されている。又、合成いぐさの製造方法は、例えば、特許3,254,492号、特許3,149,551号等に記載されている。
【0040】
上記畳表3の厚さは、厚くなるとクッション性や防音性は向上するが、薄畳の場合は必然的に芯材を薄くしなければならず機械的強度が低下するので、一般式に、1~8mmであり、好ましくは1.5~3mmである。
【0041】
本発明の防音畳は、一般に厚さ8~55mmの正方形、長方形の略矩形の畳であり、畳としての機械的強度とクッション性及び防音性が要求されるので、芯材1の比率が小さくなると機械的強度が低下し、大きくなるとクッション性及び防音性が低下する。又、表面クッションシート2及び畳表3のそれぞれの比率が小さくなるとクッション性及び防音性が低下し、大きくなると機械的強度が低下する。
【0042】
従って、芯材1、表面クッションシート2及び畳表3の厚さ比は1:0.5~2:0.2~2.5であり、好ましくは、1:0.8~1.5:0.5~2である。
【0043】
芯材1の下面に、防音畳にクッション性及び防音性を付与するために裏面クッションシートが積層されてもよい。上記裏面クッションシート4は防音畳にクッション性及び防音性を付与するものであるから、従来から畳のクッションシートとして使用されているものであれば特に限定されず、例えば、麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維などの繊維の不織布、織布、マット、フェルト;ポリスチレン樹脂発泡シート、ポリエチレン樹脂発泡シート、ポリプロピレン樹脂発泡シート、ウレタン発泡シート、ゴム発泡シートなどの発泡シート;クラフト紙、板紙、厚紙、ダンボール等が挙げられる。
【0044】
裏面クッションシートは、みかけ密度が小さくなるとへたりやすくなり、クッション性が低下し、大きくなると吸音性が低下し、防音性が低下するので、見かけ密度が0.04~0.2g/cm3の麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維などの繊維の不織布からなるのが好ましく、より好ましくはポリエステル繊維不織布である。
【0045】
裏面クッションシートの目付量は、小さくなるとクッション性が低下し、大きくなると防音性が低下するので、100~800g/m2が好ましく、より好ましくは150~500g/m2である。
【0046】
裏側クッションシート4の厚さは、特に限定されないが、一般に1~10mmであり、好ましくは1.5~5mmである。又、裏側クッションシート4は2枚以上の薄いクッションシートが積層されていてもよい。
【0047】
又、裏面クッションシートとして、前述の不織繊維シートも好適に使用できる。この場合の不織繊維シートの厚さは1~5mmが好ましい。
【0048】
裏面クッションシートの比率が小さくなるとクッション性及び防音性が低下し、大きくなると機械的強度が低下するので、芯材と裏面クッションシートの厚さ比は1:0.2~2が好ましく、より好ましくは1:0.4~1である。
【0049】
又、芯材又は裏面クッションシートの下面には裏面仕上げ材が積層されてもよい。裏面仕上げ材は、芯材又は裏面クッションシートの表面に滑り止め、補強、防水等の目的で積層されるシートである。
【0050】
滑り止めのための裏面仕上げ材としては、例えば、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂などの滑り止め性能を有する樹脂よりなる滑り止めシート、麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維などの繊維の不織布、織布、マット、フェルトなどにシリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂など粒状、線状、格子状などの凸部が形成されている滑り止めシート、裏面に粒状、線状、格子状などの凸部が形成されているポリエチレ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の発泡シート等が挙げられる。補強のための裏面仕上げ材としては、例えば、クラフト紙、板紙、厚紙、ダンボール、チップボール、合成樹脂シート、クロス粘着テ-プ等が挙げられ、防水のための裏面仕上げ材としては、例えば、ポリエチレ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂シートが挙げられる。
【0051】
本発明の防音畳製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意の製造方法が採用されてよく、一般に、下記の製造方法が挙げられる。
(1)畳表3、表面クッションシート2及び芯材1を積層し、畳表3の端部を表面クッションシート2及び芯材1の側面から下面に沿って折り曲げ、芯材1の下面に固定して框部を形成し、一体化する。
(2)畳表3、表面クッションシート2及び芯材1を積層し、畳表3及び表面クッションシート2の端部を芯材1の側面から下面に沿って折り曲げ、芯材1の下面に固定して框部を形成し、一体化する。
(3)畳表3、表面クッションシート2及び芯材1を積層し、表面クッションシート2の端部をその先端面が芯材1の下面と面一になるように、芯材1の側面沿って折り曲げると共に、畳表3の端部を表面クッションシート2端部及び芯材1の側面から下面に沿って折り曲げ、芯材1の下面に固定して框部を形成し、一体化する。
【0052】
こうして框部を形成製造すると畳表3の端部と芯材1の下面及び畳表3及び表面クッションシート2の端部と芯材1の下面の間に段差が生じる。この畳表3の端部と芯材1の下面又は畳表3及び表面クッションシート2の端部と芯材1の下面で囲まれる空間には段差を解消するために段差調整シートが積層されるのが好ましい。
【0053】
上記段差調整シートは、不陸調整機能を有すると共にクッション性及び防音性を有するシートが好ましい。段差調整シートとしては、例えば、麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維などの繊維の不織布、織布、マット、フェルト;ポリスチレン樹脂発泡シート、ポリエチレン樹脂発泡シート、ポリプロピレン樹脂発泡シート、ウレタン発泡シート、ゴム発泡シートなどの発泡シート;クラフト紙、板紙、厚紙、ダンボール、チップボール等が挙げられる。
【0054】
段差調整シートとしては、みかけ密度が小さくなるとへたりやすくなり、クッション性が低下し、大きくなると吸音性が低下し、防音性が低下するので、麻繊維、綿繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエステル繊維などの繊維の不織布が好ましく、より好ましくはポリエステル繊維不織布であり、その目付量は小さくなるとクッション性が低下し、大きくなると防音性が低下するので、100~800g/m2が好ましく、より好ましくは200~500g/m2である。
【0055】
又、前述の見かけ密度0.04~0.2g/cm3、圧縮弾性率10~40KPaの不織繊維シートであってもよい。
【0056】
段差調整シートの厚さは、特に限定されないが、畳表3の厚さと同等若しくは畳表3の厚さより若干厚いのが好ましく、一般に1~9mmであり、好ましくは1.5~4mmである。又、段差調整シートは2枚以上の薄い段差調整シートが積層されていてもよい。
【0057】
上記芯材、表面クッションシート及び畳表並びに要に応じて、裏面クッションシート及び調整シートを積層する方法は、特に限定されず、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の(粘)接着剤や、エチレンー酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系ホットメルト型接着剤で接着する方法、熱融着する方法、糸で縫合する方法、タッカーで打ち付ける方法等が挙げられる。
【0058】
しかし、芯材に畳表と表面クッションシートを積層し、畳表を芯材の下面に巻き込んでタッカーで打ち付ける方法では、製造後の経時変化や防音畳の使用の際に押圧されたり、畳表や表面クッションシートがずれたりして、防音畳の表面クッションシートの端部がへたってしまい防音性が低下するので、(粘)接着剤で接着されているのが好ましい。
【0059】
少なくとも芯材と表面クッションシートは(粘)接着剤で動かないように接着されるのが好ましい。芯材は、表面クッションシートに接する表面の一部が表面クッションシートに接着されればよいが、全表面が接着されるのが好ましい。又、芯材の側面にも、表面クッションシートが接着されるのが好ましい。又、畳表と表面クッションシート及び不織繊維シートとクッション性シートは、必ずしも接着する必要はなく、単に重ね合わせるだけでもよい。
【0060】
図4は本発明の防音畳の一端部(框部)の構造の一例を示す断面図である。図中1は芯材であり、芯材1の上面に表面クッションシート2を介して畳表3が順次積層され、下面に裏面クッションシート4が積層されている。表面クッションシート2の端部は芯材1の側面に沿って折り曲げられ、芯材1の下面と表面クッションシート2の先端部が面一になるように、芯材1の下面まで達している。畳表3の端部は表面クッションシート2と共に芯材1の側面に沿って折り曲げられ、更に、表面クッションシート2の先端部下面から芯材1の下面まで折り曲げられている。即ち、芯材1の側面と畳表3の間に表面クッションシート2の端部が介在している。又、芯材1の下面と畳表3の端部と裏面クッションシート4で形成される空間には段差調整シート6が挿入されている。
【0061】
図5は本発明の防音畳の一端部(框部)の構造の異なる例を示す断面図である。図中1は芯材であり、芯材1の上面に表面クッションシート2を介して畳表3が順次積層され、下面に裏面クッションシート4が積層されている。表面クッションシート2はクッション性シート21と不織繊維シート22が積層されてなり、不織繊維シート22が芯材1の上面に接するように配置されている。不織繊維シート22は、その端部が芯材1の側面と面一になるように芯材1に積層されている。クッション性シート21の端部は不織繊維シート22側面と芯材1の側面に沿って折り曲げられ、クッション性シート21の先端部が芯材1の下面と面一になるように、芯材1の下面まで達している。畳表3の端部はクッション性シート21と共に芯材1の側面に沿って折り曲げられ、更に、不織繊維シート21の先端部下面から芯材1の下面まで折り曲げられている。即ち、芯材1の側面と畳表3の間にクッション性シート21の端部が介在している。又、芯材1の下面と畳表3の端部と裏面クッションシート4で形成される空間には段差調整シート6が挿入されている。
【0062】
畳表3は、多数の(合成)いぐさを横稈として平行に配列し、麻糸、マニラ麻糸、綿糸等糸を縦糸として、(合成)いぐさと縦糸が直交するように、横目、目積、大目等の引き目織により織成されている。
図4及び
図5において、畳表3は縦糸方向の端部が表面クッションシート2(クッション性シート21)の先端部下面から芯材1の下面まで折り曲げられている。即ち、畳表3は横稈である(合成)いぐさが芯材1の側面と平行方向(
図4及び
図5において紙面と垂直方向)になるように積層されている。
【0063】
本発明の防音畳は、端部(框部)付近の表面クッションシートがへたって薄くなると防音性が低下するので、端部(框部)付近の表面クッションシートがへたらないよう、
図4及び5に示したように畳表及び表面クッションシート(不織繊維シート)が略直角になるように積層されるのが好ましい。
【0064】
本発明の防音畳の他端部(上記一端部と反対の端部)も框部であり、上記一端部と同一構造である。又、上記框部と直交する端部(以下、「返し端部」という。)も上記框部と同一構造でもよい。しかし、返し端部においては畳表3の横稈である(合成)いぐさが芯材1の側面と直交するように積層されているので、畳表3の長さが(合成)いぐさの長さにより限定される、表面クッションシート2の形状が複雑になり、製造が困難である等の理由により、畳表3の(合成)いぐさの端部が表面クッションシート2と芯材1の側面に沿って折り曲げられ、更に、芯材1の下面まで折り曲げられて積層されるのが一般的であり、芯材1の返し端部と畳表3(いぐさ)との間に表面クッションシート2を介在させることは実際的ではない。即ち、一般に、返し端部においては芯材1の側面に畳表3(いぐさ)が積層されているのみで、表面クッションシート2は介在していない。
【0065】
例えば、
図4に示した防音畳においては、芯材1の表面及び必要に応じて側面に表面クッションシート2を接着した後、表面クッションシート2の上面に畳表3を重ね合わせ、畳表3の端部を表面クッションシート2と共に芯材1の側面に沿って折り曲げ、更に、表面クッションシート2の先端部下面から芯材1の下面まで表面クッションシート2に荷重がかからないように折り曲げて畳表3の端部を芯材1の下面に接着、タッカーで打ち付ける方法等により一体化すればよい。
【0066】
図5に示した防音畳においては、芯材1の表面に不織繊維シート22を両者の側面が面一になるように接着した後、不織繊維シート22の上にクッション性シート21と畳表3を重ね合わせ、クッション性シート21をその先端部が芯材1の下面と面一となるように折り曲げ(必要に応じて接着し)、次いで、畳表3の端部をクッション性シート21側面に沿って折り曲げ、更に、クッション性シート21の先端部下面から芯材1の下面まで表面クッションシート2(クッション性シート21及び不織繊維シート22)に荷重がかからないように折り曲げて畳表3の端部を芯材1の下面に接着、タッカーで打ち付ける方法等により一体化すればよい。
【0067】
本発明の防音畳の構成は上述の通りであり、JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上である。
【0068】
本発明の防音畳を複数枚敷設する方法は従来公知の任意の方法が採用されてよい。しかしながら、框部には、表面クッションシートと畳表が折り曲げられて積層されているが、返し端部には畳表だけが折り曲げられて積層されている。即ち、框部では芯材の側面と畳表の間に表面クッションシートが積層されているが、返し端部では芯材の側面と畳表の間に表面クッションシートが積層されていない。従って、防音畳を敷設する際には、框部同士又は框部と返し端部が接するように敷設すると隣り合う防音畳の間に表面クッションシートが介在するので、防音性が優れているが、返し端部同士が接するように敷設すると隣り合う防音畳の間に表面クッションシートが介在しないので、防音性が低下するので、框部同士又は框部と返し端部が接するように敷設するのが好ましい。こうすると隣り合う防音畳の間に必ず表面クッションシートが介在することになるので防音性が低下せず優れている。
【0069】
従って、本発明の防音畳を敷設する際には、それぞれ隣り合う防音畳の畳表のいぐさが直交するように敷設するのが好ましい。
図6は本発明の防音畳を敷設した状態を示す平面図である。図中10a、10a・・・は、いぐさが矢印a方向に配列されている本発明の防音畳である。従って、矢印aの方向の端部は返し端部であり、それと直交する端部が框である。この框部には、表面クッションシートが積層され、返し端部には表面クッションシートは積層されていない。又、10b、10b・・・は、いぐさが矢印b方向に配列されている本発明の防音畳である。従って、矢印bの方向の端部は返し端部であり、それと直交する端部が框部である。この框部にも、表面クッションシートが積層され、返し端部には表面クッションシートが積層されていない。
【0070】
防音畳10a、10a・・・及び10b、10b・・・は、それぞれ隣り合う防音畳は全て、畳表のいぐさが直交するように敷設されており、それぞれ隣り合う防音畳は全てにおいてその框部と返し端部が隣接しており、その隣接する全ての框部と返し端部の間には表面クッションシートが介在しており、防音性が優れている。
【実施例】
【0071】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
芯部分がポエチレンテレフタレート、鞘部分がエチレン-ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、けん化度98.4モル%)である芯鞘型ステープル繊維(繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯と鞘の重量比1:1、捲縮数21個/25mm,倦縮率13.5%)を用いてカード法によりカードウェブを作成した。
【0073】
得られたカードウェブを2枚の金網製ベルトで挟み、加圧すると共に上下から0.25MPa高温水蒸気を噴射して芯鞘型ステープル繊維の鞘部分(エチレン-ビニルアルコール共重合体を溶融接着し、不織繊維シートを得た。
【0074】
得られた不織繊維シートの厚さは3.0mm、見かけ密度は0.05g/cm3、圧縮弾性率は18.8KPa、目付量は150g/m2であった。
【0075】
図4に示した通り、厚さ4mm、密度0.48g/cm3 、曲げ弾性率3.4MPaのミディアムデンシティファイバーボード(MDF)よりなる芯材1の上面に、得られた不織繊維シートを2枚重ねて表面クッションシート2として積層し、その上に厚さ2mmの人工畳表1(積水成型社製、商品名「MIGUSA」)を人工いぐさが
図4において紙面に対し垂直になるように積層した。
【0076】
次に、表面クッションシート2の端面が芯材1の下面と面一になるように芯材1の側端部に沿って折り曲げると共に人工畳表3を芯材1の側端部から下面に沿って折り曲げ、粘着テープで仮止めして框部を形成した。
【0077】
又、芯材1から突出している人工畳表3を芯材1の側端部から下面に沿って折り曲げ、粘着テープで仮止めして返し端部を形成した。次いで、芯材1の裏面に、裏面クッションシート4として、厚さ2mm、目付量200g/m2のポリエステル繊維製不織布を重ね合わせ、タッカーで一体化した。
【0078】
更に、裏面クッションシート4に裏面仕上げ材として厚さ0.7mmのクロス粘着シートを貼付することにより裏面仕上げを行い厚さ16.7mmの防音畳を得た。尚、人工畳表3と芯材1と裏面クッションシート4で形成される空間には段差調整シート6として厚さ2.0mmのポリエステル繊維不織布を積層した。
【0079】
(実施例2)
実施例1でおこなったと同様にして厚さ4mmの不織繊維シートを得た。得られた厚さ4mmの不織繊維シートと厚さ2mm、目付量240mg/m2のポリエステル繊維製不織布を重ね合わせ、厚さ6mm表面クッションシートを得た。得られた表面クッションシートの厚さは6.0mm、見かけ密度は0.07g/cm3、圧縮弾性率は34,0KPa、目付量は440g/m2であった。
【0080】
図5に示した通り、厚さ4mm、密度0.48g/cm3 、曲げ弾性率3.4MPaのミディアムデンシティファイバーボード(MDF)よりなる芯材1の上面に、得られた表面クッションシート2を不織繊維シート22が芯材1側になるように積層した。尚、不織繊維シート22の大きさ及び形状は芯材1の上面と同一大きさ及び形状であり、不織繊維シート22と芯材1の側面は面一になるように積層した。又、ポリエステル繊維製不織布21は、先端面が芯材1の下面と面一になるように、不織繊維シート22と芯材1の側面に沿って折り曲げた。
【0081】
厚さ2mmの人工畳表3(積水成型社製、商品名「MIGUSA」)をポリエステル繊維製不織布21に接するように表面クッションシート2の上に、
図5において紙面に対し垂直になるように積層した。
【0082】
次いで、芯材1から突出している人工畳表3を芯材1の側端部から下面に沿って折り曲げ、粘着テープで仮止めして框部を形成した。次いで、芯材1の裏面に、裏面クッションシート4として、厚さ2mm、目付量200g/m2のポリエステル繊維製不織布を重ね合わせ、タッカーで一体化した。
【0083】
更に、裏面クッションシート4に裏面仕上げ材として厚さ0.7mmのクロス粘着シートを貼付することにより裏面仕上げを行い厚さ16.7mmの防音畳を得た。尚、人工畳表3と芯材1と裏面クッションシート4で形成される空間には段差調整シート6として厚さ2.0mmのポリエステル繊維不織布を積層した。
【0084】
(実施例3)
芯材1の上面全面に、厚さ40μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シートと、得られた不織繊維シートを2枚重ねて超音波ウエルダー(精電舎電子工業社製、商品名「SONOPET Σ-1200」)により、芯材1と下側の不織繊維シートを熱融着した以外は実施例1で行ったと同様にして厚さ16.7mmの本発明の防音畳を得た。
【0085】
(実施例4)
芯材の上面全面に重ねられた厚さ40μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート上に、不織繊維シートを重ねて超音波ウエルダー(精電舎電子工業社製、商品名「SONOPET Σ-1200」)により、芯材と不織繊維シートを熱融着した以外は実施例2で行ったと同様にして厚さ16.7mmの本発明の防音畳を得た。
【0086】
(比較例1)
表面クッションシート及び裏面クッションシートとして厚さ2mm、目付量240g/m2のポリエステル繊維製不織布を2枚積層して使用した以外は実施例1で行ったと同様にして厚さ16.7mmの防音畳を得た。尚、表面クッションシートの見かけ密度は0.12g/cm3、圧縮弾性率は50.2KPaであった。
【0087】
(比較例2)
表面クッションシートとして厚さ4mm、目付量480mg/m2のポリエステル繊維製不織布、裏面クッションシートとして、厚さ2mmの厚紙と厚さ2mm、目付量240mg/m2のポリエステル繊維製不織布(倉敷繊維加工社製、商品名「SSK-K」)を積層して使用した以外、比較例1で行ったと同様にして厚さ16.7mmの防音畳を得た。尚、表面クッションシートの見かけ密度は0.12g/cm3、圧縮弾性率は66.9KPaであった。
【0088】
実施例1~4及び比較例1、2で得られた防音畳の防音性をJIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して防音畳の中心部で測定し、結果を表1に示した。参考のため、床衝撃音レベルがΔLL(I)-4及びΔLL(I)-5の基準値を併記した。
【0089】
又、実施例1~4で得られた防音畳を複数枚敷設し、測定器が複数枚の防音畳を跨ぐように設置し、防音性をJIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定し、結果を表2及び3に示した。尚、表中、「中央」は防音畳の中央部で測定した。又、「框、框」は防音畳の框部と框部が接するように敷設し、「框、返し」は防音畳の框部と返し端部が接するように敷設し、「返し、返し」は防音畳の返し端部と返し端部が接するように敷設して測定した。
【0090】
【0091】
【0092】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の防音畳は、JIS A 1440-1(床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法(標準軽量衝撃源による方法))に準拠して測定した床衝撃音レベルがΔLL(I)-5以上と防音性が優れているので、高層の建物において、床材の上に置いて使用した場合においても、防音畳に荷重や衝撃が加えられて発生した音は防音され、階下の部屋に直接伝わりにくいので、団地やマンションにおいても従来の畳の代わりに好適に使用できる。-5の基準値を併記した。
【符号の説明】
【0094】
1 芯材
2 表面クッションシート
21 クッション性シート
22 不織繊維シート
3 畳表
4 裏面クッションシート
5 裏面仕上げ材
6 段差調整シート